平成18(ワ)428 土地明渡等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成20年5月29日 岐阜地方裁判所 その他
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判決文本文18,820 文字)

平成18年(ワ)第428号土地明渡等請求事件(甲事件)平成18年(ワ)第478号土地明渡等請求事件(乙事件)主文,「,()」 被告は別紙1土地所有関係賃料相当損害金一覧甲事件原告関係分及び別紙2「土地所有関係,賃料相当損害金一覧(乙事件原告関係分」の各)「原告」欄記載の各原告に対し,同各欄に対応する各「物件番号」欄で引用された別紙各「物件目録A(甲事件原告関係分及び乙事件原告関係分,別紙)」各「物件目録B(甲事件原告関係分及び乙事件原告関係分,別紙各「物件)」目録C甲事件原告関係分及び乙事件原告関係分及び別紙物件目録D甲()」「(事件原告関係分」記載の各土地を明け渡せ。 ) 被告は,原告A(甲事件原告No41)所有の別紙「物件目録D(甲事件原告関係分」記載のD012ないしD016の各土地を除く,別紙1「土地所有),()」「,関係賃料相当損害金一覧甲事件原告関係分及び別紙2土地所有関係賃料相当損害金一覧(乙事件原告関係分」の各「原告」欄記載の各原告に対)し,平成18年4月1日から前項の各土地を明け渡すまで,1か年当たり各土地について3.3平方メートル(1坪)当たり1700円(持分表示のある土地についてはこれに持分を乗じた額)の割合による金員を支払え。 被告は,原告A(甲事件原告No41)に対し,平成18年4月1日から,別紙「物件目録D(甲事件原告関係分」記載のD012ないしD016の各土)地を明け渡すまで,1か年当たり各土地について3.3平方メートル(1坪)当たり1500円の割合による金員を支払え。 原告らのその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,これを10分し,その1を原告らの負担とし,その余を被告の負担とする。 事実 及び理由第1 当たり1500円の割合による金員を支払え。 原告らのその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,これを10分し,その1を原告らの負担とし,その余を被告の負担とする。 事実 及び理由第1請求 主文1項と同旨,「,()」 被告は別紙1土地所有関係賃料相当損害金一覧甲事件原告関係分及び別紙2「土地所有関係,賃料相当損害金一覧(乙事件原告関係分」の各)「原告」欄記載の各原告に対し,同各欄に対応する各「物件番号」欄で引用さ「」「」,れた別紙各物件目録Aないし物件目録D記載の各土地を明け渡すまで平成18年4月1日から1か年当たり別紙1及び別紙2の各「賃料相当損害金合計(円」欄記載の割合による金員を支払え。 )第2事案の概要,(「」。)本件は別紙物件目録AないしD記載の各土地以下本件各土地というを所有する原告らが,本件各土地等を賃借し,B競馬場を運営している被告に対し,賃貸借契約が終了し無権原の占有であるとして,所有権に基づき,本件各土地の明渡し及び賃貸借契約が終了した翌日である平成18年4月1日から支払済みまで1年あたり別紙1「土地所有関係,賃料相当損害金一覧(甲事件原告関係分(以下「別紙一覧1」という)及び同2「土地所有関係,賃料)」。 相当損害金一覧乙事件原告関係分以下別紙一覧2というの各賃()」(「」。)「料相当損害金合計(円」欄記載の割合による賃料相当損害金の支払をそれぞ)れ求めた事案である。 争いのない事実等(1)原告らは,本件各土地をそれぞれ所有している。 個別の所有関係については,別紙一覧1及び別紙一覧2の各「原告」欄記載の各原告が,同各欄に対応する「物件番号」欄によって引用される別紙各物件目録AないしD記載の各土地( 土地をそれぞれ所有している。 個別の所有関係については,別紙一覧1及び別紙一覧2の各「原告」欄記載の各原告が,同各欄に対応する「物件番号」欄によって引用される別紙各物件目録AないしD記載の各土地(その位置関係については,別紙「原告所有地図面」のとおりである)を所有している(ただし,別紙一覧1及び同。 2の「持分」欄に記載がある土地については,その持分を有している。 。)(2)被告は,岐阜県,同県羽島郡笠松町及び同郡岐南町が競馬実施に関する事務を共同処理するため,地方自治法に基づいて昭和45年4月に設立した 一部事務組合で,現在は笠松町が管理者として職務を行い,B競馬を開催する者である。 (3)被告は,設立以来,本件各土地を賃借して占有し,B競馬場として使用してきた。 争点及び当事者の主張(1)本件の争点は,次の3点である。 争点①被告の占有権原の有無(賃貸借契約が終了したか否か)。 争点②原告の本件明渡請求が権利濫用又は信義則違反か否か。 争点③賃料相当損害金の額(2)被告の占有権原(賃借権)の有無(争点①)(被告の主張)ア被告は,原告らとの間で,本件各土地について,契約期間を競馬開催終了までとする賃貸借契約を締結している(ただし,賃料については,前年の競馬売上額に応じて,1年ごとに見直しを行う。 。)被告は,同契約による占有権原に基づき,本件土地を占有している。 イすなわち,上記賃貸借契約の目的は,競馬場という恒久的な施設の存続を前提とするものである。 そして,契約書上の「契約期間」は,賃料据え置き期間を示したものにすぎない。