平成1(行ウ)1 男鹿市農協救済命令取消

裁判年月日・裁判所
平成2年12月17日 秋田地方裁判所
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【DRY-RUN】主   文  被告が、秋地労委昭和五九年(不)第三号男鹿市農業協同組合不当労働行為救済 申立事件について、平成元年二月一五日付でなした救済命令のうち主文第一項を取 り消す。  訴訟費用は、原告と被告と

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判決文本文34,428 文字)

主文 被告が、秋地労委昭和五九年(不)第三号男鹿市農業協同組合不当労働行為救済申立事件について、平成元年二月一五日付でなした救済命令のうち主文第一項を取り消す。 訴訟費用は、原告と被告との間に生じた分は被告の、参加によって生じた分は補助参加人の各負担とする。 事実 第一当事者の求める裁判一原告主文同旨二被告原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 第二当事者の主張一請求原因 1 被告は、補助参加人秋田県農業協同組合労働組合(以下「農協労」という。)及び訴外A(以下「A」という。)を申立人とし、原告を被申立人とする秋地労委昭和五九年(不)第三号男鹿市農業協同組合不当労働行為救済申立事件について、平成元年二月一五日付で左記主文の救済命令(以下「本件救済命令」という。)を発し、その命令書は同月二二日原告に送達された。 記被申立人は、申立人Aをすみやかに加工課長に任命しなければならない。 申立人のその余の申立ては棄却する。 2 被告のなした本件救済命令は、事実を誤認し、労働組合法の解釈適用を誤り、労働委員会の裁量の範囲を逸脱して使用者の人事権を不当に制約し、信義則に反する人事を原告に強要する違法なものである。 (一) 本件救済命令は、原告がAを加工課長に任命しなければならないことを命じているが、それは、使用者の人事権を不当に拘束制約するものであって、労働委員会の裁量の範囲を逸脱する違法なものである。 本件救済命令によれば、申立時における原告の従業員は一二七名であり(なお、現在は正職員一一二名、臨時職員一九名、パート二〇名の合計一五一名である。)、昭和五九年五月一日の機構改革によって、専務理事、参事から直接課長に考え方が伝わる方がよいとの考えから、本所においては従来の部制を廃止して七課制 時職員一九名、パート二〇名の合計一五一名である。)、昭和五九年五月一日の機構改革によって、専務理事、参事から直接課長に考え方が伝わる方がよいとの考えから、本所においては従来の部制を廃止して七課制にした旨認定している。この認定によれば、原告の本所における従業員は、参事を頂点としてそのすぐ下に七課長(ただし、平成元年二月一日から一〇課長)が併置されており、仮に課長間に多少その職責に軽重が考えられるとしても、一〇課長の一つである加工課長のポストに何人を任命するかは、原告にとってその業務遂行上極めて重要な人事権の行使といわなければならない。およそ、使用者がその雇用する労働者を積極的にいかなる部署につけていかなる職務に従事せしめるかは、当該使用者が企業を円滑に運営するためその責任においてなす人事権の行使にほかならないのであって、使用者の専権に属し、労働委員会を含めた行政機関は勿論のこと、司法機関においてもこれを強制することは許されない。もとより、現行法上、使用者の人事権の行使が司法機関或は行政機関によって制約を受ける場合がないわけではない。ある労働者に対する解雇が無効とされ、或は転勤の発令が取り消されるなどがその例である。しかし、これらの例では仮に解雇が無効とされ転勤の発令を取り消されたとしても、その結果は、使用者が一旦よしとしてなした旧の人事配置に戻るだけのことであって、その意味で使用者の意思と全く無関係ではない。しかしながら、本件救済命令は、これらの使用者の人事権の行使が消極的に制約を受けるのとは異なり、積極的に容喙を入れるものである。 (二) 本件救済命令は、原告の加工課長職が労働組合の組合員として両立しうる地位にあることを認めている。 しかしながら、昭和五九年五月一日の機構改革によって、専務理事、参事から直接課長に考え方が伝わる方がよ 件救済命令は、原告の加工課長職が労働組合の組合員として両立しうる地位にあることを認めている。 しかしながら、昭和五九年五月一日の機構改革によって、専務理事、参事から直接課長に考え方が伝わる方がよいとの考えから本所においては従来の部制を廃止して七課制にし、平成元年二月一日からは一〇課制になっている。すなわち、原告の本所では、参事を頂点としてそのすぐ下に一〇課長が併設されており、仮に課長間に多少その職責に軽重が考えられるとしても、一〇課長の一つである加工課長職は、明らかに労働組合法二条但書一号で定める「その職務上の義務と責任とが当該労働組合の組合員としての誠意と責任とに直接てい触する監督的地位にある労働者その他使用者の利益を代表する者」に該当する。 現行の労働諸法は、使用者に利害相対立する概念として労働者ないし労働組合を位置づけている。そして、このように利害の対立する両者の立場を同一人が兼ねることは法の許容しないところである。法が利害の相対立する行為について両者の立場を兼ねることを禁じたのは、本人の利益の保護にあることはいうまでもないが、その根拠は人間としての道義にあるといわなければならない。民法一条二項によれば「権利の行使及び義務の履行は信義に従い誠実に之を為すことを要す」と明記されており、この信義誠実の原則は、労働法の分野における労使関係についても当然適用されるべきである。ところでAは、たとえ課長に就任しても農協労の組合員として止まり、組合運動を続ける立場を極めて旗幟鮮明にしているものである。このように、たとえ加工課長に発令されても労働組合を脱退しないことを明言しているAを本所の課長に任命しなければならない旨を命じた本件救済命令は、原告に対して信義誠実の原則に反する人事を強要するものである。 よって、本件救済命令のうち主文第一項の取 を脱退しないことを明言しているAを本所の課長に任命しなければならない旨を命じた本件救済命令は、原告に対して信義誠実の原則に反する人事を強要するものである。 よって、本件救済命令のうち主文第一項の取り消しを求める。 二請求原因に対する認否 1 請求原因1の事実は認める。 2 請求原因2は争う。 三本件救済命令の適法性についての被告の主張及び原告の主張に対する反論 1 本件救済命令の理由は、別紙命令書理由欄記載のとおりであり、被告の認定した事実及び判断は正当である。 2 人事権に対する不当な介入であるという点について労働組合法が、不当労働行為制度の実効性を担保するために、使用者の右規定違反行為に対して労働委員会という行政機関による救済命令の方法を採用したのは、使用者による組合活動侵害行為によって生じた状態を右命令によって直接是正することにより、正常な集団的労使関係秩序の迅速な回復、確保を図るとともに、使用者の多様な不当労働行為に対してあらかじめその是正措置の内容を具体的に特定しておくことが困難かつ不適当であるため、労使関係について専門的知識経験を有する労働委員会に対し、その裁量により、個々の事案に応じた適切な是正措置を決定し、これを命ずる権限を委ねる趣旨に出たものと解される。このような労働委員会の裁量権はおのずから広きにわたることとなるが、もとより無制限ではあるわけではなく、右の趣旨、目的に由来する一定の限界が存するのであって、救済命令は、不当労働行為による被害の救済としての性質をもつものでなければならず、このことから導かれる一定の限界を超えることはできないものといわなければならない。 しかし、労働委員会の救済命令の内容の適法性が争われる場合においても、裁判所は労働委員会の右裁量権を尊重し、その行使が右の趣旨、目的に照らして是認される範囲 とはできないものといわなければならない。 しかし、労働委員会の救済命令の内容の適法性が争われる場合においても、裁判所は労働委員会の右裁量権を尊重し、その行使が右の趣旨、目的に照らして是認される範囲を超え、又は著しく不合理であって濫用にわたると認められるものでない限り、当該命令を違法とすべきではない。したがって、労働委員会の救済命令が使用者の人事権を拘束制約する場合であっても、そのことからただちに当該命令を違法とすべきではなく、本件救済命令が使用者の人事権を制約し、それが労働委員会の救済命令として是認し得ないものかまた著しく不合理とみなしうるものかとの観点からその違法性は検討されなければならない。 不当労働行為の一類型である昇格差別がなされた場合、その救済方法としては、①昇格差別の是正、②是正に伴う損失の回復、③将来の反復防止のための抽象的不作為命令、④ポストノーティスが考えられる。本件においては、②については損失は認められず、③については将来的に反復される可能性は比較的少なく、④については本件事案から総合的に判断してその必要性が認められなかったことから、これらについては救済の必要はなく、①の昇格差別の是正のみを命じたものである。 ところで、昇格には二つの側面が考えられる。つまり、その一つは昇格の一種としての側面であり、他の一つは、その本来の意味として、一定水準の能力と適性を要する地位への従業員の登用という側面である。そして、この後者の側面における昇格人事が使用者の人事権の中心的部分の行使であることは否定できない。しかしながら、たとえ人事権の中心的部分であっても、それが不当労働行為である場合にはまさに人事権を濫用したものにほかならないのであるから、救済方法としてはその濫用面を除去すると同時に、差別からの具体的、実質的回復のために当然人事 心的部分であっても、それが不当労働行為である場合にはまさに人事権を濫用したものにほかならないのであるから、救済方法としてはその濫用面を除去すると同時に、差別からの具体的、実質的回復のために当然人事権を制限する面が必要となるのである。そして、昇格差別に対する直接的かつ最も適切な救済方法は、人事権が正当に行使された場合のあるべき状態にすること、すなわち昇格をさせることである。