○ 主文原判決を取消す。被控訴人らの訴を却下する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。○ 事実控訴人は、本案前の申立として「原判決を取消す。被控訴人らの訴を却下する。訴訟費用は第一・二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決、本案につき「原判決を取消す。被控訴人らの請求を棄却する。訴訟費用は第一・二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決を求め、亡Aの訴訟承継人たる被控訴人六名を除くその余の被控訴人らは、控訴棄却の判決を求めた。当事者双方の事実上の陳述及び証拠関係は、控訴人において「一審原告たるAは昭和四八年六月二二日死亡し、その妻たる被控訴人B、その子たる被控訴人C、同D、同E、同F、同Gが、相続に因り右Aの法律上の地位を承継した。」と述べ、乙第一三号証を提出し、亡Aの訴訟承継人たる被控訴人六名を除くその余の被控訴人らにおいて「被控訴人H、同I、同J、同K、同L、同M、同N、同Oが、本件地域に居住していないことは認める。」と述べ、乙第一三号証の成立を認めたほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。○ 理由一控訴人提出に係る受継申立書添附の戸籍の謄本によれば、一審原告Aが昭和四八年六月二二日死亡し被控訴人B、同C、同D、同E、同F、同Gが相続により右Aの法津上の地位を承継したことが認められる。二被控訴人らの本件訴えは次のように、その訴訟要件を欠く不適法な訴えであるからこれが却下を免がれない。(1) 都市計画法八条一項の規定による用途地域の指定は取消訴訟の対象となる行政処分ではない。一般に行政処分に対する抗告訴訟において対象となり得る処分は、これにより直ちに私人に対し特定且つ具体的権利の侵害ないし制約を生ぜしめるものでなければならないところ、都市計画としてなす用途地域の決定は特定の個人に対して する抗告訴訟において対象となり得る処分は、これにより直ちに私人に対し特定且つ具体的権利の侵害ないし制約を生ぜしめるものでなければならないところ、都市計画としてなす用途地域の決定は特定の個人に対してなされる処分ではなく、ある一定の範囲内の地域をある種の用途地域に定めるに過ぎないものであり、なる程都道府県知事が都市計画として用途地域を定める決定をし、その旨を告示すれば、その都市計画はその公示の日から効力を生じ(都市計画法二〇条)都市計画法以外の他の法律の規定すなわち建築基準法四八条、五二条、五三条等の規定と相俟つとはいえこれにより特定の種類の建築物の建築が禁止され、容積率、建ペイ率等につき建築制限を受けるに至るのであるから、その地域内に存在する土地建物に関して権利を有する者は、建築物の新築増築等について法律上の制限を課せられることになるには相違ないけれども、かゝる制限はこれにより直接その地域内の土地建物の所有者等に具体的な権利変動を及ぼすものとは解し得ない。 建築基準法四八条、五二条、五三条等の規定と相俟つとはいえこれにより特定の種類の建築物の建築が禁止され、容積率、建ペイ率等につき建築制限を受けるに至るのであるから、その地域内に存在する土地建物に関して権利を有する者は、建築物の新築増築等について法律上の制限を課せられることになるには相違ないけれども、かゝる制限はこれにより直接その地域内の土地建物の所有者等に具体的な権利変動を及ぼすものとは解し得ない。なぜならば用途地域の決定は直接特定の個人に向けられた具体的な処分ではなくまた施行区域内の土地建物の所有者等の有する権利に直ちに具体的な変動を及ぼすものではないからである。これ等の者の権利救済としてはこれ等の者が所轄行政庁に対しその地域内で具体的に建物の建築または増築の申請をした場合においてそれが拒否処分を受けたときにはじめて具体的な権利の侵害ありとしてその拒否処分の効力を争うことができるものとすれば足り用途地域決定の段階では未だ訴訟事件としてとりあげるに足りるだけの事件の成熟性を欠くものとしなければならない。また、本件指定処分によつて本件地域が住居地域から準工業地域に指定替えとなり、その結果建築物の新築、増築の制限が緩和されることとなるとしても、これが緩和は都市計画法に基づいて当然に ければならない。また、本件指定処分によつて本件地域が住居地域から準工業地域に指定替えとなり、その結果建築物の新築、増築の制限が緩和されることとなるとしても、これが緩和は都市計画法に基づいて当然に生ずるものではないことは前示説示のとおりであつて、これが緩和ないしはこれに基づく権利侵害は同法以外の法律に基づくもので、本件指定処分がなされたからといつて、このことから直ちに具体的に権利侵害の生ずる余地はなく、したがつて本件指定処分のなされた段階においてこれまたいまだ訴訟事件としてとりあげるに足るだけの事件の成熟性を欠くものといわざるをえない。よつて、都市計画法八条一項による本件用途地域決定の一環としてなされた本件準工業地域指定処分については抗告訴訟の対象とはならないものというべきである。(2) 被控訴人らの本件訴えはその訴えの利益がない。