さらに,この約定には,賃料改定の合意ができなかった場合には,前年の賃料が引き継がれるとの合意が含まれている。 契約期間を1年間とする旨契約書上に定めたのは,平成14年度ころからB競 のにすぎない。さらに,この約定には,賃料改定の合意ができなかった場合には,前年の賃料が引き継がれるとの合意が含まれている。 契約期間を1年間とする旨契約書上に定めたのは,平成14年度ころからB競馬の存続が危ぶまれ,その後,毎年大幅な賃料の減額が予想され,賃料改定交渉がそれまで以上に重要になったからである。 (原告らの主張)ア原告らと被告との間で,本件各土地について契約期間を競馬開催終了までとする賃貸借契約が成立しているとの主張は否認する。 原告らが,被告と締結していた,本件各土地に係る賃貸借契約は,後記イの理由から,契約期間を1年間とするものであり,平成18年3月31日に期間満了となり,終了している。そして,その後,新たな賃貸借契約は締結していない。 イ①平成13年度までは「競馬の存続する期間」とされていた契約期,間が,平成14年度以降,1年間と明文化されたこと,②平成16年9月から原告らの代理人として,弁護士(原告ら訴訟代理人)が就任し,契約締結にあたり,毎年3月31日をもって賃貸借契約が終了することを前提に被告と協議してきたこと,③同協議の中で,被告から「期間満了により終了する」との文言が提案されたこと,④特に,平成17年度に。 おける賃貸借契約については,B競馬存続の試験期間とする意味合いで原告らは賃料も実質的には無償として契約を締結したこと,⑤被告は,平成16年12月の「B競馬経営問題検討委員会」の報告書においてB競馬の廃止を提言し,以後,かかる提言のもと廃止の方向で議論されてきたことなど,本件賃貸借契約の成立の経緯や状況から,本件賃貸借契約の契約期間は,1年間である。 (3)原告の本件明渡請求が権利濫用又は信義則違反か否か(争点②。 )(被告の主張),,,被告は原告らとの賃貸借契約の目的に従い 経緯や状況から,本件賃貸借契約の契約期間は,1年間である。 (3)原告の本件明渡請求が権利濫用又は信義則違反か否か(争点②。 )(被告の主張),,,被告は原告らとの賃貸借契約の目的に従い現在も本件各土地において競馬業務を行っている。その使用目的は従前から変更されていないこと,原告らも競馬の存続を望み,本件訴訟の眼目は賃料の増額請求にほかならないこと,競馬開催の中止は,競馬に関わる相当多数の関係者に破滅的な悪影響を与えることからすると,原告らが,被告に対し,本件各土地の明渡しを求めることは信義則に反し,権利の濫用である。 (原告らの主張)ア権利濫用又は信義則違反であるとの被告の主張は争う。 原告らは,競馬存続を望んでいること,本件訴訟の眼目が増額請求にあること及び競馬開催の中止は,競馬に関わる相当多数の関係者に破滅的な悪影響を与えることは否認する。 イ原告らは,平成15年3月の時点で,B競馬の存続が危ぶまれていることを聞き,競馬廃止後の原状回復という問題に思いが至り,被告に対し,何度も協議を申し入れたが,被告はこの問題をまともに取り上げようとしてこなかったものである。 (4)賃料相当損害金の額(争点③)(原告らの主張)本件各土地の賃料は年々減額され,近年だけを見ても,1坪当たりの年額は,平成14年度には2970円,平成15年度には2680円,平成16年度には2140円,平成17年度には固定資産税相当額(原告らには何らの利益もないという意味では,実質的な賃料は零円)であった。 そして,平成17年度の賃料は,同年度にB競馬が試験的に存続されることになり,例外的に受け入れたものである。 よって,賃料相当損害金の額は,平成17年度の賃料額を参考にすべきではなく,少なくとも平成16年度の賃料額である1坪当たりの年額2140円 的に存続されることになり,例外的に受け入れたものである。 よって,賃料相当損害金の額は,平成17年度の賃料額を参考にすべきではなく,少なくとも平成16年度の賃料額である1坪当たりの年額2140円を下らない。 (被告の主張)争う。 第3当裁判所の判断 認定事実証拠(甲1ないし6,7の1ないし4,8ないし15,16の1ないし3,17の1ないし4,25の1ないし4,26の1ないし4,27,31,乙1ないし6,10,16)及び弁論の全趣旨によれば以下の事実が認められる。 (1)B競馬の概要 ア沿革B競馬は,昭和9年ころを起源とし,第二次世界大戦後は,昭和23年に施行された競馬法により,岐阜県,岐阜市及び大垣市に施行権が付与され,岐阜県に施行が委託されたことにより開始された。 前記争いのない事実等に記載のとおり,昭和45年4月に一部事務組合である被告が設立され,B競馬を開催し,現在に至っている。 (甲2,3,乙2ないし4)イ施設及び職員数等被告が運営する施設は,B競馬場本場(以下「B競馬場」という)と。 岐阜県恵那市に所在する専用場外施設「シアターC」がある。 B競馬場は,木曽川の堤防(二重堤防)に囲まれた土地に所在し,周長1100メートル,幅20メートルの走路,観客の収容能力1万6000人,866馬房(平成16年4月1日現在)を有する厩舎,約2000台分の駐車場(5か所)などの施設がある。その敷地面積は約29.8ヘクタールに達するが,本件各土地を含め,その約98%は借地である。 また,平成18年当時の職員数は,事務局職員44名(派遣,嘱託,日雇いを含む,調教師33名,騎手20名,きゅう務員115名,従事。)員(勝馬投票券の発売業務を行う者など)121名で,同時期の在きゅう馬は531頭であった。 