平成19(ワ)5015 特許権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成23年6月9日 大阪地方裁判所
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判決文本文38,874 文字)

平成23年6月9日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成19年(ワ)第5015号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日平成23年3月8日判決原告ニシハツ産業株式会社(以下「原告ニシハツ産業」という。)原告ニッカ電測株式会社(以下「原告ニッカ電測」という。)原告ら訴訟代理人弁護士生沼寿彦同飯島 歩同敷地健康同訴訟復代理人弁護士橋本道成同中村小裕原告ら補佐人弁理士横井知理被告株式会社川島製作所(以下「被告川島製作所」という。)被告有限会社カワシマ産業(以下「被告カワシマ産業」という。)被告ら訴訟代理人弁護士原誠同佐々木健二同井上順之被告ら補佐人弁理士合志元延 主文 被告らは,連帯して,原告ニシハツ産業及び原告ニッカ電測に対し,それぞれ5941万7554円及びうち5821万6402円に対する平成1 9年5月15日から,うち19万5524円に対する平成19年7月1日から,うち100万5628円に対する平成20年7月1 ぞれ5941万7554円及びうち5821万6402円に対する平成1 9年5月15日から,うち19万5524円に対する平成19年7月1日から,うち100万5628円に対する平成20年7月1日からそれぞれ支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,これを5分し,その3を原告らの,その余は被告らの負担とする。 この判決は,原告ら勝訴部分に限り,仮に執行することができる。ただし,被告らが,各原告に対し,それぞれ4200万円の共同担保を供するときは,その仮執行をそれぞれ免れることができる。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 原告ら(1) 被告らは,連帯して,原告ニシハツ産業及び原告ニッカ電測に対し,それぞれ1億6371万7500円及びこれに対する平成19年5月15日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 (2) 訴訟費用は,被告らの負担とする。 (3) 仮執行宣言 2 被告ら(1) 原告らの請求をいずれも棄却する。 (2) 訴訟費用は,原告らの負担とする。 (3) 仮執行免脱の宣言第2 事案の概要 1 前提事実(証拠等の掲記のない事実は当事者間に争いがない。)(1) 当事者原告ニシハツ産業は,海苔製造機械の製造,販売を業とする株式会社で ある。 原告ニッカ電測は,計測機器の製造・販売並びに輸出入等を業とする株式会社である。 被告川島製作所は,海苔機械の製造,修理及び販売を業とする株式会社である。 被告カワシマ産業は,海苔機械の販売を業とする有限会社である。 (2) 原告らの特許権ア原告らは,次の特許権(以下「本件特許権」といい,同特許権に係る特許を「本件特許」という。 被告カワシマ産業は,海苔機械の販売を業とする有限会社である。 (2) 原告らの特許権ア原告らは,次の特許権(以下「本件特許権」といい,同特許権に係る特許を「本件特許」という。本件特許の請求の範囲【請求項1】の発明を「本件特許発明1」,同【請求項2】の発明を「本件特許発明2」といい,併せて「本件各特許発明」という。また,本件特許出願の願書に添付した明細書及び図面を併せて「本件明細書」という。)につき,それぞれ2分の1の持分を有している。 特許番号 2036486号発明の名称乾海苔の夾雑物検出装置出願年月日平成元年3月27日公告年月日平成7年7月19日登録年月日平成8年3月28日特許請求の範囲【請求項1】乾海苔の搬送方向に所定の間隔を隔てて設けられた2つの海苔搬送用ベルトコンベアと,これらの海苔搬送用ベルトコンベアの間隙を照射するように海苔搬送面の一方に配置された光源と,前記搬送面に対し前記光源と同じ方向に設けられ前記光源より照射された光の反射光を受光するラインイメージセンサと,前記ラインイメージセンサに入光する光量の変化を検出する手段と,該光量が設定値以上になったときに夾雑物混入信号を,夾雑物除去を行う選別 手段に出力する手段とを備えたことを特徴とする乾海苔の夾雑物検出装置。 【請求項2】ラインイメージセンサを検出位置より60°±30°に設置し,光源を前記ラインイメージセンサと同じ方向の45°±30°に光軸が位置するように設置したことを特徴とする請求項1記載の乾海苔の夾雑物検出装置。 イ構成要件の分説(ア)本件特許発明1を構成要件に分説すると,次のとおりとなる。 1-A 乾海苔の搬送方向に所定の間隔を隔てて設けられた2つの海苔搬送用ベ 雑物検出装置。 イ構成要件の分説(ア)本件特許発明1を構成要件に分説すると,次のとおりとなる。 1-A 乾海苔の搬送方向に所定の間隔を隔てて設けられた2つの海苔搬送用ベルトコンベアと,1-B これらの海苔搬送用ベルトコンベアの間隙を照射するように海苔搬送面の一方に配置された光源と,1-C 前記搬送面に対し前記光源と同じ方向に設けられ前記光源より照射された光の反射光を受光するラインイメージセンサと,1-D 前記ラインイメージセンサに入光する光量の変化を検出する手段と,1-E 該光量が設定値以上になったときに夾雑物混入信号を,夾雑物除去を行う選別手段に出力する手段とを備えたこと1-F を特徴とする乾海苔の夾雑物検出装置。 (イ)本件特許発明2を構成要件に分説すると,次のとおりとなる。 2-G ラインイメージセンサを検出位置より60°±30°に設置し,2-H 光源を前記ラインイメージセンサと同じ方向の45°±30°に光軸が位置するように設置したこと2-I を特徴とする請求項1記載の乾海苔の夾雑物検出装置。 (3) 被告らの行為被告らは,業として,平成8年3月以降,平成20年6月末日までの間, 別紙被告物件目録記載1,2の各製品(以下「被告物件1」,「被告物件2」といい,併せて「被告各物件」という。)を製造・販売した。 (4) 被告各物件の構造被告物件1(FE型)及び被告物件2(E型)の構造は,別紙被告物件説明書記載のとおりである(なお,便宜上,当事者の合意の範囲内と思われる限度で,原告第3準備書面添付の説明書の記載を変えている。)。 (5) 損害賠償請求権に関する合意(甲74)原告らは,平成19年2月1日,本件訴訟の提起に先立ち,本件訴訟によって得ら 思われる限度で,原告第3準備書面添付の説明書の記載を変えている。)。 (5) 損害賠償請求権に関する合意(甲74)原告らは,平成19年2月1日,本件訴訟の提起に先立ち,本件訴訟によって得られるべき損害賠償請求権について,本件特許権の共有持分の割合に応じて帰属させることを合意した。 原告らの請求原告らは,被告各物件が本件各特許発明の技術的範囲に属し,被告各物件の製造・譲渡が本件特許権を侵害するとして,被告らに対し,それぞれ,連帯して1億6371万7500円の損害賠償及びこれに対する平成19年5月15日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5%の割合による遅延損害金を支払うよう求めている。 争点 (1) 被告各物件が本件特許発明1の技術的範囲に属するか(2) 被告各物件が本件特許発明2の技術的範囲に属するか(3) 損害(4) 消滅時効の成否第3 争点に関する当事者の主張 1 被告各物件が本件特許発明1の技術的範囲に属するか【原告らの主張】(1) 被告各物件の構成被告各物件の構成は,別紙被告物件説明書記載のとおりである(前提事 実(4))。 (2) 対比次のとおり,別紙被告物件説明書記載の構成(以下「被告構成a」などという。)は,本件特許発明1の構成要件(以下「構成要件1-A」などという。)を充足する。 ア構成要件1-A被告構成aにおいて,2つの海苔搬送用ベルトコンベアが,約20㎝という所定の間隔を隔てて設置されているので,被告構成aは,構成要件1-Aを充足する。 (後記被告らの主張(1)アに対する反論)2つのベルトコンベア同士の間に駆動ローラーコンベアといった他の機構が付加されたとしても,構成要件の充足性の場面においては単に余分な構成が付加された (後記被告らの主張(1)アに対する反論)2つのベルトコンベア同士の間に駆動ローラーコンベアといった他の機構が付加されたとしても,構成要件の充足性の場面においては単に余分な構成が付加されたに過ぎないと評価できる。 イ構成要件1-B被告構成bにおいて,ベルトコンベアとベルトコンベアの間隙を照射する光源が存在し,海苔の搬送面の一方である裏面に設置されているので,被告構成bは,構成要件1-Bを充足する。 (後記被告らの主張(1)イに対する反論)本件特許発明1の特徴的事項のひとつは,ベルトコンベアとベルトコンベアの間を照射することで,海苔以外からの反射ノイズが低減できるというところにある。よって,間隔や間隙という用語は,光源と反対方向の側にベルトコンベア等の乱反射を引き起こすようなものが無いことを意味しているのであって,それが広いか,狭いかという定性的なことは本件特許発明1の技術的特徴とは関係がない。 ウ構成要件1-C被告構成cにおいて,光源と同方向である乾海苔の裏面にイメージセ ンサが配置され,光源から発せられた光の反射光を受光するので,被告構成cは,構成要件1-Cを充足する。 (後記被告らの主張(1)ウに対する反論)本件特許発明1は,光源から発せられた光が海苔表面で反射してラインイメージセンサで受光するものである。反射である以上,光源とセンサが全く同じ角度にあることは,光が重なってしまうため,原理的にありえない。他方,光源とラインイメージセンサとは,海苔からの反射光が検出できる位置関係であればよいのであるから,その角度は原理的には反射という機構を採用した以上に殊更に限定されるものではない。 エ構成要件1-Dないし1-F被告構成dないしfは,構成要件1-Dないし1-Fを充足する。 のであるから,その角度は原理的には反射という機構を採用した以上に殊更に限定されるものではない。 エ構成要件1-Dないし1-F被告構成dないしfは,構成要件1-Dないし1-Fを充足する。 (3) 作用効果について被告らは,被告各物件が本件特許発明1の作用効果を有しないと主張するが,次のとおり,同主張は理由がない。 ア後記被告らの主張(2)イについて被告らは,被告各物件は,いずれも「乾海苔の裏面(下面)に付着した夾雑物を,異物として検出する」ものであるため,乾海苔(海苔搬送面)の上側は,本件特許発明1の作用効果とは関係なく,最初から空間が存在すると主張する。 しかし,被告各物件のように裏異物検出用であったとしても,乾海苔の検出位置が間隙(物と物との間)であることには変わりがない。 乾海苔の裏異物の場合,間隙の下から光を照射するのであるから,乾海苔の下側に障害物がないことは当然のことであり,乾海苔の背後,すなわち測定箇所の直上に無用な乱反射の要因が存在しないことが,ここでいう間隙の意味である。 そこで,被告各物件をみると,裏異物検出位置の直上にはそういった 攪乱因子となる物体は存しない。