本件地域が従前住居地域に指定されていたことは当事者間に争いがないところ、被控訴人らは本件準工業地域の指定は違法であり本件地域は依然住居地域として指定されるべき地域であると主張するものであるが、建築基準法四八条、五二条ないし五六条の規定によれば、準工業地域における制限と住居地域における制限とを比較すれば、建築物の用途制限、容積率、建ぺい率、前面道路斜線制限、隣地斜線制限のいずれの点においても、その制限は、同等かもしくは住居地域の制限の方が厳しいのであるから、被控訴人らが、本件において、本件指定により私権が制限されること自体について抗争をするものではなく、むしろ逆に規制がゆるやかになる結果住宅環境が破壊される点に訴の利益のあることを主張していることは明らかである。 住居地域における制限とを比較すれば、建築物の用途制限、容積率、建ぺい率、前面道路斜線制限、隣地斜線制限のいずれの点においても、その制限は、同等かもしくは住居地域の制限の方が厳しいのであるから、被控訴人らが、本件において、本件指定により私権が制限されること自体について抗争をするものではなく、むしろ逆に規制がゆるやかになる結果住宅環境が破壊される点に訴の利益のあることを主張していることは明らかである。そこで、そのような訴の利益が認められるかどうかについて検討すると、先ず昨今論ぜられることの多い「環境権」であるが、憲法二五条、一三条を根拠にかかる権 益のあることを主張していることは明らかである。そこで、そのような訴の利益が認められるかどうかについて検討すると、先ず昨今論ぜられることの多い「環境権」であるが、憲法二五条、一三条を根拠にかかる権利を直接構成することは無理であり、他に環境権なるものを認めるべき実定法上の根拠はなく、その内容の漠然どしていること、それを享有し得べき者の範囲の限定し難いこと等に照らし、我が実定法上「環境権」なるものをそれが法的権利性を有するものとして承認することは困難である。そこで結局問題は、本件地域の用途が従前住居地域と指定されていたことにより地域内もしくは附近の住民が環境的利益を享受していたとしても、それが法的に保障されていたものと言えるかどうかという点に帰着するが、そもそも都市計画は、将来の都市のあり方の理想像に基づいて、都市の骨格を形成するところの都市施設の配置、都市内の各部分の土地の利用のあり方等について定めるいわゆる総合的な街づくりの計画であつて、その総体は高度に合目的的な行政的技術的裁量によつて成り行つものであり、その計画実現の一環である用途地域の指定は、合理的な土地利用のために地域内の建築等の制限をするものであつて、それによつてとくに特定人に特定の権利を与え、あるいは特別に一定の義務を免除するというものではなく、むしろ適切な用途地域の指定の結果それによつて一定の住民が利益を感じることがあるとしても、それは地域内の土地の利用につき私権の行使を一定の範囲に制限したことの結果であつて、いわばその犠牲のうえに成り立つた反射的利益を享受するにすぎないと言わなければならない。したがつて、前述の行政主体の裁量により用途地域が新たに指定されたりまたは指定替され、それが本件のように地域内の土地利用に関する従来の制限を緩和するものである場合、必然的に当該土地 によつて一定の住民が利益を感じることがあるとしても、それは地域内の土地の利用につき私権の行使を一定の範囲に制限したことの結果であつて、いわばその犠牲のうえに成り立つた反射的利益を享受するにすぎないと言わなければならない。したがつて、前述の行政主体の裁量により用途地域が新たに指定されたりまたは指定替され、それが本件のように地域内の土地利用に関する従来の制限を緩和するものである場合、必然的に当該土地 ければならない。したがつて、前述の行政主体の裁量により用途地域が新たに指定されたりまたは指定替され、それが本件のように地域内の土地利用に関する従来の制限を緩和するものである場合、必然的に当該土地利用に関する私法的活動分野が広まることとなりそのことを歓迎する者もある一方、反面それについで不快を感ずる者も居るわけであつて、その新たな私法的活動により或住民がその受忍限度を超えてその所得権・人格権等実定法上の権利を侵害されるに至れば、そこで初めて司法的救済を求めれば足りることであると言うことができる。したがつて、本件指定処分によつて具体的に被控訴人らにつき権利侵害がいまだ発生していないのであるから、このような段階で本件指定処分の取消しを求めることはその訴えの利益を欠くものというべきである。三右によると、被控訴人らの本件訴えはその訴訟要件を欠く不適法な訴えであるというべきところ、この点につき訴訟要件を充足するものとして被控訴人らの本訴請求原因につき実体的審理をすすめ被控訴人らの本訴請求を認容した原判決は、不当であるからこれが取消しを免がれず、本件控訴は理由がある。よつて、民事訴訟法三八六条の規定に基づき原判決を取り消し、被控訴人らの本件訴えを却下し、訴訟費用の負担につき同法三七八条九六条八九条の規定を適用して主文のとおり判決する。(裁判官菅野啓蔵舘忠彦安井章)(原裁判等の表示)○ 主文被告が昭和四八年一月五日、栃木県告示第一八号をもつて、小山・栃木都市計画区域のうち、別紙表示の地域を準工業地域と指定した行政処分を取消す。訴訟費用は被告の負担とする。○ 事実第一請求の趣旨主文同旨の判決をもとめる。