令和5年4月27日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和2年(ワ)第14155号損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和5年2月7日判決 原告株式会社エコテック 同訴訟代理人弁護士石下雅樹 同江間布実子 同永野真理子 同益弘圭 被告株式会社サービング 同訴訟代理人弁護士二森礼央 同𠮷澤匡弘 同訴訟復代理人弁護士井村光毅 主文 1 被告は、住宅及び商用施設の床のコーティング工事に関する広告を内容とする情報に、別紙被告標章目録記載の各標章を付して、電磁的方法により表示してはならない。 2 被告は、前項記載の各標章を付した住宅及び商用施設の床のコーティング工事に関する広告を頒布してはならない。 3 被告は、第1項記載の各標章のいずれかを付した住宅及び商用施設の床のコーティング工事に関する広告を廃棄せよ。 4 被告は、原告に対し、822万2869円及びこれに対する令和2年7月16日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 原告のその余の請求を棄却する。 6 訴訟費用は、これを5分し、その4を被告の負担とし、その余は原告の負担とする。 7 この判決は、第4項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1請求 1 主文第1項~第3項と同旨 2 被告は、原告に対し、1100万円及びこれに対する令和2年7月16日から 項に限り、仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求 1 主文第1 項~第3 項と同旨 2 被告は、原告に対し、1100 万円及びこれに対する令和2 年7 月16 日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は、別紙商標権目録記載の登録商標(以下「本件商標」といい、これに係る商標権を「本件商標権」という。)の商標権者である原告が、住宅及び商用施設の床のコーティング工事に関する広告を内容とする情報に被告が付して電磁的方法により提供するなどした別紙被告標章目録記載の各標章(以下、順 に「被告標章1」のようにいい、これらを併せて「被告各標章」という。)はいずれも本件商標に類似することなどから、上記各行為は本件商標権を侵害する(商標法(以下「法」という。)37 条1 号、2 条3 項8 号)旨を主張して、被告に対し、本件商標権に基づき、上記各行為の差止め(法36 条1 項)及び廃棄(同条2 項)を求めると共に、本件商標権侵害の不法行為(民法709 条、 損害額につき法38 条2 項)に基づき、1100 万円の損害賠償及びこれに対する不法行為後である令和2 年7 月16 日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(争いのない事実、後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) (1) 当事者 - 3 -原告は、建築の企画、設計施工及びメンテナンス、内装工事業、住宅、店舗の増改築、建て替え及びリフォーム等を目的として設立された株式会社である。 被告は、建築工事業、建設内装工事及び住宅設備機器の販売及び施工等を目的として設立された株式会社である。 、店舗の増改築、建て替え及びリフォーム等を目的として設立された株式会社である。 被告は、建築工事業、建設内装工事及び住宅設備機器の販売及び施工等を目的として設立された株式会社である。 (2) 本件商標権原告は、別紙商標権目録記載の登録商標(本件商標)に係る商標権(本件商標権)を有する。 (3) 被告の行為被告は、平成23年7月頃から、以下のとおり、被告各標章を使用していた。 ア被告は、自社のウェブサイト(甲5)において、被告標章1 及び2 を表示し(以下、これらを併せて「甲5 表示」という。)、被告標章2 の真下に「ペットコーティング」という文字を付記して、「施工メニュー」(甲の1)及び「施工のながれ」(甲5 の2)というタイトルのページを設けていた。また、「さね強化のしくみ」という囲み記事の中で、コート剤に ついては「ペットコート」と記載している(甲5 の1)。 イ被告は、「cuore」臨時増刊号2011(甲6)において、被告標章1 及び2を使用した広告記事を掲載した(以下、これらを併せて「甲6 表示」という。)。同記事の被告標章2 の真下には「ペットコーティング[ペット工法]」との表示があり、被告標章1 は、「ペット工法の『ペットコーティ ング』。ペットの足腰に優しい柔軟性のある特殊なコート剤を独自の技術で施して、ペットをケガから守ります。…画期的な新技術です。」、「ペットコーティングは継ぎ目の防水性はもちろん、施工時に防カビ処理を施しますので、その問題点はきちんとクリア。」、「シミ・カビを除去し、着色・塗膜再生後、ペットコーティングを施工。」「『ペットコーティン グ』とは、15 年かけた試行錯誤の末に得たサンプルやノウハウをもとに、 - 4 -コーティング研究を重 ビを除去し、着色・塗膜再生後、ペットコーティングを施工。」「『ペットコーティン グ』とは、15 年かけた試行錯誤の末に得たサンプルやノウハウをもとに、 - 4 -コーティング研究を重ねた技術で、現在5,000 世帯以上の施工実績があり」等の態様で使用されている。 ウ被告は、自社のパンフレット(甲7)に、被告標章1 及び2 を表示させていた(以下、これらを併せて「甲7 表示」という。)。また、同パンフレットの被告標章2 の上部には「ペット工法」、下部には「ペット工法の ご案内」との文字が付記されており、被告標章1 については、「ペット工法は、ペットの安全な暮らしとお家のケア、その2 つを同時にかなえる新しい技術です。」と説明している。 エ被告は、「その他のレストア工法」と題する広告記事(甲8)の被告標章2 を使用した囲み記事(以下、ここでの被告標章2 の表示を「甲8 表 示」という。)の中で、「ペット工法は、ペットの足腰にやさしいペット専用コート剤を施し、床を滑りにくくすることで、ペットをケガから守るコーティング技術です。」と説明している。 オ被告は、自社のウェブサイト(甲9)にチラシ(甲9 の2)を掲載し、同チラシにおいて、被告標章2 を大きく表示させると共に、【woofwoof】 17 号(Autumn)にて紹介された記事(甲9 の3)をも掲載し、同記事では、囲み記事で被告標章2 が大きく表示されている(以下、これらを併せて「甲9 表示」という。)。 カ被告は、令和2 年1 月まで、被告標章1 をタイトルとし、被告標章3 及び4 を表紙に表示しているパンフレット(甲10)をインターネット上で 公開していた(以下、これらを併せて「甲10 表示」という。)。 キ被告は、被告標章1 をタ イトルとし、被告標章3 及び4 を表紙に表示しているパンフレット(甲10)をインターネット上で 公開していた(以下、これらを併せて「甲10 表示」という。)。 キ被告は、被告標章1 をタイトルとし、表紙に被告標章2 も表示させたパンフレット(甲11)を使用していた(以下、これらを併せて「甲11 表示」という。)。その中面見開きのページには、「ペットコーティングの3 つの工法」「ペットコーティングには、ペットの種類やしつけの状態などに 合わせて、フローリングを滑りにくくする『スタンダード工法』、おしっ - 5 -こなどの臭い汚れを防ぐ『プレミアム工法』、大型犬に推奨する『ハイブリッド工法』の3 つの工法があります。」と記載されている。 (4) 被告の登録商標被告は、以下の登録商標に係る商標権を有する(甲28、29)。 ア 「ペットコート」 登録番号商標登録第5399532号登録商標(標準文字) ペットコート出願日平成22年11月8日登録日平成23年3月18日商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務第2類塗料 イ 「ペットコーティング」登録番号商標登録第5399533号登録商標(標準文字) ペットコーティング出願日平成22年11月8日登録日平成23年3月18日 商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務第2類塗料 3 争点(1) 本件商標と被告各標章の類否(争点1)(2) 役務の同一性又は類似性(争点2)(3) 原告の損害及び損害額(争点3) 4 争点に関する当事者の主張(1) 争点1(本件商標と被告各標章の類否)について(原告の主張)ア本件商標(ア) 外観 (3) 原告の損害及び損害額(争点3) 4 争点に関する当事者の主張(1) 争点1(本件商標と被告各標章の類否)について(原告の主張)ア本件商標(ア) 外観 本件商標の外観は、「PETCOATING ペットコーティング」という - 6 -黒の太字で構成される。 (イ) 称呼本件商標は、「ペットコーティングペットコーティング」との称呼を生じる。 (ウ) 観念 本件商標は、「ペット」という語と「コーティング」という語を結合した造語と、それを英大文字で表記したもので構成される。このうち、「ペット」は「愛玩動物」を、「コーティング」は「①布地・紙などを防水または耐熱加工するために、油・パラフィン・ゴム・合成樹脂などで処理する工程。