- 1 -主文 被告は,Aに対し,320万4000円及びこれに対する平成16年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める請求をせよ。 原告らのその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,これを20分し,その1を原告らの負担とし,その余を被告の負担とする。 事実及び理由 第1請求被告は,Aに対し,320万9000円及びこれに対する平成16年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める請求をせよ。 第2事案の概要 本件は,茨木市の住民である原告らが,茨木市長の職にあったAが市長として茨木市の建設部長を務めた後に定年退職した同市のもと職員に対し平成15年4月1日から平成16年3月31日までの期間同市の非常勤の嘱託員を報酬月額26万9000円で委嘱したことが嘱託制度の濫用であって違法であり,同市は上記職員に対して支給した報酬相当額の損害を被ったなどと主張して,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,同市の市長である被告に対し,不法行為に基づく損害賠償として,Aに対し320万9000円及びこれに対する不法行為の後である平成16年4月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求をすることを求めた事案である(その趣旨からして,地方自治法242条の2第1項4号にいう「当該職員」に損害賠償の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関に対して求める請求であると解される。)。 法令等の定め(1)地方自治法203条1項は,普通地方公共団体は,その議会の議員,委員- 2 -会の委員,非常勤の監査委員その他の委員,自治紛争処理委員,審査会,審議会及び調査会等の委員その他の構成員,専門委員,投票管理者,開票管理者,選挙長,投票立会人,開票立会人及び選挙立会人その他普通地方公共 員,非常勤の監査委員その他の委員,自治紛争処理委員,審査会,審議会及び調査会等の委員その他の構成員,専門委員,投票管理者,開票管理者,選挙長,投票立会人,開票立会人及び選挙立会人その他普通地方公共団体の非常勤の職員(短時間勤務職員を除く。)に対し,報酬を支給しなければならない旨規定し,同条2項は,同条1項の職員の中議会の議員以外の者に対する報酬は,その勤務日数に応じてこれを支給するが,ただし,条例で特別の定めをした場合は,この限りでない旨規定し,同条3項は,同条1項の者は,職務を行うため要する費用の弁償を受けることができる旨規定し,同条4項は,普通地方公共団体は,条例で,その議会の議員に対し,期末手当を支給することができる旨規定し,同条5項は,報酬,費用弁償及び期末手当の額並びにその支給方法は,条例でこれを定めなければならない旨規定している。 (2)地方自治法204条の2は,普通地方公共団体は,いかなる給与その他の給付も法律又はこれに基づく条例に基づかずには,これを同法203条1項の職員及び同法204条1項の職員に支給することができない旨規定している。 (3)茨木市報酬及び費用弁償条例(昭和40年茨木市条例第17号。平成15年茨木市条例第36号による改正前のもの。以下「本件条例」という。)は,1条において,この条例は,地方自治法203条に掲げる者(他の条例に特別の定めのある者を除く。以下「非常勤の職員」という。)に対し支給する報酬,費用弁償及び期末手当の額並びにその支給方法について定めるものとする旨規定し,2条において,同条例1条の報酬は,別表のとおりとするが,ただし,市の常勤の職員が非常勤の職を兼ねる場合においては,その兼ねる職に対する報酬は支給しない旨規定し,別表において,「非常勤の嘱託員」の区分に対応する報酬額として「月額27 別表のとおりとするが,ただし,市の常勤の職員が非常勤の職を兼ねる場合においては,その兼ねる職に対する報酬は支給しない旨規定し,別表において,「非常勤の嘱託員」の区分に対応する報酬額として「月額27万円又は日額1万2700円の範囲内で任命権者の定める月額又は日額」と規定し,9条において,この条例の施行について必要な事項は,市長が別に定める旨規定している。なお,同条例別表の内容は,本判決添付別紙1のとおりである。 (4)本件条例9条の規定に基づき,専門委員及び非常勤の嘱託員の範囲及び報- 3 -酬の支給額を定めることを目的として,専門委員及び非常勤の嘱託員の範囲及び報酬に関する支給内規(昭和40年茨木市訓令第9号。平成16年茨木市訓令第10号による改正前のもの。以下「支給内規」という。)が定められており,非常勤の嘱託員の範囲及び報酬額は,支給内規2条2項により別表第2において定められている。なお,平成15年茨木市訓令第3号による支給内規の一部改正により,別表第2に「建設事業指導業務」の区分及びこれに対応する報酬限度額「月額26万9000円」等が加えられた(乙22)。支給内規別表第2(ただし,平成15年茨木市訓令第3号による改正前のもの。)の内容は,本判決添付別紙2のとおりであり,平成15年茨木市訓令第3号「専門委員及び非常勤の嘱託員の範囲及び報酬に関する支給内規の一部を改正する内規」の内容は,本判決添付別紙3のとおりである。 (5)茨木市においては,茨木市非常勤嘱託員設置要綱(以下「本件要綱」という。)が制定されており,同要綱には,次のとおりの規定が置かれている。 ア任用(本件要綱第2)嘱託員は,次に掲げる要件を具備している者のうちから任命権者が委嘱する。 (ア)任用に係る職の職務に必要な知識及び技能を有していること。 (イ)健康 の規定が置かれている。 ア任用(本件要綱第2)嘱託員は,次に掲げる要件を具備している者のうちから任命権者が委嘱する。 (ア)任用に係る職の職務に必要な知識及び技能を有していること。 (イ)健康で,かつ,意欲を持って職務を遂行すると認められること。 イ委嘱期間等(本件要綱第3)(ア)嘱託員の委嘱期間は,1年以内とする。 (イ)前項の規定にかかわらず,嘱託員は,再委嘱することができる。 (ウ)委嘱時において年齢が60歳(常勤の元茨木市職員及び元大阪府職員については63歳)に達している者については委嘱することはできない。ただし,任命権者が特に必要と認める職又は補充することが極めて困難であると認められる職の嘱託員については,この限りでない。 ウ報酬及び費用弁償(本件要綱第12)(ア)嘱託員の報酬及び費用弁償は,本件条例及び支給内規の規定により支給す- 4 -る。 (イ)次の各号に掲げる条件に該当する嘱託員(勤務時間が常勤の茨木市職員の4分の3とされている嘱託員に限る。)には,当該各号に定める額の報酬を通勤手当相当分として支給する。ただし,前項に規定する報酬は,通勤手当相当分を含むものとする。 (ウ)通勤のため交通機関を利用してその運賃を負担することを常例とし,交通機関を利用しないで徒歩により通勤するものとした場合の通勤距離が片道4キロメートル以上である職員月額4000円(エ)通勤のため交通機関を利用してその運賃を負担することを常例とし,交通機関を利用しないで徒歩により通勤するものとした場合の通勤距離が片道2キロメートル以上4キロメートル未満である職員月額2000円(オ)通勤のため自転車その他交通の用具(以下「自転車等」という。)を使用することを常例とし,自転車等を使用しないで徒歩により通勤するものとした場合の通勤距 メートル未満である職員月額2000円(オ)通勤のため自転車その他交通の用具(以下「自転車等」という。)を使用することを常例とし,自転車等を使用しないで徒歩により通勤するものとした場合の通勤距離が片道2キロメートル以上の嘱託員月額2000円 前提事実(1)原告らは茨木市の住民である。 Aは,平成16年4月18日にBが茨木市長に就任するまで茨木市長の職にあった者である。 (2)Cは,もと茨木市の職員(一般職)であり,退職当時建設部長の職にあったが,平成15年3月31日付けで定年退職した。 (3)Aは,当時の茨木市長として,Cに対し,平成15年4月1日付けで,同日から平成16年3月31日までの期間茨木市非常勤の嘱託員(建設事業指導業務)を報酬月額26万7000円で委嘱(以下「本件委嘱」という。)した(乙13)。 (4)本件委嘱に先立ち,Aは,当時の茨木市長として,平成15年3月27日,建設事業指導業務の職を新設しその報酬限度額を月額26万9000円と定めるこ- 5 -と等を目的として,市長決裁により前記2(4)のとおり支給内規を一部改正し,同年4月1日から施行した(乙22)。同改正に係る茨木市の決裁文書「専門委員及び非常勤の嘱託員の範囲及び報酬に関する支給内規の一部改正について」によれば,建設事業指導業務の職の設置理由については,次の①から④の業務に対応するため専門職員を雇用する必要が生じたためとされている(甲1)。 ①建設部全般に関する渉外業務②建設リサイクル法や法定外公共物(里道,水路等)の譲渡に伴う明示等,地方分権に伴う法律等による窓口業務等に対する補助事業③マンション管理等住宅相談業務,及び「マンションの建て替えの円滑化等に関する法律」(現在国会審議中)に基づく市町村が行わなければならない業務④その他上記 法律等による窓口業務等に対する補助事業③マンション管理等住宅相談業務,及び「マンションの建て替えの円滑化等に関する法律」(現在国会審議中)に基づく市町村が行わなければならない業務④その他上記に付随する業務(5)茨木市は,Cに対し,平成15年4月1日から平成16年3月31日までの間,月額26万7000円の報酬を支給し,合計320万4000円を支払った(以下,Cに対して支給した上記報酬を「本件報酬」という。)。 (6)原告らは,平成16年2月23日,茨木市監査委員に対し,Cに対する嘱託員の委嘱は必要性がなく職権濫用で無効であり,また,給与も通常の嘱託員よりも不当に特別高額に設定されており,十分な説明がないままCを採用し高額の給与を支給するのは不正かつ不公平で違法であるなどとして,「委託関係の解消と平成16年4月1日以降は再委託をしない等A市長に命ずる勧告を求めると同時に,既に支給された給与月額26万9000円合計295万9000円は茨木市に生じた損害であるので茨木市に返還するようA市長に命じる勧告」を求める旨の住民監査請求(以下「本件監査請求」という。)をした(甲1)。 (7)茨木市監査委員は,平成16年4月21日付けで,本件監査請求について,請求人の主張には理由がなく措置する必要はないものと判断する旨の監査の結果の通知をした(甲2)。 争点及び争点に関する当事者の主張- 6 -本件の主たる争点は,①本件報酬の支給は地方自治法の定める給与条例主義に違反し違法か,②本件委嘱の適否,③本件報酬に係る報酬額の適否,④茨木市の損害,であり,各争点に関する当事者の主張は,次のとおりである(なお,本件監査請求に係る茨木市職員措置請求書(甲1)においては,前記のとおり,Cとの委託関係の解消と平成16年4月1日以降は再委託をしない ,であり,各争点に関する当事者の主張は,次のとおりである(なお,本件監査請求に係る茨木市職員措置請求書(甲1)においては,前記のとおり,Cとの委託関係の解消と平成16年4月1日以降は再委託をしない等を被告に命ずる勧告を求めるとともに既に支給された給与月額26万9000円合計295万9000円を茨木市に返還するよう被告に命じる勧告を求める旨記載されており,その記載の趣旨からすれば,原告らは,本件監査請求において,Cに対する平成15年3月分の報酬の支給についても監査請求の対象としていることが明らかであるから,当該部分についても,住民監査請求の前置に欠けるところはない。)。 (1)本件報酬の支給は地方自治法の定める給与条例主義に違反し違法か(争点①)。 (原告らの主張)本件条例2条,別表は,非常勤の嘱託員の職の内容や報酬の支給条件について何ら具体的に規定しておらず,これを包括的に任命権者の定めるところにゆだねているところ,仮にこのような委任が一定限度で許されるとしても,支給の対象となる非常勤の嘱託員の職の内容及び報酬の支給条件に関する具体的な基準が条例自体から読み取れなければならないから,本件条例2条,別表は,地方自治法203条2項ただし書,5項に違反する。