平成26(ワ)20955 商標権侵害行為差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成29年9月13日 東京地方裁判所
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判決文本文56,057 文字)

平成29年9月13日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成26年(ワ)第20955号商標権侵害行為差止等請求事件口頭弁論終結日平成29年6月26日判決原告ピィシーシステム株式会社 同訴訟代理人弁護士佐久間 洋 一同山岸潤子同前田千春同 一同廣江 茜 被告株式会社海洋開発 (以下「被告会社」という。)被告 A (以下「被告A」という。) 主文 1 被告会社は,鮫を主原料とした加工食品の包装に,別紙1被告標章目録記載の各標章を付し,又は同人が製造し,同標章を包装に付した鮫を主原料とした加工食品を販売し,若しくは販売のために展示してはならない。 2 被告会社は,同人が製造し,占有する別紙1被告標章目録記載の各標章を付した包装を廃棄せよ。 3 被告会社は,原告に対し,2179万9885円及びこれに対する平成26年10月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告らは,原告に対し,連帯して852万9660 円及びこれに対する平成26年10月1日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 5 被告らは,被告会社が原告から「海宝源」(パック,380粒入)300袋の交付を受けるのと引替えに,原告に対し,連帯して90万4050円を支払え。 6 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 7 訴訟費用は,原告に生じた費用の3分の2と被告会社に生 )300袋の交付を受けるのと引替えに,原告に対し,連帯して90万4050円を支払え。 6 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 7 訴訟費用は,原告に生じた費用の3分の2と被告会社に生じた費用は被告会社の負担とし,原告に生じた費用の3分の1と被告Aに生じた費用はこれを4分し,その3を原告の,その余を被告Aの負担とす る。 8 この判決は,第1項ないし第5項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告会社は,加工食品の包装に,別紙1被告標章目録記載の各標章を付し,又は同人が製造し,同標章を包装に付した加工食品を販売し,若しくは販売のために展示してはならない。 2 被告会社は,同人が製造し,占有する別紙1被告標章目録記載の各標章を付した包装,又は同人が製造し,同標章を包装に付した加工食品を廃棄せよ。 3 被告らは,原告に対し,連帯して3123万3595円及びこれに対する平成26年10月1日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,① 「海宝源」(標準文字)と書してなる商標(以下「本件商標1」という。) に係る商標登録第5072089号の商標権(以下「本件商標権1」という。)及 び「marinepremium」(標準文字)と書してなる商標(以下「本件商標2」といい,本件商標1と併せて「本件各商標」という。)に係る商標登録第5072090号の商標権(以下「本件商標権2」といい,本件商標権1と併せて「本件各商標権」という。)を有する原告が,被告会社が加工食品の包装に別紙1被告標章目録記載の各標章(以下,個別には同目録の番号に対応して「被告標章1」 などといい,これらを併せて「被告各標 て「本件各商標権」という。)を有する原告が,被告会社が加工食品の包装に別紙1被告標章目録記載の各標章(以下,個別には同目録の番号に対応して「被告標章1」 などといい,これらを併せて「被告各標章」という。なお,同目録記載1及び5に「標準文字字体を問わない」とあるのは,「海宝源」又は「marinepremium」との文字列からなる標章を,字体を問うことなく被告標章1又は同5として特定する趣旨と解される。)を付し,又は被告会社が製造し,被告各標章を包装に付した加工食品を販売し若しくは販売のために展示する行為は,本件商標権 1又は同2を侵害するとみなされる行為(商標法37条2号)であると主張して,被告会社に対し,商標法36条1項に基づく上記各行為の差止め,同条2項に基づく被告各標章が付された包装及び被告会社が製造し被告各標章を包装に付した加工食品の廃棄をそれぞれ求めると共に,商標権侵害の不法行為による損害賠償請求権(損害賠償の対象期間は,平成23年1月から平成26年7月までである。)及び 連帯保証契約に基づく保証債務履行請求権に基づき,被告らに対し,連帯して損害賠償金2812万7574円(損害額合計3859万0802円〔逸失利益3608万5759円及び弁護士費用250万5043円〕の一部請求。その内訳は,逸失利益2630万1730円,弁護士費用182万5844円である。)及びこれに対する被告会社による不法行為後の日である平成26年10月1日から支払済み までの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,② 原告が,被告会社が自ら鮫関連商品を製造し又は原告以外の者から購入する行為は,原告と被告会社との間の鮫関連製品・原材料に関する取引基本契約(以下「本件基本契約」といい,その契約書を「本件契約書」という。) ,被告会社が自ら鮫関連商品を製造し又は原告以外の者から購入する行為は,原告と被告会社との間の鮫関連製品・原材料に関する取引基本契約(以下「本件基本契約」といい,その契約書を「本件契約書」という。)の債務不履行に当たると主張して,債務不履行による損害賠償請求権(損害賠償の対象期間は,平 成23年1月から平成26年7月までである。)及び連帯保証契約に基づく保証債 務履行請求権に基づき,被告らに対し,連帯して損害賠償金2812万7574円及びこれに対する請求後の日である平成26年10月1日から支払済みまでの商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求め(なお,上記①の損害賠償請求と,②の損害賠償請求の関係は,重複する限りにおいて選択的である。),③ 原告が,原告と被告会社との間の売買契約及び連帯保証契約に基づく保証債 務履行請求権に基づき,被告らに対し,連帯して売掛金310万6021円及びこれに対する請求後の日である平成26年10月1日から支払済みまでの商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 (原告は,第7回弁論準備手続期日において,遅延損害金の起算日を平成26年10月1日に統一した。) 2 前提事実(当事者間に争いがないか,後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)⑴ 当事者原告は,ビタミン等の栄養素を補給した栄養素補助食品の製造,販売等を業とする株式会社である。 被告会社は,医薬品,医薬部外品及び化粧品の製造,販売等を業とする株式会社である。 被告Aは,被告会社の代表取締役を務める者であり,本件基本契約における被告会社の原告に対する一切の債務を5000万円を限度として連帯保証した者である。 ⑵ 本件各商標権と被告会社の行為 被告Aは,被告会社の代表取締役を務める者であり,本件基本契約における被告会社の原告に対する一切の債務を5000万円を限度として連帯保証した者である。 ⑵ 本件各商標権と被告会社の行為 ア原告は,次の内容の本件各商標権の商標権者である(甲1の1ないし2の2,9の1,9の2)。 (ア) 本件商標権1登録番号商標登録第5072089号出願日平成18年8月28日 登録日平成19年8月24日 登録商標海宝源(標準文字)商品及び役務の区分第3類鮫を原料とした化粧品,頭髪用化粧品, その他の化粧品 第29類鮫を主原料とした液状・粉末状・顆粒状 ・タブレット状・カプセル状・丸薬状・ゼリー状・ ゲル状・固形状の加工食品(イ) 本件商標権2登録番号商標登録第5072090号出願日平成18年8月28日登録日平成19年8月24日 登録商標marinepremium(標準文字)商品及び役務の区分第3類鮫を原料とした化粧品,頭髪用化粧品, その他の化粧品 第29類鮫を主原料とした液状・粉末状・顆粒状 ・タブレット状・カプセル状・丸薬状・ゼリー状・ ゲル状・固形状の加工食品イ被告会社の行為被告会社は,平成17年4月頃から,原告が製造した鮫肝油を原料とする加工食品であって,かつ,原告がその包装に被告各標章を付したものを,「鮫生肝エキス海寳源」や「鮫生肝エキスマリンプレミアム」などの名称で販売していた(甲7。 以下,原告が被告会社 を原料とする加工食品であって,かつ,原告がその包装に被告各標章を付したものを,「鮫生肝エキス海寳源」や「鮫生肝エキスマリンプレミアム」などの名称で販売していた(甲7。 以下,原告が被告会社のために製造し,包装を終えた商品を総称して「原告商品」という。)。 ⑶ 本件基本契約の締結原告と被告会社は,平成18年6月8日,次の規定のある本件契約書に調印し,本件基本契約を締結した。また,被告Aは,同日,本件契約書の連帯保証人欄に署 名押印した(甲5)。 「ピィシーシステム株式会社(以下甲という)と株式会社海洋開発(以下乙という)は,甲の製造する鮫関連製品・原材料(以下「甲製品」という)の売買取引に関し,公平かつ対等の精神に基づき,次の通り取引基本契約(以下本契約という)を締結する。」「第2条(取引の内容) 甲は「甲製品」を乙に供給し,乙はこれを購入する。「甲製品」の具体的品名は甲・乙協議して別に定める。 ⑵ 乙は販売用の商品を甲以外から一切購入しない。」「第3条(個別売買契約の締結)甲から乙へ個別に供給される「甲製品」の品名・数量・価格・納期その他必 要な条件は,本契約に定めるものを除き,甲・乙間で別に協議して個別契約を定める。」「第5条(保証金)乙は甲に対し毎年10月末日までに,翌年の鮫肝油原料の購入を1kg当たり500円の現金による手付金を添えて予約する。予約金は購入代金の一部に 充当する。」「第6条(代金支払い)乙の甲に対する代金の支払いは,毎月末日締切,翌月末日までに,甲の指定銀行口座に振り込む方法で支払う。」「第7条(製造計画) 乙は甲に対し,毎年10月末日までに翌年分の「甲製品」などの購入計画(品目・数量,その他)を文書で ,翌月末日までに,甲の指定銀行口座に振り込む方法で支払う。」「第7条(製造計画) 乙は甲に対し,毎年10月末日までに翌年分の「甲製品」などの購入計画(品目・数量,その他)を文書で通知し,甲は原料入荷後すみやかに製造加工を行なう。乙は製造計画に基づき生産した製品を全て引き取る。」「第18条(契約終了・解約時の措置)事由を問わず本契約が終了した場合は次の措置を講じる。 ①甲が乙のために購入した「甲製品」の原料代,加工費,その他一切の支出は, 甲の申出どおりの金額を即時乙が負担する。 ②乙は甲から得た資料・貸与品・貸与書類などの一切を,乙の費用で直ちに甲へ返還する。 ③乙は「甲製品」について使用した甲の所有する商標・意匠・著作物を甲の同意なしに使用しない。」 「第20条(連帯保証)A,BおよびCは乙の連帯保証人となり,本契約に基づき乙が甲に負担する一切の債務を,5千万円を限度とし,乙と連帯して保証する。」「第22条(有効期間)本契約の有効期間は,平成18年6月8日から平成21年6月8日までとす る。期間満了3ケ月前までに甲または乙から各相手方に対して書面による解約の申し入れがない場合には,本契約はさらに満2年間自動的に更新され,以後も同様とする。」⑷ 売買契約の締結等原告と被告会社は,平成25年12月から平成26年2月にかけて,別紙2個別 契約目録記載1ないし10のとおり(ただし,2及び4は欠番である。),被告会社が原告から同目録の「商品名」欄記載の商品を買い受け又は役務の提供を受け,その対価として同目録の「対価」欄記載の金額を支払う旨の各契約(以下,同目録の番号に応じて「本件個別契約①」などという。)を締結した(同目録の「年月日」欄記載の年月 を買い受け又は役務の提供を受け,その対価として同目録の「対価」欄記載の金額を支払う旨の各契約(以下,同目録の番号に応じて「本件個別契約①」などという。)を締結した(同目録の「年月日」欄記載の年月日は,被告会社の注文を受けて原告が注文に係る商品を商品化した日 を示す。)。本件個別契約①ないし同⑩に基づく「対価」の合計額は,同目録記載のとおり,281万4921円である。 本件個別契約⑧の対象となった「海宝源」(パック,380粒入)500袋のうち300袋について,原告が被告会社に対してその債務を履行し又は履行の提供を継続しているか,また,原告と被告会社との間で本件個別契約⑪が成立したかにつ いては,当事者間に争いがある。 3 争点⑴ 商標権侵害を原因とする請求に関する争点(争点1)ア被告会社が,被告各標章を包装に付した鮫肝油を原料とする加工食品を販売することは,本件各商標権を侵害するとみなされる行為か(争点1-1)イ被告会社は,本件各商標について,先使用による通常使用権を有するか(争 点1-2)ウ本件各商標についての商標登録に無効理由があるか。また,商標権侵害を原因とする原告の請求は,権利の濫用に当たり許されないか(争点1-3)エ差止め及び廃棄の必要性があるか(争点1-4)オ被告会社の故意過失及び原告が受けた損害の額(争点1-5) カ被告Aは,被告会社の商標権侵害を原因とする損害賠償債務についても,連帯保証義務を負うか(争点1-6)⑵ 債務不履行を原因とする請求に関する争点(争点2)ア被告会社は,鮫肝油を原料とする加工食品を自ら製造し又は原告以外の者から買い受けることにより,本件契約書2条2項の規定に違反したか(争点2-1) イ本件基本 関する争点(争点2)ア被告会社は,鮫肝油を原料とする加工食品を自ら製造し又は原告以外の者から買い受けることにより,本件契約書2条2項の規定に違反したか(争点2-1) イ本件基本契約のうち,本件契約書2条2項の規定は,公序良俗に反し無効となるか(争点2-2)ウ被告会社の債務不履行により原告が受けた損害の額(争点2-3)エ相殺の抗弁の成否(争点2-4)⑶ 個別契約に基づく売掛金請求に関する争点(争点3) ア原告と被告会社との間に,本件個別契約⑪が締結されたか(争点3-1)イ一部解除の抗弁,相殺の抗弁及び同時履行の抗弁の成否(争点3-2) 4 争点に対する当事者の主張⑴ 争点1-1(被告会社が,被告各標章を包装に付した鮫肝油を原料とする加工食品を販売することは,本件各商標権を侵害するとみなされる行為か)について 【原告の主張】 ア本件商標1と被告標章1ないし同4の類否について本件商標1の外観は,標準文字で「海宝源」と書してなるものであり,「カイホーゲン」との称呼を生じ,「海」という文字を含むことからすれば,海産物を主原料とした加工食品との観念を生ずる。 他方,被告標章1ないし同4は,「海宝源」又は「海寳源」と書してなる標章で あって,いずれも「カイホーゲン」との称呼を生じ,「海」という文字を含むことから,海産物を主原料とした加工食品との観念を生ずる。 したがって,被告標章1ないし同4は,いずれも本件商標1と類似するものである。 イ本件商標2と被告標章5ないし同8の類否について 本件商標2の外観は,標準文字で「marinepremium」と書してなるものであり,「マリーンプレミアム」との称呼を生じ,「marine」という文字 告標章5ないし同8の類否について 本件商標2の外観は,標準文字で「marinepremium」と書してなるものであり,「マリーンプレミアム」との称呼を生じ,「marine」という文字を含むことからすれば,海産物を主原料とした加工食品との観念を生ずる。 他方,被告標章5ないし同8は,「marinepremium」,「MARINEPREMIUM」又は「マリンプレミアム」と書してなる標章であって, いずれも「マリーンプレミアム」又は「マリンプレミアム」との称呼を生じ,海産物を主原料とした加工食品であるとの観念を生ずる。 