主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1 請求 原子力規制委員会は,参加人に対し,高浜原子力発電所3号機及び4号機について,核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第43条の3の8第1項に基づく設置変更許可処分によって同各発電用原子炉施設の位置,構造及び設備が発電用原子炉による災害の防止上支障がないものとして原子力規制委員会規則で定める基準に適合するものであることが認められ,同法第4 3条の3の9第1項に基づく設計工事計画認可処分によって同各発電用原子炉施設が原子力規制委員会規則で定める技術上の基準に適合するものであることが認められ,同法第43条の3の24第1項に基づく保安規定変更認可処分によって保安規定が発電用原子炉による災害の防止上十分でないものであるとは認められず,同法第43条の3の11第3項に基づく使用前事業者検査につい ての原子力規制検査によって同各発電用原子炉施設が原子力規制委員会規則で定める技術上の基準に適合するものであることについての確認がされるまでの間,同法第43条の3の23第1項に基づき,同各発電用原子炉施設の使用を停止すべきことを命ぜよ。 第2 事案の概要 本件は,原子力規制委員会が,令和元年6月19日,参加人の設置,運転する高浜原子力発電所3号機及び4号機(以下「本件各原子炉」という。)について,その運用期間中に想定し得る大山の噴火の噴出規模を増大する見直し(5k㎥から11k㎥程度)を行い,参加人に対し,核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下「炉規法」という。)43条の3の23第1項 の規定に基づき,本件各原子炉及びその附属施設(以下「本件各原子炉施設」 人に対し,核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下「炉規法」という。)43条の3の23第1項 の規定に基づき,本件各原子炉及びその附属施設(以下「本件各原子炉施設」 という。)の位置,構造及び設備が発電用原子炉による災害の防止上支障がないものとして原子力規制委員会規則で定める基準に適合するよう同法43条の3の8第1項の設置変更許可に係る申請をすることを命ずるバックフィット命令(以下「本件バックフィット命令」という。)を発出したところ,本件各原子炉施設の敷地から一定の距離に居住する原告らが,上記の噴出規模の見直しのよ うな従来の想定を大きく上回る規模の自然災害が想定される場合には,原則として本件各原子炉施設の使用停止を命ずべきであり,また,上記の見直しがされた噴出規模を前提とすれば,本件各原子炉施設は安全性が欠如しているから,原子力規制委員会(処分行政庁)は,参加人に対し,同法43条の3の8第1項に基づく設置変更許可処分,同法43条の3の9第1項に基づく設計工事計 画認可処分,同法43条の3の24第1項に基づく保安規定変更認可処分及び同法43条の3の11第3項に基づく使用前事業者検査がされるまでの間,同法43条の3の23第1項に基づき,本件各原子炉施設の使用停止を命ずべきである(以下,これを「本件各処分」という。)として,原子力規制委員会の所属する被告を相手方として,行政事件訴訟法3条6項1号所定の非申請型義務 付けの訴えとして,本件各処分の義務付けを求める事案である。 1 関係法令等の定め関係法令等の定めは,別紙「関係法令等の定め」に記載したとおりであるが,主たる関係法令の定めの概要は,以下のとおりである。なお,同別紙中で定義した略語等は,以下の本文においても用いるものとする。 関係法令等の定めは,別紙「関係法令等の定め」に記載したとおりであるが,主たる関係法令の定めの概要は,以下のとおりである。なお,同別紙中で定義した略語等は,以下の本文においても用いるものとする。 ⑴ 炉規法は,①発電用原子炉の設置許可につき,原子力規制委員会は,同法43条の3の6第1項各号に適合していると認めるときでなければ発電用原子炉の設置許可をしてはならないと規定し(同項),同項4号は,発電用原子炉施設 (発電用原子炉及びその附属施設。以下同じ。)の位置,構造及び設備が核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉に よる災害の防止上支障がないものとして原子力規制委員会規則で定める基準 に適合するものであることを掲げ,同号の委任を受けて定められた設置許可基準規則6条1項は,安全施設(発電用原子炉施設のうち,運転時の異常な過渡変化又は設計基準事故の発生を防止し,又はこれらの拡大を防止するために必要となる設計基準対象施設のうち,安全機能を有するもの)について,想定される自然現象が発生した場合においても安全機能を損なわないもので なければならないと規定し,同法43条の3の8第2項は設置変更許可の場合も設置許可の規定を準用するものと規定する。また,②同法43条の3の9第1項は,発電用原子炉施設の設計及び工事に関し,発電用原子炉施設の設置又は変更の工事をしようとする発電用原子炉設置者は,工事に着手する前に,その設計及び工事の方法その他の工事の計画について原子力規制委員 会の認可を受けなければならないと規定し,同条3項は,その認可の要件として,2号において発電用原子炉施設が同法43条の3の14の技術上の基準に適合するものであることを掲げ,同条は,発電用原子炉設置者は,発電用原子炉施設 ならないと規定し,同条3項は,その認可の要件として,2号において発電用原子炉施設が同法43条の3の14の技術上の基準に適合するものであることを掲げ,同条は,発電用原子炉設置者は,発電用原子炉施設を原子力規制委員会規則で定める技術上の基準に適合するように維持しなければならないと規定し,同条の委任を受けて定められた技術基 準規則7条1項は,設計基準対象施設が想定される自然現象によりその安全性を損なうおそれがある場合は,防護措置,基礎地盤の改良その他の適切な措置を講じなければならないと規定する。さらに,③同法43条の3の22第1項は,発電用原子炉施設の保全及び発電用原子炉の運転等に関し,発電用原子炉設置者は,原子力規制委員会規則で定めるところにより,保安のた めに必要な措置(重大事故が生じた場合における措置に関する事項を含む。)を講じなければならないと規定し,同項の委任を受けて定められた実用炉規則83条1項は,発電用原子炉設置者は,設計想定事象,重大事故等又は大規模損壊に関して,設置(変更)許可を受けたところにより,次に掲げる発電用原子炉施設の保全に関する措置を講じなければならないと規定し,同項 1号において,次に掲げる事象の区分に応じてそれぞれ次に定める事項を含 む発電用原子炉施設の必要な機能を維持するための活動に関する計画を定めるとともに,当該計画の実行に必要な要員を配置し,当該計画に従って必要な活動を行わせることとし,同号ロにおいて,火山現象による影響を掲げている。 ⑵ 炉規法43条の3の23第1項は,いわゆるバックフィット命令として, 既に設置許可等を受けた発電用原子炉施設に関し,原子力規制委員会は,発電用原子炉施設の位置,構造若しくは設備が同法43条の3の6第1項4号の基準に適合していないと るバックフィット命令として, 既に設置許可等を受けた発電用原子炉施設に関し,原子力規制委員会は,発電用原子炉施設の位置,構造若しくは設備が同法43条の3の6第1項4号の基準に適合していないと認めるとき,発電用原子炉施設が同法43条の3の14の技術上の基準に適合していないと認めるとき,又は発電用原子炉施設の保全,発電用原子炉の運転若しくは核燃料物質若しくは核燃料物質によ って汚染された物の運搬,貯蔵若しくは廃棄に関する措置が同法43条の3の22第1項の規定に基づく原子力規制委員会規則の規定に違反していると認めるときは,その発電用原子炉設置者に対し,当該発電用原子炉施設の使用の停止,改造,修理又は移転,発電用原子炉の運転の方法の指定その他保安のために必要な措置を命ずることができると規定している。 2 前提事実等(争いのない事実及び証拠(枝番のあるものは明記しない限り各枝番を含む。以下同じ。)等により容易に認められる事実)⑴ 当事者等ア原告らは,本件各原子炉施設の敷地から半径約3kmから半径約140kmまでの距離に居住する者である。(弁論の全趣旨) イ原子力規制委員会は,国家行政組織法3条2項に基づき,環境省の外局として設立された独立行政委員会である(原子力規制委員会設置法2条)。 ウ参加人は,本件各原子炉を設置,運転している者である。 ⑵ 本件各原子炉の概要及び仕組みア高浜原子力発電所3号機の概要 型式加圧水型軽水炉(PWR) 電気出力 87.0万kW(キロワット)燃料種別低濃縮(初装荷2.6%/平衡4.1%)二酸化ウラン燃料装荷量約72t営業運転開始昭和60年1月17日イ高浜原子力発電所4号機の概要 型式加圧水型軽水炉(PWR) 種別低濃縮(初装荷2.6%/平衡4.1%)二酸化ウラン燃料装荷量約72t営業運転開始昭和60年1月17日イ高浜原子力発電所4号機の概要 型式加圧水型軽水炉(PWR)電気出力 87.0万kW燃料種別低濃縮(初装荷2.6%/平衡4.1%)二酸化ウラン燃料装荷量約72t営業運転開始昭和60年6月5日 ウ加圧水型軽水炉(PWR)の仕組み等加圧水型軽水炉(PWR)は,原子炉圧力容器内の炉心(核燃料)で非沸騰の高温高圧水(約325℃,15.4MPa)を作り,これを蒸気発生器(SG)に導き,蒸気発生器の中で伝熱管の一次系(内側)から二次系(外側)に熱を伝えて二次側に蒸気(約277℃,6.0MPa)を発 生させ,この蒸気をタービン発電機に送って発電する仕組みの炉である。 加圧水型軽水炉(PWR)は,蒸気発生器の伝熱管の内側と外側で放射性物質を含む一次系(原子炉冷却系)と放射性物質を含まない二次系(主蒸気・タービン系)とが隔離されており,二次系機器では運転・保守上の放射線防護対策を必要としない点に特徴がある。なお,加圧水型軽水炉(P WR)の制御棒駆動装置は原子炉容器上部に取り付けられている。 ⑶ バックフィット制度の導入平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う東京電力株式会社(現会社名は東京電力ホールディングス株式会社。以下「東京電力」という。)福島第一原子力発電所の事故(以下「福島第一原発事故」という。) の後,平成24年法律第47号により炉規法等が改正され(以下,同改正を 「平成24年改正」といい,同改正前の炉規法を「平成24年改正前炉規法」という。),前記1(関係法令等の定め)⑵のとおり,原子力規制委員会において,既に設置許可 正され(以下,同改正を 「平成24年改正」といい,同改正前の炉規法を「平成24年改正前炉規法」という。),前記1(関係法令等の定め)⑵のとおり,原子力規制委員会において,既に設置許可等を受けている発電用原子炉施設につき,①発電用原子炉施設の位置,構造及び設備に係る設置(変更)許可基準(以下,単に「許可基準」ともいう。)に適合しないと認めるとき,②技術上の基準に適合しな いと認めるとき,③原子炉施設の保安のために必要な措置として定められた原子力規制委員会規則(実用炉規則)の規定に違反していると認めるときは,当該不適合等の状態を解消するために,発電用原子炉施設の使用の停止,改造,修理又は移転,発電用原子炉の運転の方法の指定その他保安のために必要な措置を命ずるバックフィット命令を発出することを可能とする炉規法4 3条の3の23第1項の規定が設けられた。 ⑷ 火山に関する具体的審査基準等の定め原子力規制委員会は,炉規法の委任を受けて定めた原子力規制委員会規則に関して,行政手続法上の審査基準(同法2条8号ロ)である原子力規制委員会規則解釈を定めているところ,①設置許可基準規則に関する解釈である 設置許可基準規則解釈6条2項は,同規則6条1項に規定する「想定される自然現象」とは,敷地の自然環境を基に,火山の影響から適用されるものいうと定めており,②技術基準規則に関する解釈である技術基準規則解釈7条1項も,同規則7条1項に規定する「想定される自然現象」には火山事象を含むと定めている。また,③実用炉規則83条1項1号ロは,設計想定事象 等に関し,火山現象による影響について,発電用原子炉施設の保全に関する措置を講じなければならないとしている。 そして,原子力規制委員会は,発電用原子炉施設の安全性審査として,火 設計想定事象 等に関し,火山現象による影響について,発電用原子炉施設の保全に関する措置を講じなければならないとしている。 そして,原子力規制委員会は,発電用原子炉施設の安全性審査として,火山の影響により原子炉施設の安全性を損なうことのない設計であることの評価方法の一例であり,火山影響評価の妥当性を審査官が判断する際に参考と するものとして,「原子力発電所の火山影響評価ガイド」(平成25年6月1 9日制定,原規技発第13061910号)(以下,改正の前後を通じて「火山ガイド」という。)を制定し,後記第3の1⑸のとおり,原子力発電所に影響を及ぼし得る火山の影響評価について定めている。 ⑸ 参加人に対するバックフィット命令に至る経緯ア参加人は,平成25年7月8日,本件各原子炉の設置変更許可申請(以 下「本件設置変更許可申請①」という。)をした。 参加人は,本件設置変更許可申請①において,敷地周辺における火山灰(爆発性破砕の様々なプロセスによって生じる平均直径2mm未満の火山岩の破片)の分布として,姶良Tnテフラ(テフラとは,火山から噴出された固形物のうち溶岩以外の総称であり,「火山砕屑物」又は「火砕物」 ともいう。)を20cm程度,大山倉吉テフラ(DKP)を10cm程度とし,それ以外の火山灰層を成して厚く分布する箇所は認められないとして,降下火砕物(大きさ,形状,組成又は形成方法に関係なく,火山から噴出されたあらゆる種類の火山砕屑物で降下する物)の最大層厚を20cm程度と認定していた。 参加人は,平成26年10月31日付け一部補正書(以下「本件補正書」という。)により,本件設置変更許可申請①を一部補正し,姶良Tnテフラについては姶良カルデラにおいて姶良Tnと同規模の噴火が発生する可能性 ,平成26年10月31日付け一部補正書(以下「本件補正書」という。)により,本件設置変更許可申請①を一部補正し,姶良Tnテフラについては姶良カルデラにおいて姶良Tnと同規模の噴火が発生する可能性は十分小さいと評価を変更し,DKPについても,大山においてDKPと同規模の噴火が発生する可能性は十分小さいとし,運用期間中の噴火 規模として5k㎥を考慮し,最大でも8cm程度の層厚と想定し,降下火砕物の最大層厚を10cmへと下方修正した。 原子力規制委員会は,平成27年2月12日,参加人に対し,本件設置変更許可申請①につき設置変更許可処分をした(以下「本件設置変更許可処分①」という。)。 イ原子力規制委員会は,平成30年11月21日,原子力規制委員会会合 において,大山生竹テフラ(DNP)の噴出規模を既往の研究で考えられてきた規模を上回るVEI6規模(火山爆発指数であり,VEI6規模は噴出量10~100k㎥)と評価することとし,京都市越畑地点(以下「越畑地点」という。)のDNPの降灰層厚は25cm程度であること,DNPをもたらした大山噴火の噴出規模は10k㎥以上と考えられることを新知 見(以下「本件新知見」という。)として規制に参酌することを確認した。 ウ原子力規制委員会は,平成30年12月12日,参加人に対し,越畑地点等7地点におけるDNPの噴出規模,及び噴出規模を踏まえた不確かさケースも含めた降下火砕物シミュレーションに基づく原子力発電所ごとの敷地における降下火砕物の最大層厚について報告することを義務付ける炉 規法67条1項に基づく報告徴収命令(以下「本件報告徴収命令」という。)を発出した。 エ参加人は,平成31年3月29日,原子力規制委員会に対し, 「核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制 規法67条1項に基づく報告徴収命令(以下「本件報告徴収命令」という。)を発出した。 エ参加人は,平成31年3月29日,原子力規制委員会に対し, 「核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第67条第1項の規定に基づく報告の徴収に対する報告」と題する書面(以下「本件報告書」とい う。)を提出した。 オ原子力規制委員会は,令和元年5月29日,炉規法43条の3の23第1項に基づき,DNPの再評価を踏まえて基本設計又は基本設計方針を変更すること,同年12月27日までに設置変更許可申請を行うことを命じる前提として,同年6月12日までに弁明があれば行うよう,参加人に対 し,行政手続法上の弁明の機会を付与した。 カ参加人は,令和元年6月11日,原子力規制委員会に対し,弁明を行わず,同年12月27日までのできるだけ早い時期に,設置変更許可申請を行うと通知した。 キ原子力規制委員会は,令和元年6月19日,参加人に対し,炉規法43 条の3の23第1項の規定に基づき,本件各原子炉施設について,DNP の噴出規模は11k㎥程度と見込まれること,DKPとDNPが一連の巨大噴火(地下のマグマが一気に地上に噴出し,大量の火砕流となるような噴火であり,その規模として噴出物の量が数10k㎥を超えるようなもの)であるとは認められず,上記噴出規模のDNPは上記各発電所の火山影響評価において想定すべき自然現象であることを前提として,同年12月2 7日までに,同法43条の3の6第1項4号の基準に適合するよう同法43条の3の8第1項の設置変更許可に係る申請をすることを命じた(本件バックフィット命令)。 ⑹ 参加人は,火山影響評価に係る既許可処分の基本設計又は基本的設計方針を見直した上で,令和元年9月26日,本件 3の8第1項の設置変更許可に係る申請をすることを命じた(本件バックフィット命令)。 ⑹ 参加人は,火山影響評価に係る既許可処分の基本設計又は基本的設計方針を見直した上で,令和元年9月26日,本件各原子炉につき設置変更許可申 請(以下「本件設置変更許可申請②」という。)をした。 ⑺ 原告らは,令和2年10月5日,本件訴えを提起した。 ⑻ 原子力規制委員会は,令和3年5月19日,参加人に対し,本件設置変更許可申請②につき設置変更許可処分(以下「本件設置変更許可処分②」という。)をした。 ⑼ 参加人は,令和3年7月1日,本件各原子炉施設について,設計及び工事の計画の認可申請(以下「本件設計工事認可申請」という。)並びに保安規定変更認可申請(以下「本件保安規定変更認可申請」という。)をした。(乙C50,丙C1) 3 争点及びこれに関する当事者の主張 原告らは,本件訴えにおいて,本件バックフィット命令の対象となった本件各原子炉施設につき,処分行政庁である原子力規制委員会に対し,炉規法所定の設置変更許可処分,設計工事計画認可処分,保安規定変更認可処分及び使用前事業者検査がされるまでの間,参加人に対して本件各原子炉施設の使用停止を命ずること(本件各処分)の義務付けを求めるのに対し,被告は,訴訟要件 として,①原告らの原告適格,②行政事件訴訟法37条の2第1項所定の「重 大な損害の生ずるおそれ」を争うとともに,本案要件として,③原子力規制委員会が本件各原子炉施設の使用停止を命じないことがその裁量権の範囲を超え又はその濫用となるとは認められないと主張しているから,本件の争点は,①原告らの本件訴えにおける原告適格の有無,②同項所定の「重大な損害の生ずるおそれ」の有無,③原子力規制委員会が参加人に対し本件各 又はその濫用となるとは認められないと主張しているから,本件の争点は,①原告らの本件訴えにおける原告適格の有無,②同項所定の「重大な損害の生ずるおそれ」の有無,③原子力規制委員会が参加人に対し本件各原子炉施設の使 用停止を命じないことの裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無であり,これに関する当事者の主張は,以下のとおりである。 ⑴ 原告らの本件訴えにおける原告適格の有無(争点1)(原告らの主張)ア炉規法43条の3の23第1項は,原子力規制委員会は,発電用原子炉 施設の位置,構造若しくは設備が同法43条の3の6第1項第4号の基準に適合していないと認めるときなどに,当該発電用原子炉施設の使用の停止等を命ずることができるとし,同号は,発電用原子炉施設の位置,構造及び設備が核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上支障がないものとして原子力規制委員会規則 で定める基準に適合するものであると認められることを掲げている。そして,同法は,その目的として原子力基本法の精神にのっとることを明示するとともに,「公共の安全」だけでなく,「国民の生命,健康及び財産の保護,環境の保全並びに我が国の安全保障に資すること」をも目的としているから,原告らの「生命,健康及び財産」並びに生活する「環境」は法律 上保護された利益である。 また,同法と目的を共通にする関連法令として,原子力基本法,原子力規制委員会設置法及び環境基本法がある。すなわち,原子力基本法は,炉規法が「原子力基本法の精神にのっとり」と規定しているとおり,関連法令に当たることは明らかであり,原子力基本法は,基本方針として「安全 の確保を旨」とし(同法2条1項),安全の確保については「国民の生命, 健康及び財産 定しているとおり,関連法令に当たることは明らかであり,原子力基本法は,基本方針として「安全 の確保を旨」とし(同法2条1項),安全の確保については「国民の生命, 健康及び財産の保護,環境の保全」などに資することを目的としている(同条2項)。原子力規制委員会設置法も,「国民の生命,健康及び財産の保護,環境の保全」などを目的としており(同法1条),環境基本法も,原子力規制委員会設置法附則により改正され,放射性物質による環境汚染を防止するための措置が原子力基本法等から環境基本法の対象となったことから, 関連法令に当たるものと解され,その目的は,「現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献すること」(同法1条)であり,そのために事業者の責務として公害を防止するなどの責務を定めている(同法8条1項)。以上のとおり,関連法令に照らしても,原告らの「生命,身体及び財産」並びに健康で文化的な生活を送る「環境」 は法律上保護された利益である。 これに対し,被告は,平成24年改正後の炉規法は平成24年改正前炉規法の目的をより具体化したものにすぎず,原告適格を肯定し得る周辺住民の範囲に変わりはなく,最高裁平成元年(行ツ)第131号平成4年9月22日第三小法廷判決・民集46巻6号1090頁と同様,社会通念に 照らし,重大な原子炉施設の事故等がもたらす災害により,その生命,身体等に直接的かつ重大な被害を受けるものと想定される範囲の当該原子炉施設周辺の住民らに限られると主張するが,上記のとおり,福島第一原発事故による広範囲かつ甚大な被害を契機として,炉規法は,同法1条に「国民の生命,健康及び財産の保護,環境の保全」を目的とすることが明 示されるなど,原子力関係法令は国民の安全 り,福島第一原発事故による広範囲かつ甚大な被害を契機として,炉規法は,同法1条に「国民の生命,健康及び財産の保護,環境の保全」を目的とすることが明 示されるなど,原子力関係法令は国民の安全の確保を重視する方向に大幅に改正されたのであるから,原告適格は上記最判と比較してより拡張する方向で認められるべきであり,居住する者の生命,健康,財産及びその生活環境において重大な被害を受けることが想定される地域に居住する者については,原告適格を認めるべきである。 そして,原子力発電所の災害は,不可逆・甚大性,全体性(コミュニテ ィ全体の破壊),広範囲性,長期継続性という特殊性を有し,生命,身体の被害は事後的に回復することが不可能であり,財産の被害についても,福島第一原発事故に対する被害救済を見れば明らかなように十分な補償はされておらず,事後的回復は困難である。放射能に汚染されない環境で生活する利益についても,ひとたび放射能で汚染された地域は全て除染し尽 くすことができず,事後的には回復が困難なほどに侵害される。これらの損害は,一般公益に到底吸収解消し得るものではない。 イこのような原子力発電所の災害の特殊性に照らせば,以下のとおり,年間1ミリシーベルト(1mSv)を超える被ばくを受けるおそれのある範囲に居住する者には,本件訴えの原告適格が認められるべきである。 すなわち,ICRP(国際放射線防護委員会)の1990年勧告(以下「1990年勧告」という。)は,公衆被ばくの実効線量について年間1mSvを限度とする勧告をしており,炉規法の委任を受けた実用炉規則2条2項6号の「周辺監視区域」の外側の線量限度も,「核原料物質又は核燃料物質の製錬の事業に関する規則等の規定に基づく線量限度等を定める告 示」(線 をしており,炉規法の委任を受けた実用炉規則2条2項6号の「周辺監視区域」の外側の線量限度も,「核原料物質又は核燃料物質の製錬の事業に関する規則等の規定に基づく線量限度等を定める告 示」(線量告示)2条1項1号により,年間1mSv以下としている。この数値は,原子炉設置許可の申請時から,稼働中,汚染された物の廃棄時を通じて求められるものであり,周辺監視区域においては,居住を禁止され,公衆の立入りが制限されているところ,これは線量限度を超える被ばくから公衆を保護する措置であり,発電用原子炉設置者は,原子炉設置許可取 消し,運転停止命令,刑罰等により,これを守ることが求められている。 さらに,「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」(平成29年法律第15号による改正後の法律名は「放射性同位元素等の規制に関する法律」。以下,改正の前後を問わず「放射線障害防止法」という。)も,公衆の被ばく限度を実効線量年間1mSvとしている。これらの線量 告示や放射線障害防止法の定めは,1990年勧告を取り入れるべきであ るとする放射線審議会の平成10年の意見具申を反映したものである。 なお,ICRPの2007年勧告(以下「2007年勧告」という。)は,緊急時被ばく状況として年間20~100mSv,計画被ばく状況として年間1~20mSvという数値を参考レベルとして提示しているが,参考レベルとは防護活動に関する指標であり,被ばく限度を示す数値ではなく, 国内法にも取り入れられていないから,年間1mSvを基準とすべきであることに変わりはない。そして,現時点においては,年間100mSvを下回る線量の被ばくであっても,白血病を含むがんの発症リスクが科学的に明白に存在し,統計的にも有意な増加が報告されている。 ウ次 ることに変わりはない。そして,現時点においては,年間100mSvを下回る線量の被ばくであっても,白血病を含むがんの発症リスクが科学的に明白に存在し,統計的にも有意な増加が報告されている。 ウ次に,年間1mSvの被ばくを受けるおそれのある範囲につき,①元京 都大学原子炉実験所助手の瀬尾健によるシミュレーション(以下「瀬尾シミュレーション」という。)を基に,本件各原子炉で過酷事故が起きた場合の汚染状況を検討すると,高浜原子力発電所1号機が過酷事故を起こした場合,年間1mSvの地点は3265kmにも及ぶとされており,原告らのうち最も遠い約140kmの地点は250mSv/年となる。本件各原 子炉2基が同時に過酷事故を起こすと,この2倍の被ばく線量となることが考えられ,原告らの被ばく量は500mSv/年となる。瀬尾シミュレーションは,独自の変換係数や近似関数を使っているとしても,科学的に合理的な根拠に基づいて適切に工夫がされている。また,②チェルノブイリ原子力発電所事故によって放出されたセシウム137は,ヨーロッパだ けに着目しても放射線管理区域内の基準に相当する4万Bq(ベクレル)/㎡以上の汚染地域が最も遠くて1800kmへ広がり,1991年末に消滅したソビエト社会主義共和国連邦に代わって,ロシア連邦,ウクライナ及びベラルーシ共和国(以下「ロシア等」という。)の3国は,それぞれ自国の法律を制定し,放射性物質による汚染から国民を守ることとし,そ の基本的な内容として,被ばく線量が年間1mSv以上と考えられる地域 を移住義務ゾーン又は移住権利ゾーンとし,移住義務ゾーンで最も遠い地点は約300km,移住権利ゾーンで最も遠い地点は約600kmであり,原子力発電所から約1800km(4万Bq/㎡以上の汚染地域 を移住義務ゾーン又は移住権利ゾーンとし,移住義務ゾーンで最も遠い地点は約300km,移住権利ゾーンで最も遠い地点は約600kmであり,原子力発電所から約1800km(4万Bq/㎡以上の汚染地域)の地域には社会経済的な特典が付与される。これは1基の原子力発電所による被害であり,本件各原子炉2基が過酷事故を起こせば,更に広範囲に汚染が 広がるおそれがある。さらに,③福島第一原発事故は,セシウムの空間線量率が年間1mSvを超える汚染地域が約250kmまで広がったが,セシウム137による土壌汚染が3万~6万Bq/㎡以上の地点は約240kmの地点まで点在し,セシウム134も加えた土壌汚染とすると約250kmを超えた地点まで及んでいる。そして,福島第一原発事故は,更に 過酷な被害をもたらす可能性もあったものである。 エ以上からすれば,本件各原子炉施設の敷地から半径約3kmから半径約140kmまでの距離に居住する原告らは,本件訴えにつき「法律上の利益を有する者」として原告適格を有する。 (被告の主張) ア本件各原子炉は,いずれも出力約87万kWの軽水減速・軽水冷却加圧水型(PWR)原子炉であるところ,原告らの住所は,大阪府,兵庫県,京都市,福井県及び名古屋市であり,本件各原子炉施設から相当遠隔地に居住している者もおり,本件各原子炉施設の使用停止命令が発出されないことにより発生する災害等によって直接的かつ重大な被害を受けることが 想定される範囲の地域に居住しているかどうか明らかではない。したがって,原告らに本件訴えの原告適格を肯定することはできない。 イこれに対し,原告らは,本件訴えの原告適格を判断する基準として年間1mSvの被ばく受けるおそれのある範囲を主張する。 しかし,まず,平成24年改正後の炉規法にお 適格を肯定することはできない。 イこれに対し,原告らは,本件訴えの原告適格を判断する基準として年間1mSvの被ばく受けるおそれのある範囲を主張する。 しかし,まず,平成24年改正後の炉規法においては,同法1条に「国 民の生命,健康及び財産の保護,環境の保全」を目的とすることが明示さ れているものの,これは平成24年改正前炉規法の目的をより具体化したものにすぎず,原告適格を肯定し得る周辺住民の範囲に変わりはなく,平成24年改正後の炉規法の下においても,前掲最高裁平成4年9月22日第三小法廷判決と同様,社会通念に照らし,重大な原子炉施設の事故等がもたらす災害により,その生命,身体等に直接的かつ重大な被害を受ける ものと想定される範囲の当該原子炉施設周辺の住民らに限り,原告適格が認められるというべきである。そして,線量告示やロシア等の国内法において安全基準値として1mSvを採用したのは,1990年勧告を踏まえたものであるが,これはあらゆる状況で適用されるべき被ばく線量を定めたものではなく,生命,身体等への直接的かつ重大な被害が生じる具体的 な基準として定められたものでもない。そもそも,自然界には,宇宙線と呼ばれる宇宙からの放射線,地殻に含まれる放射性物質からの放射線,人間が摂取する飲食物等に含まれる放射性物質からの放射線等が存在し,人類は絶えず自然界からの放射線を被ばくしており,我が国の場合,全国平均で1人当たり年間2.1mSv(空気中のラドン等の吸入によるものを 含む。)とされ,世界の平均は年間2.4mSv,高いところでは年間約10mSvであり,また,自然放射線以外にも人工放射線による被ばくもあり,例えば全身をCTスキャンした場合,1回で6.9mSv被ばくする。 そして,2007年勧告は,放射線防 v,高いところでは年間約10mSvであり,また,自然放射線以外にも人工放射線による被ばくもあり,例えば全身をCTスキャンした場合,1回で6.9mSv被ばくする。 そして,2007年勧告は,放射線防護の分野において,放射線被ばくによる有害な健康への影響を確定的影響と確率的影響に分類しているとこ ろ,確定的影響とは,線量が十分に大きければ,組織の機能を損なうのに十分な細胞喪失を引き起こす,放射線による細胞致死の結果から生じる健康影響であるとされ,組織・臓器の障害を引き起こす確率は低線量ではゼロであるが,あるレベルの線量(しきい値)を超えるとその確率は急速に1(100%)にまで上昇するとされており,臓器ごとにしきい値が異な るが,いずれも100mSvを超え,5000mSvから6000mSv に達するものもある。他方,確率的影響とは,放射線被ばくによって引き起こされた細胞の修飾の結果として起こるかもしれない健康影響をいうとされ,1990年勧告は,放射線に起因するがんの発症の確率が確定的影響のしきい値よりも十分低い線量では,線量におよそ比例して線量の増加分とともに通常は上昇する,放射線被ばくで損傷した細胞が長い潜伏期 間を経て悪性状態となってその増殖が制御されなくなる(がんの発症)ことがあり,その確率の一部は放射線の影響により損傷を受けた細胞のクローン数によって左右されるとしており,広島・長崎の原爆被爆者の疫学調査の結果からは,被ばく線量が100mSvを超えるあたりから被ばく線量に依存して発がんのリスクが増加することが示されている一方,国際的 な合意では,100mSv以下の被ばく線量では他の要因による発がんの影響によって隠れてしまうほど小さいため,放射線による発がんリスクの明らかな増加を証明することは難し されている一方,国際的 な合意では,100mSv以下の被ばく線量では他の要因による発がんの影響によって隠れてしまうほど小さいため,放射線による発がんリスクの明らかな増加を証明することは難しいとされている。もっとも,2007年勧告は,実用的な放射線防護体系を勧告する目的から,約100mSvを下回る線量においては,ある一定の線量の増加はそれに正比例して放射 線起因の発がん又は遺伝性影響の確率の増加を生じるであろうという仮定(LNTモデル)を前提としており,これは科学的な不確かさを補う観点から公衆衛生上の安全サイドに立った判断として採用されている仮説である。 また,ICRPは,公衆被ばくに関する実効線量の限度を年間1mSv と提示しているが,これは不必要な放射線への被ばくを避けるために,非常に変動しやすいラドンによる被ばくを除いた自然放射線源からの年実効線量が約1mSvであることを考慮して,社会的・経済的要因を考慮に入れながら合理的に達成できる限り低く被ばく線量を制限することを求めていることに基づく数値であり,計画被ばく状況(平常時)についての ものである。ICRPは,事故時等の緊急時被ばく状況において公衆を防 護するための最大残存線量の参考レベルとして,1年間の実効線量の積算値を20mSvから100mSvの範囲と提示し,現存被ばく状況の参考レベルは,予測線量1mSvから20mSvの範囲に通常設定すべきであるとしているから,年間1mSvの被ばくをもって原告適格を基礎付けることはできない。放射線管理区域の数値として地表面密度4万Bq/㎡と いう数値も,1990年勧告における平常時の公衆の線量限度を参考に設定されたものであり,そのような数値の場所に居住し続けたとしても,セシウム137の半減期は約 値として地表面密度4万Bq/㎡と いう数値も,1990年勧告における平常時の公衆の線量限度を参考に設定されたものであり,そのような数値の場所に居住し続けたとしても,セシウム137の半減期は約30年であり,その平均寿命約42年が経過するまでの長期にわたって受ける放射線量の合計は約3.9mSvと極めて小さな線量であるから,原告適格を基礎付ける根拠とはならない。そして, 100mSvを下回る低線量被ばくによって確率的影響が生ずるという論文があるとしても,統計的に有意な差が認められないなど,その評価が科学的に確立されているものとはいい難い。 ウさらに,原告らが主張する瀬尾シミュレーションの計算手法による被ばく予測は,高浜原子力発電所1号機及び2号機に関するものであり,本件 各原子炉施設に関するシミュレーションではない上,瀬尾シミュレーションは,電気出力100万kWの加圧水型原子炉(PWR)が事故を起こすと,原子炉1基からヨウ素131が218京Bq,セシウム137が10. 7京Bqそれぞれ環境中に放出されるとしているが,福島第一発電所事故ですら3機の原子炉からのヨウ素131の大気中への総放出量は約16京 Bq,セシウム137の大気中への総放出量は約1.5京Bqであったのであり,現実離れした過大な仮定といわざるを得ない。瀬尾は,その算出方法について,パソコンでは時間が掛かりすぎて実用的ではないので,簡便な方法として独自に計算した変換係数を使い,独自に工夫した近似関数を使って計算したなどと述べているから,科学的正当性が認められず,信 頼性に欠ける。 ⑵ 行政事件訴訟法37条の2第1項所定の「重大な損害を生ずるおそれ」の有無(争点2)(原告らの主張)ア 「重大な損害を生ずるおそれ」の判断枠組み 信 頼性に欠ける。 ⑵ 行政事件訴訟法37条の2第1項所定の「重大な損害を生ずるおそれ」の有無(争点2)(原告らの主張)ア 「重大な損害を生ずるおそれ」の判断枠組み行政事件訴訟法37条の2第1項所定の「重大な損害を生ずるおそれ」 の「おそれ」とは,現実化していない害悪が将来発生する可能性を示すものであり,この要件は本案審理に入る訴訟要件であるから,重大な損害が生じる一定の類型的可能性が認められる場合には,この要件該当性が認められるべきであり,損害の性質が生命・身体の安全の侵害のように,類型的に回復の困難な保護の必要性の高いものであれば,被告による具体的な 反証がない限り,重大な損害を生ずるおそれが認められると判断されるべきである。また,差止訴訟や執行停止における「おそれ」は,後の取消訴訟による救済手続を前倒しする制度であるから,重大な損害発生の具体性・切迫性が求められるとしても,非申請型義務付けの訴えは,事後的な取消訴訟による救済手段が存在しないから,同訴えにおける「おそれ」に ついて,重大な損害発生の具体性・切迫性は求められるべきではない。 これに対し,被告は,「重大な損害の生ずるおそれ」の有無を判断するに当たっては,当該事案の具体的な事実関係に基づき個別的・具体的な審査が行われるべきであると主張するが,上記の要件は,生命・健康利益等の重大な権利・法的利益が保護されているときには,実体審理を必要とす るレベルでの合理的な法令違反の可能性があれば肯定されるものであり,本案審理を必要とする程度に実体要件(違反)該当性があるかという問いに対して,当該事案の事実関係に照らして審理が必要という限度では個別的アプローチを採るが,そこでのリスク判断はあくまでも「仮に法令違反があった 要とする程度に実体要件(違反)該当性があるかという問いに対して,当該事案の事実関係に照らして審理が必要という限度では個別的アプローチを採るが,そこでのリスク判断はあくまでも「仮に法令違反があった場合」を想定した類型的なものでなければならず,「重大な損害 の生ずるおそれ」が認められるためには,重大な損害が生ずる一定の類型 的可能性があれば足りるというべきである。 イ原子力発電所の事故の特殊性について原子力発電所の事故は,前記⑴(原告らの主張)のとおり,不可逆・甚大性,全体性(コミュニティ全体の破壊),広範囲性,長期継続性という特徴があり,核廃棄物の問題も含め,自己決定のできない将来の世代に対 してこのようなリスクや負担を負わせるという意味でも,他の科学技術とは全く異質なものというべきであって,その被害の重大性及び回復困難性からすれば,「重大な損害の生ずるおそれ」を満たすことは明らかである。 さらに,重大な損害が生じる一定の類型的可能性を措くとしても,下記ウ及びエのとおり,本件訴訟において,原告らの生命,身体,財産及び環 境に「重大な損害を生ずるおそれ」がある。 ウ DNP規模の噴火が発生する可能性について本件各原子炉の安全が確保されないまま稼働が継続することにより,DNP噴火と同規模の噴火が発生して深刻な事故が発生した場合には,福島第一原発事故と同様の甚大な被害が発生する可能性を否定することがで きない。原子力規制委員会における審査においては,DKP規模の噴火の発生可能性が否定されたものの,DNP規模の噴火は,終始,発生可能性があるものとして扱われてきたものであり,現にその噴出規模の増大を前提として本件バックフィット命令が発出されているから,その発生可能性を否定することはできない。なお P規模の噴火は,終始,発生可能性があるものとして扱われてきたものであり,現にその噴出規模の増大を前提として本件バックフィット命令が発出されているから,その発生可能性を否定することはできない。なお,原子力規制委員会がDNPの噴出規模 の見直しを指示して以降,参加人は,DNP規模の噴火の可能性は十分に小さいと主張するようになったが,原子力規制委員会はこの主張を退けたのであり,本件訴えにおいて被告が大山の活動性を否定するのは矛盾に近い。そして,DNP規模の噴火の可能性があることを否定することができないことは,後記⑶(原告らの主張)ウのとおりである。 エ降下火砕物の影響及び濃度について 降下火砕物は,大気汚染はもとより,水質汚濁,荷重による建物の倒壊,交通障害,電気・電送系統の障害,コンピュータの機能障害,健康被害など,複数の障害を同時かつ広範囲にもたらすところ,参加人は,本件各原子炉施設の最大層厚が10cmから27cmに変更されることによって評価が変わる影響因子は「荷重」と「閉塞」のみであるとし,これらにつ いて改めて影響を評価している。しかし,後記⑶(原告らの主張)ウのとおり,「荷重」について,参加人は,簡易評価を行い,発生値が許容値を下回り,構造の健全性が維持されたとするが,その判断過程の正しさは不明であり,簡易評価によっても,少しの裕度しかない部分もあり,僅かでも想定を上回る事象が発生すれば許容値を超えるものである。また,「閉塞」 についても,非常用ディーゼル発電機(以下「非常用DG」という。)の吸気フィルタの目詰まりに関して,本件設置変更許可申請②の審査の中では行わず,保安規定の中で審査することとなっており,まともに確認がされておらず,参加人はフィルタの取替えに20分,清 」という。)の吸気フィルタの目詰まりに関して,本件設置変更許可申請②の審査の中では行わず,保安規定の中で審査することとなっており,まともに確認がされておらず,参加人はフィルタの取替えに20分,清掃に60分の合計80分を想定しているが,フィルタの基準捕集容量までの到達時間は濃度3. 78g/㎥で94分と計算されており,余裕のない状態となっているなどの問題がある。 さらに,本件バックフィット命令を踏まえた参加人の気中降下火砕物濃度の推定(3.78mg/㎥)は,火口から遠方になるほど気中降下火砕物濃度が小さくなるという一般的・初歩的な科学的経験則に反しており, 恣意的に本件各原子炉施設について大きい粒径が多くなるよう粒径分布を設定している可能性がある。実際,内閣府の大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループが平成30年12月に公表した資料に示された粒径分布や,1739年の樽前噴火及び2000年の有珠山噴火の実測値の粒径分布を用いて試算すると,気中降下火砕物濃度は26.89~5 8.97g/㎥となり,参加人による気中降下火砕物濃度は,実測値とか け離れた低い値である。さらに,参加人が本件各原子炉施設の気中降下火砕物濃度の計算に用いたTephra2というシミュレーションソフトは,規模の大きい噴火や風の変化が激しい場合には現実をうまく表現できない可能性があるとされ,また,水平方向の拡散のみを考慮し垂直方向の拡散を考慮せず,傘型領域からの落下が盛り込まれていないなどの問題や 不定性を含んでいる。その他,降下火砕物のうち粒径の小さい微細粒子の風化・溶解等によるこれらの粒子の消滅や不検出などの問題もあり,参加人の気中降下火砕物濃度の推定には著しい過小評価がある。 (被告の主張)ア 「重大な損害を生ず 砕物のうち粒径の小さい微細粒子の風化・溶解等によるこれらの粒子の消滅や不検出などの問題もあり,参加人の気中降下火砕物濃度の推定には著しい過小評価がある。 (被告の主張)ア 「重大な損害を生ずるおそれ」の判断枠組み 行政事件訴訟法37条の2第1項所定の「重大な損害」は,一定の処分を行うことによりそれを回避することができるような関係にあることが必要であり,また,「重大な」損害とは,事後的な回復を受けることにより救済が容易なものでは足りず,行政庁が第一次的判断権を行使する前に当該処分をすべきことを命ずる方法によるのでなければ救済を受けること が困難なものであることを要する(最高裁平成23年(行ツ)第177号,第178号,同年(行ヒ)第182号同24年2月9日第一小法廷判決・民集66巻2号183頁)。さらに,重大な「損害を生ずるおそれ」があるといえるためには,当該一定の処分の根拠法令に事実を当てはめることによって当該処分をすべきであるか否かの判断をすることができるような 客観的状況が認められる状況でなければならず,抽象的な「おそれ」では足りず,処分がされないことにより重大な損害が生じる具体的・現実的な危険性が存在することが必要であり,そうでなければ,原告適格の要件と重複し,重大な損害に関する要件の存在意義が失われる。 