平成16(あ)659 殺人,死体遺棄被告事件

裁判年月日・裁判所
平成19年11月30日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 広島高等裁判所 岡山支部
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判決文本文1,391 文字)

- 1 -主文本件上告を棄却する。 理由 弁護人大熊裕起の上告趣意のうち,死刑制度に関して憲法13条,31条,36条違反をいう点は,死刑制度がその執行方法を含め憲法に違反しないことは当裁判所の判例(最高裁昭和22年(れ)第119号同23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3号191頁,最高裁昭和26年(れ)第2518号同30年4月6日大法廷判決・刑集9巻4号663頁,最高裁昭和32年(あ)第2247号同36年7月19日大法廷判決・刑集15巻7号1106頁)とするところであるから,理由がなく,その余は,憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論にかんがみ記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。 付言すると,本件は,殺人罪等により無期懲役刑に処せられ,その仮出獄中の被告人が,知人の女性(当時57歳)を殺害して,その死体を川岸の竹やぶ内に遺棄したという殺人,死体遺棄の事案である。殺人の犯行は,多額の金銭を貸し付けていた被害者に,その清算を求めたところ,開き直りの態度を示されたことに激高し,被告人方から帰ろうとした被害者の背後から両手でけい部を締め付け,電気ポットのコードをけい部に巻き付けて緊縛し,さらに転倒した被害者に馬乗りになってそのけい部を両手で締め付けるなどして殺害したものであり,その態様は,無防備な被害者をいきなり襲った強固な殺意に基づく執ようかつ冷酷なものである。犯行後には,死体や所持品をレンタカーで人目に付かない場所まで運んで投棄するな- 2 -どの隠ぺい工作も行っている。被害者からの金の無心に応じるため相当額の借金を負うに至っていた被告人に対する被害者の態度には誠実さに欠けるところがあったといわざるを得ないものの,本 するな- 2 -どの隠ぺい工作も行っている。被害者からの金の無心に応じるため相当額の借金を負うに至っていた被告人に対する被害者の態度には誠実さに欠けるところがあったといわざるを得ないものの,本件は被告人において被害者に対する未練から金策ができるとうそを言ったことをきっかけとするものであり,もとより被害者に殺害されるべき事情などはなく,その貴重な一命を奪った本件の結果は重大であり,遺族らの処罰感情も厳しい。その上,被告人は,昭和52年と昭和54年に,いずれも当時交際中の女性を金銭問題に絡んで激情に駆られて殺害し,死体を川原に遺棄するという事件を繰り返して,無期懲役刑に処せられ,20年近く服役したにもかかわらず,仮出獄から約1年9か月で,類似した経緯,態様の本件各犯行に及んでおり,この種事犯を繰り返す犯罪性には根強いものがあり,犯情は極めて悪い。 以上のような諸事情に照らすと,被告人が反省悔悟の情を示していることなど,被告人のために酌むことができる事情を十分考慮しても,被告人の刑事責任は極めて重大であり,被告人を死刑に処した第1審判決の量刑を維持した原判断は,やむを得ないものとして当裁判所もこれを是認せざるを得ない。 よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 検察官中村明公判出席(裁判長裁判官今井功裁判官津野修裁判官中川了滋裁判官古田佑紀)

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