令和5(ワ)273 使用権確認請求事件

裁判年月日・裁判所
令和7年4月16日 福井地方裁判所
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判決文本文16,424 文字)

令和7年4月16日判決言渡令和5年(ワ)第273号使用権確認請求事件口頭弁論終結日令和7年1月29日判決 主文 1 原告が、使用料年1万5000円を支払うことを条件に、被告の管理する福井市 A 町に設置された別紙図面及び写真記載のごみステーションを使用する権利を有することを確認する。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は、これを10分し、その8を原告の、その余を被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求の趣旨 1 原告には、被告の管理する福井市 A 町に設置された別紙図面及び写真記 載のごみステーションを使用する権利があることを確認する。 2 被告は、原告に対し、90万円を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は、原告の居住地域に存在する町内会である被告を退会した原告が、被 告に対し、被告が設置し管理するごみステーションを使用する権利があること の確認を求めるとともに、退会以後に原告の世帯が当該ごみステーションを使用することを被告が拒絶したこと等が不法行為又は債務不履行に当たるとして慰謝料90万円の支払を求める事案である。 本件では、原被告間において、原告が裁判所の定める相当の対価を支払うことを条件に被告が設置管理するごみステーションを使用できる旨の合意が成立 しており(前提事実⑷)、ごみステーション使用権の確認を求める部分は、当該合意に基づく使用権があることの確認を求めるものである。したがって、請求の趣旨第1項は、実質的には上記合意に係る相当の対価を定めることを求めるものである。(ただし、下記のとおり、原告が使用権の確認を求めるのは、被告が設置管理する複数のごみステーションのうち別紙図面及び の趣旨第1項は、実質的には上記合意に係る相当の対価を定めることを求めるものである。(ただし、下記のとおり、原告が使用権の確認を求めるのは、被告が設置管理する複数のごみステーションのうち別紙図面及び写真記載のごみス テーションの使用権であるため、当該ごみステーションについて「本件ごみステーション」という。) 2 前提事実(当事者間に争いがないか、当裁判所に顕著か、後掲各証拠又は弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)⑴ 被告は、原告の居住する地域を区域とする町内会であり、106世帯が加 入している。原告は、被告に所属していたが、令和5年3月31日をもって退会した。(争いなし)被告は、その管理する区域内で3か所に合計4個のごみステーションを設置し、管理している。(乙5、弁論の全趣旨)また、被告は、これらのごみステーションの維持管理のため管理人を置き、 管理人報酬として3か所のうち2か所についてはそれぞれ年3万6000円を支払い、残りの1か所(本件ごみステーションを含む2個のごみステーションが設置されている。)については、年5万4000円を支払っている。 (弁論の全趣旨)⑵ 令和5年3月27日、原告の世帯から原告の父の名前で、被告に対し、町 内会退会後も町内に設置されたごみステーションを使用することの承諾を求 めるごみ集積場利用願が提出された。 同年4月27日頃、原告は被告を相手方として、被告が原告に対し、町内に設置されたごみステーションを使用することを認めること等を求める調停を申し立てた。同調停は、同年10月12日不成立で終了した。(以上、争いなし) ⑶ 被告は、令和5年8月13日の臨時総会で、町内会員でない者のごみステーションの使用料を、不在者の町内会員の会員割年2万2000円( 、同年10月12日不成立で終了した。(以上、争いなし) ⑶ 被告は、令和5年8月13日の臨時総会で、町内会員でない者のごみステーションの使用料を、不在者の町内会員の会員割年2万2000円(後記(6)参照)から3万円の範囲とすることを決議した。(乙14)⑷ 原告と被告は、令和6年4月24日の第1回弁論準備手続期日において、原告が裁判所の定める相当の対価を支払うことを条件に、原告が被告のごみ ステーションを使用することができることを合意した。(当裁判所に顕著な事実)⑸ 福井市のごみ収集方法は、ごみ収集車が決められたごみステーションを巡回し回収していく方法を採用している。また、福井市では、ごみステーションの設置申請は、自治会が行うことになっており、住民が自宅の前にごみを 置いたり、私設のごみステーションを設置したりしてごみを回収してもらうことはできない。