平成24年5月15日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成22年(ワ)第17142号物件返還等請求事件口頭弁論終結日平成23年12月6日判決栃木県大田原市<以下略>原告 A同訴訟代理人弁護士藤田正人東京都世田谷区<以下略>被告有限会社ヘビーゲイジ同訴訟代理人弁護士岡 田 耕次郎同佐藤 勝同廣澤幹久同太田美和同川口昭彦 主文 1 被告は,原告に対し,79万3200円及びうち68万3200円に対する平成22年3月13日から支払済みまで年6分の割合による金員,うち11万円に対する平成22年12月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,これを5分し,その4を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求被告は,原告に対し,400万円及びうち141万7500円に対する平成 22年3月12日から支払済みまで年6分の割合による金員,うち258万2500円に対する平成22年12月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,被告からフィギュア(アニメーションの人気キャラクターの像)の原型の製作を請け負った原告が,被告に対し,原告の製作に係る未完成のフィギュアの原型の出来高について請負代金を請求し,また,被告が原告を欺き原告から製作途中のフィギュアの原型を取 ャラクターの像)の原型の製作を請け負った原告が,被告に対し,原告の製作に係る未完成のフィギュアの原型の出来高について請負代金を請求し,また,被告が原告を欺き原告から製作途中のフィギュアの原型を取り上げたこと,その取り上げた原型を廃棄したこと及び被告が第三者に対し原告が一方的にフィギュアの製作業務を放棄した等と虚偽の事実を告げて原告の名誉,信用を毀損したことが不法行為に当たるとして損害賠償を請求する事案である。 1 争いのない事実(1) 当事者被告は,模型の製造,販売等を目的とする有限会社である。 原告は,フィギュアの原型の製作を業とする,いわゆる原型師であり,被告の注文に基づきフィギュアの原型の製作業務を行っていた者である。 (2) 原告は,平成22年1月初旬ころ,被告から別紙物件目録記載1の物件(以下「本件物件1」という。)の製作を請け負った(以下「本件請負契約1」という。)。また,原告は,平成21年12月中旬ころ,被告から別紙物件目録記載2の物件(以下「本件物件2」といい,これと本件物件1とを併せて「本件各物件」という。)の製作を請け負った(以下「本件請負契約2」といい,これと本件請負契約1とを併せて「本件各請負契約」という。)。 本件各物件は,いずれも玩具メーカーが製造するフィギュアの形状の基となる原型であり,被告は,株式会社バンプレスト(以下「バンプレスト」という。)から本件物件1を発注され,また,株式会社セガ(以下「セガ」と いう。)から本件物件2を発注された。 原告は,本件各請負契約に基づき本件各物件の製作を開始したものの,原告が製作をやめた時点において,いずれの物件も未完成であった。 2 争点(1) 原告の被告に対する本件各請負契約に基づく,本件各物件の出来高に係る請負代金請求権の有無 を開始したものの,原告が製作をやめた時点において,いずれの物件も未完成であった。 2 争点(1) 原告の被告に対する本件各請負契約に基づく,本件各物件の出来高に係る請負代金請求権の有無(争点1)(2) 原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の有無(争点2) 3 当事者の主張(1) 原告の被告に対する本件各請負契約に基づく,本件各物件の出来高に係る請負代金請求権の有無(争点1)(原告の主張)ア本件請負契約1に基づく本件物件1の出来高に係る請負代金請求(ア) 本件請負契約1の請負代金は,従前の例や本件物件1の大きさなどからすると105万円が相当であり,この金額について原告と被告との間に黙示の合意が成立していた。 (イ) 本件物件1の完成度について原告が製作する本件物件1は,平成22年3月10日の時点で,キャラクターを特徴付ける各パーツがそろい,全体の印象もキャラクターの特徴を捉えており,ポーズ,表情,マントのなびき方やスカートの流れなどもバンプレストの企画書にある商品の要望に応えるものとなっていた。武器についてもおおまかな製作は完了しており,製作が残っていたのは,脚部の長方形のパーツ,ベルトの金具,靴に取り付けるリボン,手首の手袋,武器のとげ類などの細かいパーツであって,これらを製作するのには1日もあれば十分であった。したがって,同日の時点で本件物件1の完成度は9割であった。 その後,原告は,同月11日にバンプレストを訪問する前に,マント の形状のほか細部についての作業を進めた。したがって,本件請負契約1が解除された同月12日の時点では,さらに完成度が高まり,本件物件1の完成度は9割以上となっていた。 (ウ) 被告は,平成22年3月12日,一方的に本件請負契約1を解除し がって,本件請負契約1が解除された同月12日の時点では,さらに完成度が高まり,本件物件1の完成度は9割以上となっていた。 (ウ) 被告は,平成22年3月12日,一方的に本件請負契約1を解除し,原告から本件物件1を取り上げ,その完成を不能にした。 よって,原告は,被告に対し,本件請負契約1に基づき,本件物件1の出来高である94万5000円(105万円×0.9)の請負代金請求権を有する。 イ本件請負契約2に基づく本件物件2の出来高に係る請負代金請求(ア) 原告と被告は,平成22年2月中旬ころ,本件請負契約2の請負代金を52万5000円とすることで合意した。 (イ) 本件物件2の完成度について原告が製作する本件物件2は,本件請負契約2が解除された平成22年3月12日の時点で,頭部のリボン,腕章,スカートの段になっている二等辺三角形の部分の製作を残すのみで,頭身や体型のバランスはキャラクターの持つ特徴を捉えており,セガの要請に応じた表情の修正も完成していた。したがって,同日時点での本件物件2の完成度は9割である。 なお,原告は,本体と同時に,腕の交換用パーツや拳銃の製作も進めていたが,これらは,下記(2)(原告の主張)アの被告の詐欺行為によって取り上げられ,廃棄された。 (ウ) 被告は,平成22年3月12日,一方的に本件請負契約2を解除し,原告から本件物件2を取り上げ,その完成を不能にした。 よって,原告は,被告に対し,本件請負契約2の出来高である47万2500円(52万5000円×0.9)の請負代金請求権を有する。 (被告の主張) ア本件請負契約1について(ア) 請負代金について原告と被告との間に本件請負契約1の請負代金を105万円とする黙示の合意が成立した 請負代金請求権を有する。 (被告の主張) ア本件請負契約1について(ア) 請負代金について原告と被告との間に本件請負契約1の請負代金を105万円とする黙示の合意が成立したことは否認する。 (イ) 本件物件1の完成度について原告が製作した本件物件1は,原告が製作をやめた段階で,原型全体のバランス,顔の大きさ,脚の長さ,肉付きなどのベースの部分すら確定していなかった。また,マント,被服,武器パーツなどが添えられていたものの,いずれも作りが雑でクオリティも低く,試作品レベルの代物でしかなかった。原告がいまだ製作していなかったパーツの製作も,とても1日で終わるものではなかった。 また,原告は,表情が異なる交換用の頭部パーツや交換用の武器パーツも製作することになっていたが,これらについては製作していなかった。 したがって,原告が製作した本件物件1の完成度は,せいぜい1ないし2割程度であり,経済的な価値はゼロである。 イ本件請負契約2について(ア) 請負代金について原告と被告が,本件請負契約2の請負代金を52万5000円とすることで合意したことは否認する。 そもそも,被告とセガとの間でも,本件物件2について報酬の合意はできていなかった。そして,原告と被告との間でも,本件物件2について,報酬金額について何ら合意はなかった。 (イ) 本件物件2の完成度について原告が製作した本件物件2は,最終的な形状においても,顔の形状がセガの要望とは異なっており,被服はのっぺりとして立体感がなく,メ ガホンやブーツの作りも雑であった。また,原告は,両手に拳銃を握った交換用の腕パーツを製作していなかった。 したがって,原告が製作した本件物件2の完成度は,1割にも満たないと見るの メ ガホンやブーツの作りも雑であった。また,原告は,両手に拳銃を握った交換用の腕パーツを製作していなかった。 したがって,原告が製作した本件物件2の完成度は,1割にも満たないと見るのが相当であり,経済的な価値はゼロである。 ウ本件各請負契約に基づく,本件各物件の出来高に係る請負代金請求が認められないこと原告は,一方的に本件各物件の製作を放棄し,仕事の完成に至らなかった。本件各請負契約は,いずれも原告の申出によって,仕事の完成前に合意解除されたものであるから,本件各物件の完成度いかんに関わらず,原告に請負代金請求権が発生することはない。被告は,玩具メーカーとの間の機密保持契約上の問題から,原告に対し,製作途中の原型を被告に引き渡すように指示しており,これらを請負契約の目的物として認容して受領したのではない。 そもそも,フィギュアの原型は,版権元が製作を許諾し,玩具メーカーに商品の原型として認められてはじめて経済的な価値を持つ物であり,原告が製作した本件各物件は,版権元や玩具メーカーの監修を経ていないから,経済的な価値は認められない。 したがって,原告の被告に対する本件各請負契約に基づく,本件各物件の出来高に係る請負代金請求は認められない。 (2) 原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の有無(争点2)(原告の主張)ア被告の詐欺行為に基づく慰謝料請求権(ア) 被告は,平成22年3月12日,原告に対し,本件各物件は被告の所有物であるとの虚偽の事実を申し向けて原告を錯誤に陥らせ,原告から本件各物件を取り上げた。その具体的な経緯は,次のa,bのとおりである。 a 原告は,本件各物件を製作している時期に,被告代表者からパワーハラスメントを受けていた。原告は,平成22 ら本件各物件を取り上げた。その具体的な経緯は,次のa,bのとおりである。 a 原告は,本件各物件を製作している時期に,被告代表者からパワーハラスメントを受けていた。