30,123 文字
主文 一、 原判決中、津地方裁判所上野支部が昭和四一年六月二五日なした仮処分決定(昭和四一年(ヨ)第一〇号不動産処分禁止等仮処分申請事件、以下原仮処分決定といろ。)につき、(一) 第一審債務者Aに対する第二項および第八項の仮処分を認可した部分は、これを取り消す。(二) 第一項のうち、第一物件目録記載の(1)ないし(16)、(19)、(21)、(24)、第五物件目録記載の(1)、(3)ないし(5)、第六物件目録記載の(1)、(2)、第一〇物件目録記載の(1)ないし(4)、(6)ないし(8)の各物件に対する仮処分を認可した部分、第三項のうち、第四物件目録記載の物件に対する仮処分を取り消し右取消部分に対する仮処分申請を却下した部分、第四項のうち、第一、第五、第一〇各物件目録記載の前掲各該当物件および第七物件目録記載の(1)ないし(5)の各物件に対する仮処分を認可した部分、第五項のうち、第六物件目録記載の前掲各該当物件および第八物件目録記載の(1)、(2)の各物件に対する仮処分を認可した部分、第六項のうち、第一、第四、第五、第一〇各物件目録記載の前掲各該当物件に対する仮処分を認可した部分、第七項のうち、第六物件目録記載の前掲各該当物件に対する仮処分を認可した部分、第九項のうち、第四物件目録記載の物件に対する仮処分を取り消し右取消部分に対する仮処分申請を却下した部分(第三項に関する)、第一、第五、第七、第一〇各物件目録記載の前掲各該当物件に対する仮処分を認可した部分(第四項に関する)、第六、第八各物件目録記載の前掲各該当物件に対する仮処分を認可した部分(第五項に関する)、第一〇項のうち、第一、第五、第六各物件目録記載の前掲各該当 処分を認可した部分(第四項に関する)、第六、第八各物件目録記載の前掲各該当物件に対する仮処分を認可した部分(第五項に関する)、第一〇項のうち、第一、第五、第六各物件目録記載の前掲各該当物件に対する仮処分を認可した部分は、いずれもこれを取り消す。 する)、第六、第八各物件目録記載の前掲各該当物件に対する仮処分を認可した部分(第五項に関する)、第一〇項のうち、第一、第五、第六各物件目録記載の前掲各該当 処分を認可した部分(第四項に関する)、第六、第八各物件目録記載の前掲各該当物件に対する仮処分を認可した部分(第五項に関する)、第一〇項のうち、第一、第五、第六各物件目録記載の前掲各該当物件に対する仮処分を認可した部分は、いずれもこれを取り消す。二、 原判決中、前項の取消部分を除くその余の部分のうち、(一) 原仮処分決定第一項の仮処分を認可した部分を取り消す。原仮処分決定第一項の右仮処分を取り消す。右取消部分に対する第一審債権者等の仮処分申請を却下する。(二) 原仮処分決定第六項に関する部分をつぎのとおり変更する。原仮処分決定第六項中、被申請人比自岐農業協同組合および同Bに対し、「第一物件目録記載の(17)、(18)、(20)、(22)、(23)、第二物件目録記載の(1)、(2)、第五物件目録記載の(2)、第九物件目録記載の(1)ないし(3)の各物件に立ち入ること」を禁止する部分はこれを認可し、その余の部分はこれを取り消す。右取消部分に対する第一審債権者Cの仮処分申請を却下する。(三) 原仮処分決定第七項に関する部分をつぎのとおり変更する。原仮処分決定第七項中、被申請人比自岐農業協同組合および同Bに対し「第三物件目録記載の(1)、(2)、第六物件目録記載の(3)、(4)の各物件に立ち入ること」を禁止する部分はこれを認可し、その余の部分はこれを取り消す。右取消部分に対する第一審債権者Dの仮処分申請を却下する。(四) 原仮処分決定第九項に関する部分を取り消す。原仮処分決定第九項の仮処分を取り消す。右取消部分に対する第一審債権者等の仮処分申請を却下する。(五) 原仮処分決定第一〇項に関する部分を取り消す。原仮処分決 消す。原仮処分決定第九項の仮処分を取り消す。右取消部分に対する第一審債権者等の仮処分申請を却下する。(五) 原仮処分決定第一〇項に関する部分を取り消す。原仮処分決定第一〇項の仮処分を取り消す。右取消部分に対する第一審債権者等の仮処分申請を却下する。三、 原判決中、一、の取消部分を除くその余の部分のうち、(一) 原仮処分決定第三項に関する部分に対する第一審債権者等の控訴を棄却する。(二) 原仮処分決定第四項に関する部分に対する第一審債権者Cの控訴を棄却する。 る第一審債権者等の仮処分申請を却下する。(五) 原仮処分決定第一〇項に関する部分を取り消す。原仮処分決定第一〇項の仮処分を取り消す。右取消部分に対する第一審債権者等の仮処分申請を却下する。三、 原判決中、一、の取消部分を除くその余の部分のうち、(一) 原仮処分決定第三項に関する部分に対する第一審債権者等の控訴を棄却する。(二) 原仮処分決定第四項に関する部分に対する第一審債権者Cの控訴を棄却する。(三) 原仮処分決定第五項に関する部分に対する第一審債権者Dの控訴を棄却する。四、 訴訟費用は第一、二審を通じ、第一審債務者Aとの間に生じた分については第一審債権者等の負担とし、その余はこれを五分し、その四を第一審債権者等、その一を第一審債務者比自岐農業協同組合および同Bの各負担とする。事実 第一審債権者ら訴訟代理人は、「原判決主文中、第二項ないし第四項を取り消す。本件当事者間の津地方裁判所上野支部昭和四一年(ヨ)第一〇号不動産仮処分命令申請事件につき、同裁判所支部が昭和四一年六月二五日なした仮処分決定(原仮処分決定)中、第三項並びに第四項のうち、第一物件目録記載の(17)、(18)、(20)、(22)、(23)、第五物件目録記載の(2)、第九物件目録記載の(1)、(2)、(3)の各物件、第五項のうち、第六物件目録記載の(3)、(4)の各物件に関する部分はこれを認可する。訴訟費用は第一、二審とも第一審債務者らの連帯負担とする。」旨の判決を求め、第一審債務者ら訴訟代理人は、「原判決主文第一項を取り消す。原仮処分決定中、第一項、第二項、第六項、第七項、第八項、第九項、第一 用は第一、二審とも第一審債務者らの連帯負担とする。」旨の判決を求め、第一審債務者ら訴訟代理人は、「原判決主文第一項を取り消す。原仮処分決定中、第一項、第二項、第六項、第七項、第八項、第九項、第一〇項、ならびに第四項のうち、第一物件目録記載の(1)ないし(16)、(19)、(21)、(24)、第五物件目録記載の(1)、(3)、(4)、(5)、第七物件目録記載の(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、第一〇物件目録記載の(1)、(2)、(3)、(4)、(6)、(7)、(8)の各物件、第五項のうち、第六物件目録記載の(3)、(4)の各物件に関する部分はこれを取り消し、その部分に関する第一審債権者らの仮処分申請を却下する。 第一物件目録記載の(1)ないし(16)、(19)、(21)、(24)、第五物件目録記載の(1)、(3)、(4)、(5)、第七物件目録記載の(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、第一〇物件目録記載の(1)、(2)、(3)、(4)、(6)、(7)、(8)の各物件、第五項のうち、第六物件目録記載の(3)、(4)の各物件に関する部分はこれを取り消し、その部分に関する第一審債権者らの仮処分申請を却下する。訴訟費用は第一、二審とも第一審債権者らの負担とする。」旨の判決を求めた。第一審債権者ら訴訟代理人および第一審債務者ら訴訟代理人は、いずれも相手方の控訴に対し、控訴棄却の判決を求めた。当事者双方訴訟代理人の事実上の陳述、疏明の提出、援用、認否は、つぎに付加するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、ここに右記載を引用する。一、 第一審債権者ら訴訟代理人の事実上の陳述(一) 原判決事実摘示中、第一の一のうら「従来別紙第一、第二、第五、第七各物件目録」とあるを、「従来別紙第一、第二、第四、第五、第七各物件目録」と、原判決添付の第一〇物件目録中「比自岐」とあるを、「摺見」と、それぞれ訂正する。なお、原判決事実摘本中、第一の六のうち「さらに同年三月一八、一九日債権者Cが当時右Eから……、右仮登記物件を右両名名義に所有権移転登記をなした。」とあるは、第一審債権者Cが、申請外Eから金銭的利益を度外視した援助を受けていた間柄であつたので、別紙第一ないし第一〇物件目録記載の土地・建物の売却の便宜を得るため、同申請外人にその所 をなした。」とあるは、第一審債権者Cが、申請外Eから金銭的利益を度外視した援助を受けていた間柄であつたので、別紙第一ないし第一〇物件目録記載の土地・建物の売却の便宜を得るため、同申請外人にその所有名義のみを預けたという趣旨である。