昭和49(オ)813 登記抹消請求等

裁判年月日・裁判所
昭和51年9月21日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所 昭和41(ネ)1993
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判決文本文1,757 文字)

主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。理由 上告代理人川村俊雄の上告理由第一点について所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。同第二点について原判決によれば、(一)上告人は、昭和二五年六月一二日ころDから一五万円を利息月五分、弁済期同年八月一二日ころと定めて借り受け、右消費貸借債務を担保するため、Dとの間において、本件(一)(二)土地及び(三)建物につき譲渡担保契約を締結した、(二) 上告人は、右弁済期に支払ができず、その都度利息を支払い、延期手形及び新しい印鑑証明書を交付して数回にわたり弁済期の猶予を受けたが、最後の弁済期である昭和二五年一二月九日ころを過ぎても支払をすることができなかつたため、Dは、昭和二六年一二月五日、かねて上告人から交付を受けていた登記関係書類を用いて右土地建物につき所有権移転登記を経由した、(三) 右土地建物の昭和二五年ころにおける価格は約五〇万円であつたが、上告人は、Dのための所有権移転登記がされる前の昭和二五年九月一日に、E株式会社のため本件(一)土地及び(三)建物等につき極度額五〇万円の根抵当権を設定し、同日付でその旨の根抵当権設定登記を経由していた、というのであり、この事実の認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして是認することができる。ところで、譲渡担保の目的不動産につき先順位の根抵当権が設定された場合にお- 1 -いて、譲渡担保権者がその担保権を実行したことに基づく清算金債務の有無及び数額を確定するにあたつては、特別の事情 ところで、譲渡担保の目的不動産につき先順位の根抵当権が設定された場合にお- 1 -いて、譲渡担保権者がその担保権を実行したことに基づく清算金債務の有無及び数額を確定するにあたつては、特別の事情のない限り、目的不動産の適正な評価額から右根抵当権の極度額を控除したうえ、その残余価額と当該譲渡担保の被担保債権額とを比較すべきものであり、その結果被担保債権額が残余価額と同等であるか、これを上まわる場合には、清算金支払義務を生ずる余地はないのであるから、被担保債権の弁済期到来と同時に目的不動産の所有権は譲渡担保権者に確定的に帰属し、債務者(譲渡担保権設定者)は、もはやその債務を弁済して目的不動産の完全な所有権を回復することはできないものと解するのが、相当である。 うえ、その残余価額と当該譲渡担保の被担保債権額とを比較すべきものであり、その結果被担保債権額が残余価額と同等であるか、これを上まわる場合には、清算金支払義務を生ずる余地はないのであるから、被担保債権の弁済期到来と同時に目的不動産の所有権は譲渡担保権者に確定的に帰属し、債務者(譲渡担保権設定者)は、もはやその債務を弁済して目的不動産の完全な所有権を回復することはできないものと解するのが、相当である。前記原審の確定した事実によれば、右の特別の事情は認められておらず、譲渡担保権者Dの被担保債権額が本件(一)(二)土地及び(三)建物の価額から先順位根抵当権の極度額を控除した残額を超えることは明らかであるから、Dは、被担保債権の最後の弁済期の経過により、右土地建物の所有権を確定的に取得し、上告人はその取戻権を行使することができなくなつたものといわなければならない。以上と同趣旨と解される原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はなく、また、所論引用の判例は、いずれも事案を異にし、本件に適切でない。論旨は、ひつきよう、原判決を正解しないか、原判決の結論に影響を及ぼさない部分の違法を主張するものにすぎず、採用することができない。よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官江里口清雄裁判官天野 裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官江里口清雄裁判官天野武一裁判官高辻正己裁判官服部高顯- 2 -裁判官環昌一- 3 -

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