原告は,平成22年3月11日,原告が製作している本件物件2について被告代表者から指導を受けた際にも,被告代表者から原告に対し精神的苦痛を与える言動が繰り返された。 そこで,原告は,被告代表者に対し,本件各物件の製作を完了させたら被告の仕事を辞める旨申し出たところ,被告代表者から冷静になってもう一度考えるようにと告げられた。 b 原告は,同月12日,改めて本件各物件の製作の仕事を完了させたら被告の仕事を辞める旨を被告代表者及び被告の取締役であるBに伝えたところ,被告代表者及びBは,原告を精神的に追い詰めるような発言を重ね,製作途中の原型は被告の物であり,他の原型師に引き継いで使用するため,製作途中の本件各物件を被告に引き渡してすぐに辞めるようにと述べた。原告は,被告代表者及びBの発言によって精神的に追い詰められ,冷静な判断ができなくなり,被告に製作途中の本件各物件を引き渡さなければならないと誤信し,これらを被告に引き渡した。 (イ) 原告は,被告からバンプレストやセガとの間で機密保持契約を締結しているとの説明を受けたことはなく,被告に対する機密保持義務や被告の指示に従う義務が原告に生じることはない。 (ウ) 原告は,被告の上記(ア)の詐欺行為によって精神的損害を被り,その額は本件各物件の価値の約10%に当たる15万円を下らない。 よって,原告は,被告に対し,15万円の慰謝料の支払を求める。 イ被告による本件各物件の廃棄に基づく慰謝料請求権被告は,平成22年3月12日,上記アのとおり,本件各物件を原告から取り上げた。原告 告は,被告に対し,15万円の慰謝料の支払を求める。 イ被告による本件各物件の廃棄に基づく慰謝料請求権被告は,平成22年3月12日,上記アのとおり,本件各物件を原告から取り上げた。原告は,その後,被告に本件各物件の返還を請求したにもかかわらず,被告はこれを無視して本件各物件を廃棄した。本件各物件の 廃棄は,本件の重要な証拠物の隠滅行為にも該当する。 原告は,被告が本件各物件を廃棄したことによって精神的損害を被り,その額は125万円を下らない。 よって,原告は,被告に対し,125万円の慰謝料の支払を求める。 ウ被告による原告の名誉,信用毀損に基づく慰謝料請求権被告は,下記(ア)ないし(ウ)のとおり,第三者に虚偽の事実を伝え,原告の名誉,信用を毀損した。原告は,被告によるこれらの行為によって,精神的損害を被り,その額は1件当たり20万円を下回らない。 よって,原告は,被告に対し,合計60万円の慰謝料の支払を求める。 (ア) 被告は,平成22年3月中旬ころ,バンプレストの担当者に対し,原告が一方的に本件物件1の製作業務を放棄して逃げていったと伝えた。 (イ) 被告は,平成22年3月中旬ころ,セガの担当者に対し,原告が一方的に本件物件2の製作業務を放棄して逃げていったと伝えた。 (ウ) 被告は,平成22年4月上旬ころ,雑誌「ホビー・ジャパン」の編集部に対し,原告が一方的に本件各物件の製作業務を放棄して逃げていったと伝えた。 エ弁護士費用の損害原告は,上記被告の各行為によって,多大な損害を被り,弁護士に依頼して本件訴訟を提起せざるを得なかったため,弁護士費用の損害も発生し,その額は78万円を下らない。そこで,原告は,この費用のうち,58万2500円を損害賠償として て,多大な損害を被り,弁護士に依頼して本件訴訟を提起せざるを得なかったため,弁護士費用の損害も発生し,その額は78万円を下らない。そこで,原告は,この費用のうち,58万2500円を損害賠償として請求する。 (被告の主張)ア被告の詐欺行為に基づく慰謝料請求権について(ア) 原告は,身勝手な理由で本件各物件の製作を放棄し,自らの意思で製作途中の本件各物件を被告に引き渡した。被告は,原告に対し,詐欺行為を行っておらず,原告から製作途中の本件各物件を取り上げてもい ない。 (イ) 原告は,平成22年3月11日,突然,被告代表者の指導が精神的に耐えられないとの理由で,被告の仕事を辞めたいと言い出したため,被告は,原告に翻意を求めたが,原告は全く聞く耳を持たなかった。 (ウ) 被告は,バンプレストやセガとの間で,それぞれ,商品の企画の内容について機密保持契約を締結しおり,これらの契約には,製作途中のフィギュアの原型を適切に保管し,管理することも含まれていた。原告は,被告が玩具メーカーに対しこのような機密保持義務を負うことを認識し,被告からフィギュアの原型の製作を請け負っていたのであるから,被告と同様に機密保持義務を負う。 被告は,上記機密保持契約から,被告の仕事を辞める原告に対し,製作途中の本件各物件の引渡しを求めたのであり,原告も上記機密保持義務から,上記各物件を被告に引き渡す義務を負っていたのであって,原告による上記各物件の引渡しは,その義務の履行にすぎない。 被告は,原告に対し,製作途中の原型は,版権元や玩具メーカーの権利物であるから,原告において勝手に使用することができないため,被告に返す必要がある旨説明したところ,原告はこれを理解し,製作途中の本件各物件を被告に引き渡した。 イ ,版権元や玩具メーカーの権利物であるから,原告において勝手に使用することができないため,被告に返す必要がある旨説明したところ,原告はこれを理解し,製作途中の本件各物件を被告に引き渡した。 