平成24(ワ)31440 特許権侵害差止請求事件

裁判年月日・裁判所
平成27年3月23日 東京地方裁判所
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判決文本文61,368 文字)

平成27年3月23日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成24年(ワ)第31440号特許権侵害差止請求事件口頭弁論終結日平成27年1月21日判 決アメリカ合衆国テキサス州<以下略>原告アダプティックスインコーポレイテッド同訴訟代理人弁護士飯田秀郷同隈部泰正同森山航洋同訴訟代理人弁理士黒田博道同北口智英東京都中央区<以下略>被告 ZTEジャパン株式会社同訴訟代理人弁護士城山康文同訴訟復代理人弁護士後藤未来同 﨑地康文同岡 浩喜同訴訟復代理人弁理士金山賢教同補佐人弁理士市川英彦同青木孝博主文 1 被告は,別紙1物件目録記載4のLTE用基地局施設を輸入し,譲渡し,貸し渡し,又は,譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求被告は,別紙1物件目録記載1ないし4のLTE用基地局施設を輸入し,譲渡し,貸し渡し,又は,譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。 第2 事案の概要 1 本件は,「直交周波数分割多重アクセス(OFDM 別紙1物件目録記載1ないし4のLTE用基地局施設を輸入し,譲渡し,貸し渡し,又は,譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。 第2 事案の概要 1 本件は,「直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)セルラー・ネットワークの媒体アクセス制御」という名称の発明に関する特許権(特許第3980478号。以下「本件特許権1」といい,同特許権に係る特許を「本件特許1」という。)及び「適応クラスタ構成及び切替による多重キャリア通信」という名称の発明に関する特許権(特許第4213466号。以下「本件特許権2」といい,同特許権に係る特許を「本件特許2」という。)を有する原告が,被告に対し,別紙物件目録記載1ないし4のLTE用基地局施設(以下「被告基地局施設製品」という。)の輸入販売等は,①物の発明である本件特許1の特許請求の範囲の請求項32の発明(以下「本件発明1-32」という。)に係る本件特許権1の直接侵害であり,②ネットワークの発明である本件特許1の特許請求の範囲の請求項1の発明(以下「本件発明1-1」という。),方法の発明である,本件特許1の特許請求の範囲の請求項7の発明(以下「本件発明1-7」といい,本件発明1-1,1-32と併せて「本件発明1」という。),本件特許2の特許請求の範囲の請求項1及び3の発明(以下,それぞれ「本件発明2-1」「本件発明2-3」といい,併せて「本件発明2」という。)に係る本件特許権1及び2のそれぞれ間接侵害であると主張して,被告基地局施設製品の輸入等の差止めを求める事案である。 2 前提となる事実(当事者間に争いがない事実以外は,末尾に証拠等を掲記する。)(1) 当事者ア原告は,アメリカ合衆国デラウェア州において設立され,同国テキサス 州に本店を有する米国法人である(弁論の全趣旨)。 イ被告は 事実以外は,末尾に証拠等を掲記する。)(1) 当事者ア原告は,アメリカ合衆国デラウェア州において設立され,同国テキサス 州に本店を有する米国法人である(弁論の全趣旨)。 イ被告は,中華人民共和国広東省深圳市に本社を置く中国法人ZTEcorporation(中興通訊股份有限公司)の子会社の日本法人である(乙A11)。 (2) 本件特許権1ア原告は,以下の特許権(本件特許権1)を保有している。 特許登録番号第3980478号出願日平成13年10月10日公表日平成16年 8月 5日登録日平成19年 7月 6日優先日平成12年10月10日優先権主張番号 09/685,977優先権主張国米国(US)発明の名称直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)セルラー・ネットワークの媒体アクセス制御特許請求の範囲別紙2特許公報(甲A1)の【特許請求の範囲】記載のとおりイ本件発明1-1を構成要件に分説すると,以下のとおりである。 1-1A 直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)を使用して,それぞれが複数の基地局のうちの一つの基地局と通信する複数の加入者を含んでおり,1-1B 前記基地局は,基地局と複数の加入者との間での多重アクセスと情報交換とを調整するためのロジックを有し,1-1C 該ロジックは,複数の加入者から収集されたフィードバックOFDMAチャネル情報及び少なくとも一つの他の基地局から収集されたOFDMAチャネル情報に基づいて,複数のOFDMAトラフィック チャネル候補から一組のOFDMAトラフィックチャネルを バックOFDMAチャネル情報及び少なくとも一つの他の基地局から収集されたOFDMAチャネル情報に基づいて,複数のOFDMAトラフィック チャネル候補から一組のOFDMAトラフィックチャネルを選択し,1-1D そして,前記少なくとも一つの他の基地局と協働して前記複数の加入者のうちの複数に対して結合OFDMAチャネル割り当てを提供する1-1E ことを特徴とするセルラー・ネットワーク。 ウ本件発明1-7を構成要件に分説すると,以下のとおりである。 1-7A 複数の基地局から複数の加入者にサウンディング信号を送る段階と,1-7B 各基地局において,少なくとも一つの加入者及び少なくとも一つの他の基地局から,複数のOFDMAトラフィックチャネルに関するチャネル状態情報を受け取る段階と,1-7C 少なくとも一つの加入者及び少なくとも一つの他の基地局から受け取った前記OFDMAチャネル状態情報と,複数の加入者に関するアップリンク信号及びダウンリンク信号の推定空間利得とに基づいて,前記複数の加入者に対して前記複数のOFDMAトラフィックチャネルからOFDMAトラフィックチャネルを割り当て,1-7D そして,前記少なくとも一つの他の基地局と協働して前記複数の加入者のうちの複数に対して結合OFDMAチャネル割り当てを提供する,OFDMAマルチユーザトラフィックチャネル割り当てを行う段階と,1-7E を含むことを特徴とする方法。 エ本件発明1-32を構成要件に分説すると,以下のとおりである(以下,構成要件1-32E-1,1-32E-2,1-32E-3を併せて「構成要件1-32E」ということがある。)。 1-32A 少なくとも一つの空間的に分離されたトランシーバと,1-32B 前記少なくとも一つの空間的に分離されたトランシ 2,1-32E-3を併せて「構成要件1-32E」ということがある。)。 1-32A 少なくとも一つの空間的に分離されたトランシーバと,1-32B 前記少なくとも一つの空間的に分離されたトランシーバに結 合された,アクセス信号検出器及び復調器と,1-32C 空間チャネル及び空間利得推定器と,1-32D アップリンク及びダウンリンク信号対干渉雑音計算器と,1-32E1-32E-1 前記推定器に結合され,広帯域空間チャネル推定と,加入者及び少なくとも二つの基地局からフィードバックされた測定されたOFDMAチャネル情報及び雑音及び干渉情報とに基づいてOFDMAチャネル割り当てを判定し,1-32E-2 複数の加入者に対して結合OFDMチャネル割り当てを提供する,1-32E-3 マルチユーザトラフィックチャネル割り当て器と,1-32F 前記割り当て器に結合されたOFDMAモデムと,1-32G を備える装置。 (3) 本件特許権2ア原告は,以下の特許権(本件特許権2)を保有している。 特許登録番号第4213466号出願日平成13年12月13日公表日平成16年 9月24日登録日平成20年11月 7日優先日平成12年12月15日優先権主張番号 09/837,701優先権主張国米国(US)発明の名称適応クラスタ構成及び切替による多重キャリア通信特許請求の範囲別紙3特許公報(甲A3)の【特許請求の範囲】記載のとおり イ本件発明2-1を構成要件に分説すると,以下のとおりである。 2-1AOFDMAシステム内でサ リア通信特許請求の範囲別紙3特許公報(甲A3)の【特許請求の範囲】記載のとおり イ本件発明2-1を構成要件に分説すると,以下のとおりである。 2-1AOFDMAシステム内でサブキャリアを割り当てる際に使用する方法において,2-1B 少なくとも1つのサブキャリアのダイバーシティクラスタを第1の加入者に割り当てる段階と,2-1C 少なくとも1つのコヒーレンスクラスタを第2の加入者に割り当てる段階であって,前記少なくとも1つのダイバーシティクラスタと前記少なくとも1つのコヒーレンスクラスタをそれぞれ同時に使用することによって前記第1及び第2の加入者との通信が生じ得る前記段階と,2-1D セル内の移動中の加入者と静止している加入者の人口が変化した時には,クラスタ分類を再構成する段階2-1E から成ることを特徴とする方法。 ウ本件発明2-3を構成要件に分説すると,以下のとおりである。 2-3A 前記1つのダイバーシティクラスタを使用する段階は,前記1つのダイバーシティクラスタのサブキャリア全体に亘るチャネル符合化ママ段階を含んでいる2-3B ことを特徴とする請求項1に記載の方法。 (4) 被告製品ア被告は,別紙1物件目録記載1の「BBUZXSDR シリーズ」に含まれる同目録記載4の「B8300A」及び「BS8906」の輸入販売を行っている。 イ被告は,別紙1物件目録記載2の「RRUZXSDR シリーズ」に含まれる同目録記載4の「R8924DT」の輸入販売を行ったことがある(以下,「B8300A」「BS8906」「R8924DT」を併せて「被告製品」という。)。 ウ被告は,別紙1物件目録記載2の「RRUZXSDR シリーズ」に含まれる同目録記載3の「ZXTRR8928D 0A」「BS8906」「R8924DT」を併せて「被告製品」という。)。 ウ被告は,別紙1物件目録記載2の「RRUZXSDR シリーズ」に含まれる同目録記載3の「ZXTRR8928D」を試験用に日本に持ち込んで,WirelessCityPlanning 株式会社(以下「WCP」という。)に販売したことがある。 エソフトバンク株式会社は,被告製品を使用してLTE(LongTermEvolution)通信事業を行っている。 被告製品は,LTE通信用基地局施設に使用されている(以下,被告製品を使用した,「LTEにおけるセル間干渉を考慮したスケジューリング方法を備えるネットワーク」を「対象ネットワーク478」といい,被告製品を使用した,「マルチセルネットワークにおける空間領域のスケジューリングを含む移動体通信法」を「対象方法478」,被告製品を使用した,「ローカライズドRB及びディストリビューテッドRBの割り当てを含む移動体通信法」を「対象方法466」という。)。 すなわち,被告製品は,LTE規格に基づくLTE通信に供されているLTEワイヤレス基地局施設であって,LTE規格上必須とされる構成を全て備えている(弁論の全趣旨)。 (5) 無効審判ア被告は,本件特許1の特許請求の範囲の請求項1,7の発明〔本件発明1-1,1-7〕に係る特許について無効審判を請求し(無効2013-800082。乙B52。なお,複数の請求項を有する特許又は特許権については,請求項ごとに特許がされ,又は特許権があるものとみなされることがあるが〔特許法185条〕,本件特許1の特許請求の範囲の請求項1の発明〔本件発明1-1〕に係る特許についての無効審判請求を「本件発明1-1についての無効審判請求」,無効理由を「本件発明1-1の進歩性」 が〔特許法185条〕,本件特許1の特許請求の範囲の請求項1の発明〔本件発明1-1〕に係る特許についての無効審判請求を「本件発明1-1についての無効審判請求」,無効理由を「本件発明1-1の進歩性」「本件発明1-1の明確性」のようにいうことがある。),特許庁は,平成26年8月22日,請求は成り立たない旨の審 決をした(乙A9)。 被告は,審決取消訴訟を提起し,本件口頭弁論終結時現在,知財高裁に係属中である(知財高裁平成26年(行ケ)第10221号。乙A10・42頁,弁論の全趣旨)。 イ華為技術有限公司は,本件発明1-1,1-7について無効審判を請求し(無効2013-800141),特許庁は,平成26年8月25日,請求は成り立たない旨の審決をした(乙B85)。 ウ被告は,本件発明1-32について無効審判を請求し(無効2013-800235),特許庁は,平成26年11月6日,請求は成り立たない旨の審決をし(甲C3),この審決は確定した(弁論の全趣旨)。 エ被告は,本件発明2-1,2-3について無効審判を請求し(無効2013-800083),特許庁は,平成26年3月28日,請求は成り立たない旨の審決をし(乙A6),この審決は確定した(弁論の全趣旨)。 3 争点(1) 争点1(本件発明1の充足論)争点1-1 対象ネットワーク478の本件発明1-1の構成要件充足性争点1-2 対象方法478の本件発明1-7の構成要件充足性争点1-3 被告製品の本件発明1-32の構成要件充足性(2) 争点2(本件発明2の充足論)争点2-1 対象方法466の本件発明2-1の構成要件充足性争点2-2 対象方法466の本件発明2-3の構成要件充足性(3) 争点3(本件特許1の無効論)争点3-1 本件特許1の新規性・進歩性 2-1 対象方法466の本件発明2-1の構成要件充足性争点2-2 対象方法466の本件発明2-3の構成要件充足性(3) 争点3(本件特許1の無効論)争点3-1 本件特許1の新規性・進歩性違反の有無1(乙B1を主引例とするもの)争点3-2 本件特許1の新規性・進歩性違反の有無2(乙B16を主引例とするもの) 争点3-3 本件特許1の新規性・進歩性違反の有無3(乙B21を主引例とするもの)争点3-4 本件特許1の明確性要件違反の有無争点3-5 本件特許1のサポート要件違反,簡潔性要件違反,実施可能要件違反の有無(4) 争点4(本件特許2の無効論)争点4-1 本件特許2の新規性・進歩性違反1の有無(乙B17を主引例とするもの)争点4-2 本件特許2の進歩性違反2の有無(乙B1を主引例とするもの)争点4-3 本件特許2の明確性要件違反の有無争点4-4 本件特許2のサポート要件違反,実施可能要件違反の有無(5) 争点5(差止めの可否)争点5-1 間接侵害の成否争点5-2 差止めの必要性第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(本件発明1の充足論)1-1 争点1-1(対象ネットワーク478の本件発明1-1の構成要件充足性)(原告の主張)(1) 構成要件1-1A構成要件1-1Aの「直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)を使用して……通信する」は,専らダウンリンクにおいてOFDMAを使用するものを含むと解されるところ,対象ネットワーク478は少なくともダウンリンクでOFDMA(OrthogonalFrequencyDivisionMultipleAccess:直交周波数分割多重アクセス)を使用しており,基地局と通信する複数のユー ザ端末からなるから,構成要件1- hogonalFrequencyDivisionMultipleAccess:直交周波数分割多重アクセス)を使用しており,基地局と通信する複数のユー ザ端末からなるから,構成要件1-1Aを充足する。もっとも,対象ネットワーク478がアップリンクで使用するSC-FDMA(SingleCarrierFrequencyDivisionMultipleAccess:単一搬送波周波数分割多重アクセス)も,OFDMAの一種である。 (2) 構成要件1-1B対象ネットワーク478は,複数のユーザ端末との間で多重アクセスと情報交換を行う制御がなされており,この制御は,構成要件1-1Bのロジックに相当するから,構成要件1-1Bを充足する。 (3) 構成要件1-1C対象ネットワーク478における基地局のダウンリンクに関するOFDMAのトラフィックチャネルの割り当て(RB〔ResourceBlock:リソース・ブロック〕の選択によりチャネルが割り当てられる。)は,複数のユーザ端末から受信したCQI(ChannelQualityIndicator:チャネル品質指標)及び隣接基地局からLOADINFORMATION情報として受信したOI(OverloadIndication :干渉過負荷表示),RNTP(RelativeNarrowbandTxPower :相対狭帯域送信電力)及びHII(HighInterferenceIndication:高干渉表示)に基づき,隣接基地局のダウンリンクと干渉が生じないように調整することを含み,複数のRBの組合せの候補からトラフィックチャネルを割り当てるものであるから,構成要件1-1Cを充足する。 被告は,OI,RNTP及びHIIの交換についての自白を撤回しているが,自白の とを含み,複数のRBの組合せの候補からトラフィックチャネルを割り当てるものであるから,構成要件1-1Cを充足する。 被告は,OI,RNTP及びHIIの交換についての自白を撤回しているが,自白の撤回には異議がある。 (4) 構成要件1-1D対象ネットワーク478は,隣接する基地局間のOI,RNTP及びHIIの交換によって,少なくともダウンリンクのOFDMAトラフィックチャネルの割り当てを調整する。基地局がOFDMAトラフィックチャネルを単 独で割り当てるのではなく,他の基地局と協働して割り当てるOFDMAトラフィックチャネルは,他の基地局がそのセル内の他の複数のユーザ端末に対してOFDMAチャネルを割り当てているという条件のもとに同時に自局のセル内で複数のユーザ端末に対してOFDMAチャネルを割り当てるから,その割り当ては,「結合OFDMAチャネルの割り当て」に相当する。 