平成13(行コ)125 損害賠償請求控訴事件(原審・千葉地方裁判所平成9年(行ウ)第6号)

裁判年月日・裁判所
平成13年10月31日 東京高等裁判所 住民訴訟
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判決文本文5,925 文字)

主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第一控訴の趣旨一原判決を取り消す。 二被控訴人らは、館山市に対し、連帯して金5億5792万3878円及びこれに対する平成9年2月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第二事案の概要一事案の概要は、原判決5頁8行目以下の各「○○」をいずれも「○○」に、同13頁9行目の「一七○条一号」を「170条1項」に、同14頁4行目の「確実かつ」を「最も確実かつ」に、同15頁3行目の「政府補償債権」を「政府保証債券」に、同4行目の「債権」を「債券」に、同16頁1行目の「もっとも確実」を「最も確実」にそれぞれ改め、同末行の「歳計現金は」から同17頁1行目の「含まれないので、」までを削除し、同8行目から9行目にかけて、同18頁1行目、同6行目及び同末行の各「金融機関別預金残高総括票」をいずれも「金融機関別預金残高総括表」に、同9行目の「○○、○○」を「被控訴人○○及び同○○」に、同20頁7行目の「監理」を「管理」に、同23頁2行目の「調整」を「調製」に、同26頁末行の「及び売買委託手数料」を「並びに売買委託手数料」に、同34頁7行目の「損害賠償」を「損害」に、同38頁9行目の「どの賠償責任」を「賠償責任」にそれぞれ改め、控訴人らの当審における補充主張を次項のとおり加えるほかは、原判決「事実及び理由」欄中の「第二事案の概要」に記載のとおりであるから、これを引用する。 なお、本判決においても、原則として原判決と同じ略語を使用することとする。 二控訴人らの当審における主張 1 法第242条第2項但書の「正当な理由」について本件監査請求は、本件NTT株購入の日から1年経過後にされているが、①館山市議会議員を含む館山市の住民全体は、同市及 控訴人らの当審における主張 1 法第242条第2項但書の「正当な理由」について本件監査請求は、本件NTT株購入の日から1年経過後にされているが、①館山市議会議員を含む館山市の住民全体は、同市及び監査委員から、市民の納得のいく処理をするまで待ってほしいと何度も説得され、被控訴人Bの行った監査請求の結果が出るのを待つことを余儀なくされたのであり、また、上記監査請求は住民を代表して行われたと解するのが一般市民の常識であり、その結果を待つことは市民の自然な行為であること、②本件NTT株購入問題については、平成8年5月にマスコミにより報道された後、同年6月に開催された館山市議会においても質疑応答が行われたが、その会議録が館山市立図書館に搬入されたのは同年9月13日であって、それ以前に一般市民がこの会議録を閲覧することは不可能であったこと、③「監査報告の全文」が掲載された同年9月15日発行の館山市広報が各戸に配布されたことにより、市民は初めて本件NTT株購入問題の問題点を知るに至ったことなどからすると、本件監査請求について法第242条第2項但書に規定する「正当な理由」があることは明らかである。 2 本件NTT株の購入と保有との関係(違法性の承継)について原判決は、本件NTT株の購入と保有は別個の行為としているが、本件NTT株の保有は、先行行為である購入行為の違法性を承継している。被控訴人らは、公金による違法な株取引行為を是正すべき義務があったにもかかわらず、これを隠蔽あるいは漫然と放置し、館山市の財産に損害を与えたのであるから、作為義務に違反していることは明らかである。 3 被控訴人Aの責任について被控訴人Aは、本件NTT株について株券の保管振替制度を選択し、その購入の事実の隠蔽を承継した。 4 被控訴人Bの責任について被控訴人Bは、 ることは明らかである。 3 被控訴人Aの責任について被控訴人Aは、本件NTT株について株券の保管振替制度を選択し、その購入の事実の隠蔽を承継した。 4 被控訴人Bの責任について被控訴人Bは、月例出納報告書等により本件NTT株購入の事実を容易に知り得たというべきである。 また、被控訴人は、市議会の議決を得ることなく、個人の判断で債務免除条例を適用して、市の被控訴人C及び同Dに対する損害賠償債権を放棄したのであるから、この債権放棄には重大かつ明白な瑕疵がある。 第三当裁判所の判断一当裁判所も、被控訴人C、同D及び同Aに対する本件NTT株の購入行為に係る本件訴えは不適法であるから却下すべきであり、控訴人らのその余の請求はいずれも理由がないから棄却すべきものと判断する。