そうすると,本件特許発明1における,光源により照射された光が乾海苔以外のベルト等によって反射されることがないため夾雑物の検出を高精度に行うことができるという作用効果は,被告各物件についてもあてはまる。 イ後記被告らの主張(2)ウについて被告らは,被告各物件と本件特許発明1では,夾雑物の検出方法が異なると主張する。 しかし,被告各物件において,偏光フィルタは海苔から反射光のセンサへの入光量を全体として減らすことはできても,全ての光を遮断することはできないため,正常な海苔に照射した光の反射光は,ラインイ 。 しかし,被告各物件において,偏光フィルタは海苔から反射光のセンサへの入光量を全体として減らすことはできても,全ての光を遮断することはできないため,正常な海苔に照射した光の反射光は,ラインイメージセンサに一部は受光されることとなる。そうすると,これらの入光を前提にした選別が行われなければ海苔の選別を行うことはできず,結局は,被告各物件においても海苔からの反射を検知して判別する必要があり,受光した反射光のS/N比で海苔の表面を観察して海苔と異物の判別を行っている。したがって,被告各物件と本件特許発明1の検出機構は本質的に同じであり,本件特許発明1と検出方法が異なるとの被告の主張は認められない。 ウ後記被告らの主張(2)エについて被告らは,被告各物件では,押さえローラーの反射光(ノイズ)があると主張する。 しかし,被告各物件の押さえローラー(6)は乙第41号証の写真3,4からも明らかなように選別位置の直上に設置されているわけではなく,しかも押さえローラー(6)はごく一部にリング状に配置されているにすぎず,筒状に全面にわたって配されているわけではない。したがって通過する海苔の上方を全て覆うわけでもなく,押さえローラーからラインイメージセンサへの反射光が発生しにくい構造・配置となっており, 押さえローラーが選別動作を不良にするようなことはない。 (4) まとめ被告各物件は,本件特許発明1の技術的範囲に属する。 【被告らの主張】(1) 対比ア構成要件1-A被告構成aにおいて,前段駆動ベルトコンベア,中段駆動ベルトコンベア,駆動ローラーコンベア,後段の駆動ベルトコンベアが,上記記載順に配設されている。したがって,被告構成aに「所定間隔を隔てて設けられた駆動ローラーコンベアとベルトコンベア」は存 段駆動ベルトコンベア,駆動ローラーコンベア,後段の駆動ベルトコンベアが,上記記載順に配設されている。したがって,被告構成aに「所定間隔を隔てて設けられた駆動ローラーコンベアとベルトコンベア」は存在するが,「所定間隔を隔てて設けられた2つのベルトコンベア」は存在しない。 そして,上記駆動ローラーコンベアがなければ(これを取り外すと),乾海苔は搬送中に落下してしまうため,駆動ローラーコンベアは,単に余分な構成を付加したものではなく,乾海苔搬送の根幹をなすものであって,駆動力,搬送力のない,単なるガイド板(本件明細書に記載されている。)などと同レベルで評価することはできない。 したがって,被告各物件は,構成要件1-Aを充足しない。 イ構成要件1-B前記アのとおり,被告構成aに「所定間隔を隔てて設けられた駆動ローラーコンベアと駆動ベルトコンベア」は存在するが,「所定間隔を隔てて設けられた2つの駆動(海苔搬送用)ベルトコンベア」は存在しないので,被告構成bに「これらの海苔搬送用ベルトコンベアの間隙」は存在しない。 また,構成要件1-Bの「間隙」は「狭いスリット,すきま」を意味するが,被告構成bにおいて,光源から照射される「2つの海苔搬送用ベルトコンベアの間隙」は存在せず,発受光空間たる「間隔」が存在す る。 したがって,被告構成bにおいて,光源は,「駆動ローラーコンベアと駆動ベルトコンベアの間隔等」を照射するものであり,「駆動ベルトコンベアと駆動ベルトコンベアの間隙」を照射しないので,被告各物件は,構成要件1-Bを充足しない。 ウ構成要件1-C被告各物件において,光源とラインイメージセンサ間の角度は,被告物件1の前期型では40°,被告物件1の後期型では50°もしくは60°,被告物件2では40°である 足しない。 ウ構成要件1-C被告各物件において,光源とラインイメージセンサ間の角度は,被告物件1の前期型では40°,被告物件1の後期型では50°もしくは60°,被告物件2では40°であるが,このような角度があるにもかかわらず,「同じ方向」とは認められない。 すなわち,「同じ方向」とは一般的に「同一角度」のことであるが,光源とラインイメージセンサとが発受光関係にあることから,「厳密な完全同一角度ではないが,同一性の範囲内で若干ずれている角度」を意味する。本件明細書第1図における,光源とラインイメージセンサの角度(約11°)はこれに当たるとしても,被告各物件における光源とラインイメージセンサの角度は,「若干ずれている角度」とはいえない。 したがって,被告各物件は,構成要件1-C(光源と同じ方向に設けられ〔た〕ラインイメージセンサ)を充足しない。 エ構成要件1-Dないし1-F被告各物件が,構成要件1-D,1-Eを充足する乾海苔の夾雑物検出装置(1-F)であることについては争わない。 (2) 作用効果の不一致ア本件特許発明1の作用効果は,「乾海苔の検出位置を,2つの海苔搬送ベルトコンベアの間隙としたことにより,光源により照射された光は乾海苔以外のベルト等によって反射されることがないため,ラインイメージセンサで観察した映像にはノイズが乗らず,夾雑物の検出を高精度に 行うことができること」(本件明細書の「発明の効果」欄)にある。 イこれに対し被告各物件は,いずれも「乾海苔の裏面(下面)に付着した夾雑物を,異物として検出する」ものであるため,検査光(光源から発光し,反射された光をラインイメージセンサで受光する。)を通すための「発受光空間」は乾海苔(海苔搬送面)の下側に位置し,その反対側(乾海苔の上側) として検出する」ものであるため,検査光(光源から発光し,反射された光をラインイメージセンサで受光する。)を通すための「発受光空間」は乾海苔(海苔搬送面)の下側に位置し,その反対側(乾海苔の上側)に,ベルト等が配設されることはない。すなわち,乾海苔(海苔搬送面)の上側は,本件特許発明1の作用効果と関係なく,最初から空間が存在する。 ウまた,被告各物件と本件特許発明1は,異物(夾雑物)検出の方式が根本的に相違している。 すなわち,本件特許発明1は,受光した乾海苔の拡散反射光と夾雑物(異物)の拡散反射光とを,光量の程度比較,多少比較で峻別するが,このような方法による峻別は容易ではない。しかし,被告各物件では,ラインイメージセンサには,偏光フィルタによって,乾海苔の正反射光や,光量の少ない乾海苔の拡散反射光は受光されず,光量の多い,夾雑物の拡散反射光のみが受光可能であり,夾雑物の拡散反射光の有無のみによって認識できる。 エさらに,被告各物件では,裏異物用光源からの照射光は,乾海苔に穴や破れ等がある場合は,穴や破れを介し,そのまま直進し,押さえローラー(6)によって反射された後,ノイズとしてラインイメージセンサに受光される。 オ以上のとおり,被告各物件は,本件特許発明1の作用効果を奏しない。 2 被告各物件が本件特許発明2の技術的範囲に属するか【原告らの主張】(1) 被告各物件の構成被告各物件の構成は,別紙被告物件説明書記載のとおりである(前提事 実(4))。 (2) 対比ア構成要件2-Gについて被告各物件は,ラインイメージセンサとして設けられたCCDカメラが,検出位置である搬送面の斜め下方30°のところに設置されており,構成要件2-G(ラインイメージセンサを検出位置より60°±30°に設 告各物件は,ラインイメージセンサとして設けられたCCDカメラが,検出位置である搬送面の斜め下方30°のところに設置されており,構成要件2-G(ラインイメージセンサを検出位置より60°±30°に設置し)を充足する。 イ構成要件2-Hについて被告物件1の前期型と被告物件2は,裏異物用光源からの照射角度は,光軸である搬送面に対して,約70°であり,「光源を前記ラインイメージセンサと同じ方向の45°±30°に光軸が位置するように設置」しており,構成要件2-H(光源を前記ラインイメージセンサと同じ方向の45°±30°に光軸が位置するように設置したこと)を充足する。 (3) 作用効果被告らの作用効果についての主張は争う。 【被告らの主張】(1) 対比アはじめに本件特許の請求項2は,同請求項1の従属項であり,前記1のとおり,被告各物件が本件特許発明1の技術的範囲に属さない以上,本件特許発明2の技術的範囲にも属さない。 イ構成要件2-G構成要件2-Gでは,「ラインイメージセンサが検出位置より60°-30°」とあり,何に対する角度なのか基準が不明であり,被告各物件は,構成要件2-Gを充足しない。 ウ構成要件2-H 構成要件2-Hの「同じ方向」は,前記1【被告らの主張】(1)ウのとおり,「厳密な完全同一角度ではないが,同一性の範囲内で若干ずれている角度」を意味する。 被告各物件の裏異物用光源(10)とラインイメージセンサ(13)間の角度は,被告物件1の前期型と被告物件2で40°,被告物件1の後期型で50°もしくは60°である。 上記角度は,「同じ方向」であるとはいえず,被告各物件は,構成要件2-Hを充足しない。 (2) 作用効果の不奏功本件特許発明2の作用効果は,本件特許発明1の で50°もしくは60°である。 上記角度は,「同じ方向」であるとはいえず,被告各物件は,構成要件2-Hを充足しない。 (2) 作用効果の不奏功本件特許発明2の作用効果は,本件特許発明1の「受光光量へのノイズ回避」に加え,「乾海苔と夾雑物との峻別S/N比向上」にある(甲2)。 これに対し被告各物件は,これらの作用効果を奏さない。 3 損害【原告らの主張】(1) 販売台数被告らは,平成8年3月28日以降,平成20年6月末日までの間,被告物件1を301台,被告物件2を383台,製造,販売した。 なお,被告物件1の前期型から後期型に移行したのは,平成15年4月以降である。 (2) 特許法102条1項による算定(主位的主張)ア被告物件1に相当する原告製品1台あたりの原告の利益被告物件1に相当する原告の製品はGSA型(以下「原告製品1」という。)であるが,原告製品1の1台当たりの平均販売価格は284万6020円である。 これに対し,原告製品1の1台あたりの製造経費のうち1台当たりの平均変動経費は次のとおりであり,1台当たりの平均限界利益は145 万5090円である。 材料費 100万5500円労務費 11万5432円販売手数料 24万2817円運送費 2万7181円イ被告物件2に相当する原告製品1台あたりの原告の利益被告物件2に相当する原告の製品はNAS-5型(以下「原告製品2」という。)であるが,原告製品2の1台当たりの平均販売価格は155万5011円である。 これに対し,原告製品2の1台あたりの製造経費のうち1台当たりの平均変動経費は次のとおりであり,1台当たりの平均限界利益は66万3048円である。 材料費 62万7178円労務 。 これに対し,原告製品2の1台あたりの製造経費のうち1台当たりの平均変動経費は次のとおりであり,1台当たりの平均限界利益は66万3048円である。 材料費 62万7178円労務費 6万8676円販売手数料 18万0984円運送費 1万5125円ウ控除すべきでない経費(ア) 据付費用販売手数料を支払っている場合は,据付費用は販売手数料でまかなわれており,これを支払わない場合は,原告ニシハツの従業員が据付を行っているが,その費用は僅かである。 (イ) 減価償却費,広告宣伝費減価償却費,広告宣伝費は,原告製品1,2の1台当たりの利益を算定するにあたり,控除すべき変動経費に当たらない。 (ウ) 原告ニッカ電測の経費原告製品1,2の1台当たりの利益を算定するにあたって,原告ニッ カ電測の利益は算定していないので,その経費を控除する必要もない。 エ利益率利益率に関する被告らの主張は争う。 オ寄与率寄与率に関する被告らの主張は争う。 (ア) 裏異物選別機能の重要性異物が混入している海苔は,等級検査場で厳しくチェックされた上,等級がつかず,生産者に箱ごとそのまま返品されるという運用がなされている。このような厳しい運用がなされる背景には,コンビニエンスストアなどでおにぎりが主力商品として扱われるようになってきたためである。主要な顧客の要求水準に合わせ,卸売業者が求める海苔の水準も上がり,海苔に異物が混入しないようにするということは,もはや海苔生産業者にとっては死活問題である。 そして,裏異物選別機能の追加は,海苔の異物混入を全ての方向から一回の検査で確認できうるようにしたものであって,海苔生産業者にとって従来の狭い作業場スペースでもそのまま設置でき 死活問題である。 そして,裏異物選別機能の追加は,海苔の異物混入を全ての方向から一回の検査で確認できうるようにしたものであって,海苔生産業者にとって従来の狭い作業場スペースでもそのまま設置できる点で極めて実効性のある製品であり,従前あった表異物選別機能及び中異物選別機能よりもその重要性は高い。 原告ニシハツ産業でも,裏異物選別機能を有する製品を開発してからは,顧客が,表異物と中異物の検出・選別のみを行う機械を購入しないようになったことから,表異物と中異物の2つだけを検出・選別する機能を有する異物選別機の販売は行っていない。 なお,海苔を裏返すことにより,表異物選別機能を有する機械で裏異物選別を行うことは,可能であるとしても,選別に倍の時間を要することになり,平均的な海苔生産農家の生産枚数は,1軒あたり年間およそ180万ないし210万枚であり,1時間当たり6000枚の 処理能力を前提とすると,繁忙期に,倍の時間を要することは無視できない。 したがって,被告各物件における裏異物選別機能の寄与率は大きい。 (イ) コスト面及びスペース面での優位性被告らが裏異物検出に用いた本件各特許発明の技術はこれまでの異物検出の技術よりも精度が高く選別可能であるだけでなく,シンプルな構成ゆえに低コストで実現でき,かつ狭い作業場に従来のスペースのまま設置できる点で利点を有している。 (ウ) 以上のとおり,現在,裏異物選別機能がなければ海苔異物選別機としての商品価値がなく,また,他に簡易な代替手段がないのであるから,裏異物検出のために必要な本件各特許発明の寄与率は極めて高く,他の機能が付加されていることを理由に,裏異物選別機能のみを分断して評価すべきではない。 カ原告製品1(GSA型)の販売時期原告ニシハツ産業は, 必要な本件各特許発明の寄与率は極めて高く,他の機能が付加されていることを理由に,裏異物選別機能のみを分断して評価すべきではない。 カ原告製品1(GSA型)の販売時期原告ニシハツ産業は,GSA型の発売開始前にも,平成7年からGSO型(GSA型は,このGSO型の後継機という関係にある。)を異物選別機として発売を行っていた。 キまとめ特許法102条1項によると,被告らが,平成8年3月28日以降,被告各物件を販売したことによる原告らの損害は,6億9192万9474円である。 〔計算式〕 1,455,090×301+663,048×383=691,929,474(3) 特許法102条2項による算定(予備的主張その1)ア被告物件1の1台あたりの被告らの利益被告物件1の販売価格は,275万5156円である。 被告らの主張を前提にすると,被告物件1の1台あたりの材料費は1 99万7473円,運送費は2万円であるが,以上が,被告物件1の製造,販売に要した変動経費とみるべきである。 したがって,被告物件1の1台あたりの被告らの利益は73万7683円である。 イ被告物件2の1台あたりの被告の利益被告物件2の販売価格は,169万9107円である。 被告らの主張を前提にすると,被告物件2の1台あたりの材料費は134万5617円,運送費は2万円であるが,以上が,被告物件2の製造,販売に要した変動経費とみるべきである。 したがって,被告物件2の1台あたりの被告らの利益は33万3490円である。 ウまとめ特許法102条2項によると,被告らが,平成8年3月28日以降,被告各物件を販売したことによる原告らの損害は,3億4976万9253円である。 〔計算式〕 737,683×301+333,4 特許法102条2項によると,被告らが,平成8年3月28日以降,被告各物件を販売したことによる原告らの損害は,3億4976万9253円である。 〔計算式〕 737,683×301+333,490×383=349,769,253(4) 特許法102条3項による算定(予備的主張その2)ア被告各物件の売上前記(1),(3)アによると,被告物件1の平成8年3月28日以降の売上は,8億2930万1956円である。 前記(1),(3)イによると,被告物件2の平成8年3月28日以降の売上は,6億5075万7981円である。 イ実施料率本件各特許発明は,前記(2)オでも述べたとおり,非常に重要な発明であるから,その実施料相当額は,少なく見積もっても5%を下らない。 ウまとめ 特許法102条3項によると,被告らが,平成8年3月28日以降,被告各物件を販売したことによる原告らの損害は,7400万2996円である。 〔計算式〕 (829,301,956+650,757,981)×0.05=74,002,996(5) 弁護士費用原告らは,被告らの不法行為のため,本訴提起を余儀なくされたが,そのための弁護士費用は2976万円が相当である。 (6) 損害賠償請求権に関する合意前提事実(5)のとおり,原告らは,平成19年2月1日,本件訴訟によって得られるべき損害賠償請求権について,本件特許権の共有持分の割合に応じて帰属させることを合意した。 【被告らの主張】(1) 販売台数被告物件1の販売台数が,平成8年3月28日以降,301台であることは認める。 被告物件2の販売台数は,平成8年3月28日以降,平成18年11月20日までの間の227台のみである。 なお,被告物件1の前期型から後 ,平成8年3月28日以降,301台であることは認める。 被告物件2の販売台数は,平成8年3月28日以降,平成18年11月20日までの間の227台のみである。 なお,被告物件1の前期型から後期型に移行したのは,平成12年である。 (2) 特許法102条1項による算定についてア控除すべき経費について原告らが主張する経費の金額については争うとともに,次の点を付加して主張する。 (ア) 材料費原告らが主張する材料費(原告製品1:100万5500円,原告製品2:62万7178円)に,全ての材料費が計上されていない可 能性がある。 (イ) 労務費原告らが主張する労務費は,パートタイマー労働者を利用することを前提としているが,原告製品1,2の製造にパートタイマー労働者だけで対応することは不可能である。 (ウ) 据付費用据付費用は,販売手数料とは別個の変動経費として控除されるべきである。 (エ) 減価償却費,広告費減価償却費,広告費についても控除されるべきである。 (オ) 原告ニッカ電測の経費原告らは,原告ニッカ電測において発生した経費を計上すべきであるのに,これをしていない。 (カ) 平成11年度以前の経費について平成11年度以前の経費については,資料が存していない。また,原告製品1,2の旧型には原告製品1,2より価格の高い部品を使用していた。 イ利益率についてなお,原告らの主張によると,原告製品1の利益率は平均51%,原告製品2の利益率は平均43%となる。しかし,原告らは,訴状における主張で,被告らの利益率を15%として計算していることからすると,上記利益率は不合理な数値というべきである。 ウ寄与率(ア) 被告各物件の機能被告物件2は,入口から海苔を入れ 状における主張で,被告らの利益率を15%として計算していることからすると,上記利益率は不合理な数値というべきである。 ウ寄与率(ア) 被告各物件の機能被告物件2は,入口から海苔を入れて,表,中,裏の異物をそれぞれ検査し,表と裏の異物不良をバケット1へ,中異物不良をバケット 2へ収納することを主機能とし,補助機能として自動停止,入光量表示の機能を有する。 また,被告物件1は,上記主機能・補助機能に加えて,主機能として,破れ・穴あき等の形状不良品をバケット3へ収納する形状検査機能と,良品を10枚カウントし下へ出す10枚カウント機能を,補助機能として,良品枚数表示,トラブルモニターの各機能を有する。 (イ) 機能面からみた寄与率被告物件1における諸機能のうち,主機能の割合は90%であり,異物検査機能の割合は,主機能のうち50%である。さらに,上記異物検査機能のうち,本件各特許発明に関する機能は,裏異物検出に関するものであり,他の表・中異物検査機能と比較すると,その割合は,3分の1未満である。 また,被告物件2における諸機能のうち,主機能は異物検査機能のみである。 したがって,機能面だけをみると,本件各特許発明の寄与率は,被告物件1では12ないし13%程度であり,被告物件2では25%程度である。 〔計算式〕被告物件1:0.9×0.5÷3 > 0.12~0.13被告物件2:0.9÷3 > 0.25(ウ) その他の要素原告らが,被告各物件とともに侵害品であると主張していたES型に関する請求について,訴えを取り下げたことからも分かるように,本件各特許発明は実質的に奏功しておらず,また,不可欠性も認められず,その重要性は低い。 また,顧客が,本件各特許発明の機能に着目して被告各物件を ついて,訴えを取り下げたことからも分かるように,本件各特許発明は実質的に奏功しておらず,また,不可欠性も認められず,その重要性は低い。 また,顧客が,本件各特許発明の機能に着目して被告各物件を購入 したわけではない。 したがって,前記(イ)で求めた寄与率をさらに4分の1程度に下げるべきである。 (エ) まとめ以上によると,本件各特許発明の寄与率は,被告物件1で3%,被告物件2で6%である。 エ原告製品1(GSA型)の販売時期原告らが原告製品1の製造を始めたのは,平成9年10月からであり,平成8年3月28日からそれまでの間,原告らには実施の能力がなかったことになる。 オ被告物件2の販売台数前記(1)のとおり,被告物件2の販売台数は227台であって,これを基礎として算定すべきである。 (3) 特許法102条2項による算定についてア被告各物件の1台あたりの利益を算出するに際し,考慮すべき経費被告各物件の製造,販売にかかる経費として次のものがある。 (ア) 被告物件1(いずれも1台あたり)材料費 199万7473円メンテナンス費出張経費 7万0366円出張手当 4万5705円人件費 43万0862円(イ) 被告物件2(いずれも1台あたり)材料費 134万5617円メンテナンス費出張経費 4万3979円 出張手当 2万8566円人件費 26万9289円(ウ) 被告各物件共通(いずれも1台あたり)運送料等 2万0000円広告宣伝費 6570円その他通信交通費 8662円接待交際費 2万0695円雑費 いずれも1台あたり)運送料等 2万0000円広告宣伝費 6570円その他通信交通費 8662円接待交際費 2万0695円雑費 3万8226円通信費 360円(エ) 被告各物件共通(開発費)被告らは,被告各物件の開発費に3000万円を支出したので,同開発費も経費として控除すべきである。 