【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人小野塚久太郎の上告理由第一点について。 土地賃貸人と賃借人との間に
主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告代理人小野塚久太郎の上告理由第一点について。 土地賃貸人と賃借人との間において土地賃貸借契約を合意解除しても、土地賃貸人は、特別の事情のないかぎり、その効果を地上建物の賃借人に対抗できないものであることは、当裁判所の判例とするところである(昭和三八年二月二一日第一小法廷判決民集一七巻一号二一九頁参照)。 被上告人らは、本件土地を訴外Dの先代Eに地代年額二、〇〇〇円の定めで賃貸していたところ、Eは昭和二六年度分から、昭和三〇年度分までの地代のうち合計九、〇〇七円五〇銭を滞納したので、被上告人らは昭和三一年五月一六日付、同月一七日到達の書面を以て同人に対し書面到達後三日以内に右滞納地代を支払方催告したが、右期間内に支払がなかつたので、被上告人らは、昭和三一年五月二〇日付、同月二二日到達の書面で同人に対し、右地代不払などを理由として本件土地賃貸借契約解除の意思表示をしたこと、被上告人らは、昭和三一年八月Eを被告として、前記の本件土地賃貸借契約解除を原因として本件建物収去、土地明渡の訴を宇都宮地方裁判所栃木支部に提起し(同支部昭和三一年(ワ)第四八号事件)、昭和三三年一二月一七日第九回口頭弁論期日において、D(Eは昭和三二年三月二四日死亡し、Dが相続した。)F、Gと被上告人らとの間に、(1)被上告人らはDに対し本件土地のうち北側一一五坪を賃貸すること、(2)Dは上告人らに対し昭和三八年一二月一六日までに本件建物を本件土地の北側の八五坪の部分へ移築し、南側の一二〇坪五合九勺の土地を明け渡すこと、(3)被上告人らはDに対し、右一二〇坪五合九勺の土地を右明渡を完了するまで賃貸すること、(4)Dは被上告人らに- 1 -対し地 八五坪の部分へ移築し、南側の一二〇坪五合九勺の土地を明け渡すこと、(3)被上告人らはDに対し、右一二〇坪五合九勺の土地を右明渡を完了するまで賃貸すること、(4)Dは被上告人らに- 1 -対し地代として毎月一、〇〇〇円を被上告人ら方に持参支払うこと、(5)D、F、Gは連帯して被上告人らに対し一〇九、〇〇〇円の債務を認め、昭和三四年六月末日限り金九、〇〇〇円、同年一二月末日限り金三〇、〇〇〇円、昭和三五年一二月末日限り金三〇、〇〇〇円、昭和三七年一二月末日限り金四〇、〇〇〇円を支払うこと、(6)地代の支払を三月分以上怠つたとき、右に述べた分割金の支払を一回でも怠つたときは、右の賃貸借契約は当然解除となり、被上告人らに対し本件土地を地上にある建物を収去して明け渡すこと、等を内容とする裁判上の和解が成立したこと、の以上の事実は、原審の適法に確定するところである。 右の事実によれば、右裁判上の和解は、被上告人らとDとの間においては、本件土地のうち原判決添付図面表示の八五坪と三〇坪の部分合計一一五坪については引き続き賃貸借契約を継続する、本件土地のうち同図面表示の一二〇坪五合九勺の部分については合意解約し、同部分の土地を期限昭和三八年一二月一六日として一時使用の賃貸借契約としたものと解すべきものとする原判決の認定は、これを肯認できるし、右事実関係は上告人の知不知をとわず、右合意解約を以て、地上建物の賃借人たる上告人に対抗できる特別事情にあたると解することができるから、これと同旨の原判決の判断は、正当として肯認することができる。なお、前記裁判上の和解の成立によつて、被上告人らと訴外E、D間の従前の前記関係事実が、右合意解約の対抗力を判断する特別事情として考慮できなくなるものではなく、その他本件記録に徴し、この点に関する原判決の判断は正当として肯 成立によつて、被上告人らと訴外E、D間の従前の前記関係事実が、右合意解約の対抗力を判断する特別事情として考慮できなくなるものではなく、その他本件記録に徴し、この点に関する原判決の判断は正当として肯認できる。原判決に所論の違法はなく、論旨は、独自の見解に立つて原判決を非難するに帰し、採るを得ない。 同第二点について。 乙第一号証は、上告人主張の契約更新を認める資料とすることができないとする原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして是認するに足り、原判決には- 2 -所論違法はない。論旨は、ひつきよう、原審に委せられた証拠の取捨判断、事実認定を非難するに帰し、採用できない。 同第三点について。 原判決によれば、原審は、所論土地賃貸借契約更新の主張につき、和解による該土地賃貸借契約は一時使用の賃貸借契約をしたものと解すべきものとし、かつその他その更新の主張事実を認めるに足る証拠がないものとしてこれを排斥している趣旨と解せられる。従つて、原判決には所論違法はなく、論旨は右に反する見解に立つて原判決を非難するに帰し、採るをえない。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官長部謹吾裁判官松田二郎裁判官岩田誠- 3 -
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