のみならず,後記のとおり,本件委嘱期間中のCの勤務実態をみれば,Cは,実質的にみて,地方公務員法3条2項にいう一般職の地方公務員というべきであったから,Cに対する本件報酬の支給は,地方公務員法24条6項,25条1項にも違反する。 (被告の主張)本件条例2条,別表は,非常勤の嘱託員に対し支給する報酬について,月額27万円又は日額1万2700円の範囲内で任命権者の定める月額又は日額と定めているところ,茨木市においては,建設事業指導業務という嘱託職を新設して本件委嘱- 7 -を行うに当た 報酬について,月額27万円又は日額1万2700円の範囲内で任命権者の定める月額又は日額と定めているところ,茨木市においては,建設事業指導業務という嘱託職を新設して本件委嘱- 7 -を行うに当たり,支給内規を一部改正し,上記嘱託職の報酬限度額について本件条例に定める範囲内の月額26万9000円と定めたものである。 地方自治法203条5項等で定められている給与条例主義は,地方公共団体の給料,手当等の額及び支給方法を条例をもって規定するものとして,予算措置のみによってこれを定めるいわゆるお手盛り防止の目的を持つものであって,納税者である住民の代表者である地方公共団体の議会の慎重な条例の制定を通じてこれをコントロールするために設けられたものである。ところで,非常勤の嘱託員の職務内容,勤務態様は多種多様であり,かつ,毎年必要となる非常勤の嘱託員の職種等に変動がある。こうした非常勤の嘱託員に対する報酬額等を逐一条例において定めることは大変煩雑であり,実務上,採り得ない。更にいえば,突発的に発生する事態に対応するために新たに必要となる非常勤の職務や報酬額を変更する必要が生じる職務も存在し,そうした職務を委嘱する際,条例の改正を待たないと報酬額等が決まらないというのでは,職務執行の時期を失することとなり,不適当である。本件条例2条及び別表における「月額27万円又は日額1万2700円の範囲内で任命権者の定める月額又は日額」との定めは,こうした非常勤の嘱託員の職務内容,勤務態様の実態を踏まえて,非常勤の嘱託員に対する報酬額については,条例においては支給の上限を定めることとし,個々の職種に対する報酬についてはその上限の範囲内で別途定めることとすることで,給与条例主義の趣旨を満たすこととしたものである。したがって,本件条例2条,別表の非常勤の嘱託員の報酬に 定めることとし,個々の職種に対する報酬についてはその上限の範囲内で別途定めることとすることで,給与条例主義の趣旨を満たすこととしたものである。したがって,本件条例2条,別表の非常勤の嘱託員の報酬に関する上記定めは,地方自治法203条5項に違反するものではない。 また,地方自治法203条2項ただし書は,議員以外の非常勤の職員には様々な職務内容,勤務態様のものがあり,個々の職種に応じて適切な報酬を定めることを可能とする趣旨の規定である。すなわち,非常勤の職員の中には,常勤の職員とほとんど変わらない勤務実態となっているものもあり,その報酬も日額ではなく月額あるいは年額をもって支給することがより適切であるものも少なくなく,こうした実態にかんがみ,非常勤の職員に対する報酬も勤務日数によらない定めをすること- 8 -を可能としたものである。そして,茨木市においても,支給内規別表第2記載のとおり,非常勤の嘱託員には多種多様のものがあり(常時100種を超えている。),職種によっては報酬を日額で定めるよりも月額で定める方が実態に合致し,適切であるものも相当数存在することから,こうした多種多様の非常勤の嘱託員に対してそれぞれ適切な報酬額を定めることを可能とすべく,本件条例2条,別表において「月額27万円又は日額1万2700円の範囲内で任命権者の定める月額又は日額」という定め方をしたものであるから,当該規定は,正に地方自治法203条2項ただし書の趣旨に合致するものであり,同項ただし書に反するものではない。 (2)本件委嘱の適否(原告らの主張)ア地方公務員法3条3項3号にいう「臨時又は非常勤の顧問,参与,調査員,嘱託員及びこれらの者に準ずる者の職」は,本来恒久的でない職又は常時勤務することを必要としない職であり,かつ,職業的公務員の職でない点において, 条3項3号にいう「臨時又は非常勤の顧問,参与,調査員,嘱託員及びこれらの者に準ずる者の職」は,本来恒久的でない職又は常時勤務することを必要としない職であり,かつ,職業的公務員の職でない点において,一般職に属する職と異なるものと解されるとされている(昭和35年7月28日行政実例)。そして,本来の一般職とは異なり,特別職の一つとして,同法の適用対象外となり,その結果,任用を始め,欠格条項,分限,懲戒,その前提となる守秘義務その他の服務規律等に関する同法の定めは適用されない。 嘱託員の職は,学校医や幼稚園医,学校薬剤師や幼稚園薬剤師,委員会委員,公民館の館長,指導員などといった臨時,非常勤の職と一部の特別な専門に関わる職が通常である。また,その報酬も,支給内規によれば,老人福祉センター所長が月額18万2000円,川端康成文学館長が18万2000円とされるなど,そのほとんどが月額数万円ないし十数万円台であって,本件委嘱に係る報酬を除くと,特別技術管理職の一部に係る月額26万5000円が最高である。したがって,そもそも,「建設事業指導業務」も含めた市の一般職の職員が行う一般業務について嘱託員を設ける必要は認められない。しかるに,本件委嘱は,定年退職した市の建設部長という管理職について,「建設事業指導業務」という職を創出した上,これを- 9 -嘱託員とし,本件条例の定める最高限度額よりわずか1000円低い月額報酬を支給することとしたものであって,専ら個人の処遇を意図したものということができる。また,実際にも,Cは,本件委嘱期間中,出勤簿を用意されて,連日勤務しており,部長職時代と同様に,建設部全体に関する渉外業務を担当し,一般職員と同様に年次有給休暇も与えられていたのであって,Cは,実質的にみて,地方公務員法3条2項にいう一般職の地方公務員とい 勤務しており,部長職時代と同様に,建設部全体に関する渉外業務を担当し,一般職員と同様に年次有給休暇も与えられていたのであって,Cは,実質的にみて,地方公務員法3条2項にいう一般職の地方公務員というべきであった。上記のとおり,特別職の一つである非常勤の嘱託員については同法の定める服務規律等に関する規定が適用されないことにもかんがみると,このような職は,非常勤の嘱託員の職としてはあり得ないものである。したがって,Cに対する本件委嘱は,嘱託制度の濫用であって,違法である。 イ地方公務員である一般職の職員については,地方公務員法28条の2以下において,定年制が定められ,同法28条の3及び28条の4において,定年による退職の特例や定年退職者の再任用制度が規定されている。これらの規定によれば,定年制の例外の設定は,「その職員の職務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるとき」,あるいは,公務の能率的運営を確保するため特に必要があると認めるときに,条例の定めるところにより定年による退職の特例や定年退職者の再任用を行う手続によって初めて可能となる。ところで,前記のとおり,Cは,実質的にみて,地方公務員法3条2項にいう一般職の地方公務員というべきであった。そうであるとすれば,Cについては,上記のような定年制の例外の設定のために必要な手続がとられなければならないところ,茨木市長は,これらの必要な手続をとらず,嘱託の方法をとることにより,定年制の例外を定める上記各規定及び茨木市職員の再任用に関する条例(平成13年茨木市条例第7号)を脱法的に回避した。なお,茨木市においては,定年退職者の再任用は,平成16年4月に一部給食関係,学校用務員等で採用されているが,部長職のよう 市職員の再任用に関する条例(平成13年茨木市条例第7号)を脱法的に回避した。なお,茨木市においては,定年退職者の再任用は,平成16年4月に一部給食関係,学校用務員等で採用されているが,部長職のような職にあった者がその職を引き続き行うような再任用は,他の自治体でも一般に考えられないところである。 - 10 -ウ公務員の任用は任命権者の完全な自由裁量ではなく,その必要性,相当性が要求される。特に,本件は,常勤の一般職職員で対応すべきところを非常勤の嘱託員で行うものであるから,特別の必要性がなければならない。しかも,委嘱の相手方は,Cという特定の個人であるから,本件委嘱時に茨木市長が同市の事務を行うに当たって嘱託が必要であったというだけではなく,Cという特定の個人が必要であったという特別の事情が必要である。 ところで,本件委嘱は,Cがその退職時に建設部長という管理職の地位にあり,かつ,公害調停が係属していたということにあるとされる。しかしながら,被告の主張する公害調停に係る具体的事務はCの部下職員が中心となって行っており,また,弁護士団が市側の代理人に就任して市を代表して対応していたのであるから,Cが退職すれば事情が分からなくなるというような特別の事情はない。そもそも,Cの定年退職は以前から判明していることであり,その事務は次長や課長を始め新部長に引き継がれるのが当然である。 また,上記公害調停においても,Cが不可欠な役割を果たしていたものでないことは,定年退職の前後で変わるところはない。むしろ,Cは,退職前においては,建設部長とはいえ茨木市の窓口担当者の一人にすぎず,質疑に当たってすぐに回答することができることもなく,いったん持ち帰って検討しその上で返答するという対応が専らであった。退職後の平成15年4月以降は,Cは,新部長のDとともに 担当者の一人にすぎず,質疑に当たってすぐに回答することができることもなく,いったん持ち帰って検討しその上で返答するという対応が専らであった。退職後の平成15年4月以降は,Cは,新部長のDとともに出席するなどし,席上でも前向きに市を代表して意見を述べることはなく,また,公害調停委員会の側からCの出席や発言を特に求めたこともなかった。もとより,平成16年2月に成立した公害調停も,Cがいなければ成立しなかったものではなく,むしろ,D新部長が出席するようになって成立し,同人はその功績でその後助役に就任したといわれており,具体的には,双方の代理人や調停員の事務とあっせんで調停が成立するに至ったと住民側は理解しているのである。なお,上記公害調停によっても必ずしも地域住民との問題は解決されておらず,茨木市は調停条項を守らないという住民の申立てもある。 - 11 -以上のとおりであるから,被告の主張する公害調停は本件委嘱の理由とはならず,本件委嘱について客観的な必要性は存しない。 また,前記アのとおり,地方公務員法の定める上司の職務上の命令に忠実に従うこと(32条),信用失墜行為の禁止(33条),秘密を守る義務(34条),職務専念義務(35条),政治的行為の制限(36条),争議行為の禁止(37条),営利企業等の従事制限(38条)その他同法が一般職の職員について定める規制が嘱託員であるCにどのように適用されるのか法律,条例上も明確ではない上,元部長である嘱託員とその部下であった次長,課長らとの地位関係も明確ではない。本件委嘱に係る業務が行政上重要な業務であるというのであれば,嘱託員であるCの身分,責任関係が市内部でも対住民の関係においても明確でない限り,弊害が生ずるのであって,これらについて明確でないまま,嘱託員であるCが被告の主張する公害調停におい いうのであれば,嘱託員であるCの身分,責任関係が市内部でも対住民の関係においても明確でない限り,弊害が生ずるのであって,これらについて明確でないまま,嘱託員であるCが被告の主張する公害調停において市の担当者として意見を述べることがその権限上できるのか否かも問題であり,この点からしても,Cに上記公害調停への対応を委嘱することは,嘱託制度の濫用であって,違法である。 (被告の主張)ア地方公務員の任用は任命権者の自由裁量にゆだねられており,中でも,特別職の任用は,地方公務員法3章2節に定める任用の根本基準の適用もなく,これについての任命権者の裁量は極めて広範なものというべきである。また,地方公共団体における特別職の設置も,当該地方公共団体の長の裁量にゆだねられている。しかるところ,茨木市においては,その裁量により,前記のとおり本件要綱を制定して,非常勤の嘱託員の任用基準を定めている。 イ前提事実(4)のとおり,本件委嘱は,決裁文書「専門委員及び非常勤の嘱託員の範囲及び報酬に関する支給内規の一部改正について」に設置理由として記載されている①ないし④の業務に対応する必要が生じたことを理由として行われたものである。 