そして,三面関係における非申請型義務付けの訴えの対象となる処分に ついて,第三者の権利利益の侵害の抑止が処分の根拠規定の趣旨や要件・ 考慮事項として組み込まれている場合において,「重大な損害を生ずるおそれ」の要件を判断するに当たっては,当該事案の具体的な事実関係に基づき個別・具体的な審査が行われるべきであり,その要件と本案勝訴の要件が重なるのは当然であり,「重大な損害」を基礎付け 害を生ずるおそれ」の要件を判断するに当たっては,当該事案の具体的な事実関係に基づき個別・具体的な審査が行われるべきであり,その要件と本案勝訴の要件が重なるのは当然であり,「重大な損害」を基礎付ける具体的な事実については,原告らにおいて主張立証すべきである。 これに対し,原告らは,DNP規模の噴火が発生すると本件各原子炉施設において深刻な事故が発生し,福島第一原発事故と同様の甚大な被害が発生する可能性を否定することができず,原告らの生命,身体,財産及び環境に重大な損害が生じると主張するが,降下火砕物による一般的影響として,荷重による建物の崩壊,交通・電気等の障害,コンピュータの機能 障害などを抽象的に挙げるにすぎず,本件各原子炉施設が備える安全対策を前提にしてもなお具体的影響が生じるものであるか否かについて明らかにしていない。 イ DNP規模の噴火が発生する具体的・現実的な危険性についてそして,原子力規制委員会は,DNP規模の火山事象が本件各原子炉の 運用期間中に発生する可能性が十分に小さいとはいえず,同運用期間中においてDNP規模の噴火による降下火砕物の影響を想定する必要があると判断し,本件バックフィット命令を発したものであるが,後記⑶(被告の主張)のとおり,①大山は,活火山に分類されておらず,活動性が高い火山とは評価されておらず,②大山周辺の地下構造について地球物理学的 調査手法の一つである地震波トモグラフィ法(地震波の観測により地下の地震波速度構造を解析することで,マグマ溜まりの位置等を推定する手法)による調査を行った結果によると,低速度領域(地下に水やメルト(岩石が溶融して液状になったもの)といった流体を含むことを示唆)の存在と大山の西方で生じている低周波地震の存在から,同領域にマグマ溜まり による調査を行った結果によると,低速度領域(地下に水やメルト(岩石が溶融して液状になったもの)といった流体を含むことを示唆)の存在と大山の西方で生じている低周波地震の存在から,同領域にマグマ溜まりが 存在する可能性が示唆され,これがマグマ溜まりであると仮定しても,こ れらの低速度領域は20km以深に位置しており,我が国において火山活動の中心的活動を果たすとされる玄武岩質マグマの浮力中立点(地下10~12km)に比して多分に深い位置にあると評価されている上,その後の研究においても,大山の地下深部の低速度領域の深度は上記研究と同程度であり,大山の地下深部に広がる低速度領域の深度に変化がないものと 考えられていたのであり,大山は活火山ではなく,噴火が差し迫った状態にあることを示すものではない。さらに,③原子力規制庁が国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下「産総研」という。)に委託した平成26年度から平成30年度にわたる「火山影響評価に係る技術的知見の整備」と題する研究(以下「安全研究」という。)の一部として行われた平成27年 度から平成29年度までの大山の火山活動に係る研究やその後発表された論文によって行われた,大山起源の各噴火の噴出物の化学組成の分析・比較の結果を見ても,最末期(約2万1000年前)の噴火物の化学組成は低噴出率期(約16万年以前)のそれと類似している反面,DNPやDKP等の「高噴出率期」(約10万年前から2万8000年前)と大きく異 なっており,これは,高噴出率期である約10万年前に始まった高温マントルの関与が約2万年前にはほとんどなくなったことを意味し,現在の大山は活動性に乏しい状態であるといえる。 このように,現在の大山の状態に関する最新の知見によっても,DNP規模の噴火が発 高温マントルの関与が約2万年前にはほとんどなくなったことを意味し,現在の大山は活動性に乏しい状態であるといえる。 このように,現在の大山の状態に関する最新の知見によっても,DNP規模の噴火が発生する切迫性があるとはいえない。 ウ本件各原子炉施設の安全性に対する影響について参加人は,本件バックフィット命令を受けて,令和元年9月26日,本件設置変更許可申請②をしたが,これに対する原子力規制委員会の審査において,DNP規模の噴出量11k㎥の噴火による移流拡散シミュレーションを行った上,越畑地点と本件各原子炉施設との距離関係も踏まえ,本 件各原子炉施設の敷地における最大層厚を27cmと設定し,この最大層 厚の変更によって評価が変わる影響因子は「荷重」と「閉塞」であるとして改めて評価し,「荷重」については施設を内包する建屋,屋外施設などに対する静的負荷の影響について簡易評価を行い,いずれの施設も構造健全性が維持され,基本設計又は基本的設計方針の変更は不要であるとし,「閉塞」については,主蒸気逃し弁等に火山灰が侵入・堆積したとしても十分 な噴出力によって閉塞が生じず,建屋の屋根部や屋外タンク等に堆積する降下火砕物は30日以内に除去することができるから,降下火砕物の最大層厚以外の基本設計又は基本的設計方針の変更は不要であるとしたところ,参加人が設定した上記最大層厚の設定は適切であると判断されるとともに,参加人が実施した上記影響評価の妥当性が確認されたのであり,こ れらの審査を経て,原子力規制委員会は,令和3年5月19日,本件設置変更許可処分②をしたのである。 したがって,参加人は,DNPの噴出規模の見直しに伴い,本件各原子炉施設の敷地における最大層厚が27cmに変更されたとしても,降下火砕物の最大 5月19日,本件設置変更許可処分②をしたのである。 したがって,参加人は,DNPの噴出規模の見直しに伴い,本件各原子炉施設の敷地における最大層厚が27cmに変更されたとしても,降下火砕物の最大層厚以外の基本設計又は基本的設計方針の変更は不要である と評価し,原子力規制委員会の審査においてその妥当性が確認されているから,本件各原子炉施設は,DNP規模の噴火による降下火砕物の影響を考慮しても,炉規法43条の3の6第1項4号及び設置許可基準規則6条1項の規定に適合しており,その安全性が確保されているといえるから,本件各原子炉施設の使用停止が命じられなければ原告らに重大な損害が 生ずる具体的・現実的な危険性があるとはいえない。 ⑶ 原子力規制委員会が参加人に対し本件各原子炉施設の使用停止を命じないことの裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無(争点3)(原告らの主張)ア炉規法43条の3の23第1項の要件該当性 原子力規制委員会は,炉規法43条の3の23第1項の「発電用原子炉 施設の位置,構造若しくは設備が第43条の3の6第1項第4号の基準に適合していないと認めるとき」に該当すると認め,設置変更許可に係る申請をすることを命ずる本件バックフィット命令を発出したものであるが,原子力発電所の運転については,段階的規制制度の下,前段の設置変更許可のみではなく,後段の設計工事計画認可,保安規定変更認可並びに使用 前事業者検査及び使用前確認(以下「設工認等」という。)の規制を段階的に経なければ認められないものであり,前段の規制内容は後段の規制にも引き継がれることになる。そのため,本件バックフィット命令の後に本件設置変更許可処分②がされたとしても,後段規制に当たる設工認等の各処分は,本件設置変更許可処分②の前 前段の規制内容は後段の規制にも引き継がれることになる。そのため,本件バックフィット命令の後に本件設置変更許可処分②がされたとしても,後段規制に当たる設工認等の各処分は,本件設置変更許可処分②の前の違法な設置変更許可処分を前提とす るものであり,未だ安全性が確保されているとはいえない状態にあるから,同法43条の3の14の技術上の基準に適合していないと認めるとき,及び同法43条の3の22第1項の規定に基づく原子力規制委員会規則の規定に違反していると認めるときに当たり,同法43条の3の23第1項の要件に該当する。 したがって,本件各原子炉について,本件設置変更許可処分②がされたとしても,同法43条の3の23第1項の要件該当性が認められる。 イ使用停止に係る裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無の判断枠組み炉規法43条の3の23第1項は,「使用の停止,改造,修理又は移転,発電用原子炉の運転の方法の指定その他保安のために必要な措置を命ず ることができる。」と規定しており,使用停止に関し,原子力規制委員会に一定の裁量が認められるとしても,その範囲の逸脱又は濫用があったと認めるべき場合には,使用停止を命じないことは違法となり,使用停止命令が義務付けられるべきであるところ,その主張立証については,最高裁昭和60年(行ツ)第133号平成4年10月29日第一小法廷判決・民集 46巻7号1174頁に照らしても,被告の側において口頭弁論終結時に おいて原子炉施設の使用停止を命じないことがその裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たらないことを主張立証すべきであり,それが尽くされない限り,使用停止を命じないことは違法とされるべきである。そして,原子力発電所に関する以下の諸事情からすれば,本件新知見のように,従来の想 用に当たらないことを主張立証すべきであり,それが尽くされない限り,使用停止を命じないことは違法とされるべきである。そして,原子力発電所に関する以下の諸事情からすれば,本件新知見のように,従来の想定を大きく上回る規模の自然災害が想定される場合には,原則とし て使用停止を命じるべきであり,明確な根拠をもって原子炉施設の使用停止を命じなくても災害の防止上支障がないといえる特段の事情を主張立証することができない限り,原子力規制委員会の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用となると認められるものとして,使用停止を命じないことは違法とされるべきである。 すなわち,まず,同条のバックフィット命令を出す要件として,同法43条の3の6第1項4号の基準に適合していない,つまり災害の防止上支障がないとはいえないことなどを定めているから,あらかじめ網羅的一般的に禁止し,法が定める安全の要件を充足した場合にのみ禁止を解除するという許可制の趣旨に鑑み,基準を満たしていないにもかかわらず稼働を 容認することには強い警戒感を持つべきである。具体的には,発電用原子炉施設の設置及び運転に当たっては,同法43条の3の23第1項が要件とする,同法43条の3の6第1項,同法43条の3の14及び同法43条の3の22第1項の各規定に適合していることが義務付けられているのであり,これについて行政庁に裁量権はないのであるから,自然現象に 対し上記各規定に適合していることが認められるまでは,使用停止以外の選択をする裁量権はなく,同法に既存不適格を許容する規定がないことからも,適時に新知見・新基準への適合が義務付けられるというべきである。 また,科学的,専門技術的裁量については,政治的,政策的裁量と異なり,幾つかの見解のうちどれを採るかが行政庁の裁量に委ねられるという も,適時に新知見・新基準への適合が義務付けられるというべきである。 また,科学的,専門技術的裁量については,政治的,政策的裁量と異なり,幾つかの見解のうちどれを採るかが行政庁の裁量に委ねられるというも のではなく,最高水準の科学的知識に基づいて常に最良の判断をすべきで あるところ,科学には不定性があり,地震については複雑系で決定論的な理解が困難な上に実験で再現することができず,更に発生頻度が著しく低いためデータに乏しいという三重苦があり,これは火山も同様であるから,幾つかの科学的学説の中から最良の学説を選択すべきであるというのではなく,科学の不定性を踏まえて判断する必要がある。そして,原子力基 本法が「安全の確保を旨」とし,原子力規制委員会設置法が「事故の発生を常に想定し,その防止に最善かつ最大の努力をしなければならない」とし,同法案が審議された平成24年6月15日の第180回国会の環境委員会決議では「推進側の論理に影響されることなく,国民の安全の確保を第一として行うこと」と決議されていることから,裁量権の行使に当たっ て,参加人の経営上の都合や全国各地の原子力発電所差止訴訟において事業者が不利になり得るといった事情を考慮してはならない。さらに,猶予期限付きのバックチェックしかできず,従来の想定を上回る地震動や津波が想定されていたにもかかわらず,その対策が先送りされている間に,実際に想定を上回る東北地方太平洋沖地震が発生し,福島第一原発事故が起 きたという教訓からバックフィット制度が設けられた趣旨からすれば,瑣末な点に係るバックフィットは格別として,従来の想定を大きく上回る規模の自然災害が想定される場合には,原則として使用停止を命ずべきであり,その後,新たな基準を踏まえた適合性判断をやり直し,安全 ,瑣末な点に係るバックフィットは格別として,従来の想定を大きく上回る規模の自然災害が想定される場合には,原則として使用停止を命ずべきであり,その後,新たな基準を踏まえた適合性判断をやり直し,安全が確認できた場合にのみ再稼働を認めるのが相当であり,このような制度の運用が 立法者の意思である。 これに対し,被告は,裁量処分の義務付けを求める非申請型義務付けの訴えにおける行政庁の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の判断枠組みについて,「許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠く」ことが必要であると主張しており,これは規制権限不行使の場合と同様の規範をいうもの と解されるが,現実に具体的被害が生じた後に規制権限不行使を問題とす るのと,事前に権限を行使しないことの違法性が問題となる義務付けの訴えとでは判断枠組みが異なり,そのような要件は不要である。また,本件新知見は本件設置変更許可処分①の前から存在していた知見を見落としていたものであり,発電用原子炉施設の使用停止どころか設置変更許可の取消しがされるべきである。さらに,被告は,使用停止の命令を選択する ことが許容されるのは,「改造,修理又は移転,発電用原子炉の運転の方法の指定」によっては目的を達成し得ないような事情を要すると主張するが,使用停止よりも移転の方が強力な措置であるし,使用停止かつ改造の命令をすることも予定されているのであり,使用停止以外の手段では目的を達成し得ないような事情は要しない。 ウ使用停止を命じないことの裁量権の範囲の逸脱又はその濫用非申請型義務付けの訴えは,口頭弁論終結時における行政庁の不作為の違法性を問題とするものであるが,同一の根拠法令に基づく処分が先行して行われている場合,行政庁は一旦行われた先行処分と同様の判断をその 申請型義務付けの訴えは,口頭弁論終結時における行政庁の不作為の違法性を問題とするものであるが,同一の根拠法令に基づく処分が先行して行われている場合,行政庁は一旦行われた先行処分と同様の判断をその後も行うことが予想されるから,先行処分において非申請型義務付けの訴 えで義務付けが求められている処分をしなかったことの違法性を検討し,その違法性を非申請型義務付けの訴えにおいても考慮すべきであり,口頭弁論終結時までに新たな審査・判断がされるなど,特段の事情のない限り,先行処分における上記の違法は非申請型義務付けの訴えにおいても違法事由を構成すると解すべきである。 原子力規制委員会は,先行処分に当たる本件バックフィット命令において,本件各原子炉施設の使用停止を命ずることなく,炉規法43条の3の8第1項の設置変更許可に係る申請をすることを命じたにとどまるところ,本件バックフィット命令については,以下の~のとおり,当該命令の時点において,原子力規制委員会が本件各原子炉施設の使用停止を命 じなかったことにつき四つの違法事由があり,これらの違法事由について 本件口頭弁論終結時までに新たな審査・判断がされるなど,特段の事情があるとは認められないから,本件訴えにおいても,原子力規制委員会が本件各処分をしないことがその裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められるべきである。 原子力規制委員会が使用停止を命じなかった根拠の考慮不尽 本件バックフィット命令において,原子力規制委員会が使用停止を命じなかった理由として,①大山が活火山に該当しないこと,②荷重等による影響は小さいこと,が挙げられている。しかし,本件バックフィット命令に先立って,原子力規制委員会の更田豊志委員長及び石渡明委員らは,平成30年12月6 ①大山が活火山に該当しないこと,②荷重等による影響は小さいこと,が挙げられている。しかし,本件バックフィット命令に先立って,原子力規制委員会の更田豊志委員長及び石渡明委員らは,平成30年12月6日,非公開の会合(以下「本件会合」という。) を行い,①特定指導文書により設置変更許可申請を促す案(以下「①案」という。)と,②許可の前提に変更が生じていることを原子力規制委員会が認定しようとする案(以下「②案」という。)を検討し,更田委員長は,①案の方がすごくすっきりすると言いながら,①案でなければ著しく正義に反するというところではなく,②案が正義であるとしてこれを採用 することとしたのであり,①案では,③事業者の原子力発電所差止訴訟等において基準に不適合という論理を生みやすく,これを採用しないこととしたのは,事業者側が敗訴するリスクを考慮していたことが明らかである。また,④事業者に配慮して,できるだけ原子力発電所の停止を命じない方向,すなわち事業者の経済性を優先させていたことも使用停 止命令がなされなかった根拠である。 そして,根拠①(大山が活火山に該当しないこと)については,火山ガイドは,活火山ではないから活動可能性がないとはしておらず,完新世(約1万1700年前以降から現代までを表す地質時代区分)に活動を行ったか否かを確認し,活動を行っていれば無条件で将来の活動可能 性があるものとし,活動を行っていなくても,文献調査や地質調査の結 果を基に過去の活動記録(階段ダイヤグラム)を作成し,終息傾向が顕著であるなど,将来の活動可能性が十分小さいと判断できる場合に当たらない限り,将来の活動可能性がある火山と評価されているのである。 大山の活動可能性については,参加人も原子力規制委員会も認めていたはずで あるなど,将来の活動可能性が十分小さいと判断できる場合に当たらない限り,将来の活動可能性がある火山と評価されているのである。 大山の活動可能性については,参加人も原子力規制委員会も認めていたはずであり,本件設置変更許可申請①において参加人はDKP規模の噴 火の可能性すら肯定していたし,本件補正書においてもDNP規模の噴火の可能性は争われていなかった。しかし,参加人は,DNPの噴出規模の見直しの中で,突如としてDNP規模の噴火の可能性は十分小さいと主張し始めたが,それでも原子力規制委員会はこの主張を受け入れずに本件バックフィット命令に及んだのであるから,大山の活動可能性が 小さいという判断は不合理である。その他,DNP規模の噴火の可能性については,後記のとおりである。 次に,根拠②(荷重等による影響は小さいこと)については,荷重の点と非常用DGのフィルタ目詰まりの点を検討して緊急的な対策は必要ないとするものであるが,火山ガイドは,影響評価の確認事項として, そのほかにも,直接的影響の確認事項として取水設備の閉塞等,換気空調系統のフィルタ目詰まり,中央制御室の居住環境維持,降下火砕物の除去等の対応を挙げ,間接的影響についても確認事項が挙げられているから,検討すべき事項を検討していない点で要考慮事項の不考慮の違法がある。また,原子力規制委員会は,非常用DGについては対応の必要 があるとしているにもかかわらず,十分な検討を行っておらず,さらに,除灰作業の見直しの必要性を認めているにもかかわらず,その対策も十分に検討されていない。加えて,荷重につき,1mの積雪を考慮していることから大きな影響は出ないとの説明がされているが,降下火砕物は,水を含むと湿って重くなり,粘りを増すのであり,20cmの降灰は2 mの降雪 ない。加えて,荷重につき,1mの積雪を考慮していることから大きな影響は出ないとの説明がされているが,降下火砕物は,水を含むと湿って重くなり,粘りを増すのであり,20cmの降灰は2 mの降雪に相当するから,1mの降雪の考慮では足りない上,降雪と降 灰は同時に発生し得るから,降灰による荷重に対する健全性を検討するに際し,降雪による荷重分の余力を考慮すること自体不合理である。 このように,使用停止を命じなかった本件バックフィット命令の根拠①及び②は,検討すべき事項を検討していない点において考慮不尽の違法がある。また,本件バックフィット命令後に新たな審査・判断がされ た特段の事情はなく,この特段の事情については,本件訴訟において被告が主張するだけでは足りず,原子力規制委員会が公開原則に基づいて行われた会議・会合の中で透明性をもって検討したものでなければならない。そして,本件バックフィット命令後の根拠①に関するものとして,令和2年6月19日の第868回原子力発電所の新規制基準適合性に係 る審査会合があるが,この際検討された資料はDNP規模よりも大きなDKP規模の噴火についての研究結果であり,DNP規模の噴火の切迫性が評価・検討されたことはない。また,本件バックフィット命令後の根拠②に関するものとして,本件設置変更許可処分②がされたが,荷重等による影響が小さいことについては,設置変更許可だけではなく,設 計工事計画認可及び保安規定変更認可を受け,更に使用前事業者検査を受けなければ,安全が確認されたとはいえず,原子炉施設の使用停止を命じなくても災害の防止上支障がないといえる特段の事情はない。さらに,参加人による本件設計工事認可申請及び本件保安規定変更認可申請の内容は,保守的に設定しておくべき裕度を食い潰し, 施設の使用停止を命じなくても災害の防止上支障がないといえる特段の事情はない。さらに,参加人による本件設計工事認可申請及び本件保安規定変更認可申請の内容は,保守的に設定しておくべき裕度を食い潰し,かつ,裕度の低 いものである上,3.78g/㎥という気中降下火砕物濃度が過小に評価されている問題がある。その他,降下火砕物の影響及び濃度の問題については,後記のとおりである。 原子力規制委員会が使用停止を命じなかった真の根拠の他事考慮上記のとおり,本件バックフィット命令の根拠①及び②は不合理で あり,本件会合の内容及びその後の規制の経緯に照らせば,原子力規制 委員会が本件各原子炉施設の使用停止を命じなかった真の根拠は,根拠③(事業者の原子力発電所差止訴訟における敗訴リスク軽減)及び④(事業者の使用停止に伴う経済的損失回避)といわざるを得ないが,これは考慮すべきではない事項を考慮したものであり(他事考慮),その裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるものとして違法である。 使用停止を命ずべき基準を策定していなかった違法また,原子力規制委員会は,炉規法43条の3の23第1項に基づき,どのような場合にバックフィット命令を行うのか,どのような場合に原子炉施設の使用停止を命じるのかという具体的な基準を設けていないため,恣意的に運用する可能性を否定することができない。このことが, 本件会合により不透明な判断を許したのであり,原子力規制委員会の判断がその裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められることを推認させる一つの事情である。前掲最高裁平成4年10月29日第一小法廷判決は,行政庁が行った調査審議において用いられた具体的審査基準の合理性と調査審議の判断過程の合理性を審理の対象としており,基準 せる一つの事情である。前掲最高裁平成4年10月29日第一小法廷判決は,行政庁が行った調査審議において用いられた具体的審査基準の合理性と調査審議の判断過程の合理性を審理の対象としており,基準 の存在を当然の前提としているのであり,使用停止の基準が存在しなくてもよいという判断はあり得ない。 基準不適合状態の解消までの対応完了の期限の不存在の違法さらに,本件バックフィット命令には,参加人が設置変更許可申請をする期限こそ付されていたものの,最終的にいつまでに対応を完了させ るかの期限が設けられておらず,ひとまず拙速に設置変更許可申請書を提出しさえすれば,その後は審査を引き延ばすことで違法状態にある本件各原子炉施設の稼働を続けることが可能であり,また,期限を設けなければ,根拠①の大山の活動可能性を判断すべき期間も判断することができない。したがって,このような対応完了までの期限を設けないバッ クフィット命令は違法であり,期限を付さないのであれば,直ちに使用 停止命令を発出すべきである。このことは,耐震バックチェックですら3年という期間が設けられ,特定重大事故等対処施設に関する審査でも5年間猶予という期限が設けられていたことや,アメリカ合衆国(以下「米国」という。)やフランス共和国等,国際的にみても対処の期限を付さない命令はあり得ないことなどからも裏付けられる。 その後,原子力規制委員会は,本件設置変更許可処分②と併せて,DNPの噴出規模の見直しに係る設工認等の手続を完了させるべき期限につき,本件設置変更許可処分②から1年以降の最初の定期検査が開始する日を期限としたが,これは,参加人がDNP規模の噴火に対する対応が完了するとしたスケジュールを基に設定したものにすぎず,考慮不尽 があり不合理であ 処分②から1年以降の最初の定期検査が開始する日を期限としたが,これは,参加人がDNP規模の噴火に対する対応が完了するとしたスケジュールを基に設定したものにすぎず,考慮不尽 があり不合理である。 なお,米国では,バックフィットとして定義されているものだけでなく,オーダーという緊急の場合の適用プロセスや,プラントの安全に関わる通達によって新知見を反映させて安全確保を図ることが行われている。すなわち,バックフィットの実行は,安全上,保安上の重要性及び 当該問題に係る総合的リスクを判断して決められるスケジュールに従い,脅威の切迫性によっては緊急に求められ,原子力事業者共通のスケジュールを決めるが,急を要する場合はオーダーという発令をもって個別の原子力施設にバックフィットの適用を求めているが,いずれにしてもバックフィットの実行にスケジュールは不可欠である。また,バックフィ ットの完了までに長期間を要する問題に対しては,その間,補完措置によって当面の安全性を補強するか,そのような有効な補完措置がない場合には,完了までの期間,原子炉の運転を停止せざるを得ないものとされる。 DNP規模の噴火の可能性並びに降下火砕物の影響及び濃度 DNP規模の噴火の可能性につき,①大山が活火山に定義されていな いとしても,活火山の定義は変遷しているのであり,火山ガイドも活火山か否かによって活動可能性の有無を判断することとしていないから,大山が活火山か否かは活動可能性とは関係がない。仮に大山の現在の活動可能性が高いとはいえないとしても,火山ガイドは,巨大噴火については噴火が差し迫った状態ではないことの確認をするとしているが,D NP規模の噴火についてはそのような評価を行うことを予定しておらず,複数の火山学者も,噴 としても,火山ガイドは,巨大噴火については噴火が差し迫った状態ではないことの確認をするとしているが,D NP規模の噴火についてはそのような評価を行うことを予定しておらず,複数の火山学者も,噴火の切迫性を判定すること自体が不合理であることを指摘しているのであり,参加人が降下火砕物対策を完了するまでの間にDNP規模の噴火が発生する可能性を否定することはできない。 また,②安全研究により,大山起源の各噴火の噴出物の化学組成の分 析がされているが,それによる現在の火山学の水準では噴火の中長期的予測は困難であり,仮説の域を出るものではなく,そのような一つの仮説に基づいて深刻な災害の可能性を非保守的に判断してはならない。安全研究は,DKPのように噴出量が40k㎥を超えるような巨大噴火の活動可能性を評価するための研究であり,DNPのような小規模の噴火 については不適当である。さらに,同研究結果は,約16万年前以前を低噴出率期としているが,大山では40~60万年前に溝口凝灰角礫岩の存在が確認されており,これは「高噴出率期」とされる時期と同程度又はそれ以上の噴出物・噴出率であるから,高噴出率期,低噴出率期という区別自体が恣意的である可能性がある。加えて,最末期の噴出物の 化学組成の近くには高噴出率期の噴出物の化学成分も存在したり,化学成分の分布は非常に多様であったりしており,有意な違いがあるか疑問である。また,高噴出率期と低噴出率期に一応の違いが認められるとしても,その違いが何に由来するかは一層仮説の域を出ない。 ③現在の大山のマグマ溜まりの状態についての地震波トモグラフィ法 を用いた調査結果についても,現在の火山学の水準では,それによる噴 火の中長期的予測は困難であり,仮説の域を出るものではない。この考 マ溜まりの状態についての地震波トモグラフィ法 を用いた調査結果についても,現在の火山学の水準では,それによる噴 火の中長期的予測は困難であり,仮説の域を出るものではない。この考えは,マグマ溜まりにおけるマグマが水に近いような流体であり,水を含まない部分と明瞭に区別できることを前提としているが,実際のマグマ溜りはその大部分がマッシュ状(結晶含有量が40~50%以上でほとんど流動できない状態)であるというのが共通理解になっている。そ うすると,地震波トモグラフィ法によってマグマ溜まりを正確に把握することができない可能性が高く,巨大マグマ溜まりならば別論,DNPのように10k㎥程度のマグマ溜まりについては把握できない可能性が高い。そして,マッシュ状のマグマの再活性化は,数か月から数十年という比較的短期間で一気に発生する可能性があり,最短で数か月で大噴 火に至り得る。また,マグマ溜まりが浮力中立点付近に定置するという考え方については,浮力よりもむしろ地殻内のレオロジー(流動学)や剛性(曲げやねじりの力に対する変形のしづらさ)のコントラスト,応力場(何らかの力が作用する領域)などがマグマの定置深度を支配するらしいという説があり,マグマ溜まりが浮力中立点付近に定置するとは 限らない。 次に,降下火砕物の影響につき,火山灰の密度は,乾燥状態で概ね1g/c㎥程度であるが,湿潤状態になると1~2g/c㎥と乾燥時の2倍程度になり,新雪の10倍程度の密度となる。また,火山灰は,水を含むと粘りを増すところ,乾燥時には絶縁体であるが,水を含んで湿っ た状態になると導電性を持つことがあり,電柱の碍子等に付着した場合,碍子部分の絶縁性が弱くなり,閃絡(絶縁体の耐電圧を超えることで絶縁破壊し,火花や電弧が発生すること あるが,水を含んで湿っ た状態になると導電性を持つことがあり,電柱の碍子等に付着した場合,碍子部分の絶縁性が弱くなり,閃絡(絶縁体の耐電圧を超えることで絶縁破壊し,火花や電弧が発生すること)等による停電等が起こる。さらに,火山灰から硫化イオンが溶出すると,金属腐食を引き起こすところ,火山灰の融点は約1000℃とされており,それより高温となると溶融 し,その後冷えて付着するため,エンジン停止等の異常の原因となる。 したがって,降下火砕物は,大気汚染はもとより,水質汚濁,荷重による建物の倒壊,交通障害,電気・電送系統の障害,コンピュータの機能障害,健康被害など,複数の障害を同時かつ広範囲にもたらす。 この点につき,参加人は,本件各原子炉施設の最大層厚が27cmに変更されることによって評価が変わる影響因子は「荷重」と「閉塞」の みであるとし,これらについて改めて影響を評価している。しかし,「荷重」について,参加人は,簡易評価を行い,発生値が許容値を下回り,構造の健全性が維持されたというが,その判断過程の正しさは不明であり,簡易評価によっても少しの裕度しかない部分もあり,僅かでも想定を上回る事象が発生すれば許容値を超えるものである。「閉塞」について も,非常用DGの吸気フィルタの目詰まりに関し,本件設置変更許可申請②の審査の中では行わず,保安規定の中で審査することとなっており,まともに確認されていない。その後,参加人は,従来のフィルタに装着されていたラビリンス板を取り外すことによりフィルタ流速を遅くし,閉塞時間を延ばすという対策を講じたというが,ラビリンス板は強制的 に流れに乱れを発生させることにより火山灰のはたき落とし効果を期待して取り付けられたものであり,それが期待できなくなる。また,参加 間を延ばすという対策を講じたというが,ラビリンス板は強制的 に流れに乱れを発生させることにより火山灰のはたき落とし効果を期待して取り付けられたものであり,それが期待できなくなる。また,参加人はフィルタの取替えに20分,清掃に60分の合計80分を想定しているが,フィルタの基準捕集容量までの到達時間は濃度3.78g/㎥で94分と計算され,余裕のない状態となっており,フィルタ交換中の 非常用DGは止まっていて2系統健全維持とならないことも問題である。 さらに,参加人の気中降下火砕物濃度の推定は著しい過小評価があり,これは本件バックフィット命令を踏まえたものであっても同様である。 すなわち,参加人は,本件保安規定変更認可申請において,本件各原子炉施設の気中降下火砕物濃度を3.78g/㎥と推定しているが,本 件各原子炉は大山の東方約180kmにあり,美浜原子力発電所3号機 は大山の東方約220kmにあるところ,本件各原子炉よりも遠方にある美浜原子力発電所3号機について参加人が推定する気中降下火砕物濃度は3.91g/㎥であり,火口から遠方になるほど気中降下火砕物濃度が小さくなるという一般的・初歩的な科学的経験則に反している。この原因は,火山灰の粒径が小さいほど終端速度が遅くなり,気中降下火 砕物濃度が高くなるところ,本件各原子炉よりも美浜原子力発電所3号機の方が粒径の小さい分布となっているからであり,参加人は,恣意的に本件各原子炉について大きい粒径が多くなるよう粒径分布を設定している可能性がある。また,参加人が本件各原子炉について設定した粒径分布は,内閣府の大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループ が平成30年12月に公表した資料に示された粒径分布や,1739年の樽前噴火及び2000年の有珠 各原子炉について設定した粒径分布は,内閣府の大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループ が平成30年12月に公表した資料に示された粒径分布や,1739年の樽前噴火及び2000年の有珠山噴火の実測値の粒径分布と比較しても,大きい粒径が多くなっている。これらの粒径分布を用いて試算すると,気中降下火砕物濃度は26.89~58.97g/㎥となり,参加人による気中降下火砕物濃度は,実測値とかけ離れた低い値である。 また,本件各原子炉施設の気中降下火砕物濃度につき,参加人は,Tephra2というシミュレーションソフトによる計算値を用いたというが,その際に設定した粒径分布の根拠や合理性は示されていない。Tephra2は,風速と風向を一定と仮定するため,小規模の噴火のシミュレーションには有効だが,より規模の大きい噴火や風の変化が激し い場合には現実をうまく表現できない可能性があるとされており,また,水平方向の拡散のみを考慮し垂直方向の拡散を考慮せず,垂直に上昇する噴煙柱から粒子が離脱するというモデルに基づいており,傘型領域からの落下が盛り込まれていないなどの問題や不定性を含んでいる。 さらに,降下火砕物のうち,特に粒径の小さい微細粒子は,風化・溶 解等によって消滅したり,検出できなくなったりするため,敷地等で観 測される実測値は,降灰の年代にもよるが,噴火の際の実現象よりも粒径が大きい粒子に偏りやすい。また,火山ガラスは,経年とともに溶解するものとされており,1000年に0.003~0.02mmほど浸食が進むという指摘もあるところ,DNPは約8~9万年前の噴火であり,単純計算で0.24~1.6mmもの浸食があり得,0.125m m未満の粒子はほとんど検出できなくなっている可能性がある。 (被告 むという指摘もあるところ,DNPは約8~9万年前の噴火であり,単純計算で0.24~1.6mmもの浸食があり得,0.125m m未満の粒子はほとんど検出できなくなっている可能性がある。 (被告の主張)ア炉規法43条の3の6第1項4号の基準への適合性参加人は,本件バックフィット命令を受け,DNPの噴出規模に関する火山影響評価に係る既許可処分の基本設計又は基本的設計方針を見直し た上で,令和元年9月26日付けで本件設置変更許可申請②をし,さらに,本件各原子炉施設の敷地における降下火砕物の最大層厚を本件設置変更許可申請②の当初の25cmから27cmに見直して設定したのに対し,原子力規制委員会は,降下火砕物の最大層厚の変更後においても,最大層厚以外の基本設計又は基本的設計方針に技術的成立性があること(既存の 基本設計又は基本的設計方針に基づき,原子炉施設の安全機能を維持する設計とすることができると見込まれること)から,最大層厚の変更以外には本件各原子炉施設の既存の基本設計又は基本的設計方針の変更を要しないとする参加人の方針が妥当であることを確認し,設置許可基準規則6条の要求を満たすものと判断し,令和3年5月19日付けで本件設置変更 許可申請②に対する本件設置変更許可処分②をしたものである。したがって,現時点では,炉規法43条の3の6第1項4号所定の基準への不適合があるとはいえない。 イ使用停止に係る裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無の判断枠組み上記アを措くとしても,裁量処分の義務付けを求める非申請型義務付 けの訴えにおいて本案要件の充足性が認められるのは,口頭弁論終結時 において,当該処分の根拠法令が規定する処分要件の全てが充足されていることを前提として,行政庁において当該処分を けの訴えにおいて本案要件の充足性が認められるのは,口頭弁論終結時 において,当該処分の根拠法令が規定する処分要件の全てが充足されていることを前提として,行政庁において当該処分をしないことが,その権限を定めた法令の趣旨,目的や,その権限の性質等に照らし,具体的事情の下において,許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められる場合に限られる。そして,非申請型義務付けの訴えは,申請権 を有しない原告が行政庁に対し行政処分の発動を積極的に求めるものであることからすれば,本案要件に該当する事実の主張立証責任は原告側が負い,その訴えの性質上,本案要件の充足性の判断基準時は,口頭弁論終結の時点である。 炉規法43条の3の23第1項のバックフィット命令は,既に設置許 可処分を受けた既設の原子炉施設についても,新知見等を取り入れた規制に迅速に対応させて,安全性を向上させるというバックフィットを実現させるための一つの手段であり,これにより,事業者に対して原子炉施設の使用の停止や,改造,修理又は移転,原子炉の運転の方法の指定その他保安のために必要な措置を命ずることができるものであるが,現 に稼働中の原子炉施設について,処分時には認識されていなかった自然ハザードが判明して後発的に基準不適合の状態となり,同項に基づくバックフィット命令発出の要件を満たす場合であっても,当該自然ハザードが当該原子炉施設に与える影響の有無,内容及び程度に違いがあるため,同項は,バックフィット命令の具体的内容として,原子炉施設の「使 用の停止,改造,修理又は移転,発電用原子炉の運転の方法の指定」といった複数の選択肢を例示しつつ,「その他保安のために必要な措置」として具体的な処分内容を一義的に定めず,また,これらの措置「を命ずる の停止,改造,修理又は移転,発電用原子炉の運転の方法の指定」といった複数の選択肢を例示しつつ,「その他保安のために必要な措置」として具体的な処分内容を一義的に定めず,また,これらの措置「を命ずることができる」と定めているのであり,これは,同項が,原子力規制委員会に対し,バックフィットの実現に必要な限度でこれらの措置を合 目的的かつ機動的に選択して行使することについての裁量権を付与して いるからにほかならない。そして,福島第一原発事故後は,新知見等を迅速に規制に取り入れて安全性を継続的に向上させることの重要性が強く認識されたところであり,原子炉施設の安全性を継続して向上させていくためには,最新の科学的・専門技術的知見等を収集・開発することが必要不可欠であるが,その役割を最も果たし得るのは施設の状態等を 最も熟知している事業者自身であり,原子力規制委員会は,新知見等を踏まえた新たな規制基準を新設・変更した場合には,安全上緊急の必要性がある場合には,当該規制基準を即時に適用することもあり得るとしつつ,これに該当しない場合は当該規制基準の決定後一定の期間を経過措置期間として設定し,当該規制基準に対応するための必要な期間を設 定することを基本とし,事業者自らが新知見等の収集・開発に努めるなど事業者としての責任を十分に果たすことを通じて原子炉施設の安全性を実効的に高めることとしているのである。 このように,原子力規制委員会は,原子炉施設の安全の向上のために,使用停止も含めた適時適切な措置を講ずることを命じ得る権限を背景と しつつ,新知見等を反映した基準への適合義務の履行を確保するため,個々の事象における個別具体的事情を踏まえ,柔軟な措置を命じる運用をしているのであって,このような判断の在り方は,原子炉施設 しつつ,新知見等を反映した基準への適合義務の履行を確保するため,個々の事象における個別具体的事情を踏まえ,柔軟な措置を命じる運用をしているのであって,このような判断の在り方は,原子炉施設の安全性確保に関し専門技術的観点からする判断の方法として,十分な合理性を有するものである。また,原子炉施設の「改造,修理又は移転,発電 用原子炉の運転の方法の指定」が現在稼働中の原子炉施設の稼働を前提に採られる措置であるのに対し,「使用の停止」は,現在稼働中の原子炉施設の稼働そのものを許さないという点において重大な影響をもたらす措置である上に,行政庁の規制権限の行使は,当該規制権限行使の相手方とされた者の権利を制約することになる関係で,行政庁が十分な根拠 を持たずに規制権限を行使すれば,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用と して違法となる余地があり,事業者のバックフィット命令違反については原子炉設置許可の取消し又は1年以内の原子炉の運転の停止のほか,刑罰まで定められているのであるから,原子炉施設の使用停止命令を発出するためにはそれを正当化できるだけの合理的な根拠が必要である。 このようなバックフィット命令の制度の趣旨,目的や原子炉施設の使 用停止命令の性質等に鑑みれば,バックフィット命令において原子炉施設の使用停止命令の処分を選択することが許容されるのは,「改造,修理又は移転,発電用原子炉の運転の方法の指定」によってはバックフィットの目的を達成し得ないような事情のある場合,換言すれば,「使用の停止」措置を選択することの相当性を基礎付ける具体的な事情が認められ る場合であることを要するというべきであり,原子力規制委員会は,バックフィット命令により自然現象に係る新知見等を規制に取り込む場合において,原子炉施設 当性を基礎付ける具体的な事情が認められ る場合であることを要するというべきであり,原子力規制委員会は,バックフィット命令により自然現象に係る新知見等を規制に取り込む場合において,原子炉施設の使用停止を命ずるか否かの判断に当たっては,当該新知見等に係る自然現象により原子炉施設の安全性に対する危険が現実化する可能性の程度を個別具体的に検討する必要があるというべき である。 ウ使用停止を命じないことが裁量権の範囲の逸脱又はその濫用となるとは認められないこと本件バックフィット命令の発出時点における検討事項原子力規制委員会は,本件バックフィット命令の発出時点において, 本件各原子炉施設について,本件新知見を規制に参酌した上で,DNPの噴出規模は11k㎥程度と見込まれ,これを火山影響評価において想定すべき自然現象であることを前提として,本件バックフィット命令を発出したものであるが,本件新知見は,飽くまで,平成27年度の安全研究等を踏まえた上で規制対応の在り方が議論された結果,DNPの噴 火規模に関する研究の知見を採用して,設計上想定する自然現象の強度 を引き上げたというものであり,原子炉施設の迅速かつ継続的な安全性の向上というバックフィット制度の趣旨,目的に沿って,参加人から提供された情報等を踏まえて,本件新知見を規制に取り入れるというバックフィットを実施するに際し,本件新知見に係る自然現象により本件原子炉施設の安全性に対する危険が現実化する可能性がどの程度あるのか について,ⅰDNPと同程度の噴出規模の噴火の発生が差し迫った状況にあるか,ⅱ同噴火を想定した場合における本件各原子炉施設が受ける影響の有無及び程度という二つの観点から検討したものである。 本件バックフィット命令の発出時点に 出規模の噴火の発生が差し迫った状況にあるか,ⅱ同噴火を想定した場合における本件各原子炉施設が受ける影響の有無及び程度という二つの観点から検討したものである。 本件バックフィット命令の発出時点における具体的検討まず,ⅰについては,以下のとおり,①大山は,そもそも活火山に分 類されておらず,活動性が高い火山とは評価されていない上,②地球物理学的調査によっても,大山の活動を示唆する結果は示されておらず,③後記のとおり,大山起源の各噴火の噴出物についての岩石学的な検討結果を見ても,現在の大山の活動性の低下が示されており,大山の状態に関する最新の知見に照らしても,大山の噴火が差し迫った状態にあ ることを示すものではなかった。 