主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告らは函館市に対し18万円を支払え。 第2 事案の概要本件は,原告らが,平成11年度における函館市のCクラブに対する補助金18万円の支出が違法だと主張して,被告らに対し,地方自治法242条の2第1項4号に基づいて,函館市に代位し,同補助金の支出により函館市が被った損害の賠償を求めた事案である。 1 前提事実(争いがないか,明らかに争いがない事実)(1)原告らは,いずれも函館市に住所を有するものである。 (2)函館市は,平成11年8月19日,Cクラブから補助金等交付申請を受け,同月31日,補助金等交付決定をし,同年9月30日,Cクラブに対し,補助金18万円(以下「本件補助金」という。)を支出した。 (3)Cクラブは,会員相互の親睦と市政の発展に寄与することを目的として,その趣旨に賛同する函館市議会の元議員を一般会員とし,函館市の市長,助役,収入役等の経験者に特別会員資格を認めて,昭和50年8月6日に設立された団体である。 (4)原告らは,函館市監査委員に対し,平成12年1月31日,本件補助金の違法不当な支出により函館市が被った損害額を函館市長が補填する措置をとることを求めて住民監査請求をした。同委員は,同年3月29日付けでこれを棄却し,そのころ,原告らに通知した。 (5)被告Aは,平成11年4月25日から函館市長の職にあり,被告Bは,同年6月1日から函館市財務部長の職にある。 2 争点(1)本件補助金の支出には,地方自治法232条の2所定の公益上の必要があるかどうか。 ( 函館市長の職にあり,被告Bは,同年6月1日から函館市財務部長の職にある。 2 争点(1)本件補助金の支出には,地方自治法232条の2所定の公益上の必要があるかどうか。 (原告らの主張要旨)ア地方自治法232条の2は,「公益上必要がある場合」に補助金を支出できる旨定めているところ,公益上必要があるかどうかの判断は,客観的に覊束されており,いわゆる自由裁量行為ではない。 イ公益上の必要があるかどうかの判断基準としては,①補助金支出の目的,趣旨,他の行政支出目的との関連での当該補助金の目的の重要性,緊急性,②補助によって公益目的に適切かつ有効な効果を期待できるか,③補助金を受ける個人又は団体の性格(団体の場合には,団体の目的,構成員,役員等の状況),活動状況,④他の使途に流用される危険がないか,⑤支出手続,事後の検査体制等がきちんとしているか,⑥目的違反,動機の不正,平等原則違反,比例原則違反等から裁量権の濫用,逸脱にならないか等があげられるところ,本件では特に上記③の基準に照らして,函館市及びその住民に対し,補助金を支出することの利益が還元されない点が問題である。 すなわち,Cクラブは会員相互の親睦に併せて市政の発展に寄与することを謳う団体であるとしても,その実態は元市議会議員らの親睦団体に過ぎず,これまでの活動内容をみても,事前にテーマを決め,それとの関連で見学先や旅行先を選択したということはなく,施設見学会や研修旅行の行先は統一性や関連性に欠け,施設見学の時間も短い。したがって,施設見学会はただ数箇所の施設を駆け足で見てまわったというだけでしかなく 択したということはなく,施設見学会や研修旅行の行先は統一性や関連性に欠け,施設見学の時間も短い。したがって,施設見学会はただ数箇所の施設を駆け足で見てまわったというだけでしかなく,研修旅行は毎年思い思いに行っていた観光旅行と変わらない。また,Cクラブは,これら施設見学会等の成果を踏まえて意見を集約し,その結果を文書によって函館市に申し入れるなどの活動を行っていないから,当然ながら,Cクラブの活動が函館市における各種施策の推進に好影響を与えた事実はなく,その活動に公益性のないことは明らかである。 (被告らの主張要旨)ア Cクラブは,市政の発展に寄与することを目的とし,市政に精通した元市議会議員らによって構成された団体であり,後記イ記載のとおり,その活動には公益性がある。