このうち,①の「建設部全般に関する渉外業務」は,主に都市計画道路「α線」- 12 -のうちいまだ開通していないβ緑地から中央環状線までの間の工事(以下「本件道路工事」という。)の着工に当たり提起された公害調停(以下「本件公害調停」という。)について,在任中に引き続き担当として対応してもらうことを念頭に置いたものである。 「α線」は当該地域の東西幹線道路として重要性を有するものであるが,総延長1920mのうち335mを占める部分が開通しないため,東西幹線道路としての役割が果たせない状態となっており,仮に同線が全線開通しないとなれば 域の東西幹線道路として重要性を有するものであるが,総延長1920mのうち335mを占める部分が開通しないため,東西幹線道路としての役割が果たせない状態となっており,仮に同線が全線開通しないとなれば,同線のうち整備の終わった区間への投資効果が希薄化してしまうことから,茨木市としては,早期に同線を開通させる必要があると考えており,平成3年着工,同年開通を予定して,平成2年以来,地域住民に対する説明会等の協議を行ってきた。しかしながら,地域住民は,当該地域が既に府道大阪中央環状線及び近畿自動車道の自動車走行による多大な騒音,振動,大気汚染等の被害を受けている状況の中,更に「α線」が全線開通すれば,自動車の通行量が更に増大し,環境悪化を招くとして,同線の全線開通に向けての本件道路工事の着工に応じず,協議は不調に終わり,平成14年1月25日,地域住民により本件公害調停が申し立てられるに至った(なお,最終的に申立人は合計2990名に上った。)。Cは,任用以来一貫して土木建築分野の職務に携わり,昭和59年4月には土木部建築課長,平成4年7月には土木部次長兼建築課長,平成12年1月には土木部長に任命され,平成13年4月の機構改革により土木部が建設部に改称された後は,建設部長に任命され,以来,「α線」の工事着工に関する近隣住民との協議について,本件公害調停をも含めて,建設部長としてこれを担当し,取り仕切ってきた。本件公害調停において話し合いを進めていくに当たっては,当該地域の公害状況が主たる問題となり,地域住民との従前の折衝経過や,公害を招いている主な原因である府道大阪中央環状線及び近畿自動車道の管理者である大阪府及び日本道路公団との過去の協議状況等をも踏まえて意見を述べていく必要があり,本件公害調停の場においても,これらの問題に関する経緯や事実関係 る府道大阪中央環状線及び近畿自動車道の管理者である大阪府及び日本道路公団との過去の協議状況等をも踏まえて意見を述べていく必要があり,本件公害調停の場においても,これらの問題に関する経緯や事実関係を述べる場合には,代理人ではなく,そうした事情を熟知し- 13 -ていたC自身が詳細な説明をしていた。こうした中,いまだ本件公害調停が終結をみない平成15年3月31日にCが定年退職となり,以後同人の関与を得られなくなれば,本件公害調停における話し合いを進めていく上で大きな支障を来すことが予想されたことから,茨木市は,同人を非常勤の嘱託員として委嘱し,本件公害調停への対応を依頼したのである。すなわち,茨木市は,平成14年3月に業者と工事請負契約を締結していたものの,本件公害調停において住民や調停委員からされた工事着工延期の要請を尊重して工事を延期してきたが,上記契約及び予算措置の関係上,平成15年度中には工事を完成させる必要があったことから,平成15年1月に工事に着工することを決定し,それを本件公害調停の中で調停委員及び申立人に告知したところ,これをめぐって調停が紛糾し,Cが退職する時点において本件公害調停は進行上重要な局面を迎えていたことから,このような時期に従前市の責任者としてこの問題を取り仕切ってきたCの関与が得られないとすれば,市として有効な対応ができないこととなり,引き続きCに関与してもらい,その知識,経験を提供してもらって,従前の対応を行うことが,市として必要不可欠と判断されたのである。そして,Cは,委嘱期間中,本件公害調停に全回出席し,必要に応じて意見を述べ,市議会に対する報告等において市議会に市の担当者として出席し,大型車通行規制に関しては部長代行としてE中央卸売市場やF株式会社流通センター部との間で交渉を行い,その他,従前の 要に応じて意見を述べ,市議会に対する報告等において市議会に市の担当者として出席し,大型車通行規制に関しては部長代行としてE中央卸売市場やF株式会社流通センター部との間で交渉を行い,その他,従前の経緯について整理した文書を作成するなど,非常勤の嘱託員としての職務を果たした。 なお,設置理由を本件公害調停への対応のためとせずに「建設部全般に関する渉外業務」と一般的な記載にしたのは,Cに退職後引き続き市の道路行政に関与してもらうことになれば,「α線」に関する上記紛争以外にも,Cの在任中に生じた紛争に関して相手方と折衝等する上で有益であることは明らかであったことから,そうした業務も行ってもらう趣旨であり,現に,Cは,本件公害調停以外にも,市内のγ地域の水路の暗渠化についての地域住民との折衝業務や,平成15年度に茨木市長が近畿国道協議会及び大阪国道連絡会の会長となったことに伴う国との折衝等- 14 -関連業務をも担当してもらった。 以上に加えて,Cの長年の道路行政従事経験により培われた同人の知識,経験を市の道路行政に引き続き活かしてもらうべく,②ないし④の「建設リサイクル法や法定外公共物(里道,水路等)の譲渡に伴う明示等,地方分権に伴う法律等による窓口業務等に対する補助事業」,「マンション管理等住宅相談業務,及び「マンションの建て替えの円滑化等に関する法律」(現在国会審議中)に基づく市町村が行わなければならない業務」及び「その他上記に付随する業務」も設置理由とし,現にこれらの事項についても同人の助言,指導を得た。 Cは,委嘱期間中,その業務を遂行するため,週4日勤務という所定の日数を上回る日数を勤務し,1日当たりの出勤時間も所定の時間を上回る状況であった。 ウ以上のとおり,Cに対して本件委嘱を行った最大の理由は,「α線」全線開通に関して提起さ め,週4日勤務という所定の日数を上回る日数を勤務し,1日当たりの出勤時間も所定の時間を上回る状況であった。 ウ以上のとおり,Cに対して本件委嘱を行った最大の理由は,「α線」全線開通に関して提起された本件公害調停への対応依頼であるところ,本件公害調停への対応は,茨木市の都市計画に従って施工,開通を計画され,本件公害調停提起時までに合計約38億円もの税金が投入された路線の全線開通に向けた工事を円滑に行う上で大きな影響を及ぼすものであり,本件公害調停の推移いかんでは市に対し多大の負担を負わせるおそれもあり,当該路線の全面開通が地域住民に与える利便の大きさからみて,市の道路行政の基本にかかわる重大事項であって,十全を期す必要があったことからすれば,平成12年1月以来3年余にわたって建設部長として「α線」工事着工をめぐる問題の解決に携わってきたCにその退職後も引き続き本件公害調停に関与してもらうことが,正にそうした重大性を有する本件公害調停へ十全の対応を期すために大変有益な方策であったのであり,それゆえ,本件委嘱がされたものである(なお,後任のD部長は,部長に就任する以前は,本件公害調停に関わっていなかった。)。そして,本件委嘱の期間満了前の平成16年2月17日に本件公害調停が成立し,同線の全線開通にも一応の目処が付いたことから,茨木市は,Cの再委嘱を行わなかったものである。このように,建設事業指導業務という嘱託職の新設は,本件公害調停への対処の茨木市政に与える影響の重大性にか- 15 -んがみ,Cに本件公害調停対応業務を委嘱することが市にとって大変有益であると判断されたことからされたものであって,合理的理由があり,本件委嘱は,Cがその退職後も本件公害調停への対応のためそれまでの知識や経験を用いるべく,期間を限って同人に本件公害調停への対応 有益であると判断されたことからされたものであって,合理的理由があり,本件委嘱は,Cがその退職後も本件公害調停への対応のためそれまでの知識や経験を用いるべく,期間を限って同人に本件公害調停への対応を依頼する趣旨のものであるから,その必要性,合理的が存する上,本件要綱の定める非常勤の嘱託員の任用基準を充たすものでもあるから,任命権者である茨木市長の裁量の範囲内の行為として,何ら違法と評価されるものでないことは明らかである。 エ原告らは,本件委嘱時に市長が茨木市の事務を行うに当たって嘱託員が必要であったというだけでなく,Cという特別の個人が必要という特別の事情が必要であるなどと主張する。 しかしながら,市の事務を遂行するためにどのような人的体制をとるか,すなわち,正規職員のみで対応するのか,それ以外に再任用職員,臨時職員,嘱託員を用いるか,あるいは,外部に業務委託をすることにより対応するかについては,当該事務の内容,難易度,特殊性,継続期間,再任用等について定められている要件の具備の有無及び人件費等の諸要素を総合判断して決するものであり,正に任命権者である市長の裁量事項であって,原告らが主張するような特別の必要性がない限り嘱託員を任命することができないというものではない。 また,原告らは,茨木市長は,地方公務員法28条の3,28条の4の定める必要な手続をとらず,嘱託の方法をとることにより,定年制の例外を定める上記各規定及び茨木市職員の再任用に関する条例を脱法的に回避したなどと主張する。 しかしながら,上記のとおり,市のある業務を遂行するためにどのような人的体制をとるかは,当該業務の内容,難易度,特殊性,継続期間及び人件費等を総合判断して決するものであり,Cについては,主に本件公害調停への対応という特定の事務を担当してもらうことを想定していた な人的体制をとるかは,当該業務の内容,難易度,特殊性,継続期間及び人件費等を総合判断して決するものであり,Cについては,主に本件公害調停への対応という特定の事務を担当してもらうことを想定していたことから,一般職としての採用となる再任用よりも嘱託が適当であると判断したものであるから,原告らの上記主張は理由がない。 - 16 -なお,定年制は,画一的に退職年齢を定め,それによって計画的な人事を行うとするものであり,その例外を安易に認めることは,この定年制の趣旨を損なうことになることから,茨木市においては,職員の定年等に関する条例(昭和59年茨木市条例第12号)4条において,次の要件,すなわち,①当該職員が高度の知識,技能又は経験を必要とするものであるため,その職員の退職により公務の運営に著しい支障が生ずるとき,②当該職務に係る勤務環境その他の勤務条件に特殊性があるため,その職員の退職による欠員を容易に補充することができないとき,③当該職務を担当する者の退職による交替がその業務の遂行上障害となる事情があるとき,に該当する場合にのみ定年延長制度を適用することができることとしている。 しかるところ,本件委嘱は,平成12年1月以来3年余にわたって茨木市建設部長として本件道路工事の着工をめぐる問題の解決に携わってきたCに退職後も引き続き本件公害調停に関与してもらうためにされたものであり,そうした目的を果たす上では,Cに常勤してもらうまでの必要はなく,また,建設部の事務を統括管理する建設部長の職を引き続き担任してもらうことまでの必要もなかったことから,Cについて定年延長制度を適用しなかったものである。 また,原告らは,嘱託員であるCの身分,責任関係が市内部でも対住民の関係においても明確でないまま,Cが本件公害調停において市の担当者として意見を述べ について定年延長制度を適用しなかったものである。 また,原告らは,嘱託員であるCの身分,責任関係が市内部でも対住民の関係においても明確でないまま,Cが本件公害調停において市の担当者として意見を述べることがその権限上できるのか否かも問題であるなどと主張する。 しかしながら,本件委嘱は,Cが本件公害調停に係る問題に長年携わってきたことにより培われた知識,経験を引き続き提供してもらうこと,具体的には,本件公害調停の期日に出席し,申立人らの主張,意見を精査し,反論に必要な情報を市及び代理人に提供し,代理人を含めた市内部での検討の場で意見を述べてもらうことを目的として行われたものであり,Cに本件公害調停の期日において市を代表して意見を述べてもらうとか,市議会で議員の質問に市を代表して回答してもらうといった役割が課せられていたものではない。 (3)本件報酬に係る報酬額の適否- 17 -(原告らの主張)Cに対する報酬月額26万9000円は,本件委嘱に係る業務の内容からしてそれ自体高額である上,茨木市より高額の退職金を得たCに対し定年退職後更に高額の報酬で処遇するような水準のものであり,茨木市長の恣意的な情実によりCのために「建設事業指導業務」などという嘱託職を創出して高額の報酬を取り決めたものであるから,嘱託制度の濫用であって,違法である。 (被告の主張)前記のとおり,本件条例2条,別表は,非常勤の嘱託員に対し支給する報酬について,月額27万円又は日額1万2700円の範囲内で任命権者の定める月額又は日額と定めているところ,茨木市においては,建設事業指導業務という嘱託職を新設して本件委嘱を行うに当たり,支給内規を一部改正し,上記嘱託職の報酬限度額について同条例に定める範囲内の月額26万9000円と定めた。 ところで,非常勤の嘱託員には,通勤手当相 業務という嘱託職を新設して本件委嘱を行うに当たり,支給内規を一部改正し,上記嘱託職の報酬限度額について同条例に定める範囲内の月額26万9000円と定めた。 ところで,非常勤の嘱託員には,通勤手当相当分についても,支給内規に定める報酬額の範囲内で,かつ,本件要綱第12の2項各号に定める額を支給することとされていることから,上記嘱託職を含め,非常勤の嘱託員の報酬額を定める上では,通勤手当相当分として最大月額4000円を支給することがあり得ることを想定して,本給相当分(月額26万5000円)に上記月額4000円を付加した月額26万9000円を報酬限度額として定めている。 そして,Cについては,通勤手当相当分が同人の通勤距離に照らし月額2000円とされたことから,本給分月額26万5000円にこれを付加した合計26万7000円が同人に対する報酬支給額と定められたものである。 前記のとおり,本件委嘱によりCに依頼された本件公害調停への対応の巧拙は,茨木市の都市計画に従って施工,開通を計画され,本件公害調停提起時までに合計約38億円もの税金が投入された路線の全線開通に向けた工事を円滑に行う上で大きな影響を及ぼすものであることや,その全面開通が地域住民に与える利便の大きさからみて,本件公害調停への対処は,市政上,重大事項であって,その対応の任- 18 -は極めて大きな責任を伴うものであり,本件公害調停の推移いかんでは市に対し多大の負担を負わせるおそれもあった。Cに委嘱されたこのような任務の重大さやその業務の密度にかんがみれば,Cに対する支給額として決定された月額26万7000円の報酬額が不当に高額であって市長の裁量権を逸脱したものということができないことは明らかである。また,手続的にも,Cに対する上記報酬額は,本件条例2条,別表で定められている限度額 額26万7000円の報酬額が不当に高額であって市長の裁量権を逸脱したものということができないことは明らかである。また,手続的にも,Cに対する上記報酬額は,本件条例2条,別表で定められている限度額27万円という範囲内において任命権者である市長が委嘱業務の内容等に応じて決定したものであるから,何ら違法とされるものではない。 (4)茨木市の損害(原告らの主張)本件嘱託に係る職が違法で無効であれば,嘱託員により適法有効な業務がされたということはできない。のみならず,本件公害調停は,Cが単独で出席して成立させたものではなく,Cはその他大勢の職員の一人にすぎず,日々具体的な他の一般職員の代わりの仕事を行い,そのために当該他の職員が市の他の有益な業務を行うことができたという具体的根拠もない。したがって,Cに対する本件報酬の支給額の全額が茨木市の損害というべきである。 (被告の主張)原告の主張は争う。 第3争点に対する判断 本件報酬の支給は地方自治法の定める給与条例主義に違反し違法か(争点①)。 (1)非常勤職員の給与等に関する法令の規定とその沿革ア非常勤の地方公務員の給与等に関する法令の規定前記第2の2のとおり,地方自治法は,普通地方公共団体は,その議会の議員,委員会の委員,非常勤の監査委員その他の委員,自治紛争処理委員,審査会,審議会及び調査会等の委員その他の構成員,専門委員,投票管理者,開票管理者,選挙- 19 -長,投票立会人,開票立会人及び選挙立会人その他普通地方公共団体の非常勤の職員(短時間勤務職員を除く。)については,これらの者に対し報酬を支給しなければならないとし(203条1項),同条1項の職員の中議会の議員以外の者に対する報酬は,その勤務日数に応じてこれを支給するが,ただし,条例で特別の定めをした場合は,この限り 者に対し報酬を支給しなければならないとし(203条1項),同条1項の職員の中議会の議員以外の者に対する報酬は,その勤務日数に応じてこれを支給するが,ただし,条例で特別の定めをした場合は,この限りでないとし(同条2項),また,同条1項の者は,職務を行うため要する費用の弁償を受けることができるものとし(同条3項),さらに,議会の議員については,普通地方公共団体は,条例で,期末手当を支給することができるものとし(同条4項),報酬,費用弁償及び期末手当の額並びにその支給方法は,条例でこれを定めなければならない旨規定している(同条5項)。もっとも,地方公営企業等の労働関係に関する法律附則5項により,地方公務員法57条に規定する単純な労務に雇用される一般職に属する地方公務員であって,地方公営企業又は特定地方独立行政法人に勤務する一般職に属する地方公務員以外のものについては,特別の法律が制定施行されるまでの間は,地方公営企業法38条の規定が準用され,これらの者の給与は給料及び手当とされて(同条1項),給与の種類及び基準は条例で定めるものとされている(同条4項)。 他方,地方自治法は,普通地方公共団体の長及びその補助機関たる常勤の職員,委員会の常勤の委員,常勤の監査委員,議会の事務局長又は書記長,書記その他の常勤の職員,委員会の事務局長若しくは書記長,委員の事務局長又は委員会若しくは委員の事務を補助する書記その他の常勤の職員その他普通地方公共団体の常勤の職員並びに短時間勤務職員については,これらの者に対し給料及び旅費を支給しなければならないとし(204条1項),また,普通地方公共団体は,条例で,これらの職員に対し,扶養手当,調整手当,住居手当,初任給調整手当,通勤手当,単身赴任手当,特殊勤務手当,特地勤務手当(これに準ずる手当を含む。),へき地手当 ),また,普通地方公共団体は,条例で,これらの職員に対し,扶養手当,調整手当,住居手当,初任給調整手当,通勤手当,単身赴任手当,特殊勤務手当,特地勤務手当(これに準ずる手当を含む。),へき地手当(これに準ずる手当を含む。),時間外勤務手当,宿日直手当,管理職員特別勤務手当,夜間勤務手当,休日勤務手当,管理職手当,期末手当,勤勉手当,期末特別手当,寒冷地手当,特定任期付職員業績手当,任期付研究員業績手当,義務教- 20 -育等教員特別手当,定時制通信教育手当,産業教育手当,農林漁業普及指導手当,災害派遣手当(武力攻撃災害等派遣手当を含む。)又は退職手当を支給することができるとし(同条2項),給料,手当及び旅費の額並びにその支給方法は,条例でこれを定めなければならない旨規定している(同条3項)。 そして,地方自治法204条の2は,普通地方公共団体は,いかなる給与その他の給付も法律又はこれに基づく条例に基づかずには,これを同法203条1項の職員及び同法204条1項の職員に支給することができない旨規定している。 以上のとおり,地方自治法は,普通地方公共団体の非常勤の職員と常勤の職員とで給与等の支給について異なった制度を設けているが,同法には常勤の職員及び非常勤の職員についての一般的な定義規定は置かれていない。 なお,地方公務員法は,地方公務員の職を一般職と特別職とに分けるものとし(3条1項),一般職は特別職に属する職以外の一切の職とするものとし(同条2項),特別職は,同条3項1号ないし6号に掲げる職とするものとしており(同項),同項において,特別職として,就任について公選又は地方公共団体の議会の選挙,議決若しくは同意によることを必要とする職(同項1号),地方開発事業団の理事長,理事及び監事の職(同項1号の2),地方公営企業の管理者及び企業団の て,就任について公選又は地方公共団体の議会の選挙,議決若しくは同意によることを必要とする職(同項1号),地方開発事業団の理事長,理事及び監事の職(同項1号の2),地方公営企業の管理者及び企業団の企業長の職(同項1号の3),法令又は条例,地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程により設けられた委員及び委員会(審議会その他これに準ずるものを含む。)の構成員の職で臨時又は非常勤のもの(同項2号),都道府県労働委員会の委員の職で常勤のもの(同項2号の2),臨時又は非常勤の顧問,参与,調査員,嘱託員及びこれらの者に準ずる者の職(同項3号),地方公共団体の長,議会の議長その他地方公共団体の機関の長の秘書の職で条例で指定するもの(同項4号),非常勤の消防団員及び水防団員の職(同項5号),特定地方独立行政法人の役員(同項6号),が規定されている。その上で,同法は,この法律の規定は,一般職に属するすべての地方公務員(同法において「職員」というものとされている。)に適用するものとし,法律に特別の定めがある場合を除く外,特別職- 21 -に属する地方公務員には適用しないものとしている(4条1項,2項)。そして,同法は,一般職に属する地方公務員(同法にいう職員)の給与等の根本基準として,職員の給与は,その職務と責任に応ずるものでなければならないとし(24条1項),職員の給与は,生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならないとし(同条3項),職員の給与,勤務時間その他の勤務条件は,条例で定めるものとしている(同条6項)。また,同法は,一般職に属する非常勤職員の存在を前提としており(22条1項,25条3項5号等),25条3項5号は,給与に関する条例には,非常勤職員の職及び生活 例で定めるものとしている(同条6項)。また,同法は,一般職に属する非常勤職員の存在を前提としており(22条1項,25条3項5号等),25条3項5号は,給与に関する条例には,非常勤職員の職及び生活に必要な施設の全部又は一部を公給する職員の職その他勤務条件の特別な職があるときは,これらについて行う給与の調整に関する事項を規定するものとする旨規定している。 イ非常勤の国家公務員に関する法令の規定国家公務員法も,国家公務員の職を一般職と特別職とに分けるものとし(2条1項),一般職は特別職に属する職以外の国家公務員の一切の職を包含するものとし(同条2項),特別職は同条3項1号ないし18号に掲げる職員の職とするものとしているが(同項本文),同項においては,特別職として,内閣総理大臣(同項1号),国務大臣(同項2号),人事官及び検査官(同項3号),内閣法制局長官(同項4号)等,就任について選挙によることを必要とし,あるいは国会の両院又は一院の議決又は同意によることを必要とする職員(同項9号),宮内庁長官,侍従長,東宮大夫,式部官長及び侍従次長等(同項10号),特命全権大使,特命全権公使,特派大使,政府代表,全権委員等(同項11号),裁判官及びその他の裁判所職員(同項13号),国会職員(同項14号),国会議員の秘書(同項15号),防衛庁の職員(同項16号)等が掲げられているにとどまり,これらに該当しない非常勤の国家公務員は広く一般職に属するものとしている。そして,同法は,この法律の規定は,一般職に属するすべての職に適用するものとし,人事院は,ある職が,国家公務員の職に属するかどうか及び2条に規定する一般職に属するか特- 22 -別職に属するかを決定する権限を有するものとし(同条4項),この法律の規定は,この法律の改正法律により別段の定めがされな 家公務員の職に属するかどうか及び2条に規定する一般職に属するか特- 22 -別職に属するかを決定する権限を有するものとし(同条4項),この法律の規定は,この法律の改正法律により別段の定めがされない限り,特別職に属する職には適用しないものとし(同条5項),政府は,一般職又は特別職以外の勤務者を置いてその勤務に対し俸給,給料その他の給与を支払ってはならない旨規定している(同条6項)。また,同法は,一般職に属する国家公務員(同法にいう職員)の給与について,職員の給与は,その官職の職務と責任に応じるものとし(62条1項),職員の給与は,法律により定められる給与準則に基づいてされ,これに基づかずにはいかなる金銭又は有価物も支給されることはできないとし(63条1項),給与準則には俸給表が規定されなければならないとしている(64条1項)。 