昭和38(あ)1801 外国為替及び外国貿易管理法違反

裁判年月日・裁判所
昭和40年3月26日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件各上告を棄却する。          理    由  被告人A株式会社の弁護人浅沼澄次、同佐藤庄市郎の上告趣意第一点は、事実誤 認、単なる法令違反の主張であり、同第二点は、

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判決文本文3,748 文字)

主文 本件各上告を棄却する。 理由 被告人A株式会社の弁護人浅沼澄次、同佐藤庄市郎の上告趣意第一点は、事実誤認、単なる法令違反の主張であり、同第二点は、憲法三一条違反をいうけれども、本件適用法令でないものにつき関説するもので不適法であり、その余は実質上事実誤認、単なる法令違反の主張を出ないものであり、同第三点は、事実誤認およびこれを前提とする単なる法令違反の主張であり、同第四点は、量刑不当の主張であつて、以上いずれも適法な上告理由に当らない。 被告人B貿易株式会社の弁護人長畑裕三の上告趣意は、事実誤認およびこれを前提とする単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由に当らない。 被告人C実業株式会社の弁護人磯部靖の上告趣意第一点は、事実誤認、単なる訴訟法違反の主張であり、同第二点は、事実誤認およびこれを前提とする単なる法令違反の主張であり、同第三点は、量刑不当の主張であつて、以上いずれも適法な上告理由に当らない。 被告人D商事株式会社の弁護人河島徳太郎の上告趣意第一は、事実誤認、単なる法令違反の主張を出ないものであり、同第二、第三は、単なる訴訟法違反の主張であり、その余は事実誤認、単なる法令違反の主張に帰するものであつて、以上すべて適法な上告理由に当らない。 被告人D商事株式会社の弁護人佐々木文一の上告趣意第二章第一について。 所論は、本件適用法令たる外国為替及び外国貿易管理法(以下、単に本法という。)二七条一項三号、三〇条三号並びに右各条項違反行為に対する制裁規定たる本法七〇条、七三条の憲法三一条、二九条、二二条違反をいうもので、その理由として、本法はいわゆる空白刑罰法規の形式をとつているため、国民の側で規制事項の内容- 1 -を認識することを不可能ならしめており、かような刑罰法規の 一条、二九条、二二条違反をいうもので、その理由として、本法はいわゆる空白刑罰法規の形式をとつているため、国民の側で規制事項の内容- 1 -を認識することを不可能ならしめており、かような刑罰法規の定め方は、罪刑法定主義を定めた憲法三一条に違反する、また、本法はとくに二条の規定を置いて、政府に対し制限禁止事項につきその必要の減少に伴い、逐次これを緩和ないし廃止するため再検討すべきことを義務づけているのに、政府は右義務を怠り、制定当時のままの刑罰法規を存続せしめ、徒らに取締りを続けているものであるから、かように当然改廃されるべき法律を根拠にして処罰することは、憲法二二条の保障する職業の自由、同二九条の保障する財産権をそれぞれ侵害するものである、と主張する。 しかしながら、憲法七三条六号但書の規定により、とくに法律の委任がある場合においては、政令に罰則(すなわち、犯罪構成要件および刑を定める法規)の設定を委任することの憲法上許されるものであることは、当裁判所大法廷判決(昭和二三年(れ)第一四一号、同二五年二月一日宣告、刑集四巻二号七三頁、昭和二七年(あ)第四五三三号、同三三年七月九日宣告、刑集一二巻一一号二四〇七頁各参照)の趣旨とするところであるから、右趣旨に徴すれば、所論各規定、とくに本法二七条一項三号、三〇条三号がいわゆる支払の制限および禁止並びに債権に関する制限および禁止につき、その規制内容、したがつて犯罪構成要件の一部を政令の定めるところに委任しているからといつて、所論のように憲法三一条に違反するものとはいえないのであつて、この点の論旨は、理由がない(実質的に考えても、本法のような経済統制法規は、その内容が複雑多岐にわたるのみならず、絶えず変動する経済情勢に対処していく必要があるのであるから、法律自体には基本的な規制を概括的に規定 理由がない(実質的に考えても、本法のような経済統制法規は、その内容が複雑多岐にわたるのみならず、絶えず変動する経済情勢に対処していく必要があるのであるから、法律自体には基本的な規制を概括的に規定するに止め、その具体的な規制については、これを政令以下の命令に委任し、命令において詳細な定めを設けることを必要かつ適当とする場合が稀ではないのであつて、このような規制方法をとることが、直ちに違憲の問題を生ずるものとはいえないのである。)。