平成17(ワ)43 損害賠償等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成19年4月27日 山形地方裁判所 鶴岡支部 その他
ファイル
hanrei-pdf-35289.txt

判決文本文44,585 文字)

- 1 -主文 第1事件被告兼第2及び第3事件原告は,第1事件原告兼第2事件被告に対し,2630万4820円及びこれに対する平成17年8月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第1事件原告兼第2事件被告のその余の請求を棄却する。 第1事件原告兼第2事件被告は,第1事件被告兼第2及び第3事件原告に対し,578万1300円及びこれに対する平成17年6月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第3事件被告は,第1事件被告兼第2及び第3事件原告に対し,55万4400円及びこれに対する平成17年6月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は,第1ないし第3事件を通じて,第1事件原告兼第2事件被告に生じた費用の10分の7と第1事件被告兼第2及び第3事件原告に生じた費用の100分の69を第1事件原告兼第2事件被告の負担とし,第3事件被告に生じた費用の全部と第1事件被告兼第2及び第3事件原告に生じた費用の100分の1を第3事件被告の負担とし,その余の費用を第1事件被告兼第2及び第3事件原告の負担とする。 ,,,。 この判決は第1項第3項及び第4項に限り仮に執行することができる事実及び理由第1請求 第1事件被告は,原告に対し,7556万1120円及びうち4202万5120円に対する平成17年8月10日から支払済みまで,うち3363万6000円に対する平成18年2月9日から支払済みまで,それぞれ年5分の割合による金員を支払え。 第2事件- 2 -主文第3項と同旨 第3事件主文第4項と同旨第2事案の概要(以下,第1事件原告兼第2事件被告を「原告」と,第1事件被告兼第2及び第3事件原告を「第1事件被告」という)。 本件は,原告及び 主文第3項と同旨 第3事件主文第4項と同旨第2事案の概要(以下,第1事件原告兼第2事件被告を「原告」と,第1事件被告兼第2及び第3事件原告を「第1事件被告」という)。 本件は,原告及び第3事件被告と,公認会計士事務所を経営する第1事件被告との間で税務顧問契約が締結されていたところ,第1事件被告が同契約上の義務に違反し適切な指導,助言を怠ったため原告が損害を被ったとして,原告が第1事件被告に対し,債務不履行に基づく損害賠償を求めると共に,第1事件被告が前記顧問契約に基づく記帳代行業務を行っていないのに記帳代行報酬を受領したとして報酬額相当の不当利得金の返還を求め(第1事件,他方,)第1事件被告が原告及び第3事件被告に対し,前記顧問契約に基づく報酬等の支払いを求めた(第2及び第3事件)事案である。 争いのない事実( )原告は,昭和39年6月30日に設立された,クリーニング業を主たる 業とする株式会社である。 株式会社小野寺ケミカルドライ工場(以下「ケミカルドライ」という)。 は,秋田県横手市及びその周辺市町村における一般クリーニング業を主たる業とする株式会社,株式会社ハイクリーナー山形(以下「ハイクリーナー」という)は,山形市及びその周辺市町村における一般クリーニング業を主。 たる業とする株式会社,株式会社フェニックス(以下「フェニックス」という)は,秋田市,秋田県本荘市及びその周辺市町村における一般クリーニ。 ング業を主たる業とする株式会社,株式会社小野寺ランドリー(以下「ランドリー」という)は,山形県酒田市及びその周辺市町村における一般クリ。 ーニング業を主たる業とする株式会社,株式会社コスモドライ(以下「コスモドライ」という)は,秋田県大曲市及びその周辺市町村における一般ク。 - 3 -リーニング業を主たる 町村における一般クリ。 ーニング業を主たる業とする株式会社,株式会社コスモドライ(以下「コスモドライ」という)は,秋田県大曲市及びその周辺市町村における一般ク。 - 3 -リーニング業を主たる業とする株式会社,株式会社マミー商事(以下「マミー商事」という)は,新潟市及びその周辺市町村における一般クリーニン。 グ業を現在主たる業とする株式会社,第3事件被告は,前記各社の使用するクリーニング資材等を一括して仕入れ販売すること等を主たる業とする有限会社であった。 原告,ケミカルドライ,ハイクリーナー,フェニックス,ランドリー,コスモドライ,マミー商事及び第3事件被告(これら8社を併せ,以下「原告等8社」という)は,原告を代表とするグループ企業であったところ,フ。 ,,,,ェニックスは平成16年7月1日ハイクリーナーを吸収合併し原告は同年10月1日,フェニックス,ランドリー,マミー商事,ケミカルドライ及びコスモドライを吸収合併した。 ( )第1事件被告は,公認会計士及び税理士の資格を有し,山形県鶴岡市内 において公認会計士A事務所(以下「第1事件被告事務所」という)を経。 営している。 B税理士は,税理士の資格を有し,第1事件被告に雇用されている者である。 ( )原告等8社は,平成5年4月から平成16年5月までの間,第1事件被 告との間で,それぞれ,税務代理,税務書類の作成,税務相談及びこれらの業務に付随する財務関係書類の作成,会計帳簿の記帳代行を行うことを内容とする税務顧問契約(以下「本件各税務顧問契約」という)を締結してい。 た。 第1事件被告は,同契約に基づく業務をB税理士に担当させていた。 ( )本件各税務顧問契約上,記帳代行報酬及び決算料の支払時期は,いずれ も決算期の月の翌3か月後の月の末日までとされて 。 た。 第1事件被告は,同契約に基づく業務をB税理士に担当させていた。 ( )本件各税務顧問契約上,記帳代行報酬及び決算料の支払時期は,いずれ も決算期の月の翌3か月後の月の末日までとされていた。 原告等8社の決算月及び税務申告月は,本件各税務顧問契約締結中,以下のとおりであった。 - 4 -決算月申告月合併前の原告2月4月ハイクリーナー1月3月ケミカルドライ1月3月ランドリー6月8月コスモドライ8月10月マミー商事9月11月フェニックス12月翌年2月第3事件被告6月8月,,,( )原告等8社は平成5年から平成15年までの間第1事件被告に対し 別紙1記載のとおりの顧問料及び記帳料合計5629万7580円を支払った。また,原告,ケミカルドライ,ハイクリーナー,フェニックス,ランド,(,「」リーコスモドライ及びマミー商事これら7社を併せ以下原告等7社という)は,平成7年から平成15年までの間,第1事件被告に対し,別。 紙2記載のとおりの記帳代行報酬合計3363万6000円を支払った。 原告等8社は,本件各税務顧問契約に基づき,第1事件被告に対し,別紙3記載のとおりの記帳代行報酬,決算料,税務調査立会報酬,法人税修正申告書作成料及び消費税修正申告書作成料を支払うことになっていたが,現在に至るまでこれらを支払っていない。 ( )ハイクリーナーは,平成15年11月15日から17日まで,原告等8 社に対し,鶴岡税務署が行った税務調査(以下「本件税務調査」という)。 の結果に基づき,平成16年3月12日,鶴岡税務署に対し,平成11年度ないし平成14年度の税務申告につき修正申告(以下「本件修正申告」という)を行った。 。 ハイクリーナーが本件修正申告により鶴岡税務署 果に基づき,平成16年3月12日,鶴岡税務署に対し,平成11年度ないし平成14年度の税務申告につき修正申告(以下「本件修正申告」という)を行った。 。 ハイクリーナーが本件修正申告により鶴岡税務署に支払った税額は,別紙4のとおり,合計3142万0300円である。 - 5 -( )平成14年法律第15号による改正前の租税特別措置法(以下「旧特別 措置法」という)及び租税特別措置法は,以下の優遇税制制度を設けてい。 たが,原告,ケミカルドライ,ハイクリーナー,ランドリー,コスモドライ及びマミー商事(以下「原告等6社」という)は,本件各税務顧問契約。 を締結していた期間中,リース物件についてはこれら制度の適用を受けていなかった(なお,ハイクリーナーが平成14年2月から平成15年1月までの間に購入したワイシャツプレス機については,下記アの制度の適用を受けている。 。)ア旧特別措置法42条の6は,昭和59年4月1日から平成14年3月31日までの間に,その製作の後いまだ事業の用に供されたことのない電子機器利用設備の取得等をし,又はリースにより賃借して,これを一定の事業の用に供した場合は,一定の要件の下に,事業の用に供した事業年度において,その設備を取得した場合には取得価額の30パーセントの特別償却制度と取得価額の7パーセントの特別税額控除制度のいずれかを選択適用することができ,リースの場合は,リース料の総額を基礎として計算した金額(リース料の60パーセント相当額)の7パーセントの特別税額控除制度の適用が認められる制度(以下「本件制度①」という)を設けていた。同制度が適用される基準額は,取得価額が160。 万円以上,リース費用総額が210万円以上であり,控除可能税額は,当期の法人税額の20パーセント相当額が限度とされ,これを超える金 う)を設けていた。同制度が適用される基準額は,取得価額が160。 万円以上,リース費用総額が210万円以上であり,控除可能税額は,当期の法人税額の20パーセント相当額が限度とされ,これを超える金額については1年間の繰越しが認められた。 イ旧特別措置法42条の12及び租税特別措置法42条の6は,平成10年6月1日から平成18年3月31日までの間に,中小企業者等が一定規模以上の機械装置,構造改善に資する特定の器具備品等を,制度適用期間内に取得し,又はリース契約により賃借して指定事業の用に供した場合,前記物品を購入したときにはその取得価額の7パーセントの税額- 6 -控除又は30パーセントの特別償却がその者の選択により認められ,リースのときにはリース費用総額の60パーセントについて7パーセントの税額控除が認められる制度(以下「本件制度②」という)を設けてい。 た。同制度が適用される基準額は,平成10年当時,取得価額基準は,対象設備が機械装置の場合230万円以上,器具備品の場合100万円以上であり,リース費用総額基準は,対象設備が機械装置の場合300万円以上,器具備品の場合140万円以上であったところ,平成14年,取得価額基準は,対象設備が機械装置の場合160万円以上,リース費用総額基準は対象設備が機械装置の場合210万円以上に引き下げられた。また,リースにより賃借した場合の控除可能税額は,当期の法人税額の20パーセント相当額が限度とされ,これを超える金額については1年間の繰越しが認められた。 ウ租税特別措置法42条の7は,昭和62年4月1日から平成19年3月31日までの間に,一定の要件を満たす事業基盤強化設備を取得又はリースにより賃借した場合,その事業の用に供した事業年度において,その設備を取得したときには取得価額の30パーセント から平成19年3月31日までの間に,一定の要件を満たす事業基盤強化設備を取得又はリースにより賃借した場合,その事業の用に供した事業年度において,その設備を取得したときには取得価額の30パーセントの特別償却制度と取得価額の7パーセントの特別税額控除制度のいずれかを選択適用することができ,リースのときには,リース料の総額を基礎として計算した金額(リース料の60パーセント相当額)の7パーセントの特別税額控除制度の適用が認められる制度(以下「本件制度③」という)を設けて。 いる。同制度が適用される基準額は,平成11年3月31日まで,リース税額控除のときは,対象設備が機械装置の場合320万円以上,器具備品の場合140万円以上であり,同年4月1日以降,対象設備が機械装置の場合370万円以上,器具備品の場合160万円以上となっている。リースにより賃借した場合の控除可能税額は,当期の法人税額の20パーセント相当額が限度とされ,これを超える金額については1年間- 7 -の繰越しが認められた。 争点 ( )(第1事件)ハイクリーナーの本件修正申告は第1事件被告の債務不履 行によるものか( )(第1事件)原告等6社が本件制度①ないし③による税額控除を受けな かったことは第1事件被告の債務不履行によるものか( )(第1事件)原告等7社から第1事件被告が受領した記帳代行報酬は不 当利得に当たるか( )(第2及び第3事件)第1事件被告の記帳代行報酬請求権等の有無 当事者の主張の骨子( )争点( )(ハイクリーナーの本件修正申告は第1事件被告の債務不履行に よるものか)について(原告)ア原告は,グループ各社を合併する前,グループ会社の中心として,原告等8社全体の経営戦略の樹立,幹部人事の決定,広告宣伝活動,研修の実 件被告の債務不履行に よるものか)について(原告)ア原告は,グループ各社を合併する前,グループ会社の中心として,原告等8社全体の経営戦略の樹立,幹部人事の決定,広告宣伝活動,研修の実施,クリーニング機器・消耗品の購入,懲罰等の本部機能を担っており,そのために要する費用を,管理費あるいは特別管理費として系列会社各社に分散して負担させていた。