平成15(行ケ)313

裁判年月日・裁判所
平成15年12月18日 東京高等裁判所
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判決文本文3,545 文字)

平成15年(行ケ)第313号審決取消請求事件平成15年12月18日判決言渡,平成15年12月11日口頭弁論終結判決原告安部ガナイト工業株式会社訴訟代理人弁護士熊倉禎男,辻居幸一,弁理士井野砂里,弁護士竹内麻子被告東興建設株式会社訴訟代理人弁理士小島高城郎,河合典子,佐藤卓也 主文 特許庁が無効2002-35466号事件について平成15年6月9日にした審決を取り消す。 訴訟費用は各自の負担とする。 事実及び理由 第1 原告の求めた裁判主文第1項同旨の判決。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯原告は,本件特許第3060175号「壁面の表層剥離方法」の特許権者である。本件特許は,平成10年11月6日に出願され,平成12年4月28日に設定の登録がされた。被告がした本件特許についての無効審判請求(無効2002-35466号)において,平成15年1月21日付けで原告から訂正請求書が提出され,平成15年6月9日,「平成15年1月21日付け訂正を認める。本件特許の請求項1~3に係る発明についての特許を無効とする。」との審決があり(登録時の請求項4は,上記訂正により削除された。),その謄本は平成15年6月19日原告に送達された。 2 設定登録時の特許請求の範囲の記載【請求項1】 建造物の躯体強度を担う壁強度層の表面に別素材で表層を付着した構造の壁面の表層剥離方法において,壁面を切断機で壁強度層近くまでの深さに格子状に切溝を設けて壁面を切溝によって小さな面積の区画に切り分け,次に各区画領域の表層部分を壁強度層から引き剥して壁面の表層全体を剥離することを特徴とする壁面の表層剥離方法。 【請求項2】 壁面が垂直面であり,回転刃で切削する切断機 て小さな面積の区画に切り分け,次に各区画領域の表層部分を壁強度層から引き剥して壁面の表層全体を剥離することを特徴とする壁面の表層剥離方法。 【請求項2】 壁面が垂直面であり,回転刃で切削する切断機をワイヤ下端に吊下げた物品の重さを相殺するワイヤ巻取式のバランサーで吊り下げ支持しながら縦横に動かして格子状に切溝を設ける請求項1記載の壁面の表層剥離方法。 【請求項3】 切断機の切断個所に向けて水を噴射させる噴水ノズルと,飛散する水を外周に拡がらないように防止する飛散防止体とを切断機に取付けた請求項1又は2記載の壁面の表層剥離方法。 【請求項4】 壁面が,鉄皮の壁強度層の内側表面に耐火材を厚く表層として付着させた煙突又は煙道の壁面である請求項1~3何れか記載の壁面の表層剥離方法。 3 平成15年1月21日付け訂正による特許請求の範囲の記載(下線部分が訂正箇所。請求項4は削除)【請求項1】 建造物の駆体強度を担う壁強度層の表面に別素材で表層を付着した構造の壁面の表層剥離方法において,壁面は,鉄皮の壁強度層の内側表面に耐火材を厚く表層として付着させた煙突又は煙道の壁面であり,この壁面を,空気圧・油圧・電気を駆動源として作動する回転刃である切断機で壁強度層近くまでの深さに,表層の内部に鉄筋,金網があれば一緒に切断して格子状に切溝を設けて壁面を切溝によって小さな面積の区画に切り分け,次に各区画領域の表層部分を壁強度層から引き剥して壁面の表層全体を剥離することを特徴とする壁面の表層剥離方法。 【請求項2】 壁面が垂直面であり,回転刃で切削する切断機をワイヤ下端に吊下げた物品の重さを相殺するワイヤ巻取式のバランサーで吊り下げ支持しながら縦横に動かして格子状に切溝を設ける請求項1記載の壁面の表層剥離方法。 【請求項3】 切断機の切断個所に向けて水を噴射させる 吊下げた物品の重さを相殺するワイヤ巻取式のバランサーで吊り下げ支持しながら縦横に動かして格子状に切溝を設ける請求項1記載の壁面の表層剥離方法。 【請求項3】 切断機の切断個所に向けて水を噴射させる噴水ノズルと,飛散する水を外周に拡がらないように防止する飛散防止体とを切断機に取付けた請求項1又は2記載の壁面の表層剥離方法。 4 後記訂正審決による特許請求の範囲の記載(下線部分が前記3との対比における訂正箇所。請求項2,4は削除。