平成12(行コ)161 日本貨物鉄道救済命令取消

裁判年月日・裁判所
平成14年10月24日 東京高等裁判所
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判決文本文35,388 文字)

主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実 第一当事者の求めた裁判一控訴人ら 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人らの請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、第1、2審とも、被控訴人らの負担とする。 との判決を求める。 二被控訴人ら主文と同旨の判決を求める。 第二当事者の主張一被控訴人らの請求の原因 1 初審命令控訴人全日本建設交運一般労働組合全国鉄道本部及び同全日本建設交運一般労働組合北海道鉄道本部(以下「控訴人参加組合ら」という。)は、昭和62年12月17日、北海道地方労働委員会に対し、日本国有鉄道(以下「国鉄」という。)の改革として、国鉄から旅客鉄道事業、貨物鉄道事業を承継する株式会社(以下「承継法人」という。)として被控訴人らが設立され、設立委員によって被控訴人らの職員の採用が行われた際、国鉄の職員で承継法人の職員となる意思を表示した者のうち、別表第1の控訴人参加組合らの組合員298人(被控訴人北海道旅客鉄道株式会社(以下「被控訴人北海道会社」という。)の職員となることを希望した者。 以下「別表第1の本件組合員」という。)及び同第2の控訴人参加組合らの組合員15人(被控訴人日本貨物鉄道株式会社(以下「被控訴人貨物会社」という。)の職員となることを希望した者。以下「別表第2の本件組合員」といい、別表第1及び第2の本件組合員をまとめて、単に「本件組合員」ともいう。)が採用されなかったのは不当労働行為であると主張して、被控訴人らを被申立人とする救済の申立てをしたところ(北海道地労委昭和62年(不)第28号事件)、北海道地方労働委員会は、平成元年3月20日、被控訴人北海道会社は別表第1の本件組合員を、被控訴人貨物会社は別表第2の本件組合員を、いずれも昭和62年4月1 海道地労委昭和62年(不)第28号事件)、北海道地方労働委員会は、平成元年3月20日、被控訴人北海道会社は別表第1の本件組合員を、被控訴人貨物会社は別表第2の本件組合員を、いずれも昭和62年4月1日をもって同社の社員に採用したものとして取り扱わなければならないなどとする救済命令を発し(以下「初審命令」という。)、同命令は、平成元年3月27日に被控訴人らに交付された。 2 本件命令被控訴人貨物会社は平成元年4月1日、被控訴人北海道会社は同月10日、控訴人中央労働委員会(以下「控訴人中労委」という。)に対し、それぞれ、初審命令について再審査の申立てをしたところ(中労委平成元年(不再)第25号及び同第27号事件)、控訴人中労委は、平成6年1月19日、国鉄が採用候補者名簿に登載せず、その結果、設立委員によって被控訴人らの職員に採用されなかった本件組合員の少なくとも一部の者及び被控訴人北海道会社の追加募集に応募したものの採用されなかった別表第1の本件組合員の少なくとも一部の者については、組合所属あるいは組合活動の故に不利益な取扱いをされたことは明らかであり、これによって本件組合員が所属していた全国鉄動力車労働組合(現控訴人全日本建設交運一般労働組合全国鉄道本部。以下「全動労」という。)の弱体化が企図されたというべきであるから、これは、労働組合法7条1号本文前段及び同条3号の不当労働行為に当たり、被控訴人らが不当労働行為責任を負うべきであると認定した上、①被控訴人北海道会社は別表第1の本件組合員のうち、被控訴人貨物会社は別表第2の本件組合員のうち、日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職の促進に関する特別措置法(昭和61年法律第91号。以下「再就職促進法」という。)の失効に伴い平成2年4月2日に日本国有鉄道清算事業団(以 本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職の促進に関する特別措置法(昭和61年法律第91号。以下「再就職促進法」という。)の失効に伴い平成2年4月2日に日本国有鉄道清算事業団(以下「清算事業団」という。)からの離職を余儀なくされた者(以下「清算事業団離職者」という。)であって、本命令交付後被控訴人らにその職員として採用されることを申し出た者の中から、日本国有鉄道改革法(昭和61年法律第87号。以下「改革法」という。)23条1項の規定により被控訴人らの設立委員が提示した職員の採用の基準等を参考として、被控訴人らが改めて公正に選考し、その結果採用すべきものと判定した者を、昭和62年4月1日をもって被控訴人らの職員に採用したものとして取り扱い、本命令交付日から3年以内に就労させなければならない、②被控訴人らは、上記選考の経過、判定の結果及び選考が公正に行われたことについて、それらに用いた資料を添えて、それぞれ、控訴人中労委に報告しなければならない、③被控訴人らは、上記の履行に当たり、昭和62年4月1日をもって被控訴人らの職員に採用したものとして取り扱われる者の就労すべき職場・職種について、それぞれ、控訴人参加組合らと協議しなければならない、④被控訴人らは、上記採用対象者に対して、平成2年4月2日からこれらの者が就労するまでの間、これらの者がその期間についてそれぞれ昭和62年4月1日に被控訴人らに職員として採用されていたならば得られたであろう賃金相当額の60パーセントに相当する額を支払わなければならない、⑤被控訴人らは、本命令交付後、速やかに控訴人参加組合らに対し、被控訴人らの職員として不採用となった控訴人参加組合らの組合員の一部について不当労働行為に当たる行為があったと控訴人中労委によって認定されたこと、今後は、法令を遵 、速やかに控訴人参加組合らに対し、被控訴人らの職員として不採用となった控訴人参加組合らの組合員の一部について不当労働行為に当たる行為があったと控訴人中労委によって認定されたこと、今後は、法令を遵守し、正常な労使関係の形成に努めることを確認する旨の文書を交付しなければならない、⑥被控訴人らのその余の各再審査申立てを棄却する旨の命令を発し(以下「本件命令」という。)、本件命令は、平成6年2月18日、被控訴人らに交付され、被控訴人らは、同年3月17日、本件命令の取消しを求める本件訴えを提起した。 3 本件命令の違法性(一) 改革法は、被控訴人ら承継法人が、国鉄からその職員の雇用関係を承継することなく、職員の採用手続上、国鉄、設立委員及び被控訴人らをそれぞれ別個の法主体とし、採用に関する手続を募集、採用候補者の選別及びその名簿の作成並びに採用の決定及び通知の各段階に区分し、各段階における手続の主体並びにその権限及び責任を定め、採用候補者の選別及びその名簿の作成については国鉄の責務ないし権限としてこれを行わせることとし、設立委員は、同名簿に記載された候補者の中からのみ新規採用者を決定し得るものとした。設立委員は、国鉄によって作成された採用候補者名簿が提出された段階で、名簿に記載された候補者の中から採用者を決定することが認められているにすぎず、名簿に記載されていない者を職員として採用することは許されていない(改革法23条3項)。これは、被控訴人らの職員の募集や意思確認等の手続については、短期間に大量の事務を遂行することが必要とされていたところ、設立委員による採用の対象となる国鉄職員に関する勤務関係資料が国鉄当局によって保有されていたため、各職員の勤務の実情を把握していた国鉄に、承継法人別に採用対象となり得る候補者の名簿の作成を行わせることとし による採用の対象となる国鉄職員に関する勤務関係資料が国鉄当局によって保有されていたため、各職員の勤務の実情を把握していた国鉄に、承継法人別に採用対象となり得る候補者の名簿の作成を行わせることとしたものである。このような改革法の趣旨、規定内容に照らすと、採用候補者選別及びその名簿作成の権限の行使に関する国鉄の地位は、改革法23条2項により特に付与された公法上の地位であり、その権限の行使は国鉄の専権に属し、設立委員の指揮、監督下にあったわけでも、国鉄が設立委員の補助機関の地位にあったわけでもない。設立委員は、採用候補者名簿の作成に関し、あらかじめ、国鉄を通じ、その職員に対し、承継法人の労働条件及び採用の基準を提示し得るのみで、採用候補者選別の具体的作業について国鉄に対し指示等を与える余地のないことはもとより、国鉄からその当否について意見を求められる立場にもないから、国鉄の独自の権限に基づいて行うこととされている採用候補者選別の責任が、被控訴人らの設立委員に帰せられる余地はない。本件組合員は、いずれも被控訴人らの職員の採用侯補者として国鉄が作成した採用候補者名簿に記載されていなかった者であるから、改革法上、被控訴人らにおいて採用し得る余地はなく、したがって、昭和62年4月1日の被控訴人らの設立の際における本件組合員の不採用(以下「4月不採用」という。)という結果について被控訴人らが不当労働行為責任を負うこともない。 (二) 憲法は、思想、信条の自由や法の下の平等を保障すると同時に、22条、29条等において、財産権の行使、営業その他広く経済活動の自由を基本的人権として保障しており、企業は、自己の営業のために労働者を雇用するに当たり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについての採用の自由があるから、被控訴人らが職員を採用する を基本的人権として保障しており、企業は、自己の営業のために労働者を雇用するに当たり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについての採用の自由があるから、被控訴人らが職員を採用するに当たって本件組合員が採用されなかったことは、およそ労働組合法7条1号本文前段の不利益取扱いには当たらず、同法3号の支配介入にも当たらない。 したがって、4月不採用も、被控訴人北海道会社が昭和62年6月1日に行った追加募集の際に、これに応募した別表第1の本件組合員を不採用としたこと(以下「6月不採用」という。)も、いずれも、不当労働行為に当たるとはいえない。 (三) 本件組合員が4月不採用及び6月不採用により被控訴人らに採用されなかったのは、全動労が国鉄の分割民営化策及び職場規律是正策に強硬に反対し、組合員に指示して、違法なストライキや職場規律に反するワッペン着用闘争を繰り返した結果、勤務成績が相対的に劣位と評価されたためであり、単に全動労の組合員であることや、全動労の組合員として正当な行為をしたことの故に被控訴人らの職員として採用されなかったわけではない。 (四) 労働委員会である控訴人中労委が救済命令において雇用に係る法律関係の創設を命ずるなどということは権限外のことであるから、本件命令は、控訴人中労委の裁量権の限界を超えた救済を命じたものであり、この点においても違法である。 4 結論以上の次第で、本件命令は違法というべきであるから、被控訴人らは、控訴人中労委に対し、本件命令の取消しを求める。 二請求原因に対する控訴人中労委の認否 1 請求原因1及び2の各事実は認める。 2 同3及び4の主張は争う。 三控訴人中労委の抗弁(本件命令の適法性) 1 被控訴人らの設立と本件組合員が不採用になった経緯(一) 国鉄の分割民営化に関する基本的な事項 1及び2の各事実は認める。 2 同3及び4の主張は争う。 三控訴人中労委の抗弁(本件命令の適法性) 1 被控訴人らの設立と本件組合員が不採用になった経緯(一) 国鉄の分割民営化に関する基本的な事項を定めた改革法は、その他のいわゆる国鉄改革関連法とともに、昭和61年11月28日に成立し、同年12月4日、被控訴人らを含む承継法人の設立委員が任命され、同設立委員は、同月19日、承継法人の職員の採用の基準を決定し、これを受けて、国鉄の本社職員局が改革法23条2項所定の採用候補者名簿を作成したが、本件組合員は、被控訴人らの職員への採用を希望したにもかかわらず、同名簿には登載されず、昭和62年4月1日に被控訴人らを含む承継法人が設立されたものの、本件組合員は、被控訴人らの職員として採用されることはなく、同日、国鉄が清算事業団に移行したことに伴い、清算事業団職員となった。 (二) 本件組合員が所属していた全動労は、国鉄労働組合(以下「国労」という。)とともに国鉄の分割民営化に一貫して反対の立場をとり、余剰人員調整策等の国鉄改革に係る国鉄の諸施策に反対してストライキやワッペン着用闘争を行ってきたもので、そのような中で、国鉄との対立を激化させ、国鉄は、全動労の組合員に対して、全動労に所属したままでは承継法人の職員に採用されないとの雰囲気を醸成し、現場管理者は、全動労からの脱退を慫慂する発言等をしていた。 また、国鉄が採用候補者の選別を行う際は、主に職員管理調書が使用されたが、この職員管理調書の評定項目には、組合活動に直接又は間接に関係する項目が多く含まれ、運用如何で全動労組合員に低い評価が与えられる仕組みとなっており、実際に、国鉄が採用候補者の選別を行うに当たっては、所属する労働組合がどこかを重視し、承継法人等の職員の採用に関し全動労組合員に対して不利 如何で全動労組合員に低い評価が与えられる仕組みとなっており、実際に、国鉄が採用候補者の選別を行うに当たっては、所属する労働組合がどこかを重視し、承継法人等の職員の採用に関し全動労組合員に対して不利な取扱いをしたものと推認される事例が多くみられた。 (三) 昭和62年2月当時、国鉄には国労のほか、国鉄動力車労働組合(以下「動労」という。)、鉄道労働組合(以下「鉄労」という。)、日本鉄道労働組合(以下「日鉄労」という。)等で結成された全日本鉄道労働組合総連合会(以下「鉄道労連」という。)、北海道鉄道産業労働組合(以下「鉄産労」という。)、全動労等の労働組合があったところ、北海道における所属組合別の承継法人等の職員への採用希望者数、採用者数、採用率は、別紙一覧表のとおりであり、採用率は、鉄道労連組合員が99.4パーセント、鉄産労組合員が79.1パーセントであったのに対し、全動労組合員は28.1パーセントと極端に低率であった。 (四) 所属組合別の採用率の格差が顕著な事例の一つであるα機関区では、動労及び鉄労の組合員の採用率が100パーセントであったのに対し、全動労組合員の採用率は25パーセントであった。同機関区に所属する全動労組合員数は昭和61年4月1日時点で268人であったところ、昭和62年2月までにそのうち56人が全動労を脱退して動労又は鉄労に加入し、その全員が承継法人等に採用された。 同様の傾向は、β機関区、岩見沢機関区、滝川機関区、苫小牧機関区でもみられ、苫小牧機関区では、承継法人等に採用された動労組合員の中には刑事事件で逮捕された者や飲酒運転で交通事故を起こした者も含まれていたが、全動労組合員では、無事故や増収活動で表彰された者でも承継法人等に採用されなかった。 (五) 被控訴人北海道会社では、昭和62年4月、清算事業団職員を対象に追加 で交通事故を起こした者も含まれていたが、全動労組合員では、無事故や増収活動で表彰された者でも承継法人等に採用されなかった。 (五) 被控訴人北海道会社では、昭和62年4月、清算事業団職員を対象に追加募集を行い、別表第1の本件組合員もこれに応募したが、同年6月1日、全員が不採用になったもので、所属組合別の応募者数及び採用者数(採用率)は、全動労が544人及び6人(1.1パーセント)、国労が1901人及び82人(4.3パーセント)、鉄産労が408人及び157人(38.5パーセント)、鉄道労連等が94人及び36人(38.3パーセント)であった。 2 被控訴人らの不当労働行為責任国鉄は、改革法23条2項によって承継法人の採用候補者を選別する事務を委ねられ、設立委員の補助機関の地位にあったものであるから、国鉄が行った採用候補者の選別及び採用候補者名簿の作成過程において、労働組合の所属等による差別的取扱いと目される行為があり、それが不当労働行為に該当すると判断される場合、その責任は設立委員に帰属し、設立委員の責任は、同条5項により、承継法人である被控訴人らに帰属すると解するのが相当であるところ、前記のような事実関係に鑑みると、国鉄が採用候補者名簿に登載せず、その結果、設立委員によって被控訴人らに採用すると決定されなかった本件組合員の少なくとも一部の者及び被控訴人北海道会社の追加募集に応募した別表第1の本件組合員の少なくとも一部の者については、組合所属あるいは組合活動の故に不利益な取扱いをされたことは明らかであるから、労働組合法7条1号本文前段の不当労働行為に当たるというべきであり、そして、これによって全動労の弱体化が企図されたのであるから、同条3号の不当労働行為にも当たるものであって、被控訴人らが不当労働行為責任を負うべきである。 3 救済方法 為に当たるというべきであり、そして、これによって全動労の弱体化が企図されたのであるから、同条3号の不当労働行為にも当たるものであって、被控訴人らが不当労働行為責任を負うべきである。 3 救済方法の適法性以上のとおり、本件組合員の少なくとも一部の者について不当労働行為の成立が認められるものの、その不採用に関して不利益取扱いを受けた者の具体的な特定ができないため、本件命令は、清算事業団離職者であって、本件命令交付後被控訴人らにそれぞれその職員として採用されることを申し出た者の中から、改革法23条1項により被控訴人らの設立委員が提示した採用の基準等を参考として被控訴人らが改めて公正に選考し、その結果採用すべきものと判定した者を、昭和62年4月1日をもって被控訴人らの職員にそれぞれ採用したものとして取り扱い、本件命令交付日から3年以内に就労させることを命じたものであり、何ら違法とはいえない。 四控訴人参加組合らの主張 1 本件組合員に対する不当労働行為(一) 労働組合法7条1号本文前段労働組合法7条1号本文前段の「不利益な取扱」とは、既に雇用関係にある労働者に対する不利益取扱いのみならず、組合所属を理由とする差別的な採用拒否もこれに含まれると解されるべきであり、特に、本件では、被控訴人らは、国鉄の事業等を承継した法人であり、被控訴人らの職員は、国鉄の職員の中から採用されたのであるから、営業譲渡における譲受会社による採用拒否と同様、組合所属を理由とする差別的な採用拒否が労働組合法7条1号本文前段の「不利益な取扱」に当たることは異論がないというべきところ、本件組合員が被控訴人らによって採用を拒否されたことが組合所属を理由とする差別的なものであったことは、控訴人中労委の主張のとおりであるから、本件組合員に対する採用拒否が労働組合法7条1号 べきところ、本件組合員が被控訴人らによって採用を拒否されたことが組合所属を理由とする差別的なものであったことは、控訴人中労委の主張のとおりであるから、本件組合員に対する採用拒否が労働組合法7条1号本文前段の不当労働行為に当たることは明らかである。 (二) 労働組合法7条1号本文後段労働組合法7条1号本文後段の「労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること」には、募集段階で組合からの脱退を条件として示すことや、採用に至る募集、選別の過程で、労働組合に加入していることが採用に際して不利な条件となるなどとして、労働組合からの脱退を事実上募集、採用の条件とした場合も含まれると解されるところ、小樽機関区のA検修助役が、昭和61年9月、全動労組合員に対し、「全動労にいては承継法人への採用は危ない。」と発言し、岩見沢機関区のB機関区長が、同年12月2日、全動労組合員Cに対し、「君はこの機関区で何人新会社に残れるか知っているか。新会社に残るためにはいままでの考えではだめだ。」と、同月12日、全動労組合員Dに対し、「全動労を辞める考えが固まったか。今決めなさい。」、「情勢はそんなに甘くない。鉄労か動労のどちらかにしなさい。」と発言したことなどからも窺われるように、国鉄当局者は、昭和61年ころから全動労組合員を対象に全動労に所属したままでは承継法人には採用されないなどと公言し、雇用不安を煽っていたもので、承継法人の職員の募集に際し、本件組合員に対して全動労からの脱退を事実上の条件とし、その上で全動労組合員である本件組合員を排除する内容の採用候補者名簿を作成したというべきであるから、これらの行為が労働組合法7条1号本文後段の不当労働行為に当たることも明らかである。 2 被控訴人らの不当労働行為責任(一) 補助機関論 除する内容の採用候補者名簿を作成したというべきであるから、これらの行為が労働組合法7条1号本文後段の不当労働行為に当たることも明らかである。 