したがって,被告標章5ないし同8は,いずれも本件商標2と類似するものである。 ウ被告会社の行為について 被告会社は,平成23年1月以降現在に至るまで,被告標章1ないし同4を包装に付した鮫肝油を原料とする加工食品を販売しているが,同行為は,加工食品を指定商品とする本件商標権1を侵害するとみなされる行為である(商標法37条2号)。 同様に,被告会社は,被告標章5ないし同8を包装に付した鮫肝油を原料とする加工食品を販売しているが,同行為は,加工食品を指定商品とする本件商標権2を侵 害するとみなされる行為である。 なお,被告会社は,平成17年頃から,原告商品(原告が製造した鮫肝油を原料とする加工食品であって,原告がその包装に被告各標章を付したもの)を原告から買い受けて販売していたところ,遅くとも平成23年1月以降,原告商品とは別に,被告各標章を包装に付した鮫肝油を原料とする加工食品(原告商品の模造品)を自ら製造し又は第三者から買い受けて販売しており,これら模造品の販売行為につい て商標権侵害が成立することは明らかである。 エ被告らの主張について被告らは,原告 (原告商品の模造品)を自ら製造し又は第三者から買い受けて販売しており,これら模造品の販売行為につい て商標権侵害が成立することは明らかである。 エ被告らの主張について被告らは,原告から試供品などとして仕入れたPTPシート入りの加工食品を用いて,原告商品の量を継ぎ足して販売したとか,これを別途包装して販売したなどと主張するが,仮に,そのような行為があったとしても,これらの行為も本件各商 標権を侵害するものであることに変わりはない。 また,被告会社が,原告に対して「マリンプレミアム」(360粒入)の成分比を変えて欲しいとの要望をしたとの事実はない。むしろ,被告会社は,「マリンプレミアム」(360粒入)の模造品を販売したことを理由として,株式会社広田薬品(以下「広田薬品」という。)から取引を解消させられているところであって, 広田薬品の要望により成分比の異なる商品を仕入れて販売したとの主張は虚偽である。 【被告らの主張】被告会社は,原告から,①「海宝源」及び「マリンプレミアム」などの原告商品を仕入れていたほか,②鮫生肝エキス400mgの粒が10粒包装されたPTPシ ートという2種類の形態で仕入れていた。 被告会社は,上記②のPTPシートを10枚ごとに箱包装して販売したことがあるが,現在はそのようなことは行っていない。 また,被告会社は,平成24年頃,長年の顧客であった広田薬品から,「マリンプレミアム」について,コレステロール値を低くするために成分比を変えて欲しい との要望を受け,原告にその旨依頼したが原告がこれを断ったので,臼井ヘルスフ ーズに依頼して,成分比の異なる加工食品を製造させてこれを仕入れ,その包装に被告標章5ないし同8を付して販売した事実があるが,現在はそのようなこ 頼したが原告がこれを断ったので,臼井ヘルスフ ーズに依頼して,成分比の異なる加工食品を製造させてこれを仕入れ,その包装に被告標章5ないし同8を付して販売した事実があるが,現在はそのようなことは行っていない。 ⑵ 争点1-2(被告会社は,被告各標章について,先使用による通常使用権を有するか)について 【被告らの主張】ア名称の発案について被告Aは,平成16年頃まで,株式会社マリンファーム(以下「マリンファーム」という。)で健康食品の販売等に従事していたが,平成17年頃,被告会社を設立した。被告Aは,同年1月28日及び同年3月17日に行った被告会社の設立メン バー会議において,鮫肝油を原料とする加工食品につき「海宝源」及び「マリンプレミアム」との商品名を発案した(乙6ないし8,12の2)。もっとも,鮫肝油の加工,梱包は,マリンファーム在職中からカプセル加工を依頼していた原告に依頼した。 このようにして,被告会社は,本件各商標権に係る商標登録出願の出願日である 平成18年8月28日(以下「本件出願日」という。)に先立つ平成17年6月頃には,「海宝源」及び「マリンプレミアム」との名称を付した(被告各標章が付された)加工食品を原告から仕入れて,自己の商品として販売していた(乙1ないし5)。なお,「海宝源」や「マリンプレミアム」の包装のデザイン料も,被告会社が負担している(甲4の1〔1頁〕)。 イ商標法32条1項の要件が認められること(ア) 原告による商標登録出願前に被告各標章を使用していたこと上記アのとおり,被告会社は,本件出願日に先立つ平成17年6月頃には,被告各標章を付した加工食品を,原告から仕入れて販売していた。これらの商品の包装には,販売者として被告会社が表示されてい こと上記アのとおり,被告会社は,本件出願日に先立つ平成17年6月頃には,被告各標章を付した加工食品を,原告から仕入れて販売していた。これらの商品の包装には,販売者として被告会社が表示されているから(甲7),被告会社は,これら の商品を自己の商品として販売していたものである。 (イ) 被告各標章は,本件出願日当時,被告会社の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたこと被告各標章が付された商品は,関西圏(大阪,京都,兵庫,奈良,滋賀,和歌山),東北5県(青森,岩手,宮城,秋田,山形),東京及び群馬に所在する薬局,百貨店及び健康食品店へ販売されていたところ,被告会社は,これらの商品について, 「販売元」を被告会社とするチラシ(乙4,5,9の1ないし3,乙10,11)を作成して,上記薬局,百貨店及び健康食品店並びに取引先(乙26ないし31)へ相当数を配布していたから,本件出願日当時,被告各標章は被告会社の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたといえる。 (ウ) 不正競争の目的がないこと 「海宝源」及び「マリンプレミアム」の名称を発案したのは被告会社であるから,不正競争の目的などあり得ない。 ウ小括以上によれば,被告会社は,商標法32条1項の規定により,加工食品について継続して被告各標章を使用することができるから,被告会社の行為は原告の有する 本件各商標権の侵害に当たらない。 【原告の主張】ア名称の発案について「海宝源」及び「マリンプレミアム」の名称は,時期は失念したが,遅くとも平成17年1月28日よりも前に,原告代表者が発案したものである。原告代表者と 従業員が,原告の役員室において,特許庁のホームページで重複 マリンプレミアム」の名称は,時期は失念したが,遅くとも平成17年1月28日よりも前に,原告代表者が発案したものである。原告代表者と 従業員が,原告の役員室において,特許庁のホームページで重複した商標がないことを確認して商品名を決定し,その場に被告Aも同席していた。被告らが「海宝源」及び「マリンプレミアム」の名称を発案したとの主張は誤りである。 なお,本件契約書18条3号には「乙は『甲製品』について使用した甲の所有する商標・意匠・著作物を甲の同意なしに使用しない。」として,原告が鮫関連商品 についての商標権を保有することを前提とした規定が存するところである。 イ商標法32条1項の要件について(ア) 被告会社による使用がないこと上記アのとおり,本件契約書18条3号は,原告が鮫関連商品についての商標権を保有することが前提とされており,また,原告代表者が「海宝源」及び「マリンプレミアム」との商品名称を発案したものであることからして,被告各標章は,原 告が,被告会社に利用を許諾し,被告会社を通じて使用しているものである。したがって,被告会社が被告各標章を使用していたという事実が存在しない。 (イ) 周知性がないこと原告は,平成17年6月14日以降(「海宝源」について)又は同年12月14日以降(「マリンプレミアム」について),被告各標章が付された商品を被告会社 に販売しているが,その方法は,被告Aなど被告会社の営業担当者の自宅に送付し,又は9箇所程度の限られた顧客に送付したのみである(甲18,原告準備書面1の別紙1及び同2参照)。 また,乙第4号証のチラシには,被告会社の「ヘルスケア事業部」として「静岡県焼津市」との記載があるが,平成18年当時,静岡県焼津市には被告会社のヘル スケ 書面1の別紙1及び同2参照)。 また,乙第4号証のチラシには,被告会社の「ヘルスケア事業部」として「静岡県焼津市」との記載があるが,平成18年当時,静岡県焼津市には被告会社のヘル スケア事業部は存在していなかったから,同チラシは本件出願日当時には存在しなかったものと考えられる。 さらに,被告会社は,原告に対し,都度,新規販路等を報告していたが(甲10),百貨店まで販路を拡大したとの報告は受けていない。 以上の事情からすれば,被告各標章が,本件出願日当時,需要者の間に広く認識 されていたということはできない。 (ウ) 不正競争の目的があること原告代表者は,深海鮫エキスの製造方法を日本で初めて確立し,商品化に成功した人物として著名であるところ,被告らは,原告代表者や原告の信用を利用しようとして原告と取引関係に入ったのであるから,不正競争の目的がある。 ⑶ 争点1-3(本件商標1及び同2についての商標登録に無効理由があるか。 また,商標権侵害を原因とする原告の請求は,権利の濫用に当たり許されないか)について【被告らの主張】ア商標登録の無効理由について上記⑵【被告らの主張】で主張したとおり,「海宝源」及び「マリンプレミアム」 との名称は,被告Aが発案したものであり,被告会社は,平成17年頃から,被告各標章が包装に付された加工食品(原告商品)を原告から仕入れてこれを販売していた。同販売に際して,原告商品の「発売元」には被告会社の名称が記載されていたのであって,被告各標章は,原告の出所を表示していたものではなかった。 ところが,原告は,被告会社の営業努力による被告各標章の価値の上昇を独占し ようとの意図をもって,被告各標章と同一又は類似する本件各商標について商標登録出 を表示していたものではなかった。 ところが,原告は,被告会社の営業努力による被告各標章の価値の上昇を独占し ようとの意図をもって,被告各標章と同一又は類似する本件各商標について商標登録出願をしたものである。 以上の事実によれば,本件各商標は,公正な取引秩序を乱すものであり,公序良俗を害するおそれのある商標といえるのであるから,これらの商標に係る商標登録は,商標法4条1項7号の規定に反してされたものとして,同法46条1項1号の 無効理由があり,商標登録無効審判により無効にされるべきものである。したがって,原告は,被告会社に対し,本件各商標権を行使することができない(同法39条が引用する特許法104条の3第1項)。 イ権利の濫用仮に,本件各商標に係る商標登録に無効理由がないとしても,上記アで主張した 事実関係によれば,原告による本件各商標権の行使は,権利の濫用として許されないというべきである。 【原告の主張】被告らは,原告が本件各商標について商標登録出願したことを知らなかったことを前提に,商標登録が無効であるとか,本件各商標権の行使が権利の濫用に当たる などと主張するが,被告らは,原告代表者が「海宝源」及び「マリンプレミアム」 の各名称を発案したことや,原告が本件各商標について商標登録出願したことを知っていたのであるから(被告会社が他の商標についてした商標登録出願において,その商標や指定商品の区分が,本件各商標権に酷似していること〔甲15〕からも明らかである。),被告らの主張は前提において誤っている。 ⑷ 争点1-4(差止め及び廃棄の必要性があるか)について 【原告の主張】被告会社は,現在も,原告以外の者が製造した鮫肝油を原料とする加工食品であってその包装に被告各標 っている。 ⑷ 争点1-4(差止め及び廃棄の必要性があるか)について 【原告の主張】被告会社は,現在も,原告以外の者が製造した鮫肝油を原料とする加工食品であってその包装に被告各標章を付したものを販売し,販売のために展示して本件各商標権を侵害しているから,商標法36条1項に基づき,上記各行為の差止めが認められるべきであるし,同条2項に基づき,被告各標章が付された包装(原告が製造 したものを除く。)又は加工食品であってその包装に被告各標章を付したもの(原告が製造したものを除く。)の廃棄が命じられるべきである。 【被告らの主張】原告の主張は否認し,争う。被告会社は現在,原告が問題とするような行為を行っていない。 ⑸ 争点1-5(被告会社の故意過失及び原告が受けた損害の額)について【原告の主張】ア被告会社は,故意又は過失により本件各商標権を侵害したものであるから,これにより原告が受けた損害を賠償すべき責任を負う。 イ逸失利益 (ア) 原告は,平成17年4月頃から,原告商品を製造して被告会社に販売しており,平成17年4月から平成22年12月までの年間平均売上高は2777万9424円であった。しかし,被告会社は,平成23年1月から,原告以外の者が製造した鮫肝油を原料とする加工食品であってその包装に被告各標章を付したものを販売した。このため,原告の被告会社に対する平成23年1月から平成26年7月ま での原告商品の年間平均売上高は659万5128円まで減少した。 これらの売上減少は,すべて被告会社による本件各商標権の侵害行為によるものである。そして,原告の平成25年9月期の利益率は33パーセントであるから,平成23年1月から平成26年7月までの3年7か月(43か月 売上減少は,すべて被告会社による本件各商標権の侵害行為によるものである。そして,原告の平成25年9月期の利益率は33パーセントであるから,平成23年1月から平成26年7月までの3年7か月(43か月)にわたる被告会社の商標権侵害行為により,原告は,逸失利益として2505万0430円(〔2777万9424円-659万5128円〕÷12か月×43か月×33パーセン ト)の損害を受けた。 (イ) また,商標法38条2項は,商標権侵害行為により侵害者が利益を受けているときは,その利益の額は,商標権者が受けた損害の額と推定する旨規定している。 ここで,隠蔽や改ざんの形跡があって一様には信用できないが,被告会社が提出した同社の平成22年2月から平成27年1月までの仕入帳及び売上帳(乙42な いし56。以下,売上帳を「本件売上帳」と,仕入帳を「本件仕入帳」といい,本件売上帳と本件仕入帳を併せて「本件帳簿」という。)に基づいて計算すると,被告会社は,平成23年1月から平成26年7月までの間に,被告各標章が付された商品を少なくとも1億1402万2425円販売しており(甲79),このうち,原告商品(すなわち,その販売等が本件各商標権の侵害とはならない商品)の売上 高は4824万1254円である(甲80)。したがって,その差額である6578万1171円は,本件商標権を侵害する商品の販売行為により得た売上高である。 同売上高から,商品の仕入額(被告会社が提出した台帳からは仕入額が明らかではないため,原告商品の仕入額を参考に算定した。),鮫肝油原料代,化粧箱代等を控除すると,被告会社が上記期間中に得た利益の額は,3608万5759円と算 定され,同金額が,被告会社の商標権侵害行為により原告が受けた損害の額と推定される。 (ウ) なお 化粧箱代等を控除すると,被告会社が上記期間中に得た利益の額は,3608万5759円と算 定され,同金額が,被告会社の商標権侵害行為により原告が受けた損害の額と推定される。 (ウ) なお,商標法38条1項及び同条3項も,商標権侵害行為による損害額の計算方法を規定しているから,これらの条項によっても損害が算定されるべきである。 ウ弁護士費用 被告会社の商標権侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用は,250万504 3円というべきである。 【被告らの主張】ア被告会社の代表者である被告Aは,平成26年に至るまで,原告が本件各商標につき商標登録を受けた事実を知らなかったのであるから,被告会社は,故意又は過失により本件各商標権を侵害したものではなく,原告に対する損害賠償義務を 負わないというべきである。 イ逸失利益について(ア) 被告会社の原告からの仕入額の減少は,平成23年以降,顧客への販売数量自体が減少していることに起因するものであって(乙13参照。その原因としては,被告会社の従業員であったEが退職したことや,東日本大震災の影響が考えられ る。),商標権侵害行為を原因とするものではない。