国家公務員法2条に規定する一般職に属する職員の給与に関する事項について,一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号。以下「給与法」という。)が定められている。給与法は,いかなる給与も,法律又は人事院規則に基づかずに職員に対して支払い,又は支給してはならないとし(3条2項),公務について生じた実費の弁償は,給与には含まれないとし(同条3項),6条1項及び別表において俸給表の種類及び各俸給表を定め,6条の規定による職務の分類は,給与に関しては,国家公務員の職階制に関する法律の施行にかかわらず,国家公務員法63条に規定する給与準則が制定実施されるまで,その効力を持つものとし(1条3項),6条1項の俸給表は,22条及び附則3項に規定する職員以外のすべての職員に適用するものとしている(6条2項)。そして,同法22条は,非常勤の職員の給与について,委員,顧問若しくは参与の職にある者又は人事院の指定するこれらに準 び附則3項に規定する職員以外のすべての職員に適用するものとしている(6条2項)。そして,同法22条は,非常勤の職員の給与について,委員,顧問若しくは参与の職にある者又は人事院の指定するこれらに準ずる職にある者で,常勤を要しない職員(再任用短時間勤務職員を除く。 以下同じ。)については,勤務1日につき,3万5300円(その額により難い特別の事情があるものとして人事院規則で定める場合にあっては,10万円)を超えない範囲内において,各庁の長が人事院の承認を得て手当を支給することができるものとし(1項),同項に定める職員以外の常勤を要しない職員については,各庁の長は,常勤の職員の給与との権衡を考慮し,予算の範囲内で,給与を支給するも- 23 -のとし(2項),1項及び2項の常勤を要しない職員には,他の法律に別段の定めがない限り,これらの項に定める給与を除く外,他のいかなる給与も支給しない旨規定している(3項)。 ウ非常勤の地方公務員及び国家公務員に対する給与に関する法令の規定の変遷(ア)国家公務員法の施行前においては,委員,顧問,参与等の職にある者に対しては,給与ではなく謝金としての委員手当等が支払われており,旧官吏制度の下においては,官吏以外の雇傭人は,機関の長との間の私契約に基づくものとされ,その給与は機関の長の裁量により適宜決定されるものとされていた。昭和23年5月,政府職員の新給與実施に関する法律(昭和23年法律第46号。以下「新給与実施法」という。)が公布,施行されたが,制定当時の新給与実施法には非常勤の職員についての定めが置かれなかった。 その後,国家公務員法(昭和22年法律第120号)が制定されて昭和23年7月1日から施行され,委員,顧問,参与等を含めて非常勤職員も一般職の国家公務員であることが明確化されたことに伴い(前記イ た。 その後,国家公務員法(昭和22年法律第120号)が制定されて昭和23年7月1日から施行され,委員,顧問,参与等を含めて非常勤職員も一般職の国家公務員であることが明確化されたことに伴い(前記イ参照),昭和23年法律第265号による改正後の新給与実施法28条において,委員,顧問若しくは参与の職にある者又は人事院の指定するこれらに準ずる職にある者で常勤を要しない職員については,勤務1日につき1000円を超えない範囲内において,各庁の長が新給与実施本部長の承認を得てその給与を支給することができる旨及びこれらの職員には他のいかなる給与も支給しない旨規定された。なお,同条の規定は,昭和24年法律第280号による改正により,「新給與実施本部長の承認」が「人事院の承認」に改められた。 他方,昭和23年法律第265号による改正後の新給与実施法29条は,政府に対する不正手段による支拂請求の防止等に関する法律(昭和22年法律第171号)2条2項の規定による一般職種別賃金の適用を受ける職員については,新給与実施法の規定にかかわらず,政府に対する不正手段による支拂請求の防止等に関する法律の規定に基づいて給与を支給する旨規定していたが,新給与実施法28条又- 24 -は29条の適用を受ける職員以外の非常勤の職員については,人事院規則9-1(昭和24年1月1日適用)2項において,1時間又は1日を単位として勤務する者で,常勤を要しない職員の給与については,新給与実施法28条に規定する者(人事院規則9-1第1項に規定する職員を含む。)及び新給与実施法29条に規定する者を除いて,なお従前の例によることができる旨規定され,実態としては従前と同様に各庁の長の裁量により決定する給与を支給するものとされていた。 昭和25年4月,一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法 を除いて,なお従前の例によることができる旨規定され,実態としては従前と同様に各庁の長の裁量により決定する給与を支給するものとされていた。 昭和25年4月,一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号。 給与法)が制定され,同年4月1日から適用されたが,制定当時の給与法22条は,委員,顧問,参与等に関する新給与実施法28条の規定を,制定当時の給与法23条は,一般職種別賃金の適用を受ける職員に関する新給与実施法29条の規定をそのまま引き継ぎ,これら以外の非常勤の職員の給与についての規定は置かれなかった。しかし,これらの非常勤の職員の給与についても,統一的に給与法に一元的に規定されるべきであるとの考慮から,昭和25年法律第299号による給与法の改正により,同改正後の給与法22条2項において,現行法と同様に,「前項に定める職員以外の常勤を要しない職員については,各庁の長は,常勤の職員の給與との権衡を考慮し,予算の範囲内で,給與を支給する。」旨規定され,一般職種別賃金の適用を受ける職員に関する同改正前の給与法23条の規定は削除された。 給与法22条が非常勤職員の給与について委員,顧問,参与等とこれら以外の非常勤の職員とに分けて規定した趣旨については,非常勤の職員には委員,顧問,参与等のように本来の職業を有しながらその傍ら公務に参画する形の職員と,臨時的又はパートタイム的にせよ実質的に国に雇用される形のその他の非常勤の職員との2種類があり,その性格の違いに応じて,給与上の取扱いも自ずから異なったものとして考えていくのが適当であるとの考慮に出たものであるとされ,同条1項の規定の趣旨については,非常勤の委員,顧問,参与等の場合は,いわばその学識,経験等を拝借するようなものであるというその職務及び勤務の特殊性に照らすと,それに対する報酬は,給与と るとされ,同条1項の規定の趣旨については,非常勤の委員,顧問,参与等の場合は,いわばその学識,経験等を拝借するようなものであるというその職務及び勤務の特殊性に照らすと,それに対する報酬は,給与というよりは本質的にはむしろ謝金に近い性格のものと考- 25 -えるのが適当であり,その勤務時間を基礎に評価するというよりは,委員会等への出席1回(すなわち勤務1日)につきいくらという形での手当で処遇していくことが最も適当であると考えられることに基づくものであるとされ,同条2項の規定の趣旨については,同条1項所定の職員以外の非常勤の職員の場合は,国と実質的な雇用関係にあるために,これらの職員の給与については,その提供する勤務にふさわしい処遇とすることが当然に要請され,殊に常勤の職員の処遇との均衡という面での配慮等が望まれるが,これらの非常勤の職員の雇用及び勤務の実態は区々であり,実際問題としてあらかじめ法律等により具体的な基準までを詳細に定め難い事情にあるので,法の規定としては,「常勤の職員の給与との権衡を考慮し」という基本的基準を示すのみにとどめ,具体的な給与の決定は各庁の長の裁量にゆだねることとしたものであるとされている。 (イ)昭和22年4月,地方自治法(昭和22年法律第67号)が制定されたが,制定当時の地方自治法は,「給与」の章(第8章)の下に,203条において,普通地方公共団体は,その議会の議員,選挙管理委員,議会の議員の中から選任された監査委員,専門委員,投票管理者,開票管理者,選挙長,投票立会人,開票立会人及び選挙立会人に対し,報酬を支給しなければならない(同条1項),前項の者は,職務を行うため要する費用の弁償を受けることができる(同条2項),報酬及び費用弁償の額並びにその支給方法は,条例でこれを定めなければならない(同条3項 給しなければならない(同条1項),前項の者は,職務を行うため要する費用の弁償を受けることができる(同条2項),報酬及び費用弁償の額並びにその支給方法は,条例でこれを定めなければならない(同条3項),と規定し,また,204条において,普通地方公共団体は,法律の定めるところにより,普通地方公共団体の長及びその補助機関たる職員(専門委員を除く。),学識経験を有する者の中から選任された監査委員,議会の書記長及び書記,選挙管理委員会の書記並びに監査委員の事務を補助する書記に対し,給料及び旅費を支給しなければならない(同条1項),給料及び旅費の額並びにその支給方法は,条例でこれを定めなければならない(同条2項),と規定していた。なお,制定当時の地方自治法204条1項の規定は,昭和22年法律第169号による改正により,「法律の定めるところにより」が「別に普通地方公共團体の職員に関して規定- 26 -する法律の定めるところにより」と改められ,また,昭和25年法律第143号による改正により,給付対象者に「議会の事務局長」が追加された。 昭和25年12月,地方公務員法(昭和25年法律第261号)が制定された。 制定当時の地方公務員法は,地方公務員の職を一般職と特別職とに分け(3条1項),一般職は特別職に属する職以外の一切の職とするものとし(同条2項),この法律の規定は一般職に属するすべての地方公務員に適用し,法律に特別の定めがある場合を除くほか,特別職に属する地方公務員には適用しないものとし(4条),特別職に属する職として,「就任について公選又は地方公共団体の議会の選挙,議決若しくは同意によることを必要とする職」(3条3項1号),「法令又は條例,地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程により設けられた委員及び委員会(審議会その他これに準ず の選挙,議決若しくは同意によることを必要とする職」(3条3項1号),「法令又は條例,地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程により設けられた委員及び委員会(審議会その他これに準ずるものを含む。)の構成員の職で臨時又は非常勤のもの」(同2号),「臨時又は非常勤の顧問,参與及びこれらの者に準ずる者の職」(同項3号),「地方公共団体の長,議会の議長その他地方公共団体の機関の長の秘書の職で條例で指定するもの」(同項4号),「非常勤の消防団員及び水防団員の職」(同項5号),「失業対策事業及び公共事業のため公共職業安定所から失業者として紹介を受けて地方公共団体が雇用した者で,技術者,技能者,監督者及び行政事務を担当する者以外のものの職」(同項6号),が掲げられた。 そして,同法24条6項において,職員(一般職に属するすべての地方公務員をいう。同法4条1項)の給与,勤務時間その他の勤務条件は,条例で定める旨規定されるとともに,同法25条1項において,職員の給与は,同法24条6項の規定による給与に関する条例に基づいて支給されなければならず,また,これに基づかずには,いかなる金銭又は有価物も職員に支給してはならない旨規定され,さらに,同法25条2項において,給与に関する条例には,給料表,時間外勤務,夜間勤務及び休日勤務に対する給与に関する事項,特別地域勤務,危険作業その他特殊な勤務に対する手当及び扶養親族を有する職員に対する手当を支給する場合においては,これらに関する事項,非常勤職員の職及び生活に必要な施設の全部又は一部を公給- 27 -する職員の職その他勤務条件の特別な職があるときは,これらについて行う給与の調整に関する事項,その他給与の支給方法及び支給条件に関する事項等を規定するものとされた。 地方公務員法の制定を受けて,地方公務 職員の職その他勤務条件の特別な職があるときは,これらについて行う給与の調整に関する事項,その他給与の支給方法及び支給条件に関する事項等を規定するものとされた。 