第二請求原因原告らは、栃木市<地名略>地内の別紙表示の地域(以下本件地域という)に居住している。本件地域は、以前はその 被告の負担とする。○ 事実第一請求の趣旨主文同旨の判決をもとめる。第二請求原因原告らは、栃木市<地名略>地内の別紙表示の地域(以下本件地域という)に居住している。 域を準工業地域と指定した行政処分を取消す。訴訟費用は被告の負担とする。○ 事実第一請求の趣旨主文同旨の判決をもとめる。第二請求原因原告らは、栃木市<地名略>地内の別紙表示の地域(以下本件地域という)に居住している。本件地域は、以前はその 被告の負担とする。○ 事実第一請求の趣旨主文同旨の判決をもとめる。第二請求原因原告らは、栃木市<地名略>地内の別紙表示の地域(以下本件地域という)に居住している。本件地域は、以前はその大部分が田畑であつたが、この数年間に続々と住宅が建てられ、急速に宅地化し、現在約一〇〇世帯、約五〇〇人の住民が住み、右地域内の建物のほとんどすべてが居住用建物であつて、工場は一棟もない。なお、本件地域は、旧都市計画法にもとづき、昭和四一年三月三一日、建設省告示第九五三号をもつて、住居地域に指定されていた。ところが、被告は、昭和四八年一月五日、栃木県告示第一八号をもつて、本件地域を準工業地域に指定した(以下本件指定という)。しかし、本件地域は、右にのべたとおりもつぱら住宅地として発展してきたもので、現状は完全な住居地域であり、しかも、原告らを含む住民の大部分が従前どおり住居地域として指定されることを強く希望していたにかかわらず、被告は本件準工業地域の指定を強行した。すなわち、それは、本件地域の発展の経緯、現状、および住民の意思を無視した恣意的な行政処分であり、被告の行政上の裁量権の逸脱もしくはその乱用にほかならないから、違法である。なお、当初発表された被告の構想図では、本件地域は住居地域とされていたのにかかわらず、その後突然準工業地域に変更されてしまつた経緯に照らしても、本件指定が恣意的になされたことをうかがうに十分である。準工業地域は、都市計画上の八種類の用途地域のうち、建物の用途制限がもつともゆるやかであつて、住居地域では禁止されている工場や娯楽施設の立地が可能とされている。本件地域は、前述のとおり、従来庄居地域に指定されていて、住居にふさわしい環境を保全するため法的保護を与えられ、これにより原告らは良好な住環境を享受し、またその永続を 施設の立地が可能とされている。本件地域は、前述のとおり、従来庄居地域に指定されていて、住居にふさわしい環境を保全するため法的保護を与えられ、これにより原告らは良好な住環境を享受し、またその永続を期待してきた。ところが、右にのべた違法な本件準工業地域の指定により右の期待は裏切られ、工場公害、いかがわしい娯楽施設などの出現による環境破壊の危険に直面することになつた。 好な住環境を享受し、またその永続を 施設の立地が可能とされている。本件地域は、前述のとおり、従来庄居地域に指定されていて、住居にふさわしい環境を保全するため法的保護を与えられ、これにより原告らは良好な住環境を享受し、またその永続を期待してきた。ところが、右にのべた違法な本件準工業地域の指定により右の期待は裏切られ、工場公害、いかがわしい娯楽施設などの出現による環境破壊の危険に直面することになつた。その危険の具体的内容は、別紙昭和四九年一一月二一日付原告ら準備書面記載のとおりである。原告らは、違法な本件指定に対し、住民として、環境の保全をもとめる法律上の利益を有する。原告らは、これにもとづいて本件指定処分の取消をもとめる。第三請求の、趣旨に対する被告の答弁第一次的に、本件訴を却下する。訴訟費用は原告らの負担とする。との判決をもとめ、これがいれられない場合には、原告らの請求を棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする。との判決をもとめる。第四被告の本案前の主張(1) 本件指定は、都市計画法の委任にもとづいて栃木県知事がした一般処分である。すなわち、それは、一般国民を規制の対象としたものであつて、とくに原告らの個々の権利、または法律上の利益を直接規制し、これに影響を及ぼすものではない。かりに、本件指定の結果、原告らの権利または法律上の利益が、なんらかの意味で侵害されるような事態が起るとするならば、そのような侵害が現実に具体的に発生した時点においてはじめて原告らはこれに対する司法的救済をもとめることができる(それが司法的救済の限界である)。そうでないかぎり、本件指定の取消をもとめる訴は、争訟の成熟性ないし具体的事件性を欠くものであつて、行政事件訴訟法の定める抗告訴訟の対象とならない。(2) 原告らの主張自体において明らかなとおり、原告らの主張する住環境の破壊は、 をもとめる訴は、争訟の成熟性ないし具体的事件性を欠くものであつて、行政事件訴訟法の定める抗告訴訟の対象とならない。(2) 原告らの主張自体において明らかなとおり、原告らの主張する住環境の破壊は、現実に起つているものではなく、将来起るかも知れないという可能性を意味するにすぎないから原告らは訴の利益を有しない。