(争いなし)⑹ 被告会員は、町内会費として、一世帯ごとに会員割年間2万2000円及び世帯の成人割一人当たり700円を被告に支払うこととされている。また、不動産を有する不在者は、家屋を有する場合には年間2万2000円を、更 地の場合は年間3300円を被告に支払うこととされている。原告の世帯は成人が6人であるから、町内会費は2万6200円となる。(甲1) 3 争点⑴ 原告が被告の管理するごみステーションを使用するための相当な対価の額(争点1) ⑵ 不法行為又は債務不履行の成否(争点2) なお、原告は、人格権に基づき被告の管理するごみステーションを使用することができるとも主張する(原告第3準備書面6頁)が、人格権は当然には積極的に他人の所有物を使用することができる権利の発生根拠とはならないと解されるので、主張自体失当である。原告が引用 ンを使用することができるとも主張する(原告第3準備書面6頁)が、人格権は当然には積極的に他人の所有物を使用することができる権利の発生根拠とはならないと解されるので、主張自体失当である。原告が引用する最高裁平成8年(オ)第1361号平成9年12月18日第一小法廷判決・民集51巻10号4241頁 は、本件とは事案を異にし、適切でない。 4 当事者の主張⑴ 争点1(原告が被告の管理するごみステーションを使用するための相当な対価の額)について(原告の主張) 使用料は、年270円が相当である。 原告は被告の管理するごみステーションを使用するだけであるから、町内会費のうち、ごみステーションの維持管理費のみで算出するのが相当である。 維持管理費は、ごみステーションの管理人報酬がこれに当たるが、原告は、被告が管理するごみステーションのうち本件ごみステーションしか使用しな いから、本件ごみステーションに係る管理人報酬を基準とすべきである。被告は本件ごみステーションの管理人の報酬として年5万4000円を支払っているところ、同管理人は2台のごみステーションを管理することから、本件ごみステーションの管理人報酬としてはその2分の1の年2万7000円が維持管理にかかっている費用というべきである。町内には約100世帯が 居住しているから、同額の100分の1である年270円が相当である。 (被告の主張)ア被告は、前提事実⑶記載の総会決議に基づき、原告のごみステーション利用料を、前提事実⑹記載の原告世帯が町内会員である場合の町内会費年2万6200円の範囲内で、年2万4000円と定めた。このように使用 料を定めることが所有権の濫用と評価されるものではない。 イ原告は、被告区域内に居住しており、被告が生み 会費年2万6200円の範囲内で、年2万4000円と定めた。このように使用 料を定めることが所有権の濫用と評価されるものではない。 イ原告は、被告区域内に居住しており、被告が生み出す様々な公共的利益を享受しているから、これに要する経費を負担するべきである。具体的には別紙経費等一覧表の「被告主張額」欄のとおり年間244万7746円の経費を要するところ、福井市からの補助金29万1972円を控除した215万5774円を町内の世帯数である106で除した約2万円である。 なお、上記経費は過去5年間(令和元年から令和5年)の平均値である。 また、このような経費に加え、被告の会員がボランティアとして町内会美化清掃(草刈り、缶拾い、排水路清掃)を行っている。この奉仕活動は各自の休日を割いて行われており、草刈り年4時間(年2回、1回2時間)、缶拾い年7時間(年7回、1回1時間)、排水路清掃年2時間(年1回)の 合計13時間、各世帯が無償で従事している。福井県の最低賃金である1時間931円で計算しても年1万2000円の各世帯の無償奉仕がなされているところ、このような無償奉仕によって生み出される公共的利益を原告がただ乗りできる理由はない。 年2万4000円という金額は、町内会活動の経費年2万円と無償奉仕 による利益年1万2000円の合計年3万2000円よりも低いのであって相当である。なお、年2万4000円は、原告の世帯が支払っていた町内会費年2万6200円より安価である。 ⑵ 争点2(不法行為又は債務不履行の成否)について(原告の主張) 被告は原告の世帯が提出したごみ集積場利用願を受け取るも、他に退会する人が出てくると困るという理由で、退会者にはごみステーションを使わせないという対応をとることとし、原告 (原告の主張) 被告は原告の世帯が提出したごみ集積場利用願を受け取るも、他に退会する人が出てくると困るという理由で、退会者にはごみステーションを使わせないという対応をとることとし、原告の世帯のごみステーション使用を一切認めなかった。これにより、原告の世帯は、ごみステーションを使用できなくなり、福井市によるごみ収集サービスを受けられていない。 