主文 1 原告らの請求をいずれも却下する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告らは,連帯して,下館市に対し,金1600万3459円及びこれに対する平成12年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,原告らが,被告らに対し,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,下館市に代位して,同市の被告らに対する損害賠償請求権の行使として,同市に賠償金1600万3459円及びこれに対する平成12年4月1日から民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払うことを求めた事案である。 1 前提事実(争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨から容易に認定することのできる事実)(1) 当事者ア原告A及び同B(以下「原告ら」という。)は,下館市の住民である。 イ被告C(以下「被告C」という。)は,平成8年11月15日から現在まで下館市長の地位にあり,同E(以下「被告E」という。)は,平成4年11月15日から平成8年11月14日まで同市長の地位にあった者であり,同Dは,昭和51年11月15日から平成4年11月14日まで同市長の地位にあった者である(甲2号証)。 (2) 本訴提起に至るまでの経緯ア原告らは,平成12年4月3日付け監査請求書(甲1号証)により,地方自治法242条第1項に基づき,下館市監査委員に対し,「下館市都市計画街路3・5・9号線(中島・富士見町線)整備事業」(以下「本件事業」という。)について,下館市が国に対して国庫補助金1667万7730円及び同補助金に係る加算金相当額1600万3459円の合計額3268万1189円を返納しなければならな 備事業」(以下「本件事業」という。)について,下館市が国に対して国庫補助金1667万7730円及び同補助金に係る加算金相当額1600万3459円の合計額3268万1189円を返納しなければならないところ,その返納を市費で行ったことは不当な公金支出に該当するから,調査の上適切な措置を講ずること,及び上記返納について被告Cが下館市に同額を返還する旨の住民監査請求をした。 イ下館市監査委員会は,原告らの住民監査請求に基づき,事実関係を調査し,下館市が本件事業に関して国から平成3年3月29日に土地取得費用及び建物移転補償費用1244万2730円及び平成4年3月27日に建物移転補償費用等423万5000円の合計1667万7730円の国庫補助金を受け入れたこと,本件事業の一部である大町交差点から稲荷町間の工事について平成3年2月完成予定であったが,同工事の施工のためには,稲荷町町内の土地所有者Fから建物を賃借していた借家人G(以下「G」という。)を移転させなければならなかったが,Gとの移転補償の交渉が難航し,下館市の出納閉鎖期限である平成3年5月末日までにGとの交渉が成立しなかったこと,同時点において,下館市は,補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の趣旨に則り,繰越しの手続を採るか,前記補助金全額を国に返還するか,いずれかを選択すべきであったにもかかわらず,平成4年5月28日付け「平成3年度地方道路整備臨時交付金事業等完了実績報告書」において,国及び茨城県に対し,Gとの間で平成3年3月15日付け移転補償契約が締結され,同年5月31日Gに補償金530万1123円が支出されたとの内容虚偽の報告がされたこと,同補償金額530万1123円について,実際には平成3年6月ころ歳計外現金として下館市収入役預かりとされたこと,その後,Gと 日Gに補償金530万1123円が支出されたとの内容虚偽の報告がされたこと,同補償金額530万1123円について,実際には平成3年6月ころ歳計外現金として下館市収入役預かりとされたこと,その後,Gとの交渉は継続されたが,結局,交渉は成立しなかったこと,平成11年12月に開会された第4回下館市議会定例会において,原告Bが,上記補償金の問題を取り上げ,同問題が表面化したこと,茨城県が,平成12年2月16日付け公街第98号通知書により,下館市に対し,国から補助金の返還額が3268万1189円であるとの指示を受けた旨通知したこと,国が,同年3月7日付け11建設省茨都総発第188号及び同日付け第188号の2の各文書により,下館市に対し,国庫補助金交付決定取消額が1667万7730円であること並びに同取消額及び同取消額に係る加算金を同年3月31日までに国に返還するよう通知したこと,下館市が,国に対し,同返済期限に3268万1189円を返還したこと,同返還額のうち1667万7730円については本来国に返還すべきものであるから不当な支出に該当しないこと,加算金相当額1600万3459円については補助金の返還を怠ったため生じたものであって加算金相当額の損害(以下「本件損害」という。)