(二) 第一審債権者らの主張の要旨は、本件土地・建物は、単に登記簿上の所有名議のみを、所有者たる第一審債権者等より申請外Eおよび同Fの両名に移転したにすぎず、しかも本件上地の大部分が現況水田(合計七反歩)および採草放牧地であるのにかかわらずこれが所有権移転につき農地法に定められた所轄官庁の許可を受けていないのであるから、いずれの点からするも右申請外人両名において本件土地・建物に対する適法な所有権、占有権を取得するいわれはない。また、第一審債務者Bは、これまた第一審債権者等の都合上、右申請外E、同Fの両名または第三者から本件土地・建物に関する登記簿上の所有名義のみの移転を受けたものにすぎず、しかも前記同様これにつき農地法に定められた所轄官庁の許可を受けていないのであるから、第一審債務者らは、これらの物件に対する所有権および占有権を取得するいわれはないのである。 土地・建物に対する適法な所有権、占有権を取得するいわれはない。また、第一審債務者Bは、これまた第一審債権者等の都合上、右申請外E、同Fの両名または第三者から本件土地・建物に関する登記簿上の所有名義のみの移転を受けたものにすぎず、しかも前記同様これにつき農地法に定められた所轄官庁の許可を受けていないのであるから、第一審債務者らは、これらの物件に対する所有権および占有権を取得するいわれはないのである。これを要するに、本件土地・建物の真実の所有権および占有権は、前記の理由で、依然として第一審債権者らに帰属している。というにある。なお、本件土地の主眼たる大部分の土地が現況水田および採草放牧地であり、爾余の土地・建物はその附属物件である以上、本件土地・建物を一団の目的物としてなされた売買(仮りに本件土地・建物につき売買がなされたとしても)は、これにつき農地法に定める所轄官庁の許可なき限り、全体として無効であると解するのが相当である(最高裁判所昭和三四年(オ)第四二号、昭和三五年三月一七日第一小法廷判決、民集一四巻三号四六一頁)。また、 つき農地法に定める所轄官庁の許可なき限り、全体として無効であると解するのが相当である(最高裁判所昭和三四年(オ)第四二号、昭和三五年三月一七日第一小法廷判決、民集一四巻三号四六一頁)。また、農地法に基づく所轄官庁の許可なき売買により第一審債務者Bらに対し本件土地・建物の引渡がなされたとしても、それは正権原に基づく適法な占有としての法的保護を受けるに値しないものと解すべきである(最高裁判所昭和三三年(オ)第一〇五三号、昭和三七年五月二九日第三小法廷判決、民集一六巻五号一二二六頁)。二、 第一審債務者ら訴訟代理人の事実上の陳述(一) 本件仮処分異議事件の審理範囲は、異議申立の趣旨により制限を受けることは明らかである。たとえば、当該仮処分の一部についてのみ異議申立がなされたならば、この部分に関する仮処分決定の当否を決するに必要な事項にのみ審理を止めるべきで、この部分に無関係な事項についてまで審理をなすは、弁論主義の建前からいつても許されざるところとすべきである。本件は、記録に徴し明らかなごとく、仮処分決定の目的たる多数の物件のうち、その一部について異議申立をしたのであるから、この申立にかかる部分についてのみ判断すべきであるのにかかわらず、異議申立のない部分についてまで判断した原判決は違法であるから、その取消を求める。 要な事項にのみ審理を止めるべきで、この部分に無関係な事項についてまで審理をなすは、弁論主義の建前からいつても許されざるところとすべきである。本件は、記録に徴し明らかなごとく、仮処分決定の目的たる多数の物件のうち、その一部について異議申立をしたのであるから、この申立にかかる部分についてのみ判断すべきであるのにかかわらず、異議申立のない部分についてまで判断した原判決は違法であるから、その取消を求める。(二) 第一審債権者等は、本件土地の大部分は水田七反歩および採草放牧地であつて、その所有権移転については所轄官庁の許可を要する旨を主張するが、右主張事実は否認する。けだし、本件土地については農地法に定める許可を得るの必要がなかつたからこそ、右土地の所有権移転登記手続およびその引渡が円滑に完了したのである。(三) 第一審債権者等は、本件土地を過去二〇数年にわたり農地として耕作してきた旨主張するが、それにもかか がなかつたからこそ、右土地の所有権移転登記手続およびその引渡が円滑に完了したのである。(三) 第一審債権者等は、本件土地を過去二〇数年にわたり農地として耕作してきた旨主張するが、それにもかかわらず土地台帳および登記簿上地目変換の手続をなさず、従つて公租公課の基礎となる地価は農地よりもはるかに格安に評価されて多年にわたり不当な利益をむさぼつてきたものである。しかるに、本件土地・建物の所有権移転登記手続完了後に至つて、今更ながら現況農地または採草放牧地であることを理由として本件土地・建物の売買契約の効力を否認するがごときは著しく信義に反する。第一審債権者等の右主張はこの点からするも失当である。(四) しかのみならず、本件土地につき所有権を取得した第一審債務者Bおよび比自岐農業協同組合は、いずれも農地法に定める買受適格者である。(1) 右Bは、農地一三五アールの耕作者であるので、農地法三条二項五号に該当せず、農地買受の適格者である(疏乙第三〇号証)。(2) 比自岐農業協同組合は、農地法施行令一条三号に該当し、買受適格者である。すなわち、仮りに本件土地所有権移転につき農地法による許可を要するとするも、ただその申請をすれば足りるのであつて、農地法に基づく許可なき一事をもつて本件土地売買の効力を否認することはできない筋合である。(五) しかも、第一審債権者等は、申請外Eらに本件土地・建物を売却するに先立ち、本件土地につき牧畜、耕作の業を廃止し、かつ再開の意思を有しなかつたものである。 施行令一条三号に該当し、買受適格者である。すなわち、仮りに本件土地所有権移転につき農地法による許可を要するとするも、ただその申請をすれば足りるのであつて、農地法に基づく許可なき一事をもつて本件土地売買の効力を否認することはできない筋合である。(五) しかも、第一審債権者等は、申請外Eらに本件土地・建物を売却するに先立ち、本件土地につき牧畜、耕作の業を廃止し、かつ再開の意思を有しなかつたものである。かかる状態のもとにおいて第一審債権者らは、右申請外人等に対して本件土地を売却したものであるから、右売却当時においては、本件土地は既に農地法適用の対象に該当してはいなかつたものである。なんとなれば、公簿上地目が農地または採草放牧地でない土地については に対して本件土地を売却したものであるから、右売却当時においては、本件土地は既に農地法適用の対象に該当してはいなかつたものである。なんとなれば、公簿上地目が農地または採草放牧地でない土地については、土地所有者がそれらの用に供しなくなり、またその意思がなくなれば、いつでも公簿上の地目の土地すなわち非農地としてこれを処分し得るのは当然であつて、この場合農地転用の問題は起り得ない。第一審債権者等訴訟代理人引用にかかる判例は、いずれも本件には適切ではない。(六) 因第一審債権者等は、本件土地が農地または採草放牧地なりと称しながら、現在に至るまで農地に地目を変換する手続をとつていない(土地台帳法四七条)。これは、地目変換の目的ないし意思がなかつたか、農地法の僣脱を図る闇農地であると断ぜざるを得ない。かかる闇農地は法の保護に値しない。すなわち、土地の所有者の利害打算により、あるときは農地法の規制を逋脱したり、あるときは逆に規制による保護を求めるごとき勝手気儘な主張をなすことは、それ自体著しく裁判に対する侮辱と断ぜざるを得ない。(七) 更に、第一審債権者等の、本件土地・建物については単にその所有名義のみを移転したにすぎず真実の所有権および占有権は依然として第一審債権者等に帰属する旨の主張は、左記事実に徴しその虚偽であることは明白である。(1) 第一審債権者等が訴外Eらに本件土地・建物の移転登記手続をする以前に既につぎのような事実が存在した。(イ) 本件C牧場の畜牛、機械、器具、建物内の家財道具、什器、畳、建具等動産一切を強制執行により競売に付され換価処分されてしまつたので牧場は廃止された。 義のみを移転したにすぎず真実の所有権および占有権は依然として第一審債権者等に帰属する旨の主張は、左記事実に徴しその虚偽であることは明白である。(1) 第一審債権者等が訴外Eらに本件土地・建物の移転登記手続をする以前に既につぎのような事実が存在した。(イ) 本件C牧場の畜牛、機械、器具、建物内の家財道具、什器、畳、建具等動産一切を強制執行により競売に付され換価処分されてしまつたので牧場は廃止された。(ロ) そのためそれまで牧場内の建物の一部に居住していた第一審債権者Cは退去して上野市aにある「G食堂」に住居を移し、同店の経営に専従するに至つ され換価処分されてしまつたので牧場は廃止された。(ロ) そのためそれまで牧場内の建物の一部に居住していた第一審債権者Cは退去して上野市aにある「G食堂」に住居を移し、同店の経営に専従するに至つた。