また、原告と被告の間では被告の理事会で使用料を決めて、決めたらすぐ に使用料を知らせるという約束がなされていたのであるから、この約束にも反する。これは被告の債務不履行にも当たる。 さらに、原告の世帯がごみステーションを利用しようとしたところ、被告会員から誰の許可を得て使おうとしているんだと恫喝された。 以上の被告による不法行為又は債務不履行によって、原告は損害を被り、 慰謝料は90万円を下らない。 (被告の主張)原告の世帯から令和5年3月28日にごみ集積場利用願が提出され、4月は原告世帯で独自にごみを処分するので、5月からごみステーションを利用できるようにしてほしいと申出があった。被告としては、4月の理事長・班 長会で審議する予定であったが、その結論を待たず、4月18日に原告の父がごみステーションにごみを捨てたという経緯がある。 4月下旬頃に原告から調停の申立てがあったため、被告としては、原告が本紛争を法的手続によって解決する意向であると理解し、調停手続において適正な使用料を提示してきた。原告に退会の自由があるとしても無償で被告 の管理するごみステーションを使用できることにはならないのであり、被告がごみステーションの使用を一切認めないという対応をしたことはない。また、ごみステーションを使用できなくともごみ収集車でごみを収集する職員に手渡 テーションを使用できることにはならないのであり、被告がごみステーションの使用を一切認めないという対応をしたことはない。また、ごみステーションを使用できなくともごみ収集車でごみを収集する職員に手渡せば、回収してもらえるから、福井市のごみ収集サービスを受けられないということはない。 原告の父が4月18日にごみステーションを使用したことから、被告の役員が話合いをしたことはあるが、恫喝したことはない。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(原告が被告の管理するごみステーションを使用するための相当な対価の額)について ⑴ 被告は、前提事実⑶記載の総会決議に基づき、原告のごみステーション利 用料を年2万4000円に定めたと主張するとともに、この金額は所有権の濫用と評価されるものではないと主張する。 確かに、町内会が設置し管理するごみステーションの使用料は、第一次的には管理者である町内会において定めることができるものと解される。 しかし、福井市のように、町内会以外の者がごみステーションを設置する ことができない地域において町内会が設置するごみステーションは、単なる町内会の所有物というにとどまらず、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に定められた地方自治体のごみ収集義務(6条の2)の一端を担う公的な施設であること、設置する施設の仕様によってはその購入費用の補助を受けることができるのが通常であること(福井市でも4分の1が補助される、甲8) からすれば、町内会が、その使用料を何の制限もなく定めてよいというものではない。 また、ごみステーションを使用する町内会員でない者と町内会との関係は、使用料を支払ってごみステーションを利用するという債権債務関係にすぎないため、町内会員でない者は町内会の意思決定過程に関与するこ また、ごみステーションを使用する町内会員でない者と町内会との関係は、使用料を支払ってごみステーションを利用するという債権債務関係にすぎないため、町内会員でない者は町内会の意思決定過程に関与することはできず、 使用料の相当性や使用料の使途について意見を述べる機会が保障されていないので、おのずから町内会員とは異なる立場に置かれている。 そのような状況において、町内会費と同等程度の使用料を相当な対価とすることは、町内会員と同等の権利がないにもかかわらず同等の負担を求めるものであり、ひいては、事実上、町内会への加入を強制することにもなりか ねない。 そうすると、ごみステーションの使用料を町内会費と同等程度と定めることは、その金額で個別に合意が成立したときに当該合意を無効にするほどのものではなく権利濫用とまではいえないが、裁判所が相当と認める金額の定めであると評価することはできない。 ごみステーションの使用料が町内会費より低い金額になると退会者が増え ることを危惧する考えもある(乙13・3頁参照)が、これは、使用料を会費と同等程度にして退会者の発生を阻止しようというものであり、町内会が任意加入団体であるという原則と相容れないものといわざるを得ない。 これを本件についてみるに、被告が総会決議に基づいて定めたという年2万4000円という金額は、原告が町内会員であった場合の会費年2万62 00円とほぼ同等程度であるから、このような使用料の定めは相当額とは認められない。 なお、被告は、年2万4000円という金額が原告に負担させるべき町内会活動の経費として相当であると主張するが、この点については後記⑵で判断する。 ⑵ そこで、本件においては、裁判所において被告が管理するごみステーション使用料の が原告に負担させるべき町内会活動の経費として相当であると主張するが、この点については後記⑵で判断する。 ⑵ そこで、本件においては、裁判所において被告が管理するごみステーション使用料の相当額について判断する必要があるが、それに当たっては、上記⑴で判示したもののほか、以下のような点も考慮すべきである。 まず、町内会員ではない者が合意により町内会の設置し管理するごみステーションを使用する場合、ごみステーションの管理主体としての町内会が存 続し機能することは不可欠の要請というべきである。 また、他の町内会員との均衡という観点も考慮すべきであるところ、町内会の活動には、ごみステーションの管理以外にも地域住民のための公共的利益を生むものが含まれ、町内会の区域に居住する者は町内会員に限らずかかる公共的利益を享受している。 したがって、相当な対価を定めるに当たっては、原告が主張するようにごみステーションを維持し管理するための費用のみを考慮するだけでは足りず、上記のような町内会の活動を存続、維持するのに必要な費用及び公共的利益に対応する費用についても考慮すべきである。 本件では、被告がその活動に要する経費を明らかにしているので、これに 基づいて、ごみステーション使用料の相当額を検討する。 ⑶ 被告の活動に要する経費等について被告の活動に要する経費のうち、町内会員でない者に対しても負担を求めるのが相当で、ごみステーション使用料の算定基礎とすることが相当と認められる経費の金額は、別紙経費等一覧表の「裁判所認定額」欄のとおりであり、その理由は同別紙「理由」欄記載のほか以下のとおりである。 ア報酬報償:ごみステーション収納管理人についてごみステーションの管理を行う者に対する報酬であり、そ 認定額」欄のとおりであり、その理由は同別紙「理由」欄記載のほか以下のとおりである。 ア報酬報償:ごみステーション収納管理人についてごみステーションの管理を行う者に対する報酬であり、その全額を使用料の算定基礎とするのが相当である。 原告は、被告が管理するごみステーションのうち1か所しか使用しないから、本件ごみステーションに係る管理人報酬を基準とするのが相当であ ると主張する。 しかし、被告会員は自己が使用するごみステーション以外に係る管理人報酬も負担しているし、また、ごみステーションは全体として町内会の区域内の環境保全に資するものであると考えられることからすれば、他の町内会員との均衡からも、公共的利益負担の観点からも、ごみステーション の管理人に対する報酬は、全額を使用料の算定基礎とすべきである。 被告においても、特定のごみステーションのみを使用することを前提とする合意は想定していないものと考えられ、その点からも、本件ごみステーションに係る管理人報酬のみを基準とするのは相当でない。 なお、このように考えた結果、被告との合意により原告が使用すること ができるごみステーションを本件ごみステーションに限定する理由はなくなるが、原告は本件ごみステーションを使用することができる権利のみの確認を求めているので、主文ではその限度での確認をするにとどめる。 イ衛生費についてA 町開発センター(以下「開発センター」という。)に要する費用に ついては、町内会員でない者からは使用料を徴収することが想定されてい る(甲1)。したがって、町内会員でない者が開発センターを使用するにあたっては、使用料を徴収されることになるところ、開発センターに要する費用をごみステーション使用料の算定基礎とすると い る(甲1)。したがって、町内会員でない者が開発センターを使用するにあたっては、使用料を徴収されることになるところ、開発センターに要する費用をごみステーション使用料の算定基礎とすると、町内会員でない者にごみステーション使用料及び開発センター使用料を二重に負担させることとなる。したがって、町内会員でない者に開発センターに要する費用の 負担を求めることはできず、これをごみステーション使用料の算定基礎とすることはできない。 また、墓地の管理に関して、被告から管理費として支出されたのは、令和5年に墓地管理委員会に対する補助名目での1万円にすぎず(乙2ないし乙6)、また、当該1万円も令和5年だけの措置であるとされている(乙 5)。そうすると、今後、被告から墓地管理費として支出があるとはいえず、衛生費に墓地の管理費が含まれるとして町内会員でない者に負担を求めることはできない。 したがって、使用料の算定基礎となる衛生費は0円とするのが相当である。 ウ光熱水費について(ア)前記イのとおり、開発センターに要する費用を算定基礎とすることはできない。 また、地区の防犯灯にかかる電気代は、被告が生み出す公共的利益であり、町内会を維持するための費用の一部として町内会員でない者も負 担すべきものであるから、使用料算定の基礎とするのが相当である。