地方公務員法の制定を受けて,地方公務員法の制定に伴う関係法律の整理に関する法律(昭和26年法律第203号)により,地方自治法204条の1項の規定が,「普通地方公共団体は,普通地方公共団体の長及びその補助機関たる職員(非常勤の者を除く。),学識経験を有する者の中から選任された監査委員,議会の事務局長,書記長,書記その他の職員,選挙管理委員会の書記その他の職員並びに監査委員の事務を補助する書記その他の職員に対し,給料及び旅費を支給しなければならない。」に改められ,「非常勤」の文言が初めて用いられた。 昭和27年法律第306号による地方自治法の一部改正により,地方自治法第8章の章名が「給与その他の給付」に改められるとともに,203条1項の規定が「普通地方公共団体は,その議会の議員,委員会の委員,非常勤の監査委員その他の委員,自治紛争処理委員,審査会,審議会及び調査会等の委員その他の構成員,専門委員,投票管理者,開票管理者,選挙長,投票立会人,開票立会人及び選挙立会人その他普通地方公共団体の非常勤の職員に対して,報酬を支給しなければならない。」に,また,204条1項の規定が,「普通地方公共団体は,普通地方公共団体の長及びその補助機関たる常勤の職員,委員会の常勤の委員,常勤の監査委員,議会の事務局長又は書記長,書記その他の常勤の職員,委員会の事務局長又は委員会若しくは委員の事務を補助する書記その他の常勤の職員その他普通地方公共団体の常勤の職員に対し,給料及び旅費を支給しなければならない。」にそれぞれ改められた。 昭和31年法律第147号による地方自治法の一部改正(以下「昭和31年改正」と の常勤の職員その他普通地方公共団体の常勤の職員に対し,給料及び旅費を支給しなければならない。」にそれぞれ改められた。 昭和31年法律第147号による地方自治法の一部改正(以下「昭和31年改正」という。)により,地方自治法203条第2項として,「前項の職員の中議会の議員以外の者に対する報酬は,その勤務日数に応じてこれを支給する。但し,条例で特別の定をした場合は,この限りでない。」旨の規定が,同条4項として,- 28 -「普通地方公共団体は,条例で,その議会の議員に対し,期末手当を支給することができる。」旨の規定がそれぞれ加えられるなど,同条2項以下の規定が現行法の2項ないし5項のとおりに改められ(上記ア参照),また,204条2項として,「普通地方公共団体は,条例で,前項の職員に対し,扶養手当,勤務地手当,特殊勤務手当,時間外勤務手当,宿日直手当,夜間勤務手当,休日勤務手当,管理職手当,期末手当,勤勉手当,寒冷地手当,石炭手当,薪炭手当又は退職手当を支給することができる。」旨の規定が追加され,同条3項の規定が現行法3項のとおりに改められ,204条の2として,「普通地方公共団体は,いかなる給与その他の給付も法律又はこれに基く条例に基かずには,これを第203条第1項の職員及び前条第1項の職員に支給することができない。」旨の規定が追加された(上記ア参照)。 (ウ)昭和31年改正の趣旨については,次のとおり説明されている。 地方公務員法の制定後,同法の適用を受ける一般職の職員については,同法24条6項及び25条1項の規定により条例で定めるものとされたが,これらの規定は特別職の職員については適用されず,特別職については昭和31年改正前の地方自治法203条の規定により報酬及び費用弁償は条例で定めることとされていたものの,条例に基づかない他の給与を ,これらの規定は特別職の職員については適用されず,特別職については昭和31年改正前の地方自治法203条の規定により報酬及び費用弁償は条例で定めることとされていたものの,条例に基づかない他の給与を支給することは違法とはいえないものとされていた。また,条例を制定して職員に給与を支給する場合は,いかなる種類の給与をどれだけどのような方法で支給しても,違法の問題は生じないものとされていたことから,地方公共団体ごとの給与体系は極めて区々となり,不明朗な給与の支給等が行われる例も決して少なくなかった。そこで,地方公共団体の職員に対する給与についても,国家公務員に対する給与の基本の体系と一致させる形で給与体系を整備し,給与の種類を法定し,ある程度の給与の統一性を保たせるとともに,国家公務員に準ずる給与を保障し,合わせて,給与はすべて法律又はこれに基づく条例にその根拠を置くことを要するものとして,その明朗化,公正化を図ったものである。 昭和31年改正による地方自治法203条の改正は,同法204条の2の新設と- 29 -相まって,普通地方公共団体の非常勤の職員に対する給与体系全体を整備したものであり,同法203条2項の規定は,国家公務員についても非常勤の職員に対する報酬はその勤務日数に応じて支給することとされているところ,常勤の職員に対する給料が勤務に対する反対給付であるのと同時に当該職員及びその家族の生計を支えるところの生活給たる意味を有するのとは異なり,非常勤の職員に対する報酬は,このような生活給的意味はなく純然たる勤務に対する反対給付としての性格のみを有するものであり,勤務の態様に応じて給与の態様も変わるべきものであるから,国家公務員の場合と同様に,非常勤の職員に対する報酬は,勤務量,具体的には勤務日数に応じて支給すべき性格のものである趣旨を明 有するものであり,勤務の態様に応じて給与の態様も変わるべきものであるから,国家公務員の場合と同様に,非常勤の職員に対する報酬は,勤務量,具体的には勤務日数に応じて支給すべき性格のものである趣旨を明瞭にし,これをもって非常勤の職員に対する報酬の支給の原則としたものであり,ただし,非常勤の職員のうちにも,勤務の実態がほとんど常勤の職員と異ならず,常勤の職員と同様に月額ないし年額をもって支給することが合理的であるものや,勤務日数の実態を把握することが困難であり,月額等による以外に支給方法がないものなど,特殊な場合も予想されるので,条例で特別の定めをすることによりその例外を設けることができるようにしたものである。 昭和31年改正による地方自治法204条の改正は,同法204条の2の新設と相まって,普通地方公共団体の常勤の職員に対する給与体系を整備したものであり,同条2項の規定は,常勤の職員に対して支給することができる手当の種類を法定することによりその支給根拠を規定したものである。 (エ)昭和54年8月31日自治給第31号各都道府県知事,各指定都市市長あて行政局公務員部長通知「違法な給与の支給等の是正について」には,「条例において単に給与の支給根拠のみを定め,具体的な額,支給要件等の基本的事項をすべて長又は規則に委任するようなことは給与条例主義の趣旨に反するものであり,その内容は条例に明確に定めること。」と記載されている。 (2)普通地方公共団体の非常勤の職員と給与条例主義(1)において説示した地方自治法203条,204条及び204条の2の各規定- 30 -並びに地方公務員法24条6項,25条の各規定の趣旨及びその沿革等にかんがみると,これらの規定が普通地方公共団体の職員の給与に関していわゆる給与条例主義を定めている趣旨は,普通地方公共団体の 0 -並びに地方公務員法24条6項,25条の各規定の趣旨及びその沿革等にかんがみると,これらの規定が普通地方公共団体の職員の給与に関していわゆる給与条例主義を定めている趣旨は,普通地方公共団体の職員に対して法定の種類の給与を権利として保障するとともに,給与の額及びその支給方法の決定を普通地方公共団体の住民の直接選挙により構成される議事機関である議会が制定する条例にゆだねることにより,これに対する民主的統制を図ったものであると解される。そして,このようないわゆる給与条例主義を定めた法令の規定の趣旨に加えて,普通地方公共団体の職員に対する給与に関する上記各法令の規定の文言及びその沿革にもかんがみると,これら法令の規定は,普通地方公共団体の職員に対する給与について,常勤の職員の場合であると非常勤の職員の場合であるとを問わず,その支給要件及び支給額を条例において具体的に規定することを予定しており,事柄の性質上その決定を普通地方公共団体の長又はその制定する規則にゆだねることを一切許容しない趣旨のものとまでいうことはできないものの,これを規則等の定めにゆだねる場合においても,少なくとも当該種類の給与の支給要件該当性及び支給額を決定するための具体的な基準が当該条例自体から読み取れる程度に条例においてこれを具体的に規定することを要するものと解すべきであり,条例において単に給与の支給根拠のみを定め,具体的な額,支給要件等の基本的事項をすべて普通地方公共団体の長又は規則に委任するようなことは,給与条例主義の趣旨に反し,許されないものというべきである(前記(エ)の昭和54年8月31日自治給第31号各都道府県知事,各指定都市市長あて行政局公務員部長通知「違法な給与の支給等の是正について」参照)。 もっとも,前記(1)イ及びウ(ア)において説示したとおり,国 の昭和54年8月31日自治給第31号各都道府県知事,各指定都市市長あて行政局公務員部長通知「違法な給与の支給等の是正について」参照)。 もっとも,前記(1)イ及びウ(ア)において説示したとおり,国家公務員の一般職(前記のとおり,同法にいう一般職は地方公務員法にいう一般職とは異なるものであって,国家公務員法にいう一般職の職は地方公務員法にいう一般職の職よりも相当広範囲に及んでいる。)に属する非常勤の職員に対する給与については,給与法22条において,そのうち委員,顧問若しくは参与の職にある者又は人事院の指定- 31 -するこれらに準ずる職にある者と,これら以外の非常勤の職員とで,その職務及び勤務の性格の違いに応じて異なった仕組みが採用されており,前者については,勤務1日につき法定額を超えない範囲内において各庁の長が人事院の承認を得て手当を支給することができるものとされ(同条1項),後者については,これらの非常勤の職員の雇用及び勤務の実態が区々であり,実際問題としてあらかじめ法律等により具体的な基準までを詳細に定め難い事情にあることにかんがみ,給与法においては「常勤の職員の給与との権衡を考慮し」という基本的基準のみが規定され,各庁の長が「常勤の職員の給与との権衡を考慮し」て予算の範囲内で給与を支給するものとされている(同条2項)。しかるところ,被告も主張するとおり,普通地方公共団体の非常勤の職員は,議会の議員その他の法定の一定範囲の者を除くと,給与法22条2項所定の常勤を要しない職員と同様に,その採用の形態,職務内容,勤務態様は多種多様で,性質上一律的な規律になじまないと考えられることに加えて,普通地方公共団体の非常勤の職員に関する地方公務員法及び地方自治法その他関係法令の規定からすれば(前記(1)ア参照),非常勤の嘱託員を含む普通地方公 一律的な規律になじまないと考えられることに加えて,普通地方公共団体の非常勤の職員に関する地方公務員法及び地方自治法その他関係法令の規定からすれば(前記(1)ア参照),非常勤の嘱託員を含む普通地方公共団体の非常勤の職員の制度は,一般職に属する常勤の職員を中核とする人的体制を補完するものとしてその時々の行政需要に柔軟に対処するための制度として位置付けられている面がうかがわれないではなく,これらの点において,普通地方公共団体の常勤の職員とは大きな差異が存在するところである。これらにかんがみると,地方自治法等の定める給与条例主義の解釈適用に当たっても,常勤の職員と非常勤の職員のこのような制度上,性質上の差異をしんしゃくせざるを得ず,このことは地方自治法等の予定するところであり,普通地方公共団体の非常勤の職員に対する給与については,給与法22条2項の規定の趣旨に準じて,条例において報酬等の額及び支給方法についての基本的基準のみを定め,その具体的な決定を当該普通地方公共団体の長又は規則に委任することも,地方自治法203条,204条の2の各規定の許容するところであり,本件条例2条,別表の定めのように,条例において報酬等の額の最高限度(上限)のみを定め,その範囲内で個々の非常勤の職員の- 32 -報酬等の具体的な額を決定することや,当該報酬をその勤務日数に応じて支給するものとするかそれとも月額ないし年額等をもって支給するかをも含めた報酬等の支給方法を決定することを普通地方公共団体の長又は規則にゆだねることも,普通地方公共団体の職員に対する給与の支給に対する民主的統制を図るという給与条例主義の趣旨を没却するものではなく,地方自治法の上記各規定に抵触するものではないと解することも考えられないではない。 しかしながら,前記ウにおいて説示した国家公務員及び 民主的統制を図るという給与条例主義の趣旨を没却するものではなく,地方自治法の上記各規定に抵触するものではないと解することも考えられないではない。 