平成12(ネ)6382 各損害賠償請求控訴

裁判年月日・裁判所
平成13年12月25日 東京高等裁判所
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判決文本文5,231 文字)

(原審・宇都宮地方裁判所平成9年(ワ)第149号(甲事件),同11年(ワ)383号(乙事件)(原審言渡日平成12年11月15日)) 主文 1 本件控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。 2 上記取消部分にかかる被控訴人らの請求をいずれも棄却する。 第2 被控訴人らの請求控訴人は,被控訴人らに対し,別紙金員目録中「請求金額」欄記載の各金員及びこれらに対する平成5年12月18日から(ただし,被控訴人Vについては平成4年2月19日から)支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第3 事案の概要 1 本件は,控訴人により父牛を名牛である甲と宣伝されていた乙の雌子牛を購入した被控訴人らが,真実は乙の父牛は甲ではなく,購入した雌牛はいずれも甲の血統を受け継ぐものではなかったのであり,もしこの事実を知っていたならば,同雌牛を高額の金員を支払ってまで購入することはなかったと主張して,控訴人に対し,不法行為を理由とする損害賠償を求めた事案である。 2 原審裁判所は,被控訴人らの請求につき,別紙金員目録中「認容金額」欄記載の各金員及びこれらに対する遅延損害金の支払を求める限度において認容し,その余の請求をいずれも棄却した。 これに対し,控訴人のみがこれを不服として控訴したものである。 3 争いのない事実及び争点は,原判決「事実及び理由」欄第2「事案の概要」の1及び2(原判決4頁4行目から9頁15行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,被控訴人らの請求は,いずれも原判決の認容した限度において理由があると判断するものであるが,その理由は,2において当審における あるから,これを引用する。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,被控訴人らの請求は,いずれも原判決の認容した限度において理由があると判断するものであるが,その理由は,2において当審における控訴人の主張及びこれに対する判断を付加するほかは,原判決「事実及び理由」欄第3「当裁判所の判断」の1ないし3(原判決9頁17行目から20頁5行目まで)に説示するとおりであるから,これを引用する。 2 当審における控訴人の主張及びこれに対する判断(1) 不法行為の成否について控訴人は,原判決が,家畜改良事業団の血液型検査の結果により,控訴人において,甲と乙との親子関係が否定される可能性が相当程度あるとの認識を有していたと認定したことに関し,控訴人の関係職員は,当時,新たに導入された赤血球抗原の型を検査する検査方法のシステムや精度について正確な知識を有しておらず,親子関係矛盾の可能性について必ずしも十分な認識をもっていたわけではなく,また,乙を種雄牛として供用することは,和牛登録協会のA会長の昭和57年6月8日の指導に従った結果であり,当時の状況に照らし,控訴人がそれ以降,乙の精液の供給を停止せず,販売を継続したことには何ら過誤はなかった旨主張する。 しかし,甲及び乙に実施された血液型検査は,和牛登録協会が和牛の血液型検査方法を確立し,もって和牛の血統を正しく表示するために採用する予定の方法であったことは原判決の説示するとおりであり,このことに照らせば,上記検査の信頼性は一般的に認知されていたというべきであり,控訴人の関係職員が正確な知識や十分な認識を有していなかったということはできない。また,原判決の認定するとおり,予備調査の結果を受けた控訴人は,直ちに家畜改良事業団に再検査の依頼をし,その結果も両牛間の親子関係を否定する結論が出 十分な認識を有していなかったということはできない。また,原判決の認定するとおり,予備調査の結果を受けた控訴人は,直ちに家畜改良事業団に再検査の依頼をし,その結果も両牛間の親子関係を否定する結論が出され,控訴人の関係職員にその旨通知されたものであることからすれば,控訴人の上記主張は到底採用することができないし,A会長の上記指導に従ったとする控訴人の主張も単なる弁解にすぎず,控訴人の不法行為を肯定する原判決の結論を左右するものではない。 また,控訴人は,原判決が,乙の精液の販売を停止しないのであれば,甲と乙との親子関係が否定されることを告知することにより,畜産業界に相当程度の影響があることが予想されたとしても,控訴人には,甲と乙との親子関係が否定される可能性があることを告知するなどして,第三者に不足の損害を被らせないようにするようにする義務があると判示したことに関し,①乙の雌子牛及びその直系の繁殖牛は,平成8年度までに累計で4万2734頭が登録され,供用されており,控訴人が,乙の直系の子牛を購入する可能性のある第三者に,乙が甲の子ではない蓋然性を告知しながら乙の親牛を特定することができないことは,取りも直さず,その時点で供用されていた乙直系の繁殖牛の血統を否定し,それらの繁殖牛の供用が事実上不可能になり,和牛業界に甚大な損害をもたらすことになる,②乙の雌子牛を繁殖牛としていた生産農家は,子牛の購入価格に見合う高い繁殖成績を上げていたことは明らかであり,平成8年5月1日の乙の血統更正後も血統更正を因子とする乙の子牛価格の変動等はなく,第三者に不測の損害が生じていない旨主張する。 しかし,控訴人の上記主張は,もともと控訴人が「甲と乙の親子関係が否定される可能性があることを告知した場合の畜産業界に与える影響を考慮すべきである。」と主張した の損害が生じていない旨主張する。 しかし,控訴人の上記主張は,もともと控訴人が「甲と乙の親子関係が否定される可能性があることを告知した場合の畜産業界に与える影響を考慮すべきである。」