平成27年2月19日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成26年(ワ)第3119号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成26年12月2日判決 原告株式会社立花エレテック 同訴訟代理人弁護士井上裕史同田上洋平同佐合俊彦 被告日亜化学工業株式会社 同訴訟代理人弁護士長島安治同古城春実同松田俊治同宮原正志同牧野知彦同高橋綾 主文 1 被告は,原告に対し,110万円及びこれに対する平成26年4月13日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,これを5分し,その4を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 原告(1)被告は,原告に対し,500万円及びこれに対する平成26年4月13日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 原告(1)被告は,原告に対し,500万円及びこれに対する平成26年4月13日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 (2)訴訟費用は被告の負担とする。 (3)仮執行宣言 2 被告(1)原告の請求を棄却する。 (2)訴訟費用は原告の負担とする。 第2 事案の概要 1 前提事実(証拠等の掲記のない事実は当事者間に争いがない。)(1)当事者原告は,各種電気機械器具及び部品の製造並びに販売,半導体素材,半導体素子,集積回路等の販売を業とする株式会社である。 被告は,半導体,関連材料,部品及び応用製品の製造,販売並びに研究開発等を業とする株式会社である。 (2)被告の有する特許権(甲1,2,乙1,弁論の全趣旨)ア被告は,以下の特許(以下「本件特許」といい,本件特許に係る発明を「本件特許発明」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有する。 発明の名称発光ダイオード登録番号特許第4530094号出願日平成21年3月18日登録日平成22年6月18日 イ被告は,平成24年12月27日,特許庁に対して訂正審判(訂正2012-390168事件)を請求し,特許庁は,平成25年2月28日,訂正を認める旨の審決をした。 ウ本件特許発明の特許請求の範囲の請求項1の記載は,上記イの訂正前,次の(ア)のとおりであったが,訂正により次の(イ)のとおりとなった(下線は,訂正によって付加された部分である。)。 (ア) 窒化ガリウム系化合物半導体を有するLEDチップと,該LEDチップを直接覆うコーティング樹脂であって,該LEDチップからの第1の光の少なくとも一部を 訂正によって付加された部分である。)。 (ア) 窒化ガリウム系化合物半導体を有するLEDチップと,該LEDチップを直接覆うコーティング樹脂であって,該LEDチップからの第1の光の少なくとも一部を吸収し波長変換して前記第1の光とは波長の異なる第2の光を発光するフォトルミネセンス蛍光体が含有されたコーティング樹脂を有し,前記フォトルミネセンス蛍光体に吸収されずに通過した前記第1の光の発光スペクトルと前記第2の光の発光スペクトルとが重なり合って白色系の光を発光する発光ダイオードであって,前記コーティング樹脂中のフォトルミネセンス蛍光体の濃度が,前記コーティング樹脂の表面側から前記LEDチップに向かって高くなっていることを特徴とする発光ダイオード。 (イ) 窒化ガリウム系化合物半導体を有するLEDチップと,該LEDチップを直接覆うコーティング樹脂であって,該LEDチップからの第1の光の少なくとも一部を吸収し波長変換して前記第1の光とは波長の異なる第2の光を発光するフォトルミネセンス蛍光体が含有されたコーティング樹脂を有し,前記フォトルミネセンス蛍光体に吸収されずに通過した前記第1の光の発光スペクトルと前記第2の光の発光スペクトルとが重なり合って白色系の光を発光する発光ダイオードであって,前記コーティング樹脂中のフォトルミネセンス蛍光体の濃度が,前記コーティング樹脂の表面側から前記LEDチップに向かって高くなっており,かつ,前記フォトルミネセンス蛍光体は互いに組成の異なる2種以上であることを特徴とする発光ダイオード。 (3) エバーライト社による白色LED製品の製造(甲1,2,6,7,乙1,14, 弁論の全趣旨)台湾の会社である億光電子工業股份有限公司(EverlightElectronicsCo.,Ltd.以下「エバ 白色LED製品の製造(甲1,2,6,7,乙1,14, 弁論の全趣旨)台湾の会社である億光電子工業股份有限公司(EverlightElectronicsCo.,Ltd.以下「エバーライト社」という。)は,別紙物件目録記載1及び2の製品(以下「本件製品」という。)を製造している。 エバーライト社は,自社のウェブサイト(http://www.everlight.com/)において,上記本件製品を含む自社製品を紹介している。 なお,原告は,自社のウェブサイト(http://www.tachibana.co.jp)において,取扱メーカーのひとつとして,エバーライト社を紹介し,同社のウェブサイトへのリンクを貼っている。 (4) 先行訴訟の提起等及びプレスリリースの掲載(甲1~3,乙1,17,弁論の全趣旨)被告は,平成23年10月4日,原告による本件製品の輸入,譲渡及び譲渡の申出があり,これが本件特許権の侵害に当たるとして,侵害行為の差止め及び損害賠償を求める2件の訴訟(東京地方裁判所平成23年(ワ)第32488号,第32489号。この2件の訴訟は後に併合されており,以下「先行訴訟」という。)を提起するとともに,被告のウェブサイト上のプレスリリースと題するページの同月5日付けの欄に別紙プレスリリース目録記載のとおり,先行訴訟に関する文章(以下「本件プレスリリース」という。)を掲載した。 先行訴訟については,平成25年1月31日,原告による本件製品の輸入,譲渡及び譲渡の申出の事実があったと認めるに足りる証拠はないとして,請求を棄却する旨の判決がされた。被告は,同判決を不服として控訴したが(知的財産高等裁判所平成25年(ネ)第10014号),知的財産高等裁判所は,同年7月11日,被告の控訴を棄却する旨の判決をした。被告 棄却する旨の判決がされた。被告は,同判決を不服として控訴したが(知的財産高等裁判所平成25年(ネ)第10014号),知的財産高等裁判所は,同年7月11日,被告の控訴を棄却する旨の判決をした。被告は,同判決を不服とし,同月24日,上告受理申立てをした。 本件プレスリリースは,平成25年8月5日頃,掲載が取り止められた。 2 原告の請求 原告は,被告による本件プレスリリースの掲載が不正競争防止法2条1項14号所定の不正競争行為に該当し,先行訴訟の提起等が不法行為を構成するとして,同法4条及び民法709条に基づき,損害の合計額である500万円及びこれに対する平成26年4月13日(不正競争行為及び不法行為の後日である訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求めている。 