また、もし本件指定が取消されたならば、本件地域は無指定の地域となり、建ぺい率(建築物の建築面積の敷地面積に対する割合)は、一〇分の六までと定められていたものが一〇分の七までとなり、容積率(建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合)は、一〇分の二〇までと定められていたものが一〇分の四〇までとなり、この範囲内の建物は自由に建てられることになる。 う可能性を意味するにすぎないから原告らは訴の利益を有しない。また、もし本件指定が取消されたならば、本件地域は無指定の地域となり、建ぺい率(建築物の建築面積の敷地面積に対する割合)は、一〇分の六までと定められていたものが一〇分の七までとなり、容積率(建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合)は、一〇分の二〇までと定められていたものが一〇分の四〇までとなり、この範囲内の建物は自由に建てられることになる。さらに、建築物の種類(用途)については、まつたく制限がなくなつてしまう。このことは、土地利用に関する都市計画を定めることによつて、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るという都市計画法の趣旨にまつたく反することであつて、とうてい容認できるものではない。また、原告らにとつても、本件用途地域指定の取消により本件地域が無指定地域となるならば、現在よりも不利な状態となることは明らかである。すなわち、本件用途地域指定の取消は原告らになんの利益ももたらすものでないのであるから、この意味においても原告らは訴の利益を有しない。したがつて、行政事件訴訟法第九条により、原告らには当事者適格がない。右(1)(2)の理由により、本件訴は不適法として却下されるべきものである。第五被告の本案前の主張に対する原告らの反論日光、空気、水、静けさ、その他人間をとりまく生活環境を良好な状態に保つことは、健康にして文化的な生活を営むための不可欠な条件であり、人が、従来享受してきた良好な生活環境を、その受忍義務の限度を超えて破壊されな 水、静けさ、その他人間をとりまく生活環境を良好な状態に保つことは、健康にして文化的な生活を営むための不可欠な条件であり、人が、従来享受してきた良好な生活環境を、その受忍義務の限度を超えて破壊されないことについて有する利益は、まさしく法的保護に値する利益というべきである。これを本件について言えば、本件地域は、改正前の都市計画法にもとづき住居地域に指定されていて、原告らはこれによる法的保護のもとに良好な住環境を享受してきたところ、本件用途地域指定により準工業地域に指定されたため、右の良好な住環境が工場の進出やいかがわしい娯楽施設の出現により破壊されてしまうさし迫つた現実の危険に直面することになつた(その危険の具体的内容は別紙昭和四九年一一月二一日付原告ら準備書面記載のとおり)。原告らは、この生活環境破壊の危険を排除するため、本件指定の取消をもとめているのであるから、訴の利益を有する。 もとに良好な住環境を享受してきたところ、本件用途地域指定により準工業地域に指定されたため、右の良好な住環境が工場の進出やいかがわしい娯楽施設の出現により破壊されてしまうさし迫つた現実の危険に直面することになつた(その危険の具体的内容は別紙昭和四九年一一月二一日付原告ら準備書面記載のとおり)。原告らは、この生活環境破壊の危険を排除するため、本件指定の取消をもとめているのであるから、訴の利益を有する。つぎに、被告は、本件準工業地域の指定が判決により取消されれば、本件地域は無指定の地域となり、原告らにとつて、かえつて不利益な状態になる、と主張する。しかし、その場合には、被告は、行政庁の責任において、判決の趣旨に従つて用途地域の指定をしなおすべきものであるから、無指定地域の不利益を原告らがこうむることはない。第六請求原因(本案)に対する被告の答弁本件地域の大部分がもともと田畑であつたところ、この数年間に続々と住宅が建てられ、急速に宅地化し、現在約一〇〇世帯、約五〇〇人の住民がそこに居住すること、昭和四一年三月三一日、本件地域が住居地域に指定されたこと、被告が、新都市計画法にもとづき、昭和四八年一月五日、栃木県告示第一八号により本件地域を準工業地域に指定したこと、および被告の当初の構想図では、本件地域が住居地域とされていたことは認めるが、その他の主張事実 都市計画法にもとづき、昭和四八年一月五日、栃木県告示第一八号により本件地域を準工業地域に指定したこと、および被告の当初の構想図では、本件地域が住居地域とされていたことは認めるが、その他の主張事実は争う。なお、原告らのうち、原告H、同I、同J、同K、同L、同M、同N、同Oの八名は、本件地域の住民ではない。本件準工業地域の指定は、都市計画法にもとづき、手続的にも実体的にも、適法かつ適正になされたものであつて、そこには、原告らの主張する裁量権の逸脱、乱用というような事実は存在しない。その具体的事情は、別紙昭和四九年九月四日付および昭和五〇年一月二二日付被告準備書面記載のとおりである。○ 理由第一本案前の被告の主張について(一) 一般処分の争訟性本件準工業地域指定処分が、都市計画法の委任にもとづき、栃木県知事がした一般処分であることは、被告の主張するとおりである。しかし、一般処分とは言つても、それは、広く一般国民を規制の対象とするものではなく、一定の地域をかぎつて、その地域内の土地利用権を一定の目的のために規制するものにほかならない。 