令和3(ワ)15964

裁判年月日・裁判所
令和6年3月22日 東京地方裁判所
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判決文本文49,930 文字)

1 令和6年3月22日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官令和3年(ワ)第15964号 特許権侵害損害賠償請求事件口頭弁論終結日 令和6年2月16日判 決 5原 告 Next Innovation合同会社 同訴訟代理人弁護士 鮫島正洋同高橋正憲同石 橋 茂10同藤 田 達 郎 被告 大和ハウス工業株式会社 同訴訟代理人弁護士 山 上 和 則15同雨 宮 沙耶花同大林良寛同補佐人弁理士 小 菅 一 弘同芝 哲 央同森 林 克 郎20主 文1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由第1 請求251 被告は、原告に対し、金1000万円及びこれに対する令和3年6月30日か 2 ら支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 2 仮執行宣言第2 事案の概要等1 事案の概要本件は、発明の名称を「弾塑性履歴型ダンパ」とする特許権を有する原告が、5被告が製造、譲渡、輸入、輸出、譲渡の申出を行っている住居の一部であるダンパが同特許権に係る特許発明の技術的範囲に属するとして、被告に対し、特許権侵害による損害賠償請求権として、民法709条及び特許法102条3項に基づき、平成26年12月19日以降被告が販売した住居に係る損害1170億円の一部として1000万円及び不法行為の後の日である訴状送達の日である令和1 権として、民法709条及び特許法102条3項に基づき、平成26年12月19日以降被告が販売した住居に係る損害1170億円の一部として1000万円及び不法行為の後の日である訴状送達の日である令和103年6月30日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金を請求する事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがないか、後掲各証拠及び弁論の全趣旨によって容易に認められる事実)ア 原告は、ダンパを含む社会インフラ製品の研究・開発、ライセンシング、15製造及び販売等を行う合同会社である。 イ 被告は、鉄骨造又は木造の戸建住宅及び集合住宅の開発、製造、及び販売等を行う株式会社である。 原告は、以下の特許権(以下、「本件特許権」という。)を有している。(甲1、2)20特許番号 特許第5667716号発明の名称 弾塑性履歴型ダンパ出願日 平成26年6月17日登録日 平成26年12月19日本件特許権に係る請求項1、3、6、7、8、10の記載は、以下のとおり25である(以下、請求項1、3、6、7、8、10に記載された発明を順に「本 3 件発明1」、「本件発明3」、「本件発明6」、「本件発明7」、「本件発明8」、「本件発明10」といい、これらの発明を総称して「本件各発明」という。また、本件特許権に係る明細書及び図面を「本件明細書」という)。 ア 請求項1建物及び/又は建造物に適用可能な弾塑性履歴型ダンパであって、5一対の第一補強部と、前記一対の第一補強部を連結し、互いの向きを異ならせて設けられた板状の一対の剪断部と、前記一対の第一補強部の両端間にそれぞれ接続した一対のプレートとを備え、10前記剪断部は、前記第一補強部に対して傾斜を成し、前 、互いの向きを異ならせて設けられた板状の一対の剪断部と、前記一対の第一補強部の両端間にそれぞれ接続した一対のプレートとを備え、10前記剪断部は、前記第一補強部に対して傾斜を成し、前記第一補強部は、前記剪断部に、該第一補強部と該剪断部とのなす角が鋭角となるように形成され、前記剪断部は、入力により荷重を受けたときに、変形してエネルギー吸収を行うことを特徴とする弾塑性履歴型ダンパ。 15イ 請求項3前記第一補強部は、互いに平行に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の弾塑性履歴型ダンパ。 ウ 請求項6前記一対の剪断部が連結部を介して一連に設けられていることを特徴と20する請求項1-5の何れかに記載の弾塑性履歴型ダンパ。 エ 請求項7前記連結部は、前記剪断部と一体又は別体であることを特徴とする請求項6記載の弾塑性履歴型ダンパ。 オ 請求項825前記一対の剪断部の間隔は、前記連結部側から反対側の端部に向かって鋭 4 角状に漸次広がるように形成されていることを特徴とする請求項6又は7記載の弾塑性履歴型ダンパ。 カ 請求項10前記剪断部は、前記連結部と反対側の端部に前記第一補強部を有することを特徴とする請求項6-9の何れかに記載の弾塑性履歴型ダンパ。 5本件各発明は、次のとおり分説することができる。(以下、符号に応じて「構成要件A」などという。)ア 本件発明1A 建物及び/又は建造物に適用可能な弾塑性履歴型ダンパであって、B 一対の第一補強部と、10C 前記一対の第一補強部を連結し、互いの向きを異ならせて設けられた板状の一対の剪断部と、D 前記一対の第一補強部の両端間にそれぞれ接続した一対のプレートとを備え、E 前記剪断部は、前記第一補強部に対して 第一補強部を連結し、互いの向きを異ならせて設けられた板状の一対の剪断部と、D 前記一対の第一補強部の両端間にそれぞれ接続した一対のプレートとを備え、E 前記剪断部は、前記第一補強部に対して傾斜を成し、15F 前記第一補強部は、前記剪断部に、該第一補強部と該剪断部とのなす角が鋭角となるように形成され、G 前記剪断部は、入力により荷重を受けたときに、変形してエネルギー吸収を行うことを特徴とするH 弾塑性履歴型ダンパ。 20イ 本件発明3I 前記第一補強部は、互いに平行に配置されていることを特徴とするJ 請求項1又は2記載の弾塑性履歴型ダンパ。 ウ 本件発明6K 前記一対の剪断部が連結部を介して一連に設けられていることを特徴25とする 5 L 請求項1-5の何れかに記載の弾塑性履歴型ダンパ。 エ 本件発明7M 前記連結部は、前記剪断部と一体又は別体であることを特徴とするN 請求項6記載の弾塑性履歴型ダンパ。 オ 本件発明85O 前記一対の剪断部の間隔は、前記連結部側から反対側の端部に向かって鋭角状に漸次広がるように形成されていることを特徴とするP 請求項6又は7記載の弾塑性履歴型ダンパ。 カ 本件発明10Q 前記剪断部は、前記連結部と反対側の端部に前記第一補強部を有するこ10とを特徴とするR 請求項6-9の何れかに記載の弾塑性履歴型ダンパ。 原告は、令和4年4月14日付けで、本件各発明の特許請求の範囲等について訂正の審判請求をした(以下「本件訂正」という。本件口頭弁論終結時には、本件訂正は確定していない。)。そのうち、請求項1、3、6、7、8、10に15係る訂正後の請求項は次のとおりである(下線部は訂正箇所)。 (甲30、31)ア 請求項1構成要件 終結時には、本件訂正は確定していない。)。そのうち、請求項1、3、6、7、8、10に15係る訂正後の請求項は次のとおりである(下線部は訂正箇所)。 (甲30、31)ア 請求項1構成要件A、B同じC´前記一対の第一補強部を連結し、互いの向きを異ならせて設けられた板状の一対の剪断部と、前記一対の剪断部は、連結部を介して一連に設けら20れ、構成要件D~H同じイ 請求項3削除ウ 請求項625削除 6 エ 請求項7構成要件M同じ。 N´請求項1、2、4及び5の何れかに記載の弾塑性履歴型ダンパ。 オ 請求項8構成要件O同じ5P 請求項1、2、4、5及び7の何れかに記載の弾塑性履歴型ダンパ。 カ 請求項10構成要件Q同じR´請求項1、2、4、5及び7-9の何れかに記載の弾塑性履歴型ダンパ。 被告は、遅くとも平成26年1月ころから、別紙物件目録記載の住宅(以下10「被告製品」という。)の製造、譲渡、輸入、輸出、譲渡の申出を行っている。 被告製品には、地震が発生した際にその揺れによるエネルギーを吸収し、建物の揺れを早期に収束させて建造物の致命的な損傷を防ぐことを目的として耐力パネル(「耐力壁」ということもある。)が配置されている。各耐力パネルにはいずれも上記エネルギーを吸収するための部材としてダンパが組み込まれ15ている。被告製品で採用されている耐力パネルには、別紙被告Σ型ダンパ形状記載の6種類のダンパのいずれか又は複数が用いられている(以下、別紙被告Σ型ダンパ形状の「被告Σ型ダンパ」欄の記載に応じて「被告Σ型ダンパ1」などといい、被告Σ型ダンパ1~4を総称して「被告ダンパ1」、被告Σ型ダンパ5、6を総称して「被告ダンパ2」といい、被告ダンパ1、2を総称して「被 告Σ型ダンパ」欄の記載に応じて「被告Σ型ダンパ1」などといい、被告Σ型ダンパ1~4を総称して「被告ダンパ1」、被告Σ型ダンパ5、6を総称して「被告ダンパ2」といい、被告ダンパ1、2を総称して「被20告ダンパ」という。)。被告製品とそれらで用いられている耐力パネルの名称、使用されているダンパの対応関係は別紙対応表記載のとおりである。被告製品で採用されている耐力パネルの形状の概要は別紙耐力パネル概要記載のとおりであり、赤丸で囲った部分にダンパが設置されている。各耐力パネルは、その上下を、建物の水平方向に延びる梁や土台等にはさまれるように固定されて25設置されている。(弁論の全趣旨) 7 被告ダンパはいずれも一つの長方形の鋼板をΣ型に折り曲げた形状をしており、2つの平行板部(別紙被告ダンパ1形状の図1の赤丸で囲った部分参照)及び2つのウェブ部(別紙被告ダンパ1形状の図2の赤色部分参照)からなる。 被告ダンパ1では、各平行板部及び各ウェブ部の一端が板状の部材(以下「垂直板部」という。)に溶接されており垂直板部は、耐力パネルを構成する柱にボ5ルトで固定されている。各平行板部及び各ウェブ部の他端は、耐力パネルを構成する鋼管(被告Σ型ダンパ1~3)又は溝形鋼(被告Σ型ダンパ4)に直接溶接されている。被告ダンパ2については、いずれもボルトで固定することを前提とする垂直板部には接続されておらず、各平行板部及び各ウェブ部の端は、耐力パネルを構成するデバイス補剛材(被告Σ型ダンパ5)又は耐力壁柱(被10告Σ型ダンパ6)に直接溶接されている(各ダンパの接続態様は、別紙被告Σ型ダンパ接続態様のとおりである。)。被告ダンパ1、2のいずれについても、平行板部が地面と水平になるように設置される。(弁論の全趣旨)3 争点被告製品が る(各ダンパの接続態様は、別紙被告Σ型ダンパ接続態様のとおりである。)。被告ダンパ1、2のいずれについても、平行板部が地面と水平になるように設置される。(弁論の全趣旨)3 争点被告製品が本件各発明の技術的範囲に属するか(争点1)15ア 被告ダンパは、「入力」を受けるものであるか(構成要件G)(争点1-1)イ 被告ダンパが弾塑性履歴型ダンパに当たるか(構成要件A、H)(争点1-2)ウ 被告ダンパに「補強部」が存在するか(構成要件B、C、D、E、F)(争20点1-3)エ 被告ダンパが「一対のプレート」に接続されているか(構成要件D)(争点1-4)オ 被告ダンパ1は、本件各発明に係る特許請求の範囲に記載された構成と均等なものといえるか(構成要件D)(争点1-5)25損害(争点2) 8 本件各発明に係る特許に無効とすべき事由があるか(争点3)ア 本件各発明に、特開2007-51452号公報(乙10。以下「乙10公報」という。)に記載された発明(以下「乙10発明」という。)を主引例発明、特開2011-64028号公報(乙11。以下「乙11公報」という。)、特開2009-47193号公報(乙12。以下「乙12公報」とい5う。)に記載された各発明(以下、それぞれ「乙11発明」、「乙12発明」という。)を副引例発明とする進歩性欠如があるか(無効理由1)(争点3-1)イ 本件各発明に、乙10発明を主引例発明、実願昭50-30814号(実開昭51-111715号)のマイクロフィルム(乙13)、加藤勉『鉄骨構造』(建築構造学大系18)(乙14)、特開2000-297498号公10報(乙15)に記載された各発明(以下、それぞれ「乙13発明」、「乙14発明」、「乙15発明」という。)を副引 勉『鉄骨構造』(建築構造学大系18)(乙14)、特開2000-297498号公10報(乙15)に記載された各発明(以下、それぞれ「乙13発明」、「乙14発明」、「乙15発明」という。)を副引例発明とする進歩性欠如があるか(無効理由2)(争点3-2)ウ 本件各発明は特開2010-121384号公報(乙21。以下「乙21公報」という。)に記載された発明(以下「乙21発明」という。)と同一で15あるか(無効理由3-1)(争点3-3)エ 本件各発明に乙21発明を主引例発明とする進歩性欠如があるか(無効理由3-2)(争点3-4)オ 本件各発明に乙11発明を主引例発明とする進歩性欠如があるか(無効理由4)(争点3-5)20カ サポート要件違反があるか(無効理由5)(争点3-6)キ 明確性要件違反があるか(無効理由6)(争点3-7)ク 実施可能要件違反があるか(無効理由7)(争点3-8)ケ 新規事項追加の分割要件違反があるか(本件発明3関係)(無効理由8)(争点3-9)25被告製品では本件各発明の作用効果が不奏功であるか(争点4) 9 特許の出願時の補正態様を理由に、原告が被告ダンパにつき本件特許権を行使することが信義則上許されないか(争点5)本件訂正によって無効理由が解消されたか4 争点に対する当事者の主張被告ダンパは、「入力」を受けるものであるか(構成要件G)(争点1-1)5(原告の主張)ア 文言、技術常識、本件明細書の記載によれば、構成要件Gにおける「入力」とは、地震時点でダンパに対し外部から与えられる動力(=振動・揺れ)であり、当該振動(揺れ)は、特定の方向に限定されるものではない。 イ 被告ダンパに対しては、地震によって外部からの振動(揺れ)が与えられ10 ダンパに対し外部から与えられる動力(=振動・揺れ)であり、当該振動(揺れ)は、特定の方向に限定されるものではない。 イ 被告ダンパに対しては、地震によって外部からの振動(揺れ)が与えられ10るため、被告ダンパは「入力」を受け、構成要件Gを充足する。 ウ 仮に本件各発明ではダンパに複数方向からの入力があることを前提としていると解するとしても、被告ダンパは独立した部品であり、被告ダンパ単体に対しては複数方向からの揺れに対応することができる構造になっている。被告は業として被告ダンパを製造しており、住宅に設置する前の段階で15は入力方向が限定されない製品を製造しているといえる。 