- 1 -主文被告人を禁錮2年6月に処する。 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)令和6年4月30日付け起訴状(添付省略)記載の公訴事実と同一であるから、これを引用する。 (量刑の理由)本件は、過失運転致死の事案である。被告人は、大型貨物自動車を運転し、道路を進行中、道路沿いの左方にあるコンビニエンスストアで買い物をするため、手前の歩道を横切って路外駐車場に左折進入するに当たり、歩道の手前で一時停止せず、かつ、歩道を通行する歩行者の有無やその安全をよく確認しないまま、漫然と左折進行し、歩道上を左方から小走りで通行してきた当時8歳の被害者に気付かずに同人に衝突、転倒させた上、同人を自車右前輪で轢過し、出血性ショックにより死亡させた。職業運転手として高度な注意義務を負うべき立場にあった上、夜間で、歩行者の有無等を確認しづらい状況にあったのに、安易に歩行者はいないであろうと考え、一時停止もせずに左折進行して本件事故を引き起こした。非常に危険な運転というほかなく、被告人の過失は誠に重大である。他方、被害者は、犬の散歩をしながら歩道上を歩いていたにすぎず、特段の落ち度は見当たらない。しかるに、本件事故により大型トラックのタイヤで轢過されるという甚大な苦痛を負わされた挙げ句、若干8歳にしてその尊い命を奪われ、家族との永遠の別れを余儀なくされた。その無念さは筆舌に尽くし難いものがある。御遺族は、自分よりも他人を気遣う家族思いの優しい被害者の人柄に触れながら、かけがえのない自慢の娘を突然に奪われてしまったやるせない気持ちを吐露するとともに、(御遺族からすれば)対応が後手に回り、誠実とはみられない被告人に対する厳しい処罰感情を述べている。その心情や苦しみは言葉では表現し難いものがあ 奪われてしまったやるせない気持ちを吐露するとともに、(御遺族からすれば)対応が後手に回り、誠実とはみられない被告人に対する厳しい処罰感情を述べている。その心情や苦しみは言葉では表現し難いものがある。以上のような被告人の過失や結果の重大性に鑑みると、被告人 - 2 -の刑責は到底ゆるがせにできるものではない。 他方、本件は誠に重大な事案ではあるものの、無免許、飲酒、速度違反等のいわゆる交通三悪と呼ばれるような悪質な交通違反を伴うものではないこと、被告人には昭和61年に業務上過失傷害により罰金6万円に処せられた前科や数件の交通違反歴があるものの、前科はその1件にとどまっており、これまでの運転態度に格別大きな問題があったとまでは認められないこと、御遺族に対しては被告人の勤務先会社が加入していた任意保険により早晩適切な賠償がなされるものと見込まれること、被告人は再犯しない旨を誓い、今後は二度と運転をしない旨述べていること、義兄が情状証人として出廷の上、被告人に対する監督や更生への支援を約していること等の被告人のために酌むことのできる事情もある。 以上によれば、本件は誠に重大な事案ではあるものの、上記の諸事情を勘案し、主文の刑に処するのが相当と判断した。 (求刑禁錮2年6月)令和6年7月29日名古屋地方裁判所刑事第5部 裁判官大村陽一
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