2 被控訴人らの不当労働行為責任(一) 補助機関論労働組合法7条にいう「使用者」とは、労働者に対して現実的かつ具体的に支配することができる地位にある者をいい、近い将来における労働契約の可能性のある使用者もこれに当たると解されるところ、改革法は、設立委員のなすべき採用手続の一部である採用候補者の選別事務を国鉄に委ねたものであり、その国鉄の立場は、設立委員の補助機関であったというべきであるから、国鉄が行った採用候補者の選別及び採用候補者名簿の作成の過程において、前記のとおり、本件組合員に対して労働組合への所属等を理由とする差別的取扱いがあり、設立委員が採用候補者名簿登載者全員を被控訴人らの職員として採用した以上、設立委員、すなわち、被控訴人らが使用者として不当労働行為責任を負うことは明らかである。 (二) 実質的同一性の法理会社の解散と新会社の設立によって、新会社が従来の事業、業務を引き継ぎ、両者の間に実質的な同一性がある場合に、特定の従業員が従来の会社での組合所属又は組合活動を理由に新会社に採用されなかったとすれば、新会社が使用者として不当労働行為責任を負うというべきところ、被控訴人ら承継法人は、国鉄の事業、施設及び資産をそのまま途切れることもなく承継し、承継法人の役員には国鉄の幹部が就任するとともに、その職員は、国鉄時代の職員で構成され、これらの職員には国鉄時代と同等の賃金が支給され、承継法人を退職する際に国鉄の職員としての在職期間が承継法人の職員の在職期間とみなして退職手当が支給されることになったことなどの事情に鑑みると、被控訴人ら承継法人は、国鉄の従来の事業、業務を引き継ぎ、両者の間 職する際に国鉄の職員としての在職期間が承継法人の職員の在職期間とみなして退職手当が支給されることになったことなどの事情に鑑みると、被控訴人ら承継法人は、国鉄の従来の事業、業務を引き継ぎ、両者の間には実質的な同一性があるというべきであり、本件組合員は、前記のとおり、全動労の組合員であること、又は全動労の組合活動をしたことを理由として採用されなかったものであるから、被控訴人らは、使用者として不当労働行為責任を負うというべきである。 (三) 指揮監督義務違反被控訴人らの設立委員は、国鉄が採用候補者の選別及び採用候補者名簿の作成を行うに際し、国鉄から、採用希望者の組合所属別数、採用候補者名簿登載者の組合所属別数について報告を求めるどして、組合所属を理由とする差別的取扱いがなく、公正に行われているかを検討し、そのような事実が認められた場合には、国鉄に対してその是正措置を講ずべき指揮監督義務を負っていたところ、設立委員は、これを怠り、国鉄による組合差別を内容とする職員選別の結果をそのまま是認して、採用候補者名簿に登載された者全員の採用を決定した。 また、国鉄は、前記のとおり、承継法人の職員の募集に際し、全動労組合員に対して組合からの脱退を事実上の条件とし、全動労組合員である本件組合員を排除する内容の採用候補者名簿を作成したものであるところ、設立委員は、これを認識し、又は認識することができたのであるから、設立委員は、この点においても国鉄に対する指揮監督義務を怠った責任があるというべきである。 以上のとおり、被控訴人らの設立委員は、本件組合員に対して不当労働行為がされたことにつき、国鉄に対する指揮監督義務を怠ったことは明らかであるから、被控訴人らが本件組合員に対する不当労働行為責任を負うというべきである。 五抗弁及び控訴人参加組合らの主張に対す 労働行為がされたことにつき、国鉄に対する指揮監督義務を怠ったことは明らかであるから、被控訴人らが本件組合員に対する不当労働行為責任を負うというべきである。 五抗弁及び控訴人参加組合らの主張に対する被控訴人らの認否 1 抗弁について(一) 同1について(1) 同(一)の事実は認める。 (2) 同(二)のうち、全動労が国労とともに国鉄の分割民営化に一貫して反対の立場をとり、余剰人員調整策等の国鉄改革に係る国鉄の諸施策に反対してストライキやワッペン着用闘争を行ってきたことは認めるが、その余の主張は争う。 (3) 同(三)及び(五)の各事実は認める。 (4) 同(四)の主張は争う。 (二) 同2及び3の主張は争う。 2 控訴人参加組合らの主張について争う。 第三証拠関係本件記録中の書証目録及び証人等目録記載のとおりであるから、これを引用する。 理由 第一改革法23条と不当労働行為責任一承継法人の設立と職員の採用手続運輸大臣は、国鉄の事業等の承継法人への適正かつ円滑な引継ぎを図るため、その事業等の引継ぎ並びに権利及び義務の承継等に関する基本計画を定め、国鉄は、運輸大臣の指示により、承継に関する実施計画を作成することとされ(改革法19条1項、3項)、国鉄の事業等を引き継ぐ経営組織として改革法6条及び8条によって新たに設立される株式会社である承継法人は、その成立の時において、国鉄の権利及び義務のうち運輸大臣の認可を受けた実施計画である承継計画において定められたものをその定めるところに従って承継し(同法22条)、承継法人に承継されないものは、国鉄が昭和62年4月1日をもって移行する清算事業団に帰属することとされたものである(同法15条)。もとより、国鉄は、日本国有鉄道法に基づく特殊法人であり、新たに設立される承継法人 されないものは、国鉄が昭和62年4月1日をもって移行する清算事業団に帰属することとされたものである(同法15条)。もとより、国鉄は、日本国有鉄道法に基づく特殊法人であり、新たに設立される承継法人は、国鉄とは別個の法人格を有するものであって、その間の事業、権利及び義務の引継ぎは、上記のとおり承継計画に明示された範囲に限定されるところ、国鉄とその職員との間の雇用関係は、承継法人に承継される権利及び義務の中に含まれず、承継法人の職員は、改革法23条による採用手続を経ることとされた。そして、改革法23条は、承継法人の設立委員に職員の募集に関する権限を付与しており、職員の募集は、国鉄を通じ、その職員に対し、それぞれの承継法人の職員の労働条件及び職員の採用の基準を提示することによって行われ(同条1項)、承継法人の職員の採用について、当該承継法人の設立委員がした行為及び当該承継法人の設立委員に対してなされた行為は、それぞれ、当該承継法人がした行為及び当該承継法人に対してなされた行為とされ(同条5項)、一方、国鉄は、設立委員によって労働条件及び採用の基準が提示されたときは、承継法人の職員となることに関する国鉄の職員の意思を確認し、承継法人別に、その職員となる意思を表示した者の中から当該承継法人に係る採用の基準に従い、その職員となるべき者を選定し、その名簿を作成して設立委員に提出し(同条2項)、設立委員は、国鉄の作成した採用候補者名簿に記載された国鉄職員の中から、承継法人の職員として採用する者を決定し、同人に対して採用通知をするものとされた(同条3項)。 そして、承継法人の職員が改革法23条による採用手続を経ることとされたのは、改革法を始めとする後記の国鉄改革関連8法が、経営破綻した国鉄を再建するため、国鉄の事業を分割民営化すると共に、国鉄の抱える そして、承継法人の職員が改革法23条による採用手続を経ることとされたのは、改革法を始めとする後記の国鉄改革関連8法が、経営破綻した国鉄を再建するため、国鉄の事業を分割民営化すると共に、国鉄の抱える膨大な余剰人員を可及的に解消することを目的として制定されたものであることから、従来の国鉄とその職員との間の雇用関係を承継法人に承継させないこととしたものであり、また、承継法人の職員となることについての意思の確認と当該承継法人に係る採用の基準に従って承継法人の職員となるべき採用候補者を選別する事務を国鉄に委ね、その中から承継法人の設立委員が採用を決定することとしたのは、職員の実情を把握している国鉄に承継法人の職員としてふさわしい者を採用候補者として選別させ、鉄道事業等の運営等に一日たりとも支障を生じさせることなく、国鉄の事業等を円滑に複数の承継法人に承継させることを目的としたものと解される。 二改革法23条と不当労働行為責任被控訴人らは、改革法が、採用候補者の選別を国鉄の専権に帰属させ、国鉄が作成した採用候補者名簿には本件組合員は被控訴人らの職員の採用候補者として登載されていなかったのであるから、昭和62年4月1日の被控訴人らの設立の際における本件組合員の不採用(4月不採用)について、被控訴人らが使用者として不当労働行為責任を負う余地はおよそない旨を主張する。 しかしながら、前記のような承継法人の設立と職員の採用手続を前提とすると、被控訴人ら承継法人の設立委員は、国鉄を通じてその職員に対し、承継法人の職員の労働条件及び職員の採用の基準を提示して、職員の募集を行い、国鉄は、この採用の基準に従って、被控訴人ら承継法人のために採用候補者の選別を行い、設立委員は、国鉄が作成した採用候補者名簿に記載された国鉄職員の中から被控訴人ら承継法人の職員を採 員の募集を行い、国鉄は、この採用の基準に従って、被控訴人ら承継法人のために採用候補者の選別を行い、設立委員は、国鉄が作成した採用候補者名簿に記載された国鉄職員の中から被控訴人ら承継法人の職員を採用することとされているのであり、国鉄は、被控訴人ら承継法人の設立委員が提示した採用の基準に従って、被控訴人ら承継法人のために採用候補者の選別をする事務を委ねられているにすぎず、設立委員、ひいては被控訴人らが雇用契約の一方当事者であり、労働組合法7条にいわゆる「使用者」であることはいうまでもない。そして、採用手続の過程において不当労働行為があったときは、被控訴人らは、当該不当労働行為に具体的に関与したか否かにかかわらず、不当労働行為責任を免れないものと解するのが相当である(実際的にみても、設立委員が国鉄に提示した採用の基準は、「国鉄在職中の勤務の状況からみて、承継法人の業務にふさわしい者であること」などを内容とするものであるところ、そこでいう「承継法人の業務にふさわしい者」とは、後記のとおり、結局、分割民営化による国鉄改革の意義を理解し、新たに民間企業として再出発する承継法人に柔軟に溶け込み、規律にも従順でその生産性や効率性を高められる人材をいうものと解されるから、採用の基準の作成及び提示と、それに従ってする採用候補者の選別とは、然く可分のものではなく、ある職員が不採用になったのが、採用の基準に適合しなかったためであるか、選別が適正に行われなかった結果であるかのいずれであるかは、容易に断ずることができない。)。 