3 争点(1)被告による本件プレスリリースの掲載が,不正競争防止法2条1項14号所定の不正競争行為に該当するか(争点1)(2)被告による先行訴訟の提起等が,不法行為を構成するか(争点2)(3)原告の被った損害額(争点3)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(被告による本件プレスリリースの掲載が,不正競争防止法2条1項14号所定の不正競争行為に該当するか)について【原告の主張】(1)本件プレスリリースの記載内容が原告の営業上の信用を害するものであること本件プレスリリースの第1段落には,先行訴訟提起の事実のみならず,原告が, エバーライト社が製造する本件製品を輸入,販売等しているとの事実が明確に記載されている。第2段落では,中韓台のメーカーによる特許権侵害行為が指摘された後,「このような日本市場での当社特許の侵害行為に対する対抗措置の一環として」先行訴訟を提起した旨が告知されており,本件プレ れている。第2段落では,中韓台のメーカーによる特許権侵害行為が指摘された後,「このような日本市場での当社特許の侵害行為に対する対抗措置の一環として」先行訴訟を提起した旨が告知されており,本件プレスリリースの読み手は,原告が,中韓台LEDチップ及びパッケージメーカーによる特許権侵害行為に加担していると理解する。 したがって,本件プレスリリースには,原告が,エバーライト社製の本件製品,すなわち,特許権を無視する台湾メーカーのLED製品を輸入,販売等することにより,本件特許権を侵害しているという,原告の営業上の信用を害する事実が記載 されている。 被告の指摘するとおり,本件プレスリリースの読み手は業界関係者等であり,通常の一般人よりも注意深く本件プレスリリースを検討し,その結果,むしろ,業界関係者等は原告が特許権侵害行為を行っていると捉え,原告の営業上の信用が大きく毀損されることとなる。 (2)本件プレスリリースに記載された事実が虚偽であること白色LEDには,「3色LED」,「RGB蛍光体+近紫外LED」,「蛍光体+青色LED」の3方式があるところ,本件特許発明の対象は,「蛍光体+青色LED」方式に限定される。原告は,有色LED製品を輸入,販売しているものの,本件製品も,エバーライト社によって製造等がされた他の白色LED製品も,輸入,販売等していない。 原告は,ウェブサイトにおいて,20社以上にわたる半導体デバイスのメーカーのひとつとして,他のメーカーと同様のフォーマットを使用してエバーライト社を記載し,LED製品を含む同社製品を取り扱っている旨を紹介しているにすぎない。 また,原告は,エバーライト社のウェブサイトのトップページへのリンクを貼っているにすぎず,同社の個別具体的な製品にリンクを貼っているわけではない。この 製品を取り扱っている旨を紹介しているにすぎない。 また,原告は,エバーライト社のウェブサイトのトップページへのリンクを貼っているにすぎず,同社の個別具体的な製品にリンクを貼っているわけではない。このようなウェブサイトの記載から,譲渡の申出の対象として,本件製品を具体的な品番によって客観的に特定することは不可能であり,同社が管理するドメイン下に記載されているあらゆる商品を取り扱っていると表示しているとも解釈し得ない。 ウェブサイトにあるLED市場の一般的な紹介をもって,原告が照明用,バックライト用LED製品の販売の申出を行っているとみることはできない。バックライト用LED製品には,一般に,本件特許発明の採用する「蛍光体+青色LED」方式だけでなく,「3色LED方式」も利用されている。携帯端末バックライトについても白色LEDに限らず,有色LEDも多く利用されている。 したがって,原告が本件製品を輸入,販売等した事実はなく,本件プレスリリースの記載内容は虚偽である。 (3)故意・過失の存在,違法性阻却事由の不存在被告は,原告とは全く関係のない株式会社チップワンストップから本件製品を入手したにすぎない。被告は,少し調査を行えば,原告が本件製品の輸入,販売等を行っていないことを知り,あるいは容易に知り得たにもかかわらず,これを怠り,エバーライト社や同社の関連会社であるE&EJapan 株式会社(以下「E&E社」という。)に対して権利行使せず,事前に何ら警告を行うことなく原告を相手方として先行訴訟を提起し,本件プレスリリースを公表して,原告の営業上の信用を毀損した。 したがって,被告の本件プレスリリースの掲載には,故意,少なくとも過失があり,正当行為として違法性が阻却される余地はない。 【被告の主張】(1)本件プレスリリー の営業上の信用を毀損した。 したがって,被告の本件プレスリリースの掲載には,故意,少なくとも過失があり,正当行為として違法性が阻却される余地はない。 【被告の主張】(1)本件プレスリリースの記載内容は訴訟の提起という事実を告知するものにすぎないこと本件プレスリリースの見出しには,「特許侵害訴訟の提起」に関するプレスリリースであることが明記され,第1段落において,「原告が本件製品を輸入,販売等する行為が本件特許権の侵害行為であると主張して,被告が,原告を相手方とし,本件製品を対象製品とする特許権侵害訴訟を提起した」という事実が明確に告知されており,読み手は,被告が原告を相手方とする訴訟を提起したという本件プレスリリースの趣旨を明確に認識する。 第2段落において,被告は,自らが保有する知的財産権を行使する姿勢について述べた後(第1文),LEDに関して多数の有力な特許を保有する被告の立場から,昨今のLED製品を巡る情勢について述べ(第2文),平成23年8月に被告が株式会社チップワンストップに対して提起した訴訟について述べた上で(第3文),先行訴訟の内容について再度触れている(第4文)。このうち,第2文は,中韓台所在のLEDチップ及びパッケージメーカー(製造業者)の行為に向けられた記述であり,日本の商社(非製造業者)である原告に対する記述ではない。 これらの記載は,被告が原告を相手方とする訴訟を提起したという事実の告知に付随してされ,一方当事者として,訴訟提起の経緯や主張内容等を説明したにすぎず,読み手の理解も同様である。プレスリリースの読み手は,第2段落に読み進む前に,本件プレスリリースの趣旨を明確に認識しており,本件プレスリリースの文章の構成上,第2段落のみを独立して認識することはない。 したがって,本件プ プレスリリースの読み手は,第2段落に読み進む前に,本件プレスリリースの趣旨を明確に認識しており,本件プレスリリースの文章の構成上,第2段落のみを独立して認識することはない。 したがって,本件プレスリリースは,全体として,原告が本件製品を輸入,販売等する行為が本件特許権の侵害行為であると主張して,被告が原告を相手方として特許権侵害訴訟を提起したという事実を告知するにすぎない。 なお,本件プレスリリースの読み手は,基本的にLED業界関係者,当該業界に関する専門記者又は当該業界に深い関心をもつ者らであり,これらの関係者は,通常の一般人よりも注意深く本件プレスリリースを検討し,被告が原告を相手方とする訴訟を提起したという事実以外の内容が本件プレスリリースに記載されていると理解することはない。 そもそも,特許権侵害訴訟たる先行訴訟を提起した旨の事実の告知から,被告が先行訴訟を提起した理由として当然読み取れる内容をもって,虚偽の事実の告知であると認めるとすれば,敗訴するリスクがある限り,企業が訴訟提起のプレスリリースを行うことがおよそできなくなってしまい,不当である。 (2)本件プレスリリースに記載された事実が虚偽ではないこと以下のとおり,本件プレスリリースに,原告が本件製品を輸入,販売等することにより本件特許権を侵害しているとの事実が記載されているとしても,その事実は虚偽ではない。 ア原告が本件製品を輸入,販売していたことを示す事実以下の事情によれば,原告は,本件製品を輸入,販売していたと認められる。 (ア)先行訴訟提起時における原告及びエバーライト社のウェブサイトの内容技術商社を標榜する原告は,自社のウェブサイトに「取り扱いメーカー」としてエバーライト社を記載し,白色LED製品を中心としたLED製品メーカーである 原告及びエバーライト社のウェブサイトの内容技術商社を標榜する原告は,自社のウェブサイトに「取り扱いメーカー」としてエバーライト社を記載し,白色LED製品を中心としたLED製品メーカーである と紹介し,「砲弾型LED全般」,「面実装タイプLED全般」を「製品」として記載した上で,自ら設けた同社の紹介ページから同社ウェブサイトのトップページにリンクを貼って商品仕様へのアクセスを提供している。LEDパッケージの形態は,砲弾型と面実装型のふたつに大別されるし,エバーライト社製品の90%以上が白色LEDであることから,先行訴訟提起当時,原告がウェブサイトにアクセスする顧客に対し,本件製品を含むエバーライト社製の照明,バックライト用白色LED製品を取扱製品として表示していたことは明らかである。 なお,エバーライト社製品を取扱製品として表示する原告のウェブサイトは,遅くとも平成16年8月から存在した。 (イ)原告とエバーライト社及びE&E社との関係エバーライト社の日本における関連会社であり,「EVERLIGHTGroup 製品/EPISTAR 社製品日系メーカー様向け窓口」であることを自ら明らかにしているE&E社は,そのパンフレット及びウェブサイトの「会社概要」の項目において,原告が主要取引先であることを明示している。エバーライト社の販売数量,販売金額の90%以上が白色LED製品であることに照らせば,原告は,エバーライト社製の白色LED製品を,E&E社から主要取引先と評価される程度に手広く扱っていたことは明らかである。 イ原告が本件製品の譲渡の申出をしていたことを示す事実以下の事情によれば,原告が本件製品の譲渡の申出をしていたと認められる。 (ア)原告がウェブサイトにおいて本件製品の譲渡の申出を行っていたことを裏付ける 製品の譲渡の申出をしていたことを示す事実以下の事情によれば,原告が本件製品の譲渡の申出をしていたと認められる。 (ア)原告がウェブサイトにおいて本件製品の譲渡の申出を行っていたことを裏付ける事情ⅰ 原告のウェブサイトは,製品に関する問い合わせ窓口を示す「こちら」をクリックすると,原告宛てのメール画面が表示され,これを利用することで,製品の問い合わせ,見積り依頼,注文等ができるようになっている。 ⅱ 原告のウェブページには,原告が取り扱っているエバーライト社のLED製品について,白色LEDパッケージであると合理的に考えられる「携帯端末バック ライト」と明記されている上,問い合わせ専用のボタンが設けられている。同様の問い合わせ専用のメールアドレスは,遅くとも平成20年から存在しており,同社に関する問い合わせ用の「専用メールアドレス」まで掲載されていた。 ⅲ 半導体製品を購入する顧客は,照明用LED製品等の特定の種類を念頭において,メーカーや販売代理店のウェブサイトにアクセスし,製品を選択する。 ⅳ 半導体等の分野では,製品の種類が多く,新製品の投入サイクルも早いため,紙のカタログが出ることはほとんどなく,顧客は,通常,ウェブサイトに掲載される製品情報に基づき,メーカーや販売代理店に製品を発注している。 ⅴ 原告は,E&E社に対してエバーライト社のPRポイントの提示を要請し,平成22年頃,「照明」を含めた同社のPRをウェブサイトに掲載するようにした。 同年は日本で照明や車載用の白色LED市場が急速に拡大していた時期に当たり,そのような時期に,原告がウェブサイトに,エバーライト社について「照明・車載,LEDバックライト ・・・ 今後も伸び続けるLED市場」,「世界でもトップクラスの生産能力」などといった宣伝を追加していること うな時期に,原告がウェブサイトに,エバーライト社について「照明・車載,LEDバックライト ・・・ 今後も伸び続けるLED市場」,「世界でもトップクラスの生産能力」などといった宣伝を追加していること自体が,同社の白色LED製品を販売する意思の客観的表明と考えられる。 ⅵ 原告がE&E社の主要取引先であるという事実に照らせば,原告からエバーライト社製品を購入する顧客が,現に,原告のウェブサイトを活用して多額の取引を行ったと考えられる。 (イ)原告がウェブサイトを通じて本件製品の譲渡の申出をしたこと「譲渡の申出」の要件としては,① 申出行為の対象となっている製品が実施品であるということが客観的に特定できること,② 申出行為がその内容,性質に鑑みて実施品の「譲渡」の実現を目的としたものであると客観的に評価できることが必要であり,これらの要件の判断は申出行為の名宛人となる一般需要者の視点に立って客観的に行われるべきであって,行為者の主観的認識は重要ではない。 原告は,半導体等を取り扱う技術商社であって,エバーライト社製品の取扱代理店であり,ウェブサイトに前記の内容の宣伝を行っており,売る意思のない製品を ウェブサイトの「半導体製品一覧」に掲載するはずはなく,顧客がウェブサイトを通じて原告に対して本件製品について問い合わせや注文をする可能性が客観的に存在するから,その内容,性質に鑑みて実施品の「譲渡」の実現を目的としたものであると客観的に評価できる(上記要件②)。 また,被告は,本件製品を実際に日本の市場から入手し,本件特許発明の訂正後の請求項1の技術的範囲に含まれることを先行訴訟において明らかにしており,本件製品が本件特許発明の技術的範囲に含まれる実施品であることは客観的に特定できている(上記要件①)。 すなわち,原告 後の請求項1の技術的範囲に含まれることを先行訴訟において明らかにしており,本件製品が本件特許発明の技術的範囲に含まれる実施品であることは客観的に特定できている(上記要件①)。 すなわち,原告が取扱製品を紹介しているウェブサイトにエバーライト社のウェブサイトへのリンクが貼られ,当該リンク先には本件製品を含む白色LED製品が掲載されているから,原告による譲渡の申出が本件製品を含んで行われていることは明らかである。原告の取扱製品全般あるいは白色LED製品等の特定の製品に関心を持って原告のウェブサイトにアクセスした顧客は,原告のウェブサイトに記載されたアドレスをクリックするだけでエバーライト社のウェブサイトを開くことができ,そのあと,数回クリックすれば,容易に特定の型番の本件製品に行き着くのみならず,そのデータシートを見ることさえできる。 原告のウェブサイトにおいて,エバーライト社は「照明・車載」用を含むLED製品に特徴を有するメーカーとして掲載され,現に同社が販売するLED製品の90%以上は白色LED製品であり,譲渡の申出の主たる対象が少なくとも白色LED製品であることは明らかである。