Cクラブが市政について検討し,市長らに具申する意見は,参考とするに価するものとなることが期待されるのであるから,地方自治法232条の2所定の公益上の必要があると判断して本件補助金を交付したことは違法ではなく,同補助金の額が18万円と僅少であることも考慮すれば,函館市の判断に裁量の逸脱はない。 イ Cクラブは,毎年,①役員会(年数回),②定時総会(年1回),③同総会後の懇親会(年1回),④市長との懇談会(年1回),⑤新年会(年1回),⑥市内公共施設見学会(年1回)及び⑦研修旅行(年1回)を主催しているところ,これらの行事は,いずれもCクラブの会則により,その目的と定められた「市政の発展に寄与する」ために行われている(ただし,これらの行事のうち,会員相互の親睦を兼ねるものがあることは否定しない。)。すな クラブの会則により,その目的と定められた「市政の発展に寄与する」ために行われている(ただし,これらの行事のうち,会員相互の親睦を兼ねるものがあることは否定しない。)。すなわち,⑥及び⑦は市政に関する情報収集や調査のため,④は市政に関し市長から情報を得て研究するとともに,市長と意見交換をするため,③及び⑤は市政に関する市長,市議らとの間及び会員間の意見交換のため,①は市政に関する会員間の意見交換及び会務のため,②はこれらの活動に必要な会務等のために行われているものであって,さらにCクラブは,これらの行事間の過程でも市政に関して検討し,その意見を具申,表明している。 これらの活動は,会員個々の活動にとどまらず,団体としての活動であり,会員によってなされる意見具申等も同様である。このような行事を主催している団体はCクラブのほかになく,市政に関する課題の性質上,Cクラブは長期的かつ地道な活動によって,種々の課題を並行的に検討し,その目的を達せざるを得ないのであるから,直ちに目に見える形での成果が現れるとは限らず,また,施設見学や研修旅行の行先は区々であっても,いずれも函館市の今後の諸施策の中心を担うものであるから,時宜を得たものといえ,これらが様々な施策目的,性質を有する所であるからといって,その公益性が否定されるものではない。 (2)仮に争点(1)の公益性が否定された場合,被告Aについて指揮監督上の義務違反や故意又は過失があるかどうか,被告Bについて故意又は重過失があるかどうか。 (原告らの主張要旨)被告Aは,函館市長として,Cクラブが長年,公益性のない活動をしてい 義務違反や故意又は過失があるかどうか,被告Bについて故意又は重過失があるかどうか。 (原告らの主張要旨)被告Aは,函館市長として,Cクラブが長年,公益性のない活動をしていたことを知っていたか,知り得る立場にありつつ,本件補助金の交付を阻止しなかったのであるから,その指揮監督上の注意義務違反による故意又は過失責任は免れない。被告Bは,補助金における支出負担行為の専決権者として,やはりCクラブの活動に公益性がないことを知っていたか,容易に知り得る立場にありつつ,本件補助金の支出負担行為をしたのであるから,責任を免れない。 (被告らの主張要旨)Cクラブは,長年にわたり継続して公益性のある活動を行ってきたのであり,函館市はやはり長年にわたってCクラブに対する補助金を交付してきたのであるから,その交付が違法であるとは想定し難く,被告Aに指揮監督上の責任は生じないし,被告Bについては重過失どころか過失さえもない。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)について(1)証拠(乙23,乙24のほか該当個所において併記したもの)及び弁論の全趣旨によれば,平成11年度において本件補助金が支出された経緯や同年度におけるCクラブの活動状況等は以下のとおりである。 ア Cクラブから函館市に対する平成11年度補助金等交付申請は,関係書類を添え,次の内容を含む平成11年度補助金等交付申請書等を函館市に提出する方法でされた(甲8,甲9の1ないし3,甲10,乙21の3の1ないし6)。 (ア)補助事業等の目的及びその概要会員相互の親睦と市政の発展に寄与することを目的とし,昭和50年発足以来,毎年市長と 3,甲10,乙21の3の1ないし6)。 (ア)補助事業等の目的及びその概要会員相互の親睦と市政の発展に寄与することを目的とし,昭和50年発足以来,毎年市長との懇談会を始め,施設見学会,研修旅行等の事業を実施し,着実にその効果をあげている。 (イ)補助金等交付申請額金18万円(ウ)補助事業等の内容a 定時総会及び懇親会b 施設見学(市内及び近郊の公共施設等)c 2泊3日の研修旅行(道内又は東北地方)d 市長との懇談会e 新年懇親会(エ)補助事業等の実施による効果Cクラブは,元議員として,市政発展に側面から寄与するために結成された団体であり,会員の経験並びに実施事業の成果から,函館市の各種施策の推進に好影響を与えている。 (オ)平成11年度Cクラブ収支予算は別紙1のとおりである。 イこれに対し,函館市が,本件補助金を支出したことは前提事実(2)のとおりである。 ウ Cクラブは,平成12年4月28日付けで,関係書類を添え,次の内容を含む平成11年度補助事業等実績報告書等を函館市に提出した(甲16,甲17の1ないし3,乙21の8の1ないし4)。 (ア)補助事業等の内容a 定時総会及び懇親会b 市内施設見学c 研修旅行d 市長との懇談会e 新年懇親会(イ)補助事業等の実施による効果Cクラブは,元議員として,市政の側面からその進展に寄与するために結成された団体であり,会員の経験並びに実施事業の成果は,函館市 (イ)補助事業等の実施による効果Cクラブは,元議員として,市政の側面からその進展に寄与するために結成された団体であり,会員の経験並びに実施事業の成果は,函館市の各種施策の円滑な推進に反映されている。 (ウ)平成11年度Cクラブ収支決算は別紙2のとおりである。 エ上記報告書等を審査した函館市は,平成12年5月15日付けで,Cクラブに対し,本件補助金について額の確定通知をした(乙21の9)。 オ上記ウ(ア)に各記載された補助事業等の詳細は次のとおりである。 (ア)定時総会及び懇親会a 平成11年6月18日正午前後から,函館市a町のF店において,Cクラブの会員21名が出席して定時総会が開催され,昨年度の事業報告等が行われた。引き続き同所で開催された懇親会では,同会員21名のほか,G,H,I,J,Kら5名が来賓として参加し,懇談が行われた(乙11の2の1及び2,乙11の4の1及び2,乙11の5の1及び2,乙11の6の1ないし9)。 その際,Cクラブは,会員21名から定時総会の会費6万3000円(1人3000円)と寄付金等3万円の合計9万3000円を受け取り,他方において,定時総会経費12万7881円及び写真代1957円の合計12万9838円を支出した(甲43,乙11の2の1,乙21の8の4)。なお,Cクラブは,上記会員から年会費7000円も同時に徴収したが,同年6月1日現在での会員数は46名(うち特別会員4名)であったのに対し,同年度において年会費を納めた者は37名であり,年会費の合計は25万9000円 円も同時に徴収したが,同年6月1日現在での会員数は46名(うち特別会員4名)であったのに対し,同年度において年会費を納めた者は37名であり,年会費の合計は25万9000円となった(乙11の6の8,乙21の8の4)。 b 上記懇親会は各会派の代表等の現職市議会議員らを招いて行われたものであり,Cクラブの会員らとの間で,市政に関する意見交換等がなされた(証人D,同E)。 (イ)市内施設見学a 同年8月20日,Cクラブの会員15名が参加し,函館市議会事務局の職員2名が随行して,別紙3のとおり,①函館市水産製氷協同組合,②函館市谷地頭老人福祉センター,函館市デイサービスセンター,函館市老人介護支援センター,③千代台公園陸上競技場,④白石公園(はこだてオートキャンプ場,パークゴルフ場),⑤函館市産業支援センターの5箇所を見学先とする施設見学会が行われた(乙11の10の1及び2,乙11の11の1ないし3)。 