平成23(あ)469 覚せい剤取締法違反,関税法違反被告事件

裁判年月日・裁判所
平成23年10月26日 最高裁判所第二小法廷 決定 棄却 福岡高等裁判所 平成22(う)403
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判決文本文1,131 文字)

- 1 - 主文 本件上告を棄却する。 当審における未決勾留日数中130日を第1審判決の懲役刑に算入する。 理由 弁護人小森榮の上告趣意は,単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論は,1,2審の訴訟手続には告発が訴訟条件とされている関税法違反の罪について告発の存在に関する証拠を取り調べなかった違法がある旨主張するので,職権で判断する。 1 記録によれば,1,2審における審理の経過等は以下のとおりである。 被告人は,覚せい剤を外国から本邦に持ち込んだ上,税関の旅具検査場を通過しようとした行為について,当初,覚せい剤取締法違反の罪(営利目的輸入)で起訴され,その後,関税法違反の罪(輸入してはならない貨物の輸入未遂)の訴因が追加されて審理され,両訴因について有罪とする第1審判決が言い渡された。被告人は,これを不服として控訴を申し立てたが,控訴を棄却する旨の原判決が言い渡された。この間,1,2審では,上記関税法違反の罪について,告発の存在に関する証拠は提出されなかった。 2 本件関税法違反の罪は,同法140条所定の告発をまって論ずべきものとされているから,訴訟条件である告発の存在を確認しないまま審理,判決した1,2審の訴訟手続にはその調査を怠った法令違反があるといわざるを得ない。 3 しかしながら,記録によれば,原判決後,本件関税法違反の事件を告発した- 2 -告発書の謄本を含む関係証拠が検察官から原審に提出され,被告人の上告申立てを受けて原審から当審に送付された記録中には,これら関係証拠がつづられており,上記謄本の写しは,当審から弁護人に送付された。 訴訟条件である告発の存在については 原審に提出され,被告人の上告申立てを受けて原審から当審に送付された記録中には,これら関係証拠がつづられており,上記謄本の写しは,当審から弁護人に送付された。 訴訟条件である告発の存在については,当審において,証拠調手続によることなく,適宜の方法で認定することができるものと解されるところ,以上のような事情の下においては,記録中の上記謄本により,上記訴因の追加に先立って,本件関税法違反の罪について同法140条所定の告発があったことを認めることができる。 そうすると,1,2審が告発について調査を怠ったという上記の法令違反は,結局,判決に影響を及ぼすべきものとはいえないことに帰する。論旨は理由がない。 よって,刑訴法414条,386条1項3号,181条1項ただし書,刑法21条により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官古田佑紀裁判官竹内行夫裁判官須藤正彦裁判官千葉勝美)

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