なお、被告は光熱水費に墓地の水道代が含まれると主張するが、その金額は不明である。そうすると、使用料の算定基礎となる光熱水費としては、年30万円の限度で認めるのが相当である。 (イ)これに対し、原告は、被告が福井市から補助金を受けていることから、 被告が公共的利益を生み出しているわけではない、防犯灯の数が異様に 多く、玄関灯の代わりを果たしているため (イ)これに対し、原告は、被告が福井市から補助金を受けていることから、 被告が公共的利益を生み出しているわけではない、防犯灯の数が異様に 多く、玄関灯の代わりを果たしているため、公益に係る部分は全額補助金があてられているなどとして、電気代が相当な使用料の算定基礎にならない旨主張する。 しかし、市から補助金を受けていることをもって町内会による管理が不要となるわけではなく、被告の費用負担によって町内の環境が整備さ れているといえる。また、玄関灯が少ないとしてもそれをもって直ちに本来必要な範囲の防犯灯に係る電気代を補助金で賄えているといえるわけでもない。原告の主張は採用できない。 エ防災費について被告の主張によれば、「出初式弁当、お茶」として年2万円前後を支出し ている(準備書面⑻別表2)。出初式は消防の仕事始めの式典であって、町内会の活動として不可欠なものとまではいえず、また、出初式の実施が町内会の安全につながるとまではいえないことからすると、出初式出席者等に対して提供される飲食物代金を町内会員でない者が負担すべきものとはいえない。 その余の費用は、屋外ホース格納箱の交換費用等の消防活動に関する費用であり(乙2ないし乙6)、地域防火活動を通じて原告も公共的利益を享受するから使用料の算定基礎とするのが相当である。 そして、被告主張額から上記「出初式弁当、お茶」を控除すると約10万円となるから、使用料の算定基礎となる防災費は10万円とするのが相 当である。 オ事業費:労務活動費について被告の主張によれば、労務活動費は、町内美化清掃のボランティア活動に係る参加者へのお茶代、軽トラックの借上げ料、混合油代(草刈り機の燃料と考えられる。)である(準備書面⑴9頁)。 この 被告の主張によれば、労務活動費は、町内美化清掃のボランティア活動に係る参加者へのお茶代、軽トラックの借上げ料、混合油代(草刈り機の燃料と考えられる。)である(準備書面⑴9頁)。 このうち、参加者へのお茶代は、上記の活動に対する報酬的なものであ り後記⑷で判示するとおり無償の奉仕活動であることと相容れない。他方、軽トラックの借上げ料や混合油代は町内美化清掃の実費であり、町内の美化という公共的利益を生み出すものであるから、使用料の算定基礎とするのが相当である。 上記の実費を正確に求めることはできないが、弁論の全趣旨により使用 料の算定基礎となる労務活動費は6万円とする。 カ修繕費について被告の主張によれば、修繕費には、開発センターガラス修理費等の開発センターに要する費用が含まれる(準備書面⑻別表3)。前記のとおり、開発センターに要する費用を使用料の算定基礎とすることは認められない から、これは控除されるべきである。 その余の費用については、外灯修理代等であり(乙2ないし乙6)、町内の環境整備に必要な費用であって、これによって町内会員でない者もその利益を享受するから、使用料算定の基礎とすることが相当である。 そして、開発センターに要する費用を控除すると令和元年から令和4年 までの修繕費は約11万円から約13万5000円で推移し、令和5年は約3万円であるから、使用料算定の基礎となる修繕費は、おおよその平均となる10万5000円とするのが相当である。 キ会議費について会議費については、被告が組織運営を行うために必要な経費であるとい える部分については、使用料の算定基礎とすることが相当である。 被告の主張によれば、会議費として、町内会・農家組合合同新年会及び町内会・農家組 告が組織運営を行うために必要な経費であるとい える部分については、使用料の算定基礎とすることが相当である。 被告の主張によれば、会議費として、町内会・農家組合合同新年会及び町内会・農家組合合同忘年会が開催された令和元年は約28万円、忘年会が中止されたものの新年会が開催された令和2年は約25万円、いずれも中止となった令和3年から令和5年は約4万円から約6万円が支出され ている(準備書面⑻別表4)。 新年会や忘年会はこれに参加する者がその費用を負担すべきものであって、町内会員でない者が負担すべき理由はないから、使用料の算定基礎とすることは認められない。また、令和3年以降も年頭菓子として会議参加者に菓子が支給されているが、これも町内会員でない者が負担すべき理由はない。他方、会議出席者にお茶を支給することや、会議が長引くとき に弁当を支給することは、社会通念上相当な経費と認められる。 