したがって,仮に,商標権侵害が認められるとしても,原告の売上高の減少との間に相当因果関係は認められないというべきである。 (イ) 被告会社の商標権侵害行為により原告に損害が発生しているとしても,商標法38条1項により原告の損害を算定すると,次のとおり合計186万1926円 にとどまる。 a 「マリンプレミアム」について被告会社は,広田薬品に対して,原告製品とは成分比の異なるマリンプレミアム(360粒入)を1954本,マリンプレミアム(100粒入)を3本,それぞれ販売した。ここで 「マリンプレミアム」について被告会社は,広田薬品に対して,原告製品とは成分比の異なるマリンプレミアム(360粒入)を1954本,マリンプレミアム(100粒入)を3本,それぞれ販売した。ここで,原告がマリンプレミアム(360粒入)1本を販売した場合の 利益の額は930.6円,マリンプレミアム(100粒入)1本を販売した場合の利益の額は323.4円であるから,商標法38条1項により計算される原告の損害は,181万9362円である。 b 「海宝源」について(a) 被告会社は,鮫生肝400mgの粒が10粒入ったPTPシート10枚を箱 包装して海宝源(100粒入)として,これを523個販売した。ここで,原告が 海宝源(100粒入)1個販売した場合の利益の額は84.652円であるから,商標法38条1項により計算される原告の損害は,4万4273円である。 (b) 被告会社は,原告から仕入れた海宝源(420粒入)に,PTPシートを継ぎ足し,「海宝源」の500粒入及び480粒入として,500粒入を142個,480粒入を120個,それぞれ販売したが,これらの「海宝源」は,もともと原 告から仕入れたものであるから,被告による譲渡数量の全部について,原告には販売することができないとする事情があるといえ(商標法38条1項但書),原告には損害は発生していない。 (ウ) 商標法38条2項により原告が受けた損害の額が推定されるとしても,本件各商標が被告Aの発案に係るものであり,原告の出所を表示するものとは認められ ないことからすれば,被告会社が得た利益の額に対して被告各標章が寄与した程度は極めて低いから,相応の寄与度減額がされるべきところ,被告会社の営業努力やノウハウ等に照らせば,被告各商標を使用したことが被告会社の利 すれば,被告会社が得た利益の額に対して被告各標章が寄与した程度は極めて低いから,相応の寄与度減額がされるべきところ,被告会社の営業努力やノウハウ等に照らせば,被告各商標を使用したことが被告会社の利益に寄与した割合は,5パーセント程度にとどまるというべきである。 ウ弁護士費用の損害に関する原告の主張は否認し,又は争う。 ⑹ 争点1-6(被告Aは,被告会社の商標権侵害を原因とする損害賠償債務についても,連帯保証義務を負うか)について【原告の主張】被告Aは,被告会社が原告に対して負担する一切の債務について連帯保証したのであるから,被告会社による商標権侵害を原因とする損害賠償債務についても,連 帯保証したというべきである。 主債務の発生原因を債務不履行と構成するか不法行為と構成するかは,単なる法律論にすぎないから,「不法行為」との一事をもって,被告Aが保証債務を免れることは不当である。 【被告Aの主張】 被告Aは,本件基本契約に基づき被告会社が原告に対して負担する債務について 連帯保証したが,被告会社の不法行為に基づく損害賠償債務まで保証したものではない。 ⑺ 争点2-1(被告会社は,鮫肝油を原料とする加工食品を自ら製造し又は原告以外の者から買い受けることにより,本件契約書2条2項の規定に違反したか)について 【原告の主張】ア原告と被告会社との取引について「海宝源」及び「マリンプレミアム」は,いずれもアイ鮫の粗肝油(鮫肝油原料)から精製された鮫生肝油エキスを主成分とした加工食品であるが,アイ鮫の漁獲時期が限定されていることや,漁獲量が不安定なことから,原告は,採算割れを防ぐ ために,最低取引単位として4トン単位で鮫肝油原料を輸入していた。 原告が被告会 加工食品であるが,アイ鮫の漁獲時期が限定されていることや,漁獲量が不安定なことから,原告は,採算割れを防ぐ ために,最低取引単位として4トン単位で鮫肝油原料を輸入していた。 原告が被告会社と取引を始めた直後は,マリンファームのために確保していた鮫肝油原料の一部を用いて被告会社のために商品を製造していたが,在庫が減少したため,被告会社のために新たに鮫肝油原料を確保する必要が生じた。このため,原告と被告会社は,平成18年6月8日,本件基本契約を締結し,被告会社が,同年 10月末日までに,1kgにつき500円の手付金を添えて鮫肝油原料の購入を予約することが約束された(本件契約書5条1項)。原告がこのように大量の原料を確保し,保管するのであるから,被告会社が原告以外から自由に販売用の商品を調達することとなれば,専ら原告が原料等の在庫リスクを負担することとなってしまう。 イ本件契約書2条2項の解釈について本件契約書2条2項は,「乙は販売用の商品を甲以外から一切購入しない。」と規定し,被告会社が,鮫関連製品について,販売用の商品を原告以外から一切購入しない旨規定しているが,上記アで主張した本件基本契約の性格からすれば,被告会社が自ら鮫関連製品を製造することも禁止されているというべきである。 被告会社は,本件契約書2条2項の規定に反して,鮫肝油を原料とする加工食品 を自ら製造し,又は原告以外の者から買い受けて販売しているのであるから,被告会社には,本件基本契約上の債務不履行がある。 また,被告会社は,原告が試供品として提供したPTPシートを,自ら被告各標章が付された包装に梱包して販売したと主張しており,かかる行為が事実であるとすれば,この行為も本件契約書2条2項の規定に違反するものである。 告が試供品として提供したPTPシートを,自ら被告各標章が付された包装に梱包して販売したと主張しており,かかる行為が事実であるとすれば,この行為も本件契約書2条2項の規定に違反するものである。 【被告らの主張】本件契約書2条2項は,後記⑻【被告らの主張】において主張するとおり無効というべきであるが,この点を措くとしても,文言上,「乙は販売用の商品を甲以外から一切購入しない。」と規定するのみで,被告会社が自ら販売用の商品を製造することは禁止されていないことが明らかである。 ⑻ 争点2-2(本件基本契約のうち,本件契約書2条2項の規定は,公序良俗に反し無効となるか)について【被告らの主張】本件契約書2条2項は,「乙は販売用の商品を甲以外から一切購入しない。」として,被告会社が原告以外の者から鮫関連商品や原材料を購入することを禁じてい る。一般に,このような排他条件は,販売業者側にもメリットがある場合には正当化されると解されるが,本件基本契約において,被告会社が仕入先を原告に限定することによるメリットは認められない。むしろ,本件契約書には,購入強制(5条)や引取強制(7条)など,被告会社が原告に対して圧倒的に劣位にあったことを伺わせる条項が存在している。 そうすると,本件契約書2条2項の規定は,被告会社の設立直後の困窮・無経験に乗じて,原告会社が,不当に被告会社に過大な義務を負わせ,被告会社の営業活動による利益を一方的に独占しようとする意図のもとに締結されたものであり,原告の暴利行為を認めるものであるから,公序良俗に反するものとして無効というべきである。 原告は,被告会社のために鮫肝油原料を輸入し,また鮫生肝エキスを保管すると いうが,これらは,何も被告会社のためにのみ使 るから,公序良俗に反するものとして無効というべきである。 原告は,被告会社のために鮫肝油原料を輸入し,また鮫生肝エキスを保管すると いうが,これらは,何も被告会社のためにのみ使用するものではなく,他社の製品に転用することも可能であるのであるから,本件基本契約を有効とすべき理由とはならない。 【原告の主張】上記⑺【原告の主張】のとおり,本件基本契約は,金銭的に余裕のなく,保管場 所も持たない被告会社のために,原告が鮫肝油原料を一括して購入し(後記⑽【原告の主張】で後述するように,代金を分割計上してもいる。),精製された鮫生肝エキスや完成した商品を無償で保管するものである。被告会社のために鮫肝油原料を輸入し,商品を保管するのであるから,最終的に被告会社がこれらを購入すべきは当然である。また,本件基本契約は有効期間が3年間とされており(本件契約書 22条。自動更新は2年単位である。),被告会社は契約から離脱することもできるのであるから,被告会社を不当に拘束するものでもない。 ⑼ 争点2-3(被告会社の債務不履行により原告が受けた損害の額)について【原告の主張】ア原告は,平成17年4月頃から,鮫肝油を原料とする加工食品(原告商品) を製造してこれを被告会社に販売しており,原告の被告会社に対する平成17年4月から平成22年12月までの鮫関連商品の年間平均売上高は3171万1776円であった。しかし,被告会社は,平成23年1月から,鮫肝油を原料とする加工食品を自ら製造し又は原告以外の者から買い受け,これらを販売し始めた。このため,原告の被告会社に対する平成23年1月から平成26年7月までの鮫関連商品 の年間平均売上高は792万5244円に減少した。 これらの売上減少は,すべて被告 ,これらを販売し始めた。このため,原告の被告会社に対する平成23年1月から平成26年7月までの鮫関連商品 の年間平均売上高は792万5244円に減少した。 これらの売上減少は,すべて被告会社が鮫肝油を原料とする加工食品を自ら製造し又は原告以外の者から買い受けるという債務不履行に起因するものである。そして,原告の平成25年9月期の利益率は33パーセントであるから,平成23年1月から平成26年7月までの3年7か月(43か月)にわたる被告会社の債務不履 行により,原告は,逸失利益として2812万7574円(〔3171万1776 円-792万5244円〕÷12か月×43か月×33パーセント)の損害を受けたというべきである。 イ仮に,上記アの損害額が認められないとしても,隠蔽や改ざんの形跡があって一様には信用できないが,被告会社が提出した本件帳簿(乙42ないし56)に基づいて計算すると,被告会社は,平成23年1月から平成26年7月までの間に, 少なくとも原告商品のうち「マリンプレミアム」(360粒入)に換算して7464本に相当する量の加工食品を販売している。被告会社は,1754万0218円分の売上帳を本件訴訟に提出することなく隠蔽しているが,ほかに売上帳を隠蔽する理由などないから,同額も被告会社の債務不履行を構成する売上高とみるべきである。同額を原告商品のうち「マリンプレミアム」(360粒入)に換算すると2 143本分となる。本来,これらの加工食品は,原告のみから仕入れなくてはならないのであるから,被告会社による債務不履行がなければ,原告は,「マリンプレミアム」(360粒入)1本分の販売額(4022円)に上記9607本を乗じた金額(3863万9354円)を売り上げることができ,利益率(33パーセント)に応 務不履行がなければ,原告は,「マリンプレミアム」(360粒入)1本分の販売額(4022円)に上記9607本を乗じた金額(3863万9354円)を売り上げることができ,利益率(33パーセント)に応じた1275万0986円の利益を上げることができたはずである。 【被告らの主張】仮に,被告会社に債務不履行が認められるとしても,被告会社の原告からの仕入額の減少は,平成23年以降,顧客への販売数量自体が減少していることに起因するものであって,被告の債務不履行を原因とするものではないから,同債務不履行と原告の売上高の減少との間に相当因果関係は認められないというべきである。 仮に,原告に何らかの損害が発生する余地があるとしても,被告会社が原告から正規に仕入れた加工食品のPTPシートを別途包装するなどして販売する行為は,少なくとも本件基本契約には違反しないのであるから(本件基本契約2条2項では,あくまで被告会社が販売用の製品を原告以外から購入しない旨が規定されているにすぎない。),損害額の算定に際しては,被告会社が原告から正規に仕入れたPT Pシートが販売されたことによる売上高は,考慮するべきではない。 ⑽ 争点2-4(相殺の抗弁の成否)について【被告らの主張】ア本件個別契約⑧の一部解除による既払金返還請求権との相殺本件個別契約⑧は,「海宝源」(パック,380粒入)500袋を対象とするものであるが,原告は,被告会社に対し,そのうち300袋を納入していないから, 本件個別契約⑧の債務を履行していないし,履行の提供を継続してもいない。 そして,被告会社は,平成27年12月21日の本件第7回弁論準備手続期日において平成27年12月14日付け被告第5準備書面を陳述することにより,原告に対し, いし,履行の提供を継続してもいない。 そして,被告会社は,平成27年12月21日の本件第7回弁論準備手続期日において平成27年12月14日付け被告第5準備書面を陳述することにより,原告に対し,本件個別契約⑧のうち「海宝源」(パック,380粒入)300袋を目的とする部分を原告の債務不履行を原因として解除する旨の意思表示をするとともに, 同解除により被告会社が原告に対して取得した既払金返還請求権90万4050円(消費税込)及びこれに対する平成26年3月28日(相殺適状となった日)から支払済みまでの年6分の割合による利息請求権を自働債権とし,原告が本訴訟で請求する債務不履行による損害賠償請求権を受働債権として,その対当額で相殺する旨の意思表示(以下「相殺の意思表示①」という。)をした。 したがって,被告会社の債務不履行を原因とする原告の損害賠償請求権は,上記限度において消滅したというべきである。 イ預け金返還請求権の一部との相殺被告Aは平成17年3月17日に200万円を,被告会社は平成18年11月7日に210万円を,それぞれ原告に交付しているところ,これら410万円は,被 告会社が原告にいつでも返還を求めることができる預け金である。 そして,被告会社は,平成27年12月21日の本件第7回弁論準備手続期日において平成27年12月14日付け被告第5準備書面を陳述することにより,上記預け金返還請求権410万円のうち128万5079円分を自働債権とし,原告が本訴訟で請求する債務不履行による損害賠償請求権を受働債権として,その対当額 で相殺する旨の意思表示(以下「相殺の意思表示②」という。)をした。 したがって,被告会社の債務不履行を原因とする原告の損害賠償請求権は,上記限度において消滅したとい その対当額 で相殺する旨の意思表示(以下「相殺の意思表示②」という。)をした。 したがって,被告会社の債務不履行を原因とする原告の損害賠償請求権は,上記限度において消滅したというべきである。 【原告の主張】ア本件個別契約⑧の一部解除について原告と被告会社との取引は,①被告会社の注文により,原告が鮫肝油原料を輸入 し,鮫生肝エキスに精製して保管する,②被告会社の指示により,原告が鮫生肝エキスをカプセル状の粒に加工する(バルク製造),③被告会社の商品化指示により,原告が上記カプセル状の粒を瓶詰め等して包装して商品化し保管する,④被告会社の発送依頼により,商品を納品先に納品する,という流れで行われていたところ,原告としては,上記③の段階ですべき債務を終え,被告会社からの発送依頼を待つ のみとなる。 本件個別契約⑧については,「海宝源」(パック,380粒入)500袋について,被告会社が平成26年1月10日に商品化指示を行い(甲29),原告が同年2月20日に商品化して保管したから(甲30),同日,原告の債務の履行は完了した。 被告会社は,平成26年2月24日,上記500袋のうち200袋について発送依頼をしたが(甲31の2),その余の300袋については発送依頼をせず,その後,原告に対する売買代金を支払わなくなった。このため,被告会社から平成26年3月20日にあった発送依頼に対して,原告は応じなかった(甲31の3ないし33)。被告会社が,本件個別契約⑧に基づく代金支払債務を履行しないのである から,原告が発送に応じないのは当然である。 以上のとおり,原告は,平成26年2月20日に商品化を完了することにより,本件個別契約⑧に基づく債務の履行を完了している。仮に,これが債務の履行と評 から,原告が発送に応じないのは当然である。 