一月二二日付被告準備書面記載のとおりである。○ 理由第一本案前の被告の主張について(一) 一般処分の争訟性本件準工業地域指定処分が、都市計画法の委任にもとづき、栃木県知事がした一般処分であることは、被告の主張するとおりである。しかし、一般処分とは言つても、それは、広く一般国民を規制の対象とするものではなく、一定の地域をかぎつて、その地域内の土地利用権を一定の目的のために規制するものにほかならない。しかも、都市計画法にもとづく用途地域の指定処分は、その地域内の土地利用権(所有権・賃借権等)の行使に直接各種の制限を課するだけでなく、その住民にとつては、都市形態の政策的変更にともない、住環境の悪化による生存権(憲法第二五条)の侵害が生ずる場合もありうることは明らがである。したがつて、単に一般処分であるという理由で、これを抗告訴訟の対象からはずすことは、憲法第三二条(裁判を受ける権利)および同第七六条第二項(特別裁判所の禁止)の規定を受け、行政訴訟事項について列記主義を取つていた旧制度を改めて概括主義を採用し、国民に対し広く行政行為に対する司法審査の機会を保障した現行行政事件訴訟法の趣旨にもとることに 特別裁判所の禁止)の規定を受け、行政訴訟事項について列記主義を取つていた旧制度を改めて概括主義を採用し、国民に対し広く行政行為に対する司法審査の機会を保障した現行行政事件訴訟法の趣旨にもとることになる。さらに、被告は、本件指定の結果、生活環境に対する侵害が、現実に、かつ具体的に発生したときはじめて、その侵害の排除を訴求することが許されるのであり、それが司法的救済の限界であると主張する。しかし、もしそうだとすれば、そのような訴の前提問題として本件指定処分の無効(すなわちその重大かつ明白な違法性)の主張がなされねばならないことになるから、そのような訴の成り立つ余地は事実上ほとんど無きにひとしいであろう。そうすると、都市計画法にもとづく用途地域の指定を受けた地域の住民は、かりにその指定の結果どのような権利または法律上の利益の侵害が生じた場合でも、これに対する司法的救済の道は事実上閉ざされ、泣き寝入りを強いられる結果となるであろう。そのような解釈は、憲法第三二条の趣旨に照らしとうてい容認できるものではない。右のいずれの観点から見ても、本件指定処分は、一般処分ではあつても、抗告訴訟の対象となるものと解すべきである。 市計画法にもとづく用途地域の指定を受けた地域の住民は、かりにその指定の結果どのような権利または法律上の利益の侵害が生じた場合でも、これに対する司法的救済の道は事実上閉ざされ、泣き寝入りを強いられる結果となるであろう。そのような解釈は、憲法第三二条の趣旨に照らしとうてい容認できるものではない。右のいずれの観点から見ても、本件指定処分は、一般処分ではあつても、抗告訴訟の対象となるものと解すべきである。(二) 訴の利益都市住民と農山村住民の生活環境がことなることは、あまりにも明白なことである。都市住民は、農山村にない各種の都市の利便を享受するかわりに、ある程度の環境上の不利益(たとえば、騒音、日光の障害、大気汚染)は忍ばなければならない。それが、都市の利便の代償として都市住民に課される受忍義務である。このことを自覚しない、いたずらな住民エゴ主張は、都市生活そのものを不可能ならしめるものであつて、許容できないのであるが、その限度は、その都市の大小、地理的・歴史的・社会経済的環境、さらには都市全体のわくの中におけるその地域の位置づ エゴ主張は、都市生活そのものを不可能ならしめるものであつて、許容できないのであるが、その限度は、その都市の大小、地理的・歴史的・社会経済的環境、さらには都市全体のわくの中におけるその地域の位置づけなどの諸要素を総合し、健全な良識により判断される必要最小限度とすべきものであり、その限度を超える環境破壊に対しては、住民はその防止を、行政当局に要求する権利を有する。そして、原告らの主張によれば、本件地域はもともと田畑であつたところ、その良好な住環境が喜ばれ、急速に宅地化し、昭和四一年三月三一日から本件指定にいたるまでは、都市計画法による住居地域に指定されており、したがつて、住民の大多数は、その住環境が行政的に保全されることを期待し、そこに永住する目的で、土地と住居をもとめ、住みついた人々である。そして、一般、普通の人にとつて、土地と住居をもとめることがおそらく一生に一度の大事業である現状にかんがみると、このような期待利益は、最大限に尊重されなければならない。したがつて、このような沿革を有する地域を、住居地域以外の用途地域に指定替すれば、右にのべた住民の期待を大きく裏切る結果となりかねないのであるから、それをあえてするためには、その指定替が、はたして都市計画の全体像から見て必要欠くべからざるものであるかどうか、およびそれにより住民の環境上の利益を不当に侵害するおそれがないかどうかについて慎重に配慮すると同時に、それが都市計画行政上必要不可欠と判断される場合には、その理由について、住民の理解を得るため、最善の努力がなされねばならない。 