その意味で、一般的に救済命令として昇格命令を発することは何ら違法性をもつものではない。現に差別があるのに、事件が昇格という特殊性を有する故にそれの原状回復が不可能とすれば、労働委員会の裁量の範囲は極めて狭少なものになるし、また救済の実効性も極めて弱体なものにならざるを得ない。もっとも、従業員の登用という側面をもつ昇格人事が、使用者の人事権の中心的部分であることに鑑み、とりわけ命ずべき地位が上級職制(ただし、いわゆる使用者の利益代表者ではない)である場合には、労働委員会は、救済命令を発するにあたり、使用者の人事権との調和に対する配慮が重要になる。つまり昇格内定あるいは慣例による昇格等当然昇格していたといった事情がない場合には、かかる地位への昇格命令は人事権への介入となるおそれがあるからである。そうすると、この場合には事件の具体的事実が最も重要となる。 そこで、本件の具体的事情についてみると、昭和五九年六月三〇日、原告は加工課長職の定年退職により後任を任命するにあたり、A及び訴外Bに対し、Aは加工課長に適任だと思うが、同人は加工課長に任命されても労働組合を脱退しないであろうことを理由として、Aを加工課長に昇任させることはできない旨の発言をし、結局、加工課長は購買課長が兼任することになるのである。そして、原告が、労働組合をAが脱退しないことを理由として加工課長に任命しない を理由として、Aを加工課長に昇任させることはできない旨の発言をし、結局、加工課長は購買課長が兼任することになるのである。そして、原告が、労働組合をAが脱退しないことを理由として加工課長に任命しない措置をとったのは、加工課長職を含む本所のすべての課長職が労働組合法二条但書一号のいわゆる使用者の利益代表者に該当するという判断に基づいたものであることは、原告の主張から明らかであり、かかる判断が誤りであったことは被告が命令書第2、2、(3)で判断したとおりである。更に本件審問の全過程を通じても、原告がAを加工課長に任命できないとする理由は上記理由のほかに窺うことはできなかったものである。したがって、これらの事実及び本件審問における両当事者の主張、立証を総合的に判断すると、Aが労働組合を脱退しさえすれば、加工課長に任命されていたであろうことは容易に推認できるのである。以上のような本件の具体的事情のもとにあって、被告は、原告に対し、Aを加工課長に任命するよう命ずることが必要かつ十分な措置であると判断したものであり、また、かかる措置を命じなければ救済の実効を挙げ得ないことは明らかである。 以上の事実認定及び判断によれば、本事件は加工課長へ昇格させなかったことの理由が、唯一、労働組合を脱退しないことのみであったことが極めて明らかなケースであったものであり、この意味から、通常、裁量権の限界の事例として扱われているものとは全く次元の異なる事件であったものというべきで、このことから、本件救済命令が、「不当労働行為制度の趣旨、目的に照らして是認される範囲を超え、または著しく不合理であって濫用にわたると認められる」余地のないものであることは明白であるとともに、原告の人事権に積極的に容喙するものとは到底いえないものと言わなければならない。 被告は、本件救済命 たは著しく不合理であって濫用にわたると認められる」余地のないものであることは明白であるとともに、原告の人事権に積極的に容喙するものとは到底いえないものと言わなければならない。 被告は、本件救済命令において加工課長という特定のポストを指定した。確かに、一般的にいえば、労働委員会は、ある従業員を特定のポストに任命するよう命ずることは困難である。なぜなら、経営責任を負わない労働委員会が、ある当該労働者にそのポストに必要な能力や適性があるかどうか判断することはできず、かかる命令を発することは使用者の人事権に介入することとなるからである。しかしながら、本件の具体的事実関係のもとにおいては、特定ポストへの昇格を命ずることはしごく当然の結論である。本件において、不当労働行為が行われたのは加工課長への任命をめぐってのことである。そして、先に述べたとおり、Aの加工課長としての能力や適性については、原告としても敢えて争う姿勢は示さなかったものであり、かえってこれを認める発言も原告代表者は行っている。したがって、被告の命令は被告が直接Aの能力、適性を評価判断してなされたものではなく、この点は当事者間の当然の前提としてあるものと判断したうえでなされたものである。そうすると、加工課長という特定のポストを命ずることは、Aが労働組合員であるとの一点を除けば、原告のAに対する評価として決して相違するものではない。この点、仮に特定のポストでなく課長一般に命じた場合には、かえって人事権に介入する結果となる。なぜならAが加工課長以外の課長にも適任であるとの事実は認められないのであり、仮にそのような評価を被告が行ったとしても、それは原告の評価と大きく相違する可能性を否定できないからである。そして、加工課長に任命するよう命ずることが本件の救済としては最も直接的でありかつ十分 あり、仮にそのような評価を被告が行ったとしても、それは原告の評価と大きく相違する可能性を否定できないからである。そして、加工課長に任命するよう命ずることが本件の救済としては最も直接的でありかつ十分なのであって、それ以上の救済を考える必要もないのである。 また、特定ポストを命ずることにより特に限られたポストであれば、既に任命されている第三者の利益を害することになることも考えられる。しかし、これは特定ポストに対する昇格命令に限った事態ではない。一般的に、使用者が人事権を濫用して行った不当労働行為の場合には、例えば解雇であれ、配転であれ、常に同様の事態が想定される。そして、かかる場合に、既にポストがないことを理由として直接的な救済命令を発することが不可能であるとすれば、不当労働行為救済制度そのものの実効性は著しく減殺される結果となる。例えば、使用者が不当労働行為により当該従業員を排除し、直ちに当該ポストに別の従業員を発令すれば、排除された従業員はたとえ救済命令を受けても、原職に復帰することが不可能となり、著しい不利益が残ることとなるのである。敢えて言えば、使用者の不当労働行為のやり得の結果を招来するのである。かかる不当な結果を招来しないためには、救済命令により影響を受ける第三者の処遇は、不当労働行為を行った使用者の責任において処理されるべきことが当然要求されるのである。 労働委員会が個別・具体的に特定労働者の特定職位への昇格を命ずる場合、使用者の人事権として行う一定水準の能力と適性を要する地位への従業員の登用という権限を結果的に制約することになることは否定できない。しかしながら、それは不当労働行為制度の本質から来る当然の帰結である。もちろん、労働委員会としては、救済命令を発するにあたり使用者の人事権との調和に十分な配慮は必要である。しか ことは否定できない。しかしながら、それは不当労働行為制度の本質から来る当然の帰結である。もちろん、労働委員会としては、救済命令を発するにあたり使用者の人事権との調和に十分な配慮は必要である。しかし、本件における前記のような具体的事情をみるとき、原告の不当労働行為がなかったならば、Aが加工課長に任命されていたであろうことはほとんど疑いを入れないところであり、この意味で裁量権の限界事例の問題とは程遠い事件であったということができ、また、本件不当労働行為の時点では昇格すべき加工課長のポストが空席であったことも考え併せると、加工課長という特定のポストへの昇格命令は最も適切かつ当然の救済方法であったというべきである。 3 信義則違反について加工課長は、その職務権限内容、職務の実態等からみて、労働組合法二条但書一号のいわゆる使用者の利益代表者には該当しないこと明らかであり、利益が相反するとか信義則に反するとかの問題は全く生じない。 第三証拠(省略) 理由 一請求原因1の事実については、当事者間に争いがない。 二本件救済命令の適法性 1 不当労働行為の成否(一) 本件に至る経緯について当事者間に争いのない事実、成立に争いのない(原本の存在及びその成立に争いのないものも含む。)甲第一号証、乙第四号証の四、九、一三の一ないし四、三一(ただし、書き込み箇所は除く。)、三三(ただし、書き込み箇所は除く。)、三四(ただし、書き込み箇所は除く。)、第六号証の一ないし一一、二〇の一及び二、二一、三二、三三、三七、第七号証の四、一一ないし一七及び二三並びに乙第七号証の一一により真正に成立したと認められる乙第四号証の一一によれば、以下の事実が認められる。 (1) Aは、昭和五四年九月三〇日、原告の農産課長補佐に任命された後、昭和五五年七 び二三並びに乙第七号証の一一により真正に成立したと認められる乙第四号証の一一によれば、以下の事実が認められる。 (1) Aは、昭和五四年九月三〇日、原告の農産課長補佐に任命された後、昭和五五年七月一日、総務課長に任命された。しかし、Aは、当時農協労書記長及び分会長であったことから、総務課長と労働組合員とは両立しないと考え、しばらくこれを留保したが、総務課長経験者から総務課長の仕事内容や職務権限について事情を聞き、管理職としての仕事はほとんどなく、労働組合員との両立は可能と判断して右総務課長の辞令を受け取った。なお、原告と農協労との間には、昭和五一年一一月一七日、非組合員の範囲は、「参事、部長、課長、支部長」とする旨の和解協定が成立していたが、農協労は、課長職の実際の業務内容は当時想定していたものからは権限的にも大きくかけ離れたものであったとして、昭和五四年一一月一五日、原告に対し、右和解協定の破棄を通告するとともに、組合員の範囲を本所事務所内の課長、支部長待遇職、課長補佐、支所長補佐、一般職員、常用的臨時職員とする旨通告していた。 (2) その後、課長職は非組合員であるとの立場に立つ原告と、課長職は管理職ではないとの立場に立ち課長職も組合員であるとする農協労との間で、Aの組合員資格について紛争が生じ、原告は、総務課長になりながら労働組合を脱退しない場合はAを処分するとの態度を示し、原告が、Aが分会長として押印してある夏季手当の要求書は受領できないとの態度をとったため、Aはこれが原因で交渉に支障をきたすことを懸念し、Aの組合員資格について、農協労内部で結論が出るまでとりあえず農協労を脱退することにし、昭和五五年七月一九日に分会を、同月二一日に農協労をそれぞれ脱退した。 (3) 同年一一月二日、農協労の大会が開かれ、組合員の範囲に関する規 労内部で結論が出るまでとりあえず農協労を脱退することにし、昭和五五年七月一九日に分会を、同月二一日に農協労をそれぞれ脱退した。 (3) 同年一一月二日、農協労の大会が開かれ、組合員の範囲に関する規約につき、従来、労働組合法二条但書一号に該当するもの及び中央執行委員会において、除くを適当と認めたものは非組合員であるとされていたものを、中央執行委員会において、除くを適当と認めたものは非組合員である旨に改正し、昭和五六年二月七日、農協労は「中央執行委員会において、除くを適当と認めたもの」とは「参事、部長」である旨を原告に通知した。Aは、この大会の決定を踏まえ、農協労への再加入を決意し、他の課長に対しても加入呼び掛けを行い、昭和五六年一月一日、正式に加入申し込みをした。 (4) 昭和五六年二月二七日、原告は、Aに対し、和解協定により非組合員の範囲とされている課長職にありながら農協労への加入勧誘を行い、上司がかかる行為をしないよう数回注意するも従わないとの理由で、一〇日間の出勤停止処分を行った。これに対し、Aは、懲戒処分は無効であるとして、同年三月二三日、秋田地方裁判所に懲戒処分の無効確認等を求めて提訴した。提訴に伴い、原告は、訴訟に関する事務がすべて総務課の所管であるため、訴訟の当事者を総務課長にしておくことは不適当であるとして、同月三一日、Aを加工課長に配置替えした。 (5) 昭和五七年六月一日、機構改革が行われ、別紙1から別紙2のように改革された。この機構改革により、加工課が購買課に統合されたため、Aは課長待遇の購買課課長補佐に任命された。また、同時に給油課も事業課に統合され、給油課長であったCも課長待遇の事業課課長補佐となった。 (6) 昭和五九年五月一日、原告は、別紙3のとおり機構改革を行った。この機構改革により、従来の加工場と給油セン 時に給油課も事業課に統合され、給油課長であったCも課長待遇の事業課課長補佐となった。 (6) 昭和五九年五月一日、原告は、別紙3のとおり機構改革を行った。この機構改革により、従来の加工場と給油センターがそれぞれ加工課、燃料課となり、燃料課長には給油センター所長であったCが任命され、加工課長にはDが任命された。また、Aは課長待遇の加工課長補佐に任命された。 (7) 同年六月三〇日午前一〇時ころ、AがE組合長に呼ばれ役員室に行ったところ、E組合長とF参事とからD課長の定年退職に伴う後任の人事の話があり、E組合長は、加工課長としてはAは適任だと思うが、裁判が進んでいるし、いろんないきさつもあるから課長にはできないので、G購買課長を加工課長兼任にすると話した。同日午前一一時ころ、B分会長が役員室に呼ばれ、E組合長は、本来ならばAは加工課長にすべき人材であるが、多分彼は課長の辞令を交付しても労働組合を脱退しないであろうし、いま裁判の最中でもあり、理事会の確認でもあるので裁判の判決が出るまでの間は購買課長のGに加工課長を兼任してもらうという趣旨の話をした。 (8) 同年七月一日、G購買課長が加工課長を兼任した。 (9) 同年八月一三日、農協労とAは、Aが農協労を脱退しないことを理由に同人を課長に任命しないことは労働組合法七条第一号及び第三号に該当する不当労働行為であるとして、被告に対し、不当労働行為救済申立てを行った。 (10) 加工課の業務は、醤油や味噌の加工が中心であったが、その出荷量は昭和四八年ころから減少し続け、昭和五二年からは赤字になっていたところ、Aは、加工課長及び加工課長補佐時代、味噌の委託加工を開始し、また醤油についても製造機械の改善等により品質の向上を図り、新製品の開発、製造を行うなど業務の改革を行った結果、加工場の出荷量は上昇に転 Aは、加工課長及び加工課長補佐時代、味噌の委託加工を開始し、また醤油についても製造機械の改善等により品質の向上を図り、新製品の開発、製造を行うなど業務の改革を行った結果、加工場の出荷量は上昇に転じ、単年度収支も徐々に改善の方向に向かった。 以上の認定を左右する証拠はない。 (二) 加工課長の職務権限について証人H、同F及び同Aの各証言、成立に争いのない甲第二号証、原本の存在及びその成立に争いのない乙第七号証の二二及び二四並びに前記乙第四号証の三三(ただし、書き込み箇所は除く。)、三四(ただし、書き込み箇所は除く。)、第六号証の二〇の一、二、二一、三二、三三、三七、第七号証の四、一三、一五、一六及び二三によれば、以下の事実が認められる。 (1) 本件命令当時の原告の機構は別紙4のとおりであるが、原告の本所における役付職員は参事以下課長補佐までであり、これらの者は職務手当ての支給を受けている。 (2) 加工課は、加工業務及びそれに関する事項をその分掌業務とするが、加工課長は基本的な権限として、課の業務を課の職員に割当て、これを指揮監督して、業務を遂行し、その結果を参事に報告する、業務を遂行するために必要な事項を参事に提案する、支所業務目標を支所長に指示する、軽微な事項について直接支所長に職務権限を行使する、他の課長及び支所長と密接な連絡協調を保ち、業務遂行の万全を期するなどの職務権限を有している。そして、加工課の長として、人事及び労務に関しては、配属職員の担当業務決定、就業管理、賜暇、欠勤、遅刻、早退、時間外休日勤務及び出張につき決定権限を有し、所属職員の考課、季節的業務等三か月未満の臨時雇入につき立案又は検証の権限を有している。 (3) 人事異動につき管理課長を除きその他の課長が意見を求められることはほとんどなく、原告が農協労や分会と 、所属職員の考課、季節的業務等三か月未満の臨時雇入につき立案又は検証の権限を有している。 (3) 人事異動につき管理課長を除きその他の課長が意見を求められることはほとんどなく、原告が農協労や分会と団体交渉を行う際には、管理課長を除きその他の課長が出席することもほとんどなかった。 原告の職務規定には課長、支所長全員と参事及び役員で構成される企画会議が定められており、昭和五四年の職制規定では事業方針の策定や事業推進計画などを付議することとされているが、昭和五九年に職制規定が改正されてからは、付議事項が明確に規定されていない。また、この企画会議は実際に長らく開かれたことはなく、昭和六三年一月に一度開かれたことがあるのみである。 原告は、長い間人事考課を行っていなかったが、昭和五九年七月一日に人事考課取扱要領を制定施行し、昭和六三年三月から人事考課を始めた。補佐職及び一般職については、まず、課長及び支所長がそれぞれ所属の職員につき、人事考課取扱要領に定められた人事考課表に基づき、一六項目の考課要素についてaないしeの評定をして、第一次考課者の欄に記入をして参事に上申し、その後、参事が第二次考課者として評定し、専務理事に上申し、最終的な決定は組合長の権限で行われている、考課表は参事が保管しており、課長及び支所長は、所属職員の最終的な考課の結果については知らされていない。 以上の事実が認められ、右の認定を妨げる証拠はない。 (三) そこで、不当労働行為の成否について判断する。 右のような事実関係の下で、原告がAに対してとった措置が労働組合法七条一号にいう「不利益取扱」に該当するか否か、について判断する。 不利益取扱とは、合理的理由なく、労働者を組合員であること又は正当な組合活動をすることを理由に不利益な取扱をすること、すなわち、他と異なる差別的待 「不利益取扱」に該当するか否か、について判断する。 不利益取扱とは、合理的理由なく、労働者を組合員であること又は正当な組合活動をすることを理由に不利益な取扱をすること、すなわち、他と異なる差別的待遇をし、もって組合活動を弱体化させる行為であると理解される。 ところで、前記(二)の(1)、(2)の事実によれば、原告においては、加工課長は管理職としての権限も有してはいるものの、その権限は労働組合法二条但書一号にいう「雇入れ解雇昇進又は異動」に関するものではないし、「使用者の労働関係についての計画と方針とに関する機密の事項」に関するものともいえない。また、(二)の(3)で認定した事実によれば、課長職が「使用者の労働関係についての計画と方針とに関する機密の事項に接する立場」にあったということもできない。したがって、加工課長はいわゆる労働組合法二条但書一号にいう「利益代表者」には該当しないものということができる。 また、前記(一)で認定したとおり、原告は、課長職は非組合員であるとの主張を固持し、課長職にありながら組合を脱退しない場合にはAを処分するとの態度を示したり、Aが分会長として押印してある夏期手当ての要求書を受領できないとの態度をとったり、課長職にありながら農協労への加入勧誘を行い、上司がかかる行為をしないように数回注意するも従わないとの理由で一〇日間の出勤停止処分にしたこと等の事実に照らせば、原告は課長職になっても組合を止めないAを嫌悪していたものと推認される。 更に、機構改革により課長職から課長補佐になった者がAの他にもいたところ、昭和五九年五月一日の機構改革の際、他の一名はそのまま、課長補佐から課長になっているが、Aは加工課長及び課長補佐時代に業績を挙げているのにもかかわらず、課長補佐に止どまっていることなどの事実を総合すれば、 九年五月一日の機構改革の際、他の一名はそのまま、課長補佐から課長になっているが、Aは加工課長及び課長補佐時代に業績を挙げているのにもかかわらず、課長補佐に止どまっていることなどの事実を総合すれば、原告がAを課長職にしなかったのは、Aがたとえ課長になっても組合員を止めないことを理由とするものであると充分に推認することができる。 しかしながら、右事由をもって直ちに労働組合法七条一号の「不利益取扱」にあたるということはできない。 