そして、被告ダンパが被告製品(耐力パネル)に組み込まれて用いられることを前提にしても、地震が起きれば、耐力パネルがねじれ、これによって、被告ダンパには鉛直方向以外にも力が加わり、複数方向の力が加わるのであるから、被告製品を構成する被告ダンパは「入力」を受ける。 20地震によって生じるねじれの程度は建物の倒壊の原因にもつながる大きなものである。また、ダンパの据え付けに当たっては設置角度の誤差が生じるから、仮に各耐力パネルのダンパが接続している部分に対しては一定方向からの入力しかないとしても、各ダンパに対しては据え付け誤差の角度分だけそれぞれ別の方向からの入力があるといえ、複数方向からの入力があると25いえる。 10 (被告の主張)ア 本件各発明における「入力」とは、本件明細書の記載等から、「剪断パネルの中心線方向から面内方向に近い方向までの方向からの複数の水平力の入力」と解釈すべきである。 イ 被告ダンパは、耐力パネルに組み込まれた上で被告製品の一部を構成する5が、耐力パネルの種類によってその態様は異なるものの、いずれの耐力パネ からの複数の水平力の入力」と解釈すべきである。 イ 被告ダンパは、耐力パネルに組み込まれた上で被告製品の一部を構成する5が、耐力パネルの種類によってその態様は異なるものの、いずれの耐力パネルにおいても被告ダンパには単一方向の力のみがかかり、それも、剪断パネルの中心線方向(被告ダンパでは、両ウェブ部の中心線方向)と垂直方向である鉛直方向(平行板部と垂直の方向)の力である。よって、被告ダンパは、「入力」により荷重を受けたときに、変形してエネルギー吸収を行うことを10特徴とする弾塑性履歴型ダンパであるとはいえない。 ウ 原告は、実際の地震では耐力パネルのねじれによって被告ダンパには鉛直方向以外の力もかかると主張するが、その程度は方向のズレは極めて小さく、力の大きさも極めて小さなものであり、上記結論を左右しない。 被告ダンパが弾塑性履歴型ダンパに当たるか(構成要件A、H)(争点1-152)(原告の主張)「弾塑性履歴型ダンパ」とは、その用語の意義、本件明細書の記載から「材料のヒステリシスループ(履歴ループ)によるエネルギー吸収を利用したダンパ」と解すべきである。 20被告ダンパは、材料のヒステリシスループ(履歴ループ)によるエネルギー吸収を利用したダンパであるから、弾塑性履歴型ダンパに当たる。 (被告の主張)本件各発明の複数方向からの入力に対応するという課題からすると、「弾塑性履歴型ダンパ」とは、複数方向からの入力のある剪断パネルダンパに限定さ25れるべきである。 11 前記(被告の主張)で主張したとおり、被告製品のダンパには単一方向からの入力しかないから、被告製品のダンパは、「弾塑性履歴型ダンパ」には当たらない。 被告ダンパに「補強部」が存在するか(構成要件B、C、D、E、F)(争 たとおり、被告製品のダンパには単一方向からの入力しかないから、被告製品のダンパは、「弾塑性履歴型ダンパ」には当たらない。 被告ダンパに「補強部」が存在するか(構成要件B、C、D、E、F)(争点1-3)5(原告の主張)特許請求の範囲及び本件明細書の記載に基づくと、「補強部」とは、「入力により荷重を受けたときに、変形してエネルギー吸収を行う」「剪断部」の機能を補う部材である。 被告ダンパのフランジは、剪断部の面外変形や座屈を防ぐ目的を有する部材10であるので、被告ダンパの平行板部が、「入力により荷重を受けたときに、変形してエネルギー吸収を行う」「剪断部」の機能を補う部材に該当し、被告ダンパのフランジは「補強部」に相当する。 (被告の主張)本件明細書の記載、出願の経過から、本件各発明における「補強部」とは、15「剪断部」の先端部が面外変形をしたり、座屈したりすることを防止する目的の単なるリブであり、剪断部に比して短く、本件明細書の図面に記載された程度のもの(剪断部の約8分の1)であると解するべきである。 原告は、被告ダンパについてウェブ部が「剪断部」に当たり、平行板部が「補強部」に当たると主張するが、被告ダンパの平行板部は、ウェブ部よりも厚く、20幅も同程度である。この結果、被告ダンパに対してウェブ部の中心線方向から力を加えた場合、ウェブ部のみならず補強部がその力を受けてしまうことでウェブ部の変形を妨害し、ウェブ部が変形してその力を低減するというウェブ部の「剪断部」としての機能を補強するどころか阻害してしまう。よって、被告ダンパの平行板部は「補強部」に当たらず、被告ダンパには補強部は存在しな25い。 12 被告ダンパが「一対のプレート」に接続されているか(構成要件D)(争点1-4) よって、被告ダンパの平行板部は「補強部」に当たらず、被告ダンパには補強部は存在しな25い。 12 被告ダンパが「一対のプレート」に接続されているか(構成要件D)(争点1-4)(原告の主張)特許請求の範囲及び本件明細書の記載から、「一対のプレート」とは、「剪断部との接合部分が金属を薄く平たくしたものであって、二個で一組となるもの」5であるといえる。 被告Σ型ダンパ5、6については、剪断部との接合部分が金属を薄く平たくしたものである垂直板部に接続されており同垂直板部はプレートに当たる。そして、同垂直板部は、ウェブ及びフランジを両側からはさんで固定しているため、二個で一組であり、「一対」に該当する。 10被告Σ型ダンパ1、4については、一端は垂直板部に接続しており、同垂直板部はプレートに当たる。他端は、「鋼管」及び「溝形鋼」に接続されているが、これらとウェブ及びフランジが接続された面は、剪断部(ウェブ)との接合部分が金属を薄く平たくしたものであるから、「プレート」に該当する。そして、垂直板部と、管状ないし溝形状の部材の、ウェブ及びフランジが接続された面15は、ウェブ及びフランジを両側からはさんで固定しているため、二個で一組である。 なお、プレートが延在する方向を地面と平行方向に限定することは技術常識と整合しない。 (被告の主張)20争う。 本件明細書の記載によれば、補強部に接続される一対のプレートは、地面と平行の方向に延在する必要がある。 しかし、被告ダンパが、接続する板は、いずれも地面と直交する方向に延在しており、「プレート」に当たらない。また、被告ダンパ1については、いず25れも片側は垂直板部に接続しており、これが仮に「プレート」に当たるとして 13 も、 も地面と直交する方向に延在しており、「プレート」に当たらない。また、被告ダンパ1については、いず25れも片側は垂直板部に接続しており、これが仮に「プレート」に当たるとして 13 も、他方は直接鋼管(被告Σ型ダンパ1~3)又は溝形鋼(被告Σ型ダンパ4)に溶接されており、これらは「プレート」に当たらないから、被告ダンパ1に接続する一対のプレートは存在しない。 被告ダンパ1は、本件各発明に係る特許請求の範囲に記載された構成と均等なものといえるか(構成要件D)(争点1-5)5(原告の主張)ア 被告ダンパ1のウェブ部及び平行板部の両端が接続する鋼管又は溝形鋼(すなわち、中空矩形状、溝形状の金属板)が、本件各発明の「プレート」に文言上該当しないとしても(構成要件D関係)、当該鋼管及び溝形鋼と、「プレート」は、均等であることから、被告ダンパ1は、本件各発明の技術10的範囲に属する。 イ第1要件について本件各発明は、地震時の振動を低減させるためのダンパにおいて、一対の剪断部が連結部を介して互いの向きを異ならせて設けられるとともに、これら一対の剪断部がそれぞれ補強部に対して傾斜を成して連結し、当該15剪断部と当該補強部のなす角を鋭角とする構成を採用したことが本質的部分であり被告ダンパ1もこれを備えており、相違部分は本質的部分ではない。 本件各発明の目的及び作用効果は、外部からの入力に対し、複合的かつ制限的な変形をして、「一方向だけでなく複数の方向からの地震時の振動20を吸収することが出来る」ことにある。相違部分である「プレート」を、鋼管又は溝形鋼に接続する構成に置き換えたとしても、剪断部及び補強部が、一対の強固な構造体で保持される構成に変化はなく、本件各発明の目的を達することができる。 第3要件 分である「プレート」を、鋼管又は溝形鋼に接続する構成に置き換えたとしても、剪断部及び補強部が、一対の強固な構造体で保持される構成に変化はなく、本件各発明の目的を達することができる。 第3要件について25建造物に用いられる鋼材の形状として、板状、中空矩形状、溝形状の金 14 属板が用いられることは、被告ダンパ1の製造の時点において周知であるから、当業者が、被告ダンパ1の製造の時点において、被告ダンパ1のように中空矩形状又は溝形状の金属板に接続するような構成を採用することは、当業者は、容易に想到できる。 (被告の主張)5ア 第1要件について本件各発明は、出願の経過に照らしても、「プレート」を用いず、「剪断部」及び「補強部」を直接他の構造材である鋼管又は溝形鋼に固定した場合には、「性能の安定性」が低下する、すなわち、剪断部が適切に変形してエネルギー吸収ができないことを前提とする発明であるといえる。よって、相違部分10は本件各発明の本質的部分である。 イ 第2要件について「プレート」を用いない場合には、「性能の安定性」が低下する、すなわち、剪断部が適切に変形してエネルギー吸収ができない。その結果、本件各発明の目的を達することができず、本件各発明と同一の作用効果を奏することが15できない。 ウ 第5要件について原告は、出願時に、「プレート」ではなく構造物自体で剪断パネルダンパの剪断部を固定することができることを認識しながら、「プレート」が存在する方が「性能の安定性が向上する点で望ましい」として、あえて「一対のプ20レート」を備える構成を選択した。したがって、少なくとも「プレート」を備えないという構成は、特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたという特段の事情が存在す あえて「一対のプ20レート」を備える構成を選択した。したがって、少なくとも「プレート」を備えないという構成は、特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたという特段の事情が存在する。 損害(争点2)(原告の主張)25被告は遅くとも平成26年1月から被告ダンパを用いた被告製品の製造、販 15 売を開始しており、被告製品の累計販売棟数は3万6000棟であるから、本件特許権の登録日である平成26年12月19日から本訴提起の日までの被告製品の販売額は1兆1700億円を下らない。実施料率は10%を下回るものではないから、特許法103条3項により、原告の損害は1170億円を下らないところ、原告は、うち1000万円を請求する。 5(被告の主張)否認ないし争う。 本件各発明に、乙10発明を主引例発明、乙11発明、乙12発明を副引例発明とする進歩性欠如があるか(無効理由1)(争点3-1)(被告の主張)10ア 乙10公報には次の乙10発明が記載されている。 【乙10発明1】(乙10A)建設構造物に適用可能なエネルギー吸収部材であって、(乙10B)一対の枠と、(乙10C)前記一対の枠を連結し、互いの向きを同じにならせて設けら15れた板状の一対の金属薄板と、(乙10D)前記一対の枠の両端間にそれぞれ接続した一対の端部板とを備え、(乙10E)前記金属薄版は、前記枠に対して傾斜を成し、(乙10F)前記枠は、前記金属薄板に、該枠と該金属薄板とのなす角が直20角となるように形成され、(乙10G)前記金属薄板は、入力により荷重を受けたときに、変形してエネルギー吸収を行うことを特徴とする(乙10H)エネルギー吸収部材。 【乙10発明3】25(乙10I)前記枠は、互 (乙10G)前記金属薄板は、入力により荷重を受けたときに、変形してエネルギー吸収を行うことを特徴とする(乙10H)エネルギー吸収部材。 【乙10発明3】25(乙10I)前記枠は、互いに平行に配置されていることを特徴とする 16 (乙10J)乙10発明1のエネルギー吸収部材。 【乙10発明6】(乙10K)前記一対の金属薄板が連結部を介して一連に設けられていることを特徴とする(乙10L)乙10発明1、3の何れかのエネルギー吸収部材。 5【乙10発明7】(乙10M)前記連結部は、前記金属薄板と一体であることを特徴とする(乙10N)乙10発明6のエネルギー吸収部材。 【乙10発明8】乙10発明6又は7と同じ10【乙10発明10】(乙10Q)前記金属薄板は、前記連結部と反対側の端部に前記枠を有することを特徴とする(乙10R)乙10発明6、7の何れかのエネルギー吸収部材。 イ 本件発明1、3、6、7、10と乙10発明1、3、6、7、10は、次15の点で一致する。 【本件発明1について】(A)建物及び/又は建造物に適用可能な弾塑性履歴型ダンパであって、(B)一対の第一補強部と、(C’)前記一対の第一補強部を連結し、互いの向きを所定の関係にさせ20て設けられた板状の一対の剪断部と、(D)前記一対の第一補強部の両端間にそれぞれ接続した一対のプレートとを備え、(E)前記剪断部は、前記第一補強部に対して傾斜を成し、(F’)前記第一補強部は、前記剪断部に、該第一補強部と該剪断部とのな25す角を有するように形成され、 17 (G)前記剪断部は、入力により荷重を受けたときに、変形してエネルギー吸収を行うことを特徴とする(H)弾塑性履歴型ダンパ。 【本件 とのな25す角を有するように形成され、 17 (G)前記剪断部は、入力により荷重を受けたときに、変形してエネルギー吸収を行うことを特徴とする(H)弾塑性履歴型ダンパ。 【本件発明3について】(I)前記第一補強部は、互いに平行に配置されていることを特徴とする5(J)請求項1記載の弾塑性履歴型ダンパ。 【本件発明6について】(K)前記一対の剪断部が連結部を介して一連に設けられていることを特徴とする(L)請求項1、3の何れかに記載の弾塑性履歴型ダンパ。 10【本件発明7について】(M)前記連結部は、前記剪断部と一体であることを特徴とする(N)請求項6記載の弾塑性履歴型ダンパ。 【本件発明8について】請求項6又は7記載の弾塑性履歴型ダンパ15【本件発明10について】(Q)前記剪断部は、前記連結部と反対側の端部に前記第一補強部を有することを特徴とする(R)請求項6、7の何れかに記載の弾塑性履歴型ダンパ。 ウ 相違点20本件発明1について【相違点1】構成要件Cにおいて、一対の剪断部は互いの向きを異ならせて設けられているのに対し、乙10発明1の剪断部に相当する金属薄板は、同じ向きに設けられている点。 