したがって,対象ネットワーク478は,構成要件1-1Dを充足する。 (5) 構成要件1-1E対象ネットワーク478は,構成要件1-1Eを充足する。 (被告の主張)(1) 構成要件1-1A構成要件1-1Aの「直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)を使用して……通信する」とは,ダウンリンクのみならずアップリンクにもOFDMAを使用する必要があるところ,対象ネットワーク478がアップリンクで使用するSC-FDMAはOFDMAではないから,構成要件1-1Aを充足しない。 (2) 構成要件1-1B「多重アクセスと情報交換とを調整するためのロジック」の意味が必ずしも明瞭ではないが,さしあたり充足性を積極的には争わない。 (3) 構成要件1-1Cア基地局が,隣接の基地局との間で,X2インターフェースで通信し,OI,RNTP及びHIIといった情報 必ずしも明瞭ではないが,さしあたり充足性を積極的には争わない。 (3) 構成要件1-1Cア基地局が,隣接の基地局との間で,X2インターフェースで通信し,OI,RNTP及びHIIといった情報が送信されることは認めるが,対象ネットワーク478では,アップリンク(OFDMAではない。)はもとより,ダウンリンクにおいても,基地局によるRBの割り当てが,他の基地局から送信されたOI,RNTP又はHIIに基づいてなされることはないから,構成要件1-1Cを充足しない。 イ被告製品の構成について再度調査を行ったところ,被告製品では,LO ADINFORMATION(OI,HII及びRNTP)をRBの割り当てのために使用しないばかりでなく,そもそも基地局間の交換も行っていないことが判明したから,上記アの自白は撤回する。なお,上記アの点は主要事実でないから,裁判上の自白に当たらない。仮に裁判上の自白が成立したとしても,自白は真実に反し,錯誤に基づくものである。 (4) 構成要件1-1D「他の基地局と協働」とは,他の基地局から収集された情報に基づいて選択すること(構成要件1-1C)を意味するものと解されるところ,対象ネットワーク478においては,アップリンク(OFDMAではない。)はもとより,ダウンリンクにおいても,基地局によるRBの割り当てが,他の基地局から送信されたOI,RNTP又はHIIに基づいてなされることはないから,構成要件1-1Dを充足しない。 (5) 構成要件1-1E対象ネットワーク478が,セルラー・ネットワークであることは認める。 1-2 争点1-2(対象方法478の本件発明1-7の構成要件充足性)(原告の主張)(1) 構成要件1-7A対象方法478で複数の基地局が発信する同期信号および基準信号は, とは認める。 1-2 争点1-2(対象方法478の本件発明1-7の構成要件充足性)(原告の主張)(1) 構成要件1-7A対象方法478で複数の基地局が発信する同期信号および基準信号は,サウンディング信号に相当するから,構成要件1-7Aを充足する。 (2) 構成要件1-7B対象方法478で,各基地局は少なくとも1つのユーザ端末から複数のOFDMAトラフィックチャネルに関するチャネル情報であるCQIを受信し,隣接する基地局から複数のOFDMAトラフィックチャネルに関するチャネル情報であるLOADINFORMATION(OI,RNTP及びHII)を受信するから,構成要件1-7Bを充足する。 (3) 構成要件1-7Cア本件発明1-7は,「OFDMAトラフィックチャネル」,「OFDMAチャネル状態情報」という技術要素を規定しているにすぎず,少なくともダウンリンクにおいて「OFDMAトラフィックチャネル」「OFDMAチャネル状態情報」という技術要素を備えるOFDMAマルチユーザトラフィックチャネル割り当て方法であれば足りる。 イ対象方法478において,基地局は,他の基地局からOI,RNTP及びHIIを受け取り,これに基づきOFDMAトラフィックチャネルを割り当てている。 ウ 「空間利得」とは,送信側の特定アンテナから受信側の特定アンテナに至る伝送状態(振幅及び位相の変化)の集合(この集合の行列表現がチャネル・マトリクスである。)を意味することは,この分野の技術常識である。 LTE規格においては,基地局があるユーザ端末宛ての伝送に適するプリコーディングウェイト行列を選択するための情報として,ユーザ端末は,望ましいレイヤ数を示すRI(RankIndication:ランク指示子)と,そのレイヤ数において望ま 端末宛ての伝送に適するプリコーディングウェイト行列を選択するための情報として,ユーザ端末は,望ましいレイヤ数を示すRI(RankIndication:ランク指示子)と,そのレイヤ数において望ましいプリコーディングウェイト行列をあらかじめ用意されたコードブックに基づき指標化したPMI(PrecodingMatrixIndicator:プリコーディング行列指標)及びCQIを,ダウンリンクのチャネル状態推定値に基づいて報告する。基地局は,ユーザ端末からのCQI,RI及びPMIから空間利得を推定し,プリコーディングウェイト行列を決定する。 複数アンテナ技術を用いる際には,送信アンテナからの信号を受信する受信アンテナで同相になるような制御が必要であるため,推定空間利得(チャネル・マトリクス)が必須である。これはアップリンク信号及びダウンリンク信号とも同様である。 エしたがって,対象方法478は,構成要件1-7Cを充足する。 (4) 構成要件1-7D対象方法478は,隣接する基地局間のOI,RNTP及びHIIの交換によって,少なくともダウンリンクのOFDMAトラフィックチャネルの割り当てを調整するから,構成要件1-7Dを充足する。 (5) 構成要件1-7E対象方法478は,構成要件1-7Eを充足する。 (被告の主張)(1) 構成要件1-7A充足性については特に争わない。 (2) 構成要件1-7B対象方法478は,構成要件1-1Bを充足しない。 (3) 構成要件1-7Cア 「アップリンク信号……の推定空間利得……とに基づいて……OFDMAトラフィックチャネルを割り当て」るのであるから,ダウンリンクのみならずアップリンクにおいてもOFDMAを用いる必要があると解されるところ,対象方法478がアップリ 得……とに基づいて……OFDMAトラフィックチャネルを割り当て」るのであるから,ダウンリンクのみならずアップリンクにおいてもOFDMAを用いる必要があると解されるところ,対象方法478がアップリンクで使用するSC-FDMAはOFDMAではない。 イ対象方法478において,OI,RNTP及びHIIを参照してRBの割り当てを行うことはないから,「他の基地局から受け取った前記OFDMAチャネル状態情報……に基づいて……OFDMAトラフィックチャネルを割り当て」ることはない。 ウ空間チャネル行列は「空間利得」を示すものではなく,空間チャネル行列を得ることを空間利得の推定ということもない。 対象方法478では,「アップリンク信号及びダウンリンク信号の推定空間利得」は存在しないし,これらに基づいた「割り当て」がなされるこ とはない。 また,仮に「推定空間利得」がチャネル・マトリクスを意味するとしても,対象方法478では,アップリンクにプリコーディングを用いないため,アップリンク信号に関しては,プリコーディングのために必要とされるチャネル・マトリクスが存在しない。それゆえ,「アップリンク信号の推定空間利得」なるものは存在しないし,「アップリンク信号の推定空間利得」に基づいた「割り当て」も存在しない。 加えて,チャネル・マトリクスは,RBの割り当てに際して考慮されないから,チャネル・マトリクスが「推定空間利得」に該当したとしても,「推定空間利得」に基づく「割り当て」は存在しない。 エしたがって,対象方法478は構成要件1-7Cを充足しない。 (4) 構成要件1-7D「他の基地局と協働」とは,他の基地局から収集された情報に基づいて選択すること(構成要件1-7C)を意味するものと解されるところ,対象方法478においては, 足しない。 (4) 構成要件1-7D「他の基地局と協働」とは,他の基地局から収集された情報に基づいて選択すること(構成要件1-7C)を意味するものと解されるところ,対象方法478においては,アップリンク(OFDMAではない。)はもとより,ダウンリンクにおいても,基地局によるRBの割り当てが,他の基地局から送信されたOI,RNTP又はHIIに基づいてなされることはないから,構成要件1-7Dを充足しない。 (5) 構成要件1-7E充足性は特に争わない。 1-3 争点1-3(被告製品の本件発明1-32の構成要件充足性)(原告の主張)(1) 構成要件1-32ALTE規格のMIMO伝送をする基地局は,物理的に異なる複数のアンテナを備えるから,構成要件1-32Aを充足する。 (2) 構成要件1-32B この複数アンテナを用いたMIMO伝送をするため,基地局及びユーザ端末はいずれも送受信する信号を検出する検出器及びこれを復調する復調器を備えるから,構成要件1-32Bを充足する。 (3) 構成要件1-32C複数アンテナを用いて,ビームフォーミングを行い,又は,空間分割多重などの空間処理を施して形成される通信経路を「空間チャネル」という。この空間チャネルが備えるチャネル特性及び空間利得を「空間チャネル及び空間利得」という。 測定された「空間チャネル及び空間利得」は,測定時のものであり,通信は測定後に行われるから,その通信に用いるのは,測定された「空間チャネル及び空間利得」そのものではなく,「空間チャネル及び空間利得推定」をしたものである。 ダウンリンクの空間チャネル及び空間利得は,フィードバック情報(CQI,PMI及びRI)としてユーザ端末から基地局に報告されるところ,基地局がこれを受信して復調することによってユ したものである。 ダウンリンクの空間チャネル及び空間利得は,フィードバック情報(CQI,PMI及びRI)としてユーザ端末から基地局に報告されるところ,基地局がこれを受信して復調することによってユーザ端末に対するダウンリンクの空間チャネル及び空間利得が分かる。このような復調機能を備えるものが構成要件1-32Cにいう「空間チャネル及び空間利得推定器」に相当し,被告製品は,そのような機能を備えているから,構成要件1-32Cを充足する。 (4) 構成要件1-32D構成要件1-32Dにいう「ダウンリンク信号対干渉雑音計算器」とは,本件特許1の明細書(甲A1)の段落【0042】の「広帯域チャネル及び雑音及び干渉推定器604」のように,復調されたフィードバック情報からダウンリンク信号干渉雑音を得る機能を備えるものをいう。 LTE規格において,基地局に報告されたCQIをリソース割り当てに用いるためには,基地局においてOFDM変調されかつ符号化されたフィード バック情報に基づき広帯域チャネル及び雑音及び干渉特性を推定して,復調することを要することは明らかである。したがって,被告製品は「アップリンク及びダウンリンク信号対干渉雑音計算器」を備えており,構成要件1-32Dを充足する。 (5) 構成要件1-32ELTE規格の基地局は,複数のユーザ端末からそれぞれフィードバック情報(CQI,PMI,RI)の報告を受け,これに基づき複数のユーザ端末との間で各ユーザ・データの通信に用いるRBの少なくとも1つを決定してトラフィックチャネルとしてそれぞれ割り当てる(スケジューリング及び多元接続)。多元接続に要するサブキャリアの帯域は,当該基地局が保有する広帯域にわたるから,複数ユーザ端末に対する空間チャネル(特性)の推定は,広帯域空間チャネル(特性 当てる(スケジューリング及び多元接続)。多元接続に要するサブキャリアの帯域は,当該基地局が保有する広帯域にわたるから,複数ユーザ端末に対する空間チャネル(特性)の推定は,広帯域空間チャネル(特性)の推定に相当する。 さらに基地局は,複数の隣接基地局からLOADINFORMATION(OI,RNTP及びHII)を送受信し,各自局内(セル内)の基地局境界に位置する自局のユーザ端末と隣接する他の基地局のユーザ端末との間で,両基地局がそれぞれ割り当てるトラフィックチャネル(RBの選択に基づく)間に干渉が生じないようにユーザ端末に対するトラフィックチャネルの割り当てを調整する。 したがって,被告製品は,構成要件1-32Eを充足する。 (6) 構成要件1-32F被告製品は,構成要件1-32Fを充足する。 (7) 構成要件1-32G被告製品は,構成要件1-32Gを充足する。 (被告の主張)(1) 構成要件1-32A認める。 (2) 構成要件1-32B構成要件1-32Bにいう「アクセス信号」の意味が不明であり,否認する。 (3) 構成要件1-32Cア被告製品は「空間利得」の推定を行わないため,空間利得推定を行う機構は備えていない。また,被告製品は「空間チャネル(特性)」を推定せず,そのような機構も備えていない。 イ仮に原告の主張するように,「推定空間利得」がチャネル・マトリクスを意味するとしても,被告製品では,アップリンクにプリコーディングを用いないから,「推定空間利得」なるものは存在しない。 ウ原告は,ユーザ端末がチャネル・マトリクスを推定すると主張しているから,基地局設備の一部である被告製品がチャネル・マトリクスの推定を行うことはない。 エ 「空間利得推定器」が,「割り当て器」に「結合」されて ーザ端末がチャネル・マトリクスを推定すると主張しているから,基地局設備の一部である被告製品がチャネル・マトリクスの推定を行うことはない。 エ 「空間利得推定器」が,「割り当て器」に「結合」されていることから,「割り当て」は「推定空間利得」に基づかなければならないと解されるところ,チャネル・マトリクスは,RBの割り当ての際に考慮されないから,チャネル・マトリクスが「推定空間利得」に該当したとしても,「推定空間利得」に基づく「割り当て」は存在しない。 (4) 構成要件1-32Dア被告製品は,ダウンリンク信号対干渉雑音計算を行う機構は備えていない。LTE規格において,ダウンリンク信号対干渉雑音比率を測定するのは,基地局でなくユーザ端末である。 イフィードバック情報を復調することが,ダウンリンク信号対干渉雑音の計算であるというのは日本語の通常の用語法から離れすぎており,原告の解釈は誤りである。 ウ仮に原告の解釈を前提としても,復調にはOFDM復調器があれば足 り,わざわざ雑音及び干渉特性を推定する必要はなく,原告の主張は単なる憶測にすぎない。 エしたがって,被告製品は「ダウンリンク信号対干渉雑音計算器」を備えておらず,構成要件1-32Dを充足しない。 (5) 構成要件1-32Eア被告製品は空間チャネル及び空間利得推定を行う機構を備えていないから「前記推定器に結合され」(構成要件1-32E-1)た機構を有さない。また,被告製品は,「広帯域空間チャネル推定」(構成要件1-32E-1)を行わず,「広帯域空間チャネル推定」に基づいた決定も行わない。 イ被告製品がRI及びPMIを決定することは認めるが,「少なくとも二つの基地局からフィードバックされた測定されたOFDMAチャネル情報及び雑音及び干渉情報」(構成要件1 づいた決定も行わない。 イ被告製品がRI及びPMIを決定することは認めるが,「少なくとも二つの基地局からフィードバックされた測定されたOFDMAチャネル情報及び雑音及び干渉情報」(構成要件1-32E-1)を参照することはなく,かつ,スケジューリングのための割り当てるべき「トラフィックチャネル」を決定しない。 ウしたがって,被告製品は,構成要件1-32Eを充足しない(6) 構成要件1-32F否認する。 (7) 構成要件1-32G否認する。 2 争点2(本件発明2の充足論)2-1 争点2-1(対象方法466の本件発明2-1の構成要件充足性)(原告の主張)(1) 構成要件2-1ALTE規格におけるダウンリンクのOFDMA通信におけるOFDMAシステムトラフィックチャネルの割り当ては,「OFDMAシステム内でサブ キャリアを割り当てる」ことに相当し,対象方法466は構成要件2-1Aを充足する。 (2) 構成要件2-1Bア対象方法466は,ダウンリンクについて互いに周波数が離れたサブキャリアからなるRBをディストリビューテッドVRB(DistributedVirtualResourceBlocks:ディストリビューテッド仮想リソース・ブロック)とし,これをトラフィックチャネルとしてユーザ端末に割り当てる。ディストリビューテッドVRBは「ダイバーシティクラスタ」に相当するから,対象方法466は構成要件2-1Bを充足する。 イ被告は,ディストリビューテッドVRBの使用についての自白を撤回しているが,自白の撤回には異議がある。 (3) 構成要件2-1C対象方法466は,互いに周波数が連続するサブキャリアからなるRBをローカライズドVRB(LocalizedVirtualResou るが,自白の撤回には異議がある。 (3) 構成要件2-1C対象方法466は,互いに周波数が連続するサブキャリアからなるRBをローカライズドVRB(LocalizedVirtualResourceBlocks:ローカライズド仮想リソース・ブロック)とし,これをトラフィックチャネルとして他のユーザ端末に割り当てる。ディストリビューテッドVRBはローカライズドVRBに基づいて生成されるため,基地局からの送信信号中にローカライズドVRBとディストリビューテッドVRBを同時に混在させて,複数のユーザ端末に対して同時に送信することができる。ローカライズドVRBは「コヒーレンスクラスタ」に相当するから,対象方法466は構成要件2-1Cを充足する。 (4) 構成要件2-1Dア構成要件2-1Dは,「セル中の移動中の加入者と静止している加入者の人口が変化した時を検出」することは規定しておらず,変化を「検出」する構成は不要である。 イ対象方法466において,ダウンリンクのスケジューリングは1ms (ミリ秒)ごとに行われる。