イ被告による本件各物件の廃棄に基づく慰謝料請求権について被告が,原告が製作した本件各物件を廃棄した事実は認め,その余は否認する。 ウ被告による原告の名誉,信用毀損に基づく慰謝料請求権について原告が主張する事実のうち,①平成22年3月中旬ころ,被告がバンプレストの担当者に対し,原告が一方的に本件物件1の製作業務を放棄したと告げたこと,②平成22年3月中旬ころ,被告がセガの担当者に対し,原告が一方的に本件物件2の製作業務を放棄したと告げたことは認め,そ の余は否認する。 被告が,バンプレストやセガに対して,原告が本件各物件の製作を放棄した経緯について説明したことは正当な業務行為であって,違法性がない。 エ弁護士費用の損害について否認する。 第3 争点に対する判断 1 認定事実争いのない事実,証拠(甲1の1~3・6~9・11~13・15・16,2の1・2・4~9・11・12,3の1・2,4,5の1・2,7の1・2,8の1・2,10~14,20,21の1・2,22の1・2,23の1・2,29,乙1,3,4,5の1・2,7,8,13~16,証人C,原告本人,被告代表者本人)及び弁論の全趣旨を総合すれば,次の事実が認められる。 (1)ア原告は,平成21年1月から同年5月まで,被告の開催する原型師の育成講座を受講し,同年6月からは,被告に所属する原型師としてフィギュアの原型(以下,単に「原型」ということがある。)の製作をしていた。 イ原告は,原型を製作するに当たって,製作の途中 師の育成講座を受講し,同年6月からは,被告に所属する原型師としてフィギュアの原型(以下,単に「原型」ということがある。)の製作をしていた。 イ原告は,原型を製作するに当たって,製作の途中で被告代表者やBに定期的に連絡を取り,製作途中の原型について被告代表者やBのチェックや指導を受け,これに応じて原型に修正を施すという作業を繰り返すことによって,原型の製作を進めていた。 ウ被告に所属する原型師が製作する原型は,完成すると被告から玩具メーカーに納品され,玩具メーカーから被告に代金が支払われる。その後,玩具メーカーから支払われた代金の8割の金額が被告から被告に所属する原型師に支払われることとなっていた。また,被告から納品された原型から製作されたフィギュアが販売される際には,製作した原型師の名前と共に被告の名称(ヘビーゲイジ)が表示されていた。 エ原告が,被告から本件各物件の製作を請け負う以前に被告の下で製作し た原型の数は,上記育成講座を受講していた時に製作した原型を含めて,3点であった。 (2) 本件物件2の製作に係る事実経過ア原告は,平成21年12月中旬ころ,被告がセガから発注を受けた本件物件2の製作を,被告から請け負った。原告は,同月18日,本件物件2についてのセガと被告との間の打合せに参加し,その時に本件物件2の企画書(甲7の1・2)を受領した。 イ被告代表者は,平成22年1月6日,本件物件2の製作のサイズ(17. 5㎝)やデザイン画が決定したので,本件物件2の製作を開始するようにと原告に指示した。そして,被告代表者は,同月10日,セガから送付された本件物件2の画像資料(甲8の1)を原告に送付した。 ウ原告は,同年2月5日,製作途中の本件物件2を撮影した画像を被告代表 告に指示した。そして,被告代表者は,同月10日,セガから送付された本件物件2の画像資料(甲8の1)を原告に送付した。 ウ原告は,同年2月5日,製作途中の本件物件2を撮影した画像を被告代表者に送信し,被告代表者は,同画像を本件物件2の監修用ウェブページにアップした。この画像について,セガの担当者は,同月8日,本件物件2のキャラクターの顔が最新のデザインでは「かつてのかえる顔からけいおん!に近い感じになってきて」いるため,作り込む際には参考にしてほしいとコメントした。 エセガは,同月10日,被告に対し,本件物件2の製作代金(フィギュアの原型本体と交換用腕パーツの製作代金)として,52万円を提示した。 被告代表者は,セガから提示されたこの金額を,原告に口頭で伝えた。 オ被告代表者は,同日,セガの担当者に,製作途中の本件物件2と同じシリーズの「みくる」の原型とを対比した画像を送信し,プロポーション等についての確認を求めた。そして,セガの担当者は,同月15日,被告代表者に,「ハルヒ」と「みくる」の他の原型の参考画像(甲8の2)を送信した。 カセガの担当者は,同年3月2日,被告代表者に本件物件2の進捗状況を 確認するメールを送信し,被告代表者は,このメールを原告に転送した。 これに対し,原告は,被告代表者に対し,本件物件2については衣服の製作を行っており,衣服と後ろ髪の製作がもう少し進んでから被告代表者に見てもらいたいと答えた。 (3) 本件物件1の製作に係る事実経過アバンプレストは,平成22年1月初旬ころ,被告に本件物件1の製作と同じシリーズの「なのは」のフィギュアの原型の製作を発注した。この発注において,本件物件1の全高は約20㎝,納期は3月初旬とされ,また,差替え用のフェイスパーツ 月初旬ころ,被告に本件物件1の製作と同じシリーズの「なのは」のフィギュアの原型の製作を発注した。この発注において,本件物件1の全高は約20㎝,納期は3月初旬とされ,また,差替え用のフェイスパーツ及び形状の異なる武器の先の製作も本件物件1の発注に含まれていた。