にのべた住民の期待を大きく裏切る結果となりかねないのであるから、それをあえてするためには、その指定替が、はたして都市計画の全体像から見て必要欠くべからざるものであるかどうか、およびそれにより住民の環境上の利益を不当に侵害するおそれがないかどうかについて慎重に配慮すると同時に、それが都市計画行政上必要不可欠と判断される場合には、その理由について、住民の理解を得るため、最善の努力がなされねばならない。その配慮および努力を欠いた指定替は、裁量権の乱用であり、住民は、憲法第二五条の保障する生存権にもとづき、それによつて起るおそれのある環境破壊を予防または排除するため、そのような用途地域指定処分の取消をもとめる 努力を欠いた指定替は、裁量権の乱用であり、住民は、憲法第二五条の保障する生存権にもとづき、それによつて起るおそれのある環境破壊を予防または排除するため、そのような用途地域指定処分の取消をもとめる法律上の利益を有する。つぎに被告は、もしも本件用途地域指定処分が判決により取消されるならば、本件地域は無指定地域となり、住民は、準工業地域の指定を受けている現在よりもむしろ住環境上の不利益を受けるおそれがあるから、訴の利益がない、と主張する。しかし、本件指定処分が取消されるならば、被告は、再度の考慮により、指定をしなおすべきであり、それが、地方公共団体の執行機関としての被告の責任である(地方自治法第二条第一三項、第一三八条の二)。本件指定処分が取消されれば、本件地域が無指定地域となり、かえつて住民が不利益を受けるおそれがあるという被告の主張は、みずからの行政上の責任を忘れた議論であつて、とうてい採用することができない。以上(一)(二)の理由により、被告の本案前の主張はいずれも失当であつて、採用できない。第二本案に対する判断(一) 本件地域の住宅地としての適性本件地域が、もと栃木市郊外の田畑であつたところ、約一〇年ぐらい前から急速に宅地化し、昭和四一年三月三一日から昭和四八年一月五日の本件準工業地域の指定にいたるまでの間は、住居地域の指定を受けていたこと、および現在本件地域内には、約一〇〇世帯、五〇〇人ぐらいの住民が居住していることは、当事者間に争いない事実である。そして、証人Pの証言、現場検証の結果、ならびに原告Q、同R各本人尋問の結果を総合すると、本件地域は都会の住宅地としては、まことに快適な環境にあり(検証調書添付写真1ないし39参照)住民の大部分が、その良好な住環境の維持されることを期待し、そこに永住するつもりで、土地と住居を ていたこと、および現在本件地域内には、約一〇〇世帯、五〇〇人ぐらいの住民が居住していることは、当事者間に争いない事実である。そして、証人Pの証言、現場検証の結果、ならびに原告Q、同R各本人尋問の結果を総合すると、本件地域は都会の住宅地としては、まことに快適な環境にあり(検証調書添付写真1ないし39参照)住民の大部分が、その良好な住環境の維持されることを期待し、そこに永住するつもりで、土地と住居を 合すると、本件地域は都会の住宅地としては、まことに快適な環境にあり(検証調書添付写真1ないし39参照)住民の大部分が、その良好な住環境の維持されることを期待し、そこに永住するつもりで、土地と住居をもとめ、住みついた人々であることが認められる。なお、本件地域内には、工業を営む者も数軒あるが、それらはいずれも主として家族労働に依存する零細家内工業(検証調書添付写真12・16・17・18・30・32・38・39参照)であり、すこしも、本件地域の住宅地としての適性をそこなうものではない。地域内のバイパス沿いにあるガソリンスタンド(同写真37)倉庫(同写真11・36)中古車センター(同写真35)などについても同様である。さらに、被告は、昭和四七年本件地域内をバイパスが貫通した結果、その交通による騒音のため、本件地域が住居に適しなくなつたと主張する。しかし、住宅地といつても、都会の中にある以上、ある程度の騒音はつきものであり、その防止のため、建築、その他において種々の工夫がなされているのである。検証の結果によつても、バイパスの交通による騒音が、居住にたえない程度に達しているものとはとうてい認めることができない(同写真1・21・22に示されている交通状況参照)。むしろ、住民は、本件地域内に工場などが建てられることにより、バイパスの交通騒音に工場の騒音が重なり、増幅され、真に居住にたえない程度に達してしまうことをおそれているのである(前記原告ら各本人尋問の結果)。以上のべたとおり、本件地域が、良好な住宅地としての適性を有し、現実にその大部分が住宅地として使用されており、しかも、昭和四一年から本件指定にいたる約七年の間、住居地域の指定を受け、その住環境の維持が法的に保障され、住民の大部分がその継続を期待し、永住する目的でそこに住居をもとめ、住みついた 用されており、しかも、昭和四一年から本件指定にいたる約七年の間、住居地域の指定を受け、その住環境の維持が法的に保障され、住民の大部分がその継続を期待し、永住する目的でそこに住居をもとめ、住みついたものであるという事実は、重視しなければならない。 定にいたる約七年の間、住居地域の指定を受け、その住環境の維持が法的に保障され、住民の大部分がその継続を期待し、永住する目的でそこに住居をもとめ、住みついた 用されており、しかも、昭和四一年から本件指定にいたる約七年の間、住居地域の指定を受け、その住環境の維持が法的に保障され、住民の大部分がその継続を期待し、永住する目的でそこに住居をもとめ、住みついたものであるという事実は、重視しなければならない。