白色LED製品の一品種として,本件製品は同社のウェブサイト上で容易にその型番やデータシートを見ることができるものであるから,譲渡の申出の対象として本件製品が含まれていることは社会常識上明らかというべきであり,この点からみても,原告のウェブサイトの表示態様は,申出行為の対象となっている実施品の特定に欠けるところはない。 (3)本件プレスリリースの掲載が正当行為であり違法性が阻却されること(又は,故意・過失の不存在) ア先行訴訟に至る背景エバーライト社は,台湾における白色LEDパッケージのメーカーとしては最大手の企業であり,同社が販売 あり違法性が阻却されること(又は,故意・過失の不存在) ア先行訴訟に至る背景エバーライト社は,台湾における白色LEDパッケージのメーカーとしては最大手の企業であり,同社が販売するLED製品の販売数量及び販売金額の90%以上を白色LED製品が占めている。同社は,被告のライセンスを取得していないにもかかわらず,日本に向けて照明,バックライト用LED製品を出荷,販売し,エバーライト社製の非ライセンス品が日本国内で広く流通している。被告はこれについて正当な権利行使の必要性を強く感じていた。エバーライト社が日本のLED市場への本格的参入を加速し,平成23年に被告保有特許に対して多数の無効審判を請求してきたため,被告としても,日本においてエバーライト社製品に対し断固とした対応を採る必要性が極めて高い状況にあった。 しかし,海外から入ってくる白色LED製品は,市場ではLEDパッケージの状態で入手することが極めて困難であり,また,最終製品である照明製品に組み込まれたものを入手できたとしても,そこに組み込まれた白色LED製品の流通経路や国内の輸入元,販売元が不明であることが多く,これらに対して権利行使する機会を得ることは事実上まれである。そのため,権利行使の手段としては,本件のように,原告などの商社によるエバーライト社製品の取扱いを問題とするほかないのが実情である。このような状況の中で,被告は,原告がそのウェブサイトにおいて,エバーライト社製品を全般的に取り扱っていることなどを謳っているため,原告が,本件特許権を侵害するエバーライト社の白色LED製品である本件製品を輸入,販売等していることは確実であると判断し,先行訴訟を提起した。 イ原告が本件製品を輸入,販売していたことを示す事実は多数存在し,原告が本件製品の譲渡の申出を行 白色LED製品である本件製品を輸入,販売等していることは確実であると判断し,先行訴訟を提起した。 イ原告が本件製品を輸入,販売していたことを示す事実は多数存在し,原告が本件製品の譲渡の申出を行っていたことを裏付ける事実も多数存在していた上,これらの事実に基づき譲渡の申出が行われていたと判断したことは,譲渡の申出に関する法律解釈としても,極めて合理的なものであった。さらに,先行訴訟に至るには上記の背景事情があった。 したがって,本件プレスリリースに,原告が本件製品を輸入,販売等することに より本件特許権を侵害しているとの事実が記載されており,それが営業上の信用を害する虚偽の事実であるとしても,当該事実の告知は,正当行為として違法性が阻却され,被告の故意・過失も認められない。 2 争点2(被告による先行訴訟の提起等が,不法行為を構成するか)について【原告の主張】被告が先行訴訟の提起に際し,その根拠としたのは,原告のウェブサイトの記載のみであり,先行訴訟において主張した権利又は法律関係は事実的,法律的根拠を欠くものである。被告は,そのことを知りながら,あるいは少なくとも通常人であれば容易にそのことを知り得たのにあえて先行訴訟を提起した。先行訴訟提起後,原告が被告に対し,エバーライト社の白色LED製品を一切取り扱っていないことを伝え,本件プレスリリースの取下げ及び先行訴訟の取下げを求めたにもかかわらず,被告は,何らの調査を行うこともなく,先行訴訟を維持するとともに,控訴の提起,上告受理申立てまで行った。被告の先行訴訟の提起,維持,控訴及び上告受理申立ては,裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠き,違法な行為として不法行為を構成する。 【被告の主張】ウェブサイトに,原告が取り扱う半導体製品のメーカーとしてエ 持,控訴及び上告受理申立ては,裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠き,違法な行為として不法行為を構成する。 【被告の主張】ウェブサイトに,原告が取り扱う半導体製品のメーカーとしてエバーライト社が掲げられており,同社の白色LED製品を取り扱っている旨が記載され,同社製品が掲載されている同社のウェブサイトへのリンクが貼られていたことを始めとして,原告が本件製品を輸入,販売し,本件製品の譲渡の申出を行っていたことを裏付ける事実は多数存在していた。被告は,これらの事情を認識した上で,原告が,本件製品を輸入,販売し,本件製品の譲渡の申出を行っていたと判断し,先行訴訟を提起した。したがって,被告は相応の根拠をもって先行訴訟を提起しており,仮に,原告が本件製品を輸入,販売等していなかったとしても,先行訴訟の提起及び控訴の提起等は,裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くとは認められない。 3 争点3(原告の被った損害額)について 【原告の主張】先行訴訟の提起等及び本件プレスリリースの掲載により,原告の顧客に対し,原告が特許侵害品を販売しているのではないかとの印象を与えることとなり,原告は,営業上の信用を大きく毀損され,無形の損害を被った。被告の本件プレスリリースの掲載(不正競争行為)によって原告が被った損害は400万円に相当し,被告の先行訴訟の提起等(不法行為)によって原告が被った損害は50万円に相当する。 原告は,本件訴訟遂行を訴訟代理人弁護士に委任しており,被告の上記不正競争行為と相当因果関係のある弁護士費用は45万円であり,被告の上記不法行為と相当因果関係のある弁護士費用は5万円である。 【被告の主張】原告は,自らのウェブサイトにおいて,特段の留保なくエバーライト社製のLED製品を取り扱ってい 45万円であり,被告の上記不法行為と相当因果関係のある弁護士費用は5万円である。 【被告の主張】原告は,自らのウェブサイトにおいて,特段の留保なくエバーライト社製のLED製品を取り扱っていることを積極的に公表してきたというほかなく,原告のウェブサイトを見た第三者は,本件製品を含むエバーライト社の白色LED製品を原告が手広く取り扱っているであろうことを認識すると考えるのが合理的である。原告が,本件製品を現実に輸入,販売等していたという事実は,仮にそれが客観的な事実に反するとしても,原告自らが既に対外的に公表し,第三者が認識し得た内容にほかならず,原告が本件プレスリリースによって営業上の信用を毀損されることはない。 原告が本件製品を取り扱っていないというのであれば,当該製品の売上高が減少するような実質的な損害が生じることはあり得ず,原告の営業上の信用が実質的に毀損されたとは考え難い。また,本件プレスリリースは,実質的に提訴告知の域を出ず,本件プレスリリースの掲載によって原告の信用がさらに毀損されたとは考え難い。