【DRY-RUN】主 文 一 原判決中控訴人aに関する部分を左のとおり変更する。 被控訴人は、同控訴人に対して八六九一円とこれに対する昭和五〇年六月一三日か ら支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。 二 原判
主文 一原判決中控訴人aに関する部分を左のとおり変更する。 被控訴人は、同控訴人に対して八六九一円とこれに対する昭和五〇年六月一三日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。 二原判決中控訴人b、同c、同d、同e、同f、同g、同h、同iに関する部分を取り消す。 被控訴人は、同控訴人らに対し、それぞれ別紙(c)欄記載の各金員とこれらに対する昭和五〇年六月一三日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。 三訴訟費用は、第一、二審を通じて被控訴人の負担とする。 事実 一控訴人ら代理人は、主文同旨の判決と仮執行の宣言を求め、被控訴人ら代理人は、「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人らの負担とする。」との判決と請求を認容して仮執行宣言を附する場合の担保を条件とする仮執行免脱宣言を求めた。 二当事者双方の主張および証拠の関係は、左に附加するほか原判決事実摘示と同一であるから、これをここに引用する。 (一) 主張 1 控訴人ら(1) 基本労務契約第七章A節1によると、年次有給休暇取得の要件は、「常用従業員であること」だけであり、労働基準法三九条に定めるような一定期間の勤務の継続や一定割合以上の出勤率は、要件とされていない。そして同節2前段によると「常用従業員」は、一暦年について二〇日間の年次有給休暇を取得することになる。 被控訴人は、同節2前段は、比例按分方式を定めていると主張するが、それは失当である。 すなわち同2節前段の「満一暦年につき」とは、一月一日から一二月三一日までの間にということで、年次有給休暇の行使期間を定めているにすぎず、「八時間勤務二〇日の割合」というのも、「一日八時間勤務として二〇日分」という趣旨である。右文言から「在籍期間に応じて取得される」とか、更に勤務期間が満一暦年に満たない場合 間を定めているにすぎず、「八時間勤務二〇日の割合」というのも、「一日八時間勤務として二〇日分」という趣旨である。右文言から「在籍期間に応じて取得される」とか、更に勤務期間が満一暦年に満たない場合は、按分によつて削減するという趣旨まで含むと解することは不可能である。 もし同節2前段が比例按分方式を採用しているとすれば同節2中段の中途採用者に対する規定を特に設ける必要はないことになり、他方中途退職者に対する割合の方算方法(月割か日割か、端数の処理等)や、退職時、既に割合を超えて休暇をとつていた者に対する調節規定を欠き実際に適用できないことになる。 (2) 同節2中段は、中途採用者に関する規定であり、年次有給休暇に関して異なつた取扱をすべき十分な理由のある中途退職者に対して類推適用することは許されない。 (3) 現行基本労務契約の給与と休暇の項は、昭和三八年一月一日付で改定されたものであるが、その際、被控訴人は、「常用従業員として一月一日に在籍しておれば、その年の年次休暇二〇日は無条件で与えられる。」との確認を行なつた。 (4) ところが右改定後、各米軍施設において月割による按分をする例があつたので、全駐労、防衛施設庁、米軍が協議を行ない、その結果、米軍契約担当官から契約担当代理者に対し、昭和四一年五月一七日付MLC書信8ー66が、防衛施設庁労務部長から各都道府県の渉外労務主管部長に対し、同年六月八日付「MLC書信8ー66の送付について」という文書が、各発せられ、その中で人員整理予定の従業員に対しては、月割計算による按分比例をしないことを明らかにしている。 2 被控訴人(1) 先ず基本労務契約第七章A節1(資格の取得)と2(計算)の規定を検討するに、1の規定は、単に年次有給休暇を取得するのは、「常用従業員」であることを示しているにすぎず、同 いる。 2 被控訴人(1) 先ず基本労務契約第七章A節1(資格の取得)と2(計算)の規定を検討するに、1の規定は、単に年次有給休暇を取得するのは、「常用従業員」であることを示しているにすぎず、同章B節の月例休暇を与えられる「特殊期間従業員」と区別するためにおかれている注意規定であつて、「常用従業員」に与えられる年次休暇の日数とその計算方法は2の規定によるべきである。 