ディストリビューテッドVRBの割り当ては,ユーザ端末からのCQI,PMIなどのフィードバック情報から,マルチパスなどの障害が予想されるユーザ端末に対して,周波数ダイバシティ効果を得るためになされる。このようなディストリビューテッドVRBを割り当てるべきユーザ端末が増加すれば,このダウンリンクのスケジューリングの更新のたびにディストリビューテッドVRBの割り当てが増加する。 ウしたがって,対象方法466は,構成要件2-1Dを充足する。 (5) 構成要件2-1E対象方法466は,構成要件2-1Eを充足する。 (被告の主張)(1) 構成要件2-1A「OFDMAシステム」とは,ダウンリンクのみならず -1Dを充足する。 (5) 構成要件2-1E対象方法466は,構成要件2-1Eを充足する。 (被告の主張)(1) 構成要件2-1A「OFDMAシステム」とは,ダウンリンクのみならずアップリンクもOFDMAを用いた通信を行うシステムであると解釈されるところ,対象方法466はアップリンクにはOFDMAを使用していないので,構成要件2-1Aを充足しない。 (2) 構成要件2-1Bア対象方法466において,ディストリビューテッドVRBがユーザ端末に割り当てられることがあることは認めるが,これは「仮想」のものにすぎず,構成要件2-1Bの「ダイバーシティクラスタ」ではない。 イ対象方法466において,ディストリビューテッドVRBがユーザ端末に割り当てられることはない。上記アの主張は撤回する(上記アは,「割り当てられることがあることを認める」としたものにすぎず,「割り当てられることを認める」としたのではないから,自白には当たらない。仮に裁判上の自白が成立したとしても,真実に反し,錯誤に基づくものであるから,撤回する。)。 ウ 「ダイバーシティクラスタ」とは,「あらかじめ相互に関連づけられた(同一のラベルが付された),少なくとも一部がスペクトル全体に遥か離れて拡散している物理的サブキャリアのセット」であると解されるところ,対象方法466に「ダイバーシティクラスタ」は存在しない。 エしたがって,対象方法466は,構成要件2-1Bを充足しない。 (3) 構成要件2-1C対象方法466において,ローカライズドVRBがユーザ端末に割り当てられることがあることは認めるが,これは「仮想」のものにすぎず,構成要件2-1Cの「コヒーレンスクラスタ」ではない。 「コヒーレンスクラスタ」とは,「あらかじめ相互に関連づけられた( 端末に割り当てられることがあることは認めるが,これは「仮想」のものにすぎず,構成要件2-1Cの「コヒーレンスクラスタ」ではない。 「コヒーレンスクラスタ」とは,「あらかじめ相互に関連づけられた(同一のラベルが付された),互いに接近している複数の物理的サブキャリアのセット」であると解されるところ,対象方法466に「コヒーレンスクラスタ」は存在しない。 (4) 構成要件2-1Dア構成要件2-1Dは,「セル中の移動中の加入者と静止している加入者の人口が変化した時」を検出し,そのタイミングで「クラスタ分類を再構成」するものと解釈されるところ,対象方法466では,ダウンリンクのスケジューリングが1msごとに行われているのであって,「セル中の加入者と静止している加入者の人口が変化した時」を検出し,そのタイミングで「クラスタ分類を再構成」することはない。 イ 「クラスタ分類」の「再構成」とは,①物理的サブキャリアの関連づけ(ラベリング又はマッピング)を変更することによって,②移動中の加入者と静止中の加入者の割合に合わせるように,③ダイバーシティクラスタ及びコヒーレンスクラスタの数を変更し,④新しい関連づけ(ラベリング又はマッピング)を加入者に通知することをいうと解される。 原告は,「クラスタ分類」の「再構成」が対象方法466のうちのどの ような構成に該当するのかさえ一切主張していない。 この点を措くとしても,そもそも対象方法466において「クラスタ分類」の「再構成」が行われることはない。 ウしたがって,対象方法466は,構成要件2-1Dを充足しない。 (5) 構成要件2-1E充足性は特に争わない。 2-2 争点2-2(対象方法466の本件発明2-3の構成要件充足性)(原告の主張)(1) 構成要件2-3A -1Dを充足しない。 (5) 構成要件2-1E充足性は特に争わない。 2-2 争点2-2(対象方法466の本件発明2-3の構成要件充足性)(原告の主張)(1) 構成要件2-3A対象方法466において,ディストリビューテッドVRBは,全帯域にわたったものであるが,個々の変調シンボルに対しては周波数ダイバシティ効果がないため,OFDM伝送のエラー率を向上させるために,チャネル符号化を行う。これらの符号化されたビットが,変調シンボルによってOFDMAの伝送帯域の広い範囲にわたって配置されたディストリビューテッドVRB(分散したサブキャリア)にマッピングされる。つまり,サブキャリア全体にわたるチャネル符号化がなされているから,対象方法466は構成要件2-3Aを充足する。 (2) 構成要件2-3B対象方法466は,構成要件2-3Bを充足する。 (被告の主張)(1) 構成要件2-3A対象方法466は「ダイバーシティクラスタ」を用いないので,構成要件2-3Aを充足しない。 (2) 構成要件2-3B対象方法466は,構成要件2-3Bを充足しない。 3 争点3(本件特許1の無効論) 3-1 争点3-1(本件特許1の新規性・進歩性違反の有無1:乙B1を主引例とするもの)(被告の主張)(1) 本件発明1-1は,乙B1に記載された発明と同一であるか,乙B1に乙B21(及び乙B81~84の周知技術)を組み合わせるなどして容易に発明することができたものである。 (2) 本件発明1-7は,乙B1に乙B15,21(及び乙B2~14の周知技術)を組み合わせるなどして容易に発明することができたものである。 (3) 本件発明1-32は,乙B1に乙B15,56(及び乙B57~72の周知技術)を組み合わせるなどして容 び乙B2~14の周知技術)を組み合わせるなどして容易に発明することができたものである。 (3) 本件発明1-32は,乙B1に乙B15,56(及び乙B57~72の周知技術)を組み合わせるなどして容易に発明することができたものである。 (原告の主張)(1) 乙B1には,本件発明1-1の構成要件1-1A~Dが開示されておらず,乙B1から容易に発明することができたともいえない。 (2) 乙B1には,本件発明1-7の構成要件1-7A~Dが開示されておらず,乙B2~15と組み合わせても容易に発明することができたとはいえない。 (3) 乙B1には,本件発明1-32の構成要件1-32A~Gが開示されておらず,乙B15,56と組み合わせても容易に発明することができたとはいえない。 3-2 争点3-2(本件特許1の新規性・進歩性違反の有無2:乙B16を主引例とするもの)(被告の主張)(1) 本件発明1-1は,乙B16に記載された発明と同一であるか,乙B16に乙B1及び乙B17~21の周知技術を組み合わせるなどして容易に発明することができたものである。 (2) 本件発明1-7は,乙B16に乙B15(及び乙B2~14の周知技術)を組み合わせるなどして容易に発明することができたものである。 (原告の主張)(1) 乙B16には,本件発明1-1の構成要件1-1B~Dが開示されておらず,乙B16から容易に発明することができたともいえない。 (2) 乙B16には,本件発明1-7の構成要件1-7A~Dが開示されておらず,乙B2~15と組み合わせても容易に発明することができたとはいえない。 3-3 争点3-3(本件特許1の新規性・進歩性違反の有無3:乙B21を主引例とするもの)(被告の主張)(1) 本件発明1-1は,乙 合わせても容易に発明することができたとはいえない。 3-3 争点3-3(本件特許1の新規性・進歩性違反の有無3:乙B21を主引例とするもの)(被告の主張)(1) 本件発明1-1は,乙B21に記載された発明と同一であるか,それに基づいて容易に発明することができたものである。 (2) 本件発明1-7は,乙B21に乙B15,56(及び乙B2~14の周知技術)を組み合わせるなどして容易に発明することができたものである。 (3) 本件発明1-32は,乙B21に乙B15,56(及び乙B57~72の周知技術)を組み合わせるなどして容易に発明することができたものである。 (原告の主張)(1) 乙B21には,構成要件1-1A~Dが開示されておらず,乙B21から容易に発明することができたともいえない。 (2) 乙B21には,構成要件1-7A~Dが開示されておらず,乙B2~15と組み合わせても容易に発明することができたとはいえない。 (3) 乙B21には,構成要件1-32A~Gが開示されておらず,乙B15,56と組み合わせても容易に発明することができたとはいえない。 3-4 争点3-4(本件特許1の明確性要件違反の有無)(被告の主張)(1) 本件発明1-1ア本件発明1-1の「フィードバックOFDMAチャネル情報」,「OFDMAチャネル情報」,「OFDMAトラフィックチャネル」及び「結合OFDMAチャネル割り当て」の文言は不明確である。 イ 「複数の加入者から収集されたフィードバックOFDMAチャネル情報及び少なくとも一つの他の基地局から収集されたOFDMAチャネル情報に基づいて」という文言は,「複数のOFDMAトラフィックチャネル候補から一組のOFDMAトラフィックチャネルを選択し」という文言のみを修飾 とも一つの他の基地局から収集されたOFDMAチャネル情報に基づいて」という文言は,「複数のOFDMAトラフィックチャネル候補から一組のOFDMAトラフィックチャネルを選択し」という文言のみを修飾しているのか,又は,「複数のOFDMAトラフィックチャネル候補から一組のOFDMAトラフィックチャネルを選択し」という文言及び「前記少なくとも一つの他の基地局と協働して前記複数の加入者のうちの複数に対して結合OFDMAチャネル割り当てを提供する」という文言の両方を修飾しているのか不明確である。 ウ 「一組のOFDMAトラフィックチャネルを選択」することと,「結合OFDMAチャネル割り当てを提供する」こととが,互いに全く独立の動作を規定したものであるのか,又は,互いに関係のある動作を規定したものであるのか不明確である。 (2) 本件発明1-7ア本件発明1-7の「OFDMAトラフィックチャネルに関するチャネル状態情報」,「OFDMAチャネル状態情報」,「推定空間利得」,「OFDMAトラフィックチャネル」,「結合OFDMAチャネル割り当て」及び「OFDMAマルチユーザトラフィックチャネル割り当て」の文言は不明確である。 イ 「少なくとも一つの加入者及び少なくとも一つの他の基地局から受け 取った前記OFDMAチャネル状態情報と,複数の加入者に関するアップリンク信号及びダウンリンク信号の推定空間利得とに基づいて」という文言は,「前記複数の加入者に対して前記複数のOFDMAトラフィックチャネルからOFDMAトラフィックチャネルを割り当て」という文言のみを修飾しているのか,又は,「前記複数の加入者に対して前記複数のOFDMAトラフィックチャネルからOFDMAトラフィックチャネルを割り当て」という文言及び「前記少なくとも一つの他の基地局と協 言のみを修飾しているのか,又は,「前記複数の加入者に対して前記複数のOFDMAトラフィックチャネルからOFDMAトラフィックチャネルを割り当て」という文言及び「前記少なくとも一つの他の基地局と協働して前記複数の加入者のうちの複数に対して結合OFDMAチャネル割り当てを提供する」という文言の両方を修飾しているのかが不明確である。 ウ 「OFDMAトラフィックチャネルを割り当て」ることと,「結合OFDMAチャネル割り当てを提供する」こととが,互いに全く独立の動作を規定したものであるのか,又は,両者は互いに関係のある動作を規定したものであるのか,不明確である。 (3) 本件発明1-32ア 「少なくとも一つの空間的に分離されたトランシーバ」という記載は,空間的に分離されたトランシーバが1つである場合を含むものであるが,1つのトランシーバが空間的に分離されているとはどのような構成を意味するのか不明確である。 イ 「アクセス信号検出器」の意義が不明確である。 ウ 「空間チャネル及び空間利得推定器」の意義が不明確である。 エ 「OFDMAチャネル情報」は,「雑音及び干渉情報」とどのように相違するのか不明確である。 オ 「OFDMAチャネル割り当てを判定」することと,複数の加入者に対して結合OFDMチャネル割り当てを提供することとが同一の動作を規定しているのか,又は,両者が相互に異なる動作を規定しているのか,不明確である。 (原告の主張)争う。それらの記載はいずれも明確である。 3-5 争点3-5(本件特許1のサポート要件違反,簡潔性要件違反,実施可能要件違反の有無)(被告の主張)(1) 本件発明1-1ア 「複数の加入者から収集されたフィードバックOFDMAチャネル情報及び少なくとも一つの他の基地局から収集された 性要件違反,実施可能要件違反の有無)(被告の主張)(1) 本件発明1-1ア 「複数の加入者から収集されたフィードバックOFDMAチャネル情報及び少なくとも一つの他の基地局から収集されたOFDMAチャネル情報に基づいて」「複数のOFDMAトラフィックチャネル候補から一組のOFDMAトラフィックチャネルを選択」すること(構成要件1-1C)は,本件特許1の明細書の発明の詳細な説明に記載されていない。 イ本件特許1の明細書の段落【0052】は,構成要件1-1Dに対応する構成を開示するものであり,この段落が構成要件1-1C及び構成要件1-1Dの両方の構成を開示するものであるとすると,構成要件1-1C及び構成要件1-1Dは全体として冗長な記載を形成していることになり,本件特許1の請求項1の記載は特許法36条6項3号に規定する要件(簡潔性要件)を満たさない。 ウ構成要件1-1Dは,「少なくとも一つの他の基地局と協働して……結合OFDMAチャネル割り当てを提供する」と規定しており,「少なくとも一つの他の基地局」という文言は「一つの基地局」又は「複数の基地局」(下線部は強調のために裁判所で付した。以下同じ)を意味するところ,「1つの他の基地局と協働」する構成は段落【0052】に開示されているとしても,「2つ以上の他の基地局と協働」する構成は本件特許1の明細書の発明の詳細な説明に開示されておらず,また,当業者が実施可能な程度に明確かつ十分に記載したものでもない。 (2) 本件発明1-7 ア 「少なくとも一つの加入者及び少なくとも一つの他の基地局から受け取った前記OFDMAチャネル状態情報と,複数の加入者に関するアップリンク信号及びダウンリンク信号の推定空間利得とに基づいて」「前記複数の加入者に対して前記複数のOFDMAトラ の他の基地局から受け取った前記OFDMAチャネル状態情報と,複数の加入者に関するアップリンク信号及びダウンリンク信号の推定空間利得とに基づいて」「前記複数の加入者に対して前記複数のOFDMAトラフィックチャネルからOFDMAトラフィックチャネルを割り当て」ること(構成要件1-7C)は,本件特許1の明細書の発明の詳細な説明に記載されていない。本件特許1の明細書の段落【0050】や【0052】は,「少なくとも一つの加入者及び少なくとも一つの他の基地局から受け取った前記OFDMAチャネル状態情報」,及び,「複数の加入者に関するアップリンク信号及びダウンリンク信号の推定空間利得」の両方に基づいて「前記複数のOFDMAトラフィックチャネルからOFDMAトラフィックチャネルを割り当て」るものではない。 イ本件特許1の明細書は,具体的にどのようにして,「複数の加入者に関するアップリンク信号及びダウンリンク信号の推定空間利得」に基づいて「前記複数の加入者に対して前記複数のOFDMAトラフィックチャネルからOFDMAトラフィックチャネルを割り当て」るのかを全く記載していない。すなわち,本件特許1の明細書は「複数の加入者に関するアップリンク信号及びダウンリンク信号の推定空間利得」をどのようにして得るのか,それをどのようにして「OFDMAトラフィックチャネルを割り当て」るのに用いるのかを記載していない。 ウ構成要件1-7Dは,「少なくとも一つの他の基地局と協働して……結合OFDMAチャネル割り当てを提供する」と規定しており,「少なくとも一つの他の基地局」という文言は「一つの基地局」又は「複数の基地局」を意味するところ,「1つの他の基地局と協働」する構成は段落【0052】に開示されているとしても,「2つ以上の他の基地局と協働」する構成は本件特許 」という文言は「一つの基地局」又は「複数の基地局」を意味するところ,「1つの他の基地局と協働」する構成は段落【0052】に開示されているとしても,「2つ以上の他の基地局と協働」する構成は本件特許1の明細書の【発明の詳細な説明】に開示されていな い。 (3) 本件発明1-32ア構成要件1-32Dは「アップリンク及びダウンリンク信号対干渉雑音計算器」を規定しているところ,本件特許1の明細書の段落【0045】~【0049】は,ダウンリンク信号についてのSINR_iを計算する構成しか開示されておらず,「アップリンク信号対干渉雑音計算器」に対応する構成要素を開示していない。 イまた,「ダウンリンク信号対干渉雑音計算器」は,様々な具体的な計算方法によってダウンリンク信号のSINRを計算する構成要素を含む記載となっているにもかかわらず,明細書は,段落【0045】~【0048】の計算方法を用いる構成要素しか開示していない。 したがって,「アップリンク及びダウンリンク信号対干渉雑音計算器」は,発明の詳細な説明に記載されたものではなく,また,当業者が実施可能な程度に明確かつ十分に記載されたものでもない。 ウ構成要件1-32Eの「前記推定器に結合され……マルチユーザトラフィックチャネル割り当て器」という記載は,「マルチユーザトラフィックチャネル割り当て器」が「前記推定器」に結合されていることを特定している。