25【相違点2】 18 構成要件Fにおいて、第一補強部と剪断部とのなす角が鋭角であるのに対し、乙10発明1の第一補強部に相当する枠と剪断部に相当する金属薄板とのなす角が直角である点。 本件発明8について【相違点3】5構成要件O、構成要件Pにおいて、一対の剪断部の間隔は、連結部から反対側の端部に向かって鋭角状に漸次広がるように形成されているのに対し、乙10発明8では、そのような構成を有さない点。 エ相違点1について複数の剪断 いて、一対の剪断部の間隔は、連結部から反対側の端部に向かって鋭角状に漸次広がるように形成されているのに対し、乙10発明8では、そのような構成を有さない点。 エ相違点1について複数の剪断部を用いて弾性履歴型ダンパを構成する際に、剪断部の向き10を互いに異ならせることによって耐震性能の向上を図ることができることが乙11公報に示されているのであるから、この構成を乙10発明1に適用して、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって容易なことである。 相違点2について15乙12公報には、地震等による振動を剪断パネルの剪断変形によりエネルギー吸収を行うダンパ装置において、剪断パネルの両端縁に設けた端縁補強体をパネルに直交させたり、あるいは、直交以外の形態としてもよいことが示されている。よって、乙10発明1について相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって容易である。 20相違点3について乙11公報は、一部の剪断パネル型ダンパの面内方向がその他の剪断パネル型ダンパの面内方向と異なるように設置するものであり、その例として放射方向に設置する例が示されている。乙10発明8に乙11発明を適用するに当たり、乙11公報に示されたこのような配置を適用することは25当業者にとって単なる選択事項である。 19 (原告の主張)否認ないし争う。 被告が認定した相違点には誤りがあって、乙10発明1、8に乙11発明、12発明を組み合わせても本件各発明を想到することはできないし、それらを組み合わせる動機もない。 5本件各発明に、乙10発明を主引例発明、乙13発明、乙14発明、乙15発明を副引例発明とする進歩性欠如があるか(無効理由2)(争点3-2)(被告の主張)ア 乙10発 せる動機もない。 5本件各発明に、乙10発明を主引例発明、乙13発明、乙14発明、乙15発明を副引例発明とする進歩性欠如があるか(無効理由2)(争点3-2)(被告の主張)ア 乙10発明の内容、本件各発明との一致点及び相違点は前記(被告の主張)記載のとおりである。 10イ相違点1について形鋼をダンパなどとして振動吸収用部材として用いることが慣用手段であることは、乙16~20に記載されている。また、乙13発明、乙14発明及び乙15発明から、①形鋼において、一対のリップ(フランジ)を連結し、互いの向きを異ならせて設けられた一対のプレートを備えるこ15と、②形鋼において、リップ(フランジ)は、プレートに、リップ(フランジ)とプレートとのなす角が鋭角となるように形成することは周知技術である。そうすると、当業者であれば、形鋼を剪断パネルダンパの技術として把握することができるといえるから、それぞれ対応するリップ(フランジ)を第一補強部として用い、また、プレートを剪断部として用い、相20違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって容易である。 相違点2について形鋼において、リップ(フランジ)は、リップ(フランジ)とプレートとのなす角が鋭角となるようにプレートに形成することは周知技術であり、相違点2に対応する構成は周知である。形鋼を剪断パネルダンパの技25術として把握できることは前記のとおりであるから、相違点1と同様に、 20 リップ(フランジ)を第一補強部として、プレートを剪断部として用い、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって容易である。 相違点3について乙13発明には、形鋼である溝形鋼に関する発明が記載されており、上5側のウエブ部と下側のテーパ部 相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって容易である。 相違点3について乙13発明には、形鋼である溝形鋼に関する発明が記載されており、上5側のウエブ部と下側のテーパ部を連結し、互いの向きを異ならせて設けられた板状の上側のテーパ部と嵌合溝部を備え、上側のテーパ部と嵌合溝部の間隔は、連結部側から反対側の端部に向かって鋭角状に漸次広がるように形成された構成である。ここで、上側のテーパ部と嵌合溝部はそれぞれ、本件発明8の一対の剪断部に相当する構成部材と見ることができ、相違点103に対応する構成が示されているといえる。 (原告の主張)否認ないし争う。 被告が認定した相違点には誤りがあり、被告が主張する発明を組み合わせて本件各発明を想到することはできないし、組み合わせる動機もない。 15本件各発明は、乙21発明と同一であるか(無効理由3-1)(争点3-3)(被告の主張)ア 乙21公報には次の乙21発明が記載されている。 【乙21発明1】(乙21A)建物に適用可能な波形耐震部材であって、20(乙21B)一対の縦フランジと、(乙21C)前記一対の縦フランジを連結し、互いの向きを異ならせて設けられた板状の一対の剪断変形する部位と、(乙21D)前記一対の縦フランジの両端間にそれぞれ接続した一対の横フランジとを備え、25(乙21E)前記剪断変形する部位は、前記縦フランジに対して傾斜を成し、 21 (乙21F)前記縦フランジは、前記剪断変形する部位に、該縦フランジと該剪断変形する部位とのなす角が鋭角となるように形成され、(乙21G)前記剪断変形する部位は、入力により荷重を受けたときに、変形してエネルギー吸収を行うことを特徴とする(乙21H)波形耐震部材。 5 る部位とのなす角が鋭角となるように形成され、(乙21G)前記剪断変形する部位は、入力により荷重を受けたときに、変形してエネルギー吸収を行うことを特徴とする(乙21H)波形耐震部材。 5【乙21発明3】(乙21I)前記縦フランジは、互いに平行に配置されていることを特徴とする(乙21J)乙21発明1の波形耐震部材。 【乙21発明6】10(乙21K)前記一対の剪断変形する部位が連結部を介して一連に設けられていることを特徴とする(乙21L)乙21発明1の波形耐震部材。 【乙21発明7】(乙21M)前記連結部は、前記剪断変形する部位と一体又は別体であるこ15とを特徴とする(乙21N)乙21発明6の波形耐震部材。 【乙21発明8】(乙21O)前記一対の剪断変形する部位の間隔は、前記連結部側から反対側の端部に向かって鋭角状に漸次広がるように形成されている20ことを特徴とする(乙21P)乙21発明6又は7の波形耐震部材。 【乙21発明10】(乙21Q)前記剪断変形する部位は、前記連結部と反対側の端部に前記縦フランジを有することを特徴とする25(乙21R)乙21発明6-8何れかの波形耐震部材。 22 イ 本件発明1、3、6、7、8、10と乙21発明1、3、6、7、8、10は、少なくとも以下の点で一致する。 【本件発明1について】(A’)建物に適用可能な地震対応部材であって、(B)一対の第一補強部と、5(C)前記一対の第一補強部を連結し、互いの向きを異ならせて設けられた板状の一対の剪断部と、(D)前記一対の第一補強部の両端間にそれぞれ接続した一対のプレートとを備え、(E)前記剪断部は、前記第一補強部に対して傾斜を成し、10(F)前記第一補強部は、前記剪 の一対の剪断部と、(D)前記一対の第一補強部の両端間にそれぞれ接続した一対のプレートとを備え、(E)前記剪断部は、前記第一補強部に対して傾斜を成し、10(F)前記第一補強部は、前記剪断部に、該第一補強部と該剪断部とのなす角が鋭角となるように形成され、(G)前記剪断部は、入力により荷重を受けたときに、変形してエネルギー吸収を行うことを特徴とする(H’)地震対応部材。 15【本件発明3について】(I)前記第一補強部は、互いに平行に配置されていることを特徴とする(J’)請求項1記載の地震対応部材。 【本件発明6について】(K)前記一対の剪断部が連結部を介して一連に設けられていることを特徴20とする(L’)請求項1、3の何れかに記載の地震対応部材。 【本件発明7について】(M)前記連結部は、前記剪断部と一体又は別体であることを特徴とする(N’)請求項6記載の地震対応部材。 25【本件発明8について】 23 (O)前記一対の剪断部の間隔は、前記連結部側から反対側の端部に向かって鋭角状に漸次広がるように形成されていることを特徴とする(P’)請求項6又は7記載の地震対応部材。 【本件発明10について】(Q)前記剪断部は、前記連結部と反対側の端部に前記第一補強部を有する5ことを特徴とする(R’)請求項6-8の何れかに記載の地震対応部材。 ウ 本件各発明と乙21発明は次の点で、一応相違する。 【相違点1】地震対応部材が本件発明1では弾塑性履歴型ダンパ(剪断パネルダンパ)10であるのに対し、乙21発明1では波形耐震部材である点。 エ 乙21発明1の波形耐震部材は、波形鋼板が剪断変形して水平力に抵抗して耐震効果を発揮するものであり、また、水平力に対して波形鋼板が降伏す であるのに対し、乙21発明1では波形耐震部材である点。 エ 乙21発明1の波形耐震部材は、波形鋼板が剪断変形して水平力に抵抗して耐震効果を発揮するものであり、また、水平力に対して波形鋼板が降伏するように設計することで、鋼板の履歴エネルギーによって振動エネルギーが吸収され、制震効果を発揮するものである。乙21発明1の波形耐震部材は15剪断パネルダンパと同様の効果を奏することを目的としているものであり、上記相違点は実質的な相違ではないから、本件各発明は新規性がない。 (原告の主張)否認ないし争う。 本件各発明に乙21発明を主引例発明とする進歩性欠如があるか(無効理由203-2)(争点3-4)(被告の主張)ア 乙21発明の内容及び本件各発明との一致点、相違点は、前記被告の主張のとおりである。 イ 他方で、本件各発明と乙21発明には次の相違点2を想定することができ25る。 24 【相違点2】構成要件C等で特定された「一対の剪断部」は、「一対の剪断部のみ」であることを意味するのに対し、乙21発明の「一対の剪断変形する部位」は、複数の当該部位を有する形態が示されている点。 ウ しかし、乙21公報には、波形耐震部材を設置幅に応じて板厚や波形の5形状を適宜調整してもよいことが記載されているとともに(【0044】)、波形のピッチ、波高等を変えることでその耐力を調整可能とも記載されている(【0004】)。そして、同じ波形の鋼板を用いた剪断パネルダンパに関する特開2007-239241号公報(以下「乙22公報」という。))にも、波形の形状を任意に設定できること、くぼみを1つだけ設ける構成10としてもよいことの開示がある。そうすると、乙21公報に記載された示唆に基づき、くぼみを1つ設ける構成を乙21 という。))にも、波形の形状を任意に設定できること、くぼみを1つだけ設ける構成10としてもよいことの開示がある。そうすると、乙21公報に記載された示唆に基づき、くぼみを1つ設ける構成を乙21発明において採用し、「一対の剪断部のみ」から成る相違点2に係る構成とすることは当業者にとって容易である。 (原告の主張)15被告が認定した相違点には誤りがあって、乙22公報に記載された発明を組み合わせて本件各発明を想到することはできないし、組み合わせる動機もない。 本件各発明に乙11発明を主引例発明とする進歩性欠如があるか(無効理由4)(争点3-5)(被告の主張)20ア 乙11公報には次の乙11発明が記載されている。 【乙11発明1】(乙11A)橋梁に適用可能な剪断パネル型ダンパーであって、(乙11B)一対のリブ42と、(乙11C)前記一対のリブ42を連結し、互いの向きを異ならせて設けら25れた板状の一対のパネル部41と、 25 (乙11D)前記リブ42の一方の端部間に接続した連結板とを備え、(乙11E)前記パネル部41は、前記一対のリブ42に対して傾斜を成し、(乙11F)前記リブ42は、前記パネル部41に、該リブ42と該パネル部41とのなす角が直角となるように形成され、(乙11G)前記パネル部41は、入力により荷重を受けたときに、変形して5エネルギー吸収を行うことを特徴とする(乙11H)剪断パネル型ダンパー90(図6では40。以下「90」に統一。)。 【乙11発明3】(乙11I)前記リブ42は、互いに平行に配置されていることを特徴とす10る(乙11J)乙11発明1の剪断パネル型ダンパー90。 【乙11発明6】(乙11K)前記一対のパネル部41の一方の端部同士が近接 リブ42は、互いに平行に配置されていることを特徴とす10る(乙11J)乙11発明1の剪断パネル型ダンパー90。 【乙11発明6】(乙11K)前記一対のパネル部41の一方の端部同士が近接配置されていることを特徴とする15(乙11L)乙11発明1、3の何れかの剪断パネル型ダンパー90。 【乙11発明8】(乙11O)前記一対のパネル部41の間隔は、前記近接配置側から反対側の端部に向かって鋭角状に漸次広がるように形成されている(乙11P)乙11発明6の剪断パネル型ダンパー90。 20【乙11発明10】(乙11Q)前記パネル部41は、前記近接配置側と反対側の端部にリブ42を有することを特徴とする(乙11R)乙11発明6、7の何れかの剪断パネル型ダンパー90。 イ本件発明1について25本件発明1と乙11発明1には次の相違点があり、その余は一致する。 26 【相違点1】本件発明1の構成要件Dにおいて、一対のプレートが一対の第一補強部の両端間に接続されているのに対し、乙11発明1では、連結板が一対のリブ42の一方の端部間に配置されている点。 【相違点2】5本件発明1の構成要件Fにおいて、第一補強部と剪断部とのなす角が鋭角であるのに対し、乙11発明1の第一補強部に相当するリブ42と剪断部に相当するパネル部41とのなす角が直角である点。 相違点1について乙11発明1では、連結板が一対のリブ42の一方の端部間にのみ配置10されているが、剪断パネルダンパの上下にプレートを設けることは周知である(乙10公報、乙21公報、特開2000-73603号公報(乙23))。よって、相違点1は、当業者が周知技術を参考として適宜採用し得る設計的事項にすぎない。 相違点2について とは周知である(乙10公報、乙21公報、特開2000-73603号公報(乙23))。よって、相違点1は、当業者が周知技術を参考として適宜採用し得る設計的事項にすぎない。 