平成26年9月12日判決言渡平成25年(行ウ)第323号タクシー事業計画変更認可申請に対する処分取消等請求事件 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求の趣旨 1 主位的請求(1) 国土交通省関東運輸局東京運輸支局長(以下「東京運輸支局長」という。)が平成24年12月6日付けで原告に対してした一般乗用旅客自動車運送事業の事業計画変更の認可申請を却下する旨の処分(以下「本件却下処分」という。)を取り消す。 (2) 東京運輸支局長が平成25年4月26日付けで原告に対してした一般乗用旅客自動車運送事業の事業計画変更の認可申請の認可処分(以下「本件条件付認可処分」という。)のうち別紙2の条件を付した部分を取り消す。 2 予備的請求東京運輸支局長が平成24年12月6日付けで原告に対してした一般乗用旅客自動車運送事業の事業計画変更の認可申請を却下する旨の処分(本件却下処分)が無効であることを確認する。 第2 事案の概要等本件は,タクシー(一般乗用旅客自動車運送事業(道路運送法3条1号ハの一般乗用旅客自動車運送事業をいう。以下同じ。)を経営する者がその事業の用に供する自動車でハイヤー以外のものをいう。以下同じ。)を使用して一般乗用旅客自動車運送事業(以下このような一般乗用旅客自動車運送事業を 「タクシー事業」ということがある。)を経営する原告が,特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法(平成25年法律第83号による改正前のもの(旧題名は特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法)。以下「特措法」という。)3条1項の規定により指定された地域(以下「特 5年法律第83号による改正前のもの(旧題名は特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法)。以下「特措法」という。)3条1項の規定により指定された地域(以下「特定地域」という。)である東京都青梅市(以下,東京都内の市町村を記載する際には,「東京都」の記載を省略する。),福生市,あきる野市及び羽村市並びに西多摩郡α町,β町,γ町及びδ村の区域(「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く。)の許可申請の審査基準について」(平成13年11月22日付け国土交通省関東運輸局長(以下「関東運輸局長」という。)公示。乙21)の別表の「都県名」欄の「東京都」欄のうち「営業区域の名称」欄中「西多摩交通圏」(「区域」欄に「青梅市,福生市,あきる野市,羽村市及び西多摩郡α町,β町,γ町,δ村」との記載があるもの)。以下「西多摩交通圏」という。)を営業区域として,東京運輸支局長(東京運輸支局長は,国土交通大臣から道路運送法88条2項(平成25年法律第83号による改正前のもの)及び道路運送法施行令1条2項(平成26年政令第16号による改正前のもの)の各規定に基づき,一般乗用旅客自動車運送事業に係る事業計画の変更の認可に係る権限を委任された関東運輸局長から,同法88条3項及び同令1条4項1号の各規定に基づき,同権限の委任を受けているものである。以下同じ。また,国土交通大臣及び法令の規定によりその権限の委任を受けた地方運輸局長又は地方運輸支局長を総称するときは,以下「国土交通大臣等」という。)に対し,特措法15条1項及び道路運送法15条1項の各規定に基づき,①平成24年8月27日付けで原告の唯一の営業所である本社営業所に配置する事業用自動車のうち一般車両タクシー(タクシーのうち営業区域内の一般の需要に応ずる 及び道路運送法15条1項の各規定に基づき,①平成24年8月27日付けで原告の唯一の営業所である本社営業所に配置する事業用自動車のうち一般車両タクシー(タクシーのうち営業区域内の一般の需要に応ずることができるものをいう。以下同じ。)の数を19台から22台に増加させる旨の事業計画 の変更の認可を求める旨の申請(以下「本件一般車両増車申請」という。)を,②平成25年4月15日付けで原告の本社営業所に配置する事業用自動車のうちいわゆる福祉車両の数を1台から2台に増加させる旨(いわゆるユニバーサルデザインタクシー(以下「UDタクシー」という。)を1台追加するもの)の事業計画の変更の認可を求める旨の申請(以下「本件福祉車両増車申請」という。)をそれぞれしたところ,東京運輸支局長から,(a)平成24年12月6日付けで本件却下処分を,(b)平成25年4月26日付けで本件条件付認可処分をそれぞれ受けたため,東京運輸支局長の所属する国を被告として,主位的に,(あ)本件却下処分及び本件条件付認可処分のうち条件を付した部分をいずれも取り消すことを求めるとともに,予備的に,(い)本件却下処分が無効であることの確認を求める事案である。 1 関係法令の定め関係法令の定めについては,別紙3「関係法令の定め」に記載のとおりである(なお,同別紙で定めた略称は,以下においても用いることとする。)。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実,括弧内掲記の証拠若しくは弁論の全趣旨により容易に認定することができる事実又は当裁判所に顕著な事実。以下「前提事実」という。)(1) 原告原告は,平成15年4月3日付けで,関東運輸局長から,西多摩交通圏を営業区域とする一般乗用旅客自動車運送事業の許可を受け,同年6月1日から同交通圏内においてタクシー事業を経 う。)(1) 原告原告は,平成15年4月3日付けで,関東運輸局長から,西多摩交通圏を営業区域とする一般乗用旅客自動車運送事業の許可を受け,同年6月1日から同交通圏内においてタクシー事業を経営する株式会社である。 (2) 特措法制定までの経緯ア道路運送法の改正と緊急調整措置の創設道路運送法は,従前,一般旅客自動車運送事業について,需給調整規制(政府が輸送需要に対して適切な車両数を算出し,それにより新規の免許及び増車の認否をするもの。以下同じ。)を前提として免許制を採用して いたが(平成12年改正前の道路運送法4条1項),平成12年改正により,上記の需給調整規制が廃止されて,一般旅客自動車運送事業の経営につき免許制から許可制に移行する(平成12年改正後の道路運送法4条1項)などの大幅な規制の緩和がされ,新規事業者の参入や営業所に配置する事業用自動車の数を増加させること(以下単に「増車」ということがある。)による事業の拡大が容易となった。 もっとも,事業者が安易に増車をした結果,タクシーにより供給される輸送力がタクシーに係る輸送需要量に対し著しく過剰になれば,歩合給を中心とする賃金の体系(なお,タクシーの運転者の賃金は,基本的には歩合給の割合が高いのが通常である。)の下では,タクシーの運転者において,その収入を確保するため,乗務距離の増加,長時間の労働による過労運転,最高速度違反行為,不正な運賃の収受等を行うといった事態が生じかねず,労働条件の悪化等によって輸送の安全及び旅客の利便を確保することが困難となることが懸念されたため,平成12年改正においては,上記需給調整規制を廃止する一方で,新たに緊急調整措置の制度を創設し(道路運送法8条),国土交通大臣において,タクシー事業の供給輸送力が輸送需要量に対し著しく過剰 たため,平成12年改正においては,上記需給調整規制を廃止する一方で,新たに緊急調整措置の制度を創設し(道路運送法8条),国土交通大臣において,タクシー事業の供給輸送力が輸送需要量に対し著しく過剰となっている場合であって,当該供給輸送力が更に増加することにより,輸送の安全及び旅客の利便を確保することが困難となるおそれがあると認められる地域を,期間を定めて緊急調整地域として指定することができ(同条1項),当該指定がされたときは,新規の参入や増車は禁止されるものとした(同条3項及び4項)。 イ特別監視地域の指定の取扱い緊急調整措置(道路運送法8条)は,前記アに述べたとおり,権利を制限する性格が極めて強い規制であることから,国土交通省は,国土交通大臣が同条1項の規定により緊急調整地域の指定をしなければならないような事態が生じることを事前に抑止することを目的とする予防的な措置とし て,特別監視地域の指定の取扱い(地方運輸局長は,タクシー事業の供給輸送力が輸送需要量に対し過剰となっている兆候のある地域を特別監視地域に指定することができ,同地域においては,特に事故,法令違反又は利用者からの苦情の多い事業者,新規事業者及び増車実施事業者について重点的に監査を実施するとともに,行政処分及び点数制の点数の付加について厳格化するなどの措置を講ずるもの)をすることとした(「緊急調整措置の発動要件等について」(平成13年10月26日付け国自旅第102号国土交通省自動車交通局長通達。乙5)及び「特別監視地域の発動要件等について」(同年12月27日付け関東運輸局長公示。乙6))。 ウ特定特別監視地域及び準特定特別監視地域の各指定の取扱い平成18年6月以降,タクシー事業に関して,全国の多くの営業区域においてタクシーの運転者の労働条件の改善を主 東運輸局長公示。乙6))。 ウ特定特別監視地域及び準特定特別監視地域の各指定の取扱い平成18年6月以降,タクシー事業に関して,全国の多くの営業区域においてタクシーの運転者の労働条件の改善を主な目的として運賃等の変更の認可の申請がされたが,このうち特別区,武蔵野市及び三鷹市を営業区域とするもの(以下「特別区・武三交通圏」という。)の運賃の変更に関し,物価安定政策会議(昭和44年5月20日付けの閣議決定により内閣府本府等に置かれ,消費者庁の発足に伴って平成21年8月25日付けの閣議決定により廃止されたもの)における議論の中で,平成12年改正により規制が緩和された後,タクシーの供給の拡大がタクシーの運転者の労働条件の悪化等を生み,これが輸送の安全及び旅客の利便の維持という観点から大きな問題となっていることが指摘された(乙7)。 この指摘を踏まえ,国土交通省は,地方運輸局長が平成19年度に特別監視地域を指定する際,試行的な措置として,特別監視地域として指定した地域のうち一定の営業区域を「特定特別監視地域」に,また,平成18年度に特別監視地域として指定したが平成19年度に特別監視地域として指定しなかった地域のうち一定の営業区域を「準特定特別監視地域」にそれぞれ指定し,これらの地域においては,新規の参入や増車に際して事業 者にタクシーの運転者の労働条件等に関する計画の提出等を求めるなど,タクシーの著しい供給過剰を未然に防止するための各種施策を講ずることとした(「特定特別監視地域等において試行的に実施する増車抑制対策等の措置について」(平成19年11月20日付け国自旅第208号国土交通省自動車交通局長通達。乙8)及び「平成19年度の特別監視地域の指定に伴い試行的に実施する増車抑制対策等の措置について」(同日付け関東運輸局長,東京 成19年11月20日付け国自旅第208号国土交通省自動車交通局長通達。乙8)及び「平成19年度の特別監視地域の指定に伴い試行的に実施する増車抑制対策等の措置について」(同日付け関東運輸局長,東京運輸支局長,関東運輸局神奈川運輸支局長,同埼玉運輸支局長,同群馬運輸支局長,同千葉運輸支局長,同茨城運輸支局長,同栃木運輸支局長及び同山梨運輸支局長公示。乙9))。 エ特別監視地域の指定要件の変更等「物価問題に関する関係閣僚会議」(平成5年8月24日閣議口頭了解により,長期及び短期にわたる物価安定対策に関する重要問題について協議することを目的として随時開催するものとされるもの)において,特別区・武三交通圏のタクシーの上限運賃の改定に関し,タクシー事業をめぐる諸問題について早急に検討するものとされたことを受け,国土交通大臣は,交通政策審議会(国土交通省設置法6条1項の規定に基づいて国土交通省本省に置かれた審議会)に対し,運賃の改定を契機として提起されたタクシー事業をめぐる諸問題について諮問したところ,同審議会陸上交通分科会自動車交通部会に「タクシー事業を巡る諸問題に関する検討ワーキンググループ」が設置されることとなり,同グループにおいて検討がされる中で,特別監視地域の指定の基準について,ある地域がタクシーの供給が過剰である状態にあったとしても,需給の状況が直近で大きく悪化していない場合や長期にわたって緩やかに悪化している場合については,当該地域が特別監視地域に指定されないなどの問題がある等の問題点が指摘された(乙10)ため,平成20年7月11日,特別監視地域について,より実態に即した指定がされるよう,新たな特別監視地域の指定の基準とし て,需給調整規制を行っていた最終年度である平成13年度の日車実車キロ(実車キロ(旅客を運送し ,特別監視地域について,より実態に即した指定がされるよう,新たな特別監視地域の指定の基準とし て,需給調整規制を行っていた最終年度である平成13年度の日車実車キロ(実車キロ(旅客を運送した総キロ数をいう。)÷延実働車両数(稼働したタクシーの年間延べ車両数をいう。)により算出されるもの。以下同じ。)及び日車営収(運送収入(旅客運送による総収入をいう。)÷延実働車両数により算出されるもの。以下同じ。)との比較を追加するなどの見直しが行われた(「『緊急調整地域の指定等について』及び『特定特別監視地域等において試行的に実施する増車抑制対策等の措置について』の一部改正について」(同日付け国自旅第148号国土交通省自動車交通局長通達。乙11)及び「緊急調整地域の指定等について」(同日付け関東運輸局長公示。乙12))。 (3) 特措法の成立ア交通政策審議会の答申交通政策審議会陸上交通分科会自動車交通部会内に置かれた「タクシー事業を巡る諸問題に関する検討ワーキンググループ」は,平成20年2月8日から同年12月5日までの間に合計13回開催され,同グループにおいて,各地域の状況を多角的な視点で把握することに努めつつ,タクシー事業が果たすべき役割,タクシー事業が抱える問題の所在とその原因,これらの諸問題への対応策等について,幅広い視点から検討が行われた。交通政策審議会は,同月18日,現時点で必要と考えられる対策を「タクシー事業を巡る諸問題への対策について」(乙14。以下「本件答申」という。)として取りまとめ,これを国土交通大臣に答申した。本件答申においては,タクシーの供給過剰は,タクシー事業の収益基盤の悪化,タクシー運転者の労働条件の悪化等のタクシーをめぐる様々な問題の背景に存在する根本的な問題であるとされ,タクシーの供給過剰が進行 答申においては,タクシーの供給過剰は,タクシー事業の収益基盤の悪化,タクシー運転者の労働条件の悪化等のタクシーをめぐる様々な問題の背景に存在する根本的な問題であるとされ,タクシーの供給過剰が進行している地域においては,地域における公共交通機関としてのタクシーの機能の維持・活性化の観点からの総合的な取組が必要であるとし,特定地域の指定の制 度を創設し,特定地域においては,①タクシーの運転者の労働条件の悪化の防止のため,事業者への監査や新規の参入及び増車における審査において,労働条件の悪化を招かないよう他の地域よりもチェックを厳格化すること,②違法,不適切な事業運営を排除するために新規の参入及び増車における審査を厳格化すること及び③新規の参入や増車を必要な限度でかつ有効に抑制する必要があるため,新規の参入及び増車について,他の地域に比べて許可等の基準,要件及びその審査を厳格化することがそれぞれ必要である旨の提言が示された(乙14の13ないし17頁・「Ⅵ 今後講ずべき施策」の「4.供給過剰進行地域における対策」参照)。 イ法案の提出内閣は,平成21年2月10日,本件答申の内容を踏まえ,「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法案」(第171回国会閣法第27号。以下「特措法(政府案)」という。)を,衆議院に提出した。 ウ特措法(政府案)に対する附帯決議及び特措法の成立等衆議院は,平成21年6月11日,衆議院本会議において,特措法(政府案)及びその修正案を全会一致で可決したが,それに先立ち,衆議院国土交通委員会は,同月10日,特定地域では,地域の需要に適合し,新規参入や増車による需要増が明らかに見込めるもの以外は,原則としてこれを認めないこと等をその内容に含む「特定地域における一般 衆議院国土交通委員会は,同月10日,特定地域では,地域の需要に適合し,新規参入や増車による需要増が明らかに見込めるもの以外は,原則としてこれを認めないこと等をその内容に含む「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法案に対する附帯決議」(乙16)を決議した。 参議院は,同月19日,参議院本会議において,特措法(政府案)及びその修正案を全会一致で可決し,特措法が成立したが,それに先立ち,参議院国土交通委員会は,同月18日,特定地域では,新規参入や増車が需要増を喚起すると明らかに見込める場合を除き,原則としてこれを認めな いこととすること等をその内容に含む「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法案に対する附帯決議」(乙17)を決議した。 特措法は,同月26日,公布され,同年10月1日,施行された。国土交通大臣は,上記の施行に先立つ同年9月29日,同法4条1項の規定に基づき,「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する基本方針」(同日付け国土交通省告示第1036号。以下「本件基本方針」という。乙18)を定めて告示したところ,本件基本方針には,「新規の事業許可及び事業用自動車の数を増加させる事業計画の変更認可については,特定地域における安易な供給拡大を抑制するよう,これらの許認可処分について処分基準を厳格化するとともに,審査に当たっては現地確認を徹底するなど審査の厳格化を図るものとする。」という内容が含まれていた(乙18の17頁・「四その他一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化の推進に関する基本的な事項」の「3 国の役割」の「(2) 事後確認と事前確認の強化」参照)。 (4) 特措法が定める特定地域の意議,内容等 その他一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化の推進に関する基本的な事項」の「3 国の役割」の「(2) 事後確認と事前確認の強化」参照)。 (4) 特措法が定める特定地域の意議,内容等ア特定地域の制度の趣旨及び目的は,特措法1条に定めるとおりである(別紙3第2の1)ところ,特措法は,前記(2)に述べたような経緯を踏まえ,タクシーの供給過剰の進行等によりタクシーが地域公共交通としての機能を十分に発揮することができていない地域を国土交通大臣が特定地域として指定する制度を創設し(同法3条1項),特定地域に指定する際に参照すべき状況として,同項各号において,次の各状況を列挙している。 (ア) 供給過剰(タクシーの供給輸送力が輸送需要量に対し過剰であることをいう。)の状況(1号)(イ) 事業用自動車一台当たりの収入の状況(2号)(ウ) 法令の違反その他の不適正な運営の状況(3号) (エ) 事業用自動車の運行による事故の発生の状況(4号)イ特定地域の指定の基準国土交通大臣が特措法3条1項の規定に基づきある地域を特定地域として指定するための基準については,「特定地域の指定及び特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化の推進のために監督上必要となる措置の実施について」(平成21年9月29日付け国自旅第151号国土交通省自動車交通局長通達。