しかしながら,基地局の構成を示す【図6】を参照すると,「結合トラフィックチャネル割り当て器605A」は,「広帯域チャネル推定器雑音及び干渉推定器604」には結合されていない。よって,「前記推定器に結合され……マルチユーザトラフィックチャネル割り当て器」は,発明の詳細な説明に記載されたものではなく,また,当業者がその実施をする び干渉推定器604」には結合されていない。よって,「前記推定器に結合され……マルチユーザトラフィックチャネル割り当て器」は,発明の詳細な説明に記載されたものではなく,また,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでもない。 エ構成要件1-32E-1の「広帯域空間チャネル推定」という記載は,移動局から受信したアクセス信号以外の信号に基づいて推定された場合における「広帯域空間チャネル推定」をも含むものであるが,明細書には, アクセス信号以外の信号に基づいて推定される態様は開示されていない。 よって,「広帯域空間チャネル推定」という記載は,発明の詳細な説明に記載されたものではなく,また,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでもない。 オ構成要件1-32Fの「前記割り当て器に結合されたOFDMAモデム」という記載は,「OFDMAモデム」が「前記割り当て器」に結合されることを特定するものである。基地局の構成を示す【図6】を参照すると,まず第1に,OFDM変調器607及びOFDM復調器603は記載されているが,OFDMAモデムに対応する構成は何ら示されていない。 仮に,OFDM変調器607及びOFDM復調器603がOFDMAモデムに相当するとしても,OFDM復調器603は「結合トラフィックチャネル割り当て器605A」には結合されていない。よって,「前記割り当て器に結合されたOFDMAモデム」という記載は,発明の詳細な説明に記載されたものではなく,また,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでもない。 (原告の主張)争う。それらの文言は,いずれも発明の詳細な説明に開示されており,簡潔であり,実施可能である。 4 争点4(本件特許2の無効論) 度に明確かつ十分に記載したものでもない。 (原告の主張)争う。それらの文言は,いずれも発明の詳細な説明に開示されており,簡潔であり,実施可能である。 4 争点4(本件特許2の無効論)4-1 争点4-1(本件特許2の新規性・進歩性違反1の有無:乙B17を主引例とするもの)(被告の主張)本件発明2-1,2-3は,乙B17に記載された発明と同一であるか,乙B17に乙B8,22,23,49,54,55を組み合わせるなどして容易に発明することができたものである。 (原告の主張) 乙B17には,本件発明2-1の構成要件2-1B~Dが開示されておらず,乙B8,22,23,49,54,55から容易に発明することができたともいえない。本件発明2-1が新規性,進歩性を有するから,それを引用する本件発明2-3も当然新規性,進歩性を有する。 4-2 争点4-2(本件特許2の進歩性違反2の有無:乙B1を主引例とするもの)(被告の主張)本件発明2-1,2-3は,乙B1に乙B8,22,23,49,54,55を組み合わせるなどして容易に発明することができたものである。 (原告の主張)乙B1には,構成要件2-1A~Dが開示されておらず,乙B8,22,23,49,54,55から容易に発明することができたともいえない。本件発明2-1が進歩性を有するから,それを引用する本件発明2-3も当然進歩性を有する。 4-3 争点4-3(本件特許2の明確性要件違反の有無)(被告の主張)(1) 本件発明2-1ア 「ダイバーシティクラスタ」及び「コヒーレンスクラスタ」という文言は不明確である。 イ 「クラスタ分類を再構成する」という文言は不明確である。 (2) 本件発明2-3ア 「前記1つのダイバーシティクラスタを使用する段階」は, コヒーレンスクラスタ」という文言は不明確である。 イ 「クラスタ分類を再構成する」という文言は不明確である。 (2) 本件発明2-3ア 「前記1つのダイバーシティクラスタを使用する段階」は,請求項3が引用する請求項1において規定されたものではなく,不明確である。 イ 「チャネル符合化」という文言は不明確である。 (原告の主張)争う。それらの記載はいずれも明確である。 4-4 争点4-4(本件特許2のサポート要件違反,実施可能要件違反の有無)(被告の主張)(1) 本件発明2-1ア本件発明2-1は,「クラスタ分類の再構成」は,「セル内の移動中の加入者と静止している加入者の人口が変化した時」,すなわち,セル内の移動中の加入者及び静止している加入者の両方の人口が変化した時に実行される,ということを規定していると解されるところ,本件特許2の明細書の段落【0103】は,「システムの展開に伴い人数が変わると,コヒーレンスクラスタとダイバーシティクラスタの割当は,新しいシステムの必要性を受け入れるため構成し直される。」ということを開示しているのみであって,この「人数」が,「移動中の加入者」の数であるのか,「静止している加入者」の数であるのか,又は,「移動中の加入者」及び「静止している加入者」の両方の数であるのかについて,全く説明していない。したがって,本件発明2-1は,発明の詳細な説明に記載したものではなく,当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでもない。 イ 「セル内の移動中の加入者と静止している加入者の人口が変化した時」という記載は,①移動中の加入者及び静止している加入者の両方の人数が変化したものの,両者の比が変化しない場合,及び,②移動中の加入者及び静止している加入者の両方の人数が る加入者の人口が変化した時」という記載は,①移動中の加入者及び静止している加入者の両方の人数が変化したものの,両者の比が変化しない場合,及び,②移動中の加入者及び静止している加入者の両方の人数が変化し,かつ,両者の比が変化した場合,という少なくとも2つの場合を含む記載と解されるところ,本件特許2の明細書の段落【0103】は,「セル内の移動中の加入者と静止している加入者の人口が変化した時」が,場合①を示すのか,場合②を示すのか,又は,場合①及び場合②の両方を示すのかについて,全く言及していない。したがって,本件発明2-1は,発明の詳細な説明に記載したも のではなく,当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでもない。 ウ本件特許2の明細書は,「セル内の移動中の加入者と静止している加入者の人口が変化した時」を,基地局が具体的にどのような構成によってどのように検出するのかについて,全く言及していない。したがって,本件発明2-1は,発明の詳細な説明に記載したものではなく,当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでもない。 (2) 本件発明2-3本件発明2-1がサポート要件,実施可能要件を欠くから,本件発明2-3もまた,サポート要件,実施可能要件を欠く。 (原告の主張)争う。それらの文言は,いずれも発明の詳細な説明に開示されており,実施可能である。 5 争点5(差止めの可否)5-1 争点5-1(間接侵害の成否)(原告の主張)(1) 被告製品を含む被告基地局施設製品は,LTE規格に準拠した通信をするための専用機器であるから,本件発明1-1の技術的範囲に属する「対象ネットワーク478」を生産するためにのみ用いられる物(特許法101条1号)であり,本件発明1-7の技術的範囲に 準拠した通信をするための専用機器であるから,本件発明1-1の技術的範囲に属する「対象ネットワーク478」を生産するためにのみ用いられる物(特許法101条1号)であり,本件発明1-7の技術的範囲に属する「対象方法478」,本件発明2-1,2-3の技術的範囲に属する「対象方法466」の使用にのみ用いる物(同条4号)である。 (2) 仮に,LTE以外の通信方式に用いるという他の用途があるとしても,被告基地局施設製品は本件発明1,2の課題解決に不可欠な構成を備えているから,特許法101条2号(本件発明1-1)又は5号(本件発明1-7,2-1,2-3)の間接侵害が成立する。 (被告の主張)争う。 5-2 争点5-2(差止めの必要性)(原告の主張)被告製品を含む被告基地局施設製品を輸入し,譲渡し,貸し渡し,又は,譲渡若しくは貸渡しの申出をすることは,本件発明1-32に係る本件特許権1の直接侵害であり,本件発明1-1,1-7,2-1,2-3に係る本件特許権1,2の間接侵害を構成するから,原告は,被告に対し,被告基地局施設製品の輸入等の差止めを求める。 (被告の主張)争う。 第4 当裁判所の判断 1 争点1-1(対象ネットワーク478の本件発明1-1の構成要件充足性)について(1) 構成要件1-1Aア被告製品は,LTE規格に基づくLTE通信に供されているLTEワイヤレス基地局施設であって,LTE規格上必須とされる構成を全て備えているところ(前記前提となる事実(4)エ),LTE規格上,基地局からユーザ端末への通信(ダウンリンク)においてはOFDMAを,ユーザ端末から基地局への通信(アップリンク)においてはSC-FDMAを,それぞれ使用することはいずれも争いがない。 そうすると,被告製品を使用した対象ネッ ダウンリンク)においてはOFDMAを,ユーザ端末から基地局への通信(アップリンク)においてはSC-FDMAを,それぞれ使用することはいずれも争いがない。 そうすると,被告製品を使用した対象ネットワーク478は,少なくともダウンリンクにおいてOFDMAを使用して,それぞれが複数の基地局のうちの一つの基地局と通信する複数の加入者を含んでいるといえるから,構成要件1-1Aを充足する。 イ被告は,構成要件1-1Aにいう「OFDMAを使用して……通信す る」とは,ダウンリンクのみならずアップリンクにもOFDMAを使用する必要があり,対象ネットワーク478がアップリンクで使用するSC-FDMAはOFDMAではないから,構成要件1-1Aを充足しないと主張する。 しかし,構成要件1-1Aにいう「OFDMAを使用して……通信する」を,「ダウンリンク及びアップリンクの双方にOFDMAを使用して……通信する」と限定解釈すべき根拠はない。 ウしたがって,対象ネットワーク478は構成要件1-1Aを充足する。 (2) 構成要件1-1B対象ネットワーク478が構成要件1-1Bを充足することは,被告も明らかに争わない。 (3) 構成要件1-1Cア対象ネットワーク478が「少なくとも一つの他の基地局から収集されたOFDMAチャネル情報」を有するかについて(ア) 被告は,「基地局が,隣接の基地局との間で,X2インターフェースで通信し,OI,RNTP及びHIIといった情報が送信されることは認める。」(被告準備書面(1)7頁)としていたところ,その後この自白を撤回し(被告準備書面(14)3頁),原告は自白の撤回に異議を述べた(原告第12準備書面5頁)。 上記自白は,被告製品を用いた対象ネットワーク478の構成要件充足性の基礎となる事 の後この自白を撤回し(被告準備書面(14)3頁),原告は自白の撤回に異議を述べた(原告第12準備書面5頁)。 上記自白は,被告製品を用いた対象ネットワーク478の構成要件充足性の基礎となる事実の一つとして主張されていたのであるから,主要事実の自白に当たり,これを撤回するには自白が真実に反し,錯誤によるものであることを被告において立証する必要があると解される。 (イ) 被告は,対象ネットワーク478はX2インターフェースは備えているが,OI,HII及びRNTPのいずれの情報も基地局間で交換されることはなく,OI,HII及びRNTP以外の情報を交換している と主張し,その立証とし乙A11~13,15を提出する。 乙A13はICIC(Inter-CellInterferenceCoordination:セル間干渉調整)の内容を説明する教科書であり,乙A11,15はそれぞれZTE corporation及びWCPの担当者の陳述書にすぎないから,反真実の立証として十分なものとはいえない。 乙A12は,ZTE corporationがWCPに送付した被告製品の仕様書とされる,原文全4頁の文書であり,乙A12自体からは作成日付は明らかでないが,証拠説明書によれば平成24年1月に作成された文書である。 乙A12の●(省略)●しかし,被告が平成23年9月29日に自社ウェブサイトで発表したニュース(甲A6)には,被告がWCPに納入したB8300A,BS8906,R8924DT(被告製品)は,「セル間の協調による干渉調整機能(ICIC)……などの新しい機能を提供します。」と記載されている。 ZTE corporationの担当者は,●省略●指したものとは認め難く,上記記載は,被告製品がRB割り当てのための情報を交換し,「 C)……などの新しい機能を提供します。」と記載されている。 ZTE corporationの担当者は,●省略●指したものとは認め難く,上記記載は,被告製品がRB割り当てのための情報を交換し,「セル間の協調」を行う動的ICIC又は準静的ICIC(乙A13によれば,LTEでは静的又は準静的ICICが想定されており,動的ICICは範疇外であるというのであるから,おそらくは準静的ICIC)の機能を備えていることを示すものと認めるのが相当である。 さらに,甲A6には,高度化XGP(AXGP:AdvancedeXtendedGlobalPlatform)で使用される被告製品が,「TD-LTEに適用される主要アンテナ技術に加え,セル間の協調による干渉調整機能(ICIC)……などの新しい機能を提供します。」と記載されているのであるから,仮に,●省略●としても,AXGPで使用される被告製品につ いても同様であるとはいえない。 そうすると,自白の反真実性の立証があったとは認められず,自白の撤回は許されない。 (ウ) 上記(イ)によれば,対象ネットワーク478が基地局間でOI,HII及びRNTPを交換していることは争いがない。 基地局が他の基地局から収集するOI,HII及びRNTPは,少なくともダウンリンクでOFDMAを使用する対象ネットワーク478において基地局とユーザ端末とのダウンリンクのチャネル(OFDMAチャネル)の状態を表す情報であるから,「少なくとも一つの他の基地局から収集されたOFDMAチャネル情報」に当たる。 イ対象ネットワーク478が「複数の加入者から収集されたフィードバックOFDMAチャネル情報」を有するかについて対象ネットワーク478において,ユーザ端末から基地局にCQIが送信されることは争いがな ネットワーク478が「複数の加入者から収集されたフィードバックOFDMAチャネル情報」を有するかについて対象ネットワーク478において,ユーザ端末から基地局にCQIが送信されることは争いがない。 複数のユーザ端末から送信されたCQIは,少なくともダウンリンクでOFDMAを使用する対象ネットワーク478において基地局とユーザ端末とのダウンリンクのチャネル(OFDMAチャネル)の状態を表す情報であって,ダウンリンクのRB割り当てのためにユーザ端末から基地局にフィードバックされる情報であるから(甲A22),「複数の加入者から収集されたフィードバックOFDMAチャネル情報」に当たる。 ウ対象ネットワーク478が「複数の加入者から収集されたフィードバックOFDMAチャネル情報及び少なくとも一つの他の基地局から収集されたOFDMAチャネル情報に基づいて,複数のOFDMAトラフィックチャネル候補から一組のOFDMAトラフィックチャネルを選択」しているかについて(ア) 複数のユーザ端末から収集されたCQIがRBの割り当てに使用さ れることは,被告も争っていない(乙A10・12頁)。 (イ) OI(OverloadIndication:干渉過負荷表示。甲A12の2の訳文では「ULオーバーロードの表示(theindicationofULOverload )」。甲A21の訳文では「UL干渉過負荷IE(ULInterferenceOverloadIndicationIE)」。乙A13では「OverloadIndicator」。)は,ある閾値以上の干渉を受けているRBを示し,OIの通知を受けた隣接基地局は,干渉を与えている割り当てRBの送信電力を低減するか,リソースの割り当てを他のRBに変更する(甲A21,乙A13) 。)は,ある閾値以上の干渉を受けているRBを示し,OIの通知を受けた隣接基地局は,干渉を与えている割り当てRBの送信電力を低減するか,リソースの割り当てを他のRBに変更する(甲A21,乙A13)。 (ウ) HII(HighInterferenceIndication:高干渉表示。甲A12の2の訳文では「UL高干渉表示(ULHighInterferenceIndication)」。甲A21の訳文では「UL高干渉表示IE(ULHighInterferenceIndicationIE)」。乙A13では「HighInterferenceIndicator」。)は,基地局が管轄する自セルのセル端ユーザに割り当てるRBを示し,HIIの通知を受けた隣接基地局は,そのRBになるべく(隣接基地局にとっての)自セルのRBを割り当てないように,少なくとも自セルのセル端ユーザのRBを割り当てないようにする(甲A21,乙A13)。 (エ) RNTP(RelativeNarrowbandTxPower:相対狭帯域送信電力。 甲A12の3の訳文では「相対狭帯域Txパワー(RelativeNarrowbandTxPower)」。甲A21の訳文では「相対ナローバンド送信パワー(RNTP)IE(RelativeNarrowbandTxPower(RNTP)IE)」。乙A13では「RNTPI:RelativeNarrowbandTXPowerIndicator」。)