従つて、右牧場に隣接する現況田と称する土地の耕作も廃した。(ハ) 牧場の目的たる畜牛全部を失い、また経営上必要な機械器具等一切を失つたので、牧草の肥培管理の必要がなくなつたからこれも廃止された。(ニ) それまで現況採草放牧地(農地)であつた本件上地は、前記のとおり、牧畜等の目的が消滅し、将来再びその目的に使用される見込みなきに至つたので、その後は現況農地ではなくなつた。(ホ) 畜牛その他の動産については前述のとおりであるが、本件土地・建物についても総額一、〇〇〇万円を超える債務のため、抵当権設定、仮差押等がなされ、早晩競売に至るべき運命にあつた。(ヘ) 第一審債権者等は、本件土地・建物の全部を競売されても、なおその債務全額を完済することができない状態であつた。同債権者等は、競売価格よりも割高に任意売却処分をしようとして奔走したにもかかわらず買手がつかなかつたことは、その自認するところである。(2) 第一審債権者Cは、申請外Eから本件土地・建物の譲渡の対価として金五〇〇万円以上を受け取つているし、第一審債務者比自岐農業協同組合においては右Cに対する約一、〇〇〇万円の元利金債権を帳消しにした上数一〇〇万円の債務を肩替り弁済したから、本件土地・建物は、金一、五〇〇万円以上の対価を第一審債権者Cにもたらしたのである。三、 疏明関係(省略) 理由 一、 職権をもつて按ずるに、(一) 原仮処分決定につき、第一審債務者Aが異議の申立をなしていないことは、本件記録に徴し明らかなところである。 つているし、第一審債務者比自岐農業協同組合においては右Cに対する約一、〇〇〇万円の元利金債権を帳消しにした上数一〇〇万円の債務を肩替り弁済したから、本件土地・建物は、金一、五〇〇万円以上の対価を第一審債権者Cにもたらしたのである。三、 疏明関係(省略) 理由 一、 職権をもつて按ずるに、(一) 原仮処分決定につき、第一審債務者Aが異議の申立をなしていないことは、本件記録に徴し明らかなところである。しかるに、原判決 ) 理由 一、 職権をもつて按ずるに、(一) 原仮処分決定につき、第一審債務者Aが異議の申立をなしていないことは、本件記録に徴し明らかなところである。しかるに、原判決において同債務者に対する原仮処分決定第二項および第八項の当否を判断していることは不適法であるから、原判決中右各項に関する部分は、主文一、(一)のとおりこれを取り消すべきである。(二) さらに、仮処分決定に対し異議の申立がなされた場合、その審判の範囲は異議の申立の趣旨により制限を受け、仮処分裁判所は、その制限範囲内において裁判をなすべきことは、弁論主義の建前上言をまたずして明らかなところである。原判決において、別紙第一ないし第一〇物件目録記載の全物件にわたり原仮処分決定の当否につき判断がなされているが、右物件のうち、第一物件目録記載の(1)ないし(16)、(19)、(21)、(24)の各物件、第四物件目録記載の物件、第五物件目録記載の(1)、(3)ないし(5)の各物件、第六物件目録記載の(1)、(2)の各物件、第七物件目録記載の(1)ないし(5)の各物件(全部)、第八物件目録記載の(1)、(2)の各物件(全部)、第一〇物件目録記載の(1)ないし(4)、(6)ないし(8)の各物件(全部、但し(5)は欠)に関しては、第一審債務者比自岐農業協同組合、同Bにおいて異議の申立をなしていないことは本件記録に徴して明らかであるから、原判決中、右各物件に対する仮処分を認可しまたは取り消した部分は、これまた主文一、(二)のとおりこれを取り消すべきである。二、 以下第一審債務者比自岐農業協同組合、同Bに対する第一物件目録記載の(17)、(18)、(20)、(22)、(23)、第二物件目録記載の(1)、(2)(全部)、第三物件目録記載の(1)、(2)(全部) 下第一審債務者比自岐農業協同組合、同Bに対する第一物件目録記載の(17)、(18)、(20)、(22)、(23)、第二物件目録記載の(1)、(2)(全部)、第三物件目録記載の(1)、(2)(全部)、第五物件目録記載の(2)、第六物件目録記載の(3)、(4)、第九物件目録記載の(1)ないし(3)(全部)の各物件(いずれも異議申立にかかる物件、以下本件上地・建物という。 録記載の(1)、(2)(全部) 下第一審債務者比自岐農業協同組合、同Bに対する第一物件目録記載の(17)、(18)、(20)、(22)、(23)、第二物件目録記載の(1)、(2)(全部)、第三物件目録記載の(1)、(2)(全部)、第五物件目録記載の(2)、第六物件目録記載の(3)、(4)、第九物件目録記載の(1)ないし(3)(全部)の各物件(いずれも異議申立にかかる物件、以下本件上地・建物という。)に関する原仮処分決定の当否について判断する。(一) 被保全権利の有無について。第一審債務者等の主張にかかる仮処分牴触の点については、原仮処分決定の各項に関する後述の個別的判断に譲り、便宜上まず第一審債権者等の被保全権利(本件土地・建物に対する所有権または占有権)の有無につき判断を示すこととする。各成立につき争いのない甲第一七、第一八号証、第二〇号証、第二二、第二三号証、第二五、第二六号証、第二七、第二八号証、第二九、第三〇号証、第三二、第三三号証、第三六、第三七号証、第四五ないし第四七号証、第七九号証の一、二、第八〇号証の二、第一審債権者C、同Dの各名下の印影部分の成立につき争いがなく、これによりその余の記載部分も真正に成立したものと推定すべき乙第七号証の二、三、当審証人Eの証言により各但書部分の成立を認め得べく、(当審における第一審債権者C本人尋問の結果中、右成立を疑わしめるがごとき供述部分は、右証言と対比してにわかに措書しがたい。)、その余の記載部分の成立につき争いのない乙第七号証の四、五および七(乙第二三、第二四号証、および第二六号証と同一)、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる乙第八号証の一、第一審債権者Cの署名押印部分の成立につき争いがなく、その余の記載部分の成立については当審における証人Eの証言、第一審債務者B本人尋問の結果によりこれを認 に成立したものと認められる乙第八号証の一、第一審債権者Cの署名押印部分の成立につき争いがなく、その余の記載部分の成立については当審における証人Eの証言、第一審債務者B本人尋問の結果によりこれを認め得る乙第八号証の二(但し、当審における第一審債権者C本人尋問の結果中、右成立を疑わしめるがごとき供述部分は、右証言および本人尋問の結果と対比してにわかに措言しがたい。)、当審証人Eの証言により各成立を認め得る乙第八号証の三、四、第一審債権者D名下の印影部分および法務局の印影部分の各成立につき争いがなく、これによりその余の記載部分の成立も真正に成立したものと推定すべき乙第八号証の五、法務局の印影部分の成立につき争いがなく、これと弁論の全趣旨を総合して真正に成立したものと認められる乙第八号証の六ないし九、第一審債権者等名下の印影部分および法務局の作成部分の成立につき争いがなく、これによりその余の各記載部分も真正に成立したものと推定すべき乙第一五ないし第二二号証、各成立につき争いのない乙第二入、第二九号証、第三二、第三三号証、第三九号証、当審における証人H、回Eの各証言、第一審債権者C、第一審債務者Bの各本人尋問の結果(いずれも後記措信しない部分を除く。 立したものと認められる乙第八号証の六ないし九、第一審債権者等名下の印影部分および法務局の作成部分の成立につき争いがなく、これによりその余の各記載部分も真正に成立したものと推定すべき乙第一五ないし第二二号証、各成立につき争いのない乙第二入、第二九号証、第三二、第三三号証、第三九号証、当審における証人H、回Eの各証言、第一審債権者C、第一審債務者Bの各本人尋問の結果(いずれも後記措信しない部分を除く。)、ならびに弁論の全趣旨を総合すれば、つぎの事実が疏明される。