平成28(行ウ)222 共同訴訟参加申出事件

裁判年月日・裁判所
令和元年5月16日 東京地方裁判所
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判決文本文49,931 文字)

令和元年5月16日判決言渡平成28年(行ウ)第222号共同訴訟参加申出事件主文 1 被告は,被告補助参加人千代田区議会自由民主党新しい千代田に対し,97万0630円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分 の割合による金員を支払うよう請求せよ。 2 被告は,被告補助参加人千代田区議会行革クラブに対し,1万2490円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 3 参加原告のその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,これを20分し,その11を参加原告の,その余を被告の負担とし,補助参加により生じた費用は,これを20分し,その11を参加原告の,その余を被告補助参加人らの負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 被告は,被告補助参加人千代田区議会自由民主党新しい千代田に対し,103万5251円及びこれに対する平成24年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 2 被告は,被告補助参加人千代田区議会ちよだの声に対し,66万8790円及びこれに対する平成24年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金 員を支払うよう請求せよ。 3 被告は,被告補助参加人千代田区議会ちよだの声民主に対し,42万3942円及びこれに対する平成24年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 4 被告は,被告補助参加人千代田区議会行革クラブに対し,11万1222円 及びこれに対する平成24年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金 員を支払うよう請求せよ。 第2 事案の概要本件は,東京都千代田区(以下「千代田区」という。)の住民である参加原告が れに対する平成24年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金 員を支払うよう請求せよ。 第2 事案の概要本件は,東京都千代田区(以下「千代田区」という。)の住民である参加原告が提起した住民訴訟の事案である。参加原告は,平成23年度(平成23年4月1日から同24年3月31日まで)に,千代田区議会政務調査研究費の交付に関 する条例(平成13年千代田区条例第1号。ただし,平成25年千代田区条例第2号による廃止前のもの。以下「本件条例」という。)に基づき,千代田区から政務調査研究費の交付を受けた千代田区議会の会派である被告補助参加人ら(以下「本件各会派」という。)において,その一部を違法に支出し,悪意で不当に利得したにもかかわらず,千代田区の執行機関である被告が不当利得返還請求権 の行使を怠っている旨主張して,地方自治法(平成24年法律第72号による改正前のもの。以下同じ。)242条の2第1項4号に基づき,被告に対し,本件各会派に対して上記利得の返還及びこれに対する上記支出に係る会計年度の最終日の翌日である平成24年4月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による法定利息の支払を請求することを求めている。 なお,本件訴訟に係る訴えは,平成26年12月1日に提起された(平成26年(行ウ)第598号)が,平成28年5月25日に参加原告が共同訴訟参加の申出をした後,当初提起した原告が自らの訴えを取り下げたため,現在は参加原告の訴えのみが係属している(後記2(4)参照)。 1 関係法令の定め等 (1) 本件に関係する地方自治法の定めは別紙2-1,本件条例(乙1)の定めは別紙2-2,千代田区議会政務調査研究費の交付に関する条例施行規則(乙3。平成13年千代田区議会規則第1号。ただし,平成25年千代田区 に関係する地方自治法の定めは別紙2-1,本件条例(乙1)の定めは別紙2-2,千代田区議会政務調査研究費の交付に関する条例施行規則(乙3。平成13年千代田区議会規則第1号。ただし,平成25年千代田区議会規則第1号による廃止前のもの。以下「本件規則」という。)の定めは別紙2-3,本件規則別表(乙3。以下,同表に定める政務調査研究費使途 基準を「本件使途基準」といい,そのうち使途禁止事項を「本件使途禁止事 項」という。)の定めは別紙2-4のとおりである。 (2) 千代田区議会は,平成13年4月1日,政務調査研究費が本件使途基準に沿って適正に支出されるよう「使途基準注意事項」を申し合わせた。その後,千代田区議会運営委員会は,平成14年2月1日に施行された千代田区議会政務調査研究費交付額等審査会に関する規程(平成14年千代田区議会 議長訓令第1号〔平成25年千代田区議会議長訓令第2号(乙4)による改正前のもの〕。甲3)に基づき,千代田区議会政務調査研究費交付額等審査会(以下「審査会」という。)により提出された意見書等を踏まえて,上記「使途基準注意事項」に追加,修正する形で,「使途基準注意事項・指摘事項等」を作成した(甲4の1。以下「本件注意事項」という。)。その内容 は,別紙2-5のとおりである。 2 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者等ア参加原告は,千代田区内に居住する者である。 イ被告は,特別地方公共団体たる特別区である千代田区の執行機関である。 ウ被告補助参加人千代田区議会自由民主党新しい千代田(平成28年2月18日付け会派名変更以前の名称は「千代田区議会新しい千代田」。以下,変更の前後を通じて「新しい千代田」と 区の執行機関である。 ウ被告補助参加人千代田区議会自由民主党新しい千代田(平成28年2月18日付け会派名変更以前の名称は「千代田区議会新しい千代田」。以下,変更の前後を通じて「新しい千代田」という。)は,千代田区議会の会派であり,平成23年度において,B(以下「B議員」という。),D(以 下「D議員」という。),E(以下「E議員」という。),F(以下「F議員」という。)及びG(以下「G議員」という。)の5名が所属議員であった(乙10)。 エ被告補助参加人千代田区議会ちよだの声(以下「ちよだの声」という。)は,千代田区議会の会派であり,平成23年度において,H(以下 「H議員」という。)及びI(以下「I議員」という。)の2名が所属議 員であった(乙11)。 オ被告補助参加人千代田区議会ちよだの声民主は,千代田区議会の会派であり,平成23年度において,J(以下「J議員」という。)及びL(以下「L議員」という。)の2名が所属議員であった(乙12)。なお,「ちよだの声民主」は,平成23年改選後に付された名称であり,平成2 2年度までの名称は,「ちよだの声2」であった(以下,改称の前後を通じて「ちよだの声民主」といい,「ちよだの声」と併せて「ちよだの声等」という。)。 カ被告補助参加人千代田区議会行革クラブ(結成当時の会派名は「みんなの党」であったが,平成23年10月5日に現在の会派名に変更された。 以下「行革クラブ」という。)は,千代田区議会の会派である(乙13,46)。平成23年度当時は,N(以下「N議員」という。)1名が所属議員であり,その後平成25年4月25日付けでGが所属議員となったが,これら議員の任期がいずれも平成27年4月30日に満了したことにより,会派としては解散した。それ以降は 議員」という。)1名が所属議員であり,その後平成25年4月25日付けでGが所属議員となったが,これら議員の任期がいずれも平成27年4月30日に満了したことにより,会派としては解散した。それ以降は,一般社団法人及び一般財団法人に関 する法律207条の類推適用により,清算の目的の範囲内において,清算が終了するまではなお存続するものとみなされている。 (2) 政務調査研究費の交付ア平成23年4月23日,任期満了に伴う千代田区議会議員の一般選挙が実施され,第18期千代田区議会議員25名が確定した。 イ本件各会派は,平成23年5月から平成24年1月までの間,各四半期毎に,千代田区議会議長(以下「議長」という。)に政務調査研究費交付申請書を提出し,平成23年5月分から平成24年3月分までの政務調査研究費(以下「本件政務調査研究費」と総称する。)として,①ちよだの声及びちよだの声民主においてはそれぞれ330万円(15万円×2名× 11月),②新しい千代田においては825万円(15万円×5名×11 月),③行革クラブにおいては165万円(15万円×1名×11月)の各交付を受けた(乙14~23,乙28~37,乙42~45,乙47~52,乙57~66)。 (3) 政務調査研究費の収支報告本件各会派は,それぞれ平成23年度の政務調査研究費について,第1~ 第3四半期分の中間報告書を議長に提出し,平成24年4月27日までに,①ちよだの声においては,交付された政務調査研究費330万円に対して341万0182円を執行し,②ちよだの声民主においては,交付された政務調査研究費330万円に対して352万0211円を執行し, ③新しい千代田においては,交付された政務調査研究費825万円に対して827 執行し,②ちよだの声民主においては,交付された政務調査研究費330万円に対して352万0211円を執行し, ③新しい千代田においては,交付された政務調査研究費825万円に対して827万4044円を執行し,④行革クラブにおいては,交付された政務調査研究費165万円に対して165万5745円を執行した旨の決算報告書を議長に提出した(以下,本件各会派による上記政務調査研 究費の執行に係る支出を「本件各支出」といい,個別の支出については,別紙4の表1~4の支出番号により特定し,例えば,同表1の支出番号A1の支出については「支出A1」と呼ぶこととする。乙24~27,乙38~41,乙53~56,乙67~70)。 なお,別紙4の表1~4の「日付」「項目」「内容」及び「支出額」欄の 記載は,千代田区議会政務調査研究費会計整理票(甲6~12。以下「会計整理票」という。)に記載されたものである。同整理票は,本件各会派が議長に提出した上記決算報告書に添付されたものであり,当該支出に係る領収書が貼付されている。 (4) 本件訴訟に至る経緯と本件各会派の対応 ア前件監査請求及び前件訴訟の提起(丁7) (ア) 参加原告は,平成25年10月25日,千代田区監査委員に対し,本件政務調査研究費について使途基準に違反する目的外支出があるとして,必要な措置を講ずることを求める旨の監査請求(以下「前件監査請求」という。)をしたところ,千代田区監査委員は,同年11月22日,前件監査請求が監査請求期間を徒過した不適法なものであるとして,監 査を実施しないものとした。 (イ) 参加原告は,平成25年12月19日,本件政務調査研究費に係る支出の一部が違法なものであるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき, るとして,監 査を実施しないものとした。 (イ) 参加原告は,平成25年12月19日,本件政務調査研究費に係る支出の一部が違法なものであるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,被告に対し,本件各会派に対して不当利得返還及びこれに対する法定利息の支払を請求するように求める住民訴訟を東京地方 裁判所に提起した(東京地方裁判所平成25年(行ウ)第811号。以下「前件訴訟」という。)。 東京地方裁判所は,平成29年4月27日,被告に対し,①新しい千代田に対し82万1400円及びこれに対する平成24年4月21日から支払済みまで年5%の割合による金員の支払を,②行革クラブに対し 1万1465円及びこれに対する平成24年4月21日から支払済みまで年5%の割合による金員の支払を請求するよう命じる旨の判決をした(丁7)。 イ本件監査請求と本件訴訟の提起(ア) Oは,平成26年9月29日,千代田区監査委員に対し,本件政 務調査研究費のうち766万7162円について使途基準に違反する目的外支出があるとして,必要な措置を講ずることを求める旨の住民監査請求をした(甲1。以下「本件監査請求1」という。)。 千代田区監査委員は,平成26年10月31日,Oに対し,本件監査請求1は監査請求期間を徒過した不適法なものであるとして,監査を実 施しないこととする旨を通知した(甲2)。 Oは,平成26年12月1日,本件訴訟を提起した(顕著な事実)。 (イ) 参加原告は,平成28年3月30日,千代田区監査委員に対し,本件各会派及び千代田区議会共産党区議団に係る本件政務調査研究費のうち278万7035円が不当,違法に支出されているとして,千代田区の被った損害を補塡する措置を講ずべき旨の住民監査請求をした(甲 ,本件各会派及び千代田区議会共産党区議団に係る本件政務調査研究費のうち278万7035円が不当,違法に支出されているとして,千代田区の被った損害を補塡する措置を講ずべき旨の住民監査請求をした(甲 19。以下「本件監査請求2」という。)。 千代田区監査委員は,平成28年5月13日,参加原告に対し,本件監査請求2は監査請求期間を徒過した不適法なものであるとして,監査を実施しないこととする旨を通知した(甲20)。 参加原告は,平成28年5月25日,本件訴訟につき,共同訴訟参加 の申出をした(顕著な事実)。 (ウ) Oは,本件第9回口頭弁論期日(平成28年6月9日)において,自らの訴えを取り下げ,被告は,同期日において,これに同意した。 3 争点(1) 本件訴えの適法性等 (2) 本件各支出の本件使途基準適合性等(3) 本件各会派に係る悪意の受益者該当性及び法定利息の起算日 4 当事者の主張の要旨別紙3のとおりである。なお,同別紙中の略語は本文においても用いる。 