先行訴訟以前から,被告とエバーライト社との間では特許紛争が多数係属していたところ,原告は,エバーライト社のLED製品全般を取り扱っていることを自ら広くインターネット上で宣伝してきたから,原告が被告から特許権侵害を理由に提訴される可能性があることは,広く一般に認識されていたと評価できる。 このような被告の行為の性質や事情を考慮すれば,原告の信用毀損についての無形損害の額は,0円又は0円に限りなく近いというべきである。 第4 当裁判所の判断 1 争点1(被告による本件プレスリリースの掲載が,不正競争防止法2条1項14号所定の不正競争行為に該当するか)について(1)本件プレスリリースの記載内容本件プレ 第4 当裁判所の判断 1 争点1(被告による本件プレスリリースの掲載が,不正競争防止法2条1項14号所定の不正競争行為に該当するか)について(1)本件プレスリリースの記載内容本件プレスリリースには,「台湾Everlight 社製白色LEDに対する新たな特許侵害訴訟について」との見出しの下,第1段落において,被告が,原告を相手方として,エバーライト社が製造する本件製品を,原告が輸入,販売等したとして,本件特許権に基づいて侵害の差止め及び損害賠償を求める2件の訴訟(先行訴訟)を提起したことが記載されている。被告が原告を相手方として先行訴訟を提起したこと自体は客観的な事実であり,エバーライト社が製造した本件製品を原告が輸入,販売等する旨の記載は,先行訴訟における被告の主張内容をそのまま説明するにとどまる。本件プレスリリースの読み手が,見出し及び第1段落のみに接した場合,原告が本件製品を輸入,販売等したことを理由に本件特許権を侵害するとして被告が先行訴訟を提起した旨を公表するものであると理解するとしても,本件プレスリリースに記載された内容に虚偽の事実があると認めることはできない。 他方で,本件プレスリリースの第2段落において,中韓台LEDチップ及びパッケージメーカーによる,特許権を無視した日本市場での行動は目に余るものがあり,日本市場での被告の特許権への侵害行為に対する対抗措置の一環として,平成23年8月にエバーライト社製白色LEDを取り扱っていた別会社に対する訴訟を提起した旨とともに,上記別会社が上記白色LEDが被告特許の権利範囲であることを認めて販売等を中止した旨が記載されており,第1段落においてエバーライト社が台湾最大のLEDアッセンブリメーカーであると紹介されていることを併せ考えると,上記別会社が,中韓台LEDチップ あることを認めて販売等を中止した旨が記載されており,第1段落においてエバーライト社が台湾最大のLEDアッセンブリメーカーであると紹介されていることを併せ考えると,上記別会社が,中韓台LEDチップ及びパッケージメーカーが被告の特許権を侵害していることに関わりを有していたと読み取れる。その上で,先行訴訟が上記 別会社に対する訴訟に続くものであり,原告に対しても販売等の中止等を求める旨が記載されている。このように,見出しの下,第1段落と第2段落を併せ読むと,これらの記載は,原告を上記別会社と同列に扱った記載となっており,先行訴訟が上記の対抗措置の一環に含まれるものであり,原告が,エバーライト社製の本件製品を輸入,販売等することにより本件特許権を侵害しており,少なくともその点において,中韓台LEDチップ及びパッケージメーカーによる特許権を無視した侵害行為に関わりを有しているということを意味していると認められる。特に,第2段落では,上記別会社が,被告の提訴直後,被告の特許権侵害を認めて販売等を中止したと記載されているため,読む者をして,原告も上記別会社と同様の侵害行為を行っているものと強く思わせる記載内容となっている。 このような記載は,被告が,原告を相手に訴訟(先行訴訟)を提起したのに伴って,訴訟提起の事実を公表し,先行訴訟における自らの主張内容や見解を単に説明するという限度を超えており,原告の営業上の信用を害するものである。 (2)本件プレスリリースに記載された事実が虚偽であるかそこで,本件プレスリリースに記載された,原告が本件製品を輸入,販売等することにより本件特許権を侵害しているとの事実が虚偽であるかを検討する(先行訴訟では,原告が本件製品の輸入,譲渡又は譲渡の申出をしているか否かが争われたが,上告受理申立てがされて 品を輸入,販売等することにより本件特許権を侵害しているとの事実が虚偽であるかを検討する(先行訴訟では,原告が本件製品の輸入,譲渡又は譲渡の申出をしているか否かが争われたが,上告受理申立てがされて係争中であり,判決は確定していない。)。 ア認定事実証拠(甲6~9,26,乙2の1~3,乙6,7,乙8の1~7,乙9,14,18)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (ア)原告の事業内容原告は,FAシステム事業,半導体デバイス事業,情報通信事業,施設事業,ソリューション事業及び海外事業を展開する技術商社であり,半導体製品については,複数の仕入先メーカーからこれを仕入れて顧客に販売するとともに,独自の製品開発も行っている。 エバーライト社は原告が取り扱う半導体製品のメーカーのひとつであるが,原告は,エバーライト社の取扱代理店ではなく,同社との間に直接の取引関係があるわけではない。原告は,エバーライト社の製品を,E&E社から仕入れて顧客に販売しているが,同社は,台湾上場企業のエバーライト社及びエピスター社より出資を受けて設立され,日系メーカー向けサポート窓口の役割を果たしており,ウェブサイトやパンフレットにおいて,主要取引先のひとつとして原告を挙げている。 (イ)原告のウェブサイトにおける記載a 平成23年頃,原告のウェブサイトのトップページ(http://www.tachibana.co.jp)にある,「製品情報」のボタンをクリックすると,製品情報のページ(http://www.tachibana.co.jp/products)に移動し,このページには,「取り扱い製品」として,「FA(FactoryAutomation)」,「情報通信」,「施設」,「海外」といった項目とともに「半導体デバイス」 .jp/products)に移動し,このページには,「取り扱い製品」として,「FA(FactoryAutomation)」,「情報通信」,「施設」,「海外」といった項目とともに「半導体デバイス」の項目があり,その項目の下には「取り扱いメーカー」との記載がある。 b この「半導体デバイス」の部分をクリックすると,半導体デバイスのページ(http://www.tachibana.co.jp/products/devices)に移動し,このページには,「規格品からユーザー仕様まで,ニーズに合わせた半導体やデバイス製品を豊富な製品ラインアップから提供いたします。またASIC開発などで培った技術力で,オリジナルICなどの半導体製品を開発しています。」との記載があり,「取り扱いメーカー」として「半導体」にはエバーライト社を含む15社の社名が記載され,「デバイス」には14社の社名が記載されている。 