相違点2について15前記被告の主張エで主張したとおり、当業者が相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、容易であり、乙11発明1において剪断部に相当する剪断パネル型ダンパと第一補強部に相当するリブのなす角として鋭角を選択し、相違点2の構成とすることは、当業者が適宜設定する程度のことにすぎない。 20ウ 本件発明3について本件発明3では、第一補強部は、互いに平行に配置されていることを特定しているが、当該特定事項は、乙11公報に記載された事項である(【0036】、図6など)。 エ 本件発明6~8について25乙11発明6~8では、一対のパネル部11の一方の端部同士が近接して 27 設けられ、一対のパネル部11の間隔は、近接配置側から反対側の端部に向かって鋭角状に漸次広がるように形成されている。 本件発明6では、一対の剪断部が連結部を介して一連に設けられており、本件発明7では、連結部が剪断部と一体又は別体であることを特定しているが、これらについて乙21発明のように連結部を一体に設けることは当業者5であれば適宜採用しうる設計的事項にすぎない。 オ 本件発明10について乙11発明10では、パネル部が、近接配置側と反対側の端部にリブを有する。よって、本件発明10に進歩性はない。 (原告の主張)10被告が認定した相違点には誤りがあって、乙11発明、乙21発明等を組み合わせて本件各発明を想到することはできないし、それらを組み合わせる動機もない。 サポート要件違反があるか(無効理由5)(争点3-6)(被告の主張) あって、乙11発明、乙21発明等を組み合わせて本件各発明を想到することはできないし、それらを組み合わせる動機もない。 サポート要件違反があるか(無効理由5)(争点3-6)(被告の主張)15ア 本件各発明の機序は、剪断部の面内方向の振動を減衰させることを前提としつつ、当該剪断部を橋軸に対して例えば10度傾斜させることにより、減衰可能な入力を拡大しようとするものである(【0028】)。これに対して、本件各発明は、「入力により荷重を受けたときに、変形してエネルギー吸収を行う」とのみされ、どの方向からの荷重にも対応し得るかのように機能的20に特定しており、発明の詳細な説明に記載された機序を有さない、又は、発明の作用効果を奏さない態様を包含している。 イ また、本件各発明は、「互いの向きを異ならせて設けられた板状の一対の剪断部」と特定しているが、発明の詳細な説明には、当該剪断部がプレートに垂直であるものしか記載されておらず、また、当該剪断部がプレートに垂25直でなければ、上部構造物を支持できず、剪断パネルダンパとして機能しな 28 いことから、本件各発明は、上述した発明の課題を達成し得ないものを包含している。 ウ さらに、本件各発明は、出願時の補正により、Σ字形のダンパは除外されているから、原告が、Σ字形である被告Σ形ダンパに対して本件特許権を行使するのであれば、本件各発明は発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて5いる。 エ 前記ア~ウのいずれにおいても、本件各発明は、本件各発明が解決しようとする課題を解決することができないものを含むことになるから、その特許請求の範囲は、明細書の発明の詳細な説明にサポートされているものということができず、特許法36条6項1号の規定(サポート要件)に違反してい10る。 とができないものを含むことになるから、その特許請求の範囲は、明細書の発明の詳細な説明にサポートされているものということができず、特許法36条6項1号の規定(サポート要件)に違反してい10る。 (原告の主張)否認ないし争う。 明確性要件違反があるか(無効理由6)(争点3-7)(被告の主張)15ア 本件各発明の「前記一対の第一補強部の両端間にそれぞれ接続した一対のプレートとを備え」との記載において、「補強部」という文言は、機能的記載である。しかし、「補強」が何に対して補強するものであり、また、どういう意味で補強しているといえるのか、発明の詳細な説明を参酌しても理解できず、「補強部」の意味は明確でない。 20イ 本件各発明は、「互いの向きを異ならせて設けられた板状の一対の剪断部」と特定しているが、当該「向き」の方向及び「板状」の具体的構成が不明確である。 ウ 本件特許権に係る請求項12は、補強部が剪断部と別体であることを特定しているが、本件発明1は、「前記一対の第一補強部を連結し、・・・一対の25剪断部」と特定しており、両者は矛盾する。 29 また、本件特許権に係る請求項13は、「基盤上に固設されている」と特定し、請求項14は、「基盤間に固設されている」と特定している。しかし、本件発明1は剪断パネルダンパの発明であるにもかかわらず、剪断パネルダンパの構成要素ではない「基盤」という剪断パネルダンパ以外の構成を特定しており、不明確である。 5エ 前記ア~ウのいずれにおいても、本件各発明は明確でないから、特許法36条6項2号の規定(明確性要件)に違反している。 (原告の主張)否認ないし争う。 実施可能要件違反があるか(無効理由7)(争点3-8)10(被告の主張)本件各発明 ら、特許法36条6項2号の規定(明確性要件)に違反している。 (原告の主張)否認ないし争う。 実施可能要件違反があるか(無効理由7)(争点3-8)10(被告の主張)本件各発明は、「該第一補強部と該剪断部とのなす角が鋭角となる」と特定しているが、発明の詳細な説明には、当該角が鈍角の例しか説明されていない。 そして、当該角が鋭角の場合、あらゆる鋭角の範囲で剪断部を補強できることは開示されておらず、その補強としての機能を奏するとは考えられない。 15したがって、本件各発明について、発明の詳細な説明には、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているといえず、特許法36条4項1号の規定(実施可能要件)に違反している。 (原告の主張)否認ないし争う。 20新規事項追加の分割要件違反があるか(本件発明3関係)(無効理由8)(争点3-9)(被告の主張)ア 本件発明3の「前記第一補強部は、互いに平行に配置されていること」との記載については、原出願(特願2012-273962号、特開201325-144922号公報)の分割直前の明細書、特許請求の範囲又は図面に記 30 載されていない。 イ 出願の過程でΣ字型ダンパは特許請求の範囲から除外されたから、本件訴訟において、原告が、Σ字形である被告Σ形ダンパに対して本件特許権を行使するのであれば、本件の特許は、原出願(特願2012-273962号、特開2013-144922号公報)の分割直前の明細書、特許請求の範囲5又は図面に記載された事項に存在しないΣ字形を含む発明ということになり、分割要件の実体的要件を欠く不適法な分割出願である。 ウ 本件発明3の弾塑性履歴型ダンパ(剪断パネルダンパー)は一対の補強部と剪断部とでΣ字形をなすものである ないΣ字形を含む発明ということになり、分割要件の実体的要件を欠く不適法な分割出願である。 ウ 本件発明3の弾塑性履歴型ダンパ(剪断パネルダンパー)は一対の補強部と剪断部とでΣ字形をなすものであるが、当該構成は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるから、少なくとも、本件発明3は新規事項を有する。 10エ 前記ア~ウのいずれの点においても、本分割出願の特許請求の範囲に記載された事項は、原出願の分割直前の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内ではないから、分割要件のうち実体的要件を満たしていない。したがって、特許法44条1項1号の規定により、本分割出願は遡及することがないから、原出願の時にしたものとみなされず、本分割出願の出15願日、すなわち平成26年6月17日に出願したものとみなされる。第一補強部の向きをどのように設定するかなど、第一補強部に関わる構成は当業者が適宜選択する程度の事項であるから、本件発明3は、少なくとも、原出願(特願2012-273962号)の公開公報である特開2013-144922号公報(公開日平成25年7月25日)に記載された発明に基づいて20当業者が容易に発明をすることができたものであるということができる。よって、本件発明3は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができないものであるから無効とされるべきものである。 (原告の主張)否認ないし争う。 25被告製品では本件各発明の作用効果が不奏功であるか(争点4) 31 (被告の主張)本件各発明の作用効果は、本件明細書によれば、「所定レベル以上の地震の際に、複数の方向からの入力に対してダンパとして機能し得る弾塑性履歴型ダンパを提供すること」(【0006】)である。そして、本件各発明においては、「剪断 本件明細書によれば、「所定レベル以上の地震の際に、複数の方向からの入力に対してダンパとして機能し得る弾塑性履歴型ダンパを提供すること」(【0006】)である。そして、本件各発明においては、「剪断部間の中心線」を入力方向にしていること(【0026】)、中心線方向5からの入力とそこから斜めの方向からの入力の図を示していること(【図3】【図4】)等から、中心線方向からの入力を含めた複数方向の水平力の入力で機能する必要があるといえる。 被告Σ形ダンパに、中心線方向からの力を加えた場合、剪断パネルダンパとして全く機能しない。また、被告Σ形ダンパは、中心線方向と90度異なる方10向の鉛直力の入力のみに対応するダンパであり、複数方向の水平力の入力に機能するものではない。 したがって、被告Σ形ダンパは、中心線方向を含む複数の水平力を吸収するという本件各発明の作用効果を奏功せず、本件各発明の技術的範囲に属するとすることはできない。 15(原告の主張)否認ないし争う。 被告Σ形ダンパに中心線方向を含む複数の水平力の入力を加えた場合に、剪断パネルダンパとして機能しないとの主張は、充足論に関する被告の主張と同じであり、抗弁としては失当である。 20本件各発明の作用効果は、「剪断部は、入力により荷重を受けたときに、変形してエネルギー吸収を行う」ことであり、被告Σ形ダンパの剪断部(ウェブ)は、入力により荷重を受けたときに、変形してエネルギー吸収を行うので、被告Σ形ダンパは、本件各発明の作用効果を奏する。 仮に、本件各発明の作用効果が「複数の方向からの入力に対してダンパとし25て機能し得る」ことだとしても、地震時のダンパに対する振動(揺れ)は、鉛 32 直方向のみから来るとは限らないことは技術常識であるから、被告製品に広く 方向からの入力に対してダンパとし25て機能し得る」ことだとしても、地震時のダンパに対する振動(揺れ)は、鉛 32 直方向のみから来るとは限らないことは技術常識であるから、被告製品に広く設置されている被告Σ形ダンパが、鉛直方向の入力のみに対応し、他の方向からの入力に対して機能しないことはあり得ないので作用効果を奏する。 特許の出願時の補正態様を理由に、原告が被告ダンパにつき本件特許権を行使することが信義則上許されないか(争点5)5(被告の主張)原告は本件の特許の出願時に、拒絶理由通知を受けて請求項1の「前記一対の第一補強部と前記剪断部とで略M字形及び/又は略W字形及び/又はΣ 字形を成し」という記載を「前記第一補強部は、前記剪断部に、該第一補強部と該剪断部とのなす角が鋭角となるように形成され」に補正しており、略M字形、10略W字形、Σ字形を意識的に除外しているものといえる。そうであるにもかかわらず、Σ字形である被告ダンパに対して本件特許権を行使することは、包袋禁反言となり、信義則上許されない。 (原告の主張)否認ないし争う。 15補強部と剪断部のなす角が鋭角である被告Σ形ダンパが本件特許権を侵害すると原告が主張することは、出願過程の出願人の陳述ないし補正内容と矛盾していない。 本件訂正によって無効理由が解消されたか。 (原告の主張)20本件訂正によって、各無効理由が解消された。乙10発明、乙21発明には、「連結部」がない。 (被告の主張)争う。 乙10公報、乙21公報には「連結部」が記載されているから、本件訂正を25理由に無効理由1~3は解消されない。また、乙11公報記載のパネル部を連 33 結することは当業者であれば適宜採用し得る設計事項にすぎないので、無 部」が記載されているから、本件訂正を25理由に無効理由1~3は解消されない。また、乙11公報記載のパネル部を連 33 結することは当業者であれば適宜採用し得る設計事項にすぎないので、無効理由4も解消されない。 第3 当裁判所の判断1 本件明細書について本件明細書の記載(甲2)5本件明細書には、以下の記載及び図面がある。 【発明の詳細な説明】【技術分野】【0001】本発明は、建築物や橋梁等において上部構造物と下部構造物との間に設置さ10れ、常時や所定レベルまでの地震に対しては上部構造の変位を拘束するストッパとして機能し、所定レベル以上の地震に対しては剪断塑性変形することによりダンパとして機能する弾塑性履歴型ダンパに関する。 【背景技術】【0002】15下記特許文献1-3には、橋梁の支承構造に用いられる低降伏点鋼を用いた剪断パネル型ダンパが記載されている。この剪断パネル型ダンパは、建築物や橋梁等において上部構造物と下部構造物との間において、下部構造物に固定設置され、常時や所定レベルまでの地震に対しては上部構造の変位を拘束するストッパとして機能し、所定レベル以上の地震に対しては剪断塑性変形すること20によりダンパとして機能する。具体的に、この剪断パネル型ダンパは、水平変位に対し剪断変形が生じるとき、剪断部の履歴減衰を利用して地震時の振動を低減させる。 【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】25【0004】 34 しかしながら、何れの特許文献の剪断パネル型ダンパにおいても、剪断部を一つしか有しておらず、所定レベル以上の地震に対して、一方向からの水平力に対してしかダンパとして機能しない。したがって、例えば、橋軸方向の水平力に対してダンパと 断パネル型ダンパにおいても、剪断部を一つしか有しておらず、所定レベル以上の地震に対して、一方向からの水平力に対してしかダンパとして機能しない。したがって、例えば、橋軸方向の水平力に対してダンパとして機能するように剪断パネル型ダンパを設置した場合に、橋軸方向以外の方向からの水平力が加わると、剪断パネル型ダンパは、入5力のあった水平力を十分に減衰させることが出来ない。