以上のとおり,原告は,平成26年2月20日に商品化を完了することにより,本件個別契約⑧に基づく債務の履行を完了している。仮に,これが債務の履行と評価されなかったとしても,原告としては,履行の提供を継続している。 したがって,本件個別契約⑧の一部が解除されたとの被告会社の主張には理由が なく,相殺の意思表示①による相殺の抗弁も成り立たない。 イ預け金返還請求権との相殺について被告Aが原告に提供した200万円は,原告に対する保証金であり,被告会社が原告に提供した210万円は,鮫肝油原料4トンの手付金であるから,いずれも被告会社が任意にその返還を求めることができる性質の金員ではない。 したがって,相殺の意思表示②による相殺の抗弁は成り立たない。 ⑾ 争点3-1(原告と被告会社との間に,本件個別契約⑪が締結されたか)について【原告の主張】ア平成18年11月の鮫肝油原料の注文上記⑺【原告の主張】において主張したとおり,原告と被告会社は,本件基本契 約において,被告会社が,同年10月末日までに,1kgにつき500円の手付金を添えて鮫肝油原料の購入を予約することを約した(本件契約書5条1項)。これを受けて,被告会社は,平成18年11月頃,原告に対し,最低取引単位である4トン分の鮫肝油原料を注文し,同月7日,手付金として210万円(500円×4000kg+消費税5パーセント分)を交付した(甲21。なお,その後,この手 付金は,上記4トンの鮫肝油原料の売買代金には充当せず,新たに注文した4トンの鮫肝油原料の手付金として,引き続き預かることとなった。)。上記4トンの鮫肝油原料の代金については,被告会社が資力に乏しかったことから,被告会社の販 原料の売買代金には充当せず,新たに注文した4トンの鮫肝油原料の手付金として,引き続き預かることとなった。)。上記4トンの鮫肝油原料の代金については,被告会社が資力に乏しかったことから,被告会社の販売状況を踏まえて分割して計上することとし,平成20年7月17日に1020kg分(612万円。甲4の2〔6頁〕),同年12月25日に1トン分(612万 円。甲4の2〔15頁〕),平成21年8月21日に1トン分(561万円。甲4の2〔29頁〕),平成22年2月1日に1トン分(561万円。甲4の2〔41頁〕)と計上した。 イ平成21年10月の鮫肝油原料の注文平成18年11月に注文された4トンの鮫肝油原料の在庫は,平成21年10月 頃にはわずかとなっていたところ,被告会社は,同月,原告に対し,更に4トン分 の鮫肝油原料を注文した。その代金については,同年8月頃,原告代表者と被告Aとが,1kgにつき5000円程度で販売する旨を確認していることから,1kgにつき5000円とする旨の約定があったというべきである。 この2回目の注文についても,代金は分割して計上することとし,平成22年5月25日に1トン分(510万円。甲4の2〔47頁〕),同年11月25日に2 トン分(877万2000円。甲4の2〔56頁〕)がそれぞれ計上されており,残り1トン分が計上されていない状態にあった。 そこで,原告は,平成26年2月28日付け納品書により,最後の1トン分として439万1100円(うち消費税20万9100円)を被告会社に請求したものである(甲26)。 以上のとおり,原告と被告会社は,平成21年10月,被告会社が原告から鮫肝油原料4トンを買い受ける旨の売買契約を締結しており(これが,本件個別契約⑪である。),その売掛金 る(甲26)。 以上のとおり,原告と被告会社は,平成21年10月,被告会社が原告から鮫肝油原料4トンを買い受ける旨の売買契約を締結しており(これが,本件個別契約⑪である。),その売掛金残金は,439万1100円である(別紙2個別契約目録の番号11の「年月日」欄に「平成26年2月28日」とあるのは,上記のとおり最後の1トン分を分割計上した納品書の日付である。)。なお,上記のとおり分割 して代金を計上する際に,単価がそれぞれ異なっているのは,被告会社の経営状況を見ながら,原告が適宜値下げをしたためである。 ウ保証金及び手付金の充当原告は,平成26年6月3日付け書面により,被告会社に対し,本件個別契約⑪の売買代金439万1100円に,原告が被告Aから交付を受けていた保証金20 0万円及び被告会社から交付を受けていた手付金210万円を充当する旨通知した(甲6)。 エ原告の被告会社に対する売掛金のまとめしたがって,原告は,被告会社に対し,本件個別契約①ないし同⑩に基づく281万4921円の売掛金請求権のほか(前記前提事実〔2⑷〕参照),本件個別契 約⑪に基づく上記ウの充当後の残金29万1100円の売掛金債権を有するので, 310万6021円及びこれに対する遅延損害金を請求する。 【被告らの主張】被告会社が,平成18年10月頃及び平成21年10月頃,原告に対し,それぞれ鮫肝油原料4トンを発注した事実はない。被告会社のような小規模な会社が,4トンもの大量の鮫肝油原料を発注することはあり得ないし,そのような高額の契約 であるにもかかわらず,発注書や契約書が何ら作成されていない。 仮に,4トンを一括して発注したのであれば,代金が一定するはずであるが,原告の主張によっても,4トン分を ,そのような高額の契約 であるにもかかわらず,発注書や契約書が何ら作成されていない。 仮に,4トンを一括して発注したのであれば,代金が一定するはずであるが,原告の主張によっても,4トン分を分割計上している際の単価が異なっている。このことは,端的に一括して発注した事実がないことを示している。 ⑿ 争点3-2(一部解除の抗弁,同時履行の抗弁及び相殺の抗弁の成否)につ いて【被告らの主張】ア本件個別契約⑧の一部解除前記⑽【被告らの主張】アのとおり,原告は,本件個別契約⑧の目的の一部である「海宝源」(パック,380粒入)300袋を納入していなかったので,平成2 7年12月21日に被告会社がした解除の意思表示により,本件個別契約⑧のうち「海宝源」(パック,380粒入)300袋を目的とする部分(代金90万4050円)は解除された。 イ同時履行の抗弁仮に,本件個別契約⑧のうち「海宝源」(パック,380粒入)300袋を目的 とする部分の解除が認められないとしても,原告は同部分について債務を履行しておらず,履行の提供を継続してもいないから,被告会社は,原告が「海宝源」(パック,380粒入)300袋を引き渡すまで,その代金の支払を拒絶する。 ウ預け金返還請求権の一部との相殺前記⑽【被告らの主張】イのとおり,被告A及び被告会社が原告に交付していた 410万円は,被告会社が原告にいつでも返還を求めることができる預け金である。 そして,被告会社は,平成26年3月28日,上記預け金返還請求権のうち281万4921円分を自働債権として,本件個別契約①ないし同⑩に基づく原告の被告会社に対する売掛金債権を受動債権として,その対当額で相殺する旨の意思表示をした(甲32。以下「相殺の意思表 権のうち281万4921円分を自働債権として,本件個別契約①ないし同⑩に基づく原告の被告会社に対する売掛金債権を受動債権として,その対当額で相殺する旨の意思表示をした(甲32。以下「相殺の意思表示③」という。)。 したがって,本件個別契約①ないし同⑩に基づく原告の売掛金請求権は,消滅し たというべきである。 【原告の主張】ア本件個別契約⑧の一部解除について前記⑽【原告の主張】アのとおり,原告は本件個別契約⑧に基づく債務の履行を完了し,又は履行の提供を継続しているから,本件個別契約⑧の一部が解除された との被告の抗弁は成り立たない。 イ同時履行の抗弁について同様に,原告は本件個別契約⑧に基づく債務の履行を完了し,又は履行の提供を継続しているから,被告会社は同時履行の抗弁権を喪失している。 ウ預け金返還請求権との相殺について 前記⑽【原告の主張】イのとおり,原告が交付を受けていた410万円は,いずれも被告会社が任意にその返還を求めることができる性質の金員ではない。したがって,被告会社による相殺の意思表示③によっては相殺の効力は生じず,相殺の抗弁は成り立たない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実(第2,2),各項目末尾掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ⑴ 被告会社の設立以前原告代表者及び被告Aは,いずれもマリンファーム(商号変更前の名称は株式会 社海洋牧場)で勤務しており,同社において,原告代表者は工場長,被告Aは取締 役営業本部長をそれぞれ務めた。 マリンファームは,鮫肝油原料から精製されたエキスを主成分とした加工食品「マリンゴールド」を開発,製造,販売し,これがヒット商品となっていた。マリンファーム 役営業本部長をそれぞれ務めた。 マリンファームは,鮫肝油原料から精製されたエキスを主成分とした加工食品「マリンゴールド」を開発,製造,販売し,これがヒット商品となっていた。マリンファームで製造を担当していた原告代表者は,マリンファームを退職して原告を設立した後も,平成17年頃まで,原告において,マリンファームから鮫肝油原料の仕 入れや鮫生肝エキスのカプセル加工等の委託を受けていた。 (以上につき,甲14の1・2,76,乙6,丙2,原告代表者)⑵ 被告会社の設立と原告商品の販売等の開始平成16年頃,被告Aを始めとするマリンファームの営業担当役員ないし従業員が,同社を退職することとなった。被告Aは,原告代表者に打診して,これらマリ ンファームの元営業担当者らが新たに設立する会社のために,鮫肝油を原料とする加工食品の製造を依頼し,原告代表者はこれに応じた。 マリンファームの元営業担当者らのうち,被告Aが株式会社海洋開発(被告会社)を,Dが株式会社ケニングコーポレーション(以下「ケニング」という。)をそれぞれ設立して代表取締役となり,両社とも原告が製造等する加工食品を販売するこ ととなった。 被告Aは,平成17年3月17日,原告に対し,継続的取引に係る保証金の趣旨で200万円を交付し,同年5月19日には被告会社を設立した。 原告と被告会社とは,まず,被告会社が販売する加工食品の名称を「海宝源」とすることとし,原告が平成17年6月頃に「海宝源」の容器デザインサンプルを被 告会社に提供して同社の同意を得て,同月中に製造,販売が本格化した。原告と被告会社は,その後,更に「マリンプレミアム」との名称の加工食品も製造することとし,原告が同年11月頃に「マリンプレミアム」の容器デザインサンプルを被告会社に 同月中に製造,販売が本格化した。原告と被告会社は,その後,更に「マリンプレミアム」との名称の加工食品も製造することとし,原告が同年11月頃に「マリンプレミアム」の容器デザインサンプルを被告会社に提供して同社の同意を得て,同年12月に製造,販売が本格化した。 「海宝源」と「マリンプレミアム」とは,名称が異なるのみで,内容物である加 工食品自体(400mgの鮫生肝エキスをカプセル加工したもの)は同一のもので ある。 (以上につき,甲4の1・2,18の1・2,35,67,乙1ないし6,18,19,原告代表者)⑶ 原告と被告会社の取引の態様原告と被告会社の取引は,概ね次の手順で行われていた。 ① 原告は,被告会社の注文を受けて,鮫肝油原料を相当数量輸入して確保し,確保した鮫肝油原料を鮫生肝エキスに精製して保管しておく。 ② 原告は,被告会社から「鮫生肝油エキス」を対象とする注文書ないし発注依頼書を受領して,鮫生肝エキスをカプセル状の粒(1粒につき鮫生肝エキス400mg)に加工し(これを「バルク製造」という。),これを保管する。 ③ 原告は,被告会社から「マリンプレミアム」「海宝源」などを対象とする注文書ないし発注依頼書を受領して,カプセル加工された鮫生肝エキスを梱包して商品化し(原告商品),これを保管する。 ④ 原告は,被告会社から発送依頼書を受領して,原告商品を被告会社が指示する送付先に直接発送する。 なお,原告と被告会社との間では,1回のバルク製造によるカプセルの製造量を「60万球(粒)」とし,これを「1ロット」として取り扱うこととしていた。カプセル60万粒を製造するのに必要な鮫肝油原料の量は,歩留まり率を考慮すると,約400kgである。 (以上につき,甲22ないし25の4,38 とし,これを「1ロット」として取り扱うこととしていた。カプセル60万粒を製造するのに必要な鮫肝油原料の量は,歩留まり率を考慮すると,約400kgである。 (以上につき,甲22ないし25の4,38, 68の1,69の1,76,原告代表者)⑷ 本件基本契約の締結原告は,上記のとおり被告会社との取引を継続していたところ,両社の取引関係に関する基本的事項を書面で取り交わすこととし,その草案として基本契約書を作成して,平成18年4月頃,これを被告Aに送付した。 平成18年6月8日,原告の本社事務所において,原告代表者,被告A,B及び Cが参集し,前記前提事実(第2,2⑵)のとおりの記載がある本件契約書の読み合わせを行い,原告と被告会社との間で本件基本契約が締結され,また,被告A,B及びCは,本件基本契約に基づき被告会社が原告に対して負担する一切の債務につき,5000万円を限度に連帯保証した。 原告は,同年7月3日,ケニングとの間でも,同様に取引基本契約を締結し,ケ ニングが販売する「深海力」との名称の加工食品(原告商品と同様に,鮫生肝エキスをカプセル化したもの)を製造し,販売するようになった。なお,ケニングは,「深海力」との商標について,同年6月14日に商標登録出願をしていた。 (以上につき,甲5,48,67,乙32原告代表者,被告A本人) ⑸ 本件各商標に係る商標登録出願原告は,平成18年8月28日,本件各商標(海宝源〔標準文字〕,marinepremium〔標準文字〕)について,それぞれ商標登録出願をした。 (甲2の1・2)⑹ 鮫肝油原料4トンの注文(1回目) 被告会社は,平成18年11月頃,本件契約書5条に基づき,原告に対して,鮫肝油原料4トンの購入を予約 ぞれ商標登録出願をした。 (甲2の1・2)⑹ 鮫肝油原料4トンの注文(1回目) 被告会社は,平成18年11月頃,本件契約書5条に基づき,原告に対して,鮫肝油原料4トンの購入を予約し,同月7日,その手付金として原告に対して210万円を交付した。このとき,鮫肝油原料の購入代金は,被告会社が原告に発注する原告商品の総量が,鮫肝油原料に換算して1トン分を超えた場合に,次の1トン分について原告が被告会社に請求することとなった。 原告は,上記予約に従い,鮫肝油原料を輸入した上,被告会社に対し,原告商品の出荷量に応じて,鮫肝油原料の購入代金として,平成20年7月17日に642万6000円(1020kg分,消費税込),同年12月25日に642万6000円(1020kg分,消費税込),平成21年8月21日に589万0500円(1020kg分,消費税込),平成22年2月1日に589万0500円(10 20kg分,消費税込)を,それぞれ請求し,被告会社は,同請求に係る費用をい ずれも支払った。 (以上につき,甲4の2,甲5,19,20,原告代表者)⑺ 鮫肝油原料の購入代金の支払原告は,平成22年3月,鮫肝油原料4080kgを輸入した。そして,原告は,被告会社に対し,鮫肝油原料の購入代金として,平成22年5月25日に535万 5000円(1020kg分,消費税込),同年11月25日に921万0600円(2040kg分,消費税込)をそれぞれ請求した。 被告会社は,前者(535万5000円)については程なく支払ったものの,後者(921万0600円)については,他の売掛金と共に直ちには支払わず,平成23年度は原油の必要量が減るとか,平成23年1月には被告Aが原告に交付して いた保証金200万円及び被 たものの,後者(921万0600円)については,他の売掛金と共に直ちには支払わず,平成23年度は原油の必要量が減るとか,平成23年1月には被告Aが原告に交付して いた保証金200万円及び被告会社が原告に交付していた210万円の合計410万円を買掛金の支払に充当したいなどと主張したが,いずれも原告には認められなかった。 そこで,被告会社は,平成23年3月17日,原告に対し,410万円分の売掛金については同年6月から9月にかけて4回に分割して支払うこと,鮫肝油原料の 購入代金921万0600円については同年7月から平成24年2月にかけて8回に分割して支払うことを内容とする支払計画を提示し,その後これらの金員を支払った。 (以上につき,甲4の2,甲20,40,41,乙21)⑻ 原告商品の販売数量の減少等 ア原告の被告会社への鮫関連製品の売上高は,平成18年から平成19年までは年額2000万円以上,平成20年から平成21年までは年額3000万円以上となり,平成22年の売上高は5000万円を超えたが,平成23年を境に,年額1000万円未満となるなど,急速に落ち込んだ。 被告会社は,広田薬品に対し,「マリンプレミアム」(360粒入)を販売して いたところ,平成23年1月以降,広田薬品が被告会社から仕入れた「マリンプレ ミアム」(360粒入)の数量が,原告が広田薬品に宛てて出荷した「マリンプレミアム」(360粒入)の数量を上回るようになり,同年8月以降は,原告が被告会社に仕入れた「マリンプレミアム」(360粒入)の総数量をも上回るようになった。 イ被告会社は,指定商品を「鮫を主原料とした液状・粉末状・顆粒状・タブレ ット状・カプセル状・丸薬状・ゼリー状・ゲル状・固形状の加工食品」とする「 0粒入)の総数量をも上回るようになった。 イ被告会社は,指定商品を「鮫を主原料とした液状・粉末状・顆粒状・タブレ ット状・カプセル状・丸薬状・ゼリー状・ゲル状・固形状の加工食品」とする「海寿源(標準文字)」「マリンサン(標準文字)」「サンマリン-G(標準文字)」との商標について平成22年12月に,指定商品を「鮫の肝油を主体とする粉末・顆粒・錠剤及び液状の加工食品」とする「マリンミレニアム(標準文字)」との商標について平成23年5月に,それぞれ商標登録出願をした。また,被告会社は,「マ リンサン」と称する深海鮫肝臓エキス加工食品を販売しているところ,同商品も,原告商品と同様に,1粒あたりの鮫生肝エキスの量が400mgである。 なお,平成23年8月15日,被告会社と商号及び定款上の目的が一字一句同一である「株式会社海洋開発」が,大阪市中央区に設立された。 (以上につき,甲4の2,甲15の1ないし4,甲16, 34ないし36,42,51の1・2,甲75,乙14の1ないし3)⑼ 原告と被告会社の取引の終了被告会社は,平成25年4月24日,原告に対し,鮫生肝エキス30万粒のバルク製造を注文する注文依頼書を送付したが,原告から,従来どおり60万粒を発注するよう求められ,同年5月2日,鮫生肝エキス30万粒につき「納期」を「9月 以降」とする追加の注文依頼書を送付した。 被告会社は,上記各30万粒のバルク製造に係る発注のうち,前者の30万粒分については,その後商品化の注文をし,代金の支払もしたが,後者の30万粒分については,「納期」と記載された平成25年9月を過ぎても,商品化の注文をしなかった。そこで,原告は,同年12月27日,被告会社に対し,30万3000球 について1粒あたり7.5円と計算して, ついては,「納期」と記載された平成25年9月を過ぎても,商品化の注文をしなかった。そこで,原告は,同年12月27日,被告会社に対し,30万3000球 について1粒あたり7.5円と計算して,239万3685円(消費税込)を請求 したところ,被告会社から一定の商品化の注文が入ったので(本件個別契約⑧に係る注文),上記請求を撤回した。 原告の被告会社に対する売掛金は,平成25年12月19日時点で残高0円となっていたところ,本件個別契約①ないし同⑩に基づく各取引の結果,平成26年2月25日時点での残高は281万4921円となった。 被告会社は,平成26年3月20日,原告に対し,本件個別契約⑩のうち「海宝源」(パック,380粒入)225袋を株式会社Kライズに宛てて発送するよう依頼し,同月28日にも,被告会社が原告に交付している410万円を売掛金と相殺して欲しいなどとの希望と共に,上記商品を発送するよう再度依頼したが,原告は,被告会社が売買代金を支払わないとしてこれを拒絶し,その後も,入金が確認され 次第直ちに出荷する旨の立場を表明した。 原告は,平成26年6月3日,被告会社に対し,同社から一括で注文を受けていた鮫肝油原料4080kgのうち最終計上分1020kgを,同年2月28日付けで,1kgあたり4100円にて原告の売上に計上したこと,同売上に係る431万1100円(消費税込)の代金の一部に,被告会社が原告に交付している合計4 10万円を充当したことを前提に,同充当後の残金29万1000円及び売掛金残金281万4921円の合計310万6021円を直ちに支払うよう請求した。 (以上につき,甲4の2,甲6,22,27,28,31の3,甲32,33)⑽ インターネットで販売されていた商品原告関係者は 4921円の合計310万6021円を直ちに支払うよう請求した。 (以上につき,甲4の2,甲6,22,27,28,31の3,甲32,33)⑽ インターネットで販売されていた商品原告関係者は,平成26年3月頃,インターネット上のウェブサイトを通じて, 「AmazonJapanG.K.」から「海宝源 100粒入」との名称の加工食品(以下「本件販売商品1」という。)を購入し,株式会社フロンティアから「鮫生肝エキスマリンプレミアム」との名称の加工食品(以下「本件販売商品2」といい,本件販売商品1と併せて「本件各販売商品」という。)を購入した。 本件各販売商品は,いずれも鮫肝油を原料とする加工食品であり,その包装には「販 売者」として「株式会社海洋開発 SH」の名称が記載されているほか,本件販 売商品1の包装には被告標章1ないし同4が,本件販売商品2の包装には被告標章5ないし同8が付されていたが,印字された書体の形状,賞味期限年月の刻印の形状及びパウチ包装の態様において,原告が製造した包装(原告商品の包装)とは異なる。なお,上記「販売者」欄に記載された「SH」との記号は,食品衛生法施行規則21条10項の規定により,原告が製造し被告会社が販売する加工食品に表示 するものとして厚生労働大臣に届け出ている製造所固有記号である。 (以上につき,甲3の1ないし4,甲7,11の1ないし3,甲12の1ないし3,甲49,50,77) 2 事実認定の補足説明上記認定事実について,事実認定の理由を次に補足説明する。 被告らは,被告会社が平成18年11月頃原告に対して鮫肝油原料4トンを注文した事実はないと主張し,更に,被告会社が同月7日に交付した210万円は,原告が資金不足を訴えたことから資金繰りのために交付 被告らは,被告会社が平成18年11月頃原告に対して鮫肝油原料4トンを注文した事実はないと主張し,更に,被告会社が同月7日に交付した210万円は,原告が資金不足を訴えたことから資金繰りのために交付した「預け金」であって,鮫肝油原料4トンの手付金の趣旨で支払ったものではないと主張する。 しかしながら,前記認定事実(1⑹)のとおり,被告会社は,鮫肝油原料の購入 代金として,原告の請求に応じ,平成20年7月17日に642万6000円(1020kg分,消費税込),同年12月25日に642万6000円(1020kg分,消費税込),平成21年8月21日に589万0500円(1020kg分,消費税込),平成22年2月1日に589万0500円(1020kg分,消費税込)をいずれも支払っているところ(このこと自体は当事者間に争いがない。), 本件契約書の第5条には,「乙(判決注:被告会社を指す。)は甲(判決注:原告を指す。)に対し毎年10月末日までに,翌年の鮫肝油原料の購入を1kg当たり500円の現金による手付金を添えて予約する。予約金は購入代金の一部に充当する。」と明記されているのであるから,被告会社が,この規定に従い,原告に対して鮫肝油原料4トンの購入を注文し,1kgあたり500円に対応する手付金20 0万円を,消費税10万円と共に支払ったものとみるのが自然である。他方で,証 拠(甲4の1,甲19)によれば,当該210万円は,原告の帳簿上「前受金」として処理されている上,原告は,平成18年11月7日当時,被告会社に対して売掛金残額448万0266円を有していたことが認められるから,単に資金繰り目的であれば,売掛金の支払があったものとして会計上処理すれば足りるはずであり,原告の資金不足との訴えに応じて資金繰りのために交付し 額448万0266円を有していたことが認められるから,単に資金繰り目的であれば,売掛金の支払があったものとして会計上処理すれば足りるはずであり,原告の資金不足との訴えに応じて資金繰りのために交付したとみることは困難であ る。 3 争点1-1(被告会社が,被告各標章を包装に付した鮫肝油を原料とする加工食品を販売することは,本件各商標権を侵害するとみなされる行為か)について⑴ 被告各標章を付した加工食品の販売前記認定事実(1⑽)によれば,被告会社が,被告標章1ないし同4が包装に付 された加工食品(本件販売商品1)及び被告標章5ないし同8が包装に付された加工食品(本件販売商品2)をそれぞれ販売した事実が推認できる。 ⑵ 指定商品及び商標の類否ア本件販売商品1は,鮫肝油を原料とする加工食品であるから,本件商標権1の指定商品「鮫を主原料とした…加工食品」と同一の区分に属する。 本件商標1は,「海宝源」(標準文字)と書してなる商標であり,「カイホーゲン」との称呼を生じる。他方,被告標章1は字体を問わず「海宝源」と書してなる標章,被告標章2はゴシック体で「海宝源」と書してなる標章,被告標章3及び同4は縦書き文字にて「鮫生肝エキス/海寶源/かいほうげん鮫」と3行に書してなる標章であって「海寶源」との文字が他の文字に比して一際大きく書してなるも のであり,いずれの標章も「カイホーゲン」との称呼を生じる。そうすると,被告標章1ないし同4は,いずれも本件商標1と類似するものと認められる。 イ本件販売商品2は,鮫肝油を原料とする加工食品であるから,本件商標権2の指定商品「鮫を主原料とした…加工食品」と同一の区分に属する。 本件商標は,「marinepremium」(標準文字)と書してなる商標 肝油を原料とする加工食品であるから,本件商標権2の指定商品「鮫を主原料とした…加工食品」と同一の区分に属する。 本件商標は,「marinepremium」(標準文字)と書してなる商標 であり,「マリンプレミアム」との称呼を生じる。他方,被告標章5は字体を問わ ず「marinepremium」と書してなる標章,被告標章6はゴシック体で「MARINEPREMIUM」と書してなる標章,被告標章7はゴシック体で「MARINE/PREMIUM」と2行に書してなる標章,被告標章8はゴシック体で「マリンプレミアム」と書してなる標章であり,いずれも「マリンプレミアム」との称呼を生じる。そうすると,被告標章5ないし同8は,いずれも本件商 標2と類似するものと認められる。 ⑶ 小括以上によれば,被告会社が本件販売商品1を販売し,販売のための展示をすることは本件商標権1を侵害するとみなされる行為であり,本件販売商品2を販売し,販売のための展示をすることは本件商標権2を侵害するとみなされる行為である (商標法37条2号)。 ⑷ 原告商品との関係前記前提事実(第2,2⑹)のとおり,被告会社は,原告が製造した鮫肝油を原料とする加工食品であって,原告がその包装に被告各標章を付したもの(原告商品)を販売していたところ,これら原告商品は,商標権者である原告が被告各標章を付 した上で流通においたものであるから,被告会社が原告商品を販売等することは,本件各商標権を侵害する行為ということはできない。 しかしながら,前記認定事実(1⑽)によれば,本件各販売商品は,その包装に印字された書体の形状,賞味期限年月の刻印の形状及びパウチ包装の態様において,原告商品の包装とは異なっているのであるから,本件各商標権の商標権者である 実(1⑽)によれば,本件各販売商品は,その包装に印字された書体の形状,賞味期限年月の刻印の形状及びパウチ包装の態様において,原告商品の包装とは異なっているのであるから,本件各商標権の商標権者である原 告が被告各標章を付した上で流通においたものということはできないのであって,本件各販売商品を販売等することは,本件各商標権を侵害するものというべきである。 ⑸ 被告らの主張について被告らは,①被告会社は,原告から仕入れた鮫生肝エキス400mgの粒が10 粒包装されたPTPシート(以下,単に「PTPシート」ということがある。)を 箱包装して販売したことがある,②被告会社は,長年の顧客である広田薬品から要望を受けて,「マリンプレミアム」の成分比を変えたものを販売したことがある,などと主張するところ,いずれの行為についても,包装に被告各標章が付された鮫肝油を原料とする加工食品を販売する行為であることに変わりはないのであって,本件各商標権の商標権者である原告が被告各標章を付した上で流通においたもので はない以上,仮に,被告会社が上記①,②のとおり販売をしていたとしても,本件各商標権を侵害するとの結論を左右するものではない。 4 争点1-2(被告会社は,被告各標章について,先使用による通常使用権を有するか)について⑴ 被告らは,被告会社が,本件各商標権の出願日である本件出願日(平成18 年8月28日)に先立つ平成17年6月頃には,被告各標章を包装に付した加工食品を自己の商品として販売しており,商標法32条1項の要件が認められるから,被告会社は,被告各標章につき,先使用による通常使用権を有する旨主張する。 ⑵ そこで検討するに,前記認定事実(1⑵)によれば,被告会社は,平成17年6月頃には被告標章1ない 件が認められるから,被告会社は,被告各標章につき,先使用による通常使用権を有する旨主張する。 ⑵ そこで検討するに,前記認定事実(1⑵)によれば,被告会社は,平成17年6月頃には被告標章1ないし同4が付された「海宝源」を,同年11月頃には被 告標章5ないし同8が付された「マリンプレミアム」を,それぞれ原告から買い受けて販売していた事実が認められる。 しかし,本件出願日当時,被告各標章が被告会社の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたことを認めるに足りる的確な証拠はないから,商標法32条1項に基づく被告らの抗弁には理由がないというべきである。 ⑶ この点について,被告らは,被告各標章が付された商品は,被告会社が関西圏(大阪,京都,兵庫,奈良,滋賀,和歌山),東北五県(青森,岩手,宮城,秋田,山形),東京及び群馬に所在する薬局,百貨店及び健康食品店に販売しており,商品のチラシを作成してこれら薬局,百貨店及び健康食品店のほか,取引先にも配布しているなどと主張し,被告会社はこれに沿う証拠(乙4,5,9の1ないし3, 乙10,11,26ないし31)を提出している。 しかし,証拠上,被告会社がチラシを制作したことを示す客観的な証拠としては,平成17年8月3日にチラシ1万枚の納品を受けた納品書(乙10)が存在するのみであって,仮に同チラシに被告各標章が掲載されていたとしても,これが現実にどの程度頒布されたかは判然としない。被告会社がチラシを配布した証拠として提出する乙第26ないし第28及び第31号証は,いずれも単なる住所録であるほか, 乙第29号証(株式会社ユニマットリケンの従業員名義の書面)及び第30号証(株式会社日健の従業員名義の書面)は,それぞれ「『海宝源』その後『マリンプ 31号証は,いずれも単なる住所録であるほか, 乙第29号証(株式会社ユニマットリケンの従業員名義の書面)及び第30号証(株式会社日健の従業員名義の書面)は,それぞれ「『海宝源』その後『マリンプレミアム』のパンフレットは,…下記にもれなく配布致しました。 記 ⑴百貨店,高島屋,全店(別紙)に配布 ⑵全国,有名ドラッグストア,薬局,薬店 ⑶全国自然食品店,健康食品店」,「お取引当時の平成17年『海宝源』『マリンプレミア ム』のパンフレット配布先は… ⑴ 直営店百貨店…約10店舗 ⑵ ドラッグストア…約80店舗 ⑶ 自然食品小売店…約10店舗」などと極めて概括的な記載がされるにとどまっており,少なくとも被告各標章が被告会社の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたことを示す証拠としては不十分というほかない。 したがって,被告らの主張は採用することができない。 5 争点1-3(本件商標1及び同2についての商標登録に無効理由があるか。 