平成25(ワ)561 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成26年7月10日 広島地方裁判所
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判決文本文8,840 文字)

主文 1 被告は,原告Aに対し,55万円及びこれに対する平成21年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告は,原告Bに対し,110万円及びこれに対する平成21年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告Cに対し,165万円及びこれに対する平成21年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は,これを5分し,その4を原告らの負担とし,その余を被告の負担とする。 6 この判決は,1項ないし3項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,原告Aに対し,550万円及びこれに対する平成21年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告は,原告Bに対し,550万円及びこれに対する平成21年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告Cに対し,550万円及びこれに対する平成21年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,被告の従業員であり,労働組合である原告Bの幹部であった原告Cが,平成21年4月1日に被告から命じられた人事異動(以下「本件人事異動」という。)は,不当労働行為に当たるなどとして,原告らが,被告に対し,不法行為に基づき,損害賠償金各550万円及び同日(不法行為日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 第3 前提となる事実(争いのない事実及び証拠により容易に認められる事実) 1 当事者等(1) 被告についてア平成19年10月1日,D公社の民営分社化に伴って,E株式会社が設立 第3 前提となる事実(争いのない事実及び証拠により容易に認められる事実) 1 当事者等(1) 被告についてア平成19年10月1日,D公社の民営分社化に伴って,E株式会社が設立された。 E株式会社は,郵便等の業務を行っていたところ,その中国支社の管内には,a支店,b支店,c支店(以下,これらの支店については,単に支店名だけで表記する。)等の支店が存在していた。 イ被告は,同じくD公社の民営分社化に伴って設立された株式会社(当時の商号はF株式会社)であるところ,平成24年10月1日,E株式会社を吸収合併した上,現商号に改称した(以下,組織及び商号変更の前後を通じて被告と呼称する。)。 (2) 原告らについてア原告Aは,平成24年8月26日付けで,A2とA3とが,組織統一してできた労働組合である。 イ A2は,A1の下部組織として,被告の中国支社管内の支店及びF株式会社中国支社管内の郵便局等の従業員で組織された労働組合であった。 ウ原告Bは,c支店及びF株式会社c郵便局に勤務する原告Aの組合員によって組織された労働組合である。 エ原告Cは,昭和55年3月,郵政省c郵便局に臨時雇いとして採用され,昭和58年2月に正規職員となった。 郵政省c郵便局は,その後名称及び組織に変更があったが,原告Cは,本件人事異動を受けるまでの間,一貫して同郵便局ないし支店で郵便物の配達業務に従事していた。 オ原告Cは,平成2年,原告Aの前身となる労働組合に加入し,平成17年7月,A1c支部の書記長に就任し,平成21年6月29日まで務めた。 2 本件人事異動等について (1) 被告のb支店長は,原告Cに対し,平成21年4月1日付けで,c支店郵便課主任からb支店第二集配課主任への異動を命じた(本件人事異動)。 で務めた。 2 本件人事異動等について (1) 被告のb支店長は,原告Cに対し,平成21年4月1日付けで,c支店郵便課主任からb支店第二集配課主任への異動を命じた(本件人事異動)。 (2) 原告らは,同年7月8日,広島県労働委員会に対し,本件人事異動が不当労働行為であるとして,被告等を被申立人として救済を申し立てたところ(以下「本件救済申立て」という。),同委員会は,平成23年1月7日,被告に対し,本件人事異動をなかったものとして原告Cを原職に復帰させること等を命じた。(甲1)(3) 被告は,広島地方裁判所に対し,広島県を被告として前記(2)の救済命令の取消しを求める訴訟を提起し,原告らは,同訴訟に補助参加した。 (4) 広島地方裁判所は,平成24年9月26日,前記(3)の訴訟について,請求棄却の判決を言い渡した。 これに対し,被告は,広島高等裁判所に対し,控訴を提起したが,平成25年3月15日,同裁判所は控訴棄却の判決を言い渡し,同判決は,その後確定した(以下,前記(3)の第一審と合わせて「本件前訴」という。)。 (5) 原告Cは,平成25年5月11日,c支店に復帰し,同月13日から同支店において勤務している。 第4 争点及びこれに対する当事者の主張 1 本件人事異動の不当労働行為性の有無(原告らの主張)原告Bは,残業手当の不払問題や非正規社員の待遇改善等に取り組み,支部長であったG及び原告Cが中心となって活動を行ってきた結果,職場労働者からの一定の信任を得られるようになってきていた。 これに対し危惧感を募らせた被告は,Gに対し,平成18年4月1日付けで他局への転任を命じた。 そのため,その後は原告Cが中心となって窓口交渉等により従前の取組みを続けるとともに,Gの配転について不当労働行為救済を申し立てる 被告は,Gに対し,平成18年4月1日付けで他局への転任を命じた。 そのため,その後は原告Cが中心となって窓口交渉等により従前の取組みを続けるとともに,Gの配転について不当労働行為救済を申し立てるなどの対応 を行っていたところ,平成20年1月22日に,遅くとも平成21年4月までにGをc支店の原職相当職に異動させる旨の和解が成立した。 しかるに,被告は,同年4月1日付けでGに対し原職相当職へ転任させる旨命じるのと同時に,原告Cに対し,本件人事異動を行ったものである。 したがって,本件人事異動は,原告Cが正当な組合活動をしたことを理由としてなされたものであり,労働組合法7条1号の不利益取扱いに該当するとともに,原告らの労働活動を減退させ,その弱体化を図る意図に基づいてなされたものであり,同条3号の支配介入に当たる。そして,かかる被告の違法行為は,原告らに対する故意の不法行為となる。 (被告の主張)本件人事異動は,c支店の過員を解消し,b支店の欠員を補充する等の被告における業務上の必要性に基づいて行われたものであり,その人選も選考基準に基づく合理的なものであった。 また,被告のb支店支店長は,本件人事異動当時,原告Bの取組みを認識しておらず,Gは当時被告とは別会社であったF株式会社に所属していたものであり,被告においてはその人事情報を知り得なかったし,原告Bにおける原告Cの役割も認識していなかったこと等からすれば,原告が主張する事情を理由として本件人事異動を行ったものではない。 したがって,本件人事異動は,不当労働行為には該当せず,したがって原告らに対する不法行為にも当たらない。 2 原告らの損害の有無及び額(原告らの主張)(1) 原告Cの損害原告Cは,本件人事異動により,原告Bの書記長や窓口担当正委員としての したがって原告らに対する不法行為にも当たらない。 2 原告らの損害の有無及び額(原告らの主張)(1) 原告Cの損害原告Cは,本件人事異動により,原告Bの書記長や窓口担当正委員としての活動ができなくなった上,本件救済申立てやその後の本件前訴への対応を余儀なくされ,多くの時間,休暇,費用を費やした。 また,長年にわたり精勤してきた支店から,希望もしていない他支店への異動となり,職場の人間関係や通配業務についても新たな対応を余儀なくされた。 これらのことにより,原告Cが被った精神的苦痛その他の無形の損害を金銭に評価すると500万円を下らない。 また,上記原告Cの損害に関し,被告に負担させるべき弁護士費用は50万円が相当である。 (2) 原告Bの損害本件人事異動により,書記長であり,余人をもって代え難い人材であった原告Cが職場から放逐されたことから,原告Bにおいては,毎月開催していた支部執行委員会の開催が停滞し,組合員の統括や広報活動を十分に行うことができなくなった上,従前は即時に対応していた非正規社員からの相談に対応することが難しくなるなどの,組織運営上の支障が生じたほか,支店側への要求書が提出できなくなり,窓口交渉回数が大幅に減少するなど,使用者との交渉力も低下した。 また,本件救済申立て及び本件前訴への対応にも多くの時間及び労力を費やした。 さらに,本件人事異動は職場に勤務する他の従業員(非正規社員も含む。)にも広く知られたため,それまで原告Bの活動に期待したり賛同していた多くの従業員らの期待と信望は低下し,原告B組合員においても,威圧,心理的影響を否定し難く,原告Bの存立に重大な影響が及んでいる。 これらの事情により原告Bが被った有形,無形の損害を金銭に評価すると500万円を下らない。 また,上 原告B組合員においても,威圧,心理的影響を否定し難く,原告Bの存立に重大な影響が及んでいる。 これらの事情により原告Bが被った有形,無形の損害を金銭に評価すると500万円を下らない。 また,上記原告Bの損害に関し,被告に負担させるべき弁護士費用は50万円が相当である。 (3) 原告Aの損害 本件人事異動は,原告Aの他の組合員に対しても心理的影響を与えており,原告Aの存立にも重大な影響を及ぼしている。 また,本件救済申立て及び本件前訴への対応は,少人数の原告Bのみでは困難であったことから,原告Aも多くの時間,労力,費用を割くこととなった。 これらの事情により原告Aが被った有形,無形の損害を金銭に評価すると500万円を下らない。 また,上記原告Aの損害に関し,被告に負担させるべき弁護士費用は50万円が相当である。 (被告の主張)(1) 原告Cの損害について原告Cは,本件人事異動によりb支店に異動した後も,原告Bの執行委員会に参加しており,原告Aの役職について原告Bに係る活動を続けていた。 また,b支店が集配を受け持つ地域の一部はかつてc支店が受け持っていたことからすれば,集配業務につき新たな対応を要したとは考え難く,担当業務そのものは変更がなく,通勤時間もほとんど変わらなかった上,給与額は本件人事異動によりむしろ増加したから,本件人事異動により原告Cが不利益を受けたとはいえない。 さらに,c郵便局局長及び副局長は,原告Cの復帰時に同原告に対し謝罪しており,これにより同原告の精神的苦痛は既に慰謝されている。 (2) 原告Bの損害について本件人事異動後においても,原告Bの執行委員会は開催されていたし,他の組合員により窓口交渉も行われていた上,仮に原告Bの活動が減少していたとしても,それは本件人事異動によるも 原告Bの損害について本件人事異動後においても,原告Bの執行委員会は開催されていたし,他の組合員により窓口交渉も行われていた上,仮に原告Bの活動が減少していたとしても,それは本件人事異動によるものではなく,他の組合員が休職ないし退職したことによるものと考えられるから,原告Bに本件人事異動による損害が生じたとは認められない。 (3) 原告Aの損害について原告Aの存立に対し本件人事異動が影響したとの原告Aの主張は,抽象的かつ漠然としていて影響の内容及び程度が不明であるし,本件救済申立てや本件前訴に原告Aがどの程度関与していたのかも不明である。 第5 当裁判所の判断 1 争点1(本件人事異動の不当労働行為性の有無)について証拠(甲1ないし甲13,15ないし60,63,64,68,乙1ないし4,7ないし14,21,22,26,27,29,32ないし37,証人G,原告C)及び弁論の全趣旨によれば,本件人事異動当時,c支店における過員及びb支店における欠員の解消の必要性が高かったとは認め難く,その他本件人事異動の業務上の必要性が高かったことを認めるに足りる証拠はないこと,本件人事異動の際に適用されたとされる選考基準が文書化されていないことからすれば,同基準が予め明確に定められていたかどうかについては疑問が残る上,その内容,特にc支店連続勤務20年以上の社員であるとの基準を設けていた点については,合理的なものであったとはいい難いこと,b支店の支店長は,原告B及び原告Cの組合活動の内容を相当程度認識していたものと認められること等からすれば,本件人事異動は,原告Cが正当な組合活動をしたことを理由に,原告Bの組合活動を抑制する効果を狙ってなされたものであると推認するのが相当であり,その他被告がるる主張する点は,上記認定を左右するも ば,本件人事異動は,原告Cが正当な組合活動をしたことを理由に,原告Bの組合活動を抑制する効果を狙ってなされたものであると推認するのが相当であり,その他被告がるる主張する点は,上記認定を左右するものではない。 