本来,このような負担金の額は,一定の合理的な基準により計算して算出し,税務申告をすべきであったが,原告は,こうした合理的な計算方法が必要であること及び不合理な申告をした場合税務当局から経費性を否認され,場合によっては寄付金として認定される可能性があることを知らなかった。 イハイクリーナーは,平成11年度以降の各決算期末において,特に合理的な算定根拠を定めないまま,雑費勘定で原告に対する特別管理費を年度末に一括計上し,同額を原告に対する短期貸付金と相殺するという経理処理を行っていた。 - 8 -第1事件被告は,ハイクリーナーが決算後に提供した資料に基づき,各事業年度の税務申告書を作成し,ハイクリーナーは,これに基づき,税務申告を行ったところ,平成15年11月に行われた税務調査により,前記特別管理費が経費として認められず寄付金と認定され,本件修正申告を行うことを余儀なくされた。 ウ第1事件被告は,本件各税務顧問契約上,ハイクリーナーに対し,税務に関する法令,実務に関する専門知識に基づいて,依頼の趣旨に則り,適切な指導助言を行う義務を負っていたにもかかわらず,これを怠り,前記のような特別管理費の計上が税務上不適切であることを知りながら,重大な過失により,前記特別管理費の計上に異議を述べず,他の処理を提案するなどの助言を行わなかった。 原告代表者は,管理費ないし特別管理費を原告代表者が独自 計上が税務上不適切であることを知りながら,重大な過失により,前記特別管理費の計上に異議を述べず,他の処理を提案するなどの助言を行わなかった。 原告代表者は,管理費ないし特別管理費を原告代表者が独自の判断で算定しており,第1事件被告にこれらに関する資料や判断根拠を提示していなかった。しかし,それは,原告代表者が,第1事件被告から,管理費ないし特別管理費の一括計上やその金額が不適切であるとの指摘を受けたことがなく,これらに関する資料の提示を求められたこともなかったからである。 エ第1事件被告による税務申告及び管理費等計上の方法は以下のようなものであった。 (ア)第1事件被告は,本件各税務顧問契約締結直後,原告代表者との間で簡単な打合せをし,前任税理士から引継ぎを受けた後は,原告等8社の各税務申告期限の10日ないし20日ほど前に当該事業年度1年分の帳簿,伝票類等の資料(会計ソフトのデータが保存されたフロッピーディスク,入出金伝票,請求書,領収書,当座勘定照合表,普通預金口座の照合表)を受け取るため,担当のB税理士を原告に来させるだけであった。そして,担当のB税理士は,申告期限数日前になると,原告代表- 9 -者に対し,損益計算書を提示したが,これは,原告から受け取った資料を精査することなく作成したものであり,既に減価償却費用の計上はされており,原告代表者とこの時改めて減価償却資産の確認を行ったことはない。この損益計算書には,管理費は計上されておらず,原告代表者は,これをその場で見て当該会社の損益を確認し,当該損益の金額から直ちに管理費として計上すべき金額を決め,口頭でB税理士に伝え,B税理士は「そうですか」と答えるのが常であり,その金額の根拠,,。 内訳等を質問してきたことは一度もなく,ハイクリーナーの平成11年度決算において て計上すべき金額を決め,口頭でB税理士に伝え,B税理士は「そうですか」と答えるのが常であり,その金額の根拠,,。 内訳等を質問してきたことは一度もなく,ハイクリーナーの平成11年度決算において特別管理費を計上することを決めたときも同様であって,何らの異議も述べなかった。このようにして,管理費等として計上すべき金額が決まると,原告代表者は,その場で,当該金額を券面額とする原告宛の小切手を振り出すと共に,当該会社の入出金伝票を切って経理上の処理を行っていたもので,これらの作業は,すべてB税理士の面前で行われ,所要時間は合計30分程度であった。B税理士は,このようにして作成された管理費等に関する伝票等を持ち帰り,決算報告書,。 及び確定申告書を完成させ申告期限の直前に提出していたものであるこのように,第1事件被告は,原告等8社の経営状況や財務内容を把握する確認作業,原告代表者との打合せを行ったことはなく,B税理士も一度も管理費等の内容について確認したり資料の提示を求めたことはなく,1年分の資料を持ち帰ってから仮の損益計算書を作成するまでの間に原告代表者に不明点の確認をしたこともなかった。 (イ)原告では,平成4年7月ころ,会計ソフトを導入し,これを利用した会計処理を行っていたところ,第1事件被告は,原告の業務内容に応じた適切な勘定科目を設けるよう指導することもなく,最低限の勘定科目のみで決算書を作成し,税務申告書類を作成していた。そのため,本件各税務顧問契約締結中,原告の支払報酬,支払手数料,図書教育費,- 10 -諸会費等がすべて雑費として処理され,決算書では雑費勘定が膨大な数字となり,各事業年度における比較分析も困難な状態であった。第1事件被告は,原告従業員が入力した会計ソフトの内容をチェックすることもなく,そのまま申告に として処理され,決算書では雑費勘定が膨大な数字となり,各事業年度における比較分析も困難な状態であった。第1事件被告は,原告従業員が入力した会計ソフトの内容をチェックすることもなく,そのまま申告に利用していたため,原告従業員による入力ミスがそのまま申告に引き継がれる状態であった。 なお,原告が平成13年度の確定申告から支払報酬と出向料を雑費勘定から独立した科目に振り替えて表示するようになったのは,第1事件被告からの指摘によるものではなく,原告の取引銀行である株式会社荘内銀行(以下「荘内銀行」という)の営業部長からの指摘を受けた原。 告代表者が,B税理士にその旨提案してなされた改善である。 オよって,ハイクリーナーが修正申告により支払った前記3142万0300円は,第1事件被告によるこのような債務不履行により生じた損害であるから,ハイクリーナーを合併した原告は,第1事件被告に対し,民法415条の債務不履行責任に基づき,前記損害額3142万0300円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成17年8月10日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める。 (第1事件被告)ア第1事件被告は,原告に対し,グループ本部機能の具体的業務内容や本部機能業務に要する費用を系列会社各社に分散して負担させる負担金額を算出するのに必要な具体的資料の提出を再三要求したが,原告は,これらを提出しなかった。 また,第1事件被告は,原告に対し,原告等8社の業務費用負担金分担契約(ロイヤリティー契約)を事前に締結し負担金の内容を明確にすること,グループ企業各社は,当該契約に基づき,各月ごとに前記本部機能業務により発生する費用を原告に支払うよう税務指導を行い,費用を期末に一括費用計上することは利益操作と見なされる場合があり,仮に- 11 -費用 業各社は,当該契約に基づき,各月ごとに前記本部機能業務により発生する費用を原告に支払うよう税務指導を行い,費用を期末に一括費用計上することは利益操作と見なされる場合があり,仮に- 11 -費用として認められるとしても実費相当額のみであることや実費以上の金額を計上した場合は当然その部分が税務上経費としては否認されること等を詳細かつ丁寧に説明していた。 イしかし,原告は,前記アのような第1事件被告の税務指導に従わず,業務費用負担金契約を締結せず,第1事件被告に対し負担金額を算出する合理的な計算を行うに必要な資料提出や説明をしなかった。 もともと,原告代表者は,本社である原告にグループ企業の資金を集めなければならないとの考えを強く持っており,グループ企業各社の最終利益を見てからでなければ管理費・特別管理費の確定ができない旨主張し,第1事件被告の指導に従うことなく,毎会計期末に「実費相当額」として自ら算定した額を一括計上していた。 これは,ハイクリーナーの管理費・特別管理費についても同様であり,原告代表者は,原告の利益等から判断しても計上した金額以上の経費がかかっている,かかった経費はもらわなければならない,特別管理費額は原告代表者が税務申告用とは別に作成している原告等8社の資料や原告の利益等から判断して算定した等と一貫して主張し,第1事件被告に対しては,第1事件被告の求めにもかかわらず,その判断根拠であるという資料を提示したり,具体的な管理費・特別管理費の算定根拠を示したりしなかった。 本件税務調査の際には,管理費・特別管理費が実費としてどれだけかかっているかが問題となり,第1事件被告は約1か月半をかけ,原告専務取締役の協力を得ながら,原告の元帳の経費を1項目ずつ拾い上げて振り分け,原告に最も有利になるよう按分して実費を算定したが,そ けかかっているかが問題となり,第1事件被告は約1か月半をかけ,原告専務取締役の協力を得ながら,原告の元帳の経費を1項目ずつ拾い上げて振り分け,原告に最も有利になるよう按分して実費を算定したが,その額は,原告代表者の算定した管理費・特別管理費の合計額に大幅に及ばなかったため,その差額が鶴岡税務署から寄付金と認定されたものである。 なお,原告は,平成12年ころから,負担金分担の費用計上の煩雑さを- 12 -原告等8社すべてを合併することにより解消するという方法に関心を持ち,第1事件被告との間で,同年3月下旬ころ以降協議を行っていた。 当時有限会社であったハイクリーナー,コスモドライ,フェニックス及びランドリーが,同年7月1日付けで株式会社に組織変更したのはその一環である。 ウ第1事件被告の税務申告の方法は以下のようなものであった。 (ア)原告等8社が第1事件被告に対し資料が揃った旨の連絡をしてくるのは,決算月の2か月後である税務申告月の中旬であり,第1事件被告は,当該連絡があり次第,入力済みデータと1年分の伝票,請求書,領収証等の帳票類を借用し,1年分の仕訳帳を打ち出し,伝票との突き合わせ,請求書との照合を行い,不明な点があれば,その都度,主に原告代表者に内容を確認し,その他訂正等がなかったか確認の上,すべて完了した段階で試算表を作成し,原告代表者に交付する。その後,第1事件被告は,減価償却資産の増減及び減価償却費用の計上について原告代表者に確認し,チェックし,減価償却費の計算を行い,原告代表者に通知する。 原告代表者は,その結果を見て,独自に,未収金,未払金等の決算修正事項,管理費・特別管理費を計上した決算修正表を作成する。決算修正表のチェックが完了すると最終的に当期利益が確定するため,第1事件被告が法人税の申告書作成に着手でき 自に,未収金,未払金等の決算修正事項,管理費・特別管理費を計上した決算修正表を作成する。決算修正表のチェックが完了すると最終的に当期利益が確定するため,第1事件被告が法人税の申告書作成に着手できるのはそこからであった。そのため,税務申告書が完成するのは,提出期限の一,二日前となることがほとんどであり,第1事件被告は,原告代表者に対し,再三,四半期か半期に一度,入力データと帳票類を借用し税務処理業務をしたい旨要請していたが,原告代表者は,1年分の資料が全部揃った段階で一度チェックしてからでなければ会計資料は渡さないとして,第1事件被告の要請を断り続けた。 - 13 -(イ)雑費勘定の問題について,第1事件被告は,再三,原告代表者に対し,雑費勘定が膨大になることは望ましいことではないので適切な勘定科目に振り替えるべきである旨税務指導していたが原告代表者が過,,「去のデータとの比較対比ができなくなる」等としてなかなか指導に従。 わなかったため,第1事件被告において,雑費勘定から第1事件被告で区分することができる支払報酬及び出向料を決算時に集計し,原告の入力したデータを変更することなく,決算報告書のみで雑費勘定から振り替えたい旨要求し,ようやく了解が得られたものである。 銀行取引の残高証明書についても,第1事件被告は,原告代表者に対し,原告等8社全部の残高証明書の提出を要望したにもかかわらず,原告代表者が「担当の事務員が日常からしっかりチェックしているので必要ない」等として,提出を拒否したのである。それでも第1事件被告。 は,原告の銀行取引については,是非にと頼んで取り寄せてもらい,また,当座預金については毎月各銀行から送られてくる照合表を利用し,原告等8社の会計税務をチェックしていた。 (ウ)以上のとおり,第1事件被告は, 行取引については,是非にと頼んで取り寄せてもらい,また,当座預金については毎月各銀行から送られてくる照合表を利用し,原告等8社の会計税務をチェックしていた。 (ウ)以上のとおり,第1事件被告は,原告の非協力的態度を原因とする不当な条件下で,可能な限り最大限適正な税務処理を行ったのである。 エ以上のとおり,第1事件被告は,本件各税務顧問契約に基づく指導助言義務を誠実に履行し,善管注意義務を果たしていたにもかかわらず,原告代表者が,第1事件被告の前記指導に従わず,独自の判断で管理費及び特別管理費の計上を決算期後に一括して行い,その算定根拠も独断で行ったために,実費を超える部分が損金不算入にされたのであるから,第1事件被告に債務不履行はない。 ( )争点( )(原告等6社が本件制度①ないし③による税額控除を受けなかっ たことは第1事件被告の債務不履行によるものか)について(原告)- 14 -ア原告等6社は,別紙5のとおり,それぞれリース契約を締結し,毎月のリース料をそれぞれ支払っていた。 このうち,平成5年から平成9年に契約したリース物件中,本件制度①の「電子機器利用設備」に該当する物件,平成10年から平成13年に契約したリース物件中,本件制度②の「特定機械装置等」に該当する物件,全期間を通じ本件制度③の「事業基盤強化設備」に該当する物件は,いずれも,各制度の適用を受けることが可能であったが,原告等6社は,本件制度①ないし③の存在及びその適用を受けられることを知らず,これら制度の適用を受けていれば払う必要のなかった別紙5中「控除可能金額」欄記載の税額を納付し,その額は合計1060万4820円に上った。 なお,原告が本件制度①の存在を知ったのは,平成15年10月ころ,パソコン機器販売業者の営業担当者の営業活動によってであった 金額」欄記載の税額を納付し,その額は合計1060万4820円に上った。 なお,原告が本件制度①の存在を知ったのは,平成15年10月ころ,パソコン機器販売業者の営業担当者の営業活動によってであった。 イ第1事件被告は,本件各税務顧問契約上,依頼の趣旨に則り,適法な範囲で依頼者にとって最も有利な方法で税務申告を行うべきであり,その際には,税法上の優遇措置の適用の可否を検討し,適用が可能な場合にはこれを適用して税務申告を行うべき義務を負っていたのであるから,本件制度①ないし③の適用についても適切な助言を行うべきであったのにこれを怠ったため,原告等6社は,前記1060万4820円の支出を余儀なくされた。 ,,()なお第1事件被告の業務実態が杜撰であったことは前記( )原告 エ記載のとおりである。 ウしたがって,原告等6社を合併した原告は,第1事件被告に対し,本件各税務顧問契約の債務不履行に基づき,前記損害額1060万4820円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成17年8月10日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める。 - 15 -(第1事件被告)第1事件被告が,本件各税務顧問契約に基づき税務上の優遇措置の適用の可否を検討し,依頼者が税法上の優遇措置を受けられるように税務申告を行うべき義務を負っていたことは認める。しかし,第1事件被告は,原告に対し,適宜本件制度①ないし③の資料を交付して説明を行った上,再三にわたり,優遇税制適用に関する資料の提出を求めたが,原告は必要書類を全く提供しなかったのである(なお,第1事件被告は,ハイクリーナーが平成14年2月から平成15年1月の間に購入したワイシャツプレス機について,原告から借り受けた帳簿類を検討し本件制度①の適用があることに気づいたため,原告代 (なお,第1事件被告は,ハイクリーナーが平成14年2月から平成15年1月の間に購入したワイシャツプレス機について,原告から借り受けた帳簿類を検討し本件制度①の適用があることに気づいたため,原告代表者の選択により同制度のうち特別償却を申告したことがある。 。)第1事件被告の業務実態に対する反論は,前記( )(第1事件被告)記載 のとおりである。 第1事件被告が,原告に対し,本件制度を適用させることができなかったのは原告の責に帰すべき事情によるものであり,第1事件被告に本件各税務顧問契約上の義務違反は存在しない。 ( )争点( )(原告等7社から第1事件被告が受領した記帳代行報酬は不当利 得に当たるか)について(原告)ア本件各税務顧問契約上にいう記帳代行とは,伝票,領収書等の原票に記載された内容を,原告等8社に代わって,会計帳簿に記入し,あるいはデータ入力すること,及び,月単位の貸借対照表,損益計算書,経営分析表等経営判断の指標となる資料を作り原告等8社に交付することをいい,決算料とは別に記帳代行報酬を受け取る以上,データのチェック及び修正で足りるものではない。 イ原告等7社は,平成7年から平成15年の間,第1事件被告に対し,本- 16 -件各税務顧問契約に基づき,別紙2のとおり,合計3363万6000円の記帳代行報酬を支払ったが,その間,第1事件被告は,原告等7社につき,記帳自体を行ったことも,月単位での入力データや帳簿類のチェックも貸借対照表や損益計算書の作成を行ったことすらなく,記帳代行業務を行ったとはいえない。その他の業務実態も前記( )(原告)エ記 載のとおりであって,報酬を支払うべき対価性のある業務を行ったとはいえない。 ウまた,第1事件被告の行ったというチェック自体,帳票類や伝票の一部に留まる上 他の業務実態も前記( )(原告)エ記 載のとおりであって,報酬を支払うべき対価性のある業務を行ったとはいえない。 ウまた,第1事件被告の行ったというチェック自体,帳票類や伝票の一部に留まる上,原告従業員が入力した会計データの修正においても数々の初歩的な誤りがあり,実質的に見ると税理士の行うべきチェックがされたとは到底評価できない。 エさらに,第1事件被告の業務は,下記①ないし⑭のようなずさんなものであり,報酬を支払うべき対価性のある業務を行ったとはいえない。 記①原告が会計ソフトを導入した際,ソフト販売会社の営業社員がインストールした基本的な最低限の勘定科目のみで会計処理を行っていた,,,のに勘定科目の適切性について指導助言したことがなく支払報酬支払手数料,図書教育費,諸会費等がすべて雑費として処理され,雑費勘定が膨大となって,その内訳や各事業年度における比較分析を行うことが困難であったこと②第1事件被告が,各事業年度において各金融機関からの残高証明書をとらないまま貸借対照表を作成したこと③原告等8社は,原告の本店所在地である山形県鶴岡市以外に合計11か所の工場及び営業所を開設して営業を行っており,各地での営業について法人事業税,法人県民税及び法人市民税を納付するべき義務があったにもかかわらず,第1事件被告は原告等8社に対し納税義務- 17 -の存在を一度も指摘せず,原告等8社は12年間にわたりこれら地方税を支払っていなかったこと④不動産を購入した際の不動産業者に対する仲介手数料は,本来土地の取得原価として資産価値に計上すべきところ,原告がこれを誤って雑費勘定に計上したものをそのまま税務申告したこと⑤原告等8社の営業所等の賃借料は前払いであり,本来は前払金勘定に計上するべきところ,これを前払金勘定に計 値に計上すべきところ,原告がこれを誤って雑費勘定に計上したものをそのまま税務申告したこと⑤原告等8社の営業所等の賃借料は前払いであり,本来は前払金勘定に計上するべきところ,これを前払金勘定に計上しなかったこと⑥原告等7社は第3事件被告から毎年多額の仕入れを行っており,その中に償却資産も含まれていたにもかかわらず,第1事件被告は,第3事件被告の仕入帳を確認せず原告等7社の申告を行ったため,前記償却資産の存在を見過ごしたこと⑦グループ会社からの管理費を営業収入として計上しなかったため,原告の営業赤字が過大となっていたこと⑧原告が加入した逓増定期保険の保険料のうち,損金として計上できる部分を損金として計上しなかったこと⑨ハイクリーナー及びフェニックスの定期積金の残高が,帳簿上,実際の残高より各100万円多く計上されたことがあったこと⑩原告の日本生命への保険積立金及び借入金について残高証明書を取り寄せなかったこと⑪マミー商事には特別償却の可能な償却資産があったにもかかわらず,通常償却しかしなかったこと,,⑫原告の車両費について軽油税とそれ以外を分けずに記載したもの軽油税が発生しないものについて発生した旨の記載がされたもの,他社の軽油税額を記載したものなどが存在すること⑬原告の決算書について,売掛金及び未収金,仮払金,買掛金,仮受金,借入金,地代家賃等について,多数の計上漏れあるいは過大な計- 18 -上がされていること⑭原告等8社間の取引の帳票類を精査していないことオよって,第1事件被告が前記記帳代行報酬を取得したことは法律上の原因を欠くから,原告等7社を合併した原告は,第1事件被告に対し,民法703条及び704条による不当利得返還請求として,前記記帳代行報酬相当額である3363万6000円及びこれ 得したことは法律上の原因を欠くから,原告等7社を合併した原告は,第1事件被告に対し,民法703条及び704条による不当利得返還請求として,前記記帳代行報酬相当額である3363万6000円及びこれに対する訴えの変更申立書送達の日の翌日である平成18年2月9日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める。 (第1事件被告)ア第1事件被告は,すべての顧客に対し,帳簿等の作成,監査に関し,その請求項目として「記帳代行報酬(従前の名称は「記帳料」及び「帳,」)簿監査報酬(従前の名称は「監査料」の2つを使用している。 」)後者は,第1事件被告の顧客において,帳簿等の作成までのすべての経理処理を行い,完成した帳簿等を第1事件被告が監査する際の請求項目である。 これに対し,本件各税務顧問契約上用いられているのは前者である。これは,日々の取引伝票の作成,そのパソコンへの入力までの一連の作業(日々の記帳等の業務)は原告等8社の側で行うこととなっており,第1事件被告の行うべき業務は,決算時に,パソコンに入力された当該データを預かり,取引のすべてを仕分け日計帳として出力し,原告から預かった1年分の伝票,帳票類(領収書,請求書等)とすべて照合し,勘定科目,金額等の訂正の有無,入力漏れの有無のチェック,訂正を行うことであって,記帳代行報酬は,このような業務に対する対価である。 第1事件被告が適正な記帳代行業務を行っていたことは,原告の領収書に第1事件被告の合判が残っていることからも明らかであるし,原告従業員が入力したデータのみでは,仮にそれがすべて正確であったとして- 19 -も,それだけで決算に関する資料を作成することは不可能である。なお,近時,会計ソフトが安価で入手できるようになり,第1事件被告の顧問先においても,いつでもデ がすべて正確であったとして- 19 -も,それだけで決算に関する資料を作成することは不可能である。なお,近時,会計ソフトが安価で入手できるようになり,第1事件被告の顧問先においても,いつでもデータを見ることができる利点を利用するため,顧問先自身が会計ソフトを購入し,日々の入力業務は当該会社が行い,第1事件被告がその会計データを預かるという形態が増えている。 イ第1事件被告は,平成5年4月から平成16年5月までの間,本件各税務顧問契約に基づき,適正な税務処理を行い,原告等8社から与えられた会計資料に基づき,適正な税務代理,税務書類の作成,税務相談,財務関係書類の作成,会計帳簿記帳代行を行ったのであるから,第1事件被告が受領した記帳代行報酬は正当な対価である。 ウ原告が指摘する誤りは,その多くが,原告から資料の提出がなかったために生じたものである。なお,原告主張のエ⑫については,一部計算違いがあったことは認める。 ( )争点( )(第1事件被告の記帳代行報酬請求権等の有無)について (第1事件被告)ア本件各税務顧問契約上,第1事件被告の行うべき記帳代行業務の内容及び第1事件被告が平成5年4月から平成16年5月までの間,本件各税務顧問契約に基づき,適正な税務処理及び記帳代行等を行ったことは前記( )(第1事件被告)記載のとおりである。 イ第1事件被告が,本件各税務顧問契約に基づき得られる報酬額は別紙3のとおりであるが,原告等8社はこれを支払わない。 ウよって,第1事件被告は,原告等7社を合併しその債務を承継した原告に対し,本件各税務顧問契約に基づき,原告等7社の記帳代行報酬及び決算料等未払分合計578万1300円及びこれに対する支払期限後である平成17年6月23日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払い 件各税務顧問契約に基づき,原告等7社の記帳代行報酬及び決算料等未払分合計578万1300円及びこれに対する支払期限後である平成17年6月23日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払いを,第3事件被告に対し,第3事件被告分の未払分合計5- 20 -5万4400円及びこれに対する支払期限後である平成17年6月23日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払いを,それぞれ求める。 エ原告は,請求の放棄あるいは信義則違反を主張するが,第1事件被告が報酬の放棄,受領済み報酬の半額の返還等を申し出たことはなく,また,第1事件被告の報酬請求は,前記アのとおり明確な根拠があるから,信義則違反となることはない。 (原告及び第3事件被告)ア第1事件被告が,報酬に値する業務を行っていなかったことは前記( ) (原告)記載のとおりであり,第1事件被告の本件各請求にはいずれも理由がない。 