主文 一、 原判決のうち控訴人らと被控訴人Aに関する部分を次の括弧内のとおり変更する。「1 控訴人らは各自被控訴人Aに対し金二〇一万三、〇二四円および内金一八一万三、〇二四円に対する昭和四二年二月二四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。2 被控訴人Aのその余の請求を棄却する。」二、 控訴人らの被控訴人Bに対する控訴を棄却する。三、 訴訟費用は第一、二審を通じ二分し、その一を控訴人らの連帯負担とし、その余を被控訴人らの負担とする。四、 この判決は仮に執行することができる。事実 一、 申立控訴代理人は、「原判決のうち控訴人らの敗訴の部分を取消す。被控訴人ら請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。二、 主張、証拠当事者双方の事実上の主張、証拠は、次に附加するほか原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。(控訴人らの主張) 1 控訴人車輌が被控訴人Aに衝突していないことは、同被控訴人の持つていた鶏卵などが、控訴人車輌の進路内に散乱していたことや、大型貨物自動車である控訴人車輌のバンパーの高さと同被控訴人の着用していたズボン擦過痕の位置の相違などから明らかである。2 損害額についていえば、主婦の労働能力の喪失を算定するに当つては、その生活費相当額を控除すべきであるし、被控訴人Aの休業期間は六カ月とみるのが相当である。また被控訴人Bの慰謝料は認容すべきではないし、被控訴人Aの慰謝料の認容額は高額に失する。(証拠)(省略) 理由 一、 昭和四二年二月二三日午後六時五分頃高崎市a町b番地先県道高崎渋川線 料は認容すべきではないし、被控訴人Aの慰謝料の認容額は高額に失する。(証拠)(省略) 理由 一、 昭和四二年二月二三日午後六時五分頃高崎市a町b番地先県道高崎渋川線において交通事故が発生し、被控訴人Aが負傷したことおよび当時控訴人Cが控訴人会社所有の貨物自動車を運転して前記道路を高崎方面から渋川方面に向つて進行していたことは、当事者間に争いがない。 日午後六時五分頃高崎市a町b番地先県道高崎渋川線 料は認容すべきではないし、被控訴人Aの慰謝料の認容額は高額に失する。(証拠)(省略) 理由 一、 昭和四二年二月二三日午後六時五分頃高崎市a町b番地先県道高崎渋川線において交通事故が発生し、被控訴人Aが負傷したことおよび当時控訴人Cが控訴人会社所有の貨物自動車を運転して前記道路を高崎方面から渋川方面に向つて進行していたことは、当事者間に争いがない。二、 当裁判所は、当審における証拠調の結果を参酌しても、前記事故は、控訴人Cが前方注視義務を怠り、その運転していた貨物自動車の前部バンパーを被控訴人Aに接触転倒させた結果生じたものと判断する。その理由は、原判決の理由と同一であるから、その記載を引用する。原審および当審における控訴人C本人尋問の結果のうち前記認定に反する部分はにわかに措信し難い。三、 そうすると、控訴人Cは民法七〇九条により、控訴人会社は成立に争いのない甲第一五号証によれば自己のため前記貨物自動車を運行の用に供していたものと認められるから自賠法第三条により、それぞれ前記事故によつて生じた損害を賠償する責任がある。四、 よつて、まず被控訴人Aが前記事故によつて受けた傷害の部位、程度および労働能力の喪失の程度について判断する。成立に争いのない甲第五号証、乙第四号証から同第六号証まで、原審における被控訴人Aおよび同B各本人尋問の結果ならびに原審における鑑定人Dおよび同E各鑑定の結果を総合すれば、次の事実を認めることができる。被控訴人Aは事故当時三四才の健康な女子であつたが、本件事故により広範囲にわたる骨盤複雑骨折(腸骨、恥骨、坐骨々折)、右坐骨神経損傷、右大腿部挫創、中心性股関節脱臼、頭部挫創の傷害を受け、事故があつた当日である昭和四二年二月二三日高崎市c町d番地F外科病院に入院して治療 わたる骨盤複雑骨折(腸骨、恥骨、坐骨々折)、右坐骨神経損傷、右大腿部挫創、中心性股関節脱臼、頭部挫創の傷害を受け、事故があつた当日である昭和四二年二月二三日高崎市c町d番地F外科病院に入院して治療を受け、同年六月二三日退院し、その後も昭和四三年二月五日までの間一七日通院治療を受けた。昭和四四年になつても痛むときは時々通院している。この受傷による後遺障害として、右脚(患側)は左脚(健側)よりも二センチメートル短くなり、変形性股関節症を生じ、これに基く疼痛と運動障害があり、跛行があつて歩行困難である。 