(二) 本件地域を準工業地域に指定替する必要性の有無右にのべたような状況にある本件地域を、住民の多数の意思に反し、これまでの住居地域から準工業地域に指定替をするためには、それを根拠づけるに足る強い必要性がなければならない。都市計画上、あまり必要でもないのに、そのような指定替を強行することは、(一)においてのべた、住民の正当な期待利益を無用に剥奪し、これに不必要な犠牲を強いる結果となるからである。それこそ、行政上の裁量権の乱用にほかならない。そして、本件において被告の提出した全証拠によつても、右にのべたような必要性を認めることができない。被告は、本件地域が東北自動車道路のインターチエンジに近いところから、沿道サービスおよび流通業務を促進するために、本件地域を準工業地域に指定する必要があるというが、本件地域のうちバイパスに面するわずか三〇〇メートルぐらいの区間内に、現在までの沿革および住民多数の反対意見を無視してまで、これ以上「沿道サービス・流通業務」を促進する必要がどこにあるのか、まことに理解に苦しむ主張である(同写真1参照)。検証の結果によつても、本件地域中バイパスに面している部分には、すでに建物が立ちならび空地はほとんどなくなつており、相当広い空地が残つているのは、裏手の部分である。このような空地は、沿道サービス流通業務用とするよりも、むしろ住居用に適しているものと考えざるをえない(同写真1・13・14・15参照)。事実、本件地域を準工業地域にしなければならない都市計画上の必然性はまつた は、沿道サービス流通業務用とするよりも、むしろ住居用に適しているものと考えざるをえない(同写真1・13・14・15参照)。事実、本件地域を準工業地域にしなければならない都市計画上の必然性はまつたくないのである。そのことは、なによりも、栃木県当局が綿密な基礎調査にもとづいて作成し(証人Sの証言)、公聴会に先立つて公表した構想図では、本件地域が住居地域とされていたという事実(このことは当事者間に争いがない)そのものによつても証明されている。 むしろ住居用に適しているものと考えざるをえない(同写真1・13・14・15参照)。事実、本件地域を準工業地域にしなければならない都市計画上の必然性はまつたくないのである。そのことは、なによりも、栃木県当局が綿密な基礎調査にもとづいて作成し(証人Sの証言)、公聴会に先立つて公表した構想図では、本件地域が住居地域とされていたという事実(このことは当事者間に争いがない)そのものによつても証明されている。(三) 本件地域の住民の多数の意見弁論の全趣旨により真正に成立したも力と認められる甲第九、一四、一七号証、証人T、同Uの各証言、および前記原告ら各本人尋問の結果を総合すると、本件地域住民の大多数が、本件地域を準工業地域に指定替することについて反対の意見を持つていることが認められ、証人Vの証言中、右認定に反する部分は措信できない。(四) 本件指定の経過そこで、つぎに、右にのべた状況のもとにおいて、本件地域がどのような経過で準工業地域に指定替されたかを見るに、前記証拠にいずれも成立に争いのない乙第一号証の一、二、第四号証の一、二、証人Wおよび同Sの証言を加え、総合すると、その経過は、大略つぎのとおりであつたものと認められる。(1) 昭和四七年六月三日付で栃木市から栃木都市計画の原案が栃木県に提出された。右の原案によれば、本件地域は準工業地帯とされていた。ただし、右原案は公表されなかつた。(2) 同年七月一五日、栃木県当局(都市計画課)は、綿密な基礎調査の結果作成した栃木都市計画の県構想図を同日付栃木市政だよりに掲載して公表した。右構想図によれば、本件地域は従前どおり住居地域とされていた。本件地域の住民は、これを見て、右構想図のとおり、住居地域に指定されるものと思い、安心していた。(3) 同年八 よりに掲載して公表した。右構想図によれば、本件地域は従前どおり住居地域とされていた。本件地域の住民は、これを見て、右構想図のとおり、住居地域に指定されるものと思い、安心していた。(3) 同年八月二五日、右構想図にもとづいて公聴会が開かれ、原告Xは、本件地域在住の公述人として出席し、右構想図に賛成する旨の意見をのべた。(4) 同年一〇月一七日、栃木県の作成した都市計画案(最終案)が都市計画法第一七条第一項により縦覧公告(同日付県公報、および一〇月一五日付栃木市政だよりに掲載)された。右の最終案では、本件地域は準工業地域とされていた。 地域に指定されるものと思い、安心していた。(3) 同年八月二五日、右構想図にもとづいて公聴会が開かれ、原告Xは、本件地域在住の公述人として出席し、右構想図に賛成する旨の意見をのべた。(4) 同年一〇月一七日、栃木県の作成した都市計画案(最終案)が都市計画法第一七条第一項により縦覧公告(同日付県公報、および一〇月一五日付栃木市政だよりに掲載)された。右の最終案では、本件地域は準工業地域とされていた。(5)そこで、住民有志一〇数名が栃木市議会議員Uおよび同Tらとともに栃木市長に本件地域を準工業地域でなく住居地域に指定するよう陳情し、一方、住民から栃木県知事に対し、都市計画法第一七条第二項による意見書を提出した。そして、本件都市計画について知事宛に提出された意見書一二〇通のうち九六通は、本件地域を準工業地域に指定替することに反対し、住居地域の現状のままにしておくことを希望するものであつた。