平成18(ネ)860 損害賠償請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成19年3月20日 福岡高等裁判所 棄却 福岡地方裁判所 久留米支部 平成17(ワ)69
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判決文本文4,771 文字)

主文 本件控訴をいずれも棄却する。 控訴費用はXの負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨 原判決を取り消す。 Yらは,Xに対し,連帯して金636万2500円及びうち金536万2500円に対する平成16年3月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要以下の点を付加訂正するほかは原判決第2事案の概要のとおりであ,「」るから,これを引用する。 「」「。 「」。」 原判決2頁22行目の有限会社の次に以下被控訴会社というを加える。 ,,「, 同3頁11行目末尾の次に改行の上(2)Y2の関連会社であるAはh県i郡j町大字k○番地においてパチンコ店B店を経営している同店「」。 内にはパチンコ球遊器回胴式遊技機が設置してあるが近時の体感器によ,,,る不正遊技の被害を受けて,体感器を使用しての競技は禁止する旨の掲示をし,体感器を使用しなくても装着していれば退店させることにしていた。また,不正遊技を見張るために従業員が常時モニター監視ビデオ録画をし発,(),見次第警察に通報することにしていた(乙イ1・194頁以下,357頁以。 下,571頁以下,乙イ2,乙ロ1」を加える。 ) 同3頁12行目冒頭の(2)を(3)と改め以下同種の項目番号 「」「」,,(頁24行目の(3)11頁末行の(4)12頁22行目の(5)を順次「」,「」,「」)一つずつ繰り下げる。 原判決4頁18行目の本件パチンコ店から同25行目までを上記従業「」「 員らはいずれもY2の従業員であった」と改める。 。 同5頁3行目の手元をの次に拡大してを同4行目の冒頭にXが「 行目の本件パチンコ店から同25行目までを上記従業「」「 員らはいずれもY2の従業員であった」と改める。 。 同5頁3行目の手元をの次に拡大してを同4行目の冒頭にXが「」「」,「スタートレバーに手を触れないのに同レバーが動いているように見え」を,,同行の思われたことからの次に警察に通報するとともにを同6頁「,」「,」,4行目の「リード線2本」の次に「C従業員が,本件遊技機のスタートレバ(ーから取り外した約28センチメートルのものと,床上から拾い上げた約38.4センチメートルのもの」を,同8頁3行目末尾に続けて「なお,本件)刑事事件の捜査を担当したのも同検察官であった」を,同9頁3行目の「主。 張」の次に「を変更」を,それぞれ加える。 第3当裁判所の判断 争点①(本件公訴提起及び本件公訴追行の違法性の有無)について(1)本件公訴提起についてア公訴の提起は検察官が裁判所に対して犯罪の成否刑罰権の存否につ,,き審判を求める意思表示にほかならないから公訴提起時における検察官,の心証はその性質上判決時における裁判官の心証とは異なり公訴提,,,起時における各種の証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により被告人を有罪と認めることができる嫌疑があれば足りると解すべきであり刑,事事件において無罪の判決が確定したというだけで直ちに検察官の公訴提起が違法となるわけではないしたがって検察官の公訴提起が国家賠償。 ,法上の違法に当たると評価されるのは有罪と認められる嫌疑がなく経,,験則・論理則に照らして公訴提起の合理性を肯定できない場合に限られる。 イところでXは本件刑事事件について全部無罪の判決を受け同判決,,,が確定している(前 れる嫌疑がなく経,,験則・論理則に照らして公訴提起の合理性を肯定できない場合に限られる。 イところでXは本件刑事事件について全部無罪の判決を受け同判決,,,が確定している(前提事実(5)ア)が,同判決は「被告人が)本件体感,(器を用いて不正に本件遊技機を作動させていたことを窺わせる複数の事情は存在する」とし,さらに「被告人の)弁解内容はいかにも不自然・不( 合理な印象を禁じ得ないとしながらも本件パチンコ店の従業員らの目」,撃証言には矛盾があるから信用性が低いとして「疑わしきは被告人の利,益にの原則に従い犯罪の証明がないというべきであるとしたものであ,」ってその一事からしても本件公訴提起が違法であるなどということが,,できないことは明らかである。そればかりか,前提事実(3)ア,イの事実に照らせばF検察官が本件公訴提起をしたことは検察官としての職責,,上至極当然のことであって,何ら違法性はないものというべきである。 (2)本件公訴追行についてア公訴を追行する検察官は当然に公訴を提起した検察官の収集した証拠,及び心証を引き継ぐことになるから公訴の提起が違法でないならば原,,則として公訴の追行が違法となることはないというべきであるしたがっ。 て公訴提起後公判において有罪と認められる嫌疑を否定する証拠が提,,出されそれにより公訴提起時における証拠構造が崩され有罪判決を期,,待することが到底できなくなったというような特段の事情が認められる場合でなければ検察官の公訴追行が国家賠償法上の違法に当たることはな,いと解すべきである。 イそこでF検察官の本件公訴追行について上記のような特段の事情が認,められるかどうかを検討するに本件刑事事件の一件記録乙イ1 追行が国家賠償法上の違法に当たることはな,いと解すべきである。 イそこでF検察官の本件公訴追行について上記のような特段の事情が認,められるかどうかを検討するに本件刑事事件の一件記録乙イ1を精,()査してもXの有罪の嫌疑を否定するような証拠が提出されたとは認めら,れないむしろ本件刑事事件については本件公訴提起時に既に明らか。 ,,となっていた各事実現行犯逮捕直後のXの身体に本件体感器が装着され(ていたことXが当日午後2時04分ころから午後2時50分ころまでの,間に本件遊技機で3回ものボーナスを引き当てていたことXがD従業員,らに対して土下座して謝罪をしたことに加えて本件公訴提起後に公判),に提出されて取り調べられた新たな証拠により本件遊技機は最も難易度,の高い設定1にされており理論上ボーナスを引き当てることができる,, のは260回に1回程度の割合でしかなかったことXとともに本件パチ,ンコ店で遊技をしていたHの自宅から回胴式遊技機の当選図柄の分布図と思われる円グラフなどが描かれたノートが発見されたことなどが明らかとなったところこれらの事実はいずれもXが本件体感器を用いて不正に本,件遊技機を作動させていた事実を推認させるものであってXが有罪と認,められる嫌疑はより深まったとさえいえるのである。 ウもっとも本件刑事事件の捜査に当たった警察官やF検察官が本件体,,感器の操作につきリード線及びコード線の長さや被告人Xの弁解に,()も着目した詰めの捜査を行わなかったことG弁護人が第1回公判期日,,でこの点を見据えた求釈明をしたのに対しF検察官においてXが左腕,,にソレノイドを装着して不正行為をした旨客観的には不可能な操作方法,を主張しその方向 G弁護人が第1回公判期日,,でこの点を見据えた求釈明をしたのに対しF検察官においてXが左腕,,にソレノイドを装着して不正行為をした旨客観的には不可能な操作方法,を主張しその方向での立証を続けたことは遺憾なことといわなければ,,。 ,,,ならないしかしながら前提事実(3)ア及びイの諸事情がありしかも被告人Xの弁解が極めて不自然・不合理なものであり到底まともに(),検討するに値しないようなものであったことからすると上記の点をF検,察官の落ち度として追及するのはいささか酷なことといわなければならないそしてF検察官においても上記問題点を認識してからは立証の。 ,,,立て直しのため補充捜査を指示して体感器本体からのコード線の長さ,,やソレノイドのコード線の長さソケットの位置及びXの身長や腕の長,,,,さなどの補充捜査をさせ平成15年10月2日の第8回公判期日ではXはソレノイドを左腕ではなく左足膝下付近に装着してそのソレノイ,,ドから延ばしたリード線を本件遊技機のスタートレバーに掛けて犯行を行ったと主張を変更し同年11月20日の第10回公判期日ではこの主,,張にそった補充の冒頭陳述を行いさらにXの供述する方法での犯行可能,性について再現実験ソレノイドの事後取外しの容易性などXの犯行を裏,付ける立証や再申請したCE従業員の尋問では同従業員らがXの動,,, きと事前に見たゴト師の教育ビデオの内容とを誤って供述した可能性があるがXが手を動かさないのにスタートレバーが動いていた事実を立証す,るなど的確な追加立証活動をおこなったことが認められるのである以,(,,,,,上について乙イ1・28頁31頁以下156頁以 さないのにスタートレバーが動いていた事実を立証す,るなど的確な追加立証活動をおこなったことが認められるのである以,(,,,,,上について乙イ1・28頁31頁以下156頁以下194頁以下777頁以下780頁以下788頁以下795頁以下798頁以,,,,下828頁以下901頁以下912頁以下914頁以下 ,,,,,頁以下,929頁以下,940頁以下,949頁以下,962頁以下。 )そうであれば本件刑事事件が全証拠資料を総合勘案しても有罪判決を期,待することが到底できなくなったというような特段の事情がある場合でないことは明らかである。 エなお付言すれば,本件刑事事件に対する判決は,専ら「窃盗」についての説示に終始しており,本件体感器を装着して本件パチンコ店に立ち入ったという「建造物侵入」の訴因については殆ど言及されないまま,全部無罪の結論が導かれている感があるところ,これは,おそらく刑法130条の「正当な理由がないのに」の要件を「電子機器を用いて不正に遊技機を作動させてメダルを窃取する目的で」と特定したことによるものと考えられる。しかしながら,Xが体感器を装着して入店している以上,そのような不正な目的を有していたものと強く推認されるところであるし,そもそも同罪は,他人の看守する建造物に管理者の意思に反して立ち入ることで成立するものと解すべきところ前提事実(2)に明らかなように本件パチ,,ンコ店の管理者は,およそ体感器の持ち込み(これを装着しての入店)自体を禁じていたのであるから,果たしてXが建造物侵入の点についても無罪とされるべきであったのかは多分に疑問が残るところである。 オ以上によれば,F検察官の本件公訴追行が国家賠償法上の違法に当たるとはいえない。 (3 あるから,果たしてXが建造物侵入の点についても無罪とされるべきであったのかは多分に疑問が残るところである。 オ以上によれば,F検察官の本件公訴追行が国家賠償法上の違法に当たるとはいえない。 (3)そうすると,F検察官の本件公訴提起及び本件公訴追行に国家賠償法上 の違法があったということはできず争点①についてのXの主張は理由がな,いしたがってY1の関係においては争点③について判断するまでもな。 ,,く,Xの国家賠償請求は理由がないことに帰する。 争点②(Y2の不法行為(使用者責任)の成否)についてこの点の判断は原判決が23頁21行目から24頁16行目までに説示す,るとおりであるから,これを引用する。 そうすると,Y2との関係においても,争点③について判断するまでもなく,Xの請求は理由がないことになる。 結論 以上によればXの請求をいずれも棄却した原判決は相当であって本件控,,訴はいずれも理由がない。 福岡高等裁判所第3民事部裁判長裁判官西理裁判官有吉一郎裁判官吉岡茂之

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