すなわち,①活火山とは,平成15年に火山噴火予知連絡会により,概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山をいうものと定義され,その選定に係る活火山数は111に上っているが,大山は活火山に選定されていない。さらに,火山噴火予知連絡会は, 平成21年6月,今後100年程度の中長期的な噴火の可能性及び社会的影響を踏まえ,「火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある火山」として活火山から47火山を選定し,平成26年11月に3火山を追加し,これら50火山については,気象庁の下で,噴火の前兆を捉えるため,常時観測・監視が行われているが,大山は当然のことなが らこの対象に含まれていない。このように,大山は,活火山に該当する 火山ではなく,現在における活動性が高い火山とは評価することができない。 また,②噴火が起こる前には,マグマが地下の一定の深さに定置するという考え方が火山学において広く受け入れられており,我が国においては,マグマの中心的役割を果たす玄武 とは評価することができない。 また,②噴火が起こる前には,マグマが地下の一定の深さに定置するという考え方が火山学において広く受け入れられており,我が国においては,マグマの中心的役割を果たす玄武岩質(粘性が低く,高温で,密 度が高い)のマグマ溜まりが地下10~12kmを浮力中立点(マグマの密度が周囲の密度と均衡してとどまる位置)として存在し,そこを起点として珪長質(粘性が高く,低温で,密度が低い)のマグマ溜まりが生成されると,そのマグマ溜まりが更に浅所の浮力中立点に移動するとの考え方が示されているところ,大山周辺の地下構造について地球物理 学調査手法の一つである地震波トモグラフィ法による検討を行った結果を見ると,地震波の低速度領域の存在と大山の西方で生じている低周波地震の存在から,同領域にマグマ溜まりが存在する可能性が示唆されるものの,これがマグマ溜まりであると仮定しても,これらの低速領域は20km以深に位置しており,我が国において火山活動の中心的役割を 果たすとされる玄武岩質マグマの浮力中立点(地下10~12km)に比して多分に深い位置にあり,大山の地下浅部に噴火を発生させるだけのマグマ溜まりの存在は認められなかった。 次に,ⅱについては,原子力規制庁は,本件バックフィット命令の発出前において,越畑地点のDNPの降灰層厚を25cmと評価し,参加 人は,本件報告書において,DNPの降灰層厚からDNP噴出量を試算し,算出された噴出量の中で最大の11.0k㎥を採用した上で,移流拡散モデルを用いたシミュレーションにより降下火砕物の最大層厚を算出し,本件各原子炉施設の敷地における降下火砕物の最大層厚が21. 9cmと算出されたことを報告し,原子力規制委員会は,同数値が議論 の前提に足りるものと評価 ョンにより降下火砕物の最大層厚を算出し,本件各原子炉施設の敷地における降下火砕物の最大層厚が21. 9cmと算出されたことを報告し,原子力規制委員会は,同数値が議論 の前提に足りるものと評価することができると判断した。また,降下火 砕物の静的荷重に対する本件各原子炉施設の裕度については,平成30年10月の情報収集交換会における参加人の説明内容及び本件報告書のとおり,本件各原子炉施設の建屋の最も小さい許容層厚が短期の部材評価では28cm程度,建屋以外の施設(復水タンク)の許容層厚が実力評価では高浜原子力発電所3号機が70cm,同4号機が100cm以 上対処可能であるとされており,降下火砕物が非常用DGに与える影響についても,平成30年10月の情報収集交換会における参加人の説明内容及び本件報告書のとおり,想定層厚が10cmの場合,フィルタの閉塞には5倍の裕度を有するものであることが明らかにされており,既存の原子力施設の裕度や事業者に期待される事故の発生及び拡大の防止 に必要な措置を実施するための能力等を踏まえてみた場合に,DNPの噴出規模の噴火による降下火砕物により本件各原子炉施設が大きな影響を受けるおそれがあるとはいえなかった。そのため,原子力規制委員会は,参加人に対し,設置変更許可申請を命ずる本件バックフィット命令を発出したが,本件各原子炉施設の使用の停止を命ずることをしなかっ たものである。 このように,原子力規制委員会は,事業者にまず原子炉施設の安全性確保の第一義的責任を果たさせるという点を意識しつつも,基準不適合と認めた場合には,バックフィットの実現に必要な限度で,炉規法43条の3の23第1項が定める「使用の停止,改造,修理又は移転,発電 用原子炉の運転の方法の指定その 点を意識しつつも,基準不適合と認めた場合には,バックフィットの実現に必要な限度で,炉規法43条の3の23第1項が定める「使用の停止,改造,修理又は移転,発電 用原子炉の運転の方法の指定その他保安のために必要な措置」を合目的的かつ機動的に選択して行使するという観点からの検討を具体的に行うことにより,バックフィット制度の趣旨,目的を十分に踏まえ,本件各原子炉施設の安全性を確保するための手段として本件バックフィット命令の発出という措置を執ったものであり,本件バックフィット命令の発 出時点において,本件各原子炉施設の安全性に対する危険が現実化する 可能性の程度を具体的に検討した上で,本件各原子炉施設の使用の停止を命ずることをしなかったものである。 本件設置変更許可処分②における審査・検討さらに,本件バックフィット命令を受けて,参加人が行った本件設置変更許可申請②に対する審査においても,以下のとおり,既存の原子炉 施設の裕度や事業者に期待される事故の発生及び拡大の防止に必要な措置を実施するための能力等を踏まえてみた場合に,DNPの噴出規模に係る本件新知見に基づき想定される火山事象(降下火砕物)により本件各原子炉施設が大きな影響を受けるおそれがあるとはいえないとの見解を覆すような知見は得られていないことが改めて確認されたものであり, また,本件設置変更許可処分②の時点においても,大山の噴火が差し迫ったものであるとはいえないとの本件バックフィット命令時の評価を覆すような事情が明らかになることはなかったものである。 すなわち,参加人は,本件設置変更許可申請②において,DNPの噴出規模を11.0k㎥と再評価し,この噴火による移流拡散シミュレー ションを行った上,越畑地点と本件各原子炉施設 。 すなわち,参加人は,本件設置変更許可申請②において,DNPの噴出規模を11.0k㎥と再評価し,この噴火による移流拡散シミュレー ションを行った上,越畑地点と本件各原子炉施設との距離関係も踏まえ,本件各原子炉の敷地における降下火砕物の最大層厚を改めて評価し,これを27cmと設定し,この最大層厚の変更に基づき,既許可処分の基本設計又は基本的設計方針を見直したものの,同変更後においても,既許可処分において妥当とされた本件設置変更許可申請①の内容を変更す る必要はないものと判断し,その方針を原子力規制委員会に示し,さらに,最大層厚が27cmに変更されることによって評価が変わる影響因子が「荷重」と「閉塞」であるとし,これらについて影響評価が必要な項目について,降下火砕物の最大層厚の変更後においても,層厚の変更以外の基本設計又は基本的設計方針に技術的成立性があり,既許可処分 で妥当とされた基本設計又は基本的設計方針を変更する必要がないもの と判断し,その方針を原子力規制委員会に示したものであり,具体的には,①降下火砕物による荷重については,施設を内包する建屋,屋外施設等に対する静的負荷の影響について簡易評価を行い,本件各原子炉施設の建屋の最も小さい許容層厚が46cm,建屋以外の施設(復水ポンプ)の許容層厚が40.7cmとされ,屋外施設(海水ポンプ)につい ても,降下火砕物の最大層厚を27cmとした堆積荷重により発生する応力が,許容応力と比較して,十分な裕度を有しているとされるなど,いずれの施設も降下火砕物による荷重又は応力の発生値が各施設の許容限界を下回り,各施設の構造健全性が維持されるとし,②降下火砕物による閉塞についても,出口配管内に降下火砕物が侵入・堆積した場合で も,堆積荷 下火砕物による荷重又は応力の発生値が各施設の許容限界を下回り,各施設の構造健全性が維持されるとし,②降下火砕物による閉塞についても,出口配管内に降下火砕物が侵入・堆積した場合で も,堆積荷重と比較して噴出力が十分に大きいことから,閉塞が生じず,必要な機能が維持され,また,建屋の屋根部や屋根タンク等に堆積する降下火砕物を30日を目途に速やかに除去することが可能であり,かつ,除去した降下火砕物を保管する場所も十分な容量を有しているとの評価結果を示したものである。これを受けて,原子力規制委員会は,DNP の噴出規模の変更を前提としても,最大層厚の変更以外の基本設計又は基本的設計方針の変更を要しないことを確認するとともに,変更後の想定される降下火砕物の最大層厚を前提としても,既存の基本設計又は基本的設計方針に基づき,本件各原子炉施設の安全機能を維持する設計とすることができると見込まれることを確認して,本件設置変更許可処分 ②を行ったものである。このように,本件設置変更許可申請②に対する審査において,DNPの噴出規模の見直しに伴い,本件各原子炉施設の敷地における降下火砕物の最大層厚が27cmに変更されたことを受け,これによる荷重や閉塞の影響を評価検討しても,既存の基本設計又は基本的設計方針に基づき,本件各原子炉施設の安全機能を維持する設計と することができると見込まれることが確認されるに至っている。 大山の活動性の低下その他,前記ⅰの大山の噴火につき,大山起源の各噴火の噴出物の化学組成の分析・比較の結果を見ても,以下のとおり,現在の大山の活動性の低下が示されている。 すなわち,原子力規制庁は,産総研に対し,平成26年度から平成3 0年度にわたり安全研究を委託し,その研究の一部 果を見ても,以下のとおり,現在の大山の活動性の低下が示されている。 すなわち,原子力規制庁は,産総研に対し,平成26年度から平成3 0年度にわたり安全研究を委託し,その研究の一部として平成27年度から平成29年度にかけて大山の火山活動に係る研究が行われたが,大山起源の各噴火の噴出物についての化学組成の分析・比較をしたところ,その噴出物(マグマ)の化学組成(Sr(ストロンチウム)/Y(イットリウム)比やNb(ニオブ)/Y-Ba(バリウム)比)は,約16 万年以前の「低噴出率期」とDNPやDKPといった大規模な噴火が続いた約10万年前から2万8000年前の「高噴出率期」とで明瞭に異なっており,さらに「最末期」に当たる約2万1000年前の噴火における噴出物(マグマ)の化学組成が再び低噴出率期のそれに近いものとなっていることが判明した。このように高噴出率期と低噴出率期とで噴 出物(マグマ)の化学組成が異なるのは,高噴出率期には地下深くにある高温マントルの寄与により含水量の高いマグマが大量に生産される状況にある反面,低噴出率期にはそのような高温マントルの寄与が大きくなかったことに原因があると考えられ,さらに,最末期における噴出物(マグマ)の化学組成が低噴出率期のそれに戻っているということは, 高噴出率期である約10万年前に始まった高温マントルの関与が約2万年前にはほとんどなくなったことを意味するものと解され,大山火山の活動の低下を示すものといえる。 加えて,安全研究を行った山元孝広らは,平成27年度から平成29年度にかけての研究結果を基に,令和元年,「Geochemicalvariationsof theQuaternaryDaisenadakites,SouthwestJapan, 年度にかけての研究結果を基に,令和元年,「Geochemicalvariationsof theQuaternaryDaisenadakites,SouthwestJapan,controlledby magmaproductionrate」(「第四紀大山アダカイト(西南日本)の地球化学的変化は,マグマ生産率によって支配される」)と題する論文(以下「YamamotoandHoang(2019)」という。)を発表したところ,これによれば,大山火山の高噴出率期の噴出物は低カリウム群の組成を持ち,下部地殻同化作用(地殻内部を上昇するマグマが地殻の構成岩を溶解し, これにより当該マグマの化学組成が変化すること)の影響の度合いが高かったことが示唆され,2万8600~2万7600万年前の弥山噴火の後,噴出率は減少し,噴出物は高カリウム群の組成を持つようになり,この変化はマグマ流入が減少したときには効果的な下部地殻同化作用が起こらなかったことを示唆するものであり,現在の大山の活動性の低下 が示されている。 小括以上のとおり,前記ⅰ及びからすれば,現時点において,大山の噴火が差し迫った状況にあるとはいえず,また,前記ⅱ及びからすれば,現時点において,既存の原子炉施設の裕度や事業者に期待される 事故の発生及び拡大の防止に必要な措置を実施するための能力等を踏まえてみた場合に,DNPの噴出規模に係る新知見に基づき想定される火山事象(降下火砕物)により本件各原子炉施設が大きな影響を受けるおそれがあるとはいえない。したがって,原子力規制委員会が参加人に対して本件各原子炉施設について使用の停止を命じないことは,炉規法4 3条の3の23第1項の規定の趣旨,目的や,その権限の性質等 それがあるとはいえない。したがって,原子力規制委員会が参加人に対して本件各原子炉施設について使用の停止を命じないことは,炉規法4 3条の3の23第1項の規定の趣旨,目的や,その権限の性質等に照らし,具体的事情の下において,許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くものとは認められないから,その裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められる余地はない。 エ原告らの主張について 原告らは,原子力規制委員会が使用停止を命じなかった根拠(①大山 が活火山に該当しないこと,②荷重等による影響は小さいこと)につき考慮不尽の違法があると主張するが,前記イのとおり,そもそも,バックフィット命令の発出の要否並びにその時期及び内容については,各専門分野の学識経験者等を擁する原子力規制委員会の科学的,専門技術的知見に基づく裁量判断に委ねられているものである。加えて,参加人 からの情報収集や現地調査の実施等を経た原子力規制委員会における審議によって,前記ウⅰ及びのとおり,大山の噴火が差し迫った状態にあるとはいえない上,前記ウⅱのとおり,DNPの噴出規模の噴火による降下火砕物により本件各原子炉施設が大きな影響を受けるおそれがあるとはいえなかったことから,本件バックフィット命令の内容とし て,「使用の停止」措置を選択することの相当性を基礎付ける具体的な事情が認められないとして,本件各原子炉施設の使用の停止を命ずるとの判断に至らなかったのであり,考慮不尽とされる点はない。原告らの上記主張は,結局のところ,将来の火山活動について的確に予知又は予測できない以上,本件各原子炉施設について,DNPを火山影響評価にお いて考慮することとされ,本件各原子炉の運転期間中におけるDNPの噴出規模の噴火が「発生する 山活動について的確に予知又は予測できない以上,本件各原子炉施設について,DNPを火山影響評価にお いて考慮することとされ,本件各原子炉の運転期間中におけるDNPの噴出規模の噴火が「発生する可能性が十分に小さい」とはいえないこととされたという抽象的な可能性をもって,本件バックフィット命令において本件各原子炉施設の使用停止を命じなかったことの違法性を主張するものにほかならず,バックフィット命令における使用停止の措置の位 置付けを正解しないものである。 また,原告らは,バックフィット命令の根拠とし得る事情が,原子力規制委員会の会議・会合において検討されたものでなければならないかのように主張するが,裁量処分の義務付けを求める非申請型義務付けの訴えにおいては,口頭弁論終結時を基準に裁量権の範囲の逸脱又はその 濫用の有無が判断されるものであるから,原子力規制委員会の会議・会 合で検討されたものに限られるものではない。さらに,原告らは,安全研究は,DKPのような噴出量が40k㎥を超えるような巨大噴火の活動可能性を評価するための研究であり,DNPのような小規模の噴火についての研究ではないと主張するが,安全研究においては,噴出規模が数十万k㎥を超えるような巨大噴火のみならず,噴出量が1~数十k㎥ 程度の大規模噴火に関しても,噴火の準備過程から噴火に至るまでの履歴と噴火プロセスについて,地質学的な調査に加え,噴出物の岩石学的な検討を行い,火山活動の休止期から準備期へと至る事例に関する知見を蓄積しているところであり,その一部を構成する大山の火山活動に係る研究では,大山の過去約20万年間の噴火層序の見直しとマグマ噴出 量の再計測が行われ,新たに積算マグマ噴出量の階段図が作成された上,この階段図を基にマグマ組成 部を構成する大山の火山活動に係る研究では,大山の過去約20万年間の噴火層序の見直しとマグマ噴出 量の再計測が行われ,新たに積算マグマ噴出量の階段図が作成された上,この階段図を基にマグマ組成の時系列変化についての検討が行われたものであり,当然のことながら,この検討対象にはDKPのみならずDNPも含まれている。 原告らは,本件会合の内容及びその後の規制の経緯に照らせば,参加 人の原子力発電所差止訴訟における敗訴リスク軽減及び本件各原子炉施設の使用停止に伴う参加人の経済的損失回避という他事考慮をした違法があると主張する。 しかし,本件会合は,秘密会議ではなくブレーンストーミングであり,成案とはなり得ないような案も取り上げて原子力規制委員会の事業者に 対する対応が十分な根拠を有するものであるかどうかを検討するためにあえて事業者側の立場に立って考えてみるなどのことも行われるものであり,原子力規制委員会の判断を決するものではない。また,そもそも①案とされているのは特定指導文書により設置変更許可申請を求めるものであり,特定指導文書とは行政指導をする際に発出する文書であって, 直ちにバックフィット命令を発出する案ではない。そして,本件会合当 時,本件新知見により本件各原子炉施設の敷地における降下火砕物の最大層厚に影響が生じ,既許可処分の評価に用いた前提条件に有意な変更が生じる可能性があったものの,それは可能性があるにとどまっており,具体的な影響の程度は明らかではなく,原子力規制委員会と参加人との間で見解の齟齬もある状況下で①案による行政指導による設置変更許可 申請を要請しても,参加人による任意の履行が確実にされるとは限らなかったのであり,科学的事実,技術的データが確定される前の時点で,原子力規制委 ある状況下で①案による行政指導による設置変更許可 申請を要請しても,参加人による任意の履行が確実にされるとは限らなかったのであり,科学的事実,技術的データが確定される前の時点で,原子力規制委員会が講じ得る規制対応としては,報告徴収命令を発出するのがせいぜいであり,本件各原子炉施設が設置許可基準に適合していないと認定した上での対応を採ることは困難な状況であったから,報告 徴収命令により本件各原子炉施設における降下火砕物の最大層厚を明らかにし,本件各原子炉施設が基準不適合と認定される状況か否かを確定してから手続を進めるという方法は極めて自然な対応であり,バックフィット命令発出の基礎となる情報収集を迅速に行ったのである。 実質的にも,本件新知見は,原子力規制庁が産総研に委託した安全研 究の結果を受けて,原子力規制委員会が自ら同委員会と見解を異にする参加人の見解を排して規制に取り入れることにしたものであり,仮に参加人の利益に配慮したのであれば,そもそも本件新知見を規制に取り入れない選択をしたはずであり,本件各原子炉施設の使用停止に伴う参加人の経済的損失回避に配慮したものではない。 また,原告らは,本件バックフィット命令の発出時に原子炉施設の使用停止を命じるか否かの処分基準が定められていないことが違法であると主張する。しかし,バックフィット命令により自然現象に係る新知見等を規制に取り込む場合,その内容は多種多様なものが想定され,既存の原子炉施設の裕度等も異なるから,原子炉施設の使用停止を命ずるか 否かの判断に当たっては,原子炉施設の安全性に対する危険が現実化す る可能性の程度を個別具体的に検討する必要があり,処分基準を定めるのは困難であって,原子力規制委員会も設置許可基準規則及び技術基準規 っては,原子炉施設の安全性に対する危険が現実化す る可能性の程度を個別具体的に検討する必要があり,処分基準を定めるのは困難であって,原子力規制委員会も設置許可基準規則及び技術基準規則の規定を超えて具体的な処分基準を作成することは困難としている。 さらに,原告らは,本件バックフィット命令には対応完了までの期限が付されておらず,審査を引き延ばすことにより違法状態にある本件各 原子炉の運転を継続できることになるから,このような対応完了の期限の不存在は違法であると主張する。 しかし,そもそも本件各原子炉施設について使用停止命令を選択すべき事情は認められないから,原告らの主張は失当である。また,本件バックフィット命令に対応完了までの期限が付されなかったのは,新知見 に対応した設備の追加等の具体的措置の要否及び内容については,設計工事計画認可や保安規定変更認可といった後段規制の審査において最終的に確定するものであり,設置変更許可の審査すら実施されていない時点で対応完了までに必要な合理的期間を科学的根拠をもって設けることはできなかったためである。もっとも,原子力規制委員会は,後段規制 においても新知見に対応する措置を迅速に行わせる必要性は認識しており,本件バックフィット命令の発出時からその旨の認識を示し,本件設置変更許可処分②の際も,その後の設計及び工事の計画の認可その他の処分並びに検査等の取扱いについて決定し,設計工事計画認可,保安規定変更認可並びに使用前事業者検査及び使用前確認(設工認等)の手続 を完了させるべき期限につき,本件設置変更許可処分②の許可日から1年以降の最初の炉規法43条の3の16第1項の検査(定期事業者検査)において原子炉を起動するために必要な検査を開始する日として一定の期限を付し, べき期限につき,本件設置変更許可処分②の許可日から1年以降の最初の炉規法43条の3の16第1項の検査(定期事業者検査)において原子炉を起動するために必要な検査を開始する日として一定の期限を付し,この期限までに上記手続が完了していない発電用原子炉施設は,運転の前提条件を満たさないものと判断するとして,原則として 運転の停止を求めることを明らかにしている。 したがって,原子力規制委員会が本件バックフィット命令において期限を付して設置変更許可申請を命じたことに不合理な点はなく,また,現在では後段規制の対応完了までの期限が定められているから,その裁量権の範囲を超え又はその濫用となる違法事由はない。 原告らは,DNP規模の噴火の可能性につき,大山において40~6 0万年前に溝口凝灰角礫岩の存在が確認され,これは高噴出率期と同程度又はそれ以上の噴出物が確認できるから,高噴出率期と低噴出率期という区別が恣意的であると主張するが,溝口凝灰角礫岩に対する年代測定が実施された結果,約60万年前から約40万年前にかけて堆積にかなりの時間を要したと考えられているから,これをもってDNPやDK Pといった大規模な噴火が続いた高噴出率期と同様のものとはいえない。 また,原告らは,マグマ溜まりにおけるマグマが流体とは限らず,マッシュ状のマグマが再活性化して最短で数か月で大噴火に至り得ると主張するが,YamamotoandHoang(2019)は,将来的に大山が大噴火を起こすには,新たなフレアアップ(高噴出率)を引き起こす溶解スラブ から新たなマグマの大量貫入による下部地殻の再加熱が必要である旨を説明するものであり,これは下部地殻を構成する岩石を溶解させるための溶解スラブからのマグマにより「加熱」させることであり,マグ から新たなマグマの大量貫入による下部地殻の再加熱が必要である旨を説明するものであり,これは下部地殻を構成する岩石を溶解させるための溶解スラブからのマグマにより「加熱」させることであり,マグマ溜まりの再活性化を示すものではないから,原告らの上記主張はその前提を欠く。さらに,原告らは,噴出物の化学組成の違いに有意な差がある か疑問であり,一応の違いが認められるとしてもそれが何に由来するかは仮説の域を出ないと主張するが,この有意差があると判断した安全研究は,火山の専門家集団である産総研の中にある地質調査総合センターが実施し,専門的知見に基づいて有意差があると評価し,これがマグマに係る高温マントルの寄与の大小により説明できるとしたのであり,そ の研究結果は信頼性の高いものである。 また,原告らは,降下火砕物の濃度につき,本件各原子炉施設について,本件バックフィット命令を踏まえた参加人の気中降下火砕物濃度の推定であっても著しい過小評価があると主張するが,気中降下火砕物濃度の評価は保安規定変更認可における審査事項であり,設置変更許可処分における審査事項ではないから,炉規法43条の3の6第1項4号の 「基準に適合していないと認めるとき」との要件とは関係がなく,本件設置変更許可処分②の審査対象にもなっていないから,原子力規制委員会が気中降下火砕物濃度を過小評価する判断をしたとはいえない。なお,参加人は,本件設置変更許可処分②の後,本件保安規定変更認可申請をし,気中降下火砕物濃度を3.78g/㎥と評価しているが,これは, 平成29年11月19日に改正された火山ガイド(以下「平成29年火山ガイド」という。)を参考にして運用期間中に想定される降下火砕物27cmが24時間で堆積すると仮定して算出したものであ は, 平成29年11月19日に改正された火山ガイド(以下「平成29年火山ガイド」という。)を参考にして運用期間中に想定される降下火砕物27cmが24時間で堆積すると仮定して算出したものであり,過小評価があるとはいえない。 さらに,原告らは,大山からみて本件各原子炉より遠い美浜原子力発 電所3号機の気中降下火砕物濃度が本件各原子炉より大きくなるのは不自然であり,参加人が粒径分布について恣意的な操作をしたかのような主張をするが,気中降下火砕物濃度は降灰量の多寡ではなく粒径分布の違いに支配され,相対的に粒径の小さい火砕物は火山から遠い距離まで運ばれ,かつ,気中に長時間滞在し,気中降下火砕物濃度が高くなるこ とがあり得るから,不自然ではなく,参加人が粒径分布の計算で用いたTephra2によるシミュレーションでは,特定の噴火における各地点の降下火砕物の堆積量及び粒径分布のデータが同時に出力されるから,ある特定の地点の粒径分布を恣意的に操作しようとすると,他のあらゆる地点の粒径分布に影響するのであり,そのような操作は不可能である し,原子力規制委員会は,Tephra2の技術的限界を踏まえて,参 加人が設定した降下火砕物の最大層厚が,火山ガイドや最新の文献調査及び地質調査結果を踏まえ,降下火砕物の分布状況,Tephra2による不確かさを考慮した降下火砕物シミュレーション結果及び越畑地点におけるDNPの実績層厚と大山から本件各原子炉までの距離関係から総合的に評価し,適切に設定されているから,妥当であると判断したも のである。 また,原告らは,一般的な粒径分布に係る知見や大山以外の噴火事例の実測値と比較して参加人の気中降下火砕物濃度の推定が過小である,小さい粒径の気中降下火砕物は,風化・溶解等の作用に のである。 また,原告らは,一般的な粒径分布に係る知見や大山以外の噴火事例の実測値と比較して参加人の気中降下火砕物濃度の推定が過小である,小さい粒径の気中降下火砕物は,風化・溶解等の作用により消滅するか又は検出できなくなるため,実測値は実際よりも小さい粒径が多い粒径 分布になると主張するが,前者については,原告らが気中降下火砕物の推定に用いたものはいずれも比較対象とするには不適切なものであり,後者については,参加人のTephra2によるシミュレーションは,Tephra2の推奨値であるセントヘレンズ山噴火による全粒度分布を用いており,これは昭和55年に発生したごく最近の噴火であるから, 風化・溶解等の影響を考慮する必要はない。 その他,原告らは,米国のバックフィット制度やその運用を採用すべきであるかのような主張をするが,原子力規制委員会設置法1条における「確立された国際的な基準」とはIAEA(国際原子力機関)の策定する安全基準をその一例とするものであり,米国におけるバックフィッ ト制度やその運用が「確立された国際的な基準」ということはできない。 また,IAEAの安全基準であっても,法的に加盟国を拘束するものではなく,加盟各国がそれぞれの判断により国の規制に取り入れるという運用がされている。したがって,米国のバックフィット制度やその運用を採用すべきかのような主張は理由がない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実等前提事実等に加えて,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実等が認められる。 ⑴ 平成24年改正前における許可基準への適合性確保の枠組みア平成24年改正前の下においては,工事計画認可の基準が発電用原子炉 施設に関する技術基準を定める省令(昭和49年通 認められる。 ⑴ 平成24年改正前における許可基準への適合性確保の枠組みア平成24年改正前の下においては,工事計画認可の基準が発電用原子炉 施設に関する技術基準を定める省令(昭和49年通商産業省令第62号)に定められ,経済産業大臣は,実用発電用原子炉施設に係る事業用電気工作物が経済産業省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは,事業用電気工作物を設置する者に対し,その技術基準に適合するように事業用電気工作物を修理し,改造し,若しくは移転し,若しくはその使用を 一時停止すべきことを命じ,又はその使用を制限することができ(平成24年改正前の電気事業法40条),また,主務大臣である経済産業大臣は,原子炉施設の保全,原子炉の運転等に関する措置が主務省令等の規定に違反していると認めるときは,原子炉設置者に対し,原子炉施設の使用の停止,改造,修理又は移転,原子炉の運転の方法の指定その他保安のために 必要な措置を命ずることができた(平成24年改正前炉規法36条1項)。 もっとも,新知見等が得られたことにより,原子炉施設の位置,構造及び設備に係る設置(変更)許可基準(許可基準)が見直された場合や,許可基準は変更されないものの既に設置許可を受けている原子炉施設が許可基準に適合しなくなった場合等において,原子炉設置者に対し,当該許 可基準に適合させるための措置を法的に義務付ける枠組みは存在せず,地震や津波等に係る許可基準が見直された場合においても,既に設置許可を受けている原子炉施設を新たな許可基準に適合させるためには,原子炉設置者が自主的に設置変更許可の申請をしない限り,新知見等を踏まえた許可基準に適合するための原子炉施設の改造等を行わせることができず,原 子炉設置者に対し,新たな許可基準に照らした調査(バッ 設置者が自主的に設置変更許可の申請をしない限り,新知見等を踏まえた許可基準に適合するための原子炉施設の改造等を行わせることができず,原 子炉設置者に対し,新たな許可基準に照らした調査(バックチェック)を 行わせ,同基準に適合するよう任意の履行を前提とする行政指導に依拠せざるを得なかった。(弁論の全趣旨)イ上記の法的枠組みの下において,原子力安全委員会は,平成18年9月,「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」を改訂し,原子力安全・保安院(以下「保安院」という。)は,原子力事業者に対し,既設の発電用 原子炉施設等について上記指針に照らした耐震安全性の評価(以下「耐震バックチェック」という。)を実施し,その結果を報告するよう指示したが,これに先立ち,電気事業者連合会は,原子力安全委員会に対し,耐震バックチェックに3年程度の猶予期間を設けることを要望していた。 その後,平成19年7月16日に発生した新潟県中越沖地震により東京 電力柏崎刈羽原子力発電所において設計時の想定地震動を大きく上回る地震動が観測されたことを受け,同月20日,経済産業大臣は,電力会社等に対し,耐震バックチェックの実施計画の見直しについて検討を行い,1か月を目途に検討結果を報告するよう求めた。これに対し,電力会社等は,同年8月20日,耐震バックチェックの実施計画の見直しに関する報 告をし,東京電力は,福島第一原発の耐震バックチェックの最終報告時期の予定を平成21年6月としていたが,同月に最終報告を提出することはなく,社内では最終報告の提出予定を平成28年1月としていた。 保安院は,平成23年3月,東京電力に対し,ヒアリングを実施し,平成24年10月を目途に結論が出される予定の土木学会における検討結果 までに耐震 告の提出予定を平成28年1月としていた。 保安院は,平成23年3月,東京電力に対し,ヒアリングを実施し,平成24年10月を目途に結論が出される予定の土木学会における検討結果 までに耐震バックチェックの最終報告書が提出されないと問題であり,なるべく早く津波対策を検討して耐震バックチェックの最終報告書を提出するよう促したものの,対策工事を実施するよう明確に要求することはなかった。(以上につき,甲F1,乙B4~10)⑵ 福島第一原発事故の発生 ア平成23年3月11日午後2時46分,三陸沖(牡鹿半島の東南東,約 130km付近)深さ約24kmを震源とするマグニチュード9の東北地方太平洋沖地震が発生した。この時,福島第一原発の1~3号機は運転中,4~6号機は定期点検中であり,地震を検知して1~3号機は自動的にスクラム停止(原子炉緊急停止)した。 しかし,地震により外部からの送配電設備が損傷し,全ての外部電源を 同時に喪失し,非常用DGが自動起動し,一旦電源は回復したものの,津波等によって1号機,2号機及び4号機の全電源喪失並びに3号機及び5号機の全交流電源喪失が生じ,直流電源のみ残った3号機も,同月13日未明に放電し,全電源喪失となった。1号機,2号機及び3号機は,いずれもメルトダウン(炉心溶融)を引き起こし,さらに,落下した核燃料が 圧力容器の底を貫通して格納容器に落下して堆積するメルトスルー(炉心貫通)を引き起こし,1号機,3号機及び4号機の原子炉建屋内において水素爆発が生じ,大量の放射性物質が外部に放出される事態となった。また,同年4月4日から同月10日にかけて,低レベル汚染水が海洋に放出され,その後も何度も原子力発電所の敷地からの漏水事故が起こり,海水 を介した放射性物質の拡散 部に放出される事態となった。また,同年4月4日から同月10日にかけて,低レベル汚染水が海洋に放出され,その後も何度も原子力発電所の敷地からの漏水事故が起こり,海水 を介した放射性物質の拡散も引き起こされた。 (以上につき,甲F1,81)イ平成23年10月30日に施行された東京電力福島原子力発電所事故調査委員会法に基づき設置された東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(以下「国会事故調」という。)は,平成24年7月に両院議長に提出した報告書(以下「国会事故調報告書」という。)において,波高計,写真及び 東電従業員のヒアリングにより,津波の到来時間を分析し,1号機の非常用発電機A系は津波到来前に機能喪失していると考えられ,1号機B系,2号機A系並びに3号機A系及びB系も電源喪失が津波によるといえるかは疑問が残るとし,また,前記⑴イの耐震バックチェックに関し,東京電力は,改訂後の耐震設計審査指針に適合するためには多数の耐震補強工事 が必要であることを把握していたとした。 他方,原子力規制委員会は,平成26年10月,「東京電力福島第一原子力発電所事故の分析中間報告書」において,国会事故調報告書も検討した上,1号機の非常用発電機A系の機能喪失は津波による浸水を原因とするものとした。(以上につき,甲F1,乙B2)⑶ 原子力規制委員会の設置及びその性質・所掌事務等 ア福島第一原発事故を契機に,平成24年6月27日,新たに原子力規制委員会を設置すること等を柱とする原子力規制委員会設置法が制定され,同法は同年9月19日から施行された。 原子力規制委員会設置法は,東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故を契機に明らかとなった原子力利用に関する政策に係る縦割り行政 の弊害を除去し,並 は同年9月19日から施行された。 原子力規制委員会設置法は,東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故を契機に明らかとなった原子力利用に関する政策に係る縦割り行政 の弊害を除去し,並びに一の行政組織が原子力利用の推進及び規制の両方の機能を担うことにより生ずる問題を解消するため,原子力利用における事故の発生を常に想定し,その防止に最善かつ最大の努力をしなければならないという認識に立って,確立された国際的な基準を踏まえて原子力利用における安全の確保を図るため必要な施策を策定し,又は実施する事務 を一元的につかさどるとともに,その委員長及び委員が専門的知見に基づき中立公正な立場で独立して職権を行使する原子力規制委員会を設置し,もって国民の生命,健康及び財産の保護,環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とする(同法1条)。 イ原子力規制委員会は,経済産業省や文部科学省ではなく環境省の外局と され,内閣から独立した組織である独立行政委員会(原子力規制委員会設置法2条,国家行政組織法3条2項)として設置された。 原子力規制委員会は,国民の生命,健康及び財産の保護,環境の保全並びに我が国の安全保障に資するため,原子力利用における安全の確保を図ることを任務とし(原子力規制委員会設置法3条),委員長と4名の委員を もって組織するものとされている(同法6条1項)。原子力規制委員会の委 員長及び委員は,独立してその職権を行うものとされ(同法5条),人格が高潔であって,原子力利用における安全の確保に関して専門的知識及び経験並びに高い識見を有する者のうちから,両議院の同意を得て,内閣総理大臣が任命するものとされている(同法7条1項)。また,原子力規制委員会には,審議会等として,学識経験のある者で組 専門的知識及び経験並びに高い識見を有する者のうちから,両議院の同意を得て,内閣総理大臣が任命するものとされている(同法7条1項)。また,原子力規制委員会には,審議会等として,学識経験のある者で組織される原子炉安全専門 審査会が置かれ(同法13条1項,15条2項),原子力規制委員会の指示を受けて,原子炉に係る安全性に関する事項を調査審議するものとされている(同法14条)ほか,原子力規制委員会の事務を処理させるため,同委員会に事務局である原子力規制庁が置かれており(同法27条1項,2項),原子力規制庁には事務局長その他の職員が置かれ(同条3項),原子 力利用における安全の確保のための規制の独立性を確保する観点から,原子力規制庁の幹部職員のみならずそれ以外の職員についても,原則として,原子力利用の推進に係る事務を所掌する行政組織への配置転換を認めないこととされている(同法附則6条2項)。 原子力規制委員会は,上記の任務を達成するため,原子力に係る製錬, 加工,貯蔵,再処理及び廃棄の事業並びに原子炉に関する規制その他これらに関する安全の確保に関すること等の事務(同法4条1項2号)のほか,法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき,原子力規制委員会に属させられた事務(14号)をつかさどるもの(同項柱書き)とされている。そして,原子力規制委員会は,炉規法の委任を受けて,原子炉施設の位置,構 造及び設備に係る許可基準(同法43条の6第1項4号)として設置許可基準規則を,原子炉施設の技術上の基準(同法43条の3の14)として技術基準規則を,原子炉施設の保安のために必要な措置(同法43条の3の22)として実用炉規則をそれぞれ制定した。 ⑷ 平成24年改正によるバックフィット制度の制定及びその内容等 ア国会事故調は, 規則を,原子炉施設の保安のために必要な措置(同法43条の3の22)として実用炉規則をそれぞれ制定した。 ⑷ 平成24年改正によるバックフィット制度の制定及びその内容等 ア国会事故調は,東京電力や関係諸団体,被災住民等へのヒアリングやア ンケート,各種調査等を経て,平成24年7月5日,両院議長に国会事故調報告書を提出した。国会事故調報告書においては,事業者が既設炉の稼働(経済性)に影響が生じるような対策を回避しようと規制当局に働き掛け,規制当局も,事業者への情報の偏在,自身の組織優先の姿勢等から,事業者の主張する既設炉の稼働の維持,訴訟対応で求められる無謬性を後 押しすることになり,規制する立場とされる立場の逆転現象が起こって,監視・監督機能が崩壊していたこと,電気事業連合会が,バックフィットは現行プラントの耐震安全性が不十分との主張に発展しやすいなどとしてバックチェックとし,バックチェックに3年程度の猶予期間を設けることを要望し,原子力安全委員会及び保安院は猶予期間の長さに問題意識を持 っていたものの,新潟中越沖地震後に電気事業者が保安院の指示を受けて提出したバックチェック期間は上記の期間とされ,その期間を経過した後も電力事業者から最終報告書は提出されなかったこと,バックフィット制度として,新設炉か既設炉かを問わず,一律に最新の技術的知見を反映した対策を実施することが重要であることなどが指摘された。 イ平成24年6月27日,平成24年改正による炉規法の改正により,前記第2の1(関係法令等の定め)⑵のとおり,同法43条の3の23第1項(バックフィット制度)が新設され,平成25年7月8日から施行された。これにより,既に設置許可等を受けている発電用原子炉施設についても,新知見等を踏まえて許可 ⑵のとおり,同法43条の3の23第1項(バックフィット制度)が新設され,平成25年7月8日から施行された。これにより,既に設置許可等を受けている発電用原子炉施設についても,新知見等を踏まえて許可基準が変更された場合や,許可基準は変更さ れないものの当該原子炉施設が許可基準に適合しなくなった場合等に,当該原子炉施設を許可基準に適合させるために,発電用原子炉施設の使用の停止,改造,修理又は移転,発電用原子炉の運転の方法の指定その他保安のために必要な措置を命ずることができるようになった。 なお,原子力規制委員会は,同年11月27日,「核原料物質,核燃料物 質及び原子炉の規制に関する法律等に基づく原子力規制委員会の処分に 係る審査基準等」を改正したが,炉規法43条の3の23第1項の発電用原子炉施設(実用発電用原子炉に係るものに限る。)の使用停止等の基準につき,同項並びに設置許可基準規則及び技術基準規則に規定されており,更に具体的な処分基準を作成することは困難であるため,具体的な処分基準を設定しないものとした。(乙B35) ⑸ 火山ガイド(原子力発電所の火山影響評価ガイド)の定めの内容火山ガイドは,原子力規制委員会において,火山の影響により原子炉施設の安全性を損なうことのない設計であることの評価方法の一例であり,火山影響評価の妥当性を審査官が判断する際に参考とするものとして制定したものであるが,概要,以下のとおり,原子力発電所に影響を及ぼし得る火山の 影響評価を定めている。 アまず,原子力発電所に影響を及ぼし得る火山として,原子力発電所の地理的領域(原子力発電所から半径160kmの範囲)において第四紀(約258万年前から現在までの期間)に活動した火山を抽出し,その中から完新世(第四紀のうち約1 及ぼし得る火山として,原子力発電所の地理的領域(原子力発電所から半径160kmの範囲)において第四紀(約258万年前から現在までの期間)に活動した火山を抽出し,その中から完新世(第四紀のうち約1万1700年前から現在までの期間)に活動が あった火山及び完新世に活動を行っていないものの将来の活動可能性が否定できない火山を,原子力発電所に影響を及ぼし得る火山として個別評価の対象とし,運用期間中の火山の活動可能性が十分小さいとは評価できず,かつ,設計対応不可能な火山事象が運用期間中に原子力発電所に到達する可能性が十分小さいとも評価できない場合は,原子力発電所の立地は不適 となり,個別評価において立地が不適とならない場合,原子力発電所の安全性に影響を与える可能性のある火山事象を抽出し,各火山事象に対する設計対応及び運転対応の妥当性について評価を行うものとする。 そして,原子力発電所の運用期間における火山活動に関する個別評価について,将来の火山の活動可能性についての調査の結果と必要に応じて実 施する地球物理学的及び地球化学的調査の結果を基に,原子力発電所の運 用期間中における検討対象の火山の活動可能性を総合的に評価し,活動の可能性が十分小さいと判断できない場合は,火山活動の規模と設計対応不可能な火山事象の評価を実施するものとする。また,令和元年12月18日に改正された火山ガイドは,火山の活動可能性の評価に当たり,巨大噴火については,当該火山の現在の活動状況が,巨大噴火が差し迫った状態 ではないと評価でき,運用期間中における巨大噴火の可能性を示す科学的に合理性のある具体的な根拠が得られていない場合は,運用期間中における巨大噴火の可能性は十分に小さいと判断できるものとする。なお,原子力規制委員会は,平成 期間中における巨大噴火の可能性を示す科学的に合理性のある具体的な根拠が得られていない場合は,運用期間中における巨大噴火の可能性は十分に小さいと判断できるものとする。