第3 当裁判所の判断 当裁判所は,本件政務調査研究費の支出としてされた本件各支出のうち,新しい千代田の各議員が交通費として支出した別紙4の表1の2の各費用の全部及び行革クラブの議員が交通費として支出した別紙4の表4の2の各費用の一部について,本件条例及び本件規則の定めに違反し,議員としての政務調査研究活動との間に合理的関連性を有しない違法な支出であって,これは本件使途基準に基づ かない支出に当たるものとして,千代田区が,その全額について返還を求めるこ とができるものであり(本件条例15条2項),千代田区は新しい千代田に対し97万0630円の,行革クラブに対し1万2490円の各不当利得返還請求権を有するとともに,上記 て返還を求めるこ とができるものであり(本件条例15条2項),千代田区は新しい千代田に対し97万0630円の,行革クラブに対し1万2490円の各不当利得返還請求権を有するとともに,上記各金額について本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による法定利息の支払請求権を有するものと認められるから,参加原告の請求は,千代田区の執行機関である被告に対し,新しい千代田及び行革ク ラブに対する上記各不当利得返還請求及び法定利息支払請求をすることを求める限度において理由があるからこれらを認容すべきものと判断し,その余の請求はいずれも理由がないから棄却すべきものと判断する。 その理由の詳細は以下のとおりである。 1 争点(1)(本件訴えの適法性等)について (1) 参加原告がした本件監査請求2は,地方議会の会派による政務調査研究費の支出に係る特別地方公共団体が当該会派に対する不当利得返還請求権の行使を怠っているとして,かかる怠る事実を監査請求の対象とするものであり,監査委員による当該怠る事実の監査においては,当該会派による政務調査研究費の支出が当該議会の議員の政務調査研究以外の経費への支 出(目的外支出)に該当するか否かの判断が求められており,特別地方公共団体による政務調査研究費の交付等に係る特定の財務会計上の行為が財務会計法規に違反して違法であるか否かの判断をしなければならない関係にはないので,本件監査請求2は,地方自治法242条2項の規定の趣旨を没却するものとはいえず,これに同項の規定を適用すべきものではない と解するのが相当である(最高裁平成10年(行ヒ)第51号同14年7月2日第三小法廷判決・民集56巻6号1049頁参照)。 したがって,本件監査請求2は,地方自治法242条2項の監査請求期間の と解するのが相当である(最高裁平成10年(行ヒ)第51号同14年7月2日第三小法廷判決・民集56巻6号1049頁参照)。 したがって,本件監査請求2は,地方自治法242条2項の監査請求期間の制限を受けるものではなく,本件訴えは,適法な監査請求を経たものである。 (2) 新しい千代田及びちよだの声等は,本件政務調査研究費に係る不当利得 返還請求権について前件訴訟が先に提起されており,その係属中に提起された本件訴えは,前件訴訟と同一の請求をするものであるから,地方自治法242条の2第4項に違反する不適法な訴えであると主張する。この主張は,一般に,条例に政務調査研究費の概算払い及び会計年度終了後の精算等が規定されている場合において,その収支報告書上の支出の総額から実際には支 出が存在しないもの及び使途基準に適合しないものの額を控除した額が政務調査研究費の交付額を下回ることにならないときには,当該政務調査研究費の交付を受けた会派は,不当利得返還義務を負わない(最高裁平成29年(行ヒ)第404号平成30年11月16日第二小法廷判決参照)とする理解を前提に,同一年度における同一会派の政務調査研究費に係る不当利得返 還請求権である以上は同一の請求であるとするものと解される。 しかしながら,いかなる要件で政務調査研究費を交付し,いかなる範囲でその執行を認め,また,いかなる場合にその返還を求めるかについては,政務調査研究費の交付について定める各条例において,それぞれ個別具体的な規定が設けられているのであるから,使途基準違反が存する場合の不当利得 返還義務の成立及びその範囲についても,当該条例の規定に則した検討がされるべきである。 この点,本件条例においては,本件政務調査研究費は,議員1人当たり月額15万 存する場合の不当利得 返還義務の成立及びその範囲についても,当該条例の規定に則した検討がされるべきである。 この点,本件条例においては,本件政務調査研究費は,議員1人当たり月額15万円としてこれに所属議員数を乗じて交付される(5条2項)ところ,その交付は四半期ごとにされ(7条1項,9条),決算報告書の提出は年度 ごとに(毎回会計年度終了後4月20日までに)行うこととされている(14条2項)ところ,その決算報告において,政務調査研究費の交付を受けた会派がその年度において交付を受けた政務調査研究費の総額から,その会派がその年度において政務調査研究を推進するため必要な経費として支出した総額を控除して残余(以下「残余金」という。)を生じた場合は,当該残余 金につき返還すべきものとされている(本件条例15条1項)。 他方で,本件条例は,上記のような残余金の返還の定めのほかに,15条2項において,議長は,本件使途基準に基づかない支出(以下「使途範囲外支出」という。)があると認められるときは,当該支出に係る経費の全額の返還を求めなければならない旨を定め,さらに,同条3項において,同条2項の規定による使途範囲外支出の発生が認められるときは,5条2項の規定 にかかわらず,使途範囲外支出に係る返還額を既に交付した額(以下「既交付額」という。)から減額した額を交付額(以下「みなし交付額」という。)とする旨を定めている。これらの規定に照らすと,本件条例は,毎会計年度終了後に残余金が生じた場合に限らず,使途範囲外支出がある場合には,これを本来の交付額から控除するという方法で返還させることにより, 政務調査研究費に係る支出が本件使途基準に適合することを確保しようとするものであると解するのが相当である。 す る場合には,これを本来の交付額から控除するという方法で返還させることにより, 政務調査研究費に係る支出が本件使途基準に適合することを確保しようとするものであると解するのが相当である。 すなわち,本件条例における残余金の額は,上記のとおり,当該会派がその年度において交付を受けた政務調査研究費の総額から,政務調査研究を推進するため必要な経費として支出した総額を控除することにより求められる (本件条例15条1項)ところ,使途範囲外支出が発生した場合に,その額につき既交付額から減額した額を交付額とみなすこと(同条3項。みなし交付額)により,残余金は,使途範囲外支出分を含まないものとして,同条1項に基づく返還義務の対象となるものである。したがって,既交付額のうち,使途範囲外支出については,同条2項により,これ自体が既交付額を上回ら ないものである限り,その全額が不当利得返還請求の対象となるものと解すべきである。 なお,このように,本件条例が,残余金が発生した場合(15条1項)と,使途範囲外支出が発生した場合(同条2項)とを区別して,それぞれの発生原因に応じて別々の返還義務を規定していると解することは,本件条例制定 時の提案理由説明(甲27)にも沿うものである。 なお,新しい千代田が挙げる上記最高裁判決は,政務活動費の交付について定める条例に,本件条例15条2項及び3項に相当する内容の定めがない事例に係るものであり(甲45),本件とは事案を異にするものというべきである。 そして,本件訴えに係る請求は,前件訴訟における請求とその会計年度及 び対象会派を同じくするものの,不当な支出として主張されている項目に重複があるとは認められず,異なる支出について異なる原因により使途範囲外支出が発生したと主張され における請求とその会計年度及 び対象会派を同じくするものの,不当な支出として主張されている項目に重複があるとは認められず,異なる支出について異なる原因により使途範囲外支出が発生したと主張されているものであるから,前件訴訟とは訴訟物たる請求を異にするものというべきであり,本件訴えは地方自治法242条の2第4項に違反するものとはいえない(新しい千代田は,前件訴訟においても パソコンの購入に関する主張がされたなどと主張するが,前件訴訟の対象とされたパソコンの購入費と同一の支出が本件訴えにおいても対象とされていることを認めるに足りる証拠はないから,同主張は採用することができない。)。 (3) したがって,本件訴えは,適法というべきである。なお,新しい千代田 及びちよだの声等は,前件訴訟の判決は確定し,既判力が生じているから,同訴訟の口頭弁論終結時までに提出すべきであった違法事由の主張は,既判力により排斥されるべきであるとも主張するが,上記(2)で説示したとおり,本件訴えに係る請求は,前件訴訟における請求とその会計年度及び対象会派を同じくするものの,不当な支出として主張されている項目に重複があると は認められないから,前件訴訟とは訴訟物たる請求を異にするものというべきであり,本件訴えに係る請求について,前件訴訟の判決の既判力が及ぶものとはいえず,上記主張は採用することができない。 2 争点(2)(本件各支出の本件使途基準適合性等)について(1) 政務調査研究費の支出に係る基準等 ア地方自治法100条14項は,政務調査費の交付につき,普通地方公共 団体は,条例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,その議会における会派又は議員に対し,政務調査費を交 政務調査費の交付につき,普通地方公共 団体は,条例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,その議会における会派又は議員に対し,政務調査費を交付することができるものと定めているところ,その趣旨は,議会の審議能力を強化し,議員の調査研究活動の基盤の充実を図るため,議会における会派又は議員に対する調査研究の費用等の助成を制度化した ものであると解される。このように,同項は,政務調査費を「議員の調査研究に資するため必要な経費」の一部として交付する旨を規定した上で,政務調査費の交付の対象,額及び交付の方法は,条例で定めるものとしており,それ以上に具体的な定めを設けていないことに照らせば,同法は,各地方公共団体において,その実情に応じた運用を図るべく,議会の定め る条例にその具体化を委ねることとしたものと解される。 そして,地方自治法100条14項の規定に基づいて政務調査費の交付に関し必要な事項を定める本件条例は,政務調査研究費(同項にいう政務調査費と同義と解される。)につき,議員が会派又は会派の一員として活動する場合の調査研究に要する経費をいい,会派に対し交付される ものとした上で,政務調査研究費の使途範囲について,その交付を受けた会派及びその所属議員が,別に定める使途基準に基づき,適正に使用しなければならないと定めている(1条,2条2項,4条,13条)。 そして,この別に定める使途基準として,本件規則(千代田区議会政務調査研究費の交付に関する条例施行規則)は,本件使途基準(本件規則 別表。別紙2-4)を定めており,本件使途基準は,人件費,会議費,視察・研修費,通信費,交通費,印刷費,消耗品費,備品費,図書・資料費,レンタル・リース費及び課題別経費等のそれぞれについ 則 別表。別紙2-4)を定めており,本件使途基準は,人件費,会議費,視察・研修費,通信費,交通費,印刷費,消耗品費,備品費,図書・資料費,レンタル・リース費及び課題別経費等のそれぞれについて,使途内容及び使途禁止事項を定めている。 このように,本件条例に基づき千代田区議会の各会派に交付される政務 調査研究費は,本件使途基準に適合する使途にのみ使用することができ るものとして交付されるものであるところ,ある会派において本件使途基準に基づかない政務調査研究費の支出(使途範囲外支出)がされた場合,本件条例15条2項に基づき,本件条例15条1項に基づく残余金の返還請求権の発生の有無にかかわらず,その全額が不当利得返還請求の対象となるものと解すべきことは,上記1で説示したとおりである。 この点,新しい千代田及びちよだの声等は,政務調査研究費の返還請求が認められるのは交付額よりも執行額の方が下回って不用額が生じる場合に限られる旨主張するが,本件使途基準に基づかない支出がされたことにより発生する不当利得返還請求権は,本件使途基準に違反する支出ごとに発生するものであることは前記1(2)で説示したとおりであるから, 上記主張を採用することはできない。 イところで,本件使途基準においては,人件費,会議費等の費目のそれぞれについて許容される使途内容をやや抽象的に規定した上,一部の費目につき,特定の経費を政務調査研究費からの支出が許されないものとして規定している(本件使途禁止事項。例えば,人件費については,日常 的な事務員の雇用などが使途禁止事項とされる。)。このような定めに照らすと,本件使途基準のうち本件使途禁止事項は性質上政務調査研究費として支出することが許されない経費を定めたものと解され,これに 的な事務員の雇用などが使途禁止事項とされる。)。このような定めに照らすと,本件使途基準のうち本件使途禁止事項は性質上政務調査研究費として支出することが許されない経費を定めたものと解され,これに該当する支出は,直ちに使途範囲外支出に当たると解される。また,本件使途禁止事項に該当しない経費についても,政務調査費(政務調査研 究費)が議員の調査研究に資するために必要な経費として交付されるとの地方自治法及び本件条例の趣旨に照らせば,経費の支出の対象となる行為が,その客観的な目的や性質に照らして議員の議会活動の基礎となる調査研究活動との間に合理的関連性を欠く場合や,当該行為に係る経費の支出の必要性に関する当該議員の判断が合理性を欠く場合などには, 使途範囲外支出に当たると解される(最高裁平成21年(行ヒ)第21 4号同22年3月23日第三小法廷判決・集民233号279頁,最高裁平成22年(行ヒ)第42号平成25年1月25日第二小法廷判決・集民243号11頁参照)。 ウまた,本件使途基準に関し,千代田区議会運営委員会によって定められている本件注意事項(別紙2-5)は,政務調査研究費が本件使途基準に 従って適正に支出されるよう千代田区議会でされた申合せである「使途基準注意事項」を基礎として,これに追加,修正する形で,審査会の意見書等を踏まえ,議会活動条件整備等検討会での検討も経て,会派及び議員が留意すべき注意事項及び指摘事項として,具体化,明確化されたものであり(甲5,前記第2の1(2)),議会の自律性が尊重されるべき制度下に おいて千代田区議会の意思が発現されたものと解される。