地震の際に何れの方向から所定レベル以上の水平力の入力があるのかは、予測困難である。 【0005】また、剪断パネル型ダンパの設置に際しては、想定される入力方向に対して高精度にダンパの剪断変形方向を合わせる設置角度設定が必要とされる。 10【0006】本発明は、所定レベル以上の地震の際に、複数の方向からの入力に対してダンパとして機能し得る弾塑性履歴型ダンパを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】【0007】15本発明に係る弾塑性履歴型ダンパは、建物及び/又は建造物に適用可能な弾塑性履歴型ダンパであって、一対の第一補強部と、前記一対の第一補強部を連結し、互いの向きを異ならせて設けられた板状の一対の剪断部と、前記一対の第一補強部の両端間にそれぞれ接続した一対のプレートとを備え、前記剪断部は、前記第一補強部に対して傾斜を成し、前記第一補強部は、前記剪断部に、20該第一補強部と該剪断部とのなす角が鋭角となるように形成され、前記剪断部は、入力により荷重を受けたときに、変形してエネルギー吸収を行う。 【0008】また、前記剪断部は、傾斜方向が互いに異なる部分が交互に並ぶ波形を成すようにしても良い。更に、前記第一補強部は、互いに平行に配置されているよ25うにしても良い。更に、前記一対のプレートは、入力により互いに異なる方 、傾斜方向が互いに異なる部分が交互に並ぶ波形を成すようにしても良い。更に、前記第一補強部は、互いに平行に配置されているよ25うにしても良い。更に、前記一対のプレートは、入力により互いに異なる方向 35 に変位する第一構造物と第二構造物とにそれぞれ接合されているようにしても良い。更に、一対の剪断部が連結部を介して一連に設けられているようにしても良い。例えば、前記剪断部は、平面状を成す。また、前記連結部は、前記剪断部と一体、別体の何れであっても良い。 【0009】5連結部により一体化された一対の剪断部の形状は、前記一対の剪断部の間隔を前記連結部を鋭角又は鈍角として、前記連結部と反対側の端部に向かって漸次広がるようにした、略V字状としても良い。 【0010】前記剪断部は、前記連結部と反対側の端部に第一補強部を設けるようにして10も良い。この場合、前記第一補強部は、前記剪断部に対して一連に設けられていても良く、更に前記剪断部と一体(例えば曲げ加工)又は別体(例えば溶接接合)であっても良い。 【0011】また、前記剪断部及び前記連結部は、基盤上に固設し、下部構造物に固定す15るようにしても良い。更に、基盤と相対してプレートを設け、前記剪断部の先端部や前記第一補強部が上部構造物側のストッパに直接突き当たるのではなく、前記プレートの端面が上部構造物側のストッパに突き当たるようにしても良い。 【0012】20更に、前記連結部は、第二補強部によって補強されていても良い。 【0013】更に、前記剪断部には、貫通した孔部を一つ又は複数形成することも出来る。 一つ又は複数の孔部を設けることによって、低降伏点鋼を用いなくても、通常の鋼材で同様な低降伏点を実現することが出来る。勿論、低降伏点鋼 前記剪断部には、貫通した孔部を一つ又は複数形成することも出来る。 一つ又は複数の孔部を設けることによって、低降伏点鋼を用いなくても、通常の鋼材で同様な低降伏点を実現することが出来る。勿論、低降伏点鋼に前記孔25部を形成して、降伏点や座屈点を調整するようにしても良い。また、衝撃によ 36 って、前記剪断部が剪断弾塑性変形した際に、剪断部にクラック等が発生することを防止出来、更に、前記剪断部の前記基盤との接合部に形成したときには、溶接箇所を少なくすることも出来る。前記孔部は、前記剪断部の外周部や、その内側に、貫通孔やスリットによって形成することが出来る。 【発明の効果】5【0014】本発明では、二つの剪断部が設けられているので、所定レベル以上の地震の際に、剪断部が直接又は間接に上部構造物のストッパに突き当たり、突き当たったときの衝撃を剪断部が剪断弾塑性変形することにより減衰させることが出来る。また、二つの剪断部を連結部で連結してなるので、より大きな地震時10の振動を吸収することが出来る。更に、二つの剪断部の向きを異ならせることで、一方向だけでなく複数の方向からの地震時の振動を吸収することが出来る。 【図面の簡単な説明】【0015】【図1】本発明を適用した弾塑性履歴型ダンパが用いられる橋梁を示す図であ15り、(A)は橋軸方向の模式的な断面図、(B)は橋軸直角方向の斜視図である。 【図2】本発明を適用した弾塑性履歴型ダンパの斜視図である。 37 【図1】 【図2】 【図3】上記弾塑性履歴型ダンパに中心軸線方向から所定レベル以上の入力が5あったときの状態を示す図であり、(A)は入力方向を示す平面図であり、(B)は斜視図である。 【図2】 【図3】上記弾塑性履歴型ダンパに中心軸線方向から所定レベル以上の入力が5あったときの状態を示す図であり、(A)は入力方向を示す平面図であり、(B)は斜視図である。 【図4】上記弾塑性履歴型ダンパに中心軸線方向に対して斜めの方向から所定レベル以上の入力があったときの状態を示す図であり、(A)は入力方向を示す平面図であり、(B)は斜視図である。 10 38 【図3】 【図4】 【図5】馬蹄型の弾塑性履歴型ダンパを示す図であり、(A)は、(B)の高さ方向中間部の横断面図であり、(B)は斜視図である。 5【図6】U字型の弾塑性履歴型ダンパを示す図であり、(A)は、(B)の高さ方向中間部の横断面図であり、(B)は斜視図である。 39 【図5】 【図6】 【図7】連結部が鋭角のV字型の弾塑性履歴型ダンパを示す図であり、(A)5は、(B)の高さ方向中間部の横断面図であり、(B)は斜視図である。 【図8】連結部が鈍角のV字型の弾塑性履歴型ダンパを示す図であり、(A)は、(B)の高さ方向中間部の横断面図であり、(B)は斜視図である。 40 【図7】 【図8】 【図9】剪断部の先端部に形成された補強部が円筒状に形成された例を示す図であり、(A)は断面図、(B)は斜視図である。 【図10】剪断部の先端部に形成された補強部が十字状に形成された例を示す5図であり、(A)は断面図、(B)は斜視図である。 【図11】(A)-(E)は、剪断部の先端部に形成された補強部の更なる変形例である。 【図12】直角の連結部を示す図であり、(A)は断面図、(B)は斜視図である は断面図、(B)は斜視図である。 【図11】(A)-(E)は、剪断部の先端部に形成された補強部の更なる変形例である。 【図12】直角の連結部を示す図であり、(A)は断面図、(B)は斜視図である。 10【図13】連結部の外側に補強部を設けた図であり、(A)は断面図、(B)は斜視図である。 【図14】連結部の内側に補強部を設けた図であり、(A)は断面図、(B)は 41 斜視図である。 【図15】剪断部の基端部を離間させ連結片で連結した図であり、(A)は断面図、(B)は斜視図である。 【図16】連結部を円筒状にした図であり、(A)は断面図、(B)は斜視図である。 5【図17】連結部の外側に二つの補強片を設けた図であり、(A)は断面図、(B)は斜視図である。 【図18】矩形状を成す連結部を示す図であり、(A)は断面図、(B)は斜視図である。 【図19】剪断部の基端部を離間させ連結片で連結した図であり、(A)は断面10図、(B)は斜視図である。 【図20】馬蹄型の弾塑性履歴型ダンパの剪断部に補強部を形成した図であり、(A)は横断面図、(B)は斜視図である。 【図21】Π 型の弾塑性履歴型ダンパの剪断部に補強部を形成した図であり、(A)は横断面図、(B)は斜視図である。 15 42 【図20】 【図21】 【図22】連結部が鋭角のV字型の弾塑性履歴型ダンパの剪断部に補強部を形成した図であり、(A)は、横断面図であり、(B)は斜視図である。 【図23】連結部を鈍角とし、更に、剪断部と補強部との成す角も鈍角とした5弾塑性履歴型ダンパを示す図であり、(A)は、断面図であり、(B)は斜視図である。 43 【図22】 とし、更に、剪断部と補強部との成す角も鈍角とした5弾塑性履歴型ダンパを示す図であり、(A)は、断面図であり、(B)は斜視図である。 43 【図22】 【図23】 【図24】連結部を円筒状とし、剪断部の先端部にも円筒状の補強部を設けた弾塑性履歴型ダンパを示す図であり、(A)は、断面図であり、(B)は斜視図である。 5【図25】剪断部に貫通した凹字型の孔部を形成した例を示す図であり、(A)は側面図、(B)は正面図である。 【図26】剪断部に貫通したスリット状の孔部を形成した例を示す図であり、(A)は側面図、(B)は正面図である。 【図27】剪断部のコーナ部に貫通した孔部を形成した例を示す図であり、(A)10は側面図、(B)は正面図である。 【図28】剪断部の中央部に貫通した孔部を形成した例を示す図であり、(A) 44 は側面図、(B)は正面図である。 【図29】剪断部の全体に複数の貫通した孔部を形成した例を示す図であり、(A)は側面図、(B)は正面図である。 【図30】連結部を設けずに、二つの剪断部を鋭角のハ字型に配置するとともに、補強部によって剪断部の両端形状をT字状に設けた弾塑性履歴型ダンパを5示す図であり、(A)は、横断面図であり、(B)は斜視図である。 【図31】連結部を設けずに、二つの剪断部を鈍角のハ字型に配置するとともに、補強部によって剪断部の両端形状をT字状に設けた弾塑性履歴型ダンパを示す横断面図である。 【図32】連結部を設けずに、二つの剪断部をT字型に配置するとともに、補10強部によって剪断部の両端形状をT字状に設けた弾塑性履歴型ダンパを示す横断面図である。 【図33】連結部を設けずに、二つの剪断部を略平行に配置するとともに、補強 字型に配置するとともに、補10強部によって剪断部の両端形状をT字状に設けた弾塑性履歴型ダンパを示す横断面図である。 【図33】連結部を設けずに、二つの剪断部を略平行に配置するとともに、補強部によって剪断部の両端形状をT字状に設けた弾塑性履歴型ダンパを示す横断面図である。 15【図34】連結部を設けずに、二つの剪断部を馬蹄状に配置するとともに、補強部によって剪断部の両端形状をT字状に設けた弾塑性履歴型ダンパを示す横断面図である。 【図35】連結部を設けずに、二つの剪断部をU字状に配置するとともに、補強部によって剪断部の両端形状をT字状に設けた弾塑性履歴型ダンパを示す20横断面図である。 【図36】連結部を設けずに、二つの剪断部を鋭角又は鈍角のハ字型に配置するとともに、補強部によって各剪断部をクランク状に設けた弾塑性履歴型ダンパを示す横断面図である。 【図37】連結部を設けずに、二つの剪断部を略平行に配置するとともに、補25強部によって各剪断部をクランク状に設けた弾塑性履歴型ダンパを示す横断 45 面図である。 【図38】連結部を設けずに、二つの剪断部を鋭角又は鈍角のハ字型に配置するとともに、補強部によって各剪断部をコ字状に設けた弾塑性履歴型ダンパを示す横断面図である。 【図39】連結部を設けずに、二つの剪断部を略平行に配置するとともに、補5強部によって各剪断部をコ字状に設けた弾塑性履歴型ダンパを示す横断面図である。 【図40】一方の剪断部が第一のベースプレートと第一のプレート間に固設され、他方の剪断部が第二のベースプレートと第二のプレート間に固設された弾塑性履歴型ダンパを示す横断面図であり、(A)は、一方の剪断部の長手方向が10第一のベースプレートの長手方向と異なるように設けるとともに、他方 第二のベースプレートと第二のプレート間に固設された弾塑性履歴型ダンパを示す横断面図であり、(A)は、一方の剪断部の長手方向が10第一のベースプレートの長手方向と異なるように設けるとともに、他方の剪断部の長手方向が第二のベースプレートや第二のプレートの長手方向と異なるように設けた横断面図であり、(B)は、略一致するように設けた横断面図である。 【図41】第一のベースプレートと第二のベースプレートがベースプレートに15固設され、第一のプレートと第二のプレートがプレートに固設された弾塑性履歴型ダンパを示す横断面図であり、(A)は、一方の剪断部の長手方向が第一のベースプレートの長手方向と異なるように設けるとともに、他方の剪断部の長手方向が第二のベースプレートや第二のプレートの長手方向と異なるように設けた横断面図であり、(B)は、略一致するように設けた横断面図である。 20【図42】弾塑性履歴型ダンパの設置例を示す図であり、(A)は、側面図であり、(B)は斜視図である。 【発明を実施するための形態】【0016】以下、本発明に係る弾塑性履歴型ダンパについて図面を参照して説明する。 25なお、以下、弾塑性履歴型ダンパについて、以下の順に沿って説明する。 46 【0017】1.橋梁の説明2.弾塑性履歴型ダンパの説明3.弾塑性履歴型ダンパの変形例1の説明(馬蹄状)4.弾塑性履歴型ダンパの変形例2の説明(U字状)55.弾塑性履歴型ダンパの変形例3の説明(鋭角V字状)6.弾塑性履歴型ダンパの変形例4の説明(鈍角V字状)7.弾塑性履歴型ダンパの変形例5の説明(剪断部先端の補強部の変形例)8.弾塑性履歴型ダンパの変形例6の説明(連結部の変形例)9.弾塑性履歴 型ダンパの変形例4の説明(鈍角V字状)7.弾塑性履歴型ダンパの変形例5の説明(剪断部先端の補強部の変形例)8.弾塑性履歴型ダンパの変形例6の説明(連結部の変形例)9.弾塑性履歴型ダンパの具体的な構成例の説明1010.剪断部に貫通した孔部及び/又はスリットを設けた変形例の説明11.弾塑性履歴型ダンパの変形例7の説明(連結部の省略)12.弾塑性履歴型ダンパの設置例の説明【0018】[1.橋梁の説明]15図1(A)及び(B)に示すように、一般に、橋桁等の上部構造物1は、橋脚や橋台といった下部構造物2上に設置された支承装置3に支承されている。 図1に示すように、支承装置3には、一般に、固定支承装置3aと可動支承装置3bとがあり、固定支承装置3aは、一般に、上部構造物1の回転変形に対応して鉛直荷重を支持しつつ、水平・鉛直方向の変位を拘束して制限する。可20動支承装置3bは、一般に、上部構造の回転変形と水平変位に対応している。 ところで、新設橋梁では、橋脚等の下部構造物2の耐震性能が高められ、また、反力分散構造や免震構造の採用などが図られている。既設橋梁においても、下部構造物2の補強や支承取り替えや落橋防止システムの付加などの耐震補強工事が行われている。 