なお,原子力規制委員会は,平成29年12月14日,実用炉規則,「実用発電用原子炉及びその附属施設における発電用原子炉施設保安規定の審査基準」並び に平成29年火山ガイドにおいて気中降下火砕物濃度の計算方法を規定するなどし,気中降下火砕物濃度の影響について,保安規定認可における審査事項とすることとした。(以上につき,甲B2,5,乙B13,19,31,32)イ次に,火山事象の影響評価として,降下火砕物が最も広範囲に及ぶ火山 事象であるとし,その影響につき,①直接的影響と②間接的影響に分けて確認事項を規定する。 ①直接的影響としては,ごく僅かな火山灰の堆積でも,原子力発電所の通常運転を妨げる可能性があり,降下火砕物により,原子力発電所の構造物への静的負荷,粒子の衝突,水循環系の閉塞及びその内部における摩耗, 換気系,電気系及び計装制御系に対する機械的及び化学的影響並びに原子力発電所の周辺の大気汚染等の影響が挙げられ,また,降雨・降雪等の自然現象は火山灰等の堆積物の静的負荷を著しく増大させる可能性があるとし,②間接的影響としては,降下火砕物は広範囲に及ぶことから,周辺の社会インフラに影響を及ぼすとし,広範囲な送電網の損傷による長期の 外部電源喪失や原子力発電所へのアクセス制限事象が発生し得ることを 考慮する必要があるとする。 そして,直接的影響の確認事項としては,㋐降下火砕物堆積荷重に対して,安全機能を有する構築物,系統及び機器の健全性が維持されること,㋑降下火砕物により,取水設備,原子炉補機冷却海水系統,格納容器ベント設備等の安 影響の確認事項としては,㋐降下火砕物堆積荷重に対して,安全機能を有する構築物,系統及び機器の健全性が維持されること,㋑降下火砕物により,取水設備,原子炉補機冷却海水系統,格納容器ベント設備等の安全上重要な設備が閉塞等によりその機能を喪失しないこと, ㋒外気取入口からの火山灰の侵入による換気空調系統のフィルタの目詰まり,非常用DGの損傷等による系統・機器の機能喪失がなく,中央制御室における居住環境を維持すること,㋓必要に応じて,原子力発電所内の構築物,系統及び機器における降下火砕物の除去等の対応が取れることを挙げ,このうち,㋑については,堆積速度,堆積期間につき,類似火山の 事象やシミュレーション等に基づいて評価し,外気取入口から侵入する火山灰の想定に当たっては,降灰継続時間を仮定して降灰量から気中降下火砕物濃度を推定する手法又は数値シミュレーションにより気中降下火砕物濃度を推定する手法を参照して推定した気中降下火砕物濃度を用い,これらは間接的な影響の評価にも用いるとする。(以上につき,甲B2,5, 乙B13,19)⑹ 参加人に対する本件設置変更許可処分①ア参加人は,平成25年7月8日,平成24年改正後の炉規法等並びに原子力規制委員会規則・告示及び内規等により定められたいわゆる新規制基準に対する適合性審査の申請として,本件各原子炉の設置変更許可申請(本 件設置変更許可申請①)をした。 参加人は,本件各原子炉に係る設置変更許可申請(本件設置変更許可申請①)において,敷地付近への火山灰の分布として,姶良Tnテフラが20cm程度,DKPが10cm程度とし,それ以外の火山灰層を成して厚く分布する箇所は認められないとして,敷地における降下火砕物の最大層 厚を20cm程度と設定していた。その後,参加人は,平 0cm程度,DKPが10cm程度とし,それ以外の火山灰層を成して厚く分布する箇所は認められないとして,敷地における降下火砕物の最大層 厚を20cm程度と設定していた。その後,参加人は,平成26年10月 31日付け一部補正書(本件補正書)により,本件設置変更許可申請①を一部補正し,姶良Tnテフラについてはその給源である姶良カルデラにおいて姶良Tnと同規模の噴火が発生する可能性は十分小さいと評価を変更し,DKPについても,その給源である大山においてDKPと同規模の噴火が発生する可能性は十分に小さいとした上で,運用期間中の噴火規模 としては,繰り返し生じている噴出量数k㎥以下の規模の噴火の中でも最大である5k㎥を考慮し,移流拡散モデルを用いた降下火砕物のシミュレーションを実施し,最大でも8cm程度の層厚と想定し,その他の降灰層厚も10cm以下であるとして,降下火砕物の最大層厚を10cmへと下方修正した。(以上につき,甲C3,4) イ原子力規制委員会は,平成27年2月12日,参加人に対し,本件設置変更許可申請①につき本件設置変更許可処分①をした。 ⑺ 原子力規制委員会によるバックフィット命令の運用方針ア原子力規制委員会は,平成27年11月13日,平成27年度原子力規制委員会第40回会議において,「新たな規制基準のいわゆるバックフィッ トの運用に関する基本的考え方」をバックフィットの運用に関する基本的考え方として決定した。これは,新たな規制基準を既存の施設等に適用する場合には,規制基準の決定後一定の期間を確保した施行日を定めるか,又は,当該規制基準の施行後の経過措置として当該規制基準に対応するために必要な期間を設定することを基本とし,それらの期間は,原子力規制 委員会が,当該規制基準 期間を確保した施行日を定めるか,又は,当該規制基準の施行後の経過措置として当該規制基準に対応するために必要な期間を設定することを基本とし,それらの期間は,原子力規制 委員会が,当該規制基準の新設・変更の安全上の重要性,被規制者が対応するために必要な期間等を総合的に判断して,個別に設定し,安全上緊急の必要性がある場合には,新たな規制基準の新設・変更に際し,当該規制基準を即時に適用することもあり得,新たな規制基準の施行日又は経過措置として必要な期間の満了後,その時点で適用される当該規制基準を満足 していない施設については,運転の前提条件を満たさないものと判断する とするものであった。(乙B16,17)イさらに,原子力規制委員会は,平成28年6月29日,「実用発電用原子炉に係る新規制基準の考え方について」(平成30年12月19日改訂)を策定した。これは,バックフィット命令について,その要件該当性が認められた場合には直ちにこれを発しなければならないものではなく,保安の ために必要な限度において,その専門技術的裁量の下,個々の事例における具体的事情を踏まえてバックフィット命令を発するか否か,発する場合にいかなる内容の命令をどのタイミングで発するのか検討を要するものであり,例えば,新設・変更された基準等の安全上の重要性,当該措置を命ずることの必要性・緊急性,講ずべき措置の内容,発電用原子炉設置者の 対応の状況等を総合考慮した上で,当該命令の発令の要否並びにその時期及び内容等を決することになるとするものであった。(乙B1)⑻ 本件バックフィット命令に至る経緯ア原子力規制庁は,従前から,実用発電用原子炉における火山事象に係る安全規制の高度化に向け,火山の活動可能性を評価するための手法を整備 (乙B1)⑻ 本件バックフィット命令に至る経緯ア原子力規制庁は,従前から,実用発電用原子炉における火山事象に係る安全規制の高度化に向け,火山の活動可能性を評価するための手法を整備 するために必要な知見の収集をする安全研究を行っており,その一環として,国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)に対し,平成26年度から平成30年度にわたり,「火山影響評価に係る技術的知見の整備」と題する研究(安全研究)を委託した。産総研は,日本最大級の公的研究機関として日本の産業や社会に役立つ技術の創出とその実用化等を行い,全 国11か所の研究拠点で約2300名の研究者が研究開発を行っており,その中の地質調査総合センターは,1882年に産総研の前身である地質調査所が設置されて以来,日本で唯一の地質の調査のナショナルセンターとして地質情報の整備に取り組んでいる機関であり,その中に活断層・火山研究部門がある。 安全研究は,産総研の地質調査総合センター活断層・火山研究部門に所 属する山元孝広らによって行われたものであり,大規模・巨大噴火を起こした事例のある火山を対象とし,同研究の一部として,平成27年度から平成29年度にかけて,以下のとおり,大山の火山活動に係る研究が行われた(各年度の研究につき,以下「平成27年度研究」などという。)。(以上につき,甲D2,37,38,乙D3,4,6,7,30,40,乙F 1~4)平成27年度研究では,大山の過去20万年間の噴火履歴及び大山を起源とする降下火砕堆積物(DNP等)の分布の見直しが行われ,これらを基に大山のマグマ噴出量の再計算が行われ,新たに積算マグマ噴出量の階段図(縦軸に噴出量,横軸に噴出年代を設定)が作成された。ま た,国内主要火山の階段図を類型化 分布の見直しが行われ,これらを基に大山のマグマ噴出量の再計算が行われ,新たに積算マグマ噴出量の階段図(縦軸に噴出量,横軸に噴出年代を設定)が作成された。ま た,国内主要火山の階段図を類型化した結果,マグマ噴出率は一定ではなく上昇又は低下している事例の方が多いことが明らかになり,噴出率上昇期にはマグマ供給系の変化が起きていることが多いことや,噴出率低下期にはマグマ供給系の変化がほとんど起きていない傾向があることが明らかとなり,結論として,マグマ噴出量の階段図に噴出物の岩石学 的な検討を組み合わせて評価することが火山活動の将来評価では重要であることが指摘された。 この際,1980年代の文献において京都府越畑盆地において層厚30cmのDNPの降下火砕物の分布が確認されていること等が考慮された。(以上につき,甲D37,乙D4,30) 平成28年度研究では,平成27年度研究の成果を受けて,火山活動の将来予測に結び付けられるようなマグマ噴出率変化とマグマ組成変化の関係が大山でも確認できるか否かを目的として,大山の代表的な噴出物試料の全岩化学組成分析を実施し,岩石化学的な性質の時系列変化を調査することとされた。その結果,DKPやDNPといった大規模プリ ニー式噴火が頻発した高噴出率期とその前後の低噴出率期とでは,特に 噴出物試料のSr(ストロンチウム)/Y(イットリウム)比に差異があり,低噴出率期においてはSr/Y比が高いのに対し,高噴出率期においてはSr/Y比が低く,マグマ組成が異なっていることが示され,大山の最後の噴火である三鈷峰溶岩・阿弥陀川火砕流堆積物のSr/Y比は,低噴出率期に属する古期大山火山溶岩のSr/Y比と同程度に上 昇し,マグマ噴出率の低下に伴ってマグマ組成が変化したように見る 大山の最後の噴火である三鈷峰溶岩・阿弥陀川火砕流堆積物のSr/Y比は,低噴出率期に属する古期大山火山溶岩のSr/Y比と同程度に上 昇し,マグマ噴出率の低下に伴ってマグマ組成が変化したように見ることもできるとされた。(甲D38,乙D6)平成29年度研究では,大山の噴出物試料の全岩主成分及び微量成分の追加分析が行われ,平成28年度研究の分析精度を向上させ,各噴出率期の火山噴出物について組成分析を行い,Sr/Y比とYの関係を比 較したところ,高噴出率期と低噴出率期のマグマ組成が異なり,最末期の噴出物は低噴出率期と同程度であることが分かり,これは異なるSr/Y比を持つ親マグマから分化したことを示しているとされた。また,Nb(ニオブ)はスラブ脱水による流体に入りにくい元素であり,反対にBa(バリウム)は流体に入りやすい元素であることから,Nb/Y 比とBaの関係を比較すると,高噴出率期のものはNb/Y比の小さな領域に,低噴出率期及び最末期のものはNb/Y比の大きな領域に分布していることが分かった。 そして,高噴出率期と低噴出率期・最末期の噴出物の化学組成の違いとしては,高温マントルの寄与が少ない場合,生産されるスラブメルト の量は少なくなり,メルトの含水量も乏しくなるのに対し,高温マントルの寄与が大きい場合は,生産されるメルトの量自体が大きくなり,高噴出率期のDKPやDNPのような巨大なプリニー式噴火においてスラブメルト指標(Sr/Y)が低下していることは,高温マントルの寄与が大きかったと評価することができ,最末期に噴出量が急減し,Sr/ Y比が上昇して,噴火活動を停止したのは,約10万年前から始まった 高温マントルの関与が約2万年前にほとんどなくなったことを意味すると考えられるとした。(乙 量が急減し,Sr/ Y比が上昇して,噴火活動を停止したのは,約10万年前から始まった 高温マントルの関与が約2万年前にほとんどなくなったことを意味すると考えられるとした。(乙D7)イ平成29年6月6日,第27回技術情報検討会(国内外の原子力施設の事故・トラブルに係る情報に加え,最新の科学的・技術的知見を規制に反映させる必要性の有無について整理し認識を共有することを目的とする原 子力規制庁の事務的な会議体)において,平成27年度研究及び平成28年度研究の概要等の説明がされ,この研究結果を踏まえた規制対応について,原子力規制委員会で議論することとされた。 そして,同月14日,平成29年度第15回原子力規制委員会会合において,「火山活動可能性評価に係る安全研究を踏まえた規制対応について (案)」が報告された。これは,平成27年度研究により,DNPの分布が見直され,既存の知見である新編火山灰アトラスの分布と大きく異なり,その根拠となった層厚に関する既往文献データに不確実さが伴うものの,より東側にまで火山灰の分布範囲が示されており,その結果から,DNPの噴出量については既知見と異なる可能性があること,大山火山は最後の 活動である約2万年前の噴出物のマグマ組成が低噴出率期と同程度であることを考慮すると,現在は低噴出率期に入ったことなどが示唆されているが,現時点で研究が継続中であり結論は得られていないことを踏まえ,参加人に対し,DNPの火山灰分布について情報収集を行うことを求めるものであった。(以上につき,甲C6,乙C7,10~12,乙F5,弁論 の全趣旨)ウ参加人は,平成30年3月1日付けで,原子力規制庁に対し,DNPの火山灰分布に関する情報収集結果を提出し,同月28日,平成29年度第 6,乙C7,10~12,乙F5,弁論 の全趣旨)ウ参加人は,平成30年3月1日付けで,原子力規制庁に対し,DNPの火山灰分布に関する情報収集結果を提出し,同月28日,平成29年度第75回原子力規制委員会会合において,上記情報収集結果の報告をした。 参加人は,越畑地点で確認されたDNPの地層について,大山生竹噴火 によって一度に堆積した純層ではなく,河川等の流水の影響によって後か ら堆積した再堆積層であるとしたが,原子力規制庁は,参加人が提出した資料を分析し,この地層は純層の可能性がある又は可能性を否定することができないとして,越畑地点におけるDNPの最大層厚は,山元孝広が平成29年の論文「大山火山噴火履歴の再検討」(地質調査研究報告68巻1号1~16頁)で引用している文献値(30cm)よりやや小さい26c mとみなすことが可能であるとし,これを受けて,原子力規制委員会によって当該見解に対して議論が必要であれば公開の場で行うとの方針が示された。(以上につき,乙C13,14,乙D3)エその後,参加人から追加の調査結果が提出され,原子力規制庁及び参加人は,平成30年6月29日及び同年10月5日,意見交換会を実施した。 参加人は,越畑地点のDNPの堆積状況について,火山灰を含む地層に流水等の影響により移動して再堆積したものであり,降灰時の堆積状況が保存されていないから降灰層厚としては評価できないと説明したが,原子力規制庁は,参加人の主張を支持する科学的根拠を十分に確認することができなかったため,参加人の協力を得て現地調査を実施することとした。 また,参加人は,上記同年10月5日の意見交換会において,①降下火砕物に対する裕度について,本件設置変更許可処分①における評価条件(積雪荷重(1 人の協力を得て現地調査を実施することとした。 また,参加人は,上記同年10月5日の意見交換会において,①降下火砕物に対する裕度について,本件設置変更許可処分①における評価条件(積雪荷重(100cm)と合わせて降灰層厚を考慮)を用いて許容層厚の評価をした結果,本件各原子炉施設については,本件設置変更許可申請①に対する審査が行われた際の構造強度評価結果を踏まえた裕度に係る計算 に基づいて行われた評価)では,建屋について,最小が21cm程度,短期の部材評価(一時的に作用する力を前提とした評価)は28cm程度であり,建屋以外について,復水タンクが15cm程度であるが,実力評価(除灰作業やタンクを防護している竜巻防護設備(架構とネット)へのシート設置の実施による降下火砕物への対処も考慮して行われる評価)では, 高浜原子力発電所3号機は70cm,同4号機は100cm以上対処可能 であり,また,②非常用DGの吸気フィルタについて,改良型吸気フィルタが閉塞するまでの時間を約100分,同吸気フィルタの取替えに要する時間を約20分と評価し,火山灰濃度がフィルタ閉塞時間に比例することとして,フィルタ閉塞時間をフィルタ取替時間で割った値を裕度とし,裕度に10cmを掛けた値を許容層厚とすると50cmとなり,③同年5月 に気中降下火砕物濃度1.4g/㎥(本件設置変更許可①時の想定層厚10cmを前提とした降下火砕物濃度)の火山灰に対応する改良型フィルタを配備済みであると説明した(なお,改良型フィルタについては,これを取り付けることにより,非常用DGを運転しながらフィルタ取替え・清掃が可能となる。)。(以上につき,乙C15~21,乙E6,丙C6,弁論の 全趣旨)原子力規制庁及び参加人は,石渡委員(東京大学大学院理学 より,非常用DGを運転しながらフィルタ取替え・清掃が可能となる。)。(以上につき,乙C15~21,乙E6,丙C6,弁論の 全趣旨)原子力規制庁及び参加人は,石渡委員(東京大学大学院理学系研究科博士課程(地質学)を修了し,日本地質学会会長,米国地質学会フェロー等の経歴を有する地質学の専門家)出席の下,同月29日,越畑地点の現地調査を実施した。そして,原子力規制庁は,越畑地点において,降下火山 灰層として15cm程度の層厚,その上位に10cm程度の風化帯が存在し,この風化帯は降下火山灰層が風化又は植生による擾乱で土壌と混じり合ったと解釈し得るから,規制の観点からこれも降下火山灰層として扱うこととし,越畑地点のDNP降灰層厚を25cm程度として評価することとした。また,原子力規制庁は,DNPの噴出量6.1k㎥と,その倍の 12.2k㎥の2ケースでシミュレーション解析を実施し,後者の方が越畑地点を含む七つの評価地点の層厚を概ね再現したことから,規制の観点から,DNPの噴出規模を,既往の研究で考えられてきた規模を上回るVEI6規模(噴出量10~100k㎥)と評価することとした。 (乙C23,乙F6) 上記の意見交換及び現地調査を踏まえて,原子力規制委員会は,同年1 1月21日,平成30年度原子力規制委員会第42回会合において,越畑地点のDNPの降灰層厚は25cm程度であること,及びDNPの噴出規模は10k㎥以上と考えられること(本件新知見)を認定し,これを規制に参酌することを確認した。(乙C23)オ原子力規制委員会の更田委員長及び石渡委員並びに原子力規制庁の長官 及び職員ら合計11名は,平成30年12月6日,原子力規制委員会の委員長室において,約50分間の非公開の会合(本件会合)を行 オ原子力規制委員会の更田委員長及び石渡委員並びに原子力規制庁の長官 及び職員ら合計11名は,平成30年12月6日,原子力規制委員会の委員長室において,約50分間の非公開の会合(本件会合)を行った。 本件会合においては,「議論用メモ」と印字された資料に基づき,①特定指導文書(特定の被規制者等に対し,その者の固有の事情に基づいて何らかの作為又は不作為を要請するための文書)により設置変更許可申請を求 めることを前提として,同申請を促す場合の案(①案)と,②報告徴収命令を発出することを前提として,許可の前提に変更が生じていることを原子力規制委員会が認定しようとする場合の案(②案)が検討された。①案には,特徴として現在の状態が基準に適合していないというポジション,申請の時期に強制力のある期限を設けられないと記載され,②案には,特 徴として許可の前提と有意な差があると認定するまでは,原子力規制委員会は基準の適合性については判断していないというポジション,報告徴収については報告の時期に強制力のある期限を設けられる,追加の報告徴収により炉規法43条の3の23の命令を発する道も残されていると記載されていた。上記の検討において,更田委員長は,①案の方がすごくすっ きりするが,法務上難しく,差止訴訟における基準不適合という論理を生みやすいなどとして,本件では②案の方が正義である旨を述べた。(以上につき,甲C9,20,甲F9,10,乙B18,弁論の全趣旨)カ原子力規制委員会は,平成30年12月12日,平成30年度原子力規制委員会第47回会合を開催し,同会合において,「大山火山の大山生竹テ フラの噴出規模見直しに伴う規制上の対応について」と題する資料が配布 された。 上記資料では,本件新知見が認定され,これ 回会合を開催し,同会合において,「大山火山の大山生竹テ フラの噴出規模見直しに伴う規制上の対応について」と題する資料が配布 された。 上記資料では,本件新知見が認定され,これは本件各原子炉施設における敷地の降下火砕物の最大層厚に影響を与え,原子炉設置変更許可の評価に用いた前提条件に有意な変更が生じる可能性があると考えられるから,炉規法67条1項の規定に基づき,参加人に対し,平成31年3月31日 を期限とする報告徴収命令をし,同年4月中を目途に,これに基づく規制上の対応の要否及びその内容について改めて判断すること,当面の対応として,大山は活火山ではなく,噴火が差し迫った状況にあるものではないことを踏まえ,原子炉施設の停止は求めないこととされていた。 上記会合において,山中伸介委員(大阪大学工学部博士課程を修了し, 原子力工学,核燃料工学・材料分野の研究に取り組む専門家)は,原子炉施設の停止は求めないこととする当面の対応は提案どおりで良い旨を述べ,石渡委員は,原子力規制庁の見積もりとしてDNPの噴出量10k㎥以上とあるが,これは一応の見積りであり,こだわるものではないが,これよりあまり大きくなることはないと言える旨を述べ,原子力規制委員会 は,当該資料に基づく方針のとおり決定した。なお,これに関する協議時間は約5分間であった。 原子力規制委員会は,上記同日,参加人に対し,①越畑地点等7地点におけるDNPの降灰層厚(越畑地点は25cm)に基づくDNPの噴出規模,及び②上記①の噴出規模を踏まえた不確かさケースも含めた降下火砕 物シミュレーションに基づく本件各原子炉を含む原子力発電所ごとの敷地における降下火砕物の最大層厚について報告することを義務付ける報告徴収命令(本件報告徴収命令)を発出した。 も含めた降下火砕 物シミュレーションに基づく本件各原子炉を含む原子力発電所ごとの敷地における降下火砕物の最大層厚について報告することを義務付ける報告徴収命令(本件報告徴収命令)を発出した。(以上につき,甲C20,乙C24~26,乙F6)キ参加人は,本件報告徴収命令を受け,平成31年3月29日,原子力規 制委員会に対し,「核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律 第67条第1項の規定に基づく報告の徴収に対する報告」と題する書面(本件報告書)を提出した。 参加人は,本件報告書において,①本件報告徴収命令に提示された7地点に新たに文献調査等から得られた7地点を加えた合計14地点におけるDNPの降灰層厚の情報を用いて,複数の等層厚線図を作成し,これら の等層厚線図を基に複数の手法によりDNPの降下火砕物の噴出量を算出し(単一の閉じられた等層厚線から噴出量を求める方法として,Legros法では1.8k㎥~3.4k㎥,Hayakawa法では5.8k㎥~11.0k㎥),このうち最大の11.0k㎥を採用してTephra2を用いた降下火砕物シミュレーションの結果,本件各原子炉施設の敷地 における降下火砕物の最大層厚は21.9cmと算出されたこと,②40万年前以降,10k㎥以上の噴火を起こしているのはDNP(約8万年前)とDKP(約5.5万年前)の二つの噴火だけであり,その期間(約8~5.5万年前)以外では数k㎥以下の噴火しか発生していないから,DNPとDKPは高噴出率期に発生した一連の巨大噴火と考えられること,③ 平成27年度研究の成果の一部として作成された産総研の山元孝広による論文(「大山火山噴火履歴の再検討」(2017))でも,大山は約10万年前からマグマ噴出量が大きくなり,約2万年前 こと,③ 平成27年度研究の成果の一部として作成された産総研の山元孝広による論文(「大山火山噴火履歴の再検討」(2017))でも,大山は約10万年前からマグマ噴出量が大きくなり,約2万年前の三鈷峰噴火で活動を終えたとされていること,④第四紀火山の発達史的分類では大山は第4期に整理されており,第4期の噴出量は第1期~第3期に比べて少なく数k㎥ とされていること,⑤大山の地下構造からするとマグマ溜まりの可能性を示唆する低速度領域は本件設置変更許可申請①時と同程度の20km以深に位置しており,爆発的噴火を引き起こす珪長質マグマの浮力中立点の深度7kmより深い位置にあると評価されていること,以上のことから,大山は現在数k㎥規模の噴火しか起こらない段階にあり,DNP・DKP 噴火に至る活動間隔(約30万年以上)はそれ以降の経過時間である約5. 5万年と比べて十分な時間的余裕があると考えられ,原子力発電所の運用期間中にDNP規模の噴火の可能性は十分低いと考えられると報告した。 (乙C27,乙D3)ク原子力規制庁は,本件報告書を受領後,同年4月5日,石渡委員出席の下,参加人と「大山火山の大山生竹テフラの噴出規模に係る報告徴収結果 に関する会合」を開催した。 同会合において,原子力規制庁は,本件報告書のうち,DNPとDKPを一連の巨大噴火としていることは適切ではなく,DKPは突出して巨大噴火並みに大きいことから,本件各原子炉の運用期間中にDKP規模相当の噴火の可能性は十分低いと評価するが,繰り返し生じているDNPを含 むその他の噴火を考慮することが適切であり,敷地における最大層厚が本件設置変更許可①の10cmから20cm前後の値に変更となり得ることから,少なくとも発電所の安全機能に影響を及ぼし得る火 含 むその他の噴火を考慮することが適切であり,敷地における最大層厚が本件設置変更許可①の10cmから20cm前後の値に変更となり得ることから,少なくとも発電所の安全機能に影響を及ぼし得る火山事象に係る基本設計又は基本的設計方針に影響があり得ると考えられるとした。 これに対し,参加人は,本件各原子炉等について設置変更許可を申請す るつもりはない旨回答した。(以上につき,乙C28,30)ケ原子力規制委員会は,平成31年4月17日,平成31年度原子力規制委員会第4回会合(以下「平成31年度第4回会合」という。)において,本件報告書について議論した。 原子力規制庁は,本件報告書におけるDNPの噴出規模11.0k㎥及 び参加人の原子力発電所ごとの敷地における降下火砕物の最大層厚(本件各原子炉施設の敷地における降下火砕物の最大層厚は21.9cm)がいずれも議論の前提に足りるものと評価できる一方,参加人がDKPとDNPを一連の噴火と評価していることは適切でなく,発電所の運用期間中のDNP規模の噴火の可能性を考慮するのが適切であるとの見解を示した。 この点につき,石渡委員は,本件各原子炉施設の敷地における最大層厚 21.9cmというのは本件新知見の越畑地点における最大層厚25cmより小さく,移流拡散シミュレーションにおいて月平均の条件のうち最も敷地に多くの火山灰が降る風を選んでいるが,規制上の値として採用するような層厚を決めるに当たっては,敷地方向に風が向く場合のシミュレーションもする必要があると考えている旨,大山は,気象庁の活火山リスト に入っておらず,活火山に該当せず,原子力発電所の運用期間内に噴火が発生する可能性は非常に低いと考える旨,火山灰の層厚が10cmから20cm又はそれ以上に変更と ,大山は,気象庁の活火山リスト に入っておらず,活火山に該当せず,原子力発電所の運用期間内に噴火が発生する可能性は非常に低いと考える旨,火山灰の層厚が10cmから20cm又はそれ以上に変更となると考えられるが,1mの積雪を想定しており,火山灰の層厚が倍になったとしても積雪の重さに比べてかなり小さいから,火山灰の層厚の増加は必ずしも大きな影響が出るものではなく, すぐに原子炉を止めて工事を行う必要はない旨,DKPは非常に大きな噴火であるが,それ以外を同列に扱うことはできず,DNP規模の噴火は考慮しなければならない旨を述べた。 更田委員長は,建物の荷重に関しては1mの積雪が考慮されており,これと比較すれば火山灰による荷重はずっと小さい旨,非常用DG等につい ても層厚が倍になれば密度が倍になるから対策に影響があると考えられる旨を述べ,山中委員は,本件設置変更許可①における火山灰の許容層厚は最小でおよそ20cmであり,今回再評価された層厚程度のところまでは許容できる層厚であって,この層厚はかなり保守的な見積もりをしているから,直ちに建物が危険になり,本件設置変更許可①の評価を見直すと いうものではないと考えられる旨,除灰作業については既に10cmに対してプラントで対策するという規定を設けてあるが,倍になると見直す必要がある旨,直ちにプラント停止等の対策を命じる必要性は感じず,少し時間を置いて対策を講じればよい旨を述べた。続いて,更田委員長は,降下火砕物に対する施設の裕度は,本件設置変更許可①において10cmを 想定していたが,その評価手法をそのまま適用しても本件各原子炉施設は 21cm程度まで許容されており,部材評価としては,火山灰の層厚が2倍,3倍程度になっても建物が潰れるわけではなく,多少塑 ていたが,その評価手法をそのまま適用しても本件各原子炉施設は 21cm程度まで許容されており,部材評価としては,火山灰の層厚が2倍,3倍程度になっても建物が潰れるわけではなく,多少塑性変形する領域には入っているだろうと思われるが,破断に対しては大きな裕度があり,荷重に関しては余り問題にならない旨,非常用DG等の火山灰対策はフィルタの交換頻度が倍になるので,参加人によると対処はできるということ であるが,急ぐものではないものの,規制の範囲として影響の有無は考慮すべきである旨を述べた。 伴信彦委員は,直ちに停止の必要はないということであるが,風向きをより保守的に評価すると最大層厚が少し大きな数字になり,本件設置変更許可①の評価手法をそのまま適用した許容層厚を上回ってくるが,それで も結論は変わらないか確認したところ,山中委員は,層厚が30cm,40cmとなってくると部材評価までする必要がある旨を述べ,更田委員長は,層厚が20cmから30cm,35cmになったところで荷重による影響によりクリフエッジ(安全上重要な機器等の機能喪失)に至るというものではなく,非常用DG等に関しては比例関係があるので当然影響があ る旨,しかし,層厚が変われば荷重も非常用DG等の火山灰対策も評価をやり直すべきであり,荷重が余り問題にならないというのは,対策の緊急性に関して大きな影響を及ぼすものではないという意味である旨を述べ,伴委員はこれを了解した。そして,更田委員長は,参加人が設置変更許可申請をする意図がないようであるから,何らかのアプローチが必要であり, しかるべき期間でステップの踏み方について検討する必要がある旨を述べた。 そして,原子力規制委員会は,原子力規制庁の上記見解をいずれも了承した。(以上につき,乙C28 ローチが必要であり, しかるべき期間でステップの踏み方について検討する必要がある旨を述べた。 そして,原子力規制委員会は,原子力規制庁の上記見解をいずれも了承した。(以上につき,乙C28,29)コ原子力規制委員会は,令和元年5月29日,令和元年度原子力規制委員 会第10回会合を開催し,同会合において,「大山火山の大山生竹テフラの 噴出規模の見直しに係る今後の規制上のアプローチについて」と題する資料が配布された。 上記資料では,①本件各原子炉施設の火山影響評価に係る基本設計又は基本的設計方針において,その運用期間中に安全機能に影響を及ぼし得る火山事象として最大層厚10cmの降下火砕物を設定していることは,1 1k㎥程度と見込まれるDNPの噴出規模に鑑みると,設置許可基準規則6条1項の「想定される自然現象」の設定として明らかに不適当であり,本件各原子炉施設は「想定される自然現象」に対して安全機能を損なわない基本設計又は基本的設計方針を有するものであるといえないため,同項への不適合が認められること,②大山は活火山ではなく噴火が差し迫った 状況にあるとはいえず,DNPの噴出規模の噴火による降下火砕物により本件各原子炉施設が大きな影響を受けるおそれがある切迫した状況にはないから,直ちに原子炉の停止を求める必要はないと考えられること,③対応方針として,本件各原子炉施設の火山影響評価に係る基本設計又は基本的設計方針は同項に適合していないと認められるため,炉規法43条の 3の23第1項に基づき,令和元年12月27日までに,これに適合するよう基本設計又は基本的設計方針を変更し,同法43条の3の8第1項の設置変更許可申請をすることを命ずること,④「想定される自然現象」の設定により影響を受ける基本設計 2月27日までに,これに適合するよう基本設計又は基本的設計方針を変更し,同法43条の3の8第1項の設置変更許可申請をすることを命ずること,④「想定される自然現象」の設定により影響を受ける基本設計若しくは基本的設計方針又は保安上の措置についても所要の手続を経て関係法令に抵触しないよう措置するこ とが求められること,⑤命令に当たって参加人に対し弁明書の提出期限を同年6月12日として弁明の機会の付与をすることとされていた。 上記会合において,原子力規制庁の事務局職員は,平成31年度第4回会合において議論されたとおり,上記資料では直ちに原子炉の停止を求める必要はないと記載していることを説明した。これに対し,伴委員は,基 本的な方針として異存はないが,設置変更許可の申請を令和元年末までと することのみを要求しているが,その後はまた必要な措置を採るという理解でよいか確認すると,原子力規制庁の事務局職員は,設置変更許可後,その内容の変更に応じて必要な工事計画認可の変更や保安規定の変更その他の措置をしてもらいたいと考えており,期間については,設置変更許可申請があるとその審査の期間があり,本件各原子炉の他に大飯原子力発 電所,美浜原子力発電所も対象になり,それぞれ手続が異なる可能性もあるから,期間や具体的な手続を縛るよりも,最も上位の設置変更許可について明確に要求したと考えている旨を述べた。そして,原子力規制委員会は,上記資料のとおり対応することを決定した。(以上につき,甲C17,乙C30,31) サ参加人は,令和元年6月11日,原子力規制委員会に対し,弁明の機会を付与されたが,弁明を行わず,同年12月27日までのできるだけ早い時期に,設置変更許可申請を行うと通知した。 ⑼ 本件バックフィット命令の発出及 元年6月11日,原子力規制委員会に対し,弁明の機会を付与されたが,弁明を行わず,同年12月27日までのできるだけ早い時期に,設置変更許可申請を行うと通知した。 ⑼ 本件バックフィット命令の発出及びその内容ア原子力規制委員会は,令和元年6月19日,令和元年度原子力規制委員 会第13回会合を開催し,同会合において,「大山火山の大山生竹テフラの噴出規模の見直しに伴うその他の審査・検査の取扱いについて(案)」と題する資料が配布された。 原子力規制庁の職員は,上記資料について,本件のように,基準の改正はなく,基準に適合していると認識していた想定に新しい知見が入ってく る場合,経過措置規定に相当する明示的な定めを置く法令上の仕組みがないが,継続的安全向上を図るための技術的見地から考えると,猶予期間の有無及び内容等については新知見を踏まえて法令等の新設・改正を行う場合(平成27年11月13日付け「新たな規制基準のいわゆるバックフィットの運用に関する基本的考え方」)と同様に考えるべきであり,新しい知 見が発見される都度スムーズに取り入れる方がよく,その都度審査・検査 を止めたり原子炉を停止したりする運用をすると,かえって新知見の取入れが阻害されかねないから,ある程度の猶予期間を置いた方が良い旨,安全上緊急の必要性がある場合には新知見を即時に適用することも同様である旨,DNPの噴出規模の見直しに係る設置変更許可をする時点で新たな想定の反映を完了させる期限として,層厚に基づいて工事計画認可や使 用前検査を完了させるべき期限を設定する旨を説明した。 上記の説明に対し,山中委員は,設置変更許可をする時点で見直しの影響が確定すると考えられるから,その時点で経過措置期間が決定されるという考え方でよく,経過措置の期限 き期限を設定する旨を説明した。 上記の説明に対し,山中委員は,設置変更許可をする時点で見直しの影響が確定すると考えられるから,その時点で経過措置期間が決定されるという考え方でよく,経過措置の期限まではその他の審査・検査はこれまでの許可を前提で進めることに問題はなく,原子力発電所の安全向上の観点 からはその方が適当である旨を述べ,伴委員は,今回の場合は停止を即刻命じるような緊急性はないということが前提になっているから,今後のバックフィット案件については個別に対応していくことでよいか確認した。 更田委員長は,本件新知見については,原子力規制委員会及び原子力規制庁が自ら行った安全研究の中で見直しをしたことが発端であるが,継続的 な改善のためには事業者自らが変化を言い出すことが期待され,それを原子力規制委員会が認定すると基準不適合となるものの,それにより施設の利用停止とするとおよそ事業者から新たな知見,改善を期待することが難しくなるから,継続的な改善のためには,それによる不適合が即利用停止ではないことが不可欠であることは明らかだろうと思う旨を述べた。石渡 委員は,今回の事案は火山灰の層厚の見直しということで,大山が活火山ではなくて緊急の必要性がなく,今後のバックフィットの円滑な適用を考えて,上記資料の案に賛成である旨を述べた。(以上につき,乙C33,49)イ原子力規制委員会は,上記会合において,上記資料のとおり本件バック フィット命令を発出することを決定し,上記同日,参加人に対し,これを 発出した。上記資料においては,本件バックフィット命令について,既許可の火山事象に係る想定が不適当であることから基本設計又は基本的設計方針の変更を命じたものであり,これが適切に履行されれば,設置変更許可において想 料においては,本件バックフィット命令について,既許可の火山事象に係る想定が不適当であることから基本設計又は基本的設計方針の変更を命じたものであり,これが適切に履行されれば,設置変更許可において想定すべき火山灰の層厚が決まり,後続の工事計画認可の審査において層厚の変更が施設の安全機能にもたらす具体的影響の有無及び範 囲が確定し,使用前検査により実際の施設の状態について安全機能の有無が確定することになるとされていた。(甲C1,乙C32~34,49)⑽ 本件バックフィット命令後の経緯ア本件バックフィット命令を受けて,参加人は,令和元年9月26日,本件各原子炉につき,DNPの噴出規模の見直しに伴う設置変更許可申請(本 件設置変更許可申請②)をした。 原子力規制委員会は,同年10月15日,原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合において,本件設置許可申請②に対する適合性審査を開始し,設置許可基準規則6条1項及び2項は,想定される火山事象が発生した場合においても安全施設の安全機能が損なわれないよう設計する ことを要求していることから,ⅰ原子力発電所への火山事象の影響評価,及びⅱ降下火砕物の影響に対する設計方針等(①降下火砕物に対して設計上対処すべき施設を抽出するための方針,②降下火砕物による影響の選定,③設計荷重の設定,④降下火砕物の影響に対する設計方針)の各項目について審査を行った。(以上につき,乙C3,35,36,38) イ参加人は,上記審査において,ⅰ(原子力発電所への火山事象の影響評価)について,①本件各原子炉施設に影響を与える可能性のある設計対応可能な火山事象として降下火砕物を抽出し,DNPを含めた大山の噴火履歴及び噴出規模について整理した上で,②大山の将来の噴火の可能性について,階段ダイヤ 各原子炉施設に影響を与える可能性のある設計対応可能な火山事象として降下火砕物を抽出し,DNPを含めた大山の噴火履歴及び噴出規模について整理した上で,②大山の将来の噴火の可能性について,階段ダイヤグラムによる噴出率の変化,高噴出率期と低噴出率期の 化学組成の違い,地下構造の検討結果等に基づき,発電所運用期間中にD KP規模の噴火の可能性は十分低く影響評価の対象外とし,DNPは高噴出率期と低噴出率期の境界に当たるが,既往研究においては低噴出率期と整理されていたことから,保守的に低噴出率期に発生した噴火とみなして影響評価の対象とし,火山影響評価上,発電所運用期間中の考慮すべき噴火規模としては,DNPの噴火の可能性を考慮し,その噴出量として11 k㎥を想定し,これを考慮すべき最大規模の噴火とし,③Tephra2を用いて噴出量11k㎥とした降下火砕物層厚をシミュレーションし,風速,噴煙柱高度,岩石密度,軽石密度等について不確かさも考慮した複数の検討をしたところ,全検討ケースにおける本件各原子炉施設の最大層厚は21.9cmとなり,また,同様のシミュレーションにより越畑地点に おける降灰実績25cmも再現できることを確認したとした。これに対し,原子力規制委員会が,審査の過程において,越畑地点におけるDNPの実績層厚を25cmとし,大山から越畑地点及び本件各原子炉施設との距離関係を踏まえて最大層厚を再評価するよう求めたことを受けて,参加人は,④越畑地点の降灰層厚を25cmとして距離の比に応じて算定した層厚が 26.6cmとなることも踏まえ,本件各原子炉施設の降灰層厚を27. 0cmと設定し,⑤降下火砕物の粒径及び密度については,文献調査及び地質調査結果を踏まえ,粒径を1mm以下,乾燥密度を0.7g/c㎥,湿潤密 mとなることも踏まえ,本件各原子炉施設の降灰層厚を27. 0cmと設定し,⑤降下火砕物の粒径及び密度については,文献調査及び地質調査結果を踏まえ,粒径を1mm以下,乾燥密度を0.7g/c㎥,湿潤密度を1.5g/c㎥と設定した。(乙C3,35,36,38,42,44,45) ウまた,参加人は,ⅱ(降下火砕物の影響に対する設計方針等)については,降下火砕物の最大層厚の変更後においても,既許可処分である本件設置変更許可①において妥当とされた本件設置変更許可申請①の内容から変更しない旨の方針を示した。 具体的には,①降下火砕物に対して設計上対処すべき施設(以下「設計 対象施設」という。)を抽出するための方針については,降下火砕物の影響 を設計に考慮する施設として,発電用軽水型原子力施設の安全機能の重要度分類型に関する審査指針(平成2年8月30日原子力安全委員会決定)で規定されているクラス1,クラス2及びクラス3に属する構築物,系統及び機器を抽出する方針とし,クラス1及びクラス2に属する施設で建屋に内包される構築物,系統及び機器については,これらの施設を内包する 建屋,屋外に設置されている施設及び屋外に開口している施設並びに外気から取り入れた屋内の空気を機器内に取り込む機構を有する施設を設計対象施設とし,クラス3に属する施設及びその他の施設については,このうち降下火砕物の影響によりクラス1及びクラス2に属する施設に影響を及ぼす可能性がある施設を設計対象施設とし,②降下火砕物による影響 の選定については,設計対象施設の安全機能に及ぼす影響として,直接的影響及び間接的影響を選定するとされているところ,参加人は,降下火砕物の特徴から荷重,閉塞,摩耗,腐食,大気汚染,水質汚染及び絶縁低下を設定した上で,外気 象施設の安全機能に及ぼす影響として,直接的影響及び間接的影響を選定するとされているところ,参加人は,降下火砕物の特徴から荷重,閉塞,摩耗,腐食,大気汚染,水質汚染及び絶縁低下を設定した上で,外気吸入の有無等の特徴を踏まえ,直接的影響の主な因子として,構造物への静的負荷及び化学的影響(腐食),換気系,電気系 及び計装制御系に対する機械的影響(摩耗,閉塞),化学的影響(腐食)等を選定し,間接的影響として,外部電源の喪失及び本件各原子炉施設へのアクセスの制限といった本件各原子炉施設外で生じる影響を選定し,③設計荷重の設定については,降下火砕物に対する防護設計を行うために,個々の設計対象施設ごとに応じて常時作用する荷重と運転時荷重を適切 に組み合わせ,火山事象以外の自然事象による荷重との組合せについては,同時発生の可能性のある風(台風)及び積雪を対象とし,さらに,設計基準事故時の荷重との組合せを適切に考慮する設計としているとし,④降下火砕物の影響に対する設計方針については,直接的影響につき,㋐安全機能を有する構築物等の健全性の維持(荷重)に対する設計方針として,設 計対象施設のうち降下火砕物が堆積する建屋及び屋外施設について,設計 荷重が許容荷重に対して構造健全性を失わず,安全機能を損なわない設計方針とし,㋑安全上重要な設備の機能の維持に対する設計方針として,降下火砕物による構造物への化学的影響(腐食),水循環系の閉塞,内部における摩耗及び化学的影響(腐食),電気系及び計装制御系に対する機械的影響(摩耗,閉塞)及び化学的影響(腐食)等によって安全機能が損な われないように設計するとし,㋒外気取入口からの降下火砕物の侵入に対する設計方針として,屋外に連通する開口部を有する設計対象施設については,降下火砕 化学的影響(腐食)等によって安全機能が損な われないように設計するとし,㋒外気取入口からの降下火砕物の侵入に対する設計方針として,屋外に連通する開口部を有する設計対象施設については,降下火砕物が侵入し難い設計方針とするなどし,㋓降下火砕物の除去等の対策として,設計対象施設に長期にわたり静的荷重がかかることや化学的影響が発生することを避け,安全機能を維持するために,降下火砕 物の降灰時の特別点検,除灰等の対応を適切に実施する方針とし,間接的影響につき,原子炉及び使用済燃料貯蔵槽の安全性を損なわないようにディーゼル発電機及び燃料油貯油槽を備えるとし,7日間の連続運転により,電力の供給を可能とする方針とした。 