平成19(行コ)33 場外車券発売施設設置許可処分取消請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成18年(行ウ)第47号)

裁判年月日・裁判所
平成20年3月6日 大阪高等裁判所 公物・公企業など
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判決文本文9,654 文字)

- 1 -主文 原判決を取り消す。 本件を大阪地方裁判所に差し戻す。 事実 及び理由第1控訴の趣旨主文同旨第2控訴人らの請求の趣旨経済産業大臣(以下「大臣」という)が,平成17年9月26日付けで,。 A株式会社に対してした場外車券発売施設「α (大阪市β所在の土地(以下」「」。))(「」本件敷地というを敷地とする施設の設置許可処分以下本件許可という)を取り消す。 。 第3事案の概要 本件は,本件敷地の近隣において,居住し,事業を営み,又は病院等を開設する控訴人らが,本件許可は場外車券発売施設の設置許可要件を満たさない違法なものであると主張して,その取消しを求めた抗告訴訟である。 原判決は,本件許可当時の自転車競技法(以下「法」という)4条2項等。 関連法規が,一般的公益に加えて,場外車券発売施設の周辺地域において居住等する住民等ないし場外車券発売施設の周辺地域に存在する学校その他の文教施設又は病院その他の医療施設の設置者ないしこれらの文教施設に通学する学生,生徒等ないしその保護者等及びこれらの医療施設に入院ないし通院する者等の善良な風俗環境ないし生活環境に係る利益を個々人の個別具体的利益としても保護する趣旨を含むものと解することはできず,控訴人らは,いずれも,本件許可の取消しを求める原告適格を有しないとして,控訴人らの訴えを却下したため,これを不服とする控訴人らが控訴したものである。 なお,原判決を受けた原告49名のうち,24名が控訴し,うち2名が当審で訴えを取り下げた。 - 2 -,,,「」 法令等の定め前提事実争点及び当事者の主張は原判決 事実及び理由 「」()欄第2事案の概要の1及び2原判決6頁13行目から10頁9行目まで並びに第3「争点 ,,,「」 法令等の定め前提事実争点及び当事者の主張は原判決 事実及び理由 「」()欄第2事案の概要の1及び2原判決6頁13行目から10頁9行目まで並びに第3「争点及び当事者の主張」1及び2(10頁16行目から26頁6行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 ,,控訴人らが本件敷地から1000メートル以内の地域に居住し事業を営み又は病院等を開設する住民であることは,当事者間に争いがない。 第4当裁判所の判断 当裁判所は,控訴人らの本件訴えは,原告適格を有するものと認められ,これを否定した原判決は取消しを免れないと判断するものであり,その理由は,以下のとおりである。 ( )行政事件訴訟法9条1項は,取消訴訟の原告適格について,処分の取消 しの訴えは,当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り,提起することができる旨規定するところ,同項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある,。 者は当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきであるそして,同条2項は,処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨 ものというべきであるそして,同条2項は,処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関- 3 -係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきことを規定するところ,当該処分による事業が実施される予定の事業地の周辺に居住する住民のうち,当該事業が実施されることにより,騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は,当該処分の相手方以外の者であっても,当該処分の取消しを求める法律上の利益を有する者として原告適格を有するものと解される(最高裁判所平成17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁。 )( )そこで,上記の見地に立って,控訴人らが本件許可の取消しを求める原 告適格を有するか否かについて検討する。 ア法は,都道府県及び指定市町村(競輪施行者)は,自転車その他の機械の改良及び輸出の振興,機械工業の合理化並びに体育事業その他の公益の増進を目的とする事業の振興に寄与するとともに,地方財政の健全化を図るため,自転車競走(競輪)を行うことができる旨規定し(1条1項,)競輪施行者は,勝者投票券(車券)を発売して競輪を行い,的中者に対して車券の売上金の額の一定の割合に相当する金額を払戻金として交付し,競輪の収益をもって,自転車その他の機械の改 定し(1条1項,)競輪施行者は,勝者投票券(車券)を発売して競輪を行い,的中者に対して車券の売上金の額の一定の割合に相当する金額を払戻金として交付し,競輪の収益をもって,自転車その他の機械の改良及び機械工業の合理化並びに社会福祉の増進,医療の普及,教育文化の発展,体育の振興その他住民の福祉の増進を図るための施策を行うのに必要な経費の財源に充てるよう努めるものとされ(9条,11条,競輪施行者以外の者は,車券を発)売することも,競輪を行うこともできず(1条5項,学生生徒及び未成)年者は,車券を購入し,又は譲り受けることができない(7条の2)旨規定する。 そして,場外車券発売施設を設置しようとする者は,大臣の許可を受け- 4 -ることを要し,大臣は,同許可の申請があったときは,申請に係る施設の位置,構造及び設備が経済産業省令で定める基準に適合する場合に限り,その許可をすることができるものとされている(4条1,2項。 )これを受けて制定された本件許可当時の自転車競技法施行規則(平成14年経済産業省令第97号,以下「規則」という)によると,場外車券。 発売施設の設置の許可を受けようとする者は,許可申請書に,場外車券発売施設付近の見取図(敷地の周辺から1000メートル以内の地域にある学校その他の文教施設及び病院その他の医療施設の位置並びに名称を記載した1万分の1以上の縮尺による図面,場外車券発売施設を中心とする)交通の状況図及び場外車券発売施設の配置図(1000分の1以上の縮尺による図面)を添付することを要するとされ(14条2項,場外車券発)売施設は,学校その他の文教施設及び病院その他の医療施設から相当の距離を有し,文教上又は保健衛生上著しい支障を来すおそれがないこと,入場者数及び必要な設備に応じた適当な広さであること,車券の発 )売施設は,学校その他の文教施設及び病院その他の医療施設から相当の距離を有し,文教上又は保健衛生上著しい支障を来すおそれがないこと,入場者数及び必要な設備に応じた適当な広さであること,車券の発売等の公,,,正かつ円滑な実施に必要な構造施設及び設備を有すること施設の規模構造及び設備並びにこれらの配置は,入場者の利便及び車券の発売等の公正な運営のため適切なものであり,かつ,周辺環境と調和したものであって,大臣が告示で定める基準に適合するものであることとされている(15条1項1号ないし4号。 )大臣が定める上記告示(平成15年経済産業省告示第69号,以下「本件告示」という)は,入場者の用に供する施設等として,入場者の用に。 供するため,適当な数及び広さを有するインフォメーションコーナー,お客様相談所,駐車場等(駐車場は立地条件に応じ場外車券売場周辺の道路交通等に支障を及ぼすことのないよう入場者の自動車等を収容するのに十分な広さであること。自ら設置することが困難である場合には,車券発売中については他の駐車場所有者等との契約により十分な広さの駐車場を確- 5 -保すること)を利用しやすい場所に設けてあることとしている。 。 本件通達(平成15年経済産業省製造産業局長通達)は,規則14条1項及び15条1項の運用等に関し,法4条2項に基づく場外車券発売施設設置許可の基準については,規則15条1項及び本件告示に規定された基準は最低基準を示したものであるから必ず当該基準に適合するよう指導し,許可基準に規定されていない事項についても改善を要すべき箇所があれば,併せて指導して整備改善させること,当該場外車券発売施設の設置場所の属する地域社会との調和を図るため,当該施設が可能な限り地域住民の利便に役立つものとなるよう指導すること,当該場外車券 所があれば,併せて指導して整備改善させること,当該場外車券発売施設の設置場所の属する地域社会との調和を図るため,当該施設が可能な限り地域住民の利便に役立つものとなるよう指導すること,当該場外車券発売施設の設置場所を管轄する警察署,消防署等とあらかじめ密接な連絡を行うとともに,地域社会との調整を十分行うよう指導することとしている。 