昭和47(あ)248 業務上過失傷害

裁判年月日・裁判所
昭和47年11月16日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻 名古屋高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。          理    由  弁護人桜川玄陽の上告趣意は、単なる法令違反、事実誤認の主張であつて、いず れ

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判決文本文2,534 文字)

主文 原判決を破棄する。 本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。 理由 弁護人桜川玄陽の上告趣意は、単なる法令違反、事実誤認の主張であつて、いずれも刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。 しかし、所論にかんがみ、職権で調査するに、第一審裁判所は、「被告人は、自動車運転の業務に従事するものであるが、昭和四四年一〇月一日午前三時四〇分頃大型貨物自動車を運転し時速約六〇粁で碧海郡a町大字b字cd番地先国道一号線を西進中、前方を同方向に進行していたA運転の大型貨物自動車を追い抜きしようとした際、そのころ反対方向からB運転の大型貨物自動車が対面進行中であり、同車ともすれ違いをする状況になつたのであるが、このように三車両が一度にすれ違いをすることは各車両の間隔がすれすれであつて、危険であるから追い抜きを差し控え事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があるのに、敢えて同速度のまま前記A車両を追い抜いた過失により、その追い抜き直後、前方に近迫していたB車両とすれ違いをするにあたり、危険を感じて左転把し、自車の後半部をセンターラインの右側にはみ出してB車両の右前部に接触させて同人に運転を誤らせて右側に暴走するに至らしめ、折りから反対方向(東方)から対面進行して来たC運転の大型貨物自動車の右側部にB車の前部を衝突させて同人に加療約一〇日間を要する顔面、右膝挫傷等を与え、更に同車の後方に追従していたD運転の大型貨物自動車の右側にもB車前部を衝突させて、同人に加療約二週間を要する胸部等挫傷を与え、同車に同乗していたEに加療一〇日間を要する左前腕挫傷、左足挫傷の各傷害を与えたものである。」との事実を認定して被告人に有罪の判決を言い渡したところ、右過失の認定を争う被告人の控訴に対し、原審は、右第一審判決の認 いたEに加療一〇日間を要する左前腕挫傷、左足挫傷の各傷害を与えたものである。」との事実を認定して被告人に有罪の判決を言い渡したところ、右過失の認定を争う被告人の控訴に対し、原審は、右第一審判決の認定判断を- 1 -維持是認して右控訴を棄却する判決を言い渡した。 しかし、原判決の判示するところによれば、本件事故現場付近の前示国道一号線は、総幅員一三・六米、走行車線(路肩寄り)幅員各三・六米、追越し車線(センターライン寄り)幅員各三・二米、片側二車線都合四車線の道路であつて、被告人は、大型貨物自動車(車幅二・四九米、車長一〇・五八米、積載定量一〇屯、以下「被告人車両」という。)を運転し、本件事故現場付近の道路の追越し車線に入つて西進し、走行車線を先行するA運転の大型貨物自動車(車幅約二・五米、車長約一一米、積載定量一一屯)を追い抜こうとしたところ、反対方向からB運転の大型貨物自動車(車幅二・四九米、車長一〇・五〇米、積載定量一一・五屯、以下「B車両」という。)が対進してきたというのであるから、以上の各車両がそれぞれ自己の進行車線を走行すれば、特別の事情のない限り、互に接触する危険はない筈である。ところで、原判決は、被告人は、センターライン一杯に追越し車線を時速約六〇粁で走行し、A運転の車両を被告人車両の半分位追い抜いたとき、同じくセンターライン寄りを走行して来たB車両とすれ違いをする際、同車との接触衝突の危険を感じて左に転把し、そのため被告人車両の荷台後部をセンターラインの右側に(被告人車両の進行方向に向つて)少しくはみ出させて、B車両の右前部に接触させた旨判示しているが、原判決は、一方被告人車両との本件接触事故により、被告人車両は、その前部右側バツクミラーが破損し、右側後輪タイヤの外側に約一〇センチメートルの亀裂を生じ、中のチユーブ に接触させた旨判示しているが、原判決は、一方被告人車両との本件接触事故により、被告人車両は、その前部右側バツクミラーが破損し、右側後輪タイヤの外側に約一〇センチメートルの亀裂を生じ、中のチユーブが覗かれ、同後輪のホイルリム部が曲損していることが認められる旨判示しているのである。そうすると、原判決の認定する事実を前提とすれば、被告人車両とB車両との接触は、両車両が対進中、まず被告人車両の前部右側バツクミラーがB車両と接触し、次いで被告人車両の荷台後部がB車両の右前部と接触衝突したものと解せざるを得ない。何となれば、被告人が自車を左転把して自車荷台後部をセンターラインの右側にはみ出させたため、被告- 2 -人車両の荷台後部がB車両の右前部と接触衝突したものならば、それ以前に自車前部右側バツクミラーが破損することは、特段の事情がない限り考えられない。被告人もしくはBに当時前方注視義務違反があつたとか、被告人車両またはB車両のいずれか一方が、何んらかの事情により、突然センターラインを越えて相手車両の進行車線内に進入したとかいう特別の事情でもない限り、原判決の説示する両車両が当時センターライン寄りを対進接近中であつたという事実のみをもつてしては、直ちに、被告人車両の前部右側バツクミラーの破損を合理的に説明できる特段の事情とはなしがたいものといわなくてはならない。してみると、原判決および第一審判決は、右特段の事情のあることを何んら確定していないことに帰し、被告人が左転把したため被告人車両がB車両と接触した旨の第一審判決をたやすく是認した原判決は、事実の認定を誤つた疑いがあり、これを破棄しなければ著しく正義に反するものと認むべきである。 よつて、刑訴法四一一条三号により、原判決を破棄し、更に審理させるため、同法四一三条本文により、本件を原裁判 の認定を誤つた疑いがあり、これを破棄しなければ著しく正義に反するものと認むべきである。 よつて、刑訴法四一一条三号により、原判決を破棄し、更に審理させるため、同法四一三条本文により、本件を原裁判所である名古屋高等裁判所に差し戻すこととし、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 検察官蒲原大輔公判出席昭和四七年一一月一六日最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官岩田誠裁判官大隅健一郎裁判官藤林益三裁判官下田武三裁判官岸盛一- 3 -

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