イ利益率前記アの経費を,被告各物件の売上からバランスよく控除することにより,被告各物件の利益率を算出すると,それぞれ平均4%とすべきである。 ウ被告物件2の販売台数前記(1)のとおり,被告物件2の販売台数は227台であって,これを基礎として算定すべきである。 (4) 3項による算定についてア実施料率原告らの主張する実施料率は高率に過ぎる。 本件各特許発明は,被告各物件全体に関する発明ではなく,あくまでも裏異物検出という一部に関する発明に過ぎない。 イ被告物件2の販売台数 前記(1)のとおり,被告物件2の販売台数は227台であって,これを基礎として算定すべきである。 (5) 弁護士費用争う。 4 消滅時効の成否【被告らの主張】(1) 本件では,原告らは当業者である上に,本件各特許発明の構造も単純なものに過ぎないから,被告各物件が販売された直後には,すでに原告らは損害及び加害者を知っていたものと推定できる。 よって,本訴提起までの3年分のものより前に発生したと主張されている損害については,すでに民法724条所定の時効期間が経過している。 (2) 被告らは,原告らに対し,本件第13回弁論準備手続期日において,上記消滅時効を援用するとの意思表示をした。 【原告らの主張】(1) 原 すでに民法724条所定の時効期間が経過している。 (2) 被告らは,原告らに対し,本件第13回弁論準備手続期日において,上記消滅時効を援用するとの意思表示をした。 【原告らの主張】(1) 原告らが被告各物件の内部の異物検出装置の構造を看取することは被告各物件の構造上不可能である。 原告らは,平成18年4月,兵庫県の販売店から偶然,FE型の中古品(甲64。製造番号:FE-0075)を入手する機会を得て,分解した結果,同年6月ないし7月ころ,被告物件1が,本件特許権を侵害していることに気づき,同年8月25日に警告書を被告らに発送し,同19年4月27日に訴訟を提起した。 (2) なお,被告川島製作所は,乾海苔の検査装置について特許第3121593号の特許権を取得していたため,原告らは被告らが本件各特許発明の実施を行っているとは考えず,被告ら保有の特許権に係る発明のみを実施しているものと考えていた。 また,被告各物件はいずれも高価な機械であるため,これを研究のた めに取得することも容易ではなかった。 (3) したがって,原告らの被告らに対する損害賠償請求権の消滅時効は,本訴提起までに完成していない。 第4 当裁判所の判断 被告各物件が本件特許発明1の技術的範囲に属するか(1) 構成要件1-A充足性ア被告構成aにおいては,乾海苔(幅19㎝×長さ21㎝規格の長方形)の水平搬送手段として,直径4㎜のヒモベルト8本からなる中段の駆動ベルトコンベア(2)と,直径5㎜のヒモベルト4本からなる後段の駆動ベルトコンベア(4)が,間隔(被告物件1では21.5㎝,被告物件2では20.9㎝)を存して設置されている(前提事実(4))。 したがって,上記2つのベルトコンベアは,「乾海苔の搬送方向に所定の間隔を隔てて設けられ が,間隔(被告物件1では21.5㎝,被告物件2では20.9㎝)を存して設置されている(前提事実(4))。 したがって,上記2つのベルトコンベアは,「乾海苔の搬送方向に所定の間隔を隔てて設けられた2つの海苔搬送用ベルトコンベア」に相当し,被告各物件は構成要件1-Aを充足する。 イ被告らは,被告構成aにおいては,中段の駆動ベルトコンベア(2)と後段の駆動ベルトコンベア(4)の間に,駆動ローラーコンベア(3)が介在していることから,被告各物件は,構成要件1-Aを充足しないと主張する。 しかし,駆動ローラーコンベア(3)が2つのベルトコンベアの間に介在するからといって,本件特許発明1の作用効果が失われるわけではなく,被告各物件の構成要件1-Aの充足性が否定されることにはならない。 また,被告らは,駆動ローラーコンベア(3)を取り除くと,乾海苔を安定搬送できないため,上記ローラーコンベアは必要不可欠であると主張し,実験の結果を提出する(乙40~45)。 しかし,被告各物件では,3種類の異物検出を実施するため,3つの ベルトコンベアと1つのローラーコンベアを被告構成aの順に配設したわけであるが,被告各物件では,複数の検出装置を並列させたことにより,ベルトコンベアの間隔が広くなったため,ローラーコンベアを介在させたに過ぎず,2つのベルトコンベアの搬送手段と,この2つのベルトコンベアの間に,光源からの光を照射する間隙を設けるための間隔が設けられていれば,構成要件1-Aを充足するというべきである。 しかも,原告らによる実験結果(甲15)によると,仮に,被告各物件からローラーコンベア(3)を抜いて作動させても,乾海苔が搬送されることが窺える。 よって,被告らの主張は理由がない。 (2) 構成要件1-B充足性ア被 甲15)によると,仮に,被告各物件からローラーコンベア(3)を抜いて作動させても,乾海苔が搬送されることが窺える。 よって,被告らの主張は理由がない。 (2) 構成要件1-B充足性ア被告構成bにおいては,海苔搬送面(25)に対して下側に裏異物用光源(10)として高周波蛍光灯ユニットが設けられており,斜め上方の間隙の検出位置に向けて照射可能となっている(前提事実(4))。 また,上記間隙は,ガイド板(5)とガイド板(5)との間に形成されており,上記ガイド板はいずれも搬送手段たる駆動ベルトコンベア(2),(4)の間に配設されているので(前提事実(4)),上記間隙は,上記駆動ベルトコンベア(2),(4)の間隙に相当する。 したがって,上記高周波蛍光灯ユニットからなる裏異物用光源(10)は,「これらの海苔搬送用ベルトコンベアの間隙を照射するように海苔搬送面の一方に配置された光源」に相当し,被告各物件は構成要件1-Bを充足する。 イ被告らは,① 被告構成aに「所定間隔を隔てて設けられた2つの駆動ベルトコンベア」は存在しないので,被告構成bに「2つの海苔搬送用ベルトコンベアの間隙」は存在しない,また,② 構成要件1-Bの「間隙」は「狭いスリット,すきま」を意味するが,被告構成bにおいて, 光源から照射される「2つの海苔搬送用ベルトコンベアの間隙」は存在せず,「間隔」が存するので,被告各物件は構成要件1-Bを充足しないと主張する。 (ア) まず,上記①の主張について検討する。 被告構成aが構成要件1-Aを充足することは,前記(1)に述べたとおりである。そして,前記アで述べたとおり,被告構成bには,2つのガイド板(5)によって形成された間隙が存するが(争いがない。),上記間隙は,所定間隔を隔てて設けられた2つの海 前記(1)に述べたとおりである。そして,前記アで述べたとおり,被告構成bには,2つのガイド板(5)によって形成された間隙が存するが(争いがない。),上記間隙は,所定間隔を隔てて設けられた2つの海苔搬送用ベルトコンベアで形成された間に形成されているので(別紙被告物件説明書添付図面参照),被告構成bには,「2つの海苔搬送用ベルトコンベアの間隙」が存するということができる。 また,別紙被告物件説明書記載図面2,4,6のとおり,被告構成bにおける上記間隙は,照射位置にベルト等の光散乱物が存在しないので,光源から照射された光が乾海苔以外のベルト等によって反射されることはないと考えられる。 (イ) 次に,上記②の主張について検討する。 本件明細書には次の記載がある(甲2)。 「〔発明の効果〕(略)乾海苔の検出位置を,2つの海苔搬送ベルトコンベアの間隙としたことにより,光源により照射された光は乾海苔以外のベルト等によって反射されることがないため,ラインイメージセンサで観察した映像にはノイズが乗らず,夾雑物の検出を高精度に行うことができる。」上記記載によると,構成要件1-Bの「間隙」とは,2つの海苔搬送用(駆動)ベルトコンベアの間(間隔)にあって,その開き方の程 度は,光源により照射された光が乾海苔以外のベルト等によって反射されることがない程度をいうと解する(一般には,「間隙」は狭い意味を有するが,間隔にはそのような限定はない。そして,本件特許発明1の構成要件1-Aと1-Bとの関係からすると,構成要件1-Bの「間隙」は,構成要件1-Aの「間隔」と同じ,もしくは,それより狭いことが想定されていると考えられるが,上記「間隙」について,それ以上に狭い幅を有するものとして解釈する必要はなく,前述した本件明細書の記載から理 成要件1-Aの「間隔」と同じ,もしくは,それより狭いことが想定されていると考えられるが,上記「間隙」について,それ以上に狭い幅を有するものとして解釈する必要はなく,前述した本件明細書の記載から理解される意義に照らすと,むしろ,一定程度の幅を必要とするといえる。)。 そうすると,被告構成bの2つのガイド板(5)の間に形成された間隙を「2つの駆動ベルトコンベア(2),(4)の間隙」に相当するものと解することに妨げはないというべきである。 (ウ) 以上のとおり,被告らの主張は理由がない。 (3) 構成要件1-C充足性ア被告構成cにおいては,海苔搬送面(25)の下側に設置された光源(10)が照射した光の反射光を受光するラインイメージセンサ(13)は,海苔搬送面(25)の斜め下方30°のところに設置されている(前提事実(4))。 したがって,同センサは,「海苔搬送面に対し光源と同じ方向に設けられ,前記光源より照射された光の反射光を受光するラインイメージセンサ」に相当し,被告各物件は,構成要件1-Cを充足する。 イ被告らは,「同じ方向」とは一般的に「同一角度」のことをいい,構成要件1-Cにいう「同じ方向」は「厳密な完全同一角度ではないが,同一性の範囲内で若干ずれている角度」を意味するので,被告各物件は,構成要件1-Cを充足しないと主張する。 しかし,構成要件1-B,1-Cの記載からも明らかなように,ライ ンイメージセンサは,光源から海苔搬送用ベルトコンベアの間隙(海苔搬送面にある。)に照射された光の反射光(透過光ではない。)を受光することが予定されているため,構成要件1-Cの「同じ方向」とは,光源が海苔搬送面の上側にある場合は,ラインイメージセンサも上側に,光源が海苔搬送面の下側にある場合は,ラインイメージセンサ )を受光することが予定されているため,構成要件1-Cの「同じ方向」とは,光源が海苔搬送面の上側にある場合は,ラインイメージセンサも上側に,光源が海苔搬送面の下側にある場合は,ラインイメージセンサも下側にあることを意味するのであって,本件明細書を見ても,「同じ方向」について,被告らの主張するような限定解釈を根拠付ける記載は見あたらない。 そもそも,本件特許発明2は,光源とラインイメージセンサの角度について数値限定をした発明であるが,その特許請求の範囲によると,最大75°(構成要件2-Gの角度を60°+30°,構成要件2-Hの角度を45°-30°とした場合)開いた場合をクレームしているのであって,そのような数値限定のない本件特許発明1における構成要件1-Cの解釈としては,本件特許発明2の数値限定より広い角度を含むことが想定されており,少なくとも,構成要件1-Cの「同じ方向」の意味について,被告らの主張するような限定解釈(「厳密な完全同一角度ではないが,同一性の範囲内で若干ずれている角度」と解釈)をすることはできない。 