そうすると,本件注意事項は,千代田区議会における任意の自主的な申合せであって,本件注意事項に反した場合に直ちに使途範囲外支出に 制度下に おいて千代田区議会の意思が発現されたものと解される。そうすると,本件注意事項は,千代田区議会における任意の自主的な申合せであって,本件注意事項に反した場合に直ちに使途範囲外支出になるとはいえないものの,地方自治法や本件条例等の趣旨に合致しない不合理なものと認められない限り,本件使途基準の解釈,すなわち,上記の合理的関連性の有無や 支出の必要性の有無の判断をする際の指針として参照されるものであると解される。 本件注意事項には,政務調査研究活動との合理的関連性又は支出の必要性に配慮し,社会通念等に照らして第三者から誤解を受けかねないものについては政務調査研究費の対象外とする旨の記載(例えば,会議費に つき,会議に不向きな場所での打合せ等は対象外とすることなど)が存するほか,使途の明瞭性に配慮し,支出の内容に関して一定程度具体的な立証を求める旨の記載(例えば,宛名が会派又は議員名である領収書が必要であること,人件費については,勤務日や時間を記入し,出勤簿を備え,勤務内容を明確にすることなど)が存するところ,これらの記 載を含め,本件注意事項中に,地方自治法や本件条例等の趣旨に照らし て不合理な点は見当たらず,本件注意事項の内容は,基本的に,本件使途基準の解釈の指針として参照されるものということができる。 この点,参加原告は,本件注意事項は本件使途基準と一体となるものであって,本件注意事項に反する支出は直ちに違法となる旨主張するが,以上のとおり,本件注意事項は本件使途基準のように条例やその規則で 定められたものではなく,千代田区議会における任意の自主的な申し合わせにすぎないものであり,本件使途基準と同様の規範性や効力を有するものとは認め難いから,参加原告の同主張は採用することができない 定められたものではなく,千代田区議会における任意の自主的な申し合わせにすぎないものであり,本件使途基準と同様の規範性や効力を有するものとは認め難いから,参加原告の同主張は採用することができない。 エ不当利得返還請求権の発生原因事実の一つである法律上の原因がないことは,当該請求権があると主張する者において主張立証しなければならな いと解するのが相当である(最高裁昭和37年(オ)第1185号同39年4月7日第三小法廷判決・集民73号35頁,最高裁昭和58年(オ)第934号同59年12月21日第二小法廷判決・集民143号503頁参照)。参加原告は,本件各支出につき,①本件使途禁止事項に当たること,又は,②経費の支出の対象となる行為が,その客観的な目的や性質に 照らして議員の議会活動の基礎となる調査研究活動との間に合理的関連性を欠くこと若しくは当該行為に係る経費の支出の必要性に関する当該議員の判断が合理性を欠くことを基礎付ける事実を主張立証する必要があると解されるが,それらの主張立証がされた場合は,被告又は被告補助参加人ら(本件各会派)においてこれを覆す適切な立証を行わない限り,本件使 途基準に適合していない支出(使途範囲外支出)であると認められることとなる。 オそこで,以上の観点から,本件各支出が本件使途基準に違反するものであるか否かにつき,以下,個別的に検討する。 (2) 新しい千代田に係る支出について ア会議費について 本件使途基準(乙3)は,会議費について,使途内容を「調査研究のための外部折衝に必要な経費・会費飲食費は1人当たり5000円以内とする」と定め,使途禁止事項として「①飲食を主目的とした会議 ②政党のパーティー」を挙げるところ,B議員に係る支出A1~11,E ための外部折衝に必要な経費・会費飲食費は1人当たり5000円以内とする」と定め,使途禁止事項として「①飲食を主目的とした会議 ②政党のパーティー」を挙げるところ,B議員に係る支出A1~11,E議員に係る支出A197~210,F議員に係る支出A491~500, G議員に係る支出A741~743(いずれも別紙4の表1の1)は,上記各議員が,他の自治体の議会議員との情報交換ないし地域情報交換を目的として,喫茶店又はホテルにおいて2~5名を参加者として行った会議に際して,参加者1名当たり5000円以内(ほとんどは1名当たり1000円以内)の支出をしたものであり(甲6~8及び10), 本件使途基準に定める使途内容に合致し,また,使途禁止事項に当たらないものである。 本件注意事項は,会議に不向きな場所での打合せにつき政務調査研究の対象外とするところ,ホテル内のラウンジ等や喫茶店は比較的少人数での会議や打合せ等に広く利用されているものといえるから,会議に不向 きな場所であるということはできない。飲食を伴うというだけで直ちに政務調査研究のための外部折衝としての性質が損なわれるものではなく,むしろ茶やコーヒーの類については,これが会議や打合せ等に供されることは一般的に見られるところであるし,会議を行う時間帯など状況によっては食事を伴う必要性がある場合も想定し得ることに照らせば,上 記使途禁止事項に当たるような場合でない限り,参加者1名当たり5000円以内で行われるホテル内や喫茶店での飲食を伴う会議や打合せ等が政務調査研究活動との間に合理的関連性を欠くものとはいえない。 また,本件注意事項は,会議内容を明らかにすることを求めているところ,参加原告は,上記各支出に係る会計整理票に支出内容として「他自 治体議会議員との 間に合理的関連性を欠くものとはいえない。 また,本件注意事項は,会議内容を明らかにすることを求めているところ,参加原告は,上記各支出に係る会計整理票に支出内容として「他自 治体議会議員との情報交換」等と記載されているだけで,具体的な内容 や参加者が明らかにされていないと主張する。しかし,政務調査研究活動はその性質上,多岐にわたり,情報交換の内容等によっては秘匿することが求められるものも相当程度あり得ることが想定される一方,少なくとも会議等の参加者が他自治体の議会議員であり,その内容が情報交換であることが明らかにされれば,政務調査研究と関連性を有する会議 等であったことを確認することができるから,上記の程度の記載をもって,本件注意事項に反するものとはいえない。 参加原告は,喫茶店での飲食代は,参加者1名当たり500円までが相当な範囲であるから,これを超える額については政務調査研究との合理的関連性を認める余地がない旨主張するが,本件注意事項が,飲食費が 1名当たり5000円を超えた場合にはその理由を記載することと定めており,かかる定めは社会通念に照らして不合理なものとはいえないことからすれば,参加原告の上記主張は採用することができない。 イタクシー代について本件使途基準(乙3)は,交通費について,使途内容を鉄道運賃,バス 代,タクシー料金,航空運賃等の移動のための経費としているところ,B議員に係る支出A12~196,E議員に係る支出A215~490,F議員に係る支出A501~658,D議員に係る支出A659~740,G議員に係る支出A744~856(いずれも別紙4の表1の2)は,これらの支出に係る会計整理票(甲6~10)及び弁論の全趣旨に よれば,「情報収集」を目的として,主に東京都内に 59~740,G議員に係る支出A744~856(いずれも別紙4の表1の2)は,これらの支出に係る会計整理票(甲6~10)及び弁論の全趣旨に よれば,「情報収集」を目的として,主に東京都内において,別紙4の表1の2の内容欄各記載の乗降地間の移動のためにタクシーを利用したとして申告されたものと認められる。 ところで,証拠(甲29~31)及び弁論の全趣旨によれば,上記各支出のうち,①P社,②Q社及び③R社のタクシーの利用に係る218枚 の領収書には,降車地を示すGPSコードがそれぞれ印字されていると ころ,参加原告代理人が上記各社(グループ)に問い合わせるなどしてこれらのGPSコードが示す地点を調査した結果によれば,上記218枚の領収書のうち,その95.9%に相当する209件について,GPSコードにより判明した実際の降車地と,会計整理票で申告された降車地(別紙4の表1の2に記載された降車地)とが異なる場所であったこ とが認められる。これらについてはそもそも会計整理票に記載された降車地への移動があったこと自体が認め難いのであるから,政務調査研究活動のために交通費を支出する必要があったとは認められず,上記209件についてはその全額が本件使途基準に違反するものというべきである。 また,上記のとおり218枚の領収書のほぼ全てについて虚偽の降車地が記載されていたことからすれば,上記各議員のタクシー利用に係る会計整理票の記載はタクシーの乗車地やタクシーによる移動目的も含めた全体について,その信用性に疑いを入れざるを得ないところ,GPSコードの示す降車地が実際の降車地と一致した9件(上記218枚の4. 1%)についても,GPSコードでは確認できない乗車地や情報収集等の移動目的について正しい記載をしたこと ないところ,GPSコードの示す降車地が実際の降車地と一致した9件(上記218枚の4. 1%)についても,GPSコードでは確認できない乗車地や情報収集等の移動目的について正しい記載をしたことを裏付ける証拠はない。また,上記各社以外のタクシー会社についても,領収書にGPSコードが印字されていないため実際の乗降地は判明しないものの,上記各議員がこれらの会社についてのみ会計整理票に正しい乗降地等の記載をしたとはに わかに認め難いことからすると,GPSコードの印字のある上記各社と同様のタクシー利用及び申告の状況であったと推認するのが相当である。 しかるに,被告及び新しい千代田はこれらを覆すに足りる証拠を提出しないことからすれば,タクシー代に係る支出については,上記209件に係るものに限らず,別紙4の表1の2に係る全額(合計97万063 0円)が,本件使途基準に違反するものであり,違法というべきである。 ウ書籍代について本件使途基準(乙3)は,図書・資料費について,使途内容を「新聞・書籍・資料,CD-ROMなどに係る経費」と定め,使途禁止事項として「所属する政党発行の新聞」を挙げるところ,E議員に係る支出A211~214(別紙4の表1の3)は,週刊ダイヤモンド,週刊文春, 週刊新潮,週刊現代などの雑誌や書籍を購入した費用であり,上記使途禁止事項に当たるものとはいえない。 本件注意事項は,五大紙などの商業新聞については,一般的にどこの家庭でも購読しているため,政務調査研究費としての支出は認め難いとしているところ,上記各週刊誌は,社会観念上,五大紙と同様に一般的に どこの家庭でも購読されているものとはいい難い。なお,参加原告は,会計整理票に上記各週刊誌を購入した目的(記事内容 め難いとしているところ,上記各週刊誌は,社会観念上,五大紙と同様に一般的に どこの家庭でも購読されているものとはいい難い。なお,参加原告は,会計整理票に上記各週刊誌を購入した目的(記事内容)が全く記載されていないとも主張するが,一般に,週刊誌に掲載される記事には社会的に耳目を集める時事問題に関するものが含まれており,これらの記事を参照することは政務調査研究のための情報収集の一方法として認められ るから,会計整理票に参加原告が指摘するような記事内容等の記載がないことをもって,上記各支出が,議会活動の基礎となる政務調査研究活動との間に合理的関連性を欠くことや,支出の必要性に関する当該議員の判断が合理性を欠くことを基礎付ける事実が立証されているとはいえない。 エ小括以上によれば,新しい千代田に係る支出のうち,タクシー代に係る支出(97万0630円)については,その全部が本件条例及び本件使途基準の定めに違反した違法な支出であるというべきであり,その他の支出(会議費,図書・資料費)は議員の政務調査研究活動と合理的な関連性 を有する適法な支出であるというべきである。 (3) ちよだの声等に係る支出についてア人件費について(ア) 本件使途基準(乙3)は,人件費について,使途内容を「調査研究を補佐又は補助するための人的経費」と定め,使途禁止事項として「日常的な事務員及び家族の雇用」を挙げるところ,ちよだの声に係る 支出CK1~15(別紙4の表2の1)及びちよだの声民主に係る支出CM1~12(別紙4の表3の1)は, S及びTがちよだの声等の共同の議員控室において上記各会派に所属する合計4名の議員から依頼を受けた事務を行い,上記各会派がその対価として,1時間当たり1300円を,それ 2(別紙4の表3の1)は, S及びTがちよだの声等の共同の議員控室において上記各会派に所属する合計4名の議員から依頼を受けた事務を行い,上記各会派がその対価として,1時間当たり1300円を,それぞれ2分の1の割合で支出したというものである(甲11, 丙56,証人S)。その勤務日数は,平成23年4月から平成24年3月までの間に,Sにおいては,月10日を超えることもあれば,月5日程度のこともあり,また全く事務を行わない月もあるなど,一定しないものであった(甲11,甲39の2)。また,Tにおいては,その勤務日数は多くて6日にすぎず,全く事務を行わない月もあった(甲11, 甲39の3)。このようなSらの勤務の状況に照らせば,Sらはちよだの声等が事務の補助を必要とするときに依頼されて補助に当たっていたと認めるのが相当であり,Sらの採用が上記使途禁止事項にいう日常的な事務員の雇用に当たるものとはいえない。また,他に上記使途禁止事項に当たることをうかがわせる事情も認められない。 この点,参加原告は,政治的な主義主張が異なる二つの会派が親子であるSらに対し事務の補助を依頼しており,また,特にSにおいて平成23年4月上旬から同年5月上旬までの間,平日ほぼ毎日,終日勤務していたことに照らせば,「日常的な事務員」に等しいものと評価されるべきである旨主張する。しかし,ちよだの声とちよだの声民主とは,も とは同じ会派であった上,共同でFAX通信を発行する(丙19)など, その政務調査研究活動には共通するところも少なくなかったといえるほか,上記各会派の議員は,それぞれ2名ずつであったことから,上記各会派において,政務調査研究活動に係る事務の補助のために共同で同じ人物を採用し,その費用を折半することも不合理であるとはいえ いえるほか,上記各会派の議員は,それぞれ2名ずつであったことから,上記各会派において,政務調査研究活動に係る事務の補助のために共同で同じ人物を採用し,その費用を折半することも不合理であるとはいえず,これをもってSらの採用が日常的な事務員の雇用に等しいものと評価する ことはできない。また,参加原告がSにつき平日ほぼ毎日勤務していたと指摘する期間は平成23年度の1年間のうち1か月にすぎず,平成23年4月から平成24年3月までの期間全体の勤務状況は上記のとおりであって,平日ほぼ毎日勤務するのが常態であったとはいえない。