昭和30(う)1220 業務上過失致死被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和30年11月7日 福岡高等裁判所 破棄自判
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      被告人は無罪          理    由  弁護人江頭鉄太郎の控訴趣意は記録に編綴さ心ている同弁護人提出の控訴趣意書 記載のとおりであるからこ

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判決文本文3,454 文字)

主文 原判決を破棄する。 被告人は無罪 理由 弁護人江頭鉄太郎の控訴趣意は記録に編綴さ心ている同弁護人提出の控訴趣意書記載のとおりであるからこれを引川する。 同控訴趣意について原判決引用の証拠を綜合すれば原判示事実中、被告人は判示会社の貨物自動車運転者であり、昭和二十九年九月一日鮮魚類数百貫を積載せる判示貨物自動車を運転して福岡市より八女市に向う途中同日午前七時二十分頃時速約四十粁の速力で判示地点にさしかかつたとき前方約百二十米の地点を被告人に対向して来る大型貨物積載の自動三輪車を認めた、との事実並びに被告人が判示地点でA(当時六十才)を発見し急遽ハンドルを左に切り急停車の措置を講じたが及ばず自己の運転する車と右Aの乗車する自転車と接触せしめ同人を道路上に転倒轢死せしめた事実を夫々認定し得るのである。 そこで本件事故発生が原判示の如く被告人の業務上の注意義務懈怠による過失に基くものか否かの点を検討して見るに、本件記録及び原裁判所の取調べた証拠並びに当裁判所の為した検証の結果を綜合すると、本件事故発生現場は鹿児島本線原田駅より基山駅間を同線に略々平行して走る福岡市方面から久留米市佐賀市方面に至る国道二号線佐賀県三養基郡a町大字b字cの勾配なき直線道路上であつて、幅員八米七〇糎、道路の両側は田地で、見通しにつき何等の障害物も存在しないことが明白である。されば被告人の運転する貨物自動車上から原判示の自動三輪車を相当の距離から望見し得るは勿論、本件自転車が本件公訴事実記載の如く二米程の間隔を保つて右三輪車に追尾して来たとすれば、仮令右三輪車上に原判示の如き積荷があり、又道路上に砂塵が舞上がつていたとしてもこれを望見するに容易であることが認定できる。しかして一方前記証拠によれば、前記自 保つて右三輪車に追尾して来たとすれば、仮令右三輪車上に原判示の如き積荷があり、又道路上に砂塵が舞上がつていたとしてもこれを望見するに容易であることが認定できる。しかして一方前記証拠によれば、前記自動三輪車の積荷が地上より約二米に達していたこと及び被害者がその乗用自転車の方向転換をするに際り、自己の後方のみを注意しつつ突如被告人の運転する自動車の前面に進出した事実、並びに被告人が右三輪車を遠方より望見しながら被害者の乗用する自転車については、事故発生直前に至り漸くこれを発見した事実が明らかであり、又右三輪車の後部に近接して被害者が自転車に乗つて追尾したとすれば、自動三輪車の車体及積荷により視界を遮られて、被告人が其の運転する貨物自動車上より右自動車を望見することは不可能であると共に被害者が其の乗用する自転車上より被告人の運転する貨物自動車を望見し得ないこと及び本件事故発企現場附近一帯の路面は事故発生当時石塊等の存在(現雀も変化なし)の為三輪車の如き小型のものは遅速度に非ざれば進行に危険を伴い、其の速度は自動車によつてもこれを容易に追い抜き得る程度を出でないことは、当裁判所のなした検証の結果に徴し明白な事実である。以上の認定事実を綜合すれば被害者は事故発生前、本件三輪車の後部車体に近接してこれに追尾し、該三輪車の轟音の為被告人の運転する自動車の轟音は打消され、同自動車の進行し来ることは全く気付かず只自己に後続するものの有無にのみ気を取られ、前方に対する注意を懈怠し、突然被告人の運転する自動車の進行方向に其の乗用自転車のハンドルを転換した為本件事故を惹起し、自から求めて死地に赴いたものと認めざるを得ない。次に被告人が事故発生現場附近において警笛を吹鳴せず、又前記三輪車とすれちがい被害者を発見するまでその運転する自動車の従前の速度を維持し< を惹起し、自から求めて死地に赴いたものと認めざるを得ない。