よって,被告らの主張は理由がない。 (4) 構成要件1-Dないし1-F充足性これらの構成要件への充足性については,当事者間に争いがない。 (5) 作用効果被告らは,被告各物件が,本件特許発明1の作用効果を有していないと主張するので,以下,検討する。 ア被告らは,被告各物件において,「発受光空間」は乾海苔(海苔搬送面)の下側に位置するため,その反対側(乾海苔の上側)に,ベルト等が配 設されることはなく,本件特許発明1の作用効果を奏しないと主張する。 被告らの上記主張の論理は必ずしも明らかとはいえないが,被告各物件において,裏異物の検出のために,海苔搬送面の下方から光源を照射することとす なく,本件特許発明1の作用効果を奏しないと主張する。 被告らの上記主張の論理は必ずしも明らかとはいえないが,被告各物件において,裏異物の検出のために,海苔搬送面の下方から光源を照射することとする以上,本件特許発明1の構成をとることは必然であり,そうであるから,本件各特許発明の課題を解決するために同構成をとることの必要性があったわけでなく,本件特許発明1の作用効果を奏していないという主張に理解することが可能である。 ところで,被告各物件は,乾海苔の表異物,中異物,裏異物を,1回の搬送において,検出するよう設計されており,そのため,裏異物についての検出は,海苔搬送面の下方に設置した光源から光を照射し,その反射光をラインイメージセンサにより受光する構成となっている。このため,乾海苔の裏面に光を照射する以上,海苔搬送面の下には,ベルトコンベアなどの搬送手段を置くことはできず(そうでないと海苔の裏面に光を照射できない。),また,海苔搬送面の上に搬送手段を設置する必要もなく,必然的に,下方の光源から照射される海苔搬送面に間隙が生じる構成となったといえなくもない。 しかし,そのことと,上記被告各物件が本件特許発明1の作用効果を奏しているか否かとは別問題であり,下方からの照射であっても,海苔搬送面における,2つの駆動ベルトコンベアの間隙に光源を照射した際に,ベルト等の光散乱物がない以上,本件特許発明1の作用効果を奏しているというべきである。 イ被告らは,被告各物件と本件特許発明1は,異物(夾雑物)検出の方式が根本的に相違していると主張する。 しかし,本件明細書に記載された実施例の光源及び検出器の配置からすると,本件特許発明1では,乾海苔の散乱光強度よりも,夾雑物の散乱光強度が多くなることを利用して,検出を行っていると認めることが しかし,本件明細書に記載された実施例の光源及び検出器の配置からすると,本件特許発明1では,乾海苔の散乱光強度よりも,夾雑物の散乱光強度が多くなることを利用して,検出を行っていると認めることが でき,上記検出方法は,被告らの主張する被告各物件における検出方法と基本的に共通するものを有しているといえる。仮に,被告らが主張する,被告各物件における検出方法が,偏光フィルタを使用することにより,乾海苔からの反射光と夾雑物からの反射光を峻別しやすいという,本件特許発明1の作用効果にはない効果を別途有していたとしても(乙47~50),被告各物件が本件特許発明1の作用効果を奏していないということはできない。 ウ被告らは,被告各物件において,裏異物用光源からの照射光は,乾海苔に穴や破れ等がある場合は,穴や破れを介し,そのまま直進し,押さえローラー(6)によって反射された後,ラインイメージセンサに受光されると主張する。 たしかに,被告らが主張したような機序で,押さえローラー(6)まで照射光が届き,その反射光をラインイメージセンサが受光する可能性を否定することはできない。 しかし,乾海苔の穴や破れからの照射光が,上記の機序でラインイメージセンサによって受光される可能性が高いとは思えず,仮に,押さえローラーが存しない場合に比べ,作用効果の程度において,一定程度劣ることがあるとしても,押さえローラーが海苔搬送面(照射位置)の真後ろにあるわけではなく,前記(1)ないし(4)で検討したとおり,被告各物件が,本件特許発明1の構成要件を全て充足している以上,押さえローラー(6)が存在するため,本件特許発明1の作用効果を奏していないと認めることはできない。また,そもそも,上記作用効果の点で劣っていること自体を認めるに足りる証拠もない。 エ いる以上,押さえローラー(6)が存在するため,本件特許発明1の作用効果を奏していないと認めることはできない。また,そもそも,上記作用効果の点で劣っていること自体を認めるに足りる証拠もない。 エ以上によると,被告各物件が本件特許発明1の作用効果を奏していないと認めることはできない。 (6) まとめ 以上によると,被告各物件は,いずれも,本件特許発明1の技術的範囲に属するということができる。 被告各物件が本件特許発明2の技術的範囲に属するか(1) 構成要件充足性ア構成要件2-G被告各物件は,ラインイメージセンサとして設けられたCCDカメラが,検出位置である搬送面の斜め下方30°のところに設置されており(前提事実(4)),これによると,被告各物件は,構成要件2-Gを充足する。 被告らは,構成要件2-Gの「ラインイメージセンサが検出位置より60°-30°」とあるのが,何に対する角度なのか基準が不明であるというが,本件明細書の記載からすると,海苔搬送面に対する角度であることは明らかである。 イ構成要件2-H被告物件1の前期型及び被告物件2における,裏異物用光源からの照射角度は,光軸である搬送面に対して,70°であることについて争いはなく,これらの物件は,構成要件2-Hを充足する(被告物件1の後期型については,充足しない。)。 被告らは,構成要件2-Hの充足性についても,「同じ方向」について「厳密な完全同一角度ではないが,同一性の範囲内で若干ずれている角度」を意味すると主張するが,前記1(3)に述べたのと同様の理由により,「同じ方向」について,被告らの主張するような限定解釈を根拠付ける記載は見あたらない。 (2) 作用効果被告らは,本件特許発明2の作用効果は,本件特許発明1の「受 述べたのと同様の理由により,「同じ方向」について,被告らの主張するような限定解釈を根拠付ける記載は見あたらない。 (2) 作用効果被告らは,本件特許発明2の作用効果は,本件特許発明1の「受光光量へのノイズ回避」に加え,「乾海苔と夾雑物との峻別S/N比向上」にある ところ(甲2),被告各物件は,これらの作用効果を奏さないと主張する。 しかし,被告各物件が,本件特許発明1の作用効果を有することは,前記1(5)で述べたとおりである。そして,「乾海苔と夾雑物との峻別S/N比向上」の作用効果を有しないことの具体的理由について,被告らは主張立証をしない。よって,被告らの主張は理由がない。 (3) まとめ以上によると,被告各物件のうち,被告物件1の前期型と被告物件2は,本件特許発明2の技術的範囲に属するということができる。 損害(1) はじめにア原告らは,当初,特許法102条2項による算定に基づき,被告らに対して損害賠償を請求していたが,その後,被告らの開示した経費の金額を争うことをせず,同条1項による算定に基づく損害を主位的に主張し,同条2項による算定と,同条3項による算定を予備的に主張することとなった(同条2項と3項の算定は選択的主張と解される。)。 イ原告らは,特許法102条1項による算定にあたっては,便宜上,原告ニシハツ産業において生じる利益のみを算定の根拠としている。 また,原告らは,本件特許登録日以降の侵害による損害について,損害賠償を請求している。 ウ原告らは,本件訴訟の提起に先立ち,本件訴訟によって得られるべき損害賠償請求権について,本件特許権の共有持分の割合に応じて帰属させる合意をし(前提事実(5)),原告らは,上記合意に基づき,同額の損害賠償を請求している。 一方,被告ら 訟によって得られるべき損害賠償請求権について,本件特許権の共有持分の割合に応じて帰属させる合意をし(前提事実(5)),原告らは,上記合意に基づき,同額の損害賠償を請求している。 一方,被告らは,被告各物件の製造,販売が本件特許権の侵害に当たる場合,被告らが共同不法行為責任を負うことについて争っていない。 エこれらを前提として,以下,原告らの損害を算定することとする。 (2) 被告各物件の販売台数等ア被告各物件の販売台数被告らが,平成8年3月28日以降,被告物件1を301台,製造,販売したことは当事者間に争いがない。 原告らは,被告らが,平成8年3月28日以降,被告物件2を383台,製造,販売したと主張し,被告らは,227台(平成18年11月20日まで)であると反論する。 ところで,原告らは,上記383台の地域別における内訳も主張するものの(原告ら第10準備書面16頁),これを裏付けるに足りる証拠の提出をしない(これらの数字の出所が明らかでないため,重複計算の可能性や,他の機種との取り違えの可能性などの検証もできない。)。 そうすると,原告らの主張の論拠は,被告らが平成20年6月に「KE-0444」という製造番号を付した被告物件2を販売したことを確認しており(甲41),被告らが被告物件2の製造,販売を始めた平成5年9月以降,平成20年6月までの間に,少なくとも444台を販売したことを前提とし,平成8年3月28日以降の販売台数を推定するに過ぎないものかと思われる。 一方,原告らは当初,被告各物件の販売台数を,被告物件1については,少なくとも125台,被告物件2については,少なくとも350台と主張していたところ,被告らは,被告物件1について301台,被告物件2について227台との開示をし,その根 数を,被告物件1については,少なくとも125台,被告物件2については,少なくとも350台と主張していたところ,被告らは,被告物件1について301台,被告物件2について227台との開示をし,その根拠として証拠(乙72,73)を提出している。上記証拠によると,被告らは,平成4年度から,既に被告物件2の販売を開始し,平成7年までの間に,226台を販売していることが窺えるのであり,上記「KE-0444」の意味が444台目の機械を意味するものであったとしても,平成8年3月28日以降の販売台数が227台であることと矛盾はしない。 以上によると,平成8年3月28日以降の被告物件2の販売数は,227台であると認めるのが相当であり(なお,上記「KE-0444」は,その後,被告らが回収していることが窺われる〔乙75〕。),以下,この販売台数を前提に算定をする。 イ被告物件1の前期型から後期型への移行について原告らは,後期型への移行は平成15年4月以降であると主張するが,その根拠は,被告物件1に関するCADデータ(乙18~26,30~32)の提供を受けたところ,平成12年度以降の改訂がされていること,CADソフトも平成14年にリリースされたものであること,乙第26号証のデータには,「2003.04.17」に「切窓Dの形状を変更」という記載があったことによる。 しかし,一旦,設計変更が実施された後,設計データが改訂されたり,その改訂作業が,設計変更後に市販されたソフトで行われたりすることは,特に不自然なこととはいえない。 むしろ,上記データの他の記載からすると,被告らが主張するとおり,2000年(平成12年)以降は,後期型に変更されたと認めるべきである。 (3) 特許法102条1項による算定にあたってアはじめに 記データの他の記載からすると,被告らが主張するとおり,2000年(平成12年)以降は,後期型に変更されたと認めるべきである。 (3) 特許法102条1項による算定にあたってアはじめに原告らは,主位的に,特許法102条1項による算定を主張している。 本件においては,被告各物件の販売数量(同条項ただし書の適用の有無については後記(5)のとおり。)に,被告各物件の販売がなければ,原告らが販売できた原告製品1,2の単位数量当たりの利益の額を乗じたものを原告らの損害とするものであり,上記単位数量当たりの利益を算定するに当たっては,原告らの売上額から,原材料費など,原告らが侵害数量分を追加的に販売するために必要となった経費(変動経費)のみ を控除すべきこととなる(後述するとおり,本件においては,材料費,労務費,運賃,販売手数料のみを控除する。)。 イ原告製品1,2の製造,販売証拠(甲77,80),弁論の全趣旨によると,原告らは,本件各特許発明の実施品として,遅くとも平成8年3月以降,被告物件1に相当する製品として,GSO型及びその後継機種であるGSA型(原告製品1),NCS型(GSA型とほぼ同じであるが,平成8年度に販売したもの)を製造・販売し,被告物件2に相当する製品として,遅くとも平成8年3月以降,NAS-3型及びその後継機種であるNAS-5型(原告製品2)を製造・販売していることが認められる。 もっとも,平成11年度以前については,帳簿類等の資料が残っておらず,いつころまで,GSO型,NAS-3型を販売し,いつころから,後継機種である原告製品1,2を製造,販売したかについての詳しい事実は不明である(甲77には一応の数字が計上されているが,甲80によると,甲77は,担当者の机の中にあった資料に基づく いつころから,後継機種である原告製品1,2を製造,販売したかについての詳しい事実は不明である(甲77には一応の数字が計上されているが,甲80によると,甲77は,担当者の机の中にあった資料に基づく数字が記載されたというもので,その数字が全てを表すものであるかは不明である。)。 また,平成11年度以前におけるGSO型やNAS-3型,その後継機種である原告製品1,2の販売価格や経費の正確な数字は不明であり,特に,後継機種とそれ以前の機種とでは,これらの数値が相当異なることが窺われる(甲80)。 そうすると,平成11年度以前の侵害について,特許法102条1項を適用して算定することは相当でないというべきである。 (4) 原告製品1,2の単位数量当たりの利益ア販売価格証拠(甲75,76,計算鑑定の結果)によると,平成12年度から平成19年度までの間における,原告製品1,2の1台あたりの販売価 格は,別紙計算書の販売価格欄記載のとおりであると認められる。 なお,原告らは,各年度の販売価格を集計した上,その平均値を出している。また,経費についても同様のことを行っている。しかしながら,年度により,原告製品1,2の単位数量当たりの利益が変動する可能性のあることを考えると,年度毎で算定する方がより正確であると考えられるので,以下の計算においては,改めて平均値を出すことをせず,年度毎に経費,利益を算定することとする。 イ材料費について(ア) 証拠(甲35,36,43~52,58,61,62〔枝番を含む。〕,計算鑑定の結果)及び弁論の全趣旨によると,原告製品1,2の製造のために要した1台あたりの材料費は,別紙計算書の材料費欄記載のとおりであると認められる。 (イ) 制御盤の価格被告らは,当初,甲35,37,43ない 論の全趣旨によると,原告製品1,2の製造のために要した1台あたりの材料費は,別紙計算書の材料費欄記載のとおりであると認められる。 (イ) 制御盤の価格被告らは,当初,甲35,37,43ないし52,58,61,62(枝番を含む。)に計上された制御盤の価格は,コントロールボックスのみであり,メインボード,パネルボード,ROMボード(プログラム書き込み済),リレーボード,パワーサプライ等電源装置などが含まれていないと主張し,その後,メインボードにCPUが計上されていないと主張し,次に,CPUにプログラム代金が計上されていないと主張する。 しかし,証拠(甲60,甲61の1~6,甲62の1~6,甲65の1・2,甲71~73)によると,上記制御盤には,コントロールボックスだけでなく,メインボードなどの部品が含まれており,また,メインボードには,プログラムの記載されたCPUが含まれており,これら一体として代金が支払われた上,制御盤の代金として計上されていることが認められる。 (ウ) また,被告らは,甲35,37,43ないし52,61,62(枝番を含む。)に計上された部品には,定電圧供給器,表光源用高周波発信器,裏光源用高周波発信器,リレー・ソケット,端子台,スイッチ,ノイズフィルター,ヒューズボックス,ヒューズ,予備の蛍光ランプが漏れていると主張する。 しかし,証拠(甲60)によると,これらの部品に対応する部品が,いずれも,被告らが主張する帳簿において計上されていることが認められ,上記被告らの主張は理由がない。 ウ労務費(組立費)について(ア) 証拠(甲69,88.89,甲91の1~3,甲92の1・2,甲93,計算鑑定の結果)及び弁論の全趣旨によると,平成12年度から平成19年度までの間における,原告製品1, (組立費)について(ア) 証拠(甲69,88.89,甲91の1~3,甲92の1・2,甲93,計算鑑定の結果)及び弁論の全趣旨によると,平成12年度から平成19年度までの間における,原告製品1,2の製造のために要した1台あたりの労務費は,別紙計算書の労務費欄記載のとおりであると認められる。 (イ) ところで,証拠(甲69,89)によると,原告製品1,2を製造するために,原告製品1は47時間(平成14年度以降)ないし48時間(平成13年度まで),原告製品2は28時間を要することが認められる。 原告らは,原告らが,被告各物件の販売台数を余分に製造する場合,パートタイマーを利用することでまかなえるとして,パートタイマーの賃金(時給1000円)に基づく労務費を主張する。 しかし,原告製品1,2の製造をパートタイマーだけで行うことが可能であるとは考えにくい。また,特許法102条1項の趣旨からも,特許権者である原告らが,実際に得た売上から,実際に要した変動経費を控除して得られる利益をもって算定の根拠とすることが相当というべきである。なお,これまで,原告らにおいて,原告製品1,2 の製造にパートタイマーを使用することがあったとしても,原告製品1,2の製造にどの程度携わったのかどうかは不明である。 (ウ) そこで,計算鑑定書の記載のとおり,実際に要した労務費を基準として,控除すべき労務費を求めるべきであると考えるが,算定方法として,前記(イ)で述べた原告製品1,2の製造時間に原告ニシハツ産業の従業員の一時間当たりの平均賃金を乗じて算出する方法と,原告ニシハツ産業の工場における全労務費に原告ニシハツ産業の売上における原告製品1,2の売上の割合を乗じて算出する方法の2通りが考えられる。 前者については,手待ち時間などが十分に する方法と,原告ニシハツ産業の工場における全労務費に原告ニシハツ産業の売上における原告製品1,2の売上の割合を乗じて算出する方法の2通りが考えられる。 前者については,手待ち時間などが十分に考慮されない可能性のあること,後者については,高い労務費を要しない売上が相当数ある可能性のあることが考慮されなければならない。 そして,前記(3)アで述べたとおり,特許法102条1項における単位数量当たりの利益を算定するに当たっては,原告らの売上額から,原材料費など,原告らが侵害数量分を追加的に販売するために必要となった経費(変動経費)のみを控除すべきであるところ,本件においては,前者の算定方法を採用することが,より上記控除の趣旨に沿うものと考えられるが,必ずしも容易に労働力を確保することができるわけでないこと,手待ち時間が一定程度あると考えられること,後記カのとおり,原告ニシハツ産業の従業員が据付の作業を行う場合があることが窺われることを併せ考慮し,前者の算定方法によって得られる労務費の1.25倍の金額をもって,控除すべき労務費とすることが相当である。 エ運送費証拠(甲33,34,計算鑑定の結果)及び弁論の全趣旨によると,平成12年度から平成19年度までの間における,原告製品1,2の販 売のために要した1台あたりの運送費は,別紙計算書の運送費欄記載のとおりであると認められる。 オ販売手数料証拠(甲66~68,計算鑑定の結果)及び弁論の全趣旨によると,平成12年度から平成19年度までの間における,原告製品1,2の1台あたりの販売手数料は,別紙計算書の販売手数料欄記載のとおりであると認められる。 カ据付費用被告らは,原告製品1,2の据付費用を控除すべきであると主張する。 しかし,少なくとも,原告ら 台あたりの販売手数料は,別紙計算書の販売手数料欄記載のとおりであると認められる。 カ据付費用被告らは,原告製品1,2の据付費用を控除すべきであると主張する。 しかし,少なくとも,原告らにおいて,原告製品1,2を商社や販売店を通じて販売した場合は,販売手数料を支払うものの,原告らの従業員が据付工事を行っているわけではないことが窺われる(弁論の全趣旨)。 そして,原告らの従業員が据付工事を行う場合については,前述した労務費を算定するに際し考慮した調整により,まかなえているものと考える。 キ減価償却費,広告宣伝費被告らは,減価償却費,広告宣伝費についても変動経費として控除すべきであると主張する。 しかし,特許権者が侵害数量分を追加的に販売するために必要となった経費(変動経費)の中に,減価償却費を含めることはできない。 また,広告宣伝費についても同様のことがいえる。原告製品1,2の売上と相関関係を認めることのできる広告宣伝費があった場合は,変動経費と見ることも可能であるが,そのような事情を認めるに足りる証拠はない。 したがって,これらの経費を,原告製品1,2の製造,販売にかかる変動経費として計上することはしない。 ク原告ニッカ電測の経費について被告らは,原告ニッカ電測に発生しているはずの経費を控除すべきであると主張する。 しかし,原告らは,少なくとも,平成12年度以降については,原告製品1,2の単位数量当たりの利益として,原告ニシハツ産業の利益のみを計上しているのであるから,上記利益を算定するにあたり,原告ニッカ電測に発生した経費があったとしても,これを控除する必要はないというべきである(なお,原告ニシハツ産業にだけ多くの利益を生じさせ,原告ニッカ電測には赤字を発生させるようなことが にあたり,原告ニッカ電測に発生した経費があったとしても,これを控除する必要はないというべきである(なお,原告ニシハツ産業にだけ多くの利益を生じさせ,原告ニッカ電測には赤字を発生させるようなことが行われたような形跡は窺えない。また,平成11年度以前の販売については,特許法102条1項を適用すべきでないことについては,前記(3)イで述べたとおりである。)。 (5) 寄与率ア特許法102条1項ただし書は,「(侵害者による)譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を特許権者又は専用実施権者が販売することができないとする事情があるときは,当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。」