したがって,参加原告の上記主張は採用することができない。 (イ) ちよだの声等は,Sらが行った作業は,S作成に係る報告書(丙7。以下「S報告書」という。)のとおりであると主張し,それを裏付ける資料(区政報告等)として丙8~56を提出するところ,これらによれば,Sらが担当した事務の内容は議員や会派による区政報告等の文案の作成や発送,ファクシミリによる送信等の事務,区政に関する調査 の補助等であったことが認められ,これらの事務は,その性質上,継続的に相当の時間をかけて行うものであったといえる。これに加えて,ちよだの声等の政務調査研究の補助を行う者がSらのほかにいなかったこと(丙56)も考慮すれば,Sらに継続的に相当時間にわたり上記事務を行わせる合理的必要性が存したというべきである。 これに対し,参加原告は,別紙3の2(参加原告の主張の要旨)(3)ア(イ)のとおり,S報告書の内容が事実に反し,実際には行われていない作業が記載されている旨主張する。S報告書のうち,各作業を行った具体的な日時等について記載した部分は,その根拠が不明確であるものが相当部分を占めており,あいまいな記憶に基づくものといわざるを いない作業が記載されている旨主張する。S報告書のうち,各作業を行った具体的な日時等について記載した部分は,その根拠が不明確であるものが相当部分を占めており,あいまいな記憶に基づくものといわざるを得 ないが,送付した区政報告書や議員の議会での質疑項目など,事務作業 を要する議員や会派の活動については概ねS報告書の記載に沿うものである(ただし,平成23年新春号として作成された区政報告〔丙10〕など,本件で人件費の支出が問題とされている対象期間〔平成23年4月から平成24年3月まで〕以外の期間に行われた可能性のある一部の例外を除く。)そうすると,Sらが区政報告等の作成・発送等の事務や 議会での質疑等の準備のための作業を行ったこと自体については否定し難く,これらの作業を行ったとするSの証言は,この点において信用できるものである。また,Sらがこれらの作業を行うに当たっては相当量の事務が発生したといえるところ,会計整理票において申告されたSらの勤務日数及び時間数が事務量に比して過大であると認めることもでき ない。なお,参加原告は,平成23年4月については連日勤務する必要性が乏しかったと主張するが,ちよだの声等やその所属の議員は,同年3月11日に発生した東日本大震災を受けて,千代田区の区政においても様々な対応が必要となるという観点から調査を実施しており,同年6月の定例会においても各議員においてこのような観点からの発言をして いること(丙12,18,19)に照らせば,同年4月にもこれに関する作業の必要があったことを否定できない。 (ウ) 参加原告は,Sが長年にわたりJ議員の政治団体(「Jと歩く会」)の後援活動を中心となって行っていることから,Sにつき,選挙期間中(平成23年4月17日〔告示日〕~24日〔投票日 できない。 (ウ) 参加原告は,Sが長年にわたりJ議員の政治団体(「Jと歩く会」)の後援活動を中心となって行っていることから,Sにつき,選挙期間中(平成23年4月17日〔告示日〕~24日〔投票日〕)は専ら ちよだの声等の選挙活動に従事したものであるところ,Sが作成した上記団体の収支報告書では人件費の支出が0円とされていることに照らせば,ちよだの声等が同人に同月分の人件費として支出した金銭には,政治活動の補助に対する報酬が含まれているなどと主張する。 しかし,Sは,上記選挙期間中は,ちよだの声等の政務調査研究活動 の補助のために勤務しておらず,また,告示日までの勤務日は同月1日, 4~8日,11~14日であるところ,これらの日に同人がちよだの声等に属する議員の選挙活動に従事していたことを具体的に裏付ける証拠は提出されていない。なお,Sは,上記勤務日に当たる同月5日及び12日に選挙活動のために必要とされた物品(トイレスプレー,雨具)を購入したものと認められる(甲42,弁論の全趣旨)が,同人がこれら の購入をしたのはいずれも自宅の近くであること(甲42)に照らせば,同人が議員控室で事務を行った日の勤務時間中に購入をしたものとは直ちに認め難く,同人が議員の選挙活動に従事したことに対しちよだの声等から人件費の支給を受けたことを具体的に裏付けるものとはいえない。 したがって,参加原告の上記主張は採用することができない。 (エ) 本件注意事項は,人件費について,勤務日や勤務時間を記入することのほか,勤務内容も明確にすることを定めるところ,会計整理票(甲11)には,支出内容として「事務補助」との記載がされている。 この点,参加原告は,上記記載のみでは勤務内容が明確にされておらず,支出の具体的内容の記載を欠く支出 ることを定めるところ,会計整理票(甲11)には,支出内容として「事務補助」との記載がされている。 この点,参加原告は,上記記載のみでは勤務内容が明確にされておらず,支出の具体的内容の記載を欠く支出については,特段の事情がない限り 違法である旨主張する。しかし,Sらが行った事務は上記(イ)のとおり多岐にわたることが認められ,その具体的内容について逐一会計整理票に記載がされていないとしても,直ちに本件注意事項に違反するものとはいえない。また,仮に,会計整理票の上記記載が本件注意事項に違反するとしても,それが直ちに本件使途基準に適合しない違法な支出にな ると解することはできないことは前記(1)で説示したとおりである。したがって,参加原告の上記主張は採用することができない。 (オ) 参加原告は,議員の活動全体のうち政務調査研究以外の活動が多くを占めることからすれば,仮に,人件費につき政務調査研究と関連性が認められるとしても,その割合は2分の1を超えないものである旨主 張するが,上記(イ)~(エ)の説示に照らせば,人件費の一部が,政務調 査研究と関連性のない作業に対して支払われたものであると認めることはできず,上記主張は採用することができない。 (カ) なお,前提事実(1)オ及び証拠によれば,平成23年4月23日に実施された千代田区議会議員選挙の以前には,「ちよだの声」及び「ちよだの声2」という名称の会派が存在し,選挙後の同年5月,それぞれ と所属議員を共通にする「ちよだの声」及び「ちよだの声民主」が,会派結成届(乙11,12)を提出したことが認められる。そして,本件条例には,任期満了による一般選挙が実施された場合に会派が当然に解散することを定める規定はなく,本件注意事項において,会派解散時に議長に返還す 乙11,12)を提出したことが認められる。そして,本件条例には,任期満了による一般選挙が実施された場合に会派が当然に解散することを定める規定はなく,本件注意事項において,会派解散時に議長に返還するとされている備品についても,平成23年4月に実施さ れた上記選挙に伴い,これら備品の返還はされておらず,むしろ選挙後にも当然に引き継がれていること,各会派の構成員が選挙の前後を通じて共通していること(ちよだの声についてはI議員及びH議員,ちよだの声民主についてはJ議員 〔乙72~75〕)に照らせば,ちよだの声等は,改選後の会派結成届により新たに成立したものではなく,改選 前から存在していた会派が引き続き存続しているものと認めるのが相当である。そうすると,改選前後の各会派が同一性を欠くことを前提に,「ちよだの声2」について生じた平成23年4月分の人件費について,平成23年度の政務調査研究費から支出することができないとする参加原告の主張は,採用することができない。なお,参加原告は,平成23 年の会計年度は同年5月1日から開始するものであり,会計年度が異なる同年4月分の人件費を同会計年度の政務調査研究費から支出することは許されないとも主張するが,千代田区議会における政務調査研究費の会計年度は,毎年4月1日から翌年3月31日までである(本件条例5条1項・乙1)から,上記主張も採用することができない。 イパソコンの購入費について 本件使途基準(乙3)は,消耗品費について「文房具,コピー用紙,プリンターインク,ファクシミリトナー,フロッピーディスクなどの消耗する物品」,備品費について「パソコン,プリンター,ファクシミリ,カメラ,事務機器など1物品が10万円以上の物品に係る経費」とそれぞれ定め,使途禁止事 ァクシミリトナー,フロッピーディスクなどの消耗する物品」,備品費について「パソコン,プリンター,ファクシミリ,カメラ,事務機器など1物品が10万円以上の物品に係る経費」とそれぞれ定め,使途禁止事項は定めていないところ,ちよだの声に所属する I議員に係る支出CK16及びH議員に係る支出CK18(いずれも別紙4の表2の2)は,パソコン(デスクトップパソコン1台〔5万0190円〕,ノートパソコン1台〔9万1000円〕)の購入費用であり(甲11,弁論の全趣旨),10万円未満であるから消耗品費に当たる。 これに対し,参加原告は,①千代田区では議員1名につき1台ずつパソ コンが無償で貸与されており,2名の所属議員しかいないちよだの声において政務調査研究活動のために立て続けに2台のパソコンを購入する必要性はない,②ちよだの声等の議員4名は,上記支出を含め,わずか2年(平成23年度,平成24年度)の間にデスクトップパソコン3台,ノートパソコン4台,タブレット端末4台の合計11台を購入している (甲24,25)が,このような多数のパソコン機器類を購入する合理的必要性はないなどと主張する。しかし,①ちよだの声等の議員に対し千代田区から貸与されたパソコンはいずれも発売から6年が経過し,搭載されているOSのサポートが平成26年4月で終了する予定であった(弁論の全趣旨)ことに照らせば,ちよだの声が,所属議員の効率的な 政務調査研究活動のために新しいパソコンの購入が必要と判断したことは合理性を欠くとはいえない。また,②デスクトップパソコン,ノートパソコンやタブレットは,その使用用途や態様を異にするものであり,これらを併用し,あるいは,各種名簿等の個人情報の保護の観点からデータを管理するためにこれらを使い分けることには一定の合理性がある トパソコンやタブレットは,その使用用途や態様を異にするものであり,これらを併用し,あるいは,各種名簿等の個人情報の保護の観点からデータを管理するためにこれらを使い分けることには一定の合理性がある といえることに照らせば,ちよだの声において,これらの購入の必要性 があると判断したことが合理性を欠くものとはいえない。 参加原告は,購入したパソコンを政務調査研究のために使用したとしても,その利用には必然的に他の議員活動目的によるものが混在し,私的な利用も排除することができないから,政務調査研究費として認められる割合は4分の1であり,その余は使途範囲外支出であると主張する。 しかし,本件使途基準や本件注意事項において,パソコンの購入について一定割合につき当然に支出の合理的必要性を欠くものとする規定等は存しない。また,上記各議員が,購入したパソコンを政務調査研究以外の用途に使用していたことを具体的に裏付ける事情も認められないことからすれば,参加原告の上記主張は,採用することができない。 ウついたての購入費についてちよだの声に所属するI議員に係る支出CK17(別紙4の表2の2)は,ついたての購入費用であり,当該ついたては,議員控室に設置されたものである(甲11,弁論の全趣旨)ところ,議員控室において,来訪者と面談を行うに当たり,その者のプライバシーへの配慮から,他の 会派等から見られないように視界を遮る必要があることは否定し難く,また,その金額(9800円。甲11)も過大なものとはいえないことに照らせば,議員の政務調査研究活動との関連性や必要性を欠くものとはいえない。 参加原告は,本件注意事項が事務所経費を政務調査研究費の対象外とす ることを定めていることから,事務室の備品であるついたての購 員の政務調査研究活動との関連性や必要性を欠くものとはいえない。 参加原告は,本件注意事項が事務所経費を政務調査研究費の対象外とす ることを定めていることから,事務室の備品であるついたての購入を認める余地はないなどと主張するが,上記に説示したところによれば,ついたての購入につき,来訪者との面談を行いやすくするための用具であり消耗品であるとしたちよだの声の判断が不合理とまではいえず,上記主張は採用できない。 エ ICレコーダー,デジタルカメラ及びメモリーカードの購入費(ポイン ト相当額)についてちよだの声民主に所属するL議員に係る支出CM13~14及びJ議員に係る支出CM15(いずれも別紙4の表3の2)は,ICレコーダー,デジタルカメラ及びメモリーカード等の購入費であり(甲12),本件使途基準の「消耗品費」に当たるところ,参加原告は,当該購入により 購入先である店舗のポイント(10%)が付与されたことから,ポイント相当額を控除した金額のみが政務調査研究費として認められるべきであると主張する。しかし,上記ポイント相当額が当該購入に係る代金から減額されたものではなく,購入費の全額が,議員の政務調査研究活動に必要とされる物品の対価として現に支出されていることからすれば, それに応じたポイントが各議員に付与されたからといって,当該支出のうちポイント付与相当額につき議員の政務調査研究活動との関連性や必要性を欠くことになるものではなく,本件使途基準や本件注意事項にポイントの付与を禁止する趣旨の定めはなく,実質的にみても,議員が当該購入により付与されたポイントを必ず利用するとは限らず,金銭の支 払を受けたのと同様の利益を得たものとはいえない。したがって,上記ポイント付与相当額につき購入費に含まれ 的にみても,議員が当該購入により付与されたポイントを必ず利用するとは限らず,金銭の支 払を受けたのと同様の利益を得たものとはいえない。したがって,上記ポイント付与相当額につき購入費に含まれるものとしたことが本件使途基準に違反するものとはいえない。 なお,L議員に係る支出CM14は,商品代金2万6180円のうち1153円分については過去に付与されたポイントを利用して支払われて いるが,この点についても,本件使途基準において,ポイントを利用した購入につきポイント分を控除しなければならない旨の定めはなく,また,同議員は上記購入のために自らが保有していたポイントを利用したのであって,自らの出捐をもって代金の拠出をしたことに変わりはないから,上記ポイント利用相当額についても購入費に含まれるものとした ことが本件使途基準に違反するものとはいえない。 