イ請求の放棄原告代表者は,平成16年3月12日の本件修正申告の直前に,第1事件被告及びB税理士に対し,本件修正申告に至ったのはなぜか強く迫り,鶴岡税務署の職員にも第1事件被告の業務のずさんさが原因である旨訴えた。これに対し,第1事件被告は,涙を流しながら謝罪し,同月15日ころ,その時点における報酬を放棄し,過去に原告等8社が支払った顧問料等報酬額のうち半額に当たる1200万円を原告に返還するので許してほしい旨申し出た。 これは,原告等8社と第1事件被告との関係をこの時点で清算するとの第1事件被告の意思表示であり,第1事件被告は,将来更に発生することが確実な報酬請求権を放棄したと解するべきであるところ,第1事件被告が本件において請求している報酬は,いずれも,当時発生することが確実であったのであるから,この時放棄された。 ウ信義則違反第1事 が確実な報酬請求権を放棄したと解するべきであるところ,第1事件被告が本件において請求している報酬は,いずれも,当時発生することが確実であったのであるから,この時放棄された。 ウ信義則違反第1事件被告は,前記( )(原告)記載のとおり,極めてずさんな税務 - 21 -処理を行っており,本件各税務顧問契約の趣旨を全うできていないのであるから,第1事件被告の本件各請求は信義則に違反し許されない。 第3当裁判所の判断 事実経過( )原告等8社の業務形態等 争いのない事実,証拠(甲1ないし8,65,66,原告代表者)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 原告は,昭和39年に設立された,クリーニング業を主たる業務とする株式会社であり,設立以来現在に至るまで,現代表者が代表取締役を務めている。原告代表者は,東北各県に事業を展開するに当たり,それぞれの地域ごとに別個の会社を設立する方針を執り,昭和42年11月マミー商事を昭和59年2月ケミカルドライを昭和60年5月ハイクリーナーた,,(だし,同社は当初有限会社)を,昭和61年4月ランドリー(ただし,同社は当初有限会社)を,昭和62年1月コスモドライを,平成元年5月フェニックス(ただし,同社は当初有限会社)を,それぞれ設立し,いずれ。 ,,も原告代表者が代表取締役あるいは取締役となったまた原告代表者は原告等7社の仕入れの便宜を図るため,昭和61年7月第3事件被告を設立し,第3事件被告において,原告等7社で使用する洗剤等の資材等を一括して仕入れ,原告等7社は第3事件被告からこれらを仕入れるという形態を取るようになった。 原告等8社においては,原告がグループ企業の本社としての機能を担って,,,,,おり原告等8社の会計・税務業務営業展開店舗開 事件被告からこれらを仕入れるという形態を取るようになった。 原告等8社においては,原告がグループ企業の本社としての機能を担って,,,,,おり原告等8社の会計・税務業務営業展開店舗開発業務労務管理技術開発,技術指導,従業員の研修等を一括して行い,マミー商事,ケミカルドライ,ハイクリーナー,ランドリー及びフェニックスは,それぞれ1ないし2の洗濯工場を有し,顧客からの洗濯物の集配業務及び洗濯物のクリーニングを行うのみであった。 - 22 -原告等8社の意思決定は,事実上原告代表者のみが行っており,原告代表者は,各会社の経営方針から会計書類まですべてを自ら把握していた。 ( )第1事件被告の業務形態 争いのない事実,証拠(甲56,乙32ないし35,証人B,同C,第1事件被告)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 第1事件被告は,平成5年1月,それまで勤務していたD公認会計士事務所(以下「D事務所」という)から事業を引き継ぐ形で,第1事件被告事。 務所を開業し,現在に至っており,現在,法人,個人事業者併せて300件近い事業者と税務顧問契約を締結している。 第1事件被告事務所には,現在,20名の従業員がおり,公認会計士の資格を有する者として第1事件被告が,税理士の資格を有する者として第1事件被告及びB税理士が在籍しているほか,社会保険労務士1名が在籍している。 第1事件被告事務所においては,1つの顧問先を,チーフ1名とスタッフ1名からなるチームが担当し,税務申告の際は,担当チーム以外の者がチェックリストに基づいて2次にわたるチェックを行い,適用可能な優遇税制の適用漏れを含めた過誤防止を図っている。また,担当チームで解決で,。 きない問題が生じた場合には適宜第1事件被告が関与して対処している第1事件被告は, わたるチェックを行い,適用可能な優遇税制の適用漏れを含めた過誤防止を図っている。また,担当チームで解決で,。 きない問題が生じた場合には適宜第1事件被告が関与して対処している第1事件被告は,東北税理士会の定める税理士業務報酬規定を参考に報酬額を決めているが,同規定,あるいは自ら定める規定を機械的に適用するのではなく,各顧問先ごとに交渉して報酬額を定めている。 ( )原告等8社と第1事件被告との関係 争いのない事実,証拠(甲48ないし51,65ないし67,乙22,24の1及び2,26の1及び2,27ないし29,32ないし35,証人B,同C,第1事件被告)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 - 23 -ア原告は,昭和39年の設立後,D事務所と税務顧問契約を締結しており,昭和42年11月にマミー商事を設立した後は,グループ会社を設立するたびに,当該新会社も順次D事務所と税務顧問契約を締結していった。ただし,原告は,グループ会社の会計業務及び税務業務も一括して行っていたので,原告以外の会社の会計伝票も原告において作成しており,D事務所との交渉窓口も常に原告であって,原告代表者自らが実質的な対応を行っていた。 Cは,昭和62年4月にD事務所に入所し,昭和63年ころから原告及びそのグループ会社の担当スタッフとなり,担当チーフと共に原告の税務申告等を担当していた。当時は,毎月,原告の作成した会計伝票と領収書,請求書,当座勘定照合票を預かり,請求書と領収書を照合し,会計伝票が正しく記載されているか確認してから,会計伝票から金額のみ入力して総勘定元帳を作成し,総勘定元帳の摘要と相手勘定科目を手書きで記帳し,貸借対照表及び損益計算書を作成し,領収書,請求書と会計伝票を月ごとにつづって原告に返還するという手順で記帳代行業務 み入力して総勘定元帳を作成し,総勘定元帳の摘要と相手勘定科目を手書きで記帳し,貸借対照表及び損益計算書を作成し,領収書,請求書と会計伝票を月ごとにつづって原告に返還するという手順で記帳代行業務を行っていた。 イ原告は,平成4年ころ,会計ソフトを導入し,原告代表者が自ら原告等8社分の会計データを入力するようになった。この時,原告代表者は,当該ソフトに当初から設定されていた勘定科目を用いることにし,勘定科目の設定についてD事務所に相談するということはしなかった。 また,原告が会計ソフトを使用するようになったことを機に,原告の担当チーフがB税理士(ただし,平成4年時点ではB税理士は税理士資格を取得していなかった)に変更になり,Cと共に原告を担当するよう。 になった。 なお,原告は,自ら会計ソフトにデータ入力をするようになってから,D事務所に,各社の税務申告月にしかデータを渡さなくなった。D事務- 24 -所の担当チームは,年1回のチェックでは事務所側の負担も大きく,余裕を持ってチェックを行うためにも,二,三か月に1度,原告でのデータ入力が終わった段階でデータ等を見せてもらいたいと頼んだが,原告は,1年分そろった段階で原告代表者がチェックしてからでなければ見せることができないとして,これに応じなかった。 ウ第1事件被告は,平成5年1月,第1事件被告事務所を開業する際,D事務所の顧客であった原告等8社を顧客として引き継ぎ,本件各税務顧問契約を締結した。原告等8社は,D事務所の業務の方法について,改善の要求等をしなかったため,第1事件被告においても,基本的にはD事務所が行っていた方法を踏襲することにした。 また,B税理士及びCは第1事件被告に雇用されるようになり,引き続き原告等8社を担当した。B税理士は,同年9月に税理士資格を取得して税 も,基本的にはD事務所が行っていた方法を踏襲することにした。 また,B税理士及びCは第1事件被告に雇用されるようになり,引き続き原告等8社を担当した。B税理士は,同年9月に税理士資格を取得して税理士登録し,その後も原告等8社の担当チーフを続けた。 ( )第1事件被告による原告等8社の税務業務の方法 争いのない事実,証拠(甲65,乙22,24の1及び2,32,33,39,証人B,同C,原告代表者)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 第1事件被告が,本件各税務顧問契約に基づき原告等8社の会計帳簿の記帳代行及び税務書類作成業務を行う際の方法は,次のとおりであった。 アB税理士は,原告等8社の各税務申告月の10日ころ,原告を訪問し,原告代表者から会計ソフトのデータ及び伝票,証票類を受け取る。 なお,原告等8社の決算月及び税務申告月はそれぞれ異なっており,B税理士は,3月にハイクリーナー及びケミカルドライの税務業務のため,4月に原告の税務業務のため,8月にランドリー及び第3事件被告の税務業務のため,10月にコスモドライの税務業務のため,11月にマミー商事の税務業務のため,翌年2月にフェニックスの税務業務のため,- 25 -それぞれ原告を訪れていた。 イB税理士及びCは,原告の作成した会計伝票と,領収書,請求書の照合を行う。この段階で,領収書及び請求書の添付があり,金額,日付等が確認でき,会計伝票の勘定科目と領収書金額が正しく記載されていることが確認できた場合には,会計伝票と領収書に合判を押す。ただし,銀行口座からの自動引き落としの方法で支払われるものについては,出金伝票のみで請求書がなく,再三の求めにもかかわらず,原告代表者から原告等8社の使用する金融機関の通帳を借りることができなかったため,これらの出金伝票には合判が の方法で支払われるものについては,出金伝票のみで請求書がなく,再三の求めにもかかわらず,原告代表者から原告等8社の使用する金融機関の通帳を借りることができなかったため,これらの出金伝票には合判が押されることはなかった。 次に,B税理士及びCは,原告から受け取った前記会計データを仕訳帳として出力し,会計伝票と照合して,勘定科目及び数値,消費税の課税判断の正否等を確認する。会計伝票と仕訳帳が異なる場合,請求書が添付されている場合は請求書により確認し,添付がされていない場合は,原告代表者に確認したり,業者に対し請求書明細の添付を求めるなどして訂正を行う。ただし,この時,原告が請求書を提出せず確認ができない場合は,原告が入力したデータのままにしておく。 ここまでの作業に要する期間は,約10日間である。 ウ前記イの作業後,B税理士及びCは,試算表を作成する。また,固定資産に計上になるものの有無を,会計伝票,会計データ,領収書,請求明細書等から確認し,当期増加した資産も含めた「減価償却の計算」と,題する明細表を作成する。この確認作業に当たり,請求明細書の添付がない場合は,資産として計上されるものと経費として扱うべきものを区別することができないため,原告代表者に対し,請求明細書,契約書等の提出を求める。提出がされた場合は,その資料に基づき処理を行うことができるが,提出がされない場合は固定資産として計上すべきか否か判断ができないので,原告の入力したデータのままにしておく。 - 26 -B税理士は,前記試算表及び明細書ができると,原告代表者に示し,内容の確認,特に固定資産の増減の有無についての確認を受け,当期の減価償却費の確定を行う。また,管理費額についても,この時,原告代表者が決定する。 さらに,B税理士及びCは,原告代表者から預かった翌月払領 確認,特に固定資産の増減の有無についての確認を受け,当期の減価償却費の確定を行う。また,管理費額についても,この時,原告代表者が決定する。 さらに,B税理士及びCは,原告代表者から預かった翌月払領収書及び請求書を元に未払金明細表を作成したり,計上漏れの有無を確認するための家賃一覧表を作成したりし,いずれも原告代表者の確認を受けた後,計上額を確定する。 エその後,B税理士及びCは,原告が作成した棚卸明細一覧表,各店舗の前受金明細一覧表,売掛金明細一覧表及び原告代表者が独自に作成した決算修正表を受け取り,決算の修正伝票作成及び決算修正の入力作業を行って,決算書を作成する。この時,決算書が前記決算修正表と同じになるよう追加修正を加え,原告代表者の確認を受け,決算書が完成する。B税理士は,これに基づき,税務申告を行う。 オB税理士及びCは,申告終了後,総勘定元帳を作成し,固定資産台帳に当期償却額を記入する。1か月分の領収書と請求書については,各月ごとに表紙をつけてつづり,会計データと共に原告に返還する。 カ原告は,原告等8社の会計業務及び税務業務を一括して原告において行っていた。原告は,会計課を設けていたが,B税理士及びCと応対するのは常に原告代表者であり,会計課の従業員がB税理士及びCの質問や要求に応えることはなかった。 