その際,Cクラブは昼食代2万5200円及び写真代831円の合計2万6031円を支出した(甲43,乙21の8の4)。 b 上記5箇所の各施設は,いずれも平成11年あるいは平成10年ころに設置又は改修されたものであり,上記①は水産業に関わる施設で,今までの施設より港に近接し,直接船積みができるもの,上記②は介護支援センターを併設した老人福祉政策の中枢施設,上記③はグラウンド等を近代的に整備した文化,スポーツ振興の中枢施設,上記④は郊外型のレクリエーション基地に関わる施設,上記⑤は函館市が ターを併設した老人福祉政策の中枢施設,上記③はグラウンド等を近代的に整備した文化,スポーツ振興の中枢施設,上記④は郊外型のレクリエーション基地に関わる施設,上記⑤は函館市が国から指定を受けたテクノポリス関連の産業基盤施設となっている。同見学会に参加したCクラブの幹事長は,谷地頭の老人福祉関連施設が優れたものであったことから,後記(エ)の行事において,函館市長に対し,市内の他の施設もそれに見合うものに改善することを申し入れ,また,白石公園のオートキャンプ場とパークゴルフ場については,他町との境界付近に所在し,市民にもその存在があまり知られていないのではないかとの感を強くしたことから,函館市議会事務局次長に対してその旨報告するとともに,Cクラブの個々の会員に対して,その居住する地域において宣伝に努めるよう示唆し,後記(エ)の行事においても,函館市長に対し意見を申し入れた。これに対し,同事務局次長は,担当部署にその報告を伝達し,その後,同公園の宣伝が各種広報誌に掲載された(証人D,同E)。 (ウ)研修旅行a 同年10月13日から15日にかけて,会員5名及びその家族2名が参加し,函館市議会事務局の職員2名が随行して,別紙4のとおり,①芦別市の百年記念館,②小樽市のマイカル小樽,③小樽港マリーナ等を見学先とする研修旅行が行われた(乙11の13の1及び2,乙11の14の1ないし3,乙11の15の1ないし3)。 その際,Cクラブは,参加者7名から参加料23万8000円(1人3万4000 (乙11の13の1及び2,乙11の14の1ないし3,乙11の15の1ないし3)。 その際,Cクラブは,参加者7名から参加料23万8000円(1人3万4000円)と寄付金等1万5000円の合計25万3000円を受け取り,他方において,宿泊費や交通費,飲食費,随行者に対する日当等の合計32万5287円を支出した(甲43,甲44,乙21の8の4)。 b 上記①は最近設置された歴史物等の展示館であり,上記②は新設された郊外型の大型複合商業施設,上記③は港湾開発関連の施設である。 なお,平成12年には,港湾の再開発等として,函館市にもヨットの係留施設が竣工している(証人D,同E)。 (エ)市長との懇談会及び新年会a 平成12年2月25日午後4時から,函館市b町のホテルLにおいて,Cクラブの会員17名が参加して函館市長(被告A)との懇談会が設けられ,同市長から,高齢者福祉,公立はこだて未来大学開学,市立函館病院開院及び函館駅周辺整備についての講話がなされた後,同会員らとの意見交換ないし質疑応答がなされた(乙11の19の1ないし5,乙11の20)。同日午後5時からは,同ホテル内の別のホールにおいて,同会員18名(乙11の21の3によれば19名)のほか,同市長,G,H,I,J,K,Mの合計7名が来賓として参加し,事務局員立会の下に新年会が催された(乙11の21の1ないし3,乙21の8の3及び4)。 その際,Cクラブは,会員18名から新年会の会費9万円(1人5000円)と寄付金等5 下に新年会が催された(乙11の21の1ないし3,乙21の8の3及び4)。 