令和4(わ)768 入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反、公契約関係競売入札妨害

裁判年月日・裁判所
令和4年11月7日 名古屋地方裁判所
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判決文本文2,389 文字)

主 文被告人Aを懲役2年に、被告人B、被告人C及び被告人Dをそれぞれ懲役1年6月に処する。 この裁判が確定した日から、被告人Aに対し4年間、被告人B、被告人C及び被告人Dに対し3年間、それぞれその刑の執行を猶予する。 理 由(罪となるべき事実)被告人Aは、令和2年4月1日から令和4年3月31日までの間、防衛省近畿中部防衛局調達部建築課長として、同局が発注する建築工事の設計等に関する職務を統括していたもの、被告人Bは、一般土木建築等を目的とするE株式会社建築本部付顧問として営業の業務等に従事していたもの、被告人Cは、同社F支店長として同支店の業務を統括していたもの、被告人Dは、建設工事の請負等を目的とする株式会社GH支店長として同支店の業務を統括していたものであるが、被告人4名は、共謀の上、同局が令和2年11月20日に入札を執行した「岐阜(2)評価施設新設建築その他工事」の一般競争入札に先立ち、被告人Bが、被告人Aに対し、同入札の秘密事項である同工事の調査基準価格の教示を依頼し、被告人Aが、前記職務に従事するものとして適正に入札等に関する職務を行う義務があるのに、その職務に反し、同月12日、大阪市a区(住所省略)I居酒屋J店において、被告人Bに対し、同工事の調査基準価格が50億7228万9000円(税抜き)であるなどと同工事の調査基準価格50億7228万9429円(税抜き)に近似した金額を教示し、よって、同月20日、同局において執行された同入札において、G・E建設共同企業体に、入札価格50億8163万円(税抜き)で入札させて同建設共同企業体に同工事を落札させ、もって偽計を用いるとともに入札等に関する秘密 を教示して公の入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為を行ったものである。 税抜き)で入札させて同建設共同企業体に同工事を落札させ、もって偽計を用いるとともに入札等に関する秘密 を教示して公の入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為を行ったものである。 (量刑の理由)本件は、被告人4名が共謀の上、防衛省近畿中部防衛局調達部建築課長であった被告人Aが、その職務に反し、同局が執行した岐阜県内の公共工事(以下「本件工事」という。)の一般競争入札に関して、被告人Bに対し、入札に関する秘密事項である本件工事の調査基準価格を教示し、よって、被告人Bが顧問を務めていたE株式会社及び同社と取引のあった株式会社Gとの建設共同企業体に本件工事を落札させ、もって入札の公正を害すべき行為をしたという、官製談合防止法違反及び公契約関係競売入札妨害の事案である。上記建設共同企業体は、本件犯行により、調査基準価格に非常に近似した値で本件工事を落札することに成功したが、本件工事の調査基準価格が約55億円と極めて高額であることにも照らせば、不正な官民癒着によって、入札の公正が大いに損なわれている。 各被告人個別の情状をみると、本件工事で採用されている総合評価落札方式における調査基準価格は、入札の公正を確保するため非常に秘密性の高い情報であることは明らかであるところ、被告人Aは、その立場を利用して被告人Bに調査基準価格を教示しており、自己の職責に対する自覚が足りなかったというほかない。犯行に至る経緯をみても、定年退職後の再就職先を早期に確保し、生活を安定させたいという身勝手な動機から安易に被告人Bの誘いに乗っており、強い非難に値する。 被告人Bは、防衛省のOBという立場を利用して、現職の公務員である被告人Aに対し、再就職先といういわば甘い餌を示して調査基準価格等を教示するように誘いかけており、このような被告人Bの行 に値する。 被告人Bは、防衛省のOBという立場を利用して、現職の公務員である被告人Aに対し、再就職先といういわば甘い餌を示して調査基準価格等を教示するように誘いかけており、このような被告人Bの行為なくして本件犯行はあり得ない。その動機も再就職した本件当時の職場で肩身の狭い思いをしたくないという利己的なものであり、その刑事責任は相応に重いも のがある。 被告人C及び被告人Dは、各々支店長として、上記建設共同企業体が確実に本件工事を落札できるよう、被告人Bに対し、調査基準価格等を聞き出すように指示するなど、本件犯行を行う上で重要な役割を果たしている。 その動機も各自が支店長を務める支店の受注目標を達成するためと利欲的なものである。弁護人は会社を思っての行為であったなどと指摘するが、官民癒着により入札の公正をないがしろにして特定の私企業が利したものであり、酌量の余地はなく、弁護人の主張は当を得ていない。 他方、各被告人が事実を認めて反省の態度を示していること、被告人Aについてはその監督等を誓約する旨の交際相手の誓約書が提出され、被告人B、被告人C及び被告人Dについてはそれぞれ妻が出廷して被告人を監督する旨証言していること、各被告人に前科がないこと、各被告人が従前の地位を失うなどそれぞれ一定の社会的制裁を受けていること等の酌むべき事情も認められる。 そこで、これらの事情も併せ考慮し、各被告人の刑事責任に見合った刑として主文の懲役刑を定め、今回に限り社会内更生の機会を与えるため、それぞれその刑の執行を猶予することとした。 (求刑被告人Aについて懲役2年、被告人B、被告人C、被告人Dについてそれぞれ懲役1年6月) 令和4年11月10日名古屋地方裁判所刑事第1部 裁判長裁判官山田耕司 Aについて懲役2年、被告人B、被告人C、被告人Dについてそれぞれ懲役1年6月) 令和4年11月10日 名古屋地方裁判所刑事第1部 裁判長裁判官 山田耕司 裁判官 岩見貴博 裁判官 橋本泰一

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