オ小括以上によれば,ちよだの声等に係る支出は,その全額について,議員の政務調査研究活動と合理的な関連性を有する適法な支出であったというべきである。 (4) 行革クラブに係る支出について ア書籍代について本件使途基準(乙3)は,図書・資料費について,使途内容を「新聞・書籍・資料,CD-ROMなどに係る経費」と定め,使途禁止事項として「所属する政党発行の新聞」を挙げるところ,N議員に係る支出U1~13(別紙4の表4の4)は,一般雑誌や新聞,書籍を購入するに際 して数百円から数千円程度の金額を支出した費用であると認められ(甲13,弁論の全趣旨),その中に政党発行の新聞が含まれているとはうかがわれないから,かかる支出は上記使途禁止事項に当たるものではない。 参加原告は,議員個人がその興味関心や一般教養のために購入した書籍 の購 ),その中に政党発行の新聞が含まれているとはうかがわれないから,かかる支出は上記使途禁止事項に当たるものではない。 参加原告は,議員個人がその興味関心や一般教養のために購入した書籍 の購入費は政務調査研究費の対象外であり,購入図書の中には「宇宙飛行士選抜試験」「大江戸散歩…」といった個人的嗜好に基づく図書が含まれていると主張する。しかし,政務調査研究費が,幅広い分野を取り扱う議会の審議能力を強化し,議員の政務調査研究活動の基盤の充実を図る趣旨で制度化されているところ,議員の政務調査研究活動は多岐に わたるといえ,その一環としていかなる図書を政務調査研究に資するものとして購入するかについては,議員の合理的な裁量に委ねられる部分があると解すべきである。このことからすれば,上記の書籍の購入が単なる個人的嗜好に基づくものと断ずることはできず,直ちに政務調査研究活動との間に合理的関連性を欠くものということはできない。 イパソコンのウイルスソフト,FAX機,延長コード及び充電器の購入費 についてN議員に係る支出U14~16(別紙4の表4の3)は,上記各物品の購入費用であり,本件使途基準の「消耗品費」に当たる。議員の政務調査研究活動においては,各種の資料・文書の作成,外部の者との通信,インターネットによる情報収集等のために相応の性能を備えたパソコン 及びそのセキュリティ対策のためのウイルスソフト,通信機器としてのFAX機等が必要となると認められ,これらに係る支出が,議員の政務調査研究活動との関連性や必要性を欠くものとは認められない。 参加原告は,私的利用の可能性もあるなどと主張するが,これを裏付ける証拠はなく,その主張は採用することができない。 ウ喫茶店での飲食費について本件使途 を欠くものとは認められない。 参加原告は,私的利用の可能性もあるなどと主張するが,これを裏付ける証拠はなく,その主張は採用することができない。 ウ喫茶店での飲食費について本件使途基準(乙3)は,会議費について,使途内容を「調査研究のための外部折衝に必要な経費及び会費飲食費は一人当たり5000円以内とする」と定め,使途禁止事項として「①飲食を主目的とした会議②政党のパーティー」を挙げるところ, N議員に係る支出U18~23 (別紙4の表4の1)は,会計整理票(甲13)上,同議員が,「政策会議・打合せ」を目的として,喫茶店において打合せを実施する際に支出した費用であり,上記使途禁止事項に当たるものではない。 参加原告は,会議の具体的な内容など,喫茶店で会議を行う必要性が明らかにならない限り違法な支出になるなどと主張するが,その主張が採 用できないことは前記(2)アで説示したとおりである。行革クラブによれば,上記会議には,政党の支部長等から話を聞くためのものも含まれていたところ,行革クラブが新人議員1人のみの会派であったことからすれば,上記会議のための支出が政務調査研究活動との間に合理的関連性を欠くものとはいえない。参加原告の上記主張は採用することができな い。 エタクシー代について本件使途基準(乙3)は,交通費について,鉄道運賃,バス代,タクシー料金,航空運賃等の移動のための経費を使途内容としている。N議員に係る支出U24~47(別紙4の表4の2)は,会計整理票上,タクシーを利用した際に支出したものである(甲13)ところ,そのうち, U28,33,35~36,38~44の各支出については,会計整理票に,乗降地の記載又は目的の記載がない。 この点,本件注意事項は,交 用した際に支出したものである(甲13)ところ,そのうち, U28,33,35~36,38~44の各支出については,会計整理票に,乗降地の記載又は目的の記載がない。 この点,本件注意事項は,交通機関利用の場合は乗降地を記載するものとし,交通費の支出についてはその目的も記載するものとしているところ,その趣旨は,会計整理票において,支出の内容について一定程度具 体的な説明を記載することにより,交通費の支出の適正を担保することにあると解される。かかる本件注意事項の趣旨に鑑みると,乗降地の記載又は目的の記載がない上記各支出については,交通費の支出の適正が担保されていないことから,被告又は行革クラブにおいて,乗降地及びタクシー利用の目的について,個別具体的な立証がされなければ,政務 調査研究活動との間に合理的関連性を欠くこと又は支出の必要性がないことが推認されるというべきであるところ,行革クラブにおいて,そのような立証はされていない。したがって,上記各支出(合計1万2490円)は,本件使途基準に違反するものである。 他方で,その余のタクシー代の各支出については,会計整理票に乗降地 の記載及び目的(備品搬入,情報収集又は区政相談)の記載がされている(甲13)ところ,各支出に係るタクシーの実際の利用がこれと異なることを裏付ける証拠は提出されておらず,各支出は,政務調査研究活動との間に合理的関連性を欠くものとは認められない。 オ小括 以上によれば,行革クラブに係る支出のうち,タクシー代の一部に係る 支出(1万2490円)については,本件条例及び本件使途基準の定めに違反した違法な支出であるというべきであり,その他の支出は議員の政務調査研究活動と合理的な関連性を有する適法な支出であったというべきで (1万2490円)については,本件条例及び本件使途基準の定めに違反した違法な支出であるというべきであり,その他の支出は議員の政務調査研究活動と合理的な関連性を有する適法な支出であったというべきである。 (5) 怠る事実の有無について 以上によれば,千代田区は,新しい千代田及び行革クラブに対し,不当利得返還請求権を有している(上記(2)エ及び(4)オ)ところ,その執行機関である被告は,各請求権の行使を怠っているものと認めるのが相当である。 この点,被告は,議会の機能を十分に発揮するためには議員の所属会派の活動の自由を尊重することが重要であり,議員による政務調査研究活動は, その対象が相当程度広範にわたり,その手段選択について,議員の自主性,自律性が尊重されなければならないところ,本件条例上,被告は政務調査研究費に係る収支報告を受けるものとはされておらず,形式的な審査権も有していないとして,本件各支出については,議長の判断により適正に執行されているものと認識している以上,被告は不当利得返還請求権の行使を違法に 怠っているものとはいえないと主張する。 しかしながら,被告が政務調査研究費に係る収支報告を受ける立場にはなく,また,上記収支報告を受ける立場にある議長(本件条例14条1項)においてその収支報告がされた当時,本件各支出が適正に執行されているとの認識を有していたとしても,上記のとおり本件各支出の一部につき本件使途 基準に適合しないものであったことが客観的に認められる以上は,本件条例15条2項に基づき,議長は当該会派に対し,当該支出に係る経費の全額の返還を求めなければならないのであるから,被告において当該支出に係る不当利得返還請求権の行使をしないことにつき財務会計法規上違法の評価を免れることはできない。 に対し,当該支出に係る経費の全額の返還を求めなければならないのであるから,被告において当該支出に係る不当利得返還請求権の行使をしないことにつき財務会計法規上違法の評価を免れることはできない。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 3 争点(3)(悪意の受益者該当性及び法定利息の起算日)について民法704条の「悪意の受益者」とは,法律上の原因のないことを知りながら利得した者をいい,政務調査研究費からの各支出についていえば,議員の政務調査研究活動との間に合理的関連性が認められない支出(すなわち,本件条例及び本件使途基準の定めに違反した支出)であることについて認識 していることをいうものと解すべきである。もっとも,議員の政務調査研究活動との間に合理的関連性が認められるか否かは,法的評価に関わる問題であるから,当該支出が合理的関連性を有さないことが明らかな場合でない限り,合理的関連性が認められないことについて悪意であると認めることはできないというべきである。 これを本件についてみると,議員の政務調査研究活動との間に合理的関連性を有さない違法な支出であると認められた各支出は,いずれもそれ自体,その行為が行われた当時においては,合理的関連性を有さないことが明らかであったとまではいえないことから,新しい千代田及び行革クラブにおいて,本件各支出の際に悪意であったと認めることはできない。 もっとも,上記の合理的関連性の有無は,最終的には裁判所の判断によって決せられるものであることからすれば,本判決確定の日において,新しい千代田及び行革クラブは,上記2において認定された金額について,議員の政務調査研究活動との間に合理的関連性を有さない違法な支出であると確定的に認識することができるから, 判決確定の日において,新しい千代田及び行革クラブは,上記2において認定された金額について,議員の政務調査研究活動との間に合理的関連性を有さない違法な支出であると確定的に認識することができるから,本判決確定の日の翌日から支払済みまで民 法所定の年5分の割合による法定利息の返還義務を負担するものというべきである。 第4 結論以上によれば,参加原告の請求は,被告に対し,新しい千代田に対し,97万0630円の不当利得返還請求,行革クラブに対し,1万2490円の不当利得 返還請求及びこれらに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割 合による利息の支払請求をすることを求める限度において,理由があるから,これらを認容し,その余の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第51部 裁判長裁判官清水知恵子 裁判官村松悠史 裁判官松長一太は,転補につき,署名押印することができない。 裁判長裁判官清水知恵子 (別紙1省略) (別紙2-1) ○ 地方自治法(平成二十四年法律第七十二号による改正前のもの) 〔調査・出頭証言及び記録の提出請求並びに政務調査費等〕 第百条 ~ (略) 普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の 普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務調査費を交付することができる。 この場合において、当該政務調査費の交付の対象、額及び交付の方法は、条例で定めなければならない。 前項の政務調査費の交付を受けた会派又は議員は、条例の定めるところにより、当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする。 ~ (略) (特別区) 第二百八十一条 都の区は、これを特別区という。 特別区は、法律又はこれに基づく政令により都が処理することとされているものを除き、地域における事務並びにその他の事務で法律又はこれに基づく政令により市が処理することとされるもの及び法律又はこれに基づく政令により特別区が処理することとされるものを処理する。 (市に関する規定の適用) 第二百八十三 づく政令により特別区が処理することとされるものを処理する。 (市に関する規定の適用) 第二百八十三条 この法律又は政令で特別の定めをするものを除くほか、第二編及び第四編中市に関する規定は、特別区にこれを適用する。 (別紙2-2) ○ 千代田区議会政務調査研究費の交付に関する条例(平成二十五年千代田区条例第号による廃止前のもの。乙一) (趣旨) 第一条 この条例は、地方自治法第百条の規定に基づき、千代田区議会議員(以下「議員」という。)の調査研究の推進を図るため、その必要な経費の一部(以下「政務調査研究費」という。)を千代田区議会の会派(以下「会派」という。)に交付することに関し、必要な事項を定めるものとする。 第二条 この条例で「会派」とは、議員で構成する議会内の団体で、議長が別に定める規程に基づき届出をしたものをいう。ただし、一人で結成する会派を含むものとする。 で,議長が別に定める規程に基づき届出をしたものをいう。ただし,一人で結成する会派を含むものとする。この条例で「政務調査研究費」とは,議員が,会派又は会派の一員として活動する場合の調査研究に要する経費をいう。 (議長及び議員の責務) 第三条 議長は,この条例に定める政務調査研究費が適正に執行され,議員の調査研究活動の実態に即したものとなるよう,常に本制度の見直し等の改善に努めなければならない。議員は,この条例により会派に交付される政務調査研究費の適正かつ透明性を確保した執行に努めなければならない。 (交付対象) 第四条 政務調査研究費は,会派に対して交付する。 (政務調査研究費の会計年度及び額) 第五条 政務調査研究費の会計年度は,毎年四月一日から翌年三月三十一日までとする。政務調査研究費は,議員一人人当たり月額十五万円に,会派を構成する議員(以下「所属議員」という。 政務調査研究費は,議員一人人当たり月額十五万円に,会派を構成する議員(以下「所属議員」という。)数を乗じた額とする。 (政務調査研究費の申請) 第七条 政務調査研究費の交付を受けようとする会派の代表者は,毎年度各四半期の最初の月の五日までに,別紙第一号様式による政務調査研究費交付申請書(以下「申請書」という。)を議長に提出しなければならない。各四半期の途中で,新たに会派を結成したときは,速やかに同申請書を議長に提出しなければならない。 (略) (政務調査研究費の交付決定) 第八条 議長は,前条一項及び二項に規定する申請書の提出があったときは,その内容を調査した上で交付決定し,速やかに別記第四号書式による政務調査研究費交付決定通知書(以下「決定通知書」という。)を会派の代表者に送付しなければならない。 (略) (政務調査研究費の交付等) 第九条 議長は,前条の交付決定を に送付しなければならない。 (略) (政務調査研究費の交付等) 第九条 議長は,前条の交付決定をしたときは,各会派に対し,各四半期の最初の月の十日までに当該四半期の合計額を交付するものとする。ただし,第七条第二項に規定する申請書に基づく交付決定をしたときは,当該交付(別紙2-2)決定の日が一日の場合は,当月分から交付し,二日以降の場合は,その翌月分から交付する。 ~ (略) (改選期の特例) 第十条 議長は,議員の任期が満了する月の属する四半期については,前条第一項の規定にかかわらず,当該月分まで交付するものとする。議長は,千代田区議会議員の一般選挙後,新たに会派が結成された時は,第七条第一項及び第八条第一項並びに第九条第一項の規定にかかわらず,任期の始まる月の属する四半期分の政務調査研究費について月割りで交付するものとする。(以下略) ~ (略) (政務調査研究費の使途) 政務調査研究費について月割りで交付するものとする。 (政務調査研究費の使途範囲) 第十三条 会派及び所属議員は,別に定める政務調査研究費使途基準に基づき,適正に使用しなければならない。 (政務調査研究費の収支報告) 第十四条 会派の代表者は,政務調査研究費に係る四半期ごとの中間収支を議長に報告しなければならない。会派の代表者は,毎会計年度終了後四月二十日までに,別記第号様式による政務調査研究費決算報告書を議長に提出しなければならない。 (政務調査研究費の返還) 第十五条 会派の代表者は,前条二項及び三項の規定により決算報告をする場合において,政務調査研究費の交付を受けた会派がその年度において交付を受けた政務調査研究費の総額から,当該会派がその年度において政務調査研究を推進するため必要な経費として支出した総額を控除して残余を生じた場合は,当該残 度において政務調査研究を推進するため必要な経費として支出した総額を控除して残余を生じた場合は,当該残余の額を議長に返還しなければならない。 議長は,会派が第十三条に規定する政務調査研究費使途基準に基づかない支出があると認められるときは,当該支出に係る経費の全額の返還を求めなければならない。 前項の規定により,政務調査研究費に返還金が発生したときは,第五条二項にかかわらず,当該返還額をすでに交付した額から減額した額を交付額とするものとする。 (政務調査研究費交付額の見直し) 第十六条 議長は,少なくとも三年に一回,政務調査研究費の交付額を見直さなければならない 議長は,前項の見直しをするときは,別に定める方法により意見聴取等を行った上で,議会運営委員会に諮り決定しなければならない。 議長は,前項の決定をした場合において,千代田区長に対して決定した内容を書面により通知しなけれ 議長は,前項の決定をした場合において,千代田区長に対して決定した内容を書面により通知しなければならない。 (別紙2-3) ○ 千代田区議会政務調査研究費の交付に関する条例施行規則(平成二十五年千代田区議会規則第一号による廃止前のもの。乙三) (政務調査研究費の使途基準) 第五条 条例第十三条に規定する政務調査研究費の使途基準は,別表によるものとする。 (政務調査研究費の収支報告) 第六条 条例第十四条一項に規定する四半期ごとの中間収支報告書は,別記第四号様式の政務調査研究費使途明細中間報告書(以下「中間報告書」という。)によるものとする。前項に規定する中間報告書は,各四半期が終了する月の翌月末までに提出するものとする。ただし,第四半期分の報告については,条例第十四条二項に規定する政務調査研究費決算報告書(以下「決算報告書」という。)の提出をもってこれに代えるものとする。 に規定する政務調査研究費決算報告書(以下「決算報告書」という。 )の提出をもってこれに代えるものとする。 (略) 第一項に規定する中間報告書には,支出の内容を明らかにする領収書等の原本を添付するものとする。 条例第十四条第二項に規定する決算報告書には,第 四半期分の領収書等の原本及び会計帳簿を添付するものとする。 (別紙2-4)政務調査研究費使途基準(本件使途基準。乙3)費目使途内容使途禁止事項人件費調査研究を補佐又は補助するための人的経費①日常的な事務員の雇用②家族の雇用会議費調査研究のための外部折衝に必要な経費・会費飲食費は,一人5000円以内とする①飲食を主目的とした会議②政党のパーティー視察・研修費視察及び研修会,報告会に係る経費(講師又は協力者への謝礼を含む)①所属政党の研修会・大会通信費①会派→電話・ファクシミリ・インターネットに係る料金,携帯電話料金,切手・葉書等の郵便料金,宅配便等の発送に係る料金②自宅→電話を2回線保有している場合で,議員活動専用に使用し,議長に届け出ている1回線に係る料金,インターネットのプロバイダー及び通信に係る料金 交通費鉄道運賃(JR・私鉄・地下鉄),バス代,タクシー料金,航空運賃等の移動のための経費①自家用車のガソリン代,高速道路等の利用料,駐車料印刷費議会 イダー及び通信に係る料金 交通費鉄道運賃(JR・私鉄・地下鉄),バス代,タクシー料金,航空運賃等の移動のための経費①自家用車のガソリン代,高速道路等の利用料,駐車料印刷費議会報告,チラシ,コピー料金などの印刷に係る経費 消耗品費文房具,コピー用紙,プリンターインク,ファクシミリトナー,フロッピーディスクなどの消耗する物品 備品費パソコン,プリンター,ファクシミリ,カメラ,事務機器など1物品が10万円以上の物品に係る経費 図書・資料費新聞・書籍・資料,CD-ROMなどに係る経費①所属する政党発行の新聞レンタル・リース費備品やレンタカーなどの一時的な使用などに係る経費①日常的に使用する自動車・バイク等課題別経費会派が個々具体的な課題解決のために支出する経費。ただし,支出にあたっては上記費目及び使途内容等に基づくものとする。 他の項目に属さない経費他の費目に属さない経費 (別紙2-5)使途基準注意事項・指摘事項等(本件注意事項〔甲4の1〕) ①領収書又は会派会計責任者の支払い証明書がないものは,支出の証明ができないため,政務調査研究費として支出することはできないこと ②領収書の宛名が会派や議員名と違うものは,政務調査研究費として支出することはできないこと費目注意事項人件費①勤務日や時間を記入すること②出勤簿も備えること③勤務内容も明確にすること④交通費を支給する場合は,交通費も含めて一括人件費として取り扱うこととする会議費①参加人数を記載すること②会議内容を記載すること③飲食費が一人5000円を超えた場合,その理由を記載すること④会議に不向きな場所での打合 て一括人件費として取り扱うこととする会議費①参加人数を記載すること②会議内容を記載すること③飲食費が一人5000円を超えた場合,その理由を記載すること④会議に不向きな場所での打合せ等は,打合せそのものの事実を問われかねないため,政務調査研究費の対象外とすること⑤後援会等にかかわる経費は当該団体が負担すべきものであるため,後援会で使用した茶菓代は政務調査研究費の対象外とすること⑥同窓会年会費は政務調査研究費の対象外とすること視察・研究費①視察に係る経費は,全てこの費目で支出すること②視察の経費は,実費額とすること③視察先及び研修会での講師又は協力者への謝礼は,区の講師謝礼支出基準を参考とすること。ただし,基準に当てはまらない場合は,その理由を明確に記載すること④講師謝礼には,交通費や宿泊費も含めることができること⑤手土産持参の場合には,調査訪問先及び調査項目等を記載すること通信費①電話・ファクシミリ・インターネットに係る料金は,会派又は自宅に限ること②携帯電話料金,切手・葉書等の郵便料金,宅急便等の発送に係る料金③電話・ファクシミリ・インターネットは,議員本人が使用すること(家族の使用は,不可)④携帯電話料金は7割を上限として按分すること⑤ホームページの作成及び保守に係る料金は,ホームページの内容に基づき按分すること(表は省略)交通費①鉄道等の利用で自動券売機等で購入した場合に限り,領収書は必要ないものとすること②交通機関利用の場合は,乗降地を記載すること ③交通費の支出については,その目的も記載すること④Suica(スイカ),PASMO(パスモ)等を利用する際は,使用履歴を添付すること印刷費①外注で議会報告やチラシ等を作成した場合は,完成品 交通費の支出については,その目的も記載すること④Suica(スイカ),PASMO(パスモ)等を利用する際は,使用履歴を添付すること印刷費①外注で議会報告やチラシ等を作成した場合は,完成品を添付すること②後援会等にかかわる経費は当該団体が負担すべきものであるため,後援会ニュースの作成経費は政務調査研究費の対象外とすること③名刺の印刷経費は政務調査研究費の対象外とすること(判例による)消耗品費①購入品名を記載すること②領収書には,購入物品の内訳を記載すること③本人又は家族の経営するお店からの物品購入は,第三者から誤解を受けかねないため,政務調査研究費の対象外とすること④日常的に使用する自動車の修理代金は政務調査研究費の対象外とすること備品費①購入品名を記載すること②備品台帳を備え,会派解散時は議長に返還すること③備品の償却年数は4年とすること④備品は一物品10万円以上とすること(規則事項)図書・資料費①購入図書・資料名を記載すること②所属政党の新聞,雑誌の購入は政務調査研究費の対象外とすること③5大紙などの商業新聞は,一般的にどこの家庭でも購読しており,社会通念上の観点から,特に政務調査研究費としての支出は認めがたい。 レンタル・リース費①借上げの目的又は内容を記載すること②事務所経費は,当面,政務調査研究費の対象外とすること③所属政党からの宣伝カーの借上げ料及び印刷機借上げ使用料は,第三者から見て誤解を生じるため,政務調査研究費の対象外とすること課題別経費①上記注意事項に基づき支出すること②課題別に取り組んだ期間を記入すること他の項目に属さない経費①理由と内容を記載すること②お祝い,香典等の慶弔費は,政務調査研究費の対象外とすること③団体への賛 基づき支出すること②課題別に取り組んだ期間を記入すること他の項目に属さない経費①理由と内容を記載すること②お祝い,香典等の慶弔費は,政務調査研究費の対象外とすること③団体への賛助金は政務調査研究費の対象外とすること (別紙3)争点に関する当事者の主張の要旨 1 争点(1)(本件訴えの適法性等)について(新しい千代田の主張の要旨)前件監査請求と本件監査請求1及び2との間において,不当ないし違法な 事由として主張されている平成23年度の新しい千代田に係る政務調査研究費の支出はおおむね共通している。 また,本件条例15条1項が,政務調査研究費の交付を受けた会派がその年度において交付を受けた政務調査研究費の総額(交付額)から,当該会派がその年度において政務調査研究を推進するため必要な経費として支出した 総額(執行額)を控除して残余を生じた場合は,その残余の額(不用額)を議長に返還しなければならないと規定していることからすれば,本件条例に基づいて交付された政務調査研究費について,その収支報告書上の支出の総額から実際には存在しないもの及び使途基準に適合しないものの額を控除した額が政務調査研究費の交付額を下回ることにならない場合には,当該政務 調査研究費の交付を受けた会は又は議員は,千代田区に対する不当利得返還義務を負わず(最高裁平成30年11月16日第二小法廷判決参照),政務調査研究費の返還請求が認められるのは上記の交付額を執行額が下回って不用額が生じる場合に限られるから,本件政務調査研究費に係る不当利得返還請求権の行使を怠る事実を財務会計行為とする本件訴えは,前件訴訟と同一 の請求をするものである。 したがって,本件訴えは,二重起訴ないし別訴の禁止を定める地方 政務調査研究費に係る不当利得返還請求権の行使を怠る事実を財務会計行為とする本件訴えは,前件訴訟と同一 の請求をするものである。 したがって,本件訴えは,二重起訴ないし別訴の禁止を定める地方自治法242条の2第4項に違反し,不適法である。 また,前件訴訟の判決は確定し,既判力が生じているから,同訴訟の口頭弁論終結時までに提出すべきであった違法事由の主張は,既判力により排斥 されるべきである。 (ちよだの声等の主張の要旨)本件条例が,政務調査研究費の概算払い(9条)及び会計年度終了後の精算(15条)を規定していることから,本件条例に基づいて交付された政務調査研究費について,その収支報告書上の支出の総額から実際には存在しないもの及び使途基準に適合しないものの額を控除した額が政務調査研究費の 交付額を下回ることにならない場合には,当該政務調査研究費の交付を受けた会は又は議員は,千代田区に対する不当利得返還義務を負わない(最高裁平成30年11月16日第二小法廷判決参照)ものであり,政務調査費に係る返還請求権は,年度単位で発生するものである。 参加原告は,パソコンの購入費について,その購入数が多すぎると主張し ているが,かかる主張は前件訴訟と同様の主張をするものであって,重複審理,紛争の蒸し返し防止,訴訟経済等の二重起訴の禁止の趣旨に反し,許されない。 また,前件訴訟の判決は確定し,既判力が生じている。参加原告が違法と主張する支出は,前訴判決において棄却判断がされているから,参加原告の 主張は既判力により排斥されるべきである。 (参加原告の主張の要旨)前件訴訟は,本件政務調査研究費のうち,本件訴えとは別の支出に関して同じ理由により不当利得であることを主張するものであって,支出の内容 力により排斥されるべきである。 (参加原告の主張の要旨)前件訴訟は,本件政務調査研究費のうち,本件訴えとは別の支出に関して同じ理由により不当利得であることを主張するものであって,支出の内容(支出の原因事実)が異なる以上,「同一の請求」に関するものとはいえな い。政務調査研究費が一括して交付され,剰余金が生じた場合に返還請求ができるとされている(本件条例15条1項)が,これとは別に違法な支出について個別に返還請求をすることは認められる(本件条例15条2項)。 2 争点(2)(本件各支出の本件使途基準適合性等)について(参加原告の主張の要旨) (1) 判断基準について 政務調査研究費が本件使途基準に適合しない支出に充てられたことを推認させる一般的・外形的な事実が立証されたときには,適切な反証がない限り,当該支出は違法と判断されるところ,政務調査研究費の支出が本件使途基準に違反するかの判断に当たっては,本件注意事項も,本件使途基準と一体のものとなるものとして考慮されるべきであって,本件注意事項に違反する支 出は違法である。