以下「措置実施通達」という。乙19)の別紙Ⅰの1(以下「措置実施通達Ⅰ1」という。乙19の2枚目)において,次のとおり定められている。 「国土交通大臣は,次の(1)又は(2)のいずれかに該当する営業区域を特定地域として指定するものとし,当該指定は告示により行うものとする。 (1) 人口10万人以上の都市を含む営業区域であって,①から③までのいずれかに該当するもの。 のいずれかに該当する営業区域を特定地域として指定するものとし,当該指定は告示により行うものとする。 (1) 人口10万人以上の都市を含む営業区域であって,①から③までのいずれかに該当するもの。 ① 日車実車キロ又は日車営収が,平成13年度と比較して減少していること。 ② 前5年間の事故件数が毎年度増加していること。 ③ 前5年間の法令違反の件数が毎年度増加していること。 (2) 人口10万人以上の都市を含まない営業区域であって,①から③までのいずれにも該当するもの。 ① 人口が概ね5万人以上の都市を含むこと。 ② (イ)から(ハ)までのいずれかに該当すること。 (イ) 日車実車キロ又は日車営収が,平成13年度と比較して10%以上下回っていること。 (ロ) 前5年間の事故件数が毎年度増加していること。 (ハ) 前5年間の法令違反の件数が毎年度増加していること。 ③ 当該営業区域を含む都道府県知事又は市町村長から,国土交通大臣 に対して,当該地域を指定することについて要請があったこと。」ウ特定地域における道路運送法の特例について特措法は,同法6条2項において,国の責務として,特定地域において関係者が行う一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する取組と相まって,一般乗用旅客自動車運送事業の適正化を推進するため,検査,処分その他の監督上必要な措置を的確に実施するものとする旨を定めるとともに,同法15条1項において,一般乗用旅客自動車運送事業者が特定地域内の営業所に配置するその事業用自動車の増車に関する事業計画の変更については,道路運送法15条3項の規定においては国土交通大臣に対する届出で足りるものについても同大臣の認可を要するものとする旨を定めている。そして,同条2項の規定により同条1項の認可について の変更については,道路運送法15条3項の規定においては国土交通大臣に対する届出で足りるものについても同大臣の認可を要するものとする旨を定めている。そして,同条2項の規定により同条1項の認可について同法6条の規定が準用されていることから,特定地域における事業用自動車の増車に関する事業計画の変更の認可の基準については,同条1号ないし3号の規定の定める各基準に適合することが必要となるものである。 (5) 「特定地域の指定及び特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化の推進のために監督上必要となる措置の実施について」(平成21年9月30日付け関東運輸局長,東京運輸支局長,関東運輸局神奈川運輸支局長,同埼玉運輸支局長,同群馬運輸支局長,同千葉運輸支局長,同茨城運輸支局長,同栃木運輸支局長及び同山梨運輸支局長公示。以下「措置実施公示」という。乙20)の策定とその内容ア措置実施公示の策定措置実施通達(乙19)においては,一般乗用旅客自動車運送事業者が特定地域内の営業所に配置する一般車両タクシーの増車に関する事業計画の変更の認可の申請(以下「一般車両増車申請」という。)については,①収支計画(提出された収支計画上の増車車両分の営業収入が,申請する営業区域で当該増車実施後に新たに発生する輸送需要によるものであるこ とが明らかであること),②運転者の確保状況,③実働率,④法令遵守状況に関する基準に適合するもののみを認可するとした基準が示された(乙19の3及び4枚目・「Ⅲ.特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の申請に対する取扱い」の「3.増車の認可」の「(1) 処理方針」欄参照)。 これに沿って,関東運輸局長及び東京運輸支局長を含む国土交通省関東運輸局(以下「関東運輸局」という。)の管内の地方運輸支局長は,平成21年 」の「3.増車の認可」の「(1) 処理方針」欄参照)。 これに沿って,関東運輸局長及び東京運輸支局長を含む国土交通省関東運輸局(以下「関東運輸局」という。)の管内の地方運輸支局長は,平成21年9月30日,措置実施公示を定めて公示した。 イ措置実施公示の内容措置実施公示の「Ⅲ.特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の申請等に対する取扱い」中「3.増車の認可」中「(1) 処理方針」(以下「措置実施公示Ⅲ3(1)」という。乙20の4頁)には,「特定地域における営業区域内の増車(一般の需要に応じることができるタクシー・ハイヤー車両の合計数を増加させる事業計画の変更をいう。)の認可の申請に対しては,(中略)次に掲げる基準(中略)に適合するものに限り認可するものとする。」との定め(以下「措置一般車両認可基準」という。)があるところ,上記の基準のうち,「①収支計画」には「提出された収支計画上の増車車両分の営業収入が,申請する営業区域で当該増車実施後に新たに発生する輸送需要によるものであることが明らかであること」との基準(以下「収支計画要件」という。)が定められている。 (6) 福祉車両の増車に関する事業計画の変更の認可の基準の策定等既に述べたように,一般乗用旅客自動車運送事業者が特定地域内の営業所に配置する事業用自動車の増車に関する事業計画の変更については,特措法15条1項及び道路運送法15条1項の各規定により国土交通大臣の認可を要するものとされているところ,一般乗用旅客自動車運送事業者が特定地域内の営業所に配置する福祉車両であるタクシーの増車に関する事業計画の変 更の認可の申請(以下「福祉車両増車申請」という。)に係る認可の基準については,同条2項の規定によりこれについて準用される同法6条の規定による基準の運用上,措 の増車に関する事業計画の変 更の認可の申請(以下「福祉車両増車申請」という。)に係る認可の基準については,同条2項の規定によりこれについて準用される同法6条の規定による基準の運用上,措置一般車両認可基準を適用せず,措置実施公示の「Ⅲ. 特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の申請等に対する取扱い」中「3.増車の認可」中「(3) 福祉輸送自動車の取扱い」(以下「措置実施公示Ⅲ3(3)」という。乙20の5頁)が定める取扱い(「福祉輸送自動車の合計数を増加させる事業計画の変更の認可の申請に対しては,従前の事前届出書の様式の記載事項と同程度の内容が確認できることをもって,速やかに認可する。」との取扱い。以下「措置福祉車両認可基準」という。)を適用しているところ,その経緯等は,次のとおりである。 ア平成12年改正前の基準平成12年改正前の道路運送法においては,増車に関する事業計画の変更をしようとする場合は,原則として運輸大臣(当時)の認可を受けなければならないものとされていたところ(同法15条),当該認可についても同法6条の規定が準用されていたことから(同法15条2項),増車に関する事業計画の変更の認可についても,同法6条が定める需給調整規制の基準に適合することが要件とされており,道路運送法施行規則1条2項4号(平成14年国土交通省令第103号による改正前のもの)にいう特殊用自動車の増車については,「一般乗用(患者等輸送限定)旅客自動車運送事業の免許等について」(昭和63年12月9日付け地自第686号運輸省地域交通局長通達。以下「民間患者等輸送事業基準」という。乙22)において,一般乗用(患者等輸送限定)旅客運送事業(以下「民間患者等輸送事業」という。なお,「患者等」とは,健常者以外の者並びに車椅子又は寝台を必要とする身 民間患者等輸送事業基準」という。乙22)において,一般乗用(患者等輸送限定)旅客運送事業(以下「民間患者等輸送事業」という。なお,「患者等」とは,健常者以外の者並びに車椅子又は寝台を必要とする身体障害者及び寝たきりの老人をいい,「民間患者等輸送事業」とは,専らこれらの者の病院の通院,転院及び入退院並びに養護施設,老人ホーム等の送迎を行うものをいう。以下同じ。)に係 る需給に対する審査について,当該事業の特殊性から一般車両タクシーを使用して運営されるタクシー事業とは別扱いとした上で,民間患者等輸送事業の免許等に際しては,各地の実情に応じた必要な条件等を付すなどすることとされ,例えば,業務の範囲については,平成12年改正前の道路運送法86条の規定(別紙3第1の7(1)及び(2)の各ア)に基づき,「寝台車両を必要とする患者等及び車椅子を必要とする患者等並びにその付添人に限る」との条件を付すこととされていた。 その後も,リフト付きタクシー等特殊なサービスに係る各種の申請については,その内容に応じ,それぞれの特性を踏まえて判断することとされた(乙23ないし25)が,実際には,民間患者等輸送事業基準に基づき,それについての判断をしていた。 イ平成12年改正後の基準国土交通省は,タクシー事業については,その事業計画(道路運送法施行規則4条8項3号)において,事業用自動車の種別(同規則1条2項)として一般自動車と特種自動車の別に分けることを求めるとともに,リフト付きタクシー等特殊なサービスに限る事業については,平成12年改正の前と同様,事業の特性を踏まえて許可等に際し必要に応じ業務の範囲を当該事業に限定する旨の条件を付すこととした(「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く。)の申請に対する処理方針」(平成 事業の特性を踏まえて許可等に際し必要に応じ業務の範囲を当該事業に限定する旨の条件を付すこととした(「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く。)の申請に対する処理方針」(平成13年8月29日付け国自旅第72号国土交通省自動車交通局長通達。乙26)及び「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く。)の許可申請の審査基準について」(同年11月22日付け関東運輸局長公示。乙27))。また,その後,許可の対象となる輸送サービスの範囲や輸送サービスに使用する車両の範囲を拡大することとした(「患者等の輸送サービスを行うことを条件とした一般乗用旅客自動車運送事業の許可等の取扱いについて」(平成16年3月16日付け国自旅第 241号国土交通省自動車交通局旅客課長通達。乙30),「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く。)の許可申請の審査基準の一部改正について」(同月31日付け関東運輸局長公示。乙31参照),「一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)の許可等の取扱いについて」(平成18年9月25日付け国自旅第169号国土交通省自動車交通局長通達。乙32)及び「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く。)の許可申請の審査基準の一部改正について」(同月27日付け関東運輸局長公示。乙33参照))。 (7) 西多摩交通圏を特定地域として指定したことア西多摩交通圏における平成13年度,平成20年度及び平成23年度における各輸送の実績は,次の(ア)及び(イ)のとおりである(乙35,37,53)。 (ア) 日車実車キロa 平成13年度824万7738km÷7万3697両≒111.9kmb 平成20年度715万1829km÷7万2396両≒ 98.8 る(乙35,37,53)。 (ア) 日車実車キロa 平成13年度824万7738km÷7万3697両≒111.9kmb 平成20年度715万1829km÷7万2396両≒ 98.8kmc 平成23年度626万1581km÷6万9177両≒ 90.5km(イ) 日車営収a 平成13年度31億2547万2000円÷7万3697両≒4万2410円b 平成20年度29億1907万6000円÷7万2396両≒4万0321円c 平成23年度25億8046万4000円÷6万9177両≒3万7302円 イ国土交通大臣は,平成21年10月1日,特措法3条1項の規定に基づき,西多摩交通圏を,期間を同日から平成24年9月30日までと定めて特定地域として指定し,これを告示した(乙36)。また,国土交通大臣は,平成24年9月28日,同項の規定に基づき,西多摩交通圏を,期間を同年10月1日から平成27年9月30日までと定めて特定地域として指定し,これを告示した(乙38)。 (8) 本件却下処分に至る経緯等ア原告は,平成24年8月27日,東京運輸支局長に対し,本件一般車両増車申請をした(乙1の1)。 イ東京運輸支局長は,平成24年10月1日付けで,原告に対し,行政手続法7条の規定に基づき,本件一般車両増車申請について,補正の期限を同月12日までと定めて,措置実施公示Ⅲ3(1)中「①収支計画」に定められている事項等に係る補正を求めたところ(乙1の2),原告は,同月2日,東京運輸支局に対し,上記の補正の求めに対応するものとして「収支計画書」と題する表等の文書を提出した(乙1の3)。 ウ関東運輸局東京運輸支局(以下「東京運輸支局」という。)は,平成24年10月30日付けで,原告に対し,行政手続法7条 対応するものとして「収支計画書」と題する表等の文書を提出した(乙1の3)。 ウ関東運輸局東京運輸支局(以下「東京運輸支局」という。)は,平成24年10月30日付けで,原告に対し,行政手続法7条の規定に基づき,原告が提出した前記イの資料(乙1の3)について,補正の期限を同年11月13日までと定めて,「収支計画書」における増車分の営業収入の数値の算出根拠等に係る補正を求めたところ(乙1の4),原告は,同月8日,同支局に対し,上記の補正の求めに対応するものとして原告代表者作成名義の「収支計画書を添付します。」から始まり,「予約や時間制を受け付けなかったAが一営業所を構えていたところ,当社が同社とは真逆に小回りをきかせフレキシブルにサービスを提供して事業後継した場合,実績のある従来の当社の年間台平均を売上予測として用いることは至極客観的です(中略)。また,γ町と既に話題になっている各種助成の可能性も踏 まえると,この収支計画書はかなり控えめなものといえます。」等の記載のあるもの等の文書を提出した(乙1の5)。 エ東京運輸支局長は,平成24年12月6日付けで,原告に対し,特措法15条1項及び道路運送法15条1項の各規定に基づき,本件一般車両増車申請については,提出された収支計画上の増車車両分の営業収入が,西多摩交通圏で新たに発生する輸送の需要によるものであることが明らかではないため,措置一般車両認可基準(措置実施公示Ⅲ3(1)が定める処理方針)のうち収支計画要件に適合しないことから,同法15条2項が準用する同法6条2号の定める基準に適合しないとして,これを却下する旨の処分(本件却下処分)をした(乙2の1)。 (9) 本件条件付認可処分に至る経緯等ア原告は,平成25年4月15日,東京運輸支局長に対し,本件福祉車両増車申 適合しないとして,これを却下する旨の処分(本件却下処分)をした(乙2の1)。 (9) 本件条件付認可処分に至る経緯等ア原告は,平成25年4月15日,東京運輸支局長に対し,本件福祉車両増車申請をした(乙3)。 イ東京運輸支局長は,平成25年4月26日付けで,原告に対し,本件福祉車両増車申請について,福祉車両のうち車いす・寝台兼用車を増車する旨の事業計画の変更であり,措置福祉車両認可基準(措置実施公示Ⅲ3(3)の定める取扱い)に適合することから,特措法15条1項及び道路運送法15条1項の各規定に基づき,同法15条2項が準用する同法6条の定める基準に適合するとして,別紙2に定める条件を付してこれを認可するとの処分(本件条件付認可処分)をした(乙4の1)。 (10) 本件訴えの提起原告は,平成25年6月3日,本件訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実)。 3 争点(1) 主位的請求についてア措置一般車両認可基準及びそれに含まれる収支計画要件の各適法性(争 点1)イ関東運輸局長が西多摩郡γ町(以下「γ町」という。なお,以下,他の西多摩郡に属する町村(現在は,α町,β町及びδ村)についても,その時点のいかんを問わず,西多摩郡の記載を省略する。)が西多摩交通圏に含まれるものとして営業区域を定めたこと及びこれを前提として国土交通大臣が西多摩交通圏を特定地域として指定したことの適否(争点2)ウ東京運輸支局長の裁量権の範囲からの逸脱又は濫用の有無(争点3)(ア) 本件却下処分に係る東京運輸支局長の裁量権の範囲からの逸脱又は濫用の有無(争点3-1)(イ) 本件条件付認可処分に係る東京運輸支局長の裁量権の範囲からの逸脱又は濫用の有無(争点3-2)エ信義則違反の有無(争点4)(2) 予備的請 囲からの逸脱又は濫用の有無(争点3-1)(イ) 本件条件付認可処分に係る東京運輸支局長の裁量権の範囲からの逸脱又は濫用の有無(争点3-2)エ信義則違反の有無(争点4)(2) 予備的請求について本件却下処分が無効であるといえるか否か(争点5) 4 争点に対する当事者の主張の要点(1) 措置一般車両認可基準及びそれに含まれる収支計画要件の各適法性(争点1)(原告の主張の要点)ア措置一般車両認可基準には収支計画要件が定められているところ,措置一般車両認可基準は,収支計画要件に「新たに発生する輸送需要」の視座が明記されておらず,それが社会一般にとってのものか,申請者である原告にとってのものであるかいずれにも解釈することができる曖昧なものであり,法令執行の基準とはなり得ない。また,仮に,上記の視座を社会一般にとってのものとして解釈した場合,特措法の趣旨に照らして「新たに発生する輸送需要」に限ることに合理性がなく,同法に基づく基本方針に定めるべき事項として同法4条2項4号にいう「適正化及び活性化の推進 に関する基本的な事項」としても妥当しないから,この意味においても,法令執行の基準とはなり得ないものである。 イ人の心である需要を新旧によって差別することはナンセンスであり,関係法令や憲法14条,22条に照らす以前の奇論であるし,そもそも,道路運送法8条の緊急調整措置は極めて権利制限性の強い規制であって,当該措置は極めて慎重に行われなければならない上,特措法の目的はタクシーの需給調整ではなく,実際には需給調整規制をすることができないにもかかわらず,関東運輸局長ないし東京運輸支局長は,収支計画の審査という名を借りて,収支計画が「新たに発生する輸送需要」というなかなか発生し難く,申請者による挙証が困難で,裁量 することができないにもかかわらず,関東運輸局長ないし東京運輸支局長は,収支計画の審査という名を借りて,収支計画が「新たに発生する輸送需要」というなかなか発生し難く,申請者による挙証が困難で,裁量名下に拒絶しやすい基準を恣意的に挿入し,それを満たす場合に限り認可する旨の基準を含む通達等(措置実施通達及び措置実施公示)をもって,これと実質的に同様の抑制的規制(増車抑制等の需給調整)を当然のように行っているところ,通達は法源ではないのであり,通達やその趣旨に従っているから違法性はないという考え方は誤っている。 