主文 被告人Aを懲役1年6か月に,被告人Bを懲役1年に処する。 被告人両名に対し,この裁判が確定した日からいずれも3年間,それぞれその刑の執行を猶予する。 被告人Aから金110万円を追徴する 理由 (犯罪事実)被告人Aは,C市都市整備部北部区画整理事務所主査(上級)として,同市が発注する土地区画整理事業に関する工事の設計,施工監理等の職務に従事していたものであり,被告人Bは,土木建築工事等を営む有限会社B建設の代表取締役であったものであるが,第1 被告人Aは,平成10年9月30日ころ,神奈川県藤沢市(以下略)の同被告人方居室において,上記Bから,C市が発注した平成10年度北部第2(3地区)土地区画整理事業G地区に関する6件の整備工事等について,上記有限会社B建設を請負人として同市と随意契約を締結させるなど有利な取り計らいをしたことに対する謝礼,及び将来も同様の取り計らいをしてもらいたいという趣旨のもとに供与されるものであることを知りながら,現金10万円の供与を受け,もって自己の職務に関して賄賂を収受し,第2 被告人Bは,上記第1の日時場所において,上記Aに対し,上記第1の趣旨のもとに現金10万円を供与し,もって同人の職務に関して賄賂を供与し,第3 被告人両名は,共謀の上,同市が同年11月19日に執行する平成10年度北部第2(3地区)土地区画整理事業A地区街路造成工事の指名競争入札に当たり,その指名業者である上記有限会社B建設に予定価格に近接する金額で落札させようと企て,同月12日ころ,上記第1の被告人A方において,同被告人が被告人Bに対して上記工事の設計金額が2717万円であることを教示し,被告人Bをして設計金額から入札予定価格を推認させ,よって,同月19日,同市a町b番地のd所在の の被告人A方において,同被告人が被告人Bに対して上記工事の設計金額が2717万円であることを教示し,被告人Bをして設計金額から入札予定価格を推認させ,よって,同月19日,同市a町b番地のd所在のC市役所東館3階入札室において執行された上記工事の入札の際,被告人Bをして入札予定価格2652万円に近接する2640万円で入札させて上記有限会社B建設に落札させ,もって偽計を用いて公の入札の公正を害すべき行為をし,第4 被告人Aは,平成11年1月24日ころ,同市(以下略)の飲食店内において,上記Bから,上記平成10年度北部第2(3地区)土地区画整理事業A地区街路造成工事の入札に関し,職務上知り得た同工事の設計金額を上記Bに教示するなど職務上不正な行為をしたことに対する謝礼として供与されるものであることを知りながら,現金100万円の供与を受け,もって自己の職務上不正な行為をしたことに関して賄賂を収受し,第5 被告人Bは,上記第4の日時場所において,上記Aに対し,上記第4の謝礼として現金100万円を供与し,もって同人の職務に関して賄賂を供与したものである。 (法令の適用)被告人Aの判示第1の行為は刑法197条1項前段に,被告人Bの判示第2及び第5の各行為はいずれも同法198条に,被告人両名の判示第3の行為はいずれも同法60条,96条の3第1項に,被告人Aの判示第4の行為は同法197条の3第2項にそれぞれ該当するところ,判示第2,第3及び第5の各罪についていずれも所定刑中懲役刑を選択し,被告人Aの判示第1,第3及び第4の各罪並びに被告人Bの判示第2,第3及び第5の各罪はいずれも同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により被告人Aについては最も重い判示第4の罪の刑に同法14条の制限内で,被告人Bについては刑及び犯情の最も重い ,第3及び第5の各罪はいずれも同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により被告人Aについては最も重い判示第4の罪の刑に同法14条の制限内で,被告人Bについては刑及び犯情の最も重い判示第5の罪の刑にそれぞれ法定の加重をした刑期の範囲内で被告人Aを懲役1年6か月に,被告人Bを懲役1年に処し,情状により同法25条1項を適用して被告人両名に対しこの裁判が確定した日からいずれも3年間それぞれその刑の執行を猶予することとし,被告人Aが判示第1及び第4の犯行により収受した賄賂は没収することができないので,同法197条の5後段によりその価額金110万円を同被告人から追徴することとする。 (量刑の事情)本件は,C市都市整備部北部区画整理事務所主査であったA被告人が,同市が発注する土地区画整理事業に関する工事の設計,施工監理等の職務に関し,土木建築工事業者である有限会社B建設の代表取締役であったB被告人との間で同社に有利な取り計らいをしたことに対する謝礼等の趣旨で賄賂を授受し,また,同被告人の依頼に基づき,土地区画整理事業に関する工事の指名競争入札の予定価格を推認し得る設計金額を同被告人に教示し,上記B建設に落札させて入札の公正を害した上,そのような職務上不正の行為をしたことに対する謝礼として同被告人との間で賄賂を授受した,という事案である。 