②レンズ・フィルターなどの表面に反射防止膜をつけ る処理。また、その膜。③錠剤や顆粒剤を気密に包被すること。また、その包被。」をそれぞれ意味する。 したがって、「ペットコーティング」は、愛玩動物に関連する物の表面に膜を付ける処理を施すという役務、又はその膜という商品との観念を生じる。 イ被告標章1(ア) 外観被告標章1 の外観は、標準文字で「ペットコーティング」である。 (イ) 称呼被告標章1 は、「ペットコーティング」との称呼を生じる。 (ウ) 観念被告標章1 は、「ペット」という語と「コーティング」という語を組み合わせた造語であり、愛玩動物に関連する物の表面に膜を付ける処理を施すという役務、又はその膜という商品との観念を生じる。 (エ) 本件商標との類似性 被告標章1 と本件商標とは、称呼及び観念が同一である。外観も、本 - 7 -件商標が太字で「ペットコーティング」という語とそれを英大文字で 念を生じる。 (エ) 本件商標との類似性 被告標章1 と本件商標とは、称呼及び観念が同一である。外観も、本 - 7 -件商標が太字で「ペットコーティング」という語とそれを英大文字で表記したものであるのに対し、被告標章1 は標準文字で「ペットコーティング」と表記したものであり、両者は、太字か標準文字か、英大文字の表記の有無という点で違うだけである。 したがって、被告標章1 と本件商標とは類似する。 ウ被告標章2(ア) 外観被告標章2 は、「ペット」を意味する英語「Pet」と、「コーティング」を意味する英語「Coating」を組み合わせた「PetCoating」という文字、及びその「Pe」の下に犬が走っているイラスト、「oa」の上に輝き を表すイラスト、「g」の上に猫が立っているイラストから成る。 (イ) 称呼被告標章2 は、「ペットコーティング」との称呼を生じる。 (ウ) 観念被告標章2 は、「ペット」を意味する「Pet」という英語と「コーテ ィング」を意味する「Coating」という英語を組み合わせた造語であり、愛玩動物に関連する物の表面に膜を付ける処理を施すという役務、又はその膜という商品との観念を生じる。 (エ) 本件商標との類似性本件商標は、全て英大文字の太字で表記した「PETCOATING」及び それらの文字の日本語表記「ペットコーティング」から成り立っている。 これに対し、被告標章2 は、「P」と「C」のみ英大文字であり、残りの文字は英小文字であること、「Pet」と「Coating」の間にスペースが開いていること、犬・輝き・猫のイラストが描かれていることから、本件商標とは若干外観が異なる。 しかし、本件商標と被告標章2 とは称呼及び観念が同一であること oating」の間にスペースが開いていること、犬・輝き・猫のイラストが描かれていることから、本件商標とは若干外観が異なる。 しかし、本件商標と被告標章2 とは称呼及び観念が同一であること、 - 8 -原告と被告はいずれもフローリングにペットのためのコーティングを施す工事を行っており、その工事に関して本件商標も被告標章2 も使用されていることから、出所の誤認混同を生じるおそれがある。 したがって、被告標章2 と本件商標は類似する。 エ被告標章3 (ア) 外観被告標章3 は、盾のような形の枠の中の中央に「PetCoating」という文字が目立つように大きく、その下に「constructionmethod」という文字が小さく、それぞれ記載されており、犬のイラストが描かれている。 被告標章3 を全体として見た時、「PetCoating」という文字が大きく、 その印象が強く残る。 (イ) 称呼被告標章3 は、「ペットコーティング」との称呼を生じる。 (ウ) 観念被告標章3 は、被告標章2 と同様に、愛玩動物に関連する物の表面に 膜を付ける処理を施すという役務、又はその膜という商品との観念を生じる。 (エ) 本件商標との類似性本件商標は、全て英大文字の太字で表記した「PETCOATING」及びそれらの文字の日本語表記「ペットコーティング」から成る。これに対 し、被告標章3 は、「P」と「C」のみ英大文字であり、残りの文字は英小文字であること、「Pet」と「Coating」の間にスペースが開いていること、その下に「constructionmethod」という文字が小さく記載されており、犬のイラストが描かれていることから、本件商標とは若干外観が異なる。 しかし、被告標章3 いていること、その下に「constructionmethod」という文字が小さく記載されており、犬のイラストが描かれていることから、本件商標とは若干外観が異なる。 しかし、被告標章3 は、「PetCoating」という文字が大きく、その印 - 9 -象が強く残ること、本件商標と称呼及び観念が同一であること、原告と被告はいずれもフローリングにペットのためのコーティングを施す工事を行っており、その工事に関して本件商標も被告標章3 も使用されていることから、出所の誤認混同を生じるおそれがある。 したがって、被告標章3 と本件商標は類似する。 オ被告標章4(ア) 外観被告標章4 は、「PetCoating」という飾り文字(濃い色で縁取られ、薄い色で中が塗りつぶされている)で構成される。 (イ) 称呼 被告標章4 の称呼は、「ペットコーティング」である。 (ウ) 観念被告標章4 は、「ペット」を意味する「Pet」という英語と「コーティング」を意味する「Coating」という英語を組み合わせた造語であり、愛玩動物に関連する物の表面に膜を付ける処理を施すという役務、又は その膜という商品との観念を生じる。 (エ) 本件商標との類似性本件商標は、全て英大文字の太字で表記した「PETCOATING」及びそれらの文字の日本語表記「ペットコーティング」から成る。これに対し、被告標章4 は、「P」と「C」のみ英大文字であり、残りの文字は 英小文字であること、「Pet」と「Coating」の間にスペースが開いていること、飾り文字であることから、本件商標とは若干外観が異なる。 しかし、本件商標と被告標章4 とは称呼及び観念が同一であること、原告と被告はいずれもフローリングにペットのためのコー ースが開いていること、飾り文字であることから、本件商標とは若干外観が異なる。 しかし、本件商標と被告標章4 とは称呼及び観念が同一であること、原告と被告はいずれもフローリングにペットのためのコーティングを施す工事を行っており、その工事に関して本件商標も被告標章4 も使用さ れていることから、出所の誤認混同を生じるおそれがある。 - 10 -したがって、被告標章4 と本件商標は類似する。 (被告の主張)ア本件商標の外観、称呼及び観念は認める。 イ被告標章1(ア) 被告標章1 の外観及び称呼並びにこれらが本件商標と類似することは 認める。 (イ) 観念商標の類否の判断に当たっては、商標がその指定商品について既に現実に使用された実績を持つ場合やその指定商品の取引分野、取引方法に特殊なものがある場合等において、その実情の下で商標が取引者、需要 者にどのように認識され商品の出所の混同を生じる恐れが存するかどうかという事実状態は、それが判明する限り、その判断の資料とされてよく、そのような具体的事実に基づく判断は、一般取引上の経験則による判断に優先することになる。商標の使用による商品の出所混同の恐れは、一般に商標がその外観、観念、称呼のいずれかで類似する場合に生じる が、これらの点の類否も、その商標の使用されるべき商品取引の実情が判明する限り、その具体的事実に基づく商品の出所の混同の恐れの有無いかんによって判断されるべきである。したがって、外観、称呼及び観念の3 つの要素いずれについても、具体的な取引状況に基づいて判断されるべきである。 被告標章1 は、標準文字で「ペットコーティング」というものである。 もっとも、それが使用されているパンフレットにおいて、右上の方に大きなフォントで、「滑 に基づいて判断されるべきである。 被告標章1 は、標準文字で「ペットコーティング」というものである。 もっとも、それが使用されているパンフレットにおいて、右上の方に大きなフォントで、「滑りにくい」、「天板の保護」、「高い安全性」という小さな囲み文字と、その隣に、上記囲み文字よりも大きな囲み文字で「ペットを守り居住性を高める」と書かれていること等の事情から、 被告標章1 については、「それを塗布することによって、犬をはじめと - 11 -するペットが滑りにくくなると共に、床自体も保護できる安全性の高い塗料」との意味が生じる。 そうすると、本件商標と被告標章1 の観念は同一ではなく、類似とされない。 (ウ) 取引の実情 被告は、原告が本件商標の使用を開始する以前から、ペットコーティングという塗料を塗布する工法である「ペット工法」を行ってきたのに対し、原告は、少なくとも平成30 年8 月頃までは本件商標を使用しておらず、「愛犬の床」という名称を積極的に使用していた。 また、両者はその性能、機能、有用性、需要者層等も大きく異なる。 すなわち、一般に、ペットが歩行するのに適した塗料等を欲している者にとっては、防滑性能に確かな根拠があるのか、工期はどれくらいかといったことが契約締結の際に最も重要な要素の一つであり、そうした事項について相応の注意を払って確認するものと推認される。 (エ) 類否 本件商標と被告標章1 は、その観念上類似とされない上、取引の実情も大きく異なり、外観及び称呼において類似する点があるとしても、商品の出所の誤認、混同をきたすおそれがあるとは認め難い。 