その際,Cクラブは,会員18名から新年会の会費9万円(1人5000円)と寄付金等5万円の合計14万円を受け取り,他方において,懇談会及び新年会の経費30万7317円,サービス代2万1000円及び写真代4023円の合計33万2340円を支出した(甲43,乙11の17の1,乙21の8の4)。 b 上記新年会は函館市長や各会派の代表らを招いて行われたものであり,Cクラブの会員らとの間で,市政に関する意見交換等がなされた(証人D,同E)。 (オ)なお,Cクラブでは,このほかに役員会を随時開催しており,平成11年度においては,平成11年5月17日,同年7月28日,同年9月10日,同年12月15日,平成12年1月31日の5回にわたって役員会が開かれ,Cクラブから昼食代として合計3万5910円が支出された(甲43)。このうち,5月の役員会の議題は,昨年度の新年会や新規加入会員等の報告,平成11年度の定時総会の開催日時,場所の協議等であり(乙11の1の1ないし7),7月の議題は,施設見学の日時,場所の協議等(乙11の9の1及び2),9月の議題は,施設見学会の報告,研修旅行日程の協議等(乙11の12の1ないし3),12月の議題は不明,1月の議題は,市長との懇談会及び新年会の日時,場所の協議等(乙11の16の1及び2)となっている。 (カ)以上(ア)ないし(オ)各記載の収入に前年度繰越金2万5182円,本件補助金18万円及び預金利息83円を加えた合計95 所の協議等(乙11の16の1及び2)となっている。 (カ)以上(ア)ないし(オ)各記載の収入に前年度繰越金2万5182円,本件補助金18万円及び預金利息83円を加えた合計95万0265円が平成11年度におけるCクラブの収入決算額であり,他方,同各記載の支出に郵便切手等の事務連絡費3万8463円及び慶弔費4万円を加えた合計92万7869円が同年度の支出決算額(上記収入との差額2万2396円は次年度へ繰越)である(甲43,乙21の8の4)。 (2)函館市はCクラブに対し,昭和57年度から25万円の補助金を交付し,以降,昭和62年度に23万円,昭和63年度に20万円,平成元年度から18万円に各減額しつつ補助金を交付してきたが,本件補助金の交付以降,平成12年度からは補助金を交付していない(甲6,弁論の全趣旨)。 (3)平成元年度以降におけるCクラブの活動実績は,上記平成11年度における状況と概ね同様であり,その概況は別紙5の1ないし10のとおりである(乙2ないし10〔枝番号含む〕)。なお,平成10年度に市長との懇談会が開催されなかったのは,当時の函館市長が病気療養中のため参加不能であったからである(弁論の全趣旨)。 2 上記認定事実及び前提事実を基にして,Cクラブにおける団体の性格,活動状況等を検討するに,Cクラブは函館市議会の元議員らによって会員相互の親睦と市政の発展に寄与することを目的として設立された団体であるところ,Cクラブの催す各行事は多分に会員相互の親睦を深める役割を担うものであった(研修旅行については,参加者の人数や参加態様,見学先等に照らし,特にその色彩が強い。)が,それに止まらずに,Cクラブの各会員 の催す各行事は多分に会員相互の親睦を深める役割を担うものであった(研修旅行については,参加者の人数や参加態様,見学先等に照らし,特にその色彩が強い。)が,それに止まらずに,Cクラブの各会員が函館市議会議員等の公職にあった経験を活用し,視察に値する各種公共施設の見学や市長との懇談会等を通じて市政の発展に寄与するという公益的活動を遂行していた事実を全く否定し去ることはできないというべきである。 もっとも,原告らは,Cクラブは施設見学会や研修旅行等の結果をまとめ上げて文書により函館市に申し入れるなどの活動を行っておらず,補助金を交付した成果が函館市及びその住民に反映されていない旨主張し,証人D及び同Eの各証言によれば,そのような文書は作成されなかったことが認められる。確かに,そうした文書が存在しなければ,Cクラブの活動の成果を現実の個別的な市政の展開に照らして具体的に検証することが困難となり,そのような活動に公費を投じるべきではないとする原告らの意見は傾聴に値する。