被告人両名は,仕事柄,かねてから面識はあったが,B被告人は,C市の公共工事に関して権限を有する職員であるA被告人からの有利な取り計らいを期待して,平成6年ころから飲食や海外旅行等の接待を繰り返すようになり,これに応じたA被告人との個人的な交際を深めるうちに判示のとおりの各犯行に及んだものであるところ,B被告人においては,上記B建設に対する有利な取り計らいを得たことの謝礼や将来的にも有利な取り なり,これに応じたA被告人との個人的な交際を深めるうちに判示のとおりの各犯行に及んだものであるところ,B被告人においては,上記B建設に対する有利な取り計らいを得たことの謝礼や将来的にも有利な取り計らいをしてもらうための布石として賄賂を供与し,A被告人においては,借金の返済や前妻への貸付のためなどから賄賂を収受したものであって,各犯行に至る経緯や動機にしんしゃくに値するような事情はまったくない。A被告人は,判示第1の犯行において,B被告人からの賄賂をためらうことなく受け取っているばかりか,判示第4の犯行においては,公共工事の設計金額を指名業者に内密に教示するという職務上不正な行為をしておきながら,これを反省するどころか,教示を受けたB被告人が断りにくい立場にあることに乗じて,自ら金額を明示して100万円もの賄賂を要求して,これを収受するなど,公務の公正さに対する規範意識が鈍磨していることは明らかであり,また,B被告人についても,A被告人に対する接待を繰り返して親交を深め,そのような経緯をふまえて指名入札への参加や設計金額の教示を具体的に依頼して目的を達しているなどの事情が認められ,犯情にはいずれもはなはだ芳しくないものがあり,とりわけ,公務員として当然わきまえるべき倫理性を著しく欠いたA被告人は強い非難を甘受せざるを得ないというべきである。さらに,被告人両名の各贈収賄の犯行は,公務の適正な執行に対する社会の信頼を大きく揺るがしたのみならず,競売入札妨害の犯行においては公正であるべき競争入札制度自体を形骸化し,入札制度に対する信頼をも損なったものであって,社会に与えた影響は大きく,厳しい態度をもって臨む必要があることなどの点も本件の量刑に当たり看過することはできないといわなければならない。 以上のような事情に照らすと,被告人の刑事責任 のであって,社会に与えた影響は大きく,厳しい態度をもって臨む必要があることなどの点も本件の量刑に当たり看過することはできないといわなければならない。 以上のような事情に照らすと,被告人の刑事責任にはいずれも重いものがあり,これを軽視することはとうてい許されないというべきである。 しかしながら,他方,A被告人の兄とB被告人の妻が証人として出廷し,それぞれの被告人に対する今後の厳重な監督を約束していること,当然のことながら,本件により,A被告人は長年勤めたC市役所を懲戒免職となって職を失い,B被告人においては上記B建設の代表取締役の辞任を余儀なくされ,上記B建設についても公共事業指名停止処分を受けるに至ったほか,本件が新聞等で大きく報道されるなど,相応の社会的制裁を受けていること,A被告人はC市の職員として,B被告人は上記B建設の経営者として,いずれも本件までは長年にわたりまじめに仕事を続けていたもので,いずれの被告人にも前科前歴はまったくないこと,被告人両名は,いずれも保釈となるまで相当期間身柄を拘束され,また正式裁判を受けたことなどから,犯した罪の重さや犯行の社会的影響等を自覚しつつあり,A被告人においてはしょく罪寄附をするなど,ともに反省を深めていることなどの被告人両名に有利な事情も認めることができる。 このような被告人両名に有利な事情をも考慮すると,本件については,A被告人を懲役1年6か月に,B被告人を懲役1年に処して,その責任を明確にするとともに,今回に限り,それぞれその刑の執行を猶予し,社会内において更に反省を深める機会を与えるのが相当である。 よって,主文のとおり判決する。 (求刑被告人Aに対して懲役1年6か月及び追徴金110万円,被告人Bに対して懲役1年)平成13年9月11日横浜地方裁判所第三刑 主文 よって,主文のとおり判決する。 理由 (求刑被告人Aに対して懲役1年6か月及び追徴金110万円,被告人Bに対して懲役1年) 事実 平成13年9月11日横浜地方裁判所第三刑事部裁判長裁判官志田洋 裁判官小林康男 裁判官佐竹真紀
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