25【0019】 47 例えば、耐震補強工事では、例えば下部構造物2の水平反力を分散するため、固定支承装置3aを、積層ゴム支承や、支承板支承やローラ支承といった金属支承等の可動支承装置3bに交換する作業が行われる。しかし、固定支承装置3aを可動支承装置3bに交換したときには、上部構造物1の移動量が増大する等の問題が生じ、移動量を制限する必要がある。本発明に係る弾塑性履歴型5ダンパ10は、例えば、可動支承装置 、固定支承装置3aを可動支承装置3bに交換したときには、上部構造物1の移動量が増大する等の問題が生じ、移動量を制限する必要がある。本発明に係る弾塑性履歴型5ダンパ10は、例えば、可動支承装置3bとの組で、建築物や橋梁等において、上部構造物1と下部構造物2との間に設置され、下部構造物2に対する上部構造物1の移動量を制限するようにしている。 【0020】例えば、上部構造物1となる桁は、一対の主桁1a,1aと横桁1bとを有10している。そして、既設橋梁において、固定支承装置3aの下部工耐力が不足している際には、主桁1a,1aの下部フランジ4と下部構造物2である橋脚との間に、それまで上部構造物1の鉛直荷重を支持するために設置されていた固定支承装置3aに替えて可動支承装置3bが設置される。この際、下部構造物2には、可動支承装置3bと組で弾塑性履歴型ダンパ10が設置される。主15として橋軸方向の所定レベル以上の水平力に対して弾塑性履歴型ダンパ10を設置するときには、弾塑性履歴型ダンパ10を上部構造物1の横桁1bに設けられるストッパ16,16で囲むように下部構造物2に設置される。これにより、弾塑性履歴型ダンパ10は、大きな減衰性能により所定レベル以上の水平力を低減する他、高い剛性によりゴム支承や免震支承のみの弾性支持に比べ20水平変位を小さく抑えることが出来る。これにより、弾塑性履歴型ダンパ10は、下部構造物2を縮小出来、また、下部工耐震補強の縮小が可能となる。また、水平変位が小さくなることで桁遊間を小さくすることが可能となり、伸縮装置などの形状も小型化出来る。 【0021】25なお、詳細は後述するが、弾塑性履歴型ダンパ10は、必ずしも、可動支承 48 装置3bとの組で用いる必要があるものではない。ま 縮装置などの形状も小型化出来る。 【0021】25なお、詳細は後述するが、弾塑性履歴型ダンパ10は、必ずしも、可動支承 48 装置3bとの組で用いる必要があるものではない。また、図1のような桁形式の橋梁だけでなく、アーチ橋、トラス橋などの特殊な構造を有する橋梁の端支点、ブレース材の端部や中間部等にも適用することが出来る。 【0022】[2.弾塑性履歴型ダンパの説明]5図2に示すように、本発明が適用された弾塑性履歴型ダンパ10は、二つの剪断部11,11を連結部12で連結して全体が一連となるように形成されている。このような弾塑性履歴型ダンパ10には、剪断部11,11に、一般構造用鋼材に比べ延性に富み、降伏点に対して上下限の規格値を有するため性能安定性に優れた構造用鋼材である低降伏点鋼を用いることが出来る。また、弾10塑性履歴型ダンパ10には、地震エネルギを塑性歪エネルギによって吸収させるものであるため、地震時には確実に塑性化し、履歴挙動のバラツキが小さく、降伏点の許容範囲が狭い低降伏点鋼が好適である。 【0023】低降伏点鋼で形成される剪断部11,11は、例えば矩形板状を成し、平面15状を成している。そして、一端部は、平面板状の連結部12に溶接接合等で固定されている。なお、連結部12も、低降伏点鋼が用いることが可能である。 また、剪断部11,11と連結部12とは、一連の低降伏点鋼板を曲げ加工で形成するようにしても良い。剪断部11,11の他端部は、剪断部11,11の端部を外側に広げるようにコーナ部を介して補強部13,13が曲げ加工に20よって形成されている。勿論、補強部13,13は、剪断部11,11に対して溶接接合でも良い。補強部13,13は、ここでは外側にほぼ90度折曲されてい ナ部を介して補強部13,13が曲げ加工に20よって形成されている。勿論、補強部13,13は、剪断部11,11に対して溶接接合でも良い。補強部13,13は、ここでは外側にほぼ90度折曲されているが、剪断部11,11に対して外側に広がっていれば、剪断部11,11と成す角が鋭角であっても鈍角であっても良い。このように、平面板状の連結部12と一体化された二つの剪断部11,11は、連結部12の側から補25強部13,13側に向かって漸次広がり、略V字状を成し、ここでは、剪断部 49 11,11の延長線の交点が鋭角となるように形成されている。なお、剪断部11及び連結部12に、低降伏点鋼を用いることに限定されるものではなく、一般構造用鋼材等を用いるようにしても良い。 【0024】一体化された剪断部11,11と連結部12は、下部構造物2との取付部の5基盤となるベースプレート14に溶接接合等で固設される。このベースプレート14は、一体化された剪断部11,11と連結部12より大きな鋼板であり、矩形状を成す。そして、略V字状を成す一体化された剪断部11,11と連結部12は、ベースプレート14の幅方向中心線と剪断部11,11間の中心線とがほぼ一致する位置に固定される。また、このベースプレート14は、下部10構造物2に対してアンカーボルト等で固定される。 【0025】更に、一体化された剪断部11,11と連結部12を挟んでベースプレート14の反対側にも、プレート15が設けられ、プレート15には、一体化された剪断部11,11と連結部12が溶接接合等で固定される。このプレート1155は、上部構造物1側に位置するものであり、ベースプレート14と同様なものであっても、異なるものであっても良い。ここでは、ベースプレート14と同 12が溶接接合等で固定される。このプレート1155は、上部構造物1側に位置するものであり、ベースプレート14と同様なものであっても、異なるものであっても良い。ここでは、ベースプレート14と同じものが用いられる。そして、プレート15には、一体化された剪断部11,11と連結部12が剪断部11,11間の中心線とプレート15の幅方向中心線とがほぼ一致する位置に固定される。このプレート15の短辺側端面、すな20わち橋軸直角方向と平行な端面15a,15aは、上部構造物1のストッパと突き当たる部分となる。 【0026】一方、上部構造物1側は、図1(B)及び図2に示すように、上部構造物1の横桁1bにストッパ16,16が設けられている。ストッパ16,16は、25橋軸方向に離間して設けられ、これらストッパ16,16の間に、下部構造物 50 2に固定された弾塑性履歴型ダンパ10が配設される。弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11,11間の中心線を橋軸方向にして、下部構造物2にアンカーボルト等で固定される。かくして、弾塑性履歴型ダンパ10は、主として橋軸方向の所定レベル以上の水平力の入力があったとき、上部構造物1のストッパ16,16とプレート15の橋軸直角方向と平行な端面15a,15aとが5突き当たり、突き当たったときの衝撃を剪断部11,11や連結部12が剪断塑性変形することにより減衰させる。 【0027】具体的に、図3(A)に示すように、弾塑性履歴型ダンパ10は、橋軸方向の入力があったとき、図3(B)に示すように、連結部12のベースプレート1014側の角近傍の剪断部11,11及び連結部12が塑性変形して振動を減衰させる。なお、連結部12のベースプレート14側の角近傍の剪断部11,11及び連結部12の変形の程度は のベースプレート1014側の角近傍の剪断部11,11及び連結部12が塑性変形して振動を減衰させる。なお、連結部12のベースプレート14側の角近傍の剪断部11,11及び連結部12の変形の程度は、橋軸方向の入力の場合、入力の大きさによって異なることになる。 【0028】15また、図4(A)に示すように、橋軸に対して斜めの方向から所定レベル以上の入力があったときには、図4(B)に示すように、入力のあった方向と近い剪断部11が大きく塑性変形し振動を減衰させる。なお、図4の例では、橋軸に対して10°傾いた方向から入力があった状態を示している。連結部12のベースプレート14側の角近傍の剪断部11,11及び連結部12の変形の20程度は、入力の角度や入力の大きさによって異なることになる。 【0029】以上のような弾塑性履歴型ダンパ10は、二つの剪断部11,11を有しているので、剪断部が一つの場合に比べ、より大きな振動を吸収することが出来る。また、剪断部11,11がV字状に開くように形成されているので、例え25ば、剪断部11,11間の中心線が橋軸方向となるように設置されたときにも、 51 橋軸方向からの入力だけでなく、橋軸に対して斜めの方向からの振動も減衰させることが出来る。 【0030】更に、弾塑性履歴型ダンパ10は、二つの剪断部11,11を有し、剪断部11,11間の中心線(橋軸方向)に対して斜めの方向からの振動も減衰させ5ることが出来、剪断部が一つの場合に比べ、入力の許容範囲及び許容角度が広く、入力に対して尤度があるので、弾塑性履歴型ダンパ10を橋梁に取り付ける際に、例えば、剪断部11,11間の中心線が橋軸方向に対してずれ及び/又は傾いていても、振動を減衰させることが出来る。したがって、弾塑性 対して尤度があるので、弾塑性履歴型ダンパ10を橋梁に取り付ける際に、例えば、剪断部11,11間の中心線が橋軸方向に対してずれ及び/又は傾いていても、振動を減衰させることが出来る。したがって、弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部が一つの場合に比べ、据付誤差を吸収することが出来、10施工性が良い。よって、弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部が一つの場合に比べ、例えば、既設橋梁に後付けする場合や、斜角のついた桁や曲線桁や支点部に斜角の付いた桁等に用いる場合に有効である。 【0031】更に、弾塑性履歴型ダンパ10は、二つの剪断部11,11を有しているの15で、剪断部が一つの場合に比べ、剪断部11の高さを低くすることが出来る。 更に、剪断部11の高さを低くすることが出来るので、基部に生じる曲げモーメントを少なくすることが出来、ベースプレート14、プレート15及びアンカーボルト等に対する負荷を低減することが出来る。したがって、弾塑性履歴型ダンパ10は、ベースプレート14及びプレート15の厚さを薄くすること20が出来、アンカーボルトの径を小さくすることが出来る。更に、弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11の高さを低くすることが出来、ベースプレート14及びプレート15の厚さを薄くすることが出来るので、剪断部が一つの場合に比べ、全高を低くすることが出来る。これにより、弾塑性履歴型ダンパ10は、上部構造物1や下部構造物2等の狭い隙間にも配置することが出来、狭隘部で25の作業性が良く、施工性が良い。更に、下部構造物2に例えばブラケット等を 52 配置する場合も、下部構造物2の付近に設けることが出来る。 【0032】なお、以上の例では、主として橋軸方向の振動を減衰させる弾塑性履歴型ダンパ10の設置例を説明したが、弾塑性履歴型ダン 配置する場合も、下部構造物2の付近に設けることが出来る。 【0032】なお、以上の例では、主として橋軸方向の振動を減衰させる弾塑性履歴型ダンパ10の設置例を説明したが、弾塑性履歴型ダンパ10は、橋軸直角方向の振動を減衰させるためにも使用することが出来る。この場合、弾塑性履歴型ダ5ンパ10は、橋軸直角方向に上部構造物1に離間して設けられたストッパ16,16間に、剪断部11,11間の中心線が橋軸直角方向となるように設置される。これにより、弾塑性履歴型ダンパ10は、橋軸直角方向の振動を減衰させることが出来る他に、橋軸直角方向に対して斜めの方向の振動も減衰させることが出来る。更に、弾塑性履歴型ダンパ10の設置に際しては、想定される入10力方向に対して高精度に弾塑性履歴型ダンパ10の剪断変形方向を合わせる設置角度に自由度を持たせることが出来る。 【0033】更に、弾塑性履歴型ダンパ10としては、ベースプレート14やプレート15を省略しても良い。ベースプレート14を省略したときには、下部構造物215に一体化された剪断部11,11と連結部12を固定するようにすれば良い。 また、プレート15を省略したときには、剪断部11,11の先端部や補強部13,13が直接ストッパ16,16に突き当たるようにすれば良い。このようにすることで、弾塑性履歴型ダンパ10の部品点数の削減を図ることが出来る。勿論、ベースプレート14やプレート15を用いた方が、性能の安定性が20向上する点で好ましい。 【0034】[3.弾塑性履歴型ダンパの変形例1の説明(馬蹄状)]図2-図4に示す例では、剪断部11,11と連結部12とがV字状を成す場合を説明したが、図5に示すように、弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部1251,11と連結部1 形例1の説明(馬蹄状)]図2-図4に示す例では、剪断部11,11と連結部12とがV字状を成す場合を説明したが、図5に示すように、弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部1251,11と連結部12とが馬蹄状を成していても同様な効果を得ることが出来 53 る。すなわち、図5の例では、剪断部11,11の間隔が連結部12側に比し、連結部12とは反対側の端部の間隔の方が短くなるように形成されている。この場合、二つの剪断部11,11は、平面板状であっても良いし、曲面板状を成していても良い。また、この例では、一枚の低降伏点鋼板を曲げ加工して、馬蹄状に形成するようにしても良い。曲げ加工の場合には、剪断部11,115と連結部12とを溶接する必要がなくなり、生産効率の向上を図ることが出来る。また、連結部12は、ここでは、湾曲しているが、図2-図4のように平板状であっても良い。 【0035】[4.弾塑性履歴型ダンパの変形例2の説明(U字状)]10図6(A)及び(B)に示すように、弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11,11と連結部12とがU字状を成していても同様な効果を得ることが出来る。すなわち、図6(A)及び(B)の例では、二つの剪断部11,11の間隔が一定となっており、連結部12が湾曲して形成されている。特に、U字状の場合には、剪断部11,11が二つ設けられているので、より大きな振動吸15収することができる。