そして,原告は,このころ,被告から本件物件1の製作を請け負った。 イ原告は,同月11日,被告と本件物件1の製作について打合せを行い,被告代表者は,同月18日,バンプレストから送付された本件物件1のラフイラスト(甲4)及び設定の資料(甲5の1・2)を原告に送付した。 ウ原告は,同年2月15日,被告代表者に,本件物件1の製作がある程度進んだので見てほしいと連絡を取り,製作途中の本件物件1を見せ,その指導を受けた。また,原告は,同月21日,被告代表者に連絡を取り,同様に本件物件1の製作について被告代表者の指導を受けた。 エ原告は,同月22日,被告の工房で製作途中の本件物件1の撮影を行い,被告代表者は,その画像を本件物件1の監修用ウェブページにアップした。 この画像について,バンプレストの担当者は,①方向性に問題はなく引き続き製作を進めてほしい,②若干表情(特に口周り)が硬い,③「なのは」のフィギュアと並べた時に同じように感じるサイズにしたい,④差替え用のフェイスパーツや武器の先の製作も進めてほしいとコメントした。 オ原告は,同月26日,被告の工房で製作途中の本件物件1の撮影を行い,被告代表者は,その画像を本件物件1の監修用ウェブページにアップした。 この画像について,バンプレストの担当者は,同年3月1日,①若干顔の印象が硬いため,「なのは」のかわいい方向のバランスと合わせてほしい,②口角辺りの表現がややリアルな印象に見えてしまっているかもしれないの について,バンプレストの担当者は,同年3月1日,①若干顔の印象が硬いため,「なのは」のかわいい方向のバランスと合わせてほしい,②口角辺りの表現がややリアルな印象に見えてしまっているかもしれないので,もう少しアニメっぽさ(丸っぽさ)を表現できたらいいと思う,③「なのは」と並べたときに違和感がないような形になることが重要であり,調整してほしい,④現状においてそれ以外はさほど問題がないと思うとコメントした。 カ被告代表者は,同月10日,製作途中の本件物件1を撮影した画像を本件物件1の監修用ウェブページにアップした。この画像について,バンプレストの担当者は,画像を見る限り問題はないので,翌日,被告代表者がバンプレストを訪問する際,本件物件1を見たいとコメントした。 キ原告は,同月11日,被告代表者,B及び被告に所属する他の原型師らとともに,バンプレストを訪問し,原告とBは,バンプレストの担当者に製作途中の本件物件1を見せた。その際,バンプレストの担当者は,本件物件1について,表情を修正し,下半身が細いので太くするようにとコメントした。また,バンプレストの担当者は,1週間後に本件物件1について版権元の監修を行うため,それまでに原型の製作をさらに進めてほしいと述べた。 (4) 原告が本件各物件の製作を開始してから,被告代表者の原告に対する原型の製作を指導する際の言動が厳しくなった。例えば,被告代表者は,原告に対し,原型の製作の指導を行う際,「だいぶ見せに来なかったが,自分の指導が嫌なのか,言うことを聞きたくないのか」,「お前の性格では,この業界ではメーカーを絶対怒らせるだけだ」,「どれだけ打たれ弱いんだよ」,「お前が自分を怒らせてどやされるのを,他の原型師が聞いていて気分が悪くなるだろ」,「返事だけしていればいいと思 性格では,この業界ではメーカーを絶対怒らせるだけだ」,「どれだけ打たれ弱いんだよ」,「お前が自分を怒らせてどやされるのを,他の原型師が聞いていて気分が悪くなるだろ」,「返事だけしていればいいと思っているだろ」などの厳しい言葉をかけることがあった。原告は,被告代表者のこのような言動によって, 精神的な苦痛を受けた。 (5) 原告は,平成22年3月11日,バンプレストを訪問した後,被告代表者及びBとともに,被告の工房に戻った。その後,原告は,被告代表者に製作途中の本件物件2を見せたところ,被告代表者から原告に対して厳しい言葉がかけられた。そこで,原告は,被告代表者に対し,本件各物件の製作を終えたら被告の仕事を辞めたいと述べた。これに対し,被告代表者は,冷静になってもう一度考えてほしい,明日また被告の工房に来るようにと原告に告げた。 翌12日,原告は,製作途中の本件物件2を被告の工房に持参し,その写真を撮影した。写真の撮影が終了した後,原告は,被告代表者に対し,改めて本件各物件の製作を終えたら被告の仕事を辞めたいと伝えたところ,被告代表者は,本件各物件の製作を被告に所属する他の原型師に引き継いで,今すぐに被告の仕事を辞めるようにと原告に告げ,製作途中の本件各物件を被告に引き渡すことを原告に求めた。これに対し,原告は,本件各物件の製作についての工賃の支払を被告代表者に求めたが,被告代表者はこれを拒否した。そして,原告は,同日,製作途中の本件各物件を被告に引き渡し,被告の仕事を辞めることとなった。 (6) 原告は,平成22年3月23日,被告に対し,本件各物件の返還と被告の不法行為によって生じた慰謝料の支払等を求める内容の通知書を送付した。 また,原告は,同日,バンプレストとセガに対し,本件各物件は原告の所 3月23日,被告に対し,本件各物件の返還と被告の不法行為によって生じた慰謝料の支払等を求める内容の通知書を送付した。 また,原告は,同日,バンプレストとセガに対し,本件各物件は原告の所有物であり,被告が本件各物件を納品しようとした場合には受領を拒絶するように求める通知書を送付した。 (7) 原告が被告の仕事を辞めた後,本件物件1の製作は,Bを中心とした被告の原型師らの共同作業によって進められ,平成22年4月9日,完成した本件物件1がバンプレストに納品された。 そして,バンプレストから被告に対し,本件物件1の代金として,90万 円(「フェイト」の原型本体につき60万円,二つの武器につき20万円,差し替え用のフェイスパーツにつき10万円)が支払われた。 (8) 原告が被告の仕事を辞めた後,本件物件2の製作は,被告の他の原型師が引き継ぎ,原告が製作していた本件物件2を利用して進めていた。しかし,セガは,同年4月1日,被告との間の本件物件2の製作に係る契約を解除した。 (9) 被告は,原告が製作した本件各物件を廃棄した。 なお,被告代表者は,原告が被告の仕事を辞めた際の経緯について,上記認定と異なる供述をするが,その内容は具体性を欠き,被告代表者が平成22年3月25日の時点でセガに回答した内容(乙5の1)とも一貫しない点があることから,これに反する原告本人の供述に照らし,被告代表者の上記供述は採用することができない。 2 争点1(原告の被告に対する本件各請負契約に基づく,本件各物件の出来高に係る請負代金請求権の有無)について(1) 本件請負契約1についてア前記1(5)のとおり,被告代表者は,平成22年3月12日,原告に一方的に被告の仕事を辞めるようにと告げてお 出来高に係る請負代金請求権の有無)について(1) 本件請負契約1についてア前記1(5)のとおり,被告代表者は,平成22年3月12日,原告に一方的に被告の仕事を辞めるようにと告げており,これは,本件各請負契約の注文者である被告が原告に対し解除権(民法641条)を行使したものということができる。このように,本件各請負契約は本件各物件が完成する前に解除されているものの,前記1(2),(3)及び後記イ,(2)アによれば上記解除の時点において,本件各物件の製作は相当程度進行していたことが認められるのであり,このような場合においては,既に製作された部分に対する請負契約の解除は許されず,請負人である原告は,被告に対し,本件各請負契約が解除された時点における本件各物件の完成度に応じた出来高に係る請負代金請求権を有すると解するのが相当である。 これに対し,被告は,原告が製作した本件各物件は,版権元や玩具メーカ ーの監修を経ていないから経済的な価値は認められないと主張する。しかしながら,本件各物件は,玩具メーカーのフィギュアの原型であり,その製作が途中までしか進行していないものであっても,その後さらに手を加えることによって利用することも可能なものであるから,版権元等の監修を経ていないからといって,経済的な価値がないものということはできない。したがって,被告の上記主張は採用することができない。 イ平成22年3月12日の時点における本件物件1の完成度について上記アのとおり,本件請負契約1は,平成22年3月12日に解除されているため,この時点における本件物件1の完成度について検討する。 (ア) フィギュアの原型の製作過程一般について証拠(甲20,28,乙3,13,証人C)によれば,フィギュア されているため,この時点における本件物件1の完成度について検討する。 (ア) フィギュアの原型の製作過程一般について証拠(甲20,28,乙3,13,証人C)によれば,フィギュアの原型の製作過程について,次の事実が認められる。 まず,①フィギュアの設定のイラスト等の資料を見ながら,設定と同じポーズの大まかな形を作り,体全体のバランスを整える。次に,②裸体の状態で体の各部分を作り込む。③裸体の状態がおおむね完成したら,服や髪の毛などのパーツを取り付けていき,さらに細部を作り込んでいく。その後,④版権元の監修を受け,さらに細部の修正を行い,表面処理を行って完成に至る。 (イ) 証拠(甲1の11,4,5の1・2,16,20,26,乙2,3,11,12)によれば,本件物件1は,平成22年3月10日の時点において,服,髪の毛,マント,武器などの各パーツが取り付けられた状態まで製作が進んでおり,全体の印象としてはバンプレストのラフイラスト(甲4)や設定の資料(甲5の1・2)に沿った,キャラクターの特徴を捉えたものとなっていたこと,もっとも,それぞれのパーツはまだ細部の作りが粗く,手袋,ベルトの金具,脚部の長方形のパーツ,靴のリボンなどいまだ製作がされていないものもあり,武器についても刃の反対側の突 起の部分や下端の突起の部分が製作されておらず,さらに細部について作り込まれることが必要な状態であったこと,また,原告は,同日から翌11日のバンプレストへの訪問に備え,さらに本件物件1の製作を進めていたことが認められる。 そして,前記1(3)キのとおり,同月11日にバンプレストの担当者は,本件物件1について,表情の修正や下半身を太くすることを求めていたものである。 以上を踏まえると,平成22年 れる。 そして,前記1(3)キのとおり,同月11日にバンプレストの担当者は,本件物件1について,表情の修正や下半身を太くすることを求めていたものである。 