同節2前段は「満一暦年につき、八時間勤務二〇日の割合で取得する。」と定めており、その表現上、比例按分方式によることを明らかにしている。そして中途退職者に対しては、中段の規定を準用して月割按分により、休暇が与えられることになる。 同節2中段は、中途採用者に与えられる年次有給休暇の日数について定めているが、特に中途採用者に対して規定を設けた趣旨は、基本労務契約上の年次有給休暇制度が、計算単位として、一暦年(一月一日から一二月三一日までの満一年間)を採用し、基準日を一月一日にしているので、基準日に在籍しない中途採用者が、その年度の年次有給休暇を取得できるかについて、疑問があり、それに答えて採用の月とその暦年の残りの各月について、一二分の二〇の割合で与えられることを明らかにしたことにある。 同節2後段は、中途採用者と中途退職者に対して与えられる休暇日数の端数計算について定めている。 (2) 途中採用者と中途退職者は、満一暦年勤務しないという点において、全く同じで、両者を区別して取り扱うべき合理的な理由はない。 (3) 昭和三八年一月一日付改定に際し、全駐労側の「……、無条件に与えられると思うがどうか。」との質問に対して、「貴見のとおりである。」と回答しているが、右のように回答したのは、防衛施設庁側において、質問の趣旨を「就労実績に対応して与えられていた条件が廃止され、在籍して ると思うがどうか。」との質問に対して、「貴見のとおりである。」と回答しているが、右のように回答したのは、防衛施設庁側において、質問の趣旨を「就労実績に対応して与えられていた条件が廃止され、在籍しておれば無条件に与えられるか」と理解したためで、中途退職者の場合も考慮してなされたものではない。従つて右確認をもつて、中途退職者の年休日数の算定の判断資料とするのは相当でない。 (4) MLC書信8ー66には、「人員整理される予定の従業員に未使用の年次休暇をできる限り多く与えなければならない。」と記載されているが、右記載も、改定後の基本労務契約において、中途退職者は権利として二〇日の年次休暇を取得するものではないことを示している。右書信は、「できる限り多く」与えるようにとの努力目標を定めたにすぎない。 (二) 証拠(省略) 理由 一控訴人らが、沖縄に所在する米軍基地に常用従業員として勤務していたこと、被控訴人が、沖縄の本土復帰に伴い、昭和四七年五月一五日以降、地位協定一二条四項に基づいて日米両国政府間において締結された基本労務契約の定めるところにより、控訴人らを含む米軍基地従業員の法的雇用主となつたこと、控訴人らは、同五〇年二月二六日に解雇予告を受け、同年六月三〇日をもつて解雇されたが、同年度中、別紙(a)欄記載のとおり、同欄記載の日までに同欄記載の時間の年次有給休暇を行使したうえで、同(a)、(b)欄記載のように年次有給休暇を行使したところ、右については年次有給休暇の行使と認められず、欠勤したものとされ、就労しなかつた時間に相当する賃金額である同(c)欄記載の各金員について、給料支払日である同年六月一二日にその支払を受けることができなかつたことは、いずれも当事者間に争いがない。 二控訴人らは、暦年中途に退職した者も二〇日 る賃金額である同(c)欄記載の各金員について、給料支払日である同年六月一二日にその支払を受けることができなかつたことは、いずれも当事者間に争いがない。 二控訴人らは、暦年中途に退職した者も二〇日の年次有給休暇を取得すると主張し、被控訴人は、在職した期間に応じて比例按分した日数(控訴人らの場合は一〇日)の年次有給休暇しか与えられないと抗争するので判断する。 (一) 控訴人らの労働条件について定めている基本労務契約の第七章A節(以下単にA節という。)に左のとおりの休暇に関する規定があることは当事者間に争いがない。 1 「資格の取得年次休暇の権利は常用従業員に与えられるものとする。」 2 「計算年次休暇の権利は、満一暦年につき、八時間勤務二〇日の割合で取得するものとする(以下前段の規定という。)。一暦年中に常用従業員として採用された従業員は、常用従業員として採用された月及びその暦年の残りの各月につき、一二分の二〇の割合で休暇を与えられるものとする(以下中段の規定という。)。 前記のように計算した休暇で、半日未満の端数は切り捨てるものとし、半日以上の端数は満一日とみなすものとする(以下後段の規定という。)