そして,かかる本件人事異動は,原告らに対する不当労働行為に当たるとともに,原告らの権利を侵害する不法行為に該当するものというべきであり,被告はこれにより原告らに生じた損害を賠償すべき責任を負うものというべきである。 2 争点2(原告らの損害の有無及び額)について(1) 後掲各証拠(枝番があるものはいずれも枝番を含む。)及び弁論の全趣旨 によれば,以下の各事実が認められる。 ア原告Bは,郵政公社の民営,分社化以前から,残業手当の不払問題や非正規社員の待遇改善に取り組んでいた。 原告Bとc支店との平成15年12月以降の交渉を経て,平成20年4月頃,c支店の従業員に対し,残業手当の未払い分相当額が支払われた。 (甲1ないし3,5,51,証人G,原告C)イ Gは,郵政公社c郵便局で勤務し,平成5年9月から原告Bの支部長の地位にあったが,平成18年4月1日付けで,同郵便局からd郵便局への異動を命じられた。 これに対し,原告A,原告B及びGが中央労働委員会へ救済を申し立て,また,裁判所においてもこれを争ったところ,平成20年1月22日,同人らとF株式会社等との間で,同人らがGを遅くとも平成21年4月までに原職へ復帰させることを要望していたこと,F株式会社等が職員の異動については今後とも適切に実施していくと回答したことを確認した上,これに係る紛争を解決し,正常かつ良好な労使関係の確立に努力すること等を内容とした和解が成立した。 これを受けて,Gは,本件人事異動が命じられた日と同じ日である同月1日付けで,F株式会社c郵便 ,これに係る紛争を解決し,正常かつ良好な労使関係の確立に努力すること等を内容とした和解が成立した。 これを受けて,Gは,本件人事異動が命じられた日と同じ日である同月1日付けで,F株式会社c郵便局への異動を命じられた。(甲1ないし5,51,証人G,原告C)ウ原告Cは,前記前提となる事実1(2)オのとおり,原告Bの書記長を務めており,原告Bの執行委員会において,議題の決定や資料の作成などを行い,Gと役割分担をしながらc支部の運営を中心的に行っていた。 また,原告Cは,平成17年から平成21年3月末まで窓口担当正委員を務め,1か月に数回程度c支店との間で窓口交渉を行っていた。 前記イのとおり,Gが平成18年4月に異動となった後は,Hが支部長となったが,同人の役員経験が浅かったこともあり,原告Cが主となって 原告Bの運営が行われることとなった。 原告Cは,これらの組合活動にやりがいを感じ,意欲的に取り組んでいた。(甲1ないし3,5,28,46,52,53,58,証人G,原告C)エ原告Cは,平成21年1月頃,現職務を引き続き希望し,現勤務地を離れたくない旨等の職務に関する希望等を記載した社員申告書をc支店に提出していた。 また,同年2月24日に実施された同支店郵便課課長との面談において,原告Cは,転勤できない理由について,長年の勤務経験や利用者とのつながりが無駄になってしまう,組合役員をしているから異動できないなどと答えていた。(甲1ないし3,7,原告C)オ原告Cは,同年4月1日付けでb支店に異動した(本件人事異動)。 本件人事異動によっても,原告Cの担当職務に変更はなく,転居も要せず通勤時間にも大きな変化はなかったし,給与は微増した。(甲1ないし3,原告C)カ原告Cは,本件人事異動の後も,6回にわたり原 本件人事異動によっても,原告Cの担当職務に変更はなく,転居も要せず通勤時間にも大きな変化はなかったし,給与は微増した。(甲1ないし3,原告C)カ原告Cは,本件人事異動の後も,6回にわたり原告Bの支部執行委員会に出席した。 もっとも,原告Cは,本件人事異動によりc支店を離れたことから,同支店の従業員から相談を受けることもなくなり,同支店の職場の問題に取り組むことは困難となった。