は,指定RBの送信電力を低減する(送信しないことを含む。)ことを示すものであり,RNTPの通知を受けた隣接基地局は,そのRBに自セルのユーザ端末を割り当てることができる(甲A2 1,乙A13)。 (オ) 被告は,対象ネットワーク478におけるRBの割り当 すものであり,RNTPの通知を受けた隣接基地局は,そのRBに自セルのユーザ端末を割り当てることができる(甲A2 1,乙A13)。 (オ) 被告は,対象ネットワーク478におけるRBの割り当てが,他の基地局から送信されたOI,HII及びRNTPに基づいてなされることはないと主張する。 しかし,これら基地局間で交換される情報は,RBの割り当てによるセル間干渉調整のために交換されるものであるから,これらの情報をRBの割り当てに使用しなければ意味がないものである。 被告から,これらの情報を使用せずにセル間干渉を調整する具体的な技術の主張はなく(●省略●主張が甲A6と矛盾し信用できないことは上記のとおりである。),これらの情報をRBの割り当てに使用しないにもかかわらずOI,HII及びRNTPを交換する積極的な意味も主張されていない。 したがって,対象ネットワーク478におけるRBの割り当ては,複数のユーザ端末から収集されたCQI及び少なくとも一つの他の基地局から収集されたOI,HII及びRNTPに基づいてなされるものと認められる。 もっとも,乙A13によれば,OI,HIIに基づくRB割り当てはアップリンクで,RNTPに基づくRB割り当てはダウンリンクで行われるものとされているから,対象ネットワーク478においてOFDMAを使用していることが明らかなダウンリンクにおけるRBの割り当ては,複数のユーザ端末から収集されたCQI及び少なくとも一つの他の基地局から収集されたRNTPに基づいてなされるものと認められる。 (カ) OFDMA通信において,ユーザ端末に対するRBの割り当ては,複数の割り当て可能なRBの中から,複数のRBからなる組を選択して割り当てるものと認められるから(甲A23・307頁,乙B73・79~80頁),対 通信において,ユーザ端末に対するRBの割り当ては,複数の割り当て可能なRBの中から,複数のRBからなる組を選択して割り当てるものと認められるから(甲A23・307頁,乙B73・79~80頁),対象ネットワーク478におけるRBの割り当ては「複 数のOFDMAトラフィックチャネル候補から一組のOFDMAトラフィックチャネルを選択」することに当たる。 エ小括以上によれば,対象ネットワーク478は,複数のユーザ端末から収集されたCQI及び少なくとも一つの他の基地局から収集されたRNTPに基づいて,複数のRBの候補から一組のRBを選択しているのであるから,「複数の加入者から収集されたフィードバックOFDMAチャネル情報及び少なくとも一つの他の基地局から収集されたOFDMAチャネル情報に基づいて,複数のOFDMAトラフィックチャネル候補から一組のOFDMAトラフィックチャネルを選択」しているといえ,構成要件1-1Cを充足する。 (4) 構成要件1-1Dア対象ネットワーク478のダウンリンクにおいて,基地局は,少なくとも他の一つの基地局からRNTPを収集し,これらの情報に基づいて,隣接基地局が割り当てるRBとの間で干渉が生じないように調整して,ユーザ端末にRBを割り当てるのであるから,「前記少なくとも一つの他の基地局と協働して」RBの割り当てを提供しているといえる。 イこの点,特許庁の審決の一つ(乙A9)は,本件発明1-1の構成要件1-1Dにいう「少なくとも一つの他の基地局と協働して」とは,「1つの基地局において割り当てが行われるだけでなく,複数の基地局が割り当てを同時に行うものと解される。」と解釈している(乙A9・34頁)。 被告は,上記特許庁の解釈には直ちに承服しかねるとしながら,仮にそのような極めて限定的な れるだけでなく,複数の基地局が割り当てを同時に行うものと解される。」と解釈している(乙A9・34頁)。 被告は,上記特許庁の解釈には直ちに承服しかねるとしながら,仮にそのような極めて限定的な解釈がなされた場合には,原告は複数の基地局が割り当てを同時に行うことを何ら主張・立証していないし,実際,対象ネットワーク478では同時に割り当てはなされないから,対象ネットワーク478は構成要件1-1Dを充足しない,と主張している。 そこで,本件発明1-1における「少なくとも一つの他の基地局と協働して」の意義について検討するに,本件特許1の明細書の【特許請求の範囲】の記載には,上記「少なくとも一つの他の基地局と協働して」について,複数の基地局が割り当てを同時に行うことに限定するような記載はなく,【発明の詳細な説明】にも,そのように限定的に解釈すべき根拠はない。 したがって,本件発明1-1における「少なくとも一つの他の基地局と協働して」は,「協働」しての割り当てを「複数の基地局が同時に」行う構成に限定されない(基地局Aが既に割り当てたOFDMAチャネルの情報に基づいて,基地局Bが,その後に,前記OFDMAチャネル情報に基づく結合OFDMAチャネル割り当てを提供する構成を除外するものではない。)。 乙A9に示された特許庁の解釈は,上述したとおり,本件特許1の明細書に基づくものとはいえず,当裁判所の採用するところではない。 ウ OFDMA通信において,「協働して」,すなわち他の基地局から収集したRNTPを使用してのRB割り当ては,基地局にCQIを送信したユーザ端末のうち,セル端(特に前記RNTPを送信した他の基地局との境界付近)に存在するユーザ端末に提供するものと認められ(乙A13),そのようなセル端ユーザ端末は複数存在すること CQIを送信したユーザ端末のうち,セル端(特に前記RNTPを送信した他の基地局との境界付近)に存在するユーザ端末に提供するものと認められ(乙A13),そのようなセル端ユーザ端末は複数存在することが想定されるから,対象ネットワーク478におけるRBの割り当ては,「前記複数の加入者のうちの複数に対して……チャネル割り当てを提供する」ものといえる。 エ OFDMA通信において,ユーザ端末に対するRBの割り当ては,複数の割り当て可能なRBの中から,複数のRBからなる組,すなわち複数のサブキャリアからなるチャネルの組を選択して割り当てるものと認められるから(甲A23・307頁),対象ネットワーク478におけるRBの 割り当ては「結合OFDMAチャネル割り当て」を提供するものといえる。 オ以上によれば,対象ネットワーク478は,少なくとも一つの他の基地局から収集されたRNTPに基づいて,CQIを送信した複数のユーザ端末のうちのセル端に存在する複数のユーザ端末に一組のRBを割り当てているのであるから,「前記少なくとも一つの他の基地局と協働して前記複数の加入者のうちの複数に対して結合OFDMAチャネル割り当てを提供する」といえ,構成要件1-1Dを充足する。 (5) 構成要件1-1E対象ネットワーク478が構成要件1-1Eを充足することは,被告も明らかに争わない。 (6) 以上によれば,対象ネットワーク478は構成要件1-1A~1-1Eを充足し,本件発明1-1の技術的範囲に属する。 2 争点1-2(対象方法478の本件発明1-7の構成要件充足性)について(1) 構成要件1-7C構成要件1-7Cは,「複数の加入者に関するアップリンク信号及びダウンリンク信号の推定空間利得とに基づいて……OFDMAトラフィックチャネルを割り 件充足性)について(1) 構成要件1-7C構成要件1-7Cは,「複数の加入者に関するアップリンク信号及びダウンリンク信号の推定空間利得とに基づいて……OFDMAトラフィックチャネルを割り当て」ることを規定しているから,「アップリンク信号の推定空間利得」と「ダウンリンク信号の推定空間利得」の双方を推定することが必要である。 原告は,対象方法478において,基地局は,ユーザ端末からフィードバックされたCQI,RI及びPMIに基づき,空間チャネル行列及び適用すべきプリコーディングウェイト行列を決定し,空間分割多重に用いるサブキャリアのセットを決定するところ,これが「推定空間利得に基づいて……OFDMAトラフィックチャネルを割り当て」ることに当たる,と主張している(原告第8準備書面2~10頁)。 しかし,対象方法478において,ダウンリンクの空間チャネル行列及びプリコーディングウェイト行列が推定されているとしても,アップリンクの空間チャネル行列及びプリコーディングウェイト行列が推定されていると認めるに足りる証拠はない(弁論の全趣旨〔被告準備書面(10)13頁,被告準備書面(17)7頁〕)。 原告は,複数アンテナ技術を用いる際にチャネル・マトリクスが必須であることはアップリンク信号及びダウンリンク信号とも同様であると主張する(原告第6準備書面63頁)が,証拠により裏付けられているとはいえない。 以上によれば,対象方法478において,アップリンクの空間チャネル行列及びプリコーディングウェイト行列が推定されているとはいえないから,空間チャネル行列及びプリコーディングウェイト行列が「推定空間利得」に当たるか否かにつき検討するまでもなく,対象方法478が「アップリンク信号……の推定空間利得とに基づいて……OFDMAトラ から,空間チャネル行列及びプリコーディングウェイト行列が「推定空間利得」に当たるか否かにつき検討するまでもなく,対象方法478が「アップリンク信号……の推定空間利得とに基づいて……OFDMAトラフィックチャネルを割り当て」ているとは認められず,対象方法478は構成要件1-7Cを充足しない。 (2) 以上によれば,対象方法478は,構成要件1-7Cを充足しないから,その余の点について判断するまでもなく,本件発明1-7の技術的範囲に属しない。 3 争点1-3(被告製品の本件発明1-32の構成要件充足性)について(1) 構成要件1-32C原告は,基地局施設に用いられる被告製品が,「空間チャネル及び空間利得推定器」(構成要件1-32C)「を備える装置」(構成要件1-32G)であると主張しているのであるから,基地局が「空間チャネル及び空間利得」を推定するものでなければならない。 原告は,ダウンリンクの空間チャネル及び空間利得は,フィードバック 情報(CQI,PMI及びRI)としてユーザ端末から基地局に報告されるところ,基地局がこれを受信して復調することによってユーザ端末に対するダウンリンクの空間チャネル及び空間利得が分かり,被告製品はそのような復調機能を備えているから,「空間チャネル及び空間利得推定器」を備えている,と主張する(原告第9準備書面9頁)。 しかし,ダウンリンクの空間チャネル及びその伝送状態のチャネル・マトリクス(原告のいう「空間利得」)は,ユーザ端末が過去の測定値から推定するとされ(原告第6準備書面62頁),基地局がそのような推定を行っていると認めるに足りる証拠はない(弁論の全趣旨〔被告準備書面(10)15頁〕)。 ユーザ端末が推定した値を復調しているだけでは,空間チャネル及び空間利得の推定を行って 局がそのような推定を行っていると認めるに足りる証拠はない(弁論の全趣旨〔被告準備書面(10)15頁〕)。 ユーザ端末が推定した値を復調しているだけでは,空間チャネル及び空間利得の推定を行っているとはいえないから,そのような復調機能を備えるだけで,自ら推定を行わない装置は,「空間チャネル及び空間利得推定器」とはいえない。 したがって,チャネル・マトリクスが「空間利得」に当たるか否かにつき検討するまでもなく,基地局施設の一部である被告製品が「空間チャネル及び空間利得推定器」を備えているとはいえず,被告製品は構成要件1-32Cを充足しない。 (2) 以上によれば,被告製品は構成要件1-32Cを充足しないから,その余の点について判断するまでもなく,本件発明1-32の技術的範囲に属しない。 4 争点2-1(対象方法466の本件発明2-1の構成要件充足性)について(1) 構成要件2-1A対象方法466が,ダウンリンクでOFDMAを用いる通信方法であることは争いがない。 被告は,「OFDMAシステム」と呼ぶのであればダウンリンクのみな らずアップリンクもOFDMAを用いた通信を行うシステムであると解釈するのが自然であり,対象方法466はアップリンクではOFDMAを使用していないので「OFDMAシステム」に該当しない,と主張する。 しかし,ダウンリンクでOFDMAを使用するシステムであれば「OFDMAシステム」といってよく,そのようなシステムを除外するように「OFDMAシステム」を限定解釈すべき根拠はない。 対象方法466は,少なくともダウンリンクでOFDMAを用いる「OFDMAシステム」内でサブキャリアを割り当てる際に使用する方法であるから,構成要件2-1Aを充足する。 (2) 構成要件2-1Bア被告は, は,少なくともダウンリンクでOFDMAを用いる「OFDMAシステム」内でサブキャリアを割り当てる際に使用する方法であるから,構成要件2-1Aを充足する。 (2) 構成要件2-1Bア被告は,「ディストリビューテッド仮想RBがユーザ端末に割り当てられることがあることは認め」ていたが(被告準備書面(1)11頁),その後この自白を撤回し(被告準備書面(4)12頁),原告は自白の撤回に異議を述べた(原告第6準備書面5頁)。 上記自白は,被告製品を用いた対象方法466の構成要件充足性の基礎となる事実の一つとして主張されていたのであるから,主要事実の自白に当たり,これを撤回するには自白が真実に反し,錯誤によるものであることを被告において立証する必要があると解される。 イ被告は,対象方法466ではディストリビューテッドVRBは使用されないと主張し,その立証として乙A8を提出する。 乙A7は,甲A15の反証として提出されたもので,それ自体として自白の反真実性を裏付ける内容のものではない。 乙A8は,ZTE corporation の担当者の陳述書であり,ZTEcorporationがWCPから受領したという仕様リストが添付されている。 当該仕様リストは,全6頁のもので,右上には「RANFeatureList」と記載され,左下には「ⓒ 2011 ZTECorporation.Allrightsreserved.」 との記載があることから平成23年に作成されたものと推認され,項目名の1段目及びリスト上部の記号の凡例は日本語で,リスト中の項目名は英語で記載されており,「LocalizedVRB(ローカライズドVRB)」の欄には「WCP要求事項」欄に「◎」(必須),「ZTE」欄に「対応可能」を示すチェックが記載されて ,リスト中の項目名は英語で記載されており,「LocalizedVRB(ローカライズドVRB)」の欄には「WCP要求事項」欄に「◎」(必須),「ZTE」欄に「対応可能」を示すチェックが記載されているのに対し,「DistributedVRB(ディストリビューテッドVRB)」の欄には「WCP要求事項」,「ZTE」の欄とも空欄となっている。 しかし,上記仕様リストをもっても,これが最終的な被告製品の仕様を示すものかは必ずしも明らかでなく,このような仕様リストのマスキング済みの写しが添付された乙A8だけでは,自白が真実に反していたとは認められない。 そうすると,原告の申し立てていた平成26年5月16日付け文書提出命令に係る文書を検討するまでもなく,自白の反真実性の立証があったとは認められず,自白の撤回は許されない。 ウ上記イによれば,対象方法466においてディストリビューテッドVRBがユーザ端末に割り当てられることは争いがない。 ディストリビューテッドVRBは「ダイバーシティクラスタ」に相当し,対象方法466は少なくとも1つのディストリビューテッドVRBをユーザ端末に割り当てるから,対象方法466は構成要件2-1Bを充足する。 (3) 構成要件2-1Cア対象方法466において,ローカライズドVRBがユーザ端末に割り当てられることは争いがない。 イローカライズドVRBは,「コヒーレンスクラスタ」に相当する。 対象方法466は,少なくとも1つのローカライズドVRBを,上記ディストリビューテッドVRBを割り当てられたのとは別のユーザ端末に 割り当て,少なくとも1つのディストリビューテッドVRBと少なくとも1つのローカライズドVRBとをそれぞれ同時に使用することによって,基地局と複数のユーザ端末との通信が生じ 別のユーザ端末に 割り当て,少なくとも1つのディストリビューテッドVRBと少なくとも1つのローカライズドVRBとをそれぞれ同時に使用することによって,基地局と複数のユーザ端末との通信が生じ得るものであるから,構成要件2-1Cを充足する。 (4) 構成要件2-1Dア 「セル内の移動中の加入者と静止している加入者の人口が変化した時には」とは,セル内の移動中の加入者と静止している加入者の人口が変化した場合,その後(OFDMA通信の作用効果を損なわない程度に速やかに)「クラスタ分類を再構成」すれば足り,「人口が変化した時」を検出して再構成する必要があると解すべき根拠はない。 対象方法466においては,1msごとに「ダウンリンクのスケジューリング」を行っているというのであるから(被告準備書面(1)12頁),その「ダウンリンクのスケジューリング」が「クラスタ分類の再構成」を伴うものであれば,人口の変化を検出する構成を備えていないとしても,「人口が変化した時には……クラスタ分類を再構成」するものといえる。 イそこで,対象方法466における「ダウンリンクのスケジューリング」が「クラスタ分類の再構成」を伴うものといえるか,検討する。 構成要件2-1Dでいう「クラスタ分類」の「再構成」とは,各サブキャリアが「コヒーレンスクラスタ」であるか「ダイバーシティクラスタ」であるかという「クラスタ分類」が異なるようになることを意味すると解される(弁論の全趣旨〔原告第12準備書面21頁〕)。 対象方法466において又はLTE規格において,「ダウンリンクのスケジューリング」が,割り当てるべきRBを具体的にいかなる判断や処理によって決定する行為であるか,認めるに足りる的確な証拠はない。 