請求項3を訂正後の請求項2に繰上げ)【請求項1】 建造物の躯体強度を担う壁強度層の表面に別素材で表層を付着した構造の壁面の表層剥離方法において,壁面は,鉄皮の壁強度層の内側表面に耐火材を厚く表層として付着させた煙突又は煙道の壁面であり,この壁面を,空気圧・油圧・電気を駆動源として作動する回転刃である切断機で壁強度層近くまでの深さに,表層の内部に鉄筋,金網があれば一緒に切断して格子状に縦横の切溝を設けて壁面を切溝によって小さな面積の区画に切り分け,前記縦横の切溝の形成は,煙突又は煙道内に吊り下げられたゴンドラ式足場の上方に水平に設けられた横杆に,この横杆に沿って滑って移動可能な吊りフックを介してバランサー機能を有するバランサーを取付け,バランサーのワイヤの下端の連結フックを,回転刃が取付けられた保護ケーシングからコ字状に突出させたワイヤ吊り杆のワイヤ吊り部に掛けて切断機をバランサーによって吊り下げて行い,前記縦の切り溝は,連結フックをワイヤ吊り杆に設けられた2つのワイヤ吊り部のうちの一方のワイヤ吊り部に掛けて,切断機の回転刃を縦にして,所定間隔毎に形成し,横の切溝は,連結フックをワイヤ吊り杆の他方のワイヤ吊り部に掛け,切断機を水平にし,水平に切削して形成し,次に各区画領域の表層部分を壁強度層から引き剥して壁 回転刃を縦にして,所定間隔毎に形成し,横の切溝は,連結フックをワイヤ吊り杆の他方のワイヤ吊り部に掛け,切断機を水平にし,水平に切削して形成し,次に各区画領域の表層部分を壁強度層から引き剥して壁面の表層全体を剥離することを特徴とする壁面の表層剥離方法。 【請求項2】切断機の切断個所に向けて水を噴射させる噴水ノズルと,飛散する水を外周に拡がらないように防止する飛散防止体とを切断機に取付けた請求項1に記載の壁面の表層剥離方法。 5 審決の理由の要点平成15年1月21日付け訂正は適法であり,その訂正後の請求項1に係る発明は,下記審判甲第1,2号証に記載された発明及び周知技術に基づいて,請求項2に係る発明は,下記審判甲第1,2,5号証に記載された発明及び周知技術に基づいて,請求項3に係る発明は,下記審判甲第1,2,5,6号証に記載された発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるということができ,いずれも特許法29条2項の規定に違反するものであるから,特許法123条1項2号の規定により無効とすべきものである。 記審判甲第1号証:特公平4-19350号公報審判甲第2号証:特開平6-235512号公報審判甲第3号証:特開昭61-158569号公報審判甲第4号証:特開平6-294220号公報審判甲第5号証:特開平8-259142号公報審判甲第6号証:特開平8-270229号公報 6 訂正審決の確定原告は,本訴提起後の平成15年8月29日,本件特許につき,特許請求の範囲の減縮等を目的として,明細書の訂正をする審判を請求したところ(訂正2003-39182号),平成15年11月6日,当該訂正を認める旨の審決があって,その謄本が原告に送達され,訂正審決は確定した。 第3 原告主張の審決取消事 書の訂正をする審判を請求したところ(訂正2003-39182号),平成15年11月6日,当該訂正を認める旨の審決があって,その謄本が原告に送達され,訂正審決は確定した。 第3 原告主張の審決取消事由審決は,訂正審決による訂正前の請求項に基づき(平成15年1月21日付け訂正請求に基づき)請求項1~3の発明の要旨を認定し,これに基づき上記審判甲号証に記載の発明との対比において請求項1~3の発明の進歩性を否定しているが,訂正審決による訂正後の特許請求の範囲の構成は平成15年1月21日付け訂正請求による訂正後の特許請求の範囲の構成よりも限定されたものであるから,特許請求の範囲の減縮等を目的とする訂正を認める審決が確定したことにより,審決は,結果的に本件発明の要旨の認定を誤ったことになり,違法となったものである。 第4 当裁判所の判断原告主張の事由により審決は取り消されるべきものであり,本訴請求は理由がある。よって,訴訟費用の負担につき行訴法7条,民訴法62条を適用して,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第18民事部裁判長裁判官塚原朋一裁判官塩月秀平裁判官古城春実

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