ウ被告は,本件却下処分について,立法者の意思(特措法(政府案)に対する附帯決議。乙16,17)に沿ったものである旨主張するが,同附帯決議(乙16,17)はいずれも,「原則として」と例外の余地を残しており,「新たに発生する輸送需要」等に限っているわけではない。 (被告の主張の要点)ア ①前提事実(3)アに述べた交通政策審議会の答申(本件答申),②前提事実(3)ウに述べた衆議院及び参議院の各国土交通委員会においてそれぞれ決議された附帯決議(乙16,17。特定地域においては,地域の需要に適合し,新規の参入や増車による需要増が明らかに見込めるもの以外は,原則としてこれを認めない措置を講じることを求めるもの。),③特措法6条2項の規定の定め(国は,タクシー事業の適正化を推進するため,検 査,処分その他の監督上必要な措置を的確に実施するものとされていること)及び④国土交通大臣が,本件基本方針において,特定地域における安易な供給拡大を抑制するよう関係する許認可について処分基準・審査の厳格化を図ること等を定めたことの各事情に照らすと,措置一般車両認可基準は,供給過剰に伴うタクシーの安全性や利便性の低下を防止する観点から,一般車 抑制するよう関係する許認可について処分基準・審査の厳格化を図ること等を定めたことの各事情に照らすと,措置一般車両認可基準は,供給過剰に伴うタクシーの安全性や利便性の低下を防止する観点から,一般車両タクシーに係る増車申請に対する審査を厳格に行うことを定めたものであるというべきである。そして,措置一般車両認可基準は,上記①ないし④の内容に沿ったものであり,同法の下における一般車両タクシーに係る増車の認可について,道路運送法15条2項が準用する同法6条の適合性を判断するための認可基準として,同法及び特措法の各趣旨及び目的に沿うように定められたものであることは明らかであって,合理性を有するというべきである。 イ原告は,収支計画要件には,「新たに発生する輸送需要」の視座が明記されておらず,それが社会一般にとってのものか,申請者である原告にとってのものであるかいずれにも解釈することができる曖昧なものであり,法令執行の基準とはなり得ない上,仮に,上記の視座を社会一般にとってのものとして解釈した場合,特措法の趣旨に照らして「新たに発生する輸送需要」に限ることに合理性がなく,同法4条2項4号にいう「適正化及び活性化の推進に関する基本的な事項」としても妥当しない旨主張する。 しかしながら,措置一般車両認可基準は,収支計画要件につき,「提出された収支計画上の増車車両分の営業収入が,申請する営業区域で当該増車実施後に新たに発生する輸送需要によるものであることが明らかであること」と規定し,申請する営業区域で新たに発生する輸送需要であるかどうかが「明らか」にされなければ収支計画要件を満たすとはいえないとしているのであるから,一般車両タクシーに係る増車申請につき客観的に見て「新たに発生する輸送需要」であることが求められているのは明らかで あり, なければ収支計画要件を満たすとはいえないとしているのであるから,一般車両タクシーに係る増車申請につき客観的に見て「新たに発生する輸送需要」であることが求められているのは明らかで あり,原告が主張するような「新たに発生する輸送需要」の視座が明記されていないなどとは到底いえない。また,前記アに述べたとおり,収支計画要件を含む措置一般車両認可基準は,同法の趣旨・目的に沿うように定められたものであり,合理性を有するというべきであるから,同法4条2項4号にいう「適正化及び活性化の推進に関する基本的な事項」に妥当しないともいえないというべきである。 (2) 関東運輸局長がγ町が西多摩交通圏に含まれるものとして営業区域を定めたこと及びこれを前提として国土交通大臣が西多摩交通圏を特定地域として指定したことの適否(争点2)(原告の主張の要点)自動車の運転が困難となる超高齢化が進行していることに加えて市街地から1時間もかかるようなタクシー過疎となった特段の配慮を要する場所であっていわば陸の孤島ともいうべき地域(γ町)の実情には何の配慮もせず,関東運輸局長は,γ町を西多摩交通圏に含めて一つの営業区域と定め,国土交通大臣は,それを前提として,西多摩交通圏を特定地域として指定しており,不適切な営業区域の定めないし供給過剰ではない場所に対する特定地域の指定をしているものである。 (被告の主張の要点)ア営業区域の定めについては地方運輸局長に裁量権が認められること一般旅客自動車運送事業のうち,タクシー事業及び貸切バス事業は,路線バス事業と異なり,事業立地に制約がないという特性を有することから,全国一円での自由な営業活動を認めた場合,通常行われるべき適正な営業管理や輸送の安全上の管理,運転者に十分な地理的知識を保持させることが担保できな ,事業立地に制約がないという特性を有することから,全国一円での自由な営業活動を認めた場合,通常行われるべき適正な営業管理や輸送の安全上の管理,運転者に十分な地理的知識を保持させることが担保できない可能性がある。 道路運送法は,同法5条1項3号において,同法4条の一般旅客自動車運送事業の許可申請に必要な記載事項の1つとして,営業所の位置を含む 一定の合理的な地理的範囲である「営業区域」を設定させ,旅客の発地及び着地のいずれもがこの外にある輸送を禁止する(同法20条)ことにより,適正な営業活動の担保を図るとともに,実効ある運行管理による輸送の安全及び運転者の地理的知識の担保による利用者の利便を確保しようとしているところ,「営業区域」については,道路運送法施行規則5条により,輸送の安全,旅客の利便等を勘案して,地方運輸局長が定める区域を単位とするものとされている。そして,道路運送法5条及び道路運送法施行規則5条は,いかなる区域を営業区域とするかについて具体的に定めず,同条において「地方運輸局長が定める区域を単位とするものとする。」と規定していることから明らかなとおり,いかなる区域を単位として営業区域と定めるかについて,地方運輸局長に裁量が与えられているものと解するのが相当である。 イ西多摩交通圏の設定経緯(ア) 平成12年改正前の道路運送法の下における設定の経緯等平成12年改正前の道路運送法は,タクシー事業への新規参入について,需給調整規制を前提とした免許制を採用しており,当該免許は事業区域ごとに行われ(同法4条2項),同法6条に定める免許基準のうち同条2号においても,事業区域に係る供給輸送力が輸送需要量に対し不均衡とならないものであることを要する旨が定められていたことから,免許に当たっては,事業区域ごとに需給調整 6条に定める免許基準のうち同条2号においても,事業区域に係る供給輸送力が輸送需要量に対し不均衡とならないものであることを要する旨が定められていたことから,免許に当たっては,事業区域ごとに需給調整が行われていた。 この事業区域の設定に当たっては,「ハイヤー・タクシー関係事務処理の改善について」(昭和45年11月28日付け自旅第694号運輸省自動車局長通達 。乙40)において,当時の事業区域(例えば,現在の西多摩交通圏については,西多摩郡や付近の各市をそれぞれ一つの単位として事業区域が定められていた。)は,経済社会活動の広域化に必ずしも適応していないため,同一経済地域に属する同一運賃の事業区 域は,可及的速やかに相互に区域を拡大するよう地域の実情に応じて具体的方針を定めて指導する等の方針が示されたため,運輸省東京陸運局長(現在の関東運輸局長)は,地域の経済圏,人的流動,地域発展の動向等を考慮し,西多摩郡や付近の各市をそれぞれ一つの単位として定められていた従前の事業区域を一つの範囲のブロックにまとめて「交通圏」の名称を冠することとした上で,青梅市,福生市,秋川市(当時),ε町(当時),α町,β町,ζ町(当時),γ町及びδ村を一つの区域とする西多摩交通圏を定めた(「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシーを除く)の免許に関する資格要件の改正について」(昭和54年10月15日付け79東陸自1旅2第5434号運輸省東京陸運局長通達。乙41別表1))。 その後,事業区域の拡大を検討すべきである旨の方針が示された(「一般乗用旅客自動車運送事業に係る事業区域の段階的拡大及び乗合タクシーの積極的推進に関する基本方針について」(平成6年12月20日付け自旅第178号運輸省自動車交通局長通達。乙42の4及び5枚目))ものの,事業 動車運送事業に係る事業区域の段階的拡大及び乗合タクシーの積極的推進に関する基本方針について」(平成6年12月20日付け自旅第178号運輸省自動車交通局長通達。乙42の4及び5枚目))ものの,事業区域拡大により発生すると考えられる課題として,乗務員の地理知識の不足を理由とした乗車拒否や地理不案内によるサービス低下を来さないよう乗務員教育による十分な地理知識の確保等を掲げ,これらの問題点の解消に最大限の努力をするとともに,状況変化等条件が整えば,事業区域の見直し等を行うことが必要と考える旨の検討結果が示されるにとどまった(運輸省関東運輸局東京陸運支局が設置した「事業区域拡大及び乗合タクシー推進に関する検討会」による「事業区域拡大に関する検討について」と題する報告書(乙43の3ないし9枚目))。 (イ) 平成12年改正後における西多摩交通圏に係る営業区域の設定の経緯等 平成12年改正により,需給調整規制が廃止された一方で,「タクシーの活性化と発展を目指して~タクシーの需給調整規制廃止に向けて必要となる環境整備方策等について~」(平成11年4月9日付け運輸政策審議会自動車交通部会答申。乙44)において,「需給調整規制の廃止後におけるタクシー制度のあり方」の中で,「事業区域」については,「車両の配置されている営業所に対する帰属性を確保し運行管理及び整備管理が適正に行われること並びに運転者の地理の熟知度を確保することを制度的に担保するため,事業区域制度を引き続き設けることが適当である」(乙44の5枚目)との指摘がされたことを踏まえ,輸送の安全の確保の観点から運行管理を適正に実施することや利用者利便の確保の観点から運転者が十分な地理的知識を備えることをそれぞれ担保するため,事業を行う範囲を確定させることが必要であることから,従 送の安全の確保の観点から運行管理を適正に実施することや利用者利便の確保の観点から運転者が十分な地理的知識を備えることをそれぞれ担保するため,事業を行う範囲を確定させることが必要であることから,従前の事業区域を営業区域として,事業計画の記載事項とすることとした(乙45)。 そして,これらのことを踏まえ,関東運輸局長は,平成12年改正後も,従前と同様に,営業区域として西多摩交通圏(青梅市,福生市,あきる野市(旧秋川市及び旧ζ町),羽村市(旧ε町),α町,β町,γ町及びδ村)を設定しているものである(乙27)。 ウ γ町を西多摩交通圏に含めることに合理性があること次の(ア)ないし(ウ)に照らせば,γ町を含む西多摩地域が,歴史的,地理的,行政的及び経済的に深いつながりを有していることは明らかであり,交通圏としても,青梅市,福生市,あきる野市,羽村市,α町,β町,γ町及びδ村,すなわち,西多摩地域を構成する各市町村を西多摩交通圏として一つの営業区域として扱うことには十分合理性が認められるから,西多摩交通圏に係る営業区域の設定は,地域の経済圏,人的流動,地域発展の動向等を考慮して定められたものといえるのであり,関東運輸局長が, 営業区域の設定に当たり,西多摩交通圏にγ町を含めたことには合理性があるものというべきである。 (ア) 西多摩地域の沿革及び地勢的条件等西多摩交通圏を構成する青梅市,福生市,あきる野市,羽村市,α町,β町,γ町及びδ村は,東京都多摩地域西部(いわゆる西多摩地域)に位置する,旧西多摩郡に当たる市町村である(乙46の5枚目)。γ町を含む西多摩地域は,東京都の面積の約26%(約573k㎡)を占め,東京都の人口の約3%(約40万人)を擁しており,西には大半が秩父多摩国立公園に含まれる緑豊かな山岳地域が広がり 6の5枚目)。γ町を含む西多摩地域は,東京都の面積の約26%(約573k㎡)を占め,東京都の人口の約3%(約40万人)を擁しており,西には大半が秩父多摩国立公園に含まれる緑豊かな山岳地域が広がり,平野部や丘陵地には住宅地や畑も多く,大都市圏周辺の一つの地域社会を形成している(乙47)。 鉄道は,B株式会社(以下「B」という。)の○駅を起点とするB○線が多摩川沿いにBの○駅まで,Bの○駅を起点とするB○線が秋川沿いにBの○駅まで,それぞれ西多摩地域内をおおむね東西方向に横断している。道路は,東西方向にいわゆる青梅街道及び五日市街道が,南北方向に一般国道16号,一般国道411号(いわゆる滝山街道)及び秋川街道が通っているほか,γ町とδ村を結ぶいわゆる奥多摩周遊道路がある。また,平成19年には青梅市とあきる野市を南北方向に走る首都圏中央連絡自動車道(いわゆる圏央道)が中央自動車道とつながり,西多摩地域の基幹的な道路網を形成している。(以上,乙48の7枚目)(イ) 西多摩地域広域行政圏協議会の設立とその活動等γ町を含む西多摩地域の各市町村は,地理的,歴史的及び行政的につながりが深いという共通認識の下,連携及び協調して広域行政に取り組んでいる。 すなわち,昭和58年7月1日,西多摩地域を構成する青梅市,福生市,秋川市(当時),ε町(当時),ζ町(当時),α町,β町,γ町及 びδ村を構成市町村として,地方自治法252条の2に基づき,西多摩地域広域行政圏協議会が設立された。同協議会は,西多摩地域の一体的整備と住民の福祉増進を図るため,広域行政圏計画の策定及び広域行政圏に関する必要な事務の連絡調整を目的としている(乙49)。 西多摩地域広域行政圏協議会は,昭和60年,西多摩地域の将来像を「水と緑に恵まれた自然環境を生かしなが ,広域行政圏計画の策定及び広域行政圏に関する必要な事務の連絡調整を目的としている(乙49)。 西多摩地域広域行政圏協議会は,昭和60年,西多摩地域の将来像を「水と緑に恵まれた自然環境を生かしながら,地域の連携に基づく新たな活力と文化を創造する圏域」とする広域行政圏計画・基本構想を策定し,平成18年には,「地域の自立」「若者の定住」「自然や歴史・文化を活かした地域づくり」「安心安全なまちづくり」「地域産業の再構築」等,圏域の活力と魅力の創造に向けて後期基本計画を策定し,構成市町村の連携,協力を進めてきたところ,上記各計画に沿って,西多摩地域では,消費生活相談等の広域連携,公共施設の広域利用,地域一体となった広域行政圏体育大会の実施等,住民の福祉の増進や効果的な行政サービスの展開に努めるとともに,「西多摩ブランド」創出の手法の研究等観光振興に向けた調査等を実施してきた(乙50の4枚目)。さらに,西多摩地域広域行政圏協議会は,平成23年3月,それまでの取組とその成果を踏まえ,地域特性・地域資源を生かした西多摩地域の魅力向上に向けた方策や,豊かな自然を活用した循環型社会・低炭素社会の実現に向けた方策,行政サービスの広域化等の課題について構成市町村の連携・協調に向けた取組等を定めた西多摩地域広域行政圏計画を策定し,同計画に基づき,西多摩地域における広域行政が行われている(乙50の2枚目及び19ないし27枚目)。 (ウ) 西多摩地域における観光事業の状況等γ町を含む西多摩地域は,観光事業についても行政と民間が一体となってその振興に取り組んでおり,①γ町を含む西多摩地域の各市町村等における観光宣伝,観光客誘致及び観光資源の保全・開発等を行うこと により観光事業の健全な進行を図ること等を目的として,昭和62年,社団法人Cが設立さ ,①γ町を含む西多摩地域の各市町村等における観光宣伝,観光客誘致及び観光資源の保全・開発等を行うこと により観光事業の健全な進行を図ること等を目的として,昭和62年,社団法人Cが設立されたり(乙51),②Dのホームページ「○」において,γ町を含む西多摩地域が「西多摩エリア」とされ,同エリアの各種観光資源が紹介されたりしている(乙52)。 エ西多摩交通圏を特定地域に指定したことに合理性があること特措法3条1項に定める特定地域の指定は,前提事実(4)イに述べたとおり,措置実施通達が定める基準に沿って実施されているところ,平成14年1月末までは,平成12年改正前の道路運送法6条1項の基準に需給調整条項が規定され,それに基づき需給調整規制が行われており,平成13年度において供給過剰でなかったことは確実であるから,供給過剰でない平成13年度の輸送実績を基準とし,これと当該営業区域の直近年度の実績を比較して地域の供給過剰の状況をみることには合理性があるところ,前提事実(7)アのとおり,西多摩交通圏における平成20年度及び平成23年度の各日車実車キロ及び日車営収は,いずれも平成13年度のそれらの値を下回っており,このことは,西多摩交通圏においては,前提事実(4)イに述べた措置実施通達の定める基準のうち,「人口10万人以上の都市を含む営業区域であって,日車実車キロ又は日車営収が,平成13年度と比較して減少していること」(乙19の2枚目・措置実施通達Ⅰ1の(1)①)に該当する。 したがって,国土交通大臣が西多摩交通圏における一般乗用旅客自動車運送事業の供給過剰等の状況に照らして同交通圏を特定地域に指定したことに合理性があるというべきである。 (3) 本件却下処分に係る東京運輸支局長の裁量権の範囲からの逸脱又は濫用の有無(争点3- 車運送事業の供給過剰等の状況に照らして同交通圏を特定地域に指定したことに合理性があるというべきである。 (3) 本件却下処分に係る東京運輸支局長の裁量権の範囲からの逸脱又は濫用の有無(争点3-1)(原告の主張の要点)次のような事情に照らすと,本件却下処分は,憲法13条,14条,22 条,25条,27条及び41条に反するものである。 ア本件一般車両増車申請が措置一般車両認可基準中の収支計画要件に適合していないとはいえないこと原告は,原告が本件一般車両増車申請をした際に提出した収支計画書(乙1の5の2枚目)において,本件一般車両増車申請の内容どおりに増車が認められた場合には,原告の平成25年度におけるタクシー事業の売上高が平成23年度に比して全体として3420万円増加(原告における全体の売上高が約16%増加)する旨を記載しているところ,その根拠は,γ町においてタクシー事業を営んでいた者(A株式会社。以下「A」という。)と比較し,運行台数及び運行時間帯が1.5倍になること,年中無休で本社営業所において予約を受けること,タクシーを待機させる場所を固定させないこと等フレキシブルにサービスを提供することに加え,γ町から各種の助成を受けられる可能性があることによるものである。被告は,原告における全体の売上高が約16%増加する旨の記載について,経営資源に乏しい原告に挙証を押しつけ,資料不足を認識しているにもかかわらず十分な補正の指導や審査をすることなくいい加減な記載である旨を主張するものである。 また,被告は,運送収入が減少したことをもって需要の減少と供給の過剰を説明しているところ,特措法制定以降の車両数の減少(乙53)には何ら触れておらず,タクシーの供給があって初めて乗客が利用するという需要が生ずるという関係にあるこ ことをもって需要の減少と供給の過剰を説明しているところ,特措法制定以降の車両数の減少(乙53)には何ら触れておらず,タクシーの供給があって初めて乗客が利用するという需要が生ずるという関係にあることからすれば,被告の論法は,分母を隠して分子だけを比較するようなものである。 