したがって、本件商標と被告標章1 は類似しない。 ウ被告標章2 (ア) 被告標章2 の外観及 て類似する点があるとしても、商品の出所の誤認、混同をきたすおそれがあるとは認め難い。 したがって、本件商標と被告標章1 は類似しない。 ウ被告標章2 (ア) 被告標章2 の外観及び称呼並びに称呼が本件商標と類似することは認める。 (イ) 外観被告標章2 は、本件商標と異なり、カタカナ表記の「ペットコーティング」という文字がないほか、「Pet」という文字の下には犬の絵が、 「o」という文字の上には光の絵が、「g」という文字の上には猫の絵が、 - 12 -それぞれ書かれており、文字の色も薄い青色であることから、本件商標と外観上類似するとまではいえない。 (ウ) 観念被告標章1 と同様に、被告標章2 の観念は本件商標とは類似しない。 (エ) 取引の実情 被告標章1 と同様である。 (オ) 類否本件商標と被告標章2 は、外観及び観念上類似とされない上、取引の実情も大きく異なることから、称呼において類似する点があるとしても、商品の出所の誤認、混同をきたすおそれがあるとは認め難い。 したがって、本件商標と被告標章2 は類似しない。 エ被告標章3(ア) 被告標章3 の外観及び称呼並びに称呼が本件商標と類似することは認める。 (イ) 外観 被告標章3 は、原告商標とは異なり、カタカナ表記の「ペットコーティング」という文字がないほか、「Pet」と「Coating」という文字で2つに分けられて2 段になっており、また、「Coating」という文字の下には、「constructionmethod」という文字と犬の絵が描かれているほか、これら全体を盾の形のエンブレムが覆っていることからすると、これら 全体で一つのモチーフのように認識される。したがって、被告標 uctionmethod」という文字と犬の絵が描かれているほか、これら全体を盾の形のエンブレムが覆っていることからすると、これら 全体で一つのモチーフのように認識される。したがって、被告標章3 の外観は、文字だけで構成される原告商標と類似するとはいえない。 (ウ) 観念被告標章1 と同様に、被告標章3 の観念は本件商標とは類似しない。 (エ) 取引の実情 被告標章1 と同様である。 - 13 -(オ) 類否本件商標と被告標章3 は、外観及び観念上類似とされない上、取引の実情も大きく異なることから、称呼において類似する点があるとしても、商品の出所の誤認、混同をきたすおそれがあるとは認め難い。 したがって、本件商標と被告標章3 は類似しない。 オ被告標章4(ア) 被告標章4 の外観及び称呼並びに外観及び称呼が本件商標と類似することは認める。 (イ) 観念被告商標1 と同様に、被告標章4 の観念は本件商標とは類似しない。 (ウ) 取引の実情被告標章1 と同様である。 (エ) 類否本件商標と被告標章4 は、その観念上類似とされない上、取引の実情も大きく異なることから、外観及び称呼において類似する点があるとし ても、商品の出所の誤認、混同をきたすおそれがあるとは認め難い。 したがって、本件商標と被告標章4 は類似しない。 (2) 争点2(役務の同一性又は類似性)について(原告の主張)被告は、被告各標章をいずれも住宅及び商用施設の床のコーティング工事 という役務に関して使用しているところ、このような役務は、本件商標の指定役務である第37 類「建設工事」又は「住宅及び商用施設の床のコーティング工事」に含まれる。 したがって、本件商 工事 という役務に関して使用しているところ、このような役務は、本件商標の指定役務である第37 類「建設工事」又は「住宅及び商用施設の床のコーティング工事」に含まれる。 したがって、本件商標の指定役務と被告各標章の使用に係る役務は同一である。 (被告の主張) - 14 -否認ないし争う。 (3) 争点3(原告の損害及び損害額)について(原告の主張)ア被告の売上高(ア) 自社工事 8313 万8438 円(税込) (イ) 外注工事 7123 万0930 円(税込)イ限界利益の算定にあたり控除すべき経費(ア) 自社工事について被告の第24 期における売上高1991 万3343 円に対し、人工代は62 万 7766 円(税込)であり、他に控除を認められるべき経費はない。その 他発注費、材料費、消耗品、車両・交通費、営業費、事務費については、その支出を裏付ける証拠はないことから、経費として控除することはできない。 そうすると、被告の全体の売上に対する変動費率は3.15%となる。 これによれば、被告の売上から控除すべき経費(人工代)の額は、 261 万8861 円(=8313 万8438 円×3.15%)となる。 (イ) 外注工事について被告提出に係る証拠からうかがわれる被告の外注先は専ら被告の100%子会社である可能性が高く、その工事費は被告の売上と同視できることから、結局、被告が工事を外注したと認められる証拠はない。 したがって、外注工事の経費についても、自社工事と同様の変動費率とみるのが相当である。 ウ限界利益以上によれば、限界利益は、次のとおりとなる。 (ア) 自社工事 8051 万9577 円(=8313 万8438 円-261 万8861 事と同様の変動費率とみるのが相当である。 ウ限界利益以上によれば、限界利益は、次のとおりとなる。 (ア) 自社工事 8051 万9577 円(=8313 万8438 円-261 万8861 円) (イ) 外注工事 6898 万7156 円(=7123 万0930 円×3.15%) - 15 -(ウ) 合計 1 億4950 万6733 円エ損害額商標権の侵害者がその侵害行為により利益を受けているときは、その利益の額は商標権者が受けた損害の額と推定される(法38 条2 項)。したがって、被告が本件商標権侵害行為により得た利益の額1 億4950 万6733 円が本件商標権の商標権者である原告の受けた損害額と推定されるところ、原告は、被告に対し、その一部である1000 万円の賠償を請求する。 また、原告は、本件訴訟の遂行を弁護士に委任したところ、被告の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用相当額は、その1 割である100 万円である。 オまとめしたがって、原告は、被告に対し、本件商標権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求権の一部請求として、1100 万円の損害賠償を請求する。 カ損害の発生及び推定覆滅事情について以下のとおり、原告は本件商標を使用していることから、被告各標章の 使用により原告に損害が発生しており、また、法38 条2 項に基づく損害額の推定の覆滅事情は存在しない。 (ア) 原告による本件商標の使用原告は、短文投稿サイト「ツイッター」において、平成24年8月9日に本件商標を使用した投稿をしており、この時期より本件商標を使用して いたことが把握される。また、原告が実際に受注した工事の注文書や請求書からは、原告が、遅くとも平成22年9月16日から継続的に本件商標 使用した投稿をしており、この時期より本件商標を使用して いたことが把握される。また、原告が実際に受注した工事の注文書や請求書からは、原告が、遅くとも平成22年9月16日から継続的に本件商標を使用していたことが理解できる。さらに、原告が本件商標を使用していたパンフレットの「※2014年12月31日までに『ペットコーティング』をご契約のお客様限定!」という記載からは、本件商標が遅くとも平成 26年の夏か秋頃から使用されていたことが推認されるし、他のパンフレ - 16 -ットの「飼い主さまの声」欄記載の「声」が主として平成24年12月施工のものであることからは、本件商標が平成25年の早い時期に使用されていたことが推認される。 (イ) 被告の役務と原告の役務の市揚の同一性・相互補完関係の存在以下の事情から、被告の役務と原告の役務とは、市揚が同一又は少な くとも重なり合うものであり、相互補完関係にある。 すなわち、まず、原告は、北海道から九州までカバーする複数の関連会社を有しているところ、被告も、福岡、東京、中部、関西及び沖縄に営業所があり、地域的には、少なくとも関東以西では市場が重なる。 また、原告及び被告は、いずれも住宅を保有する個人から直接受注す るほか、ハウスメーカーから受注している。つまり、顧客層についてはほぼ100%重なり合っているといえる。 さらに、原告及び被告の役務は、いずれも犬等のペット飼育に適したフローリングの表面処理の施工を含む。また、原告も被告も「愛犬のケガ防止」「フローリングの損傷防止」をアピールポイントにしている。 加えて、サービスの価格帯は、被告においては10万円台半ば~50万円程度、原告においては10万円台~30万円代後半であり、価格帯についても多くが重なり合っている。 ピールポイントにしている。 加えて、サービスの価格帯は、被告においては10万円台半ば~50万円程度、原告においては10万円台~30万円代後半であり、価格帯についても多くが重なり合っている。 このように、サービスの種類・性質等についても、また価格帯もほぼ重なっていることから、原告と被告は競合関係・相互補完関係にあると いえる。同じカテゴリーないし目的のサービスであっても、自由競争の中、各事業者が他社との差別化を図るため、少しでもサービスの提供方法や顧客に与える便益を向上させようとすることは通常のことであるから、独自のサービスを提供していることは、市場の同一性や相互補完関係を否定する根拠とはなりえない。 (ウ) 営業努力、顧客吸引力について - 17 -どの事業者も、大なり小なり営業努力をして顧客を獲得し、良質なサービスの提供によって顧客吸引力を獲得しようとすることは当然の行為である。仮に被告がその主張のとおりの営業努力等を行っているとしても、通常の事業者が行う営業努力の範疇を超えるものとはいい難い。 (被告の主張) ア法38 条2 項の適用がないこと法38 条2 項の適用が認められるためには、権利者につき、被告の商標権侵害がなかったならば利益が得られたであろうという事情が必要である。 しかし、原告は、本件商標の登録日である平成23 年3 月18 日~平成30年8 月23 日の間、本件商標を利用した形跡が全くない。このため、少な くともその間においては、原告につき、被告の本件商標権侵害がなかったならば利益が得られたであろうという事情があったとはいえない。 したがって、上記期間については、法38 条2 項の適用はない。 イ限界利益平成23 年7 月頃から現在に至るまで、被告がペットコ ならば利益が得られたであろうという事情があったとはいえない。 したがって、上記期間については、法38 条2 項の適用はない。 イ限界利益平成23 年7 月頃から現在に至るまで、被告がペットコーティングを塗 料として販売したことによって得た限界利益は、売上高から人工代、発注費、営業費、事務費、材料費、消耗品費、車両・交通費を控除した2584万8464 円である。 ウ推定覆滅事情本件では、以下のとおり、法38 条2 項に基づく損害額の推定を覆すに 足りる事情が多数存在する。これらを総合的に考慮すれば、推定は全部覆滅されるというべきである。 (ア) 原告による本件商標の不使用原告のツイッター投稿では、主に「愛犬の床」が強調されている一方で、「ペットコーティング」の表示はいつでも変更できるユーザー名に しか出ておらず、これまでの約10 年近い書き込みにおいて一度もつぶ - 18 -やかれていない。また、「愛犬の床」のドメイン登録は平成25 年6 月 3 日であるのに対し、「ペットコーティング」は平成30 年8 月23 日に初めて登録された。その他の原告が提出する証拠も、「ペットコーティング」を平成23 年3 月から使用していたことの根拠にはならず、むしろ原告が以前は「愛犬の床」という名称で商品を販売していたことを強 くうかがわせる。これらの事情等によれば、原告が本件商標を平成23年当時から使用していたとはいえない。 したがって、原告は、平成23 年3 月18 日から平成30 年8 月23 日までの間、本件商標を使用した形跡が全くない。 (イ) 被告のサービスと原告のサービスの性能の相違点 被告が販売するサービス「ペット工法」と原告のサービス「ペットコーティング」には、そのサービスの特徴に 商標を使用した形跡が全くない。 (イ) 被告のサービスと原告のサービスの性能の相違点 被告が販売するサービス「ペット工法」と原告のサービス「ペットコーティング」には、そのサービスの特徴に著しい相違がある。また、被告の「ペット工法」には、「スタンダード」、「ハイブリッド」、「プレミアム」の3 種類があるが、そのいずれも、原告のサービスとは著しい相違がある。 すなわち、被告の「ペット工法」は、塗料の塗布前にスタッフが現地調査を行った上できめ細かな見積もりを行うものである上、被告が独自に開発したフローリング等の基材に対する復元・修復・保護強化に関する「レストア工法」と呼ばれる職人芸のような技術とセットで受注することが8 割から9 割であり、被告の看板商品となっている。これに対し、 原告のサービスは、1 日のうちに工事が完了することが前面に押し出され、レストア工法のようなきめ細かな職人芸のような技術が用いられることはなく、むしろ手軽で素早く機械的に施工されることを特徴とする。 このように、両者のサービスの特徴ないし性能には著しい相違がある。 また、被告の「ペット工法」には「スタンダード」、「ハイブリッ ド」、「プレミアム」の3 種類があるところ、「スタンダード」は、明 - 19 -確な効果を基準とした防滑性能という点で原告のサービスとは相違が存在する。「ハイブリッド」は、防傷性能という点で原告のサービスと相違する。「プレミアム」は、防水・防カビ性能という点で原告のサービスと相違する。 (ウ) 市場の非同一性・相互補完関係の不存在 被告は、「レストア工法」という独自の技術を保有しているため、主な対象はリフォームを行う顧客である。これに対し、原告はこうした特殊技術を保有せず、新築の邸宅に行うことがメ 互補完関係の不存在 被告は、「レストア工法」という独自の技術を保有しているため、主な対象はリフォームを行う顧客である。これに対し、原告はこうした特殊技術を保有せず、新築の邸宅に行うことがメインとなる。このため、両者の需要者層は異なる。 また、被告各標章とサービスの出所たる企業としての被告の営業上の 信用は、このような被告独自の技術そのものと結びついており、本件商標とは無関係である。 したがって、被告と原告の技術は、市場を異にし、また、相互補完関係は存在しない。 (エ) 被告の営業努力 被告の看板商品である「ペット工法」と「レストア工法」にはいわば職人芸のような緻密な作業が必要とされるため、従業員の教育が必要不可欠となる。そのため、被告は、技術者育成及び技術向上のために研修を行い、勤労意欲のある者に対する就労支援を目的とする一般社団法人を設立し、厳しい研修を終えた者のみに与えられる資格認定を受けた従 業員により、他社にはないほどの極めて質の高いサービスが提供できるように営業努力を重ねている。このような営業努力こそが被告の営業利益に直結している。 (オ) 被告のサービス自体の強固な顧客吸引力被告の独自技術である「レストア工法」や顧客の要望にきめ細やかに 答える「スタンダード」、「ハイブリッド」、「プレミア」といった多 - 20 -種多様なサービス、従業員に対する質の高い教育を通じた顧客満足度の高い技術の提供こそが、被告サービスにおいて強い顧客吸引力を有している。 (カ) 記述的商標であること等(権利濫用の抗弁、損害不発生の抗弁)商標登録に無効審判請求について除斥期間を定める法47 条1 項所定 の無効理由が存在する場合、商標権侵害訴訟の相手方は、除斥期間経過後であ 標であること等(権利濫用の抗弁、損害不発生の抗弁)商標登録に無効審判請求について除斥期間を定める法47 条1 項所定 の無効理由が存在する場合、商標権侵害訴訟の相手方は、除斥期間経過後であっても、商標権行使が権利の濫用に当たることを抗弁として主張することが許されると解される。また、当該商標が普通名称や慣用商標、記述的商標等である場合、無効理由であると共に、商標権者に損害が発生せず、また、商標権の効力が及ばないことから、損害不発生の抗弁事 由となる。 まず、本件商標は、「PETCOATING」と「ペットコーティング」を上下2 段に書してなるものであり、指定役務は第37 類「建設工事、住宅及び商用施設の床のコーティング工事、住宅及び商用施設の床の洗浄・ワックス掛け、住宅の水回りのコーティング工事」等である。しか し、本件商標は、そもそも法3 条1 項3 号の役務の質、用途等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるいわゆる記述的商標であり、法46 条1 項1 号の無効理由があり、その権利行使は権利濫用と評価されるべきであると共に、商標権の効力は及ばない(法26 条1 項2 号)。 また、このように本件商標は記述的商標にすぎず、出所識別機能、広告 宣伝機能、品質保証機能を果たさず、顧客吸引力もないから、商標権者である原告に損害は生じない。 したがって、以上の事情は損害額の推定覆滅事情として認められるべきであり、仮に何らかの損害が認定されるとしても、微々たるべきものである。 (キ) 一部非類似の抗弁 - 21 -結合商標については、例外に該当しない限り、原則として分離して対比観察することは許されない。 本件商標は、「PETCOATING」と「ペットコーティング」を上下2段に処してなるもの - 21 -結合商標については、例外に該当しない限り、原則として分離して対比観察することは許されない。 本件商標は、「PETCOATING」と「ペットコーティング」を上下2段に処してなるものであり、「PETCOATING」、「ペットコーティング」として一体不可分なものとして全体観察しなければならない。 これを前提に、本件商標と被告各標章を対比すると、そもそも原告指摘に係る被告各標章には記述的商標に過ぎないか商標的に使用されていないものが含まれるが、商標として使用されているものについては、本件商標と被告各標章は非類似である。 本件では、以上の事情が損害額の推定覆滅事情として認められるべき である。 第3 当裁判所の判断 1 被告各商標の使用状況前提事実(3)、証拠(掲記したもの)及び弁論の全趣旨によれば、被告は、平成23 年7 月頃から、以下のとおり、被告各標章を使用していたことが認め られる。 (1) 被告の自社ウェブサイト(甲5)における表示ア被告は、自社のウェブサイトの最上部において、被告標章1 及び2 を付すと共に、同所の被告標章2 の表示の真下に「ペットコーティング」という文字を付記した。