原告は,「ディストリビューテッドVRBの割当は,ユーザ ンクのスケジューリング」が,割り当てるべきRBを具体的にいかなる判断や処理によって決定する行為であるか,認めるに足りる的確な証拠はない。 原告は,「ディストリビューテッドVRBの割当は,ユーザ端末(加入 者)からのCQI,PMIなどのフィードバック情報から,マルチパスなどの障害が予想されるユーザ端末に対して,周波数ダイバシティ効果を得るためになされる。」と主張し(訴状20頁,原告第1準備書面30頁),原告第12準備書面19頁においては,より具体的に,「静止加入者に対してローカライズドVRB(あるいは,リソース配置タイプ0または1による連続した物理リソース・ブロック:いずれも,本件発明2におけるコヒーレンスクラスタに相当する)を,移動加入者に対してディストリビューテッドVRB(本件発明2のダイバーシティクラスタに相当する)を同時に割り当てる。」と主張する。 「ダウンリンクのスケジューリング」において,「移動中の加入者」には必ずディストリビューテッドVRBを割り当て,「静止している加入者」には必ずローカライズドVRBを割り当てるのであれば,その人口が変化した時には,ディストリビューテッドVRBとローカライズドVRBの構成を変化させなければならないから,「セル内の移動中の加入者と静止している加入者の人口が変化した時」には必ず「クラスタ分類」を「再構成」することになる。 しかし,原告は,「移動中の加入者には必ずディストリビューテッドVRBを割り当て,静止している加入者には必ずローカライズドVRBを割り当てる」という構成を対象方法466が採用していること又はLTE規格上の要請であることを証拠によって立証していない。 甲A9の4には,「ダウンリンクにおいては,E-UTRAN[判決注:EvolvedUniversalTe 66が採用していること又はLTE規格上の要請であることを証拠によって立証していない。 甲A9の4には,「ダウンリンクにおいては,E-UTRAN[判決注:EvolvedUniversalTerrestrialRadioAccessNetwork:進化型ユニバーサル地上波無線アクセスネットワーク]はUE[判決注:UserEquipment:ユーザ端末]に対してリソース(PRB[判決注:PhysicalResourceBlock:物理リソース・ブロック]及びMCS[判決注:ModulationandCodingScheme:変調及び符号化方式])を,単数又は複 数のPDCCH[判決注:PhysicalDownlinkControlCHannel:物理下り制御チャネル]上のC-RNTI[判決注:CellRadioNetworkTemporaryIdentifier:セル無線ネットワーク一時識別子]を介した各TTI[判決注:TransmissionTimeInterval:送信時間間隔]において,動的に割り当てることが出来る。UEは,自らのダウンリンク受信が可能な時に可能な割り当てを見出すために単数又は複数のPDCCHを常にモニターする(設定されている場合にはDRX[判決注:DiscontinuousReception:間欠受信]によって能動的に管理される。)。」との記載がある。 甲A9の12には,「PS[判決注:PacketScheduling:パケット・スケジューリング]は,ラジオ・ベアラに関連したQoS[判決注:QualityofService:サービス品質]要求,UEに対するチャネル・クオリティ・インフォメーション,バッファ状態,干渉状況等を通常考慮に入れる。DRA[判決注:D したQoS[判決注:QualityofService:サービス品質]要求,UEに対するチャネル・クオリティ・インフォメーション,バッファ状態,干渉状況等を通常考慮に入れる。DRA[判決注:DynamicResourceAllocation:ダイナミック・リソース・アロケーション,動的リソース割り当て]は,セル間干渉共同作用を考慮することで,利用できるリソース・ブロック又はリソース・ブロック・セットのいくつかについての制限又は優先順位をも考慮することが出来る。」との記載がある。 甲A11の1には,LTE規格上,ローカライズドVRBを割り当てたか,ディストリビューテッドVRBを割り当てたかは「PDCCHDCIフォーマット」1A,1B,1D又は1Cの数値で管理されることが記載されている。 甲A16・323頁には,「下りリンクスケジューラは,チャネル品質を考慮したスケジューリングを決定し,異なる移動端末への下りリンク送信のためのリソースを割り振ることができる。」との記載がある。 甲A23・307頁には,各ユーザ端末からのCQIに基づき,スケ ジューラがサブフレーム周期で,ユーザごとにチャネル状況の良いRBを割り当てることが記載され,305頁には,LTEでは,物理チャネルごとにディストリビューテッド送信とローカライズド送信を使い分けることによって,より効率の良いシステムを実現していることが記載されている。 しかし,これらの記載によっても,「移動中の加入者には必ずディストリビューテッドVRBを割り当て,静止している加入者には必ずローカライズドVRBを割り当てる」とまでは読み取れない。 例えば,ディストリビューテッドVRBの数に余裕を持たせてディストリビューテッドVRBとローカライズドVRBを構成しておけば,移動 は必ずローカライズドVRBを割り当てる」とまでは読み取れない。 例えば,ディストリビューテッドVRBの数に余裕を持たせてディストリビューテッドVRBとローカライズドVRBを構成しておけば,移動中の加入者が多少増加したとしても,割り当てに使用していなかったディストリビューテッドVRBを新たに割り当てれば足り,クラスタ分類を再構成する必要はないことになる。 ウさらに,1msごとに行われる「ダウンリンクのスケジューリング」において,移動中の加入者と静止している加入者の人口に応じてディストリビューテッドVRBとローカライズドVRBとを割り当てるとすれば,ユーザ端末からのCQI等のフィードバック情報を1msごとに送信させて,移動中の加入者かどうかを判定する必要があると考えられるところ(甲A23),LTE規格上,CQIレポートには非周期的レポートと周期的レポートが必須とされているが(甲A18の3・4),その周期的レポートの周期が1msごとであることは証拠によって立証されていない。 したがって,仮に,「移動中の加入者には必ずディストリビューテッドVRBを割り当て,静止している加入者には必ずローカライズドVRBを割り当てる」という原則が対象方法466で又はLTE規格で採用されていたとしても,それが1msごとに行われる「ダウンリンクのスケジューリング」に必ず反映されることまで立証されたとはいえない。 エ以上によれば,対象方法466において,「セル内の移動中の加入者と静止している加入者の人口が変化した時」に「クラスタ分類を再構成」しているとはいえず,対象方法466は,構成要件2-1Dを充足しない。 (5) 小括以上によれば,対象方法466は,構成要件2-1Dを充足しないから,本件発明2-1の技術的範囲に属しない。 5 争点 とはいえず,対象方法466は,構成要件2-1Dを充足しない。 (5) 小括以上によれば,対象方法466は,構成要件2-1Dを充足しないから,本件発明2-1の技術的範囲に属しない。 5 争点2-2(対象方法466の本件発明2-3の構成要件充足性)について対象方法466は構成要件2-1Dを充足しないから,請求項1(本件発明2-1)を引用する構成要件2-3Bを充足せず,その余の点について判断するまでもなく,本件発明2-3の技術的範囲に属しない。 6 争点3-1(本件特許1の新規性・進歩性違反の有無1:乙B1を主引例とするもの)について(1) 乙B1発明本件特許1の優先日(平成12年10月10日)の前である平成10年(1998年)6月4日に頒布された刊行物である国際公開第98/24258号公報(乙B1)には,以下の発明(以下「乙B1発明」という。)が開示されている(乙A9・29~30頁)。 周波数分割,時分割多元接続(frequency-division,time-divisionmultipleaccess;FD/TDMA)を使用して,複数の移動局(M1~M10)の各々が,複数の基地局(B1~B10)の1つ以上及び移動局交換センタ(MSC)を通して電話呼び出しを発信し又は受信する能力を有する多スロット・セルラ電気通信システムにおいて,移動局基地局対間に通信リンクを設立することがシステムに必要であるとき,そのリンクに利用可能なNのチャネル群の各々上の干渉(I)を測定し,干渉(I)測定結果がシステムへ送信されるもので,移動局から,干渉(I)測定結果は基地局へ伝送され,次いで,移動局交換センタ(M SC)へ転送され,干渉(I)測定の結果がACA(適応チャネル分配)プロセッサによって受信され,A で,移動局から,干渉(I)測定結果は基地局へ伝送され,次いで,移動局交換センタ(M SC)へ転送され,干渉(I)測定の結果がACA(適応チャネル分配)プロセッサによって受信され,ACAプロセッサは,Nのチャネル上で行われた干渉(I)測定の結果からMの最少干渉未使用チャネルを決定し,リンク上の最少干渉Mのチャネルの部分集合を割り当てるチャネル割り当てメッセージが移動局及び基地局の両方へ送信されるものであり,もし最少干渉Mのチャネルのうちの1つが近隣セル内で使用されたならば,そのチャネルは使用されないことになる,多スロット・セルラ電気通信システム。 (2) 本件発明1-1と乙B1発明の対比本件発明1-1と乙B1発明は,以下の点で一致し,以下の点で相違する(乙A9・31頁)。 (一致点)多重アクセスを使用して,それぞれが複数の基地局のうちの一つの基地局と通信する複数の加入者を含んでおり,基地局と複数の加入者との間での多重アクセスと情報交換とを調整するためのロジックを有し,該ロジックは,複数の加入者から収集されたフィードバックチャネル情報に基づいて,複数のトラフィックチャネル候補から一組のトラフィックチャネルを選択し,そして,前記複数の加入者のうちの複数に対してチャネル割り当てを提供することを特徴とするセルラー・ネットワークである点。 (相違点1)多重アクセスが,本件発明1-1では直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)であり,それに伴いチャネル情報,トラフィックチャネル,及びチャネル割り当てが,それぞれOFDMAチャネル情報,OFDMAトラフィックチャネル,及び結合OFDMAチャネル割り当てであるのに対して,乙B1発明では,周波数分割,時分割多元接続(FD/TDMA)である点。 (相違点2)本件発明1-1は「 情報,OFDMAトラフィックチャネル,及び結合OFDMAチャネル割り当てであるのに対して,乙B1発明では,周波数分割,時分割多元接続(FD/TDMA)である点。 (相違点2)本件発明1-1は「基地局と複数の加入者との間での多重アク セスと情報交換とを調整するためのロジック」を基地局が有し,複数の加入者から収集されたフィードバックチャネル情報だけでなく,そのフィードバックチャネル情報及び「少なくとも一つの他の基地局から収集されたOFDMAチャネル情報」に基づいて,トラフィックチャネルを選択し,「そして,前記少なくとも一つの他の基地局と協働して前記複数の加入者のうちの複数に対して結合OFDMAチャネル割り当てを提供する」とするのに対して,乙B1発明はそのような構成を有していない点。 (3) 相違点1についてOFDMA(OrthogonalFrequencyDivisionMultipleAccess:直交周波数分割多重アクセス)は,変調方式であるOFDM(OrthogonalFrequencyDivisionMultiplexing:直交周波数分割多重)を基本とし,多重アクセスを可能としたものであり(甲A1・段落【0003】【0004】),異なるクラスタ(サブキャリアのセットからなる。)が異なる加入者(ユーザ端末)に同時に割り当てられる点で,単一の加入者(ユーザ端末)に複数のサブキャリアが割り当てられ,時分割によって複数の加入者(ユーザ端末)を切り換えるOFDM/TDMAと異なるものである(弁論の全趣旨〔原告第7準備書面54頁〕)。 本件特許1の優先日前に頒布された特表平11-508417号公報(乙B21)は,OFDMシステムにおいて,M個の副搬送波のセットが,異なる移動局(ユーザ端末)202,204 備書面54頁〕)。 本件特許1の優先日前に頒布された特表平11-508417号公報(乙B21)は,OFDMシステムにおいて,M個の副搬送波のセットが,異なる移動局(ユーザ端末)202,204に同時に割り当てられる構成を開示しているから,OFDMA技術を開示しているといえる(乙B21,乙B85・30~31頁)。 そもそも,「最近,直交周波数分割多重化(OFDM)をベースにした直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)無線ネットワークに対する関心が高まっている」こと(甲A1・段落【0003】),1993年5月,1998年11月,1999年10月の「参考文献によれば,マルチ ユーザ通信に関する問題が存在し,OFDMA状況における全範囲にわたる集中的な資源割り当てによって,無線ネットワークの容量を実質的に増大させることができること」(甲A1・段落【0004】)は,本件特許1の明細書(甲A1)に記載されていることであって,優先日時点でOFDMA技術が公知であったことは,本件特許1の明細書自体からも明らかである。 当業者は,乙B1発明に,公知のOFDMA技術を組み合わせて,相違点1を克服する構成を容易に想到することができると認めるのが相当である。 (4) 相違点2についてア乙B1の開示内容について乙B1発明において,移動局がリンク受信機であるとき,移動局が「そのリンクに利用可能なNのチャネル群の各々上の干渉(I)」を測定し,測定結果は基地局に伝送され,次いで,MSCへ転送される。基地局がリンク受信機であるとき,I測定結果はMSCに伝送される。 I測定の結果がACAプロセッサによって受信され,ACAプロセッサは,Nのチャネル上で行われたI測定の結果からMの最少干渉未使用チャネルを決定する。次いで,リンク上 結果はMSCに伝送される。 I測定の結果がACAプロセッサによって受信され,ACAプロセッサは,Nのチャネル上で行われたI測定の結果からMの最少干渉未使用チャネルを決定する。次いで,リンク上の最少干渉Mのチャネルの部分集合を割り当てるチャネル割り当てメッセージがリンク受信機及びリンク送信機の両方へ送信される。 例えば,チャネルは,それらの使用が近隣セル内の伝送にいかに影響するかを基礎として割り当てることもできる。もし最少干渉Mのチャネルのうちの1つが近隣セル内で使用されたならば,そのチャネルは使用されないことになろう(以上につき,乙B1・訳文13頁18~43行)。 以上の説明において,移動局がリンク受信機であるときの移動局からのI測定結果及び基地局がリンク受信機であるときの基地局からのI測定結 果は,いずれもMSCに伝送され,ACAプロセッサはそのI測定結果に基づいてチャネル割り当てを決定するのであるから,上記の説明は,ACAプロセッサが,基地局と別個のMSCに設けられる前提での説明であると考えられる。 イ MSCがACAプロセッサを有する構成と本件発明1-1の対比乙B1発明は,「移動局と基地局との間の各アップリンク/ダウンリンクごとに,システムは,或る数(N)のチャネルの集合から或る数(M)のチャネルの部分集合を選択する」というACA(適応的チャネル割り当て)を有しており,これは本件発明1-1Bにいう「基地局と複数の加入者との間での多重アクセスと情報交換とを調整するためのロジック」に相当する。 MSCに設けられたACAプロセッサがチャネル割り当てを決定するには,複数の移動局(M1~M10)のI測定結果及び少なくとも1つの基地局(基地局B1~B10のうち,少なくとも当該移動局を管轄する基地局B1) けられたACAプロセッサがチャネル割り当てを決定するには,複数の移動局(M1~M10)のI測定結果及び少なくとも1つの基地局(基地局B1~B10のうち,少なくとも当該移動局を管轄する基地局B1)からのI測定結果に基づくと考えられるから,乙B1発明のACAプロセスは,複数の移動局から収集されたI測定結果及び少なくとも一つの他の基地局から収集されたI測定結果に基づいて,複数のチャネル候補から「最少干渉Mのチャネルの部分集合」を選択するロジックであり,乙B1発明が相違点1を克服してOFDMAを使用した場合には,構成要件1-1Cにいう「該ロジックは,複数の加入者から収集されたフィードバックOFDMAチャネル情報及び少なくとも一つの他の基地局から収集されたOFDMAチャネル情報に基づいて,複数のOFDMAトラフィックチャネル候補から一組のOFDMAトラフィックチャネルを選択」することに相当する。 しかし,本件発明1-1の構成要件1-1Bは,「前記基地局は……ロジックを有し」と規定しているところ,上記認定のロジックはMSC内の ACAプロセッサが有しており,基地局が有しているものではない。 被告は,移動局に対するチャネル割り当てを行うのは,MSCの制御を受けたBSC(基地局コントローラ)である,とも主張するが(被告準備書面(18)10頁),そうだとしても,ACAプロセッサを有しない基地局が「ロジック」を有していることになるものではない。 また,「協働」とは,「協力して働くこと」をいうから(乙B77「広辞苑[第5版]」),「他の基地局と協働して……チャネル割り当てを提供する」場合,当該「他の基地局」も,自セルの加入者にチャネル割り当てを提供していることを要すると解するべきである(基地局が,加入者からのフィードバック情報に基 局と協働して……チャネル割り当てを提供する」場合,当該「他の基地局」も,自セルの加入者にチャネル割り当てを提供していることを要すると解するべきである(基地局が,加入者からのフィードバック情報に基づいてチャネルを割り当てる場合であっても,基地局が「加入者と協働して」チャネルを割り当てる,とは言わないのであるから,基地局が,他の基地局からのチャネル情報に基づいてチャネル割り当てを提供しているだけでは,「他の基地局と協働して」チャネル割り当てを提供するものとはいえない。)