本件注意事項の定めに照らせば,支出の具体的内容の記載を欠き又は虚偽記載のある支出については,当初の支出報告の際に正しい記載又は説明をすることができなかったなどの特段の事情がない限り,住民訴訟で説明が付加されたとしても,その違法性が補完されることはない。また,本件注意事項が定めるように,領収書又は会派会計責任者の支払い証明書が ないものや領収書の宛名が会派や議員名と異なるものは,政務調査研究費として支出することはできない。さらに,本件注意事項の通信費に係る定めに照らせば,専ら政務調査研究活動のために支出された場合にはその支出の全額が政務調査研究費として認められる一方,そ 政務調査研究費として支出することはできない。さらに,本件注意事項の通信費に係る定めに照らせば,専ら政務調査研究活動のために支出された場合にはその支出の全額が政務調査研究費として認められる一方,その他の議員活動が混在する場合には合理的に説明できる額又は2分の1を上限とする適切な額だけが,私 的活動が混在する場合には合理的に説明できる額又は4分の1を上限とする適切な額だけが,それぞれ政務調査研究費として認められるというべきである。 (2) 新しい千代田に係る支出についてアホテル内での会議費,喫茶店での飲食費について 会計整理票には,支出内容として「他自治体議会議員との情報交換」等と記載されているだけで,誰とどのような会議をしたかが明らかではない。会議を行うのであれば区役所庁舎を利用するのが普通であるところ,大人数での会議を行うなどの事情がないにもかかわらず,千代田区役所庁舎から徒歩数分の距離にあるホテルで頻繁に会議を行うことは必要性 を欠き,実体を伴う支出ではないことが強く推認される。また,喫茶店 は,飲食を行う場所という性質からして,公的な立場での会議を行う合理性は通常ないにもかかわらず,頻繁に喫茶店で会議を行っている。 喫茶店での飲食代は,一人当たり500円までが相当な範囲であるから,これを超える額は政務調査研究との合理的関連性を認める余地はない。 また,自治体の議員間の情報交換であれば,千代田区側が費用を全額支 出するのも不自然である。 イタクシー代タクシーの利用回数は合計800回を超えるところ,その利用態様は,大半が近距離での利用であり,自宅付近での乗降を内容とするものであるところ,公共交通網が発達した千代田区において,多いときには1日 6回という頻度 合計800回を超えるところ,その利用態様は,大半が近距離での利用であり,自宅付近での乗降を内容とするものであるところ,公共交通網が発達した千代田区において,多いときには1日 6回という頻度で,自宅付近での乗降を内容とする近距離でのタクシー利用をする必要性が生ずるとは考え難いから,各所属議員が日常的な移動手段として漫然とタクシーを利用していることが強くうかがわれる。 会計整理票では「情報収集」という定型文言が記載されているのみであり,利用目的が明記されていない。 新しい千代田が提出したタクシーの領収書に記載されたGPSコードに係る降車地(実際の降車地)は,ごく一部の例外を除き,各議員が申告した降車地と異なっている。しかも,これらの実際の降車地には各議員の自宅付近が多く含まれているところ,その中には,当該自宅に居住する議員ではなく,別の議員による利用の申告がされているケースが存在 する。これらのことからすれば,本件の全てのタクシー代について,その乗車区間及び乗車者の申告内容は全くの虚偽であることが強く推認される。 ウ書籍代本件注意事項は,五大紙などの商業新聞が一般的にどこの家庭でも購読 されていることから,社会通念上,政務調査研究費としての支出は認め 難いと定めるところ,その趣旨は,数十万部も発行され,広く購読されている一般雑誌にも当てはまる。 また,会計整理票において「購入した目的(記事内容)」が全く記載されておらず,購入した雑誌名も一部しか明らかにされていない以上,購入図書や資料名を記載することを求める本件注意事項の定めに違反して いることは明らかである。 (3) ちよだの声等に係る支出についてア人件費(ア) ちよだの声等が人件費を支払ったS及び 記載することを求める本件注意事項の定めに違反して いることは明らかである。 (3) ちよだの声等に係る支出についてア人件費(ア) ちよだの声等が人件費を支払ったS及びT(以下「Sら」ということがある。)は母子の関係にあり,政治的な主義主張に異なる点も多 いはずの両会派がその補助事務を同一人物に依頼して費用を折半にしており,特にSは,平成23年4月上旬から同年5月上旬までの間,平日ほぼ毎日,終日(午前9~10時から午後5~6時まで)勤務していたから,使途禁止事項である「日常的な事務員」に当たる。 Sらの勤務内容は会計整理票上明確にされておらず,領収書には「事 務補助○月分」とのみ記載されている。Sらは,長年にわたりJ議員の政治団体(Jと歩く会)の後援活動を中心となって行っており,Sは,同団体の会計責任者である。Sらについて,勤務日が千代田区議会の定例会の開催期間中又はその直前に頻繁になっているといった状況は全く存在しないところ,同月24日に千代田区議会選挙が実施されたことに 関し,Sらが,平成23年4月上旬から同年5月上旬までの間,平日ほぼ毎日勤務し,選挙期間中(4月17日〔告示日〕~24日〔投票日〕)のみ出勤していないのは,両会派の選挙活動を補助したことを示しており,Sが作成した「Jと歩く会」の収支報告書に人件費の支出が0円とされていることに照らせば,両会派がSに人件費として支払った 金銭には,政治活動の補助に対する報酬としての趣旨が含まれている。 現に,Sが選挙管理委員会に提出した収支報告書等においても選挙運動への関与や事務員としての雇用を示す記載がされているし,選挙運動において必要となった物品(清掃用品等)はSらが購入したものである。 (イ) ちよだの声等がS に提出した収支報告書等においても選挙運動への関与や事務員としての雇用を示す記載がされているし,選挙運動において必要となった物品(清掃用品等)はSらが購入したものである。 (イ) ちよだの声等がSらの作業内容を記載したものとして提出する報告書(丙7)は,その報告書が,どのように作成されたかについて説明 がされていない上,以下の点が認められるから,報告書の内容は事実に反するものである。 ① 平成23年4月1日の作業について,Sは記憶にないと証言している。 ② 平成23年4月4~5日の区政報告書とされる「J通信43号」 (丙9)の編集・発送作業について,同文書の下に記載された日付「2011.4.11」との関係をSは合理的に説明していない。 ③ 平成23年4月6~13日の「ちよだの声・声2通信」(丙10)の発送作業について,同文書は「2011年新春号」であり,「新しい年を区民の皆様はどのようにお迎えでしょうか」との一文から始 まっている。Sは,いつ発送したか覚えていないと不合理な供述をした後,「出しそこなっていた」などとあたかも発送が遅れたことを記憶していたかのような証言をした。上記発送が同年1月にされたことは,ちよだの声の現金出納帳(甲40の1)から明らかである。 ④ 平成23年4月14日に区政報告発送後の対応を行ったとされるが, 上記②~③のとおり,区政報告の発送はされていない。 ⑤ FAXニュース(丙9,11,15など)の送信について,FAXニュースの日付と報告書(丙7)に記載された発信日は一致していないが,Sは合理的な説明をしていない。 ⑥ 議会での議員の質問事項に関する調査事務補助について,Sはほと んど記憶にないと証言し,パソコンで作業したのであれば調査したこ とを裏付けること は合理的な説明をしていない。 ⑥ 議会での議員の質問事項に関する調査事務補助について,Sはほと んど記憶にないと証言し,パソコンで作業したのであれば調査したこ とを裏付けることができるにもかかわらず,裏付けはされていない。 勉強会やシンポジウムの補助についても,Sは記憶がないと証言している。 ⑦ 平成23年9月5~6日に行ったとされる視察報告書(丙30)の作成補助については,作成者(議員)の名前が記載されておらず,そ の内容からして,議員が作成したものではなく視察先である岩手県大槌町から入手したものである。 (ウ) 仮に人件費が政務調査研究と関連性があるとしても,政務調査研究以外の議員活動が議員の活動全体の多くを占めることからすれば,その割合は2分の1を超えないというべきである。 (エ) 平成23年4月分の人件費については,同年5月に会派結成届がされたちよだの声等が,平成23年度の政務調査研究のために支出することはできない。同月以前に存在した会派(ちよだの声及びちよだの声2)は別の会派であるし,平成23年の会計年度は,同年5月1日から開始するものであり,会計年度が異なる同月4月分の人件費を同会計年 度の政務調査研究費から支出することは許されない。 イパソコンの購入費(ちよだの声)千代田区では議員個人に1台ずつ,パソコンが無償で貸与されており,2名の所属議員しかいないちよだの声において政務調査研究活動のために立て続けに2台のパソコンを購入する必要性はない。ちよだの声等の 議員ら4名は,上記支出を含め,わずか2年(平成23年度,平成24年度)の間にデスクトップパソコン3台,ノートパソコン4台,タブレット端末4台の合計11台(総支出額101万2792円)を購入しているが,このような 記支出を含め,わずか2年(平成23年度,平成24年度)の間にデスクトップパソコン3台,ノートパソコン4台,タブレット端末4台の合計11台(総支出額101万2792円)を購入しているが,このような多数のパソコン機器類を購入する合理的必要性はない。ノートパソコンが外出先での使用に必要な場合があるとしても,1 台で十分であるし,データの管理(バックアップ)のためであれば,ハ ードディスクを購入するなどの方法があることから,デスクトップパソコンを購入する必要はない。 仮に,購入したパソコンを政務調査研究のために使用したとしても,その利用には必然的に他の議員活動目的によるものが混在し,私的な利用も排除することができないから,政務調査研究費として認められる割合 は4分の1であり,その余は,使途範囲外支出である。 ウついたての購入費(ちよだの声)ついたての購入が政務調査研究のために必要になるとは通常考え難い。 本件注意事項が事務所経費につき当面は政務調査研究費の対象外とすることを定めていることに照らしても,事務室の備品であるついたての購 入を認める余地はない。 仮に一部について関連性を認めるとしても,上記ついたてが専ら政務調査研究に資するものでないことは明らかであるから,購入費の2分の1を超える部分については政務調査研究との関連性を認める余地はないというべきである。 エ ICレコーダー,デジタルカメラ及びメモリーカードの購入費(ちよだの声民主)ちよだの声民主は,ICレコーダー,デジタルカメラ及びメモリーカードを家電量販店において購入しているところ,家電量販店が発行するポイントカードに10パーセント相当のポイントが付加されている。カー ド所有者においてこのポイントを次回の買い物の際に現 リーカードを家電量販店において購入しているところ,家電量販店が発行するポイントカードに10パーセント相当のポイントが付加されている。カー ド所有者においてこのポイントを次回の買い物の際に現金と同様に利用したり,電子マネーに移し替えたりすることができ,その累計額も無視できない金額になることからすれば,政務調査研究費として支出の必要性を肯定し得るのはポイント相当額を控除した額にとどまるというべきである。 また,支出CM14(別紙4の表3)については,ポイントを利用して 商品を購入したにもかかわらず,ポイント利用分を控除する前の全額を政務調査研究費として計上しており,議員が個人的にその経済的利益を取得したに等しい。 (4) 行革クラブに係る支出についてア書籍代 新聞及び一般雑誌については本件注意事項において政務調査研究費としての支出は認め難い。購入図書の中には「宇宙飛行士選抜試験」,「大江戸散歩…」といった個人的嗜好に基づく図書が多く含まれているから,上記書籍代は,いずれも政務調査研究費として認められない。 イパソコンのウイルスソフト,FAX機,延長コード及び充電器の購入 費上記物品の購入は,議員としての活動一般のために必要になるものであるから全額返還の対象となるというべきであるし,仮に,上記各物品が政務調査研究のために部分的に使用されることがあるとしても,その使用には必然的に他の議員活動目的によるものが混在し,私的な利用の可 能性も排除することができないから,政務調査研究費として認められる割合は4分の1を超えないというべきである。 ウ喫茶店における飲食費喫茶店は区議会議員が会議を行う場所としては不向きであるから,喫茶店における飲食費については,具体的な会合の内容 認められる割合は4分の1を超えないというべきである。 ウ喫茶店における飲食費喫茶店は区議会議員が会議を行う場所としては不向きであるから,喫茶店における飲食費については,具体的な会合の内容等が明らかにされな い限り,政務調査研究のために必要な支出とは認められず,全額返還の対象となるというべきである。 行革クラブは,新人議員としての疑問を解消するための会合であったなどと主張するが,こうした打合せは自分自身の議員活動について相談するものであって,調査研究のための外部折衝とはいえない。 エタクシー代 会計整理票上乗降地の記載がないものがあるほか,利用の必要性についての記載が欠けているものが多く,利用目的が記載されているものも「自宅より備品搬入のため」や「区政相談」程度の記載にとどまるものであるから,政務調査研究における必要に基づくものと認める余地はない。 (被告の主張の要旨)(1) 議員の調査研究対象は相当広範であり,その手段選択につき議員の自主性,自律性が尊重され,特に,千代田区においては,議会の自律的運営をとりわけ重視し,会派からの収支報告は議長のみが受けるものとされ,被告はこれを受ける立場になく,形式的な審査権すら与えられていない。被 告としては,各支出についてはいずれも議長の判断により適正に執行されているものと認識しており,本件条例上,かかる被告の判断には何らの違法もなく,本件各会派に対する不当利得返還請求権の行使を違法に怠っているものではない。 (2) 本件注意事項は,地方自治法109条3項所定の調査及び審査権限を有 するにすぎない千代田区議会の議会運営委員会において示された議長の要望ないし会派の努力目標であって,同委員会に本件使途基準の解釈を決定する権 地方自治法109条3項所定の調査及び審査権限を有 するにすぎない千代田区議会の議会運営委員会において示された議長の要望ないし会派の努力目標であって,同委員会に本件使途基準の解釈を決定する権限がない以上,本件注意事項は,法規範性を有するものではなく,本件使途基準の解釈指針としても参照すべきものではない。 