と主張したのに対し,同主張を排斥した原判決の説示部分(原判決16頁)について再度反論するものであるところ,そもそも甲と乙の親子関係の存否について,真実を告知することによる畜産業界への影響を主張するならば,真実を伝えずに誤った情報を告知することによる悪影響を憂慮こそすべきであって,この点に関する控訴人の主張は,到底採用できない主張というべく,控訴人が自ら両牛の親子関係矛盾の蓋然性を知りながら,長期間にわたり,これを秘して乙の冷凍精液を販売し続けた結果,本件の被控訴人らが本件訴えを提起するような事態を生じさせ,かつ,後記のとおり,被控訴人らに対し現実にも損害を発生させたものであるから,控訴人の上記主張は,これらの原因を作出した控訴人の責任を否定する根拠となるものではない。 (2) 損害の有無及び原判決の損害額認定の誤りについて控訴人は,被控訴人らは,購入時の市場の相場の中で,乙の客観的能力と母牛の能力及び各子牛の形質等により適正に形成された価格に基づいて,乙の雌子牛を購入したのであり,乙の客観的価値は高く,このことは上記のとおり乙の血統更正後もその子牛価格に変動がなかったことからも明らかであって,そもそも被控訴人らに客観的な損害の発生はない旨主張する。 しかし,原判決挙示の各証拠から認められる原判決添付の価格変動表のとおり,乙の血統更正後の子牛価格に全く変動がなかったとはいえない上,市場において形成された乙の価格は,甲を父牛とすることが大きな要因を占めていたことは否定できず,乙の能力が優れていたことを考慮しても,血統が重視される和牛業界において 変動がなかったとはいえない上,市場において形成された乙の価格は,甲を父牛とすることが大きな要因を占めていたことは否定できず,乙の能力が優れていたことを考慮しても,血統が重視される和牛業界において,父牛が特定できない状態において同価格が形成されるとは認め難いこと,したがって,乙の父牛が甲であると信じて本件雌子牛を購入した被控訴人らに現実の損害が発生したと認めるべきであることは,いずれも原判決の説示するとおりであって,控訴人の上記主張は採用することができない。 また,控訴人は,上記主張を前提として,原判決には,損害の発生について,証拠に基づく適正な事実認定を行わないまま,損害額の認定について民事訴訟法248条を適用した違法があり,損害額についても,被控訴人らの購入価格の3割を相当とするなどという自由心証主義を逸脱した専恣かつ不合理な認定を行った違法がある旨主張する。 しかし,市場において形成された乙の価格について,甲を父牛とすることが大きな要因を占めていたと考えられることは前記のとおりであるが,本件全証拠によっても,乙が甲の子であるとされていたことにより形成された価格を具体的に認定することが極めて困難であることは,原判決の説示するとおりであり,また,乙の能力自体が優れていたと認められることも前記のとおりであるから,被控訴人ら主張のように,被控訴人らの本件購入価格と,購入当時の全雌牛の全国市場平均価格との差額をもって損害とするのも相当ではなく,結局のところ,原判決が損害額について同法248条を適用したことは正当として是認できる。また,上記のような乙自体の価値を考慮すれば,乙が甲の子でないとした場合には,被控訴人らの購入価格と購入当時の全雌牛の全国市場平均価格との間においてその価格が形成されたものというべきところ,甲第6号証の1ないし うな乙自体の価値を考慮すれば,乙が甲の子でないとした場合には,被控訴人らの購入価格と購入当時の全雌牛の全国市場平均価格との間においてその価格が形成されたものというべきところ,甲第6号証の1ないし4によれば,被控訴人らの購入時における全雌牛の全国市場平均価格は,被控訴人らの購入価格のおおむね5割程度(ただし,複数の購入がある場合には,それぞれの合計金額の比較による。)であると認められるから,乙が甲の子でないとした場合に形成されていたであろう価格は,これを上回るものであると認定できるのであり,以上の諸点を考慮して,本件の損害を被控訴人らの購入価格の3割相当と認定することが不当に高い損害額の認定ということはできない。 したがって,原判決の結論は相当であって,この点に関する控訴人の主張はいずれも採用することができない。 控訴人が当審で提出した乙第30,第31号証及び第34ないし36号証も,結局は乙自体の能力が高く,栃木県以外でも人気があったことを認めうる資料にすぎず,上記の判断及び結論を左右するものではない。 第4 結論以上によれば,被控訴人らの請求は,別紙金員目録中「認容金額」欄記載の各金員及びその遅延損害金の支払を求める限度において理由があり,この限度において被控訴人らの請求をいずれも認容した原判決は相当であって,本件控訴はいずれも理由がない。 よって,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第21民事部裁判長裁判官大和陽一郎 裁判官橋本昌純裁判官蓮井俊治金員目録請求金額認容金額 1 被控訴人B 46万3700円 治金員目録請求金額認容金額 1 被控訴人B 46万3700円 27万2600円 2 被控訴人C 78万5700円 64万8200円 3 被控訴人D 72万6600円 31万8800円 4 被控訴人E 37万0700円 26万1500円 5 被控訴人F 103万3000円 54万0200円 6 被控訴人G 65万5000円 34万8800円 7 被控訴人H 118万8600円 61万7300円 8 被控訴人I 140万3200円 108万0200円 9 被控訴人J 50万1000円 41万3000円 10 被控訴人K 74万8700円 49万6100円 11 被控訴人L 48万2900円 48万2900円 12 被控訴人M 46万9100円 27万5600円 13 被控訴人N 45万3100円 27万0800円 14 被控訴人O 56万3100円 30万3800円 15 被控訴人P 397万3000円 247万3100円 16 被控訴人Q 93万2300円 41万6300円 17 被控訴人R 63万8800円 29万5100円 18 被控訴人S 174万5200円 88万3100円 19 被控訴人T 70万1800円 31万4000円 20 被控訴人U 64万6200円 34万4000円 74万5200円 88万3100円 被控訴人T 70万1800円 31万4000円 被控訴人U 64万6200円 34万4000円 被控訴人V 872万0700円 654万9300円

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