(6) ところで、右陳情に対する栃木市長の答えは、右最終案で本件地域が準工業地域とされたのは、「県がきめたので、私(市長)は知らない。」ということだつたので、右住民有志および市議会議員両名らは栃木県庁に行きS都市計画課長と会見したところ、同課長は、右の指定替は栃木市の要望によつてなされたのであるから変更できない、という返答だつたので、さらに栃木市長に会い、このことをたしかめたところ市長の返答は、前同様、「県がきめたことで、私は知らない。」という一点ばりで、らちが明かなかつた。そこで、市長もいつしよに県庁に行き、S課長ら県当局者と話合おうということになり、県庁に行つたが、県土木部長もS都市計画課長も、出張不在というこ 知らない。」という一点ばりで、らちが明かなかつた。そこで、市長もいつしよに県庁に行き、S課長ら県当局者と話合おうということになり、県庁に行つたが、県土木部長もS都市計画課長も、出張不在ということで面会することができなかつた。その間、この問題は結局うやむやにされたまま昭和四八年一月五日本件都市計画の決定および縦覧告示がおこなわれてしまつた。本件地域を住居地域から準工業地域に指定替をしたのは、最終決定は県がしたとしても、栃木市からの強い要請を受けて、そうしたのである。そのことは、昭和四七年六月、県の構想図の公表に先立つて栃木市から県に提出された前記「原案」においては、本件地域が準工業地域とされていたこと、およびS都市計画課長が、「本件都市計画の公聴会または説明会のため、栃木市に出張した折に栃木市長から、口頭で本件地域を準工業地域に指定するよう要請された。 ら準工業地域に指定替をしたのは、最終決定は県がしたとしても、栃木市からの強い要請を受けて、そうしたのである。そのことは、昭和四七年六月、県の構想図の公表に先立つて栃木市から県に提出された前記「原案」においては、本件地域が準工業地域とされていたこと、およびS都市計画課長が、「本件都市計画の公聴会または説明会のため、栃木市に出張した折に栃木市長から、口頭で本件地域を準工業地域に指定するよう要請された。」と証言していることにより明白である。栃木市からの要請がなければ、本件指定替が行われなかつたことは、まちがいないことである。右(1)ないし(6)の経過を通観すると、本件においては公聴会などの法定の手続は形式的に履践されてはいるものの、これを通して住民の意思およびその既得利益に対する正当な配慮がなされたものとはとうてい認められない。とくに、栃木市長は、みずから県に対し本件指定替を要請しておきながら、住民有志の陳情に対し、「県がきめたことで、私は知らない。」と嘘を言い、自分の責任な回避し、住民の反対運動をごまかしてしまつたのであつて、そこには住民に対する一片の誠意も認めることができない。信義誠実の原則は、私法上の行為についてだけ要求される原則ではない。公権力の行使である行政行為についてはそれがいつそう強く要求される。右にのべたようなやり方は、いちじるしく信義則に反するものであつて、この点 の原則は、私法上の行為についてだけ要求される原則ではない。公権力の行使である行政行為についてはそれがいつそう強く要求される。右にのべたようなやり方は、いちじるしく信義則に反するものであつて、この点から見ても本件指定替は違法である。(五) 結論以上、要するに、本件指定替は、栃木市の都市計画上それほど必要もないのに多数住民の意思と既得利益を配慮することなく、しかも信義則に反するやり方で強行されたものであつて、明らかに裁量権の乱用である。なお、都市計画法によれば、住居地域は主として住居の環境を保護するため定める地域とする。」とされているのに対し、準工業地域は「主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するため定められる地域とする。」とされており、その開発目的がまつたく異なるだけでなく、「環境の悪化をもたらすおそれのない工業」と言つても、工業である以上、その周辺に及ぼす影響は、住宅とくらべものにならない。 の乱用である。なお、都市計画法によれば、住居地域は主として住居の環境を保護するため定める地域とする。」とされているのに対し、準工業地域は「主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するため定められる地域とする。」とされており、その開発目的がまつたく異なるだけでなく、「環境の悪化をもたらすおそれのない工業」と言つても、工業である以上、その周辺に及ぼす影響は、住宅とくらべものにならない。その詳細は、別紙昭和四九年一一月二一日付原告準備書面記載のとおりである。また、被告は、本件準工業地域の指定に特別業務地区の指定を重ねることにより、住環境を保持することを考慮しているというが、それは、手続的にも内容的にも、すこしも具体化していないことであるから、右にのべた本件指定替の違法性を正当化することはできない。以上の理由により、原告らの本訴請求は正当であるから認容し、訴訟費用について民事訴訟法第八九条適用して、主文のとおり判決する。(写真、準備書面省略)
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