原告代表者は,前記のとおり,B税理士及びCが作成し確認を求める書類にはすべて目を通し自ら確認していた。また,B税理士及びCが提出を求める証票類を提出するかどうか決めるのも原告代表者であった。 キなお,第1事件被告は,毎年,2月中旬から3月15日までの所得税の確定申告,顧問先法人の3割を占める3月決算法人の決算業務及び5- 27 -月末の申告書提出期限に対応するため,2月中旬ないし5月末の間が最も多忙となる。 原告 月中旬から3月15日までの所得税の確定申告,顧問先法人の3割を占める3月決算法人の決算業務及び5- 27 -月末の申告書提出期限に対応するため,2月中旬ないし5月末の間が最も多忙となる。 原告等8社のうち,申告月が第1事件被告の前記繁忙期と重なるのは,原告,ハイクリーナー及びケミカルドライの3社であり,特に,原告の作業量は膨大で,最も忙しい時期にそれだけの作業をまとめて行うのは第1事件被告側の負担が大きく,業務の正確性にも欠けることになるおそれがあることから,B税理士及びCは,原告代表者に対し,四半期か半期に一度,会計データ及び帳票類をチェックさせてほしい旨再三依頼したが,原告代表者は,1年分のデータがそろいチェックした後でなければ見せることはできないとして,これを拒否した。 ( )原告等8社の組織変更 争いのない事実,証拠(甲58,65,66,68,69,73,83,84,乙3,7の1ないし7,32,34,証人B,原告代表者,第1事件被告)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア原告等8社の主要取引銀行は従前から荘内銀行であり,荘内銀行の担当者はしばしば原告を訪問し,原告代表者と面会し,原告等8社の決算書に目を通していた。 原告の決算書は,従前,雑費勘定が多額であり,また,営業利益が赤字であるのに対し,雑収入が多く,経常利益が黒字になることが常態であった。これは,原告が,従前,原告等8社全体の本部機能を行う上で必要な費用を,管理費名目で各グループ会社から徴収し,この管理費収入をすべて雑収入として計上していたことも一因であった。このような管理費の扱いは,原告がD事務所と税務顧問契約を締結していたころから行われており,原告等8社は,その扱いに不満を述べたり改善を求めたりすることはなく,第1事件被告も,この管理費 であった。このような管理費の扱いは,原告がD事務所と税務顧問契約を締結していたころから行われており,原告等8社は,その扱いに不満を述べたり改善を求めたりすることはなく,第1事件被告も,この管理費収入は,本業であるクリーニング業から上がる収入ではないので,雑収入として計上することにも理由があると- 28 -して,扱いを変更すべきとの指導はしていなかった。 荘内銀行の担当者は,原告代表者に対し,決算書上営業利益が赤字で経常利益が黒字となっていると,原告の経営状態に不審を抱かれるので,前記管理費を原告の営業収入として計上し営業利益が黒字になるようにしてはどうかと提案していたが,原告代表者は,その指摘が重要であるとは考えず,第1事件被告に相談することもなく,勘定科目を変更しようとはしなかった。 イ原告代表者は,平成12年ころ,事業を息子である原告専務取締役に継承するための体制整備を進めたいと考えるようになり,併せて,原告等8社による分社体制を続けていくことの是非についても検討することにし,荘内銀行の担当者や第1事件被告に相談するようになった。 荘内銀行の担当者は,これを受けて,同年7月,原告代表者に対し,分社経営のメリット及びデメリットを説明し,経営統合の方法として,合併及び株式交換による完全子会社化を提案したほか,原告等8社の対外的な信用力の向上と事業承継の円滑な実行を図るため,中小企業の自己資本の充実を促進し健全な発展を図ることを目的とする政策実施機関である東京中小企業投資育成株式会社(以下「投資育成会社」という)か。 ら出資を受けることを提案した。 原告代表者もこれに興味を示したため,荘内銀行の担当者は,投資育成会社に原告への出資の可否を打診したところ,投資育成会社から「分社,経営をしている企業のうち1社にのみ出資することは利益 提案した。 原告代表者もこれに興味を示したため,荘内銀行の担当者は,投資育成会社に原告への出資の可否を打診したところ,投資育成会社から「分社,経営をしている企業のうち1社にのみ出資することは利益操作をされる可能性があるので困難であるが,合併して1社となるか,あるいは,株式交換によりグループ会社を完全子会社するのであれば,投資育成会社からの出資を検討することができる」旨の返答があったため,原告代表。 者に対し,改めて,原告等8社の合併の検討を提案した。 これに対し,原告代表者は,株式交換による子会社化を希望し,当時有- 29 -限会社であったハイクリーナー,ランドリー,コスモドライ及びフェニックスを株式会社に組織変更し,株式交換の手続を進めることにした。 組織変更手続は,第1事件被告において行うことになったが,原告代表者が積極的に動かず,第1事件被告も原告代表者の決定を待つとして積極的に動かなかったため,手続は遅延していた。 ウ平成13年ころ新たに原告等8社の担当となった荘内銀行の担当者は,同年8月ころ,原告代表者を訪問し,原告の決算書を見て,営業損失が続いているのに対し経常利益が黒字であることなど,前記アと同様の問題点に気づいたため,このことを原告代表者に指摘した。 原告代表者は,従前も同様の指摘を受けていたが,投資育成会社との交渉の中で,原告等8社の会計書類の整備が会社の規模に比して不十分ではないかとの指摘をされていたことなどもあり,この時初めて,荘内銀行の担当者の前記指摘に関心を持った。 そこで,原告代表者は,B税理士に対し,当期以降の決算においては,グループ会社各社が原告に対して支払う管理費を営業収入として計上すること,及び,雑費勘定を細かく分けることを求めるとともに,雑費に関しては,会計ソフトのデータは,過去のデータとの比 決算においては,グループ会社各社が原告に対して支払う管理費を営業収入として計上すること,及び,雑費勘定を細かく分けることを求めるとともに,雑費に関しては,会計ソフトのデータは,過去のデータとの比較ができなくなるので従前どおりにしてほしいと依頼した。 B税理士は,これに応じ,原告の平成13年事業年度の決算書からは,それまで雑費勘定の中に入っていた支払報酬及び出向料を独立した科目とした。ただし,原告から渡される会計ソフトの中では,これら科目は分けられていなかったため,第1事件被告では,決算書作成に際し,支払報酬及び出向料に該当する支出を雑費の中から拾い上げる作業が必要となった。また,第1事件被告は,記帳代行及び税務申告作業の過程で,原告から受け取った会計データを修正しているため,本来であれば,原告が持っている会計データを,第1事件被告において修正し,税務署に- 30 -提出した決算書の基となる最終版のデータに更新すべきところ,B税理士は,原告代表者からの前記依頼に応じるため,原告に会計ソフトのデータを返還する時は,前記のように分けたデータをすべて元の雑費の中に戻すなどしていた。そのため,税務署に提出した決算書と,原告の手元にある会計データで,数値や勘定科目が異なるという状態も生じた。 エ原告代表者は,平成13年12月ころ,原告等8社の経営統合を検討するため,荘内銀行の担当者から税理士法人を紹介された。原告代表者は,同法人と共に検討を進め,株式交換による経営統合を行う予定であったことから,平成14年7月,ハイクリーナー,ランドリー,コスモドライ及びフェニックスを有限会社から株式会社に組織変更した。 しかし,原告代表者は,荘内銀行の担当者や前記税理士法人らとの協議を重ねる中で,平成15年5月ころ,株式交換による完全子会社化ではなく,合 イ及びフェニックスを有限会社から株式会社に組織変更した。 しかし,原告代表者は,荘内銀行の担当者や前記税理士法人らとの協議を重ねる中で,平成15年5月ころ,株式交換による完全子会社化ではなく,合併による経営統合を行うことに方針を変更した。 ( )本件税務調査及び本件修正申告並びにその後の経緯等について 争いのない事実,証拠(甲9,12,13の1及び2,14の1及び2,15の1及び2,16の1及び2,17の1ないし4,18の1ないし4,19の1ないし4,20の1ないし4,21の1ないし4,22の1ないし4,23の1ないし4,24の1ないし4,25の1ないし3,26の1ないし3,27の1ないし4,28の1ないし4,45ないし47,54,59,60,65,66,乙3,32,34,証人B,原告代表者,第1事件被告)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア鶴岡税務署は,平成15年11月15日から同月17日まで,原告等8社に対し,本件税務調査を行った。 この時問題になったのは,ハイクリーナーが原告に対して支払っている管理費及び特別管理費と,原告等7社の第3事件被告からの仕入勘定に固定資産が混入していることの2点であり,調査の結果,いずれの点に- 31 -ついても原告側の主張は認められず,鶴岡税務署から修正申告を行うよう促された。 イ原告代表者や第1事件被告,B税理士等が本件税務調査に対応していた同月20日ころ,たまたま,原告に会計ソフトを納入している業者が原告を訪問し,原告代表者に対し,同年4月ころに経済産業省が作成した「平成15年度税制改正IT投資促進税制の創設」と題する資料を渡し,本件制度①ないし③の説明をして,これらの制度の適用が可能であるとして,IT機器のリースあるいは購入を勧めた。 この話を聞いた原告代表者は, 年度税制改正IT投資促進税制の創設」と題する資料を渡し,本件制度①ないし③の説明をして,これらの制度の適用が可能であるとして,IT機器のリースあるいは購入を勧めた。 この話を聞いた原告代表者は,第1事件被告及びB税理士に対し,原告等8社には本件制度①ないし③の適用のあるリース物件があるのになぜこれまで適用されていないのか,過去に遡って適用することはできないのか等の質問をしたが,第1事件被告及びB税理士は,本件税務調査への対応中でもあり,また,過去に遡っての制度適用はできないことは分かっていたので,翌日,本件制度①ないし③の内容について記載された専門的な書籍から抜粋した書面を持参して説明するにとどまった。 ウ原告代表者,原告専務取締役,第1事件被告及びB税理士は,本件税務調査終了後,今後の対応について協議を行った。原告代表者は,この席で,第1事件被告及びB税理士に対し謝罪を要求し,第1事件被告は謝罪した。 エハイクリーナーは,平成16年3月12日,本件税務調査の結果に基づき,平成11年度ないし平成14年度の税務申告につき本件修正申告を行い,同年6月15日までに,鶴岡税務署に対し,別紙4のとおり合計3142万0300円を支払った。 オ原告代表者は,同年3月15日ころ,第1事件被告に対し,本件各税務顧問契約に基づき支払った顧問料の返還を求めた。第1事件被告は,これを拒否したが,本件各税務顧問契約の継続を前提に「今後の報酬の中,- 32 -で対応したい。金額的には,双方歩み寄って半々でどうか」という提案。 をした。また,第1事件被告は,この際に,懸案であった原告等8社の使用する会計ソフトを新しいものにする件を検討するよう,併せて依頼し,原告代表者は,検討する旨返答した。 カ原告は,同年4月9日付けで,第1事件被告に対し,本件各税 の際に,懸案であった原告等8社の使用する会計ソフトを新しいものにする件を検討するよう,併せて依頼し,原告代表者は,検討する旨返答した。 カ原告は,同年4月9日付けで,第1事件被告に対し,本件各税務顧問契約に基づき平成7年以降支払った顧問料合計2305万8000円全額を返還するよう求める文書を送付した。 第1事件被告は,平成16年5月22日付けで,原告に対し,原告との信頼関係は失われたとして,本件各税務顧問契約の解約を申し入れると共に,前記顧問料の返還請求を拒絶する文書を送付した。 キ原告等8社は,本件各税務顧問契約に基づき,第1事件被告に対し,別紙3記載のとおりの記帳代行報酬,決算料,税務調査立会報酬,法人税修正申告書作成料及び消費税修正申告書作成料を支払うことになっていたが,現在に至るまで,これらを支払っていない。 ク原告代表者は,本件税務調査以前,本件各税務顧問契約に基づく第1事件被告あるいはB税理士の業務について,何らの不満を表明することもなく,質問や相談をすることもなかった。 争点( )(ハイクリーナーの本件修正申告は第1事件被告の債務不履行によ るものか)について( )争いのない事実,前記1で認定した事実,証拠(甲10,11,45, 46,65,乙3,34,証人B,原告代表者)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア原告等8社においては,合併前,原告がグループ会社の本部機能を担っており,そのために要する費用を,管理費としてグループ会社から徴収していた。 