- 1 -令和3年(あ)第1399号 殺人被告事件令和5年12月8日 第三小法廷判決 主 文本件上告を棄却する。 理 由弁護人今酒雄一、同米澤弘文の上告趣意のうち、判例違反をいう点は、事案を異にする判例を引用するものであって、本件に適切でなく、その余は、憲法違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認、量刑不当の主張であって、刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお、所論に鑑み記録を調査しても、刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。 付言すると、本件は、被告人が、自宅において、妻(当時38歳)、長男(当時9歳)及び長女(当時6歳)を、頚部圧迫又は絞頚により窒息死させて殺害したという殺人の事案である。 3名の生命を奪ったという結果は重大である。殺害の態様は、数分間、頚部を圧迫し又はひも状の物で絞め続けたというもので、確定的で強固な殺意に基づく上、被告人は、そのような行為を3回も繰り返し、生命を軽視する態度が甚だしい。被告人は、自身が本件の犯人であることを否認しており、そのこともあって、本件について、計画性は認められず、また、動機も不明であるが、もとより、年少の長男及び長女を殺害した動機として酌量できるような事情は見当たらない。妻については、日常的に厳しく叱責されるなどしていたという被告人が、夫婦関係のあつれきの中で抱いたであろう心情自体は理解できなくはないにせよ、殺害を決意した経緯として、しんしゃくするとしても限度がある。遺族らは、被告人に対し、厳しい処罰感情を示している。被告人は、自身の罪と向き合う姿勢を示さず、反省悔悟の情をうかがうことはできない。 - 2 -以上のような事情に照らすと、被告人の刑事責任は極めて らは、被告人に対し、厳しい処罰感情を示している。被告人は、自身の罪と向き合う姿勢を示さず、反省悔悟の情をうかがうことはできない。 - 2 -以上のような事情に照らすと、被告人の刑事責任は極めて重大であるといわざるを得ず、前科前歴がないことなど、被告人のために酌むべき事情を十分に考慮しても、原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は、やむを得ないものとして、当裁判所もこれを是認せざるを得ない。 よって、刑訴法414条、396条、181条1項ただし書により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 検察官岸毅、同自見武士、同横井朗、同冨樫知樹 公判出席(裁判長裁判官 長嶺安政 裁判官 宇賀克也 裁判官 林 道晴 裁判官渡惠理子 裁判官 今崎幸彦)
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