これに対し,原子力規制委員会は,審査の過程において,上記ⅱ①~④ について本件設置変更許可申請①の内容から変更がないことを確認した上で,参加人に対し,設計基準対象施設及び重大事故等対処施設(特定重大事故等対処施設を含む。)について,降下火砕物の最大層厚の変更によって影響を受ける項目を整理した上で,降下火砕物の最大層厚以外の基本設計又は基本的設計方針の技術的成立性について説明し,これらを変更する 必要がないことを示すよう求めたところ,参加人は,降下火砕物の最大層厚の変更に伴い評価が必要となる影響因子は荷重及び閉塞であり,これらの観点から影響評価が必要な項目として,㋐施設を内包する建屋及び屋外施設(設計対象施設である建屋及び屋外施設)に対する静的荷重の影響,㋑屋外との接続のある施設(設計対象施設である屋外に開口している施設 のうち系統内へ直接降下火砕物が侵入・堆積する可能性のあるもの)に対 する閉塞の影響,㋒降下火砕物の除去に対する影響の3項目を抽出した上で,以下のとおり,本件各原子炉施設に 設 のうち系統内へ直接降下火砕物が侵入・堆積する可能性のあるもの)に対 する閉塞の影響,㋒降下火砕物の除去に対する影響の3項目を抽出した上で,以下のとおり,本件各原子炉施設に係る既存の設計及び工事計画認可で確認した詳細設計(降下火砕物に対して構造健全性を維持することを確認するための強度評価)等の評価実績を参考に簡易評価を行い,その結果,建屋の構造健全性が維持されるなど安全機能を損なうおそれがないと評 価されたことを説明し,降下火砕物の最大層厚以外の基本設計又は基本的設計方針に技術的成立性があるとして,本件設置変更許可処分①で妥当とされた設計方針等を変更する必要がないとの方針を示した。 すなわち,㋐については,施設を内包する建屋(外部遮蔽建屋,外周建屋,燃料取扱建屋,原子炉補助建屋,中間建屋,ディーゼル建屋及び燃料 取替用水タンク建屋),屋外施設(復水タンク,海水ポンプ)に対する降下火砕物の堆積荷重(積雪による荷重の組合せを含む。以下同じ。)の影響について,荷重又は応力(ある物体に対して外部から加えられた力に応じてその物体内部に生じる力,又はその単位面積当たりの力)による簡易評価を行ったところ,発生値が許容限界を下回ることなど(降灰層厚27 cmに対し,建屋のうち許容層厚が最も低い燃料取扱建屋は46cm,復水タンクの許容層厚は40.7cmであり,海水ポンプにつき堆積荷重により発生する応力は許容応力と比較して十分な裕度を有すること)から,構造健全性は維持されるとの評価結果が得られたとし,㋑については,主蒸気逃がし弁(蒸気発生器から蒸気を逃がす配管)等の大気開放部に対す る閉塞の影響について,堆積荷重及び噴出力の評価を行ったところ,出口配管内へ直接降下火砕物が侵入・堆積した場合でも,堆積荷重と 気逃がし弁(蒸気発生器から蒸気を逃がす配管)等の大気開放部に対す る閉塞の影響について,堆積荷重及び噴出力の評価を行ったところ,出口配管内へ直接降下火砕物が侵入・堆積した場合でも,堆積荷重と比較して噴出力が十分に大きいことから,閉塞は生じず必要な機能は維持されるとの評価結果が得られたとし,㋒については,建屋の屋根部,屋外タンク等からの降下火砕物の除去作業について,降下火砕物の堆積量から作業量及 び作業時間の評価を行ったところ,30日以内の除去が可能であり(作業 量約1854人日分を作業人数78人で除し約24日の所要日数),かつ,除去した降下火砕物を保管する場所は十分な容量を有しているとの評価結果が得られたとした。(以上につき,乙B15,乙C3,8,42,46~48)エ本件設置変更許可申請②に対する審査中の令和2年1,2月頃,非公式 の会合である本件会合が平成30年12月6日に実施され,前記⑻オの①案と②案のうち①案を退ける方針を決めたのに議事録を作らず,参加者に配布した資料も回収・廃棄したとして,原子力規制委員会の透明性等を批判する報道がされた。 更田委員長は,令和2年4月7日,衆議院環境委員会において,本件会 合はブレーンストーミングであり,意思決定をするものではなく,その中では成案とはなり得ないような案も取り上げて,時には,事業者に足元をすくわれないためにも,事業者側の立場に立って考えてみるというようなことも行われる旨答弁した。また,更田委員長は,同年5月19日,衆議院原子力問題調査特別委員会において,同年4月7日と同様,本件会合は ブレーンストーミングである旨答弁した。(以上につき,甲F9~13,乙F23,24)オ本件設置許可申請②に対する適合性審査は,公開を原則として 会において,同年4月7日と同様,本件会合は ブレーンストーミングである旨答弁した。(以上につき,甲F9~13,乙F23,24)オ本件設置許可申請②に対する適合性審査は,公開を原則として必要に応じて事業者から意見を聴取する審査会合が9回実施され,原子力規制庁の審査担当者が事業者に対し,事実確認等を行うヒアリングが16回実施さ れたところ,参加人は,本件設置変更許可申請②について,令和3年1月26日付け一部補正(関原発第555号)及び同年2月26日付け一部補正(関原発第598号)をした。 原子力規制委員会は,同年3月17日,令和2年度原子力規制委員会第65回会合において,前記アのⅰ(原子力発電所への火山事象の影響評価) について,参加人が実施した設計対応可能な火山事象の影響評価について は,火山ガイドを踏まえたものであり,文献調査,地質調査等により,本件各原子炉施設への影響を適切に評価していることを確認したとし,また,参加人が設定した降下火砕物の最大層厚等は,火山ガイドを踏まえたものであり,最新の文献調査及び地質調査結果を踏まえ,降下火砕物の分布状況,不確かさを考慮した降下火砕物シミュレーション結果及び越畑地点に おけるDNPの実績層厚と大山から本件各原子炉施設までの距離関係から総合的に評価し,適切に設定されていることから,妥当であると判断し,ⅱ(降下火砕物の影響に対する設計方針等)についても,参加人の前記ウの設計基準対象施設及び重大事故等対処施設の降下火砕物の最大層厚以外の基本設計又は基本的設計方針の技術的成立性についての㋐~㋒の説 明により,降下火砕物の最大層厚の変更後においても,それ以外の基本設計又は基本的設計方針に技術的成立性があることから,降下火砕物の最大層厚以外の基本設計又 の技術的成立性についての㋐~㋒の説 明により,降下火砕物の最大層厚の変更後においても,それ以外の基本設計又は基本的設計方針に技術的成立性があることから,降下火砕物の最大層厚以外の基本設計又は基本的設計方針を変更しないとの参加人の方針は妥当であると判断し,本件設置変更許可申請②に係る本件各原子炉の審査結果の案について炉規法43条の3の8第2項において準用する同法 43条の3の6第1項各号のいずれにも適合しているものと認められるから,審査の結果の案を取りまとめることとし,原子力委員会及び経済産業大臣の意見聴取を行うこと並びに審査書案に対する科学的・技術的意見の募集を行うことを決定した。(以上につき,乙C3,4,36,38~40,弁論の全趣旨) カ原子力規制委員会は,令和3年5月19日,原子力委員会及び経済産業大臣に対する意見聴取の結果を踏まえ,本件設置変更許可申請②に対する設置変更許可処分(以下「本件設置変更許可処分②」という。)をした。 また,原子力規制委員会は,同日,本件設置変更許可処分②と併せて,本件設置変更許可後に行われる設計及び工事の計画の認可その他の処分 並びに検査等の措置の今後の取扱いについて,①DNPの噴出規模の見直 しに係る設計及び工事の計画の認可,保安規定変更認可並びに使用前事業者検査及び使用前確認(設工認等)の手続を完了させるべき期限は,本件設置変更許可処分②から1年以降の最初の炉規法43条の3の16第1項の検査(定期事業者検査)において,原子炉を起動するために必要な検査を開始する日とする,②上記①の期限までにDNPの噴出規模の見直し に係る設工認等の手続が完了していない発電用原子炉施設は,運転の前提条件を満たさないものと判断する,③上記①の期限前に行われるその他の する日とする,②上記①の期限までにDNPの噴出規模の見直し に係る設工認等の手続が完了していない発電用原子炉施設は,運転の前提条件を満たさないものと判断する,③上記①の期限前に行われるその他の設工認等及び定期事業者検査については,従前の火山事象に関する想定を前提として規制基準への適合性を判断するとした。(以上につき,乙C37,40,41) キ原子力規制委員会は,令和3年5月19日,本件設置変更許可処分②のほかに,本件各原子炉と同じ敷地内に設置されている高浜原子力発電所1号機及び2号機(電気出力は各82.6万kW)についても,本件バックフィット命令に対応する設置変更許可処分(以下「高浜1,2号機設置変更許可処分」という。)をした。 上記許可処分に係る審査において,参加人は,火山事象による影響が発生し又は発生する場合における原子炉施設の保全に関する措置について,降下火砕物の最大層厚の変更後においても技術的成立性があるため,高浜1,2号機設置変更許可処分後に保安規定の変更はしないとしたのに対し,原子力規制委員会は,①変更後の最大層厚(27cm)から推定した気中 降下火砕物濃度(3.78g/㎥)で非常用DGの改良型フィルタの性能試験を実施した結果,フィルタ取替えまでの時間間隔を短縮する必要があるが,保安規定で定めるフィルタ取替え及び清掃の作業に要する時間を変更する必要はないとの評価結果が得られたこと,②火山影響対策に使用する屋外施設に対する静的荷重の影響について,荷重による評価の結果,発 生応力は許容値を下回ることから,構造健全性は確保されるとの評価結果 が得られたこと,③非常用DGの改良型フィルタの取替えができないと仮定した場合,フィルタの閉塞により電動補助給水ポンプが機能喪失する時間 ことから,構造健全性は確保されるとの評価結果 が得られたこと,③非常用DGの改良型フィルタの取替えができないと仮定した場合,フィルタの閉塞により電動補助給水ポンプが機能喪失する時間が早まるものの,蒸気発生器補給用仮設中圧ポンプを用いた蒸気発生器への注水により蒸気発生器の水位が維持されること等から,炉心冷却は可能であるとの解析結果が得られたこと,以上の事項を確認できたことから, 現行の保安規定に定める措置により,降下火砕物の最大層厚の変更後においても原子炉施設の保全のために必要な活動を行うことが可能であり,保安規定を変更しないとの参加人の方針は妥当であると判断した。(以上につき,甲A1,乙C37,41,丙C8)ク参加人は,令和3年7月1日,本件各原子炉施設について,設計及び工 事の計画の認可申請(本件設計工事認可申請)並びに保安規定変更認可申請(本件保安規定変更認可申請)をした。 参加人は,本件設計工事認可申請において,①本件各原子炉施設の降下火砕物の最大層厚を27cm,粒径1mm以下,密度0.7g/c㎥(乾燥状態)~1.5/c㎥(湿潤状態)とし,②設計基準対象施設(設置許 可基準規則2条1項7号),重大事故等対処施設(同項11号)及び特定重大事故等対処施設(同項12号)を評価対象施設とし,③層厚変更により評価が変わる影響因子として荷重を抽出し,建屋につき,層厚変更による荷重の増加に伴い,従来の簡易の評価手法では保守的に設定される基準値を超える場合があることから,至近の審査実績を踏まえ評価手法を変更す ることとし,④部材ごとに常時作用する荷重及び降下火砕物等堆積による鉛直荷重の和により発生する応力が短期許容応力度を超えないことを評価し,評価対象施設について,降下火砕物,積雪及び風による荷重 ることとし,④部材ごとに常時作用する荷重及び降下火砕物等堆積による鉛直荷重の和により発生する応力が短期許容応力度を超えないことを評価し,評価対象施設について,降下火砕物,積雪及び風による荷重に対し,いずれも裕度があり,構造強度評価上問題がないことを確認したとしている。 また,参加人は,本件保安規定変更認可申請において,①平成29年火 山ガイドに記載された「降灰継続時間を仮定して降灰量から気中降下火砕物濃度を推定する手法」を参考にして,本件各原子炉施設における気中降下火砕物濃度を評価し,運用期間中に想定される降下火砕物(27cm)が24時間(降灰継続時間)で堆積すると仮定した上で,降下火砕物の粒径ごとの堆積速度と粒径ごとの終端速度から算出される粒径ごとの気中濃 度を求め,その総和から気中降下火砕物濃度を3.78g/㎥と評価した。 そして,②非常用DGの改良型フィルタの取替運用への影響につき,フィルタ性能試験による閉塞時間(許容差圧到達時間)を191分と確認したが,その最大捕集容量から保守的に設定した基準捕集容量に到達する時間を94分とし,これに対し,フィルタ取替時間(20分)を考慮したフィ ルタ取替えの着手時間を70分と設定し,フィルタ清掃試験により,60分の清掃時間で対応し,これを24時間における繰返し清掃が可能であり,フィルタの性能が十分確保できていることを確認したから,これについての保安規定の変更はなく,また,③電源車の移動先はより頑強な燃料取扱建屋に変更し,これに伴い一部作業の要員数及び想定時間を変更する旨の 保安規定を変更するなどの説明をした。なお,上記のフィルタの閉塞時間191分については,従前は強制的に流れの乱れを発生させることによりフィルタに流入する火山灰の「はたき落とし を変更する旨の 保安規定を変更するなどの説明をした。なお,上記のフィルタの閉塞時間191分については,従前は強制的に流れの乱れを発生させることによりフィルタに流入する火山灰の「はたき落とし効果」を期待してフィルタ入口と出口を互い違いに半分塞ぐラビリンス板を取り付ける設計であったが,ラビリンス板があるとフィルタの表面積が半分になり,フィルタ流速が2 倍速くなることから,ラビリンス板を取り外して確認したものである。また,20分以内に取替え,その後60分以内に清掃を行う場合は取替え4名/ユニットで行い,清掃はそのうち2名/ユニットで行うとしているが,取替え・清掃を合わせて20分以内に実施する場合は5名/ユニットで行うとしている。(以上につき,甲C25,26,乙C50,丙C1,2,5, 7) ⑾ 火山についての知見ア噴火の原理等地球表層部は,十数枚のプレート(地球の表面を取り巻く厚さ約100kmの硬い岩石の層であり,地殻と低温の上部マントルを含む。)で覆われており,これらのプレートが地球の表面上を移動したり衝突したり しており,火山の大部分は,このプレートの沈み込みによりその境界に沿って形成される。プレートが沈み込む際,プレート上部の海洋地殻には多くの水が含まれており,これが脱水する温度・圧力条件まで沈み込むと水を放出し,その水と大陸地殻内のマントルとが反応することによりマントル内の岩石の融点が降下するため,岩石を溶解する温度・圧力 条件を満たす領域でマグマが生成される。そして,マグマ(液体)は,周囲の地殻(固体)との密度差から地表方向へ上昇し,周囲の密度と釣り合うところでマグマ溜まりを形成し,マグマ溜まりから供給されたマグマが地表に到達して噴出し,火山が形成されると考えられている )は,周囲の地殻(固体)との密度差から地表方向へ上昇し,周囲の密度と釣り合うところでマグマ溜まりを形成し,マグマ溜まりから供給されたマグマが地表に到達して噴出し,火山が形成されると考えられている。(乙B1,乙D11) 火山の噴火は,地下で生成されたマグマが地表に噴出することによって生じるものであり,そのマグマは地下に形成されたマグマ溜まりから供給される。マグマの物理的性質,粘性や密度は,マグマが移動する際の速度や噴火の激しさと密接に関係するため,火山活動を理解する上で重要なパラメータであり,一般的に,玄武岩質マグマは,温度が高く, 粘性が低い場合が多いが,珪長質マグマ(流紋岩質マグマ及びデイサイト質マグマ)は,低温で粘性が高いため,長い年月をかけて大量のマグマを蓄積しやすく,大規模なマグマ溜まりを形成して噴火を起こす巨大噴火は,一般に珪長質マグマによるものとされている。珪長質マグマは,粘性が高いことにより,噴火した際にはプリニー式噴火(噴煙柱を高く 形成するもの)を引き起こすとされている。(乙D8,11,17,20, 21)マグマが噴火可能な状態にあるかどうかは,マグマに含まれる結晶量の割合に左右されると考えられている。結晶量の割合が50%程度以上のマグマはマッシュといい,そのままでは噴火できないところ,実際のマグマ溜まりは大部分がマッシュ状であるため,その状態では噴火でき ないが,粒間のメルト(完全に溶融したマグマ)が分離・集積したり,高温マグマ等の注入によってマッシュが溶融したりすることなどにより噴火に至るとされ,この再活性化は数か月~数十年という比較的短期間で起こるという見解もある。(甲D25,乙D22~24)マグマの発泡や噴火は,マグマに含まれる水の量にも左右されると考 などにより噴火に至るとされ,この再活性化は数か月~数十年という比較的短期間で起こるという見解もある。(甲D25,乙D22~24)マグマの発泡や噴火は,マグマに含まれる水の量にも左右されると考 えられており,マグマが地下深部のような高い圧力下にあると,水はマグマに溶け込めるが,マグマの上昇による減圧等が起こると,その水が水蒸気となってマグマから分離し,マグマが発泡し,そうすると,その泡を含めたマグマの体積が増加し,マグマ溜まりの圧力が増加することで,上部の岩石を破壊し,噴火に至るとされている。(乙D11,20, 25)イ噴火予測火山の諸現象を解明するための調査手法には様々な手法があるが,代表的な手法として,①地質学的調査手法,②岩石学的調査手法及び③地球物理学的調査手法がある。 ①地質学的調査手法は,地層の現地調査を行って火山噴出物(火山岩)の種類,堆積物分布範囲,噴出量及び各地層の堆積順序を確認したり,各地層における堆積物の放射年代等を調査したりすることにより,火山噴出物が噴出し堆積した年代を推定して,当該火山における噴火履歴をまとめるなどの研究を行う火山地質学の手法を用いるものであり,個々 の火山におけるマグマ供給系ごとに検討される過去の噴火履歴を把握するこ とにより,現在の活動状況や将来の活動状況を推定することができる場合があり,地質学的な調査結果については,縦軸に噴出量,横軸に噴出年代を設定した階段ダイヤグラム(階段図)を作成して噴火履歴を示し,これを分析して,火山活動の傾向や将来の活動可能性を評価する。 ②岩石学的調査手法は,岩石の性質・産状・相互関係・成因等を研究 する火山岩石学を利用するものであり,火山噴出物の岩石学的調査(偏光顕微鏡を用いた観察,主成分 向や将来の活動可能性を評価する。 ②岩石学的調査手法は,岩石の性質・産状・相互関係・成因等を研究 する火山岩石学を利用するものであり,火山噴出物の岩石学的調査(偏光顕微鏡を用いた観察,主成分・微量元素組成分析等)を行うことにより,活動したマグマの特徴,地下におけるマグマの成因,火山活動の履歴等を推定するものである。 ③地球物理学的調査手法は,物理学的方法により地球を研究する地球 物理学を利用するものであり,火山に関する調査手法として,地震波の観測により地下の地震波速度構造を解析することにより,マグマ溜まりの位置等を推定する地震波トモグラフィ法などがある。地震波トモグラフィ法は,地震が発生し,震源から発生した地震波が地表まで伝わる途中に存在する物質の性質(岩盤等の剛性率や密度)によって地震波の伝 わる速度が異なり,その速度の違いを把握することによって,当該物質の場所や性質を推定することが可能となる地下の地震波速度構造解析技術である。熱水やマグマ等の液体が多く含まれている岩盤等を通るときは地震波の速度が遅くなるため,地震波到達時間に遅延等の異常がみられる場合,地下に低速度領域があることが推測され,マグマ溜まり等の 低速度領域の原因が存在する可能性がある。(以上につき,乙B1,乙D15,19,24,弁論の全趣旨)噴火が起こる前には,マグマが地下の一定の深さに定置するという考え方が火山学において受け入れられているが,その中で,マグマの密度が周囲の岩石と均衡すればその均衡した深さでとどまるという原理に依 拠する見解があり,これは,マグマは地球内部の密度構造に支配されな がら,浮力によって上昇・移動し,マグマの密度が地殻の密度と釣り合う深さ(浮力中立点)にマグマ溜まりができるとするものである 見解があり,これは,マグマは地球内部の密度構造に支配されな がら,浮力によって上昇・移動し,マグマの密度が地殻の密度と釣り合う深さ(浮力中立点)にマグマ溜まりができるとするものである。我が国では,マグマ活動の中心的役割を果たす玄武岩質(粘性が低く,高温で,密度が高い)のマグマ溜まりが地下10~12kmを浮力中立点として存在し,その上層に珪長質(粘性が高く,低温で,密度が低い)の マグマ溜まりが生成されると,そのマグマ溜まりが更に浅所の浮力中立点に移動するとの考え方が示されている。 もっとも,マグマ溜まりの位置について,実際はそう単純ではなく,マグマ溜まりがシル(水平方向に薄く広がった貫入マグマ)の集合体である場合には,浮力よりもむしろ,地殻内のレオロジー(流動学)や剛 性のコントラスト,応力場などがマグマの定置深度を支配するらしいとの見解がある。(以上につき,甲D25,乙D8,9,20,22,23)火山噴火予知連絡会の会長であった藤井敏嗣東京大学名誉教授は,平成28年11月16日受付の論文「わが国における火山噴火予知の現状と課題」において,常時監視観測が行われている活火山における火山噴 火予知は,1998年の段階において,①観測データの変化から火山活動の異常を検出して噴火の可能性を警告する,②観測データの解釈に基づいて火山の状態を評価し,過去の噴火事例も考慮して噴火の発生や推移を定性的に予測する段階にあるものと評価されたが,現在までこの状況に本質的変化はなく,部分的に噴火の物理モデルに基づいて噴火の推 移を予測する試みも行われるようになっているが,地下のマグマ供給系の状況を的確に把握できているとはいい難く,階段ダイヤグラム(階段図)による噴火時期の予測はマグマ供給量又は噴火噴出物放出率が 移を予測する試みも行われるようになっているが,地下のマグマ供給系の状況を的確に把握できているとはいい難く,階段ダイヤグラム(階段図)による噴火時期の予測はマグマ供給量又は噴火噴出物放出率が一定であることが必要条件であるが,これが長期的に成立する保証はなく,噴出物量や噴火年代についても大きな誤差があることから,数万年レベ ルの噴火履歴から原子力発電所の稼働期間である数十年単位の噴火可能 性を階段ダイヤグラムで議論すること自体に無理があり,火山噴火の長期予測に関しては,その切迫度を測る有効な手段は開発されていないとする。また,藤井名誉教授は,地震波トモグラフィ法について,最近の反射法であればある程度深いところまで読めるかもしれないが,人工地震では数km位の深さまでしか届かないから,マグマ溜まりまで届かず, 日本ではノイズも多くて解析は簡単ではないと述べている。国立研究開発法人防災科学技術研究所火山研究推進センターのセンター長となった中田節也東京大学名誉教授も,平成29年7月の公開講座において,火山噴火予知の段階について同様の見解を述べており,巽好幸神戸大学名誉教授は,平成30年7月に寄稿した論稿において,現時点ではマグマ 溜まりを把握することは困難であり,マグマ溜まりの位置や大きさ,形を正確に捉えた例はなく,これを目指した観測は始まったばかりであると指摘している。(甲D26~29,31)ウ降下火砕物の影響噴火が発生すると,火砕物は,噴煙柱として立ち上り,噴煙柱と周囲 の密度が釣り合った付近で噴煙は水平へ傘状に広がるが,重力と空気抵抗が釣り合う速度(終端速度)に達すると落下し始め,小さい粒子ほど終端速度は小さく遠くまで運ばれる。日本列島を含む中緯度地帯の上空には,地球規模の大気循環 で噴煙は水平へ傘状に広がるが,重力と空気抵抗が釣り合う速度(終端速度)に達すると落下し始め,小さい粒子ほど終端速度は小さく遠くまで運ばれる。日本列島を含む中緯度地帯の上空には,地球規模の大気循環により西風である偏西風が常に吹いており,降下火砕物は規模の大きな噴火ほど強い西風に送られ,火山の東側に分 布すると考えられており,日本の後期第四紀(約13万年前以降)テフラの場合は120例中84%がそのような分布域である。(乙D27,28)火山灰の密度は,乾燥状態で概ね1g/c㎥程度であるが,湿潤状態になると1~2g/c㎥と,乾燥時より密度が増加し,湿り気を帯びた 新雪(0.1~0.2g/c㎥)の10倍程度の密度である。火山灰は, 乾燥時には絶縁体であるが,水を含んで湿った状態になると,火山ガス成分や火山灰に含まれる塩基類によって通電性を持つことがあり,湿った火山灰が電柱の碍子等に付着した場合,碍子部分の絶縁性が弱くなり,閃絡等による停電等が起こることがあるほか,火山灰から硫化イオン(SO₄²⁻)が溶出すると,金属腐食の要因となる。火山灰の融点は約100 0℃であり,航空機用ガスタービンのエンジン燃焼度(1400℃以上)で火山灰が溶融し,その後,冷えてタービンブレード等に付着するため,飛行中のエンジン停止等異常の原因となる。(甲D6)Tephra2は,風による移動(移流)と空中で勝手に拡がる現象(拡散)を盛り込んだ「移流拡散モデル」を用いたシミュレーションコ ードである。噴煙柱高さ,噴出量,粒子の粒径,給源火口の座標,拡散係数,見かけ渦拡散係数,岩片の密度,軽石の密度,地形データ,標高ごとの風速・風向等の多数のパラメータを入力することにより,降灰範囲及び降灰量が得られ,各地点の降下火砕物の堆積 給源火口の座標,拡散係数,見かけ渦拡散係数,岩片の密度,軽石の密度,地形データ,標高ごとの風速・風向等の多数のパラメータを入力することにより,降灰範囲及び降灰量が得られ,各地点の降下火砕物の堆積量及び粒径分布のデータが同時に出力される。Tephra2は,垂直に上昇する噴煙中か ら粒子が離脱するというモデルに基づいており,噴煙中の傘型領域からの落下は盛り込んでおらず,開発者によれば,大気を水平方向の層に分け,その層の中では風速と風向が一定であると仮定し,各層間で風速と風向が変化するようにして,モデルを単純化しているため,小規模な噴火には有効であるが,規模の大きい噴火や風の変化が激しい場合には, 現実をうまく表現できない可能性が高いとされる。 (甲D36,乙D39,弁論の全趣旨)⑿ 大山についての知見ア大山は,西南日本弧(ユーラシアプレート(大陸プレート)の下にフィリピン海プレート(海洋プレート)が沈み込むことによって形成されたも の)上に存在する火山であり,アダカイト(沈み込んだ海洋地殻が部分溶 融して形成されたと考えられる安山岩,デイサイト,流紋岩等の火成岩類)質火山岩が見られる。大山は,鳥取県西部にある東西約35km,南北約30kmの大型の第四紀(約258万年前から現在までの期間)デイサイト質複成火山(同じ火口から何度も噴火を繰り返し,火山体を成長させるタイプの火山)であり,本件各原子炉の敷地から約180km,美浜原子 力発電所3号機の敷地から約220km離れた場所に位置する。 大山では,約6万年前に国内で最大規模のプリニー式噴火である倉吉降下火砕物(DKP)が,約8万年前に生竹降下火砕物(DNP)がそれぞれ噴出し,最末期の噴火は約2万年前であり,それ以降は噴火の記録がない。大山は 6万年前に国内で最大規模のプリニー式噴火である倉吉降下火砕物(DKP)が,約8万年前に生竹降下火砕物(DNP)がそれぞれ噴出し,最末期の噴火は約2万年前であり,それ以降は噴火の記録がない。大山は,40~60万年前にかけて溝口凝灰角礫岩という合計噴出量 約50k㎥の噴出物があったが,これは長期間にわたる噴出物が2次的に泥流等として流動・堆積したものとされる。(乙C36,乙D3,13,16,41,42,弁論の全趣旨)イ大山は,火山噴火予知連絡会が平成15年に「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」として定義し直した11 1の活火山に選定されておらず,また,同連絡会が「火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある火山」として選定し(47火山),同連絡会の下に設置された「火山観測体制等に関する検討会」の提言により追加された(3火山),24時間体制で常時観測・監視が行われている50火山には含まれていない。(乙D1,2) ウ大山については,平成23年の文献において,周辺の地下構造について地震波トモグラフィ法による検討を行った結果,低速度領域及び低周波地震の存在から,大山の西方20km以深にマグマ溜まりが存在する可能性が示唆されている。この研究を更に進めた平成30年の文献においても,大山の地下深部の低速度領域の存在が示されているが,その深度は平成2 3年のものと同程度とされている。(乙C27,乙D10) エ安全研究を行った山元孝広らは,平成27年度研究から平成29年度研究までの研究結果を基に,岩石学,地球化学等に関する学術雑誌(Lithos)において論文であるYamamotoandHoang(2019)を発表した。 同論文は,大山アダカイトは高カリウム群と低 究までの研究結果を基に,岩石学,地球化学等に関する学術雑誌(Lithos)において論文であるYamamotoandHoang(2019)を発表した。 同論文は,大山アダカイトは高カリウム群と低カリウム群に分けられ,高カリウム群はTiO2,Sr,Ba,Nb及びLa含有量が高く,Sr-N d-Pb同位体組成において枯渇しており,低カリウムアダカイトは下部地殻同化作用の度合いが高いことが示され,低カリウムアダカイトは10万年前から2万7600年前の高噴出率期に噴出した一方,高カリウムアダカイトはこの期間の前と後に噴出しており,この相関関係は,高噴出率期の地殻へのマグマ貫入比率が増加したことによって下部地殻同化作用の 度合いが大きくなった結果であると考えられ,高噴出率期の後,噴火活動も下部地殻同化作用も減少し,噴火活動は2万0800年前に停止したとする。(乙D36,弁論の全趣旨)⒀ 放射線による影響等についてアチェルノブイリ原子力発電所事故について IAEAが作成したチェルノブイリ原子力発電所事故に伴う放射性セシウムの土壌濃度マップ(事故発生後3年8か月後)によれば,昭和61(1986)年4月26日のチェルノブイリ原子力発電所事故によって放出された放射性物質による汚染が4万Bq/㎡以上となった地域は,最も遠くて約1800kmにまで広がった。 ソビエト社会主義共和国連邦が1991年末に消滅した後,ロシア,ウクライナ及びベラルーシ(ロシア等)は,それぞれ自国の法律を制定し,チェルノブイリ原子力発電所事故による被ばく量が年間5mSv以上(セシウム137が55万5000Bq/㎡以上)と考えられる地域を移住義務ゾーン,被ばく量が年間1mSv以上(セシウム137が18万500 0Bq以上/㎡以上)と考え ばく量が年間5mSv以上(セシウム137が55万5000Bq/㎡以上)と考えられる地域を移住義務ゾーン,被ばく量が年間1mSv以上(セシウム137が18万500 0Bq以上/㎡以上)と考えられる地域を移住権利ゾーンとし,セシウム 137が3万7000Bq/㎡以上の地域に社会経済的な特典を付与した。なお,ロシア等の国内法における安全基準値は,ICRP(国際放射線防護委員会)の1990年勧告を取り入れたものである。(以上につき,甲F28,31~33,乙F17)イ福島第一原発事故について 福島第一原発事故によって空気中に放射性物質を放出した1~4号機の電気出力は,1号機が46.0万kW,2~4号機が各78.4万kWである。この当時,原子炉内に存在した燃料集合体は,1号機が400本,2号機が548本,3号機が548本,4号機が0本であり,使用済燃料プール内に存在した燃料集合体は,1号機が392本,2号 機が615本,3号機が566本,4号機が1535本であった。(甲F1)原子力委員会の委員長であった近藤駿介が政府からの指示により作成した平成23年3月25日付け「福島第一原子力発電所の不測事態シナリオの素描」(以下「本件資料」という。)によれば,福島第一原発1 号機の水素爆発により放射性物質が放出され,その後4号機の使用済燃料プールから放射性物質が放出され,続いて他の号機の使用済燃料プールからも放射性物質の放出がされた場合,セシウム137の土壌汚染の度合いは,148万Bq/㎡を超えて強制移転を求めるべき地域が170km以遠(2炉心分)に,55万5000Bq/㎡を超えて任意移転 を認める地域が250km以遠(2炉心分)に生じる可能性があり,これらの範囲は時間の経過とともに小さくなるが るべき地域が170km以遠(2炉心分)に,55万5000Bq/㎡を超えて任意移転 を認める地域が250km以遠(2炉心分)に生じる可能性があり,これらの範囲は時間の経過とともに小さくなるが,自然(環境)減衰にのみ任せておくならば数十年を要するとし,初期濃度が148万Bq/㎡の場合,線量率は当初約90mSv/年,1年後約40mSv/年となり,20mSv/年となるのは約5年経過時であり,初期濃度が55万 5000Bq/㎡の場合,線量率は当初40mSv/年弱,1年後20 mSv/年弱となるとする。(甲F8)平成23年4月22日,緊急時の防護措置についてのICRP(国際放射線防護委員会。1928年に設立された国際X線・ラジウム防護委員会が1950年に改組されて設立された民間独立の国際学術組織)の2007年勧告を踏まえ,年間積算線量が20mSvに達するおそれの ある地域は,計画的避難区域として指定された。(甲F1,乙F8,9)UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)の2013年報告書によれば,福島第一原発事故による放射性物質の総放出量の推定値について,ヨウ素131の推定値は約10~50京Bqの範囲にあり,セシウム137の推定値は総じて0.6~2京Bqの範囲にあ るが,より限られた情報に基づく一部の推定値では4京Bqまでとするものもあったとする。(甲F82)ウ自然界には宇宙からの放射線,地殻を構成している岩石等に含まれる放射性物質から放出される放射線,人間が摂取する飲食物等の中に含まれる放射性物質から放出される放射線等が存在し,これらの自然放射線からの 放射線量は,日本では全国平均1人当たり年間2.1mSv,世界では年間2.4mSv,地域によっては年間約10mSvであ れる放射性物質から放出される放射線等が存在し,これらの自然放射線からの 放射線量は,日本では全国平均1人当たり年間2.1mSv,世界では年間2.4mSv,地域によっては年間約10mSvである。また,人間はレントゲンやCTスキャン等の人工放射線による被ばくをしており,全身CTスキャンによる被ばく量は1回6.9mSvである。(乙F10,弁論の全趣旨) エ放射線被ばくによる有害な健康への影響は,確定的影響と確率的影響に分類されている。確定的影響とは,組織の機能を損なうのに十分な細胞喪失を引き起こす放射線による細胞致死の結果から生じる健康影響である。 ICRP(国際放射線防護委員会)の2007年勧告は,臓器ごとのしきい値として1%発生率を示しており,そのうち最も低いものは100mS vである。確率的影響とは,放射線被ばくによって引き起こされた細胞の 修飾の結果として起こるかもしれない健康影響である。平成23年12月22日付け「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ報告書」によれば,放射線による発がんのリスクは,100mSv以下の被ばく線量では,他の要因による発がんの影響によって隠れてしまうほど小さいため,放射線による発がんリスクの明らかな増加を証明することは難し いとされるが,2007年勧告は,明確に実証する生物学的・疫学的知見がすぐに得られそうにないとしつつ,実用的な放射線防護体系を勧告する目的から,約100mSvを下回る線量においては,ある一定の線量の増加はそれに正比例して放射線起因の発がん又は遺伝性影響の確率の増加を生じるであろうという仮説(LNTモデル)に引き続き根拠を置くとして, ICRPの1977年勧告以降,これを採用している。 1990年勧告は,全ての平常状態にお ん又は遺伝性影響の確率の増加を生じるであろうという仮説(LNTモデル)に引き続き根拠を置くとして, ICRPの1977年勧告以降,これを採用している。 1990年勧告は,全ての平常状態における公衆被ばくにおける線量限度として,非常に変動しやすいラドンによる被ばくを除いた自然放射線源からの年間実効線量(実効線量とは,身体の全ての組織・臓器の荷重された等価線量の和であり,等価線量は,組織・臓器にわたって平均し,線質 について荷重した吸収線量)が約1mSvであることから,年実効線量限度として1mSvを勧告し,放射線審議会(「放射線障害防止の技術的基準に関する法律」に基づき,放射線障害防止の技術的基準の斉一を図ることを目的とし,現在,原子力規制委員会に置かれる機関)は,平成10年6月,1990年勧告の国内制度等への取入れの意見具申において公衆被ば くに関する限度として実効線量年1mSvとすることが適当であるとした。上記の意見具申を受け,線量告示は,周辺監視区域の外側の線量限度を1mSv/年と定め,実用炉規則2条2項6号の「周辺監視区域」の外側の線量限度は,線量告示2条1項1号により年間1mSvとし,放射線障害防止法も,公衆の被ばく限度を実効線量年間1mSvとしている。 他方,2007年勧告は,緊急時被ばく状況(計画的状況における操業 中又は悪意ある行動により発生するかもしれない至急の注意を要する予期せぬ状況)において計画される最大残存線量の参考レベル(これを上回る被ばくの発生を許す計画の策定は不適切であると判断されるもの)は,年間実効線量20mSvから100mSvの範囲と提示している。なお,2007年勧告は,1990年勧告と異なり,放射線審議会による国内制 度等への取入れの意見具申はされてい と判断されるもの)は,年間実効線量20mSvから100mSvの範囲と提示している。なお,2007年勧告は,1990年勧告と異なり,放射線審議会による国内制 度等への取入れの意見具申はされていない。 (以上につき,甲F66,72,乙F8,10,12~14,16,弁論の全趣旨)オ元京都大学原子炉実験所助手の瀬尾は,平成7年6月,原子力発電所事故が起きた場合のシミュレーション(瀬尾シミュレーション)を公表した。 瀬尾シミュレーションは,米国の原子力規制委員会が,マサチューセッツ 工科大学のラスムッセンに依頼して行った原子力発電所事故で放出される放射性物質のシミュレーションの報告として公表された計算手法に基づくものであり,電気出力100万kWのPWRの炉心冷却系が故障して炉心溶融を引き起こし,更に格納容器スプレイと熱除去系も故障するため,格納容器内の圧力上昇を抑えることができず,格納容器の耐圧限度を突破し て破裂し,格納容器内に充満していた大量の放射能が環境に噴き出すという事故が起きたとき,ヨウ素131が218京Bq,セシウム137が10.7京Bq,それぞれ環境中に放出されるとする。 瀬尾は,瀬尾シミュレーションにおける算出方法について,科学的に考える根拠に基づいて,パソコンでは時間が掛かりすぎて実用的ではないの で,簡便な方法として独自に計算した適当な変数係数を使用し,独自に工夫した近似関数を用いた旨を述べている。(以上につき,甲F27,80) 2 争点1(原告らの本件訴えにおける原告適格の有無)について⑴ 原告適格の有無の判断枠組み行政事件訴訟法9条は,取消訴訟の原告適格について規定するが,同条1 項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは, 当該処分によ の有無の判断枠組み行政事件訴訟法9条は,取消訴訟の原告適格について規定するが,同条1 項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは, 当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法 律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。 そして,処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみに よることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害され ることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(同条2項,最高裁平成16年(行ヒ)第114号同17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁参照)。 本件訴えは,原告らが原子力規制委員会(処分行政庁)に対し本件各原子炉施設の使用停止(本件各処分)の義務付けを求める非申請型義務付けの訴 えであり,その原告適格として,本件 645頁参照)。 本件訴えは,原告らが原子力規制委員会(処分行政庁)に対し本件各原子炉施設の使用停止(本件各処分)の義務付けを求める非申請型義務付けの訴 えであり,その原告適格として,本件各処分を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者であることが必要である(同法37条の2第3項)ところ,当該法律上の利益の有無の判断については,同法9条2項の規定が準用されている(同法37条の2第4項)から,上記の見地に立って,原告らが本件訴えの原告適格を有するか否かについて検討する。 ⑵ 炉規法その他関係法令の趣旨・目的及び考慮されるべき利益の内容・性質 ア炉規法は,原子力基本法の精神にのっとり,核原料物質,核燃料物質及び原子炉の利用が平和の目的に限られることを確保するとともに,原子力施設において重大な事故が生じた場合に放射性物質が異常な水準で当該原子力施設を設置する工場又は事業所の外へ放出されることその他の核原料物質,核燃料物質及び原子炉による災害を防止し,及び核燃料物質を防護 して,公共の安全を図るために,製錬,加工,貯蔵,再処理及び廃棄の事業並びに原子炉の設置及び運転等に関し,大規模な自然災害及びテロリズムその他の犯罪行為の発生も想定した必要な規制を行うほか,原子力の研究,開発及び利用に関する条約その他の国際約束を実施するために,国際規制物資の使用等に関する必要な規制を行い,もって国民の生命,健康及 び財産の保護,環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とする(同法1条)。そして,同法は,原子力規制委員会は,①同法43条の3の6第1項各号に適合していると認めるときでなければ発電用原子炉設置許可をしてはならないとし(同項),同許可を受けたものが同法43条の3の5第2項2号から5号ま 原子力規制委員会は,①同法43条の3の6第1項各号に適合していると認めるときでなければ発電用原子炉設置許可をしてはならないとし(同項),同許可を受けたものが同法43条の3の5第2項2号から5号まで又は8号から11号までに掲げる事項を変 更しようとするときも同様とし(同法43条の3の8第2項),②発電用原子炉施設の設置又は変更の工事をしようとする発電用原子炉設置者は,当該工事に着手する前に,その設計及び工事の方法その他の工事の計画の認可を受けなければならない(同法43条の3の9)とし,③発電用原子炉設置者は,発電用原子炉施設の保全,運転等について,保安のための必要 な措置(重大事故が生じた場合における措置に関する事項を含む。)を講じなければならない(同法43条の3の22)としている。 このように,炉規法は,原子炉等の利用による災害の防止及び公共の安全を図るために当該原子炉の設置及び運転等に関して必要な規制を行い,もって国民の生命,健康及び財産の保護,環境の保全等に資することを目 的としており,そのために,原子力規制委員会において,発電用原子炉施 設の設置(変更),設計・工事,保安・運転の各段階に応じて,それぞれ同法所定の審査を行うこととしているところ,これらは,発電用原子炉施設の安全性が確保されないときは,当該発電用原子炉施設の従業員やその周辺住民等の生命,身体に重大な危害を及ぼし,当該発電用原子炉施設の周辺に存する土地等の財産に回復困難な重大な損害をもたらすほか,周辺の 環境を放射性物質により汚染するなどの深刻な災害を引き起こすおそれがあることに鑑み,このような災害を防止するため,原子力利用における安全の確保に関して専門的知識及び経験並びに高い識見を有する委員から成る原子力規制委員会にお するなどの深刻な災害を引き起こすおそれがあることに鑑み,このような災害を防止するため,原子力利用における安全の確保に関して専門的知識及び経験並びに高い識見を有する委員から成る原子力規制委員会において,科学的,専門技術的見地から,上記の各段階に応じた審査を行い,もって当該発電用原子炉施設の安全性を確保 しようとしているものと解される。 イまた,炉規法に関係する法令として,原子力規制委員会設置法,原子力基本法,環境基本法,原子力災害対策特別措置法及び災害対策基本法があるところ,①原子力規制委員会設置法は,国民の生命,健康及び財産の保護,環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とし(同法1 条),②原子力基本法も,その基本方針として,国民の生命,健康及び財産の保護,環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的としており(同法2条2項),③環境基本法は,現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とし(同法1条),人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染等によ って,人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずることを公害とし(同法2条3項),事業者は公害を防止するなどの責務を有する(同法8条1項)とする。