なお,B競馬への来場者数は 嘱託,日雇いを含む,調教師33名,騎手20名,きゅう務員115名,従事。)員(勝馬投票券の発売業務を行う者など)121名で,同時期の在きゅう馬は531頭であった。 なお,B競馬への来場者数は,平成15年度において約97万6000人であった。 (甲1,2,乙2,3)ウB競馬の果たしてきた役割(ア)構成団体への収益金の配分B競馬の収益金は,平成4年度までに岐阜県に約192億円,笠松町に約33億円,岐南町に約19億円配分され(合計約244億円,畜) 産振興,社会福祉,医療普及,教育振興,スポーツ振興などの事業に投資され,上記各自治体の財政に貢献した。 しかし,平成5年度以降は,経営状況の悪化に伴い,上記3地方公共団体への収益の配分は行われなくなった。 (イ)地方競馬全国協会への交付金被告は,競馬法23条に基づき,地方競馬全国協会への交付金(赤字の場合にも原則として支払う必要がある)を支払ってきた。その総額。 は,平成15年度までに約137億円に達した。そして,交付金は,全国の畜産振興に役立てられてきた。 しかし,平成17年度以降は,同法23条の2により,交付金の支払期限を延長することが認められるようになり,被告も同条の適用を受けて,交付金の支払を先延ばしにしている状態である。 (ウ)公営企業金融公庫への納付金被告は,地方財政法32条の2に基づき,公営企業金融公庫に売上金。 ,。 の一部を納付してきたその総額は平成4年までに約64億円に上るただし,公営企業金融公庫への納付金は,競馬事業が赤字の場合は,翌年度に全額還付されるため,平成5年度以降は全額還付されている。 (エ)地域経済への貢献被告による競馬の開催は,関係者の雇用の創出と関連産業を通じて,地域経済で一定の役割を果たしてきた。 (甲2,乙16)エ平成16年 ,平成5年度以降は全額還付されている。 (エ)地域経済への貢献被告による競馬の開催は,関係者の雇用の創出と関連産業を通じて,地域経済で一定の役割を果たしてきた。 (甲2,乙16)エ平成16年度までの経営状況(ア)売上及び収支被告設立以降の勝馬投票券の売得金額は,初年度の昭和45年度の約207億円から上昇を続けたが,昭和55年度の約445億円を頂点に減少に転じ,平成15年度には約174億円まで落ち込んだ。 そして,被告は,設立以降,黒字を計上し,平成3年には積み立てられた財政調整基金(以下「基金」という)が約52億円に達していた。 が,平成5年度に,実質単年度赤字に転落し,平成16年度まで単年度赤字が継続した。そのため,被告は,基金からの赤字填補を余儀なくさ,。 れ平成15年度末には基金の残高が約5億6000万円まで減少した(甲2,乙2ないし5)(イ)経営改善へ向けた取組み,,売上げが下降局面に入った平成4年度から平成10年度まで被告は競馬ファンを誘致し売上の増加を図るため,専用場外施設であるシアターCの開設,D競馬場での場外発売開始,レースの新設,投票方式の拡大などの売上向上策やマークシート読取機や自動払戻機の導入などの経営の合理化策を講じた。 なお,シアターCは,平成10年4月にオープンし,敷地及び施設とも被告の自己所有であるが,地方債の償還金残高が平成15年度末で約8億8000万円あり,毎年度約2億7000万円の財政負担となっており,償還は平成19年度まで継続することとなった(甲2)。 (ウ)「B競馬経営改善計画」の策定被告は,経営状況の悪化を踏まえ,B競馬経営改善計画策定委員会を設置し,平成14年1月「B競馬経営改善計画」を取りまとめ,借地,料や賞金などの経費節減策を講じたが,経営状態は改善せず, 画」の策定被告は,経営状況の悪化を踏まえ,B競馬経営改善計画策定委員会を設置し,平成14年1月「B競馬経営改善計画」を取りまとめ,借地,料や賞金などの経費節減策を講じたが,経営状態は改善せず,同年10月と平成15年10月,同改善計画の見直しを迫られた。 (甲2,乙3,4)(エ)B競馬経営問題検討委員会の設置前記のとおり,平成15年度も単年度赤字が続き,基金残高も約5億6000万円まで落ち込んだ。そこで,被告は,平成16年5月ころ,第三者(公認会計士,税理士,弁護士,学識経験者,報道関係者,財界 関係者等)24名を構成員とするB競馬経営問題検討委員会(以下「検討委員会」という)を設置し,B競馬の競馬振興及び経営改革並びに。 B競馬の今後の在り方に関する提言及び提案を求めることとした。 検討委員会は,同年12月2日,報告書(甲2)を作成し,既に実施された経営改善策による効果が限界に達していることを前提としてB,「競馬の第1の目的である地方財政に対する貢献ができないこと及び今後の自立的経営が困難となっていることから,競馬事業は速やかに廃止すべきである」との提言をした。 。 (甲2,4)(2)原告らと被告との賃貸借契約の経緯ア被告と地主組合との賃貸借契約の締結方法前記のとおり,B競馬場の敷地は,その大半が借地である。 そして,原告らを含む敷地の所有者らは,E鉄道を除き,敷地の所在ごとに「地主組合(民法上の組合であるとは認められない)と呼ばれる,」。 集団を作り,B競馬が開設された当時から地主組合ごとに本件各土地を競馬主催者に賃貸しており,昭和45年に被告が設立され,B競馬の主催者となった際,被告との間で,本件各土地の賃貸借契約を締結した。 地主組合の数は,平成16年度時点で,11組合あり,本件訴訟の原告となっているの 賃貸しており,昭和45年に被告が設立され,B競馬の主催者となった際,被告との間で,本件各土地の賃貸借契約を締結した。 