と規定されているところ,競合品や代替品の存在,販売力などに関する事情も上記ただし書における事情として考慮することができ,被告らが主張する寄与率もその1つの事情として考慮することができると考える。 イ被告らは,被告各物件の有する機能のうち,本件各特許発明が使用された機能は一部であるから寄与率に応じた減額をすべきであると主張する。 たしかに,被告物件2は,乾海苔の表,中,裏の異物検出を行う機能を有しており,本件各特許発明は,裏面の検出機能に使用されている。 さらに,被告物件1は,上記3つの機能に加え,破れ・穴あき等の形状 検査機能と10枚ずつカウントする機能を有している(弁論の全趣旨)。 しかし,上記裏異物の検出機能に本件各特許発明を使用しており,これが特許により独占的実施を保証されており,上記機能が被告各物件の売上に寄与している場合は,他の機能が付加されているからといって,本件各特許発明の寄与率を上記機能が機能全体に占める量的割合に限定させる必要はない。 ウそこで,被告各物件における本件各特許発明が売上に与えた寄与率を検 他の機能が付加されているからといって,本件各特許発明の寄与率を上記機能が機能全体に占める量的割合に限定させる必要はない。 ウそこで,被告各物件における本件各特許発明が売上に与えた寄与率を検討する。 (ア) 裏異物検出機能の意義証拠(甲26,57)及び弁論の全趣旨によると,次の事実を認めることができる。 近時,コンビニエンスストアなどでおにぎりが多く売れるようになり,海苔の需要が高まるとともに,厳しい品質管理が求められるようになった。 海苔の場合は,異物の混入の有無が品質にも大きく影響し,その検出が重要な課題となっており,また,そのための装置が開発されてきた。 そして,原告製品1,2及び被告各物件は,いずれも,乾海苔を一度くぐらせるだけで,その表面,中,裏面の異物を検出することができる機能を有しており,これが同時にできないと,同じ作業を繰り返す必要があり,検出作業に要する手間や時間が増える(仮に,1台の機械をもって検出作業をするのであれば,2倍近い時間がかかる。2台〔2種類〕の機械を同時に使用する場合は,同様の時間を要することはないが,検出機の購入代金が割高になることが予想されることのほか,2台分の設置場所や,検出機から排出された乾海苔を,改めて別の検出機にセットする手間を要する。)。 したがって,表面や中だけでなく,裏面の異物検出機能を有し,1回の搬送で検出を終えることのできる機能は,海苔異物検出機の販売に際し,大きな貢献を果たしているというべきである。 (イ) 本件各特許発明と代替技術本件明細書によると,本件各特許発明の出願以前の海苔の異物検出に関する従来技術として,目視に頼るか,上下のローラーで挟んでその厚みにより異物を検出する方法が記載されている。 しかし,その一方で,次に述 細書によると,本件各特許発明の出願以前の海苔の異物検出に関する従来技術として,目視に頼るか,上下のローラーで挟んでその厚みにより異物を検出する方法が記載されている。 しかし,その一方で,次に述べるとおり,海苔の異物を検出する機能を有した装置自体は,開発がすすみ,普及していったことが窺われる。 被告各物件においても,裏面検出機能のほか,表面検出機能と中検出機能を具備しているところ,中検出は検出対象物が違うものの,少なくとも表面検出機能については,その機能において違いがあるわけではない(前述したとおり,裏返しした上での検出が議論されているが,そもそも,そのような検出方法が不可能であることを前提とした議論はされていない。)。 また,証拠(乙49)によると,本件各特許発明の出願後の文献であるが,平成7年当時,光学的システムにより,乾海苔の表裏に付着した異物の検出方法が開示されている(ここに紹介された技術は,本件特許発明1のようなベルトコンベア間の間隙を要するものではなく,本件特許発明1の技術的範囲に属する技術ではない。)。 さらに,原告らは,被告各物件とともに侵害品であるとして主張していたES型に関する請求について,訴えを取り下げている(記録上明らかな事実)。その理由については,ES型についても,裏面異物検出機能にかかる装置が付加されていたが,原告らは,同装置が,本件各特許発明の技術的範囲に属さないと判断したものと推測される(乙 30~32によると,光源の照射する海苔搬送面の裏側に接する形でローラーがあるため,本件各特許発明の効果を発揮しているとは考えにくい。)。 このように,被告各物件の表面検出機能や,ES型の表面,裏面検出機能にかかる装置は,いずれも本件各特許発明の技術的範囲に属しておらず,平成8年3月2 明の効果を発揮しているとは考えにくい。)。 このように,被告各物件の表面検出機能や,ES型の表面,裏面検出機能にかかる装置は,いずれも本件各特許発明の技術的範囲に属しておらず,平成8年3月28日以降,被告各物件が販売されていた時点で,既に,本件各特許発明の代替技術が存していたことが認められる。 (ウ) 原告らも長期間にわたり,被告らによる本件各特許発明の使用を気付かなかったこと実際,原告らは,被告らの被告各物件の製造,販売を知りながら,本件特許発明1の使用に気付かなかったわけであるが(後記4),このことからも,被告各物件の販売において,本件各特許発明を使用していることが,被告各物件の販売へ大きな影響を与えたとはいえない(裏面検出機能の具備と本件特許発明1の使用とは同義ではない。)。 また,被告各物件や原告製品1,2の広告用パンフレット(甲3,90)を見ても,本件各特許発明の機能や効果に関する言及は見あたらない。 (エ) 本件特許発明2の寄与率なお,被告物件1の前期型及び被告物件2は,本件特許発明2の技術的範囲に属し,被告物件1の後期型については,本件特許発明2の技術的範囲に属していないが(前記2),本件特許発明2の使用の有無によって,実際にどの程度,検出効果が異なるかは不明であるし,被告各物件の販売に際し,この点についての違いの分かる販売方法をとってはいない。 したがって,本件特許発明2の使用の有無については,売上に対す る寄与率に,ほとんど差を認めることはできない。 エその他の事情原告製品1の販売台数は,平成12年度以降,440台である(甲30。別紙計算書「GSA販売台数」欄参照)。また,それ以前の販売台数については,平成8年3月28日以降に限ると,少なくとも201台であり,その従 の販売台数は,平成12年度以降,440台である(甲30。別紙計算書「GSA販売台数」欄参照)。また,それ以前の販売台数については,平成8年3月28日以降に限ると,少なくとも201台であり,その従来機種であるGSO型については,131台であり,類似機種であるNCS型については31台(合計803台)である(甲77,78。なお,甲77については,記載された台数が全てであるかどうかについての信用性を認めることはできないが,少なくとも,記載された台数の販売があったことは認定してよいと考える。)。 これと同様,原告製品2の販売台数は,平成12年度以降,238台であり(甲30。別紙計算書「NAS-5販売台数」欄参照),それ以前の販売台数については,平成8年3月28日以降に限ると,少なくとも87台あり,その従来機であるNAS-3型については60台(合計385台)であったことが認められる(甲77)。 一方,平成8年3月28日以降の,被告各物件の販売台数は,前記(2)のとおり,被告物件1が301台,被告物件2が227台であると認めることができる(別紙計算書「FE販売台数」「E販売台数」欄参照)。 原告ニシハツ産業と被告らは,いずれも海苔選別機械メーカーであり,原告ニシハツ産業の方がシェアは大きいことが窺われるものの(乙65),ライバル企業であり,これまでにも立場を変えて訴訟で争うなど(乙69),鎬を削る争いをしてきたことが容易に推測される(弁論の全趣旨)。 ところで,前述した販売台数の推移を見ても,被告らの被告各物件の販売により,原告らの販売台数に影響があったことを推論することは困難であり,販売単価もあまり変わらず(別紙計算書「販売価格」欄参照),しかも,比較的高額の機械であることや,協同組合などを通じた販売が 想定されるような 影響があったことを推論することは困難であり,販売単価もあまり変わらず(別紙計算書「販売価格」欄参照),しかも,比較的高額の機械であることや,協同組合などを通じた販売が 想定されるような場合では,顧客の流動性は低いと推定され,これらの事情を総合考慮すると,被告各物件の販売台数を原告らが販売することについては,相当程度の困難が予想される。 オ以上を総合すると,被告物件1の後期型の販売における寄与率は20%,被告物件2の販売における寄与率は25%と認めるのが相当である。 (6) 特許法102条1項に基づく算定結果(平成12年度~平成19年度)以上によると,平成12年度(始期:平成12年7月1日)から平成19年度(終期:平成20年6月末日)までの間,被告らが被告各物件を販売したことによる,原告らの損害は,別紙計算書記載「GSA・H12/7~H20/6・1項合計」欄(7272万7486円)及び「NSA-5・H12/7~H20/6・1項合計」欄(2500万6493円)のとおりであり,合計9773万3979円であると認められる。 なお,この金額は,原告らの主張する特許法102条2項による計算(被告各物件の販売台数及び寄与率については,前記(2),(5)で認定した数値を採用する。),原告らの主張する同条3項による計算と比べ,多額である(別紙計算書参照)。 (7) 平成8年3月28日から平成11年度(終期:平成12年6月末日)までの販売期間における損害の算定ア前記(3)イで述べたとおり,上記期間について,特許法102条1項に基づき損害を算定することはできないので,同条2項もしくは同条3項により算定をすることとする。 イ特許法102条2項に基づく算定結果上記期間において,被告らが被告各物件を販売したことによる損害 づき損害を算定することはできないので,同条2項もしくは同条3項により算定をすることとする。 イ特許法102条2項に基づく算定結果上記期間において,被告らが被告各物件を販売したことによる損害を,特許法102条2項に基づき算定した場合,原告らの主張する数値をそのまま採用しても(被告各物件の販売台数及び寄与率については,前記 (2),(5)で認定した数値を採用する。),別紙計算書記載「GSA・H8~H11・2項合計」欄(693万4218円)及び「NSA-5・H8~H11・2項合計」欄(650万3055円)のとおり,合計1343万7273円となる。 しかし,原告ら主張に基づく上記計算は,被告各物件の製造にかかる労務費が控除されておらず,直ちに採用することは困難である。そして,仮に,原告製品1,2と同様の労務費が必要であると考えると(GSA型で約11万円余,NAS-5型で約6万円余),後述する特許法102条3項に基づく算定結果より低額になると考えられる。 ウ特許法102条3項に基づく算定結果上記期間において,被告らが被告各物件を販売したことによる損害の特許法102条3項に基づく算定は,被告各物件の上記期間における売上に実施料率を乗じることによって行う。 証拠(甲28)及び弁論の全趣旨によると,本件各特許発明の実施料率は5%と認めることが相当である。 