【DRY-RUN】主 文 原判決を破棄する。 被告人を禁錮六月に処する。 原審の訴訟費用は被告人の負担とする。 理 由 本件控訴の趣意は弁護人桝井雅生提出の
主 文 原判決を破棄する。 被告人を禁錮六月に処する。 原審の訴訟費用は被告人の負担とする。 理 由 本件控訴の趣意は弁護人桝井雅生提出の控訴趣意書に記載されたとおりであるか らここにこれを引用し、これに対し次のように判断する。 論旨第一点について。 原判決は論旨摘録の如く判示第一としてA、Bに対する各業務上過失傷害及びC に対する同致死の事実を(右は一所為数法の関係があるので重い業務上過失致死罪 の刑によるとしている。)第二として酩酊運転による無謀操縦の事実を各認定し、 右第一及び第二の罪を刑法第四十五条前段の併合罪として処断していることは所論 のとおりである。論旨は判示第一の各業務上過失致傷及び同致死の犯罪は判示第二 の酩酊運転による無謀操縦の罪と競合一体をなして発生したもので、法律上いわゆ る一個の行為にして二個の罪名に触れる場合に該当するから、刑法第五十四条第一 項前段により一罪として処断すべきに拘らず、原判決が判示第一及び第二の罪を同 法第四十五条前段の併合罪として処断したのは法令の適用を誤つたものであると主 張する。よつて按ずるに原判決の確定した第一及び第二の事実は論旨摘録のとおり であつて、即ち被告人は普通貨物自動車を運転する途中飲食店に立寄り一時間余に 亘りビール、酒等を飲み酩酊し、そのままでは前方を注視することもハンドルを確 実に操作することもできない状態に至つたのであるが、かかる場合自動車運転者と しては、酔がさめて正常な運転ができるようになるまで運転を中止し、以て事故を 未然に防止すべき業務上の注意義務があるのに拘らず、事ここに出でずそのまま前 記自動車を運転し時速約四十粁で判示道路上を進行中、漸次酩酊の度を加えたた め、前方を自転車に乗つて同一方向に進行中のAに気付かず、そのまま追突し 上の注意義務があるのに拘らず、事ここに出でずそのまま前 記自動車を運転し時速約四十粁で判示道路上を進行中、漸次酩酊の度を加えたた め、前方を自転車に乗つて同一方向に進行中のAに気付かず、そのまま追突して同 人を路上に転倒させ、更にそのまま二百米余進行して判示ab番地先路上にさしか かつた際、前方を自転車に二人乗して同一方向に進行中のB及びCに気付かず、そ のまま追突して同人等を路上に転倒させ、因て右三名に対しそれぞれ判示のように 死傷の結果を与えたものであるかその間前記の如く酔余正常な運転ができない虞が あるに拘らず、前記自動車を事故現場まで運転して無謀な操縦をしたというのであ <要旨>つて、本件業務上過失致死傷罪における過失の内容は、要するに自動車運転 の業務に従事していた被告人か普</要旨>通貨物自動車を運転する途中、飲食店に立 寄り、ビール、酒等を飲んだため、酒に酔い正常な運転ができない虞があつたのに 拘らず、酔がさめて正常な運転ができるまで運転を中止して事故の発生を未然に防 止すべき業務上の注意義務に違反して自動車を酩酊運転したこと自体であつて、換 言すれば被告人が酩酊して本件自動車を運転したこと即ち本件無謀操縦そのものが 本件過失の内容をなしているのである。 してみれは被告人の右一個の無謀操縦は右各業務上過失致死傷とはそれぞれ想像 的競合の関係にあり、刑法第五十四条第一項前段第十条により一罪として処断すべ きものである。然るに原判決がこれを刑法第四十五条前段の併合罪であるとして処 断したのは法令の解釈及び適用を誤つたもので、その誤は判決に影響を及ぼすこと 明らかであるから論旨は理由がある。 よつて刑事訴訟法第三百九十七条第三百八十条により原判決を破棄し、同法第四 百条但書により更に次のように判決する。 原判決が適法に確定した事実に法律を適用すると、被告人の判 るから論旨は理由がある。 よつて刑事訴訟法第三百九十七条第三百八十条により原判決を破棄し、同法第四 百条但書により更に次のように判決する。 原判決が適法に確定した事実に法律を適用すると、被告人の判示第一及び第二の 所為中無謀操縦の点は道路交通取締法第七条第一項第二項第三号、第二十八条第一 号に、Aに対する業務上過失傷害、B及びCに対する業務上過失致死同傷害の点は それぞれ刑法第二百十一条前段罰金等臨時措置法第三条に各該当するところ、右無 謀操縦とAに対する業務上過失傷害、右無謀操縦とB及びCに対する業務上過失致 死同傷害とはそれぞれ一個の行為で数個の罪名に触れる場合であるから、同法第五 十四条第一項前段第十条により結局重いCに対する業務上過失致死罪の刑に従い処 断することとし、所定刑中禁錮刑を選択し、第三の所為は道路交通取締法第二十四 条第一項、第二十八条第一号、同法施行令第六十七条第一項第二項に該当するので 懲役刑を選択し、なお被告人には原判決の認定した前科があるので刑法第五十六条 第一項第五十七条により判示第三の罪の刑に累犯の加重をなし、以上は同法第四十 五条前段の併合罪であるから、同法第四十七条但書第十条によりその重い業務上過 失致死罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で被告人を禁錮六月に処し、原審の訴 訟費用は刑事訴訟法第百八十一条第一項本文に従い、これを被告人に負担させるこ ととし主文のおとり判決する。 (その他の判決理由は省略する。) (裁判長判事 岩田誠 判事 渡辺辰吉 判事 司波実)
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