昭和46(オ)90 所有権確認等請求

裁判年月日・裁判所
昭和49年11月14日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所 昭和39(ネ)2293
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人らの負担とする。          理    由  上告代理人曽根信一の上告理由第二点、第四点及び第五点について。  所論の点に

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判決文本文2,095 文字)

主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人らの負担とする。 理由 上告代理人曽根信一の上告理由第二点、第四点及び第五点について。 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。それゆえ、論旨は採用することができない。 同第一点について。 会社に数人の代表取締役があり、共同代表の定めがある場合には、代表取締役は共同して代表権を行使することを要し、一部の代表取締役によつてされた代表行為は、原則として無効であり、また代表取締役が他の代表取締役に代表権の行使を委任することも許されないものと解すべきである。 しかし、共同代表の定めは、共同代表取締役間の相互牽制によつて代表権行使の適正化をはかり、会社の利益を保護しようとするものであるから、会社の利益が害されるおそれのないようなときにまで、代表取締役がすべての代表行為を共同してすることを要し、他の代表取締役に代表権の行使を委任してはならないものとまで解する必要はない。そして、代表取締役らの間で特定の事項についての意思が合致した場合、代表取締役がこれを外部に表示することだけを他の代表取締役に委任し、受任した者において会社を代表して意思表示をしても、格別会社の利益を害することはないから、右のような委任及びこれに基づく代表取締役の代表行為は、共同代表の定めに反しないものというべきである。 これを本件についてみるに、原審の適法に確定したところによると、上告人A1株式会社の代表取締役はD、E、Fの三名であり、共同代表の定めがあつたが、本- 1 -件(1)の土地及び(2)の建物(一審判決添付第一目録(1)、(2)の物件)に関する売買契約の締結については、右代表取締役全員の意 役はD、E、Fの三名であり、共同代表の定めがあつたが、本- 1 -件(1)の土地及び(2)の建物(一審判決添付第一目録(1)、(2)の物件)に関する売買契約の締結については、右代表取締役全員の意思が合致し、かつFが右売買契約の意思表示をすることをDに委任したので、同人及びEにおいて会社を代表して右契約を締結したというのであるから、これを共同代表の定めに反する無効な行為ということはできない。 以上のとおりであり、右と同旨の原審の判断は正当であつて、論旨は採用することができない。 同第三点について。 原判決によると、上告人A2株式会社の代表取締役はD、E、Gの三名であり、共同代表の定めがあつたが、本件(3)の建物(一審判決添付第一目録(3)の物件)に関する売買契約は、DとEにおいて同社を代表して締結し、Gは、これに関与せず、かつ右契約の締結をDらに委任したこともなかつたというのであるから、Dらの右契約の締結は、共同代表の定めに反するものといわなければならない。 しかしながら、原審の適法に確定したところによると、右上告人会社は、Dが自己の財産の保全及び運用をはかるために設立したものであり、専ら同人によつてその業務が運営されており、E及びGは、いずれもDと内縁関係にある者であつて、これらの者は共同代表取締役とはなつていたが、現実に実質的な共同代表は行われておらず、共同代表の定めは有名無実であつたのであり、被上告人Bは、右売買契約を締結するにあたり、Gの意思をたしかめるためDにGを連れてくるよう求めたところ、Dから、Gは肺結核のため来られないが同人は自分の内妻であるから間違いはない旨云われたので、Gの合意もあると信じて契約を締結したのであり、その後本訴提起にいたる約五年の間、右上告人会社は共同代表の定めに反し右契約が無効である等と主張し 人は自分の内妻であるから間違いはない旨云われたので、Gの合意もあると信じて契約を締結したのであり、その後本訴提起にいたる約五年の間、右上告人会社は共同代表の定めに反し右契約が無効である等と主張したことはなかつたというのであつて、右事実関係に照らすと、被上告人Bが右契約の締結にGの合意があると信じたとしてもやむを得ないもので- 2 -あり、一方右上告人会社は、その主宰者であるDがGについて前記のように述べ、被上告人Bを信用させて契約を締結しながら、その後長期間なんら契約の瑕疵を主張しなかつたのに、共同代表の定めに反していることを奇貨として右契約の無効を主張しているものというべきであつて、右のような主張は、信義則に反し、とうてい許されないものといわなければならない。 以上のとおりであるから、右と同旨の原審の判断は正当である。また、上告人A1株式会社も信義則上本件(1)の土地及び(2)の建物に関する売買契約の無効を主張することができないことは右と同様であり、これと同旨の原審の判断も正当である。論旨は採用することができない。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官藤林益三裁判官下田武三裁判官岸盛一裁判官岸上康夫- 3 -

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