このことは,本件使途基準の改正に関する指摘や提案を受けた議長が各 派協議会と協議の上,その了承を得られたものを議会活動条件整備等検討会に諮問し,同検討会の全員が使途基準として位置付けることにつき合意したもののみが本件使途基準の内容となり,それ以外のものは本件注意事項となるという千代田区における本件使途基準の改正手続からも明らかである。 (3) 参加原告は,不当利得返還請求権の発生について主張立証責任を負うと ころ,本件各会派による支出の中に本件注意事項を遵守しないものがあるというだけでは,個別の支出が本件使途基準に適合しない使途範囲外支出であるというには足りないというべきである。 (新しい千代田の主張の要旨)(1) 本件条例15条1項が,政務調査研究費の交付を受けた会派がその年度 において交付を受けた政務調査研究費の総額(交付額)から,当該会派がその年度において政務調査研究を推進するために必要な経費として支出した総額(執行額)を控除して残余を生じた場合は,その残余の額(不用額)を議長に返還しなければならないと規定していることから,政務調査研究費の返還請求が認められるのは,上記の交付額を執行額が下回って不用額が生じる 場合に限られるのであり,不当利得返還請求権は個々の経費ごとに発生するものではない。 (2) 会議費会議は,千代田区と他の自治体の間で,それぞれにおいて問題となってい 不用額が生じる 場合に限られるのであり,不当利得返還請求権は個々の経費ごとに発生するものではない。 (2) 会議費会議は,千代田区と他の自治体の間で,それぞれにおいて問題となっている課題に関する状況について相互に情報交換及び意見交換をしたものであり, その実施の必要性は高いものであった。本件使途基準によれば事務所費の高額な家賃の支出は認められていないため,費用対効果や経済性の観点から事務所の代わりにホテルや喫茶店を活用しているという事情も存する。ホテルの会議費の実質は会場使用料であって飲食費ではない。会議の目的を達成する上で関係者との会食等を要する場合や,当該会議を行う日時につき食事を 伴う時間帯以外の日程にすることが困難である場合もあり得るし,一人当たり5000円を超えない飲食費の支出が許容されている。政務調査研究活動の秘匿性の要請に照らして,詳細な会議内容の報告は必要とされていない。 (3) タクシー代タクシーの利用は,政務調査研究活動(情報収集)のための移動のためで あり,タクシーの利用により効率的に目的地に到着することができ,情報収 集の時間を1分1秒でも長く確保することができる。上記タクシーの利用が自宅と目的地との間の移動のためであり,又は,公共交通機関の利用が可能な地域内での利用であるとしても,そのことをもって政務調査研究活動との間に合理的関連性を欠くということはできない。 会計整理票及び領収証等には交通の目的(支出内容),乗降地が記載され ており(なお,会計整理票に記載漏れがあるE議員に係る支出A352〔別紙の表1の2〕の乗降地はαからβまで,F議員に係る支出A609の乗降地はγからδまでである。),移動の実態がないとはいえない上,政務調査研究活動の秘匿性の要 漏れがあるE議員に係る支出A352〔別紙の表1の2〕の乗降地はαからβまで,F議員に係る支出A609の乗降地はγからδまでである。),移動の実態がないとはいえない上,政務調査研究活動の秘匿性の要請からすれば,より詳細な利用内容の記載は必要ないというべきである。 また,会計整理票の記載に誤りが含まれているとしても,タクシーの全部又は一部が政務調査研究活動以外の活動に利用されたことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとはいえない。 (4) 書籍代一般雑誌及び書籍を購入した経費として,政治,経済,社会,文化及び時 事問題等について調査研究するために要した費用であり,政務調査研究費に該当するというべきである。広く購読されている一般雑誌であるからといって政務調査研究との関連性を欠き又は私用による購入であるということはできない。なお,会計整理票上図書名が「等」「他」となっているものについては,週刊ダイヤモンド6月18日号,AERA6月20号,週刊新潮6月 23日号(支出A211〔別紙4の表1の3〕),文藝春秋7月号,週刊文春2月2日号,週刊現代2月4日号,AERA1月30日号,「失敗の本質日本軍の組織的研究」(中央公論社)(支出A212)を購入したものである。 (ちよだの声等の主張の要旨) (1) ちよだの声等に係る政務調査研究費の執行額は,実際に交付された額を 上回っており,本件訴えに係る参加原告の主張の正誤に関係なく,参加原告の請求が認められないことは明らかである。 (2) 人件費議員の仕事が非定型的,非定量的であることからすれば,事務補助の対象となる事務の内容も,資料収集及び調査,それに伴う報告書作成や報告会, 勉強会など多岐にわたり,その事務内容を詳細かつ明確に 議員の仕事が非定型的,非定量的であることからすれば,事務補助の対象となる事務の内容も,資料収集及び調査,それに伴う報告書作成や報告会, 勉強会など多岐にわたり,その事務内容を詳細かつ明確に報告することは現実的ではないのが実情である。また,本件では,議員の親族に対する支出などの事情も存在しない上,第三者の氏名等が具体的に記載された領収証が存在しており,事後的な検証が可能な程度に透明性が確保されている。 参加原告は,事務員であるSらが雇用された時期が平成23年4月及び同 月5月であることから,その事務内容は千代田区議会議員選挙の選挙活動の補助であった旨主張するが,上記2名が選挙活動の補助をした事実はない。 その時期は,東日本大震災の発生後であり,ちよだの声等は,被災者の生活,就労及び就学支援等の実質的な支援や議員ネットワークの立ち上げ準備を含む多様な事務を行っており,また,毎年3月から4月にかけては予算委員会 等の関係で政務調査研究活動が活発になる時期でもあり,本会議開催時期以外の時期においても膨大かつ多岐にわたる地域や行政の課題につきヒアリングをしたり,議会における質問のための準備をしていたものである。 参加原告はFAXニュースの作成日と送信日との不整合を指摘するが,そもそも年3~4回しか発行しないFAXニュースは作成時期があいまいにさ れており(「新春号」「春号」など),また作成直後に送付することができないこともある。 (3) パソコンの購入費パソコンを利用せずに有効かつ効率的な政務調査研究活動を行うことは不可能であり,パソコンの購入費は,本件使途基準の「消耗品費」又は「備品 費」に当たる。ちよだの声等は,住民参加の在り方の見直し等のための勉強 会開催や研究等のために大量の資料やデ 可能であり,パソコンの購入費は,本件使途基準の「消耗品費」又は「備品 費」に当たる。ちよだの声等は,住民参加の在り方の見直し等のための勉強 会開催や研究等のために大量の資料やデータを扱っているため,特にパソコン等の設備環境を整える必要があった。 参加原告は,千代田区から各議員にパソコンの無償貸与がされていることを指摘するが,無償貸与されたパソコンは,発売から6年が経過し,機種が古く,容量や処理速度において効率の劣るものであった上,搭載されている OSのサポートが平成26年4月で終了し,今後継続利用することが難しくなることが明らかとなっていたため,千代田区に返却していたから,新規にパソコンを購入する必要性があった。 また,参加原告は,ちよだの声の所属議員が2名であるのに政務調査研究のために3台もパソコンを必要とすることは考えにくい旨主張するが,そも そも仕事の効率化のためのパソコン等の購入は禁止されておらず,効率化の手段の選択は各議員の裁量に委ねられているところ,ちよだの声では,外出先で使用するためのノートパソコンを各自1台と,会派としてのデータ管理等のためのデスクトップパソコンとを用途別に使用していたものであり,各種名簿等の個人情報については個人情報保護の観点からデスクトップパソコ ンで管理し,案件ごとに必要な範囲でノートパソコンに当該個人情報を転送するなどしていたから,上記ノートパソコン2台を購入する必要性は高かった。外出を伴う仕事をする者が個人用のノートパソコンとタブレット及び事務所のパソコンの合計3台を使用することは一般的に多すぎるものとはいえないというべきであるし,会派での利用や補助者,インターンシップの学生 等による利用がされることをも考慮すれば,上記のパソコン購入が不当である 3台を使用することは一般的に多すぎるものとはいえないというべきであるし,会派での利用や補助者,インターンシップの学生 等による利用がされることをも考慮すれば,上記のパソコン購入が不当であるとはいえない。 (4) ついたての購入費ついたての購入費は本件使途基準の「消耗品費」に当たる。 議員控室は,そもそも政務活動をするための場であり,議員控室への来客 のほとんどは,陳情や区政に対する意見等を述べるための訪問者であり,他 の会派や職員にも相談していること自体を知られたくない事情を持つ者も多いところ,議員控室入口と打合せスペースとの間についたてを設置して訪問者(陳情者)のプライバシーを保護するため,また,千代田区民がより相談しやすい体制を整えるために,ついたてを購入したものである。 (5) ICレコーダー,デジタルカメラ及びメモリーカードの購入費 上記各物品の購入に際しては,ポイントカードに付加されるポイントの有無に関係なく,領収証記載の金額が経費として支出される。Tのポイントは,購入費用を負担した者全てに現金値引きとして与えられるものではなく,様々な家電量販店から実際にTを選択して来店した購入者に対して付与されるものである。ポイントは,千代田区から交付を受けた公金や利得ではない ため,上記購入による千代田区の損失はない。 (行革クラブの主張の要旨)(1) 書籍代N議員は,平成23年4月の選挙で初当選した新人議員として,一人会派を新たに立ち上げたため,千代田区の歴史,地理といった事項を含め,何か ら何まで自ら調べる必要があり,委員会での議論等に対応するためにも,必要な図書の範囲は広範囲なものとなった。必要性について書籍の題名のみから判断すべきではなく,個人用のものとし を含め,何か ら何まで自ら調べる必要があり,委員会での議論等に対応するためにも,必要な図書の範囲は広範囲なものとなった。必要性について書籍の題名のみから判断すべきではなく,個人用のものとして購入したものは対象外としている。「宇宙飛行士選抜試験」や「大江戸散歩…」といった書籍は,有権者との間で現に話題に上り又は上る可能性があったことから購入したもので,千 代田区議会議員として政務に利用するために購入したことに何ら問題はない。 なお,支出U6,11,12(別紙4の表4の4)に係る夕刊紙は,いずれも夕刊フジである。 (2) パソコンのウイルスソフト,FAX機,延長コード及び充電器パソコンに付随して使用するウイルスソフト,延長コードは必要な支出と いうべきである。 (3) 喫茶店における飲食費区議会議員は,住民から情報を得ることも多く,また,不特定の有権者との面会等もあるため,喫茶店を会議の場として選択することに問題はない。 また,一人会派を構成する新人のN議員は,政党支部やみんなの党の支部長等に電話したり議員控室に訪問したりするなどして情報収集をすることが多 く,その際に喫茶店を利用したこともある。なお,党活動に関する協議のための支出は政務調査研究費として計上していない。 (4) タクシー代N議員は,平成23年4月の選挙で初当選し,同年5月中旬から6月初旬にかけて支出U24~27(別紙4の表4の2)の支出をして,議員控室に 必要な文具,書籍,電気スタンド等の物品をタクシーで運んで持ち込み,新たに購入するものを抑制した。その他のタクシー利用は,有権者,陳情者の相談に乗るなどして情報収集を行ったものである。 支出35,38,43,44については,会計整理票に記載漏れがあるものの み,新たに購入するものを抑制した。その他のタクシー利用は,有権者,陳情者の相談に乗るなどして情報収集を行ったものである。 支出35,38,43,44については,会計整理票に記載漏れがあるものの,これらの支出に係る時期には既に自宅からの荷物の運搬は完了してい たので,いずれも情報収集を目的とするものである。 3 争点(3)(悪意の受益者該当性及び法定利息の起算日)について(参加原告の主張の要旨)新しい千代田は,交付された政務調査研究費を適法に支出すべき立場にあり,使途基準に反する支出については返還義務を負うことを十分に認識しているか ら,本件使途基準ないし本件注意事項に違反する支出が行われた場合には,原則として民法704条に定める「悪意の受益者」に該当するというべきである。 なお,法定利息の起算日は,本来であれば各支出の支出日にさかのぼるものであるが,本件訴えにおいては便宜上当該年度の最終の支出が行われた日の翌日としたものである。 (新しい千代田の主張の要旨) 新しい千代田は,本件使途基準に基づかない支出に該当しないものを選んで,政務調査研究費の執行額として計上しているから,結果的に使途範囲外支出であると判断されたとしても,民法704条の「悪意の受益者」には該当しない。 仮に悪意の受益者に該当するとしても,本件条例によれば,議長が使途範囲外支出に該当する額の返還を求めることにより,交付額が減額されるという法 的効果が付与され,不当利得が成立することになるから,法定利息の起算日は議長が返還を求めた日の翌日である。また,返還義務を負う範囲は,交付を受けた政務調査研究費の総額から政務調査研究を推進するために必要な経費として支出した総額を控除した残余の額であるから,必要な経費として支出した 求めた日の翌日である。また,返還義務を負う範囲は,交付を受けた政務調査研究費の総額から政務調査研究を推進するために必要な経費として支出した総額を控除した残余の額であるから,必要な経費として支出した総額が確定しない限り返還すべき残余の額も確定しない以上,法定利息の起算日 は,どんなに早くとも残余の額が確定した日(残余の額が零である旨の政務調査研究費決算報告書を提出した日)の翌日であるというべきである。 以上

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