すなわち、第一審債権者Cは、昭和三六年一〇月頃より別紙各物件目録記載の土地、建物において牧場を経営していたが、牧場の造成、経営の目的で第一審債務者比自岐農業協同組合より資金の貸付を受け、同農業協同組合に対し元利合計約八四〇万円にのぼる債務を負担していた上、訴外I等の負債の保証人となつたりしたため、ようやく牧場経営も不振に陥り、昭和四〇年一月二人目に至り債権者より約三〇頭の乳牛全部とその他の動産物件等の強制執行を受けるに及び、牧場経営も 担していた上、訴外I等の負債の保証人となつたりしたため、ようやく牧場経営も不振に陥り、昭和四〇年一月二人目に至り債権者より約三〇頭の乳牛全部とその他の動産物件等の強制執行を受けるに及び、牧場経営も全く不可能となつて倒産するに至つたが、その後も引き続き債権者等から厳しい督促を受けたため、訴外EことEと債務整理について協議した結果、一応右訴外Eに対し本件牧場の土地を譲渡し、右訴外人と協力してこれを一層有利に転売して債務の弁済に充てた上なお余剰の利益に与らんことを企図し、昭和四〇年二月八日右訴外Eおよび同人の知人Fの両名に対し第一審仮処分債権者C所有名義の第一物件目録記載の(1)ないし(24)、第二物件目録記載の(1)、(2)、第七物件目録記載の(1)、(4)、第九物件目録記載の(1)ないし(3)の各物件、第一審債権者D所有名義の第三物件目録記載の(1)、(2)、第六物件目録記載の(1)の各物件等を代金一、二〇〇万円、毎月一〇〇万円の割賦支払の約で売り渡し、売買予約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記手続を経由したところ、その後も競売の申立がなされる等債権者の追及が激しく続いたため、昭和四〇年三月一九日右訴外人等に対し所有権移転の本登記手続を経由したこと、訴外Eは、右牧場代金内金および登記立替金ならびに他の債権者に対する代位弁済金等合せて約五〇〇万円余を第一審債権者Cのために出損したが、その間C等の奔走にかかわらず早急に転売の見込みもたたなかつたのみならず、第一審債務者比自岐農業協同組合より抵当権実行の通知を受けた上、同農業協同組合に対する債務が、当初第一審債権者Cより聞き及んでいたところよりも、案に相違して前記のごとく多額にのぼり、その債務の担保として前記譲渡物件につき同農業協同組合のため抵当権設定登記手続がなされていることを知り、ここ 円余を第一審債権者Cのために出損したが、その間C等の奔走にかかわらず早急に転売の見込みもたたなかつたのみならず、第一審債務者比自岐農業協同組合より抵当権実行の通知を受けた上、同農業協同組合に対する債務が、当初第一審債権者Cより聞き及んでいたところよりも、案に相違して前記のごとく多額にのぼり、その債務の担保として前記譲渡物件につき同農業協同組合のため抵当権設定登記手続がなされていることを知り、ここ 当初第一審債権者Cより聞き及んでいたところよりも、案に相違して前記のごとく多額にのぼり、その債務の担保として前記譲渡物件につき同農業協同組合のため抵当権設定登記手続がなされていることを知り、ここにおいて右Eは、第一審債務者比自岐農業協同組合と善後策につき接衝を重ねた結果、同農業協同組合に対し右E、F所有名義に移した前記土地、建物のほか、第一審債権者Cおよび同Dの承諾を得て、右C所有名義の第四物件目録記載の土地、第五物件目録記載の(3)、第七物件目録記載の(2)、(3)、(5)の各土地、第一〇物件目録記載の(1)ないし(4)、(6)ないし(8)の各建物、右D所有名義の第六物件目録記載の(2)ないし(4)、第八物件目録記載の(1)、(2)の各土地、ならびに実質上Cの所有であるが公簿上J等第三者所有名義のままだつた土地をも合せて別紙各物件目録記載の土地、建物全部を代金五〇〇万円で譲渡することとし、他方第一審債務者比自岐農業協同組合は前記のごとく第一審債権者Cに対する多額の債権の担保として右譲渡にかかる土地、建物(担し第一〇物件目録記載の建物を除く。)に対し抵当権を有していたところから、他の抵当権者に対する対抗策として、形式上同農業協同組合の参事たる第一審債務者Bおよびその子Aの所有名義に所有権移転登記手続を経由する反面、右土地、建物に対する実質的所有権を確保する目的で第一審債務者Bに金一、二〇〇万円を貸し付けて右土地、建物につき同人等を登記義務者とする抵当権設定登記手続を経由したこと、同農業協同組合は、原仮処分決定発令前たる昭和四一年六月二〇日頃学校法人愛農学園に対し右土地、建物の大部分(本件土地・建物の全部を含む。)を代金一、七〇〇円で譲渡して、第一審債務者B、同Aの設定した右抵当権設定登記の抹消登記手続および右愛農学園に対する所有権移 学校法人愛農学園に対し右土地、建物の大部分(本件土地・建物の全部を含む。 建物につき同人等を登記義務者とする抵当権設定登記手続を経由したこと、同農業協同組合は、原仮処分決定発令前たる昭和四一年六月二〇日頃学校法人愛農学園に対し右土地、建物の大部分(本件土地・建物の全部を含む。)を代金一、七〇〇円で譲渡して、第一審債務者B、同Aの設定した右抵当権設定登記の抹消登記手続および右愛農学園に対する所有権移 学校法人愛農学園に対し右土地、建物の大部分(本件土地・建物の全部を含む。)を代金一、七〇〇円で譲渡して、第一審債務者B、同Aの設定した右抵当権設定登記の抹消登記手続および右愛農学園に対する所有権移転登記手続を了したこと、本件土地(本件異議申立にかかる分)については、後記のごとく現況田または採草放牧地であるにかかわらず、登記簿上の地目が原野、山林または雑種地として登載されていた関係上、農地法に基づく県知事の許可を得ることなく、いずれも所有権移転登記手続をなすことを得たものであること(本件土地・建物中、第三物件目録記載の(1)、(2)、第六物件目録記載の(3)、(4)の土地は第一審債権者D、その余の土地、建物は第一審債権者Cの所有であつたこと、本件土地・建物につき訴外E等に対して所有権移転請求権保全の仮登記または所有権移転登記手続(仮登記の分については所有権移転の本登記手続)、第一審債務者B、同Aに対して所有権移転登記手続がなされたことは、いずれも当事者間に争いがない。)以上の事実を認めることができ、当審における証人H、同Eの各証言、第一審債権者C、第一審債務者Bの各本人尋問の結果、ならびに甲第六七、第六八号証、第七九号証の一、二、第八〇号証の二、乙第一一号証添付の「上申書」、乙第三二、第三三号証の各記載中、右認定に反する各供述および記載部分は冒頭掲記の各証拠と対比してたやすく措信しがたく、他に右認定を左右するに足りる疏明資料はない。しかして、当審における証人Hの証言、第一審債権者C本人尋問の結果、ならびに右証言および本人尋問の結果により昭和四〇年当時における本件牧場および田の現況の写真であることを認め得る甲第五九号証の一ないし九、第七一号証の一ないし五、成立につき争いのない甲第七八号証を総合すれば、本件土地を含む別紙各物件目録記 和四〇年当時における本件牧場および田の現況の写真であることを認め得る甲第五九号証の一ないし九、第七一号証の一ないし五、成立につき争いのない甲第七八号証を総合すれば、本件土地を含む別紙各物件目録記載の土地は、上野市内近鉄K駅からほぼ東方約五キロの丘陵地帯に在り、この丘陵を利用して牧場として造成され、その現況をみるに、北西部から南西部へかけてその中央部は多少の起伏はあるも、おおむね北および東から南および西に向つてゆるやかに下る斜面をなし、わずかに北西部から南部へかけての牧場周辺部は山林としての原形をとどめるのみで、他はほとんど全域にわたりオーチヤード、クローバー等の牧草やすすきが生育繁茂する草生地として採草放牧地の状況を呈していること、そのうち第三物件目録記載の(1)の土地は右牧場内に在り、現況上西北隅一九二平方米(北辺二六米、東辺七・五米、南辺二七米、西辺七米の矩形の部分)には、農舎兼車庫用の三棟の建物が連なつて建てられており、西端の建物は木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建で現に物置兼車庫として使用され、中央の建物は木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建風呂場、東端の建物は木造スレート葺一部亜鉛メッキ鋼板葺下屋付物置で現に柴、割木、古材、わら等の置場として利用されていること、そしてその余の土地部分は四枚の田として耕作されていること、第二物件目録記載の(1)、(2)(全部)の土地は、現況田として耕作されていること、第一物件目録記載の(20)の土地は本件牧場の東方周辺部に、また第六物件目録記載の(4)の上地は本件牧場の南東周辺部に在つて、ともに雑木山となつているが、いずれも本件牧場の草生地部分に連なり、また本件牧場約三万六、〇〇〇坪に対して前者は一〇歩、後者は一畝一〇歩の僅少な面積であるのみならず、事実上該当地を明確に特定することも困難な状況であることに鑑み (全部)の土地は、現況田として耕作されていること、第一物件目録記載の(20)の土地は本件牧場の東方周辺部に、また第六物件目録記載の(4)の上地は本件牧場の南東周辺部に在つて、ともに雑木山となつているが、いずれも本件牧場の草生地部分に連なり、また本件牧場約三万六、〇〇〇坪に対して前者は一〇歩、後者は一畝一〇歩の僅少な面積であるのみならず、事実上該当地を明確に特定することも困難な状況であることに鑑み ずれも本件牧場の草生地部分に連なり、また本件牧場約三万六、〇〇〇坪に対して前者は一〇歩、後者は一畝一〇歩の僅少な面積であるのみならず、事実上該当地を明確に特定することも困難な状況であることに鑑みれば、右の雑木山をなす各土地部分も採草放牧地とみられること、右に特記した土地を除いては、本件土地の現況は前記のごとくおおむね採草放牧地をなしていること―以上の事実を認めることができ、他に右認定を左右するに足りる疏明資料はない。