イバリアフリー法4条に反すること本件一般車両増車申請は,平成24年3月31日をもってタクシー供給がなくなったγ町の公共交通を確保するため,原告が特措法5条に基づき利益度外視で取り組むための尊いものであって,現に,地域の要望に応え るため,やむなく採算を度外視して本件却下処分のいかんにかかわらず○駅にタクシーを待機させ続けている。被告は,本来,バリアフリー法4条に基づき原告と協力すべき責務があるにもかかわらず,本件一般車両増車申請をした原告に対して何ら調査連絡等をすることもなく,これを却下したものである。 ウ本件却下処分が特措法3条,6条及び7条に反することγ町は,本件却下処分後,被告に対し,γ町におけるタクシーの供給についての要望書(甲4)を提出しているところ,これは,特措法7条及びバリアフリー法5条に基づくものと解され,本件却下処分は,特措法やバリアフリー法に明記されている交通事業者や自治体をないがしろにしている疑いがある。被告は,特措法を利用し,適正化の名の下に特別区とγ町とを同視してタクシーの規制や取締りを強化し,理由不明の官製減車政策につなげようとしており,γ町からは,同法の施行後,半世紀にわたり地域の公共交通を支えてきた大手既存事業者(A)が撤退したものであって,被告自体が,同法3条,6条及び7条に反するというべきである。そして,判例(最高裁昭和40年(行ツ)第101号同46年10月28日第一小法廷判決・民集25巻7号1037頁) が撤退したものであって,被告自体が,同法3条,6条及び7条に反するというべきである。そして,判例(最高裁昭和40年(行ツ)第101号同46年10月28日第一小法廷判決・民集25巻7号1037頁)も,「免許の許否を決しようとする行政庁としては,事実の認定に付き行政庁の独断を疑うことが客観的にもっともと認められるような不公正な手続をとってはならないものと解せられる」と判示しており,本件却下処分は,法令を無視したものであって,被告にとって最初から本件一般車両増車申請を却下しなければならない他の事情があったことを疑うに足りるものであり,不公正な手続によるものにほかならない。 エ原告が本件一般車両増車申請前に実質的に24両までの増車の認可を受けていたものと同視することができること原告は,平成19年5月18日,東京運輸支局長に対し,一般乗用旅客 自動車運送事業事業計画変更認可申請書(甲10の1)及び本社営業所配置図兼自動車車庫求積平面図(甲10の2)を提出し,同支局長が同年6月21日にこれを認可したところ,この認可は,形式的には,タクシーの車庫を16両分から24両分に増加させようとするものであるが,原告が,当該認可後は,届出により随時増車することができたことに鑑みると,特措法施行前の同日以降,実質的には24両までの増車の認可を受けているものと同視することができる。特措法は,道路運送法に基づく認可を求めており,他に原告の申請(本件一般車両増車申請)を拒む正当な理由はないから,従前と同じ結果が出ることが自然である。 オ本件却下処分が違法であることを裏付けるその余の事情被告がタクシー事業を経営する者(以下「タクシー事業者」という。)に課す義務やそれに違反した場合の行政処分に係る基準は,他業種に例を見ないほど細かく大量である上 法であることを裏付けるその余の事情被告がタクシー事業を経営する者(以下「タクシー事業者」という。)に課す義務やそれに違反した場合の行政処分に係る基準は,他業種に例を見ないほど細かく大量である上に内容も激変しており,このような処分基準自体が道路運送法86条に違反する。平成25年中に行政処分を受けた東京都の全運送事業者数(448件)のうちタクシー事業者(377件)が大半を占め,全タクシー事業者(約480)の約8割が処分を受けている。タクシー事業者の間では,監査は営業停止と同じものと捉えられており,処分基準を見せつけて見せしめのような処分をすることは,本来の目的を離れてタクシー事業者を被告に隷属させるという目的が一人歩きしているように思われる。このことに加え,被告は,増車したら違反点数は4倍になる,監査を受けるのを回避したいのであれば減車せよなどとタクシー事業者を迫害し続けており,誰もこれに逆らえない実態が背景にあるものである。 (被告の主張の要点)次のような事情に照らすと,本件却下処分について,東京運輸支局長の裁量権の範囲からの逸脱又は濫用があるとはいえず,憲法13条,14条,2 2条,25条,27条及び41条に反するものともいえない。 ア道路運送法6条の基準適合性の判断が裁量性を有すること特定地域内に営業所を有する事業者が増車を計画する場合には,届出ではなく,国土交通大臣等による認可を受ける必要があり(特措法15条1項,道路運送法15条1項),この認可の許否判断に際しては,同条2項が準用する同法6条の基準に適合しているかが吟味されることになるところ,同条各号が定める3つの基準は,いずれも抽象的,概括的なものであって,特に具体的な適合要件を定めているものではない。また,実際の増車の当否を判断する上では,特定地域 かが吟味されることになるところ,同条各号が定める3つの基準は,いずれも抽象的,概括的なものであって,特に具体的な適合要件を定めているものではない。また,実際の増車の当否を判断する上では,特定地域におけるタクシーの需要及び供給の関係,当該地域で営業するタクシー事業者への影響のほか,輸送の安全や利用者の利益の保護及び利便が維持できるか否かといった公益にも配慮した検討を要するところであって,このような判断は,当該地域の道路運送行政に精通し,専門的,技術的な知識経験を有する国土交通大臣等の裁量的判断に委ねなければ,実効的な判断は見込めず,ひいては特措法の目的実現が妨げられかねない。それゆえ,道路運送法6条の基準の適合性の判断については,国土交通大臣等の判断権者に裁量権が認められているというべきである(最高裁平成7年(オ)第947号同11年7月19日第一小法廷判決・裁判集民事193号571頁参照)。そして,同条の基準適合性については措置一般車両認可基準が定められ,認可手続においても,同基準に該当するか否かが判断されることになるが,増車認可申請については,原則として,①収支計画,②運転者の確保状況,③実働率,④法令遵守状況に関する基準に適合するものについて認可するとしたにとどまり,当該要件を満たすか否かについては,やはり国土交通大臣等による裁量的判断が必要となるから,措置一般車両認可基準が定められていることを前提としても,同法15条1項の認可処分の裁量性は否定されない。 このように,同法6条の基準適合性の判断には国土交通大臣等に裁量権 が認められていることから,その判断の適否に対する司法審査の在り方も,国土交通大臣等と同一の立場に立って同条の基準に適合するかどうかを判断するのではなく,国土交通大臣等の第一次的な裁量判断が存在するこ 認められていることから,その判断の適否に対する司法審査の在り方も,国土交通大臣等と同一の立場に立って同条の基準に適合するかどうかを判断するのではなく,国土交通大臣等の第一次的な裁量判断が存在することを前提として,同判断が裁量権を付与した目的を逸脱し,又はこれを濫用したと認められるかどうかを判断すべきである(行政事件訴訟法30条参照)。 イ本件一般車両増車申請が措置一般車両認可基準中の収支計画要件に適合しているとはいえないこと次の(ア)ないし(エ)によれば,本件一般車両増車申請が措置一般車両認可基準中の収支計画要件を満たすものと認めることができないとした東京運輸支局長の判断に何ら不合理な点はない。 (ア) 本件一般車両増車申請において申請された輸送需要が西多摩交通圏内の他社(A)が担っていた輸送需要であること①原告が本件一般車両増車申請に係る補正をした際に添付した「事業計画変更報告書」と題する文書(乙1の3の2枚目)において,本件一般車両増車申請がγ町の依頼を受けたことに伴うものである旨が記載されていること,②原告が本件一般車両増車申請に係る補正をした際に添付した平成23年4月から平成24年7月までの輸送実績表(原告を含む西多摩交通圏の事業者の月次の輸送実績が記載されているもの。乙1の3の7ないし22枚目)において,平成23年4月から平成24年3月までの各輸送実績表(乙1の3の7ないし18枚目)については,AE営業所に係る輸送実績が記載されているが,同年4月から同年7月までの各輸送実績表(乙1の3の19ないし22枚目)については,同営業所に係る輸送実績は記載されていないこと,③原告が本件一般車両増車申請に係る再度の補正をした際に提出した「収支計画書を添付します。」との書き出しから始まる文書(乙1の5の1枚目)には,「Aが 同営業所に係る輸送実績は記載されていないこと,③原告が本件一般車両増車申請に係る再度の補正をした際に提出した「収支計画書を添付します。」との書き出しから始まる文書(乙1の5の1枚目)には,「Aが一 営業所(AE営業所)を構えていたところ,当社(原告)が同社(A)とは真逆に小回りをきかせフレキシブルにサービスを提供して事業後継した場合」,「従来の当社(原告)の年間台平均を売上予測として用いることは至極客観的」と記載されていることの各事情に照らすと,本件一般車両増車申請がされたのは,γ町からの依頼により,平成24年3月に西多摩交通圏内の他社(A)が廃止した同社E営業所分の運送を原告が後継しようとするためであると解される。 そうすると,本件一般車両増車申請において申請された輸送需要は,西多摩交通圏内の他社(A)が担っていた輸送需要であって,西多摩交通圏における既存の需給関係の中に吸収されるべきものと見るのが合理的であり,新たに発生する輸送需要であるとはいえず,収支計画要件に適合しないというべきである。 (イ) 西多摩交通圏の全体及びγ町においてはいずれもタクシーの輸送需要が減少傾向にあること次のa及びbのとおり,西多摩交通圏の全体においても,γ町においても,タクシーの輸送需要が減少傾向にあると認められる一方で,新規の輸送需要の発生が見込まれるような具体的な事情は何ら存しないのであるから,同交通圏において新たに発生する輸送需要が存するとはいえず,増車を認めれば西多摩交通圏の全体におけるタクシーの供給過剰の状況に拍車をかける結果となるというべきであって,本件一般車両増車申請が収支計画要件を満たすものと認めることができないとした東京運輸支局長の判断に何ら不合理なところはないというべきである。 a 西多摩交通圏の全体について なるというべきであって,本件一般車両増車申請が収支計画要件を満たすものと認めることができないとした東京運輸支局長の判断に何ら不合理なところはないというべきである。 a 西多摩交通圏の全体について西多摩交通圏の全体における平成21年度ないし平成23年度のタクシーの輸送実績のうち,①運送収入は,平成21年度が約27億0227万円,平成22年度が約26億3324万円,平成23年度 が約25億8046万円であり,②輸送回数は,平成21年度が188万5457回,平成22年度が186万2286回,平成23年度が183万5303回であり,③輸送人員は,平成21年度が248万2058人,平成22年度が246万7171人,平成23年度が241万1816人であって,各数値とも減少している(乙53)。 西多摩交通圏の全体における各年度の日車営収は,平成21年度が約3万7064円,平成22年度が3万6840円,平成23年度が3万7302円とほぼ横ばいであり(乙53),平成21年度ないし平成23年度までの西多摩交通圏の全体における輸送需要自体に変わりはない(少なくとも需要が増加している状況にはない)といえることに加え,上記の平成21年度ないし平成23年度の日車営収は,平成13年度の日車営収4万2410円,平成20年度の日車営収4万0321円(いずれも乙35)に比べて低水準にとどまっていることからすれば,平成13年度から平成23年度までの10年間で見ると,同交通圏の全体におけるタクシーの輸送需要は減少傾向にあるものといえる。 b γ町について平成21年度ないし平成23年度当時,γ町に営業所を置いてタクシー事業を行っていたのはAだけであったところ,AE営業所におけるタクシーの輸送実績のうち,①運送収入は,平成21年度が約1558万円,平成 21年度ないし平成23年度当時,γ町に営業所を置いてタクシー事業を行っていたのはAだけであったところ,AE営業所におけるタクシーの輸送実績のうち,①運送収入は,平成21年度が約1558万円,平成22年度が約1236万円,平成23年度が約1252万円であり,②輸送回数は,平成21年度が7478回,平成22年度が6473回,平成23年度が6453回であり,③輸送人員は,平成21年度が1万3039人,平成22年度が1万0490人,平成23年度が1万0273人となっており(乙54),平成21年度ないし平成23年度のγ町におけるタクシーの輸送回数及び輸送人 員はいずれも減少している上,運送収入についても,平成23年度こそ前年度よりも約16万円わずかに増加してはいるものの,平成21年度と平成23年度を比較してみると,約1558万円から約1252万円に減少しているのであるから,γ町におけるタクシーの輸送実績は,全体として減少傾向にあるものといえる。さらに,γ町における総人口も昭和30年から平成22年まで一貫して減少している(乙55)上,Bの○駅の1日平均利用者数も平成12年度から平成24年度まで一貫して減少している(乙56)ことに照らしても,今後,γ町におけるタクシーの輸送実績が増加することは想定し難い。 このように,γ町においても,西多摩交通圏の全体と同様,タクシーの輸送需要は減少傾向にあるものと認められる。 (ウ) 西多摩交通圏においてはタクシーが供給過剰の常態にあること西多摩交通圏は,前提事実(7)イに述べたとおり,平成21年10月1日及び平成24年9月28日,それぞれ特定地域として指定され,この間においても,平成21年度及び平成22年度の輸送実績(乙53)が平成13年度のそれ(乙35)を下回っており,継続して特定地域の 1日及び平成24年9月28日,それぞれ特定地域として指定され,この間においても,平成21年度及び平成22年度の輸送実績(乙53)が平成13年度のそれ(乙35)を下回っており,継続して特定地域の指定要件を満たしているから,供給過剰の常態にあるといえる。そして,γ町において唯一タクシー事業を展開していたAは,平成24年3月をもってE営業所を廃止して同町から撤退したところ,同営業所の認可車両2台については,同年4月,AF営業所に配属替えとなった(乙1の3の18枚目及び19枚目[西多摩地区平成24年3月輸送実績表][西多摩地区平成24年4月輸送実績表])から,Aがγ町から撤退する前後で,西多摩交通圏におけるAの認可車両数(55台)自体には変動はない上,西多摩交通圏においてタクシー事業を行っている事業者全体で見ても,同年3月の認可車両数216台から同年4月の認可車両数215台(いずれも福祉大型車両を含む。乙1の3の18枚目及び19 枚目)へと1台減少したのみである(なお,乙53における車両数と乙1の3の18枚目の車両数との間で平成23年度末の車両数が相違しているが,これは,乙53における車両数が西多摩交通圏内の事業者の事業計画における一般タクシー車両数の合計数であるのに対し,乙1の3の18枚目における車両数が月末時点で事業者が有している車両数であって,事業者が減車に係る事業計画を変更しようとするときはあらかじめ届出をしなければならないところ,当該届出に従って減車を実施する時期が翌月になったことによるものである。)。 このように,前記(イ)aに述べたとおり,西多摩交通圏の全体におけるタクシーの輸送需要が減少傾向にあるところ,このような状況下でタクシーの増車を認めれば,西多摩交通圏の全体における輸送需要が増加していないにもかかわ イ)aに述べたとおり,西多摩交通圏の全体におけるタクシーの輸送需要が減少傾向にあるところ,このような状況下でタクシーの増車を認めれば,西多摩交通圏の全体における輸送需要が増加していないにもかかわらず単にタクシーの供給を増やすだけとなり,タクシーの供給過剰に拍車をかける結果となることは明らかである。 (エ) 原告の主張には具体的な根拠がないこと原告は,Aと比較し,運行台数及び運行時間帯が1.5倍になること,年中無休で本社営業所において予約を受けること,タクシーを待機させる場所を固定させないこと等フレキシブルにサービスを提供することにより,本件一般車両増車申請の内容どおりに増車が認められた場合には,原告の平成25年度におけるタクシー事業の売上高が平成23年度に比して全体として3420万円(原告における全体の売上高が約16%増加)する旨主張する。 しかしながら,原告がいかなるサービスを提供することによってAを上回る運送収入を得られるのか,γ町からいかなる助成を得られ,その助成がいかにして新規需要の開拓につながるのかなどについて,具体的に明らかにされていない。また,増車申請が認められた場合に原告の売上高がなぜ16%も増加するのか,原告の増車によってγ町におけるタ クシー輸送需要がどの程度増加するものと見込んでいるのか,その増車分の運送収入が西多摩交通圏で新たに発生する輸送需要によるものであるか等,原告からはその数値等の客観性,妥当性を明らかにする具体的な資料も何ら提出されていない。また,前記(イ)bに述べたとおり,AE営業所におけるタクシーの運送収入は減少傾向にある(平成21年度が約1558万円,平成22年度が約1236万円,平成23年度が約1252万円)ことを踏まえると,原告の収支計画にあるように,運送収入が平成23年 るタクシーの運送収入は減少傾向にある(平成21年度が約1558万円,平成22年度が約1236万円,平成23年度が約1252万円)ことを踏まえると,原告の収支計画にあるように,運送収入が平成23年度と比して約3420万円(従前のAによるγ町における平成23年度の運送収入の約3倍に当たる。)増加することは考え難いというべきである。 ウ γ町から依頼があることが本件一般車両増車申請が措置一般車両認可基準に適合することを裏付けるものとはいえないこと本件一般車両増車申請において指摘されているγ町からの依頼の内容については不明であるところ,同町の平成24年12月21日付け要望書(甲4)によれば,同町が求めているのは同町へのタクシーの供給であるにとどまるから,これをもってタクシーの増車が必要なものであると認めることはできない。 エ本件却下処分が特措法3条,6条及び7条に違反しないこと原告は,被告が,特措法を利用し,適正化の名の下に特別区とγ町とを同一視してタクシーの規制や取締りを強化し,理由不明の官製減車政策につなげようとしているとして,本件却下処分が同法3条,6条及び7条に違反する旨主張する。 しかしながら,特定地域の指定は,前提事実(4)イのとおり,措置実施通達Ⅰ1が定める指定基準に沿って実施され,また,西多摩交通圏については,前記(2)のとおり,上記指定基準に準拠し,平成13年度と平成20年度及び平成23年度の輸送実績を比較対照して特定地域に指定したも のであって,その指定は合理性を有するというべきであるから,原告の主張は理由がない。 オ東京運輸支局長が平成19年6月21日に原告に対してした事業計画の認可処分が原告の一般車両タクシーの増車を認めたものとはいえないこと原告は,平成19年5月18日,東京運輸支局長に 由がない。 