新年会や忘年会がいずれも中止となった令和3年以降は平均して約5万円の支出であり、菓子の費用も考慮すると、被告が組織運営を行うために必要な会議費として必要な範囲は年3万円程度であり、使用料算定の基礎となる金額も同額が限度というべきである。 被告は、過去5年間の会議費の平均額は13万9154円であるところ、これは令和元年の会議費が28万1687円であったのが、令和2年以降は新型コロナの影響で各種会議が中止されたためであり、今後は各種会議が活発化して会議費が増えることが予想されるため、少なくとも過去5年間の13万9154円は会議費の最低ラインであると主張する。しかし、 令和元年の会議費用約28万円のうち約13万円が新年会の費用(乙40の1の9)、約10万円が総会参加者の弁当代(乙40の1の5、令和3年以降計上され 費の最低ラインであると主張する。しかし、 令和元年の会議費用約28万円のうち約13万円が新年会の費用(乙40の1の9)、約10万円が総会参加者の弁当代(乙40の1の5、令和3年以降計上されていない)で大部分を占めること、コロナ禍以前の同時期にも会議が数多く開かれていたと伺われる事情もないことからすれば、今後会議数がコロナ禍以前の水準に戻るとしても、必ずしも会議費用が増額す るとはいえず、被告の主張は採用することができない。 ク旅費・交通費について旅費・交通費についても町内会の活動に要する諸経費と認められる部分については、使用料算定の基礎とするのが相当である。被告の主張によれば、令和元年は200円、令和2年は400円、令和3年及び令和4年は 0円、令和5年は8000円が支出されている(準備書面⑴別表2)。 このうち、令和5年は「調停出席出張料」が含まれている(乙6)。上記調停は、原告と被告との間のごみステーション使用に係る調停であり、同調停に要した費用を町内会員でない者に負担させることはできないから、これを控除すべきである。 そして、被告の主張する従前の支出状況からすると、使用料の算定基礎 となる旅費・交通費は年200円が相当である。 ⑷ ボランティア活動による利益について被告会員が行うボランティア活動は、被告も自認するとおり無償の奉仕活動であるところ、無償奉仕による利益について活動時間に応じた賃金相当額を不当利得として他人に対し支払を求めることは、無償を本分とするボラン ティア活動の趣旨に合致しない。したがって、被告会員によるボランティア活動から生じた利益を使用料算定の基礎とすることは認められない。 ⑸ 小括以上のとおり、使用料の算定基礎とできるのは、被告の活動に要す の趣旨に合致しない。したがって、被告会員によるボランティア活動から生じた利益を使用料算定の基礎とすることは認められない。 ⑸ 小括以上のとおり、使用料の算定基礎とできるのは、被告の活動に要する経費のうち186万8411円の限度であり、ここから補助金29万1972円 を控除した157万6439円を町内の世帯数106で割ると、約1万4872円となる。 これを基に、被告がごみステーションを使用するための使用料としては、年1万5000円とするのが相当である。 2 争点2(不法行為又は債務不履行の成否)について ⑴ 原告は、被告がごみステーションの使用料を決めることなく原告の利用を拒んだことが不法行為又は債務不履行に該当すると主張する。 アこの点、以下の証拠及び弁論の全趣旨によれば、被告による使用料に関する検討の経緯について、以下の事実が認められる。 (ア)原告と被告前会長らとの令和5年3月22日の話合いにおいて、被告 は、原告が退会した後に使用料をもらってごみステーションを使用でき るようにするには4月の理事会・班長会に諮ることになること、4月もごみステーションを使用するのであれば4月の会費は支払ってほしいことを伝え、原告は了承した。(乙16)しかし、原告は、前提事実⑴記載のとおり、同年3月末に被告を退会した。 (イ)被告の同年4月7日の理事会及び同月10日の班長会において、町内会員でない者にごみステーションを利用させるルールを作るのであれば臨時総会を開催する必要があり、5月から使用を認めることはできないこと、使用のルールは早急に決められないことが確認され、原告に退会の再検討を促す方針となった。(乙31の1及び2) 原告は、同月15日頃、被告から退会の再検討を促された。(弁論 はできないこと、使用のルールは早急に決められないことが確認され、原告に退会の再検討を促す方針となった。(乙31の1及び2) 原告は、同月15日頃、被告から退会の再検討を促された。(弁論の全趣旨)(ウ)原告は、同月18日、ごみステーションを使用しようとしたが、原告宅を訪れた被告会員からごみステーションを使用しないように言われた。 (弁論の全趣旨、この言動が原告の主張する恫喝に当たるか否かについ ては、後記⑵で判示する。)(エ)原告は、同月27日頃、前提事実⑵記載の調停を申し立てた。 (オ)被告は、同年6月5日に、町内会員でない者によるごみステーション使用に関する理事会班長会合同会議(乙32)での検討を経て、同年7月21日に町内会員でない者によるごみステーション使用に関する臨時 総会の開催通知を発出し(乙13)、同月8月13日に臨時総会を開催し、前提事実⑶記載の決議をした(乙14)。 イ以上の事実によれば、被告は、原告の退会後、ごみステーションを使用するのであれば退会を再検討してほしい、入会しないのであればごみステーションを使用すべきでないという姿勢をとっていたものであるが、これ は、町内会を退会した者には一切ごみステーションを使用させないという ものではなく、町内会を退会した者に対してごみステーションを使用させるという前例がないため、その検討に一定の時間を要するという理由によるものであると認められ、やむを得ないというべきである。 そして、前記ア(ア)で判示したとおり、原告自身、いったんは会費を払わなければごみステーションを使用できないことは了承していたもので ある。 そうすると、被告においてごみステーションの使用料を決議するまでの間、被告が原告によるごみステーションの使用を拒 払わなければごみステーションを使用できないことは了承していたもので ある。 そうすると、被告においてごみステーションの使用料を決議するまでの間、被告が原告によるごみステーションの使用を拒んだとしても、不法行為と評価すべきものではない。 ウ原告は、それ以降も被告との間で使用料の合意が成立せず、ごみステー ションを使用することができないものであるが、その理由の一つには、原告が、原告の主張を前提にしても調停において前記1で判示した相当な使用料の半分にも満たない最大年6000円の使用料の提案をしたにとどまっていた(原告第2準備書面10頁参照、なお、原告の本訴における主張は、年270円が相当額であるというものである。)ことによるものである と認められる。 これに加え、いかなる金額を相当な使用料とすべきかについては明確な基準や先例はなく、被告が調停段階から争点1(被告の主張)ア記載の年額2万4000円が相当額であると主張していることが違法であるとはいえないことを考慮すれば、被告の行為が不法行為に当たるとはいえない。 エなお、原告は、被告が利用料を提示することを約束したにもかかわらず使用料を提示しなかったのは不法行為であるとともに債務不履行にも当たるとも主張する。 この点、確かに、令和5年3月22日の話合いの際には、被告から、原告によるごみステーションの使用について4月の理事会・班長会で審議を するので結果は4月中旬になるという話が出ていることは事実であり(乙 16・6頁)、また、被告において原告のごみステーションの使用料について決定したのは、前提事実⑶記載のとおり同年8月13日の臨時総会である。 しかし、上記の話合いにおいて被告が原告に対し4月中旬までに使用料を提示する法的な義務を のごみステーションの使用料について決定したのは、前提事実⑶記載のとおり同年8月13日の臨時総会である。 しかし、上記の話合いにおいて被告が原告に対し4月中旬までに使用料を提示する法的な義務を負ったと評価することは困難である。 しかも、4月の理事会の時点で、過去の総会でごみステーションを使用することができるのは会員だけであるということが決まっていたので、理事会では使用料を決められず総会を開く必要があることが判明したこと(乙31の1)、前記イで判示したとおり、町内会退会者に対してごみステーションを使用させるという前例がないため、その検討に一定の時間を要 するのはやむを得ないことからすれば、被告が令和5年4月中に使用料を提示しなかったからといって、何らかの責任を問われる理由もない。 ⑵ 原告は令和5年4月18日に原告の世帯がごみステーションを使用しようとすると、被告会員から恫喝を受けたと主張する。 しかし、原告の主張を前提としても、同日における被告会員の発言は、誰 の許可を得て使おうとしているんだ、というものであり(訴状2頁)、仮に原告の主張する発言があったとしても、不法行為法上違法と評価されるほどのものではない。 ⑶ したがって、争点2に係る原告の主張は採用することができない。 3 結論 以上のとおりであるから、原告が年1万5000円を被告に支払うことを条件に被告が管理する本件ごみステーションを利用する権利があることを確認し、慰謝料請求については理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 福井地方裁判所民事部 裁判長裁判官加藤靖 裁判官森沙恵子 裁判官田中宏明 別紙経費 福井地方裁判所民事部 裁判長裁判官加藤靖 裁判官森沙恵子 裁判官田中宏明 別紙経費等一覧表費目(直接経費)被告主張額裁判所認定額 理由 固定費¥911,265¥607,700報酬報償:ごみステーション収納管理人¥136,800¥136,800 本文のとおり。 