【DRY-RUN】主 文 原判決を破棄する。 本件を東京地方裁判所に差し戻す。 理 由 本件控訴の趣意は末尾添附の弁護人別府祐六名義の控訴趣意書記載のとおりであ る。
主文 原判決を破棄する。 本件を東京地方裁判所に差し戻す。 理由 本件控訴の趣意は末尾添附の弁護人別府祐六名義の控訴趣意書記載のとおりである。 売春防止法第十二条は「人を自己の占有し、若しくは管理する場所又は自己の指定する場所に居住させ、これに売春をさせることを業とした者は十年以下の懲役及び三十万円以下の罰金に処する」と規定し、売春に従事する者をして、自己の占有し若しくは管理する場所又は指定する場所に居住させることを要件としているのであるが、その趣旨とするところは売春に従事する者の居住の場所に対しある種の支配関係を設立することによりこれをしてその居住場所を転ずることを困難ならしめ、よつて自己の支配より脱出することを防止するが<要旨>如き方法の下にこれをして売春させることを業とする者を特に重く処罰したものと解せられるのである。 従つ</要旨>て売春をさせることを業とする者が売春に従事する者の居住場所を知り、これを電話等の連絡方法によつて容易に呼び出し、売春させることができる地位にあるとしても、その居住場所は売春に従事する者の任意に定めた場所であり、その居住場所に関し何等の支配関係も及ぼし得ない場合には売春防止法の他の法条に該当することあるは格別同法第十二条によつて処断し得ないものといわなければならない。これを本件についてみるに原判決は被告人が豊島区ab丁目c番地においてバー「A」を経営し、妻Bと共謀のうえ別紙一覧表のとおり昭和三十三年四月五日頃から同月二十日頃までの間C及びDの両名を、右「A」外一ケ所に居住させ、前記「A」二階において不特定多数を相手方として性交させ、その対価を折半取得し、以て人を自己の占有又は指定する場所に居住させ、これに売春をさせることを業としたものであると認定し 外一ケ所に居住させ、前記「A」二階において不特定多数を相手方として性交させ、その対価を折半取得し、以て人を自己の占有又は指定する場所に居住させ、これに売春をさせることを業としたものであると認定し、売春防止法第十二条により処断し、その別表一覧表にCの居住場所は新宿区de丁目f番地E荘となつているが、右E荘は被告人としてはその電話番号を知つていてCとの間に容易に連絡をとり得た事実が認められるに止まり、Cの居住場所について売春防止法第十二条が規定しているような支配関係を認めることができないことは所論のとおりである。即ちCの司法警察員及び検察官に対する供述調書をみても、その他記録に存するすべての証拠を検討しても、Cは昭和三十二年十二月頃より内縁の夫Fと右E荘の一室に同棲していたというのであつて、同人が被告人経営のバー「A」に於て売春に従事するに至る数ケ月前よりE荘に居住していたと認められるのみならず、被告人がE荘を占有若しくは管理していたとか又は同所を指定して右Cに居住させることによつて同人の居住場所に対する支配関係を取得していた事実を認めることはできない。もつともCは昭和三十三年四月五日頃より同月十七日頃まで夜毎に被告人経営の前記「A」に来ており、客の求によつて売春に従事し、Cの来るのが遅い場合は被告人の方から電話をかけて催促していた事実は記録上窺えないではないが、かかる事実のみをもつてしては売春防止法第十二条の規定する要件に合致する行為であると解し得ないのである。然るに原判決が前記のとおり右Cを自己の指定する場所に居住させたものと判示し、その前提の下に同法第十二条をもつて処断したのは、事実を誤認したか、同法第十二条の解釈を誤つた違法が存し、その誤が判決に影響を及ぼすこと明らかであるから論旨は理由がある。 よつて他の論旨についての判断を 提の下に同法第十二条をもつて処断したのは、事実を誤認したか、同法第十二条の解釈を誤つた違法が存し、その誤が判決に影響を及ぼすこと明らかであるから論旨は理由がある。 よつて他の論旨についての判断を省略し刑事訴訟法第三百九十七条第四百条を適用し、原判決を破棄し、本件を原裁判所たる東京地方裁判所に差し戻すべきものとし、主文のとおり判決する。 (裁判長判事加納駿平判事田中盈判事山岸薫一)
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