しかしながら,公益的活動を市政に反映させる方途として,文書を介するのが望ましいとはいえるものの,これを必ず介しなければならないというものではなく,また,市政にとって有益な結果が確実な因果の関係をもって認められなければ公益性が否定されるというものでもない。ことに本件のように補助金額が18万円と相対的に低額である場合(Cクラブにおける平成11年度収入決算額において2割に満たないばかりか,絶対額も多額であるとはいえない。)については,公益性の程度が高いとはいえず,その成果を市政に反映させる方法としても,市議会の事務局を介したり,市長や現職の市議会議員らとの懇談会や懇親会という機会を利用した口頭の方 。)については,公益性の程度が高いとはいえず,その成果を市政に反映させる方法としても,市議会の事務局を介したり,市長や現職の市議会議員らとの懇談会や懇親会という機会を利用した口頭の方法によるものにすぎず,さらにこれによって有益な結果の発生が直ちに検証され得ない活動であるからといって,公益性が否定されるものではないといわざるを得ない。のみならず,上記認定事実によれば,少なくとも,白石公園が広報誌に掲載される経緯にはCクラブの活動が反映されていると推認することができるし,その他,定時総会後の懇親会,市長との懇談会及び新年会の席では,函館市長や現職議員らと市政について広く意見交換しているものと認められること(ただし,その内容を記録化した資料は乙11の20〔平成11年度の市長との懇談会において,Cクラブ会員が市長の講話を受けて,市長と市政について質疑応答をしている内容が記録化されているもの〕を除くほかは存在しないから,特に懇親会や新年会は専ら会員間の親睦を図る趣旨で開催されているのではないかとの疑念が生ずることも一面において無理からぬところであるが,懇親会は,前年度の事業報告を含む定時総会の直後に行われるものであり,新年会も,平成11年度においては市長との懇談会の直後に行われたものであって,そうした経過や来賓の顔ぶれ等に照らすと,上記のとおり認定して差し支えないものと思料する。)等の事情からすると,本件補助金の交付が無益であると断定することもできない。 そもそも,地方自治法232条の2が規定する「公益上必要がある場合」とは,抽象的かつ多義的で必ずしも明確な要件ではなく,その有無の判断に当たっては,多様な行政目的を考慮した政策判断が必要とされるから,支出 自治法232条の2が規定する「公益上必要がある場合」とは,抽象的かつ多義的で必ずしも明確な要件ではなく,その有無の判断に当たっては,多様な行政目的を考慮した政策判断が必要とされるから,支出権者等の合理的な裁量が認められているものと解さざるを得ないところ,その裁量の合理性が事実関係に照らして客観的なものでなければならないことはもとよりであるが,上記認定事実等によれば,Cクラブは上記のとおりその程度が高いとはいえないものの公益的活動を行っており,さらに,Cクラブの各会員らが,それぞれ居住する各地域において市政の円滑な推進に尽力している側面も窺えることや,本件補助金の額が決して多額なものとはいえないこと等にも照らすと,Cクラブの活動に公益性を認めた上で本件補助金を支出した判断に客観的合理性が欠けるとまで認めることはできない。 そうすると,その他,本件補助金の支出について手続違反があったこと等の違法事由を窺うことはできない本件(その旨原告らの主張もない。)では,本件補助金の支出は適法であるといわざるを得ない。したがって,争点(1)に関する原告らの主張は理由がない。 3 結論以上の次第で,争点(2)について判断するまでもなく,原告らの請求は理由がないからこれらをいずれも棄却する。 函館地方裁判所民事部裁判長裁判官堀内明裁判官河村俊哉裁判官島村典男(別紙1ないし5の10登載省略) 裁判官島村典男
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