イ以上のような法・規則の規定,本件告示・本件通達に照らすと,競輪事,,,業は本来賭博及び富くじに関する罪として罰せられるべき行為であり何人も自由に行うことができない事業であるが,立法政策上,自転車等の改良及び輸出の振興等と地方財政の健全化を図ることを目的として,同法の定めによって,その違法性を特に阻却して,都道府県及び指定市町村が公営ギャンブルとして実施することができるものとしたものであると解することができる。 この立法政策からすれば,競輪事業そのものは社会生活に必須の事業ということはできず,法は,自転車等の改良及び輸出の振興等の寄与や地方財政の健全化のほか,賭博及び富くじに関する罪の違法性阻却を目的として,そのための条件を整備したものであるということができ,場外車券発売施設設置に係る大臣の許可は,一般国民が有している本来の自由を回復させる行為ではなく,上記条件を確認した上,広範な裁量をもって,同施設を設置することのできる地位を新たに付与する行為であるといわなければならない。 - 6 -このような観点から,大臣は,申請に係る場外車券発売施設の位置,構造及び設備並びにこれらの配置が規則15条1項1号ないし4号及び本件告示に定める基準に適合する場合に限り,公安上及び競輪事業の運営上適切なものであるとしてその設置を許可することができるとされたものであるとともに,本件通達により,上記許可基準に規定されて 号及び本件告示に定める基準に適合する場合に限り,公安上及び競輪事業の運営上適切なものであるとしてその設置を許可することができるとされたものであるとともに,本件通達により,上記許可基準に規定されていない事項についても,併せて指導して整備改善させ,当該場外車券発売施設の設置場所の属する地域社会との調和を図るため,当該施設が可能な限り地域住民の利便に役立つものとなるよう指導し,管轄する警察署,消防署等とあらかじめ密接な連絡を行い,地域社会との調整を十分行うよう指導することとして,場外車券発売施設の設置許可がされた場合に,当該施設に賭博及び富くじに相当する車券を購入する目的で広範な地域から不特定多数の者が参集し,このように来集する者らを通じて射幸的な雰囲気が当該施設の周辺地域に伝播し,その善良な風俗に悪影響を及ぼすおそれがあることを防止し,また,当該施設に多数の者が来集することにより周辺地域の通行に支障が生じるなどその生活環境に悪影響を及ぼすことを防止し,もって良,。 好な生活環境を保全することもその趣旨及び目的とするものと解されるウ上記の趣旨及び目的に反した場外車券発売施設の設置許可がされた場合,そのような施設に起因する上記の被害,すなわち,善良な風俗及び生活環境に対する悪影響を直接的に受けるのは,当該施設の周辺の一定範囲の地域に居住し,事業を営む住民に限られ,その被害の程度は,居住地や事業地が当該施設に接近するにつれて増大するものと考えられる。また,当該施設の周辺地域に居住し,事業を営む住民が,当該地域で居住,事業を営み続けることにより上記の被害を反復,継続して受けた場合,その被害は,これらの住民のストレス等の健康被害や生活環境に係る変化・不安感等著しい被害にも至りかねないものである。そして,法・規則の規定,本件告示・本件通達 上記の被害を反復,継続して受けた場合,その被害は,これらの住民のストレス等の健康被害や生活環境に係る変化・不安感等著しい被害にも至りかねないものである。そして,法・規則の規定,本件告示・本件通達は,その趣旨及び目的にかんがみれば,場外車券発売- 7 -施設の周辺地域に居住し,事業を営む住民に対し,違法な当該施設に起因する上記の健康や生活環境に係る著しい被害を受けないという具体的利益を保護しようとするものと解されるところ,上記のような被害の内容,性質,程度等に照らせば,この具体的利益は,一般的公益の中に吸収解消させることが困難なものといわざるを得ない。 エ上記のとおり,規則が,場外車券発売施設の設置許可申請者に対し,同施設敷地の周辺から1000メートル以内の地域にある学校その他の文教施設及び病院その他の医療施設の位置並びに名称を記載した1万分の1以上の縮尺による付近の見取図を添付することを要求し,場外車券発売施設は,学校その他の文教施設及び病院その他の医療施設から相当の距離を有,,し周辺環境と調和したものであることとされていることにかんがみると場外車券発売施設の設置許可に関する上記の規定は,当該施設の敷地の周辺から1000メートル以内の地域に居住し,事業を営む住民に対し,違法な場外車券発売施設の設置許可に起因する善良な風俗及び生活環境に対する悪影響に係る著しい被害を受けないという具体的利益を保護したものと解するのが相当である。 