管理費の徴収に当たっては,事前に,当該グループ会社と原告との間で- 33 -ロイヤリティー契約を締結することはせず,決算書作成の過程で,原告代表者が,B税理士が作成した仕訳帳を見て,当該グループ会社の当期の利益額を確認し,その場で管理費額を決 と原告との間で- 33 -ロイヤリティー契約を締結することはせず,決算書作成の過程で,原告代表者が,B税理士が作成した仕訳帳を見て,当該グループ会社の当期の利益額を確認し,その場で管理費額を決定し,出金伝票と支払用の小切手を切るという方法が取られていた。 イB税理士は,管理費の徴収には事前のロイヤリティー契約があることが望ましいと考え,平成5年ころには,原告代表者に対し,ロイヤリティー契約を締結することを提案したこともあったが,原告代表者から「グ,ループ会社の管理には経費がかかっており,自分が決めている管理費は,かかった経費相当額である」旨説明されると,それ以上契約締結を勧め。 ることはしなかった。また,B税理士は,原告代表者に対し,管理費として認められるのは,実費相当額のみであることも説明したが,原告代表者は「原告内部には経営分析のための資料があり,それによれば,管,理費として計上している額以上の実費がかかっている」旨返答し,裏付。 け資料の有無を問われると「資料はあるが,原告の色々な経費の中に紛,れていて取り出すことは難しく手間がかかる」旨返答して,B税理士に。 対し裏付け資料を見せることは一度もなかった。 B税理士は,原告代表者のこのような説明を聞くと,それ以上裏付け資料の確認をしようとすることはなく,また,税務署に対しては根拠となる資料を示さなければ経費として認められないから,根拠資料を提出できるようにしておくよう指導する等のこともしなかった。 ウ原告が,平成5年度以降,グループ各社から受け取った管理費の額は,別紙6のとおりであり,この額は,いずれも,前記アのとおり,原告代表者の一存で決められ,B税理士が管理費額算定の根拠資料を確認することは一度もなかった。 B税理士は,原告代表者が実費だというのだからそれなりの おりであり,この額は,いずれも,前記アのとおり,原告代表者の一存で決められ,B税理士が管理費額算定の根拠資料を確認することは一度もなかった。 B税理士は,原告代表者が実費だというのだからそれなりの根拠資料に基づいての発言であろうと考え,資料の提出を求めることはなく,管理- 34 -費がゼロ円とされた年度においても,特段の疑問を差し挟むことなく,原告代表者が決めたとおりの管理費額で税務申告を行っていた。 エハイクリーナーは,従前,山形市内に工場を有していたところ,これが山形県の公共事業に使用するため収用されることになり,平成12年5月9日,山形県との間で物件移転及び損失補償に関する契約を締結した。 原告は,前記収用に関し,ハイクリーナーから通常の管理費に加え特別管理費名目で費用を徴収することにし,ハイクリーナーの平成11年事業年度の決算において,特別管理費名目で2400万円を,平成12年度事業年度において1440万円を,平成13年事業年度において2500万円を,平成14年事業年度において1800万円を,それぞれ期末に一括して計上するという処理を行った。 オB税理士は,平成11年事業年度の決算の際,初めて特別管理費という費目を見たため,その内容について原告代表者に質問したところ,原告代表者は「ハイクリーナーの工場が収用にかかり立ち退かなければなら,なくなった。その立退き準備や新工場開設のために,原告が多額の経費を支払っており,今までの管理費では到底不足であるため,特別管理費として徴収することにした」旨の説明をした。しかし,原告代表者は,。 B税理士に対し,計上した特別管理費の裏付けとなる資料を示さなかった。 B税理士は,その経費について,どのようなものが考えられるのか具体的に考えることなく,また,裏付け資料を確認しようとすることも B税理士に対し,計上した特別管理費の裏付けとなる資料を示さなかった。 B税理士は,その経費について,どのようなものが考えられるのか具体的に考えることなく,また,裏付け資料を確認しようとすることもなく,実費以外は認められない旨の一般的な説明をしただけで,原告代表者の決定どおりの特別管理費を計上した。 カ原告代表者は,平成15年11月,本件税務調査において,鶴岡税務署から,ハイクリーナーの管理費及び特別管理費について説明を求められ,前記イ及びオと同様の説明をしたところ,実費相当額であることの裏付- 35 -け資料の提出を求められたが,裏付け資料を提出することができなかった。 第1事件被告及びB税理士は,原告代表者の対応が従前の説明と異なることに驚きながら,急きょ,原告専務取締役の協力のもと,総勘定元帳等からハイクリーナーのための経費及びグループ会社全体の共通経費を拾い出し,共通経費はハイクリーナーに最も有利になるよう按分し実費相当額を計上するという作業を行った。しかし,平成11年度以降計上してきた管理費額及び特別管理費額に大きく及ばなかったため,鶴岡税務署により,その差額が寄付金として認定されることになった。 また,共通経費の按分作業を行うと,ハイクリーナー以外のグループ会社から追加徴収するべき金額が出てきて,他のグループ会社の決算内容にも影響が出てくることが分かったが,第1事件被告と鶴岡税務署の折衝の結果,今回はハイクリーナーのみの問題として修正申告を行うことで了承された。 キハイクリーナーは,平成16年3月12日,本件税務調査の結果に基づき,平成11年度ないし平成14年度の税務申告につき本件修正申告を行い,同年6月15日までに,鶴岡税務署に対し,別紙4のとおり合計3142万0300円を支払った。 ( )第1事件被告の債務不 基づき,平成11年度ないし平成14年度の税務申告につき本件修正申告を行い,同年6月15日までに,鶴岡税務署に対し,別紙4のとおり合計3142万0300円を支払った。 ( )第1事件被告の債務不履行の有無について ア税理士は,税務に関する専門家として,独立した公正な立場において,申告納税制度の理念にそって,納税義務者の信頼にこたえ,租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とするものである(税理士法1条。 )そして,税理士は,税務の専門家として,依頼者から税務に関する相談を受けたときは,税務に関する法令,実務に関する専門的知識に基づいて,依頼者の依頼の趣旨に則り,適切な助言や指導を行う義務を負う。 - 36 -イところで,本件において,第1事件被告は,自ら原告等8社の税務処理を担当していたのではなく,第1事件被告が雇用するB税理士を担当チーフとして税務処理をさせていたことは,前記1で認定したとおりであるから,B税理士は,第1事件被告が本件各税務顧問契約に基づく債務を履行するに当たっての履行補助者であったと解するのが相当である。 ウそこで,B税理士を履行補助者とする第1事件被告の本件各税務顧問契約における債務不履行の有無について検討する。 (ア)税務実務上,期末に一括して計上し,これが管理費として認められるためには,あらかじめ管理費に関するロイヤリティー契約を締結しておくことが必要であり,そのような契約を締結してない場合は,実費相当額以外は経費として認められない。本件において,原告等8社は,事前にロイヤリティー契約を締結することなく,管理費を期末に一括して計上していたこと,B税理士は,前記のような税務上の扱い及び原告等8社の管理費の処理の仕方を知りながら,計上している管理費は実費相当額である,また, ー契約を締結することなく,管理費を期末に一括して計上していたこと,B税理士は,前記のような税務上の扱い及び原告等8社の管理費の処理の仕方を知りながら,計上している管理費は実費相当額である,また,管理費の多くは原告のいろいろな経費の中に紛れ込んでおり,その内容は容易には特定しがたく,資料としてまとめるにはとても時間がかかる旨の原告代表者の説明を漫然と信じ,その内容を客観的資料によって確認することをしなかったこと,B税理士は,平成11年度以降ハイクリーナーが特別管理費を計上するようになった際も,特別管理費として計上した額は工場移転に当たって原告が負担した額である,今までの管理費では到底不足である旨の原告代表者の説明を漫然と信じ,やはり,その内容を客観的資料によって確認することをしなかったこと,鶴岡税務署から管理費及び特別管理費に関し指摘がなされた後,第1事件被告及びB税理士は,原告専務取締役の協力の下,総勘定元帳等からハイクリーナーのための経費及びグループ会社の共通経費を拾い出す作業をしているところ,たとえ原告代表者が資料の提出を拒否- 37 -したとしても,最終的には原告専務取締役の協力を得るなどして,資料の開示を受ければ,原告が計上した管理費及び特別管理費が実費相当額であったか否かを明らかにすることは可能であったこと,ハイクリーナーは,本件税務調査により,管理費及び特別管理費が実費相当額であることの根拠を提示することができず,本件修正申告を余儀なくされたことは,いずれも前記( )で認定したとおりである。 (イ)以上によれば,第1事件被告は,原告の管理費及び特別管理費の計上について,それを裏付ける客観的資料がない限り,経費として控除の対象にならないことを認識していながら,資料による裏付けをすることなく,漫然と原告代表者が計 件被告は,原告の管理費及び特別管理費の計上について,それを裏付ける客観的資料がない限り,経費として控除の対象にならないことを認識していながら,資料による裏付けをすることなく,漫然と原告代表者が計上した額に基づき税務申告をし,そのために原告が修正申告をせざるを得なくなったと認めることができる。このことからすれば,第1事件被告には,本件各税務顧問契約における注意義務に違反した債務不履行があったといえる。 (ウ)この点,第1事件被告は,B税理士が原告代表者に対し,事前にロイヤリティー契約を締結するか,実費相当額でなければ管理費の期末一括計上は認められないことを説明していたところ,原告代表者から申告,,した額は実費相当であると説明を受けたのでそれに従ったまでであり第1事件被告としては,できる限りのことをしたのであるから,何ら義務違反はない旨主張する。しかし,原告代表者は,税務に関して専門知識を有する者ではないのであるから,税務の専門家である税理士としては,その説明が客観的根拠により裏付けられるか否か確認する必要はあ。 ,ったというべきである本件における管理費及び特別管理費については別紙6のとおり,極めて高額であり,これが税務署から否認された場合には,顧客である原告等8社に大きなリスクを負わせてしまう危険を孕んでいる状況であり,また,総勘定元帳等を丹念に調べれば,管理費及び特別管理費として認められるもの,認められないものの区別は可能で- 38 -あったのだから,B税理士が,処理に問題はないと言う原告代表者に従い,何ら資料の徴求をせず,資料はあるという原告代表者の説明を漫然と信じ,その有無を現実に確認しなかったことは,本件各税務顧問契約における注意義務に違反したものであると評価せざるを得ない。 ( )損害額 ハイクリーナーが, はあるという原告代表者の説明を漫然と信じ,その有無を現実に確認しなかったことは,本件各税務顧問契約における注意義務に違反したものであると評価せざるを得ない。 ( )損害額 ハイクリーナーが,本件修正申告に基づき,別紙4のとおり,合計3142万0300円を納税したことは当事者間に争いがない。 ところで,本件において,B税理士は,原告代表者に対し,管理費及び特別管理費について,期末に一括計上するのであれば,事前にロイヤリティー契約を締結するか,あるいは実費相当額であることを明らかにしなければ一切認められない旨説明していたにも関わらず,原告代表者は,これに従わず,ロイヤリティー契約を締結しなかったこと,管理費及び特別管理費として計上した額を具体的に算定できる客観的資料は一切なく,申告した額は原告代表者の一存で決定した額に過ぎないのに,あたかも資料があるかのような説明をB税理士にしていたことも前記認定のとおりである。 このような事情の下では,第1事件被告の債務不履行と相当因果関係を有する損害の範囲は,第1事件被告が前記のような説明を全く行っていなかった場合とは自ずと異なってくるといわざるを得ない。そして,前記で認定したとおり,第1事件被告からの協力要請に応えていなかった等の原告の事情をも勘案すると,第1事件被告の債務不履行と相当因果関係を有する損害は,前記納税額の約2分の1である1570万円にとどまるというべきである。 争点( )(原告等6社が本件制度①ないし③による税額控除を受けなかった のは第1事件被告の債務不履行によるものか)について( )争いのない事実,前記1で認定した事実,証拠(甲31,39,44, 54,65,69,82,乙3,7の2・4・6,8ないし18,19の- 39 -1ないし6,20の1ないし7,21,2 ( )争いのない事実,前記1で認定した事実,証拠(甲31,39,44, 54,65,69,82,乙3,7の2・4・6,8ないし18,19の- 39 -1ないし6,20の1ないし7,21,23,32,34ないし39,証人B,原告代表者,第1事件被告)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア旧特別措置法及び租税特別措置法は,昭和59年4月1日から平成19年3月31日までの間,一定の要件を満たすことにより,所定のリース物件についてリース費用の一定割合について税額控除を受けることのできる本件制度①ないし③を設けていた。 