しかして、第三物件目録記載の(1)の土地のろち田の部分を除くその余の土地部分も右認定のごとく農機具等の物置兼車庫、風呂場の敷地であつて、田またはその周辺の採草放牧地(牧場)と不可分の一体を形成するものとみるべきであるから、右敷地部分も農地と認めるのを相当とする(昭和三五年三月一七日最高裁判所第一小法廷判決、民集一四巻三号四六一頁参照)。前記各認定のごとく、本件土地・建物は、第一審債権者等より結局第一審債務者比自岐農業協同組合(但し登記名義は第一審債務者B)に、更に訴外学校法人愛農学園に譲渡せられ、所有権移転登記手続を経由したが、本件土地については、これが田または採草放牧地である以上、その譲渡については農地法三条に基づく県知事の許可を要すべきところ、上野市農業委員会名下および第一審債権者等の名下の各印影部分の成立につき争いがなく、これによりその余の記載部分も真正に成立したものと推定すべき甲第七〇号証、当審における第一審債権者C本人尋問の結果によれば、本件土地の譲渡につき県知事の許可を得ていないことは明らかであるから、その譲渡は無効であり、右土地所有権は、依然として第一審債権者等に帰属するものというべきである。なお、第一審債務者等は、「本件土地台帳および登記簿上地目変換の手続をなさず、従つて公租公課の基礎となる地価は 無効であり、右土地所有権は、依然として第一審債権者等に帰属するものというべきである。 おける第一審債権者C本人尋問の結果によれば、本件土地の譲渡につき県知事の許可を得ていないことは明らかであるから、その譲渡は無効であり、右土地所有権は、依然として第一審債権者等に帰属するものというべきである。なお、第一審債務者等は、「本件土地台帳および登記簿上地目変換の手続をなさず、従つて公租公課の基礎となる地価は 無効であり、右土地所有権は、依然として第一審債権者等に帰属するものというべきである。なお、第一審債務者等は、「本件土地台帳および登記簿上地目変換の手続をなさず、従つて公租公課の基礎となる地価は農地よりもはるかに格安に評価されて長年にわたり不当な利益をむさぼつてきたものであるのにかかわらず、本件において現況農地または採草放牧地であることを理由として、本件土地の譲渡の効力を否認するのは著しく信義に反する」旨主張するが、たとえ右主張のごとき事実が存するとしても、この一事をもつて直ちに信義則違反なりとし、農業政策上の公益目的から定められた農地法三条による県知事の許可を要しないとする根拠は存しないので、右主張はそれ自体失当として採用に値しない。また、第一審債務者等は農地の買受適格者であるから、農地法三条による県知事の許可なきことの一事をもつて本件土地の譲渡の効力を否認し得ない旨主張するが、農地の買受適格者といえども同法三条による県知事の許可を要すべきことは自明の理であつて右許可なき限り農地の譲渡の無効たるべきことはこれまた多言を要しないところである。更に、第一審債務者等は、本件土地につき第一審債権者等が牧畜・耕作の業を廃止しこれを再開する意図が全くなかつたから本件土地を非農地として処分し得る旨主張するが、農地か非農地かはその現況につきこれを決する建前をとる農地法においては、右主張のごとき主観的事情が存したとしても、本件土地の現況が田または採草放牧地たること前記認定のごとくである以上、その譲渡につき農地法三条に基づく県知事の許可を要すべきことは言をまたないところである。その他、第一審債務者等の主張は独自の見解に基づくものとしていずれも採用の限りではない。そして、本件建物については、第一審債権者Cは右譲渡によりこれが所有権を喪失したが、 またないところである。その他、第一審債務者等の主張は独自の見解に基づくものとしていずれも採用の限りではない。そして、本件建物については、第一審債権者Cは右譲渡によりこれが所有権を喪失したが、当審における第一審債権者C本人尋問の結果および弁論の全趣旨によれば、同債権者は未だ右建物の占有を保持しているもののごとく窺われないでもないので、同債権者は本件建物につき占有権を有するものと解すべきである。 が、 またないところである。その他、第一審債務者等の主張は独自の見解に基づくものとしていずれも採用の限りではない。そして、本件建物については、第一審債権者Cは右譲渡によりこれが所有権を喪失したが、当審における第一審債権者C本人尋問の結果および弁論の全趣旨によれば、同債権者は未だ右建物の占有を保持しているもののごとく窺われないでもないので、同債権者は本件建物につき占有権を有するものと解すべきである。(二) 原仮処分決定第一項について。前記(一)において認定したごとく、第一物件目録記載の(17)、(18)、(20)、(22)、(23)、第二物件目録記載の(1)、(2)(全部)、第五物件目録記載の(2)、第九物件目録記載の(1)ないし(3)、(以上の物件は、もと第一審債権者C所有名義)、第三物件目録記載の(1)、(2)(以上の物件は、もと第一審債権者D所有名義)の各物件は、既に第一審債務者比自岐農業協同組合より学校法人愛農学園に譲渡され、登記名義人たる第一審債務者Bより同学園に所有権移転登記手続を経由している以上、同債務者等は右物件につきなんらの処分権限を有していないのみならず、本件処分禁止の仮処分記入登記をなすに由なきことに鑑みれば、第一項の仮処分はその必要性を欠くものとせざるを得ないので、これを取り消し、第一審債権者等のこの点に関する仮処分申請を却下するのほかはない。(三) 原仮処分決定第三項について。原仮処分決定第三項のうち、異議申立にかかる第二物件目録記載の(1)、(2)(全部)、第三物件目録記載の(1)、(2)(全部)に関する「第一審債務者等の占有を解き、これらを第一審債権者等の委任する執行官に占有管理させることを命ずる。受任執行官は、第一審債権者等の申出があるときは、右土地のうち第二物件目録記載の(1)、(2)の土地 第一審債務者等の占有を解き、これらを第一審債権者等の委任する執行官に占有管理させることを命ずる。受任執行官は、第一審債権者等の申出があるときは、右土地のうち第二物件目録記載の(1)、(2)の土地を第一審債権者Cに、第三物件目録記載の(1)、(2)の土地を第一審債権者Cに、第三物件目録記載の(1)、(2)の土地を同Dにそれぞれ耕作させることができる。」旨の、いわゆる断行の仮処分の適否について判断する。(1) 第一審債務者等は、第三項の仮処分は、同債務者等の先になした立入禁止等の仮処分と牴触する旨主張するので、まずこの点につき検討する。 きは、右土地のうち第二物件目録記載の(1)、(2)の土地を第一審債権者Cに、第三物件目録記載の(1)、(2)の土地を第一審債権者Cに、第三物件目録記載の(1)、(2)の土地を同Dにそれぞれ耕作させることができる。」旨の、いわゆる断行の仮処分の適否について判断する。(1) 第一審債務者等は、第三項の仮処分は、同債務者等の先になした立入禁止等の仮処分と牴触する旨主張するので、まずこの点につき検討する。各成立につき争いのない乙第三、第四号証および弁論の全趣旨によれば、第一審債務者比自岐農業協同組合および同Bは、仮処分申請人として昭和四一年五月、津地方裁判所に対し第一審債権者Cを被申請人として、前記物件に対する占有権ないし所有権を被保全権利として、土地、建物立入等禁止の仮処分申請をなし、同月一二日同裁判所より「被申請人は、本件土地・建物に立入り、開墾、耕作その他使用をしてはならない。」旨の仮処分決定(以下第一次仮処分決定という。)の発令を得、これが送達により右仮処分の執行を了したことを認めることができ、他に右認定を覆えすに足りる疏明資料はない。そこで、第一審債権者Cに対する第一次仮処分と原仮処分決定(第二次仮処分決定)との牴触の有無を検討するに、一般に、仮処分決定ないしその執行に対する仮処分債務者の不服申立方法については、民訴法において特に仮処分異議の申立、事情変更による取消申立、特別事情による取消申立等の方法が定められており、これら法定の不服申立方法にようずして、仮処分債務者が右仮処分と牴触する第二次の仮処分を申請し、これを執行することによつて第一次の仮処分の効力を奪うことは許されないものと解 の方法が定められており、これら法定の不服申立方法にようずして、仮処分債務者が右仮処分と牴触する第二次の仮処分を申請し、これを執行することによつて第一次の仮処分の効力を奪うことは許されないものと解すべきである(昭和三年五月一二日大審院決定、民集七巻三五〇頁、昭和四三年七月一一日最高裁判所第一小法廷判決参照)。ところで、本件においては、前記認定のごとく、第一審債務者(第一次仮処分申請人)たる比自岐農業協同組合およびBは、訴外学校法人愛農学園に対し第一次仮処分の目的物件たる本件土地・建物を譲渡し、その所有権移転登記手続を経由したので、第一次仮処分債権者としての適格の変動の有無が問題とされるところである。 