。」また原本の存在と成立に争いのない甲第一〇号証(基本労務契約写)によると、A節3「休暇の使用」において、年次休暇は、原則として、その取得した暦年内に使用しなければならない旨定められていることが認められる。 ところで右年次休暇に関する規定は、証人jの証言(当審)によると、昭和三七年一二月一〇日附属協定六九号により改定されたことが認められるが、その経緯は次のとおりである。 右j証言により真正に成立したものと認められる甲第一一号証、原本の存在と成立に争いのない乙第一三号証、右j証言によると、右改定前の有給休暇制度においては、月例休暇が与えら 緯は次のとおりである。 右j証言により真正に成立したものと認められる甲第一一号証、原本の存在と成立に争いのない乙第一三号証、右j証言によると、右改定前の有給休暇制度においては、月例休暇が与えられ、従業員は、一月間に八割以上の勤務をすれば一六時間、四割以上八割未満の勤務の場合は八時間の有給休暇を取得することができ、また未使用の休暇については買上制度も採用されていたこと、右休暇に関する改定は、基地従業員に、国家公務員に準ずる給与制度を適用することに改めた際に行なわれたものであるが、基地従業員をその構成員とする全駐労側は、当初、休暇日数が二四日から二〇日に短縮され、買上制度も廃止されることになるので、労働者にとつて不利益になるとして反対し、防衛施設庁側と折衝を続けたが、国家公務員に準ずる給与制度の導入により利益を受けることや、防衛施設庁担当官から「一月一日に在籍していれば、その年の年次休暇二〇日は、無条件に与えられる。」との確認を得たこと、買上制度についても経過措置が設けられたこと等があつたので納得したことが各認められ、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。 そこで右年次休暇に関する規定を検討するに、年次休暇を取得する者が、「常用従業員」であることは明らかである。今「常用従業員」が年度中途で退職した場合に、退職者の取得する年次有給休暇の日数について争われているが、中途退職者に関する直接の規定は存しない。そうすると、休暇日数についての一般的規定と解されるA節2前段の規定の解釈によることになるが、右は必ずしも明確な規定とは云い難く、同規定のみから、中途退職者の取得する年次有給休暇日数(つまり在籍期間に応じて比例按分するか否か)を確定することは困難である。 そこで右に認定した改定の経緯や、関連規定を考慮しつつ検討するに、先ず月例休暇から年 、中途退職者の取得する年次有給休暇日数(つまり在籍期間に応じて比例按分するか否か)を確定することは困難である。 そこで右に認定した改定の経緯や、関連規定を考慮しつつ検討するに、先ず月例休暇から年次休暇へ移行するに際し、一定期間の勤務ないしは在籍、および一定割合以上の出勤率は要件とされなくなり、「常用従業員」であることが、唯一の年次有給休暇取得の要件となつたこと、他方年次有給休暇は、取得した年度内で使用しなければならず、未使用の休暇の買上制度はなくなり、原則として休暇の次年度への繰越しも認められないこと、また右甲第一〇号証により、A節4(休暇の予定表の作成)、5(休暇の承認)の規定を見ると、従業員は、既に在籍した月数を考慮せずに年次有給休暇を使用することができ、従つて中途退職者が月割等の按分を越える日数を休暇として使用することは、当然考えられるのに、基本労務契約(右甲第一〇号証はその写)中右のような場合の調整規定はないこと等が明らかであり、以上の諸事情および関連規定に鑑みると、A節2前段の規定は、A節1の規定と併せて、常用従業員(但しA節2中段、後段の規定によつて、中途採用は除外されることになる。)は、一暦年間に使用できる年次休暇八時間勤務として二〇日分を取得することができるとの趣旨に解するのが相当である。 従つて前年度より引き続いて勤務する常用従業員は、一月一日に八時間勤務として二〇日分の年次有給休暇を確定的に取得すると云うべきである。 右に認定した防衛施設庁担当官の確認も、その趣旨に解することができる。けだし年次有給休暇の取得が按分比例によるとすれば、一月一日在籍の常用従業員は、退職を解除条件として二〇日の年次有給休暇を取得することになり、無条件で取得するとは云えないからである。 (二) ところで年度中途に採用された常用従業員に関 よるとすれば、一月一日在籍の常用従業員は、退職を解除条件として二〇日の年次有給休暇を取得することになり、無条件で取得するとは云えないからである。 (二) ところで年度中途に採用された常用従業員に関しては、A節2中段、後段の規定があるが、中途退職者に対しても右規定を類推適用して中途退職者の既に取得した年次有給休暇を削減することができるかが問題となる。 前年度より常用従業員であつた者は、前記のとおり既に一暦年中に使用できる年次有給休暇二〇日を確定的に取得しているのであるから、それを削減することは明文の規定によるべきであつて、事情の異なる中途採用者に関する規定を類推適用することは妥当でない。また年次有給休暇には、労働者の過去の勤務に対する一種の報償という面もあることは否定できないから、中途退職者を、年次有給休暇について、中途採用者より優遇しても、公平に反するとまでいうことはできない。 (三) 次に契約当事者の意思について考えるに、成立に争いのない乙第八、九号証(第九号証は原本の存在と成立)によると、米国側が、中途退職者には在籍期間に比例して按分した休暇日数しか与えられないとの見解を有していることが認められる。 しかし争いのない事実によると、控訴人らと同様に米国陸軍に勤務し、昭和五一年度に解雇された者で、在籍期間に比例按分した日数を越える年次有給休暇を使用した者がいること、前記j証言と同証言により真正に成立したものと認められる甲第九号証中各引用部分(弁論の全趣旨により引用部分と同一の内容を持つ各文書が存在することが認められる。)によると、昭和四〇年頃、基地従業員の人員整理で、年度中途退職者の取得する年次有給休暇の日数を巡つて紛争が生じ、米軍側と防衛施設庁側とで交渉がなされ、その結果、米国側契約担当官より全担当官代理者へ同四一年五月一七日付で 、基地従業員の人員整理で、年度中途退職者の取得する年次有給休暇の日数を巡つて紛争が生じ、米軍側と防衛施設庁側とで交渉がなされ、その結果、米国側契約担当官より全担当官代理者へ同四一年五月一七日付でMLC書信が発送され、それには「人員整理される予定の従業員に未使用の年次休暇をできる限り多く与えなければならない。」旨記載されていたことが認められることから、米国側が一貫して、中途退職者には、比例按分した年次有給休暇日数しか与えられないとの見解を有していたかは疑問の残るところであり、年次有給休暇日数に関する前記判断に照らしても、米国側の右見解が、前記基本労務契約改定の際に双方合意のうえ契約内容となつたとは考え難い。 また被控訴人も、前記改定時における防衛施設庁担当官の確認や右甲第九号証の引用部分により認められる「防衛施設庁労務部長より渉外労務主管部長宛書信」の記載内容から推測すると、比例按分による日数を年次有給休暇として与えるとの見解を有していたとは思えない。 (四) なお附言すると、被控訴人主張のように中途退職者に対し、在籍期間に比例按分した日数を年次有給休暇として与えるとすれば、中途退職者の中で労働基準法三九条の定める日数に満たない年次有給休暇日数しか取得できない者も出て来る(弁論の全趣旨によると控訴人iを除く他の控訴人らは該当することが認められる。)。そうすると、これらの者に関しては、年次有給休暇の最低日数を定める右条文に違反することになろう。 三以上のとおり控訴人らは、別紙(b)欄記載の各時間を年次有給休暇として利用することができるのであるから、被控訴人は、右各時間を欠勤として扱い、それらに相当する賃金の支払を拒むことは許されず、控訴人らに対して、別紙(c)欄記載の各未払賃金とこれらに対する賃金支払日の翌日である昭和五〇年六月一三日 ら、被控訴人は、右各時間を欠勤として扱い、それらに相当する賃金の支払を拒むことは許されず、控訴人らに対して、別紙(c)欄記載の各未払賃金とこれらに対する賃金支払日の翌日である昭和五〇年六月一三日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金を支払うべき義務がある。 よつてこれと異なる原判決を、控訴人aに関しては変更し、その他の控訴人らに関しては取り消すこととし、訴訟費用の負担について民事訴訟法九六条、八九条を適用し(なお仮執行宣言は相当でないから、附さないことにする。)、主文のとおり判決する。 (裁判官門馬良夫比嘉正幸新城雅夫)(別紙省略)
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