平成19(行ク)33 執行停止申立事件(本案事件 平成19年(行ウ)第84号 公文書公開決定取消請求事件)

裁判年月日・裁判所
平成19年7月6日 大阪地方裁判所 情報公開
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判決文本文6,809 文字)

- 1 -主文 大阪府知事が平成18年9月7日付けでした申立人の平成16年度及び平成17年度の貸借対照表,資金収支計算書,消費収支計算書及び消費収支内訳表のうち,中科目以下の金額(大科目により知り得る中科目以下の金額及び補助金に係る中科目以下の金額を除く)が記載された部分を除く部分を公開する旨の決定の執。 行は,本案事件(当庁平成19年(行ウ)第84号公文書公開決定取消請求事件)の判決の確定まで停止する。 申立人のその余の申立を却下する。 申立費用は相手方の負担とする。 理由 第1申立て大阪府知事が平成18年9月7日付けでした申立人の平成16年度及び平成17年度の貸借対照表,資金収支計算書,消費収支計算書及び消費収支内訳表のうち,中科目以下の金額(大科目により知り得る中科目以下の金額及び補助金に係る中科。),目以下の金額を除くが記載された部分を除く部分を公開する旨の決定の効力は本案判決が確定するまで停止する。 第2事案の概要 本案事件は,大阪府知事が,申立外の第三者から行政文書の公開の請求を受けたため(同請求をした者を,以下「本件請求者」という,平成18年9月7日。),,,付けで本件請求者に対し申立人の平成16年度及び平成17年度の貸借対照表資金収支計算書,消費収支計算書及び消費収支内訳表(併せて,以下「本件行政文書」という)のうち,中科目以下の金額(大科目により知り得る中科目以下の金。 額及び補助金に係る中科目以下の金額を除く)が記載された部分を除く部分を公。 開する旨の決定(以下「本件公開決定」という)をしたところ,申立人が,本件。 (「」。)公開決定により公開するとされた部分に記載された情報以下本件情報というは,大阪府情報公開条例(平成11年大阪府条例第39号。単に,以下「情報公開 )をしたところ,申立人が,本件。 (「」。)公開決定により公開するとされた部分に記載された情報以下本件情報というは,大阪府情報公開条例(平成11年大阪府条例第39号。単に,以下「情報公開- 2 -条例」という)8条1項1号に掲げる情報に該当するなどと主張して,本件公開。 決定の取消しを求めた抗告訴訟である。 本件は,申立人が行政事件訴訟法(以下「行訴法」という)25条2項本文に。 基づき,本案事件の判決が確定するまで,本件公開決定の効力の停止を求めた事案である。 ,「」() 本件申立てに関する申立人の主張は別紙行政処分執行停止申立書写及び平成19年6月15日付け「第1準備書面(写)に各記載のとおりであり,」,「」()「」()相手方の主張は同月1日付け意見書写及び同月25日付け準備書面写に各記載のとおりである。 情報公開条例の定め情報公開条例1条は,同条例は,行政文書及び法人文書の公開を求める権利を明らかにし,行政文書及び法人文書の公開に関し必要な事項を定めるとともに,総合的な情報の公開の推進に関する施策に関し基本的な事項を定めることにより,府民の府政への参加をより一層推進し,府政の公正な運営を確保し,府民の生活の保護及び利便の増進を図るとともに,個人の尊厳を確保し,もって府民の府政への信頼を深め,府民の福祉の増進に寄与することを目的とする旨規定する。 同条例3条は,実施機関又は実施法人は,行政文書又は法人文書の公開を求める権利が十分に保障されるように,同条例を解釈し,運用するとともに,行政文書又は法人文書の適切な保存と迅速な検索に資するための行政文書又は法人文書の管理体制の整備を図らなければならない旨規定し,同条例5条は,実施機関及び実施法人は,同条例の解釈及び運用に当たっては,個人に関 は法人文書の適切な保存と迅速な検索に資するための行政文書又は法人文書の管理体制の整備を図らなければならない旨規定し,同条例5条は,実施機関及び実施法人は,同条例の解釈及び運用に当たっては,個人に関する情報であって,特定の個人が識別され得るもののうち,一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められるものをみだりに公にすることのないよう最大限の配慮をしなければならない旨規定する。 同条例8条1項柱書は,実施機関(公安委員会及び警察本部長を除く)は,同。 項各号のいずれかに該当する情報が記録されている行政文書を公開しないことがで- 3 -きる旨規定し,同項1号は,法人(国,地方公共団体,独立行政法人等(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号)2条1項に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ,地方独立行政法人,地方住宅供給。)公社,土地開発公社及び地方道路公社その他の公共団体(以下「国等」という)。 を除く)その他の団体(以下「法人等」という)に関する情報又は事業を営む個。 。 人の当該事業に関する情報であって,公にすることにより,当該法人等又は当該個人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるもの(人の生命,身体若しくは健康に対し危害を及ぼすおそれのある事業活動又は人の生活若しくは財産に対し重大な影響を及ぼす違法な若しくは著しく不当な事業活動に関する情報(以下「例外公開情報」という)を除く)を掲げる。 。 。 第3当裁判所の判断 記録によれば,以下の事実が一応認められる。 ( )当事者等 申立人は,教育基本法及び学校教育法に従い,学校教育を行うことを目的とし,「A専門学校社会体育専門課程」を営む学校法人である。A専門学校は,学校教育法82条の2に規定する専修学校である。 等 申立人は,教育基本法及び学校教育法に従い,学校教育を行うことを目的とし,「A専門学校社会体育専門課程」を営む学校法人である。A専門学校は,学校教育法82条の2に規定する専修学校である。 大阪府知事は,情報公開条例の実施機関であり,相手方は,大阪府知事が所属する公共団体である。大阪府知事は,申立人及びA専門学校の私立学校法上の所轄庁(同法4条2号,4号)である。 ( )本件に至る経緯 ア本件請求者は,平成18年8月9日,大阪府知事に対し「学校法人B学園,他2法人の平成16年度・平成17年度の貸借対照表,資金収支計算書,消費収支計算書,消費収支内訳表」につき,行政文書の公開を請求した。 イ大阪府知事は,本件行政文書に申立人に関する情報が記録されていることから,同年8月16日,申立人に対し,その意見を書面により提出する機会を与える旨の通知をした。 - 4 -ウ申立人は,同年8月21日,大阪府知事に対し,貸借対照表の基本金の部及び消費収支差額の部を除くすべての部分の公開に反対する旨の意見書を提出した。 ,,。 ,,エ大阪府知事は同年9月7日本件公開決定をしたなお本件行政文書は申立人が大阪府知事に提出したものであるが,その法的根拠については当事者間に争いがある。 オ申立人は,同年9月19日,大阪府知事に対し,行政不服審査法6条1号に基づいて本件公開決定についての異議申立てをした。 カ大阪府知事は,大阪府情報公開審査会より本件公開決定は妥当である旨の答申(平成19年4月17日付け大公審答申第×××号)を受け,同年5月1日付けで,これを尊重して,申立人の上記異議申立てを棄却した。 キ申立人は,平成19年5月11日,当庁に対し,本案事件の訴えを提起するとともに,本件執行停止の申立てをした。 クなお,本件公開決 1日付けで,これを尊重して,申立人の上記異議申立てを棄却した。 キ申立人は,平成19年5月11日,当庁に対し,本案事件の訴えを提起するとともに,本件執行停止の申立てをした。 クなお,本件公開決定による本件請求者に対する公開を実施する日は,同年5,。 月15日以降で別途調整することとされているもののいまだ公開はされていない(疎甲2,3,6から8まで,当裁判所に顕著な事実) 「本案について理由がないとみえるとき(行訴法25条4項)に該当する」か否かについて( )前記のとおり,情報公開条例は,3条前段において,実施機関は,行政文 書の公開を求める権利が十分に保障されるように,同条例を解釈し,運用すべき旨を規定した上で,5条において,個人に関する情報であって,特定の個人が識別され得るもののうち,一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められるものについてのみ,これをみだりに公にすることのないよう最大限の配慮をしなければならない旨規定しているのであって,これらの規定の趣旨に照らせば,情報公開条例8条1項1号にいう「当該法人等又は当該個人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められる」とは,当該法人等又は事業を営む個人の競争上の地位その他正当な利益を害すると客観的に認められることをいうものと解される。 - 5 -( )疎甲第12号証の2によれば,本件行政文書のうち,資金収支計算書及び 消費収支計算書は,当該会計年度における申立人(学校法人)の資金の流れ,収支の均衡状況等が予算と決算とを対比する形で記載される計算書類であり,消費収支内訳表は,申立人(学校法人)及び申立人が設置運営する専修学校の消費収入及び消費支出が科目ごとに記載される計算書類であり,貸借対照表は,当該会計年度末における申立人(学校法人)の資産状況 ,消費収支内訳表は,申立人(学校法人)及び申立人が設置運営する専修学校の消費収入及び消費支出が科目ごとに記載される計算書類であり,貸借対照表は,当該会計年度末における申立人(学校法人)の資産状況,負債状況等を明らかにする計算書類であることが認められる。これら本件行政文書の内容に照らせば,本件情報が中科目以下の金額(大科目により知り得る中科目以下の金額及び補助金に係る中科目以下の。),,,金額を除くを含まないとしても本件情報を得た者においてこれを募集要項学校案内等で既に公表されている数量的なデータ等と組み合せて検討,分析することにより,申立人の経営規模,資産運営規模及び資産構成,収支の均衡状態等を把握することができるものと一応推認されるものの,さらに進んで,具体的な経営方針,経営手法,申立人独自の経営上のノウハウ等まで把握することができるか否かについては,記録上はなお明らかでない。 もっとも,この点について,申立人は,A専門学校のみを運営する小規模な学校法人である申立人の場合,本件情報が中科目以下の金額(大科目により知り得る中科目以下の金額及び補助金に係る中科目以下の金額を除く)を非公開としても,。 本件情報だけで企業秘密とされる情報(受験者数,入学者数,実質的な合格率,年間又は卒業までの落第率,募集広告戦略及び広告媒体に対する価格交渉力,教職員の給与水準等)をも解析することができる旨主張するとともに,A専門学校は,民間のスポーツ,フィットネスクラブなどの指導員を養成することを主な教育内容とするところ,申立人は,同種の専修学校のみならず,学校法人化されていない無認可校との競争にもさらされている旨主張する。