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ホーム›裁判情報一覧›昭和39(オ)1158 否認権行使による弁済金返還請求

昭和39(オ)1158 否認権行使による弁済金返還請求

裁判所

昭和41年4月8日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 名古屋高等裁判所 昭和38(ネ)376

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2,394 文字

主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。理由 上告人および同代理人守田利弘の上告理由第一点について。論旨は、原判決が破産法一〇四条三号本文の趣旨を同条一号に関しても拡張類推して、破産債権者の破産者に対する債務負担が破産宣告前であつても、破産債権者が支払停止または破産申立のあつたことを知つて負担するに至つた場合には、その破産債権をもつて右債務との相殺をすることは許されないとしたことは正しいけれども、同条三号但書の趣旨までも本件の場合に類推適用して破産債権者たる被上告銀行の本件相殺を有効としたことは誤りであるという。しかし、破産法一〇四条一号は、破産債権者が破産宣告の後破産財団に対して債務を負担した場合の相殺を許さない旨規定しているだけであつて、破産宣告前において破産債権者が支払停止または破産申立のあつたことを知つて破産者に対する債務を負担するに至つた場合の相殺をも許さないとする規定は存しないのであるから、同法九八条の原則に従つて、破産債権者は、破産宣告の当時すでに破産者に対して負担する債務と破産債権との相殺を破産手続に依らず行いうるものといわねばならない。同法一〇四条三号本文が「破産者ノ債務者ガ支払ノ停止又ハ破産ノ申立アリタルコトヲ知リテ破産債権ヲ取得シタルトキ」には相殺をすることができない旨規定しているのは、破産宣告前であつても、支払停止または破産申立があつた後のいわゆる危殆時機においては、すでに破産債権の実価は下落するのが通常であるところ、破産者に対する債務を負担している者が右時機において実価下落の破産債権を取得して相殺に供し、もつて、不当に有利にその債務の消滅を計はることを許すのは、- 1 -破産法が本来考えた相殺許容の趣旨を逸脱するものといわねば 負担している者が右時機において実価下落の破産債権を取得して相殺に供し、もつて、不当に有利にその債務の消滅を計はることを許すのは、- 1 -破産法が本来考えた相殺許容の趣旨を逸脱するものといわねばならず、しかも、右の場合の破産債権の取得は、破産者の加担なしに行われうるから、否認権をもつてこれに対処することができない点を考慮したことによるものと解せられる。 考えた相殺許容の趣旨を逸脱するものといわねば 負担している者が右時機において実価下落の破産債権を取得して相殺に供し、もつて、不当に有利にその債務の消滅を計はることを許すのは、- 1 -破産法が本来考えた相殺許容の趣旨を逸脱するものといわねばならず、しかも、右の場合の破産債権の取得は、破産者の加担なしに行われうるから、否認権をもつてこれに対処することができない点を考慮したことによるものと解せられる。これに対し、破産債権をすでに有する者がそれとの相殺を企図して破産者に対する債務を負担しようとするには、破産者との間に新たに債務負担行為をする場合および債権者たる破産者も加つて債務引受の合意がなされる場合は勿論、債務者と引受人とだけで債務引受の合意がなされる場合にあつても、少くとも債権者たる破産者の承認を要するから、破産者の加担なしにこれに対する債務の負担は考えられないわけであつて、破産債権を有する者が支払停止または破産申立のあつたことを知りながら破産者に対する債務を負担する場合には、右債務を負担するに至つた行為自体について否認権行使が考えられる。この点の相違を考えて、法は、後者の場合に一〇四条三号のような規定の必要を認めなかつたものと解するのを相当とする。従つて、右後者の場合に対処して同旨の規定が設けられていないことについて、法の不用意をいうのはあたらないし、右一〇四条三号の拡張類推を考えるのは、法の趣旨とするところに合致しないものといわねばならない。よつて、右一〇四条三号の趣旨を前示後者の場合にも類推できるとした原判決の法律解釈適用は誤つているといわねばならない。しかし、原判決は、本件事実関係が同条同号但書の類推適用を受ける場合に該当するとして、結局被上告銀行の本件相殺を許容し、上告人の本訴請求を棄却しているのであるから、原判決は結論において正当ということができて、前示違法は、判 関係が同条同号但書の類推適用を受ける場合に該当するとして、結局被上告銀行の本件相殺を許容し、上告人の本訴請求を棄却しているのであるから、原判決は結論において正当ということができて、前示違法は、判決の結果に影響を及ぼさないことに帰する。その余の論旨は、本件に同条同号但書の類推適用が可能であることを仮定して、原判決の違法をいうものであるが、右類推適用の考えられないことは前叙のとおりであるから、同論旨は採用するに由ない。 の類推適用を受ける場合に該当するとして、結局被上告銀行の本件相殺を許容し、上告人の本訴請求を棄却しているのであるから、原判決は結論において正当ということができて、前示違法は、判決の結果に影響を及ぼさないことに帰する。その余の論旨は、本件に同条同号但書の類推適用が可能であることを仮定して、原判決の違法をいうものであるが、右類推適用の考えられないことは前叙のとおりであるから、同論旨は採用するに由ない。- 2 -同第二点について。破産債権者のなした相殺権行使自体は、破産者の行為を含まないから、破産法七二条各号の否認権の対象となりえないと解するのを相当とする(昭和三九年(オ)第一二一六号同四〇年四月二二日第一小法廷判決、最高裁判所裁判集民事七八号七三九頁参照)。従つて、これと異る見解に基づく所論は、採用できない。よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官奥野健一裁判官山田作之助裁判官草鹿浅之介裁判官城戸芳彦裁判官石田和外- 3 -

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