なぜなら、企業において、管理職ポストは、企業の方針貫徹のための指揮命令系統の中枢を形成し、企業の人事権に本来委ねられるべきものであるから、右のようなポストにある人物を起用しないことが当該労働者にとって「不利益取扱」であるというためには、当該労働者の保有している条件の下では、通常、そのような昇格がほぼ例外なく行われていて、そのように処遇されないことが他の労働者に比較して待遇の上で公平を欠く、というような特別の事情が必要であり(このような場合は、企業のもつ人事権の裁量ということを考慮する必要がなくなる。)、そうでない場合(右のような特別の事情がない場合)は、単に労働者の側だけから見た不利益性判断と同時に、企業の側からする合理的な人事権の行使という観点からの考察が不可欠となるからである。 本件弁論の全趣旨によれば、原告においては、課長職は勤続年数に応じて誰もが均等に昇格できるようなポストではなく、原告の理事会が当該人物の能力、適性を判断した上で、特に昇格させる上級職制たる役職であること、他方で、Aは経済的待遇の側面に関する限り、既に課長職と同一の待遇を受けているものであって、この面における不利益を伴っているものではないことが認められ、更に、加工課長職が、いわゆる「利益代表者」には該当しないとしても、その極く密接な周辺 り、既に課長職と同一の待遇を受けているものであって、この面における不利益を伴っているものではないことが認められ、更に、加工課長職が、いわゆる「利益代表者」には該当しないとしても、その極く密接な周辺部分に位置する上級職制であることは、課長職の組合員資格を巡っての原告と補助参加人組合間の前記認定のとおりの紛争の経緯からも明らかである。 そうすると、原告がAを加工課長職に起用しなかったのは、Aが組合員であり、課長になっても組合を止めないことを理由としたものではあるけれども、他方で、原告はAのそのような職場での在り方、勤務態度を上級職制たる加工課長にはふさわしくないと判断した結果であるとみることもできる。そして、原告がそのような判断をしたことの合理性について検討するのに、前記認定のとおり、課長職が組合員の範囲に含まれるかどうかについては、昭和五一年一一月一七日以来、これを非組合員とする旨の労使間和解協定が成立していたところ、昭和五四年一一月一五日、農協労が右和解協定を破棄する旨通告して以来、右の問題を巡って労使紛争が継続し、いわば労使間の懸案であったのである。そして、課長たる地位と組合員たる地位の併有、共存を主張するAの主張は、農協労の立場であるが、右主張は使用者たる原告の容認するところではなく、未だ、労使間の合意、協定に達していない事項である以上、原告が右のような状況の下で、Aを直ちに課長職たる地位に配置しなかったとしても、原告の側にとってはそれなりの合理性が存在するものと考えられる。そして、経済的側面に関する限り、Aは既に原告により課長待遇を受けているのであり、この面での不利益性を認めることはできないのであるから、結局は、Aをどのようなポストに配置し、原告の組織体の中で活動させるかの問題が残るのみとなる。そうすると、それは、本来、企業経 ているのであり、この面での不利益性を認めることはできないのであるから、結局は、Aをどのようなポストに配置し、原告の組織体の中で活動させるかの問題が残るのみとなる。そうすると、それは、本来、企業経営に責任を持つ原告の、使用者としての人事権行使に伴う裁量の範囲内のものとみることも充分に可能であるといわなければならない。 そうだとすると、原告がAに対してとった右の措置をもって直ちに労働組合法七条一号にいう不利益取扱、すなわち合理的理由なく労働者を差別待遇し、もって組合運動を弱体化させることを主たる動機とする行為というには多分に疑問があることになる。 しかし、被告は、原告がAを加工課長にしなかったことそれ自体をもって不利益取扱であるとし、その現状回復として同人を原告の加工課長に命ずる旨の救済措置をとっているので、次に、更に進んで、被告の右措置の適否についても判断する。 2 救済措置の適否についてそこで、仮に被告のように、Aを加工課長にしなかったことが不当労働行為になるとして、労働委員会としてどのような救済措置を取り得るかについて考える。 被告は、Aを原告の加工課長に直ちに任命することを不当労働行為に対する具体的救済方法として選択した。 労働委員会は、不当労働行為から生じた状態を迅速且つ直接に是正すべき機関として、個々の事案に応じた適切な是正措置を選択し、これを命ずる権限を有するものであるから、自ずから広範な裁量権を有することとなるが、また同時に、このような裁量にも、制度の趣旨、目的に由来する一定の合理的な限界が存在するものと思料される。訴訟において、労働委員会の救済命令の内容の適否が争われる場合にも、裁判所は、労働委員会の右裁量権を尊重し、その行使が右の趣旨、目的に照らして是認される範囲を超え、又は著しく不合理であって濫用にわたると認 おいて、労働委員会の救済命令の内容の適否が争われる場合にも、裁判所は、労働委員会の右裁量権を尊重し、その行使が右の趣旨、目的に照らして是認される範囲を超え、又は著しく不合理であって濫用にわたると認められるものではない限り、当該命令を違法とすべきではない(最判昭和五二年二月二三日民集三一巻一号九三頁)が、右限界を超えたものと認められる場合にはこれを違法として取消されることも又やむを得ないところである。 ところで、組織体における指揮命令系統のラインに繋がるポスト、とりわけ上級職制にどのような人物をもって充てるかは、通常、当該組織体の運営にとって最重要の位置付けを有するものと思料され、本来、その組織体の運営に責任を有する機関が、当該組織体を円滑に運営するため、自らの意思で、その責任において決定すべき人事権の行使であって、本来、使用者の専権に属すべき筋合いである。したがって、当該組織体の運営、経営について何等の最終的責任を保有する訳ではない第三者機関が、具体的ポストを指定してこれを当該企業に命ずることは、通常、当該組織体の運営、人事権に介入する結果となるのであって、ある条件の下ではそのような昇格が例外なく行われるというような特別の事情がない限り原則として許されないものと解するのが相当である。 これを本件についてみるのに、加工課長職は、前記認定のとおり、利益代表者とは言えないものの、管理職としての権限を有しており、課長職は、原告においては参事の下に一〇人の課長しか置かれてはおらず、それぞれの課長職の職責に軽重のあることを考慮に入れても、一〇課長のうちの一つにどのような人物を以て充てるかは原告にとって業務遂行上重要な人事権の行使とみざるを得ない。 また、既に述べたとおり、原告においては課長職は勤続年数に応じて誰でもが均等に昇格するようなポスト の一つにどのような人物を以て充てるかは原告にとって業務遂行上重要な人事権の行使とみざるを得ない。 また、既に述べたとおり、原告においては課長職は勤続年数に応じて誰でもが均等に昇格するようなポストではなく、原告の理事会が当該人物の能力、適性、人格その他諸々の要素を総合判断して昇格させる地位であることが認められ、その意味において加工課長を含めて原告における課長職は原告の指揮管理系統の系列における上級職制たる役職に属するものと考えられる。 かような場合、労働委員会としては、救済命令を発するとしても、組合員であることを理由として昇格につき差別してはならないことを一般的に命じることができるのが限度であり、当該企業における具体的ポストを指定した昇格命令を発することは、原告が本来専有する人事権を不当に制約するもので是認し難いという他はない。 以上によれば、本件において、被告が原告のとった措置を直ちに「不利益取扱」であるとした認定には多分に疑問があるばかりか、それに対する救済措置として前記の内容の昇格を命じたことは、原告の人事権を侵害するものであり、労働委員会としての裁量の範囲を逸脱した違法のものというほかはない。 よって、本件救済命令はいずれにせよ取り消しを免れないものである。 三以上によれば、原告の本訴請求は理由があるのでこれを認容し、訴訟費用(参加により生じた費用も含む。)については行政事件訴訟法七条、民訴法八九条、九四条後段を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官秋山賢三加々美博久川本清巌)秋地労委昭和五九年(不)第三号命令書秋田市<以下略>申立人秋田県農業協同組合労働組合代表者中央執行委員長 I申立人男鹿市<以下略>A男鹿市<以下略>被申立人男鹿市農業協同組合代表者組合長理事 E上記当事者間の秋地労 <以下略>申立人秋田県農業協同組合労働組合代表者中央執行委員長 I申立人男鹿市<以下略>A男鹿市<以下略>被申立人男鹿市農業協同組合代表者組合長理事 E上記当事者間の秋地労委昭和五九年(不)第三号事件について、当地方労働委員会は、平成元年二月一五日第五四〇回公益委員会議において、会長公益委員J、公益委員K、同L、同Mが出席し、合議のうえ次のとおり命令する。 主文 1 被申立人は、申立人Aをすみやかに加工課長に任命しなければならない。 2 申立人のその余の申立ては棄却する。 理由 第1 認定した事実 1 当事者(1) 被申立人男鹿市農業協同組合(以下「農協」という。)は、昭和四四年四月一〇日、旧脇本農業協同組合等六農業協同組合を合併して設立された法人であって、肩書地に本所を置き、本件申立時、船越、脇本、五里合、船川、男鹿中、北浦及び戸賀の各支所を有し、農協組合員に対する営農指導、農産物の加工・販売、金融、共済その他の業務を行っており、本件申立時の従業員数は一二七名である。 (2) 申立人秋田県農業協同組合労働組合(以下「農協労」という。)は、秋田県内の農業協同組合の従業員等で組織する労働組合であり、本件申立時の組合員数は二、五二五名である。また、農協労の下部組織として昭和四四年九月に男鹿市農業協同組合の従業員で組織された農協労秋田支部男鹿市分会(以下「分会」という。)があり、その組合員数は本件申立時一〇七名である。 (3) 申立人A(以下「A」という。)は、旧脇本農業協同組合に昭和四三年一二月営農指導員として採用され、昭和四四年の合併により農協の従業員となり、本件申立時は課長待遇の加工課課長補佐の職にあった。 