る(昭和三年五月一二日大審院決定、民集七巻三五〇頁、昭和四三年七月一一日最高裁判所第一小法廷判決参照)。ところで、本件においては、前記認定のごとく、第一審債務者(第一次仮処分申請人)たる比自岐農業協同組合およびBは、訴外学校法人愛農学園に対し第一次仮処分の目的物件たる本件土地・建物を譲渡し、その所有権移転登記手続を経由したので、第一次仮処分債権者としての適格の変動の有無が問題とされるところである。けだし、右比自岐農業協同組合およびBの第一次仮処分債権者としての適格が右仮処分の目的物件の譲渡により失われるとすれば、第一審債権者(第一次仮処分被申請人)たるCと第一審債務者(第一次仮処分申請人)たる比自岐農業協同組合および同Bとの間においては、第一次仮処分と原仮処分(第二次仮処分)との牴触の問題を生ずる余地がないからである。<要旨第一>そこで、まず、第一審債務者(第一次仮処分申請人)の本件土地・建物の譲渡により第一次仮処分債権者とし</要旨第一>ての適格にいかなる影響を及ぼすかにつき考察するに、独乙民訴法における当事者恒定主義を採用していない我が民訴法の建前からすれば、仮処分の目的物件につき当該仮処分債権者からその所有権を取得し、または抵当権、賃借権等の設定を受けた特定承継人は、右実体上の権利の設定、変動に伴い当該仮処分債権者としての適格をも承継取得するものと解するのが相当である(この場合、事は仮処分訴訟手続に関する面の問題であるから、承継執行文の要否は問らところではない。)。しかして、抵当権、賃借権等の設定等の場合においては目的物 承継取得するものと解するのが相当である(この場合、事は仮処分訴訟手続に関する面の問題であるから、承継執行文の要否は問らところではない。)。しかして、抵当権、賃借権等の設定等の場合においては目的物件の所有権を維持する限り右仮処分債権者としての適格を失わないが、所有権譲渡の場合においてはこれを失うものとする有力な見解が存するが、当裁判所は、右目的物件の所有権の譲渡(交替的承継)たると、抵当権、賃借権等の設定等(併加的承継)たるとを問わず右仮処分の当初の債権者はこれにより仮処分債権者としての適格を失わないものと解する。すなわち、仮処分決定が発令されれば、被申請人において何時にても仮処分異議の申立をなし得、これにより判決手続に移行するものである以上、右仮処分の訴訟手続は右決定の発令をもつて直ちに終了するものではなく、仮処分当事者間においては潜在的な訴訟状態が継続しているものとみられるのであつて、仮処分発令後生じた特定承継人については民訴法七三条の参加承継、または七四条の引受承継の手続に準じて処理されるべきものと解すべきである。 分決定が発令されれば、被申請人において何時にても仮処分異議の申立をなし得、これにより判決手続に移行するものである以上、右仮処分の訴訟手続は右決定の発令をもつて直ちに終了するものではなく、仮処分当事者間においては潜在的な訴訟状態が継続しているものとみられるのであつて、仮処分発令後生じた特定承継人については民訴法七三条の参加承継、または七四条の引受承継の手続に準じて処理されるべきものと解すべきである。そして民訴法による参加承継、または引受承継においては当初の訴訟当事者(被承継人)は目的物件の譲渡により当然には当該訴訟から離脱する効果を受けるものではなく、同法七二条による脱退の手続による以外は、新当事者たる特定承継人と共同訴訟人となるものとする民訴法の建前のもとでは、仮処分についてもその目的物件の譲渡により仮処分当事者としての適格が移転するが、当初の仮処分当事者(被承継人)としての適格がそのことにより当然には失われないものと解するのが相当である。本件についていえば、第一審債務者(第一次仮処分申請人)比自岐農業協同組合および同Bが第一次仮処分の目的物件たる本件土地・建物を訴外学校法人愛農学園に譲渡した後も、右の理により 解するのが相当である。本件についていえば、第一審債務者(第一次仮処分申請人)比自岐農業協同組合および同Bが第一次仮処分の目的物件たる本件土地・建物を訴外学校法人愛農学園に譲渡した後も、右の理により第一次仮処分債権者としての適格を失わないのみならず、後掲二、(五)に説示するとおり、右譲渡後も右愛農学園の承諾のもとに、本件土地・建物の占有権(第一次仮処分の被保全権利)を従前に引きつづき保持しているものであるから、この点からするも第一次仮処分債権者としての適格を保有するものと解すべきである以上、第一審債権者(第一次仮処分被申請人)Cとの間における第一次仮処分と原仮処分(第二次)との牴触の有無を検討しなければならないしだいである。本件においては、第一次仮処分決定は、前記のごとく本件土地・建物に対する立入等を禁止する旨の不作為を命ずる仮処分であるのに対し、原仮処分決定(第二次)第三項は、第一審債務者等(第一次仮処分申請人)の第二物件目録記載の(1)、(2)の物件に対する占有を解き、執行官にこれを占有管理せしめ、執行官は第一審債権者C(第一次仮処分被申請人)の申出によりこれを耕作せしめることができる旨を命ずるものであつて、第一審債務者等(第一次仮処分申請人)をして第一審債権者C(第一次仮処分被申請人)の右土地の耕作を認容・甘受せしめることに帰し、結局原仮処分決定(第二次)第三項の執行により第一次仮処分決定による不作為義務を除却し、これが効力を失わしめることになることは明らかである。 にこれを占有管理せしめ、執行官は第一審債権者C(第一次仮処分被申請人)の申出によりこれを耕作せしめることができる旨を命ずるものであつて、第一審債務者等(第一次仮処分申請人)をして第一審債権者C(第一次仮処分被申請人)の右土地の耕作を認容・甘受せしめることに帰し、結局原仮処分決定(第二次)第三項の執行により第一次仮処分決定による不作為義務を除却し、これが効力を失わしめることになることは明らかである。かかる仮処分は、前説示のとおり許されないところであるから、これを取り消し、第一審債権者Cの第二物件目録記載の(1)、(2)の物件に対する右仮処分申請を却下すべきである。なお、第一審債権者等は、「同債権者Cにおいて、第一次仮処分決定送達以前より第二物件目録記載の( し、第一審債権者Cの第二物件目録記載の(1)、(2)の物件に対する右仮処分申請を却下すべきである。なお、第一審債権者等は、「同債権者Cにおいて、第一次仮処分決定送達以前より第二物件目録記載の(1)、(2)の物件を所有し、これが占有を継続してきたものであるから、第一次仮処分決定の内容の実現は不可能に帰し、原仮処分(第二次)申請当時においては、第一次仮処分決定は執行不能のままその効力を喪失し、原仮処分決定(第二次)との牴触の問題を生ずる余地がない。」旨を主張するが、たとえ第一審債権者Cが右物件の占有中に、第一次仮処分決定が発令されたとしても、この一事をもつて直ちに第一次仮処分が執行不能に陥り無効に帰すると解すべき根拠はないから、これを前提とする第一審債権者等の右主張は採用の限りではない。(2) つぎに、第一審債権者Dの第一審債務者比自岐農業協同組合および同Bに対する原仮処分決定第三項の当否について検討する(同債権者は第一次仮処分決定の被申請人となつていないので、同仮処分決定との牴触を検討する要はないことを付言する。)。第一審債権者D所有の第三物件目録記載の(1)、(2)の土地が、訴外E等を経て第一審債務者比自岐農業協同組合に、更に同農業協同組合より訴外学校法人愛農学園に譲渡されたこと、右譲渡は県知事の許可なきため無効であり、右土地所有権は依然として第一審債権者Dに帰属していることは前掲二、(一)において認定したとおりである。ところで、第一審債権者Dは、右土地につき前記(1)と同趣旨のいわゆる断行の仮処分を求めるものであるが、かかる仮処分申立をなし得るのは、民訴法七六〇条に定める「継続する権利関係につき著しき損害を避け若しくは急迫なる強暴を防ぐ為めまたはその他の理由によりこれを必要とする」場合に限られるべきところ、当審におけ 有権は依然として第一審債権者Dに帰属していることは前掲二、(一)において認定したとおりである。ところで、第一審債権者Dは、右土地につき前記(1)と同趣旨のいわゆる断行の仮処分を求めるものであるが、かかる仮処分申立をなし得るのは、民訴法七六〇条に定める「継続する権利関係につき著しき損害を避け若しくは急迫なる強暴を防ぐ為めまたはその他の理由によりこれを必要とする」場合に限られるべきところ、当審におけ 処分申立をなし得るのは、民訴法七六〇条に定める「継続する権利関係につき著しき損害を避け若しくは急迫なる強暴を防ぐ為めまたはその他の理由によりこれを必要とする」場合に限られるべきところ、当審における第一審債権者C本人尋問の結果によれば、第三物件目録記載の(1)、(2)の土地(田)のほか、第二物件目録記載の(1)、(2)の土地(田)、第四物件目録記載の土地(田)を合せて約七反歩は、いずれも第一審債権者Cが昭和三六年頃開墾し、爾来同人が自作してきたものであつて、第一審債権者Dは右田の耕作等にはなんら関与せず、挙げて右Cのこれが使用収益に委ねて今日に至つていることが認められるので、右事実をもつてしては民訴法七六〇条の定める仮の地位を定める仮処分の必要性が存するとはいうことができず、他にこの点につきなんらこれを疏明するに足りる資料の存しない本件においては、原仮処分決定第三項中、第一審債権者Dに関する部分もこれを取り消し、右仮処分申請を却下すべきである。