また、所論指摘の本法二条の規定は、その明文の示すとおり、外国為替および外国貿易の管理、制限に関する立法政策についての指針を掲- 2 -げたに止まるものであるから、依然として右管理、制限の必要があるものとして存置されている該当規定に照らして、違反行為を処罰することの妨げとなるものでないことは、論をまたないところであるし、所論各規定のうちの本法二七条一項三号については、それが国民の経済活動、ひいて財産権の行使に対しある程度の制限を加えているものであることは疑いないが、右制限は、本法一条の掲げる諸目的を阻害する事態の発生を防止するため必要であつて、公共の福祉に適合する、合理的なものと認むべく、従つて右規定の憲法二九条に違背するものでないことは、当裁判所大法廷判決(昭和三七年(あ)第六二四号、同四〇年一月二〇日宣告)の説示するところであるので、右判例の趣旨に徴すれば、所論中、憲法二二条、二九条違反をいう点も理由がないものというべきである。 同第二は、事実誤認、単なる法令違反の主張であり、同第三章第一は、単なる法令違反の主張であり、同第二は、量刑不当の主張であつて、以上すべて適法な上告理由に当らない。 被告人E株式会社の弁護人向江璋悦、同下平桂の上告趣意第一点について。 所論は、憲法三一条違反をいうもので、その理由 であり、同第二は、量刑不当の主張であつて、以上すべて適法な上告理由に当らない。 被告人E株式会社の弁護人向江璋悦、同下平桂の上告趣意第一点について。 所論は、憲法三一条違反をいうもので、その理由として、本件適用法令たる本法七三条のいわゆる両罰規定について、従業者の違反行為に対する事業主の過失を推定したもので、事業主において従業者の選任、監督に過失がなかつたことを立証すれば罪責を免れうる趣旨の規定であるとする見解があるけれども、右過失の推定自体、刑罰法における責任主義の原則に反するし、以上のような立証は事実上不可能であつて、結局事業主の無過失責任を認めるに帰するものであり、しかも、右過失推定についての明文を欠いているのであるから、右規定は、責任主義、罪刑法定主義を定めた憲法三一条に違反する、また、本法制定当時においては、本件のような事案に対する処罰の必要と根拠があつたのであるが、本件当時にはわが国の外貨事情が著しく好転した結果、実質上かような必要と根拠が失われていたのであつて、- 3 -本法二条の法意から考えても、法律があるからというだけで、本件を処罰することは同じく憲法三一条に違反する、と主張する。 しかしながら、事業主が人である場合の両罰規定については、その代理人、使用人その他の従業者の違反行為に対し、事業主に右行為者らの選任、監督その他違反行為を防止するために必要な注意を尽さなかつた過失の存在を推定したものであつて、事業主において右に関する注意を尽したことの証明がなされない限り、事業主もまた刑責を免れ得ないとする法意と解するを相当とすることは、すでに当裁判所屡次の判例(昭和二六年(れ)第一四五二号、同三二年一一月二七日大法廷判決、刑集一一巻一二号三一一三頁、昭和二八年(あ)第四三五六号、同三三年二月七日第二小法廷判決、刑集一 ることは、すでに当裁判所屡次の判例(昭和二六年(れ)第一四五二号、同三二年一一月二七日大法廷判決、刑集一一巻一二号三一一三頁、昭和二八年(あ)第四三五六号、同三三年二月七日第二小法廷判決、刑集一二巻二号一一七頁、昭和三七年(あ)第二三四一号、同三八年二月二六日第三小法廷判決、刑集一七巻一号一五頁各参照)の説示するところであり、右法意は、本件のように事業主が法人(株式会社)で、行為者が、その代表者でない、従業者である場合にも、当然推及されるべきであるから、この点の論旨は、違憲の主張としての前提を欠き理由がない。また、本法二条の存在が本件のような事案に対する処罰を妨げるものでないことは、すでに被告人D商事株式会社の弁護人佐々木文一の上告趣意第二章第一に対して説示したとおりであつて、この点の論旨も違憲の主張としての前提を欠き上告適法の理由とならない。 同第二点は、違憲をいうけれども、その実質は単なる訴訟法違反の主張であり、同第三点は、事実誤認およびこれを前提とする単なる法令違反の主張であり、同第四点は、量刑不当の主張であつて、以上すべて適法な上告理由に当らない。 また記録を調べても刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。 よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。 昭和四〇年三月二六日最高裁判所第二小法廷- 4 -裁判長裁判官奥野健一裁判官山田作之助裁判官草鹿浅之介裁判官城戸芳彦裁判官石田和外- 5 - 介裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外

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