また、橋軸方向に対して斜めの入力に対しても、剪断部11,11と連結部12とで減衰させることが出来る。勿論、連結部12は平板状であっても良い。このような図6(A)及び(B)の例にあっても、U字状の剪断部11,11と連結部12は、曲げ加工によって形成することが出来る。 20[5.弾塑性履歴型ダンパの変形例 平板状であっても良い。このような図6(A)及び(B)の例にあっても、U字状の剪断部11,11と連結部12は、曲げ加工によって形成することが出来る。 20[5.弾塑性履歴型ダンパの変形例3の説明(鋭角V字状)]【0036】図7(A)及び(B)に示すように、弾塑性履歴型ダンパ10は、全体を略V字状に形成し、剪断部11,11を連結する連結部12を鋭角としても同様な効果を得ることが出来る。すなわち、剪断部11,11は、連結部12から25先端部に向かって漸次広がるように形成される。このような図7の例にあって 54 も、剪断部11,11と連結部12は、曲げ加工によって形成することが出来る。特に、剪断部11,11を略V字状としたときには、橋軸に対して斜めの方向からの入力を効果的に減衰させることが出来る。なお、この例では、連結部12が鋭角を成していれば、剪断部11,11は、平面でなく曲面であっても良い。 5【0037】[6.弾塑性履歴型ダンパの変形例4の説明(鈍角V字状)]図8(A)及び(B)に示すように、弾塑性履歴型ダンパ10は、全体を略V字状に形成し、剪断部11,11を連結する連結部12を鈍角としても同様な効果を得ることが出来る。すなわち、剪断部11,11は、連結部12から10先端部に向かって漸次広がるように形成される。このような図8(A)及び(B)の例にあっても、剪断部11,11と連結部12は、曲げ加工によって形成することが出来る。特に、剪断部11,11を略V字状としたときには、橋軸に対して斜めの方向からの入力を効果的に減衰させることが出来る。そして、連結部12の角度の設定によって、効果的に減衰出来る入力の方向を設定するこ15とが出来る。なお、この例では、連結部12が鈍角を成していれ の方向からの入力を効果的に減衰させることが出来る。そして、連結部12の角度の設定によって、効果的に減衰出来る入力の方向を設定するこ15とが出来る。なお、この例では、連結部12が鈍角を成していれば、剪断部11,11は、平面でなく曲面であっても良い。 【0043】[9.弾塑性履歴型ダンパの具体的な構成例の説明]図20(A)及び(B)の例は、図5に示した馬蹄型の弾塑性履歴型ダンパ2010の剪断部11,11の先端部に、先端よりやや基端側に、外側に張り出すように平板状の補強板を形成し、補強部13,13としても良い(図11(B)参照)。図21(A)及び(B)の例は、平板状の連結部12に、剪断部11,11を略平行に形成し、剪断部11,11の基端部から先端部に亘って間隔を一定にしても良い。この際、剪断部11,11の先端部には、外側に張り出す25補強部13,13を溶接接合によって形成しても良い。勿論、補強部13,1 55 3は、溶接ではなく、剪断部11,11の先端部を折り曲げて形成しても良い。 また、連結部12は、剪断部11,11の基端部より外側にはみ出した部分が補強部17,17となる。なお、補強部13,13と剪断部11,11とが成す角は、直角だけでなく、鋭角でも鈍角でも良い。図22(A)及び(B)の例は、全体を略V字状に形成し、剪断部11,11を連結する連結部12を鋭5角とし、剪断部11,11の先端部に、外側に張り出すように補強部13,13を形成している。ここでの補強部13,13は、溶接接合でも良いが、曲げ加工によって形成されている。 【0044】図23(A)及び(B)の例は、剪断部11,11が連結される連結部1210を曲面で形成し、剪断部11,11が成す連結部12の角を鈍角にしている。 更に、剪断部 成されている。 【0044】図23(A)及び(B)の例は、剪断部11,11が連結される連結部1210を曲面で形成し、剪断部11,11が成す連結部12の角を鈍角にしている。 更に、剪断部11,11の先端部の補強部13,13は、外側に、剪断部11,11に対して一連の弧状の曲面を成すように形成されている。更に、図24(A)及び(B)の例に示すように、本発明の弾塑性履歴型ダンパは、連結部12を円筒状に形成し(図16参照)、剪断部11,11が成す角が鈍角となるように15し、更に、剪断部11,11の先端部に円筒状の補強部13,13を形成するようにしても良い(図9参照)。 【0052】[11.弾塑性履歴型ダンパの変形例7の説明(連結部の省略)]図2-図29に示した弾塑性履歴型ダンパ10は、二つの剪断部11,1120を連結部12で連結して全体が一連となるように形成されているが、図30~図39に示すように、連結部12を省略して、剪断部11,11の基端部を離間させるようにしても良い。 【0053】具体的に、図30に示す弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11,11が二25つ設けられており、二つの剪断部11,11の間隔が基端部側から先端部側に 56 向かって鋭角状に漸次広がるように形成されている。すなわち、図30に示す弾塑性履歴型ダンパ10は、二つの剪断部11,11が向きを異ならせて設けられている。更に、図30に示す弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11,11の先端部及び基端部に、剪断部11,11の厚さ方向の両側に張り出すように、補強部13,13を構成する平板状の補強板が溶接接合されて、剪断部151,11の両端形状がT字状を成すように形成されている。更に、図30に示す弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11 り出すように、補強部13,13を構成する平板状の補強板が溶接接合されて、剪断部151,11の両端形状がT字状を成すように形成されている。更に、図30に示す弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11,11が相対するベースプレート14とプレート15間に固設されている。 【0054】以上のような図30に示す弾塑性履歴型ダンパ10であっても、剪断部11,1011が二つ設けられているので、より大きな振動を吸収することができる。また、図30に示す弾塑性履歴型ダンパ10では、二つの剪断部11,11が向きを異ならせて設けられているので、橋軸方向に対して斜めの入力に対しても、剪断部11,11で減衰させることが出来る。 【0070】15[12.弾塑性履歴型ダンパの設置例の説明]弾塑性履歴型ダンパ10は、図1及び図2に示した桁橋の他に、ビル鉄骨、橋梁、鉄道橋等にも用いることが出来る。例えば、図42(A)及び(B)に示すように、構造物のフレーム横梁や橋梁の横支材等51と、ブレース材53の一端が取り付けられ、鉄骨構造の節点に集まる部材相互の接合に用いるガセ20ットプレート52との間(ダンパー配置箇所)に弾塑性履歴型ダンパ10を取り付けることが出来る。この場合、弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11,11の間の方向からの水平力を、剪断部11,11が剪断塑性変形することにより減衰させることが出来る。 【符号の説明】25【0071】 57 1 上部構造物、1a 主桁、1b 横桁、2 下部構造物、3 支承装置、3a 固定支承装置、3b 可動支承装置、4 下部フランジ4、10 弾塑性履歴型ダンパ、11(11a,11b) 剪断部、12 連結部、12a 連結片、12b 円筒体、12c 補強片、 a 固定支承装置、3b 可動支承装置、4 下部フランジ4、10 弾塑性履歴型ダンパ、11(11a,11b) 剪断部、12 連結部、12a 連結片、12b 円筒体、12c 補強片、12d 補強片、13 補強部、13a 補強片、13b 補強部、13c 補強部、14 ベースプレート、155 プレート、15a 端面、16 ストッパ、17 補強部、17a 補強片、17b 補強片、21-25 孔部、51 構造物のフレーム横梁や橋梁の横支材等、52 ガセットプレート、53 ブレース材本件各発明の意義本件明細書によれば、常時や所定レベルまでの地震に対して接続する構造物10の変位を拘束するストッパとして機能し、所定レベル以上の地震に対しては、剪断塑性変形して地震時の振動を低減するという機能を有する部材であるダンパが知られ、上部構造物と下部構造物に構造的に分離できる建築物や橋梁等において用いられていたところ、このような建造物において用いられるダンパとしては、剪断部を一つしか有していないダンパしか知られていなかった(【015001】~【0004】)。しかし、剪断部を一つしか有していないダンパについては、前記所定レベル以上の地震に対して、一方向の水平力に対してしかダンパとして機能しない弱点がある。例えば、橋梁などについて上部構造物と下部構造物の接続部にダンパを設置すると、地震の際に様々な水平方向からの入力が生じるため、前記所定レベル以上の水平力が実際にどの方向から生じるか20は、地震が実際に起きるまで予測ができない。仮に同ダンパを例えば橋軸方向の水平力に対して機能するように設置すると、橋軸方向以外の方向からの入力に対して水平力を十分に減衰できないことになってしまう(【0004】)。本 起きるまで予測ができない。仮に同ダンパを例えば橋軸方向の水平力に対して機能するように設置すると、橋軸方向以外の方向からの入力に対して水平力を十分に減衰できないことになってしまう(【0004】)。本件各発明は、所定レベル以上の地震の際に、複数の方向からの入力に対してダンパとして機能し得る弾塑性履歴ダンパに関するものであり(【0006】)、25複数の剪断部の向きを異ならせることによってこれを実現させるものである 58 (【0014】)。 2 従来の剪断パネル型ダンパについて本件明細書では、剪断パネル型ダンパについて、従来、剪断部を一つしか有していないダンパしか知られていないと記載され、その剪断パネル型ダンパとして言及されているもの(【0002】)は、いずれも剪断パネル1枚を一対の5フランジがそれを直角方向にはさむI形のもの(以下「I字型ダンパ」という。 別紙I字型ダンパ略図1-1~1-3参照)である。(乙1~3。弁論の全趣旨)I字型ダンパは、剪断パネルと平行しその面内を通る方向から力が加わると、剪断パネルが面内方向に平行四辺形に剪断変形することによって、剪断パネル10がその力を吸収するように設計されている(別紙I字型ダンパ略図2-1、2-2参照)。他方で、剪断パネルと直交する方向から力が加わると(別紙I字型ダンパ略図2-1のQ3参照)、剪断パネルに上記の変形は生じず、力を効率的に吸収することができない(このとき、パネルがパネル面から外れて変形する「面外変形」が生じることはあるが、この場合には力を効率的に吸収するこ15とはできない。)。(弁論の全趣旨)3 被告ダンパは、「入力」を受けるものであるか(構成要件G)(争点1-1)についてア 本件発明1の構成要件G、Hは、「前記剪断部は、入力により荷重を受 5とはできない。)。(弁論の全趣旨)3 被告ダンパは、「入力」を受けるものであるか(構成要件G)(争点1-1)についてア 本件発明1の構成要件G、Hは、「前記剪断部は、入力により荷重を受けたときに、変形してエネルギー吸収を行うことを特徴とする弾塑性履歴型ダン20パ」というものであり、本件発明1の対象となる「弾塑性履歴ダンパ」について「剪断部は、入力により荷重を受けたときに、変形してエネルギー吸収を行うことを特徴とする」ものであるとされている。したがって、本件発明1のダンパは、上記に記載された特徴を有するダンパであるところ、その「入力」がどのようなものであるかについて、本件発明1の特許請求の範囲では25何ら定められていない。 59 イ ここで、前記1で説示したとおり、本件各発明は、上部構造物、下部構造物に分離できる橋梁等の建築物において、地震のときに、その接続部において橋軸方向に限らず、複数方向の水平力がかかってしまうところ、同接続部においては、I字形ダンパでは単一方向の入力にしか対応できないという課題について、同課題を解決するために、複数の剪断面を持ち、かつ、その5向きが異なるダンパを適用するというものであり、本件各発明は、そのようなダンパが本件各発明の構成をとることによって、剪断部が、入力により荷重を受けたときに変形してエネルギー吸収を行うというものである。 本件明細書に記載された本件各発明の課題は、上記のとおりであり、従来から知られていた剪断パネル型ダンパである単純なI字形ダンパに対して10単一方向からの入力しか想定されない場面においては、本件各発明における解決すべき課題は存在しない。単一方向からの入力でなく複数方向からの入力が想定される場合に、本件各発明が解決すべき課題が存在することとな 向からの入力しか想定されない場面においては、本件各発明における解決すべき課題は存在しない。単一方向からの入力でなく複数方向からの入力が想定される場合に、本件各発明が解決すべき課題が存在することとなる。 そして、本件明細書には、前記1に記載のとおりの本件各発明の意義が記載されているほか、本件明細書に記載された実施例は、全て、複数方向から15の入力が問題となり、そのような複数方向からの入力に対し、本件発明1の構成をとることによって対応することができるものであると認められる。本件明細書のその他の部分にも、単一方向からの入力に対応することに関する記載はない。これらの本件明細書の記載及び構成要件G、Hの記載から、本件発明1に係るダンパは、ダンパに対して複数方向からの入力が想定される20構造物等の部位に用いられ、ダンパの剪断部に対して複数方向からの入力があり、これに対して対応することができるダンパであると解するのが相当である。 ウ 以上によれば、本件各発明におけるダンパは、その剪断部に複数方向からの入力があり、その剪断部がそれに対する入力により荷重を受けたときに、25変形してエネルギー吸収を行うことを特徴とするもの(構成要件G、H)で 60 あると解するのが相当であり、構成要件Gに係る「入力」は、「複数方向からの入力」を意味し、本件各発明のダンパは、ダンパに対して複数方向からの入力があることを前提として、その剪断部が複数方向からの入力により荷重を受けたときに変形してエネルギー吸収を行うことを特徴とするダンパであると認められる。 