また,④原子力災害対策特別措置法は,原子力災害から国民の生命,身体及び財産を保護することを目的とし (同法1条),原子力緊急事態により国民の生命,身体又は財産に生ずる被 害を原子力災害とし(同法2条1号),原子力緊急事態が発生したときには原子力緊急事態宣言が発出され(同法15条2項),内閣総理大臣が一定の区域の市町村長及び都道府県知事に 生ずる被 害を原子力災害とし(同法2条1号),原子力緊急事態が発生したときには原子力緊急事態宣言が発出され(同法15条2項),内閣総理大臣が一定の区域の市町村長及び都道府県知事に対し,一定の地域の居住者,滞在者その他の者に対し,避難のための立退き又は屋内への退避の指示を行うべきことその他の緊急事態応急対策に関する事項を指示するものとし(同条3 項),⑤災害対策基本法は,その目的において国民の生命,身体及び財産を災害から保護することを定め(同法1条),国,都道府県及び市町村は,国民又は住民の生命,身体及び財産を災害から保護するため,それぞれ責務を有するとしている(同法3条1項,4条1項,5条1項)。このような炉規法の関係法令の趣旨及び目的に照らすと,これらの関係法令は,発電用 原子炉施設の利用に当たって,国民又は住民の生命,身体の安全,財産等に対する保護を要求しているものと解される。 ウ以上のとおり,前記アの炉規法の規定に加えて,上記イの関係法令の規定の趣旨及び目的をも参酌し,これらの規定が原子力規制の制度を通して保護しようとしている利益の内容及び性質等を考慮すれば,発電用原子炉 施設に関する炉規法の規定は,単に公衆の生命,身体の安全,健康,財産,環境上の利益を一般的公益として保護しようとするにとどまらず,発電用原子炉施設から一定の範囲内に居住し,事故等がもたらす災害により直接的かつ重大な被害を受けることが想定される範囲の住民の生命,身体の安全,財産等を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含 むものと解される。 これに対し,被告は,平成24年改正後の炉規法1条に「国民の生命,健康及び財産の保護,環境の保全」を目的とすることが明示されたものの,これは平成24年改正前炉規法 むものと解される。 これに対し,被告は,平成24年改正後の炉規法1条に「国民の生命,健康及び財産の保護,環境の保全」を目的とすることが明示されたものの,これは平成24年改正前炉規法の目的をより具体化したものにすぎず,原告適格を肯定し得る周辺住民の範囲に変わりはなく,前掲最高裁平成4年 9月22日第三小法廷判決と同様,社会通念に照らし,重大な原子炉施設 の事故等がもたらす災害により,その生命,身体等に直接的かつ重大な被害を受けるものと想定される範囲の当該原子炉施設周辺の住民らに限り,原告適格が認められると主張する。しかし,前記ア及びイのとおり,炉規法並びにこれと趣旨及び目的を共通にする関係法令は,国民又は住民の生命,身体のみならず,財産の保護を明示的に規定しているところ,発電用 原子炉はその稼働により内部に大量の人体に有害な放射性物質を発生させるものであって,発電用原子炉施設の安全性が確保されないときは,周辺の環境を放射性物質により汚染するなどの深刻な災害を引き起こし,その周辺に存する土地等の財産に重大な損害をもたらすおそれがあるものであり,福島第一原発事故により生じた甚大かつ深刻な被害の発生を受けて平 成24年改正がされた経緯等にも照らして,同改正により改正がされた炉規法の規定に加え,上記関係法令の規定の趣旨及び目的をも参酌し,これらの規定が原子力規制の制度を通して保護しようとしている利益の内容及び性質等を考慮すれば,発電用原子炉施設に関する炉規法の規定は,発電用原子炉施設の事故等がもたらす災害により直接的かつ重大な被害を受け ることが想定される範囲の住民の財産を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解するのが相当である。そして,平成24年改正を踏まえた 害により直接的かつ重大な被害を受け ることが想定される範囲の住民の財産を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解するのが相当である。そして,平成24年改正を踏まえた上記の解釈は,前掲最高裁平成4年9月22日第三小法廷判決に相反するものではないというべきである。この点の被告の主張は採用することができない。 エしたがって,発電用原子炉施設から一定の範囲内に居住し,上記の被害を受けることが想定される範囲の住民は,炉規法43条の3の23第1項に基づく発電用原子炉施設の使用の停止,改造,修理又は移転,発電用原子炉の運転の方法の指定その他保安のために必要な措置を命ずることの義務付けの訴えについて原告適格を有するというべきである。 そして,当該住民の居住する地域が,上記のような発電用原子炉の事故 等による災害により直接的かつ重大な被害を受けるものと想定される地域であるか否かについては,当該発電用原子炉の種類,構造,規模等の当該発電用原子炉に関する具体的な諸条件を考慮に入れた上で,当該住民の居住する地域と発電用原子炉の位置との距離関係を中心として,社会通念に照らし,合理的に判断すべきものである(最高裁平成元年(行ツ)第13 0号同4年9月22日第三小法廷判決・民集46巻6号571頁参照)。 ⑶ 原告らの原告適格の有無アまず,ICRP(国際放射線防護委員会)が策定した2007年勧告は,放射線被ばくによる有害な健康への影響を確定的影響と確率的影響に分類し,確定的影響についての臓器ごとのしきい値として最も低いものを10 0mSvとし,確率的影響については明確に実証する生物学的・疫学的知見がすぐに得られそうにないとしつつ,ある一定の線量の増加はそれに正比例して放射線起因の のしきい値として最も低いものを10 0mSvとし,確率的影響については明確に実証する生物学的・疫学的知見がすぐに得られそうにないとしつつ,ある一定の線量の増加はそれに正比例して放射線起因の発がん又は遺伝性影響の確率の増加を生じるであろうという仮説(LNTモデル)を引き続き採用し,全ての平常状態における公衆被ばくにおける線量限度として,非常に変動しやすいラドンによる 被ばくを除いた自然放射線源からの年間実効線量が約1mSvであることから,年実効線量限度として1mSvを勧告する一方,緊急時被ばく状況(計画的状況における操業中又は悪意ある行動により発生するかもしれない至急の注意を要する予期せぬ状況)において計画される最大残存線量の参考レベル(これを上回る被ばくの発生を許す計画の策定は不適切である と判断されるもの)として,年間実効線量20mSvから100mSvの範囲と提示している。 このように,2007年勧告は,1990年勧告が公衆被ばくの実効線量について年間1mSvを限度とする勧告をしたのと同様,平常状態における公衆被ばくにおける年実効線量限度として1mSvを勧告しており, また,実用炉規則2条2項6号の「周辺監視区域」の外側の線量限度も線 量告示による年間1mSvとし,放射線障害防止法(放射性同位元素等の規制に関する法律施行規則及び数量等告示を含む。)も公衆の被ばく限度を実効線量年間1mSvとしているところ,線量告示や放射線障害防止法の上記定めは,1990年勧告を取り入れるべきであるとする放射線審議会の平成10年の意見具申を反映したものであり,ロシア等の国内法におけ る安全基準値も1990年勧告を取り入れたことによるものである。 もっとも,人類は自然界からの放射線を被ばくしており,我 議会の平成10年の意見具申を反映したものであり,ロシア等の国内法におけ る安全基準値も1990年勧告を取り入れたことによるものである。 もっとも,人類は自然界からの放射線を被ばくしており,我が国の全国平均で1人当たり年間2.1mSvとされ,世界の平均は年間2.4mSvとされているものであり,公衆被ばくにおける年実効線量限度である1mSvは,平常状態においてこの線量限度を超える被ばくから公衆を保護 する措置として用いられるものであって,この数値をもって発電用原子炉施設の事故等がもたらす放射線被ばくにより生命,身体の安全,財産等に対する直接的かつ重大な被害を受けることが想定される住民の範囲を画するものと位置付けるのは相当とはいい難い。そして,2007年勧告は,1990年勧告と異なり,放射線審議会による国内制度等への取入れの意 見具申がされたものではなく,また,実用的な放射線防護体系を勧告する目的から,約100mSvを下回る線量においては,ある一定の線量の増加はそれに正比例して放射線起因の発がん又は遺伝性影響の確率の増加を生じるであろうという仮定(LNTモデル)を前提としており,科学的な不確かさを補う観点から公衆衛生上の安全サイドに立った判断ではあ るものの,発電用原子炉施設の事故により放射線被ばくが起きた場合における被ばく状況としては,至急の注意を要する予期せぬ状況である緊急時被ばく状況において計画される最大残存線量の参考レベルとして提示された年間実効線量20mSvから100mSvの範囲の数値を参照するのが合理的であるということができる。現実にも,福島第一原発事故後に おいては,緊急時の防護措置についての2007年勧告を踏まえて,年間 積算線量が20mSvに達するおそれのある地域が計画的避 ということができる。現実にも,福島第一原発事故後に おいては,緊急時の防護措置についての2007年勧告を踏まえて,年間 積算線量が20mSvに達するおそれのある地域が計画的避難区域として指定され,住民の避難が行われたものである。 以上からすれば,原子炉施設の事故により放射線被ばくが起きたときに年間実効線量が20mSvに達するおそれのある地域に居住する住民は,事故時に年間実効線量20mSv以上の被ばくをし,一定の確率的影響を 受けるおそれがあるとともに,住居からの避難を指示され,生命,身体及び財産に対する直接的かつ重大な被害を受けるものと想定されるというべきである。 イそこで,年間実効線量20mSv以上の被ばくを受けるおそれのある範囲につき検討すると,原子力委員会の委員長であった近藤駿介が政府から の指示により作成した平成23年3月25日付け「福島第一原子力発電所の不測事態シナリオの素描」(本件資料)によれば,福島第一原発事故において,1号機の水素爆発の後に4号機の使用済燃料プールから放射性物質が放出され,続いて他の号機の使用済燃料プールからも放射性物質の放出がされた場合,セシウム137の土壌汚染の度合いは,148万Bq/㎡ を超えて強制移転を求めるべき地域が170km以遠に,55万5000Bq/㎡を超えて任意移転を認める地域が250km以遠に生じる可能性があり,初期濃度が148万Bq/㎡の場合,線量率は当初約90mSv/年,1年後約40mSv/年となり,20mSv/年となるのは約5年経過時であり,初期濃度が55万5000Bq/㎡の場合,線量率は当初 40mSv/年弱,1年後20mSv/年弱となると想定されている。 原告らは本件各原子炉施設の敷地から約3kmから約140kmまでの範 ,初期濃度が55万5000Bq/㎡の場合,線量率は当初 40mSv/年弱,1年後20mSv/年弱となると想定されている。 原告らは本件各原子炉施設の敷地から約3kmから約140kmまでの範囲の距離に居住しているところ,本件各原子炉施設並びにこれと同一の敷地内に設置されている高浜原子力発電所1号機及び2号機について,これらが福島第一原発(1号機が46万kW,2~4号機が各78.4kW) と比べて,その電気出力(高浜原子力発電所1,2号機が各82.6万k W,本件各原子炉が各87万kW)や使用済核燃料等の点において,原子炉施設の事故時における放射性物質の放出量が特段低いというべき事情をうかがわせる証拠は提出されておらず,本件新知見を含む想定される自然現象により本件各原子炉施設の安全性が損なわれる重大な事故等が生じた場合には,本件各原子炉施設に加えて同一の敷地内に設置されている高浜 原子力発電所1号機及び2号機にも事故等の影響が及ぶおそれが否定できないことに照らすと,その放射性物質の放出量を別異に解すべきものとはいい難い。そうすると,本件各原子炉施設において事故が起き,本件資料のような事態となった場合,セシウム137の土壌汚染の度合いが148万Bq/㎡となり強制移転を求めるべき地域が170km以遠となる可能 性があることを否定し得ないから,原告らは,年間実効線量20mSv以上の被ばくをするおそれがあり,住居からの避難を求められるおそれがあると認められるというべきである。 なお,瀬尾シミュレーションは,電気出力100万kWのPWRが事故を起こした際,原子炉1基からヨウ素131が218京Bq,セシウム1 37が10.7京Bq,それぞれ環境中に放出されるとし,この計算手法による高浜原子力発電所1号 力100万kWのPWRが事故を起こした際,原子炉1基からヨウ素131が218京Bq,セシウム1 37が10.7京Bq,それぞれ環境中に放出されるとし,この計算手法による高浜原子力発電所1号機(電気出力82.6万kW)が過酷事故を起こした場合の推定は,150kmの地点は年間332mSv,年間20mSvとなるのは800~1000kmに及ぶというものである(甲F39)が,これはUNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員 会)が行った福島第一原発事故による1~3号機(電気出力合計202. 8万kW)の放射性物質の放出量の推定値(ヨウ素131が約10~50京Bq,セシウム137が0.6~2京Bq,より限られた情報に基づく一部の推定値でも4京Bq)と比べて,電気出力が約2分の1であるにもかかわらず,ヨウ素131が約4~20倍,セシウム137が約3~27 倍多く計算されている上に,算出方法も,簡便な方法として瀬尾が独自に 計算した適当な変数係数を使用し,独自に工夫した近似関数を用いたものであり,放射性物質の放出量の推定値として原告適格の判断において用いるにはその信用性に疑義があり,これを原告らが被ばくを受けるおそれの数値として用いることはできない。 ウしたがって,原告らは,本件各原子炉施設が事故により放射線被ばくを 起こした場合には,当該被ばくにより一定の確率的影響を受けるおそれがあるとともに,住居からの避難を指示され,生命,身体及び財産等に対する直接的かつ重大な被害を受けるおそれがあると認められるから,いずれも本件訴えの原告適格を有するというべきである。 3 争点2(行政事件訴訟法37条の2第1項所定の「重大な損害を生ずるおそ れ」の有無)について⑴ 本件訴えにおける「重大な損害を生 いずれも本件訴えの原告適格を有するというべきである。 3 争点2(行政事件訴訟法37条の2第1項所定の「重大な損害を生ずるおそ れ」の有無)について⑴ 本件訴えにおける「重大な損害を生ずるおそれ」の判断枠組みア本件訴えは,行政事件訴訟法3条6項1号の非申請型義務付けの訴えであり,訴訟要件として,一定の処分がされないことにより「重大な損害を生ずるおそれ」(同法37条の2第1項)が認められることが必要であると ころ,この重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たっては,損害の回復の困難の程度を考慮するものとし,損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとされる(同条2項)。 イ発電用原子炉は,原子核分裂の過程において高エネルギーを放出する核燃料物質を燃料として使用する装置で発電の用に供するものであり,その 稼働により,内部に多量の人体に有害な放射性物質を発生させるものであって,発電用原子炉施設の安全性が確保されないときは,当該発電用原子炉施設の従業員やその周辺住民等の生命,身体等に重大な危害を及ぼし,周辺の環境を放射性物質により汚染するなどの深刻な災害を引き起こすおそれがあることに鑑み,このような災害を防止するため,前記第2の1(関 係法令等の定め)⑴のとおり,炉規法は,原子力規制委員会において,発 電用原子炉施設の設置(変更),設計・工事,保全・運転の各段階に応じて同法及び原子力規制委員会規則が定める基準に適合するか否かの審査を行うこととし,もって当該発電用原子炉施設の安全性を確保しようとしているものである。そして,発電用原子炉施設の事故により想定される災害の深刻さや被害の甚大さに照らすと,発電用原子炉施設の安全性が確保され ないおそれがあるとき,すなわち,発電用 確保しようとしているものである。そして,発電用原子炉施設の事故により想定される災害の深刻さや被害の甚大さに照らすと,発電用原子炉施設の安全性が確保され ないおそれがあるとき,すなわち,発電用原子炉施設の安全性に欠ける現実的な可能性があるときには,本件訴えの原告適格を有する住民の生命,身体等に直接かつ重大な損害が生ずる具体的な危険性が存在するというべきである。そして,これらの損害は,いずれも事後的な金銭賠償によって回復することが不可能又は著しく困難なものであって,生命,身体等に対 する不可逆的かつ重大な危害となるものであり,他方,本件訴えにより義務付けが求められている本件各原子炉施設の使用停止は,地域の電力供給等に影響を及ぼすことは否定し得ないものの,他の発電供給の手段が存在しないものではない。 そうすると,本件各原子炉施設の安全性に欠ける現実的な可能性がある と認められる場合には,原告らの生命,身体等に直接かつ重大な損害が生ずる具体的な危険性が存在するものというべきであり,行政事件訴訟法37条の2第1項の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認めるのが相当である。 ウこれに対し,被告は,「重大な損害を生ずるおそれ」は,処分がされない ことにより重大な損害が生じる具体的・現実的な危険性が存在することが必要であり,三面関係における非申請型義務付けの訴えの対象となる処分について,第三者の権利利益の侵害の抑止が処分の根拠規定の趣旨や要件・考慮事項として組み込まれている場合において,「重大な損害を生ずるおそれ」の要件を判断するに当たっては,当該事案の具体的な事実関係に基づ き個別・具体的な審査が行われるべきであると主張する。 しかし,上記イのとおり,発電用原子炉は,その稼働により,内部 を判断するに当たっては,当該事案の具体的な事実関係に基づ き個別・具体的な審査が行われるべきであると主張する。 しかし,上記イのとおり,発電用原子炉は,その稼働により,内部に多量の人体に有害な放射性物質を発生させるものであって,発電用原子炉施設の安全性が確保されないときは,当該発電用原子炉施設の従業員やその周辺住民等の生命,身体に重大な危害を及ぼし,周辺の環境を放射能によって汚染するなど,深刻な災害を引き起こすおそれがあるのであり,これ により,周辺住民に生ずる損害の性質及び程度は生命,身体等に対する重大な危害であって,その損害の回復は金銭賠償によって回復することが不可能又は著しく困難なものであることからすると,発電用原子炉施設の安全性が確保されないおそれがある場合,すなわち,発電用原子炉施設の安全性に欠ける現実的な可能性がある場合には,周辺住民には「重大な損害 を生ずるおそれ」があるというべきであり,このような現実的な可能性の有無を判断するに必要な限度において,当該事案の具体的な事実関係に基づき個別・具体的に判断するのが相当である。したがって,発電用原子炉施設の安全性に欠ける現実的な可能性の有無を離れて,周辺住民の生命,身体等に対する重大な損害が生ずる具体的・現実的な危険性が存在するこ とを求めるものであれば,その限りにおいて被告の主張は採用することができない。 エ以上によれば,原告らに「重大な損害を生ずるおそれ」が認められるか否かは,現在の科学技術水準に照らして,本件各原子炉施設の安全性に欠ける現実的な可能性があるか否かによって判断するのが相当であり,以上 の見地から,本件訴えにおいて,原告らに「重大な損害が生ずるおそれ」があるか否かを検討する。 ⑵ 本件訴えにおける「重大な ける現実的な可能性があるか否かによって判断するのが相当であり,以上 の見地から,本件訴えにおいて,原告らに「重大な損害が生ずるおそれ」があるか否かを検討する。 ⑵ 本件訴えにおける「重大な損害を生ずるおそれ」の有無ア前記第2の1(関係法令等の定め)⑴及び前提事実等⑷のとおり,火山事象については,①発電用原子炉施設の設置に関する基準について規定し た炉規法43条の3の6第1項4号並びに②発電用原子炉施設の設計及び 工事に関する技術上の基準について規定した同法43条の3の14の各委任を受けて定められた設置許可基準規則6条1項及び技術基準規則7条1項において,安全機能を損なわないようにすべき対象として「想定される自然現象」が規定されており,これらの規則に関する審査基準である設置許可基準規則解釈6条2項及び技術基準規則解釈7条1項において,火山 事象を上記の「想定される自然現象」に含むとするとともに,③発電用原子炉施設の保全及び運転に関して規定した同法43条の3の22第1項の委任を受けて定められた実用炉規則83条1項1号ロにおいて,発電用原子炉施設の保全に関する措置を講じなければならない対象として,火山現象による影響を掲げている。 そして,上記の各規則は,発電用原子炉施設のうち,運転時の異常な過渡変化又は設計基準事故の発生を防止し若しくはこれらの拡大を防止するために必要となる設計基準対象施設又はこのうち安全機能を有する安全施設について,「想定される自然現象」が発生した場合においても安全機能を損なわないものでなければならないなどとし,そのために適切又は必 要な措置を講ずることを許可又は認可等の基準としているのであり,発電用原子炉施設の位置,構造及び設備が安全機能を損なわないものであるとは ものでなければならないなどとし,そのために適切又は必 要な措置を講ずることを許可又は認可等の基準としているのであり,発電用原子炉施設の位置,構造及び設備が安全機能を損なわないものであるとはいえないと認められる場合等,許可・認可等の基準を満たすものであるとはいえないと認められる場合には,発電用原子炉施設の安全性に欠ける現実的な可能性があるものと認めるのが相当である。 イそこで,上記の点について,まず,本件バックフィット命令の発出時点についてみると,参加人は,前記認定事実等⑹アのとおり,本件各原子炉に係る設置変更許可申請(本件設置変更許可申請①,本件補正書による補正後のもの)において,大山について,運用期間中の噴火規模として5k㎥を考慮することとし,降下火砕物の最大層厚を10cmと認定して,原 子力規制委員会から本件設置変更許可処分①を受けたが,その後,前記認 定事実等⑻のとおり,大山の火山活動に関する平成27年度研究及び平成28年度研究の研究結果を受けて,原子力規制委員会において,DNPの噴出量について既知見と異なる可能性があるとして,参加人に対し,DNPの火山灰分布について情報収集を行うことを求めたのに対し,参加人は,越畑地点で確認されたDNPの地層について再堆積層であると主張したが, 原子力規制庁は,純層の可能性がある又はその可能性を否定することができないとして,越畑地点におけるDNPの最大層厚は26cmとみなすことが可能であるとし,参加人と意見交換会及び現地調査を実施した上で,原子力規制委員会が,平成30年11月21日,越畑地点のDNPの降灰層厚が25cm程度であること,及びDNPの噴出規模が10k㎥以上と 考えられること(本件新知見)を認定し,これを規制に参酌することを確認し が,平成30年11月21日,越畑地点のDNPの降灰層厚が25cm程度であること,及びDNPの噴出規模が10k㎥以上と 考えられること(本件新知見)を認定し,これを規制に参酌することを確認したものである。 そして,原子力規制委員会は,参加人に対し,本件報告徴収命令を発出し,参加人は,本件報告書において,14地点での降灰層厚に基づくDNPの噴出規模を11.0k㎥と算出し,降下火砕物シミュレーションによ る本件各原子炉施設の敷地における降下火砕物の最大層厚は21.9cmとなるが,DNPとDKPは高噴出率期に発生した一連の巨大噴火と考えられ,大山の現状の発達史的分類や地下構造等に照らし,発電所の運用期間中にDNP規模の噴火の可能性は十分低いと考えられると報告したのに対し,原子力規制庁は,DNPとDKPを一連の巨大噴火としているこ とは適切ではなく,繰り返し生じているDNPを含むその他の噴火を考慮することが適切であるとした上で,本件各原子炉施設の敷地における最大層厚が20cm前後の値になり得るから,少なくとも発電所の安全機能に影響を及ぼし得る火山事象に係る基本的設計方針に影響があり得ると考えられるとし,これを踏まえて,原子力規制委員会は,本件各原子炉施設 の火山影響評価に係る基本設計又は基本的設計方針において,その運用期 間中に安全機能に影響を及ぼし得る火山事象として最大層厚10cmの降下火砕物を設定していることは,11k㎥程度と見込まれるDNPの噴出規模に鑑みると,設置許可基準規則6条1項の「想定される自然現象」の設定として明らかに不適当であり,本件各原子炉施設は「想定される自然現象」に対して安全機能を損なわない基本設計又は基本的設計方針を有 するものであるといえないため,同項への不適合が認め 現象」の設定として明らかに不適当であり,本件各原子炉施設は「想定される自然現象」に対して安全機能を損なわない基本設計又は基本的設計方針を有 するものであるといえないため,同項への不適合が認められるとして,本件バックフィット命令を発出したものである。 このような本件バックフィット命令に至る経緯等に照らすと,本件バックフィット命令の発出当時,本件各原子炉施設は,その位置,構造及び設備が安全機能を損なわないものであるとはいえないと認められ,原子炉施 設の安全性に欠ける現実的な可能性があったものといえる。 ウもっとも,前記認定事実等⑽のとおり,本件バックフィット命令の発出後,参加人は,令和元年9月26日,本件各原子炉について本件設置変更許可申請②をし,DNPの噴火の可能性を考慮して,その噴出量を11k㎥と想定し,本件各原子炉施設の降灰層厚を27cmと設定した上で,降 下火砕物の影響に対する設計方針等を示したものであり,これに対し,原子力規制委員会は,降下火砕物の最大層厚の変更によって影響を受ける項目を整理した上で,最大層厚以外の基本設計及び基本的設計方針の技術的成立性の説明を求めたところ,参加人から,最大層厚の変更に伴い評価が必要となる環境因子は荷重及び閉塞であり,これらの観点から影響確認が 必要な項目として,施設を内包する建屋及び屋外施設に対する静的荷重の影響,屋外との接続のある施設に対する閉塞の影響,降下火砕物の除去に対する影響が抽出され,これらの各項目について,構造健全性や必要な機能を維持し,除去作業等が可能であるとの評価結果が得られたとの説明を受け,降下火砕物の最大層厚以外の基本設計又は基本的設計方針を変更し ないとの参加人の方針は妥当であるとして,令和3年5月19日付けで本 件 るとの評価結果が得られたとの説明を受け,降下火砕物の最大層厚以外の基本設計又は基本的設計方針を変更し ないとの参加人の方針は妥当であるとして,令和3年5月19日付けで本 件設置変更許可処分②をしたものであり,これにより,炉規法43条の3の6第1項4号所定の基準(設置許可基準)への不適合があるとはいえないと判断されたものである。また,本件各原子炉と同一敷地にある高浜原子力発電所1,2号機設置変更許可処分においては,最大層厚27cm,気中降下火砕物濃度3.78g/㎥を前提として,降下火砕物の最大層厚 の変更後においても保安規定の変更をしないとの参加人の方針は妥当であると判断されたものである。 しかしながら,本件設置変更許可処分②は,越畑地点のDNPの降灰層厚が25cm程度であるなどという本件新知見との関係において,本件各原子炉施設について降下火砕物の最大層厚以外の基本設計又は基本的設 計方針を変更しないとの参加人の方針が妥当であるというものであり,本件バックフィット命令の発出当日の令和元年度原子力規制委員会第13回会合で配付された資料(「大山火山の大山生竹テフラの噴出規模の見直しに伴うその他の審査・検査の取扱いについて(案)」と題する資料)においても記載されているとおり,層厚の変更が施設の安全機能にもたらす具 体的影響の有無及び範囲は後続の工事計画認可(平成29年法律第15号による改正により令和2年4月1日からは設計及び工事計画認可)の審査において確定し,使用前検査(同改正により使用前事業者検査及び使用前確認)により実際の施設の状態について安全機能の有無が確定するものである。現に,原子力規制委員会は,本件設置変更許可処分②と併せて,本 件設置変更許可後に行われる設計及び工事の計画の認可その 確認)により実際の施設の状態について安全機能の有無が確定するものである。現に,原子力規制委員会は,本件設置変更許可処分②と併せて,本 件設置変更許可後に行われる設計及び工事の計画の認可その他の処分並びに検査等の措置の今後の取扱いについて,①DNPの噴出規模の見直しに係る設計及び工事の計画の認可,保安規定変更認可並びに使用前事業者検査及び使用前確認(設工認等)の手続を完了させるべき期限につき,本件設置変更許可処分②から1年以降の最初の炉規法43条の3の16第 1項の検査(定期事業者検査)において,原子炉を起動するために必要な 検査を開始する日とする,②①の期限までにDNPの噴出規模の見直しに係る設工認等の手続が完了していない発電用原子炉施設は,運転の前提条件を満たさないものと判断することを示しているのであり,その後,参加人は本件設計工事認可申請及び本件保安規定変更認可申請をし,本件口頭弁論終結時において,それらの審査がされているところである。そして, 高浜1,2号機設置変更許可処分は,本件各原子炉施設とは異なる施設に対するものであり,これらを同一のものと判断することはできない。 そうすると,本件各原子炉施設について,設工認等の手続が完了するまでは,技術基準規則解釈7条1項の「想定される自然現象」として挙げられる「火山の影響から適用されるもの」,及び発電用原子炉施設の保全に関 する措置を講ずることが求められる実用炉規則83条1項1号ロの「火山現象による影響」について,噴出量11k㎥規模の噴火による降下火砕物に対する対策が確認されたものではないから,本件口頭弁論終結時においても,原子炉施設の安全性に欠ける現実的な可能性があるものと認めるのが相当である。 エ以上によれば,本件各原子炉施設 物に対する対策が確認されたものではないから,本件口頭弁論終結時においても,原子炉施設の安全性に欠ける現実的な可能性があるものと認めるのが相当である。 エ以上によれば,本件各原子炉施設は安全性に欠ける現実的な可能性があり,原告らの生命,身体等に直接的かつ重大な損害が生じる具体的な危険性が存在するというべきであり,行政事件訴訟法37条の2第1項の「重大な損害を生ずるおそれ」があるものと認めるのが相当である。 4 争点3(原子力規制委員会が参加人に対し本件各原子炉施設の使用停止を命 じないことの裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無)について本件訴えについては,上記2及び3のとおり,原告適格及び「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められるほか,原告らの主張する損害を避けるために他に適当な方法はなく(行政事件訴訟法37条の2第1項),その適法要件を全て満たすものといえるから,以下,その本案要件について検討する。 ⑴ 使用停止に係る裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無の判断枠組み ア本件訴えに係る請求は,本件各原子炉施設から一定の距離に居住する第三者である原告らが,原子力規制委員会に対し,炉規法43条の3の231項に基づき,参加人に対して本件各原子炉施設の使用停止を命ずること(本件各処分)の義務付けを求めるものであり,これが認容されるためには,口頭弁論終結時において,義務付けの訴えに係る処分につき,「行政庁 がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるとき」(行政事件訴訟法37条の2第5項)であることが必要である。そして,行政庁に裁量が認められる処分 れ又は行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるとき」(行政事件訴訟法37条の2第5項)であることが必要である。そして,行政庁に裁量が認められる処分について,当該行政庁の有する裁量権の範囲や程度については, 当該処分について規定した法令の趣旨,目的や規定の内容等を踏まえて判断するのが相当である。 イまず,バックフィット制度である炉規法43条の3の23第1項の規定の趣旨,目的を検討すると,前記認定事実等⑴のとおり,平成24年改正の前においては,経済産業大臣は,同改正前の電気事業法40条に基づき, 実用発電用原子炉施設に係る事業用電気工作物が経済産業省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは,事業用電気工作物を設置する者に対し,その技術基準に適合するように事業用電気工作物を修理し,改造し,若しくは移転し,若しくはその使用を一時停止すべきことを命じ,又はその使用を制限することが可能であったほか,平成24年改正前炉規法 36条に基づき,原子炉施設の安全等が主務法令等の規定に違反していると認めるときは,原子炉設置者に対し,原子炉施設の使用の停止,改造,修理又は移転,原子炉の運転の方法の指定その他保安のために必要な措置を命ずることなどが可能であったが,新知見等が得られたことにより,原子炉施設の位置,構造及び設備に係る設置(変更)許可基準が見直された 場合等において,原子炉設置者に対して当該許可基準に適合させるための 措置を法的に義務付ける枠組みは存在しなかったものである。そのため,原子力安全委員会が審査基準である耐震設計審査指針を改訂し,保安院が原子力事業者に対し耐震バックチェックの実施を指示するなどしたものの,あくまで法令に基づく規制の外側とし ったものである。そのため,原子力安全委員会が審査基準である耐震設計審査指針を改訂し,保安院が原子力事業者に対し耐震バックチェックの実施を指示するなどしたものの,あくまで法令に基づく規制の外側として位置付けられ,東京電力から耐震バックチェックの最終報告は提出されず,同社内では耐震補強工事が必要 であることを把握していたとされていたにもかかわらず,工事がされないまま福島第一原発事故に至ったものであり,このような事故の教訓を踏まえ,平成24年改正により同法43条の3の23第1項のバックフィット制度が新設されたものである。 そして,同項は,原子力規制委員会が,発電用原子炉施設の位置,構造 若しくは設備が同法43条の3の6第1項4号の基準に適合していないと認めるとき,発電用原子炉施設が同法43条の3の14の技術上の基準に適合していないと認めるとき,又は発電用原子炉施設の保全,発電用原子炉の運転若しくは核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物の運搬,貯蔵若しくは廃棄に関する措置が同法43条の3の22条1項の規 定に基づく原子力規制委員会規則の規定に違反していると認めるときは,その発電用原子炉設置者に対し,当該発電用原子炉施設の使用の停止,改造,修理又は移転,発電用原子炉の運転の方法の指定その他保安のために必要な措置を命ずることができると規定するものであるが,これは,原子力規制委員会において,発電用原子炉施設の設置(変更),設計・工事,保 安・運転の各段階に応じて,それぞれ同法及び原子力規制委員会規則の定める基準に適合するか否かを審査することのみならず,既に設置許可並びに設計及び工事の計画の認可,保安規定変更認可並びに使用前事業者検査及び使用前確認(設工認等)を受けて稼働中の発電用原子炉施設についても,その後に るか否かを審査することのみならず,既に設置許可並びに設計及び工事の計画の認可,保安規定変更認可並びに使用前事業者検査及び使用前確認(設工認等)を受けて稼働中の発電用原子炉施設についても,その後に新知見等が得られたことにより設置(変更)許可基準が見直 された場合や,許可基準は変更されないものの既に設置許可を受けている 当該発電用原子炉施設が許可基準に適合しなくなった場合等において,当該発電用原子炉設置者に対し,当該許可基準等へ適合することを法的に義務付けることを可能とし,もって当該発電用原子炉施設の安全性を確保しようとする趣旨であると解される。また,同法43条の3の23第1項の規定は,前記3⑴のとおり,発電用原子炉が原子核分裂の過程において高 エネルギーを放出する核燃料物質を燃料として使用する装置で発電の用に供するものであり,その稼働により,内部に大量の人体に有害な放射性物質を発生させるものであって,発電用原子炉施設の安全性が確保されないときは,当該発電用原子炉施設の従業員やその周辺住民等の生命,身体,当該発電用原子炉施設の敷地内又は周辺に存する財産に重大な危害を及ぼ し,周辺の環境を放射性物質により汚染するなどの深刻な災害を引き起こすおそれがあることに鑑み,このような災害を防止することを目的とするものであると解される。 ウさらに,炉規法43条の3の23第1項の規定の内容をみると,同項は,設置基準規則や技術基準規則として具体化されている「基準に適合してい ないと認めるとき」などとして,バックフィット命令の発出要件について原子力規制委員会に裁量を認める規定をし,同要件を満たした場合におけるバックフィット命令の内容についても,「原子炉施設の使用の停止,改造,修理又は移転,発電用原子炉の運転の方 令の発出要件について原子力規制委員会に裁量を認める規定をし,同要件を満たした場合におけるバックフィット命令の内容についても,「原子炉施設の使用の停止,改造,修理又は移転,発電用原子炉の運転の方法の指定その他保安のために必要な措置」といった多様の選択肢を用意しつつ,「命ずることができる」と発 出の要否について裁量を認める規定をしている。 エそして,炉規法43条の3の23第1項に基づくバックフィット命令は,原子力規制委員会が行うものと定められているが,原子力規制委員会は,国民の生命,健康及び財産の保護,環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とする原子力規制委員会設置法により,国家行政組織法 3条2項の規定に基づく独立行政委員会として,環境省の外局として設置 されたもの(原子力規制委員会設置法1条,2条)であって,原子炉に関する規制等を所掌事務とする機関であり,委員長及び委員は,人格が高潔であって,原子力利用における安全の確保に関して専門的知識及び経験並びに高い識見を有する者のうちから,両議院の同意を得て,内閣総理大臣が任命するものとされている(同法3条,4条1項,7条1項)。そして, 原子力規制委員会には,学識経験のある者で組織される原子炉安全専門審査会が置かれ,原子力規制委員会の指示を受けて,原子炉に係る安全性に関する事項を調査審議するものとされている(同法14条,15条)ほか,原子力規制委員会の事務を処理させるため,同委員会に事務局である原子力規制庁が置かれており(同法27条1項,2項),原子力規制庁の職員に ついては,原子力利用における安全の確保のための規制の独立性を確保する観点から,原則として,原子力利用の推進に係る事務を所掌する行政組織への配置転換を認めないこととされて 子力規制庁の職員に ついては,原子力利用における安全の確保のための規制の独立性を確保する観点から,原則として,原子力利用の推進に係る事務を所掌する行政組織への配置転換を認めないこととされている(同法附則6条2項)。また,原子力規制委員会は,法律に基づき,原子力規制委員会に属させられた事務を所掌するものとされており(同法4条1項14号),その有する科学的, 専門技術的知見に照らし,炉規法の委任を受けて,バックフィット命令の発出要件である同法43条の3の6第1項4号の基準として設置許可基準規則を,同法43条の3の14の技術上の基準として技術基準規則を,同法43条の3の22第1項の規定する保安のために必要な措置として実用炉規則を,それぞれ制定したものである。 さらに,バックフィット命令を含めた発電用原子炉施設の安全性についての対応は,発電用原子炉施設の工学的性能のほか,平常運転時及び事故時における従業員,周辺住民及び周辺環境への放射線の影響等を考慮しながら,発電用原子炉施設の設置場所の地形,地質,気象等の自然的条件及び人口分布等の社会的条件との関連において,多角的,総合的見地から検 討されるべきものであり,ここには将来の予測に係る事項も含まれている から,原子力工学はもとより,多方面にわたる極めて高度な最新の科学的,専門技術的知見に基づく総合的判断が必要とされるものであり,このような判断を可能とするために,原子力利用における安全の確保に関して専門的知識及び経験並びに高い識見を有する委員から成る原子力規制委員会において,発電用原子炉施設の設置(変更),設計・工事,保安・運転の各 段階に応じて,それぞれ炉規法及び同法の委任を受けた原子力規制委員会規則の定める基準に適合するか否かを審査するととも 委員会において,発電用原子炉施設の設置(変更),設計・工事,保安・運転の各 段階に応じて,それぞれ炉規法及び同法の委任を受けた原子力規制委員会規則の定める基準に適合するか否かを審査するとともに,同基準に照らして同法の規定に基づきバックフィット命令の発出要件や発出の要否,その内容等に関する判断を行うこととしているものと解される。 オ以上のような炉規法43条の3の23第1項が規定するバックフィット 制度の趣旨,目的や,同項の規定の内容,バックフィット命令の発出を行う処分行政庁である原子力規制委員会の性質,組織構成等からすれば,バックフィット命令の発出の要否並びにその時期及び内容等については,各専門分野の学識経験者等を擁する原子力規制委員会の科学的,専門技術的知見に基づく裁量判断に委ねられるものというべきであり,発電用原子炉 施設の使用停止を命ずることの義務付けの訴えに係る請求が認められるのは,使用停止を命ずべきであることが法令の規定から明らかであると認められ,又は使用停止を命じないことが裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められることを必要とすると解するのが相当である。 そして,バックフィット命令に基づく措置において,原子力規制委員会 に対し発電用原子炉施設の使用停止を命ずることを義務付けることは,専門技術的な調査審議及び判断を基にしてされた原子力規制委員会の判断に不合理な点があるか否かを超えて,別個の新たな処分を命ずることを義務付けるものであるから,当該義務付けに係る措置を命ずることの相当性を基礎付ける事実の主張立証責任は,これを求める原告が負うものと解す るのが相当である。他方,新知見等を前提として原子力規制委員会がバッ クフィット命令として発電用原子炉施設の使用停止以 る事実の主張立証責任は,これを求める原告が負うものと解す るのが相当である。他方,新知見等を前提として原子力規制委員会がバッ クフィット命令として発電用原子炉施設の使用停止以外の措置を命じた場合には,その時点において使用停止の当否を含めて採るべき措置を検討した上で判断したものといえるから,専門技術的な調査審議及び判断を基にして行われた上記の判断の時点において原子力規制委員会が発電用原子炉施設の使用停止を命じなかったことが裁量権の範囲を逸脱し又はこ れを濫用したか否かの検討をした上で,現時点において原子力規制委員会が発電用原子炉施設の使用停止を命じないことが裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められるか否かを検討するのが相当である(なお,この検討においては,原子力規制委員会が発電用原子炉施設の使用停止以外の措置を命じた処分の適法性を審査するものではなく,同措置により生 じた規律力や不可争力に触れるものではない。)。 さらに,原子力規制委員会において発電用原子炉施設の使用停止を命じないことが裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められるか否かを判断するに当たっては,新知見等の対象を自然現象としてもそれらは多種多様なものが想定され,これに応じて発電用原子炉施設の安全性に対す る危険性が現実化する蓋然性も様々であることが予想される上,発電用原子炉施設の安全機能の欠如の現実的な可能性がもたらす危険性もその程度に差異があり,当該安全機能の確保のために想定される対策の内容及びこれに要する期間等に照らして,新知見等を前提とした許可基準等への適合性確保の時期的な要請の度合いも様々であるということができる。そし て,原子力規制委員会におけるバックフィット命令の運用方針も,これと同旨の考え方の下でバッ 見等を前提とした許可基準等への適合性確保の時期的な要請の度合いも様々であるということができる。