しかも、国鉄の事業は、新たに設立される承継法人である被控訴人らに承継され、国鉄自体は、承継法人の設立とともに、国鉄の債務の償還、国鉄の資産の処分、再就職を必要とする旧国鉄職員の再就職の促進を目的とする清算事業団に移行するのであるから、 継法人である被控訴人らに承継され、国鉄自体は、承継法人の設立とともに、国鉄の債務の償還、国鉄の資産の処分、再就職を必要とする旧国鉄職員の再就職の促進を目的とする清算事業団に移行するのであるから、団結権の侵害に当たる一定の行為を不当労働行為として排除、是正して正常な労使関係を回復することを目的とする労働組合法7条の趣旨に鑑みても、本件において、使用者として不当労働行為責任を負うべき者は、被控訴人らを措いて他にはないというほかない。 したがって、4月不採用について、被控訴人らが不当労働行為責任を負うことはおよそないとする被控訴人らの上記主張は採用することができない。 第二承継法人による職員の採用と不当労働行為一新規採用と不当労働行為労働組合法7条1号本文前段は、使用者が、労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすることを禁止し、同条3号は、使用者が、労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入することを禁止しているところ、被控訴人らは、企業は、自己の営業のために労働者を雇用するに当たり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについての採用の自由があるから、被控訴人らが新規に職員を採用するに当たって本件組合員を採用しなかったことは、およそ労働組合法7条1号本文前段の不利益取扱いには当たらず、したがって、同法3号の支配介入にも当たらない旨を主張する。 確かに、企業には、法律その他による特別の制限がない限り、採用の自由が保障されるというべきであるから、職員を採用するに当たって、採用希望者の過去の職歴中の組合活動歴を採否をめぐる考慮事由の一つ 。 確かに、企業には、法律その他による特別の制限がない限り、採用の自由が保障されるというべきであるから、職員を採用するに当たって、採用希望者の過去の職歴中の組合活動歴を採否をめぐる考慮事由の一つとして斟酌し、この者を採用しなかったとしても、それだけでは直ちに不当労働行為に当たるとはいえないが、いかに採用の自由があるといっても、特定の労働組合を弱体化させ、あるいは不当に支配介入する不当労働行為の意思をもってされた採用拒否が不当労働行為に当たらないとはいえないし、採用の形態によっては、営業譲渡の際の譲受会社による不採用や季節労働者の再採用拒否のように不当労働行為法の観点からみれば、解雇や雇止めとみるべきものがあり、企業が特定の労働組合の排除を目的として営業譲渡を行い、譲受会社において、当該特定の労働組合の組合員の採用を拒否したような場合には、同号本文前段の不利益取扱いに当たることは明らかである。 そして、本件の4月不採用及び6月不採用は、国鉄の事業を引き継ぐ被控訴人らが国鉄の職員であった本件組合員を採用しなかったというものであり、しかも、後記認定のとおり、職員の採用対象者は国鉄又は国鉄が移行した清算事業団の職員に限られ、外部採用は予定されていなかったことに鑑みると、国鉄の事業を引き継ぐ被控訴人ら承継法人が設立された経緯、本件組合員が採用されなかった経緯等の具体的な事情の如何にかかわらず、被控訴人らの職員の採用が新規採用であり、企業には採用の自由があることのみを根拠として、本件組合員の不採用がおよそ同号本文前段の不利益取扱いには当たらず、したがって、同法3号の支配介入にも当たらないと解することも相当ではない。 二国鉄による採用候補者選別と不当労働行為そこで、国鉄の事業を引き継ぐ被控訴人ら承継法人が設立された経緯、本件組合員が採用され て、同法3号の支配介入にも当たらないと解することも相当ではない。 二国鉄による採用候補者選別と不当労働行為そこで、国鉄の事業を引き継ぐ被控訴人ら承継法人が設立された経緯、本件組合員が採用されなかった経緯等にも照らして、国鉄が被控訴人らの職員の採用候補者を選定する過程において、本件組合員を採用候補者に選別しなかったことが、労働組合法7条1号本文前段の不利益取扱いに当たるか否か、すなわち、本件組合員が全動労に所属していること自体を理由とし、あるいは、本件組合員が全動労組合員として労働組合の正当な行為をしたことの故をもってされたものか否かについて、以下、検討する。 証拠(甲第1号証、乙第1ないし第10号証、第13及び第14号証、第19ないし第21号証、第24、第29、第33、第35、第36、第43、第49及び第50号証、第56号証の1、2、第57、第59、第60、第61、第63、第68、第69、第71、第72、第74及び第76号証、第96号証の1ないし3、第97号証、第99、第100及び第101号証の各1、2、第125、第126、第141、第145、第169及び第171号証、第186号証の1、2、第202号証の2、第203号証、第438、第441、第442、第443、第444及び第446号証の各2、第549号証、第551ないし第553号証、第559ないし第562号証、第578、第580、第581、第604及び第605号証、第609ないし第612号証、第619号証の1、第620号証、第624ないし第626号証、第628号証、第630ないし第639号証、第643、第644及び第649号証、第656号証の1、2、第676号証の1、2、第689及び第694号証、第706号証の1、2、丙第12、第13、第15及び第16号証並びに証人Eの証言) 9号証、第643、第644及び第649号証、第656号証の1、2、第676号証の1、2、第689及び第694号証、第706号証の1、2、丙第12、第13、第15及び第16号証並びに証人Eの証言)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実を認めることができる。 1 国鉄の経営破綻と被控訴人らの設立に至る経緯(一) 国鉄は、昭和39年度に欠損を生じて以来、経営悪化の一途をたどり、昭和55年度までの間に数次にわたって経営再建計画を実施したが、事態は好転せず、昭和57年度末には約18兆円の累積債務を抱えるに至った。この間、昭和55年ころから、上記のような国鉄の膨大な赤字が大きな政治問題となったばかりか、昭和56年10月ころには国会の行財政改革に関する特別委員会において、国鉄内部のいわゆるヤミ手当、ヤミ休暇等の悪慣行が取り上げられるなど職場の規律の乱れが問題視され、マスコミでも国鉄に対する厳しい批判的報道が相次いでされるようになった。 (二) このような中で昭和56年3月16日に発足した第2次臨時行政調査会は、国鉄改革等について検討を進め、昭和57年7月30日、国鉄の分割民営化、国鉄再建のための推進機関の設置、職場規律の確立等を提言する答申(以下「臨調答申」という。)を内閣に提出したが、その中では、国鉄経営の悪化をもたらした原因の一つとして、労使関係が不安定で、ヤミ協定や悪慣行の蔓延などの職場規律の乱れがあったことが指摘され、職場の規律を確立し、個々の職員が経営の現状を認識し、最大限の生産性を上げることが国鉄に最も必要なことの一つとされた。 (三) そこで、内閣は、昭和56年8月10日、臨調答申を最大限尊重して所要の施策を実施に移す旨の閣議決定をするとともに、昭和58年5月13日、日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法を成立させ、同 内閣は、昭和56年8月10日、臨調答申を最大限尊重して所要の施策を実施に移す旨の閣議決定をするとともに、昭和58年5月13日、日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法を成立させ、同法に基づいて設立された日本国有鉄道再建監理委員会(以下「監理委員会」という。)は、昭和60年7月26日、国鉄経営が破綻した原因は、公社という制度の下で巨大組織による全国一元的な運営を行ってきたことにあり、現行制度における再建はもはや不可能であるから、国鉄事業を再生させるには、昭和62年4月1日を期して国鉄を分割し、民営化を断行するほかないとして、①国鉄の旅客鉄道部門を北海道、東日本、東海、西日本、四国、九州の6旅客鉄道会社に分割すること、②新事業体発足時の要員規模を21万5000人とすること、③昭和62年4月時点で見込まれる約9万3000人の余剰人員のうち約6万1000人については、新事業体移行前に約2万人の希望退職を募集し、残りの約4万1000人を再就職のための対策を必要とする職員として国鉄の清算法人的組織の「旧国鉄」に所属させ、3年間で転職させることなどを内容とする最終答申(以下「監理委員会答申」という。)を行った。 (四) 国鉄は、昭和60年10月9日、監理委員会答申を受けて職員を8万6200人削減する方針を発表し、一方、内閣は、①日本国有鉄道の経営する事業の運営の改善のために昭和61年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律(以下「61年緊急措置法」という。)、②改革法、③鉄道会社法、④新幹線鉄道保有機構法、⑤清算事業団法、⑥再就職促進法、⑦鉄道事業法、⑧日本国有鉄道改革法等施行法、⑨地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律(以下、②ないし⑨を併せて「国鉄改革関連8法」という。)の各法案を 、⑦鉄道事業法、⑧日本国有鉄道改革法等施行法、⑨地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律(以下、②ないし⑨を併せて「国鉄改革関連8法」という。)の各法案を国会に提出し、61年緊急措置法は昭和61年5月21日に成立し、国鉄改革関連8法は、同年11月28日に成立した。 国鉄は、同年6月30日から、61年緊急措置法に基づいて希望退職者の募集を開始したところ、希望退職に応募した職員は、最終的に3万9092人にのぼり、昭和62年3月末日までに全員が退職した。 (五) 運輸大臣は、昭和61年12月4日、鉄道会社法附則2条1項に規定する設立委員として、承継法人である旅客鉄道会社6社及び被控訴人貨物会社に共通する共通設立委員として16人を、各会社独自の会社設立委員として2人ないし5人をそれぞれ任命したが、共通設立委員には、当時の国鉄総裁であったF(以下「F総裁」という。)