その理由は、原判決41頁末行以下の各「○○」をいずれも「○○」に、同42頁8行目の「前提を」を「前提を欠き、」に、同44頁3行目及び同54頁10行目の各「金融機関別預金残高総括票」をいずれも「金融機関別預金残高総括表」にそれぞれ改め、同49頁末行から同50頁1行目にかけて及び同頁8行目から9行目にかけての各「二三五条の四第一項、」を削除し、同頁1行目及び同9行目の各「一七○条一号」をいずれも「170条1項」に改め、同56頁2行目の「さらに、」の次に「甲10及び」を、同5行目の「こと」の次に「、館山市監査委員は、同月20日、被控訴人Bに対し、前記監査請求について、被控訴人C及び同Dの損害賠償責任は債務免除条例によりいずれも消滅し、被控訴人Aは本件NTT株の購入に関与していないので損害賠償責任はない旨の監査結果を報告したこと」をそれぞれ加え、控訴人らの当審における主張に対する判断を次項のとおり加えるほかは、原判決「事実及び理由」欄中の「第三当裁判所の判断」に記載のとお ので損害賠償責任はない旨の監査結果を報告したこと」をそれぞれ加え、控訴人らの当審における主張に対する判断を次項のとおり加えるほかは、原判決「事実及び理由」欄中の「第三当裁判所の判断」に記載のとおりであるから、これを引用する。 二控訴人らの当審における主張に対する判断 1 法第242条第2項但書の「正当な理由」について前記引用に係る原判決が認定、説示するとおり、館山市の住民である控訴人らは、遅くとも平成8年5月8日の地元新聞をはじめとする新聞各紙の報道記事によって、被控訴人C及び同D両元収入役による本件NTT株購入の事実を容易に知り得たのであって、この時から相当な期間内に監査請求をすることが十分可能であったにもかかわらず、7か月近く経過した同年12月6日に至って本件監査請求をしたのであるから、本件監査請求については、法第242条第2項但書にいう「正当な理由」があるとは認められない。 これに対し、控訴人らは、館山市議会議員を含む館山市の住民全体が、同市及び監査委員から、市民の納得のいく処理をするまで待ってほしいと何度も説得され、被控訴人Bの行った監査請求の結果が出るのを待つことを余儀なくされたこと、同年6月に開催された館山市議会においても本件NTT株購入問題について質疑応答が行われたが、その会議録が館山市立図書館に搬入されたのは同年9月13日であること、同年9月15日発行の館山市広報に上記監査請求に関する「監査報告の全文」が掲載されたことなどを根拠として、本件監査請求について法第242条第2項但書にいう「正当な理由」があることは明らかであると主張する。 しかしながら、前記引用に係る原判決認定のとおり、収入役によるNTT株購入問題については、被控訴人Bによる同年5月7日の報道関係機関に対する記者発表を受けて、即日テレビ、ラジオによる と主張する。 しかしながら、前記引用に係る原判決認定のとおり、収入役によるNTT株購入問題については、被控訴人Bによる同年5月7日の報道関係機関に対する記者発表を受けて、即日テレビ、ラジオによる報道がされるとともに、その翌日には地元新聞をはじめ新聞各紙による報道がされたところ、この新聞記事には、本件NTT株購入に関し、市の収入役であった者(新聞によっては実名入りのものもあった。)が市の公金を支出して、昭和62年11月にNTT株110株を2億8050万円で、昭和63年10月にNTT株50株を9500万円でそれぞれ取得し、その後の株価の下落により、合計2億4787万円の含み損が館山市に発生しているという事件の内容がかなり詳細に記載されていたことが認められるから、前示のとおり、館山市の住民である控訴人らは、遅くとも平成8年5月8日の地元新聞をはじめとする新聞各紙の報道記事によって、被控訴人C及び同Dによる本件NTT株購入の事実を容易に知り得たものというべきであり、したがって、仮に控訴人らの主張するような前記諸事実があるとしても、本件監査請求について法第242条第2項但書にいう「正当な理由」があるということはできないとの前示判断を左右するに足りない。 2 本件NTT株の購入と保有との関係(違法性の承継)について控訴人らは、「本件NTT株の保有は、先行行為であるその購入行為の違法性を承継しており、被控訴人らには公金による違法な株取引行為を是正すべき義務があったにもかかわらず、これを隠蔽あるいは漫然と放置し、館山市の財産に損害を与えたのであるから、作為義務に違反していることは明らかである」と主張する。 しかしながら、館山市の公金をもって本件NTT株を購入する行為と購入、取得された本件NTT株を管理する行為とは、財務会計上の行為として別個の行為 為義務に違反していることは明らかである」と主張する。 しかしながら、館山市の公金をもって本件NTT株を購入する行為と購入、取得された本件NTT株を管理する行為とは、財務会計上の行為として別個の行為であるというべきであり、それぞれの行為が財務会計法規上の義務に違反するかどうかも、別個に判断されるべきものである。