5被告ダンパについて検討すると、本件において、原告は、被告ダンパ単体の譲渡等を問題にするのではなく、被告ダンパが住宅である被告製品に用いられて、そのような被告製品が販売されていることを特許発 5被告ダンパについて検討すると、本件において、原告は、被告ダンパ単体の譲渡等を問題にするのではなく、被告ダンパが住宅である被告製品に用いられて、そのような被告製品が販売されていることを特許発明の実施として、被告製品の販売額を基礎として実施料率相当額の損害を請求する。 被告は、6種の被告ダンパを4種の耐力パネルのいずれかに組み込み、これ10を住宅である被告製品の部材として用いている(前提事実)。被告ダンパは各平行板部及び各ウェブ部の一端又は両端が耐力パネルに溶接されているのであって、耐力パネルから取り外して使用されることはおよそ想定されておらず、各耐力パネルも、建物の水平方向に延びる梁や土台等にはさまれるように固定されて設置されており、住宅販売後に耐力パネルのみを取り外して別の用途に15使用するということはおよそ想定されていない(前提事実)。すなわち、被告ダンパは、耐力パネルに物理的にも溶接され、取り外されることはおよそ想定されず、耐力パネルと不可分一体となっているものといえる。 そうすると、本件において問題となる被告の行為は、被告ダンパが不可分一体の一部となった被告製品の製造、販売等であって、被告ダンパが組み込まれ20た被告製品が本件発明1の技術的範囲に属するか否かが問題になるというべきである。 なお、被告は、Σ型の形状の鋼材である被告ダンパを作成し、これを他の部材に組み込むことで耐力パネルを製造していることがうかがえる。もっとも被告ダンパ単体には「一対のプレート」は接続されておらず、耐力パネルに組み25込まれることによって初めて、「一対のプレート」の具備が問題になるのである 61 から、耐力パネルに組み込まれる前の被告ダンパ自体が本件発明1の技術的範囲に入ることはないと解される。 被告製品 ことによって初めて、「一対のプレート」の具備が問題になるのである 61 から、耐力パネルに組み込まれる前の被告ダンパ自体が本件発明1の技術的範囲に入ることはないと解される。 被告製品に組み込まれ、被告製品と不可分一体となった被告ダンパに対して加わる力について検討する。 ア 被告ダンパはいずれも4種類の耐力パネルのいずれかに組み込まれてい5るところ、耐力パネルは、その構造上、耐力パネルが接続している梁の方向の力(耐力パネルが平行四辺形に変更する方向の力)が加わると、いずれの耐力パネルについても、被告ダンパに鉛直方向の力が加わり、所定レベル以上の力が加わると剪断変形によって地震力を吸収する。このとき、被告ダンパに対しては、鉛直方向の力以外の力は加わらない。他方で、耐力パネルに10梁と垂直方向の力が加わっても、被告ダンパには力が加わらず、地震力を吸収することができない。地震力のうち、これらの力の合力については、いずれも上記二つの力に分解できるから、結局、被告ダンパには鉛直方向の力のみが加わるということになる(乙33)。被告製品においては、建物の特定の方向に複数の耐力パネルを設置するとともに、これと直交する方向にも複15数の耐力パネルを設置しており、このように複数の耐力パネルを直交方向に設置することによって、個々のパネルの被告ダンパには鉛直方向の力のみが加わり、その方向の力のみしか吸収できないとしても、各方向に沿って設置された耐力パネルが、両方向に対応する地震力の分力を吸収することで建物全体では任意の方向の地震力を吸収できるように設計されているといえる20(乙3)。 イ 被告ダンパに対しては、一応、前記アのとおりの力のみが加わるといえるが、耐力パネルが設置されている上下の梁がねじれる(回転する)力が加わった るように設計されているといえる20(乙3)。 イ 被告ダンパに対しては、一応、前記アのとおりの力のみが加わるといえるが、耐力パネルが設置されている上下の梁がねじれる(回転する)力が加わった場合には、耐力パネルの構造上、被告ダンパに対し鉛直方向とは異なる方向の力が加わる可能性がないわけではない。そこで、被告製品において鉛25直方向からどの程度ずれる力が加わり得るのかについて検討する。 62 被告は、被告ダンパを搭載した実物大の住宅サンプルに対して、過去最大級の地震の一つである兵庫県南部地震の際にJR鷹取駅で観測された地震波(以下「鷹取地震波」という。)を適用して地震時挙動を測定する実験を行ったところ、その結果によれば、1階に対する2階床の最大回転角は、0. 14°(乙40)、これにより耐力壁に設置されたダンパに対して加わる力5の鉛直方向からのずれは、0.022°であったこと(乙41)が認められる。 ウ 以上を前提に、被告ダンパの剪断部に本件発明1における複数方向からの入力があり、その剪断部が複数方向からの入力により荷重を受けたときに変形してエネルギー吸収を行うものといえるか否かについて検討する。 10特許請求の範囲にも本件明細書にも、前記の複数方向のうち1つの方向といえる角度範囲をどの程度のものと想定しているかについての直接的な記載はない。しかし、そもそも、本件発明1のダンパは、建築物や橋梁等の建物、建造物で用いられるものであるところ、従来のI字型ダンパは、想定する角度からわずかでもずれれば機能しなくなるという15ものではない。I字形ダンパは、入力方向のずれが生じている場合でも、パネルと平行し、面内を通る方向の分力については、入力がパネルと面内を通る方向と平行だった場合と同様に作用することになるから 15ものではない。I字形ダンパは、入力方向のずれが生じている場合でも、パネルと平行し、面内を通る方向の分力については、入力がパネルと面内を通る方向と平行だった場合と同様に作用することになるから、実際の入力と面内を通る方向とのずれがごくわずかであれば、実際の入力とほとんど変わらない力が面内を通る分力として剪断パネルに作用する。 20例えば、入力方向が0.1°ずれた場合には、Cos0.1°=約0.9999985により、約99.99985%の力が面内を通る分力として剪断パネルに作用することになり、この程度の入力方向のずれでは、I字型ダンパに生じる効果に観測できるほどの差は生じないことは明らかである。ま25た、建築の分野において橋梁や住居などの一定の大きさの建造物を建築 63 するに当たって、施工誤差が生じることは当然であり(原告は、後記のとおり耐力パネル設置に当たって少なくとも±0.82°の据え付け誤差が生じると主張している。)、I字型ダンパもそのことを前提に用いられるものとして想定されており、施工の限界を超えた小さい角度差は、単一方向の入力として想定されているというべきである。さらに、I字5型ダンパはパネルと平行し、面内を通る方向から力が加わることによって、平行四辺形に剪断変形することによってその力を吸収するというものである(前記2)が、I字型ダンパの剪断パネルにも一定の厚さがあり、少なくとも厚さの中に納まるような入力方向の小さなズレであれば、パネルの面内を通る方向からの力と評価し得、少なくともこの程度10の入力方向のずれは、同一方向からの入力として想定されているともいえる。 本件明細書においても、本件各発明のダンパは、図面上、いずれも一見して複数の剪断部の方向が異なることが明らかな 程度10の入力方向のずれは、同一方向からの入力として想定されているともいえる。 本件明細書においても、本件各発明のダンパは、図面上、いずれも一見して複数の剪断部の方向が異なることが明らかなもののみであり、その入力方向のズレが相当に小さいことを想定した場合の記載、図面はな15い。そのずれが相当に小さく、例えば、0.1°程度の差を複数方向からの入力と想定した場合、複数のパネルを連結しながらどのように配置すれば効率的に入力を吸収できるかは、本件明細書によっても明らかではない。上記のような差の入力の場合、厚みのある鋼板を用いて、2枚の剪断パネルを0.1°程度の角度をつけて接合し、ダンパを作成する20ことを実現することが現実的であるとはいえない。 以上に述べたところに、前記で記載した本件発明1の意義を考慮すると、本件発明1で対象としている複数方向からの入力は異なる方向からの入力であるというべきところ、その異なる方向からの入力には、少なくとも、従来のI字型ダンパにおいて同一方向からの入力として想定25されていたといえる入力を含まないものと認められる。 64 前記イで認定したとおり、被告製品は、少なくとも鷹取地震波を前提にすると、これによって剪断パネルに一定のねじれが生じ、被告ダンパに鉛直方向からずれた方向からの力も加わることが認められる。しかし、そのずれは0.022°(なお、cos0.02°=約0.999999926)と極めて小さいものである。この程度のずれは、その小ささから5もこれによって被告ダンパに生じる効果に観測できるほどの差が生じるとは認めるに足りないし、このずれは、被告製品が用いられる分野の施工の限界を超える程度であるといえる。また、そのずれは、被告ダンパのウェブ部を形成する鋼板の厚みの中に収 に観測できるほどの差が生じるとは認めるに足りないし、このずれは、被告製品が用いられる分野の施工の限界を超える程度であるといえる。また、そのずれは、被告ダンパのウェブ部を形成する鋼板の厚みの中に収まるような小さなものであることがうかがえる。 10これらによれば、上記実験結果によれば、本件においてねじれによって加わり得る入力方向の違いは、従来のI字型ダンパにおいて同一方向からの入力として想定されていたといえる範囲のものであり、前記で説示した本件発明1が異なる入力方向として想定しているものではないというべきである。 15また、被告製品が鷹取地震波を超える地震波に遭遇することは想定され得る。しかし、上記実験で用いられたのが過去最大級の地震の一つである鷹取地震波であり、その場合であっても上記のとおり入力方向の違いが極めて小さいことからすると、現実に想定し得る鷹取地震波を超える地震においても、被告ダンパに対して本件発明1が想定する程度の鉛20直方向からのずれが生じる剪断パネルのねじれが生じるとも認められない。 以上によれば、被告製品で用いられている被告ダンパの剪断パネルに対してねじれの影響によって生じる入力方向の違いは、その小ささから、本件発明1が想定する程度に達するような、異なる方向からの入力であ25ると評価できるものではないというべきである。 65 エ原告は、前記イの住宅サンプルに対して、鷹取地震波の110%の強度で実験が4回繰り返されたところ、その4回目における1階床に対する2階床の最大回転角は0.18°(28.6%増)であり(甲99)、1階の床の2階の床に対する回転角度である上記0.18°といった値は、建物の倒壊にもつながりかねない大きなものであり、無視できない5数字であることなどを主張する 28.6%増)であり(甲99)、1階の床の2階の床に対する回転角度である上記0.18°といった値は、建物の倒壊にもつながりかねない大きなものであり、無視できない5数字であることなどを主張する。 しかし、本件で問題になっているのは、建物全体に対するねじれの影響ではなく、ねじれによって生じる被告ダンパに対する入力方向の違いであるから、原告の主張する事情は前記ウの判断を左右するものではない。 10 また、原告は、被告製品には複数の耐力パネルが組み込まれているところ、被告ダンパを耐力パネルに据え付けるに当たってその角度に誤差が生じるから(なお、その主張する角度の誤差は±0.82°程度というものである。)、仮に被告Σ型ダンパが組み込まれた部位に対しては一定方向の力しかかからないとしても、設置している被告ダンパの数だけ15(ただし、全く同じ角度で設置されたものは除く。)、被告ダンパにはそれぞれ異なる方向の入力があるから、被告ダンパには複数方向からの入力があると評価できると主張する。 しかし、本件で問題になっているのは、被告製品に用いられている複数の被告ダンパに対するそれぞれの入力が別の方向からの入力である20か否かではなく、個々の被告ダンパにつき、それに対して複数方向の入力があるか否かであるから、原告の主張する事情は前記ウの判断を左右するものではない。 本件各発明におけるダンパは、タンパに対して複数方向からの入力があることを前提として、その剪断部が複数方向からの入力により荷重を受けたと25きに変形してエネルギー吸収を行うものであると解するのが相当であり(前 66 記)、本件では、被告製品に組み込まれた状態で被告ダンパの剪断部に複数方向からの入力があり、複数方向からの入力により荷重を受けたときに変形し うものであると解するのが相当であり(前 66 記)、本件では、被告製品に組み込まれた状態で被告ダンパの剪断部に複数方向からの入力があり、複数方向からの入力により荷重を受けたときに変形してエネルギー吸収を行うものであるか否かが問題になる(前記)。 被告製品に対しては複数方向からの入力はあり得るものの、前記ウのとおり、被告ダンパの剪断部には、本件各発明の技術的範囲の属否の検討に際5しては、鉛直方向という単一方向の力のみしか加わらないと評価するのが相当であるから、被告製品のダンパは、少なくとも、構成要件G所定の「入力」があることを前提として、その剪断部がそのような複数方向からの入力により荷重を受けたときに変形してエネルギー吸収を行うもの(構成要件G)であるものとは認められない。 10よって、被告製品は、いずれも本件発明1の技術的範囲に属するとはいえない。そして、本件発明1の技術的範囲に属することが本件発明3、6、7、8、10の技術的範囲に属することの前提となっているから、被告製品は、これらの発明の技術的範囲に属しているともいえない。 第4 結論15よって、被告製品は、本件各発明の技術的範囲に属するとはいえないから、その余の争点について判断するまでもなく、原告の請求には理由がない。よって、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 20 裁判長裁判官 柴 田 義 明 裁判官 杉 田 時 基25 67 裁判官 仲 田 憲 史 (別紙物件目録省略)(別紙被告Σ形ダンパ形状省略)5(別紙対応表省略)(別紙耐力パネル概要省略)(別紙被告ダンパ1形状省略)(別紙被告Σ形ダンパ接 田 憲 史 (別紙物件目録省略)(別紙被告Σ形ダンパ形状省略)5(別紙対応表省略)(別紙耐力パネル概要省略)(別紙被告ダンパ1形状省略)(別紙被告Σ形ダンパ接続態様省略)(別紙I字型ダンパ略図省略)10 15 20 25

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