そし て,原子力規制委員会におけるバックフィット命令の運用方針も,これと同旨の考え方の下でバックフィット命令の発出の要否,時期,内容や経過措置等を検討するものとしているといえる(前記認定事実等⑺)ほか,本件バックフィット命令の発出当日の原子力規制委員会の会合においても,原子力規制庁の職員から,新しい知見が発見される都度スムーズに取り入 れられるべきであり,その都度原子炉を停止したりする運用をすると,か えって新知見の取入れが阻害されるから,ある程度の猶予期間を置くなどして新知見を取り入れることとする旨の説明がされており(前記認定事実等⑼),バックフィット命令の運用に当たっては,新知見等をその都度柔軟に許可基準等へ取り入れることとしつつ,最新の科学的,専門技術的知見に照らし,新知見等に係る自然現象が現実化する蓋然性の程度や,発電用 原子炉施設の安全性に対する危険性の程度等を踏まえて,必要かつ適切な内容の命令を発出することとし,もって発電用原子炉施設の安全性を継続的に向上させ,これを確保していくことを予定しているものといえる。 以上からすれば,原子力規制委員会において新知見等により発電用原子炉施設の基本設計又は基本的設計方針が想定される自然現象に対して安 全機能を損なわないものであるとはいえないと判断された場合において,当該発電用原子炉施設の使用停止を命じないことがその裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められるか否かを判断するに当たっては,原子力規制委員会による上記の判断を前提として,新知見等により発電用原子炉施設に対する危険性が現実化する蓋然性や,当該発電用原子炉施設の 安全機能の欠如の現 れるか否かを判断するに当たっては,原子力規制委員会による上記の判断を前提として,新知見等により発電用原子炉施設に対する危険性が現実化する蓋然性や,当該発電用原子炉施設の 安全機能の欠如の現実的な可能性がもたらす危険性の程度,当該安全機能の確保のために想定される対策の内容及びこれに要する期間等を踏まえて,個別具体的に検討するのが相当である。 カこれに対し,原告らは,設置(変更)許可基準,技術基準及び実用炉規則の規定等に適合していると判断されて初めて発電用原子炉施設の稼働が 可能となるのであり,この点に行政庁に裁量権はなく既存不適格を許容する規定もないほか,科学的,専門技術的裁量については科学の不定性を踏まえて判断する必要があり,現実に想定を上回る東北地方太平洋沖地震が発生し,福島第一原発事故が起きたという教訓からバックフィット制度が設けられた趣旨からすれば,本件新知見のように,従来の想定を大きく上 回る規模の自然災害が想定される場合には,原則として使用停止を命ずべ きであり,明確な根拠をもって発電用原子炉施設の使用停止を命じなくても災害の防止上支障がないといえる特段の事情を主張立証することができない限り,原子力規制委員会の裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められるべきものであって,新たな基準を踏まえた適合性判断により安全が確認できた場合にのみ再稼働を認めるのが相当であり,このような制 度の運用が立法者意思であると主張する。 しかし,発電用原子炉施設の稼働のためには上記の各基準や規定等に適合していると判断されることが必要であることは原告らの指摘するとおりであるが,上記オのとおり,これらの基準に適合するものとして稼働が認められた発電用原子炉施設については,その後に得られた新知見等によ いると判断されることが必要であることは原告らの指摘するとおりであるが,上記オのとおり,これらの基準に適合するものとして稼働が認められた発電用原子炉施設については,その後に得られた新知見等によ り変更された許可基準等に適合させるためにバックフィット命令を発出する場合であっても,直ちに使用の停止を命ずべきものから,使用の継続を認めながら改造や修理を命ずることが相当なもの,さらに,新知見等を前提としつつ発電用原子炉施設の改造や修理の必要性について検討を要するものまで,当該許可基準等への適合が求められる新知見等は多種多様 なものが想定されるのであり,これは,新知見等により発電用原子炉施設に対する危険性が現実化する蓋然性や,発電用原子炉施設の安全機能の欠如の現実的な可能性がもたらす危険性の程度,対策に要する期間等に応じて異なるというべきである。現に,バックフィット命令の措置の内容としても,炉規法43条の3の23第1項は,「使用の停止,改造,修理又は移 転,発電用原子炉の運転の方法の指定その他保安のために必要な措置」といった多様なものを並列的に規定し,特段の優劣を付ける規定を設けていない上に,「命ずることができる」としてバックフィット命令を発出するか否かの裁量を認めているのであり,これは,立法府において,各専門分野の学識経験者等を擁する原子力規制委員会の科学的,専門技術的知見に基 づく判断に委ねるのを適当としたと評価し得るものである。 そうすると,同項は,バックフィット命令の発出について,原子力規制委員会の科学的,専門技術的な裁量に基づき個別具体的に判断することを予定しているものというべきであり,これは新知見等が従来の想定を上回る自然現象である場合であっても異なるものではなく,発電用原子炉施設の使用 学的,専門技術的な裁量に基づき個別具体的に判断することを予定しているものというべきであり,これは新知見等が従来の想定を上回る自然現象である場合であっても異なるものではなく,発電用原子炉施設の使用停止を命ずることを原則とすべきものということはできない。 なお,原告らは発電用原子炉施設の使用停止を原則とすることが立法者意思であると主張し,これに沿うものとしてバックフィット制度の制定時の細野豪志環境大臣の発言等(甲B1,7)を摘示するが,同発言等は,その文脈に照らし,古い許可基準に基づき設置(変更)許可がされたものが,一度許可がされた以上,その後基準が引き上げられても運転期間内の 運転が認められるわけではない旨の指摘をしたにとどまり(同大臣は,「(新たな基準に適合させるための対策を)時間をかけて着実にやるべきものというような場合に,その猶予期間については稼働を認めるか認めないのか,それは一概には言えないですから,ケース・バイ・ケースの判断になろうかというふうに思います。」と答弁している。),原則として使用停 止を命ずることを求めたものとはいえず,他に原告らが主張するような立法者意思を認めるべき的確な証拠は見当たらないから,バックフィット命令について使用停止を原則とすることが立法者意思であるとはいえない。 その他,原告らは,①本件新知見は本件設置変更許可処分①の前から存在していた知見を見落としていたものであり,発電用原子炉施設の使用停 止どころか設置変更許可の取消しがされるべきである,②バックフィット命令としては使用停止よりも強力な移転の措置があり,使用停止かつ改造の命令等も可能であるから,使用停止以外の手段では目的を達成し得ないような事情は要しないとも主張する。しかし,①については,以前から存在する知見であって りも強力な移転の措置があり,使用停止かつ改造の命令等も可能であるから,使用停止以外の手段では目的を達成し得ないような事情は要しないとも主張する。しかし,①については,以前から存在する知見であっても,その科学的評価には様々なものがあり,多角的な 検討により規制に取り入れられる段階に至ったものを新知見とすること が不合理であるとはいえず,本件新知見についても,既往文献では越畑地点の層厚が30cmとされていたものが不確実性を伴うなどとされていたところ,現地調査の結果も踏まえて25cm程度として評価されたのであるから,本件設置変更許可処分①における知見の見落としがあったということはできない。②についても,上記オのとおり,原子力規制委員会に おいて,その科学的,専門技術的裁量に基づき必要かつ適切な措置をすることが予定されているものであり,移転の措置が存在することをもって,原則として使用停止を命ずべきものであるとはいえない。 したがって,原告らの上記主張はいずれも採用することができない。 ⑵ 使用停止を命じないことの裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無 そこで,前記オの判断枠組みに従って,原子力規制委員会が参加人に対し本件各原子炉施設の使用停止を命じないことが裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められるか否かについて,以下,本件バックフィット命令の発出時点及び現時点に分けて検討する。 ア本件バックフィット命令の発出時点における検討 原子力規制委員会は,DNPの噴出規模は11k㎥程度と見込まれ,これを本件各原子炉施設の火山影響評価において想定すべき自然現象であると認定し,本件バックフィット命令として,令和元年12月27日までに設置変更許可申請をするよう命じたが,使用停止を命ずることは ,これを本件各原子炉施設の火山影響評価において想定すべき自然現象であると認定し,本件バックフィット命令として,令和元年12月27日までに設置変更許可申請をするよう命じたが,使用停止を命ずることはなかったところ,その理由は,①大山は活火山ではなく噴火が差し迫っ た状況にあるとはいえず,②DNPの噴出規模の噴火による降下火砕物により本件各原子炉施設が大きな影響を受けるおそれがある切迫した状況にはないというものある。 まず,①(大山は活火山ではなく噴火が差し迫った状況にあるとはいえないこと)については,原子力規制委員会において,DNPの噴出規 模が11k㎥程度と見込まれ,これが本件各原子炉の運用期間中に安全 機能に影響を及ぼし得る火山事象として規制に取り入れられたものであるが,本件バックフィット命令の発出に至る過程の中で,原子力規制庁が産総研に委託した岩石学的な検討結果である平成27年度研究及び平成28年度研究の研究結果において,DKPやDNPといった大規模プリニー式噴火が頻発した高噴出率期とその前後の低噴出率期とではマグ マ組成が異なっていることが示されるなど,大山は高噴出率期と低噴出率期に分けられ,現在は低噴出率期にあるといったことが記載され,平成29年6月,原子力規制委員会会合においても同様の報告がされ,平成30年12月の同会合においては,大山は活火山ではなく,噴火が差し迫った状況にあるものではないと整理されており,地質学の専門家で ある石渡委員も,平成31年4月の同会合において,大山は,気象庁の活火山リストに入っておらず,活火山に該当せず,原子力発電所の運用期間内に噴火が発生する可能性は非常に低いと考える旨の発言をしていたものである。また,参加人は,これに先立ち,本件報告徴収命令を受 活火山リストに入っておらず,活火山に該当せず,原子力発電所の運用期間内に噴火が発生する可能性は非常に低いと考える旨の発言をしていたものである。また,参加人は,これに先立ち,本件報告徴収命令を受けて平成31年3月29日に提出した本件報告書において,40万年前 以降,大山で10k㎥以上の噴火を起こしているのはDNP(約8万年前)とDKP(約5.5万年前)の2つの噴火だけであり,その期間(約8~5.5万年前)以外では数k㎥以下の噴火しか発生しておらず,産総研の山元孝広による平成29年の論文でも,大山は約10万年前からマグマ噴出量が大きくなり,約2万年前に活動を終えたものとされ,第 四紀火山の発達史的分類では大山は第4期に整理され,第4期の噴出量は第1期~第3期に比べて少なく数k㎥とされており,さらに,地球物理学的調査による大山の地下構造からするとマグマ溜まりの可能性を示唆する低速度領域は20km以深に位置し,爆発的噴火を引き起こす珪長質マグマの浮力中立点の深度7kmより深い位置にあるから,大山は 現在数k㎥規模の噴火しか起こらない段階にあり,DNPと同規模の噴 火までには十分な時間的余裕があると考えられ,発電所の運用期間中にDNP規模の噴火が発生する可能性は十分低い旨の報告をしたものである。これに対し,原子力規制委員会は,参加人が主張するDNPとDKPを一連の巨大噴火とすることは適切ではなく,DKPは突出して巨大噴火並みに大きいことから,本件各原子炉の運用期間中にDKP規模相 当の噴火の可能性は十分低いと評価するものの,繰り返し生じているDNPを含むその他の噴火を考慮することが適切であるとしたが,その理由はDNPとDKPの噴火規模や運用期間中の噴火の可能性の違いによるものであり,噴出規模を最大の 評価するものの,繰り返し生じているDNPを含むその他の噴火を考慮することが適切であるとしたが,その理由はDNPとDKPの噴火規模や運用期間中の噴火の可能性の違いによるものであり,噴出規模を最大の11k㎥としたDNP規模の噴火が差し迫った状況にあるか否かについては,参加人と異なる見解によるもの ではなかったということができる。 このように,大山は活火山に分類されておらず,地球物理学的調査においても,大山に確認されたマグマ溜まりの可能性を示唆する低速度領域は珪長質マグマの浮力中立点よりも深い位置にあってDNPと同規模の噴火の可能性は低いとされており,岩石学的な検討結果である大山起 源の各噴火の噴出物の化学組成の分析・比較の結果においても,上記の時点における大山の活動性の低下が示されているのであり,これらを踏まえて,原子力規制委員会において,大山は活火山ではなく噴火が差し迫った状況にあるとはいえないとした判断にその裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえないというべきである。 次に,②(DNPの噴出規模の噴火による降下火砕物により本件各原子炉施設が大きな影響を受けるおそれがある切迫した状況にはないこと)について,参加人は,原子力規制庁との平成30年6月29日及び同年10月5日の意見交換会において,降下火砕物に対する裕度について,本件設置変更許可処分①における評価条件(積雪荷重(100cm)と 合わせて降灰層厚を考慮)を用いて許容層厚の評価をした結果,本件各 原子炉施設では,建屋について,最小が21cm程度,短期の部材評価が28cm程度となり,建屋以外について,復水タンクが15cm程度であるが,実力評価では,除灰作業や防護設備へのシート設置の措置を講ずることにより,高浜原子力発電所3 が21cm程度,短期の部材評価が28cm程度となり,建屋以外について,復水タンクが15cm程度であるが,実力評価では,除灰作業や防護設備へのシート設置の措置を講ずることにより,高浜原子力発電所3号機は70cm,同4号機は100cm以上対処可能であるとし,また,非常用DGの吸気フィルタに ついて,火山灰濃度がフィルタ閉塞時間に比例することとして,フィルタ閉塞時間(約100分)をフィルタ取替時間(約20分)で割った値を裕度とし,裕度に10cmを掛けた値を許容層厚とすると50cmとなり,既に気中降下火砕物濃度1.4g/㎥の火山灰に対応する改良型フィルタを配備済みであると説明していたものである。そして,平成3 1年4月17日の平成31年度第4回会合においては,参加人から提出された本件報告書について議論がされ,原子力規制委員会の複数の委員や更田委員長から,火山灰の層厚が20cm又はそれ以上になると考えられるが,1mの積雪を想定しているから,層厚が倍になったとしても積雪の重さに比べてかなり小さく,層厚の増加は必ずしも大きな影響が 出るものではない旨,部材評価としては火山灰の層厚が2倍,3倍程度になっても建物が潰れるわけではなく,多少塑性変形する領域に入っていると思われるが,破断に対しては大きな裕度があり,荷重に関しては余り問題にならない旨,非常用DG等についても層厚が倍になれば密度が倍になるから対策に影響があると考えられ,フィルタの交換頻度が倍 になるが,参加人によると対処はできるとのことであり,急ぐものではないものの,規制の範囲として影響の有無は考慮すべきである旨,除灰作業については既に10cmに対してプラントで対策するという規定を設けてあるが,倍になると見直す必要がある旨などの各発言があったものである。 範囲として影響の有無は考慮すべきである旨,除灰作業については既に10cmに対してプラントで対策するという規定を設けてあるが,倍になると見直す必要がある旨などの各発言があったものである。 以上からすれば,原子力規制委員会においては,上記の意見交換会に おける参加人の説明や参加人からの本件報告書の提出を受けて,DNPの噴出規模の噴火による降下火砕物により本件各原子炉施設が受ける影響について,荷重や閉塞等に関する本件各原子炉施設の裕度を基に,対策の緊急性の程度について検討し,建屋における短期の部材評価や建屋以外における実力評価,吸気フィルタの交換等により想定される降下火 砕物の最大層厚に対して裕度を有することを確認し,その結果,DNPの噴出規模の噴火による降下火砕物により本件各原子炉施設が大きな影響を受けるおそれのある切迫した状況にはないと判断したものであるが,参加人の上記説明やこれを受けた原子力規制委員会の検討に直ちに合理性に欠ける点があったとはいえず,本件バックフィット命令の発出時点 において,DNPの噴出規模の噴火による降下火砕物により本件各原子炉施設が大きな影響を受ける危険性が高いとはいえないとした原子力規制委員会の判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえないというべきである。 さらに,原子力規制委員会は,本件バックフィット命令に当たって対 応完了までの期限を設けていないが,これは,設置変更許可後,その内容の変更に応じて必要な工事計画認可の変更や保安規定の変更その他の措置をすることになることに加えて,設置変更許可申請があるとその審査の期間があることなどから,期間や具体的な手続を定めるよりも,最初の設置変更許可の申請期限を明確にし,これが適切に履行されれば, 設置変更許 なることに加えて,設置変更許可申請があるとその審査の期間があることなどから,期間や具体的な手続を定めるよりも,最初の設置変更許可の申請期限を明確にし,これが適切に履行されれば, 設置変更許可において想定すべき火山灰の層厚が決まり,後続の工事計画認可の審査において層厚の変更が施設の安全機能にもたらす具体的影響の有無及び範囲が確定し,使用前検査により実際の施設の状態について安全機能の有無が確定することになるから,設置変更許可の段階で更なる規制対応をすることを想定し,全ての対策完了までの期限を定める ことをせず,設置変更許可申請の期限のみを定めたものであり,大山が 活火山ではなく噴火が差し迫った状況にあるとはいえないことを踏まえた原子力規制委員会の判断として裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえないというべきである。 以上からすれば,大山が活火山ではなく噴火が差し迫った状況にあるとはいえず,DNPの噴出規模の噴火による降下火砕物により本件各原 子炉施設が大きな影響を受けるおそれがある切迫した状況にあるとはいえないとした原子力規制委員会の判断は,本件新知見により本件各原子炉施設に対する危険性が現実化する蓋然性や,本件各原子炉施設の安全機能の欠如の現実的な可能性がもたらす危険性の程度,当該安全機能の確保のために想定される対策の内容及びこれに要する期間等を踏まえて みても,本件バックフィット命令の発出時点において,原子力規制委員会が本件各原子炉施設の使用停止を命じなかったことが裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものと認めることはできない。 イ原告らの主張についてDNP規模の噴火の可能性について 原告らは,①火山ガイドも活火山か否かによって活動可能性の有無を判断する 脱し又はこれを濫用したものと認めることはできない。 イ原告らの主張についてDNP規模の噴火の可能性について 原告らは,①火山ガイドも活火山か否かによって活動可能性の有無を判断することとはしておらず,巨大噴火については噴火が差し迫った状態でないことの確認をするとしているが,DNP規模の噴火についてはそのような評価を行うことは予定していない,②大山起源の各噴火の噴出物の化学組成の分析をした安全研究は,巨大噴火の活動可能性を評価 するための研究であり,DNPのような小規模の噴火には不適当であるし,40~60万年前の溝口凝灰角礫岩の存在から約16万年前以前にも高噴出率期があり,低噴出率期と高噴出率期という区分けが恣意的である可能性がある,③大山のマグマ溜まりの状態についての地震波トモグラフィ法を用いた調査結果は,マグマ溜まりを正確に把握することが できない可能性が高く,マッシュ状のマグマの再活性化は数か月から数 十年という比較的短期間で一気に発生する可能性があり,マグマ溜まりが浮力中立点に定置するとは限らない,④そもそも現在の火山学の水準では噴火の中長期的予測は困難であり,原子力規制委員会も大山の活動可能性を認めていたのであり,DNP規模の噴火の可能性を否定することはできないと主張する。 しかし,科学は不定性を有し,特に規模の大きい噴火については原告らが主張する複雑系で決定論的な理解が困難であって,実験で再現することが不可能であり,発生頻度が著しく低くデータに乏しい面があり,複数の専門家が現在の火山学の水準として噴火の長期予測ができないと指摘していることは原告らの主張するとおりであるが,前記認定事実等 ⑾のとおり,火山の噴火の原理や噴火予測の手法については科学研究の蓄積による専門 火山学の水準として噴火の長期予測ができないと指摘していることは原告らの主張するとおりであるが,前記認定事実等 ⑾のとおり,火山の噴火の原理や噴火予測の手法については科学研究の蓄積による専門的知見が存在するのであり,噴火予測についての代表的な調査手法である地質学的調査手法,岩石学的調査手法,地球物理学的調査手法によって,本件新知見を前提とする新たな設置変更許可から設計及び工事の計画の認可,保安規定変更認可並びに使用前事業者検査及 び使用前確認(設工認等)の手続が完了するまでの想定される期間において,DNP規模の噴火により本件各原子炉施設に対する危険性が現実化する蓋然性を判断することが不合理であるとはいえない。そして,①については,火山ガイドは,巨大噴火と異なり,DNP規模の噴火については噴火が差し迫った状態でないことの確認をすることを予定してい ないものの,発電用原子炉の運転期間中という長期間を想定しているのであり,これに対し,本件バックフィット命令において使用停止を命ずるか否かの判断は,本件新知見に対応した設置変更許可から設工認等の完了までという想定される期間が比較的短い間を検討の対象とするものであり,これを火山ガイドと同様に捉えるべきものということはできな い。②についても,安全研究は,大規模・巨大噴火を起こした事例のあ る火山を対象とするものの,これに該当する大山の火山活動の研究(平成27年度研究から平成29年度研究まで)においては,過去20万年間の噴火履歴及び大山を起源とする降下火砕堆積物の分布の見直しが行われ,これらを基に大山のマグマ噴出量の再計算が行われ,新たに積算マグマ噴出量の階段図が作成された上で,マグマ組成の時系列変化につ いての分析・比較が行われたのであり,この中には 布の見直しが行われ,これらを基に大山のマグマ噴出量の再計算が行われ,新たに積算マグマ噴出量の階段図が作成された上で,マグマ組成の時系列変化につ いての分析・比較が行われたのであり,この中にはDKPのみならずDNPも含まれて検討がされているものであって,DNPを含めた噴火の可能性を予測するものとして不適当であるとはいえない。また,溝口凝灰角礫岩は合計噴出量が約50k㎥と大量であるとしても,これは40~60万年前に長期間にわたる噴出物が2次的に泥流等として流動・堆 積したものであるとされており(前記認定事実等⑿ア),1度にDNP規模以上の噴火があったとはいえないから,安全研究が行った高噴出率期と低噴出率期の区別が恣意的であり,現在は低噴出率期にあるという分析が不合理であるとはいえない。③については,マグマ溜まりの状態についての地震波トモグラフィ法を用いた調査については,マグマ溜まり の位置の要因と噴火の可能性について複数の見解があるものの,マグマの密度が地殻の密度と釣り合う深さ(浮力中立点)とする見解が合理性に欠けるものとはいえず,少なくとも噴火予測の手法を複数考慮してDNP規模の噴火が現実化する蓋然性を判断することが不合理であるとはいえない。④についても,原子力規制委員会が大山の活動可能性を認め ていたのは,本件各原子炉の運用期間中のものであり,また,現在の火山学の水準では噴火の中長期的予測が困難であることをもって,本件新知見を前提とする新たな設置変更許可申請から設工認等の完了に至るまでの期間において,DNP規模の噴火により本件各原子炉施設に対する危険性が現実化する蓋然性を判断することが不合理であるとはいえない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 本件各原子 火により本件各原子炉施設に対する危険性が現実化する蓋然性を判断することが不合理であるとはいえない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 本件各原子炉施設の安全性に対する影響について原告らは,原子力規制委員会は,本件バックフィット命令において,降下火砕物による影響として荷重の点と非常用DGのフィルタ目詰まりの点を検討して緊急的な対策は必要ないとしたが,火山ガイドは影響評価の確認事項として,そのほかにも,直接的影響の確認事項として取水 設備の閉塞等,換気空調系統のフィルタ目詰まり,中央制御室の居住環境維持,降下火砕物の除去等の対応を挙げ,間接的影響についても確認事項が挙げられているから,要考慮事項の不考慮の違法があり,その他,非常用DGや除灰作業の見直しについて十分な検討を行っておらず,荷重について20cmの降灰は2mの降雪に相当するから1mの降雪の考 慮では足りないなどと主張する。 しかし,本件バックフィット命令に当たっては,本件新知見によりDNP規模の噴火の噴出量の増加に伴う降下火砕物による影響として,降下火砕物の最大層厚の変更によって本件各原子炉施設に影響を及ぼす荷重と閉塞を中心に検討がされたものであるが,原子力規制委員会は,参 加人との意見交換会における参加人からの説明や本件報告書の提出を受けて,本件各原子炉施設の建屋における短期の部材評価や建屋以外における実力評価,吸気フィルタの交換等により想定される降下火砕物の最大層厚に対して裕度を有することを確認し,DNPの噴出規模の噴火による降下火砕物により本件各原子炉施設が大きな影響を受けるおそれの ある切迫した状況にはないと判断したものであり,この判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるといえないことは前 規模の噴火による降下火砕物により本件各原子炉施設が大きな影響を受けるおそれの ある切迫した状況にはないと判断したものであり,この判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるといえないことは前記アのとおりである。そして,原子力規制委員会は,上記判断を前提とした上で,降下火砕物の最大層厚の変更に伴う本件各原子炉施設の火山影響評価に係る基本設計又は基本的設計方針につき,炉規法43条の3の6第1項4号所 定の基準(設置許可基準)に適合する設置変更許可申請をするよう本件 バックフィット命令を発出したものであり,参加人がこれを受けて降下火砕物の最大層厚の変更に適合するよう基本設計又は基本的設計方針を見直し,これを前提とする設置変更許可申請をする前において,火山ガイドが定める火山影響評価の確認事項について,これに適合しているか否かをあらかじめ判断すべきものであったとはいえないというべきであ る。この点につき,原告らは,①参加人が非常用DGのフィルタの裕度を50cmの層厚としたことにつき清掃時間を考慮していない,②非常用DGのフィルタ交換中に運転していないとすると,非常用DGの2系統健全維持とならないとも主張するが,①清掃時間は作業人員を増員することにより対応することも可能であり,現に参加人は本件保安規定変 更申請において作業人員を増やすことにより取替え・清掃を合わせて20分以内に実施するとしているほか,フィルタ清掃試験により,これを24時間の繰返し清掃が可能であることを確認しているものであり(前記認定事実等⑽ク),また,②本件各原子炉施設には改良型フィルタが配備済みであり,改良型フィルタについては,これを取り付けることによ り,非常用DGを運転しながらフィルタ取替え・清掃が可能であるから,非常用D ,また,②本件各原子炉施設には改良型フィルタが配備済みであり,改良型フィルタについては,これを取り付けることによ り,非常用DGを運転しながらフィルタ取替え・清掃が可能であるから,非常用DGの2系統維持がされないものとはいえない。なお,火山灰の密度は湿潤状態になると増加し,湿り気を帯びた新雪の10倍程度の密度となるとされており,火山灰の層厚が10cm増えたとしても1mの積雪の重さに比べてかなり小さいから大きな影響が出るものではない旨 などの原子力規制委員会の委員等の発言には正確性に疑義があるものの,平成30年10月5日の意見交換会での参加人の説明においては,新雪荷重100cmと合わせて降灰層厚を考慮しているものであり,積雪と降灰が同時に発生することを想定しているから,本件バックフィット命令の発出時点における原子力規制委員会の検討として不合理となるもの とはいえない。 そして,本件バックフィット命令の発出に当たっては,原子力規制委員会において,前記アの各種調査・検討の結果から,大山の活動性の低下が示されており,大山の噴火が差し迫った状況にあるとはいえないとの点も含めて,DNPの噴出規模の噴火による降下火砕物により本件各原子炉施設が大きな影響を受けるおそれがある切迫した状況にあると はいえないと判断したものであり,これらを全体としてみれば,原子力規制委員会が,本件バックフィット命令の発出時点において,降下火砕物による影響として荷重の点と非常用DGのフィルタ目詰まりの点を検討して緊急的な対策は必要ないとした判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 本件バックフィット命令における他事考慮について原告らは,原子 とした判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 本件バックフィット命令における他事考慮について原告らは,原子力規制委員会の更田委員長及び石渡委員等による非公開の会合(本件会合)の事実から,事業者の原子力発電所差止訴訟等における敗訴リスクの軽減や事業者の使用停止に伴う経済的損失回避を優 先させるという他事考慮の違法があると主張する。 しかし,本件会合において配布された資料の①案は,現在の状態が基準に適合していないというポジションではあるが,特定指導文書により設置変更許可申請を促すものにとどまり,原告らが主張するような直ちにバックフィット命令を発出する案ではない。そして,その当時,原子 力規制委員会と参加人との間で基準不適合か否かについて見解が対立していたことからすれば,本件各原子炉施設の敷地における降灰層厚の増加が見込まれていたとしても,その対応を早期に実現するための確実性の高い案であったとはいえず,最終的には本件各原子炉施設が設置許可基準に適合していないとして本件バックフィット命令に至ったものであ る。また,②案も,報告徴収命令に始まってバックフィット命令をも想 定したものであり,原子力規制委員会として種々の方法を検討していたといえるのであって,本件会合をもって事業者側が敗訴するリスクや事業者の経済的損失を考慮していたものとはいえない。さらに,本件会合が約50分間であったのに対し,平成30年12月12日の平成30年度原子力規制委員会第47回会合における協議時間が約5分間であり, その際,①案は示されておらず,原子力規制委員会について,国民の知る権利の保障に資するため,その保有する情報の公開を徹底することに 子力規制委員会第47回会合における協議時間が約5分間であり, その際,①案は示されておらず,原子力規制委員会について,国民の知る権利の保障に資するため,その保有する情報の公開を徹底することにより,その運営の透明性を確保すべきことが規定されている(原子力規制委員会設置法25条)ものの,正式な会合の前に事前準備に時間をかけることや事前準備段階で不要と考えられた案を正式な会合に諮らない ことが直ちに原子力規制委員会の意思決定の在り方として不合理であるともいえない。なお,更田委員長は,①案では差止訴訟における基準不適合という論理を生みやすい旨の発言をしており,事業者の原子力発電所差止訴訟等における敗訴リスクを考慮していなかったとはいい難いが,本件新知見は,参加人と意見を異にしつつ規制に取り入れたものである ことに照らしても,事業者が敗訴するリスクや経済的損失回避という他事考慮によって,本件バックフィット命令において使用停止を命じなかったものとはいえない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 使用停止を命ずべき具体的基準の不策定について 原告らは,バックフィット命令において使用停止を命ずべき具体的基準が策定されていないことが違法であると主張する。 しかし,そもそもバックフィット命令において使用停止を命ずべき具体的基準を策定することを義務付ける規定は存在しないのであり,これが策定されていないことをもって本件バックフィット命令が違法となる ものではない。この点を措いても,前記⑴オのとおり,バックフィット 命令の発出要件を満たす新知見等となる自然現象は多種多様なものが想定され,バックフィット命令の内容や方法も様々なものが想定されることに照らし,バックフィット命令は,原子力規制 ット 命令の発出要件を満たす新知見等となる自然現象は多種多様なものが想定され,バックフィット命令の内容や方法も様々なものが想定されることに照らし,バックフィット命令は,原子力規制委員会において,その科学的,専門技術的判断に基づき,個別具体的な状況に応じて内容が定められるべきものであり,このことは,原子力規制委員会が,平成25 年11月27日に「核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等に基づく原子力規制委員会の処分に係る審査基準等」を改定したものの,使用停止等について具体的な処分基準を作成することは困難であるため,これを設定しないものとしたこと(前記認定事実等⑷イ)からも裏付けられる。さらに,その後,原子力規制委員会は,平成27年 11月13日に決定した「新たな規制基準のいわゆるバックフィットの運用に関する基本的考え方」において,新たな規制基準を既存の施設等に適用する場合には一定の経過期間等を置くことを基本とし,安全上緊急の必要性がある場合には即時に適用する旨の考え方を示し,平成28年6月29日に策定した「実用発電用原子炉に係る新規制基準の考え方 について」(平成30年12月19日改訂)においても,その専門技術的裁量の下,個々の事例における具体的事情を踏まえて,例えば,新設・変更された基準等の安全上の重要性,当該措置を命ずることの必要性・緊急性,講ずべき措置の内容,発電用原子炉設置者の対応の状況等を総合考慮した上で,当該命令の発令の要否並びにその時期及び内容等を決 することになるとする考えを示し(前記認定事実等⑺),バックフィット命令の運用について一定の方針を示しているものの,具体的な処分基準を作成するに至っていないことからも裏付けられる。 したがって,発電用原子炉施設の使用停止 を示し(前記認定事実等⑺),バックフィット命令の運用について一定の方針を示しているものの,具体的な処分基準を作成するに至っていないことからも裏付けられる。 したがって,発電用原子炉施設の使用停止を命ずべき具体的基準が定められていないことが違法であるとはいえず,原告らの上記主張は採用 することができない。 本件バックフィット命令に対する対応完了の期限について原告らは,本件バックフィット命令において対応完了までの具体的期限が定められていないことが違法であると主張する。しかし,原子力規制委員会が本件バックフィット命令において対応完了までの具体的期限を設定しなかったことが裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したとい えないことは前記アのとおりであり,原告らの上記主張は採用することができない。 米国のバックフィット制度との関係について原告らは,米国のバックフィット制度と比較し,本件バックフィット命令は具体的に何についていつまでに完了させるべきものか不明であり, 完了までのリスク回避措置の考慮も不存在であるから,恣意的な運用のおそれがあると主張する。しかし,我が国のバックフィット命令は,原子力規制委員会において,その科学的,専門技術的判断に基づき,個別具体的な状況に応じて内容が定められるべきものであり,その中でも一定の運用方針が示されていることは前記のとおりである。また,本件 バックフィット命令においては,約半年以内に設置変更許可申請をすることを命じたものである上に,参加人は約3か月後に本件新知見に対応した検討をした上で本件設置変更許可申請②に及んでいるのであり,原告らが主張するような真摯な対応をしないまま設置変更許可申請のみ行いつつ発電用原子炉の運転を継続する事態となることや,これを原 に対応した検討をした上で本件設置変更許可申請②に及んでいるのであり,原告らが主張するような真摯な対応をしないまま設置変更許可申請のみ行いつつ発電用原子炉の運転を継続する事態となることや,これを原子力 規制委員会が看過又は放置することになるものとは認め難い。さらに,被告が原子力規制委員会設置法1条にいう「確立された国際的な基準」と認めるIAEA(国際原子力機関)の策定する安全基準を措いて,米国のバックフィット制度が確立された国際的な基準であることを示す的確な証拠はなく,米国のバックフィット制度が我が国のバックフィット 命令の運用を拘束するものでもない。原告らの上記主張も採用すること ができない。 ウ現時点における裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無以上のとおり,本件バックフィット命令の発出時点において,原子力規制委員会が参加人に対し本件各原子炉施設の使用停止を命じなかった判断に裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとは認められない ところ,その後,本件口頭弁論終結時において,本件各原子炉施設の使用停止を命じないことがその裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められることになる事情の変化があるか否かを検討する。 前記3⑵ウのとおり,参加人は,本件バックフィット命令による設置変更許可申請の期限前である令和元年9月26日に本件設置変更許可申 請②をし,原子力規制委員会は,令和3年5月19日,降下火砕物の最大層厚以外の基本設計又は基本的設計方針を変更しないとの参加人の方針が妥当であるとして,本件設置変更許可処分②をし,前記認定事実等⑽カのとおり,これと併せて,本件設置変更許可後に行われる設計及び工事の計画の認可その他の処分並びに検査等の措置の今後の取扱いにつ いて,DNPの噴出 件設置変更許可処分②をし,前記認定事実等⑽カのとおり,これと併せて,本件設置変更許可後に行われる設計及び工事の計画の認可その他の処分並びに検査等の措置の今後の取扱いにつ いて,DNPの噴出規模の見直しに係る設計及び工事の計画の認可,保安規定変更認可並びに使用前事業者検査及び使用前確認(設工認等)の手続を完了させるべき期限につき,本件設置変更許可処分②から1年以降の最初の炉規法43条の3の16第1項の検査(定期事業者検査)において原子炉を起動するために必要な検査を開始する日とし,その期限 までにDNPの噴出規模の見直しに係る設工認等の手続が完了していない発電用原子炉施設は,運転の前提条件を満たさないものと判断することを示し,これを受けて,参加人は,同年7月1日,本件設計工事認可申請及び本件保安規定変更認可申請をし,現在それらの審査がされているものである。そして,本件設置変更許可処分②に当たっては,降下火 砕物の最大層厚につき,本件バックフィット命令の発出時に想定してい た21.9cmを上回る27cmとなっているものの,参加人は,本件設計工事認可申請及び本件保安規定変更認可申請において,降下火砕物の最大層厚27cmに対応する申請をしているのであり,現時点において,これらの申請及び審査内容が,本件バックフィット命令の発出時と比べて,DNPの噴出規模の最大層厚の増大により,本件各原子炉施設 に対する危険性が現実化する蓋然性や,本件各原子炉施設の安全機能の欠如の現実的な可能性がもたらす危険性の程度について,これを見直すべき事情があるとはいえない。また,DNPの噴出規模の噴火の可能性についても,本件バックフィット命令の後,YamamotoandHoang(2019)が発表されたり,原子力発電所の新規 を見直すべき事情があるとはいえない。また,DNPの噴出規模の噴火の可能性についても,本件バックフィット命令の後,YamamotoandHoang(2019)が発表されたり,原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会 合において参加人が大山の将来の噴火の可能性に関する報告(乙C42)をしたりしているものの,YamamotoandHoang(2019)は,大山の低噴出率期と高噴出率期の違いを更に分析し,噴火活動が2万0800年前に停止したことを内容とするものであり,DNPの噴出規模の噴火の可能性が高まっていることをうかがわせるものではない。さらに,本 件設置変更許可処分②に併せて設工認等の手続を完了させるべき期限として,本件設置変更許可処分②から1年以降の最初の炉規法43条の3の16第1項の検査(定期事業者検査)において原子炉を起動するために必要な検査を開始する日とし,その期限までにDNPの噴出規模の見直しに係る設工認等の手続が完了していない発電用原子炉施設は,運転 の前提条件を満たさないものと判断することが示されているのであり,この期限が参加人の都合のみを考慮して定められたものとはいえず,設工認等の手続に要する時間等に照らしても不合理なものとはいえない。 以上からすれば,本件口頭弁論終結時において,本件各原子炉施設の使用停止を命じないことが,原子力規制委員会の裁量権の範囲を超え又 はその濫用となると認められると評価し得る事情の変化があるとはいえ ないというべきである。 これに対し,原告らは,参加人が本件保安規定変更認可申請において気中降下火砕物濃度を3.78g/㎥としたことが過小評価であるとして,参加人が設定した粒径分布の恣意性,実測値の粒径分布との差違,シミュレーションソフトで ,参加人が本件保安規定変更認可申請において気中降下火砕物濃度を3.78g/㎥としたことが過小評価であるとして,参加人が設定した粒径分布の恣意性,実測値の粒径分布との差違,シミュレーションソフトであるTephra2の技術的限界,粒径の小 さい微細粒子の風化・溶解等の影響等の種々の主張をするが,気中降下火砕物濃度の点は本件保安規定変更認可申請の中で審査されているところであり,上記のとおり期限内に設工認等の手続を完了させなければ運転の前提条件を満たさないものと判断することが示されているから,原告らの上記主張をもって本件各原子炉施設の使用停止を命じないこと が原子力規制委員会の裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められるものとはいえない。 エ小括以上によれば,本件口頭弁論終結時において,原子力規制委員会が参加人に対し本件各原子炉施設の使用停止を命じないことが裁量権の範囲を 超え又はその濫用となると認めることはできない。 第4 結論よって,原告らの請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部 裁判長裁判官日置朋弘 裁判官佐久間 隆 裁判官若林慶浩 (別紙)関係法令等の定め第1 核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(炉規法) 1 1条(目的)この法律は,原子力基本法(昭和30年法律第186号)の精神にのっと り,核原料物質,核燃料物質及び原子炉の利用が平和の目的に限られることを確保するとともに,原子力施設において重大な事故が生じた場合に放射性物質が異常な水準で 0年法律第186号)の精神にのっと り,核原料物質,核燃料物質及び原子炉の利用が平和の目的に限られることを確保するとともに,原子力施設において重大な事故が生じた場合に放射性物質が異常な水準で当該原子力施設を設置する工場又は事業所の外へ放出されることその他の核原料物質,核燃料物質及び原子炉による災害を防止し,及び核燃料物質を防護して,公共の安全を図るために,製錬,加工,貯蔵,再処理及び 廃棄の事業並びに原子炉の設置及び運転等に関し,大規模な自然災害及びテロリズムその他の犯罪行為の発生も想定した必要な規制を行うほか,原子力の研究,開発及び利用に関する条約その他の国際約束を実施するために,国際規制物資の使用等に関する必要な規制を行い,もつて国民の生命,健康及び財産の保護,環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とする。 2 43条の3の5(設置の許可)1項発電用原子炉を設置しようとする者は,政令で定めるところにより,原子力規制委員会の許可を受けなければならない。 