地主組合の数は,平成16年度時点で,11組合あり,本件訴訟の原告となっているのは,そのうち,F地主組合(組合長:甲事件原告G,H)(),()地主組合組合長:甲事件原告IJ地主組合組合長:甲事件原告K及びL地主組合(組合長:甲事件原告M)の4組合(以下「本件4地主組合」という)に加入する者の一部である。 。 原告らの所有地のおよその位置関係は別紙「原告所有地図面」のとおりである。本件各土地は,B競馬場のスタンドや走路等の競馬場施設の主要部分の敷地となっていることが認められる。 (甲6,7の1ないし4,17の1ないし4,25の1ないし4,27, 31,37,乙6,弁論の全趣旨)イ契約期間の定め原告らと被告との平成13年度までの賃貸借契約書では「賃貸借期間,,。」,は契約締結の日より競馬の存続する期間とすると記載されていたが平成14年度以降の賃貸借契約書では,賃貸借期間は,各年度の4月1日から翌年3月31日までの1年間とされた。 (甲6,7の1ないし4,17の1ないし4,25の1ないし4)ウ賃料の額の改定本件各土地の賃料は,時々改定されたが,昭和57年から平成8年までは3.3㎡(1坪)あたり,年額5000円以上であったが(以下,賃料については,いずれも3.3㎡(1坪)あたりの年額を示す,平成9。)年及び平成10年度は4950円となり,平成11年度以降は,毎年減額改定された。 なお,平成13年度より借地の使用頻度によってランク分けされ,賃料の高い方からAないしCランクに区分けされた。本件各土地は,原告A所有の別紙「物件目録D」記載のD012ないしD016の土地5筆を除き,いずれもAラ 度より借地の使用頻度によってランク分けされ,賃料の高い方からAないしCランクに区分けされた。本件各土地は,原告A所有の別紙「物件目録D」記載のD012ないしD016の土地5筆を除き,いずれもAランクとされた。 エ平成15年度の賃貸借契約の経緯原告らは,平成15年3月,赤字経営が続くB競馬場の将来展望に不安を抱くようになり,本件各土地の賃貸借契約改定の申し出に際し,弁護士を代理人として,被告とその構成員である関係地方公共団体に対し,B競馬の経営健全化を求めるとともに,競馬が廃止となった場合の施設の撤去等の原状回復や転用などの対策を求めることを要望した。これに対し,被告は,競馬を継続する意向であり,廃止すること及び施設を撤去する事態は想定していない旨回答していた(甲8ないし11)。 オ平成16年度の賃貸借契約の経緯 被告は,原告らと平成16年度の本件各土地の賃料について合意に至らず,賃貸借契約を締結することなく,平成16年4月1日以降,本件各土地を使用して競馬開催を継続することとなった。 原告らの所属する本件4地主組合及びN組合は,平成16年11月19日,被告を相手方として,同年3月31日の経過をもって,本件各土地の賃貸借契約が終了したとして,賃料相当損害金の支払を求める民事調停を申し立てたが,同年12月15日,調停不成立で終了した(甲12)。 上記5組合は,同月21日,被告を相手取り,賃料相当損害金の支払を求める訴えを提起した(甲13)。 (3)平成17年度の状況ア平成17年度のB競馬の試験的存続岐阜県,笠松町及び岐南町は,平成17年2月3日,平成17年度以降のB競馬の存続について三者協議B競馬構成団体首長会議を行い税(),「金での赤字補填はしないことを大前提として,平成17年度1年間は,試験的に継続す 平成17年2月3日,平成17年度以降のB競馬の存続について三者協議B競馬構成団体首長会議を行い税(),「金での赤字補填はしないことを大前提として,平成17年度1年間は,試験的に継続する」こと及び「年末には,存続が可能かどうかを点検する。 そして,赤字となれば廃止する」ことを確認し,被告の体制を一新する。 ,。 こととし管理者を岐阜県副知事からO笠松町長に交代することを決めた三首長は,同日,共同記者会見を実施し,地主ら関係者が,地代を固定資産税相当額とすることを了承し,平成16年12月に提起した地代をめぐる訴訟を取り下げるなど,経費縮減に協力する気持ちが強いことや,売上の増加をめざし,㈱Pによるインターネット馬券販売や北海道生産者のアイデアを活用することなどを表明した(甲16の1ないし3,乙10)。 B競馬の平成17年度決算は,1億1153万円余の単年度黒字になった。しかし,勝馬投票券の売上は,平成16年度の127億円に対し,平,()。 成17年度は113億円と対前年比約89%約11%減と減少した黒字となったのは,固定経費等の削減額約7億2500万円であったこと (削減の内訳は,賞金等約3億円,保守委託料等約1億7000万円,借地料約1億1000万円,人件費約7600万円,従事員雇用経費約6900万円である)と,同年度から認められた地方競馬全国協会への交付。 金の支払の猶予(同年度5200万円)及びシアターC建設の起債の元金借換債(同年度1億9500万円)を歳入として計上できたことが大きく反映したためであり,実質的に見ると赤字であり,厳しい経営状況にあることを被告自身が認識せざるを得なかった。 (乙16)イ原告らと被告との賃貸借契約締結前記のとおり,被告が,平成17年2月3日に1年間の試験存続を決め 的に見ると赤字であり,厳しい経営状況にあることを被告自身が認識せざるを得なかった。 (乙16)イ原告らと被告との賃貸借契約締結前記のとおり,被告が,平成17年2月3日に1年間の試験存続を決めたことを受け,原告らもこれに協力することを決め,同月4日,前記5組合は前記訴えを取り下げた。 