も含まれていた。 そして、承継法人合同による第1回設立委員会が昭和61年12月11日に開催され、同委員会では、改革法23条1項所定の承継法人共通の採用の基準として、①昭和61年度末において年齢が満55歳未満であること、②職務遂行に支障のない健康状態であること、③国鉄在職中の勤務の状況からみて、承継法人の業務にふさわしい者であること(勤務の状況については、職務に対する知識技能及び適性、日常の勤務に関する実績等を、国鉄における既存の資料に基づき、総合的かつ公正に判断すること)、④日本国有鉄道就業規則62条(3)アに係る退職前提の休職の発令を受けていないこと、⑤61年緊急措置法4条1項に係る退職を希望する職員である旨の認定を受けていないこと、⑥国鉄において再就職の斡旋を受け、再就職先から昭和65年度当初までの間に採用を予定する旨の通知を受けていない と、⑤61年緊急措置法4条1項に係る退職を希望する職員である旨の認定を受けていないこと、⑥国鉄において再就職の斡旋を受け、再就職先から昭和65年度当初までの間に採用を予定する旨の通知を受けていないことを定めたほか、被控訴人北海道会社については、国鉄本社及び本社附属機関に所属する職員並びに全国的な運用を行っている職員からの採用のほか、同社が事業を運営する地域内の業務を担当する地方機関に所属する職員からの採用を優先的に考慮するものとすることが、被控訴人貨物会社については、広域異動の募集に応じて既に転勤した職員からの採用については、特段の配慮をするものとすることが、採用の基準として付加された。 (六) 内閣は、昭和61年12月17日、改革法19条1項に基づき、「日本国有鉄道の事業等の引継ぎ並びに権利及び義務の承継等に関する基本計画」(以下「基本計画」という。)を閣議決定し、この中で承継法人全体の職員数は21万5000人、被控訴人北海道会社の職員数は1万3000人、被控訴人貨物会社の職員数は1万2500人と定められ、国鉄は、同月24日、設立委員による前記採用の基準に該当しないことが明白な者を除く職員約23万0400人に対し、承継法人の労働条件と採用の基準を記載した書面及び承継法人の職員となる意思を確認するための意思確認書の用紙を配布し、昭和62年1月7日正午までに提出するように求めたところ、同日までに意思確認書を提出した国鉄職員は22万7600人であり、そのうち承継法人の職員への採用希望者数は21万9340人であった。 国鉄は、これを受けて、各鉄道管理局の人事課長等が中心となり、後記2(九)の職員管理調書に基づいて採用希望者の勤務状況を把握し、前記採用の基準に従って承継法人の職員となるべき採用候補者を選別する作業を進め、昭和62年2月7日、 理局の人事課長等が中心となり、後記2(九)の職員管理調書に基づいて採用希望者の勤務状況を把握し、前記採用の基準に従って承継法人の職員となるべき採用候補者を選別する作業を進め、昭和62年2月7日、基本計画の職員数を9414人下回る20万5586人の承継法人別の採用候補者名簿を設立委員宛てに提出した。採用候補者数は、被控訴人北海道会社が基本計画と同数の1万3000人、被控訴人貨物会社が基本計画を211人下回る1万2289人であったところ、承継法人合同の第3回設立委員会は、同月12日、被控訴人らを含む承継法人の各採用候補者名簿登載者全員を当該承継法人に採用することを決定したが、本件組合員は、被控訴人らの職員に採用されることを希望したものの、上記採用候補者名簿に登載されず、被控訴人らに採用されることはなかったもので、再就職を必要とする清算事業団職員となった。 (七) 被控訴人北海道会社は、昭和62年4月、募集対象者を北海道地区に勤務する清算事業団の職員、採用予定者を約280人、採用の基準を国鉄及び清算事業団在職中の勤務状況からみて同社の業務にふさわしい者であることとし、採用予定日を同年6月1日とする職員の追加募集を行い、別表第1の本件組合員もこれに応募したが、同年6月1日、全員が不採用になった。 (八) 合計313人の本件組合員のうち245人は、平成2年4月1日までに、東日本旅客株式会社等に採用されたり、一般の民間企業に採用されるなどして他に就職するなどしたが、残りの68人は、再就職促進法の失効に伴って清算事業団からの離職を余儀なくされた(清算事業団離職者)。 2 国鉄の分割民営化に対する労働組合の対応(一) 控訴人全日本建設交運一般労働組合全国鉄道本部は、国鉄の職員のうち、動労の組合員であった、機関車、電車、軌道車その他動力車に関係のある職務 職者)。 2 国鉄の分割民営化に対する労働組合の対応(一) 控訴人全日本建設交運一般労働組合全国鉄道本部は、国鉄の職員のうち、動労の組合員であった、機関車、電車、軌道車その他動力車に関係のある職務に従事する者等が昭和49年3月に結成した労働組合であり(前全国鉄動力車労働組合(全動労))、全国に下部組織として6つの地方本部があり、控訴人全日本建設交運一般労働組合北海道鉄道本部はそのうちの一つである。国鉄の職員等で組織する労働組合としては、全動労の他に、昭和21年2月に結成された国労、昭和26年5月に結成された動労、昭和43年10月に結成された鉄労、昭和46年4月に結成された全国鉄施設労働組合(以下「全施労」という。)、昭和61年4月に結成された真国鉄労働組合(以下「真国労」という。)、同年12月に全施労、真国労等を統合して結成された日鉄労等があり、このうち動労、鉄労、日鉄労等は、昭和62年2月に鉄道労連を結成し、また、同年1月以降、国労を脱退した者によりブロック等を単位として結成された鉄産労等は、同年2月に日本鉄道産業労働組合総連合を結成した。 (二) 運輸大臣は、昭和57年3月4日、国鉄に対し、国鉄の再建のためには、国鉄の労使関係を健全化し、職場規律の確立を図ることが必須の条件であるとして、いわゆるヤミ手当、悪慣行全般について実態調査を行うことなどを内容とするいわゆる総点検を実施し、調査結果に基づき厳正な措置を講ずることを指示し、国鉄は、これを受けて、各機関の長に、勤務時間中の組合活動及びリボン・ワッペン着用の禁止を含む職場規律の総点検を行わせるとともに、是正策を講じさせ、以後、昭和60年9月まで8次にわたる職場規律の総点検を継続し、悪慣行やヤミ協定の解消、現場管理体制の充実等に取り組んだ。 (三) 国鉄は、昭和57年7月19日、現場 せるとともに、是正策を講じさせ、以後、昭和60年9月まで8次にわたる職場規律の総点検を継続し、悪慣行やヤミ協定の解消、現場管理体制の充実等に取り組んだ。 (三) 国鉄は、昭和57年7月19日、現場責任者と労働組合の各分会との間で行われてきた現場協議制度が悪しき労使関係を生み出してきたとして、同年11月30日に有効期間が満了する「現場協議に関する協約」について、協議対象の明確化や開催回数、時間等の制限を内容とする改定案を各労働組合に提示したところ、同改定案を受け入れた動労らとの間においては、同日に同協約が改定されたが、全動労と国労は、同改定案の内容が団体交渉権の否定につながるとして、これに反対したため、両労働組合について同協約は失効した。 (四) 前記1(二)のとおり、昭和57年7月30日に臨調答申が出されると、全動労は、国鉄の分割民営化により国鉄が公共交通機関の役割を果たせなくなり、安全性、サービスの低下をもたらすばかりか、国鉄で働く労働者の雇用確保ができなくなるなどとして、国労と共にこれに反対する立場を表明した。全動労は、ストライキを含め、国鉄の分割民営化に反対する闘争を行うようになり、北海道においては、昭和59年4月20日に健康保険法及び年金改悪反対の29分間のストライキ(以下「4・20スト」という。)を、昭和60年3月5日に国鉄の分割民営化に反対する29分間のストライキ(以下「3・5スト」という。)を、同年8月5日に監理委員会答申に抗議する29分間のストライキ(以下「8・5スト」という。)を、同年11月28日に雇用安定協定締結及び国家機密法阻止を目的とする29分間のストライキ(以下「11・28スト」という。)をそれぞれ実施し、本件組合員を含む全動労組合員は、全動労の方針に従って、上記各ストライキに参加した。また、本件組合員を含む 法阻止を目的とする29分間のストライキ(以下「11・28スト」という。)をそれぞれ実施し、本件組合員を含む全動労組合員は、全動労の方針に従って、上記各ストライキに参加した。また、本件組合員を含む全動労組合員は、職場規律の確立を図ろうとする国鉄当局の意向に反し、昭和60年3月1日から同年4月26日まで及び同年7月15日から同年8月5日まで、国鉄の分割民営化の反対等を訴えるワッペンを勤務中に着用するワッペン着用闘争を行った。これに対し、国鉄は、北海道の全動労組合員について、昭和59年8月4日、4・20ストに関して43人を、昭和60年10月5日、3・5スト及び8・5ストに関して86人を、昭和61年2月7日、11・28ストに関して8人をぞれぞれ懲戒処分とし、ワッペン着用闘争をした北海道の全動労組合員については、昭和60年9月13日、181人を懲戒処分とした。 一方、動労がストライキを実施したのは昭和57年12月までであり、昭和58年4月以降は、組合活動で懲戒処分を受けた動労組合員はいなかった。 (五) 国鉄は、昭和59年6月5日、同年2月のダイヤ改正等に伴う合理化の結果、同年4月1日現在で約2万4500人の余剰人員が生じたとして、退職制度の見直し、休職制度の改定・拡充、派遣制度の拡充という3項目を含む余剰人員調整策を発表し、同年7月10日、退職時に56歳以上の者について特別昇給を行わず、55歳以上の在職者については定期昇給及び昇格を行わないこと、職員の申出による休職は、退職前提の場合は55歳以下、復職前提の場合は50歳未満であること、一般職員の国鉄関連企業等への出向は、3年以内の期間とし、その人選は所属長が決定すること等の細目を各組合に提示した。 動労らは、国鉄の上記提示に同意したものの、全動労は、余剰人員調整策は政策的に国鉄の分割民営化 関連企業等への出向は、3年以内の期間とし、その人選は所属長が決定すること等の細目を各組合に提示した。 