2項 前項の許可を受けようとする者は,次の事項を記載した申請書を原子力規制委員会に提出しなければならない。 ア 1~4号略イ 5号発電用原子炉及びその附属施設(以下「発電用原子炉施設」という。) の位置,構造及び設備 ウ 6号~11号略 3 43条の3の6(許可の基準)1項原子力規制委員会は,前条第1項の許可の申請があつた場合においては,その申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ,同 項の許可をしてはならない。 ア 1~3号略イ 4号発電用原子炉施設の位置,構造及び設備が核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原 いると認めるときでなければ,同 項の許可をしてはならない。 ア 1~3号略イ 4号発電用原子炉施設の位置,構造及び設備が核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上支障がな いものとして原子力規制委員会規則で定める基準に適合するものであること。 ウ 5号略2,3項略 4 43条の3の8(変更の許可及び届出等) 1項第43条の3の5第1項の許可を受けた者(以下「発電用原子炉設置者」という。)は,同条第2項第2号から第5号まで又は第8号から第11号までに掲げる事項を変更しようとするときは,政令で定めるところにより,原子力規制委員会の許可を受けなければならない。(以下略) 2項第43条の3の6の規定は,前項本文の許可に準用する。 3~8項略 5 43条の3の9(設計及び工事の計画の認可)1項 発電用原子炉施設の設置又は変更の工事(核燃料物質若しくは核燃料物質 によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上特に支障がないものとして原子力規制委員会規則で定めるものを除く。)をしようとする発電用原子炉設置者は,原子力規制委員会規則で定めるところにより,当該工事に着手する前に,その設計及び工事の方法その他の工事の計画(以下この節において「設計及び工事の計画」という。)について原子力規制委員会の 認可を受けなければならない。ただし,発電用原子炉施設の一部が滅失し,若しくは損壊した場合又は災害その他非常の場合において,やむを得ない一時的な工事としてするときは,この限りでない。 2項前項の認可を受けた者は,当該認可を受けた設計及び工事の計画を変更し ようとするときは,原子力規制委員会規則 において,やむを得ない一時的な工事としてするときは,この限りでない。 2項前項の認可を受けた者は,当該認可を受けた設計及び工事の計画を変更し ようとするときは,原子力規制委員会規則で定めるところにより,原子力規制委員会の認可を受けなければならない。ただし,その変更が原子力規制委員会規則で定める軽微なものであるときは,この限りでない。 3項原子力規制委員会は,前2項の認可の申請が次の各号のいずれにも適合し ていると認めるときは,前2項の認可をしなければならない。 ア 1号その設計及び工事の計画が43条の3の5第1項若しくは前条第1項の許可を受けたところ又は同条第3項若しくは第4項前段の規定により届け出たところによるものであること。 イ 2号発電用原子炉施設が43条の3の14の技術上の基準に適合するものであること。 4~6項略 6 43条の3の11(使用前事業者検査等) 1項 発電用原子炉設置者は,原子力規制委員会規則で定めるところにより,設置又は変更の工事をする発電用原子炉施設について検査を行い,その結果を記録し,これを保存しなければならない。 2項前項の検査(次項及び第43条の3の24第1項において「使用前事業者 検査」という。)においては,その発電用原子炉施設が次の各号のいずれにも適合していることを確認しなければならない。 ア 1号その工事が第43条の3の9第1項若しくは第2項の認可を受けた設計及び工事の計画(同項ただし書の原子力規制委員会規則で定める軽微な 変更をしたものを含む。)又は前条第1項の規定による届出をした設計及び工事の計画(同項後段の原子力規制委員会規則で定める軽微な変更をしたものを含む。)に従って行わ 制委員会規則で定める軽微な 変更をしたものを含む。)又は前条第1項の規定による届出をした設計及び工事の計画(同項後段の原子力規制委員会規則で定める軽微な変更をしたものを含む。)に従って行われたものであること。 イ 2号第43条の3の14の技術上の基準に適合するものであること。 3項発電用原子炉設置者は,原子力規制委員会規則で定めるところにより,使用前事業者検査についての原子力規制検査により発電用原子炉施設が前項各号のいずれにも適合していることについて原子力規制委員会の確認を受けた後でなければ,その発電用原子炉施設を使用してはならない。ただし,第4 3条の3の9第1項ただし書の工事を行った場合その他原子力規制委員会規則で定める場合は,この限りでない。 7 43条の3の14(発電用原子炉施設の維持)発電用原子炉設置者は,発電用原子炉施設を原子力規制委員会規則で定める技術上の基準に適合するように維持しなければならない。ただし,第43条の 3の34第2項の認可を受けた発電用原子炉については,原子力規制委員会規 則で定める場合を除き,この限りでない。 8 43条の3の16(定期事業者検査)1項発電用原子炉設置者は,原子力規制委員会規則で定めるところにより,定期に,発電用原子炉施設について検査を行い,その結果を記録し,これを保 存しなければならない。ただし,43条の3の34第2項の認可を受けた発電用原子炉については,原子力規制委員会規則で定める場合を除き,この限りでない。 2項前項の検査(以下この条及び43条の3の24第1項において「定期事業 者検査」という。)においては,その発電用原子炉施設が43条の3の14の技術上の基準に適合していることを確認しなければ 項前項の検査(以下この条及び43条の3の24第1項において「定期事業 者検査」という。)においては,その発電用原子炉施設が43条の3の14の技術上の基準に適合していることを確認しなければならない。 3,4項略 9 43条の3の20(許可の取消し等)1項略 2項原子力規制委員会は,発電用原子炉設置者が次の各号のいずれかに該当するときは,第43条の3の5第1項の許可を取り消し,又は1年以内の期間を定めて発電用原子炉の運転の停止を命ずることができる。 ア 1~3号略 イ 4号第43条の3の23の規定による命令に違反したとき。 ウ 5~22号略 10 43条の3の22(保安及び特定核燃料物質の防護のために講ずべき措置) 1項 発電用原子炉設置者は,次の事項について,原子力規制委員会規則で定めるところにより,保安のために必要な措置(重大事故が生じた場合における措置に関する事項を含む。)を講じなければならない。 ア 1号発電用原子炉施設の保全 イ 2号発電用原子炉の運転ウ 3号核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物の運搬,貯蔵又は廃棄(運搬及び廃棄にあっては,発電用原子炉施設を設置した工場又は事業 所において行われる運搬又は廃棄に限る。次条第1項において同じ。)2項発電用原子炉設置者は,発電用原子炉施設を設置した工場又は事業所において特定核燃料物質を取り扱う場合で政令で定める場合には,原子力規制委員会規則で定めるところにより,防護措置を講じなければならない。 11 43条の3の23(施設の使用の停止等)1項原子力規制委員会は,発電用原子炉施設の位置,構造若しくは設備が第43条の3の6第1項第4号の基 ,防護措置を講じなければならない。 11 43条の3の23(施設の使用の停止等)1項原子力規制委員会は,発電用原子炉施設の位置,構造若しくは設備が第43条の3の6第1項第4号の基準に適合していないと認めるとき,発電用原子炉施設が第43条の3の14の技術上の基準に適合していないと認めると き,又は発電用原子炉施設の保全,発電用原子炉の運転若しくは核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物の運搬,貯蔵若しくは廃棄に関する措置が前条第1項の規定に基づく原子力規制委員会規則の規定に違反していると認めるときは,その発電用原子炉設置者に対し,当該発電用原子炉施設の使用の停止,改造,修理又は移転,発電用原子炉の運転の方法の指定そ の他保安のために必要な措置を命ずることができる。 2項原子力規制委員会は,防護措置が前条第2項の規定に基づく原子力規制委員会規則の規定に違反していると認めるときは,発電用原子炉設置者に対し,是正措置等を命ずることができる。 12 43条の3の24(保安規定) 1項発電用原子炉設置者は,原子力規制委員会規則で定めるところにより,保安規定(発電用原子炉の運転に関する保安教育,使用前事業者検査及び定期事業者検査についての規定を含む。以下この条において同じ。)を定め,発電用原子炉施設の設置の工事に着手する前に,原子力規制委員会の認可を受 けなければならない。これを変更しようとするときも,同様とする。 2項原子力規制委員会は,保安規定が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは,前項の認可をしてはならない。 ア 1号 第43条の3の5第1項若しくは第43条の3の8第1項の許可を受けたところ又は同条第3項若しくは第4項前段の規定によ かに該当すると認めるときは,前項の認可をしてはならない。 ア 1号 第43条の3の5第1項若しくは第43条の3の8第1項の許可を受けたところ又は同条第3項若しくは第4項前段の規定により届け出たところによるものでないこと。 イ 2号核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉 による災害の防止上十分でないものであること。 3項原子力規制委員会は,核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止のため必要があると認めるときは,発電用原子炉設置者に対し,保安規定の変更を命ずることができる。 4項 発電用原子炉設置者及びその従業者は,保安規定を守らなければならない。 13 67条(報告徴収)1項原子力規制委員会,国土交通大臣又は都道府県公安委員会は,この法律 (略)の施行に必要な限度において,原子力事業者等(略)に対し,64条3項各号に掲げる原子力事業者等の区分(略)に応じ,その業務に関し報告をさせることができる。 2~5項略 14 78条 次の各号のいずれかに該当する者は,1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する。 1~8号略8号の2(前略)第43条の3の23第1項(中略)の規定による命令に違反した 者9~32号略 15 81条法人の代表者又は法人若しくは人の代理人その他の従業者が,その法人又は人の業務に関して次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは,行為者を罰 するほか,その法人に対して当該各号に定める罰金刑を,その人に対して各本条の罰金刑を科する。 ⑴ 1号略⑵ 2号第78条(中略)第8号の2(試験研究炉等設 をしたときは,行為者を罰 するほか,その法人に対して当該各号に定める罰金刑を,その人に対して各本条の罰金刑を科する。 ⑴ 1号略⑵ 2号第78条(中略)第8号の2(試験研究炉等設置者及び使用者に係る部分 を除く。)(中略) 1億円以下の罰金刑 ⑶ 3号略 第2 核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(平成29年法律第15号による改正前のもの) 1 43条の3の9(工事の計画の認可) 1項発電用原子炉施設の設置又は変更の工事(核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上特に支障がないものとして原子力規制委員会規則で定めるものを除く。)をしようとする発電用原子炉設置者は,原子力規制委員会規則で定めるところにより,当該工 事に着手する前に,その工事の計画について原子力規制委員会の認可を受けなければならない。ただし,発電用原子炉施設の一部が滅失し,若しくは損壊した場合又は災害その他非常の場合において,やむを得ない一時的な工事としてするときは,この限りでない。 2項 前項の認可を受けた者は,当該認可を受けた工事の計画を変更しようとするときは,原子力規制委員会規則で定めるところにより,原子力規制委員会の認可を受けなければならない。ただし, 当該変更が原子力規制委員会規則で定める軽微なものであるときは,この限りでない。 3項 原子力規制委員会は,前2項の認可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときは,前2項の認可をしなければならない。 ア 1号その工事の計画が第43条の3の5第1項若しくは前条第1項の許可を受けたところ又は同条第3項若しくは第4項前段の規定により届け出たところによ ときは,前2項の認可をしなければならない。 ア 1号その工事の計画が第43条の3の5第1項若しくは前条第1項の許可を受けたところ又は同条第3項若しくは第4項前段の規定により届け出たところによるものであること。 イ 2号発電用原子炉施設が第43条の3の14の技術上の基準に適合す るものであること。 ウ 3号その者の設計及び工事に係る品質管理の方法及びその検査のための組織が原子力規制委員会規則で定める技術上の基準に適合するものであること。 4~6項略 2 43条の3の11(使用前検査)1項43条の3の9第1項若しくは第2項の認可を受けて設置若しくは変更の工事をする発電用原子炉施設又は前条第1項の規定による届出をして設置若しくは変更の工事をする発電用原子炉施設(その工事の計画について,同条 4項の規定による命令があった場合において同条1項の規定による届出をしていないものを除く。)は,その工事について原子力規制委員会規則で定めるところにより原子力規制委員会の検査を受け,これに合格した後でなければ,これを使用してはならない。ただし,原子力規制委員会規則で定める場合は,この限りでない。 2項前項の検査においては,その発電用原子炉施設が次の各号のいずれにも適合しているときは,合格とする。 ア 1号その工事が43条の3の9第1項若しくは第2項の認可を受けた工事の 計画(同項ただし書の原子力規制委員会規則で定める軽微な変更をしたものを含む。)又は前条1項の規定による届出をした工事の計画(同項後段の原子力規制委員会規則で定める軽微な変更をしたものを含む。)に従って行われたものであること。 イ 2号 43条の3の14の技術上の基準に適合するものである 届出をした工事の計画(同項後段の原子力規制委員会規則で定める軽微な変更をしたものを含む。)に従って行われたものであること。 イ 2号 43条の3の14の技術上の基準に適合するものであること。 第3 核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(平成24年法律第47号による改正前のもの)36条(施設の使用の停止等) 1 1項主務大臣(外国原子力船運航者については,国土交通大臣)は,原子炉施 設の性能が第29条第2項の技術上の基準に適合していないと認めるとき,又は原子炉施設の保全,原子炉の運転若しくは核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物の運搬,貯蔵若しくは廃棄に関する措置が前条第1項の規定に基づく主務省令又は国土交通省令の規定に違反していると認めるときは,原子炉設置者又は外国原子力船運航者に対し,原子炉施設の使用の 停止,改造,修理又は移転,原子炉の運転の方法の指定その他保安のために必要な措置を命ずることができる。 2 2項略 第4 実用発電用原子炉及びその附属施設の位置,構造及び設備の基準に関する規 則(以下「設置許可基準規則」という。) 1 2条2項⑴ 1~3号略⑵ 4号「設計基準事故」とは,発生頻度が運転時の異常な過渡変化より低い異常 な状態であって,当該状態が発生した場合には発電用原子炉施設から多量の放射性物質が放出するおそれがあるものとして安全設計上想定すべきものをいう。 ⑶ 5,6号略⑷ 7号 「設計基準対象施設」とは,発電用原子炉施設のうち,運転時の異常な過 渡変化又は設計基準事故の発生を防止し,又はこれらの拡大を防止するために必要となるものをいう。 ⑸ 8号 「設計基準対象施設」とは,発電用原子炉施設のうち,運転時の異常な過 渡変化又は設計基準事故の発生を防止し,又はこれらの拡大を防止するために必要となるものをいう。 ⑸ 8号「安全施設」とは,設計基準対象施設のうち,安全機能を有するものをいう。 ⑹ 9号「重要安全施設」とは,安全施設のうち,安全機能の重要度が特に高い安全機能を有するものをいう。 ⑺ 10号略⑻ 11号 「重大事故等対処施設」とは,重大事故に至るおそれがある事故(運転時の異常な過渡変化及び設計基準事故を除く。以下同じ。)又は重大事故(以下「重大事故等」と総称する。)に対処するための機能を有する施設をいう。 ⑼ 12号「特定重大事故等対処施設」とは,重大事故等対処施設のうち,故意によ る大型航空機の衝突その他のテロリズムにより炉心の著しい損傷が発生するおそれがある場合又は炉心の著しい損傷が発生した場合において,原子炉格納容器の破損による工場等外への放射性物質の異常な水準の放出を抑制するためのものをいう。 ⑽ 13~41号略 2 6条(外部からの衝撃による損傷の防止)1項安全施設(兼用キャスクを除く。)は,想定される自然現象(地震及び津波を除く。次項において同じ。)が発生した場合においても安全機能を損なわないものでなければならない。 2項 重要安全施設は,当該重要安全施設に大きな影響を及ぼすおそれがあると想定される自然現象により当該重要安全施設に作用する衝撃及び設計基準事故時に生ずる応力を適切に考慮したものでなければならない。 3~7項略 第5 実用発電用原子炉及びその附属施設の位置,構造及び設備の基準 り当該重要安全施設に作用する衝撃及び設計基準事故時に生ずる応力を適切に考慮したものでなければならない。 3~7項略 第5 実用発電用原子炉及びその附属施設の位置,構造及び設備の基準に関する規則の解釈(以下「設置許可基準規則解釈」という。)6条(外部からの衝撃による損傷の防止) 1 1項第1項は,設計基準において想定される自然現象(地震及び津波を除く。)に 対して,安全施設が安全機能を損なわないために必要な安全施設以外の施設又は設備等(重大事故等対処設備を含む。)への措置を含む。 2 2項第1項に規定する「想定される自然現象」とは,敷地の自然環境を基に,洪水,風(台風),竜巻,凍結,降水,積雪,落雷,地滑り,火山の影響,生物学 的事象又は森林火災等から適用されるものをいう。 3 3項第1項に規定する「想定される自然現象(地震及び津波を除く。)が発生した場合においても安全機能を損なわないもの」とは,設計上の考慮を要する自然現象又はその組み合わせに遭遇した場合において,自然事象そのものがもたら す環境条件及びその結果として施設で生じ得る環境条件において,その設備が有する安全機能が達成されることをいう。 4 4項第2項に規定する「重要安全施設」については,「発電用軽水型原子炉施設の安全機能の重要度分類に関する審査指針」(平成2年8月30日原子力安全委 員会決定)の「Ⅴ.2.⑵自然現象に対する設計上の考慮」に示されるものと する。 5 5項第2項に規定する「大きな影響を及ぼすおそれがあると想定される自然現象」とは,対象となる自然現象に対応して,最新の科学的技術的知見を踏まえて適切に予想されるものをいう。なお,過去の記録,現地調査の結果及び最新知見 等を参考に ぼすおそれがあると想定される自然現象」とは,対象となる自然現象に対応して,最新の科学的技術的知見を踏まえて適切に予想されるものをいう。なお,過去の記録,現地調査の結果及び最新知見 等を参考にして,必要のある場合には,異種の自然現象を重畳させるものとする。 6 6項第2項に規定する「適切に考慮したもの」とは,大きな影響を及ぼすおそれがあると想定される自然現象により当該重要安全施設に作用する衝撃及び設計 基準事故が発生した場合に生じる応力を単純に加算することを必ずしも要求するものではなく,それぞれの因果関係及び時間的変化を考慮して適切に組み合わせた場合をいう。 7 7~9項略 第6 実用発電用原子炉及びその附属施設の技術基準に関する規則(以下「技術基準規則」という。)7条(外部からの衝撃による損傷の防止) 1 1項設計基準対象施設(兼用キャスクを除く。)が想定される自然現象(地震及び 津波を除く。)によりその安全性を損なうおそれがある場合は,防護措置,基礎地盤の改良その他の適切な措置を講じなければならない。 2 2~5項略 第7 実用発電用原子炉及びその附属施設の技術基準に関する規則の解釈(以下 「技術基準規則解釈」という。) 7条(外部からの衝撃による損傷の防止) 1 1項第1項に規定する「想定される自然現象」には,台風,竜巻,降水,積雪,凍結,落雷,火山事象,生物学的事象,森林火災等を含む。 2 2項 第1項に規定する「適切な措置を講じなければならない」には,供用中における運転管理等の運用上の措置を含む。 3 3~6項略 第8 実用発電用原子炉の設置,運転等に関する規則(以下「実用炉規則」とい う。) 1 2条(定義) 」には,供用中における運転管理等の運用上の措置を含む。 3 3~6項略 第8 実用発電用原子炉の設置,運転等に関する規則(以下「実用炉規則」とい う。) 1 2条(定義)1項略2項ア 1~5号略 イ 6号「周辺監視区域」とは,管理区域の周辺の区域であって,当該区域の外側のいかなる場所においてもその場所における線量が原子力規制委員会の定める線量限度を超えるおそれのないものをいう。 ウ 7~12号略 2 83条(設計想定事象,重大事故等又は大規模損壊に係る発電用原子炉施設の保全に関する措置)1項炉規法43条の3の22第1項の規定により,発電用原子炉設置者は,設計想定事象,重大事故等又は大規模損壊に関して,炉規法43条の3の5第 1項又は43条の3の8第1項の許可を受けたところ(炉規法43条の3の 34第2項の認可を受けたものにあっては,当該認可を受けたところ)により,次に掲げる発電用原子炉施設の保全に関する措置を講じなければならない。 ア 1号次に掲げる事象の区分に応じてそれぞれ次に定める事項を含む発電用原 子炉施設の必要な機能を維持するための活動に関する計画を定めるとともに,当該計画の実行に必要な要員を配置し,当該計画に従って必要な活動を行わせること。 イ略ロ 火山現象による影響a 火山現象による影響が発生し,又は発生するおそれがある場合(以下この号において「火山影響等発生時」という。)における非常用交流動力電源設備の機能を維持するための対策に関すること。 b に掲げるもののほか,火山影響等発生時における代替電源設備その他の炉心を冷却するために必要な設備の機能を維持するための対策に関する 源設備の機能を維持するための対策に関すること。 b に掲げるもののほか,火山影響等発生時における代替電源設備その他の炉心を冷却するために必要な設備の機能を維持するための対策に関すること。 c に掲げるもののほか,火山影響等発生時に交流動力電源が喪失した場合における炉心の著しい損傷を防止するための対策に関すること。 ハ,ニ略イ 2~4号略 第9 原子力規制委員会設置法 1 1条(目的)この法律は,平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故を契機に明らかとなった原子力の研究,開発及び利用(以下「原子力利用」という。)に関する政策に係る縦割り行政の弊害を除去し,並びに一の行政組織が原子力利用の推進及び規制の両方の機能を担うことにより 生ずる問題を解消するため,原子力利用における事故の発生を常に想定し,その防止に最善かつ最大の努力をしなければならないという認識に立って,確立された国際的な基準を踏まえて原子力利用における安全の確保を図るため必要な施策を策定し,又は実施する事務(原子力に係る製錬,加工,貯蔵,再処理及び廃棄の事業並びに原子炉に関する規制に関すること並びに国際約束に基づ く保障措置の実施のための規制その他の原子力の平和的利用の確保のための規制に関することを含む。)を一元的につかさどるとともに,その委員長及び委員が専門的知見に基づき中立公正な立場で独立して職権を行使する原子力規制委員会を設置し,もって国民の生命,健康及び財産の保護,環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とする。 2 2条(設置)国家行政組織法(昭和23年法律第120号)第3条第2項の規定に基づいて,環境省の外局として,原子力規 保護,環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とする。 2 2条(設置)国家行政組織法(昭和23年法律第120号)第3条第2項の規定に基づいて,環境省の外局として,原子力規制委員会を設置する。 3 3条(任務)原子力規制委員会は,国民の生命,健康及び財産の保護,環境の保全並びに 我が国の安全保障に資するため,原子力利用における安全の確保を図ること(原子力に係る製錬,加工,貯蔵,再処理及び廃棄の事業並びに原子炉に関する規制に関すること並びに国際約束に基づく保障措置の実施のための規制その他の原子力の平和的利用の確保のための規制に関することを含む。)を任務とする。 4 4条(所掌事務) 1項原子力規制委員会は,前条の任務を達成するため,次に掲げる事務 をつかさどる。 ア 1号原子力利用における安全の確保に関すること。 イ 2号原子力に係る製錬,加工,貯蔵,再処理及び廃棄の事業並びに原子炉に 関する規制その他これらに関する安全の確保に関すること。 ウ 3号核原料物質及び核燃料物質の使用に関する規制その他これらに関する安全の確保に関すること。 エ 4~12号略 オ 13号前各号に掲げる事務を行うため必要な調査及び研究を行うこと。 カ 14号前各号に掲げるもののほか,法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき,原子力規制委員会に属させられた事務 2項略 5 5条(職権の行使)原子力規制委員会の委員長及び委員は,独立してその職権を行う。 6 6条(組織)1項 原子力規制委員会は,委員長及び委員4人をもって組織する。 2,3項略 7 7条(委員長及び委員の任命)1項委員長及び委員は,人格が高潔であって,原 6条(組織) 1項 原子力規制委員会は,委員長及び委員4人をもって組織する。 2,3項略 7条(委員長及び委員の任命) 1項 委員長及び委員は,人格が高潔であって,原子力利用における安全の確保に関して専門的知識及び経験並びに高い識見を有する者のうちから,両議院の同意を得て,内閣総理大臣が任命する。 2~7項略 13条(審議会等) 1項 原子力規制委員会に,次の審議会等を置く。 原子炉安全専門審査会 核燃料安全専門審査会 2項 前項に定めるもののほか,別に法律で定めるところにより原子力規制委員会に置かれる審議会等は,放射線審議会とする。 14条(原子炉安全専門審査会) 原子炉安全専門審査会は,原子力規制委員会の指示があった場合において,原子炉に係る安全性に関する事項を調査審議する。 15条 1項 原子炉安全専門審査会は,政令で定める員数以内の審査委員をもって組織する。 2項 審査委員は,学識経験のある者のうちから,原子力規制委員会が任命する。 3~5項略 25条(情報の公開) 原子力規制委員会は,国民の知る権利の保障に資するため,その保有する情報の公開を徹底することにより,その運営の透明性を確保しなければならない。 27条(原子力規制庁) 1項 原子力規制委員会の事務を処理させるため,原子力規制委員会に事務局を置く。 2項 前項の事務局は,原子力規制庁と称する。 3項 原子力規制庁に,事務局長その他の職員を置く。 4~6項略 附則6条(政府の措置等) 1項略 2項 原子力規制庁の職員については,原子力利用に する。 3項 原子力規制庁に,事務局長その他の職員を置く。 4~6項略 13 附則6条(政府の措置等)1項略2項 原子力規制庁の職員については,原子力利用における安全の確保のための規制の独立性を確保する観点から,原子力規制庁の幹部職員のみならずそれ以外の職員についても,原子力利用の推進に係る事務を所掌する行政組織への配置転換を認めないこととする。ただし,この法律の施行後5年を経過するまでの間において,当該職員の意欲,適性等を勘案して特にやむを得ない 事由があると認められる場合は,この限りでない。 3~9項略 第10 国家行政組織法3条(行政機関の設置,廃止,任務及び所掌事務)2項 行政組織のため置かれる国の行政機関は,省,委員会及び庁とし,その設置及び廃止は,別に法律の定めるところによる。 第11 原子力基本法 1 1条(目的) この法律は,原子力の研究,開発及び利用(以下「原子力利用」という。)を 推進することによって,将来におけるエネルギー資源を確保し,学術の進歩と産業の振興とを図り,もつて人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与することを目的とする。 2 2条(基本方針)1項 原子力利用は,平和の目的に限り,安全の確保を旨として,民主的な運営の下に,自主的にこれを行うものとし,その成果を公開し,進んで国際協力に資するものとする。 2項前項の安全の確保については,確立された国際的な基準を踏まえ,国民の 生命,健康及び財産の保護,環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として,行うものとする。 第12 環境基本法 1 1条(目的) この法律は,環境の保全につい の 生命,健康及び財産の保護,環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として,行うものとする。 第12 環境基本法 1 1条(目的) この法律は,環境の保全について,基本理念を定め,並びに国,地方公共団体,事業者及び国民の責務を明らかにするとともに,環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより,環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し,もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。 2 2条(定義)3項この法律において「公害」とは,環境の保全上の支障のうち,事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染,水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。第21条第1項第1号において同じ。),土壌の汚染,騒音,振動,地盤の沈下(鉱物の掘採のための 土地の掘削によるものを除く。以下同じ。)及び悪臭によって,人の健康又は生 活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。 3 8条(事業者の責務)1項事業者は,基本理念にのっとり,その事業活動を行うに当たっては,これに伴って生ずるばい煙,汚水,廃棄物等の処理その他の公害を防止し,又は自然 環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。 第13 核原料物質又は核燃料物質の製錬の事業に関する規則等の規定に基づく線量限度等を定める告示(平成27年原子力規制委員会告示第8号。以下「線量告示」という。) 1 2条(周辺監視区域外の線量限度)1項(略)実用炉規則2条2項6号,技 の規定に基づく線量限度等を定める告示(平成27年原子力規制委員会告示第8号。以下「線量告示」という。) 1 2条(周辺監視区域外の線量限度)1項(略)実用炉規則2条2項6号,技術基準規則42条1項(略)の原子力規制委員会の定める線量限度は,次のとおりとする。 ア 1号 実効線量については,1年間(4月1日を始期とする1年間をいう。以下同じ。)につき1ミリシーベルトイ 2,3号略2項略 2 8条(周辺監視区域外の濃度限度等) 1項(略)実用炉規則90条4号及び7号,技術基準規則39条1項1号(略)の原子力規制委員会の定める濃度限度(略)は,3月間についての平均濃度について次のとおりとする。 ア 1~5号略 イ 6号 外部放射線に被ばくするおそれがあり,かつ,空気中又は水中の放射性物質を吸入摂取又は経口摂取するおそれがある場合にあっては,外部被ばくによる1年間の実効線量の1ミリシーベルトに対する割合と空気中又は水中の放射性物質の濃度のその放射性物質についての空気中又は水中の放射性物質の前各号の濃度に対する割合との和が1となるようなそれ らの放射性物質の濃度2~4項略 第14 放射性同位元素等の規制に関する法律(放射線障害防止法) 1 6条(使用の許可の基準) 原子力規制委員会は,3条1項本文の許可の申請があつた場合においては,その申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ,許可をしてはならない。 1号使用施設の位置,構造及び設備が原子力規制委員会規則で定める技術上の 基準に適合するものであること。 2号略3号廃棄施設の位置,構造及び設備が原子力規制委員会規則で定める技術上の基準に適合す ,構造及び設備が原子力規制委員会規則で定める技術上の 基準に適合するものであること。 2号略3号廃棄施設の位置,構造及び設備が原子力規制委員会規則で定める技術上の基準に適合するものであること。 4号略 2 7条(廃棄の業の許可の基準)原子力規制委員会は,4条の2第1項の許可の申請があつた場合においては,その申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ,許可をしてはならない。 1,2号略 3号廃棄施設の位置,構造及び設備が原子力規制委員会規則で定める技術上の基準に適合するものであること。 4号略 第15 放射性同位元素等の規制に関する法律施行規則 1 14条の7(使用施設の基準)1項放射線障害防止法6条1号の規定による使用施設の位置,構造及び設備の技術上の基準は,次のとおりとする。 ア 1,2号略イ 3号使用施設には,次の線量をそのそれぞれについて原子力規制委員会が定める線量限度以下とするために必要な遮蔽壁その他の遮蔽物を設けること。 イ略ロ工場又は事業所の境界(工場又は事業所の境界に隣接する区域に人がみだりに立ち入らないような措置を講じた場合には,工場又は事業所及び当該区域から成る区域の境界)及び工場又は事業所内の人が居住する 区域における線量2~6項略 2 14条の11(廃棄施設の基準)1項放射線障害防止法6条3号及び7条3号の規定による廃棄施設の位置,構 造及び設備の技術上の基準(廃棄物埋設地に係るものを除く。)は,次のとお りとする。 ア 1~3号略イ 4号密封されていない放射性同位元素等の使用若しくは詰替えをする場合又は び設備の技術上の基準(廃棄物埋設地に係るものを除く。)は,次のとお りとする。 ア 1~3号略イ 4号密封されていない放射性同位元素等の使用若しくは詰替えをする場合又は放射線発生装置を使用する場合(当該放射線発生装置の使用をする室に おいて空気中の当該放射線発生装置から発生した放射線により生じた放射線を放出する同位元素の濃度が原子力規制委員会が定める濃度限度を超えるおそれがある場合に限る。)には,次に定めるところにより,排気設備を設けること。ただし,排気設備を設けることが,著しく使用の目的を妨げ,若しくは作業の性質上困難である場合において,気体状の放射性同 位元素を発生し,又は放射性同位元素によって空気を汚染するおそれのないときには,この限りでない。 イ,ロ略ハ排気設備は,次のいずれかに該当するものであること。 a ⑴排気口における排気中の放射性同位元素の濃度を原子力規制委員会が定める濃度限度以下とする能力を有すること。 b ⑵排気監視設備を設けて排気中の放射性同位元素の濃度を監視する ことにより,工場若しくは事業所又は廃棄事業所(以下「事業所等」という。)の境界(事業所等の境界に隣接する区域に人がみだりに立ち入らないような措置を講じた場合には,事業所等及び当該区域から成る区域の境界。以下この号及び次号並びに19条1項2号及び5号において同じ。)の外の空気中の放射性同位元素の濃度を原子力 規制委員会が定める濃度限度以下とする能力を有すること。 c ⑶⑴又は⑵の能力を有する排気設備を設けることが著しく困難な場合にあっては,排気設備が事業所等の境界の外における線量を原子力規制委員会が定める線量限度以下とする能力を有することについて, c ⑶⑴又は⑵の能力を有する排気設備を設けることが著しく困難な場合にあっては,排気設備が事業所等の境界の外における線量を原子力規制委員会が定める線量限度以下とする能力を有することについて,原子力規制委員会の承認を受けていること。 ニ,ホ略ウ 5号液体状の放射性同位元素等を浄化し,又は排水する場合には,次に定めるところにより,排水設備を設けること。 イ a ⑴排水口における排液中の放射性同位元素の濃度を原子力規制委員会が定める濃度限度以下とする能力を有すること。 b ⑵排水監視設備を設けて排水中の放射性同位元素の濃度を監視するこ とにより,事業所等の境界における排水中の放射性同位元素の濃度を原子力規制委員会が定める濃度限度以下とする能力を有すること。 c ⑶⑴又は⑵の能力を有する排水設備を設けることが著しく困難な場合にあっては,排水設備が事業所等の境界の外における線量を原子力規 制委員会が定める線量限度以下とする能力を有することについて,原子力規制委員会の承認を受けていること。 ロ,ハ略エ 6~10号略2,3項略 第16 放射線を放出する同位元素の数量等(平成12年科学技術庁告示第5号。 以下「数量等告示」という。) 1 10条(遮蔽物に係る線量限度)1項略2項 放射性同位元素等の規制に関する法律施行規則14条の7第1項3号に規定する同号ロに掲げる線量に係る線量限度については,次のとおりとする。 ア 1号実効線量が3月間につき250マイクロシーベルト(次号に該当する場合を除く。) イ 2号病院若しくは診療所(介護保険法(平成9年法律第123号)8条28項の介護老人保健施設を除く。)の病室 量が3月間につき250マイクロシーベルト(次号に該当する場合を除く。) イ 2号病院若しくは診療所(介護保険法(平成9年法律第123号)8条28項の介護老人保健施設を除く。)の病室又は同条29項の介護医療院の療養室における場合にあっては,実効線量が3月間につき1・3ミリシーベルト 2 14条(排気又は排水に係る放射性同位元素の濃度限度等)1項略2項放射性同位元素等の規制に関する法律施行規則14条の11第1項4号ハ⑶及び5号イ⑶に規定する線量限度は,実効線量が1年間につき1ミリシー ベルトとする。 3,4項略 第17 電気事業法(平成24年法律第47号による改正前のもの) 1 39条(事業用電気工作物の維持) 1項 事業用電気工作物を設置する者は,事業用電気工作物を経済産業省令で定める技術基準に適合するように維持しなければならない。 2項略 2 40条(技術基準適合命令)経済産業大臣は,事業用電気工作物が前条1項の経済産業省令で定める技術 基準に適合していないと認めるときは,事業用電気工作物を設置する者に対し,その技術基準に適合するように事業用電気工作物を修理し,改造し,若しくは移転し,若しくはその使用を一時停止すべきことを命じ,又はその使用を制限することができる。 第18 原子力災害対策特別措置法 1 1条(目的)この法律は,原子力災害の特殊性にかんがみ,原子力災害の予防に関する原子力事業者の義務等,原子力緊急事態宣言の発出及び原子力災害対策本部の設置等並びに緊急事態応急対策の実施その他原子力災害に関する事項について特 別の措置を定めることにより,炉規法,災害対策基本法(昭和36年法律第223号)その他 の発出及び原子力災害対策本部の設置等並びに緊急事態応急対策の実施その他原子力災害に関する事項について特 別の措置を定めることにより,炉規法,災害対策基本法(昭和36年法律第223号)その他原子力災害の防止に関する法律と相まって,原子力災害に対する対策の強化を図り,もって原子力災害から国民の生命,身体及び財産を保護することを目的とする。 2 2条(定義) この法律において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。 1号原子力災害原子力緊急事態により国民の生命,身体又は財産に生ずる被害をいう。 2号 原子力緊急事態原子力事業者の原子炉の運転等(原子力損害の賠償に関する法律(昭和36年法律第147号)2条1項に規定する原子炉の運転等をいう。以下同じ。)により放射性物質又は放射線が異常な水準で当該原子力事業者の原子力事業所外(原子力事業所の外における放射性物質の運搬(以下「事業所外運搬」という。)の場合にあっては,当該運搬に使用する容器外) へ放出された事態をいう。 3~12号略 3 6条の21項原子力規制委員会は,災害対策基本法第2条第8号に規定する防災基本計 画に適合して,原子力事業者,指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長,地方公共団体,指定公共機関及び指定地方公共機関その他の者による原子力災害予防対策,緊急事態応急対策及び原子力災害事後対策の円滑な実施を確保するための指針を定めなければならない。 2,3項略 4 15条(原子力緊急事態宣言等)1項原子力規制委員会は,次のいずれかに該当する場合において,原子力緊急事態が発生したと認めるときは,直ちに,内閣総理大臣に対し,その状況に関する必要な情報の 15条(原子力緊急事態宣言等)1項原子力規制委員会は,次のいずれかに該当する場合において,原子力緊急事態が発生したと認めるときは,直ちに,内閣総理大臣に対し,その状況に関する必要な情報の報告を行うとともに,次項の規定による公示及び3項の 規定による指示の案を提出しなければならない。 ア 1号10条1項前段の規定により内閣総理大臣及び原子力規制委員会が受けた通報に係る検出された放射線量又は政令で定める放射線測定設備及び測定方法により検出された放射線量が,異常な水準の放射線量の基準とし て政令で定めるもの以上である場合 イ 2号前号に掲げるもののほか,原子力緊急事態の発生を示す事象として政令で定めるものが生じた場合2項内閣総理大臣は,前項の規定による報告及び提出があったときは,直ちに, 原子力緊急事態が発生した旨及び次に掲げる事項の公示(以下「原子力緊急事態宣言」という。)をするものとする。(1~3号略)3項内閣総理大臣は,1項の規定による報告及び提出があったときは,直ちに,前項1号に掲げる区域を管轄する市町村長及び都道府県知事に対し,28条 2項の規定により読み替えて適用される災害対策基本法60条1項及び6項の規定による避難のための立退き又は屋内への退避の指示を行うべきことその他の緊急事態応急対策に関する事項を指示するものとする。 4項略 第19 災害対策基本法 1 1条(目的)この法律は,国土並びに国民の生命,身体及び財産を災害から保護するため,防災に関し,基本理念を定め,国,地方公共団体及びその他の公共機関を通じて必要な体制を確立し,責任の所在を明確にするとともに,防災計画の作成, 災害予防,災害応急対策,災害復旧及び防災に関す 防災に関し,基本理念を定め,国,地方公共団体及びその他の公共機関を通じて必要な体制を確立し,責任の所在を明確にするとともに,防災計画の作成, 災害予防,災害応急対策,災害復旧及び防災に関する財政金融措置その他必要な災害対策の基本を定めることにより,総合的かつ計画的な防災行政の整備及び推進を図り,もって社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的とする。 2 3条(国の責務)1項 国は,前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり,国土並びに 国民の生命,身体及び財産を災害から保護する使命を有することに鑑み,組織及び機能の全てを挙げて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する。 3 4条(都道府県の責務)1項都道府県は,基本理念にのっとり,当該都道府県の地域並びに当該都道府県の住民の生命,身体及び財産を災害から保護するため,関係機関及び他の地方 公共団体の協力を得て,当該都道府県の地域に係る防災に関する計画を作成し,及び法令に基づきこれを実施するとともに,その区域内の市町村及び指定地方公共機関が処理する防災に関する事務又は業務の実施を助け,かつ,その総合調整を行う責務を有する。 4 5条(市町村の責務)1項 市町村は,基本理念にのっとり,基礎的な地方公共団体として,当該市町村の地域並びに当該市町村の住民の生命,身体及び財産を災害から保護するため,関係機関及び他の地方公共団体の協力を得て,当該市町村の地域に係る防災に関する計画を作成し,及び法令に基づきこれを実施する責務を有する。 以上 以上
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