オ東京運輸支局長が平成19年6月21日に原告に対してした事業計画の認可処分が原告の一般車両タクシーの増車を認めたものとはいえないこと原告は,平成19年5月18日,東京運輸支局長に対し,一般乗用旅客自動車運送事業事業計画変更認可申請書(甲10の1)及び本社営業所配置図兼自動車車庫求積平面図(甲10の2)を提出し,同支局長が同年6月21日にこれを認可したところ,この認可は,形式的には,タクシーの車庫を16両分から24両分に増加させようとするものであるが,実質的には24両までの増車の認可を受けているものと同視することができる旨主張する。 しかしながら,事業者が保有する事業用自動車の数に変更がなくとも,事業者の経営上の理由等から自動車車庫の位置及び収容能力を変更する必要が生ずることは当然あり得るのであって,自動車車庫の位置及び収容能力と事業用自動車の数とは直結する事項ではないため,自動車車庫の位置及び収容能力の変更と,営業所ごとに配置する事業用自動車の数の変更は,それぞれ別個の変更事項であり(道路運送法施行規則4条8項3号,4号参照),それぞれについて,道路運送法上の認可を受け又は届出をしなければならない。そして,本件においてみれば,原告が提出した一般乗用旅客自動車運送事業事業計画変更認可申請書(甲10の1)によってされた申請は,飽くまで自動車車庫の位置及び収容能力の変更の認可を求めるものであって,事業用自動車の数自体の変更に係る申請ではなく,同申請と本件一般車両増車申請とは,それぞれ別個の事項に係る変更認可を求める申請であるから,自動車車庫の位置及び収容能力に係る変更申請が認可されたからといって,その後にされる事業用自動車の増車申請まで認可されるとは限らない。 したがって,東京運輸支局長が同日にした事業 から,自動車車庫の位置及び収容能力に係る変更申請が認可されたからといって,その後にされる事業用自動車の増車申請まで認可されるとは限らない。 したがって,東京運輸支局長が同日にした事業計画の認可処分は,原告の一般車両タクシーの増車を認めたものでなく,飽くまで自動車車庫の位置及び収容能力の変更を認めたものにすぎないのであるから,自動車車庫の位置及び収容能力の変更申請が認可されたことをもって,本件一般車両増車申請も認可されるべきとする原告の主張は,失当である。 (4) 本件条件付認可処分に係る東京運輸支局長の裁量権の範囲からの逸脱又は濫用の有無(争点3-2)(原告の主張の要点)次のような事情に照らすと,本件条件付認可処分は,憲法13条,14条,22条,25条,27条及び41条に反するものである。 ア原告は,タクシー事業(道路運送法3条1号ハ)の許可を受けた事業者であり,本件福祉車両増車申請は,当該許可に係る事業を前提とした車両数変更という認可事項であるところ,東京運輸支局長は,本件条件付認可処分において,タクシー事業に劣後する別個の許可事業である特定旅客自動車運送事業(同条2号)を上回る厳格な制限を条件として付しており,本件一般車両増車申請と同一の法令に基づく審査によってその判断がされるべきであるにもかかわらず,それがされていない。 イ原告以外の西多摩交通圏のタクシー事業者(6社)は,UDタクシーを保有しておらず,原告がUDタクシーを運行する新規の許可を取得してから9年間にわたり東京運輸支局に提出している輸送実績報告書に照らし,原告が,バリアフリー法1条及び7条に従って,バリアフリーを通じたノーマライゼーションを目指した採算度外視の企業の社会的責任によりこれを実現しようとする事業活動を行おうとしているにもかかわ 照らし,原告が,バリアフリー法1条及び7条に従って,バリアフリーを通じたノーマライゼーションを目指した採算度外視の企業の社会的責任によりこれを実現しようとする事業活動を行おうとしているにもかかわらず, いきなり異常な条件を付して無理難題を課すことは,同法4条に反し,道路運送法86条2項にいう必要最小限の条件ともいえない。 ウ被告は,処分にいかなる条件を付すかについても裁量が認められている 旨主張するとともに,道路運送法86条1項を盾に,本件条件付認可処分のうち条件を付した部分のみ取り消された場合には,UDタクシーが一般車両タクシーとして使用される事態を引き起こしかねず,一般車両と福祉車両を区分してきた趣旨を損なわれかねないとし,同条2項も比例原則に基づく確認的規定である旨主張する。 しかしながら,同項は,公衆の利益の増進や認可事項の確実な実施のため必要最小限度の条件を付すことを認めているにすぎず,被告が上記に指摘する事態の防止や趣旨の満足のために条件を付すことを認めているものではない。一般車両タクシーに係るタクシー事業を営む者がUDタクシーを標準化,当然化することが迅速な交通バリアフリーの実現につながるところ,そのためには,UDタクシーを日常的に一般車両タクシーと同様に運行しなければUDタクシーを事業として導入,維持することができない実情があるから,これを一般車両と福祉車両を区分してきた趣旨という偏った考え方により妨げることには,法的にも社会的にも全く何の価値もない。被告は,平成12年改正により需給調整規制が廃止された後においても,リフト付タクシー等特殊なサービスに係る事業については,事業の特性を踏まえて業務の範囲を当該事業に限定する旨の条件を付すこととする旨を定めた通達等(「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制 いても,リフト付タクシー等特殊なサービスに係る事業については,事業の特性を踏まえて業務の範囲を当該事業に限定する旨の条件を付すこととする旨を定めた通達等(「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く。)の申請に対する処理方針」(平成13年8月29日付け国自旅第72号国土交通省自動車交通局長通達。乙26)及び「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く。)の許可申請の審査基準について」(同年11月22日付け関東運輸局長公示。乙27))がある旨指摘するが,これらは,バリアフリー法3条に基づいて策定された「移動等円滑化の促進に関する基本方針」(平成18年国家公安委員会,総務省,国土交通省告示第1号)四1(1)及び(2)並びに同法4条により,UDタクシー等の現実化,標準化を図る責務を負うはずの被告が,これに 反する的外れな条件を付すものであって,明らかに裁量権の範囲から逸脱し,又はこれを濫用するものである。 エ原告は,平成19年5月18日,東京運輸支局長に対し,一般乗用旅客自動車運送事業事業計画変更認可申請書(甲10の1)及び本社営業所配置図兼自動車車庫求積平面図(甲10の2)を提出し,同支局長が同年6月21日にこれを認可したところ,この認可は,形式的には,タクシーの車庫を16両分から24両分に増加させようとするものであるが,原告が,当該認可後は,届出により随時増車することができたことに鑑みると,特措法施行前の同日以降,実質的には24両までの増車の認可を受けているものと同視することができる。特措法は,道路運送法に基づく認可を求めており,他に原告の申請(本件福祉車両増車申請)を拒む正当な理由はないから,従前と同じ結果が出ることが自然である。 (被告の主張の要点)次のアないしエのような事 は,道路運送法に基づく認可を求めており,他に原告の申請(本件福祉車両増車申請)を拒む正当な理由はないから,従前と同じ結果が出ることが自然である。 (被告の主張の要点)次のアないしエのような事情に照らすと,本件条件付認可処分について,東京運輸支局長の裁量権の範囲からの逸脱又は濫用があるとはいえず,憲法13条,14条,22条,25条,27条及び41条に反するものともいえない。 ア免許,認可等は,免許や認可等を受けた者に事業を経営する権利を設定したり,事実上の利益を与えるものであるから,公益上その他の必要から,免許,認可等の条件として一定の義務を課すことが許されなければならず,その負担は,免許や認可等により受ける事実上の利益に対応して,ある程度広い範囲で賦課することが許されなければならない(乙39の140及び141頁参照)が,負担を付し得るとしても,行政上の法の一般原則である比例原則の趣旨からして,そこには一定の限界があるものというべきである。 道路運送法86条1項にいう「条件」とは,負担,すなわち,法令に規 定されている義務以外の義務を付加する附款のことをいうものと解される(乙39参照)ところ,福祉車両の増車申請に対し,国土交通大臣等が同法6条の基準に適合するものと認め,これを認可するに当たり,同法86条1項の規定(「条件又は期限を付し,及びこれを変更することができる。」)に基づいていかなる条件を付すかについては,同条2項が,「前項(同条1項)の条件又は期限は,公衆の利益を増進し,又は免許,許可,登録もしくは認可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り,かつ,当該道路運送事業者(中略)又は自家用有償旅客運送者に不当な義務を課すこととならないものでなければならない。」と規定していることから明らかな の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り,かつ,当該道路運送事業者(中略)又は自家用有償旅客運送者に不当な義務を課すこととならないものでなければならない。」と規定していることから明らかなとおり,国土交通大臣等の裁量が認められていることから,その判断の適否に対する司法審査の在り方についても,国土交通大臣等の第一次的な裁量判断が存在することを前提として,同判断が裁量権を付与した目的を逸脱し,又はこれを濫用したと認められるかどうかを判断すべきである。 イ前提事実(6)アのとおり,平成12年改正前から,リフト付タクシー等特殊なサービスに係る新規参入及び増車申請については,その内容に応じ,需給調整規制の適用に当たり,それぞれの特性を踏まえて判断することとして,地域の実情を踏まえ弾力的に取り扱うこととされ,平成12年改正後においても,リフト付タクシー等特殊なサービスに係る事業の新規参入については平成12年改正前と同様に,事業の特性を踏まえて業務の範囲を当該事業に限定する旨の条件を付すこととされ(乙26,27),さらに,その後,許可の対象となる輸送サービスの対象となる旅客及び使用車両の範囲が拡大された(乙30ないし33)ものである。 原告は,本件福祉車両増車申請において,福祉車両のうち車椅子・寝台兼用車(UDタクシー)1台の増車の認可を求めたところ,同申請が措置実施公示Ⅲ3(3)に規定する福祉輸送自動車の取扱いに適合し,措置福祉 車両認可基準に適合すると認められたため,東京運輸支局長は,上記の経緯(前提事実(6))を踏まえ,拡大された輸送サービスの対象となる旅客及び使用車両等につき業務の範囲に係る条件として付すこととし,道路運送法86条1項に基づき,別紙2のとおりの条件を付して認可した(前提事実(9)イ)。そして,本件条 れた輸送サービスの対象となる旅客及び使用車両等につき業務の範囲に係る条件として付すこととし,道路運送法86条1項に基づき,別紙2のとおりの条件を付して認可した(前提事実(9)イ)。そして,本件条件付認可処分に付された条件(負担)は,福祉輸送サービス事業を行うに当たって,同サービスを利用することが想定される旅客を網羅し,同事業を行うに当たって通常使用することが想定され得る車両を網羅しているほか,福祉輸送サービス事業の業務に携わる乗務員を福祉に係る一定の資格を有する者に限定することは,事業の性質に照らせば必要かつ合理的なことであるから,同処分に付された条件は,必要最小限度のものであり,かつ,原告に不当な義務を課すものでもないことは明らかである。また,仮に,本件条件付認可処分のうち条件を付した部分のみが取り消された場合には,リフト付タクシー等特殊なサービスに係るタクシー事業に限定して増車を認可した車両が一般車両タクシーとして使用されるという事態を引き起こしかねず,一般車両と福祉車両を区分してきた趣旨が損なわれかねないのであるから,かかる観点からしても,本件条件付認可処分に何ら不合理な点はない。 以上によれば,本件条件付認可処分において条件を付した東京運輸支局長の判断が裁量権の範囲から逸脱し又はこれを濫用したものとは認められないから,本件条件付認可処分は適法である。 ウ原告は,被告が,バリアフリー法1条及び7条に従って事業活動を行おうとしている原告に対し,いきなり異常な条件を付して無理難題を課すことは,同法4条に違反し,道路運送法86条2項にいう必要最小限の条件ともいえない旨主張する。 しかしながら,本件条件付認可処分は,前記イに述べたとおり,福祉車両の増車に係る事業計画の変更につき,その事業計画の確実な実施を図る ため いう必要最小限の条件ともいえない旨主張する。 しかしながら,本件条件付認可処分は,前記イに述べたとおり,福祉車両の増車に係る事業計画の変更につき,その事業計画の確実な実施を図る ため,同条に基づき,必要最小限度の条件を付して本件福祉車両増車申請を認可したものであって,原告に不当な義務を課すものではないから適法であり,バリアフリー法4条に違反するともいえないから,原告の主張は理由がない。 エ原告は,平成19年5月18日,東京運輸支局長に対し,一般乗用旅客自動車運送事業事業計画変更認可申請書(甲10の1)及び本社営業所配置図兼自動車車庫求積平面図(甲10の2)を提出し,同支局長が同年6月21日にこれを認可したところ,この認可は,形式的には,タクシーの車庫を16両分から24両分に増加させようとするものであるが,実質的には24両までの増車の認可を受けているものと同視することができる旨主張する。 しかしながら,事業者が保有する事業用自動車の数に変更がなくとも,事業者の経営上の理由等から自動車車庫の位置及び収容能力を変更する必要が生ずることは当然あり得るのであって,自動車車庫の位置及び収容能力と事業用自動車の数とは直結する事項ではないため,自動車車庫の位置及び収容能力の変更と,営業所ごとに配置する事業用自動車の数の変更は,それぞれ別個の変更事項であり(道路運送法施行規則4条8項3号,4号)それぞれについて,道路運送法上の認可を受け又は届出をしなければならない。そして,本件においてみれば,原告が提出した一般乗用旅客自動車運送事業事業計画変更認可申請書(甲10の1)によってされた申請は,飽くまで自動車車庫の位置及び収容能力の変更の認可を求めるものであって,事業用自動車の数自体の変更に係る申請ではなく,同申請と本件福祉車両増車申 画変更認可申請書(甲10の1)によってされた申請は,飽くまで自動車車庫の位置及び収容能力の変更の認可を求めるものであって,事業用自動車の数自体の変更に係る申請ではなく,同申請と本件福祉車両増車申請とは,それぞれ別個の事項に係る変更認可を求める申請であるから,自動車車庫の位置及び収容能力に係る変更申請が認可されたからといって,その後にされる事業用自動車の増車申請まで認可されるとは限らない。 したがって,東京運輸支局長が平成19年6月21日にした事業計画の認可処分は,原告のUDタクシーの増車を認めたものでなく,飽くまで自動車車庫の位置及び収容能力の変更を認めたものにすぎないのであるから,自動車車庫の位置及び収容能力の変更申請が認可されたことをもって,本件福祉車両増車申請も認可されるべきとする原告の主張は,失当である。 (5) 信義則違反の有無(争点4)(原告の主張の要点)東京運輸支局長は,原告がタクシーを24両まで増加させる意思や事業計画を有していることを知っていただけではなく,これを認めていたからこそ,原告も同支局長を信じてタクシーを16両から20両に増車し,利用者の利便性の向上や雇用の創出はもとより同業他社や自治体との協調その他の実績を挙げ,次なる4両も既に購入して増車の準備をしていたから,上記のような原告の信頼に反して同支局長がした本件却下処分及び本件条件付認可処分は,信義則に反する違法があるというべきである。 (被告の主張の要点)原告の主張は争う。 (6) 本件却下処分が無効であるといえるか否か(争点5)(原告の主張の要点)原告は,本件一般車両増車申請に際し,申請書及び添付書類を提出し,その後東京運輸支局長の求めに応じた補正をしてこれを完了させており,形式上の不備はなかった。しかしながら,東京運 原告の主張の要点)原告は,本件一般車両増車申請に際し,申請書及び添付書類を提出し,その後東京運輸支局長の求めに応じた補正をしてこれを完了させており,形式上の不備はなかった。しかしながら,東京運輸支局長は,行政手続法7条に基づき必要に応じて原告に補正を求めるか申請を拒否しなければならないところ,形式不備である却下処分をしたものである。 (被告の主張の要点)行政処分が無効であるというためには,当該処分に「重大かつ明白な瑕疵」が存在しなければならず(最高裁昭和25年(オ)第206号同31年7月 18日大法廷判決・民集10巻7号890頁),その瑕疵が明白であるか否かは,処分の外形上,客観的に瑕疵が一見して看取し得るか否かにより決せられるべきものである(最高裁昭和41年(行ツ)第51号同44年2月6日第一小法廷判決・裁判集民事94号233頁参照)。そして,「重大かつ明白な瑕疵」の存在に係る主張立証責任が原告にあることは多言を要しないところである(最高裁昭和40年(行ツ)第45号同42年4月7日第二小法廷判決・民集21巻3号527頁)。 本件却下処分については,実体要件,手続要件ともに,外形上,客観的に一見して看取することができる瑕疵があったとは到底いえないから,この点からしても原告の主張は理由がない。なお,原告は,本件却下処分が,形式不備を理由にされたものである旨主張するが,本件却下処分は,収支計画要件に適合しないことを理由としてされたもの(前記(3)参照)であり,形式的不備を理由としてされたものではない。 第3 当裁判所の判断 1 特定地域におけるタクシーの増車に関する事業計画の変更の認可に関して国土交通大臣等が有する裁量等道路運送法は,道路運送事業の運営を適正かつ合理的なものとし,並びに道路運送の分野における利用 1 特定地域におけるタクシーの増車に関する事業計画の変更の認可に関して国土交通大臣等が有する裁量等道路運送法は,道路運送事業の運営を適正かつ合理的なものとし,並びに道路運送の分野における利用者の需要の多様化及び高度化に的確に対応したサービスの円滑かつ確実な提供を促進することにより,輸送の安全を確保し,道路運送の利用者の利益の保護及びその利便の増進を図るとともに,道路運送の総合的な発達を図り,もって公共の福祉を増進することを目的(同法1条)とし,特措法は,特定地域における道路運送法の特例について定めること等により,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化を推進し,もって地域における交通の健全な発達に寄与することを目的(同法1条)としている。 