オ以上の見解に立って,本件許可の取消しを求める原告適格についてみると,控訴人らが本件敷地から1000メートル以内の地域に居住し,事業を営み,又は病院等を開設する住民であることは当事者間に争いがないから,控訴人らは,本件許可の取消しを求める法律上の利益を有する者とし,。 てその取消訴訟における原告適 ル以内の地域に居住し,事業を営み,又は病院等を開設する住民であることは当事者間に争いがないから,控訴人らは,本件許可の取消しを求める法律上の利益を有する者とし,。 てその取消訴訟における原告適格を有するものと解するのが相当である( )上記の点について,被控訴人は次のとおり主張するがいずれも理由がな い。 ア被控訴人は,場外車券売場設置許可の根拠法規である法は,競輪事業の公正・円滑な運用,安全・秩序を確保し,もって収益を公共的な目的に用いることを規定した法律であり,周辺住民等の個別的利益の保護を直接目- 8 -的とした規定は置いておらず,また,法自体は,同許可の具体的な基準は定めておらず,その基準を下位法令にゆだねているところ,下位法令における許可基準をみても,場外車券売場周辺に対する配慮を求めてはいるものの,これらは,文教施設や医療施設に悪影響が及ぶことをできるだけ回避し,場外車券売場が社会的にも受容されて,競輪事業の円滑な運営に資することを目的とするにとどまり,周辺住民等の個別的利益を保護する趣旨を見いだすことはできない旨主張する。 しかし,前記のとおり,法及び下位法令の規定等に照らすと,競輪事業は,本来,賭博及び富くじに関する罪として罰せられるべき行為であり,何人も自由に行うことができない事業であるが,立法政策上,収益を公共的な目的に用いることを規定するとともに,周辺住民の健康や生活環境に著しい被害を与えないなどの条件を整備することにより,違法性が阻却されるものとして定められたものであるところ,場外車券発売施設設置に係る大臣の許可は,同施設の設置許可申請者に対し,一般国民が有している本来の自由を回復させる行為ではなく,上記条件を確認した上,広範な裁量をもって,同売場を設置することのできる地位を新たに付与する行為であ の許可は,同施設の設置許可申請者に対し,一般国民が有している本来の自由を回復させる行為ではなく,上記条件を確認した上,広範な裁量をもって,同売場を設置することのできる地位を新たに付与する行為であることからすれば,法は,周辺住民等の前記のような個別的利益を保護する趣旨をも含むものであるということができ,周辺住民等は,違法な場外車券発売施設設置許可により,同施設が将来において利用されることに起因する前記のような危険から保護される利益が侵害されることになるから,周辺住民等は,この利益侵害の排除を求めるための原告適格を有するものと解するのが相当である。 イまた,被控訴人は,仮に,場外車券売場設置によって文教施設や医療施設に対する影響が及び,周辺住民等が文教上又は保健衛生上の何らかの不利益を被るとしても,それは,前記大法廷判決が「関係地域」内に居住,している者について認めた「騒音,振動等による健康又は生活環境に係る- 9 -著しい被害」とは異なる旨主張する。 しかしながら,前記のとおり,違法な場外車券発売施設が設置されることによって,周辺住民等の健康や生活環境に著しい被害を与えるおそれがあることが予測されるものであり,上記大法廷判決のいう「著しい被害」とその性質を異にするものとはいえないから,上記主張は理由がない。 ウ被控訴人は,控訴人らが害される利益として主張するものは,周辺住民として享受する一般公共上の諸利益に対する漠然とした不安等や悪影響をいうにすぎない旨主張する。 しかしながら,前記のとおり,競輪事業は,本来,賭博及び富くじに関する罪として罰せられるべき行為であり,だれもが受忍すべき社会生活に必須の事業ということはできず,場外車券発売施設の設置許可は,申請者に対し,同施設を設置することのできる地位を新たに付与する行為であること して罰せられるべき行為であり,だれもが受忍すべき社会生活に必須の事業ということはできず,場外車券発売施設の設置許可は,申請者に対し,同施設を設置することのできる地位を新たに付与する行為であることからすれば,場外車券発売施設が設置されることによって,周辺住民の健康や生活環境に及ぼす影響は,一般公共上の受忍すべき限度を超えた特別の被害を与える可能性があるというべきであり,周辺住民として享受する一般公共上の諸利益に対する漠然とした不安等や悪影響にすぎないということはできないから,同主張も理由がない。 