イ第1事件被告は,税務顧問契約を締結している顧客の税務申告を行うに当たり,適用することのできる優遇税制制度を見逃すことのないよう,チェックリストを作成して適用可能な優遇税制をチェックしていたほか,第1事件被告事務所で毎月「会計事務所通信」と題する情報紙を発行して,,,。 顧客に送付し税制の新設変更その他税務に関する情報を提供していたウ第1事件被告は,原告等8社に対し,前記情報紙を,本件各税務顧問契約に基づく報酬の請求書に同封して送付していた。なお,原告以外のグル,,,ープ会社宛ての請求書であっても送付先は原告であったため原告には2ないし3か月に1度,前記情報紙は届いていた。 また,B税理士は,原告代表者に対し,優遇税制一般について説明し,優遇税制を適用できそうなものがあれば資料を出してほしい旨依頼したが,原告代表者からは,一度も優遇税制適用の申し出はなく,本件各税務顧問契約が締結されていた期間中,原告等8社に適用された優遇税制は,B税理士及びCが,税務申告書作成業務等を行う中で気づき,内容の裏付けがとれたもののみであった。 エ原告が支払ったリース料は,37期(平成12年3月1日ないし平 ,原告等8社に適用された優遇税制は,B税理士及びCが,税務申告書作成業務等を行う中で気づき,内容の裏付けがとれたもののみであった。 エ原告が支払ったリース料は,37期(平成12年3月1日ないし平成13年3月31日)に7022万2744円,38期に5652万5149円,39期に3387万2380円,40期に2584万1920円であった。また,ランドリーは,平成14年7月からの1年間に69万612- 40 -,,,0円をコスモドライは同年9月からの1年間に199万5600円をマミー商事は,同年10月からの1年間に701万6760円を,ケミカルドライは,平成15年2月からの1年間に157万2000円を,ハイクリーナーは,同じ1年間に1035万1905円を,リース料としてそれぞれ支払っていることは,決算書上,あるいは,総勘定元帳上に現れていた。 ,,,原告等6社はこのように従前から多額のリース料を支払っていたが原告代表者は,B税理士に対し,本件制度①ないし③の適用を1度も申し出なかった。B税理士は,優遇税制の説明はしているのであるから,適用できるものがあれば申し出るだろう,申し出がないということはこれら制度を適用できる物件はないのだろうと判断し,本件制度①ないし③を適用する税務申告を一度も行わなかった。 第1事件被告は,決算書上,原告等6社がリース料を支払っているにもかかわらず,確定申告書を見ると,本件制度①ないし③の適用がされていないことに気づき,B税理士に対し,これら制度を適用できるものはないか確認するよう注意を促したが,B税理士は,原告代表者に対し「優遇,税制の適用ができるものがあれば資料を出してください」という抽象的。 な要求をするに終始し,具体的にどのような資料を提出してほしいとは要求しなかった。 なお,原告は 士は,原告代表者に対し「優遇,税制の適用ができるものがあれば資料を出してください」という抽象的。 な要求をするに終始し,具体的にどのような資料を提出してほしいとは要求しなかった。 なお,原告は,リース料に関する資料として,リース契約書をまとめてファイルにつづってあり,要求があれば直ちに見せられる状況にしておいた。 オ原告代表者は,平成15年11月20日ころ,出入りのパソコンソフト納入業者から,IT投資促進税制について記載された書面を渡され,本件制度①ないし③のような優遇税制があるのでもっとパソコンを購入あるいはリースしてほしいとの話を聞かされた。原告代表者は,この時初めて,- 41 -同制度の存在を理解し,本件税務調査への対応のため原告の社内にいた第1事件被告及びB税理士に対し,本件制度①ないし③が適用できるものがある,なぜ教えてくれなかったのか,過去に遡って適用できないか等と不満を述べた。 カ原告等6社は,本件各税務顧問契約が締結されていた期間中,別紙5記載のとおり,本件制度①ないし③の適用を受けることができたにもかかわらず,リース物件について,これら制度の適用を全く受けていない。 ( )第1事件被告の債務不履行の有無について ア第1事件被告が,本件各税務顧問契約に基づき,税法上の優遇措置の適用の可否を検討し,依頼者が税法上の優遇措置を受けられるように税務申告を行うべき義務を負っていたことは当事者間に争いがない。 そして,前記( )で認定したとおり,原告等6社は,別紙5記載のとお り,平成5年から平成13年までの間,本件制度①ないし③の適用を受けることができたにもかかわらずこれを受けていないのであるから,第1事件被告には本件各税務顧問契約上の債務不履行があったというべきである(なお,この債務不履行の有無を判断するに ①ないし③の適用を受けることができたにもかかわらずこれを受けていないのであるから,第1事件被告には本件各税務顧問契約上の債務不履行があったというべきである(なお,この債務不履行の有無を判断するに当たり,B税理士を第1事件被告の履行補助者とみなすべきことは,前記2( )イと同様である。 。)イところで,第1事件被告は,原告等6社に対し,口頭あるいは事務所通信によって,本件制度①ないし③について説明した上,優遇措置を適用できるものがあれば申し出るように指導したにもかかわらず,原告等6社から申し出がなかったので適用しなかった旨主張する。しかし,前記( )で 認定したとおり,B税理士は,原告代表者に対し,優遇税制一般の説明をし,適用できるものがあれば資料を出すよう求めたにとどまり,本件制度①ないし③について具体的な説明をしたり,具体的に必要となる資料を特定して資料の提出を求めたわけではない。そして,税務の専門家でない原告代表者にとって,優遇税制一般の説明を聞いただけで,どのような資料- 42 -を提出すればよいのか判断することは極めて困難であることは明らかである。B税理士によれば,リース契約書を見れば本件制度①ないし③の適用を受けることができるか否かはすぐに判断できるというのであり(証人B,また,原告は,原告等6社のリース契約書をファイルにつづってい)つでも提出可能な状態にしていたのであるから,B税理士が原告代表者に対し,リース契約書の提出を求めればいつでも提出がなされ,適正な税務処理がなされたといえる。このことからすれば,第1事件被告が,本件各税務顧問契約における注意義務に違反していることは明らかであり,第1事件被告の主張は採用することができない。 ( )損害額 原告等6社は,本件各税務顧問契約が締結されていた期間中 被告が,本件各税務顧問契約における注意義務に違反していることは明らかであり,第1事件被告の主張は採用することができない。 ( )損害額 原告等6社は,本件各税務顧問契約が締結されていた期間中,別紙5記載のとおり,本件制度①ないし③の適用を受けることができたにもかかわらず,リース物件について,これら制度の適用を全く受けていないこと,その結果,原告は,1060万4820円の税額控除を受けられなくなったことは前記認定のとおりである。以上によれば,前記金額が原告の損害額と認めることができる。 争点( )(第1事件被告の受領した記帳代行報酬は不当利得に当たるか)に ついて,,(,,,( )争いのない事実前記1で認定した事実 証拠 甲56 証人B 原告代表者,第1事件被告本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア税理士は,税理士の名称を用いて,他人の求めに応じ,税理士業務に付随して,財務書類の作成,会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を業として行うことができる(税理士法2条2項。 )ここでいう記帳代行には,総勘定元帳及び試算表の作成を行う形態と伝票の起票から帳簿の作成を行う形態の2種類があるとされるところ,前者- 43 -が税理士の行う記帳代行として通常の形態であり,後者は,真実の把握に困難が多く,原始記録の証拠性などから見てなるべく避けるべきとされ,日本税理士会連合会業務対策部作成の「税理士業務報酬算定に関するガイドライン(指針」においても,会計帳簿の記帳代行報酬の定義として,)「委嘱者の提示した資料及び伝票に基づき,総勘定元帳の記入及び試算表の作成等の事務を行うことによる報酬」との表現が例示されている。 イ原告等7社と第1事件被告は,本件各税務顧問契約を締結した際,報酬に 嘱者の提示した資料及び伝票に基づき,総勘定元帳の記入及び試算表の作成等の事務を行うことによる報酬」との表現が例示されている。 イ原告等7社と第1事件被告は,本件各税務顧問契約を締結した際,報酬については,従前の原告とD事務所の定めをそのまま踏襲し,内容について協議することはなかったが,第1事件被告は,平成7年ころ,原告等7,。 ,社に対し本件各税務顧問契約に基づく報酬の改定を申し入れたこの時具体的な内容を原告代表者に対し説明したのはB税理士であり,B税理士は原告代表者に対し原告等7社について各社ごとに記帳料顧,,,,「」,「問料「決算料」の項目とその額を明示し,従前の額と新たな提案額と」,を比較できるように明示した一覧表を交付して説明を行った。原告代表者はこれを検討し,了解したため,原告等7社は,同年以降,第1事件被告に対し,同一覧表に基づいて報酬を支払うようになった。その額は,別紙1及び2のとおりである。 ウ第1事件被告は,B税理士を原告等7社の担当チーフとして,各決算月,,,ごとに原告等7社が提示した資料及び伝票に基づき総勘定元帳の記入試算表の作成等を行っていた。 原告等7社は,本件各税務顧問契約締結中,第1事件被告に対し,記帳代行業務の内容について,不満を述べたり改善を求めたりすることは一度もなかった。 ( )検討 ア本件各税務顧問契約上の「記帳代行」の意味原告等7社が,第1事件被告に対し,本件各税務顧問契約に基づき記帳- 44 -代行報酬を支払っていたことは当事者間に争いがない。 ところで,本件各税理顧問契約の解釈に当たっては,税理士法の規定や同法所定の団体である日本税理士会連合会の指針等も参考にするべきところ,一般的に,記帳代行報酬とは,委嘱者の提示した資料及び伝票に基づき,総 ,本件各税理顧問契約の解釈に当たっては,税理士法の規定や同法所定の団体である日本税理士会連合会の指針等も参考にするべきところ,一般的に,記帳代行報酬とは,委嘱者の提示した資料及び伝票に基づき,総勘定元帳の記入及び試算表の作成等の事務を行うことによる報酬とされ,税理士が自ら帳簿の作成を行うという意味での記帳代行はむしろ避けるべきとされていることは前記( )で認定したとおりである。 このような事情に照らせば,本件各税務顧問契約上,記帳代行とは,当事者間で記帳代行業務の内容に関する個別的合意を行った等の特段の事情のない限り,委嘱者である原告等7社の提示した資料及び伝票に基づき,総勘定元帳の記入及び試算表の作成等の事務を行うことをいうと解するのが相当である。 そして,原告等7社は,少なくとも平成7年以降,本件各税務顧問契約に基づく報酬として「決算料」とは別個に「記帳料」を支払うことを明,示的に合意していること,原告等7社と第1事件被告との間で,本件各税務顧問契約に基づく記帳代行業務の内容について,特段の合意はされていなかったことは前記( )認定のとおりである。 ところで,原告は,本件各税務顧問契約上の記帳代行とは,伝票,領収書等の原票に記載された内容を,原告等7社に代わって,会計帳簿に記入し,あるいはデータ入力すること,及び,月単位の貸借対照表,損益計算書,経営分析表等経営判断の指標となる資料を作り原告等7社に交付することをいう旨主張するが,このような合意があったことを認めるに足りる証拠はない。 イ第1事件被告が,本件各税務顧問契約に基づき,原告等7社の提示した資料及び伝票に基づき,総勘定元帳の記入及び試算表の作成等の事務を行っていたことは前記( )のとおりである。 - 45 -よって,第1事件被告が,原告等7社から別紙2の き,原告等7社の提示した資料及び伝票に基づき,総勘定元帳の記入及び試算表の作成等の事務を行っていたことは前記( )のとおりである。 - 45 -よって,第1事件被告が,原告等7社から別紙2の記帳代行報酬を受け取ったことが法律上の原因を欠くということはない。 ( )ところで,原告は,第1事件被告の行っていた業務はずさんであり,報 酬を支払うべき対価性のある業務を行ったとはいえない旨主張するので検討する。 