以上を踏まえると,平成22年3月12日の時点において,本件物件1は,上記(ア)のフィギュアの原型の製作過程の③の段階に入っていたといえるが,表情の修正や下半身を太くすることが求められていることや,各パーツの製作やさらなる細部の作り込みが必要であったことに照らすと,上記時点における本件物件1(一つの武器を持つ原型本体)の完成度は7割と認めるのが相当である。 なお,原告は,形状の異なる武器の先の製作も請け負っていたが,上記時点において,この武器の先が製作されていたことを認めるに足りる証拠はない。 (ウ) 本件物件1の発注元であるバンプレストの担当者であった証人Cは,同月11日の時点での本件物件1の完成度が5割にも満たない旨証言するが,同人の証言は前記1(3)で認定した同人のコメントと整合せず,同日の時点で1週間後に版権元の監修が実施されることになっていたことにも符合しないから,上記証言は採用することができない。 ウ本件物件1の出来高に係る請負代金について(ア) 原告と被告との間で,本件請負契約1について請負代金の額が合意されていたことを認めるに足りる証拠はない。 (イ) 前記1(7)のとおり,被告が最終的にバンプレストに納入した本件物件1に関し,原型本体につき60万円,二つの武器につき20万円(一つ の武器につき10万円)が支払われていた。また,上記1(1)ウのとおり,被告に所属する原型師は,玩具メーカーから被告に支払われる代金の8割の金額を被告から支払われている。そして,上記イのとおり,平成22年3月12日の時点で,原型本体と 。また,上記1(1)ウのとおり,被告に所属する原型師は,玩具メーカーから被告に支払われる代金の8割の金額を被告から支払われている。そして,上記イのとおり,平成22年3月12日の時点で,原型本体と一つの武器から成る本件物件1の完成度は,7割であったと認められる。 以上の事情を総合すれば,原告が製作した本件物件1の平成22年3月12日の時点における出来高に係る請負代金の額は,39万2000円((60万+10万)×0.8×0.7)と認めるのが相当である。 エよって,原告は,本件請負契約1に基づき,被告に対し,本件物件1の出来高に係る請負代金として,39万2000円を請求することができる。 (2) 本件請負契約2についてア平成22年3月12日の時点における本件物件2の完成度について(ア) 前記(1)アのとおり,本件請負契約2は,平成22年3月12日に解除されているため,この時点における本件物件2の完成度について検討する。 (イ) 証拠(甲24,29,乙5の2,11)によれば,本件物件2は,平成22年3月12日の時点において,服,髪の毛,メガホンなどの各パーツが取り付けられた状態まで製作が進んでおり,全体の印象としてはセガの企画書(甲7の1・2)や画像資料(甲8の1)に沿った,キャラクターの特徴を捉えたものとなっていたこと,もっとも,それぞれのパーツはいまだ細部まで作り込んだものとはなっておらず,頭部のリボン,腕章などいまだ製作がされていないものもあったことが認められる。また,この時点において,本件物件2の発注に含まれていた交換用腕パーツが製作されていたことを認めるに足りる証拠はない。以上を踏まえると,平成22年3月12日の時点において,本件物件2は,上記(1)イ(ア)のフィギュアの原型の製作過程の③ に含まれていた交換用腕パーツが製作されていたことを認めるに足りる証拠はない。以上を踏まえると,平成22年3月12日の時点において,本件物件2は,上記(1)イ(ア)のフィギュアの原型の製作過程の③の段階に入っていたといえるが,各パーツの製作 やさらなる作り込みが必要であったこと,交換用腕パーツが製作されていなかったことをも併せ考慮すると,上記時点における本件物件2の完成度は7割と認めるのが相当である。 イ本件物件2の出来高に係る請負代金について原告と被告との間で,本件物件2の請負代金について明確な合意がされたことを認めるに足りる証拠はないものの,前記1(2)エのとおり,被告は,セガから提示された本件物件2の製作代金が52万円であることを原告に口頭で伝えている。また,前記1(1)ウのとおり,被告に所属する原型師は,玩具メーカーから被告に支払われる代金の8割の金額を被告から支払われている。そして,上記アのとおり,平成22年3月12日の時点での本件物件2の完成度(原型本体と交換用腕パーツを併せた全体の完成度)は,7割であると認められる。 以上の事情を総合すれば,原告が製作した本件物件2の平成22年3月12日の時点における出来高に係る請負代金の額は,29万1200円(52万×0.8×0.7)と認めるのが相当である。 ウよって,原告は,本件請負契約2に基づき,被告に対し,本件物件2の出来高に係る請負代金として,29万1200円を請求することができる。 (3) 本件各請負契約に基づく本件各物件の出来高に係る請負代金請求権のまとめ以上によれば,原告は,被告に対し,本件各請負契約の出来高に係る請負代金として合計68万3200円及びこれに対する平成22年3月13日(本件各請負契約が解除され,原告が被告に対し本 まとめ以上によれば,原告は,被告に対し,本件各請負契約の出来高に係る請負代金として合計68万3200円及びこれに対する平成22年3月13日(本件各請負契約が解除され,原告が被告に対し本件各物件を引き渡した日の翌日)から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金を請求することができる。 