エ被控訴人は法と風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律以,(下「風営法」という)とは,その趣旨・目的を異にし,行政事件訴訟法。 9条2項にいう目的を共通にする関係法令とはいえない上,風営法4条2項2号及び同法施行令6条1号イも,当該制限地域の居住者個々人の個別具体的な利益を保護することを目的としているものとは解し難く,専ら公益保護の基準を定めていると解するのが相当であることと同様に,場外車券発売施設の設置許可基準は,学校その他の文教施設及び病院その他の医療施設から相当の距離を有し,文教上又は保健衛生上著しい支障を来すおそれがないことを定め,同施設周辺1000メートル以内の見取図の添付- 10 -を義務付けるのみで,具体的な距離制限の規定を置いていないことに照らせば,周辺住民に良好な風俗環境の下で円滑に業務をする利益を個別的利益として特に保護しようとする趣旨を含むとはいい難い旨主張する。 ,,,,しかし前記のとおり場外車券発売施設の設置許可は申請者に対し同施設を設置することのできる地位を新たに付与する行為であるのに対し,風営法による許可は,一般国民が有している本来の自由を回復させる行為であって,両者の性格は異なり, 施設の設置許可は申請者に対し同施設を設置することのできる地位を新たに付与する行為であるのに対し,風営法による許可は,一般国民が有している本来の自由を回復させる行為であって,両者の性格は異なり,後者の許可申請に対しては,要件の定め方が厳格であり,要件を満たす限り,必ず許可をしなければならない,,,ものであるが前者の許可申請に対しては本件通達から明らかなように許可基準に規定されていない事項についても改善を要すべき箇所があれば,併せて指導して整備改善させることが可能であり,必ず許可をしなければならないものではなく,当該施設の設置場所の属する地域社会との調和を図ることを要請できるものであるから,かえって,周辺住民に良好な風俗環境の下で円滑に業務をする利益を個別的利益として特に保護しようとする趣旨を含むということができるのである。 また,このことは,実質的に比較しても,風営法で規制されている「ぱちんこ屋」に来集する顧客は主に近隣の住民であり,出玉に対しては景品の交換しか認められておらず(同法23条1項,一定の貸し玉・出玉を)得るためには時間も労力も要することに比し,場外車券発売施設の利用者は,広範な地域から参集する不特定多数の者であり,的中車券は直接換金することができ,高額の車券の購入に際して時間も労力もさほど要せず,一瞬のうちに大金を得,又は失うことに照らせば,場外車券発売施設の方が「ぱちんこ屋」よりも賭博性が高く,射幸的な雰囲気が周辺地域に伝播し,その善良な風俗に悪影響を及ぼすおそれが高いというべきであり,また,広範な地域から多数の者が来集することにより周辺地域の通行に支障が生じたり,不法駐車が増加するなどその生活環境に悪影響を及ぼすおそ- 11 -れが高いことも認められることからすれば,周辺住民の良好な生活環境を特に保護 が来集することにより周辺地域の通行に支障が生じたり,不法駐車が増加するなどその生活環境に悪影響を及ぼすおそ- 11 -れが高いことも認められることからすれば,周辺住民の良好な生活環境を特に保護する必要性があるといわなければならない。 オそのほか,被控訴人は,場外車券発売施設の運営によって直接的に健康や生活環境に著しい被害が生じるものでない旨主張するが,同主張に理由がないことは,これまでみてきたところから明らかであり,被控訴人のその余の主張もいずれも上記の判断を左右しない。 以上によれば,控訴人らは原告適格を有するというべきであるから,これを否定して本件訴えを却下した原判決は不当であって取消しを免れない。 よって,原判決を取り消し,民事訴訟法307条本文により本件を大阪地方裁判所に差し戻すこととして,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第5民事部裁判長裁判官大和陽一郎裁判官市村弘裁判官一谷好文

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