しかしながら,前記ウにおいて説示した国家公務員及び地方公務員の給与に関する法令の規定の沿革をみると,国家公務員の一般職に属する非常勤の職員に対する給与については,昭和25年法律第299号による改正後の給与法22条において,現行法と同様に,委員,顧問若しくは参与の職にある者又は人事院の指定するこれらに準ずる職にある者以外の常勤を要しない職員については,各庁の長は,常勤の職員の給与との権衡を考慮し,予算の範囲内で,給与を支給する旨規定されて,これらの非常勤の職員に対する給与の支給について,法においては基本的基準を示すのみにとどめ,具体的な給与の決定は予算の範囲内で各庁の長の裁量にゆだねる仕組みが採用されていたにもかかわらず,上記給与法の改正がされた後も,普通地方公共団体の非常勤の職員に対する給与について地方自治法及び地方公務員法において上記改正後の給与法の非常勤の職員に対する給与の規定に準じた規定は設けられず,昭和31年法律第147号による地方自治法の一部改正(昭和31年改正)においては,地方公共団体の職員に対する給与について,国家公務員に対する給与の基本の体系と一致させる形で給与体系を整備する趣旨で関係条項の改正及び新設が行われたものの,地方自治法203条1項所定の普通地方公共団体の非常勤の職員の給与についても同法204条1項所定の普通地方公共団体の常勤の職員の給与についても,「報酬,費用弁償及び期末手当の額並びにその支給方法は,条例でこれを定めなければならない。」(地方自治法203条5項),「給料,手当及び旅費の額並びにその支給方法は,条例でこれを定めなければならない。」(同法204条3項 手当の額並びにその支給方法は,条例でこれを定めなければならない。」(地方自治法203条5項),「給料,手当及び旅費の額並びにその支給方法は,条例でこれを定めなければならない。」(同法204条3項)と規定された上,「普通地方公共団体は,いかなる給与その他の給付も法- 33 -律又はこれに基く条例に基かずには,これを第203条第1項の職員及び前条第1項の職員に支給することができない。」(同法204条の2)と規定されて,上記改正後の給与法22条の規定とは異なり,少なくとも規定の文言上は非常勤の職員と常勤の職員とで異なった規定の仕方がされず,これがそのままの形で現行法に受け継がれている経過が明らかである。 以上のような関係規定の沿革にかんがみると,昭和31年改正においては,普通地方公共団体の非常勤の職員に対する給与の支給について,国家公務員の一般職に属する非常勤の職員に対する給与について給与法(ただし,昭和25年法律第299号による改正後のもの。)が採用した仕組みとは異なる立法政策が採られたものと理解せざるを得ないのであり,このような関係規定の沿革に加えて当該関係規定の文理に照らしても,普通地方公共団体の非常勤の職員に係る給与条例主義を定めた関係規定(地方自治法203条5項,204条の2等)について,給与法(ただし,昭和25年法律第299号による改正後のもの。)22条2項の規定の趣旨をしんしゃくした前記のような解釈をすることは困難というべきである。 のみならず,前記のとおり,給与条例主義を定めた地方自治法等の関係規定には,普通地方公共団体の職員に対する給与の支給に対する民主的統制を図るという趣旨に加えて,普通地方公共団体の職員に対して法定の種類の給与を権利として保障するという趣旨が含まれているところ,条例において報酬等の額の最高限度(上限) る給与の支給に対する民主的統制を図るという趣旨に加えて,普通地方公共団体の職員に対して法定の種類の給与を権利として保障するという趣旨が含まれているところ,条例において報酬等の額の最高限度(上限)のみを定め,その範囲内で個々の非常勤の職員の報酬等の具体的な額を決定することを普通地方公共団体の長又は規則にゆだねるなど,条例において報酬等の額等についての基本的基準のみを定め,その具体的な決定を広く当該普通地方公共団体の長の裁量的判断にゆだねることは,給与条例主義に含まれる上記趣旨にも抵触するものといわざるを得ない。 また,前記のとおり,地方自治法203条2項の規定は,非常勤の職員に対する報酬が生活給的意味はなく純然たる勤務に対する反対給付としての性格のみを有するものであることにかんがみ,当該報酬は,勤務量,具体的には勤務日数に応じて- 34 -支給すべき性格のものである趣旨を明瞭にし,これをもって非常勤の職員に対する報酬の支給の原則としたものであり,その例外として,勤務の実態がほとんど常勤の職員と異ならず,常勤の職員と同様に月額ないし年額をもって支給することが合理的であるものや,勤務日数の実態を把握することが困難であり,月額等による以外に支給方法がないものなど,特殊な場合について,条例で特別の定めをすることができるようにする趣旨のものであるから,条例において非常勤の職員に対する報酬の支給方法をその勤務日数に応じて支給するものとするかそれとも月額ないし年額等をもって支給するかをも含めて広く普通地方公共団体の長の裁量判断にゆだねることは,同項の規定に抵触することが明らかである。 (3)本件条例2条,別表中非常勤の嘱託員に関する規定の地方自治法203条2項,5項,204条の2適合性以上説示したところに基づいて,本件条例2条,別表中非常勤の嘱託 抵触することが明らかである。 (3)本件条例2条,別表中非常勤の嘱託員に関する規定の地方自治法203条2項,5項,204条の2適合性以上説示したところに基づいて,本件条例2条,別表中非常勤の嘱託員に関する規定の地方自治法203条2項,5項,204条の2適合性につき検討する。 本件条例は,1条において,地方自治法203条に掲げる者(他の条例に特別の定めのある者を除く。以下「非常勤の職員」という。)に対し支給する報酬,費用弁償及び期末手当の額並びにその支給方法について定めるものとする旨規定し,2条において,本件条例1条の報酬は別表のとおりとするものと規定し(2条),本判決添付別紙1のとおり,別表において,区分欄に規定する非常勤の職員の区分ごとに報酬額を月額又は日額で定めており,その区分の一つとして,「非常勤の嘱託員」が規定され,これに対応する報酬額は「月額27万円又は日額1万2700円の範囲内で任命権者の定める月額又は日額」とのみ規定されている。そして,同条例は,9条において,この条例の施行について必要な事項は,市長が別に定める旨規定しており,同条の規定に基づき,専門委員及び非常勤の嘱託員の範囲及び報酬の支給額を定めることを目的として,専門委員及び非常勤の嘱託員の範囲及び報酬に関する支給内規(支給内規)が定められている。支給内規2条2項は,非常勤の嘱託員の範囲及び報酬額は,別表第2のとおりとする旨規定し,別表第2において- 35 -は,本判決添付別紙2のとおり,「産業医月額2万円」,「市史編さん委員会委員長月額4万円」,「市史編纂委員会委員月額3万5000円」,「市史編さん執筆委員日額1万円」などといった具合に,区分欄に規定する非常勤の嘱託員の区分ごとに報酬限度額が月額又は日額で定められている。 以上のとおり,本件条例2条,別表 月額3万5000円」,「市史編さん執筆委員日額1万円」などといった具合に,区分欄に規定する非常勤の嘱託員の区分ごとに報酬限度額が月額又は日額で定められている。 以上のとおり,本件条例2条,別表は,地方自治法203条1項所定の非常勤の職員である非常勤の嘱託員に対する報酬について,支給内規の別表第2においてされているような職種ごとの詳細な区分を行わずに,その区分を包括的に「非常勤の嘱託員」とした上で,これに対応する報酬額を「月額27万円又は日額1万2700円の範囲内で任命権者の定める月額又は日額」として,その最高限度額(上限)のみを規定し,当該範囲内での具体的な金額の決定のみならず当該報酬を月額支給とするか日額支給とするかの決定をも任命権者にゆだねており,少なくともその文言上は当該報酬を月額支給とするか日額支給とするかの決定をも含めて個々の非常勤の嘱託員に対する報酬額を決定するための具体的基準が何ら規定されていない。 もっとも,本判決添付別紙1のとおり,本件条例2条,別表は,非常勤の嘱託員を除いたその余の非常勤の職員については,職種ごとにそれに対応する報酬額を日額,月額の別とともに(ただし,開票管理者,開票立会人及び選挙立会人については,1選挙を単位として)いずれも確定額でもって規定している。そこで,非常勤の嘱託員を除いたその余の非常勤の職員の報酬に関する本件条例2条,別表の規定から個々の非常勤の嘱託員に対する報酬額(月額,日額の別を含む。)を決定するための具体的基準が読み取れるか否かについて検討する。 確かに,本判決添付別紙1のとおり,本件条例の別表においては,非常勤の嘱託員を除いたその余の非常勤の職員について,60に区分した上,そのそれぞれについて日額,月額等の別とともに報酬額が確定額でもって規定されているが,区分欄に列挙されている の別表においては,非常勤の嘱託員を除いたその余の非常勤の職員について,60に区分した上,そのそれぞれについて日額,月額等の別とともに報酬額が確定額でもって規定されているが,区分欄に列挙されている非常勤の職員の区分は,市議会の議長,副議長,議員等,各種委員会の委員等,非常勤の監査委員,各種審査会の委員等,各種審議会の委員,各種協議会の委員等,防災会議委員,社会教育委員,投票管理者,開票管理者,選挙長,- 36 -投票立会人,開票立会人,選挙立会人及び専門委員であって,そのほとんどが地方自治法203条1項に具体的に列挙された職種である。他方,本判決添付別紙2及び別紙3のとおり,支給内規別表第2の区分欄に列挙されている非常勤の嘱託員の職種は,110余に及び,その具体的内容も,各種校園医等,各種校園等用務員,各種委員会の委員等,教育研究所の所員等,各種センターの所長等,公民館,市民会館,文学館,記念館,図書館,資料館,体育館及びプール場等の館長,場長,主事,顧問,学芸員,調査員等,各種相談員,指導員,ホームヘルパー,夜間警備業務,車両整備業務,各種施設管理業務,管理技術業務,山荘業務などといった具合に,多種多様である。そして,支給内規の別表第2に具体的に列挙されているこれらの非常勤の嘱託員と本件条例の別表に具体的に列挙されている非常勤の職員とを対比しても,支給内規の別表第2に列挙された特定の区分の非常勤の嘱託員の職務内容及び勤務態様等が本件条例の別表に列挙された非常勤の職員のどの区分に相当し又は類似するのかを読み取るのは困難であるといわざるを得ない。 そうであるとすれば,本件条例2条,別表中非常勤の嘱託員以外の非常勤の職員についての報酬を定めた部分が任命権者が非常勤の嘱託員に対する日額,月額の別も含めた具体的な報酬額を条例所定の最高限度額の 。 そうであるとすれば,本件条例2条,別表中非常勤の嘱託員以外の非常勤の職員についての報酬を定めた部分が任命権者が非常勤の嘱託員に対する日額,月額の別も含めた具体的な報酬額を条例所定の最高限度額の範囲内で定めるに当たっての具体的な基準となり得ると解することはできず,本件条例2条,別表中の非常勤の嘱託員の報酬に関する規定について,当該非常勤の嘱託員の職務内容及び勤務態様等に照らしてこれに相当し又は類似する同別表記載の非常勤の職員の報酬に準じて当該非常勤の嘱託員の報酬を支給する旨を規定したものと善解する余地はないものというほかない(被告は,非常勤の嘱託員の職務内容,勤務態様は多種多様であって,かつ,毎年必要となる非常勤の嘱託員の職種等に変動があり,こうした非常勤の嘱託員に対する報酬額等を逐一条例において定めることは大変煩雑であって,実務上採り得ないところであり,また,突発的に発生する事態に対応するために新たに必要となる非常勤の職務や報酬額を変更する必要が生じる職務も存在し,そうした職務を委嘱する際,条例の改正を待たないと報酬額等が決まらないというのでは,職- 37 -務執行の時期を失することとなり,不適当であるといった主張をする。確かに,突発的に発生する行政需要等に対応するために臨機に新たな非常勤の嘱託員の職を設ける必要等が生じることも考えられるところであり,このような事態に適切に対処することができるよう,条例において一定範囲で新たな非常勤の嘱託員の職の設定並びに報酬の額及びその支給方法の決定を任命権者にゆだねることは,地方自治法203条2項,5項,204条の2の各規定の許容するところと解する余地はある。 