また,商標権侵害を原因とする原告の請求は,権利の濫用に当たり許されないか)について⑴ 被告らは,「海宝源」及び「マリンプレミアム」との名称は被告Aが発案し たものであり,また,被告会社は平成17年頃から被告各標章を包装に付した加工食品を販売し,同包装には「発売元」として被告会社の名称が記載されていたことなどから,被告各標章は,原告の出所を表示していたものではなかったところ,原告は,被告会社の営業努力による被告各標章の価値の上昇を独占する意図を持って,被告各標章と同一又は類似する本件各商標の商標登録出願をしたものであるとして, ①本件各商標は,公正な取引秩序を乱し公序良俗を害するおそれのある商標であっ て,同商標に係る商標登録は,商標法4条1項 一又は類似する本件各商標の商標登録出願をしたものであるとして, ①本件各商標は,公正な取引秩序を乱し公序良俗を害するおそれのある商標であっ て,同商標に係る商標登録は,商標法4条1項7号の規定に反してされたものとして同法46条1項1号の無効理由があるから,商標登録無効審判により無効とされるべきものであり,原告による本件各商標権の行使は許されない(商標法39条が引用する特許法104条の3第1項),②原告による本件各商標権の行使は,権利の濫用として許されない,と主張する。 ⑵ そこで検討するに,本件各商標権については,次の事情を指摘することができる。 ア被告会社の設立前に作成されたとみられる会議録(乙6)や被告Aの手帳(乙7,8,18)には,他の商品名のアイデアと共に「海宝源」及び「マリンプレミアム」との記載がみられ,被告Aをはじめとする被告会社の関係者が,「海宝源」 及び「マリンプレミアム」との商品名を発案した可能性が相応に認められる。これに対し,原告は,「海宝源」及び「マリンプレミアム」との商品名を考案したのは原告代表者であると主張し,原告代表者も尋問で同旨の供述をするが,これを裏付ける的確な証拠はなく,同主張は採用することができない。 イ証拠(甲7)によれば,原告商品の包装には,「販売者株式会社海洋開発 SH」との記載があって,原告を示す製造所固有記号のほかには原告の商号等の記載がなく,需要者は,原告商品の名称である「海宝源」「マリンプレミアム」のブランドの帰属主体を被告会社と認識するのが自然であるといえる(原告代表者も,本人尋問において,原告はどちらかといえばOEMの立場にあり,ブランドは被告会社にあることを自認するような供述をしているところである〔速記録41頁,4 3頁等〕 であるといえる(原告代表者も,本人尋問において,原告はどちらかといえばOEMの立場にあり,ブランドは被告会社にあることを自認するような供述をしているところである〔速記録41頁,4 3頁等〕。)。 ウ他方,①前記前提事実(第2,2⑵)のとおり,本件契約書には,契約終了時の措置に関する条項ではあるものの,原告が「甲製品」(鮫関連製品・原材料)について商標権,意匠権及び著作権を有することを前提とするような規定があること(第18条3号),②権利の維持管理の都合等の理由により,販売者ではなく製 造者が商標権を保有することにも相応のメリットがあり,不自然とまではいい難い こと,③前記認定事実(1⑻)のとおり,被告会社は,その売上高の大半を原告商品から得ていた頃である平成22年12月(平成23年1月期の被告会社の売上高は7092万6499円であり,原告の被告会社に対する売上高は4987万0947円である〔甲39の1,乙13の3〕。),指定商品を本件各商標権と一言一句変わらない「鮫を主原料とした液状・粉末状・顆粒状・タブレット状・カプセル 状・丸薬状・ゼリー状・ゲル状・固形状の加工食品」とする「海寿源(標準文字)」「マリンサン(標準文字)」「サンマリン-G(標準文字)」との商標につき商標登録出願をして,その後平成23年5月には「マリンミレニアム(標準文字)」との商標について商標登録出願をしており,主力の販売商品である「海宝源」や「マリンプレミアム」の商標登録出願を敢えて避ける必要もないから,被告会社は遅く とも平成22年12月には本件各商標権の存在を認識しており,これに異議を述べたとの事情もうかがわれないことからすれば,被告会社が,原告において本件各商標につき商標登録出願し,本件各商標権を保有することを承諾していた 2月には本件各商標権の存在を認識しており,これに異議を述べたとの事情もうかがわれないことからすれば,被告会社が,原告において本件各商標につき商標登録出願し,本件各商標権を保有することを承諾していた可能性も相応に認められるというべきである。 ⑶ 以上の事情からすると,本件各標章は,確かに被告会社の業務に係る商品を 表示するものとみるのが自然ではあるものの,原告が,被告会社の営業努力による被告各標章の価値の上昇を独占する意図を持って,被告会社に断ることなく,被告各標章に本件各商標の商標登録出願をしたものとまで認めることは困難というべきである。 したがって,本件各商標が公正な取引秩序を乱し公序良俗を害するおそれのある 商標とまではいえないから,本件各商標権が,商標法4条1項7号の規定に違反して登録されたものということはできず,同法46条1項1号の無効理由は認められないというべきである。 ⑷ また,上記各事情に加えて,被告会社は,遅くとも平成22年12月には原告が本件各商標権を保有することを認識しながら,また,本件基本契約により鮫関 連製品については原告から購入するものと約定しながら,前記認定事実(1⑽)や 前記3⑷のとおり,原告が被告各標章を付して流通においたとはいえない,原告商品に酷似した包装の本件各販売商品を販売しているところ,原告による本件各商標権の行使は,従来の原告と被告会社との取引関係に基づき継続的に販売等されてきた原告商品に向けられたものではなく,従来継続してきた取引関係に基づかない,いわば原告商品の偽造品ともいうべき本件各販売商品に向けられていることからす れば,原告による本件各商標権の行使が,権利の濫用に当たり許されないということもできない。 ⑸ したがって,本件各商標権に無効理由 偽造品ともいうべき本件各販売商品に向けられていることからす れば,原告による本件各商標権の行使が,権利の濫用に当たり許されないということもできない。 ⑸ したがって,本件各商標権に無効理由があることや,権利の濫用を原因とする被告らの抗弁には理由がない。 6 争点1-4(差止め及び廃棄の必要性があるか)について 既に認定説示したとおり,被告会社が本件販売商品1を販売することは本件商標権1を侵害し,本件販売商品2を販売することは本件商標権2を侵害するところ,被告会社が本件各販売商品の販売を停止したことを認めるに足りる的確な証拠はなく,被告会社が本件各販売商品及びその包装の在庫を保有していると推認される。 したがって,被告会社が鮫を主原料とした加工食品の包装に被告各標章を付す行 為並びに被告会社が製造し,被告各標章を包装に付した鮫を主原料とした加工食品の販売及び販売のための展示を差し止める必要がある。他方,鮫を主原料とした加工食品以外の加工食品については,差止めの必要性が認められない。 また,被告会社が製造し,占有する被告各標章を付した包装を廃棄させる必要がある。他方,包装の廃棄を超えて,加工食品そのものを廃棄させる必要性までは認 められない。 7 争点1-5(被告会社の故意過失及び原告が受けた損害の額)について⑴ 故意過失について既に認定説示したとおり,被告会社が本件販売商品1を販売することは本件商標権1を侵害し,本件販売商品2を販売することは本件商標権2を侵害するところ, 他人の商標権を侵害した者は,その侵害の行為について過失があったものと推定さ れる(商標法39条が準用する特許法103条)。 この点につき,被告らは,被告会社の代表者である被告Aが平成26年に至るまで原 害した者は,その侵害の行為について過失があったものと推定さ れる(商標法39条が準用する特許法103条)。 この点につき,被告らは,被告会社の代表者である被告Aが平成26年に至るまで原告が本件各商標につき商標登録を受けた事実を知らなかったから,被告会社に故意及び過失が認められない旨主張する。しかし,商標法39条が準用する特許法103条により過失が推定されるのは,商標権の存在が公示されていることを理由 とするものであるから,過失の推定覆滅事由としては,単に商標権の存在を知らなかったということのみでは足りず,そのことについて相当の理由があるといえる事情を主張すべきところ,被告らは,かかる事情を何ら主張していない(また,この点を措くとしても,被告会社が,遅くとも平成22年12月には,本件各商標権の存在について認識していたと認められることは,前記〔5⑵ウ〕のとおりである。) から,上記過失の推定は覆滅されないというべきである。 したがって,被告会社は,その商標権侵害行為により原告が受けた損害を賠償する責任を負う。 ⑵ 原告が受けた損害の額についてア商標法38条2項により推定される損害の額について (ア) 原告は,商標法38条2項により,被告会社の商標権侵害行為により原告が受けた損害の額が算定されるべき旨主張するところ,同条項によれば,商標権を侵害した者がその侵害の行為により利益を受けているときは,その利益の額は,商標権者が受けた損害の額と推定される。そこで,被告会社が,平成23年1月から平成26年7月までの間(以下,この期間を単に「対象期間」ということがある。) に,本件各商標権の侵害行為により受けた利益の額について検討する。 (イ) 「海宝源」及び「マリンプレミアム」の売上高について 間(以下,この期間を単に「対象期間」ということがある。) に,本件各商標権の侵害行為により受けた利益の額について検討する。 (イ) 「海宝源」及び「マリンプレミアム」の売上高についてa 本件売上帳に基づく売上高被告会社が書証として提出した本件売上帳(乙43,44,46,47,49,50,52,53,55,56)及びこれを集計した原告代理人作成の報告書(甲 79)によれば,被告会社は,対象期間中,「海宝源」との名称の商品を420粒 入,100粒入,480粒入,500粒入,390粒入の各形態で,「マリンプレミアム」との名称の商品を360粒入及び100粒入の各形態で,それぞれ販売していたところ,その販売総数,売上高合計,各商品の平均販売単価及び鮫生肝エキスカプセル1粒(400mg)あたりの平均単価は,それぞれ次のとおりと認められる。 商品名販売数売上高平均単価1粒平均単価海宝源(420粒入)3,54041,058,08011,59827.62海宝源(100粒入) 1,815,8803,42034.20海宝源(480粒入) 441,0757,73816.12海宝源(500粒入) 2,272,00016,00032.00海宝源(390粒入) 278,00010,69227.42マリンプレミアム(360粒入)7,72563,228,1508,18522.74マリンプレミアム(100粒入)1,3594,929,2403,62736.27合計(4,565,300粒)114,022,425 24.98b 本件売 マリンプレミアム(100粒入)1,3594,929,2403,62736.27合計(4,565,300粒)114,022,425 24.98b 本件売上帳と損益計算書上の売上高の乖離についてところで,被告会社は,対象書類(被告会社の平成23年1月から平成26年7月までの売上台帳及び仕入台帳)を当裁判所に提出すべき旨の本件書類提出命令を受け,同命令が確定して提出期限を徒過しており,その後,平成28年12月に至って本件帳簿(本件売上帳及び本件仕入帳)の写しを持参して書証の申出をしたも のである。 しかし,被告会社が既に提出している決算報告書中の損益計算書(乙25の4ないし6)によれば,被告会社の第7期(平成23年2月1日から平成24年1月31日まで),第8期(平成24年2月1日から平成25年1月31日まで)及び第9期(平成25年2月1日から平成26年1月31日まで)の売上高(売上値引戻 り高を控除した額)は,それぞれ5866万1366円,4843万4259円及び4379万3262円であるが,本件売上帳に記載された売上げの合計額は,それぞれ5570万3875円,4239万9963円及び3524万4831円である(原告代理人作成の報告書〔甲81〕参照)。そうすると,第7期ないし第9期の3年間のみをとっても,損益計算書上の売上高(合計1億5088万8887 円)と本件売上帳上の売上高(合計1億3334万8669円)との間には,1754万0218円の差がみられるのであって,被告会社が提出している本件売上帳は,被告会社の売上高の全てを記載していないものというほかない。 そうすると,上記超過分の売上高1754万0218円の中には,「海宝源」及び「マリンプレミアム」の名 告会社が提出している本件売上帳は,被告会社の売上高の全てを記載していないものというほかない。 そうすると,上記超過分の売上高1754万0218円の中には,「海宝源」及び「マリンプレミアム」の名称にて販売した商品の売上高も相応に含まれているも のと推認するのが相当である。そして,その額は,本件売上帳に基づき,被告会社の第7期ないし第9期の合計売上高(1億3334万8669円)中,「海宝源」及び「マリンプレミアム」の各売上高(それぞれ4261万4595円,6340万0890円)が占める割合(それぞれ31.95パーセント,47.54パーセント)をもって,上記1754万0218円に割り付けた額(それぞれ560万4 100円,833万8620円。合計1394万2720円)と認めるのが相当である。 c 小括上記a及びbによれば,被告会社が対象期間中に販売した「海宝源」及び「マリンプレミアム」との名称の商品の売上高は,「海宝源」が5146万9135円, 「マリンプレミアム」が7649万6010円となり,合計1億2796万5145円と認められる。 (ウ) 原告商品の売上高を控除した売上高について上記(イ)の売上高のうち,原告商品(原告が包装に被告各標章を付して被告会社に販売した商品)の販売については,商標権侵害行為を構成しないので,かかる販売 に対応する売上高は,損害額算定の基礎から除外する必要がある。 被告会社が書証として提出した本件仕入帳(乙42,45,48,51,54)及びこれを集計した原告代理人作成の報告書(甲80)によれば,対象期間を通じて,被告会社が原告から仕入れた「海宝源」及び「マリンプレミアム」の総数は,海宝源(420粒入)が1980本,マリンプレミアム(360粒入)が2602 本, (甲80)によれば,対象期間を通じて,被告会社が原告から仕入れた「海宝源」及び「マリンプレミアム」の総数は,海宝源(420粒入)が1980本,マリンプレミアム(360粒入)が2602 本,マリンプレミアム(100粒入)が1098本と認められる。この数値は,原 告の被告会社に対する売掛台帳(甲4の2)の記載とも概ね符合している。 被告会社が,原告商品を幾らで販売していたか,あるいは,原告商品と本件各販売商品(その販売が商標権侵害を構成する商品)とで販売価格に差を付けていたかは,本件帳簿その他の証拠によっても明らかではないので,上記(イ)aに認定した各商品の平均販売単価(海宝源〔420粒入〕につき1万1598円,マリンプレミ アム〔360粒入〕につき8185円,マリンプレミアム〔100粒入〕につき3627円)を用いて計算し,被告会社が対象期間中に販売した原告商品の売上高は,海宝源(420粒入)につき2296万4040円,マリンプレミアム(360粒入)につき2129万7370円,マリンプレミアム(100粒入)につき398万2446円,合計4426万1410円と認めるのが相当である。 そうすると,原告商品の販売に係る売上高を控除した後の被告会社の売上高(商標権侵害行為により得た売上高)は,「海宝源」につき2850万5095円,「マリンプレミアム」につき5121万6194円,合計7972万1289円と認められる。 (エ) 利益の額について 上記売上高に対する被告会社の利益の額について検討するに,被告会社が書証として提出した決算報告書中の損益計算書(乙25の3ないし6)に基づき,対象期間(平成23年1月から平成26年7月まで)を含む第6期ないし第9期(平成23年2月から平成26年1月まで)の売上高(売 として提出した決算報告書中の損益計算書(乙25の3ないし6)に基づき,対象期間(平成23年1月から平成26年7月まで)を含む第6期ないし第9期(平成23年2月から平成26年1月まで)の売上高(売上値引戻り高を控除した額。