ア原告は,第1事件被告の業務のずさんさの例として,①原告が会計ソフトを導入した際,ソフト販売会社の営業社員がインストールした基本的な最低限の勘定科目のみで会計処理を行っていたのに,勘定科目の適切性について指導助言したことがなく,支払報酬,支払手数料,図書教育費,諸会費等がすべて雑費として処理され,雑費勘定が膨大となって,その内訳や各事業年度における比較分析を行うことが困難であったこと,②第1事件被告が,各事業年度において各金融機関からの残高証明書をとらないまま貸借対照表を作成したこと,③原告等8社は,原告の本店所在地である山形県鶴岡市以外に合計11か所の工場及び営業所を開設して営業を行っており,各地での営業について法人事業税,法人県民税及び法人市民税を納付するべき義務があったにもかかわらず,第1事件被告は原告等8社に対し納税義務の存在を一度も指摘せず,原告等8社は12年間にわたりこれら地方税を支払っていなかったこと,④不動産を購入した際の不動産業者に対する仲介手数料は,本来土地の取得原価として資産価値に計上するべきところ,原告がこれを誤って雑費勘定に計上したものをそのまま税務申告したこと,⑤原告等8社の営業所等の賃借料は前払いであり,本来は前払金勘定に計上するべきところ,これを前払金勘定に計上しなかったこと,⑥原告等7社 れを誤って雑費勘定に計上したものをそのまま税務申告したこと,⑤原告等8社の営業所等の賃借料は前払いであり,本来は前払金勘定に計上するべきところ,これを前払金勘定に計上しなかったこと,⑥原告等7社は第3事件被告から毎年多額の仕入れを行っており,その中に償却資産も含まれていたにもかかわらず,第1事件被告は,第3事件被告の仕入帳を確認せず原告等7社の申告を行ったため,前記償却資産の存在を見過ごしたこと,⑦グループ会社からの管理費を営業収入として- 46 -計上しなかったため,原告の営業赤字が過大となっていたこと,⑧原告が加入した逓増定期保険の保険料のうち,損金として計上できる部分を損金として計上しなかったこと,⑨ハイクリーナー及びフェニックスの定期積金の残高が,帳簿上,実際の残高より各100万円多く計上されたことがあったこと,⑩原告の日本生命への保険積立金及び借入金について残高証明書を取り寄せなかったこと,⑪マミー商事には特別償却の可能な償却資産があったにもかかわらず,通常償却しかしなかったこと,⑫原告の車両費について,軽油税とそれ以外を分けずに記載したもの,軽油税が発生しないものについて発生した旨の記載がされたもの,他社の軽油税額を記載したものなどが存在すること,⑬原告の決算書について,売掛金及び未収金,仮払金,買掛金,仮受金,借入金,地代家賃等について,多数の計上漏れあるいは過大な計上がされていること,⑭原告等8社間の取引の帳票類を精査していないこと,を主張する。 イ①については,前記1で認定したとおり,このような処理は原告等8社がD事務所と税務顧問契約を締結していたころから行われており,原告等8社は,このような処理について,第1事件被告に対し,不満を表明したり改善を求めたりすることはなかったものである。そして,どのような勘定 務所と税務顧問契約を締結していたころから行われており,原告等8社は,このような処理について,第1事件被告に対し,不満を表明したり改善を求めたりすることはなかったものである。そして,どのような勘定科目を用いるのがよいのかは,一般的に基準があるわけではなく,各顧客によって異なるのであるから,顧客である原告等8社から不満が出たり改善を求められたりしていない状態でなお勘定費目の分け方について指導するべき義務があるとまでいうことはできない。 ウ②,⑨及び⑩については,証拠(乙5,6の1ないし58,7の1,32ないし35,39,証人B,同C,第1事件被告)及び弁論の全趣旨によれば,B税理士及びCは,原告代表者に対し,各金融機関や保険会社から残高証明書を取り寄せるよう再三依頼したにもかかわらず,原告代表者が「原告側で間違いなくチェックしているから大丈夫である」として,。 - 47 -これらを取り寄せようとせず,B税理士及びCが更に依頼して,原告にかかる残高証明書のみようやく取り寄せてもらうことができたことが認められる。原告代表者の陳述書の中には,取り寄せ依頼はなかったとする部分があるが,原告代表者尋問の結果によれば,原告代表者は,取り寄せ依頼の有無について何ら覚えていないというのであり,前記に挙げた各証拠に照らすと,その供述を採用することはできない。 したがって,②,⑨及び⑩の事実が,第1事件被告の義務違反であるということはできない。 エ③については,これに沿う証拠が,原告代表者の陳述書(甲66)のみであることからすれば,原告の主張を裏付ける客観的証拠ということはできず,したがって,③の事実が,第1事件被告の義務違反であるということはできない。 オ④ないし⑥,⑫ないし⑭については,⑫の一部につき,第1事件被告が計算違いをしていたことは当 証拠ということはできず,したがって,③の事実が,第1事件被告の義務違反であるということはできない。 オ④ないし⑥,⑫ないし⑭については,⑫の一部につき,第1事件被告が計算違いをしていたことは当事者間に争いがない。証拠(甲35,37の1ないし3,38,乙24の1及び2,25の1ないし3,26の1及び2,27ないし29,30の1及び2,31ないし35,39,証人B,同C,第1事件被告)及び弁論の全趣旨によれば,B税理士及びCは,原告等8社の業務を行う際,出金伝票に対応する請求書がない場合,会計伝票と仕訳帳が異なる場合,勘定科目の振り分けが適切かどうか疑問である場合等には,原告代表者に対し,請求書等の提出を求めたが,原告代表者は,原告で行っている処理は適正であるとして,必ずしもこの提出要求に応じるとは限らなかったため,B税理士及びCにおいて内容の正否を確認できないこともしばしば生じたこと,そのようなときには,原告の入力し,,たデータを訂正する根拠がないため適正か否かが不明な場合であっても,,入力されたデータのままにしておかざるを得なかったこと原告代表者はB税理士及びCに対し,原告等8社相互の取引については請求書は存在し- 48 -ない旨述べて,これら請求書を見せなかったことが認められ,これらの事実に照らすと,第1事件被告の行った処理の中に原告が主張する問題点が,,,存在したとしてもそれは原告から提出された資料が不十分でありまた原告が資料提供に協力しなかったためである可能性が高いというべきであるから,第1事件被告の義務違反であるということはできない。 カ⑦については,原告は,D事務所と税務顧問契約を締結していた当時から管理費を雑収入として計上しており,長年にわたる金融機関担当者からの再三の指摘にも変更の必要を認めていな ということはできない。 カ⑦については,原告は,D事務所と税務顧問契約を締結していた当時から管理費を雑収入として計上しており,長年にわたる金融機関担当者からの再三の指摘にも変更の必要を認めていなかったこと,第1事件被告は,管理費収入は本業から上がる収入ではないので,雑収入として計上することにも理由があると判断したこと,原告代表者が営業赤字が問題であると認識するようになったのは,原告等8社の合併に関し,投資育成会社と協議するようになった中で会計書類の整備不十分を指摘された後のことであったことは,前記1で認定したとおりである。 これらの事情に照らせば,管理費を雑収入として計上していることを改めるよう指摘するべき義務があったのに第1事件被告がこれに違反したと評価することはできない。 キ⑧については,証拠(乙33)及び弁論の全趣旨によれば,B税理士及びCは,新規加入分の保険については,保険加入初年度に,経理処理等を確認する際,保険証券を確認し,保険会社に資産計上積立額と損金経理部分の処理を確認して,正しく計上した上で,原告等8社に対し,次年度以降は第1事件被告において訂正したとおりの仕訳で会計ソフトに入力するよう指導したが,原告等8社がこれに従わなかったこと,B税理士及びCも,次年度以降は,指導どおりに計上されているものと考えてチェックをしなかったことが認められ,B税理士及びCのチェックが万全ではなかったということができる。 ク⑪については,原告代表者の陳述書(甲66)には「勝手に特別償却,- 49 -。」,。 を行った旨記載されており原告の主張とも異なる内容となっているこの点は置くとしても,証拠(甲34の1ないし3,乙33)によれば,B税理士及びCが,原告代表者に対し,平成12年8月にマミー商事が購,,入した水洗機1 り原告の主張とも異なる内容となっているこの点は置くとしても,証拠(甲34の1ないし3,乙33)によれば,B税理士及びCが,原告代表者に対し,平成12年8月にマミー商事が購,,入した水洗機1台の特別償却を行うか否か確認したところ原告代表者が当期マミー商事が赤字であったため,これ以上赤字を増やさないため特別償却をしないとの判断をしたことが認められることからすれば,特別償却がされなかったとしても,第1事件被告の義務違反であるということはできない。 ケ以上のとおり,第1事件被告の業務には,不適切な部分も存在するが,その原因として,原告代表者の非協力があったことも指摘することができる。 また,原告等8社の意思決定は,事実上原告代表者一人が行っており,B税理士及びCとのやり取りもすべて原告代表者において行い,B税理士及びCから確認を求められた事項についてはすべて原告代表者が確認し,自ら内容を把握していたところ,原告代表者は,平成15年ころまで,第1事件被告の行う業務を何ら問題視しておらず,疑問を呈したり,助言を求めたりすることは一度もなかったことは,前記認定のとおりである。 これらの事情を併せ考えると,第1事件被告としては,原告等8社から提出された資料を基にできる範囲での業務を行っていたと認めることができ,第1事件被告が,報酬を支払うべき対価性のある業務を行ったとはいえない旨の原告の主張は,採用することができない。 争点( )(第1事件被告の記帳代行報酬請求権等の有無)について ( )原告等8社は,本件各税務顧問契約に基づき,第1事件被告に対し,別 紙3記載のとおりの記帳代行報酬,決算料,税務調査立会報酬,法人税修正申告書作成料及び消費税修正申告書作成料を支払うことになっていたが,現在に至るまでこれらを支払っていないことは,当 に対し,別 紙3記載のとおりの記帳代行報酬,決算料,税務調査立会報酬,法人税修正申告書作成料及び消費税修正申告書作成料を支払うことになっていたが,現在に至るまでこれらを支払っていないことは,当事者間に争いがない。 - 50 -( )まず,原告及び第3事件被告は,第1事件被告が報酬に値する業務を行 っていなかった旨主張する。しかし,第1事件被告の業務が報酬に値しなかったと評価することができないことは前記4( )のとおりである。 ( )また,原告及び第3事件被告は,第1事件被告が,平成16年3月15 日ころ,同日以後発生する報酬を放棄した旨主張する。しかし,第1事件被告は,同日ころ,原告代表者から,本件各税務顧問契約に基づき支払った顧問料の返還を求められたのに対し,これを拒否した上で,本件各税務顧問契約の継続を前提に,将来発生する報酬を減額することで対応したい旨提案し,,たにすぎないことは前記1( )オで認定したとおりであり第1事件被告が 過去に受領した顧問料の半額の返還を申し出たり,同日以降発生する報酬を放棄した事実は認められない。 ( )さらに,原告及び第3事件被告は,第1事件被告の本件請求は信義則に 違反する旨主張する。しかし,第1事件被告の業務が報酬に値しなかったと評価することはできないことは前記( )のとおりであり,その他,前記1な いし4で認定した本件全事情に照らしても,第1事件被告の報酬請求が信義則違反であると評価するべき事情は認められない。 ( )よって,原告等7社は,第1事件被告に対し,それぞれ本件各税務顧問 契約に基づき,別紙3記載①ないし⑦,⑨ないし⑪の合計578万1300円及びこれに対する支払期限後である平成17年6月23日から支払済みま,,,で年5分の割合による遅延損害金を 税務顧問 契約に基づき,別紙3記載①ないし⑦,⑨ないし⑪の合計578万1300円及びこれに対する支払期限後である平成17年6月23日から支払済みま,,,で年5分の割合による遅延損害金を第3事件被告は第1事件被告に対し同様に,別紙3記載⑧の55万4400円及びこれに対する支払期限後である平成17年6月23日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を,それぞれ支払う義務を負う。 原告による債権債務の承継原告が,原告等7社を合併し,その債権債務を承継したことは当事者間に争いがない。 - 51 -第4 結論 よって,原告の本訴請求(第1事件)は,本件各税務顧問契約の債務不履行に基づく損害賠償として,前記2( )の1570万円及び3( )の1060万4 820円の合計2630万4820円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日である平成17年8月10日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却し,第1事件被告の反訴請求(第2事件)及び第3事件の請求は全部理由があるから認容する。 山形地方裁判所鶴岡支部裁判長裁判官横山巌裁判官武宮英子は填補のため,同藤原典子は転官のため,署名押印することができない。 裁判長裁判官横山巌- 52 -

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る