控訴人らの主張は、必ずしも明らかではないものの、被控訴人C及び同Dによる本件NTT株の購入行為を違法な公金の支出、財産の取得に当たるとしつつ、被控訴人C、同D及び同Aはそれぞれ館山市の収入役として、また、被控訴人Bは同市の市長として、違法な公金の支出によって取得された本件NTT株の保有状態を速やかに解消し、館山市に損害を生じさせないようにすべき財産管理上の義務があるのに、これを怠った旨主張しているものと解することができるところ、本件においては、被控訴人らに控訴人ら主張のような財産管理上の義務違反があると認めることができないことは、前記引用に係る原判決が適切に認定、説示するとおりである。 したがって、控訴人らの上記主張は採用することができない。 3 被控訴人Aの責任について控訴人らは、「被控訴人Aは、本件NTT株について株券の保管振替制度を選択することにより、その購入の事実の隠蔽を承継した」と主張するが、株券の保管振替制度を選択することによって本件NTT株購入の事実を隠蔽することが可能となるわけではなく、証拠(甲75ないし100(枝番を含む。)等)によっても、その事実が隠蔽されたとは認められないから、控訴人らの主張は採用することができない。 4 被控訴人Bの責任について控訴人らは、「被控訴人Bは、月例出納報告書等により本件NTT株購入の事実を容易に知り得たから、被控訴人Bが適正な財産管理を怠ったことは明らかである」と主張する い。 4 被控訴人Bの責任について控訴人らは、「被控訴人Bは、月例出納報告書等により本件NTT株購入の事実を容易に知り得たから、被控訴人Bが適正な財産管理を怠ったことは明らかである」と主張する。 しかしながら、前記引用に係る原判決が認定、説示しているとおり、本件NTT株の購入は、被控訴人Bが館山市長に就任する以前に、現金の出納及び保管の権限を有する収入役の指示により、極めて秘密裡に行われていたものであって、同被控訴人の市長就任後も、従前と同様、収入役により監査委員に提出する金融機関別預金残高総括表に虚偽の記載が行われるなど、本件NTT株購入の事実が容易に発覚しにくい状況にあったことなどの事実に照らすと、同被控訴人において、本件NTT株につき適正な財産管理を怠ったとまで認めることはできないまた、控訴人らは、「被控訴人Bは、市議会の議決を得ることなく、個人の判断で債務免除条例を適用して、市の被控訴人C及び同Dに対する損害賠償債権を放棄したのであるから、この債権放棄には重大かつ明白な瑕疵がある」と主張する。 しかしながら、公務員等の懲戒免除等に関する法律及びこれに基づく債務免除条例によれば、館山市が同条例により当該職員の法第243条の2第1項の規定による賠償責任に基づく債務を免除するについては、議会の議決を得ることが要件とされていないことが明らかであるから、被控訴人Cらの上記債務免除につき市議会の議決がないとしても、同債務免除が無効となるものではない。なお、控訴人らは、被控訴人C及び同Dの行為は、背任罪若しくは虚偽公文書記載罪に該当するから、債務免除条例の適用はないと主張し、甲34、35、134、135及び弁論の全趣旨によれば、被控訴人C、同D及び同Aは、平成10年12月25日、本件NTT株購入の事実を隠蔽する目的をもって監査委員の 債務免除条例の適用はないと主張し、甲34、35、134、135及び弁論の全趣旨によれば、被控訴人C、同D及び同Aは、平成10年12月25日、本件NTT株購入の事実を隠蔽する目的をもって監査委員の監査資料となる金融機関別預金残高総括表に虚偽の記載をするなどした行為について、虚偽無印公文書作成・同行使罪で略式命令を受けたことが認められるが、本件全証拠をもってしても、本件NTT株購入行為が犯罪に当たるとまでは認められないから、本件NTT株購入についての被控訴人C及び同Dの法第243条の2第1項に基づく損害賠償責任については、債務免除条例の適用があり、同責任は、同条例第3条の規定により、消滅したものというべきである。 以上のとおりであるから、控訴人らの前記主張は、いずれも採用することができない。 第四結論よって、原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから棄却することとし、控訴費用の負担について行政事件訴訟法第7条、民事訴訟法第67条第1項、第61条、第65条第1項本文を適用して、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第5民事部裁判長裁判官魚住庸夫裁判官飯田敏彦裁判官菅野博之

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