しかしながら,支給内規の別表第2からも明らかなとおり,そこに具体的に列挙された非常勤の嘱託員の職種の少なくとも相当部分は,定型的,常設 5項,204条の2の各規定の許容するところと解する余地はある。 しかしながら,支給内規の別表第2からも明らかなとおり,そこに具体的に列挙された非常勤の嘱託員の職種の少なくとも相当部分は,定型的,常設的なものであって,少なくともこのような職種については,被告の主張するようにあらかじめその報酬を条例において定めておくことが行政事務の適正な執行にとって支障となるような事態はにわかに想定し難い。他方で,このような職種について各職種ごとの報酬を条例において可能な限り具体的に規定した上で,突発的に発生する行政需要等に臨機に適切に対処することができるよう,条例において新たな非常勤の嘱託員の職の設定並びに報酬の額及びその支給方法の決定を任命権者にゆだねる規定を設けたような場合には,その余の非常勤の嘱託員の報酬を各職種ごとに定めた規定部分が任命権者が当該委任規定に基づいて新たに設定した非常勤の嘱託員の報酬の額及び支給方法を定めるに当たっての具体的な基準となるものと解釈する余地も出て来得るから,その限りにおいて,当該委任規定は,地方自治法203条2項,5項,204条の2の各規定に抵触しないと解する余地もあり得よう。)。 以上によれば,本件条例2条,別表中非常勤の嘱託員についての報酬を定めた部分は,その性格上その職務内容,勤務態様が多種多様の非常勤の嘱託員を包括的に「非常勤の嘱託員」と区分した上で,これに対応する報酬について日額又は月額の各最高限度額(上限)のみを規定し,当該範囲内での具体的な金額の決定のみならず当該報酬を月額支給とするか日額支給とするかの決定をも任命権者にゆだねたものであり,本件条例の関係規定から当該報酬を月額支給とするか日額支給とするかの決定をも含めた個々の非常勤の嘱託員に対する報酬額を決定するための具体的基- 38 -準を読み取ること 権者にゆだねたものであり,本件条例の関係規定から当該報酬を月額支給とするか日額支給とするかの決定をも含めた個々の非常勤の嘱託員に対する報酬額を決定するための具体的基- 38 -準を読み取ることもできないから,本件条例2条,別表中非常勤の嘱託員に対する報酬を定めた部分は,地方自治法203条2項,5項,204条の2の各規定に抵触し,違法といわざるを得ない。 茨木市のAに対する本件報酬の支給に係る不法行為に基づく損害賠償請求権の成否(争点④)(1)本件報酬の支給の違法性前記1(3)において説示したとおり,本件条例2条,別表中非常勤の嘱託員に対する報酬を定めた部分は,地方自治法203条2項,5項,204条の2の各規定に抵触する違法なものであり,本件条例の当該部分に基づいてされた本件報酬の支給は,その限りにおいて,条例に基づかない違法な公金の支出であるというほかない。 (2)本件報酬の支給についてのAの過失の有無(1)のとおり,Aが茨木市長としてした本件報酬の支給は,条例に基づかない違法な公金の支出というほかない。 もっとも,市長は,普通地方公共団体の執行機関として,当該普通地方公共団体の条例に基づく事務を自らの判断と責任において誠実に管理し執行する義務を負っている(地方自治法138条の2)ところ,本件報酬の支給は,非常勤の嘱託員の報酬を「月額27万円又は日額1万2700円の範囲内で任命権者の定める月額又は日額」と定めている本件条例2条,別表の規定の文理に基づいてされたものである。そして,茨木市のみならず,全国の普通地方公共団体の大多数において,同法203条1項に具体的に列挙された職種の非常勤の職員(議会の議員ないし選挙立会人等)を除いた「その他の非常勤の職員」ないし「非常勤の嘱託員」の報酬について,本件条例2条,別表の規定と同様 いて,同法203条1項に具体的に列挙された職種の非常勤の職員(議会の議員ないし選挙立会人等)を除いた「その他の非常勤の職員」ないし「非常勤の嘱託員」の報酬について,本件条例2条,別表の規定と同様に,せいぜいその最高限度額(上限)を定めるのみで,その決定を広く任命権者の裁量にゆだねる趣旨の条例の規定を設けている事実は,当裁判所に顕著である。 しかしながら,地方自治法203条,204条,204条の2の各規定の文理か- 39 -らすれば,普通地方公共団体の職員に対する給与については,常勤の職員の場合であると非常勤の職員の場合であるとを問わず,その支給要件及び支給額を条例において具体的に規定すべきであり,条例において単に給与の支給根拠のみを定め,具体的な額,支給要件等の基本的事項をすべて普通地方公共団体の長又は規則に委任するようなことは,給与条例主義の趣旨に反し,許されないというのが,素直な解釈というべきであって,普通地方公共団体の常勤の職員と非常勤の職員とを区別し,非常勤の職員に対する給与については,条例において報酬等の額及び支給方法についての基本的基準のみを定め,その具体的な決定を当該普通地方公共団体の長又は規則に委任することも,地方自治法203条,204条の2の各規定の許容するところであるという解釈には,かなりの無理があるというべきである。のみならず,昭和54年8月31日自治給第31号各都道府県知事,各指定都市市長あて行政局公務員部長通知「違法な給与の支給等の是正について」は,常勤の職員と非常勤の職員とを区別することなく,「条例において単に給与の支給根拠のみを定め,具体的な額,支給要件等の基本的事項をすべて長又は規則に委任するようなことは給与条例主義の趣旨に反するものであり,その内容は条例に明確に定めること。」と記載している(なお, 与の支給根拠のみを定め,具体的な額,支給要件等の基本的事項をすべて長又は規則に委任するようなことは給与条例主義の趣旨に反するものであり,その内容は条例に明確に定めること。」と記載している(なお,上記通知は,「なお,貴管下市町村にもこの旨示達されるとともに特に最近の事例に鑑み市町村において違法な給与の支給等が行われることのないよう適切なご指導をお願いする。」としている。)ところでもある。 しかるところ,本件条例2条,別表に定める「非常勤の嘱託員」には,多種多様の職務内容及び勤務態様の職員が含まれることは,支給内規の別表第2からも明らかであるから,以上説示したところにかんがみると,本件条例2条,別表中非常勤の職員に対する報酬を定めた部分が,その性格上その職務内容,勤務態様が多種多様の非常勤の嘱託員を包括的に「非常勤の嘱託員」と区分した上で,これに対応する報酬について日額又は月額の各最高限度額(上限)のみを規定し,当該範囲内での具体的な金額の決定のみならず当該報酬を月額支給とするか日額支給とするかの決定をも広く任命権者にゆだねたものであって,上記通知の趣旨に照らしても,給- 40 -与条例主義の趣旨に反し,地方自治法203条2項,5項,204条の2の各規定に抵触する違法なものであることは,茨木市の市長の職にある者にとって容易に知り得るものというべきであり,このような規定も地方自治法の上記各規定に違反しないとの解釈に相当な根拠があるものとみることはできない。のみならず,支給内規の別表第2の記載内容及び乙11,乙14ないし23により認められるその改正経過にかんがみると,条例において支給内規に準じる形で非常勤の嘱託員の職種を区分した上その報酬の額及び支給方法(日額支給とするか月額支給とするか等)を具体的に規定することがさほど困難であるとは認め難 経過にかんがみると,条例において支給内規に準じる形で非常勤の嘱託員の職種を区分した上その報酬の額及び支給方法(日額支給とするか月額支給とするか等)を具体的に規定することがさほど困難であるとは認め難い(前記説示のとおり,支給内規の別表第2に具体的に列挙された非常勤の嘱託員の職種の少なくとも相当部分は,定型的,常設的なものであって,少なくともこのような職種については,あらかじめその報酬を条例において定めておくことが行政事務の適正な執行にとって支障となるような事態はにわかに想定し難い上,給与条例主義の趣旨に反しない限度で突発的に発生する行政需要等に臨機に適切に対処することができるための立方技術としては,条例において,上記定型的,常設的な職種の非常勤の嘱託員の報酬について具体的に規定した上で,これに準じる形で新たな非常勤の嘱託員の職の設定並びに報酬の額及びその支給方法の決定を任命権者にゆだねる趣旨の規定を置くなどといった方法も考えられなくはないところである。)。 以上検討したところによれば,Aは,本件条例2条,別表中非常勤の職員に対する報酬を定めた部分が給与条例主義の趣旨に反するおそれがあることを容易に知り得たものというべきであり,他方で,本件委嘱に係る非常勤の嘱託員(建設事業指導業務)の報酬を含めて,非常勤の嘱託員の報酬について,給与条例主義の趣旨に反しない程度に条例において具体的に規定することが,立法技術的にみてさほど困難があると認めることもできないにもかかわらず,Aは,茨木市の市長として本件条例の改正手続をとるなどの措置を講ずることなく(地方自治法149条1号,96条1項1号参照),訓令にすぎない支給内規の一部を市長決裁により改正する手続により,非常勤の嘱託員の区分の一つとして「建設事業指導業務」を設けるとと- 41 -もにその報酬限 法149条1号,96条1項1号参照),訓令にすぎない支給内規の一部を市長決裁により改正する手続により,非常勤の嘱託員の区分の一つとして「建設事業指導業務」を設けるとと- 41 -もにその報酬限度額を月額26万9000円と定め,これに基づいて,当該建設事業指導業務を委嘱した非常勤の嘱託員Cの報酬を月額26万7000円と決定し,Cに対し,平成15年4月1日から平成16年3月31日までの間,報酬として合計320万4000円を支給したというのであるから,Aは,その過失により,違法な本件報酬の支給(公金の支出)をしたものと評価せざるを得ない。 (3)違法な本件報酬の支給による茨木市の損害以上説示したとおり,Aは,その過失により,違法な本件報酬の支給(公金の支出)をし,これにより,茨木市に対し,本件報酬の支給合計額(320万4000円)相当額の損害を与えたというべきであるから,Aは,茨木市に対し,不法行為に基づく損害賠償として,320万4000円の支払義務を負うというべきである。 なお,仮にCに対する建設事業指導業務の委嘱が適法であり,Cが茨木市の非常勤の嘱託員として現実に勤務しその職務を行ったとしても,地方自治法204条の2の規定によれば,その勤務の対価を反対給付として支給するためには,法律又はこれに基づく条例に基づかなければならないのであり,その趣旨からすれば,違法な本件報酬の支給により茨木市が被った損害額を算定するに当たり,Cの提供した勤務の対価を金銭的に評価してこれを損益相殺等することは,同条の規定の趣旨を没却するものとして,許されないと解すべきである。 結論 以上によれば,茨木市は,Aに対し,違法な本件報酬の支給(公金の支出)に係る不法行為に基づく損害賠償請求権として,320万4000円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める権利 きである。 結論 以上によれば,茨木市は,Aに対し,違法な本件報酬の支給(公金の支出)に係る不法行為に基づく損害賠償請求権として,320万4000円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める権利を有しているというべきである。 したがって,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,同市の市長である被告に対し,不法行為に基づく損害賠償として,Aに対し320万9000円及びこれに対する不法行為の後である平成16年4月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求をすることを求める原告らの本訴請求は,その余の点について判断するまでもなく,被告に対し,Aに対し320万4000- 42 -円及びこれに対する平成16年4月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求をすることを求める限度で理由があるからこれを認容し,原告らのその余の請求は,理由がないから,これを棄却すべきである。 よって,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部裁判長裁判官西川知一郎裁判官岡田幸人裁判官和久一彦
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