また、同サイトには「施工メニュー」(甲5 の1)及 び「施工のながれ」(甲5 の2)と題するページを設けていたところ、このうち「施工メニュー」と題するページでは、「スタンダード」と題するプランの説明部分において、「標準工程:2 日」、「ペットコーティングの基本プランです」、「【ノンスリップ工法】プライマー+トップコートの2 層塗り」と記載する一方で、「プレミアム」と題するプランの説明部 分に配置された「さね強化のしくみ」という囲み記事の中で、コート剤を - 22 -「ペッ 】プライマー+トップコートの2 層塗り」と記載する一方で、「プレミアム」と題するプランの説明部 分に配置された「さね強化のしくみ」という囲み記事の中で、コート剤を - 22 -「ペットコート」と記載している(甲5 の1)。 イこれらの記載に鑑みると、甲5 表示は、いずれも被告が提供する「ペットコーティング」という名称の施工に係る役務を示すものとして機能しているものと理解される。これに反する被告の主張は採用できない。 (2) 雑誌(甲6)における表示 ア被告は、雑誌「cuore」臨時増刊号2011(甲6)において、被告標章1 及び2 を付した広告記事を掲載した。同記事では、「ペットコーティング総代理店」との肩書付きの訴外会社名及び「技術提供・施工」との肩書付きの被告名の表示の上部に被告標章2 を表示すると共に、その真下に「ペットコーティング[ペット工法]」と表示し、同表示部分の上部には、「ペッ トコーティング販売代理店募集中」、「『ペットコーティング』とは、15年かけた試行錯誤の末に得たサンプルやノウハウをもとに、コーティングの研究を重ねた技術で、現在5,000 世帯以上の施工実績があり」などと表示している。また、同記事において、被告標章1 は、上記各記載のほか、「ペット工法の『ペットコーティング』。ペットの足腰に優しい柔軟性の ある特殊なコート剤を独自の技術で施して、ペットをケガから守ります。 一般的なコーティングと比べ抜群の『防水性』・『防滑性』・『耐薬品性』。・・・画期的な新技術です。」、「ペットコーティングはペット専用の防滑性の高いコーティング。」、「ペットコーティングは継ぎ目の防水性はもちろん、施工時に防カビ処理を施しますので、その問題点はきちん とクリア。」、「シミ・カビを除去し、 ィングはペット専用の防滑性の高いコーティング。」、「ペットコーティングは継ぎ目の防水性はもちろん、施工時に防カビ処理を施しますので、その問題点はきちん とクリア。」、「シミ・カビを除去し、着色・塗膜再生後、ペットコーティングを施工。」等の態様で表示されている。 イこれらの記載に鑑みると、甲6 表示は、いずれも被告が提供する「ペットコーティング」という名称の役務を示すものとして機能しているものと理解される。これに反する被告の主張は採用できない。 (3) パンフレット(甲7)における表示 - 23 -ア被告は、自社のパンフレット(甲7)の表紙に、被告標章1 及び2 を付していた。すなわち、同表紙には、被告標章2 の表示と共に、その上部には「『ペット工法』、誕生。」、その下部には「[サービング・ペット工法のご案内]」との文字がそれぞれ付記され、また、「床材にペットコーティング。」という態様で被告標章1 が表示されている。さらに、同パン フレット内では、被告が提供する「ペット工法」の説明として、「『ペットコーティング』は高い防滑性能があるため」、「『ペットコーティング』は滑りにくく、爪を立てないですむため」などと各欄に記載されると共に、「飼い主とペットの快適な暮らしを考えた新世代フロアコーティング『ペットコーティング』。」との見出しの下、「ペット工法は、ペットの安全 な暮らしとお家のケア、その2 つを同時にかなえる新しい技術です。」との説明を付記する態様で、被告標章1 を表示している。 イこれらの記載に鑑みると、甲7 表示は、いずれも被告が提供する「ペットコーティング」という名称の役務を示すものとして機能しているものと理解される。これに反する被告の主張は採用できない。 (4) 広告記事(甲 ると、甲7 表示は、いずれも被告が提供する「ペットコーティング」という名称の役務を示すものとして機能しているものと理解される。これに反する被告の主張は採用できない。 (4) 広告記事(甲8)における表示ア被告は、「その他のレストア工法」と題する広告記事(甲8)の下部囲み記事において、被告標章2 を表示すると共に、「滑る床が原因で起こるヘルニアや股関節脱臼などから小さな家族を守る『ペット工法』。」との見出しの下に、「ペット工法は、ペットの足腰にやさしいペット専用コー ト剤を施し、床を滑りにくくすることで、ペットをケガから守るコーティング技術です。」との説明を付記していた。 イこれらの記載に鑑みると、甲8 表示は、いずれも被告が提供する「ペットコーティング」という名称の役務を示すものとして機能しているものと理解される。これに反する被告の主張は採用できない。 (5) 被告の自社ウェブサイト(甲9)における表示 - 24 -ア被告は、自社ウェブサイトの「ペット対応コーティング」と題するページ(甲9 の1)において、「サービングのペットコーティングとは?」、「その両方を実現するのが、サービングのペットコーティングです。」、「※右画像クリックで『ペットコーティング』チラシをご覧になれます…。」、「ペットコーティング紹介記事」、「全国版雑誌【woofwoof】 17 号(Autumn)にて、サービングの『ペットコーティング』が紹介されました。右の画像クリックで記事をご覧になれます…)。」といった態様で被告標章1 を表示すると共に、チラシ(甲9 の2)及び雑誌記事(甲9の3)へのリンクをそれぞれ設定した画像を掲載している。 このうち、チラシ(甲9 の2)には、下部右側に被告標章2 を表示する と 1 を表示すると共に、チラシ(甲9 の2)及び雑誌記事(甲9の3)へのリンクをそれぞれ設定した画像を掲載している。 このうち、チラシ(甲9 の2)には、下部右側に被告標章2 を表示する と共に、その真下に「[サービング・ペット工法]」と表示し、また、「大切な家族、ペットを守る待望の床コーティング、誕生」との見出しの下、「サービングが新開発した『ペット工法』は、ペットの安全とお家のケア、その2 つを同時にかなえる新しい技術です。柔軟性のある特殊なコート剤を施し、床を滑りにくくすることでペットをケガから守り、床の天 板もしっかりと強化します。」などとする説明が付記されている。 また、雑誌記事(甲9 の3)には、囲み記事で被告標章2 が大きく表示され、その下には「[サービング・ペット工法]」との文字が記載されている。また、同表示等の上部には、「ペットコーティングは…5,000 件以上の施工実績がございます。」との説明が付記され、同囲み記事の真下に は、「ペットコーティングはここで体感していただけます。」と記載される態様で、被告標章1 が表示されている。他方、同記事の大見出しは「画期的な新技術『ペット工法』なら犬種や床の状態に合わせたコーティングで、これまでの床が愛犬にとって安心・快適に大変身!!」であるところ、本文中では、「例えば、床の滑りにはペットコートという新技術で対応。 これは、フローリングの上に…ベースコートを敷き、その上に防滑性のあ - 25 -る特殊なペットコートを塗布するもので…。まさにペットのための工法なのです。」などの記載はあるものの、被告標章1 及び2 は表示されていない。 イこれらの記載に鑑みると、甲9 表示は、いずれも被告が提供する「ペットコーティング」という名称の役務を示すもの 法なのです。」などの記載はあるものの、被告標章1 及び2 は表示されていない。 イこれらの記載に鑑みると、甲9 表示は、いずれも被告が提供する「ペットコーティング」という名称の役務を示すものとして機能しているものと 理解される。これに反する被告の主張は採用できない。 (6) パンフレット(甲10)における表示ア被告は、令和2 年1 月まで、被告標章1 をタイトルとし、被告標章3 をその左側、被告標章4 を下部に表示したページを表紙とするパンフレット(甲10)をインターネット上で公開していた。 同パンフレット1 頁目には「そんな強い想いからペットコーティングは生まれました。」との説明がある。また、4 頁目及び5 頁目はQ&A 形式での説明部分であるところ、その見出しには「ペットコーティングが悩みを解決!」との記載があり、かつ、「Q1」部分には「『ペットコーティング』はそんな関節病の予防、足腰の負担軽減のために開発されました。」 との説明及び囲み記事の「ペットコーティングは、…他のペット対応商品に比べても高い防滑性能を保持できる事が、確認されています。」との説明が、「Q3」部分には「そんな想いから『ペットコーティング』は天板の保護にもこだわっています。」との説明が、「Q4」部分には「『ペットコーティング』は、高い防水性と耐薬品性によりお湯やアルコールでも フロアーを傷めることなくお掃除ができ」との説明がそれぞれ記載される態様で、被告標章1 が表示されている。さらに、6 頁目及び7 頁目は、「ペットコーティングの3 つのバリエーション」との大見出しの下に「ペットコーティングには、ペットの種類やしつけの状態などに合わせて、… 3 つの工法があります。」として、被告が提供する3 つの工法の説明がさ れ の3 つのバリエーション」との大見出しの下に「ペットコーティングには、ペットの種類やしつけの状態などに合わせて、… 3 つの工法があります。」として、被告が提供する3 つの工法の説明がさ れている。 - 26 -イこれらの記載に鑑みると、甲10 表示は、いずれも被告が提供する「ペットコーティング」という名称の役務を示すものとして機能しているものと理解される。これに反する被告の主張は採用できない。 (7) パンフレット(甲11)における表示ア被告は、被告標章1 をタイトルとし、被告標章2 も表示された表紙のパ ンフレット(甲11)を使用していた。また、その中面見開きのページには、「ペットコーティングの3 つの工法」、「ペットコーティングには、ペットの種類やしつけの状態などに合わせて、…3 つの工法があります。」、「ペットを守り居住性を高めるペットコーティング」、「ペットコーティングは、…他のペット対応商品と比べても、高い防滑性能を保持 できる事が確認されています。」と記載する態様で、被告標章1 が表示されている。さらに、最終頁には、「長年使用したことによって、傷んでしまった基材に対しても、ペットコーティングを施工する事ができます。」との説明を記載する態様で、被告標章1 が表示されている。 イこれらの記載に鑑みると、甲11 表示は、いずれも被告が提供する「ペ ットコーティング」という名称の役務を示すものとして機能しているものと理解される。これに反する被告の主張は採用できない。 2 争点1(本件商標と被告各標章の類否)について(1) 本件商標と被告標章1 の類否ア商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その 外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶 標章の類否)について(1) 本件商標と被告標章1 の類否ア商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その 外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものである(最高裁昭和43 年2 月27 日第三小法廷判決・民集22巻2 号399 頁参照)。また、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他 人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取 - 27 -引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合などを除き、許されない(最高裁昭和 38 年12 月5 日第一小法廷判決・民集17 巻12 号1621 頁、最高裁平成5 年 9 月10 日第二小法廷判決・民集47 巻7 号5009 頁、最高裁20 年9 月8 日第二小法廷判決・裁判集民事228 号561 頁参照)。 イ本件商標は、上段に「PETCOATING」、下段に「ペットコーティング」と2 段書きされ、略同一サイズのフォントの文字からなる結合商標である。 もっとも、下段は上段の欧文字を英語風にカタカナ読みしたものに過ぎないことから、これら上下2 段の文字からなる本件商標の各構成部分は、それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められない。 したがって、本件商標 いことから、これら上下2 段の文字からなる本件商標の各構成部分は、それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められない。 したがって、本件商標は、その構成中の「PETCOATING」又は「ペッ トコーティング」のいずれかの文字部分を抽出し、この部分だけを被告各標章と比較して商標そのものの類否を判断することが許される。 ウ本件商標の「ペットコーティング」の文字部分と被告標章1 とを比較すると、その外観は類似し、称呼は同一といえる。 また、本件商標からは、愛玩動物に関連する物の表面に膜を付ける処理 を施すこと又はその膜という観念が生じる(当事者間に争いがない。)。 他方、本件商標と被告標章1 の外観及び称呼が同一であることに加え、被告標章1 により表示されるサービスの需要者も、少なくともペットを飼育する個人の住宅向けのフロアコーティングを求める消費者が需要者である点で本件商標の指定役務の需要者と共通すること(弁論の全趣旨)から、 被告標章1 からも、愛玩動物に関連する物の表面に膜を付ける処理を施す - 28 -こと又はその膜という観念が生じるものと見られる。そうすると、本件商標と被告標章1 とは、同一の観念が生じると認められる。 以上より、本件商標と被告標章1 は、その外観において類似し、称呼及び観念は同一である。 したがって、本件商標と被告標章1 とは、類似するものと認められる。 エ被告の主張について(ア) 被告は、被告標章1 からは「それを塗布することによって、犬をはじめとするペットが滑りにくくなるとともに、床自体も保護できる安全性の高い塗料」との観念が生じる旨を主張すると共に、原告が平成30 年以前に本件商標を使用したことがないこと、原告と によって、犬をはじめとするペットが滑りにくくなるとともに、床自体も保護できる安全性の高い塗料」との観念が生じる旨を主張すると共に、原告が平成30 年以前に本件商標を使用したことがないこと、原告と被告とがそれぞれ提 供するサービスの需要者層が異なること、需要者が商品の出所ではなく、防滑性能や工期に特に関心を払うことといった取引の実情に鑑みると、出所の誤認混同をきたすおそれがあるとは認め難い旨をも主張する。 (イ) しかし、仮に被告標章1 から被告主張のとおりの観念を生じるとしても、本件商標からは、前記のとおり、愛玩動物に関連する物の表面に膜 を付ける処理を施すこと又はその膜という観念を生じるのであって、両者は類似するものといってよい。なお、「床自体を保護できる」という点は、床のコーティングである以上そのような機能を併有することはいうまでもないから、本件商標と被告標章1 のそれぞれから生じる観念を非類似とすべきものとはいえない。 (ウ) また、証拠(以下に掲記のもの)及び弁論の全趣旨によれば、まず、原告のウェブサイトに掲載された会社案内(甲34)の「グループ沿革」欄には、平成21年8月部分に、「ペット専用コーティング『愛犬の床』を開発、試験施工を開始。」との記載がある。次に、遅くとも平成22年9 月16 日以降に作成された請求書(甲32)において、原告は、施工 件名及び「品名/作業名」として「『愛犬の床』ペットコーティング」 - 29 -という表示を使用していたことが認められる。次に、平成23 年5 月に開設した原告のツイッターアカウント(甲13、33)において、「『愛犬の床』ペットコーティング」とするアカウント名が使用されていることが認められる(ただし、上記アカウント名の使用開始時期は証拠上必ずし した原告のツイッターアカウント(甲13、33)において、「『愛犬の床』ペットコーティング」とするアカウント名が使用されていることが認められる(ただし、上記アカウント名の使用開始時期は証拠上必ずしも判然としない。)。次に、原告作成のチラシ(甲15)には、 「※2014 年12 月31 日までに『ペットコーティング』をご契約のお客様限定!」、「ペットコーティング®」との記載があることに鑑みると、同チラシは、本件商標の商標登録後で、遅くとも平成26 年中に作成されたものであることがうかがわれる。また、上記「グループ沿革」欄には、平成26 年7 月部分に、特定の住宅建築会社限定の「ペット専用コ ーティング『ペットコーティング』の供給開始」との記載がある。さらに、原告作成のパンフレット(甲17)には、「ペットコーティング®」との記載のほか、「2015 住まいの夢博」、「《キャンペーン期間》 2015 年6 月1 日~7 月末日までの新規見積物件」といった記載があることに鑑みると、同パンフレットは、平成27 年5 月以前に作成されたも のであることがうかがわれる。 上記各認定事実に鑑みると、原告は、平成21 年8 月頃から、ペット専用コーティング「愛犬の床」の試験的な施工を開始し、遅くとも平成 22 年9 月には、「愛犬の床」と併記する形ではあるものの、「ペットコーティング」という表示を使用するようになり、また、遅くとも本件 商標の商標登録後である平成26 年以降は、「ペットコーティング」のみで原告の提供するペット専用コーティングを示すものとして使用していたものといってよい。すなわち、原告は、遅くとも本件商標が商標登録された平成23 年3 月18 日時点では、少なくとも「愛犬の床」との表示との併記という形で、既に本件商標を 示すものとして使用していたものといってよい。すなわち、原告は、遅くとも本件商標が商標登録された平成23 年3 月18 日時点では、少なくとも「愛犬の床」との表示との併記という形で、既に本件商標を使用していたものと見るのが相 当である。 - 30 -需要者については、少なくともペットを飼育する個人の住宅向けのフロアコーティングを求める消費者が需要者である点では原告と被告とで共通することは前記のとおりである。加えて、このような需要者が商品の防滑性能や工期に関心を払うとしても、そのことは、商品の出所に全く関心を有しないことを必ずしも意味しない。その他原告及び被告の各 商品の出所につき誤認混同が生じないといえる取引の実情を認めるに足りる証拠はない。 (エ) したがって、この点に関する被告の主張は採用ができない。 (2) 本件商標と被告標章2 との類否本件商標と被告標章2 との対比に当たっては、本件商標の「PETCOATING」 の文字部分と被告標章2 とを比較する。 まず、本件商標と被告標章2 とは、いずれも「ペットコーティング」との称呼を生じるといえる。 また、被告標章2 は、被告標章1 と同様の理由から、愛玩動物に関連する物の表面に膜を付ける処理を施すこと又はその膜という観念が生じるといえ ることから、本件商標と同一の観念を生じるものと認められる。 外観については、本件商標は「PETCOATING」という一連一体の英大文字からなる。これに対し、被告標章2 は、いずれも冒頭の英文字を大文字、その他の英文字を小文字で表記した英単語「Pet」と「Coating」の2 語を組み合わせ、両単語の間にスペースが存在すると共に、「Pe」の下に犬のイラ スト、「oa」の上に輝きを表すイラスト、「g」の上に を小文字で表記した英単語「Pet」と「Coating」の2 語を組み合わせ、両単語の間にスペースが存在すると共に、「Pe」の下に犬のイラ スト、「oa」の上に輝きを表すイラスト、「g」の上に猫のイラストが描かれている。もっとも、これらのイラストは、いずれも「PetCoating」の文字の周辺に被告標章2 を構成する語から連想されるイラストを装飾として付随的に描いたものに過ぎない。文字部分が二語で構成されている点及び英大文字と英小文字を組み合わせて使用している点も、「Pet」及び「Coating」の いずれも日本人になじみのある英単語といえることもあって、本件商標と被 - 31 -告標章2 との類似性を否定すべきほどの相違とはいえない。このため、本件商標と被告標章2 とは、外観において類似するものといえる。 したがって、本件商標と被告標章2 は、その称呼及び観念において同一であり、外観において類似する。 さらに、原告及び被告の各商品につき出所の誤認混同が生じないといえる 取引の実情を認めるに足りる証拠がないことは、被告標章1 の場合と同様である。 以上より、本件商標と被告標章2 とは類似するものと認められる。これに反する被告の主張は採用できない。 (3) 本件商標と被告標章3 との類否 被告標章3 との対比も、本件商標の構成中の「PETCOATING」の文字部分と被告標章3 とを比較することとする。 外観について、被告標章3 は、盾のイラストを背景に配した上で、当該イラスト上に、中央に大きく、その左右両端に向けて2 つずつ徐々に小さく薄くなるように星形を横一列に配した部分、同一フォントでほぼ同一サイズの 「Pet」と「Coating」の2 語を上下2 段書きし、上下間に、「o」の上部から「 に向けて2 つずつ徐々に小さく薄くなるように星形を横一列に配した部分、同一フォントでほぼ同一サイズの 「Pet」と「Coating」の2 語を上下2 段書きし、上下間に、「o」の上部から「n」の上部の間に右端部に近付くにつれて徐々に薄くなる直線が置かれてなる部分、左右の端部に近い部分をいったん背景側に折った上で再び左右方向に折った帯状のリボン様の図柄の上に「constructionmethod」という小さな文字を配した部分、左側を向いた犬のイラスト部分が、上から順に配置され てなるものである。被告標章3 の外観のこのような構成に鑑みると、「Pet」及び「Coating」の文字が他の文字部分より大きく表示されているとはいえ、上下2 段に分かれていることもあって、本件商標と被告標章3 の外観は、必ずしも類似しているとまではいい難い。 しかし、被告標章3 の称呼については、「Pet」及び「Coating」が大きく、 これに比して「constructionmethod」は小さく表示されていることなどから、 - 32 -「ペットコーティング」の称呼を生じると考えられる。そうすると、本件商標と被告標章3 とは、称呼において同一といえる。また、このことをも踏まえると、被告標章3 は、被告標章1 と同様に、愛玩動物に関連する物の表面に膜を付ける処理を施すこと又はその膜という観念を生じるものといえるから、本件商標と被告標章3 とは、観念においても同一といえる。 したがって、本件商標と被告標章3 とは、称呼及び観念において同一である。 さらに、原告及び被告の各商品につき出所の誤認混同が生じないといえる取引の実情を認めるに足りる証拠がないことは、被告標章1 の場合と同様である。 以上より、本件商標と被告標章3 ある。 さらに、原告及び被告の各商品につき出所の誤認混同が生じないといえる取引の実情を認めるに足りる証拠がないことは、被告標章1 の場合と同様である。 以上より、本件商標と被告標章3 とは類似するものといえる。これに反する被告の主張は採用することができない。 (4) 本件商標と被告標章4 の類似性被告標章4 との対比も、本件商標の「PETCOATING」の文字部分との比較によることとする。 被告標章4 の外観は、「PetCoating」という飾り文字(濃い色で文字の外縁部が縁取られ、薄い色で文字の内側が塗りつぶされているもの)で構成されている(当事者間に争いがない。)。 したがって、被告標章2 の場合と同様に、本件商標と被告標章4 は、その称呼及び観念において同一であり、外観も、被告標章4 が飾り文字を用いて いる点を考慮しても、なお類似するものといえる。 さらに、原告及び被告の各商品につき出所の誤認混同が生じないといえる取引の実情を認めるに足りる証拠がないことは、被告標章1 の場合と同様である。 以上より、本件商標と被告標章4 とは類似するものといえる。これに反す る被告の主張は採用できない。 - 33 - 3 争点(2)(役務の同一性又は類似性)について本件商標の指定役務には、「住宅及び商用施設の床のコーティング工事」が含まれる。 他方、前記1 認定のとおり、甲5 表示~甲11 表示は、いずれも被告が提供する「ペットコーティング」という名称の役務を示すものとして機能している ところ、認定に係るウェブサイト等の具体的記載内容に鑑みると、同役務は、住宅等の建物内でペットを飼育等する場合のニーズに対応したコーティングを床に施すものと理解される。 したがって、被告各標章に係 ところ、認定に係るウェブサイト等の具体的記載内容に鑑みると、同役務は、住宅等の建物内でペットを飼育等する場合のニーズに対応したコーティングを床に施すものと理解される。 したがって、被告各標章に係る役務は、本件商標の指定役務である「住宅及び商用施設の床のコーティング工事」と少なくとも類似するものと認められる。 これに反する被告の主張は採用できない。 4 差止請求権及び廃棄請求権について(1) 前提事実(3)及び前記1 の各認定事実によれば、被告は、住宅及び商用施設の床のコーティング工事に係る被告の役務に関する広告等に被告各標章を付して展示し、頒布し、また、これらを内容とする情報に被告各標章を付し て電磁的方法により提供したことが認められる。したがって、被告は、被告各標章を「使用」(法2 条3 項8 号)したといえる。 また、被告は、本件商標の指定役務である「住宅及び商用施設の床のコーティング工事」について、登録商標である本件商標にいずれも類似する被告各標章を使用したものであり、このような被告の行為は、本件商標権を侵害 したものとみなされる(法37 条1 号)。 (2) 本件において、被告は、本件商標権の侵害を争っており、また、今後も住宅及び商用施設におけるペット対応の床のコーティング工事に係る事業を継続することがうかがわれること、その他本件に顕れた事情を考慮すると、今後も被告が原告の本件商標権を侵害するおそれがあるといえることから、 被告による本件商標権侵害行為を差し止める必要性が認められる。 - 34 -したがって、原告は、被告に対し、本件商標権に基づき、その侵害の差止請求権(法36 条1 項)及び廃棄請求権(同条2 項)を有する。具体的には、住宅及び商用施設の床のコーティング工事に関する広 -したがって、原告は、被告に対し、本件商標権に基づき、その侵害の差止請求権(法36 条1 項)及び廃棄請求権(同条2 項)を有する。具体的には、住宅及び商用施設の床のコーティング工事に関する広告を内容とする情報に、被告各標章を付して、電磁的方法により表示すること、及び被告各標章を付した住宅及び商用施設の床のコーティング工事に関する広告を頒布すること の各差止請求権、並びに被告各標章のいずれかを付した住宅及び商用施設の床のコーティング工事に関する広告の廃棄請求権を有するものと認められる。 争点(3)(原告の損害及び損害額)について(1) 原告の損害発生の有無法38 条2 項は、商標権侵害によって商標権者が被った損害の賠償を求め るにあたり、民法の原則の下では、商標権者において、損害の発生及び額、これと商標権侵害行為との間の因果関係を主張、立証しなければならないところ、その立証等には困難が伴い、その結果、妥当な損害の填補がされないという不都合が生じ得ることから、立証の困難性の軽減を図った規定である。 その趣旨に鑑みれば、商標権者に侵害者による商標権侵害行為がなかったな らば利益が得られたであろうという事情が存在する場合には、その適用が認められると解すべきである。 これを本件についてみると、前記のとおり、「ペットコーティング」と呼ばれる床のコーティング工事に関する原告と被告の事業は、その需要者に少なくともペットを飼育する個人の住宅向けのフロアコーティングを求める消 費者が含まれる点では共通しており、このような需要者を対象とする床のコーティング工事に関する市場において、原告と被告の事業は競業関係にあるといえる。 