その上で,同法3条1項は,特定の地域における一般乗用旅客自動車運送 事業の供給過剰(供給輸送力が輸送需要量に対し過剰であること)の状況(同項1号),事業用自動車1台当たりの収入の状況(同項2号),法令の違反その他の不適正な運営の状況(同項3号)及び事業用自動車の運行による事故の発生の状況(同項4号)に照らして,当該地域の輸送需要に的確に対応することにより,輸送の安全及び利用者の利便を確保し,その地域公共交通としての機能を十分に発揮できるようにするため,当該地域の関係者の自主的な取組を中心として一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化を推進することが特に必要であると認めるときは,当該特定の地域を特定地域として指定することができるものとし,同法15条1項は,一般乗用旅客自動車運送事業者が特定地域内の営業所に配置するその事業用自動車の合計数を増加させる事業計画の変更については,道路運送法15条3項の規定を適用せず,同条1項の規定に基づく国土交通大臣の認可を受けな 自動車運送事業者が特定地域内の営業所に配置するその事業用自動車の合計数を増加させる事業計画の変更については,道路運送法15条3項の規定を適用せず,同条1項の規定に基づく国土交通大臣の認可を受けなければならないものとする特例を定めている。 また,同条2項の規定により同条1項の国土交通大臣の認可について準用される同法6条の規定は,一般旅客自動車運送事業の許可をする際にそれに適合するかどうかを審査すべき基準として,当該事業の計画が輸送の安全を確保するため適切なものであること(同条1号),同号に掲げるもののほか,当該事業の遂行上適切な計画を有するものであること(同条2号)及び当該事業を自ら適確に遂行するに足る能力を有するものであること(同条3号)を掲げているところ,上記の定めに用いられている文言が抽象的かつ概括的なものであることに加え,特定地域におけるタクシーの増車に関する事業計画の変更の認可の申請に係る許否の判断に際しては,同法に基づく一般的な許可又は認可の許否の判断に際してと同様,当該申請者,当該特定地域を営業区域とする他のタクシー事業者等の多元的な諸利益に加えて輸送の安全や利用者の利益の保護等の公益にも配慮した検討を要するといえることからすると,特措法15条1項及び2項並びに道路運送法6条は,上記の申請に係 る許否の判断及びその前提となる特定地域におけるタクシーの増車に関する事業計画の変更の認可の申請等につき認可するか否かに係る審査の基準をどのように定めるかということについて,当該地域の道路運送行政に精通し,専門的かつ技術的な知識及び経験を有する国土交通大臣等の政策的かつ裁量的な判断に委ねているものと解するのが相当である。 もっとも,①判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる 識及び経験を有する国土交通大臣等の政策的かつ裁量的な判断に委ねているものと解するのが相当である。 もっとも,①判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合又は②事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと,判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合には,特定地域におけるタクシーの増車に関する事業計画の変更の認可の申請に係る許否の判断及びその前提として定められた上記のような申請等につき認可するか否かに係る審査の基準が,国土交通大臣等が有する裁量権の範囲から逸脱し,又はこれを濫用したものとして違法となるというべきである。 2 措置一般車両認可基準及びそれに含まれる収支計画要件の各適法性(争点1)について(1) 措置一般車両認可基準について措置一般車両認可基準は,特定地域における一般車両タクシーの増車に関する事業計画の変更の認可の申請等につき認可するか否かについての審査の基準を定めたものであるところ,①前提事実(3)アに述べたとおり,特措法の制定の基礎とされた本件答申において,タクシーの供給過剰は,タクシー事業の収益基盤の悪化,タクシーの運転者の労働条件の悪化等のタクシーをめぐる様々な問題の背景に存在する根本的な問題であるとして,タクシーの供給過剰が進行している地域においては,地域における公共交通機関としてのタクシーの機能の維持・活性化の観点からの総合的な取組が必要である旨の認識を前提とし,そのような地域における具体的な対応として,そのような地域を特定地域として指定する制度を創設するとともに,(a)タクシーの 運転者の労働条件の悪化の防止のため,事業者への監査や新規の参入及び増車における審査において, 対応として,そのような地域を特定地域として指定する制度を創設するとともに,(a)タクシーの 運転者の労働条件の悪化の防止のため,事業者への監査や新規の参入及び増車における審査において,タクシーの運転者の労働条件の悪化を招かないよう他の地域よりもチェックを厳格化する必要があること,(b)違法又は不適切な事業運営の排除のため,新規の参入及び増車における審査も厳格化する必要があること,(c)供給の増加,すなわち新規の参入や増車を必要な限度でかつ有効に抑制する必要があるため,新規の参入及び増車について,他の地域に比べ,許可等の基準及び要件並びにそれらの審査を厳格化する必要があることを内容とする提言がされたこと,②前提事実(3)ウに述べたとおり,特措法(政府案)の国会における審議に際し,衆議院及び参議院の各国土交通委員会において,特定地域においては,新規参入や増車が需要増を喚起すると明らかに見込める場合を除き,原則としてこれらを認めないこと等をその内容に含む特措法(政府案)に対する附帯決議がされていること,③前提事実(3)ウに述べたとおり,特措法の施行に当たり定められた本件基本方針においても,「新規の事業許可及び事業用自動車の数を増加させる事業計画の変更認可については,特定地域における安易な供給拡大を抑制するよう,これらの許認可処分について処分基準を厳格化するとともに,審査に当たっては現地確認を徹底するなど審査の厳格化を図るものとする。」と定められていること等,特措法が成立するまでの議論の経緯や本件基本方針の定めを踏まえれば,安易なタクシーの供給拡大を抑制することを目的とする審査基準を定めること自体は,国土交通大臣等が有する裁量権の範囲から逸脱し,又はこれを濫用したものとまではいい難いものと認めるのが相当である。 その上で,特措 ーの供給拡大を抑制することを目的とする審査基準を定めること自体は,国土交通大臣等が有する裁量権の範囲から逸脱し,又はこれを濫用したものとまではいい難いものと認めるのが相当である。 その上で,特措法3条1項及び15条1項の各規定の定めからも明らかなとおり,同法は,特定地域においては,タクシーの供給過剰により輸送の安全の確保や利用者の利益の保護等に弊害が生じる事態を避けるため,タクシーの供給過剰に対する対策を講じることを許容しているものということができ,さらに,上記③のとおり,本件基本方針においても,特定地域において は安易なタクシーの供給拡大は抑制されるべきである旨が定められていることからすると,道路運送法6条各号の定めるところを具体化する基準である措置一般車両認可基準において,安易なタクシーの供給拡大を抑制するための基準を設けること自体は,国土交通大臣等が有する裁量権の範囲から逸脱し,又はこれを濫用したものとまではいい難いものと認めるのが相当である。 (2) 収支計画要件についてア既に述べたように特措法15条1項及び道路運送法15条の規定により特定地域におけるタクシーの増車に関する事業計画の変更の認可の申請についての審査につき準用される同法6条1号の規定は,輸送の安全を確保するため事業計画の内容が適切であることを求め,同条2号の規定は,同条1号に掲げるもの以外の観点から事業計画の内容が適切であることを求めるものであるが,同条2号の規定の文言が抽象的かつ概括的であることからすると,同号は,同条1号に掲げるもの以外の一般乗用旅客自動車運送事業の遂行上の計画の適切性に関するものとして,国土交通大臣等が政策的に必要と認めるものを認可の基準とすることを許容しているものと解するのが相当である。 もっとも,同法は,平成12年改 自動車運送事業の遂行上の計画の適切性に関するものとして,国土交通大臣等が政策的に必要と認めるものを認可の基準とすることを許容しているものと解するのが相当である。 もっとも,同法は,平成12年改正により,需給調整規制を採用しないこととし,平成12年改正後の同法には,緊急調整措置(同法8条)の規定以外には,増車に関する事業計画の変更を直接的に規制する規定は設けられておらず,特措法が成立した後で本件却下処分がされるまでの間にもこれは変更されていないから,本件却下処分がされた当時の特措法の規定について,政府が特定地域において一律にタクシーの増車を禁止することを許容するものであると解することはできないというべきである。 イその上で,措置一般車両認可基準中の収支計画要件は,提出された収支計画上の増車車両分の営業収入が,申請する営業区域で当該増車を実施した後に新たに発生する輸送需要によるものであることが明らかであること を必要としているところ,これは,当該特定地域内で輸送需要が新たに発生することが見込まれない場合には,当該特定地域における増車に関する事業計画の変更の認可の申請を拒否することになるものであるから,当該特定地域における増車に関する事業計画の変更の認可の申請に係る許否の判断は,当該地域内の既存の輸送需要と増車に係る新たな供給とを調整した上で行われることになることを意味するものである。 もっとも,前記(1)に述べたとおり,特措法は,特定地域におけるタクシーの供給過剰に対する対策を講ずることを許容していると解されることに照らすと,その方法として,一定の範囲で供給自体を抑制する手段を講じることも許容していると解される上,既にタクシーにつき供給過剰の状況にある特定地域における増車に関する事業計画の変更を認可するためには当該特 その方法として,一定の範囲で供給自体を抑制する手段を講じることも許容していると解される上,既にタクシーにつき供給過剰の状況にある特定地域における増車に関する事業計画の変更を認可するためには当該特定地域において従前には存在しない新規の輸送需要が生ずる見込みがあることを認可の基準として定めることが,安易なタクシーの供給拡大を抑制するという観点からみて明らかに不合理なものであるとまではいえないことも併せ考慮すると,そのような観点にかなうものとして前提事実(5)イのような内容の収支計画要件を定めることについては,一定の合理性があるものとして,同法上許容されているものと解するのが相当である。 (3) まとめ以上によれば,措置一般車両認可基準及び同基準の中における収支計画要件につき,それぞれ前提事実(5)イに述べたような内容のものとして定めることについては,これが国土交通大臣等が有する裁量権の範囲から逸脱し,又はこれを濫用したものとまではいい難いものと認めるのが相当である。 以上に反する原告の主張は,全て採用することができない。 3 関東運輸局長がγ町が西多摩交通圏に含まれるものとして営業区域を定めたこと及びこれを前提として国土交通大臣が西多摩交通圏を特定地域として指 定したことの適否(争点2)について(1) 措置実施通達Ⅰ1の適法性特措法3条1項の規定の内容は,別紙3の第2の2のとおりであり,措置実施通達Ⅰ1は,前提事実(4)イに述べたとおりの内容の基準に適合するものを特定地域として指定するものとしているところ,これらの定めの内容を前提とすると,措置実施通達Ⅰ1の(1)①は同項1号及び2号に,同②は同項4号に,同③は同項3号にそれぞれ対応して,同項各号の定めを具体化した基準であることが認められる。 同項は,特定地域の 容を前提とすると,措置実施通達Ⅰ1の(1)①は同項1号及び2号に,同②は同項4号に,同③は同項3号にそれぞれ対応して,同項各号の定めを具体化した基準であることが認められる。 同項は,特定地域の指定に係る参照すべき事情を含めてその要件を定めているものの,別紙3の第2の2のとおり,その文言は抽象的かつ概括的なものであるから,前記1において述べたのと同様に,特定地域の指定の基準に係る措置実施通達Ⅰ1の策定についても,その内容をどのように定めるかについては,当該地域の道路運送行政に精通し,専門的かつ技術的な知識及び経験を有する国土交通大臣等の政策的かつ裁量的な判断に委ねられているものと解するのが相当であるところ,上記のとおり,措置実施通達Ⅰ1の(1)①ないし③は,同項各号に該当する具体的な事情を基準として掲げたものである(なお,同①の基準は,日車キロ又は日車営収を平成13年度のそれらと比較して減少しているかどうかを内容とするものであるところ,同年度は,平成12年改正前の道路運送法6条1項の規定により需給調整規制が行われており,同時点においてはタクシーにつき供給過剰の状況にはなかったものと認められるから,同年度の状況を基礎として,これと当該営業区域の直近年度の輸送の実績を比較してタクシーにつき供給過剰の状況にあるか否かを判断することには一定の合理性があるものと認めるのが相当である。)から,このような内容の基準を定めることをもって,国土交通大臣等の有する裁量権の範囲から逸脱し,又はこれを濫用したものとはいい難いものと認めるのが相当である。 (2) 西多摩交通圏を1つの交通圏とすることの適否ア営業区域を定めるについての地方運輸局長の裁量等道路運送法5条1項3号は,同法4条の一般旅客自動車運送事業の許可の申請をする際に申請 (2) 西多摩交通圏を1つの交通圏とすることの適否ア営業区域を定めるについての地方運輸局長の裁量等道路運送法5条1項3号は,同法4条の一般旅客自動車運送事業の許可の申請をする際に申請書に記載しなければならない事項の1つとして,営業所の位置を含む一定の合理的な地理的範囲である「営業区域」(道路運送法施行規則5条は,輸送の安全,旅客の利便等を勘案して,地方運輸局長が定める区域を単位とする旨を定めている。)を含む事業計画を挙げ,上記の事業計画は,上記の許可又はその変更の認可の許否の審査の基礎とされ(同法6条,15条),かつ,同法20条は,一般旅客自動車運送事業者が発地及び着地のいずれもがその営業区域外に存する旅客の運送(路線を定めて行うものを除く。)をすることを禁止しているところ,同法は,これらの規制により,適正な事業の遂行の担保を図るとともに,実効ある運行管理による輸送の安全及び運転者の地理的知識の担保による利用者の利便等を確保しようとしているものと解される。そして,同法5条がいかなる区域を営業区域とするかについて具体的に定めず,同規則5条も,地方運輸局長が定める区域を単位とする旨を定めるにとどまっていることに照らすと,同法及び同規則は,いかなる区域を単位として営業区域と定めるかについては,地方運輸局長の政策的かつ裁量的な判断に委ねているものと解するのが相当である。 イ西多摩交通圏を構成する各市町村を一体として扱うことの適否証拠(乙46ないし50,52)によれば,西多摩交通圏を構成する各市町村の区域については,①西多摩交通圏を構成する各市町村の区域は,いずれも,遅くとも明治17年当時の西多摩郡を構成する自治体であったこと,②西多摩交通圏を構成する各市町村が,昭和58年7月1日,地方自治法252条の2の規定(平成11 を構成する各市町村の区域は,いずれも,遅くとも明治17年当時の西多摩郡を構成する自治体であったこと,②西多摩交通圏を構成する各市町村が,昭和58年7月1日,地方自治法252条の2の規定(平成11年法律第87号による改正前のもの)に基づき,西多摩地域広域行政圏協議会を設立し,消費生活相談等の広域 連携,公共施設の広域利用,広域行政圏体育大会の実施等の住民の福祉の増進や効果的な行政サービスの展開に努めてきたこと,③東京都知事は,昭和58年12月1日,西多摩交通圏を構成する各市町村をもっていわゆる大都市周辺地域広域市行政圏(当時)である西多摩地域広域行政圏の設定をしたこと,④東京都は,医療法30条の4第2項10号の地域的単位としての区域(いわゆる二次医療圏)として,西多摩交通圏を構成する各市町村をもって西多摩保健医療圏と設定していること及び⑤Dがいわゆる産業観光について紹介するホームページにおいて,西多摩交通圏を構成する各市町村をもって「西多摩エリア」という1つのエリアを構成するものとして取り扱われていることがそれぞれ認められるところ,これらの事情のほか,上記の地域におけるいわゆる交通網の状況(乙48)を前提とすれば,γ町を含む西多摩交通圏を構成する各市町村の区域が地理的,沿革的,行政的及び社会・経済的に1つの単位の区域として一般に認識され,上記の各市町村自身もそのような認識を前提として行動してきたものと認めるのが相当であるから,関東運輸局長が,γ町を含む西多摩交通圏を構成する各市町村の区域が上記のように1つの単位の区域であることを前提として,これらの区域をもって1つの単位の営業区域とするものと定めたとしても,そのことが関東運輸局長の有する裁量権の範囲から逸脱し,又はそれを濫用したものであるとまではいい難いものと認めるのが相 提として,これらの区域をもって1つの単位の営業区域とするものと定めたとしても,そのことが関東運輸局長の有する裁量権の範囲から逸脱し,又はそれを濫用したものであるとまではいい難いものと認めるのが相当である。これに反する原告の主張は採用することができない。 (3) 西多摩交通圏を特定地域として指定したことの適否措置実施通達Ⅰ1の内容は,前提事実(4)イのとおりであり,これが適法なものであることは前記(1)に述べたとおりであるところ,西多摩交通圏における平成13年度,平成20年度及び平成23年度の各輸送の実績は,前提事実(7)アのとおりであるから,西多摩交通圏における平成20年度及び平成23年度の各日車実車キロ及び日車営収は,いずれも,平成13年度の それらの値を下回っているのであり,措置実施通達Ⅰ1のうち(1)①にいう「人口10万人以上の都市を含む営業区域であって,日車実車キロ又は日車営収が,平成13年度と比較して減少していること」という基準に該当することが認められる。 したがって,国土交通大臣が,γ町を含む西多摩交通圏を特定地域に指定したことは適法であるというべきである。これに反する原告の主張は採用することができない。 4 本件却下処分に係る東京運輸支局長の裁量権の範囲からの逸脱又は濫用の有無(争点3-1)について(1) 東京運輸支局長がタクシーの増車に関する事業計画の変更の認可の申請につき収支計画要件に適合しているか否かを判断する際に裁量を有するか否かについて前記1のとおり,国土交通大臣等は,特定地域におけるタクシーの増車に関する事業計画の変更の認可の申請に係る許否の判断について裁量権を有しているところ,国土交通大臣等が,その判断のための審査の基準を定めた場合においては,原則として当該基準の定めるところに従 の増車に関する事業計画の変更の認可の申請に係る許否の判断について裁量権を有しているところ,国土交通大臣等が,その判断のための審査の基準を定めた場合においては,原則として当該基準の定めるところに従って判断すべきこととなるものと解するとしても,当該基準への当てはめが専門的かつ技術的な考慮を要するものであるときには,その基準への適合性の有無の判断についても裁量権を有しているものと解するのが相当である。そして,措置一般車両認可基準のうち収支計画要件については,これに適合するか否かの認定判断をするに当たっては,新規の輸送需要という将来生ずる事象の予測を伴い,その予測については国土交通大臣等の専門的かつ技術的な知識及び経験に基づく判断が必要となると認められることからすると,その判断についても,国土交通大臣等に裁量権があるものと認めるのが相当である。 (2) 本件却下処分について前提事実及び後掲の証拠によれば,①(a)原告を含む西多摩交通圏のタク シー事業者に係る月次の輸送の実績が記載された平成23年4月から平成24年7月までの輸送実績表(原告が同年10月2日に東京運輸支局長に提出したもの。前提事実(8)イ)において,平成23年4月から平成24年3月までの各輸送実績表には,AE営業所の輸送の実績が記載されている一方で,同年4月から同年7月までの各輸送実績表には,同営業所の輸送の実績が記載されていないこと(乙1の3),(b)原告が同年11月8日に東京運輸支局長に対して本件一般車両増車申請に係る再度の補正をした際に提出した文書の中に,「当社(原告)が同社(A)とは真逆に小回りをきかせフレキシブルにサービスを提供して事業後継した場合」との記載があること(前提事実(8)ウ),(c)原告代表者の陳述書(甲8)に,原告が本件一般車両増車申請 原告)が同社(A)とは真逆に小回りをきかせフレキシブルにサービスを提供して事業後継した場合」との記載があること(前提事実(8)ウ),(c)原告代表者の陳述書(甲8)に,原告が本件一般車両増車申請をするきっかけとなったのは,平成23年4月以降,γ町に所在する人からの電話による運送の申込みを受けることが急増したことからAが撤退したことを知ったことにあった旨が記載されていることがそれぞれ認められるところ,これらに照らすと,本件一般車両増車申請において変更後の事業計画の基礎とされた輸送需要は,同年3月にAが廃止した同社のE営業所の従前の輸送の実績を原告が代替することを前提としたものであることがうかがわれること,②前提事実(7)アのとおり,西多摩交通圏における平成20年度及び平成23年度の各輸送の実績はいずれも平成13年度のそれを下回っていること,③AE営業所の輸送の実績(輸送回数及び輸送人員)が平成21年度から平成23年度にかけて年々減少し,同営業所の運送収入も平成21年度(1557万6000円)に比べて平成23年度(1252万2000円)は減少していること(乙54),④γ町における総人口は,昭和30年から平成22年まで一貫して減少している(乙55)上,Bの○駅の1日当たり平均の利用者数も,平成12年度から平成24年度まで一貫して減少している(乙56)こと,⑤西多摩交通圏においてタクシー事業を営む全事業者が認可を受けたタクシーの車両数の合計が,平成24年3月においては216 台であり,同年4月においては215台であったこと(乙1の3,53)の各事実が認められる。 以上の事実を前提とすれば,γ町及び同町を含む西多摩交通圏全体においていずれもタクシーの輸送需要が減少傾向にあり,かつ,西多摩交通圏全体における認可を受けたタクシーの車 )の各事実が認められる。 以上の事実を前提とすれば,γ町及び同町を含む西多摩交通圏全体においていずれもタクシーの輸送需要が減少傾向にあり,かつ,西多摩交通圏全体における認可を受けたタクシーの車両数自体には,AE営業所の廃止の前後においてほぼ変動がない状況である上,原告が本件一般車両増車申請に当たって東京運輸支局長に対して提出した各文書(補正後のものも含む。乙1の1・3・5)によっても,本件一般車両増車申請において申請された輸送需要が,廃止されたAE営業所の従前の輸送の実績を原告が代替することを前提としたものであることがうかがわれるにとどまるから,本件一般車両増車申請が措置一般車両認可基準のうちの収支計画要件に適合するものと認めることができないとした東京運輸支局長の判断が,社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものであったとまでいうことは困難というべきである。 (3) 原告の主張に対する判断ア原告は,γ町から各種の助成を受けられる可能性があることに加え,運行台数及び運行時間帯がAと比較して1.5倍になること,年中無休で原告の本社営業所において予約を受けること,タクシーを待機させる場所を固定させないこと等フレキシブルにサービスを提供することにより,原告の平成25年度のタクシー事業の売上高が平成23年度のそれから3420万円増加することが見込まれるとして,本件一般車両増車申請が措置一般車両認可基準のうちの収支計画要件に適合していないとはいえない旨主張する。 しかしながら,原告が本件一般車両増車申請及びその補正のために東京運輸支局長に対して提出した各文書(乙1の1・3・5)によっても,①原告が上記に主張するようなフレキシブルなサービスを提供することにより原告の売上高が3420万円増加することや,その売上高の増加が西多 摩 提出した各文書(乙1の1・3・5)によっても,①原告が上記に主張するようなフレキシブルなサービスを提供することにより原告の売上高が3420万円増加することや,その売上高の増加が西多 摩交通圏において新たに発生する輸送需要によるものであることについて,これを具体的に裏付ける根拠や事情が明らかにされていないこと,②原告は,γ町から各種の助成を受けられる可能性がある旨を指摘するものの,当該助成によりタクシーによる新規の輸送需要が生ずるのか否か,生ずるとしてどの程度生ずるのかということについて,これを具体的に裏付ける根拠や事情が明らかにされていないことに加え,前記(2)に述べたとおり,③γ町及び同町を含む西多摩交通圏全体において,いずれもタクシーによる輸送需要が減少傾向にあることや,④AE営業所の輸送の実績(輸送回数及び輸送人員)が平成21年度から平成23年度にかけて年々減少し,同営業所の運送収入も平成21年度(1557万6000円)に比べて平成23年度(1252万2000円)は減少していることをも考慮すると,原告の平成25年度のタクシー事業の売上高が平成23年度のそれから3420万円増加することが見込まれるという原告の収支計画が具体的な根拠や事情に裏付けられたものとはいい難いというべきである。 したがって,原告が本件一般車両増車申請及びその補正のために東京運輸支局長に対して提出した各文書(乙1の1・3・5)によっては,本件一般車両増車申請が措置一般車両認可基準のうちの収支計画要件に適合しているとは認め難いから,原告の主張は採用することができない。 イ原告は,平成19年6月21日,東京運輸支局長が原告の保有するタクシーの車庫の位置及び収容能力の変更(16両分から24両分に変更)に係る事業計画の変更の認可をしたことをもって,実 ができない。 イ原告は,平成19年6月21日,東京運輸支局長が原告の保有するタクシーの車庫の位置及び収容能力の変更(16両分から24両分に変更)に係る事業計画の変更の認可をしたことをもって,実質的に24両までタクシーを増車することができる旨の事業計画の変更の認可を受けているものと同視することができる旨主張する。 しかしながら,道路運送法施行規則上,営業所ごとに配置する事業用自動車の数(同規則4条8項3号)と自動車車庫の位置及び収容能力(同項4号)が,事業計画を成す別個の事項として定められ,それらを変更する に当たっては,特措法15条1項及び道路運送法15条1項の各規定に基づき,それぞれ別個の認可を受ける必要があるものとされており,事業の実態においても,両者は次元を異にする事柄であると考えられることに照らすと,自動車車庫の位置及び収容能力の変更に係る事業計画の変更の認可を受けたことをもって,直ちに実質的に事業用自動車の数の変更に係る事業計画の変更の認可を受けたものと同視することはできないものというべきである。そして,本件においては,他に,原告の保有するタクシーの車庫の位置及び収容能力の変更に係る事業計画の変更の認可を原告が受けたことをもって,本件一般車両増車申請について実質的にその内容に応じた事業計画の変更の認可を受けたことと同視することができることを認めるに足りる証拠ないし事情等も格別見当たらない。 したがって,原告の主張は採用することができない。 (4) まとめ以上に述べたもののほか,本件却下処分が憲法,特措法3条,6条及び7条並びにバリアフリー法に反する旨の原告の主張を含め,これまでに述べた認定判断に反する原告の主張は,全て採用することができず,他に,東京運輸支局長が,本件却下処分をするに当たり,その有する 条及び7条並びにバリアフリー法に反する旨の原告の主張を含め,これまでに述べた認定判断に反する原告の主張は,全て採用することができず,他に,東京運輸支局長が,本件却下処分をするに当たり,その有する裁量権の範囲から逸脱し,又はこれを濫用したことをうかがわせる証拠ないし事情等も見当たらない。 したがって,本件却下処分は,適法であると認められる。 5 本件条件付認可処分に係る東京運輸支局長の裁量権の範囲からの逸脱又は濫用の有無(争点3-2)について(1) 措置福祉車両認可基準の適法性前記1に述べたとおり,特定地域におけるタクシーの増車に関する事業計画の変更の認可の申請に係る許否の判断及びその前提となる特定地域におけるタクシーの増車に関する事業計画の変更の認可の申請等につき認可するか 否かに係る審査の基準をどのように定めるかということについては,当該地域の道路運送行政に精通し,専門的かつ技術的な知識及び経験を有する国土交通大臣等の政策的かつ裁量的な判断に委ねているものと解するのが相当である。 その上で,措置福祉車両認可基準は,特定地域における福祉車両であるタクシーの増車に関する事業計画の変更の認可の申請等につき認可するか否かについての審査の基準を定めたものであるところ,一般車両と福祉車両との間には,それぞれの車両の持つ基本的な特性,用途等に大きな差異があること等に照らすと,一般車両タクシーと福祉車両であるタクシーとを区別した上で,別個に上記の審査の基準を定めることには一定の合理性があるものと認められる。 そして,後掲の各証拠によれば,①昭和63年12月の時点で,高齢化社会の進行に伴い民間患者等輸送事業の需要が拡大すると見込まれていたこと(乙22),②国土交通大臣等は,平成12年改正の後,患者等の輸送サービスの対象とな よれば,①昭和63年12月の時点で,高齢化社会の進行に伴い民間患者等輸送事業の需要が拡大すると見込まれていたこと(乙22),②国土交通大臣等は,平成12年改正の後,患者等の輸送サービスの対象となる旅客の範囲について,患者等に加え,(a)介護保険法7条3項にいう要介護者,(b)同条4項にいう要支援者,(c)身体障害者福祉法4条にいう身体障害者,(d)単独での移動が困難な者であって単独で公共交通機関を利用することが困難なもの及び(e)消防機関又は消防機関と連携するコールセンターを介して患者等の輸送サービスの提供を受ける患者並びにこれらの者の付添人にその範囲を拡大するとともに,同サービスに使用する車両についても,寝台又は車椅子の設備を設けた自動車に加え,(あ)回転シート,リフトアップシート等の乗降を容易にするための装置を設けた自動車及び(い)介護福祉士,訪問介護員若しくは居宅介護従業者の資格を有する者又は社団法人全国乗用自動車連合会等が実施するケア輸送サービス従事者研修を修了した者が乗務する一般車両を追加する取扱いをすることとしたこと(乙30,32,33)がそれぞれ認められ,これらに加え,③特措法が成 立するに至る経緯においてされた議論や本件基本方針においても福祉車両であるタクシーの供給拡大を抑制することを意図していたとはうかがわれないことにも照らすと,特定地域における福祉車両であるタクシーの増車に関する事業計画の変更の認可の申請に係る審査の基準として,措置一般車両認可基準よりも緩和された内容による別の基準を定めること自体は,国土交通大臣等が有する裁量権の範囲から逸脱し,又はこれを濫用したものとまではいい難いものと認めるのが相当である。 以上に反する原告の主張は,全て採用することができない。 (2) 東京運輸支局長が福祉車両 臣等が有する裁量権の範囲から逸脱し,又はこれを濫用したものとまではいい難いものと認めるのが相当である。 以上に反する原告の主張は,全て採用することができない。 (2) 東京運輸支局長が福祉車両であるタクシーの増車に関する事業計画の変更の認可の許否について判断する際に有する裁量等について前記1のとおり,国土交通大臣等は,特定地域におけるタクシーの増車に関する事業計画の変更の認可の申請に係る許否の判断について裁量権を有しており,道路運送法86条1項は,認可には条件又は期限を付し,又はこれを変更することができる旨を定めているところ,同条2項は,同条1項の「条件又は期限は,公衆の利益を増進し,又は免許,許可,登録若しくは認可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り,かつ,当該道路運送事業者(中略)又は自家用有償旅客運送者に不当な義務を課すこととならないものでなければならない。」と定めており,同項の条件又は期限の内容について,抽象的かつ概括的な文言を使用するにとどまり,その具体的な基準等を定めているものではないことに照らすと,同項の条件若しくは期限としてどのような内容のものを付すか,又はこれらをどのように変更するかということについては,当該特定地域の道路運送行政に精通し,専門的かつ技術的な知識及び経験を有する国土交通大臣等の政策的かつ裁量的判断に委ねているものと解するのが相当である。 (3) 本件条件付認可処分に付された条件の適法性本件条件付認可処分に付された条件は,別紙2のとおりであるところ,① 前記2のとおり,一般車両タクシーについては,安易なタクシーの供給拡大を抑制することを目的として措置一般車両認可基準が定められており,それを定めたこと及びその内容について,いずれも適法なものと認められること,② ,一般車両タクシーについては,安易なタクシーの供給拡大を抑制することを目的として措置一般車両認可基準が定められており,それを定めたこと及びその内容について,いずれも適法なものと認められること,②上記①を前提として,前記(1)のとおり,福祉車両であるタクシーについては,特定地域における福祉車両であるタクシーの増車に関する事業計画の変更の認可の申請に係る審査の基準として,措置一般車両認可基準よりも緩和された内容の措置福祉車両認可基準が定められているところ,これは,患者等の輸送サービス事業が患者等特定の状況にある者に係る特定の需要に応ずるものとして提供されるものであるという特殊性によるものであると認められること(なお,(a)「一般旅客自動車運送事業の免許,事業計画変更認可及び運賃料金認可に関する処理方針について」(平成6年8月11日付け自旅第125号運輸省自動車交通局長通達。乙23)別紙3の15項においては「リフト付きタクシー等特殊なサービスに係る申請(中略)等特殊な申請については,その内容に応じ,それぞれの特性を踏まえて判断すること」と定められ(同通達に沿って運輸省関東運輸局長等が定めた公示(乙24,25)にも同旨の定めがある。),(b)平成12年改正後の道路運送法等の運用について発出された「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシーを除く。)の申請に対する処理方針」(平成13年8月29日付け国自旅第72号国土交通省自動車交通局長通達。乙26)別紙1(12)①においては,「リフト付きタクシー等特殊なサービスに限る事業については,事業の特性を踏まえて判断すること」と定められ(同通達に沿って関東運輸局長が定めた公示(乙27)にも同旨の定めがある。),(c)介護サービス事業者が公的介護サービスと連続的・一体的に行う要介護者等に係る福 性を踏まえて判断すること」と定められ(同通達に沿って関東運輸局長が定めた公示(乙27)にも同旨の定めがある。),(c)介護サービス事業者が公的介護サービスと連続的・一体的に行う要介護者等に係る福祉輸送の取扱い方針が定められたことを踏まえて発出された「患者等の輸送サービスを行うことを条件とした一般乗用旅客自動車運送事業の許可等の取扱いについて」(平成16年3月16日付け国旅自第241号国土交通省自動車交通局旅客 課長通達。乙30)Ⅰ2(4)において,地方運輸局等においては,「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシーを除く。)の申請に対する処理方針」(前記(b))にかかわらず,営業区域を都道府県単位とすること等のほかの基準についても,患者等輸送事業の特性を踏まえた審査方式の設定等弾力的な取扱いを行うことができる旨が定められ,(d)平成18年法律第40号による道路運送法の改正に伴って発出された「一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)の許可等の取扱いについて」(同年9月25日付け国土交通省自動車交通局長通達。乙32)Ⅰ3において,上記(b)の通達の定めに基づき営業区域を原則として都道府県単位とするなどして処理するとともに,その他の基準についても,地域の実情に応じて,弾力的な取扱いを行うことができる(ただし,事前に本省に相談すること)旨が定められているところである。)並びに③上記①及び②を前提として,仮に,福祉車両であるタクシーについて一般車両タクシーと同様の使用を認めた場合には,一般車両タクシーについて安易な供給拡大を抑制することを目的として定められた措置一般車両認可基準の趣旨と整合せず,その目的の達成を阻害することになるおそれがあると認められることに照らすと,東京運輸支局長が,本件福祉車両増車申請に係る事業 抑制することを目的として定められた措置一般車両認可基準の趣旨と整合せず,その目的の達成を阻害することになるおそれがあると認められることに照らすと,東京運輸支局長が,本件福祉車両増車申請に係る事業計画の変更を認可する際,当該車両を使用して輸送することができる旅客の範囲を別紙2の1記載のように限定する旨の条件を付したとしても,その判断が,社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものであったとまでいうことは困難というべきである。 また,上記のような旅客をその需要に対応して輸送する場合については,輸送の対象となる旅客の需要に対応することができる設備又は装置を設けた車両を使用しているときであっても,輸送の対象となる旅客の特性に照らし,一定の資格,知識等を有する者が当該車両に乗務することが望ましいものとして取り扱うことに一定の合理性があるといえ,他方,上記のような設備等を有しない一般車両を使用して上記のような旅客を輸送するときにおいては, 使用する車両及び輸送の対象となる旅客の特性に照らし,旅客を安全かつ適切に輸送するため,一定の資格,知識等を有する者が輸送に使用される車両に乗務することを義務付けることにやはり一定の合理性があるものと認めるのが相当である。そうすると,東京運輸支局長が,本件福祉車両増車申請に係る事業計画の変更を認可する際,使用する車両及び乗務する者について別紙2の2記載のような条件を付したとしても,その判断が,社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものであったとまでいうことは困難というべきである。 