を下館市に与えたこと,本件損害について,被告D及び同Eが返還手続を怠ったことに起因し,また被告Cも同人の市長就任後に生じた損害につき填補する責任があると思料されることなどの事実を認めた。 さらに,下館市監査委員は,上記認定事実に基づき,被告Cに対し,下館市が被った本件損害を填補する方策及びこのような問題が今後起きないように再発防止に向けた措置を講ずべきことを勧告した(以下「本件勧告」という。)。 ウ被告Cは,本件勧告に基づき,平成12年6月30日 件損害を填補する方策及びこのような問題が今後起きないように再発防止に向けた措置を講ずべきことを勧告した(以下「本件勧告」という。)。 ウ被告Cは,本件勧告に基づき,平成12年6月30日付け総務発第178号文書(甲3号証)により,下館市監査委員に対し,地方自治法243条の2第3項による賠償責任の有無及び賠償額について決定することを求めるとともに,「管理及び検査態勢の確立と職員研修による自己啓発,自己研鑽の推進に努める」との措置(以下「本件措置」という。)を講ずる旨通知をした。 エ下館市監査委員は,平成12年7月3日付け監査第53号文書(甲4号証)により,原告らに対し,地方自治法242条第7項に基づく通知を行い,同月4日,原告らは,同文書を受領した。 オ下館市監査委員は,平成12年10月31日付け監査第74号文書(甲5号証)により,被告Cに対し,本件損害につき,同損害発生の時から3年が経過しており,地方自治法242条の2第3項但書により,現時点で責任を問うことはできない旨通知した。 カその後,原告らは,下館市監査委員に対し,どのような措置が講じられたかどうかを確認したところ,同監査委員は,平成13年3月29日付け監査第20号文書(甲6号証)により,前記ウのとおり本件措置が講じられ,前記エのとおり同措置を講じたことを原告らに通知したことをもって,原告らの監査請求に関する手続が終了した旨通知した。 キ原告らは,平成13年4月25日,被告らに対し,下館市に本件損害の填補を求める本件訴訟を提起した(当裁判所に顕著)。 2 争点及びこれに対する当事者の主張(1) 本件訴訟は,地方自治法242条の2第2項の出訴期間を遵守した適法な訴えかどうか(争点1)。 (原告ら 起した(当裁判所に顕著)。 2 争点及びこれに対する当事者の主張(1) 本件訴訟は,地方自治法242条の2第2項の出訴期間を遵守した適法な訴えかどうか(争点1)。 (原告らの主張)ア本件措置は実際上存在しないものといえ,かつ,本件勧告は地方自治法242条第3項所定の期間を示していない不適法なものであることから,本件訴訟は,本件勧告から相当期間経過後に行われた適法な訴えであって,出訴期間経過の違法はない。 イ本件勧告は,被告らに対し,下館市への本件損害の填補を求めるものであるところ,本件措置は地方自治法243条の2第3項により賠償責任の有無及び賠償額を決定することを求めたものであって,本来,地方公共団体の長が本件勧告とは無関係に上記地方自治法243条の2第3項による申立てをしうること,しかも,同条の2は地方公共団体の長の責任については適用がないこと(最高裁昭和61年2月27日第1小法廷判決)などから,本件措置は本件勧告の趣旨を逸脱した的はずれなものであって,地方自治法242条の2第2項4号の「措置を講じない場合」に該当し,実質的には,地方自治法242条第7項所定の措置が行われていないといえ,措置がない以上,本件措置に係る通知も不適法なものであるといえる。 そして,本件勧告には,地方自治法242条第3項所定の措置を講ずべき期間が示されていなかったことから,原告らは,本件勧告に沿った実質的な措置が講じられることを期待し,本件措置が最終的な措置にあたるものと理解することができなかったのであって,原告らが,本件措置に対する住民訴訟の提起をしなかったことについて,原告らに責任はないといえる。 ウまた,地方自治法242条第1項所定の財務会計上の違法な行為又は怠る事実が のであって,原告らが,本件措置に対する住民訴訟の提起をしなかったことについて,原告らに責任はないといえる。 ウまた,地方自治法242条第1項所定の財務会計上の違法な行為又は怠る事実が究極的には当該地方自治体の構成員である住民全体の利益をも害するものであることから,これを防止するため,地方自治の本旨に基づく住民参政の一環として,住民に対してその予防又は是正を裁判所に請求する権能を与え,もって,地方財政行政の適正な運営を確保することを目的とした住民訴訟の制度の意義に照らし,本件は,その意義のとおり,裁判により,財務会計上の違法な行為の是正を図らなければならず,本件訴訟が,出訴期間の経過を理由として,違法とされるべきではない。 (被告らの主張)ア地方自治法242条の2所定の住民訴訟は,監査委員の勧告に基づく議会等の措置があった場合,その措置に係る通知を受けたときから30日以内に提起しなければならないところ(同条の2第2項2号),本件訴訟は,前記前提事実エ及び同キのとおり,本件勧告に基づく本件措置に係る通知の行われた平成12年7月4日から30日以内に提起されたものではなく,出訴期間経過の違法があり,却下されるべきである。 イ本件措置は,本件勧告のうち,下館市に対する損害を填補する方策として,下館市監査委員に対して地方自治法243条の2第3項所定の賠償責任の有無及び賠償額の決定を求めたものであって,本件勧告を前提に行われた地方自治法242条第7項所定の措置であるといえる。 ウそして,原告らは,前記前提事実エのとおり,本件措置がなされた旨の通知を受領した以上,これに不服があれば,その受領の日である平成12年7月4日から30日以内に住民訴訟を提起することができたのであるから,本件訴訟 らは,前記前提事実エのとおり,本件措置がなされた旨の通知を受領した以上,これに不服があれば,その受領の日である平成12年7月4日から30日以内に住民訴訟を提起することができたのであるから,本件訴訟が出訴期間を経過して提起された違法な訴訟であることは明らかである。 (2) 本件勧告は,被告らの下館市に対する損害賠償責任を認め,被告らに対し,本件損害を填補すべき旨命じたものといえるかどうか(争点2)(原告らの主張)ア本件勧告は,前記加算金相当額1600万3459円の返還により,下館市が同額の本件損害を被ったこと,その原因が国庫補助金の返還を怠った被告ら歴代市長の怠慢にあって,被告らは,下館市に対し,本件損害を填補すべき責任があることを認めたものである。 イ本件損害は,上記アのとおり,被告らの怠慢によるものであって,しかも,市長交代の際に補助金の返還について十分な引継が行われていなかったことから,損害が拡大しており,被告らは,本件損害について,下館市に対し,連帯して,損害賠償をすべき共同不法行為責任を負担するといえる。 (被告らの主張)ア本件勧告は,被告Cに対し,下館市に生じた損害を填補する方策を講ずるとともに,再発防止に向けた体制を取るよう勧告したに過ぎず,被告らの損害賠償責任を認めたものではない。 イ被告らが,下館市に対し,共同不法行為責任を負うとの主張は争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点1について(1) 前記前提事実エ及び同キによれば,本件訴訟は,本件措置に係る通知が原告らにあった平成12年7月4日から30日以内に提起されたものではないのであって,地方自治法242条の2第2項2号所定の出訴期間を経過しており,不適法であるといえる。 は,本件措置に係る通知が原告らにあった平成12年7月4日から30日以内に提起されたものではないのであって,地方自治法242条の2第2項2号所定の出訴期間を経過しており,不適法であるといえる。 (2) ところで,原告らは,本件措置が本件勧告に沿ったものとはいえず,実質上の措置が存在しない旨主張するが,本件措置が,本件勧告の趣旨や,その他法令等に適合しない措置であったとしても,同措置が現実に行われたこと及び同措置に係る通知が原告らにされたことなどから,原告らは同措置に不服があれば,同措置の是正を求めて住民訴訟を提起することができたのであるから,本件措置が存在しないとの主張は採用することができない。 (3) また,仮に,本件勧告自体が期間を示さず,地方自治法242条第7項に適合しない勧告であったとしても,同勧告が行われたこと及び同勧告に係る通知が原告らにされた以上,同勧告に不服があるのであれば,原告らは住民訴訟を提起し,同勧告の是正を求めることができたのであるから,本件勧告が同条項に適合しないことを理由に,出訴期間経過の違法が治癒されるわけではない。 2 結論以上によれば,その余の争点を判断するまでもなく,原告らの本件請求は地方自治法242条2項2号所定の出訴期間を遵守しない不適法なものであるからこれを却下することとし,主文のとおり判決する。 水戸地方裁判所民事第2部裁判長裁判官中野信也裁判官廣田泰士裁判官名島亨卓 申し訳ありませんが、テキストが空白のようです。もう一度、整形したいテキストを提供していただけますか?
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