c 上記「半導体」に記載された15社の社名のうち「エバーライト・エレクトロニクス社」の部分をクリックすると,「半導体製品一覧」との表題のあるページ(http://www.tachibana.co.jp/products/devices/makers/index.html#everlight)に移動し,このページには,上記15社のロゴ,社名,ウェブサイトへのリンク及び紹介文が掲載され,このうちエバーライト社については,同社のウェブサイトのトップページ(http://www.everlight.com/)へのリンクとともに紹介文とし て,「照明・車載,LEDバックライト,電飾看板等,省エネ・ECOに貢献して今後も伸び続けるLED市場。エバーライト・エレクトロニクスは,世界でもトップクラスの生産能力と豊富なLED製品群で,発展する市場の様々なニーズに Dバックライト,電飾看板等,省エネ・ECOに貢献して今後も伸び続けるLED市場。エバーライト・エレクトロニクスは,世界でもトップクラスの生産能力と豊富なLED製品群で,発展する市場の様々なニーズにお応えします。」と記載されている。 d 原告のウェブサイトのトップページ(http://www.tachibana.co.jp)にある,「お問い合わせ」のボタンをクリックすると,お問い合わせのページ(http://www.tachibana.co.jp/contact)に移動し,このページには,原告が展開する事業ごとに電話,ファックス及び電子メールによる問い合わせ先が記載され,同ページ内の「メールでのお問い合わせ」の部分をクリックすると,「法人のお客様メールでのお問い合わせ」の電子メールフォームのページ(http://www.tachibana.co.jp/contact/mail/corp.php?contact_kind=6)に移動し,顧客は,この電子メールフォームに,氏名,返信先メールアドレス,電話番号,ファックス番号,会社名等を入力した上で,「お問い合わせ内容」欄に問い合わせ内容を記入することができるようになっている。 e 過去には,原告のウェブサイト内に,上記各ページとほぼ同じ内容のページのほか,エバーライト社についてのページ(http://www.tachibana.co.jp/products/devices/everlight/ なお,平成19年7月の時点においては,URLが異なっていた。)が存在し,このページには,同社のロゴ,社名及びウェブサイトのトップページ(http://www.everlight.com/)へのリンクと共に「台湾ナンバーワンのLEDパッケージメーカ」と記載され,これに続き,製品案内として,「アプ ,社名及びウェブサイトのトップページ(http://www.everlight.com/)へのリンクと共に「台湾ナンバーワンのLEDパッケージメーカ」と記載され,これに続き,製品案内として,「アプリケーション」に「屋内外サインボード」,「各種信号灯」,「車載関連(インテリア・エクステリア)」,「携帯端末バックライト」,「DVD/STB/TV」との記載,「製品」に「砲弾型LED全般」,「面実装タイプ LED全般」,「IrDA」,「フォトカプラ」,「フォトリンク」との記載があり,さらに,「お問い合わせ」として「このメーカーに関するお問い合わせはこちらより承っております。」との記載があった(なお,平成19年7月及び平成20年2月の時点においても,具体的な記載 は異なるものの,同趣旨の記載があった。)。 (ウ)エバーライト社のウェブサイトにおける記載エバーライト社のウェブサイトのトップページ(http://www.everlight.com/)には,「Products」というボタンがあり,これをクリックすると「Products」のページに移動し,ここには,「VisibleLEDComponents」,「LightingSolutions」,「InfraredLED,Sensors,Couplers」,「LEDDigitalDisplays」との項目がある。 この中の「VisibleLEDComponents 」をクリックすると,「VisibleLEDComponents」のページに移動し,ここには,「Low-MidPowerLED」,「HighPowerLED」,「LEDLamps」,「SuperFluxLEDs」,「SMDLEDs」,「FlashLEDs」との項目がある。 次に,この PowerLED」,「HighPowerLED」,「LEDLamps」,「SuperFluxLEDs」,「SMDLEDs」,「FlashLEDs」との項目がある。 次に,この中の「Low-MidPowerLED」をクリックすると「Low-MidPowerLED」のページに移動し,ここには,「5050(0.2w)」のほか,4種類のパッケージについての項目がある。 さらに,この中の「5050(0.2w)」をクリックすると,「5050(0.2w)」のページに移動し,ここには,「Product」として,本件製品のうち,別紙物件目録記載2の製品に該当する製品番号を含む9つの製品が記載され,「Datasheet」の欄の下にあるPDFファイルのアイコンをクリックすると,その製品に対応するデータシートがPDF形式で表示される。 イ上記の認定事実に基づく判断上記の認定事実によると,次のとおり,原告が本件製品を輸入,販売していたとはいえず,また,本件製品の譲渡の申出をしていたともいえない。 (ア)原告のウェブサイトの記載から推認できること原告のウェブサイトには,エバーライト社のウェブサイトのトップページへのリンクが貼られているとともに,同社がLED製品を一般的に取り扱っている旨の記載があり,原告への問い合わせのページも用意されているが,原告は,商社として15社を数える半導体製品の仕入先メーカーのひとつとしてエバーライト社を紹介 しているにすぎず,原告のウェブサイトでは,本件製品を含め,エバーライト社製の特定の製品が具体的には記載されていない。また,同社のトップページへ移動しても,具体的なLED製品の記載はなく,さらに複数回のリンクをたどらなければ,具体的な製品が掲載されたページは表示されない。過去には 製品が具体的には記載されていない。また,同社のトップページへ移動しても,具体的なLED製品の記載はなく,さらに複数回のリンクをたどらなければ,具体的な製品が掲載されたページは表示されない。過去には,原告のウェブサイト内にエバーライト社についてのページがあり,このページにおいて製品案内の記載があったものの,具体的にどのLED製品を取り扱っているかについての記載がないことに変わりはなく,個別具体的なLED製品を知るには,同社のウェブサイトによらなければならなかった。 そうすると,原告を通じてエバーライト社のLED製品を購入しようとする顧客は,原告に直接,エバーライト社のLED製品のうちのどの製品を取り扱っているか問い合わせるか,同社のウェブサイト内で個別具体的なLED製品を探し当てた上で原告に問い合わせる必要がある。被告が主張するように,原告のウェブサイト上の説明文でLED製品に言及しているのがエバーライト社を含めて2社しかなく,LED製品を購入しようとする顧客にとって同社が最有力候補であったとしても,顧客が上記の問い合わせをしなければ原告の取扱製品を特定できないことに変わりはない。そして,このことは,エバーライト社製品の多くが白色LEDであったとしても同じである。 このようなウェブサイトの内容,状況からすれば,原告が取り扱うLED製品を具体的に特定することはできない。