傷害を受け、事故があつた当日である昭和四二年二月二三日高崎市c町d番地F外科病院に入院して治療を受け、同年六月二三日退院し、その後も昭和四三年二月五日までの間一七日通院治療を受けた。昭和四四年になつても痛むときは時々通院している。この受傷による後遺障害として、右脚(患側)は左脚(健側)よりも二センチメートル短くなり、変形性股関節症を生じ、これに基く疼痛と運動障害があり、跛行があつて歩行困難である。また、骨盤入口部および骨盤腔ともに右側からの骨突出があり、骨盤腔変形に伴う産道の狭窄が認められ、安産は困難である。現在なお腰と脚がしびれ、常時コルセツトを着用し、寝たり起きたりの生活を余儀なくされている。前記変形性股関節症は、現状のままで経過するよりも、徐々に増悪する可能性が大きい。五、 そこで被控訴人らの損害額について検討する。(一) 被控訴人Aの得べかりし利益の喪失前記認定の事実よりすれば、被控訴人Aは事故後一年間は労働能力を全面的に喪失し、その後三五才から六三才までの二八年間は労働能力の三割を喪失したものと推認するのが相当である。ところで、原審における被控訴人Bおよび同A各本人尋問の結果によれば、被控訴人Aは事故当時、主婦として家事労働に従事するかたわら、臨時に南信社に日給五〇〇円で雇われていたことが認められるが、このような場合に臨時雇の収入を取り上げて得べかりし利益算定の基準とすることは相当でなく、むしろ家事労働を主眼にして考察し、同被控訴人が主婦として家事労働に従事し得る期間を事故後二九年とし、当裁判所に顕著な労働省労働統計調査部編昭和四二年賃金構造基本統計調査報告にょる女子労働者の平均賃金(平均月間定期給与額二一、七〇 、同被控訴人が主婦として家事労働に従事し得る期間を事故後二九年とし、当裁判所に顕著な労働省労働統計調査部編昭和四二年賃金構造基本統計調査報告にょる女子労働者の平均賃金(平均月間定期給与額二一、七〇〇円、平均年間賞与その他特別給与四九、七〇〇円)をもつて家事労働の得べかりし利益とし、これを基準にして同被控訴人の得べかりし利益を算定すべきである。そうすると、同被控訴人の一年間の得べかりし利益は二一、七〇〇円の一二倍と四九、七〇〇円の合計三一万〇、一〇〇円となる。そこで、同被控訴人が得べかりし利益の総額を一時に請求するについて、事故当時における現在価額を求めると、310,100×0.9523=295,308310,100×0.3×(17.6293-0.9523)=1,551,4 これを基準にして同被控訴人の得べかりし利益を算定すべきである。そうすると、同被控訴人の一年間の得べかりし利益は二一、七〇〇円の一二倍と四九、七〇〇円の合計三一万〇、一〇〇円となる。そこで、同被控訴人が得べかりし利益の総額を一時に請求するについて、事故当時における現在価額を求めると、310,100×0.9523=295,308310,100×0.3×(17.6293-0.9523)=1,551,4 の二口合計一八四万六、七六九円となる。(二) 慰謝料(1) 被控訴人Aの慰謝料前掲各証拠によれば、被控訴人Aは本件事故による受傷後治癒した後も、右下肢に重さがかかると下肢のしびれ感が増強し、かつ右大腿の外転範囲が制限されるため、極めて不十分な性交しかできなくなつたことが認められるのであつて、これと前記第四項において認定した事実とを総合して考えると、同被控訴人の請求し得る慰謝料の額は一七〇万円と認定するのが相当である。(2) 被控訴人Bの慰謝料<要旨>夫は妻が生命を害された場合だけでなく、身体を害された場合にも自己の権利として慰謝料の請求を</要旨>することができるが、ただ身体障害の場合には、生命を害された場合にも比肩すべき、またこの場合に比して著しく劣らない程度の精神的苦痛を受けたときにかぎつて、慰謝料の請求をし得るものと解すべきところ、前記認定のとおり、妻であるAが骨盤複雑骨折、中心性股関節脱臼等の重傷を受け、片足が二センチメートル 著しく劣らない程度の精神的苦痛を受けたときにかぎつて、慰謝料の請求をし得るものと解すべきところ、前記認定のとおり、妻であるAが骨盤複雑骨折、中心性股関節脱臼等の重傷を受け、片足が二センチメートル短くなり、変形性股関節症による疼痛と運動障害およびこれらに伴う跛行ならびに骨盤腔変形に伴う骨産道の狭窄等の後遺症が存し、安産は困難となり、極めて不十分な性交しかできなくなつた事実からすれば、被控訴人Bは、妻の生命を害された場合に比して著しく劣らない程度の精神的苦痛を受けたものと認定するのが相当である。よつて同被控訴人は自己の権利として慰謝料の請求をし得るものといわなければならないが、その額は、前記認定事実からすると、五〇万円をもつて相当と認める。