そして,疎甲第12号証の2によれば,本件公開決定において,平成17年度の資金収支計算書の収入の部の大科目9科目のうちの ならず,学校法人化されていない無認可校との競争にもさらされている旨主張する。そして,疎甲第12号証の2によれば,本件公開決定において,平成17年度の資金収支計算書の収入の部の大科目9科目のうちの5科目(手数料収入,資産運用収入,資産売却収入,雑収入,前受金収入)が,平成17年度の消費収支計算書の消費収入の部の大科目5科目のうちの- 6 -4科目(手数料,資産運用収入,資産売却差額,雑収入)が,それぞれ大科目より知り得るとして中科目以下の金額(上記資金収支計算書の収入の部につき入学検定料収入,受取利息・配当金収入,有価証券売却収入,その他の雑収入及び授業料前受金収入,上記消費収支計算書の消費収入の部につき入学検定料,受取利息・配当金,有価証券売却差額及びその他の雑収入)も含めて公開することとされたこと,上記資金収支計算書及び上記消費収支計算書の各収入の部の大科目のみを公開することとされた科目には授業料収入と入学金収入との2小科目のみから成る学生生徒等納付金収入の科目のように中科目以下(小科目)が2科目しかないものもあること,申立人が設置運営する学校はA専門学校のみであることが一応認められる。 以上によれば,申立人又はその設置運営する専修学校について既に公表されている数量的なデータ等の具体的内容いかんによっては,それらの容易に入手し得る関連情報と照合等するなどして分析することにより,申立人又はその設置運営する専修学校の経営の実態が相当程度明らかとなって,そこから申立人の具体的な経営方針や経営上のノウハウ等を推知することが可能となるおそれがないということはできず,申立人が上記専修学校の運営に関して置かれている競争上の地位,申立人の事業に係る競争の状況等のいかんによっては,本件情報を公にすることにより,申。 ,立人の競争上の地位又は事業上 うことはできず,申立人が上記専修学校の運営に関して置かれている競争上の地位,申立人の事業に係る競争の状況等のいかんによっては,本件情報を公にすることにより,申。 ,立人の競争上の地位又は事業上の利益を害することも十分考えられるそうするとこれらの関連情報の具体的内容や申立人の事業に係る競争状況等が明らかでない現段階において,本件情報を公にすることにより申立人の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められないと断定することはできないから,本件執行停止の申立てについて「本案について理由がないとみえるとき」に該当するとはいえない。 「重大な損害を避けるため緊急の必要があるとき(行訴法25条2項)に」該当するか否かについて本件公開決定により申立人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められる余地があることは上記のとおりであるところ,いったん本件情報が公にされることによって申立人の競争上の地位等が害されれば,その性質上,これを回復するこ- 7 -とは事実上不可能であるといわざるを得ない。そうであるとすれば,申立人について,本件公開決定の執行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるということができる。 「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれ(行訴法25条4項)があるか」否かについて相手方は,情報公開条例に基づく行政文書公開制度は,府民の知る権利を保障することによって府民の府政参加を推進し,府民の生活の保護及び利便の増進を図るとともに,個人の尊厳を確保し,もって府民の府政への信頼を深め,府民の福祉の増進に寄与しようとするものであるところ,本件公開決定についてこれ以上重ねて,,執行停止をすることは行政文書公開制度の実効性を損なわせるなどと主張するがこれらの主張は一般的,抽象的で,具体性を欠いているといわざるを得ず のであるところ,本件公開決定についてこれ以上重ねて,,執行停止をすることは行政文書公開制度の実効性を損なわせるなどと主張するがこれらの主張は一般的,抽象的で,具体性を欠いているといわざるを得ず,このことのみをもって公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるということは到底できない。 執行停止の内容及び期間について申立人は,本件公開決定の効力の停止を求めているが,申立人に生じ得る上記損害の内容,性質等にかんがみれば,上記損害を避けるためには,本件公開決定の執行を停止すれば足りるというべきであり,本件は,行訴法25条2項ただし書にいう処分の執行の停止によって目的を達することができる場合に当たると解される。 また,上記のとおり,いったん本件情報が公にされることによって申立人の競争上の地位等が害されれば,これを回復することは事実上不可能であるといわざるを得ないことにかんがみれば,現時点において本案事件の判決確定に至るまで本件公開決定の執行を停止するのが相当であるというべきである。 結論 以上により,本件申立ては,本件公開決定の執行を本案事件の判決の確定まで停止することを求める限度で理由があるから,これを認容すべきであり,その余の部分は,理由がないから,これを却下すべきである。 - 8 -よって,申立費用について,行訴法7条,民訴法64条ただし書を適用して,主文のとおり決定する。 平成19年7月6日大阪地方裁判所第2民事部裁判長裁判官西川知一郎裁判官岡田幸人裁判官森田亮

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