また、Aは、分会の結成準備委員の後、昭和五一年四月一日から昭和五四年三月 二月営農指導員として採用され、昭和四四年の合併により農協の従業員となり、本件申立時は課長待遇の加工課課長補佐の職にあった。 また、Aは、分会の結成準備委員の後、昭和五一年四月一日から昭和五四年三月三一日までの組合専従期間を含め、分会長、農協労中央執行委員、農協労書記長を務めており、本件申立時は分会執行委員であった。 2 組合員の範囲に関する和解協定とその破棄通告(1) 農協労は、昭和五一年八月六日、当委員会に対し、「被申立人は申立人組合の組合員である支所長補佐、課長補佐に対し申立人組合の活動へ参加しないように要請してはならない。」ことなどを請求する救済の内容として不当労働行為救済申立てを行った。 (2) 当委員会は、この事件について三回の審問を行ったが、当事者から、別途行われた団体交渉において大筋合意が成立したので和解手続を行ってもらいたいとの意向が示され、和解手続を行った結果、昭和五一年一一月一七日和解が成立し、事件は農協労の取下げにより終結した。なお、この和解協定による非組合員の範囲は次のとおりであった。 「農協における現機構下での非組合員の範囲は次のとおりとする。 参事、部長、課長、支所長ただし、昭和五一年一二月以降、事業所長ならびに総務課長補佐の職が設けられた場合には非組合員の範囲に含めること。」(3) ところが、農協労は、この協定のうち非組合員の範囲に関する条項について、和解協定当時は課長職の業務内容が他組織にみられる通常の権限を有するものと思っていたが、その後の課長職の実際の業務内容は当時想定していたものからは権限的にも大きくかけ離れたものであったとして、昭和五四年一一月一五日、農協に対し文書で破棄通告をするとともに、組合員の範囲を本所事務所内の課長、支所長待遇職、課長補佐、支所長補佐、一般職員、常用的臨時職員とする旨通 け離れたものであったとして、昭和五四年一一月一五日、農協に対し文書で破棄通告をするとともに、組合員の範囲を本所事務所内の課長、支所長待遇職、課長補佐、支所長補佐、一般職員、常用的臨時職員とする旨通告した。 3 Aに対する総務課長発令(1) Aは、組合専従期間を終えた後の昭和五四年九月三〇日、農産課課長補佐に任命された。 昭和五五年七月一日、定期人事異動にあたり農協は、Aが部下職員の統率力や文書の起案能力に優れており、また非常に緻密な頭脳の持ち主として期待されることなどから最適任者としてAを総務課長に発令した。 しかし、Aは、当時、農協労書記長及び分会長であったことから、総務課長と労働組合員とは両立しないかもしれないと考え、農協労とも協議の上辞令を受領するかどうかを決めたいとして一週間程度の考慮期間を求めたところ、農協もこれを了解したためいったん辞令を返還した。ところが、農協は翌日辞令をA宛に郵送し、これが送り返されてくると再び送り付けた。 他方、Aは、総務課長の経験者から総務課長の仕事の内容や職務権限について事情を聞いたところ、いわゆる管理職としての仕事がほとんどないことから労働組合員との両立は可能との判断に立ち結局辞令を受け取った。 (2) 同月一四日、農協労の申し入れにより農協との間で団体交渉がもたれ、Aの組合員資格についての話し合いがなされた。席上農協労は、総務課長の辞令は受けたが労働組合は脱退しない旨の主張をし、他方農協は、和解協定の尊重を理由に課長職は非組合員の範囲であるから総務課長になった以上労働組合を脱退すべきである旨主張し、交渉は物別れに終わった。同月一六日、一七日にも引き続き分会と農協との間で団体交渉が開かれたが、両者の主張は依然として平行線をたどり、農協は、総務課長になりながら労働組合を脱退しない場合はAを処分す 交渉は物別れに終わった。同月一六日、一七日にも引き続き分会と農協との間で団体交渉が開かれたが、両者の主張は依然として平行線をたどり、農協は、総務課長になりながら労働組合を脱退しない場合はAを処分するとの態度を示すまでに至った。 4 Aの農協労脱退と再加入(1) 当時分会は、夏季手当の要求について農協と交渉していたが、農協が、Aが分会長として押印してある要求書は受け取れないとの態度をとったため、Aはこれが原因で交渉に支障をきたすことを懸念し、Aの組合員資格について農協労内部の討議で結論が出るまでとりあえず農協労を脱退することとしてその旨を農協に伝え、昭和五五年七月一九日に分会を、また、同月二一日に農協労を脱退した。 (2) 同年一一月二日、農協労の大会が開かれ、次のとおり組合員の範囲に関する規約の改正が行われた。 「(改正前)この組合の組合員は農協従業員及び中央執行委員会が認めたものをもって構成する。 但し、次のものは除く。 1 労働組合法第二条但し書第一号に該当するもの。 2 中央執行委員会において、除くを適当と認めたもの。 (改正後) この組合の組合員は秋田県内農業協同組合並関連する団体等に働く労働者及び秋田県農業協同組合労働組合の従業員さらに中央執行委員会が加入を認めたものをもって構成する。 但し、次のものは除く。 1 中央執行委員会に於いて、除くを適当と認めたもの。」昭和五六年二月七日、農協労は、「中央執行委員会に於いて、除くを適当と認めたもの」とは「参事、部長」である旨を文書により農協に通知した。 (3) Aは、この大会の決定を踏まえ、農協労への再加入を決意するとともに、昭和五五年一二月二六日、他の課長に対しても加入呼びかけを行い、昭和五六年一月一日、正式に加入申し込みをした。 5 Aに対する懲戒処分と訴訟の提起(1) 昭和五六年 労への再加入を決意するとともに、昭和五五年一二月二六日、他の課長に対しても加入呼びかけを行い、昭和五六年一月一日、正式に加入申し込みをした。 5 Aに対する懲戒処分と訴訟の提起(1) 昭和五六年二月二七日、農協は、Aに対し、和解協定により非組合員の範囲とされている課長職にありながら農協労への加入勧誘を行い、上長がかかる行為をしないよう数回注意するも従わないとの理由で「正当な理由なく上長の指示に従わない」との懲戒事由があるとして、一〇日間の出勤停止処分を行った。 (2) これに対しAは、和解協定は農協労からの破棄通告により失効しており、また、労働組合員の範囲は労働組合が自主的に決定し得ることであって使用者からの介入は許されず、しかも、農協における総務課長は名ばかりの「管理職」であって、さらには、農協がAを総務課長に任命したこと自体が、Aを農協労から切り離しかつその組合活動を封じ込めて組合の弱体化を狙った不当労働行為であったのであり、従ってAに対する「上長の指示」それ自体が違法なのであるから、それに従わないことを理由とする懲戒処分は無効であるとして、同年三月二三日、秋田地方裁判所に懲戒処分の無効確認等を求めて訴訟を提起した。 (3) 訴訟の提起に伴い、農協は、訴訟に関する事務がすべて総務課の所管であるため、訴訟の当事者であるAを総務課長にしておくことは不適当であるとして、同月三一日、Aを加工課長に配置替えした。 6 機構改革とAの異動(1) 農協は、常勤役員である組合長、専務理事と非常勤役員である副組合長の各一名と、参事を頂点とする職員により組織されているが、農協は、組合長の交替があるたびにその時点における組合長の考え方により、理事会の決定を経て機構改革を行ってきていた。 昭和四九年四月一日に当時組合長であったNは、完全な縦割りにすること れているが、農協は、組合長の交替があるたびにその時点における組合長の考え方により、理事会の決定を経て機構改革を行ってきていた。 昭和四九年四月一日に当時組合長であったNは、完全な縦割りにすることを目的として四部制を設け、昭和五一年一二月一日にはO組合長が、四部制は複雑すぎるとして二部制に変更した。 昭和五四年一〇月一日には、再び組合長になったNが、秋田県農業協同組合中央会の指導もあって、職員の掌握のためには三部制が適当であるとして機構改革を行った。この改革により、参事の下に、企画管理部、経済部及び事業部の三部が、さらにその下に企画課、総務課、経理課、金融課、共済課、農産課、購買課、農業機械課、給油課及び加工課の一〇課と七支所が置かれた。なお、機構改革後の機構図は別表一のとおりである。 (2) 次いで、昭和五七年六月一日、機構はできるだけ簡略化すべきであるというP組合長の考えにより再び二部制になった。この機構改革では課の統廃合も行われ、加工課の製品は購買課を通して流通にのせるという考えから、加工課は購買課に統合され、これまであった加工課の加工場は購買課の一部門となった。また、農業機械課と給油課、経理課と企画課、金融課と共済課が統合されるなど、従来の三部一〇課体制から企画管理部と業務部の二部の下に、管理課、総務課、組合員課、金融共済課、農産課、購買課、事業課及び配送課を置く二部八課七支所体制となった。なお、機構改革後の機構図は別表二のとおりである。 (3) この機構改革により、加工課が購買課に統合されたため、Aは、課長待遇の購買課課長補佐(加工場長)に任命された。また、同時に給油課も事業課に統合され、これまであった給油課の給油所は事業課の一部門としての給油センターとなったため、給油課長であったCも課長待遇の事業課課長補佐(給油センター所 場長)に任命された。また、同時に給油課も事業課に統合され、これまであった給油課の給油所は事業課の一部門としての給油センターとなったため、給油課長であったCも課長待遇の事業課課長補佐(給油センター所長)となった。 (4) 昭和五九年四月二二日頃、Aは、E組合長(以下「E組合長」という。)から本所2階の休憩室に呼ばれ、今度機構改革を行う予定であり、加工課ができるが、加工課長は船川港支所長のDにしたいと話された。 (5) 同年五月一日、E組合長は、専務理事、参事から直接課長に考えかたが伝わる方がよいとの考えから、部制を廃止し、七課制にする機構改革を行った。なお、機構改革後の機構図は別表三のとおりである。 この機構改革に伴い、従来の加工場と給油センターがそれぞれ加工課、燃料課となり、燃料課長には給油センター所長であったCが任命され、また、加工課長には、Dが任命された。Dは以前に加工課長を一年半程務めたことがあった。