そして,原告らは,そのころ,平成16年度の賃貸借契約を締結し,同,,,年度の賃料については平成16年4月分に遡ってAランク2140円Bランク1880円(原告A所有の別紙「物件目録D」記載のD012ないしD016の土地5筆)とし,平成17年4月1日頃,同年度の賃貸借契約を締結し,賃料を一律に固定資産税相当額とすることで合意した(甲13な。 いし15,17の1ないし4,25の1ないし4,弁論の全趣旨)(4)売上額,歳出合計額及び賃料額の推移ア平成10年度以降のB競馬売上額の推移は次のとおりである(1億円以下切り捨て。以下において,対前年比及び指数はいずれも小数点以下,四捨五入(乙6))。 年度売上対前年比指数平成10年度285億円 平成11年度275億円4%減 平成12年度243億円12%減 平成13年度229億円6%減 平成14年度213億円7%減 平成15年度173億円19%減 平成16年度127億円27%減 平成17年度113億円11%減 イ平成10年度から平成16年度までの各年度における賃料額(平成13,)。()年度以降はAランクの賃料の推移を示すと次のとおりである乙6年度賃料対前年比指数平成10年度4950円 平成11年度4700円5%減 平成12年度4450円5%減 平成13年度3650円 示すと次のとおりである乙6年度賃料対前年比指数平成10年度4950円 平成11年度4700円5%減 平成12年度4450円5%減 平成13年度3650円18%減 平成14年度2950円19%減 平成15年度2680円9%減 平成16年度2140円20%減 ウ平成14年度から平成17年度までの歳出合計を示すと次のとおりである(金額は100万円未満切り捨て(乙5))。 年度歳出合計対前年比指数平成14年度230億0800万円 平成15年度189億6600万円18%減 平成16年度142億9000万円25%減 平成17年度124億9600万円13%減 エ平成14年度から平成17年度までの借地料合計の推移及び借地料合計の歳出合計に占める割合を示すと次のとおりである(金額は100万円未満切り捨て。借地料合計の割合は,小数点第2位以下四捨五入(乙5))年度借地料合計対前年比指数借地料合計の歳出合 計に対する割合平成14年度2億5600万円 1.1%平成15年度2億1500万円16%減 1.1%平成16年度1億6900万円21%減 1.2%平成17年度5000万円70%減 0.4%オ平成17年度の歳出合計のうち,賞金・手当の額は約10億8700万円で前年比約23%の減少,委託料の額は4億1000万円で前年比約29%の減少,従業員賃金の額は約1億4700万円で前年比約30%の減少であった(乙5)。 (4)平成18年度の賃貸借契約締結交渉被告は,平成18年1月10日以降,地主組合と平成18年度の賃料について協議を行った。しかし,本件4地主組合は,同年2月27日に開催さ 少であった(乙5)。 (4)平成18年度の賃貸借契約締結交渉被告は,平成18年1月10日以降,地主組合と平成18年度の賃料について協議を行った。しかし,本件4地主組合は,同年2月27日に開催された協議を最後に,協議から離脱した(弁論の全趣旨)。 本件4地主組合の代理人は,同年3月9日,被告に対し,試験存続期間は平成17年度で終了したとして,平成18年度については,平成16年度の賃料を踏まえて,1坪あたり1920円を要求する旨の通知をした(甲2。 6の1ないし4)これに対し,被告は,同月16日,被告の厳しい経営状態から平成18年度の賃料としては,平成17年度の賃料(固定資産税相当額)の20%増の額(総額6300万円)を提示可能な最大限の額であると回答した(甲2。 7)原告らと被告は,平成18年度の賃貸借契約を締結しないまま,本件訴訟に到った(弁論の全趣旨)。 争点①(被告の占有権原(賃借権)の有無)について(1)被告は,原告らとの間で,本件各土地について,契約期間を競馬開催終了までとする賃貸借契約を締結しており,契約書上の「契約期間」は,賃料 据え置き期間を示したものにすぎず,賃料改定の合意ができなかった場合には,前年の賃料が引き継がれるとの合意が含まれているから,同契約による占有権原に基づき,本件土地を占有している旨主張するので検討する。 (2)この点,前記認定のとおり,本件各土地は,昭和9年ころから競馬場として使用されてきたもので,証拠(甲7,17,25の各1ないし4)及び弁論の全趣旨によれば,平成14年度以降の契約書においても,本件各土地の使用目的が,被告の運営する競馬業務に関する施設等の用地とすることを定めていることが認められる。 ところで,前記認定事実のとおり,平成13年度以前の契約書では契約期間は競馬 においても,本件各土地の使用目的が,被告の運営する競馬業務に関する施設等の用地とすることを定めていることが認められる。 ところで,前記認定事実のとおり,平成13年度以前の契約書では契約期間は競馬終了までとされていたものを,平成14年度以降の契約書においては,契約期間が1年間に変更され,各年度の4月1日から翌年の3月31日までとされたことが認められる。 契約期間が1年間に変更された理由や経緯は,本件証拠上,明らかではない。乙9によれば,被告の財務規則において,被告の財務事務の取扱いについては,特別の定めがない場合には,岐阜県の事務取扱いの例によるとされていること,岐阜県会計規則により,賃借料に関する支出負担行為において契約書の作成が必要とされていることなどが認められるが,このような財務上の規則の存在によって,本件各土地の契約期間が,従前,競馬終了までとされていたものを,年度毎の1年間に限定すべき必要があったのかは疑問である。 (3)被告は,契約書上の「契約期間」を賃料改定期間と解するべきであると主張するが,契約上の文言に反する解釈である。 また契約が継続することを前提として,賃料改定期間を定めたとすれば,賃料改定の方法や当事者間に改定賃料の合意ができない場合の賃料額をどうするか(前年の賃料を取りあえず維持する等)などを,契約書上で定めるの,。(,が自然であると思われるがそのような定めが全く置かれていない甲7 17,25の各1ないし4)以上によれば,契約書上の「契約期間」を単なる賃料改定期間と解するべきであるとする被告の主張を採用することはできない。 (4)本件各土地の賃貸借契約の期間は,契約書に定めたとおり1年間と解するべきである。 しかしながら,契約書上の契約期間が1年とされたとはいえ,本件各土地の賃貸借契約が長年 用することはできない。 (4)本件各土地の賃貸借契約の期間は,契約書に定めたとおり1年間と解するべきである。 しかしながら,契約書上の契約期間が1年とされたとはいえ,本件各土地の賃貸借契約が長年にわたって継続されてた経緯及び,本件各土地には競馬場施設が存在していることに鑑みると,本質的に継続的な契約であり,契約当事者は,競馬事業が円滑に継続される限り,本件各土地の賃貸借契約を更新し,継続させるという意思を有していたことが推認される。 そうすると,契約期間の1年が経過することにより,直ちに賃貸借契約が終了すると解することは,相当ではなく,契約更新に際し,契約当事者は,本件各土地賃貸借の経緯及びB競馬の実情等を踏まえたうえで,更新時における合理的な契約条件(賃料の額)を合意するよう努力すべき,継続的な契。 ,約における信義則上の義務を負っていると解することが相当であるそしてそのような信義則上の義務を負っている間は,期間の経過による賃貸借契約の終了を主張し得ないと解する余地がある。 もっとも,賃貸借契約の双方当事者が合意の上で,契約期間をあえて1年間に限定している以上,契約の更新時に賃貸借契約の要素である賃料の額について合意に至らず,当事者間において,本件各土地賃貸借の経緯及びB競馬の実情等を踏まえたうえで,交渉等によって合理的な合意が成立するとい,,う見込みが立たない場合には上記の信義則上の義務による拘束がなくなり結局,賃貸借契約書の条項に従って,契約期間の経過によって賃貸借契約が終了すると解さざるを得ない。 (5)本件における賃料額の改定の推移に照らすと,被告の売上額の減少に概ね沿うように本件各土地の賃料を減額することを,双方当事者が契約の基礎 として黙示的に合意していたと推認できるところである。 ところで,前記認定のとおり 定の推移に照らすと,被告の売上額の減少に概ね沿うように本件各土地の賃料を減額することを,双方当事者が契約の基礎 として黙示的に合意していたと推認できるところである。 ところで,前記認定のとおり,平成17年度の本件各土地の賃料については当事者間で,固定資産税相当額で合意したことが認められる。 この賃料額が,平成18年度以降の土地賃貸借契約の継続を前提として,その基礎となるような賃料額として定められたものであるならば,被告が平成18年度の賃料額として提示した固定資産税相当額の20%増という額は,一応相応の提示額ということになり,原告らは,被告の提示額を前提と,。 して賃料額の合意に努める信義則上の義務を負うことになると考えられるしかしながら,前記認定のとおり,平成17年のB競馬開催は,平成16年12月に検討委員会から「B競馬の第1の目的である地方財政に対する,貢献ができないこと及び今後の自立的経営が困難となっていることから,競馬事業は速やかに廃止すべきである」という提言がなされた後,平成17。 年2月にB競馬構成団体首長会議において「平成17年度1年間は,試験,的に継続する」こと及び「赤字となれば廃止する」ことを確認した上,施。 行されたものである。そうすると,原告らは,赤字となれば廃止というB競馬の平成17年度の競馬開催に協力するため,同年度における賃料額を固定資産税相当額とすることを受け入れたと考えることが自然であり,その後の賃料額を固定資産税相当額を基礎として定めることまで受け入れて合意したものとは認められない。 また,前記認定のとおり,平成17年度の平成16年度に対する売上が約11の%減少,歳出合計が13%の減少という状況で,借地料合計については70%の減少となっており,賞金・手当や従業員賃金等他の歳出項目の減少割合が とおり,平成17年度の平成16年度に対する売上が約11の%減少,歳出合計が13%の減少という状況で,借地料合計については70%の減少となっており,賞金・手当や従業員賃金等他の歳出項目の減少割合が30%以下であることに比しても大幅な減少となっており,原告らが固定資産税相当額を継続性のある賃料額として受け入れたものとは考え難い。 (6)以上のことから,原告らが,被告の提示した固定資産税相当額の20% 増という平成18年度の賃料額について,受け入れを前提とする交渉の姿勢を見せなかったことが,継続的な賃貸借契約の合意の基礎を逸脱し,前記信義則上の義務に違反するとは認められない。 そうすると,前記のとおり,本件各土地の賃貸借契約の契約期間は,契約書の記載どおり,1年であると認められるところ,本件賃貸借契約の経緯及びB競馬の実情等を加味しても,原告と被告との間で賃料額について合理的な合意をする見込みが認められないから,原告らと被告との間で締結されていた本件各土地の賃貸借契約は,平成18年3月31日をもって終了したとする原告らの主張を排斥すべき理由は見い出し得ないというべきである。 (7)以上要するに,本件各土地の賃貸借契約の賃貸借期間は,契約書どおり1年間と解すべきであり,本件において,原告らが被告の提示した平成18年度賃料額を受け入れなかったことが,上記賃貸借契約の継続的性質から生じる信義則上の義務に違反したとも認められないから,原告らが契約期間の経過による賃貸借契約の終了を主張することを妨げないと解すべきである。 よって,本件各土地の賃貸借契約は平成17年の賃料額(あるいは被告が平成18年度賃料額として提示した固定資産税相当額の20%増の額)を賃料額として継続している旨の被告の主張は採用することができない。 争点②(原告の本件明渡請 は平成17年の賃料額(あるいは被告が平成18年度賃料額として提示した固定資産税相当額の20%増の額)を賃料額として継続している旨の被告の主張は採用することができない。 争点②(原告の本件明渡請求が,権利濫用又は信義則違反か否か)につい。 て(1)被告は,原告らとの賃貸借契約の目的に従い,現在も本件各土地におい,,,て競馬業務を行っているのでありその使用目的は変更されていないこと原告らも競馬の存続を望み,本件訴訟の目的は賃料の増額請求にほかならないこと,競馬開催の中止は,競馬に関わる相当多数の関係者に破滅的な悪影響を及ぼすことからすると,原告らが,被告に対し,本件各土地の明渡しを求めることは信義則に反し,権利の濫用である旨主張する。 (2)前記認定のとおり,本件各土地は,B競馬場のスタンドや走路等の競馬 場施設の主要部分の敷地となっていることが認められ,被告が,原告らに本件各土地を明け渡した場合,競馬開催は,事実上,不可能となると認められる。 そして,前記認定事実によれば,被告の事務局職員,調教師等の競技関係者従事員を合わせると,B競馬の開催に直接関係する者だけで300名を超え,この他にもB競馬に所有馬を預託している馬主,原告ら以外の地主,競馬場内外で観戦客を相手とした商売を営む者なども相当数に上ることが認められ,B競馬が廃止となった場合には,職を失い,生活の糧を失うに至る者が相当数生ずるといった事態の発生も予測される。 弁論の全趣旨によれば,本件4地主組合を除く地主組合や多数のB競馬関係者が,B競馬の存続を真摯に願っていることが認められ,これら関係者の心情はもっともである。 ,,,(3)しかしながら前記認定のとおりB競馬の存続が危ぶまれているのは平成5年頃から十数年にわたって,赤字経営が続いた結果であると とが認められ,これら関係者の心情はもっともである。 ,,,(3)しかしながら前記認定のとおりB競馬の存続が危ぶまれているのは平成5年頃から十数年にわたって,赤字経営が続いた結果であると評価することもできるところ,前記認定のとおり,検討委員会がB競馬の廃止を提言したこと及び検討委員会の検討内容等に鑑みると,B競馬は,いわゆる地方公営ギャンブルの機能とされる地方財政など社会への貢献もその役割を既に果たし終えたという評価も,なし得なくはないところである。 ところで,B競馬の平成17年度決算は,前記認定のとおり,B競馬関係者の努力により,1億1153万円余の単年度黒字となったことが認められるが,実質的には赤字という厳しい状況であったのであり,また前記認定のとおり,平成17年度は借地の賃料が固定資産税相当額となったため,借地料のみで1億円以上の経費削減効果があったものである。B競馬場の敷地はその大半が借地であることを考慮すると,厳しい経営環境の中で存続するためには,11地主組合を構成する多数の地主の全面的な協力が不可欠であろうと思われる。このような状況で,B競馬存続のために,固定資産税相当額 あるいはその20%増といった,自らの収益がほとんど見込まれないような賃料額を敢えて受け入れる地主らと,そのような低額の賃料額を受け入れられないとして,自らの土地の返還を求める原告らのような地主らが生ずることは,やむを得ないことと考えられる。そして,厳しい経営環境の中,B競馬の存続のための多数関係者らの努力は多とするとしても,原告らに対し,本件各土地明渡請求を差し控えることを要求すべき法律上の合理的な理由は,本件の主張上及び証拠上,見い出すことはできない。 以上によれば,多数関係者への影響を考慮しても原告らの明渡請求が権利の濫用又は信義則に 地明渡請求を差し控えることを要求すべき法律上の合理的な理由は,本件の主張上及び証拠上,見い出すことはできない。 以上によれば,多数関係者への影響を考慮しても原告らの明渡請求が権利の濫用又は信義則に違反するとまで認めることはできない。 (4)原告らの姿勢及び本件訴訟の目的について前記認定事実によれば,原告らは,被告の経営状態の悪化に伴い,相応の賃料の減額に応じ,平成17年度においては実質的に原告らの収益が零となる固定資産税相当額での賃料に合意し,試験的存続に協力したことが認められる。 前記認定のとおり,原告らは,平成18年度の賃料については1920円を要求していたことが認められるが,この額は,平成16年度の賃料額2140円の約10%減となり,前記認定の賃料額の減少の推移及び平成17年度の売上が平成16年度に比して約11%の減少であったことに照らすと,本件各土地の賃貸借契約が継続的性質を有し,前記のとおり当事者が賃料額の合意について努力すべき信義則上の義務を負っていることを考慮しても,原告らの提示額として不当に高額であったとまでは認められない(弁論の全趣旨に照らすと,原告らが自らの提示額に固執する意思を有していたとまでは認められない。 