【DRY-RUN】主 文 本件抗告を棄却する。 抗告費用は抗告人らの負担とする。 理 由 抗告代理人青柳盛雄の抗告理由第一点について。 平和条約発効前においては、わ
主 文 本件抗告を棄却する。 抗告費用は抗告人らの負担とする。 理 由 抗告代理人青柳盛雄の抗告理由第一点について。 平和条約発効前においては、わが国の国家機関及び国民は、連合国最高司令官の 発する一切の命令指示に誠実且つ迅速に服従する義務を有し(昭和二〇年九月二日 降伏文書五項、同日連合国最高司令官指令一号一二項)、わが国の法令は右指示に 牴触する限りにおいてその適用を排除されるものであることは、当法廷の判例とす るところである(昭和二六年(ク)一一四号、同二七年四月二日大法廷決定、民集 六巻四号三八七頁参照)。 論旨は右と反対の独自の見解を主張するものであるから採るを得ない。 同第二点について。 一般に民事上の法律行為の効力は、他に特別の規定がないかぎり、行為当時の法 令に照らして判定すべきものである。 原判示によれば、抗告人D、同Eは、いずれも日本共産党員であつて、同人らに 対する本件解雇は連合国最高司令官の指示に基いてなされたものであるというので ある。そして右連合国最高司令官の指示が、当時わが国の国家機関及び国民に対し て、法規としての効力を有するものであつたことは、前示当法廷の判例の趣旨とす るところであるから、右指示に基いてなされた本件解雇の効力は、その後右指示が 平和条約の発効とともに効力を失つたとしても、何ら影響を被るものではない。所 論平和条約発効後は裁判権がない旨の主張は独自の見解に出ずるものであつて、採 るを得ない。 同第三点について。 - 1 - 所論連合国最高司令官の指示が、所論の如く、ただ単に「公共的報道機関」につ いてのみなされたものではなく、「その他の重要産業」をも含めてなされたもので あることは、当時同司令官から発せられた原審挙示の屡次の声明及び書簡の趣旨に 徴し明らかであ 、ただ単に「公共的報道機関」につ いてのみなされたものではなく、「その他の重要産業」をも含めてなされたもので あることは、当時同司令官から発せられた原審挙示の屡次の声明及び書簡の趣旨に 徴し明らかであるばかりでなく、そのように解すべきである旨の指示が、当時当裁 判所に対しなされたことは当法廷に顕著な事実である。そしてこのような解釈指示 は、当時においてはわが国の国家機関及び国民に対し、最終的権威をもつていたの である(昭和二〇年九月三日連合国最高司令官指令二号四項参照)。 されば原決定が、前示声明及び書簡の趣旨を原判示の如くに解したことは結局正 当であつて、何ら所論のような違法は認められない。それゆえ論旨は採るを得ない。 なお、D及びEを除くその余の抗告人らについては、原決定は右連合国最高司令 官の指示に基く解雇により労働契約が終了したと認定したものでないことは、判文 上明らかであるから、所論は前提を欠き、これまた採るを得ない。 よつて、本件抗告はこれを棄却すべきものとし、抗告費用の負担につき民訴八九 条を適用し、裁判官全員の一致で主文のとおり決定する。 昭和三五年四月一八日 最高裁判所大法廷 裁判長裁判官 田 中 耕 太 郎 裁判官 小 谷 勝 重 裁判官 島 保 裁判官 斎 藤 悠 輔 裁判官 藤 田 八 郎 裁判官 河 村 又 介 裁判官 入 江 俊 郎 裁判官 池 田 克 - 2 - 裁判官 村 又 介 裁判官 入 江 俊 郎 裁判官 池 田 克 - 2 - 裁判官 垂 水 克 己 裁判官 河 村 大 助 裁判官 奥 野 健 一 裁判官 高 橋 潔 裁判官 高 木 常 七 裁判官 石 坂 修 一 - 3 -
▼ クリックして全文を表示