次に被告人が事故発生現場附近において警笛を吹鳴せず、又前記三輪車とすれちがい被害者を発見するまでその運転する自動車の従前の速度を維持し<要旨>ていたことは、いずれも原判決引用の証拠に照し明白であるけれども、上叙の如く本件事故発生現場附近は全</要旨>く障害物が存在しない直線の対面交通の容易な道路であつて、相当の距離からの見通しが十分であり、被告人が本件事故発生前には本件三輪車以外車は勿論人影すらこれを認めなかつたことが記録上明白な以上、特に警笛を吹鳴し速度を減ずるの必要はない。被告人の運転する自動車上から本件三輪車に追尾する被害者乗用自転車を本件事故発生直前迄全然望見し得なかつたことが客観的に認められる本件においては、被告人が該三輪車に追尾するものの有無やその進行方向の転換等につき細心注意するが如きことは、通常自動車運転者の遵守し得る注意義務の範囲を逸脱し、極めて高度の注意義務を要求するものと謂うべきてある。しかも被告人がその運転する自動車の進行方向に突然現われた被害者乗用自転車を認めるや急遽その運転自動車停車の措置を取つた事実は記録に明白であるから、本件事故は結局不可抗力に基き発生したものであつて、被告人の自動車運転者としての業務上注意義務懈怠に基く過失によるとは認められない。記録を精査するも右認定事実を左右するに足る資料はない。従つて被告人に右の注意義務懈怠ありとして、被告人を業務上過失致死罪に問擬した原判決には所論のとおりの違法があり、原判決は刑事訴訟法第三百九十七条により破棄を免かれない。論旨は理由がある。 そして当裁判所は本件記録及び原審及び当審において取凋べた証拠によつて、直ちに判決をすることかできるものと認められるので、原判決を破棄した上、刑事訴訟法第四百条但 免かれない。論旨は理由がある。 そして当裁判所は本件記録及び原審及び当審において取凋べた証拠によつて、直ちに判決をすることかできるものと認められるので、原判決を破棄した上、刑事訴訟法第四百条但書に従い更に判決をすることとする。 本件公訴事実は被告人は福岡市d町所在のB株式会社に雇われ、貨物自動車の運転業務に従事していた者であるが、昭和二十几年九月一日午前六時二十分頃五四年式トヨダ普通貨物自動車福第一―七二五九号に鮮魚類約四百二十貫を積載し、之を運転して福岡市eC市場より八女市に向う途中同日午前七時二十分頃佐賀県三養基郡a町大字b字c地内国道二号線を時速約四十粁で南進し、同所附近のDE作業所入口へ通ずる道路上の交叉点の手前数米の地点に差し掛つた際、前方約十米の地点を被告人と対向して来る自動三輪車を認めたのであるが、同地点の被告人の運転する車の前方数米の所には東(左)へDへ通ずる巾員二・五米の道路があり、且右三輪車には大型貨物を積載して居り、且又砂塵をあげて走っていてその後方より追尾して来るものの有無並に三輪車後方よりDへの道路へ曲り込もうとする者の有無を充分確かめることが困難な状況にあつたのであるが、斯る際には運転者としては右三輪車の後方を追尾して来る者の有無等につき細心の注意を払い、予め警笛を吹鳴してその注意を喚起せしめその安全を確認し、緩急に応じて、随時危険を末然に防止し得らるる様減速避譲する等の措置を講じて進行すべき業務上の注意義務があるのに拘らず、被告人は之が注意を怠り、右三輪車の後方より追尾して来る者はないと軽信し警笛も吹鳴せず、従前の速度の儘慢然と進行して右三輪車と離合通過した結果、右三輪車の後方約二米を自転車にて追尾して来て、前記Dへの道路に入らんとして被告人の進路前方を斜に横断して来たA(当六十一年)の発見が遅れ、之 従前の速度の儘慢然と進行して右三輪車と離合通過した結果、右三輪車の後方約二米を自転車にて追尾して来て、前記Dへの道路に入らんとして被告人の進路前方を斜に横断して来たA(当六十一年)の発見が遅れ、之に僅かに約二米位近接して初めて之を発見し急遽ハンドルを左に切つて之を避けようとしたが及ばず、遂に自己の運転する車の右前輪にAの乗車する自転車前輪を接触させて同人を路上に転倒させた上、右後輪を以て転倒した同人の頭胸部を轢いて、同人を頭蓋骨粉砕等に依り即死死亡するに至らしめたものであると謂うのであるが、上叙の理由により被告人に業務上過失のあつた点の証明がないので、刑事訴訟法第三百三十六条により被告人に対し、無罪の言渡をなすべきものである。 よつて主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官柳田躬則裁判官青木亮忠裁判官鈴木進)

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