したがって、原告には、被告による本件商標権侵害行為がなかったならば利益が得られたであろうと 要者を対象とする床のコーティング工事に関する市場において、原告と被告の事業は競業関係にあるといえる。 したがって、原告には、被告による本件商標権侵害行為がなかったならば利益が得られたであろうという事情が存在することから、法38 条2 項の適 用が認められる。 - 35 -これに対し、被告は、原告は平成23 年3 月18 日~平成30 年8 月23 日の間は本件商標を使用しておらず、少なくともこの間においては、原告に、被告の商標権侵害行為がなかったならば利益が得られたであろうという事情がない旨を主張する。しかし、前記(2(1)エ(ウ))のとおり、原告は、遅くとも本件商標の商標登録がされた平成23 年3 月18 日時点で既に本件商標を使用 していたのであって、被告の上記主張はその前提を欠く。このため、この点に関する被告の主張は採用できない。 (2) 原告の損害額ア逸失利益の額(ア) 侵害者が侵害行為により受けた「利益の額」(法38 条2 項)とは、 侵害者の侵害に係る役務等の売上高から、侵害者においてその役務等を提供することによりその役務等の提供に直接関連して追加的に必要となった経費を控除した限界利益の額であり、その主張立証責任は商標権者側にあるものと解される。 (イ) 売上高については、証拠(乙7 の2、8、11)及び弁論の全趣旨によ れば、平成23 年3 月~令和2 年2 月の間の被告の売上高は、以下のとおりと認められる。これに反する被告の主張は採用できない。 ・被告の自社工事分 8313 万8438 円(税込)・外注工事分 7123 万0930 円(税込)(ウ) 経費については、まず、証拠(乙18)及び弁論の全趣旨によれば、 被告の自社工事における人工代が261 万88 38 円(税込)・外注工事分 7123 万0930 円(税込)(ウ) 経費については、まず、証拠(乙18)及び弁論の全趣旨によれば、 被告の自社工事における人工代が261 万8861 円であったことが認められる。これは、被告の売上高に係る役務提供に直接関連して追加的に必要となった経費といってよい。 被告は、さらに、外注工事における発注費その他発注費用のほか、営業費、事務費、材料費、消耗品費、車両・交通費の控除をも主張する。 しかし、外注工事における発注先である株式会社サービングテクノスは、 - 36 -本店所在地や代表取締役の共通性(甲36、37)から、少なくとも被告と極めて密接な関係にある会社であることがうかがわれることなどに鑑みると、同社からの請求書(乙16 の1、17 の1)のみをもって直ちに、同社に対する外注工事の発注費用につき、限界利益の算定に当たり控除すべき経費と認めることはできない。その他の費用については、その支 出を裏付けるに足りる的確な証拠はない。このため、この点に関する被告の主張は採用できない。 そうすると、経費については、自社工事分についての人工代のほか、外注工事分についても、原告の主張のとおり、自社工事分の変動費率3.15%を乗じたものをもって経費と認めるのが相当である。 (エ) 以上より、本件における被告の限界利益は、合計1 億4950 万6732 円と認められる。 ・自社工事分 8051 万9577 円(=8313 万8438 円-261 万8861 円)・外注工事分 6898 万7155 円(=7123 万0930 円×(1-0.0315))(オ) 推定覆滅事情 法38 条2 項における推定の覆滅については、侵害者が主張立証責任を負うものであり 分 6898 万7155 円(=7123 万0930 円×(1-0.0315))(オ) 推定覆滅事情 法38 条2 項における推定の覆滅については、侵害者が主張立証責任を負うものであり、侵害者が得た利益と商標権者が受けた損害との相当因果関係を阻害する事情がこれに当たるものと解される。そのような事情としては、例えば、商標権者と侵害者の業務態様等に相違が存在すること(市場の非同一性)、市場において競合する役務等の存在、侵害者 の営業努力(ブランド力、宣伝広告)、侵害に係る役務等の効用・効果(機能、デザイン等商標以外の特徴)といったものが挙げられる。 本件においては、まず、前記のとおり、原告と被告の提供する役務は、いずれもペットの飼育に適したフローリングの表面処理の施工を行うというものであり、その市場は同一ないし重なり合うものと見られる。 もっとも、原告と被告がそれぞれ提供する上記役務は、その性質上、 - 37 -施工の内容、工法、仕上がり、職人の熟練度、施工費用等が重要な要素となるものであり、他社との差別化のため各事業者がサービスの提供方法等を向上させようとするものであることは経験則上明らかである。現に、例えば、原告は、「ペットコーティング」に係る工事について、「工事は1 日で完成高級感UP!」などと、1 日で工事が完了すること をメリットとして訴求している(甲15~19)。これに対し、被告は、基本プランである「スタンダード」プランで「標準工程:2 日」とし、コーティングのみならずレストア(劣化部修復)の施工プロセスを経ることもアピールポイントとして訴求している(甲5~11)。 もとより、需要者は、商品の選択に当たり、提供される役務等や事業 者自体の信用等を表章するものとして本件商標や被告各 工プロセスを経ることもアピールポイントとして訴求している(甲5~11)。 もとより、需要者は、商品の選択に当たり、提供される役務等や事業 者自体の信用等を表章するものとして本件商標や被告各標章を参照すると思われるものの、住居内の床のコーティング工事という役務の性質に鑑みると、現に提供される施工の内容等を同等ないしそれ以上に重視するものと考えるのが相当である。このため、被告各標章が、これをその広告等に使用したことにより被告の売上に寄与した程度は、かなり限定 的なものと見るべきである。なお、前記(2(1)エ(ウ))のとおり、原告は、自社ウェブサイトの会社案内の「グループ沿革」欄に、平成26 年7 月部分に、特定の住宅建築会社限定の「ペット専用コーティング『ペットコーティング』の供給開始」と記載している。この取扱いが実際に実施された期間等の詳細は証拠上判然としないが、少なくとも、原告と被告 とでは、上記役務の販路ないし販売態様を異にしていたこともうかがわれる。 これらの事情を総合的に考慮すると、本件において、侵害に係る役務の提供によって被告が得た利益の大部分については原告の損害の相当因果関係を阻害する事情があるというべきであり、その推定の覆滅割合は 95%と認めるのが相当である。 - 38 -(カ) 被告のその余の主張について被告は、以上のほかにも、本件商標が普通名称、慣用商標、記述的商標であることや原告による本件商標の不使用を前提とする推定覆滅を主張する。しかし、「ペット」と「コーティング」のそれぞれが普通名称等に当たるとしても、これらを結合させた「ペットコーティング」の標 章が、本件商標の指定役務との関係で、普通名称、慣用商標ないし記述的商標に当たることを認めるに足りる証拠はない。また、原 通名称等に当たるとしても、これらを結合させた「ペットコーティング」の標 章が、本件商標の指定役務との関係で、普通名称、慣用商標ないし記述的商標に当たることを認めるに足りる証拠はない。また、原告が本件商標を遅くとも本件商標の商標登録出願当時から使用していたと認められることは前記(2(1)エ(ウ))のとおりである。 その他被告が縷々指摘する点を考慮しても、この点に関する被告の主 張は採用できない。 (キ) 小括以上によれば、被告が本件商標権侵害行為により受けた「利益の額」すなわち本件商標権侵害により原告が受けた損害の額として推定される額は、747 万5336 円(=限界利益額1 億4950 万6733 円×5%。1 円未満 切捨て)と認められる。 イ弁護士費用相当損害額本件における事案の内容、難易度、審理経過及び認容額等に鑑み、被告による本件商標権侵害と相当因果関係があると認められる弁護士費用相当損害額は、74 万7533 円とするのが相当である。これに反する原告及び被 告の主張はいずれも採用できない。 (3) 小括以上によれば、原告は、被告に対し、本件商標権侵害の不法行為に基づき、 822 万2869 円の損害賠償請求権及びこれに対する不法行為後である令和2 年 7 月16 日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合 による遅延損害金請求権を有する。 - 39 -第4 結論よって,原告の請求は,主文記載の限度で理由があるから、その限度でこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47 部 裁判長裁判官杉浦正樹 主文 からこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 理由 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官杉浦正樹 裁判官小口五大 裁判官稲垣雄大は、転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官杉浦正樹
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