(三) 入院治療費、雑費、入院中の幼児の保育料成立に争のない乙第五、六号証、原審における被控訴人Bおよび同A各本人尋問の結果および弁論の全趣旨を総合すれば、被控訴人Aは、前記入院による治療費および雑費として合計八〇万九、五五五円を支払い、また入院中幼児の保育を他人に依頼したため三万二、四〇〇円の保育料を支払つたことを認めることができる。 の額は、前記認定事実からすると、五〇万円をもつて相当と認める。(三) 入院治療費、雑費、入院中の幼児の保育料成立に争のない乙第五、六号証、原審における被控訴人Bおよび同A各本人尋問の結果および弁論の全趣旨を総合すれば、被控訴人Aは、前記入院による治療費および雑費として合計八〇万九、五五五円を支払い、また入院中幼児の保育を他人に依頼したため三万二、四〇〇円の保育料を支払つたことを認めることができる。この合計は八四万一、九五五円となる。六、 控訴人らの過失相殺の主張について判断する。前認定の事実によれば、被控訴人Aは事故現場の道路を加害車両がすでに近くに迫つてから横断しようとして斜に歩いて道路の中心線に至つて立止まり、その直後に接触されたのであり、しかも甲第二五号証の二によれば同被控訴人が横断しようとした地点は横断歩道から約五〇米へだたつていたことが認められるから、この過失は損害賠償額を定めるにつき斟酌すべきであり、前認定の控訴人Cの前方不注視の過失と対比するときは、加害者被害者双方の過失の割合は八対二と認定するのが相当である。そうすると被控訴人Aに 、この過失は損害賠償額を定めるにつき斟酌すべきであり、前認定の控訴人Cの前方不注視の過失と対比するときは、加害者被害者双方の過失の割合は八対二と認定するのが相当である。そうすると被控訴人Aについて生じた前記損害合計四三八万八、七二四円の八割三五一万〇、九七九円が同被控訴人の請求し得る金額となるが、同被控訴人が控訴人会社から一〇五万七、九五五円と自動車損害賠償責任保険金六四万円とをすでに受領していることは、当事者間に争いがないので、これを控除すると残額一八一万三、〇二四円となる。また、被控訴人Bの請求し得る額は四〇万円となる。七、 次に被控訴人らは、本件事故による損害賠償を控訴人らに請求したが、支払がなかつたので、弁護士松沢清に委任して本訴を提起し、その際同弁護士に被控訴人ら主張の手数料および謝金の支払を約したことは、原審における被控訴人B本人尋問の結果により認められるが、本件事案の内容に照らし、そのうち被控訴人Aについては二〇万円、同Bについては五万円が本件事故と相当因果関係にある損害と認めるのが相当である。八、 以上の理由により、被控訴人らの控訴人らに対する本訴請求は、被控訴人Aにつき金二〇一万三、〇二四円および内金一八一万三、〇二四円に対する本件事故発生の日の翌日である昭和四二年二月二四日から、同Bにつき金四五万円および内金四〇万円に対する同日から各支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める部分は正当として認容すべきであるが、その余の請求は失当として棄却すべきである。 当である。八、 以上の理由により、被控訴人らの控訴人らに対する本訴請求は、被控訴人Aにつき金二〇一万三、〇二四円および内金一八一万三、〇二四円に対する本件事故発生の日の翌日である昭和四二年二月二四日から、同Bにつき金四五万円および内金四〇万円に対する同日から各支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める部分は正当として認容すべきであるが、その余の請求は失当として棄却すべきである。よつて原判決のうち控訴人らと被控訴人Aに関する部分を前記のとおり変更し、控訴人らの被控訴人Bに対する控訴は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九六条、第八九条、第九二条、第九三条、仮執行の宣言につき同法第一九 に関する部分を前記のとおり変更し、控訴人らの被控訴人Bに対する控訴は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九六条、第八九条、第九二条、第九三条、仮執行の宣言につき同法第一九六条を適用して、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官古関敏正裁判官田中良二裁判官川添万夫)
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