加えて,E&E社が紹介するように,原告がエバーライト社の出資を受けて設立されたE&E社の主要取引先のひとつであったとしても,原告にとって,エバーライト社は,半導体製品の仕入先メーカーのひとつであり,原告はエバーライト社の製品の取扱代理店ではないことを考慮すれば,ウェブサイトの記載を根拠に,原告が具体的な製品として特定された本件製品を輸入,販売していた事実を認めること メーカーのひとつであり,原告はエバーライト社の製品の取扱代理店ではないことを考慮すれば,ウェブサイトの記載を根拠に,原告が具体的な製品として特定された本件製品を輸入,販売していた事実を認めることはできない。 また,被告は,原告が本件製品の譲渡の申出をしていたとも主張するが,その根拠は,原告のウェブサイトの記載であるところ,これは,原告が本件製品を輸入, 販売したとする根拠と同じである。したがって,上述したのと同様の理由により,原告が本件製品の譲渡の申出をしていた事実を認めることはできない。 確かに,原告のウェブサイトに取扱製品の情報として記載された照明用LED製品及びバックライトLED製品等が白色LED製品を意味することを示す証拠(乙4,23,24)もあるものの,製品情報に記載されたLED製品の全てが白色LED製品を意味するとは限らない。また,被告が主張するように,仮にこれらの製品が白色LED製品を意味し,かつ,「蛍光体+青色LED」という構成を採用していたとしても,その中には本件特許発明の構成を採用しないものも含まれ得る上,原告のウェブサイトを閲覧した顧客が本件製品の問い合わせや注文をするとは限らない。 (イ)原告によるエバーライト社製品の取扱い証拠(甲24,25,乙19の1~11)によれば,原告が,LED製品の購入を希望した顧客に対し,エバーライト社のLED製品を提案し,見積りを提示して販売した例があること,その他にも,原告がエバーライト社のLED製品を販売した実績があることが認められる。しかし,上記の証拠によって原告が販売したことがあったと認められるのは白色以外のLED製品である。しかも,被告が見積りを提出したという例(乙19の1~3)は,本件プレスリリースよりも後である平成24年9月のことであり,その見 告が販売したことがあったと認められるのは白色以外のLED製品である。しかも,被告が見積りを提出したという例(乙19の1~3)は,本件プレスリリースよりも後である平成24年9月のことであり,その見積りの提出に至る経緯の詳細も不明である。このため,原告がエバーライト社の白色LED製品を取り扱っていたかも,同社のLED製品をどの程度取り扱っていたかも,依然として明らかではない。上記の事実は,原告が具体的な製品として特定された本件製品を輸入,販売等していたことを窺わせるものとはいえない。 (ウ)本件製品に関する関係者の供述E&E社の代表取締役は,報告書(甲11)において,原告が販売するエバーライト社の製品は,全てE&E社がエバーライト社から輸入し,原告に販売したものであって,原告とエバーライト社との間に直接の取引関係はない旨,本件製品につ いては原告に対して販売,サンプルの提供及び商談を行った事実はない旨述べている。 エバーライト社のアジア事業処処長は,陳述書(甲12)において,同社は,本件製品について,E&E社及び原告のいずれに対しても,販売又はサンプルの提供をしたことがない旨述べている。 原告の半導体デバイス第一本部本部長は,陳述書(甲10)において,原告は,エバーライト社の製品をE&E社から仕入れて顧客に販売しており,エバーライト社との間に直接の取引関係はない旨,本件製品については,いずれも取扱いがなく,過去に販売した実績もなく,E&E社との間で商談を行ったこともサンプルの提供を受けたことも,その予定もない旨述べている。 (エ)本件製品の国内における流通被告は,本件製品について,電子部品のネット販売を営む株式会社チップワンストップがインターネット上で販売していたものを購入したという。このことは,本件製品が (エ)本件製品の国内における流通被告は,本件製品について,電子部品のネット販売を営む株式会社チップワンストップがインターネット上で販売していたものを購入したという。このことは,本件製品が市場に流通していたことを窺わせたとしても,原告が具体的な製品として特定された本件製品を輸入,販売等していたことを窺わせるものではない。 (オ)まとめ以上,検討したところによれば,本件プレスリリースに記載された,原告が具体的な製品として特定された本件製品を輸入,販売し,又は,本件製品の譲渡を申し出ることによって本件特許権を侵害していることを窺わせる事情は見当たらず,本件プレスリリースに記載された事実は虚偽であると認められる。 (3)故意・過失の有無アプレスリリースにおける注意義務特許権侵害を理由に提訴した際,提訴の事実を公表するにとどまらず,前記(1)において検討したように,他者の行為が,自己の有する特許権を侵害しているとの内容をウェブサイト上に掲載してプレスリリースを行った場合,不特定多数の者が当該プレスリリースを読むため,他者の営業に重大な損害を与えることが容易に予 想される。したがって,そのようなプレスリリースを行うに当たっては,あらかじめ,他者の実施行為等について,事実の調査を尽くし,特許権侵害の有無を法的な観点から検討し,侵害しているとの確証を得た上で,プレスリリースを行うべき注意義務がある。そして,このような注意義務を怠った場合,損害賠償責任(不正競争防止法4条)を負うというべきである。 イ本件プレスリリースにおける被告の注意義務証拠(乙12の1・2)及び弁論の全趣旨によれば,被告が,先行訴訟提起前に,本件製品を実際に入手した上で,本件製品及び本件製品に使用されているLEDチップの構造,構成材料を分 ける被告の注意義務証拠(乙12の1・2)及び弁論の全趣旨によれば,被告が,先行訴訟提起前に,本件製品を実際に入手した上で,本件製品及び本件製品に使用されているLEDチップの構造,構成材料を分析したことが認められ,あらかじめ,構成要件充足性を検討したと考えられる。また,原告のウェブサイトに,原告が取り扱う半導体製品のメーカーのひとつとしてエバーライト社が掲げられ,同社の白色LED製品を取り扱っているかのように読める記載があり,同社のトップページへのリンクが貼られ,同社のウェブサイトにおいて本件製品が掲載されていた。そのため,被告は,先行訴訟を提起するに当たって,原告のウェブサイトの記載や取引関係を根拠として原告が本件製品の輸入,譲渡又は譲渡の申出をしていると判断したと考えられる。 しかしながら,前記(2)のとおり,それだけでは,そのような判断をするための根拠としては不十分というべきである。被告が,原告に問い合わせる,原告に警告書を送付して回答内容を確認する,原告の取引関係者等の第三者に問い合わせるなどして,原告が取り扱う具体的な製品を特定するための調査を尽くしたような形跡は窺われない。被告が主張するように,海外から輸入される白色LED製品を市場で入手するのが困難であったり,流通経路や国内の輸入元,販売元が不明であることが多かったりしたとしても,上記認定を左右するものではない。 ウ被告の過失上記の事情に鑑みると,被告には,原告の営業に多大な影響を及ぼすおそれのある本件プレスリリースをウェブサイト上に掲載するに当たり,原告の権利,利益を侵害することがないように尽くすべき注意義務を怠った過失があったものと認めら れる。