したがって,本件条件付認可処分が,憲法,道路運送法86条2項及びバリアフリー法4条に反する旨の主張を含め,上記認定判断に反する原告の主張は,全て採用することができず,他に,東京運輸支局長が,本件条件付認可処分をするに当たり,その有 法,道路運送法86条2項及びバリアフリー法4条に反する旨の主張を含め,上記認定判断に反する原告の主張は,全て採用することができず,他に,東京運輸支局長が,本件条件付認可処分をするに当たり,その有する裁量権の範囲から逸脱し,又はこれを濫用したことをうかがわせる証拠ないし事情等も見当たらない(なお,原告は,平成19年6月21日,東京運輸支局長が原告の保有するタクシーの車庫の位置及び収容能力の変更(16両分から24両分に変更)に係る事業計画の変更の認可をしたことをもって,実質的に24両までタクシーを増車することができる旨の事業計画の変更の認可を受けているものと同視することができる旨指摘し,本件福祉車両増車申請に係る事業計画の変更も認可されるべきである旨主張するが,前記4(3)イに述べたとおり,原告の保有するタクシーの車庫の位置及び収容能力の変更に係る事業計画の変更の認可を原告が受けたことをもって,直ちに本件福祉車両増車申請について実質的にその内容に応じた事業計画の変更の認可を受けたことと同視することはできないのであり,原告の主張は採用することができない。)。 (4) まとめ以上によれば,本件条件付認可処分は適法であると認められる。 6 信義則違反の有無(争点4)について原告は,平成19年6月21日,東京運輸支局長が原告の保有するタクシ ーの車庫の位置及び収容能力の変更(16両分から24両分に変更)に係る事業計画の変更の認可をしたことをもって,実質的に24両までタクシーを増車することができる旨の事業計画の変更の認可を受けているものと同視することができるから,原告が上記の認可により有していた24両までタクシーを増車できるものとの信頼に反する本件却下処分及び本件条件付認可処分は,いずれも信義則に反するものである旨主張するが, と同視することができるから,原告が上記の認可により有していた24両までタクシーを増車できるものとの信頼に反する本件却下処分及び本件条件付認可処分は,いずれも信義則に反するものである旨主張するが,前記4及び5に述べたとおり,原告の上記の主張は,その前提を欠くものであって,採用することができないというべきである。 7 本件却下処分が無効であるか否か(争点5)について前記1ないし4に述べたとおり,本件却下処分はそもそも違法であるとは認め難いものであるから,これが無効であるということはできないというべきである。 原告は,本件一般車両増車申請につき,東京運輸支局長が,形式不備を理由として本件却下処分をしたものであり,行政手続法7条に反する旨主張するが,前提事実(8)エのとおり,本件却下処分は,措置一般車両認可基準のうちの収支計画要件に適合しないことを理由としてされたものであるから,原告の主張は,その前提を異にするものであって採用することができない。 第4 結論以上の次第であって,原告の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官八木一洋 裁判官福渡裕貴 裁判官川嶋知正 (別紙3)関係法令の定め 第1 道路運送法の定め 1 1条(目的)道路運送法1条は,同法は,貨物自動車運送事業法と相まって,道路運送事業の運営を適正かつ合理的なものとし,並びに道路運送の分野における利用者の需要の多様化及び高度化に的確に対応したサービスの円滑かつ確実な提供を促進することに 物自動車運送事業法と相まって,道路運送事業の運営を適正かつ合理的なものとし,並びに道路運送の分野における利用者の需要の多様化及び高度化に的確に対応したサービスの円滑かつ確実な提供を促進することにより,輸送の安全を確保し,道路運送の利用者の利益の保護及びその利便の増進を図るとともに,道路運送の総合的な発達を図り,もって公共の福祉を増進することを目的とする旨を定めている。 2 道路運送法4条1項(1) 平成12年法律第86号による改正(施行日は平成14年2月1日。以下,同法による道路運送法の改正を「平成12年改正」という。)前のもの(一般乗合旅客自動車運送事業等の免許)道路運送法4条1項は,一般乗合旅客自動車運送事業又は一般乗用旅客自動車運送事業(以下平成12年改正前の道路運送法において「一般乗合旅客自動車運送事業等」という。)を経営しようとする者は,国土交通大臣の免許を受けなければならない旨を定めている。 (2) 現行のもの(一般旅客自動車運送事業の許可)道路運送法4条1項は,一般旅客自動車運送事業(一般乗用旅客自動車運送事業を含む。同法3条1号)を経営しようとする者は,国土交通大臣の許可を受けなければならない旨を定めている。 3 道路運送法5条(許可申請)1項道路運送法5条1項は,一般旅客自動車運送事業の許可を受けようとする者は,同項各号に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければ ならない旨を定めている。 (1) 3号路線又は営業区域,営業所の名称及び位置,営業所ごとに配置する事業用自動車の数その他の一般旅客自動車運送事業の種別(一般乗合旅客自動車運送事業にあっては,路線定期運行(路線を定めて定期に運行する自動車による乗合旅客の運送をいう。)その他の国土交通省令で定める運行の態様の別を含 他の一般旅客自動車運送事業の種別(一般乗合旅客自動車運送事業にあっては,路線定期運行(路線を定めて定期に運行する自動車による乗合旅客の運送をいう。)その他の国土交通省令で定める運行の態様の別を含む。)ごとに国土交通省令で定める事項に関する事業計画(2) その余の号略 4 道路運送法6条(1) 平成12年改正前のもの(免許基準)道路運送法6条1項は,国土交通大臣は,一般乗合旅客自動車運送事業等の免許をしようとするときは,同項各号に掲げる基準に適合するかどうかを審査して,これをしなければならない旨を定めている。 ア 1号当該事業の開始が輸送需要に対し適切なものであること。 イ 2号当該事業の開始によって当該路線又は事業区域に係る供給輸送力が輸送需要量に対し不均衡とならないものであること。 ウ 3号当該事業の遂行上適切な計画を有するものであること。 エ 4号当該事業を自ら適確に遂行するに足る能力を有するものであること。 オ 5号その他当該事業の開始が公益上必要であり,かつ,適切なものであること。 (2) 現行のもの(許可基準)道路運送法6条は,国土交通大臣は,一般旅客自動車運送事業の許可をしようとするときは,次の基準に適合するかどうかを審査して,これをしなければならない旨を定めている。 ア 1号当該事業の計画が輸送の安全を確保するため適切なものであるこ と。 イ 2号同条1号に掲げるもののほか,当該事業の遂行上適切な計画を有するものであること。 ウ 3号当該事業を自ら適確に遂行するに足る能力を有するものであること。 5 道路運送法8条(緊急調整措置)(平成25年法律第83号による改正前のもの。以下同じ。)(1) 道路運送法8条1項は,国土交通大臣は,特定の地域において一般乗用旅客 するものであること。 5 道路運送法8条(緊急調整措置)(平成25年法律第83号による改正前のもの。以下同じ。)(1) 道路運送法8条1項は,国土交通大臣は,特定の地域において一般乗用旅客自動車運送事業の供給輸送力(以下,5において単に「供給輸送力」という。)が輸送需要量に対し著しく過剰となっている場合であって,当該供給輸送力が更に増加することにより,輸送の安全及び旅客の利便を確保することが困難となるおそれがあると認めるときは,当該特定の地域を,期間を定めて緊急調整地域として指定することができる旨を定めている。 (2) 道路運送法8条3項は,国土交通大臣は,同条1項の規定による緊急調整地域の指定をした場合には,同法4条1項の許可の申請が一般乗用旅客自動車運送事業に係るもので,かつ,当該申請に係る営業区域が当該緊急調整地域の全部又は一部を含むものであるときは,当該許可をしてはならない旨を定めている。 (3) 道路運送法8条4項は,一般乗用旅客自動車運送事業を経営する者は,同条1項の規定による緊急調整地域の指定がされた場合には,当該緊急調整地域における供給輸送力を増加させるものとして国土交通省令で定める事業計画の変更をすることができない旨を定めている。 6 道路運送法15条(事業計画の変更)(1) 道路運送法15条1項は,一般旅客自動車運送事業者は,事業計画の変更(同条3項,4項及び同法15条の2第1項に規定するものを除く。)をしようとするときは,国土交通大臣の認可を受けなければならない旨を定めて いる。 (2) 道路運送法15条2項は,同法6条の規定は,同法15条1項の認可について準用する旨を定めている。 (3) 道路運送法15条3項は,一般旅客自動車運送事業者は,営業所ごとに配置する事業用自動車の数その他の 送法15条2項は,同法6条の規定は,同法15条1項の認可について準用する旨を定めている。 (3) 道路運送法15条3項は,一般旅客自動車運送事業者は,営業所ごとに配置する事業用自動車の数その他の国土交通省令で定める事項に関する事業計画の変更をしようとするときは,あらかじめ,その旨を国土交通大臣に届け出なければならない旨を定めている。 7 道路運送法86条(免許等の条件又は期限)(1) 道路運送法86条1項ア平成12年改正前のもの道路運送法86条1項は,免許,許可又は認可には条件又は期限を付し,及びこれを変更することができる旨を定めている。 イ現行のもの道路運送法86条1項は,免許,許可,登録又は認可には条件又は期限を付し,及びこれを変更することができる旨を定めている。 (2) 道路運送法86条2項ア平成12年改正前のもの道路運送法86条2項は,同条1項の条件又は期限は,公衆の利益を増進し,又は免許,許可若しくは認可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最少限度のものに限り,かつ,当該道路運送事業者(道路運送事業を経営する者をいう。以下同じ。)に不当な義務を課することとならないものでなければならない旨を定めている。 イ現行のもの道路運送法86条2項は,同条1項の条件又は期限は,公衆の利益を増進し,又は免許,許可,登録若しくは認可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最少限度のものに限り,かつ,当該道路運送事業者又は自家用 有償旅客運送者に不当な義務を課することとならないものでなければならない旨を定めている。 第2 特措法の定め 1 1条(目的)特措法1条は,同法は,一般乗用旅客自動車運送が地域公共交通として重要な役割を担っており,地域の状況に応じて,地域における輸送需要に対応しつつ めている。 第2 特措法の定め 1 1条(目的)特措法1条は,同法は,一般乗用旅客自動車運送が地域公共交通として重要な役割を担っており,地域の状況に応じて,地域における輸送需要に対応しつつ,地域公共交通としての機能を十分に発揮できるようにすることが重要であることに鑑み,国土交通大臣による特定地域の指定及び基本方針の策定,特定地域において組織される協議会による地域計画の作成及びこれに基づく一般乗用旅客自動車運送事業者(一般乗用旅客自動車運送事業を経営する者をいう。 以下同じ。)による特定事業等の実施並びに特定地域における道路運送法の特例について定めることにより,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化を推進し,もって地域における交通の健全な発達に寄与することを目的とする旨を定めている。 2 特措法3条(特定地域の指定)1項特措法3条1項は,国土交通大臣は,特定の地域における一般乗用旅客自動車運送事業の同項各号に掲げる状況に照らして,当該地域の輸送需要に的確に対応することにより,輸送の安全及び利用者の利便を確保し,その地域公共交通としての機能を十分に発揮できるようにするため,当該地域の関係者の自主的な取組を中心として一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化を推進することが特に必要であると認めるときは,当該特定の地域を,期間を定めて特定地域として指定することができる旨を定めている。 (1) 1号供給過剰(供給輸送力が輸送需要量に対し過剰であることをいう。)の状況(2) 2号事業用自動車1台当たりの収入の状況(3) 3号法令の違反その他の不適正な運営の状況 (4) 4号事業用自動車の運行による事故の発生の状況 3 特措法4条(基本方針)1項特措法4条1項は,国土交通大臣は,特定 (3) 3号法令の違反その他の不適正な運営の状況 (4) 4号事業用自動車の運行による事故の発生の状況 3 特措法4条(基本方針)1項特措法4条1項は,国土交通大臣は,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する基本方針を定めるものとする旨を定めている。 4 特措法6条(国の責務)2項特措法6条2項は,国は,特定地域において一般乗用旅客自動車運送事業者等(一般乗用旅客自動車運送事業者であって特定地域内に営業所を有する者及びこれらの者の組織する団体をいう。以下同じ。)その他の関係者が行う一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する取組と相まって,一般乗用旅客自動車運送事業の適正化を推進するため,検査,処分その他の監督上必要な措置を的確に実施するものとする旨を定めている。 5 特措法7条(関係者相互の連携及び協力)特措法7条は,国,地方公共団体,一般乗用旅客自動車運送事業者等その他の関係者は,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化を推進するため,相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない旨を定めている。 6 特措法15条1項特措法15条1項は,特定地域において,一般乗用旅客自動車運送事業者が当該特定地域内の営業所に配置するその事業用自動車の合計数を増加させる事業計画の変更については,道路運送法15条1項中「第三項,第四項」とあるのは,「第四項」とし,同条3項の規定は,適用しない旨を定めている。 第3 道路運送法施行規則の定め 1 道路運送法施行規則1条(定義)2項(1) 平成14年国土交通省令第103号による改正前のもの道路運送法施行規則1条2項は,同規則で,旅客の運送の用に供する自動 車に係る自動車の種別とは,同項各 行規則1条(定義)2項(1) 平成14年国土交通省令第103号による改正前のもの道路運送法施行規則1条2項は,同規則で,旅客の運送の用に供する自動 車に係る自動車の種別とは,同項各号に掲げる自動車の別をいう旨を定めている。 ア 4号特殊用自動車(同項1号ないし3号に掲げるもの以外の旅客運送用の自動車)イその余の号略(2) 現行のもの道路運送法施行規則1条2項は,同規則で,旅客の運送の用に供する自動車に係る自動車の種別とは,同項各号に掲げる自動車の別をいう旨を定めている。 ア 1号一般自動車(同項2号に掲げるもの以外の旅客の運送の用に供する自動車)イ 2号特種自動車(旅客の運送の用に供する自動車であって,自動車登録規則別表第二の自動車の範囲欄の6に掲げる自動車及びこれに準ずるものとして地方運輸局長が定める自動車) 2 道路運送法施行規則4条(事業計画)8項(ただし,平成26年国土交通省令第7号による改正前のもの。以下同じ。)道路運送法施行規則4条8項は,道路運送法5条1項3号の事業計画のうち一般乗用旅客自動車運送事業に係るものには,同規則4条8項各号に掲げる事項を記載するものとする旨を定めている。 (1) 1号営業区域(2) 2号略(3) 3号営業所ごとに配置する事業用自動車の数並びにその種別ごとの数並びに地方運輸局長が指定する地域にあってはタクシー(タクシー業務適正化特別措置法2条1項に規定するタクシーをいう。以下同じ。)及びハイヤー(同法2条2項に規定するハイヤーをいう。以下同じ。)の別ごとの数 (4) 4号自動車車庫の位置及び収容能力 3 道路運送法施行規則5条(営業区域)道路運送法5条1項3号の営業区域は,輸送の安全,旅客の利便等を勘案して,地方 。)の別ごとの数 (4) 4号自動車車庫の位置及び収容能力 3 道路運送法施行規則5条(営業区域)道路運送法5条1項3号の営業区域は,輸送の安全,旅客の利便等を勘案して,地方運輸局長が定める区域を単位とするものとする旨を定めている。 第4 高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(以下「バリアフリー法」という。)の定め 1 1条(目的)バリアフリー法1条は,この法律は,高齢者,障害者等(高齢者又は障害者で日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受けるものその他日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受ける者をいう。以下同じ。)の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性に鑑み,公共交通機関の旅客施設(同法2条5号に定める公共交通機関を利用する旅客の乗降,待合いその他の用に供するものをいう。以下同じ。)及び車両等(同条7号に定める車両,自動車,船舶及び航空機をいう。),道路,路外駐車場(駐車場法2条2号に規定する路外駐車場をいう。),公園施設(都市公園法2条2項に規定する公園施設をいう。)並びに建築物の構造及び設備を改善するための措置,一定の地区における旅客施設,建築物(建築基準法2条1号に規定する建築物をいう。)等及びこれらの間の経路を構成する道路,駅前広場,通路その他の施設の一体的な整備を推進するための措置その他の措置を講ずることにより,高齢者,障害者等の移動上及び施設の利用上の利便性及び安全性の向上の促進を図り,もって公共の福祉の増進に資することを目的とする旨を定めている。 2 4条(国の責務)1項バリアフリー法4条1項は,国は,高齢者,障害者等,地方公共団体,施設設置管理者(同法2条3号に定める施設設置管理者をいう。以下同じ。)その他の関係者と協力して,基本方針及びこれに基づ 責務)1項バリアフリー法4条1項は,国は,高齢者,障害者等,地方公共団体,施設設置管理者(同法2条3号に定める施設設置管理者をいう。以下同じ。)その他の関係者と協力して,基本方針及びこれに基づく施設設置管理者の講ずべき措置の内容その他の移動等円滑化(高齢者,障害者等の移動又は施設の 利用に係る身体の負担を軽減することにより,その移動上又は施設の利用上の利便性及び安全性を向上することをいう。以下同じ。)の促進のための施策の内容について,移動等円滑化の進展の状況等を勘案しつつ,これらの者の意見を反映させるために必要な措置を講じた上で,適時に,かつ,適切な方法により検討を加え,その結果に基づいて必要な措置を講ずるよう努めなければならない旨を定めている。 3 5条(地方公共団体の責務)バリアフリー法5条は,地方公共団体は,国の施策に準じて,移動等円滑化を促進するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない旨を定めている。 4 7条(国民の責務)バリアフリー法7条は,国民は,高齢者,障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性について理解を深めるとともに,これらの者の円滑な移動及び施設の利用を確保するために協力するよう努めなければならない旨を定めている。 以上
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