(四) 原仮処分決定第四、第五項について。<要旨第二>原仮処分決定第四項は第一審債権者Cの、第一物件目録記載の(17)、(18)、(20)、(22)、(23)、第五物件目録記</要旨第二>載の(2)、第九物件目録記載の(1)ないし(3)(全部)の各物件に対する占有、第五項は第一審債権者Dの第六物件目録記載の(3)、(4)の各物件に対する占有を解き、これを同債権者等の委任する執行官に占有保管させることを命じ、あわせて執行官は同債権者等の申出により同債権者等が使用することができる趣旨の仮処分であり、これが適否については、その実際上の必要性から出て右仮処分を適法なりとする見解もないではないが、当裁判所は、かかる仮処分申請を許すべからざるものと解する。けだし、本件においては第一審債権者等が本件仮処 れが適否については、その実際上の必要性から出て右仮処分を適法なりとする見解もないではないが、当裁判所は、かかる仮処分申請を許すべからざるものと解する。 債権者等が使用することができる趣旨の仮処分であり、これが適否については、その実際上の必要性から出て右仮処分を適法なりとする見解もないではないが、当裁判所は、かかる仮処分申請を許すべからざるものと解する。けだし、本件においては第一審債権者等が本件仮処 れが適否については、その実際上の必要性から出て右仮処分を適法なりとする見解もないではないが、当裁判所は、かかる仮処分申請を許すべからざるものと解する。けだし、本件においては第一審債権者等が本件仮処分の目的物件に対する所有権または占有権を主張し、これが侵害の虞れありとして右のごとき趣旨の仮処分を求めるものであることは、その主張に徴し明らかなところであるが、所有権者、占有権者のいずれにせよ、当該権利者において当該目的物件を自己の掌裡に収めこれを保有している状態がその権利の円満完全な実現・行使というべく、もしこの権利の実現・行使に対する侵害の虞れがあるならば、まずその妨害の危険排除を命ずる仮処分を求めるべきであり、これを措いて権利の目的物件を執行官に奪わしめてその保管に付し、自らは受任執行官の許可を得て当該物件の使用収益をなすという手段により自己の権利を国家機関の具体的・現実的庇護のもとにおいて享有するというがごときことは、本案判決により求め得らるべき以上のものを、暫定的にもせよ仮処分による権利保全の名のもとに実現することに帰着し、かかる仮処分申請は、保全処分制度を定めた法の予定するところではなく、これを許すべからざるものと解すべきであるからである。よつて、原仮処分決定第四項、第五項はこれを取り消し、第一審債権者等の右仮処分申請を却下すべきである。(五) 原仮処分決定第六項について。原仮処分決定第六項後段の、第一審債務者比自岐農業協同組合および同Bに対する「第一物件目録記載の(17)、(18)、(20)、(22)、(23)、第二物件目録記載の(1)、(2)(全部)、第五物件目録記載の(2)、第九物件目録記載の(1)ないし(3)(全部)の各物件内においての申請人Cの営農、牧畜業務及び居住を妨害することをしてはならない。」旨を命ずる部分は (1)、(2)(全部)、第五物件目録記載の(2)、第九物件目録記載の(1)ないし(3)(全部)の各物件内においての申請人Cの営農、牧畜業務及び居住を妨害することをしてはならない。」旨を命ずる部分は、前記二、(三)、(1)に説示したと同様の理由により、第一次仮処分決定と牴触し、この部分は未適法として許されないところであるから、これを取り消し、第一審債権者Cのこの点に関する仮処分申請を却下すべきである。 1)、(2)(全部)、第五物件目録記載の(2)、第九物件目録記載の(1)ないし(3)(全部)の各物件内においての申請人Cの営農、牧畜業務及び居住を妨害することをしてはならない。」旨を命ずる部分は、前記二、(三)、(1)に説示したと同様の理由により、第一次仮処分決定と牴触し、この部分は未適法として許されないところであるから、これを取り消し、第一審債権者Cのこの点に関する仮処分申請を却下すべきである。これに反し、同項前段の、右物件の立入禁止を命ずる部分は、右のごとき第一次仮処分決定との牴触をきたすものでないと解するのが相当である。けだし、第一次仮処分決定は、第一審債務者比自岐農業協同組合および同Bの両名が申請人として、第一審債権者Cを被申請人として、同人に対し「右物件への立入り、開墾、耕作その他の使用」という積極的行為の禁止を命ずるに対し、原仮処分決定第六項は、右Cが申請人として、比自岐農業協同組合およびBを被申請人として、「右物件への立入り」という積極的行為の禁止を命ずるものであつて、両者は共に、右物件につき相互に積極的行為を禁止し、いわば真空状態を保持して本案判決による解決に委ねんとするものであるから、原仮処分決定第六項前段の立入禁止のみを命ずる部分は、第一次仮処分決定の効力ないし執行を排除するものではなく、同項後段のごとき仮処分牴触の問題を生ずる余地はない。しかして、第一審債権者Cが第一物件目録記載の(17)、(18)、(20)、(22)、(23)、第二物件目録記載の(1)、(2)(全部)、第五物件目録記載の(2)の各土地の所有権を有し、第九物件目録記載の(1)ないし(3)(全部)の各建物につき占有権を保有していることは、前記二、(一)において認定したとおりであり、また成立に争いのない乙第一三号証、第三七号証の二、当審にお 有し、第九物件目録記載の(1)ないし(3)(全部)の各建物につき占有権を保有していることは、前記二、(一)において認定したとおりであり、また成立に争いのない乙第一三号証、第三七号証の二、当審における第一審債権者C本人尋問の結果ならびに弁論の全趣旨を総合すれぱ、第一審債務者比自岐農業協同組合および同Bの両名が、本件土地・建物(本件異議申立にかかる全部の物件)の譲渡を受けて以来、牧草の採取や田の耕作等のため右物件に立ち入り、更に学校法人愛農学園に右物件を譲渡した後も同学園の承諾のもとに従前に引きつづき本件土地・建物の占有を継続し、本件土地の開墾、耕作、その他使用収益の目的で本件土地・建物に立ち入り、または立ち入る虞れがあることを窺い得るので、原仮処分決定第六項前段の立入禁止の仮処分を求める必要性ありと認めるべきであるから、原仮処分決定第六項の右立入禁止のみを命ずる部分の仮処分はこれを認可すべきである。 物件に立ち入り、更に学校法人愛農学園に右物件を譲渡した後も同学園の承諾のもとに従前に引きつづき本件土地・建物の占有を継続し、本件土地の開墾、耕作、その他使用収益の目的で本件土地・建物に立ち入り、または立ち入る虞れがあることを窺い得るので、原仮処分決定第六項前段の立入禁止の仮処分を求める必要性ありと認めるべきであるから、原仮処分決定第六項の右立入禁止のみを命ずる部分の仮処分はこれを認可すべきである。(六) 原仮処分決定第七項について。第一審債権者Dが同項の仮処分の目的物件たる第三物件目録記載の(1)、(2)(全部)、第六物件目録記載の(3)、(4)の各土地の所有権を有する点は前記二、(一)において、第一審債務者比自岐農業協同組合および同Bの両名が右物件に立ち入り、または立ち入る虞れのあることは前記二、(五)においてそれぞれ認定したとおりであるから、右物件に対する所有権を被保全権利として、これに対する立入禁止を命ずる部分は相当であるから、これを認可すべきであるが、同項後段の営農行為の妨害禁止の点については、第一審債権者Dにおいては右各物件につき営農行為その他なんらこれが使用収益に関与せずに今日に至つたことは、当審における第一審債権者C本人尋問の結果ならびに弁論の全趣旨に徴しこれを窺知し得るところであるから(第三物件目録記載の(1) につき営農行為その他なんらこれが使用収益に関与せずに今日に至つたことは、当審における第一審債権者C本人尋問の結果ならびに弁論の全趣旨に徴しこれを窺知し得るところであるから(第三物件目録記載の(1)、(2)の物件については、前記(三)、(2)参照)、他に民訴法七六〇条所定の仮の地位を定める仮処分の必要性の点につきなんらの疏明資料の存しない本件においては、同項中、第一審債権者Dの営農行為に対する妨害禁止を命ずる部分は、これを取り消し、右取消部分に対する仮処分申請を却下すべきである。(七) 原仮処分決定第九項について。