平成12年(行ケ)第367号特許取消決定取消請求事件(平成13年3月5日口頭弁論終結)判決原告日東電工株式会社代表者代表取締役 A訴訟代理人弁理士杉谷勉被告特許庁長官 B指定代理人 C同 D同 E同 F被告補助参加人リンテック株式会社代表者代表取締役 G訴訟代理人弁理士鈴木俊一郎同牧村浩次同鈴木亨同八本佳子 主文 特許庁が平成11年異議第73696号事件について平成12年8月3日にした決定を取り消す。 訴訟費用中、補助参加によって生じた部分は被告補助参加人の負担とし、その余は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 原告主文と同旨 2 被告原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 第2 当事者間に争いのない事実 1 特許庁における手続の経緯(1) 原告は、平成3年8月29日に特許出願(以下「本件特許出願」という。)され、平成11年1月22日に設定登録された、名称を「半導体ウエハの処理方法」とする特許第2877997号発明(以下、この特許を「本件特許」といい、この発明を「本件発明」という。)の特許権者である。 三井化学株式会社は平成 登録された、名称を「半導体ウエハの処理方法」とする特許第2877997号発明(以下、この特許を「本件特許」といい、この発明を「本件発明」という。)の特許権者である。 三井化学株式会社は平成11年9月27日、被告補助参加人は同年10月4日、それぞれ本件特許につき特許異議の申立てをし、同各申立ては、平成11年異議第73696号事件として特許庁に係属したところ、原告は、平成12年4月13日、明細書の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の各記載を訂正する旨の訂正請求をした。 特許庁は、同特許異議の申立てにつき審理した上、同年8月3日に「特許第2877997号の特許を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)をし、その謄本は、同年9月4日、原告に送達された。 (2) 原告は、平成12年9月29日、本件決定の取消しを求める本件訴えを提起した後、同年10月31日、本件明細書の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の各記載を訂正する旨の訂正審判の請求をしたところ、特許庁は、同請求を訂正2000-39132号事件として審理した上、平成13年1月23日、上記訂正を認める旨の審決(以下「訂正審決」といい、訂正審決に係る訂正を「本件訂正」という。)をし、その謄本は、同年2月7日、原告に送達された。 2 本件訂正前の特許請求の範囲の記載半導体ウエハの表面に保護粘着テ-プを貼付けて裏面を切削・研磨するバックグラインド工程と、バックグラインドされた半導体ウエハの裏面に粘着テープを貼付けてリング状のフレームにマウントし、前記マウントされた半導体ウエハをカッティングして個々の素子を分断するダイシング工程とを順に処理していく半導体ウエハの処理方法において、前記ダイシング工程で半導体ウエハの裏面に粘着テープを貼付けてリング状のフレ-ムにマ をカッティングして個々の素子を分断するダイシング工程とを順に処理していく半導体ウエハの処理方法において、前記ダイシング工程で半導体ウエハの裏面に粘着テープを貼付けてリング状のフレ-ムにマウントした後に、前記バックグラインド工程で半導体ウエハの表面に貼付けられた前記保護粘着テープに剥離テープを貼付け、この剥離テープを介して前記保護粘着テープを剥離することを特徴とする半導体ウエハの処理方法。 3 本件訂正によって訂正された特許請求の範囲の記載(下線部が訂正個所である。)半導体ウエハの表面に保護粘着テ-プを貼付けて裏面を切削・研磨するバックグラインド工程と、バックグラインドされた半導体ウエハの裏面に粘着テープを貼付けてリング状のフレームにマウントし、前記マウントされた半導体ウエハをカッティングして個々の素子を分断するダイシング工程とを順に処理していく半導体ウエハの処理方法において、前記ダイシング工程で半導体ウエハの裏面に粘着テープを貼付けてリング状のフレ-ムにマウントした後に、前記粘着テープを介して半導体ウエハをリング状のフレームに支持したウエハマウントフレームを、前記リング状のフレームの下面に貼付けられた前記粘着テープの全体にまで及ぶ範囲の広さをもった吸着テーブル上に載置して、前記粘着テープを介してリング状のフレームにマウントされた半導体ウエハを吸着テーブル上に吸着保持した状態で、前記半導体ウエハの表面に貼付けられた前記保護粘着テープに剥離テープを貼付け、この剥離テープを介して前記保護粘着テープを剥離することを特徴とする半導体ウエハの処理方法。 4 本件決定の理由本件決定は、本件発明の要旨を本件訂正前の特許請求の範囲の記載のとおり認定した上、本件発明は、本件特許出願の日前の特許出願であって、本件特許 とする半導体ウエハの処理方法。 4 本件決定の理由本件決定は、本件発明の要旨を本件訂正前の特許請求の範囲の記載のとおり認定した上、本件発明は、本件特許出願の日前の特許出願であって、本件特許出願後に出願公開された特許出願である特願平3-156130号(以下「引用特許出願」という。)の願書に最初に添付した明細書及び図面に記載された発明と同一であり、かつ、本件発明の発明者が引用特許出願に係る発明の発明者と同一の者であるとも、引用特許出願の出願人が本件特許出願の出願時の出願人と同一の者であるとも認められないから、本件特許は、特許法29条の2の規定に違反してされたものであり、同法113条1項2号に該当するとした。 第3 当事者の主張 1 原告本件決定が、本件発明の要旨を本件訂正前の特許請求の範囲の記載のとおり認定した点は、訂正審決の確定により特許請求の範囲の記載が上記のとおり訂正されたため、誤りに帰したことになるので否認する。 本件決定が本件発明の要旨の認定を誤った瑕疵は、その結論に影響を及ぼすものであるから、本件決定は、違法として取り消されるべきである。 2 被告訂正審決の確定により特許請求の範囲の記載が上記のとおり訂正されたことは認める。 第4 当裁判所の判断訂正審決の確定により、特許請求の範囲の記載が上記のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく、この訂正によって、新たな構成要件が付加されたことにより、特許請求の範囲が減縮されたことは明らかである。 そうすると、本件決定が、本件発明の要旨を本件訂正前の特許請求の範囲の記載のとおりである旨認定したことは、結果的に誤りであったことに帰し、この要旨認定を前提として、本件発明が引用特許出願の願書に最初に添付した明細書及び図面に記載された発明と同一であると 請求の範囲の記載のとおりである旨認定したことは、結果的に誤りであったことに帰し、この要旨認定を前提として、本件発明が引用特許出願の願書に最初に添付した明細書及び図面に記載された発明と同一であると判断したことも、誤りであったものといわざるを得ない。そして、この誤りが本件決定の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、本件決定は、瑕疵があるものとして、取消しを免れない。 よって、原告の請求は理由があるから認容し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条、民事訴訟法66条、61条を適用して、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第13民事部裁判長裁判官篠原勝美裁判官石原直樹裁判官宮坂昌利
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