【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人中村俊夫及び同北山亮の上告趣意第一点について。 裁判所が予断によつて事実を認定してならないことは、まことに所論の
主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人中村俊夫及び同北山亮の上告趣意第一点について。 裁判所が予断によつて事実を認定してならないことは、まことに所論の通りである。しかし原判決は、その挙示の証拠によつて、被告人が実際に収受した籾は計約三石七斗であつたにもかかわらず、これを二石八斗として買受け、売主に異議なく同量の代金を受取らせたという事実を認定し、更らにこの事実に基く推認と他の証拠とを綜合して被告人が右の籾の盗品であることの情を知りながら買受けたという事実を認定したものである。証拠によつて認定した事実に基いてなされた推認は、結局証拠に基いてなされた認定であつて単なる予断ではない。それ故にかような推認を資料とすることは、採証の法則に違反することではない。而も原判決は、右の推認を他の証拠と綜合して判示の犯罪事実を認定したのであるから、所論のような非難はなおさら当らない。よつて論旨は理由がない。 同第二点について。 論旨は、原判決挙示の証拠の一々について、何れも証拠価値のないものであることを述べ、原判決が、被告人に有利な証拠を顧みないで右のような価値のない証拠によつて犯罪事実を認定したことを以て、採証の法則を誤つたものであると主張している。しかし個々の証拠単独では、犯罪事実を認定することができない場合でも、それ等を綜合して犯罪事実を認定することを妨げるものではない。原判決は、挙示の数個の証拠を綜合して犯罪事実を認定したのである。元来証拠の取捨選択並に事実の認定は、原審の専権に属することであつてその間に経験則に反することのない限り、上告審に於て、これを違法として破毀することはできない。然るに本件の原審についてみると、採証から犯罪事実の認定に至る迄の過程に於て経験則に反する- 1 -という程の欠 験則に反することのない限り、上告審に於て、これを違法として破毀することはできない。然るに本件の原審についてみると、採証から犯罪事実の認定に至る迄の過程に於て経験則に反する- 1 -という程の欠陥は認められないから、これを違法とする訳にゆかない。よつて論旨は採用し難い。 以上の理由によつて刑事訴訟法第四四六条に従い、主文の通り判決する。 この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。 検察官宮本増蔵関与昭和二三年一一月一六日最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官長谷川太一郎裁判官井上登裁判官島保裁判官河村又介- 2 -
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