。 MSCがACAプロセッサを有する構成において,MSCは,単独でチャネル割り当てを決定し,基地局B1~B10に指令するにすぎないから,当該ロジックが「前記少なくとも一つの他の基地局と協働して……チャネル割り当てを提供する」(構成要件1-1D)ものともいえない。 ウ基地局のうちの一つがACAプロセッサを有する構成と本件発明1-1の対比(ア) 乙B1・英文図8では,ACAプロセッサ928は,チャネル評価器914及びチャネル分配器916を含むように示されている。この図8では,「基地局852と単一移動端末854が通信リンク815を経由して結合されて示されて」(乙B1・訳文18頁)いる図であるから,通信リンク815の左側は基地局852であり,すなわち,ACAプロセッサ928は基地局852の中に存在している。 したがって,乙B1・英文図8の実施形態では,基地局852がACAプロセッサ928を有し,基地局が「ロジック」を有する構成が開示されている。 基地局がACAプロセッサを有する構成としては,①基地局B1のみがACAプロセッサを有し,他の基地局B2~B10はACAプロセッサを有しない構成と,②基地局B1~B10がそれぞれACAプロセッサを有する構成,の プロセッサを有する構成としては,①基地局B1のみがACAプロセッサを有し,他の基地局B2~B10はACAプロセッサを有しない構成と,②基地局B1~B10がそれぞれACAプロセッサを有する構成,の2種類が考えられる。 (イ) 基地局B1のみがACAプロセッサを有し,他の基地局B2~B10はACAプロセッサを有しない場合,基地局B1が隣接する他の基地局B2~B7のI測定結果やチャネル割り当て結果の情報を入手するのか否か,入手する場合どのようにして入手するのか,乙B1には何ら記載がないが,強いていえば,基地局B1は,MSCを通じて隣接基地局B2~B7のI測定結果を収集し,ACAプロセッサにより自セルC1及び隣接セルC2~C7内の移動局のチャネル割り当てを決定し,自セルC1内の移動局にチャネル割り当てを行い,MSCを通じて隣接基地局B2~B7に隣接セルC2~C7内の移動局へのチャネル割り当てを指令するとも考えられる。 この場合,隣接基地局B2~B7のI測定結果は,いったんMSCに伝送され,そこから基地局B1内のACAプロセッサに転送されるものと考えられる。 そのように考えた場合,ACAプロセッサを有する基地局B1は,「少なくとも一つの他の基地局(B2~B7)から(MSCを通じて)収集されたOFDMAチャネル情報に基づいて……チャネル割り当てを選択」(構成要件1-1C)するかもしれないが,基地局B2~B7は,ACAプロセッサを有する基地局B1の指令に従っているだけであるから,基地局B1が「前記少なくとも一つの他の基地局(B2~B 7)と協働して……チャネル割り当てを提供する」(構成要件1-1D)ものとはいえない。 エ基地局がそれぞれACAプロセッサを有する構成と本件発明1-1の対比(ア) 基地局B1~B10がそれ 7)と協働して……チャネル割り当てを提供する」(構成要件1-1D)ものとはいえない。 エ基地局がそれぞれACAプロセッサを有する構成と本件発明1-1の対比(ア) 基地局B1~B10がそれぞれACAプロセッサを有する構成(乙B1には,特定の基地局が特別な地位を有する旨の記載や示唆はないから,このように考える方が自然である。)の場合,基地局B1は,自らの管轄するセルC1内の移動局M3,M4,M6,M7のI測定結果と基地局B1自身のI測定結果に基づいて自セルC1内の移動局にチャネルを割り当てるが,隣接する他の基地局B2~B7のI測定結果やチャネル割り当て結果の情報は入手せず,隣接セルC2~C7との間でのチャネル割り当て調整は行わないものと考えられる。 なぜなら,このような場合に,ACAプロセッサを有する基地局B1が,他の基地局B2~B7からI測定結果やチャネル割り当て結果の情報を収集するという技術思想も,その手段も,乙B1には何らの記載も示唆もないからである。 (イ) ACAプロセッサがMSCに設けられる場合には,MSCは基地局B1~B10全体のチャネル割り当て結果を把握することができ,基地局B1と基地局B2の管轄するセル(セルC1とセルC2)間でのチャネル割り当ての調整を行うことができる。 しかし,MSCが,その管轄する基地局B1~B10以外の他のMSCの管轄する基地局のチャネル割り当て結果の情報を入手するという技術思想も,その手段も,乙B1には何らの記載も示唆もないから,MSCは,自らの管轄するセルC1~C10内のチャネル割り当てについては,近隣セル(C1にとってのC2~C7)のチャネル割り当て結果を考慮してチャネル割り当てを調整することができるが,他のMSCの管 轄する近隣セルとの調整は行わないと考えられ 割り当てについては,近隣セル(C1にとってのC2~C7)のチャネル割り当て結果を考慮してチャネル割り当てを調整することができるが,他のMSCの管 轄する近隣セルとの調整は行わないと考えられる。 したがって,ACAプロセッサが基地局ごとに設けられる場合,ACAプロセッサがMSCに設けられる場合におけるMSCの役割を各基地局が果たしたとしても,各基地局は,他の基地局が管轄する近隣セルとの調整は行わないと考えられる。 (ウ) 被告は,乙B1発明において,基地局は,近隣セルとの干渉を考慮することが開示されているのであるから,基地局が,他の基地局により使用されているチャネルに関する情報を,他のエンティティ(例えば,MSCなど,各基地局の上位に配置されその基地局を制御するエンティティ等)を介してにせよ,当該他の基地局から収集することが開示されている,と主張する(被告準備書面(2)24~25頁,被告準備書面(6)8頁,被告準備書面(18)12~14頁)。 しかし,乙B1には,ACAプロセッサを基地局に設けた場合に,その基地局が他の基地局から当該他の基地局のチャネル割り当て結果その他の情報を収集する手段について何らの記載もないから,乙B1におけるセル間調整に関する記載は,MSCが基地局B1~B10を制御する場合についての記載と考えられ,基地局がそれぞれACAプロセッサを有する場合には適用がないものと認めるのが相当である。 (エ) そうすると,乙B1発明においてACAプロセッサを基地局B1~B10にそれぞれ設けた場合,基地局は「少なくとも一つの他の基地局から収集されたOFDMAチャネル情報に基づいて……チャネル割り当てを選択」(構成要件1-1C)するものではなく,「前記少なくとも一つの他の基地局と協働して……チャネル割り当てを提 一つの他の基地局から収集されたOFDMAチャネル情報に基づいて……チャネル割り当てを選択」(構成要件1-1C)するものではなく,「前記少なくとも一つの他の基地局と協働して……チャネル割り当てを提供する」(構成要件1-1D)こともない。 オ相違点2に係る構成が他の公知文献に記載されていないこと(ア) 以上のとおり,乙B1に開示された発明のうち,①MSCがACA プロセッサを有する構成,②基地局B1のみがACAプロセッサを有する構成,③基地局B1~B10がそれぞれACAプロセッサを有する構成,のいずれについても,「前記少なくとも一つの他の基地局と協働して……チャネル割り当てを提供する」(構成要件1-1D)構成が開示されているとはいえない。 そこで,かかる構成が副引例に開示されているか,開示されているとした場合に当業者が組合せを容易に想到できるか,検討する。 (イ) 乙B16には,自身のものではない基地局からチャネル(チャネル9)を借用しようとする基地局(借用局)が隣接基地局に 「チャネル9がアイドルであるか?」を尋ね,隣接基地局全ての返事が肯定である場合は,チャネル9を借用して自局の移動機に割り当てるという技術が開示されている。 しかし,乙B16に「前記少なくとも一つの他の基地局と協働して……チャネル割り当てを提供する」(構成要件1-1D)構成が明示的に開示されているものではなく,開示されているに等しいとも認められない。 したがって,乙B16に,相違点2に係る構成が記載されているとはいえない。 (ウ) 乙B21は,乙B1と同一の出願人による,乙B1より前の出願に係る公開特許公報であり,乙B1と同様のロジックを有する「ACA処理部」を有するが,「図示する実施例では,ACA処理部はMSC内に配置されている。 ,乙B1と同一の出願人による,乙B1より前の出願に係る公開特許公報であり,乙B1と同様のロジックを有する「ACA処理部」を有するが,「図示する実施例では,ACA処理部はMSC内に配置されている。ACA処理部はシステムの基地局内に配置することもできる。」との記載があり(乙B21・21頁1~3行),「例えば,副搬送波は,それらの使用が近隣セルの送信にどのような影響を及ぼすかに基づいて割り当てることができた。最小干渉M副搬送波の一つが近隣セルで使用される場合には,副搬送波は使用されないことがある。」 とのセル間調整に関する記載がある(乙B21・23頁3~6行)。 しかし,乙B21に記載された発明のうち,①MSCがACA処理部を有する構成,②基地局B1のみがACA処理部を有する構成,③基地局B1~B10がそれぞれACA処理部を有する構成,のいずれについても,「前記少なくとも一つの他の基地局と協働して……チャネル割り当てを提供する」(構成要件1-1D)構成が開示されているといえないことは,乙B1について判断したのと同様である。 したがって,乙B21にも,基地局が「少なくとも一つの他の基地局と協働して……チャネル割り当てを提供する」(構成要件1-1D)技術は開示されていないから,乙B1発明に乙B21の技術を組み合わせても,本件発明1-1の構成に到達することはない。 (エ) 乙B79~84には,基地局ないし基地局コントローラ(BSC)がチャネルの割り当てを行う技術が開示されているが,基地局が「少なくとも一つの他の基地局と協働して……チャネル割り当てを提供する」(構成要件1-1D)技術は開示されていない。 したがって,乙B1発明にこれらの公知文献の技術を組み合わせても,本件発明1-1の構成に到達することはない。 カ以上によ ネル割り当てを提供する」(構成要件1-1D)技術は開示されていない。 したがって,乙B1発明にこれらの公知文献の技術を組み合わせても,本件発明1-1の構成に到達することはない。 カ以上によれば,相違点2に係る構成は,当業者が容易に想到できるものではない。 (5) 小括以上によれば,①本件発明1-1と乙B1発明には上記の相違点1・2が存在するから,本件発明1-1が乙B1発明から新規性を欠くとはいえず,②本件発明1-1と乙B1発明との相違点2に係る構成は容易想到とはいえないから,本件発明1-1は,乙B1発明から進歩性を欠くともいえない。 7 争点3-2(本件特許1の新規性・進歩性違反の有無2:乙B16を主引例 とするもの)について(1) 乙B16発明特開2000-78651号公報(乙B16)には,以下の発明(以下「乙B16発明」という。)が開示されている(乙A9・43頁)。 直交周波数分割多重(OFDM)も含まれる時分割多元アクセス(TDMA)を採用するセルラ電話システムである無線通信網において,チャネルを複数の基地局に,互いに干渉する基地局によって同一のチャネルが同時に用いられるのを禁止するような規則に従って割り当てるステップと,複数のチャネルを前記複数の基地局の少なくとも一つの基地局に,前記規則に従って再割り当てするステップを含み,前記再割り当てするステップが,少なくとも一つの隣接基地局が前記基地局にメッセージを発行することで,再割り当てのために空いているチャネルを識別し,空いているものとして識別されたチャネルから,一つあるいは複数のチャネルを再割り当てのために選択し,少なくとも一つのチャネルを前記基地局に前記隣接基地局から借用して再割り当てするステップを含み,前記割り当てられた 別されたチャネルから,一つあるいは複数のチャネルを再割り当てのために選択し,少なくとも一つのチャネルを前記基地局に前記隣接基地局から借用して再割り当てするステップを含み,前記割り当てられたチャネルが,前記基地局自身のセットの各移動機に割り当てられることで,前記基地局から前記移動機への下りリンクチャネルを構成する,又は前記移動機から前記基地局への上りチャネルを構成する,セルラ電話システムである無線通信網。 (2) 本件発明1-1と乙B16発明の対比本件発明1-1と乙B16発明は,以下の点で一致し,以下の点で相違する(乙A9・44~45頁)。 (一致点)直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)を使用して,それぞれが複数の基地局のうちの一つの基地局と通信する複数の加入者を含んでおり, 前記基地局は,基地局と複数の加入者との間での多重アクセスと 情報交換とを調整するためのロジックを有し,該ロジックは,複数のOFDMAトラフィックチャネル候補から一組のOFDMAトラフィックチャネルを選択し,そして,前記複数の加入者のうちの複数に対して結合OFDMAチャネル割り当てを提供することを特徴とするセルラー・ネットワーク。 (相違点)本件発明1-1は,「複数の加入者から収集されたフィードバックOFDMAチャネル情報及び少なくとも一つの他の基地局から収集されたOFDMAチャネル情報に基づいて,複数のOFDMAトラフィックチャネル候補から一組のOFDMAトラフィックチャネルを選択し,そして,前記少なくとも一つの他の基地局と協働して前記複数の加入者のうちの複数に対して結合OFDMAチャネル割り当てを提供すること」とするものであるのに対して,乙B16発明はそのような構成を有しない点。 (3) 相違点について乙B16に「前記少なくと 入者のうちの複数に対して結合OFDMAチャネル割り当てを提供すること」とするものであるのに対して,乙B16発明はそのような構成を有しない点。 (3) 相違点について乙B16に「前記少なくとも一つの他の基地局と協働して……チャネル割り当てを提供する」(構成要件1-1D)構成が開示されておらず,本件訴訟で提出された他の公知文献にもそのような構成が開示されていないことは,上記6で判断したとおりである。 したがって,その余の点について判断するまでもなく,相違点に係る構成は,当業者が容易に想到できるものではない。 (4) 小括以上によれば,①本件発明1-1と乙B16発明には上記相違点が存在するから,本件発明1-1が乙B16発明から新規性を欠くとはいえず,②本件発明1-1と乙B16発明との相違点に係る構成は容易想到とはいえないから,本件発明1-1は,乙B16発明から進歩性を欠くともいえない。 8 争点3-3(本件特許1の新規性・進歩性違反の有無2:乙B21を主引例 とするもの)について(1) 乙B21発明特表平11-508417号公報(乙B21)には,以下の発明(以下「乙B21発明」という。)が開示されている(乙B85・28~33頁)。 直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)を使用して,移動局交換局(MSC)及びそれぞれが複数の基地局のうちの一つの基地局と通信する複数の移動局を含んでおり,前記MSCは,基地局と複数の移動局との間での多重アクセスと情報交換とを調整するためのACA処理部を有し,該ACA処理部は,複数の移動局から収集されたフィードバックOFDMA副搬送波I測定結果及び少なくとも一つの他の基地局から収集されたOFDMA副搬送波I測定結果に基づいて,N個の副搬送波候補から一組のM個の副 部は,複数の移動局から収集されたフィードバックOFDMA副搬送波I測定結果及び少なくとも一つの他の基地局から収集されたOFDMA副搬送波I測定結果に基づいて,N個の副搬送波候補から一組のM個の副搬送波を選択し,そして,複数の移動局のうちの複数に対して,近隣セルで使用されないOFDMA副搬送波を用いるようにして,基地局と通信する複数の加入者に対してチャネル組をそれぞれ割り当てるようにして,かつ,基地局と通信する加入者のアップリンク及びダウンリンクに対して異なるチャネルの組を割り当てるようにして,OFDMA副搬送波サブセット割り当てを提供することを特徴とするセルラー・ネットワーク。 (2) 本件発明1-1と乙B21発明の対比本件発明1-1と乙B21発明は,以下の点で一致し,以下の点で相違する。 (一致点)直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)を使用して,それぞれが複数の基地局のうちの一つの基地局と通信する複数の加入者を含んでお り,基地局と複数の加入者との間での多重アクセスと情報交換とを調整するためのロジックを有し,該ロジックは,複数の加入者から収集されたフィードバックOFDMAチャネル情報及び少なくとも一つの他の基地局から収集されたOFDMAチャネル情報に基づいて,複数のOFDMAトラフィックチャネル候補から一組のOFDMAトラフィックチャネルを選択し,そして,前記複数の加入者のうちの複数に対して結合OFDMAチャネル割り当てを提供することを特徴とするセルラー・ネットワークである点。 (相違点)本件発明1-1は「基地局と複数の加入者との間での多重アクセスと情報交換とを調整するためのロジック」を基地局が有し,複数の加入者から収集されたフィードバックOFDMAチャネル情報だけでなく,そのOFDMAフィードバ 基地局と複数の加入者との間での多重アクセスと情報交換とを調整するためのロジック」を基地局が有し,複数の加入者から収集されたフィードバックOFDMAチャネル情報だけでなく,そのOFDMAフィードバックチャネル情報及び「少なくとも一つの他の基地局から収集されたOFDMAチャネル情報」に基づいて,トラフィックチャネルを選択し,「そして,前記少なくとも一つの他の基地局と協働して前記複数の加入者のうちの複数に対して結合OFDMAチャネル割り当てを提供する」とするのに対して,乙B21発明はそのような構成を有しない点。 (3) 相違点について乙B21に「前記少なくとも一つの他の基地局と協働して……チャネル割り当てを提供する」(構成要件1-1D)構成が開示されておらず,本件訴訟で提出された他の公知文献にもそのような構成が開示されていないことは,上記6で判断したとおりである。 したがって,その余の点について判断するまでもなく,相違点に係る構成は,当業者が容易に想到できるものではない。 (4) 小括以上によれば,①本件発明1-1と乙B21発明には上記相違点が存在 するから,本件発明1-1が乙B21発明から新規性を欠くとはいえず,②本件発明1-1と乙B21発明との相違点に係る構成は容易想到とはいえないから,本件発明1-1は,乙B21発明から進歩性を欠くともいえない。 9 争点3-4(本件特許1の明確性違反の有無)について(1) 被告は,本件発明1-1の「フィードバックOFDMAチャネル情報」,「OFDMAチャネル情報」,「OFDMAトラフィックチャネル」及び「結合OFDMAチャネル割り当て」の文言が不明確であると主張する。 しかし,「フィードバックOFDMAチャネル情報」は,加入者から基地局にフィードバックされる「OFD ラフィックチャネル」及び「結合OFDMAチャネル割り当て」の文言が不明確であると主張する。 しかし,「フィードバックOFDMAチャネル情報」は,加入者から基地局にフィードバックされる「OFDMAチャネル情報」であり,「OFDMAチャネル情報」は,OFDMA通信において使用されるチャネル(伝送路)の状態を表す情報であり,「OFDMAトラフィックチャネル」とは,OFDMA通信において使用されるトラフィックチャネルであり,「結合OFDMAチャネル割り当て」とは,OFDMA通信において複数のサブキャリアからなるチャネルの組を割り当てることであることは,当業者が技術常識に基づいて理解できるものと認められる。 したがって,これらの文言が不明確であるとはいえない。 (2) 被告は,「複数の加入者から収集されたフィードバックOFDMAチャネル情報及び少なくとも一つの他の基地局から収集されたOFDMAチャネル情報に基づいて」という文言は,「複数のOFDMAトラフィックチャネル候補から一組のOFDMAトラフィックチャネルを選択し」という文言のみを修飾しているのか,又は,「複数のOFDMAトラフィックチャネル候補から一組のOFDMAトラフィックチャネルを選択し」という文言及び「前記少なくとも一つの他の基地局と協働して前記複数の加入者のうちの複数に対して結合OFDMAチャネル割り当てを提供する」と いう文言の両方を修飾しているのかが不明確である,と主張する。 しかし,「複数の加入者から収集されたフィードバックOFDMAチャネル情報及び少なくとも一つの他の基地局から収集されたOFDMAチャネル情報に基づいて」という文言が,直後の「複数のOFDMAトラフィックチャネル候補から一組のOFDMAトラフィックチャネルを選択し」という文言のみを修飾 つの他の基地局から収集されたOFDMAチャネル情報に基づいて」という文言が,直後の「複数のOFDMAトラフィックチャネル候補から一組のOFDMAトラフィックチャネルを選択し」という文言のみを修飾し,「そして」という接続詞を挟んだ「……提供する」の文言を修飾しないことは,当業者が技術常識に基づいて理解できるものと認められる。 したがって,上記文言が不明確であるとはいえない。 (3) 被告は,「一組のOFDMAトラフィックチャネルを選択」することと,「結合OFDMAチャネル割り当てを提供する」こととが,互いに全く独立の動作を規定したものであるのか,又は,互いに関係のある動作を規定したものであるのか不明確である,と主張する。 そもそも,本件発明1-1の構成要件充足性の判断に当たって,「一組のOFDMAトラフィックチャネルを選択」することと,「結合OFDMAチャネル割り当てを提供する」こととの関係が不明確であったとしても,発明の外延が不明確となるものではない。 なお,チャネルを割り当てるためには,割り当てるチャネルをあらかじめ選択し,その選択されたチャネルを使用可能とする(提供する)必要があることは技術常識であるから(乙A9・8頁),構成要件1-1Dで「提供」する「結合OFDMAチャネル割り当て」が,構成要件1-1Cで「一組のOFDMAトラフィックチャネルを選択」した結果に基づくものであることは,当業者が技術常識に基づいて理解できるものと認められる。 したがって,いずれにせよ,上記文言が不明確であるとはいえない。 10 争点3-5(本件特許1のサポート要件違反,簡潔性要件違反,実施可能 要件違反の有無)について(1) 被告は,「複数の加入者から収集されたフィードバックOFDMAチャネル情報及び少なくとも一つの他の基 本件特許1のサポート要件違反,簡潔性要件違反,実施可能 要件違反の有無)について(1) 被告は,「複数の加入者から収集されたフィードバックOFDMAチャネル情報及び少なくとも一つの他の基地局から収集されたOFDMAチャネル情報に基づいて」「複数のOFDMAトラフィックチャネル候補から一組のOFDMAトラフィックチャネルを選択」すること(構成要件1-1C)は,本件特許1の明細書の発明の詳細な説明に記載されていない,と主張する。 しかし,本件特許1の明細書の【発明の詳細な説明】には,基地局が複数の加入者からフィードバックOFDMAチャネル情報を収集すること(段落【0017】【0019】【0020】【0033】【0042】【0050】)が記載されているほか,基地局が他の基地局とOFDMAチャネル情報を交換することが記載されており(段落【0026】【0052】),段落【0052】には,「結合マルチセルトラフィックチャネル割り当てを可能にするために,各セル内の基地局は,プロトコル及び上述の方式を利用して,アップリンク及びダウンリンクのトラフィックチャネル推定を行う。更に,図9に示すように,隣接する基地局は,基地局制御装置又は基地局間の専用リンクを介して,このような情報を交換する。 トラフィックチャネル状態,割り当て表,並びに隣接するセルのアクセス中の全加入者のQoS要件は,トラフィックチャネル割り当てを行う際に明らかにされることができる。例えば,2つの基地局が,異なるセル内で互いに近い2人の加入者に,チャネル1から10まで(これらの加入者に対して高い利得を有するチャネルがある)のいずれかを割り当てることができると分かっている場合,一方の基地局は,チャネル1から5までを加入者に割り当てることができ,他方の基地局は,チャネル6から1 に対して高い利得を有するチャネルがある)のいずれかを割り当てることができると分かっている場合,一方の基地局は,チャネル1から5までを加入者に割り当てることができ,他方の基地局は,チャネル6から10までを加入者に割り当てることができる。」と記載されている。 これらの記載に接した当業者は,基地局が,「上述の方式」すなわち加 入者からのフィードバックOFDMAチャネル情報に基づいて推定した自セルの加入者の「トラフィックチャネル推定」と,隣接する基地局から交換された隣接セルの加入者の「トラフィックチャネル推定」とに基づいて,一方の基地局は,チャネル1から5までを選択してこれを提供することにより,チャネル1から5までを自セルの加入者に割り当てることが記載されていると理解することができる。 被告は,段落【0052】は構成要件1-1Dに対応する構成を開示するものであり,この段落が構成要件1-1C及び構成要件1-1Dの両方の構成を開示するものであるとすると,構成要件1-1C及び構成要件1-1Dは全体として冗長な記載を形成していることになり,本件特許1の請求項1の記載は特許法36条6項3号に規定する要件を満たさない,と主張する。 しかし,チャネルの割り当てが,チャネルの選択と選択されたチャネルの提供の双方の処理を必要とすることは技術常識であり(乙A9・12頁),構成要件1-1Cが前者について,構成要件1-1Dが後者について規定し,【発明の詳細な説明】の段落【0052】が両者についてまとめて記載しているとしても,冗長な記載であるとはいえず,サポート要件(特許法36条6項1号)及び簡潔性要件(同条3号)を満たさないともいえない。 そうすると,構成要件1-1Cは,本件特許1の明細書の【発明の詳細な説明】に記載されており,本件発明1- ポート要件(特許法36条6項1号)及び簡潔性要件(同条3号)を満たさないともいえない。 そうすると,構成要件1-1Cは,本件特許1の明細書の【発明の詳細な説明】に記載されており,本件発明1-1がサポート要件及び簡潔性要件を欠くとはいえない。 (2) 被告は,構成要件1-1Dは,「少なくとも一つの他の基地局と協働して……結合OFDMAチャネル割り当てを提供する」と規定しており,「少なくとも一つの他の基地局」という文言は「一つの基地局」又は「複数の基地局」を意味するところ,「1つの他の基地局と協働」する構成は 段落【0052】に開示されているとしても,「2つ以上の他の基地局と協働」する構成は本件特許1の明細書の【発明の詳細な説明】に開示されておらず,当業者が実施可能な程度に明確かつ十分に記載したものでもない,と主張する。 しかし,本件特許1の明細書の段落【0052】には,2つの基地局が,異なるセル内で互いに近い2人の加入者にチャネル1から10までのいずれかを割り当てる場合に,2つの基地局が協働して,第1の基地局はチャネル1から5までを,第2の基地局はチャネル6から10までを,それぞれ加入者に割り当てる構成を開示している。 このような記載に接した当業者は,3つの基地局が,異なるセル内で互いに近い3人の加入者にチャネル1から10までのいずれかを割り当てる場合に,3つの基地局が協働して(例えば,本件特許1の図面【図9】でいう基地局BS1が,他の2つの基地局BS2,BS4と協働して),第1の基地局(BS1)はチャネル1から3までを,第2の基地局(BS2)はチャネル4から6までを,第3の基地局(BS4)はチャネル7から10までを,それぞれ加入者に割り当てることができることを,段落【0052】の記載から容易に理解することができ 第2の基地局(BS2)はチャネル4から6までを,第3の基地局(BS4)はチャネル7から10までを,それぞれ加入者に割り当てることができることを,段落【0052】の記載から容易に理解することができる。 そうすると,本件特許1の明細書の【発明の詳細な説明】には,2つ以上の基地局と協働する構成が明示的には記載されていないとしても,明細書に記載された他の1つの基地局と協働する構成の課題解決原理は,他の2つ以上の基地局と協働する構成にも拡張可能であることが当業者に明らかであるから,本件発明1-1がサポート要件及び実施可能要件を欠くとはいえない。 11 争点5-1(間接侵害の成否)について(1) 以上によれば,被告製品を使用した対象ネットワーク478は本件発明1-1の技術的範囲に属し,本件発明1-1についての特許に被告主張の 無効理由があるともいえない。 (2) 原告は,被告製品は,LTE規格に準拠した通信をするための専用機器であるから,対象ネットワーク478を生産するためにのみ用いられる物である,と主張する(訴状23頁,原告第1準備書面34頁,原告第2準備書面42頁)。 しかし,本件発明1-1の構成要件充足性の基礎とした事実のうち,基地局がRNTPを交換すること,RNTPをRB割り当てに使用することは,LTE規格上,考慮することができる(may)オプションであって,使用しなければならない(should)必須の要請ではない(甲A17の1・2,甲A21,乙A13・171頁,弁論の全趣旨〔原告第9準備書面5頁,被告準備書面(14)4~6頁〕)。 そうすると,被告製品を使用した対象ネットワーク478は現に基地局間でRNTPを交換し,RBの割り当てに使用していると認められるとしても,被告製品を,基地局間でRNTPを交換しないネッ 頁〕)。 そうすると,被告製品を使用した対象ネットワーク478は現に基地局間でRNTPを交換し,RBの割り当てに使用していると認められるとしても,被告製品を,基地局間でRNTPを交換しないネットワークのための非侵害用途に使用することが,経済的,商業的,実用的な用途としてあり得ないとまではいえない。 そうすると,被告製品が,対象ネットワーク478(RNTPを交換し,RB割り当てに使用するネットワーク)の生産にのみ用いられる物であるとまでは認められない。 (3) 原告は,被告製品は,本件発明1の課題解決に不可欠なものであると主張する(原告第1準備書面34頁,原告第2準備書面42頁)。 被告製品は,対象ネットワーク478の生産に用いる物であって,「日本国内において広く流通しているもの」に当たらない。 被告製品は,対象ネットワーク478に不可欠な基地局施設においてLTE通信に用いられるものであり,対象ネットワーク478が本件発明1-1の課題を解決するのに不可欠なものと認められる。 被告は,遅くとも本件訴状が送達された平成24年11月22日以降,本件発明1-1が特許発明であること,被告製品がその発明の実施に用いられることを知ったものと認められる。 したがって,被告が,訴状送達日である平成24年11月22日以降,被告製品の生産,譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為は,特許法101条2号の間接侵害に当たる。 (4) 原告は,別紙1物件目録記載4の「B8300A」「BS8906」「R8924DT」(被告製品)のほか,同目録記載1ないし3の製品についても本件発明1-1の間接侵害を主張している。 同目録記載1の製品は,被告製品のうち「B8300A」及び「BS8906」を含む「BBUZXSDR シリーズ」であるが 録記載1ないし3の製品についても本件発明1-1の間接侵害を主張している。 同目録記載1の製品は,被告製品のうち「B8300A」及び「BS8906」を含む「BBUZXSDR シリーズ」であるが,同シリーズの製品全てが「B8300A」及び「BS9906」と同じ構成を有していると認めるに足りる証拠はない。被告は,「BBUZXSDR シリーズ」には,GSMやUMTSといった(LTE規格とは別個の)通信規格に準拠した製品も含まれる旨主張している(答弁書2頁)。 同目録記載2の製品は,被告製品のうち「R8924DT」を含む「RRUZXSDR シリーズ」であるが,同シリーズの製品全てが「R8924DT」と同じ構成を有していると認めるに足りる証拠はない。 同目録記載3の製品は,「RRUZXSDR シリーズ」に含まれる「ZXTRR8928D」とするLTEワイヤレス基地局施設である。 ZTE Corporationのウェブサイト(甲A5)によれば,「ZXTRR8928D」は「TD-LTE」の製品として記載されている。 被告のウェブサイト(甲A6)には,被告製品は高度化XGP(AXGP)で使用される基地局であり,「TD-LTEに適用される主要アンテナ技術に加え,セル間の協調による干渉調整機能(ICIC)……などの新しい機能を提供します。」と記載されていることからすれば,「TD- LTE」の製品である「ZXTRR8928D」が,被告製品と同様にICIC機能を有し,RNTPを交換しているとは認められない。 以上によれば,別紙1物件目録記載1ないし3の製品は,本件発明1-1の技術的範囲に属する対象ネットワーク478に使用されるものとは認められず,これらの譲渡等が本件発明1-1の間接侵害を構成するとは認められない。 目録記載1ないし3の製品は,本件発明1-1の技術的範囲に属する対象ネットワーク478に使用されるものとは認められず,これらの譲渡等が本件発明1-1の間接侵害を構成するとは認められない。 12 争点5-2(差止めの必要性)について以上によれば,被告が,訴状送達日である平成24年11月22日以降,被告製品の生産,譲渡等(譲渡及び貸渡しをいう。特許法2条3項1号)若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為は,特許法101条2号の間接侵害に当たる。 被告が,被告製品のうち「B8300A」及び「BS8906」の輸入販売を行っていること,「R8924DT」の輸入販売を行ったことがあることは争いがないから,原告は,被告に対し,特許法100条1項,101条2号に基づき,被告製品を輸入し,譲渡し,貸し渡し,又は,譲渡若しくは貸渡しの申出をすることを差し止める必要性があると認められる。 13 結論以上によれば,原告の請求は,別紙1物件目録記載4の被告製品について輸入等の差止めを求める限度で理由があるから認容し,別紙1物件目録記載1ないし3の製品について輸入等の差止めを求める部分は理由がないから棄却し,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条,64条ただし書を適用して,主文のとおり判決する(仮執行宣言の申立てはない。)。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 嶋末和秀 裁判官 西村康夫 裁判官 本井修平 別紙1物件目録 1 BBUZXSDR シリーズとするLTEワイヤレス基地局施設 裁判官 本井修平 別紙1物件目録 1 BBUZXSDRシリーズとするLTEワイヤレス基地局施設 2 RRUZXSDRシリーズとするLTEワイヤレス基地局施設 3 ZXTRR8928DとするLTEワイヤレス基地局施設 4 B8300A,BS8906,R8924DTとするLTEワイヤレス基地局施設

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