。)また,原告らの本件訴訟提起の目的が,強制執行によることが極めて困難であると考えられる本件各土地の明渡しの実現にあるのか,事実上,賃料の増額を意図したものであるのかといった点については,当裁判所がこれを認 定するに足る証拠はない。しかしながら,前記認定のとおり,原告らは,平成15年3月に,赤字経営が続くB競馬場の将来展望に不安を抱き,弁護士を代理人として,被告等に対し,競馬が廃止となった場合の施設の撤去等の原状回復等の対策を求めることを要望をしていること及び証拠に鑑みると,原告らが,真実は本件 B競馬場の将来展望に不安を抱き,弁護士を代理人として,被告等に対し,競馬が廃止となった場合の施設の撤去等の原状回復等の対策を求めることを要望をしていること及び証拠に鑑みると,原告らが,真実は本件各土地の明渡しを要求する意思がないのに,もっぱら賃料の増額のみを意図して本訴を提起したとまでは認めることができない。 以上によれば,原告らの姿勢及び本件訴訟の目的などから,本件明渡請求が権利の濫用又は信義則違反であることを積極的に基礎づけることはできないと考えられる。 (5)以上の次第で,恒久的な継続が前提となる競馬開催という被告の使用目的及び本件各土地の明渡しを認めた場合に予想され得る競馬廃止による関係者への影響並びに原告らの姿勢等を考慮しても,法的な観点からの検討による場合,原告らの被告に対する本件各土地の明渡請求が,土地所有者としての権利の濫用若しくは信義則違反に当たるとまでは認められない。 争点③(賃料相当損害金の額)について(1)前記認定事実によれば,原告らの本件各土地の賃料は,昭和52年度から平成11年度まではの期間は,1坪あたり年額5000円前後とされてきたが,平成12年度以降は,毎年賃料が減額されるようになり,平成16年,,,度にはAランクの土地が2140円Bランクの土地が1880円とされ平成17年度には,一律に固定資産税相当額とされたことが認められる。 (2)ところで,本件各土地は,形状や面積等は様々であり,一団となって,長年にわたり競馬関係施設の用地として使用されることを目的に賃貸されてきたものであり,現時点においては,本件各土地が被告以外の者に賃貸されることは想定しがたいから,その賃料相当損害金の算定に当たっては,被告と賃貸借契約を結ぶとすればいくらが適正賃料であるかを検討せざるを得ないというべきである。 ,本件各土地が被告以外の者に賃貸されることは想定しがたいから,その賃料相当損害金の算定に当たっては,被告と賃貸借契約を結ぶとすればいくらが適正賃料であるかを検討せざるを得ないというべきである。 (3)そして,前記認定事実のとおり,平成17年度の賃料(固定資産税相当額)は,試験的存続に原告らも協力するために合意したものであり,原告らとしては翌年度以降も平成17年度と同水準の賃料で合意する意図を有していたとは考えられず,客観的に見ても,実質的に地主の収益がない賃料というのは相当であるとはいえないから,平成17年度の賃料を適正賃料の算定の基礎にすべきではないというべきである。 (4)そうすると,例外的である平成17年度を除き,直近であり,かつ,これまでの賃料で最も低額であった平成16年度の賃料を基礎として,平成16年度までの売上額及び賃料額の推移並びに平成17年度の売上額を踏まえて,平成18年3月31日をもって賃貸借契約が終了したと認められる本件各土地の同年4月1日以降の賃料相当の損害金については,当裁判所の裁量的認定をもって定めることが相当である。 そこで,上記諸事情を考慮して,賃料相当損害金を,Aランクの土地について,平成16年度の賃料額2140円の概ね20%減に相当する1700円,Bランクの土地について,平成16年度の賃料額1880円の概ね20%減に相当する1500円と認めることが相当である。 そして,本件各土地のうち,原告A所有に係る別紙「物件目録D」記載のD012ないしD016の土地5筆のみBランクとされたの除き,すべてAランクとされたことが認められる。 (5)よって,本件各土地のうち,原告A所有に係る別紙「物件目録D」記載のD012ないしD016の土地についての賃料相当損害金は3.3㎡(1坪)あたり年額1500円,そ されたことが認められる。 (5)よって,本件各土地のうち,原告A所有に係る別紙「物件目録D」記載のD012ないしD016の土地についての賃料相当損害金は3.3㎡(1坪)あたり年額1500円,その余の土地は3.3㎡(1坪)あたり年額1700円であると認められる。 結論 よって,原告らの請求のうち,所有権(共有持分権)に基づく明渡請求にはいずれも理由があり,原告らの賃料相当損害金請求は,原告Aが所有する別紙 「物件目録D」記載のD012ないしD016の土地に関する部分を除き,1か年あたり,3.3㎡(1坪)につき1700円の支払を求める限度で,原告A所有の同土地に関する賃料相当損害金請求は,1か年あたり,3.3㎡(1坪)につき1500円の支払を求める限度でそれぞれ理由があるから,これらの限度で認容することとし,原告らのその余の賃料相当損害金請求は理由がないから,これを棄却することとし,仮執行宣言については,相当でないからこれを付さないこととし,主文のとおり判決する。 岐阜地方裁判所民事第1部裁判長裁判官野村高弘裁判官岩井直幸裁判官髙木博巳は,転補につき署名押印することができない。 裁判長裁判官野村高弘(別紙省略)

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