また,上記の事情に鑑みると,仮に,被告が指摘する違法性阻却の抗弁を採用し得ると考えるとしても,被告の行為 侵害することがないように尽くすべき注意義務を怠った過失があったものと認めら れる。また,上記の事情に鑑みると,仮に,被告が指摘する違法性阻却の抗弁を採用し得ると考えるとしても,被告の行為が正当な権利行使の範囲内にとどまるとはいえず,違法性は阻却されない。 したがって,被告は,本件プレスリリースの掲載により原告に生じた損害を賠償する義務を負う。 2 争点2(被告による先行訴訟の提起等が,不法行為を構成するか)について(1)先行訴訟は,被告が,原告が本件製品の輸入,譲渡又は譲渡の申出をしており,これが本件特許権を侵害すると主張して,原告に対し侵害行為の差止め等を求めたものである。 特許権者が,競業者等を相手方として,その行為が特許権を侵害するとして,特許権侵害訴訟を提起することは,特許権や裁判を受ける権利(憲法32条)の行使である。先行訴訟の提起が,相手方に対する違法な行為といえるためには,「当該訴訟において,提訴者の主張した権利又は法律関係が事実的,法律的根拠を欠くものであるうえ,提訴者がそのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知りえたといえるのにあえて訴えを提起したなど,訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときに限られるものと解するのが相当である」(最高裁第三小法廷昭和63年1月26日判決・民集42巻1号1頁参照)。 (2)被告が先行訴訟の提起の際に根拠とした事情は,前記1(3)イにおいて検討したとおりであり,本件製品の構成要件充足性の主張は,事実的,法律的根拠を欠くとまではいうことができない。また,原告が本件製品の輸入,譲渡又は譲渡の申出をしたと判断して,その旨の主張をして先行訴訟を提起したことについても,本件プレスリリースの掲載の適否という観点からではなく,先行 はいうことができない。また,原告が本件製品の輸入,譲渡又は譲渡の申出をしたと判断して,その旨の主張をして先行訴訟を提起したことについても,本件プレスリリースの掲載の適否という観点からではなく,先行訴訟の提起が権利行使の範囲内か否かという観点からみれば,相応の根拠をもってされたものということができ,事実的,法律的根拠を欠くものと認めるには足りない。 したがって,被告の先行訴訟の提起は,裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くとは認められないから,原告に対する違法な行為とはならず,不法行為 を構成しない。また,先行訴訟の提起を前提としたその後の控訴及び上告受理申立て等の訴訟活動について,その主張の内容,態様を含め,正当な権利行使の範囲,目的を逸脱し,裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くというべき事情は認められず,先行訴訟の提起等が不法行為に当たるとの原告の主張を採用することはできない。 3 争点3(原告の被った損害額)について(1)信用毀損による無形損害原告が本件製品を販売等していた事情は窺えず,本件プレスリリースの掲載によって,本件製品の販売等に影響が生じるというような状況にはないものの,原告が被告の有する特許権を侵害する製品の販売等を行っているという印象を不特定多数の者に与え,営業活動に関する評価を損なわれるなど,原告の営業上の信用が害されたことは否定し得ない。 本件プレスリリースによる告知の相手方,内容,態様,掲載に至る経緯,掲載期間,原告が取り扱う製品の市場規模等,本件記録から窺われる諸事情を総合考慮すると,原告の被った無形損害は100万円と認めるのが相当である。 (2)弁護士費用相当額原告が本件訴訟の提起,遂行を訴訟代理人に委任したことは記録上明らかであるところ,本件訴訟の内容,認 慮すると,原告の被った無形損害は100万円と認めるのが相当である。 (2)弁護士費用相当額原告が本件訴訟の提起,遂行を訴訟代理人に委任したことは記録上明らかであるところ,本件訴訟の内容,認容額,難易度その他一切の事情を考慮すれば,被告の行為と相当因果関係のある弁護士費用は10万円が相当である。 (3)合計額原告が被告による本件プレスリリースの掲載により被った損害額は,合計110万円となる。 4 結論以上によれば,原告の請求は,主文掲記の限度で理由がある。 大阪地方裁判所第26民事部 裁判官 松阿彌隆 裁判官 林啓治郎 裁判長裁判官山田陽三は,差し支えのため,署名押印することができない。 裁判官 松阿彌隆 (別紙)物件目録下記のLEDパッケージ記 1 GT3528/X2C-BXXXXXX 2 61-238/XK2C-BXXXXXX/ET(ただし,上記Xには,任意のアルファベット又は数字が入る。) (別紙)プレスリリース目録台湾Everlight社製白色LEDに対する新たな特許侵害訴 XXX/ET(ただし,上記Xには,任意のアルファベット又は数字が入る。) (別紙)プレスリリース目録台湾Everlight 社製白色LEDに対する新たな特許侵害訴訟の提起について 2011年10月4日,日亜化学工業株式会社(本社:●●●●●●,社長:●●●●)は,株式会社立花エレテック(本社:●●●●●●,社長:●●●●。以下「立花社」)を被告として,台湾最大のLEDアッセンブリメーカーであるEverlightElectronics 社(本社:●●●●●●●●●●,董事長:●●●。以下「Everlight社」)が製造し,立花社が輸入,販売等する白色LED(製品型番:GT3528シリーズ,61-238シリーズ)について,当社特許権(第4530094号。以下「094特許」)に基づき,侵害差止め及び損害賠償を求める2件の訴訟を東京地方裁判所に提起致しました。 当社は,これまでも当社特許を侵害する企業に対しては,全世界において当社の権利を主張し,とりわけ,日本市場での当社特許の侵害行為に対しては,断固たる措置を取ってまいりました。しかしながら,昨今の中韓台LEDチップ及びパッケージメーカーによる,特許権を無視した日本市場での行動は目に余るものがあります。 このような日本市場での当社特許の侵害行為に対する対抗措置の一環として,今年8月にEverlight 社製白色LEDを取り扱っていた会社に対する訴訟を提起し,当該事件の被告は当該白色LEDが当社特許の権利範囲であることを認め,その販売等を中止しました。今回提起した訴訟は,この訴訟に続くものであり,立花社に対してもその販売等の中止等を求めるものです。 注:対象特許の概要:現在一般に流通している白色LEDは,青色発光のLEDチップに黄色など様々な色 起した訴訟は,この訴訟に続くものであり,立花社に対してもその販売等の中止等を求めるものです。 注:対象特許の概要:現在一般に流通している白色LEDは,青色発光のLEDチップに黄色など様々な色を発光する蛍光体を組み合わせて,白色系の発光を得ており ます。今回の対象特許(094特許)は,このような白色LED内の蛍光体の濃度について規定した技術であり,蛍光体の種類に限定はありません。
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