そうすると,上記期間における損害を特許法102条3項により算定すると,別紙計算書記載「GSA・H8~H11・3項合計」欄(647万4614円)及び「NSA-5・H8~H11・3項合計」欄(662万6516円)のとおり,合計1310万1130円となる(なお,この期間における損害についても,本来,原告ニシハツ産業と原告ニッカ電測の損害を個別に算定すべきであるが,前 11・3項合計」欄(662万6516円)のとおり,合計1310万1130円となる(なお,この期間における損害についても,本来,原告ニシハツ産業と原告ニッカ電測の損害を個別に算定すべきであるが,前提事実(5)のとおり,損害賠償請求権に関する合意がされていることを考えると,本件特許権の共有者である原告らの損害を算定することで足りると解する。)。 (8) 弁護士費用本件事案の内容,訴訟の経緯,認容額等の諸般の事情を考慮すると,本件特許権侵害と相当因果関係のある損害としての弁護士費用は,原告それ ぞれ400万円が相当であると認める。 (9) まとめ以上によると,被告らが被告各物件を販売したことにより,原告らが被った損害は,合計1億1883万5109円であると認めることができる。 したがって,被告らは,原告らに対し,それぞれ損害賠償として5941万7554円及びこれに対する年5%の割合による遅延損害金を支払う義務がある。 消滅時効の成否(1) 被告らは,被告各物件が販売された直後には,原告らは損害及び加害者を知っていたと主張し,消滅時効を援用する。 しかし,証拠(甲64の1~3)及び弁論の全趣旨によると,原告らは,平成18年4月ころ,被告物件2が本件各特許発明の技術的範囲に属することを知ったと認めることができるが,それ以前に,原告らがこれらの事実を知ったと認めるに足りる証拠はない。 (2) 被告らは,原告ニッカ電測が,平成7年11月15日,被告川島製作所に対し,異議申立書(乙76の1)を送付したことをもって,被告各物件による本件特許権の侵害を知っていたはずであると主張する。 しかし,上記書面は,送付案内(乙76の2)においては,異議申立書という文書名となっているが,書面自体には表題はなく,その内容は 告各物件による本件特許権の侵害を知っていたはずであると主張する。 しかし,上記書面は,送付案内(乙76の2)においては,異議申立書という文書名となっているが,書面自体には表題はなく,その内容は,原告ニッカ電測が海苔異物の検出方法について,特許公告を受けていることを通知するとともに,海苔異物検出機を製造,販売する被告川島製作所に対し,「上記特許公告との関係におきまして,権利上の問題が生じないようくれぐれもご留意下さいますようお願い申し上げます。」というのみであり(乙76の1),上記書面の送付をもって,原告らが,送付の時点で,被告各物件の製造,販売が本件特許権を侵害していることを知っていたと認めることはできない。 (3) また,被告らは,原告ニシハツ産業の製品と被告らの製品が同じ会社で購入され,使用されている例がある(乙78)と主張するが,上記事実が認められたからといって,原告製品1,2のメンテナンスをした原告側の担当者が,被告各物件の内部を調査するとは限らない(むしろ,そのようなことは考えにくい。)。したがって,このような事実をもって,原告らが,被告各物件の製造,販売による本件特許権侵害を,前記(1)の時期より早期に発見していたと認めることはできない。 第5 結論以上によると,原告らの請求は,いずれも,被告らに対し,連帯して,それぞれ5941万7554円及びうち5821万6402円(平成8年度から平成18年度における販売行為に基づく損害であり,平成18年度分については,平成19年4月分までの10か月分を月割合によって算定したもの)に対する平成19年5月15日(本件訴状送達の日の翌日)から,うち19万5524円(平成18年度における販売行為に基づく損害のうち,平成19年5月分と6月分について,2か月分を月割合 算定したもの)に対する平成19年5月15日(本件訴状送達の日の翌日)から,うち19万5524円(平成18年度における販売行為に基づく損害のうち,平成19年5月分と6月分について,2か月分を月割合によって算定したもの)に対する平成19年7月1日(平成18年度が経過した翌日)から,うち100万5628円(平成19年度における販売行為に基づく損害)に対する平成20年7月1日(平成19年度が経過した翌日)からそれぞれ支払済みまで年5%の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は失当であるから棄却し,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条,65条1項を,仮執行の宣言につき同法259条1項を,仮執行宣言の免脱につき同法259条3項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第26民事部 裁判長裁判官山田陽三 裁判官達野ゆき 裁判官北岡裕章は,転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官山田陽三 被告物件目録 1 「FE型」一郎 (形状・異物選別機「カウント一体型」) 2 「E型」 三郎 (異物専用選別機) 被告物件説明書被告各物件は,乾海苔用の夾雑物検出装置を備えた異物選別機構(被告各物件に投入された乾海苔の表面〔上面〕,中〔内部〕または裏面〔下面〕に付着した夾雑物を,表異物,中異物,裏異物としてそれぞれに検出して選別手段へ伝達し,当該乾海苔とそれ以外とを選別可能とする装置)を有する。この異物選別機構中,「裏異物」についての夾雑物検出装置は,次の構成を有する。 なお,被告物件2は,上記異物検出・海苔選別 選別手段へ伝達し,当該乾海苔とそれ以外とを選別可能とする装置)を有する。この異物選別機構中,「裏異物」についての夾雑物検出装置は,次の構成を有する。 なお,被告物件2は,上記異物検出・海苔選別の専用機であり,被告物件1は,上記異物選別に加えて,形状判別の機能を備えている。 a 乾海苔(幅19㎝×長さ21㎝規格の長方形)の水平搬送手段として,幅18㎝の平ベルトからなる前段の駆動ベルトコンベア(1)と,直径4㎜のヒモベルト8本からなる中段の駆動ベルトコンベア(2)と,一本の駆動ローラーコンベア(3)と,直径5㎜のヒモベルト4本からなる後段の駆動ベルトコンベア(4)が,それぞれ間隔を存しつつ,順に配設されて海苔搬送面(25)が形成されている。なお,中段の駆動ベルトコンベア(2)と後段の駆動ベルトコンベア(4)の間隔は,被告物件1で21.5㎝,被告物件2で20.9㎝である。 b 搬送手段たる駆動ベルトコンベア(2),(4)の間には,1本の駆動ローラーコンベア(3)と,海苔搬送面(25)に沿ってその下方に海苔搬送用のガイド板(5)とガイド板(5)とが順次配設されているところ,離間して設けられた該ガイド板(5)とガイド板(5)の間には,間隙(24)が搬送面を横断するようにして形成されている。 ガイド板(5)とガイド板(5)の間の間隙(24)の直下には,海苔搬送面(25)に対して下側に裏異物用光源(10)として高周波蛍光灯ユニットが設けられており,斜め上方の該間隙の検出位置に向けて照射可能となっている。 なお,裏異物用光源(10)からの照射角度は,搬送面(25)に対して,被告物件1の前期型と被告物件2については約70°であり,被告物件1の後期型については80°と90°に可変である。 c 該裏異物用光源(10)が該間隙に向け らの照射角度は,搬送面(25)に対して,被告物件1の前期型と被告物件2については約70°であり,被告物件1の後期型については80°と90°に可変である。 c 該裏異物用光源(10)が該間隙に向けて照射した光の反射光(搬送されていく乾海苔下面からの反射光)を受光可能なラインイメージセンサ(13)としてCCDカメラ(オムロン社製:3X2CA-ZLF-N等)が該搬送面(25)の斜め下方30°のところに約40㎝の距離をおいて設けられている。 d 搬送されていく海苔下面からの検出位置における反射光は該CCDカメラのレンズで順次集光され,直線的に配置された受光素子によって順次光電変換され,順次電気信号として異物選別機の制御盤(21)の内部に収納された回路基板(22)へと送信されていくことで,該回路基板(22)内にて光量の変化を検出しうる仕組みとなっている。 e 該制御盤(21)の表面のスイッチや表示の具体的な配置は,被告各物件それぞれに異なるものの,異物選別機本体を始動する運転スイッチ(14),選別用の各光源(8),(9),(10)を点灯させる選別動作スイッチ(15),表異物,中異物,裏異物のそれぞれの箇所の選別の有無を個別に指示する動作スイッチ(16),乾海苔の表,中,裏に付着した各異物の検出感度を調節するための感度スイッチ(17),通過した乾海苔の光量を表異物,中異物,裏異物のいずれかの入光量をデジタル方式で数値表示する入光量表示(19)と,該入光量表示で表示させる異物の種類を切り換えるための入光量表示切り換えスイッチ(18)が備わっている。 f 前記感度スイッチ(17)によって入力された裏異物の検出感度の設定値に基づき,前記回路基板において検出されている光量を設定値と対照して設定値以上になったときには,選別手段のシャッター(20)を作 f 前記感度スイッチ(17)によって入力された裏異物の検出感度の設定値に基づき,前記回路基板において検出されている光量を設定値と対照して設定値以上になったときには,選別手段のシャッター(20)を作動せしめるべく夾雑物混入信号を出力することで夾雑物混入の乾海苔を選別可能とした。 a~fの構成からなる乾海苔の夾雑物検出装置である。 そして,上記のa~fの構成からなる夾雑物検出装置からの信号出力に基づき,選別手段のシャッター(20)を動作させ,ベルトコンベア(2),間隙(24)及び前記ベルトコンベア(4)上を通過して搬送されてきた乾海苔は,夾雑物の混入の有無によって夾雑物混入海苔収納用のバケット(23)へと乾海苔を振り分けることが可能となっている。 被告各物件は,本体機構部とその上部に制御盤が組み合わされてなるが,本体部側面は鉄製の外装パネルに覆われており,外観からは上記の裏異物選別機構を看取することはできない構造となっている。 図面の説明図1 被告物件2の寸法図図2 被告物件2の本体内部機構概略図図3 被告物件2の制御盤のパネル表示部図4 被告物件1前期型の本体内部機構概略図図5 被告物件1後期型の寸法図図6 被告物件1後期型の本体内部機構概略図 符号の説明 1 駆動ベルトコンベア 2 駆動ベルトコンベア 3 駆動ローラーコンベア 4 駆動ベルトコンベアガイド板 6 押さえローラー 7 吸引ローラー 8 表異物用光源 9 中異物用光源裏異物用光源 11 表異物用ラインイメージセンサ 12 中異物用ラインイメージセンサ 13 裏異物用ラインイメージセンサ 14 運転スイッチ選別動作スイッチ 16 動作スイ 物用光源 表異物用ラインイメージセンサ 中異物用ラインイメージセンサ 裏異物用ラインイメージセンサ 運転スイッチ選別動作スイッチ 動作スイッチ 感度スイッチ 入光量表示切り換えスイッチ 入光量表示シャッター(選別手段) 制御盤 回路基板 バケット 間隙搬送面

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