同項は、本来原仮処分決定第三項ないし第五項の仮処分と一体をなしこれに附帯する申請とみるべきであるが、右各項の仮処分が前記二、(三)、(四)において説示したごとくいずれも取り消されるべきものである以上、第九項の必要性も全く存せず、無意義であるから、これを取り消し、第一審債権者等の右申請を却下すべきである。(八) 原仮処分決定第一〇項について。 請を却下すべきである。(七) 原仮処分決定第九項について。同項は、本来原仮処分決定第三項ないし第五項の仮処分と一体をなしこれに附帯する申請とみるべきであるが、右各項の仮処分が前記二、(三)、(四)において説示したごとくいずれも取り消されるべきものである以上、第九項の必要性も全く存せず、無意義であるから、これを取り消し、第一審債権者等の右申請を却下すべきである。(八) 原仮処分決定第一〇項について。第一審仮処分債務者比自岐農業協同組合が同Bに対する金一、二〇〇万円の貸金債権を担保するため、第一物件目録記載の(17)、(18)、(20)、(22)、(23)、第二物件目録記載の(1)、(2)(全部)、第三物件目録記載の(1)、(2)、第五物件目録記載の(2)、第六物件目録記載の(3)、(4)、第九物件目録記載の(1)ないし(3)(全部)の各物件に対して設定された抵当権は、前記二、(一)において説示したごとく既に消滅し、当該抵当権設定登記の抹消登記手続を了したものである以上、原仮処分決定第一〇項の仮処分は、その必要性を欠くからこれを取り消し、第一審仮処分債権者等の右仮処分申請を却下すべきである。以上のしだいで、当裁判所の右判断(前記一の(一)、(二)、二の(二)、(五)、( 第一〇項の仮処分は、その必要性を欠くからこれを取り消し、第一審仮処分債権者等の右仮処分申請を却下すべきである。以上のしだいで、当裁判所の右判断(前記一の(一)、(二)、二の(二)、(五)、(六)、(七)、(八))と一部結論を異にする原判決は、民訴法三八六条を適用してこれを変更し、前記二の(三)、(四)における当裁判所の判断と同趣旨に出た原判決は、理由を異にするが結論において相当であつて、第一審債権者等の控訴は理由がないから同法三八四条二項に従いこれを棄却し、訴訟費用の負担につき同法九六条、九三条一項本文、九二条本文を適用し、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官伊藤淳吉裁判官井口源一郎裁判官土田勇)別紙第一物件目録(1)三重県上野市bc1番一、雑種地九六八平方米五九(九畝弐拾参歩)(2)同所同番のc2一、雑種地弐九平方米七五(九歩)(3)同所c3番一、溜池敷七六平方米○参(弐拾参歩)(4)同所c4番一、山林弐〇八弐平方米六四(弐反壱畝歩)(5)同所c5番のc6一、原野弐壱八平方米壱八(弐畝六歩)(6)同所同番のc7一、山林八九平方米弐五(弐拾七歩)(7)同所同番のc8一、雑種地四八九平方米弐五(四畝弐拾八歩)(8)同所同番のc9一、山林弐参八〇平方米壱六(弐反四畝歩)(9)同所同番のc10一、山林壱六平方米五弐(五歩)(10)同所同番のc11一、雑種地五九平方米五〇(拾八歩)(11)同所同番のc12べ雑種地壱六平方米五弐(五歩)(12)同所同番のc13一、雑種地九六五平方米弐八(九畝弐拾弐歩)(18)同所同番のc14一、山林九五五平方米参七(九畝拾九歩)(14)同所c15番一、山林弐壱八五平方米壱弐(弐反弐畝 同番のc9一、山林弐参八〇平方米壱六(弐反四畝歩)(9)同所同番のc10一、山林壱六平方米五弐(五歩)(10)同所同番のc11一、雑種地五九平方米五〇(拾八歩)(11)同所同番のc12べ雑種地壱六平方米五弐(五歩)(12)同所同番のc13一、雑種地九六五平方米弐八(九畝弐拾弐歩)(18)同所同番のc14一、山林九五五平方米参七(九畝拾九歩)(14)同所c15番一、山林弐壱八五平方米壱弐(弐反弐畝 所同番のc13一、雑種地九六五平方米弐八(九畝弐拾弐歩)(18)同所同番のc14一、山林九五五平方米参七(九畝拾九歩)(14)同所c15番一、山林弐壱八五平方米壱弐(弐反弐畝壱歩)(15)同所同番のc16一、山林壱九八平方米参四(弐畝歩)(16) 同所同番のc17一、雑種地壱九八平方米参四(弐畝歩)(17) 同所c18番のc19一、山林参参〇平方米五七(参畝拾歩)(18)同所c20番一、原野八壱九五平方米〇四(八反弐畝拾九歩)(19) 同所c21番一、山林弐〇八弐平方米六四(弐反壱畝歩)(20)同所c22番一、山林参参平方米〇五(拾歩)(21)同所同番のc23一、宅地弐八七平方米六〇(八拾七坪)(22)同所c24番一、雑種地弐六平方米四四(八歩)(23)同所c25番一、雑種地壱六平方米五弐(五歩)(24)同県同市de1番のe2一、宅地七〇七平方米四参(弐百拾四坪)第二物件目録(1)一二重県上野市bc20番のc26べ雑種地(現況田)四九五弐平方米〇六(四反九畝弐拾八歩)(2)同所c27番一、雑種地(現況田)六弐八平方米〇九(六畝拾歩)第三物件目録(1)三重県上野市de3番一、雑種地八弐六平方米四四(八畝拾歩)但し、現況、西北隅壱九弐平方米壱弐(北辺弐六米、東辺七・五米、南辺弐七米、西辺上米の短形の部分)は宅地にして、残余の部分は田である。(2)同所e4番一、雑種地(現況田)壱弐五六平方米壱九(壱反弐畝弐拾歩)第四物件目録三重県上野市bc20番原野八壱九五平方米〇四(八反弐畝拾九歩)の内東南隅一、現況田の部分六〇〇平方米但し東辺参弐米、南辺弐壱米、西辺弐九米、北辺壱九米の 弐畝弐拾歩)第四物件目録三重県上野市bc20番原野八壱九五平方米〇四(八反弐畝拾九歩)の内東南隅一、現況田の部分六〇〇平方米但し東辺参弐米、南辺弐壱米、西辺弐九米、北辺壱九米の短形の部分である。第五物件目録(1)三重県上野市bc18番のc28一、山林六六壱平方米壱五(六畝弐拾歩)(2)同所c29番一、雑種地五四弐平方米壱四(五畝拾四歩)(3)同所c30番一、山林四九五平方米八六(五畝歩)(4)同所c31番一、山林弐九七平方米五弐(参畝歩)(5)同所c32番一、山林九九壱平方米七参(壱反歩)第六物件目録(1)三重県上野市de1番のe5一、山林七壱〇平方米七四(七畝五歩)(2)同所e6番一、雑種地壱参平方米弐弐(四歩)(3)同所e7番のe8一、雑種地七九平方米参参(弐拾四歩)(4)同所同番のe9一、原野壱参弐平方米弐参(壱畝拾歩)第七物件目録(1)三重県上野市bf1番のf2一、原野壱参八平方米八四(壱畝拾弐歩)(2)同所f3番のf4一、山林四四九平方米五八(四畝拾六歩)(3)同所f5番一、溜池敷壱参弐平方米弐参(壱畝拾歩)(4)同所f6番一、山林七九参平方米参八(八畝歩)(5)同県同市df7番のf8一、原野壱壱弐平方米参九(壱畝四歩)第八物件目録(1)三重県上野市dg1番のg2一、山林壱参五平方米五参(壱畝拾壱歩)(2)同所g3番のg4一、山林六弐四平方米七九(六畝九歩)第九物件目録(既登記)(1)三重県上野市de1番家屋番号五五番一、木造瓦葺平家建居宅床面積五五平方米参七(拾六坪七合五勺)(2)同所e1番のe10家屋番号同所八六壱番の七一、木造亜鉛メッキ 畝歩)(5)同県同市df7番のf8一、原野壱壱弐平方米参九(壱畝四歩)第八物件目録(1)三重県上野市dg1番のg2一、山林壱参五平方米五参(壱畝拾壱歩)(2)同所g3番のg4一、山林六弐四平方米七九(六畝九歩)第九物件目録(既登記)(1)三重県上野市de1番家屋番号五五番一、木造瓦葺平家建居宅床面積五五平方米参七(拾六坪七合五勺)(2)同所e1番のe10家屋番号同所八六壱番の七一、木造亜鉛メッキ 記)(1)三重県上野市de1番家屋番号五五番一、木造瓦葺平家建居宅床面積五五平方米参七(拾六坪七合五勺)(2)同所e1番のe10家屋番号同所八六壱番の七一、木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建畜舎床面積壱九四平方米五四(五拾八坪八合五勺)(3)附属木造一部ブロック造亜鉛メッキ鋼板葺平家建畜舎床面積壱四弐平方米七壱(四拾参坪壱合七勺)第一〇物件目録(未登記)(1)三重県上野市hi1番のi2一、木造瓦葺平家建南向居宅床面積五弐平方米八九(拾六坪)但し家屋番号五五番の東に接続のもの(2)同所同番のi2一、土蔵造瓦葺弐階建倉庫壱階九平方米九壱(参坪)弐階九平方米九壱(参坪)(3)同所同番のi3一、木造スレート瓦葺平家建南向居宅床面積参九平方米六六(4)同所i4番一、木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建農舎兼車庫床面積壱参弐平方米弐参(四拾坪)(6)同所同番一、木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建畜舎床面積弐四平方米七九(七坪五合)(7)同所i1番のi3一、ブロック造瓦葺平家建堆肥舎床面積壱九平方米八参(六坪)(8)同所同番のi3一、ブロック造亜鉛メッキ鋼板葺円筒サイロ直径三米、高さ七・六米
▼ クリックして全文を表示