管理費¥548,620¥310,900衛生費¥82,458¥0 本文のとおり。 光熱水費¥455,262¥300,000 本文のとおり。 借地料¥10,900¥10,900極狭道路の道幅確保等のための費用であり、原告も公共的利益を享受するから使用料算定の基礎とすることが相当である。 防災費¥120,853¥100,000 本文のとおり。 事業費:労務活動費¥70,682¥60,000 本文のとおり。 火災共済¥34,310¥0開発センターに要する費用であるから使用料の算定基礎とすることは認められない。 臨時費¥696,134¥682,538事業費¥618,080¥604,484工事費¥359,634¥359,634道路工事や公園整備等の費用であり(乙2ないし乙6)、町内の環境整備によって原告も公共的利益を享受するから使用料算定の基礎とするのが相当である。 設備費¥139,850¥139,850ごみステーションの新設や外灯の設置等の費用であり(乙2ないし乙6)、町内の環境整備によって原告も公共的利益を享受するから使用料算定の基礎とするのが相当である。 修繕費¥118,596¥105,000 本文のとおり。 除雪協力費¥78,054¥78,054除雪による町内の環境整備によって原告も公共的利益を享受する 算定の基礎とするのが相当である。 修繕費¥118,596¥105,000 本文のとおり。 除雪協力費¥78,054¥78,054除雪による町内の環境整備によって原告も公共的利益を享受するから使用料算定の基礎とするのが相当である。 合計¥1,607,399¥1,290,238費目(間接経費)被告主張額裁判所認定額 理由 報酬報償¥562,500¥411,000斎場常任委員及びセンター管理人を除き、町内会の活動を支える者に対する報酬報償であるから、使用料の算定基礎とするのが相当である。 会長¥120,000¥120,000上記のとおり算定基礎とするのが相当である。 副会長¥70,000¥70,000上記のとおり算定基礎とするのが相当である。 会計¥70,000¥70,000上記のとおり算定基礎とするのが相当である。 理事¥60,000¥60,000上記のとおり算定基礎とするのが相当である。 監事¥10,000¥10,000上記のとおり算定基礎とするのが相当である。 斎場常任委員¥1,500¥0斎場は、令和元年をもって取り壊されており(乙2)、被告の主張においても令和2年以降は斎場常任委員の報酬が予定されていない(準備書面⑴別表2)。そうすると、今後斎場常任委員に対する報酬が発生することはないから、これを算定基礎とすることは認められない。 班長¥81,000¥81,000上記のとおり算定基礎とするのが相当である。 センター管理人¥150,000¥0開発センターに要する費用であるから使用料の算定基礎とすることは認められない。 会議費¥139,154¥30,000 本文のとおり。 管理費¥128,793¥127,273事務費¥78,079¥78,079町内会 るから使用料の算定基礎とすることは認められない。 会議費¥139,154¥30,000 本文のとおり。 管理費¥128,793¥127,273事務費¥78,079¥78,079町内会の活動に要する諸雑費と認められるから、使用料算定の基礎とするのが相当である。 消耗品費¥24,625¥24,625町内会の活動に要する諸雑費と認められるから、使用料算定の基礎とするのが相当である。 通信費¥24,369¥24,369町内会の活動に要する諸雑費と認められるから、使用料算定の基礎とするのが相当である。 旅費・交通費¥1,720¥200 本文のとおり。 事業費:調査費¥9,900¥9,900県や市に対し要望を行うための事前調査に際して必要となる費用であり、公共的利益のための費用として使用料算定の基礎とするのが相当である。 合計¥840,347¥578,173費目被告主張額裁判所認定額 理由 経費合計¥2,447,746¥1,868,411直接経費¥1,607,399¥1,290,238間接経費¥840,347¥578,173補助金¥291,972¥291,972LED防犯灯¥32,320¥32,320ごみステーション美化協力金¥38,400¥38,400道路補修助成金¥110,000¥110,000自治会活動保険補助¥5,412¥5,412ホース収納箱¥8,120¥8,120公衆道路灯電気料¥97,720¥97,720合計(経費合計ー補助金)¥2,155,774¥1,576,439一世帯当たりの金額¥20,337¥14,872 ¥1,576,439一世帯当たりの金額¥20,337¥14,872

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