合計2億2181万5386円)に対する仕入高(1億1109万8553円)を控除 した額(1億1071万6833円)が占める割合(49.9パーセント)を利益率として,上記(ウ)の売上高に乗ずると,被告会社が商標権侵害行為により得た利益の額は,本件商標権1(海宝源)の侵害行為につき1422万4042円,本件商標権2(マリンプレミアム)の侵害行為につき2555万6880円,合計3978万0922円と認められる。 したがって,上記利益の額が,被告会社による商標権侵害行為により原告が受け た損害の額と推定される。 イ推定の覆滅等について被告らは,本件各商標が被告Aの発案に係ることや,原告の出所を表示するものとは認められないことから,相応の寄与度減額がされるべきと主張し,被告会社の営業努力やノウハウ等に照らせば,被告各標章を使用したことが被告会社の利益に 寄与した割合は,5パーセント程度にとどまると主張する。 しかし,商標法38条2項は,商標権侵害行為により侵害者が利益を受けているときは,その利益の額は,商標権者が受けた損害の額と推定すると規定しているのであるから,侵害者において,商標権者が受けた損害の額が上記推定額を下回る旨を主張するのであれば,商標権侵害行為と商標権者の商品の販売減少との相当因果 関係を阻害する事情を具体的に主張,立証すべきところ,被告らは,単に被告会社の営業努力やノウハウ等について言及するにとどまり,これらについて具体的な主張,立証をしない。かえって,前記認定 果 関係を阻害する事情を具体的に主張,立証すべきところ,被告らは,単に被告会社の営業努力やノウハウ等について言及するにとどまり,これらについて具体的な主張,立証をしない。かえって,前記認定事実(1⑽)や前記3⑷及び5⑷のとおり,被告海洋開発が販売していた本件各販売商品は,原告が被告各標章を付して流通においたとはいえない,原告商品に酷似した包装のものであって,従来の原告と被告 会社との取引関係に基づき継続して販売等されてきた原告商品のいわば偽造品ともいうべきものであるから(しかも,原告が製造するものとして厚生労働大臣に届け出ている製造所固有記号まで偽造しているとさえうかがわれるものである。),被告会社は,被告各標章の持つブランド力にただ乗りして利益を得たものというべきである。 したがって,商標ないし標章の寄与率を考慮して損害を減額すべきではなく,被告らの上記主張は採用することができない。 ウ商標法38条1項,3項又は民法709条による逸失利益の損害の主張について原告は,同条1項及び同条3項によっても損害が算定されるべき旨主張するが, 同条項の要件事実を具体的に主張しないから,同主張は失当というほかはない。 また,原告は,商標法38条とは別に,原告の売上高の減少額を基礎として逸失利益の損害額を主張するものの,上記イにおいて検討した商標法38条2項により算定される損害の額を上回るものとは認められない。 エ弁護士費用について弁護士費用としては,本件商標権1の侵害行為につき142万2404円,本件 商標権2の侵害行為につき255万5688円,合計397万8092円を認めるのが相当である。 オ小括以上によれば,被告会社による本件商標権1の侵害行為により原告が受けた損害 ,本件 商標権2の侵害行為につき255万5688円,合計397万8092円を認めるのが相当である。 オ小括以上によれば,被告会社による本件商標権1の侵害行為により原告が受けた損害の額は1564万6446円,本件商標権2の侵害行為により原告が受けた損害の 額は2811万2568円とそれぞれ認められる。 8 争点1-6(被告Aは,被告会社の商標権侵害を原因とする損害賠償債務についても,連帯保証義務を負うか)について原告は,被告Aが,被告会社による商標権侵害による損害賠償債務についても連帯保証義務を負うと主張する。 しかしながら,前記前提事実(第2,2⑵)のとおり,被告Aが連帯保証人として署名した本件契約書には,「A,BおよびCは乙(判決注:被告会社を指す。)の連帯保証人となり,本契約に基づき乙が甲(判決注:原告を指す。)に負担する一切の債務を,5千万円を限度とし,乙と連帯して保証する。」と記載されており,あくまで本件基本契約に基づき被告会社が原告に対して負担する債務を保証すると するにとどまっているのであるから,商標権侵害を原因とする損害賠償債務は,上記保証の範囲に含まれないというほかはない。 原告は,主債務の発生原因を債務不履行と構成するか不法行為と構成するかは,単なる法律論にすぎないとして,不法行為であるとの一事をもって保証債務を免れることが不当であると主張するが,本件契約書上,原告が本件各商標権を保有する ことや被告海洋開発がこれを侵害しない旨は少なくとも明示的に合意されてはいな いのであるから,本件各商標権の侵害による損害賠償請求を債務不履行の構成によっても原因付けられるものとは直ちには認め難く,原告の主張は採用することができない。 9 争点2-1(被告会社は,鮫 いのであるから,本件各商標権の侵害による損害賠償請求を債務不履行の構成によっても原因付けられるものとは直ちには認め難く,原告の主張は採用することができない。 9 争点2-1(被告会社は,鮫肝油を原料とする加工食品を自ら製造し又は原告以外の者から買い受けることにより,本件契約書2条2項の規定に違反したか) について原告は,被告会社が,本件契約書2条2項の規定に反して,鮫肝油を原料とする加工食品を自ら製造し,又は原告以外の者から買い受けて販売していると主張し,また,試供品として必要であるとして原告にPTPシートを提供するよう求め,これを被告各標章が付された包装に梱包して販売する行為も,本件契約書2条2項の 規定に違反すると主張する。 まず,前記認定事実(1⑽)によれば,被告会社は,鮫肝油を原料とする加工食品である本件各販売商品の製造を,原告以外の者に委託して買い受け,これらを販売したことが合理的に推認でき,かかる被告会社の買受け及び販売行為は,本件基本契約書2条2項の規定に反するものである。 次に,原告の売上台帳(甲4の2)及び本件帳簿(乙42ないし56)によれば,被告会社は,原告から代金を支払ってPTPシートを購入し,これを取引先に進呈又は販売していたことが認められる。そうすると,被告会社は,代金を支払ってPTPシートを原告から取得したのであるから,これを無償で取引先に交付するほかに,有償で販売したとしても,本件契約書2条2項の規定には違反しないというべ きであり,ほかに被告会社が本件契約書2条2項の規定に反したことを認めるに足りる的確な証拠はない。 したがって,被告会社の行為のうち,原告以外の者に本件各販売商品の製造を委託してこれを買い受け,販売した行為は,本件契約書2条2項の規定に違反す 定に反したことを認めるに足りる的確な証拠はない。 したがって,被告会社の行為のうち,原告以外の者に本件各販売商品の製造を委託してこれを買い受け,販売した行為は,本件契約書2条2項の規定に違反するものとして,被告会社の債務不履行を構成するというべきである。 10 争点2-2(本件基本契約のうち,本件契約書2条2項の規定は,公序良俗 に反し無効となるか)について被告らは,本件契約書2条2項の規定が,被告会社に原告以外の者からの商品の仕入れを禁ずるものであるところ,被告会社にとって仕入れ先を原告に限定するメリットはなく,本件契約書の他の規定も被告会社を圧倒的に劣位に立たせるものであることからして,被告会社に過大な義務を負わせ,原告が被告会社の利益を一方 的に独占する意図のもとに締結されたとして,公序良俗に反するものとして無効とされるべき旨主張する。 しかしながら,前記認定事実(1⑴ないし⑹)によれば,原告と被告会社との取引関係は,マリンファームを退職することとなった被告Aが,マリンファームの元従業員と共に新たに会社を立ち上げるに際し,マリンファームでの製造実績があり, 同社の退職後も同社との間で商品製造について一定の取引を行っていた原告代表者ないし原告に,新会社が販売する商品の製造を依頼したことが契機となって始まったものであり,本件基本契約が締結された頃には原告と被告会社との取引はすでに1年近く継続されていたものであった。また,原告は,マリンファームから委託を受けて鮫肝油原料の仕入れ及びエキスのカプセル化を行っていたものの,バルク製 造を行っていたことを認めるに足りる証拠はなく,被告会社及びケニングの立ち上げに伴って原告が新たにバルク製造を始めた可能性が相応に認められること,原告と被告会社との っていたものの,バルク製 造を行っていたことを認めるに足りる証拠はなく,被告会社及びケニングの立ち上げに伴って原告が新たにバルク製造を始めた可能性が相応に認められること,原告と被告会社との間では,鮫肝油原料について原告がまずまとまった仕入を行い,その代金は商品の販売実績に応じて,被告会社が分割して原告に支払うものとされ,原告が立て替えて支払っている状況が生じる仕組みとなっていたこと,原告は,被 告会社のために,鮫肝油原料を精製した鮫生肝エキス,バルク製造したカプセル及び梱包した商品を自社で在庫として保管していたことなどの事情もうかがわれる。 これらの事情からすれば,先行して鮫肝油原料を買い付けてきて精製した鮫生肝エキスや,自社の設備を用いてバルク製造したカプセルや梱包した商品を被告会社のために保管する原告にとって,被告会社に原告からの仕入義務を負わせることは, 在庫リスクや先行投資リスクを一方的に負うことを防ぐために重要であるし,他方 で,被告会社にとっても,原告が先行して原料調達や商品化の費用を負担する仕組みを確保することにより,資金繰り上有利に販売用の商品を調達することができるようになるという意味で,メリットがあるものということができる。そうすると,本件契約書2条2項が,被告会社に対し,販売用の商品の仕入先を原告に限定すべき旨規定することもあながち不合理とはいえず,有効期間が3年間と有限であり, 自動更新の定めはあるものの被告会社からの申出による解約が制限されていないことからしても,少なくとも被告会社のみに過大な義務を負わせ,原告がこれにより暴利を得るものということはできない。 被告らは,原告が保管する鮫肝油原料や鮫生肝エキスを,ケニングなど被告会社以外の取引先の商品として転用することもできると 過大な義務を負わせ,原告がこれにより暴利を得るものということはできない。 被告らは,原告が保管する鮫肝油原料や鮫生肝エキスを,ケニングなど被告会社以外の取引先の商品として転用することもできるとするが,鮫肝油原料が必要とな ったときに直ちに調達できるとは限らず,被告会社のために購入したものを他に流用すれば被告会社との関係で債務不履行を問われかねないのであるから,そのような転用可能性を前提として議論することは,不相当である。 したがって,本件契約書2条2項の規定による約定が,公序良俗に反するものとして無効であるとする被告らの主張は,採用することができない。 11 争点2-3(被告会社の債務不履行により原告が受けた損害の額)について⑴ 上記9のとおり,被告会社が原告以外の者に本件各販売商品の製造を委託してこれを買い受け,販売した行為は,本件契約書2条2項の規定に違反する債務不履行行為というべきところ,同債務不履行行為により原告が受けた損害の額について検討する。 ⑵ まず,原告は,原告の平成17年4月から平成22年12月までの被告会社に対する鮫関連製品の平均売上高から,平成23年1月から平成26年7月までの同平均売上高を控除した額が,債務不履行による損害であると主張するが,原告の被告会社に対する売上高の減少が専ら被告会社の債務不履行行為のみを原因とするものとは認め難いので,かかる損害額の算定方法は採用しない。 ⑶ 次に,本件帳簿等に基づいて原告の受けた損害の額を検討する。 ア被告会社が債務不履行行為により得た売上高前記7において認定説示したとおり,被告会社が対象期間中に販売した「海宝源」及び「マリンプレミアム」との名称の商品の売上高は,「海宝源」が5146万9135円,「マリ 不履行行為により得た売上高前記7において認定説示したとおり,被告会社が対象期間中に販売した「海宝源」及び「マリンプレミアム」との名称の商品の売上高は,「海宝源」が5146万9135円,「マリンプレミアム」が7649万6010円となり,合計1億2796万5145円と認められる。また,このうち,原告商品の販売に係る売上高を控 除した後の被告会社の売上高は,「海宝源」につき2850万5095円,「マリンプレミアム」につき5121万6194円,合計7972万1289円と認められる。 もっとも,被告会社は,原告からPTPシートを買い受けて,これを梱包して販売していたとの主張もしているところであって,本件仕入帳(乙42,45,48, 51,54)には原告から多数のPTPシートを購入した記録が残されている一方で,本件売上帳(乙43,44,46,47,49,50,52,53,55,56)及び本件帳簿を分析した原告代理人作成に係る報告書(甲84)によると,原告が自認するだけでも対象期間を通じて2万2452枚のPTPシートが,原告から仕入れられたまま販売も無償譲渡もされないまま被告会社の手元に残っているこ ととなり,原告と被告会社との取引開始時までさかのぼれば相当量のPTPシートが存在していたと推認される。このことに加え,原告関係者が入手した本件販売商品1の中身の写真(甲7の写真㉗)からしても,上記売上高(合計7972万1289円)には,被告会社が原告から買い受けたPTPシートを梱包して販売した売上高も相応に含まれていることが推認でき,その全てを本件基本契約2条2項違反 の債務不履行による損害算定の基礎に用いることはできない。 したがって,本件対象期間の始期である平成23年1月を含む被告会社の第6期におけるPTPシートの の全てを本件基本契約2条2項違反 の債務不履行による損害算定の基礎に用いることはできない。 したがって,本件対象期間の始期である平成23年1月を含む被告会社の第6期におけるPTPシートの仕入数量である4万7082枚と,上記のとおり原告が自認する2万2452枚を合計した6万9534枚のPTPシートに相当する売上高1580万5235円(被告会社が単価8185円で販売していたマリンプレミア ム〔360粒〕に換算して1931本分)を上記売上高(7972万1289円) から控除して,その残額である6391万6054円分が,被告会社の債務不履行行為による売上高として立証されていると認めるのが相当である。 イ被告会社の売上高に対応する原告の売上高証拠(甲4の1,2)によれば,原告は,被告会社が平均単価1万1598円で販売していた海宝源(420粒入)を被告会社に2950円で販売し,被告会社が 平均単価8185円で販売していたマリンプレミアム(360粒入)を2820円で販売していたから,仮に,被告会社が,上記アで認定した被告会社の売上高に相当する商品を原告から仕入れていたとすれば,原告は,同売上高の30パーセント程度の売上げを上げることができたものと認められ,その額は,6391万6054×30パーセント=1917万4816円である。 ウ原告の利益率原告の利益率が33パーセントであることに争いはないから,原告の逸失利益の額は,1917万4816円×33パーセント=632万7689円となる。 エ小括以上により,被告会社の債務不履行行為により原告が受けた逸失利益の損害は, 632万7689円と認められる。 12 争点3-1(原告と被告会社との間に,本件個別契約⑪が締結されたか)について 上により,被告会社の債務不履行行為により原告が受けた逸失利益の損害は, 632万7689円と認められる。 12 争点3-1(原告と被告会社との間に,本件個別契約⑪が締結されたか)について⑴ 原告は,被告会社が,平成21年10月頃,原告に対し,鮫肝油原料4トンを注文したとして(本件個別契約⑪),その残代金として,439万1100円の 債権を有していた旨主張する。 ⑵ 前記認定事実(1⑹,⑺)によれば,被告会社は,平成18年11月頃,手付金210万円を原告に交付して,鮫肝油原料4トンを注文していること,その購入代金は,原告商品の出荷量に応じて,1トン(正確には1020kg)ごとに分割して支払っていたこと,原告が平成22年3月に鮫肝油原料4080kgを輸入 したこと,被告会社は,鮫肝油原料の購入代金として,同年5月に535万500 0円(1020kg分,消費税込)を支払い,同年11月に921万0600円(2040kg分,消費税込)の請求を受けた際も,最終的にはこれを分割して支払っていること,被告会社は,平成23年1月には,原告に交付していた上記手付金210万円を含む410万円について,原告の被告会社に対する売掛金に充当して欲しいと述べたものの,その後,分割して410万円分の売掛金を支払っており,平 成18年11月に注文した鮫肝油原料4トン分の支払を全て終えているにもかかわらず被告会社が原告に対して鮫肝油原料4トン分の手付金に相当する210万円を交付している形となっていたことなどの事実が認められる。 そうすると,被告会社は,原告が輸入した鮫肝油原料について,その購入代金を原告に支払う義務を負っていたことについては特段争わず,基本的には原告の請求 に応じてこれを分割して支払い続けてきたのであって ると,被告会社は,原告が輸入した鮫肝油原料について,その購入代金を原告に支払う義務を負っていたことについては特段争わず,基本的には原告の請求 に応じてこれを分割して支払い続けてきたのであって,4トン分の手付金に相当する210万円が原告の手元に残る形を維持していたことからすれば,原告が4080kgの鮫肝油原料を輸入した平成22年3月に先立ち,被告会社は,原告に対し,鮫肝油原料4トン(その後原告が現実に輸入した鮫肝油原料の量は4080kgであるが,被告会社は,平成18年11月に手付金を交付して始まった取引において も,4080kgの鮫肝油原料の代金を現実に支払っていることからすれば,当事者の合理的意思として,80kg上回る程度であれば,原告が現実に輸入した原料の量に相当する購入代金を支払う旨が合意されていたとみるのが相当である。)を注文したものと推認できる。そして,その代金額については,被告会社が,平成23年5月に単価5250円(消費税込),同年11月に単価4515円(消費税込) の各計算による鮫肝油原料の購入代金を支払っていることからすれば,少なくとも原告が請求する単価4305円(消費税込)によることについては,原告と被告会社との間で意思の合致があったとみるのが相当である。 ⑶ 以上によれば,原告は,遅くとも平成26年6月3日までには,本件個別契約⑪に基づき,鮫肝油原料の代金として,439万1100円(消費税込)の債権 を有していたということができる。 そして,証拠(甲6)によれば,原告は,平成26年6月3日付け書面により,被告会社に対し,被告Aないし被告会社から交付を受けていた410万円について,これを本件個別契約⑪の売掛金債権(439万1100円)に充当する旨通知したことが認められる。ここで, 日付け書面により,被告会社に対し,被告Aないし被告会社から交付を受けていた410万円について,これを本件個別契約⑪の売掛金債権(439万1100円)に充当する旨通知したことが認められる。ここで,手付金210万円はもともと最終的には鮫肝油原料の購入代金に充当されるべきものであるし(本件契約書5条1項参照),保証金20 0万円の性質は,原告が被告会社に対して有することとなる金銭債権の支払を担保する目的で徴求しているものと認められるから,原告による上記410万円の売掛金債権への充当は有効である。 したがって,上記通知により,本件個別契約⑪に基づく売掛金債権の残高は,29万1100円となったと認められる。 13 争点3-2(一部解除の抗弁,同時履行の抗弁及び相殺の抗弁の成否)について⑴ 相殺の意思表示③による相殺(預け金返還請求権の一部との相殺)について証拠(甲32)によれば,被告会社は,平成26年3月28日,被告Aないし被告会社が原告に交付していた合計410万円につき,その返還請求権を自働債権と し,本件個別契約①ないし同⑩に基づく原告の売掛金債権(その残高が281万4921円であることについて,当事者間に争いはない。)を受動債権として,その対等額で相殺する旨の意思表示(相殺の意思表示③)をした。 しかしながら,前記認定事実(1⑵,⑹)のとおり,410万円のうち被告Aが交付した200万円は保証金の趣旨で,被告会社が交付した210万円は鮫肝油原 料の手付金の趣旨で,それぞれ原告に交付されたものであって,被告会社が任意にいつでもその返還を求めることができる性質のものとは認められないから,上記相殺の意思表示③によっても,本件個別契約①ないし同⑩に基づく原告の売掛金債権281万4921円が相殺によって消滅 社が任意にいつでもその返還を求めることができる性質のものとは認められないから,上記相殺の意思表示③によっても,本件個別契約①ないし同⑩に基づく原告の売掛金債権281万4921円が相殺によって消滅することはない。 したがって,相殺の意思表示③による相殺の抗弁は成り立たない。 ⑵ 本件個別契約⑧の一部解除の抗弁について 被告会社は,平成27年12月21日の本件第7回弁論準備手続において,原告に対し,本件個別契約⑧のうち「海宝源」(パック,380粒入)300袋を目的とする部分につき,原告の債務不履行を原因として解除する旨の意思表示をした。 しかしながら,前記⑴のとおり,被告会社が平成26年3月28日にした相殺の意思表示③によっては,本件個別契約①ないし同⑩に基づく売掛金債権は消滅しな いから,被告会社は,本件個別契約⑧に基づく代金の支払を提供していないというべきである。 したがって,上記解除の意思表示によっては,本件個別契約⑧のうち「海宝源」(パック,380粒入)300袋を目的とする部分が解除されたということはできず,一部解除の抗弁は成り立たない。 ⑶ 同時履行の抗弁について被告会社は,本件個別契約⑧のうち「海宝源」(パック,380粒入)300袋を目的とする部分について,原告がこれを引き渡すまで,その代金の支払を拒絶する旨の権利行使をしているから(同時履行の抗弁),同部分については,原告が「海宝源」(パック,380粒入)を被告会社に交付するのと引替えに,同部分の代金 に相当する90万4050円(消費税込)を支払うべき旨の引替給付判決をすべきである。 この点について,原告は,原告としては被告会社から商品化の注文を受けて商品化し,保管した段階で,既に個別契約においてすべき債務を終えて 円(消費税込)を支払うべき旨の引替給付判決をすべきである。 この点について,原告は,原告としては被告会社から商品化の注文を受けて商品化し,保管した段階で,既に個別契約においてすべき債務を終えているから,債務の履行を完了し,又は履行の提供を継続していると主張するが,前記認定事実(1 ⑶,⑼)のとおり,原告と被告会社との取引関係は,原告が発送依頼書を被告会社から受領して,原告商品を被告会社が指示する送付先に直接発送するところまでをもって完了するものであるところ,原告は,被告会社が上記「海宝源」(パック,380粒入)を特定の送付先に送付するよう求めてもこれを発送しないのであるから,債務の履行が完了しているとみることはできず,履行の提供が継続していると みることもできない。原告の主張は採用することができない。 14 争点2-4(相殺の抗弁の成否)について⑴ 本件個別契約⑧の一部解除により既払金返還請求権との相殺について被告会社は,平成27年12月21日の本件第7回弁論準備手続期日において,原告に対し,本件個別契約⑧のうち「海宝源」(パック,380粒入)300袋を目的とする部分を原告の債務不履行を原因として解除する旨の意思表示をするとと もに,同解除により被告会社が原告に対して取得した不当利得による既払金返還請求権90万4050円(消費税込)及びこれに対する平成26年3月28日(相殺適状となった日)から支払済みまでの年6分の割合による利息請求権を自働債権とし,原告が本訴訟で請求する債務不履行による損害賠償請求権を受働債権として,その対当額で相殺する旨の意思表示(相殺の意思表示①)をした。 しかしながら,前記13⑵において認定説示したとおり,上記解除の意思表示により本件個別契約⑧の一部が解除され 受働債権として,その対当額で相殺する旨の意思表示(相殺の意思表示①)をした。 しかしながら,前記13⑵において認定説示したとおり,上記解除の意思表示により本件個別契約⑧の一部が解除されたということはできないから,相殺の意思表示①による相殺の抗弁は,その前提を欠くものであって,成り立たない。 ⑵ 預け金返還請求権の一部との相殺について被告会社は,平成27年12月21日の本件第7回弁論準備手続期日において, 被告Aないし被告会社が原告に交付していた合計410万円につき,その返還請求権の一部(前記13⑴の相殺の意思表示③に供されなかった128万5079円)を自働債権とし,原告が本訴訟で請求する債務不履行による損害賠償請求権を受働債権として,その対当額で相殺する旨の意思表示(相殺の意思表示②)をした。 しかしながら,前記12⑶において認定説示したとおり,原告が被告Aないし被告 会社から交付を受けていた410万円は,原告が平成26年6月3日付け書面によりした充当通知により,本件個別契約⑪に基づく売掛金に充当されている上,前記13⑴において認定説示したとおり,上記410万円は,いずれも被告会社が任意にいつでもその返還を求めることができる性質のものとは認められないから,相殺の意思表示②によっても,原告の被告会社に対する損害賠償請求権が相殺によって一 部消滅することはない。 したがって,相殺の意思表示②による相殺の抗弁は成り立たない。 15 被告会社及び被告Aの主張の却下について被告海洋開発及び被告Aは,本件の原告代表者及び被告会社代表者(被告A)の尋問後の平成29年2月7日に,要旨,原告は被告会社が原告商品とは別にPTPシートを独自に梱包して販売することを承諾していた旨の新たな主張(以下「新 は,本件の原告代表者及び被告会社代表者(被告A)の尋問後の平成29年2月7日に,要旨,原告は被告会社が原告商品とは別にPTPシートを独自に梱包して販売することを承諾していた旨の新たな主張(以下「新主 張」という。)が記載された第8準備書面を提出し,また,乙57号証ないし第65号証の写しを送付して書証の申出をした。 しかし,本件の審理の過程において,被告会社及び被告Aを含む全当事者は,平成28年10月24日の本件第13回弁論準備手続期日において,人証に係る事項その他一定の例外を除いて主張立証が完結した旨を確認しており,これを前提に同 年12月12日の本件第2回口頭弁論期日において,上記尋問が実施されているところである。そして,新主張の当否を審理するとなれば,その性質上,再度原告代表者,被告会社代表者及び関連する証人の尋問を実施しなくてはならないことが明らかであるから,新主張は,訴訟の完結を遅延させる時機に後れた攻撃防御方法というほかない。 また,被告会社及び被告Aは,新主張の提出が時機に後れた理由として,以前から代理人弁護士に話をしていたが,同代理人の判断により提出されなかった旨主張するものの,被告会社及び被告Aの代理人は平成28年7月に辞任しており,その後被告Aが自ら弁論準備手続に3回出頭していることからすれば,新主張が平成29年2月まで提出できなかったことの理由としては成り立たないというべきであり, 被告会社及び被告Aは,新主張の提出が時機に後れたことについて重大な過失があるというべきである。 以上のとおりであるから,被告会社及び被告Aの新主張は,民訴法157条1項により却下する。 16 結論 以上によれば,原告の請求については,次のとおりとなる。 ⑴ 本件各商標権に基づ であるから,被告会社及び被告Aの新主張は,民訴法157条1項により却下する。 16 結論 以上によれば,原告の請求については,次のとおりとなる。 ⑴ 本件各商標権に基づき,被告会社に対して侵害行為の差止め及び加工食品等の廃棄を求める請求は,鮫を主原料とした加工食品の包装に被告各標章を付する行為並びに被告会社が製造し,被告各標章を包装に付した鮫を主原料とした加工食品の販売及び販売のための展示の差止め,また,被告会社が製造し,占有する被告各標章を付した包装の廃棄を求める限度で理由があり(主文1項,2項。前記6参照), その余は理由がない。 ⑵ 本件各商標権の侵害に基づき,被告らに対して連帯して損害賠償金2812万7574円及び年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求のうち被告会社に対するものは,全て理由があるというべきであるが(前記7参照),他方で,原告は,被告会社に対する商標権侵害による損害賠償請求と債務不履行による損害 賠償請求とを重複する限りにおいて選択的に請求しており,後者の請求における遅延損害金の方が利率が高いことに鑑みると,元本については,後者の請求につき認容すべき632万7689円(後記⑷参照)を控除した2179万9885円及びこれに対する平成26年10月1日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を支払うよう求める限度で認容すべきであり(主文第3項),被告Aに対する請 求には理由がない。 なお,原告は,本件各商標権の侵害による総額を3859万0802円と主張し,その内訳を逸失利益3608万5759円,弁護士費用250万5043円と主張するが,本件商標権1の侵害による損害額と本件商標権2の侵害による損害額,あるいは一部請求額における上記各損害額の内訳を主張していない 逸失利益3608万5759円,弁護士費用250万5043円と主張するが,本件商標権1の侵害による損害額と本件商標権2の侵害による損害額,あるいは一部請求額における上記各損害額の内訳を主張していない。この点について は,裁判所の認定した損害額をもって案分して請求しているものと解する。よって,上記認容額元本2179万9885円のうち,本件商標権1の侵害による認容額が779万4753円(損害総額は,前記7⑵オのとおり1564万6446円),本件商標権2の侵害による認容額が1400万5132円(損害総額は,前記7⑵オのとおり2811万2568円)となる。 ⑶ 本件個別契約①ないし同⑪及び連帯保証契約に基づき,被告らに対し連帯し て売掛金310万6021円及び遅延損害金の支払を求める請求は,被告らに対し,連帯して220万1971円(本件個別契約⑪に基づく売掛金439万1100円から前記12⑶のとおり弁済に充当された410万円を控除した29万1100円と,本件個別契約①ないし同⑩に基づく売掛金残金281万4921円から同時履行に係る90万4050円を控除した191万0871円との合計額)及びこれに対す る平成26年10月1日から支払済みまで年6分の割合による遅延損害金の支払を求め(主文3項,4項),また,被告会社が「海宝源」(パック,360粒入)300袋の交付を受けるのと引替えに,被告らに対して連帯して90万4050円の支払を求める(主文5項)限度において理由があり,その余は理由がない。 ⑷ 本件基本書2条2項違反の債務不履行及び連帯保証契約に基づき,被告らに 対し連帯して損害賠償金2812万7574円及び年6分の割合による遅延損害金の支払を求める請求は,被告らに対し,632万7689円及びこれに対する平成 行及び連帯保証契約に基づき,被告らに 対し連帯して損害賠償金2812万7574円及び年6分の割合による遅延損害金の支払を求める請求は,被告らに対し,632万7689円及びこれに対する平成26年10月1日から支払済みまで年6分の割合による遅延損害金を支払うよう求める限度で理由があり(主文第4項),その余は理由がない。 なお,原告は,被告会社に対する債務不履行による損害賠償請求と商標権侵害に よる損害賠償請求とを重複する限りにおいて選択的に請求するところ,前記7及び11によれば,認容し得る元本については商標権侵害による損害賠償額(2812万7574円)の方が債務不履行による損害賠償額(632万7689円)よりも多額であるものの,遅延損害金については商標権侵害による損害賠償請求よりも債務不履行による損害賠償請求の方が利率が高いことから,前者については前記⑵の限 度でこれを認容し,後者については上記の限度でこれを認容すべきである。 よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 嶋末和秀 裁判官 伊藤清隆 裁判官 天野研司 (別紙1)被告標章目録 司 (別紙1)被告標章目録

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