なお、同人は二カ月後の同年六月三〇日で定年退職の予定であった。 また、Aは課長待遇の加工課課長補佐に任命された。 (6) 同年六月三〇日午前一〇時頃、AがE組合長に呼ばれ役員室に行ったところ、E組合長とF参事(以下「F参事」という。)からD加工課長の定年退職に伴う後任の人事の話をされた。E組合長は、加工課長としてはAは適任だと思うが、裁判が進んでいるし、いろんないきさつもあるから課長にはできないのでG購買課長を加工課長兼任にすると話した。 続いて午前一一時頃、B分会長(以下「B分会長」という。)が役員室に呼ばれた。E組合長は、本来ならばAは加工課長にすべき人材であるが、多分彼は課長の辞令を交付しても労働組合を脱退しないだろうし、いま裁判の最中でもあり、理事会の確認でもあるので裁判の判決が出るまでの間は購買課長のGから加工課長を兼任 加工課長にすべき人材であるが、多分彼は課長の辞令を交付しても労働組合を脱退しないだろうし、いま裁判の最中でもあり、理事会の確認でもあるので裁判の判決が出るまでの間は購買課長のGから加工課長を兼任してもらうという趣旨の話をした。 (7) 同年七月一日、G購買課長が加工課長を兼任した。 (8) 同年八月一三日、農協労とAは、Aが農協労を脱退しないことを理由に同人を課長に任命しないことは労働組合法第七条第一号及び第三号に該当する不当労働行為であるとして、当委員会に対し不当労働行為救済申立てを行った。 7 不当労働行為救済申立後の経過(1) 昭和六〇年四月一五日、秋田地方裁判所は、懲戒処分を無効とする判決を言い渡した。その判決文中において、農協の総務課長はいわゆる使用者の利益代表者には当たらないとする判断が示された。 なお、農協はこれを不服として仙台高等裁判所秋田支部に控訴した。同支部は、平成元年一月三〇日、総務課長は利益代表者にあたるが、Aの行為は出勤停止の懲戒処分をするほど咎められるものではないとして、原審の結論を維持した。 (2) 昭和六〇年五月一六日の人事異動で、船越支所長補佐のQが加工課長に任命された。 (3) 同年八月二七日に開かれた本件第三回和解手続において、被申立人から本件について自主交渉を持ちたいとの意向が示され、同年九月から一〇月にかけて団体交渉が開かれたが歩み寄りはみられなかった。 (4) 昭和六一年四月二八日、定期人事異動の内示が分会にあった。その中でAは、五里合支所長補佐に発令されていたが、それまであった課長待遇の肩書が外されていた。このため、B分会長がR管理課長(以下「R課長」という。)に事務的なミスではないかと聞いたところ、R課長は、農協が共済事業の目標達成のために行った年度末の勧誘推進において、Aの実績がゼロであっ いた。このため、B分会長がR管理課長(以下「R課長」という。)に事務的なミスではないかと聞いたところ、R課長は、農協が共済事業の目標達成のために行った年度末の勧誘推進において、Aの実績がゼロであったため、課長待遇にふさわしくないとして外したと説明した。 なお、このときに実績がゼロであったのは、AのほかQ加工課長など加工課職員が三名いたが、これらの者には何ら処分はなかった。 (5) 同年五月一日、このAに対する処遇をめぐって団体交渉が開かれた。席上、分会は、年度末の共済推進にあたって、その労働条件について分会と話し合いが持たれずその取り決めがなかったことや、年度末の共済事業の推進では従来から不適切な面があったことなどから、Aは勧誘に回らなかったものであることを説明し、課長待遇をもとどおりにつけるように主張した。その後、かなり激しいやりとりとなったが、結局もとどおりに戻すことになった。 (6) 同月六日からAは、秋田市で開かれた秋田県信用農業協同組合連合会(以下「県信連」という。)主催の研修会に参加した。同月二六日、外務活動の実習の段階になって、県信連から渡された名刺に秋田市農業協同組合特別推進班と記載されていたため、Aは、男鹿市農業協同組合の職員の身分で実習を行いたいと申し出た。しかし、これが容れられなかったため実習には参加しないとして自習を申し出た。これに対し、県信連ではAの説得に努めたがAが応じなかったため、農協に連絡し、農協からE組合長が迎えに行き、Aは研修日程を残したまま帰った。 8 部制廃止後の課長の職務権限(1) 課の分掌業務については、職制規程第一二条に規定されているが、それによると人事及び労務に関する業務の分掌はおおむね次のとおりである。 ア共通事項(ア) 所属職員の就業管理に関すること。 1 職員の出張命令手続きに関す は、職制規程第一二条に規定されているが、それによると人事及び労務に関する業務の分掌はおおむね次のとおりである。 主文 ア共通事項 (ア)所属職員の就業管理に関すること。 1職員の出張命令手続きに関する事項 2職員の早出、残業及び休日勤務命令手続きに関する事項 3職員の担当業務の決定及び就業に関する事項 (イ)職員の考課に関すること。 (ウ)季節的業務等三か月未満の臨時雇入に関すること。 イ管理課 (ア)企画会議の開催に関すること。 (イ)職制及び職務管理の企画管理に関すること。 (ウ)職員配置策定に関すること。 (エ)労務管理及び教育訓練の企画に関すること。 なお、農協には本件申立時、管理課以外に、金融共済課、農産課、購買課、農機自動車課、燃料課及び加工課があり、その後生活店舗課が新設されたが、これらの課は、前記アの共通事項の業務とそれぞれの事業に関する業務のほかは、特に人事及び労務に関する業務は分掌していない。 理由 (2)職務権限については、職制規程第一四条において、次のとおり規定している。 「第一四条組合運営の責任と権限は職務権限表によって行使する。 ②前項の責任と権限はつぎの段階を経て行使する。 1立案必要な資料の整備と実行の具体案作成。 2検証内容の適否を検討し、その正しいことを証明する。 3決定最終的に決定すること。 4報告下位者が業務を行った結果を上位者に知らせる。」 また、課長の職務権限については、職制規程第二〇条において、次のとおり規定している。 「第二〇条課長の基本的な責任と権限はつぎのとおりである。 1課の業務を課の職員に割当て、これを指揮監督して、業務を遂行し、その結果を参事に報告する。 2業務を遂行するために必要な事項を参事に提案する。 3課長は支所業務目標を支所長に指示する。 4課長は軽 の業務を課の職員に割当て、これを指揮監督して、業務を遂行し、その結果を参事に報告する。 2 業務を遂行するために必要な事項を参事に提案する。 3 課長は支所業務目標を支所長に指示する。 4 課長は軽微な事項について直接支所長に課長の職務権限を行使することができる。 5 他の課長および支所長と密接な連絡協調を保ち、業務遂行の万全を期する。」さらに、権限行使の段階については、職務権限表に規定されているが、それによると、課長の人事及び労務に関する職務権限はおおむね次のとおりである。 ア共通事項① 決定の権限を有する事項(ア) 一般職員の担当業務決定(イ) 職員の就業管理(ウ) 職員の賜暇、欠勤、遅刻、早退(エ) 職員の時間外休日勤務(オ) 職員の出張② 立案又は検証の権限を有する事項(ア) 職員の考課(課長補佐以下の一般職員)(イ) 季節的業務等三か月未満の臨時雇入これらの事項のうち、①の(ア)、(ウ)、(エ)及び(オ)は、部長制の廃止を伴う機構改革により、従来の立案権から決定権に変わったものであり、また、①の(イ)及び②の(ア)は、従来明確な規定がなかったものが規定されたものである。 イ管理課① 決定の権限を有する事項(ア) 職員の服務規律の維持(イ) 職員人事カード管理② 立案又は検証の権限を有する事項(ア) 企画会議の開催(イ) 職員の配置策定(ウ) 労務管理及び教育訓練に関する企画(エ) 訴訟及び調停(オ) 職員の採用、解雇、任免、異動、休職及び役職等の事務(カ) 職員の配置及び異動(キ) 労働協約その他労務管理(ク) 職員の年次昇給、賞与及び賞罰(ケ) 職員の特別昇給、昇給停止及び昇格(課長補佐以下の一般職員)(コ) 臨時雇入、三か月以上の雇入これらの事項のうち、2の(ア)、(エ)、(オ)、(ケ) (ク) 職員の年次昇給、賞与及び賞罰(ケ) 職員の特別昇給、昇給停止及び昇格(課長補佐以下の一般職員)(コ) 臨時雇入、三か月以上の雇入これらの事項のうち、2の(ア)、(エ)、(オ)、(ケ)及び(コ)は部長制の廃止を伴う機構改革により、従来、部長、参事あるいは他課長の権限であったものが管理課長の権限となったものであり、また、②の(キ)は、従来明確な規定がなかったものが規定されたものである。 (3) 管理課長は、人事異動の際には自ら原案を作成し、組合長、専務理事、参事らとともに協議を行い、決定に参画する。しかし、その他の課長が意見を求められることはほとんどない。 (4) 各課長間には上下関係はなく、また支所長とも同格という取り扱いがなされている。 (5) 農協が農協労や分会と団体交渉を行う際には、組合長、専務理事、参事及び管理課長は出席するが、その他の課長が出席することはほとんどなかった。 (6) また、農協の職制規程には、課長、支所長全員と参事及び役員で構成される企画会議が定められており、昭和五四年の職制規程では事業方針の策定や事業推進計画などを付議することとされているが、昭和五九年に職制規程が改正されてからは、付議事項が明確に規定されていない。また、この企画会議は実際には長らく開かれたことはなく、昭和六三年一月に一度開かれたことがあるのみである。 9 人事考課(1) 農協では、昭和四四年に人事規程を制定し、その中に人事考課を行う旨の規定もあったが、その細目の取り扱いを定める人事考課取扱要領が制定されなかったこともあって、実際には長い間行われていなかったが、昭和五九年七月一日に人事考課取扱要領を制定施行し、昭和六一年三月から人事考課を始めた。 (2) 人事考課の権限は、職制規程の職務権限表によれば、課長以上の役付職員については、参事 れていなかったが、昭和五九年七月一日に人事考課取扱要領を制定施行し、昭和六一年三月から人事考課を始めた。 (2) 人事考課の権限は、職制規程の職務権限表によれば、課長以上の役付職員については、参事が立案をし、常勤理事が検証をした後、組合長が決定することとされており、また、一般職員については、課長、支所長が立案をし、参事が決定をすることとされている。 一方、人事規程の第二二条によれば、人事考課は第一次及び第二次に区分して行うこととされており、参事と補佐職を除いた管理職については、参事ないし専務理事が第一次考課者、組合長または副組合長が第二次考課者であって、組合長が調整者と評語決定者を兼ねている。また、補佐職及び一般職については、課長または支所長が第一次考課者、参事が第二次考課者であって、専務理事が調整者、組合長が評語決定者となっている。 このように、補佐職及び一般職については、職制規程の職務権限表と人事規程にくい違いがある。 (3) 実際の人事考課の状況をみると、補佐職及び一般職については、まず、課長及び支所長がそれぞれ所属の職員について第一次考課を行っている。その方法は、人事考課取扱要領に定められた人事考課表に基づき、一六項目の考課要素についてaないしeの評定をして、第一次考課者の欄に記入をして参事に上申し、その後、参事が第二次考課として、同じ人事考課表の第二次考課者の欄に同様の評定を行い、専務理事に上申している。最終的な決定は組合長の権限で行われている。なお、考課表は参事が保管しており、課長及び支所長は所属の職員以外の職員の考課状況については全く関知していないし、所属の職員についても最終的な考課の結果については知りえない。 10 加工課及び加工場の状況の推移(1) Aは、昭和五六年三月三一日に、昭和五四年から加工課長を務めていたD ては全く関知していないし、所属の職員についても最終的な考課の結果については知りえない。 10 加工課及び加工場の状況の推移(1) Aは、昭和五六年三月三一日に、昭和五四年から加工課長を務めていたDの後任として加工課長に就任した。その後、機構改革により加工課が購買課に統合され、それから再び加工課が設けられたが、加工場が本所建物の外にあることから、昭和六一年五月一日に五里合支所長補佐を命じられるまで、購買課課長補佐、加工課課長補佐ではあっても、加工場長として加工場の統括責任者の立場にあった。 (2) 加工課の業務は、醤油や味噌の加工が中心であったが、その出荷量は、昭和四八年からオイルショックの影響もあって減少し続けていた。このため、加工場の単年度収支も、昭和五二年からは赤字となり、理事会では加工場を廃止すべきとする意見が出されるまでになった。 (3) Aは、加工課長になると、味噌の委託加工を開始し、また醤油についても製造機械の改善等により品質の向上を図るなど、業務の全般的な改革を行った。また、新製品として、「味ひょうたん」や「浅漬三味」などの開発、製造も行った。 この結果、加工場の出荷量は上昇に転じ、単年度収支も徐々に改善の方向に向かった。 第2 判断 1 農協労の救済申立資格について被申立人は、次のとおり主張する。 農協の本所の課長は、その職務上の義務と責任とが農協労の組合員としての誠意と責任とに直接てい触する監督的地位にある労働者といいうるから、課長の参加を許す農協労は労働組合法にいう労働組合ではなく、労組法上の救済を申し立てる資格はない。 以下、判断する。 農協労が、昭和五五年一一月二一日の大会において組合規約を改正し、組合への参加を許されない者の範囲を「中央執行委員会に於いて除くを適当と認めたもの」と改めたことは、第1、4、(2 以下、判断する。 農協労が、昭和五五年一一月二一日の大会において組合規約を改正し、組合への参加を許されない者の範囲を「中央執行委員会に於いて除くを適当と認めたもの」と改めたことは、第1、4、(2)認定のとおりである。また、これより農協の本所課長は組合加入資格を有するものとされ、現在に至っていることは当事者間に争いはない。 ところで、不当労働行為の救済申立てをする労働組合が、申立ての適格性としての自主性を保有しているかどうかは、当該組合が使用者からの「自主性」に欠けているかどうかの実質的審査によって決せられるべきことである。本件において、「職務上の義務と責任とが農協労の組合員としての誠意と責任とに直接てい触する監督的地位にある労働者」と被申立人が主張する「本所課長」が農協労に加入している事実はない。 よって当委員会は、農協労の現行組合規約上、組合加入を認められている者が労働組合法第二条但書第一号に該当するか否かにかかわらず、農協労が労働組合法第二条に定める労働組合として救済申立ての適格性を有すると認めるものである。 2 Aを加工課長に任命しなかったことについて(1) 申立人らは、次のとおり主張する。 イ被申立人は、昭和五九年六月三〇日、加工課のD課長が定年退職することに伴い、その後任を任命するに至り、申立人Aに対し、同人が「農協労に加入しているから課長にはできない」旨言明した。同人は、処分はされたが、現に労働組合に入りながら加工課長をやってきた実績もあり、労働組合の組合員であることと加工課長につくこととは少なくとも矛盾しない旨主張したが、農協組合長らはこれに耳をかさず、「課長は管理職」との、あいも変わらぬ口実を放ち出してあくまでAを加工課長職に就かせない態度に終始した。農協のAに対するかかる措置は、先に農協が、Aを名ばかりの管理職 協組合長らはこれに耳をかさず、「課長は管理職」との、あいも変わらぬ口実を放ち出してあくまでAを加工課長職に就かせない態度に終始した。農協のAに対するかかる措置は、先に農協が、Aを名ばかりの管理職である総務課長に任命することによって農協労からの脱退を強要し、これに従わないとなるや懲戒処分までした攻撃とは逆に、農協労の組合員にとどまっていることを理由として総務課長以上に管理職的色彩のない加工課長への任命を敢えてしないというものであって、農協労が自らの自主的な判断によって課長職も組合員の範囲として組織力の拡大を図ることを妨害し、もって農協労への支配介入をなさんとする労組法第七条第三号の不当労働行為である。また、申立人Aに対し、同人が労働組合の組合員であることを理由とする不利益取扱いであって同法第七条第一号の不当労働行為である。 ロ被申立人は、被申立人農協が昭和五九年五月一日をもって機構改革し、それまであった部制を廃止して七課七支所制を採用し、参事の下に七課の課長が直結する機構となったから、課長は、機構改革以前と比較して益々監督的地位=使用者の利益代表者としての性格が強くなった旨主張する。 しかしながら、被申立人農協において部長制が廃止されたのは、以前から、機構図上はあるものの、部長・参事が兼務であったり、交互に空席であったりしたことがたびたびで、参事のほかに部長を置くことの実質的意味がなかったため、その現状に機構を符合させただけのことであって、部長制廃止により、その権限が課長や支所長に降りたというものでは決してない。実際この機構改革後の人事異動においても、課長・支所長は異動を決するための協議には全く加えられず、参事・専務・組合長の三役のみで(とりわけ組合長のワンマン的権限で)決せられているのが実情であり、人事異動という、労働者の地位・身 おいても、課長・支所長は異動を決するための協議には全く加えられず、参事・専務・組合長の三役のみで(とりわけ組合長のワンマン的権限で)決せられているのが実情であり、人事異動という、労働者の地位・身分を決定する上で極めて重要な場面において、課長にはなんら直接的権限がないことは、部長制廃止の前も後も変わりはない。 (2) 他方、被申立人は、次のとおり主張する。 イたとえ特定の労働者に対する不利益取扱いであってもその差別に合理的な理由がある限り、不当とはいえないから不当労働行為にあたらない。申立人Aは、被申立人農協の管理職である課長職への昇進を求めながら、たとえ課長に任命されても申立人労組の組合員の地位に止どまり、労組員として労働運動に従事する態度を極めて旗幟鮮明にしている者である。仮に被申立人農協が申立人Aを課長職に任命した場合、申立人Aとしては、課長職としての職務上の義務と責任とが申立人労組の組合員としての誠意と責任とに直接てい触する立場に立たされることは疑いない。 このように、当初から使用者の監督的地位と労働組合の組合員の立場が相反する二つの地位に止どまることを明らかにしている者、いわば二足の草鞋を履く態度をとり続けている申立人Aに対して、被申立人農協が課長職に任命しないことは、単なる労組員であることの故をもって不利益な取扱いをしているのではなく、十分合理的な理由のあることであり、不当労働行為にあたらない。 ロまた、被申立人農協では、昭和五九年五月一日をもって機構を改革し、それまで存置していた部制を廃止し七課七支所制を採用して現在に至っている。すなわち、本所においては、役員を除けば、参事を頂点としてその下に七課の課長が直結する機構となっている。そして、職務権限表によれば、本所の課長は、その職務上の義務と責任とが申立人労組の組合員として すなわち、本所においては、役員を除けば、参事を頂点としてその下に七課の課長が直結する機構となっている。そして、職務権限表によれば、本所の課長は、その職務上の義務と責任とが申立人労組の組合員としての誠意と責任とに直接てい触する監督的地位にある労働者といいうる。 (3) 以下、判断する。 被申立人における課長制の職務権限は、第1、8認定のとおりである。 まず、各課長に共通の職務権限について検討する。 各課長に共通の職務権限として決定権を有する事項は、第1、8、(2)、ア、①認定のとおりであるが、これらは、各課の業務を円滑に行うため当然に行われるべきものであって、労働組合法第二条但書第一号にいう「雇入解雇昇進又は異動」に関するものではないし、「使用者の労働関係についての計画と方針とに関する機密の事項」でもない。 次に、立案権を有する事項は、第1、8、(2)、ア、②認定のとおりであるが、このうち、職員の考課については、第1、9認定のとおりである。これによれば、課長は所属の職員についてその責任により第一次考課をしている事実は認められるが、その後参事の第二次考課を経て、最終的な決定は組合長の責任で行われており、また、課長は人事考課の最終的な結果を知りえないことからも、課長の考課は人事考課における一資料として評価されるにとどまり、課長が人事考課について実質的な決定権を有しているとはいえない。