また,c支店からは,原告Cが窓口交渉の担当となることを拒否された。 なお,原告Cの本件人事異動の直後である同年6月当時の原告Bの組合員数は,8名であった。(甲1ないし3,原告C)キ原告Bとc支店との間の窓口交渉は,原告Cが担当していた平成20年7月末から平成21年3月末までの間は概ね毎月2回以上行われていたが,原告Cが担当から外れた同年7月から同年10月16日までの間は毎月1 回行われるにとどまった。 また,原告Bの支部執行委員会は,原告Cが書記長を務めていた平成20年7月から平成21年6月までの間は概ね毎月1回以上開催されていたが,原告Cが書記長を解任された同月29日から同年10月16日までの間は合計3回開催されるにとどまった。(甲1ないし3,10ないし13,証人G,原告C)クさらに,原告らは,本件人事異動に対抗するため,本件救済申立てを行い,その後の本件前訴に補助参加したことから,多数回にわたる打ち合わせを行ったり,期日に担当者が出席するなど,その訴訟活動等にも多くの時間,労力,費用を費やした。 なお,本件救済申立て及び本件前訴に係る弁護士費用は,原告Aが負担した。(甲71ないし73,証人G,原告C)(2) 前記(1)の各事実,とりわけ,原告Cにおいて,平成18年4月のGの異動の後,原告Bの中心となって支部の運営を行い, る弁護士費用は,原告Aが負担した。(甲71ないし73,証人G,原告C)(2) 前記(1)の各事実,とりわけ,原告Cにおいて,平成18年4月のGの異動の後,原告Bの中心となって支部の運営を行い,c支店との交渉に努めていたこと,原告C自身,これらの組合活動にやりがいを感じていたこと,それにもかかわらず本件人事異動により,組合活動への参加を制約されることとなった上,本件救済申立てや本件前訴への対応を余儀なくされ,時間や労力,費用を費やしたこと,原告Cが原職に復帰するまでの期間は4年余りもの長期間に及んだこと等の事実が認められる一方で,本件人事異動によっても,原告Cの担当職務に変更はなく,通勤時間や給与等の待遇面における不利益は特段生じなかったこと等に照らせば,本件人事異動により原告Cが被った精神的苦痛やその他の無形の損害を金銭に換算すると,その額は150万円を下らないものというべきである。 (3) また,前記(1)のとおり,原告Bは少人数の労働組合であった上,本件人事異動により,中心となって活動していた原告Cの活動が制約されたことから,原告Bにおいても,それ以前に比べて活動が減退したものと認められる こと,原告A及び原告Bも本件救済申立て及び本件前訴への対応を行わなければならなくなり,原告Aにおいてはその弁護士費用を負担したこと,これらの対応を行った期間は約4年間もの長期に及んだことが認められる上,前記(1)の本件人事異動の経緯,特に,Gの異動に引き続き,原告Cに対する本件人事異動が行われたことに照らせば,本件人事異動は,原告B及び原告Aの他の組合員に対しても,原告Bないし原告Aにおける組合活動を積極的に行えば,被告から意に沿わない人事異動を命じられるかもしれないとの萎縮効果を生じさせるものであったことは否定できず,これに 原告Aの他の組合員に対しても,原告Bないし原告Aにおける組合活動を積極的に行えば,被告から意に沿わない人事異動を命じられるかもしれないとの萎縮効果を生じさせるものであったことは否定できず,これによる組合活動への影響も決して軽視し得るものではないというべきである。 これらの事情を考慮して,本件人事異動により原告B及び原告Aが被った有形,無形の損害を金銭に評価すると,原告Bについては100万円,原告Aについては50万円をそれぞれ認めるのが相当である。 (4) 本件の訴訟経過,認容額等に照らせば,原告らが負担する弁護士費用のうち,原告Cにつき15万円,原告Bにつき10万円,原告Aにつき5万円を,本件人事異動と相当因果関係のある損害としてそれぞれ認めるのが相当である。 第6 結論以上によれば,原告らの請求は主文1項ないし3項の限度で理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 広島地方裁判所民事第1部 裁判官岡部絵理子

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