3 争点2(原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の有無)について (1) 原告は,①被告が本件各請負契約を平成22年3月12日に解除した際に原告に本件各物件の引渡しを求めたことが,詐欺の不法行為に当たり,②被告が,原告が製作した本件各物件を廃棄したことが不法行為に当たると主張する。 しかしながら,前記1(5)で認定したとおり,原告は,被告から本件各物件の製作をやめるよう告げられて本件各請負契約を解除された際,本件各物件の製作に係る工賃の支払を被告に求め,支払を拒絶されたものの被告の求めに応じて製作途中の本件各物件を被告に引き渡していることに加え,原告が本件訴訟において被告に対し本件各物件の出来高に係る請負代金の請求をしているのであり,このような事実関係の下では,本件各物件の所有権は,上記引渡しの時点において,被告に移転したものと解するのが相当である。そうである以上,被告が本件各物件の引渡しを受けたことや,引渡しを受けた本件各物件を廃棄したことは何ら違法ではなく,原告に対する不法行為が成立する余地はないというべきである。 したがって,原告が主張する上記不法行為に係る損害賠償請求は理由がない。 (2) 被告による原告の名誉,信用毀損に基づく慰謝料請求権についてア被告が,①平成22年3月中旬ころ,バンプレストの担当者に対し,原告が一方的に本件物件1の製作業務を放棄したと告げたこと,また,②平成22年 告の名誉,信用毀損に基づく慰謝料請求権についてア被告が,①平成22年3月中旬ころ,バンプレストの担当者に対し,原告が一方的に本件物件1の製作業務を放棄したと告げたこと,また,②平成22年3月中旬ころ,セガの担当者に対し,原告が一方的に本件物件2の製作業務を放棄したと告げたことは,当事者間に争いがない。 しかしながら,前記1(5)及び2(1)アのとおり,本件各請負契約は,被告の解除権の行使によって終了したものであり,原告は被告に対し,本件各物件の製作を終えたら被告の仕事を辞めたいと述べていたにとどまるのであって,原告が本件各物件の製作業務を一方的に放棄したということはできない。 したがって,被告が上記①,②の各事実をバンプレストの担当者やセガの担当者に告げたことは,原告の社会的評価を低下させ,原告の名誉,信用を毀損するものであるということができる。 そして,上記名誉,信用毀損行為の態様等に照らすと,これらの名誉,信用毀損行為によって原告が被った精神的損害に対する慰謝料額は,10万円とするのが相当である。 よって,原告は,被告に対し,上記名誉,信用毀損行為の慰謝料として10万円を請求することができる。 イ被告は,被告によるバンプレストやセガへの説明は正当な業務行為であり,違法性がないと主張するが,上記アのとおり被告は事実と異なった内容を各社に伝えているため,その説明が正当な業務行為に当たるとはいえない。 ウ原告は,被告が平成22年4月上旬ころ,雑誌「ホビー・ジャパン」の編集部に対し,原告が一方的に本件各物件の製作業務を放棄して逃げていったと伝えたとも主張するが,この事実を認めるに足りる証拠はないから,この点についての原告の慰謝料請求は理由がない。 (3) 弁護士費用について 本件各物件の製作業務を放棄して逃げていったと伝えたとも主張するが,この事実を認めるに足りる証拠はないから,この点についての原告の慰謝料請求は理由がない。 (3) 弁護士費用について原告は,弁護士を選任して本件訴訟を追行しており,本件事案の内容,認容額,訴訟の経過等を考慮すると,上記(2)の名誉,信用毀損行為と相当因果関係のある弁護士費用の額は,1万円が相当と認められる。 (4) 原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権のまとめ以上によれば,原告は,被告に対し,名誉,信用毀損行為に基づく損害賠償として,11万円及びこれに対する不法行為の後の日である平成22年12月24日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を請求することができる。 第4 結論よって,原告の請求は,主文第1項の限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないから棄却し,被告の仮執行免脱宣言の申立てについては,その必要がないものと認めこれを却下することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判官志賀勝 裁判官小川卓逸 裁判長裁判官阿部正幸は,転補につき,署名押印することができない。 裁判官志賀勝 物件目録 1 「一番くじ魔法少女リリカルなのは TheMOVIE」の「フェイト・テスタロッサ」のフィギュアの原型 2 「涼宮ハルヒの憂 勝 物件目録 1 「一番くじ魔法少女リリカルなのはTheMOVIE」の「フェイト・テスタロッサ」のフィギュアの原型 2 「涼宮ハルヒの憂鬱EXフィギュア溜息Ⅱ」の「涼宮ハルヒ」のフィギュアの原型
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