動労らは、国鉄の上記提示に同意したものの、全動労は、余剰人員調整策は政策的に国鉄の分割民営化の前提条件づくりを目的としたものであり、職員の雇用不安をもたらすなどとして、国労とともにこれに反対したため、国鉄は、全動労に対し、昭和59年10月9日までに余剰人員調整策について妥結しなければ、昭和50年7月1日に締結された「雇用の安定等に関する協約」(機械化、近代化及び合理化等の実施に当たっては、①雇用の安定を確保するとともに、労働条件の維持改善を図ること、②本人の意に反する免職及び降職は行わないこと、③必要な転換教育等を行うことを内容とするものであり、以下「雇用安定協約」という。)を昭和60年1月11日をもって破棄する旨通知した。 全動労は、昭和60年7月9日、国鉄との間において、休職及び出向については本人の申出により行うこと、申出を強制・強要しないこと、申出や応諾をしないことを理由に当該職員を不利益に取り扱わないことを確認した上、余剰人員調整策に関する協定を締結し、その結果、雇用安定協約は、同年11月30日まで延長されたが、国鉄は、同月中ころ、全動労に対し、雇用安定協約の再締結をするためには、全動労が余剰人員調整策を積極的に推進する旨の意思表示をすること、これを積極的に推進する立場で地方組織を指導すること、組合方針の改善に努め、その結果を報告すること、現場での実施を妨害しないということが確認できる状況を作ることが必要であると申し入れたため、全動労は、これを拒否するとともに、同月28日、これに抗議する11・28ストを実施したもので、その後、国鉄との間で雇用安定協約が再締結されることはなかった。 (六) 国鉄は、昭和60年12月11日、昭和 労は、これを拒否するとともに、同月28日、これに抗議する11・28ストを実施したもので、その後、国鉄との間で雇用安定協約が再締結されることはなかった。 (六) 国鉄は、昭和60年12月11日、昭和61年度の転職希望者を把握するため、全職員を対象に国の機関及び地方自治体等への転職希望に関する進路希望アンケート調査を実施すると発表したところ、調査項目には、新事業に対する進路希望が含まれていたことから、全動労は、国鉄に対し、調査は、国鉄の分割民営化を既定の事実として行われるものであるとして、その中止を求めるなどした。 (七) 国鉄は、昭和61年1月13日、各労働組合に対し、①安全輸送の確保、安全で便利な輸送の提供が国鉄労使に対する国民の信頼の基盤であり、労使は諸法規を遵守し、全力を挙げてこれを実現すること、②リボン・ワッペンの不着用、氏名札の着用等定められた服装を整えること、③必要な合理化は、労使が一致協力して積極的に推進し、鉄道事業の再生、強化を図っていくための新しい事業運営の体制を確立すること、④余剰人員対策について、出向制度、退職勧奨等を積極的に推進することなどを内容とする労使共同宣言の締結を提案したところ、動労らは、これに同意して同宣言に調印したものの、全動労と国労は、労働者や労働組合の諸権利を放棄するもので、労働者側には得るものがないとして、同宣言の締結を拒否した。 (八) 国鉄は、昭和61年3月4日、各労働組合に対し、国鉄改革により生ずる余剰人員が地域的に偏在するとして、北海道から約2500人の職員を東京、名古屋地区に、九州から約900人の職員を大阪地区に、広域異動させたいと提案し、動労らがこれに同意したのを受けて、同月20日から広域異動の募集を開始し、さらに、同年8月20日から、3400人を目標とする2回目の広域異動の募集を開 の職員を大阪地区に、広域異動させたいと提案し、動労らがこれに同意したのを受けて、同月20日から広域異動の募集を開始し、さらに、同年8月20日から、3400人を目標とする2回目の広域異動の募集を開始したが、全動労は、これに終始反対し、全動労組合員でこれに応募した者は1人だけであった。 (九) 国鉄では、従来から鉄道管理局地方機関ごとに当該機関に所属する職員の勤務実態等について、個人ごとの管理台帳が作成され、点呼時において返事をしないこと、安全帽及び氏名札の不着用、ワッペンの着用、突発休等に対する指導状況を記録し、勤務成績に反映させるとともに、個人指導を行うなどして職場規律の是正を図っていたが、未だ、職員の意識・意欲や管理者の個人把握に問題が残っているとして、昭和61年3月5日、各鉄道管理局長等に対し、「職員管理調書の作成について」という総裁通達を発出し、昭和58年4月1日から昭和61年3月31日を調査対象期間、同年4月2日時点の職員を調査対象者として、その意識・意欲の実態把握を全国統一的に行う職員管理調書の作成を指示した。職員管理調書には、「特記事項」として、一般処分及び労働処分の種類ごとの回数及び時期並びに昇給及び昇格に関する記載がされたほか、「評定事項」では、調査対象職員の所属する現場管理者である区長、駅長を第1次評定者として、業務知識、技能、計画性、業務処理の速さ・手際の良さ、業務処理の正確さ、判断能力、責任感、自発性、協調性、業務改善、職場の秩序維持、服装の乱れ、指示・命令、態度・言葉使い、勤務時間中の組合活動、勤務に対する自覚・責任感、出退勤、信頼、増収活動、現状認識及び総合評定の21項目を評定することとされ、その中の「職場の秩序維持」の項目では、点呼妨害、体操不参加、管理者への暴言等を含む職場の秩序を乱す行為をしていないか 、出退勤、信頼、増収活動、現状認識及び総合評定の21項目を評定することとされ、その中の「職場の秩序維持」の項目では、点呼妨害、体操不参加、管理者への暴言等を含む職場の秩序を乱す行為をしていないか、「服装の乱れ」の項目では、リボン・ワッペン等を着用していないか、「指示・命令」の項目では、作業指示・命令を真剣に受け止めているか、「勤務時間中の組合活動」の項目では、職員の組合活動に関する協定所定以外の勤務時間中の組合活動をしていないか、「現状認識」の項目では、国鉄の厳しい現状を認識し、業務に取り組んでいるかが評定された。そして、職員管理調書は、調査期間を延長した上、昭和61年10月に再評定が、昭和62年1月に再々評定が行われた。 (一〇) 国鉄は、昭和61年4月、職員に企業人としての自覚と行動力を身につけさせることを目的として、7万人の職員を対象に、同月以降約5か月をかけ、1回当たり3、4日の日程で順次、企業人教育を行うことを決め、希望者を募ったところ、動労らは、その趣旨に賛同し、その組合員らは、積極的にこれに参加したが、全動労は、企業人教育は分割民営化を前提とし、本来の目的を逸脱したイデオロギー教育を実施するものであるなどとしてこれに反対し、本件組合員を含む全動労組合員は、積極的にこれに参加することはなかった。 (一一) 国鉄は、昭和61年6月24日、現存する余剰人員は約2万1500人であるが、今後その数が増加することが予想されるため、余剰人員を集中的に配置して有効活用を図るとして、同年7月から新たに全国統一的に人材活用センターを設置する旨を発表し、同月1日、全国1010か所に同センターを設置し、同センターへの職員の配置に当たっては、日常の勤務成績等を総合的に判断し、所属長がその権限と責任において適材適所の考え方で行うとされた。同センター し、同月1日、全国1010か所に同センターを設置し、同センターへの職員の配置に当たっては、日常の勤務成績等を総合的に判断し、所属長がその権限と責任において適材適所の考え方で行うとされた。同センターに配属された者は、ペンキ塗り、構内ごみ拾い、ポイント掃除、ガラス磨き、草刈り等をさせられた。 (一二) 動労、鉄労、全施労及び真国労の4組合は、昭和61年7月16日、国鉄改革労働組合協議会(以下「改革労協」という。)を結成し、同月30日には国鉄当局との間の国鉄改革労使協議会を設置するとともに、同年8月27日、国鉄との間において、①鉄道事業のあるべき方向として、分割民営化による国鉄改革を基本とするほかはない、②改革労協は、鉄道事業の健全な経営が定着するまでは争議権の行使を自粛する、③今後の鉄道事業は、その健全な発展を遂げるためには、業務遂行に必要な知識と技能に優れていることはもちろん、企業人としての自覚を有し、向上心と意欲にあふれる職員により担われるべきであり、この考え方に立ち、今後労使それぞれの立場において職員の指導を徹底することなどを内容とする「今後の鉄道事業のあり方についての合意事項(第二次労使共同宣言)」に調印した。 3 国鉄当局者の全動労組合員に対する言動等(一) β機関区は、昭和61年3月末当時の職員総数が471人、そのうち全動労組合員が346人であったところ、同年4月1日、同機関区に97人の過去に例がない多人数の転勤者があり、転勤者はいずれも動労組合員であった上、このうち55人は、職員総数中動労組合員の占める割合が顕著に大きかった滝川機関区からの転勤者であった。そして、β機関区の動労組合員は、全員が承継法人に採用されたものの、同機関区の全動労組合員のうち被控訴人北海道会社の職員に採用された者は58人であった。 滝川機関区の助役で からの転勤者であった。そして、β機関区の動労組合員は、全員が承継法人に採用されたものの、同機関区の全動労組合員のうち被控訴人北海道会社の職員に採用された者は58人であった。 滝川機関区の助役であったGは、職員管理調書の評定事項における「総合評定」が「3」の者をさらに「上」、「下」に振り分けた際、乗務員としての忠誠心があるか、増収活動を積極的に行っているか、出向の勧めに積極的に応じて協力しているかを重要な考慮要素としたとし、全動労組合員にはほとんど「上」をつけたことはなかった。 (二) 国鉄車両局機械課長であったHは、昭和61年5月、各機関区所長に宛てて、当局側の考え方を理解して行動し、新事業体と運命共同体的意識を持つことができ、まじめに働く意志のある職員を日常の生産活動を通じて作ることが必要であり、このような職員のみが新事業体に明るい未来を約束すること、イデオロギーの強い職員や話をしても最初から理解しようとしない職員、意識転換に望みを託し得ない職員等は、あきらめて結構であり、良い職員をますます良くすること、中間帯で迷っている職員をこちら側に引きずり込むこと、良い子、悪い子に職場を二分化することが大切であることなどが記載された書簡を送った。 (三) 国鉄は、昭和61年6月24日、余剰人員を集中的に配置して有効活用を図るとして、同年7月から人材活用センターを設置したところ、北海道においては、当初配属されたのは全動労及び国労組合員のみであり、同年8月ころからは、動労及び鉄労の組合員もその発令を受けたものの、実際にはその多くの者が他車種の運転資格を取得するための転換教育を受けた。 (四) F総裁は、昭和61年7月から8月にかけて、動労、鉄労及び全施労の各全国大会に出席し、これらの組合員に対し、国鉄の改革に協力姿勢を示したことを賞賛し、真面目 取得するための転換教育を受けた。 (四) F総裁は、昭和61年7月から8月にかけて、動労、鉄労及び全施労の各全国大会に出席し、これらの組合員に対し、国鉄の改革に協力姿勢を示したことを賞賛し、真面目に働く職員に新事業体に移ってもらうことが総裁としての責務である旨の発言をした。 (五) α機関区の検修助役であったA助役は、昭和61年9月、検修係で勤務する全動労組合員に対し、「全動労にいては採用が危ない。」と発言したことがあった。 (六) F総裁は、昭和61年10月21日に開催された衆議院特別委員会において、I委員から国労との間において雇用安定協約を締結していない理由を問われたのに対し、国鉄との間において、労使共同宣言を交わすことに反対の労働組合に対する信頼を持つことができず、雇用安定協約を締結することもできない旨を述べた。 (七) 国鉄職員局次長であったJは、昭和61年11月30日付けの「公企労レポート」において、国鉄改革関連8法が成立したのを受け、今後は承継法人にふさわしい人選をすることが最大の任務となるとした上で、国鉄改革に協力してきた労働組合の組合員は、出向、広域異動、教育等の改革のための諸施策に協力し、努力と犠牲を払っており、このことは個人個人の成績として蓄積されているため、承継法人に移る人は、そういう人の中から多く生まれる可能性があり、かなり得をしたといえるが、国鉄の再建の妨害をした労働組合に所属している者は、一日も早く、自らの意識改革を行い、先に行っている人に追いついてほしい旨を発言したインタビュー記事を寄稿した。 (八) 岩見沢機関区長であったBは、昭和61年12月2日、全動労組合員であったCを機関区長室に呼び、全動労を脱退しなければ新会社に残れない旨の発言をし、さらに、同月8日、同じく全動労組合員であったDを機関区長室に呼び 長であったBは、昭和61年12月2日、全動労組合員であったCを機関区長室に呼び、全動労を脱退しなければ新会社に残れない旨の発言をし、さらに、同月8日、同じく全動労組合員であったDを機関区長室に呼び出して説得し、全動労を脱退させ、鉄労に加入する手続をさせた。 4 職員管理調書に基づく採用候補者の選別(一) 前記1ないし3で認定した事実関係によれば、国鉄は、昭和39年度に欠損を生じて以来、経営悪化の一途をたどり、膨大な余剰人員と累積債務を抱えて経営が破綻状態となったもので、その原因の一つとして国鉄内部の職場規律の乱れが問題視され、国鉄に対する厳しい批判的報道も相次いで大きな政治問題にもなり、その解決策として国鉄を分割民営化し、人員を削減するなどの経営の合理化の実現が不可避的な状況となったものの、本件組合員を含む全動労組合員は、国労の組合員とともに、違法な争議行為やワッペン着用闘争といった職場規律に反する活動を繰り返し、職員に企業人としての自覚と行動力を身につけさせることを目的として行われた企業人教育にも積極的に参加することがなかったことなど国鉄の分割民営化に強硬に反対する立場からの一連の行動をとっていたところ、国鉄の北海道総局に所属する職員の承継法人等における所属労働組合別の採用率は、鉄道労連が99.4パーセント、鉄産労が79.1パーセントであったのに対し、全動労が28.1パーセント、国労が48.0パーセントであったもので、その採用率には顕著な差がみられ、本件組合員は、被控訴人らに採用されることを希望したものの、国鉄が承継法人の職員の採用候補者に選別せず、被控訴人らに採用されることはなかったものである。 (二) ところで、国鉄では、各鉄道管理局の人事課長等が中心となり、特記事項として処分歴及び昇給昇格歴が記載され、業務知識、技能、計画性、 選別せず、被控訴人らに採用されることはなかったものである。 (二) ところで、国鉄では、各鉄道管理局の人事課長等が中心となり、特記事項として処分歴及び昇給昇格歴が記載され、業務知識、技能、計画性、業務処理の速さ・手際の良さ、業務処理の正確さ、判断能力、責任感、自発性、協調性、業務改善、職場の秩序維持、服装の乱れ、指示・命令、態度・言葉使い、勤務時間中の組合活動、勤務に対する自覚・責任感、出退勤、信頼、増収活動、現状認識及び総合評定の21項目からなる評定事項が記載された職員管理調書に基づいて採用希望者の勤務状況を把握し、設立委員が提示した採用の基準に従って承継法人の職員となるべき採用候補者を選別したことは、前記1(六)及び2(九)のとおりである。 (三) 一方、本件組合員を含む全動労組合員は、違法な争議行為やワッペン着用闘争といった職場規律に反する活動を繰り返し、職員に企業人としての自覚と行動力を身につけさせることを目的として行われた企業人教育にも積極的に参加することはなかったなど国鉄の分割民営化に強硬に反対する立場からの一連の行動をとっていたことは前記2で認定したとおりであるところ、このような者は、国鉄の再建を担わされた承継法人の職場の秩序や規律を乱し、再建の妨げとなるもので、承継法人の職員としてふさわしくないとの評価を国鉄当局がしていたことは、前記3の国鉄当局者の全動労組合員に対する一連の言動からも窺われるところであり、現に、職員管理調書の上記評定事項中の「職場の秩序維持」の項目では、点呼妨害、体操不参加、管理者への暴言等を含む職場の秩序を乱す行為をしていないか、「服装の乱れ」の項目では、リボン・ワッペン等を着用していないか、「指示・命令」の項目では、作業指示・命令を真剣に受け止めているか、「勤務時間中の組合活動」の項目では、職員の す行為をしていないか、「服装の乱れ」の項目では、リボン・ワッペン等を着用していないか、「指示・命令」の項目では、作業指示・命令を真剣に受け止めているか、「勤務時間中の組合活動」の項目では、職員の組合活動に関する協定所定以外の勤務時間中の組合活動をしていないか、「現状認識」の項目では、国鉄の厳しい現状を認識し、業務に取り組んでいるかが評定されたものである。 (四) 以上のような事情に鑑みると、国鉄がその職員について職員管理調書による評価をするに当たっては、処分歴、昇給昇格歴、業務知識、技能、業務処理能力などといった点に加え、違法な争議行為やワッペン着用闘争等の職場規律に反する行動を繰り返し、職員に企業人としての自覚と行動力を身につけさせることを目的として行われた企業人教育の実施にも反対してこれに参加しなかったことなど国鉄の分割民営化に強硬に反対する立場からの一連の行動が相当程度の重きをもって考慮されたことは否定し難く、その結果、本件組合員を含む全動労組合員は、職員管理調書上、相対的に劣位に評価され、そのことが結果的に、国鉄の北海道総局に所属する職員の承継法人等における所属組合別の採用率の前記のような顕著な差に現れたものというほかない。 5 4月不採用の不当労働行為性(一) 国鉄の分割民営化は、国鉄職員の地位や労働条件にも重大な影響を及ぼすものであるから、労働組合がこれに異議を唱え、その組合員が労働組合の方針に従って組合活動をすること自体は、直ちには違法な行為とはいえず、国鉄の分割民営化を反対する特定の労働組合を排除する目的をもって、その組合員の採用を拒否したとすれば、それは不当労働行為に当たるものというほかない。他方、国鉄の分割民営化においては、前記のとおり、国鉄とは別個の被控訴人ら承継法人が設立され、各承継法人が新たに職員を採用する 採用を拒否したとすれば、それは不当労働行為に当たるものというほかない。他方、国鉄の分割民営化においては、前記のとおり、国鉄とは別個の被控訴人ら承継法人が設立され、各承継法人が新たに職員を採用するという制度が改革法によって採用されたもので、国鉄が被控訴人ら承継法人のために行った採用候補者の選別も、承継法人の職員の新規採用を実施するために行われたものであるから、国鉄による採用候補者の選別が不当労働行為に当たるかどうかを判断するに当たっても、一般的な職員の新規採用の場合と同様の観点から検討されるべき側面があることは否定できないところ、企業には、前記のとおり、一定の制約の下での採用の自由が保障されていることに鑑みると、国鉄による採用候補者の選別や、それに基づく被控訴人ら承継法人の職員の採否の決定に当たり、採用希望者が承継法人の職員としてふさわしい者か否かという観点からの相当程度の裁量が認められるべきである。被控訴人らの職員の採用の基準において、いずれも「日本国有鉄道在職中の勤務の状況からみて、当社の業務にふさわしい者であること。なお、勤務の状況については、職務に対する知識技能及び適性、日常の勤務に関する実績等を、日本国有鉄道における既存の資料に基づき、総合的かつ公正に判断すること。」との基準が定められたのも、そのような趣旨に基づくものであると解される。 (二) そして、改革法を始めとする国鉄改革関連8法は、膨大な余剰人員と累積債務を抱えて国鉄の経営が破綻状態となり、その原因の一つとして国鉄内部の職場規律の乱れが問題視され、国鉄に対する厳しい批判的報道も相次ぎ、大きな政治問題となっていた当時の状況下において国鉄を再建するため、国鉄の事業を分割民営化すると共に、国鉄の抱える膨大な余剰人員を可及的に解消することを目的として制定されたもので、特に、 も相次ぎ、大きな政治問題となっていた当時の状況下において国鉄を再建するため、国鉄の事業を分割民営化すると共に、国鉄の抱える膨大な余剰人員を可及的に解消することを目的として制定されたもので、特に、北海道においては、国鉄職員の被控訴人ら承継法人への採用が狭き門となって、いわば買い手市場というべき状態にあったものであり、しかも、国鉄改革は、国営企業である国鉄によって行われていた鉄道事業等を民間企業に移行させるという重大な組織改革を伴うものであるから、職員に要求される規律意識や労使関係等にも大きな変革が要求されることとなる一方、鉄道事業等の公共性に照らしてみれば、国鉄から民間企業である承継法人への事業の移行が円滑に行われ、一日たりとも鉄道事業等の運営等に支障が生じたり、又は利用者に不便を被らせたりすることがないよう配慮することも極めて重要な課題になっていたことなどの事情に照らしてみれば、承継法人としては、分割民営化による国鉄改革の意義を理解し、新たに民間企業として再出発する承継法人に柔軟に溶け込み、規律にも従順でその生産性や効率性を高められる人材を選別し、承継法人の業務にふさわしい者としてこれを可能な限り多く採用しようとし、国鉄としては、採用候補者の選定に当たり、そのような者を採用候補者として選別しようとすることも当然の事柄である。 (三) 以上の観点から考えた場合、国鉄の分割民営化そのものに一貫して反対して、違法な争議行為やワッペン着用闘争等の職場規律に反する行為を繰り返し、分割民営化後をも想定して国鉄当局が提案した「現場協議に関する協約」の改定、余剰人員調整対策、労使共同宣言の締結、広域異動の募集、企業人教育にことごとく反対するなどの行為は、国鉄再建のために、国鉄を分割民営化し、職場規律等を確立するとともに、民間企業並みの生産性や効率性 余剰人員調整対策、労使共同宣言の締結、広域異動の募集、企業人教育にことごとく反対するなどの行為は、国鉄再建のために、国鉄を分割民営化し、職場規律等を確立するとともに、民間企業並みの生産性や効率性を実現することが必要であるという国鉄改革の方針に相反し、いわば国是として国鉄の再建を担わされた承継法人の職場の秩序や規律を乱し、再建の妨げとなるものといわざるを得ず、このような行動をとってきた職員は、国鉄改革に賛成し、これを積極的に受け入れようとした職員と比較して、たとえ業務知識、技能、経験、実績等の面においては遜色のない評価を受け、又は受けるべきであったとしても、承継法人の職員としてふさわしい者か否かという観点からは、劣位に評価されたとしてもやむを得ないものといわざるを得ない。 このような点に鑑みると、経営を破綻させた責任を厳しく問われる一方で、上記のような限られた採用定員を前提に承継法人の職員の採用候補者の選別を委ねられた国鉄が、採用候補者の選別をした際、処分歴、昇給昇格歴、業務知識、技能、業務処理能力といった点に加え、違法な争議行為やワッペン着用闘争等の職場規律に反する行動を繰り返し、職員に企業人としての自覚と行動力を身につけさせることを目的として行われた企業人教育の実施にも反対してこれに参加しなかったことなど国鉄の分割民営化に強硬に反対する立場からの一連の行動が相当程度の重きをもって考慮された職員管理調書に依拠したことは、国鉄の再建という当時の特別な状況下における労働者の団結権の保障と企業の採用の自由との調和点として、不当労働行為に当たるとはいえず、そのような状況下において、本件組合員を含む特定の採用希望者を採用候補者に選別しなかった国鉄に不当労働行為意思があったとも認められない。 6 結語以上のとおり、本件組合員は、昭和62年 はいえず、そのような状況下において、本件組合員を含む特定の採用希望者を採用候補者に選別しなかった国鉄に不当労働行為意思があったとも認められない。 6 結語以上のとおり、本件組合員は、昭和62年4月1日に被控訴人らが設立されるに当たって、国鉄によって採用候補者に選別されなかったため、被控訴人ら承継法人の職員に採用されなかったものであるが、このことは、本件組合員が全動労に所属していること自体を理由とし、あるいは、本件組合員が全動労組合員として労働組合の正当な行為をしたことの故をもってされたとはいえないから、国鉄の選別行為が労働組合法7条1号本文前段の不利益取扱いに当たるとはいえず、したがって、同条3号の支配介入にも当たるとはいえないから、4月不採用について、本件組合員のうち少なくとも一部の者については組合所属あるいは組合活動の故に不利益取扱いがされたと断じ、これが労働組合法7条1号本文前段の不利益取扱い及び同条3号の支配介入に当たるとして、被控訴人らの不当労働行為責任を認めた本件命令は、その判断を誤っているというほかない。 三承継法人による追加採用と不当労働行為(6月不採用の不当労働行為性)本件命令は、被控訴人北海道会社の追加募集に応募した別表第1の本件組合員の少なくとも一部の者についても、組合所属あるいは組合活動の故に不利益な取扱いをされたことは明らかであるとも判断したところ、同追加募集における所属労働組合別の採用率は、鉄道労連等が38.3パーセント、鉄産労が38.5パーセントであったのに対し、全動労が1.1パーセント、国労が4.3パーセントと、被控訴人ら設立時における採用と同様、顕著な差がみられたことは、当事者間に争いがない事実(抗弁1(五))から明らかである。 そして、被控訴人北海道会社が、国鉄及び清算事業団在職中の勤務状況 ントと、被控訴人ら設立時における採用と同様、顕著な差がみられたことは、当事者間に争いがない事実(抗弁1(五))から明らかである。 そして、被控訴人北海道会社が、国鉄及び清算事業団在職中の勤務状況からみて同社の業務にふさわしい者であることとの採用の基準を定めて追加募集し、応募した清算事業団の職員の中から追加採用したことは前記二1(七)のとおりであるところ、前記二1ないし3で認定した事実関係によれば、4月不採用の際と同様、6月不採用においても、被控訴人北海道会社が追加募集に応募した者の採否を決定する際には、採用希望者の処分歴、昇給昇格歴、業務知識、技能、業務処理能力などといった点に加え、国鉄在職中に違法な争議行為やワッペン着用闘争等の職場規律に反する行動を繰り返し、職員に企業人としての自覚と行動力を身につけさせることを目的として行われた企業人教育の実施にも反対してこれに参加しなかったことなど国鉄の分割民営化に強硬に反対する立場からの一連の行動が相当程度の重きをもって考慮されたものと考えられ、そのことが結果的に上記のような組合別の採用率の顕著な差に現れたものというべきである。 しかし、被控訴人北海道会社の上記追加募集には、2947人が応募したところ、採用されたのはわずか281人にすぎず、採用率は9.5パーセントと極めて限定されていたのであり(当事者間に争いがない抗弁1(五)の事実から明らかである。)、国鉄の分割民営化によって、その再建を実現することを委ねられた被控訴人北海道会社としても、分割民営化による国鉄改革の意義を理解し、新たに民間企業として再出発する承継法人に柔軟に溶け込み、規律にも従順でその生産性や効率性を高められる人材を、承継法人の業務にふさわしい者としてこれを可能な限り多く採用しようとすることは当然の事柄であり、違法な争議行 て再出発する承継法人に柔軟に溶け込み、規律にも従順でその生産性や効率性を高められる人材を、承継法人の業務にふさわしい者としてこれを可能な限り多く採用しようとすることは当然の事柄であり、違法な争議行為やワッペン着用闘争等の職場規律に反する行動を繰り返し、職員に企業人としての自覚と行動力を身につけさせることを目的として行われた企業人教育の実施にも反対してこれに参加しなかったことなど国鉄の分割民営化に強硬に反対する立場からの一連の行動を相当程度の重きをもって考慮し、追加募集の採否が決められたとしても、国鉄の再建を委ねられた当時の状況に鑑み、採用の自由の見地から不当労働行為に当たるとはいえず、したがって、6月不採用についても、被控訴人北海道会社に不当労働行為意思があったとは認められないというほかない。 したがって、昭和62年6月1日の被控訴人北海道会社による追加募集の際、別表第1の本件組合員が採用されなかったことも、本件組合員が全動労に所属していること自体を理由とし、あるいは、本件組合員が全動労組合員として労働組合の正当な行為をしたことの故をもってされたとはいえないから、6月不採用が労働組合法7条1号本文前段の不利益取扱いに当たるとはいえず、したがって、同条3号の支配介入にも当たるとはいえないから、この点についても、本件組合員のうち少なくとも一部の者については組合所属あるいは組合活動の故に不利益取扱いがされたと断じ、これが労働組合法7条1号本文前段の不利益取扱い及び同条3号の支配介入に当たるとして、被控訴人北海道会社の不当労働行為責任を認めた本件命令は、その判断を誤っているというほかない。 第三労働組合法7条1号本文後段所定の不当労働行為控訴人参加組合らは、国鉄当局者は、昭和61年ころから全動労の組合員を対象に全動労に所属したままでは承 は、その判断を誤っているというほかない。 第三労働組合法7条1号本文後段所定の不当労働行為控訴人参加組合らは、国鉄当局者は、昭和61年ころから全動労の組合員を対象に全動労に所属したままでは承継法人には採用されないなどと公言し、雇用不安を煽っていたもので、承継法人職員の募集に際し、本件組合員に対しても全動労からの脱退を事実上の条件とし、その上で全動労組合員である本件組合員を排除する内容の採用候補者名簿を作成したというべきであるから、これらの行為が労働組合法7条1号本文後段の不当労働行為に当たる旨を主張する。 しかしながら、労働組合法7条1号本文後段は、使用者が、労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすることを不当労働行為として禁止するところ、これは、使用者が雇用契約締結の際に労働組合不加入又は脱退を雇入れの条件とすることをいわゆる黄犬契約として禁止するものであって、そのような雇用条件に応じなかったことを理由に採用されず、雇用契約が締結されなかった場合は、これが同前段の不当労働行為に該当するか否かは別にしても、同後段の不当労働行為に当たることはないというべきである(控訴人参加組合らの上記主張も、結局のところ、雇用条件そのものではなく、全動労所属の組合員が、組合所属を理由に採用されなかったことを問題としているのであるから、この点は、端的に同前段の採用差別の問題として扱うべきものであるところ、4月不採用及び6月不採用のいずれも、同前段の不当労働行為にも当たらないことは前記のとおりである。)。本件組合員は、結局、被控訴人らに採用されず、雇用契約が締結されなかったのであるから、同後段を適用する余地はなく、被控訴人らが同後段に基づく不当労働行為責任を負うことはない。 第四結論以上の次第で、4月不採用及び 被控訴人らに採用されず、雇用契約が締結されなかったのであるから、同後段を適用する余地はなく、被控訴人らが同後段に基づく不当労働行為責任を負うことはない。 第四結論以上の次第で、4月不採用及び6月不採用において、本件組合員の少なくとも一部の者について不当労働行為があった旨の認定を前提とする本件命令は判断を誤っており、本件命令のうち、主文第Ⅰ項の1ないし6号及び第Ⅱ項の取消しを求める被控訴人らの請求は理由があり、原判決は、結論において相当であって、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第8民事部裁判長裁判官村上敬一裁判官鶴岡稔彦裁判官永谷典雄

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