【DRY-RUN】主 文 本件各控訴を棄却する。 理 由 本件控訴の趣意は六日町区検察庁検察官事務取扱検事阿部太郎名義の各控訴趣意 書記載のとおりであり、被告人甲についての答弁
主文 本件各控訴を棄却する。 理由 本件控訴の趣意は六日町区検察庁検察官事務取扱検事阿部太郎名義の各控訴趣意書記載のとおりであり、被告人甲についての答弁は弁護人平岡高志名義の上申書記載のとおりであるからこれらを引用し、これに対し当裁判所は事実の取調を行つたうえ次のように判断する。 各趣意中、本件各ぞうりは新潟県道路交通法施行細則第一六条第二号にいう運転操作の妨げとなる下駄等に該当するとの主張について。 各所論の要旨は、ぞうりを履いて運転することは、ぞうりの構造が底が比較的平らであることは、却つて滑り易いことになり、(被告人乙の場合ゴム裏であるのでなおさらのこと)又足に密着するといつても鼻緒によつて足と接着しているだけであるから、靴類に比すれば、必ずしも足に固着するとはいえず、従つて足から脱げやすい、又、急ブレーキをかける場合に鼻緒が切れる虞れもあり、且つ、爪先や緒がペタルにひつかかる虞れもあつて、本件各原動機付自転車の運転操作に際し、足から離脱したり、運転操作を誤るおそれの大であることは、容易にこれを認めることができるのであるから本件各ぞうりは右細則第一六条第二号に該当するというにある。 按ずるに、道路交通法第七一条に基づく新潟県道路交通法施行細則第一六条第二号は「運転操作の妨げとなるような下駄等の履物を用い、自動車又は原動機付自転車を運転しないこと」とあつて、下駄は禁止するが、それ以外の履物については特定することなく運転操作の妨げとなるような履物という丈であつて、可成り漠然とした規定でこれを解釈、遵守する上において困難を感ずることを否定し得ない。 ところで、先ずいわゆる「履物」を考えて見るのに、例えば、靴、サンダル(被甲履物類)、下駄、ぞうり(鼻緒履物類)といわれるそれぞれの種類につい 釈、遵守する上において困難を感ずることを否定し得ない。 ところで、先ずいわゆる「履物」を考えて見るのに、例えば、靴、サンダル(被甲履物類)、下駄、ぞうり(鼻緒履物類)といわれるそれぞれの種類について見ても、その形状は勿論、資材、構造、機能等の差異からして多種多様のものがあることはいうをまたない。また、新古、使用度からすればその強弱の差甚しいものが<要旨>ある。すると、右細則第一六条第二号の下駄以外の履物については概括的、類別的呼称、観念をもつてこれに</要旨>該当するや否やを決すべきてなく、個個具体的に当該車輌とその際用いられた履物について運転操作の妨げとなるかどうかを判定すべきものと当裁判所は考える。 一般的にいつて、ぞうりについて検察官所論の如き属性があることはその通りである。しかし、各本件の場合はどうであろうか。 先ず、被告人丙は、ヤマハ、一九六〇年型、一二五C、Cの第二種原動機付自転車の運転に、当裁判所昭和三八年押第一四七号のぞうりと同種のもの(爪先が約一糎、踵の方が約二糎の厚さで、材質は堅目のスポンジが主となつていて、上側がビニール、底が合成樹脂、緒は外側が布、中は麻である)を用いたというのである。 当審鑑定人丁株式会社技術員戊の鑑定の結果によれば右原動機付自転車を右ぞうりを用いて運転しても、運転操作の妨げとはならないことが認められ、後記己、庚各鑑定人の鑑定の結果も同様である。 次に、被告人甲は、チヤンピオン、五五C、Cの第二種原動機付自転車の運転に、当裁判所昭和三八年押第一四六号のぞうり(爪先が約一糎、踵の方が約二糎の厚さで、材質はスポンヂが主で表と底にゴムが張つてあり、緒は外側がゴム、中は麻である)を用いたというのである。当審鑑定人辛株式会社チヤンピオンサービス課技術員庚の鑑定の結果によれば、前同様、右自転車を運転する 質はスポンヂが主で表と底にゴムが張つてあり、緒は外側がゴム、中は麻である)を用いたというのである。当審鑑定人辛株式会社チヤンピオンサービス課技術員庚の鑑定の結果によれば、前同様、右自転車を運転するに際し、右ぞうりを用いても運転操作の妨げとはならないことが認められ、前記戊、後記己各鑑定人の鑑定の結果も同じである。 さらに、被告人乙は、スーパーカブ、五〇C、C第一種原動機付自転車の運転を、当裁判所昭和三八年押第三三三号のぞうり(台は平均に約一糎、台、緒とも一体化したゴム製のものである)を用いたというのである。 当審鑑定人壬工業株式会社技術員己の鑑定の結果によれば、右自転車を右ぞうりを用いて運転しても、運転操作の妨げとならないことが認められ、前示、戊、庚各鑑定人の鑑定の結果も、また、同様である。 以上各認定に反する当審鑑定人の鑑定の結果、各件についての原審証人の供述等は採用できない。検察官提出の全証拠を以てするも右各認定を覆し得ない。 以上の次第で本件各ぞうりはいずれも前記細則第一六条第二号に該当しないものといわなければならない。 従つて、本件各ぞうりが同細則に該当することを前提とする検察官のその余の控訴の趣旨については判断の必要がないこととなる。 原判決は、当裁判所と見解を異にする点もあるが、結果は本件をすべて無罪としたものでその結論は正当であり、検察官の各控訴は理由がないので刑事訴訟法第三九六条によつてそれぞれこれを棄却する。 なお、付言するが前段説示によつて明らかであるように、当裁判所はすべてのぞうりが前記細則第一六条第二号に当らないと解するものではなく、本各被告事件は有罪となし得ないというに止るものであり、また、前示庚鑑定人が指摘するように、ぞうりを履いて特に素足でこれを履いて原動機付自転車等を運転することは決して好ましいこ 解するものではなく、本各被告事件は有罪となし得ないというに止るものであり、また、前示庚鑑定人が指摘するように、ぞうりを履いて特に素足でこれを履いて原動機付自転車等を運転することは決して好ましいことではなく、できる丈長靴を用い手袋をつけて運転することが望ましいと考えるものである。 よつて主文のように判決する。 (裁判長判事小林健治判事遠藤吉彦判事吉川由己夫)
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