同様に立案権を有する事項である季節的業務等三か月未満の臨時雇入についても、決定がなされるに際しての補助的な権限を有するにすぎないと考えられる。 また、職制規程上の会議として企画会議があるが、これは職制規程上はあるものの、第1、8、(6)認定のとおり実際には長らく開かれておらず、また、昭和六三年になって一度開かれた同会議も、本件審問の全趣旨からすると、本来の 会議として企画会議があるが、これは職制規程上はあるものの、第1、8、(6)認定のとおり実際には長らく開かれておらず、また、昭和六三年になって一度開かれた同会議も、本件審問の全趣旨からすると、本来の企画会議の実態を有するか疑問があり、この会議に出席することで「使用者の労働関係についての計画と方針に関する機密の事項」に接するとは考えられない。 さらに、第1、8、(3)認定のとおり、人事異動にあたって各課長がその意見を求められることはほとんどなく、もちろん、その決定に参画することもない。 次に、各課長特有の職務権限であるが、人事及び労務に関する業務は、第1、8、(1)認定のとおり、管理課の分掌とされており、その他の各課はこれを分掌していない。そこで、管理課長に特有の職務権限について検討する。 第1、8、(2)、イ認定の職務権限からすると、管理課長独自の職務権限のうち決定権を有するものはわずかであり、人事及び労務に関しても立案権を有するのみである。しかし、第1、8、(3)認定のとおり、人事異動に際して管理課長は、組合長、専務理事及び参事らとともにその協議、決定の場に参画していることが認められる。また、管理課は、人事及び労務に関する業務を分掌する唯一の課であり、第1、8、(5)認定のとおり、管理課長は団体交渉にも被申立人側として出席している。さらに第1、8、(2)、イ認定のとおり、部長制の廃止に伴い、管理課長の権限は職制規程上かなり強化されている。 以上を総合して判断すれば、管理課長は、その職務権限などからみて、「使用者の労働関係についての計画と方針とに関する機密の事項に接し、そのためにその職務上の義務と責任とが労働組合の組合員としての誠意と責任とに直接にてい触する監督的地位にある労働者その他使用者の利益を代表する者」であると認めることがで とに関する機密の事項に接し、そのためにその職務上の義務と責任とが労働組合の組合員としての誠意と責任とに直接にてい触する監督的地位にある労働者その他使用者の利益を代表する者」であると認めることができる。しかし、その他の課長については、労働組合法第二条但書第一号に規定する「雇入解雇昇進又は異動に関して直接の権限をもつ監督的地位にある労働者」であると認めることはできないし、かつ、「使用者の労働関係についての計画と方針とに関する機密の事項に接し、そのためにその職務上の義務と責任とが労働組合の組合員としての誠意と責任とに直接にてい触する監督的地位にある労働者その他使用者の利益を代表する者」であると認めることもできない。 したがって、被申立人が、加工課長の地位は労働組合の組合員としての地位と相入れないものであるからAを加工課長に任命できないとしたことには合理的な理由がない。 3 結論以上のとおり、被申立人の加工課長職は労働組合と両立しうる地位であり、ほかに被申立人がAを加工課長に任命できないとする具体的理由はない。したがって、被申立人がAを加工課長に任命しなかったのは、Aが労働組合の組合員であることないしは労働組合の組合員であり続けることを理由とした不利益取扱いであり、これは労働組合法第七条第一号に該当する不当労働行為である。また、これは同時に、農協労の組織拡大を妨げ、その組織力に動揺を与える支配介入行為であり、労働組合法第七条第三号に該当する不当労働行為である。 4 救済方法について(1) 救済の利益について被申立人は、次のとおり主張する。 不昇格または昇格の停止の場合は、当該組合員が、一応、昇格のための最低基準を充たしている場合にもポストとの関係上昇格者が限定される比較的上級の職制の場合、会社の人事権との関係で微妙な問題を生ずるとされ 昇格または昇格の停止の場合は、当該組合員が、一応、昇格のための最低基準を充たしている場合にもポストとの関係上昇格者が限定される比較的上級の職制の場合、会社の人事権との関係で微妙な問題を生ずるとされており、現在被申立人においては職制上、参事のすぐ下に八課長しか置いておらず、ポストの関係上昇格者が限定されていて、正に微妙な問題といわなければならない。この場合、救済方法としては精々「課長と同待遇にせよ」というしかないのであり、Aは現在課長職待遇を受けているのであるから、Aを「課長と同待遇にせよ」という救済の申立はその利益がなく却下さるべきものである。 以下、判断する。 確かに、Aは、課長職を退いた後も、課長職待遇であったのであり、経済的不利益を被ったという事実は認められない。しかしながら、Aが、課長職に就くことによって得べき職務上の期待感や社会的使命感の発揮等の機会を失うという精神的不利益を被ったであろうことは容易に推認できるのであって、救済の利益がないとする被申立人の主張は認められない。 (2) 不当労働行為救済命令と人事権との関係について被申立人は、次のとおり主張する。 使用者がその雇用する労働者を積極的にいかなる部署に就けていかなる職務に従事せしめるかは、当該使用者が企業を円滑に運営するためその責任においてなす人事権の行使にほかならないのであって、使用者の専権に属し、裁判所あるいは労働委員会を含めた行政機関においてもこれを強制することは許されない。もとより、現行法上、使用者の人事権の行使が司法機関あるいは行政機関によって制約を受ける場合がないわけではない。ある労働者に対する解雇が無効とされ、あるいは転勤の発令が取り消されるなどがその例である。しかし、これらの例で仮に解雇が無効とされ転勤の発令が取り消されたとしても、その結果は、使用者 いわけではない。ある労働者に対する解雇が無効とされ、あるいは転勤の発令が取り消されるなどがその例である。しかし、これらの例で仮に解雇が無効とされ転勤の発令が取り消されたとしても、その結果は、使用者が一旦よしとしてなした旧の人員配置に戻るだけのことであって、この意味において使用者の意思とは全く無関係ではない。しかしながら、本件においては、これら使用者の人事権の行使が消極的に制約をうけるものとは異なり、積極的に容喙するものである。 およそ企業は、人的および物的設備によって構成される。これらを如何に有効に配置し企業を発展せしめるかは、使用者に課せられた経営責任であり、司法機関や行政機関がその責任を負うものではない。本件において、申立人らは、申立人Aを課長に任命しなければならない旨の命令を求めている。もし申立人Aに対する課長への任命が許容されるならば、当然他の労働者に対する申立ても許容されなければならない。もし、被申立人が雇用する多数の労働者が吾こそは課長の能力ありと称して裁判所なり地方労働委員会なりに救済を申立てたらどうなることであろう。その結果は、経営責任を負わない他の機関が企業の運営上不可欠な人事権を行使するということとなり、その誤りは一目瞭然である。 以下、判断する。 第1、6、(6)認定の組合長の発言と、第1、6、(7)認定の購買課長の加工課長兼任の事実を合わせ考えると、この時点では被申立人が加工課長の適任者としてはA以外には考えていなかったことがうかがわれ、Aが農協労を脱退しさえすれば、加工課長に任命されていたであろうことは容易に推認できるのであって、Aを加工課長に任命するよう命ずることは被申立人のいう「使用者の意思」に反するものではないと考える。したがって、加工課長への昇格を命ずることは被申立人の人事権に積極的に容喙するもので るのであって、Aを加工課長に任命するよう命ずることは被申立人のいう「使用者の意思」に反するものではないと考える。したがって、加工課長への昇格を命ずることは被申立人の人事権に積極的に容喙するものではなく、その人事権を不当に制約することにはならない。 さらに、労働委員会が救済措置として昇格を命ずるのは、使用者の行為が不当労働行為であると認めるからであって、申立人の能力の有無を直接的に判断した結果ではない。したがって、労働委員会の救済命令が使用者の人事権を制約することはあっても労働委員会が人事権を行使したということにはならない。 確かに、企業内における人的、物的設備の配置は使用者の経営責任において行われることである。しかし、使用者の行為が不当労働行為である以上その救済として労働委員会が相当と認める措置を命じ得ることはいうまでもなく、本件のような昇格させないという不利益取扱いに対しては昇格を命ずることが不当労働行為からの救済として適切な措置である。 (3) 救済の範囲について申立人は、Aを課長一般に任命しなければならないとの救済を求めている。しかしながら、これまでの事実認定及び判断のとおり、本件不当労働行為は被申立人が労働組合の組合員であることないしは労働組合の組合員であり続けることを理由としてAを加工課長に昇格させなかったというものであり、これに対する救済としては、被申立人に対しAを加工課長に任命するよう命ずることで必要かつ十分な措置である。 なお、申立人は将来にわたる不作為命令及び誓約文の掲示も求めるが、本件における救済としては主文の範囲で相当と判断する。 第3 法律上の根拠以上の次第であるから、労働組合法第二七条及び労働委員会規則第四三条を適用し、主文のとおり命令する。 平成元年二月一五日秋田県地方労働委員会会長 J(印) で相当と判断する。 第3 法律上の根拠以上の次第であるから、労働組合法第二七条及び労働委員会規則第四三条を適用し、主文のとおり命令する。 平成元年二月一五日秋田県地方労働委員会会長 J(印)別表1~3(省略)別紙1<03706-001>別紙2<03706-002>別紙3<03706-003>別紙4<03706-004>

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