平成13(ネ)372 損害賠償等請求控訴

裁判年月日・裁判所
平成15年3月12日 名古屋高等裁判所 津地方裁判所 四日市支部
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判決文本文18,894 文字)

主文 1 原判決を次のとおり変更する。 2 被控訴人野村ホールディングス株式会社引受参加人野村證券株式会社(以下「引受参加人」という。)及び被控訴人Aは,控訴人Bに対し,各自242万1151円及びこれに対する平成6年11月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 引受参加人及び被控訴人Aは,控訴人Cに対し,各自284万2324円及びこれに対する平成8年1月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 控訴人らのその余の請求(控訴人Cの当審請求拡張部分を含む。)をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は,第1,2審を通じて,これを10分し,その3を引受参加人及び被控訴人Aの,その7を控訴人らの,それぞれ負担とする。 6 この判決は,2項及び3項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴人ら(1) 原判決を取り消す。 (2) 引受参加人及び被控訴人Aは,控訴人Bに対し,各自1061万1289円及びこれに対する平成6年11月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 引受参加人及び被控訴人Aは,控訴人Cに対し,各自1069万9990円及びこれに対する平成8年1月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ( なお,控訴人Cは,当審において請求金額を1033万8275円から1069万9990円に増額して,請求の拡張をした。)(4) 訴訟費用は,第1,2審とも,引受参加人及び被控訴人Aの負担とする。 (5) 仮執行の宣言 2 引受参加人及び被控訴人A(1) 本件控訴及び控訴人Cの当審請求拡張部分をいずれも棄却する。 (2) 控訴費用は控訴人らの負担とする。 第2 事実関 人Aの負担とする。 (5) 仮執行の宣言 2 引受参加人及び被控訴人A(1) 本件控訴及び控訴人Cの当審請求拡張部分をいずれも棄却する。 (2) 控訴費用は控訴人らの負担とする。 第2 事実関係本件は,脱退被控訴人(旧商号野村證券株式会社,以下「野村證券」という。)の従業員であった被控訴人Aから,証券取引の勧誘を受けて野村證券における株式等の有価証券取引を行った控訴人らが,Aにおいて,控訴人らが証券取引に関する知識,経験,意向及び資力に照らし,取引についての適合性を欠くにもかかわらずこれを勧誘し,また,控訴人らに対し,必ず利益が上がるかのような断定的判断を提供し,あるいは,控訴人らの計算で無断ないし一任売買を行ったり,過当売買を行ったものであり,これらAの行為は,一体となって不法行為を構成し,野村證券は使用者責任があり,控訴人らは,この不法行為によって損失を被った等として,野村證券及びAに対し,不法行為による損害賠償請求権に基づき,損失相当額の損害賠償をそれぞれ求めたところ,原審が控訴人らの請求をいずれも棄却したことに対して,控訴人らが控訴した事案である。 なお,本訴が当審に係属中の平成13年10月1日,脱退被控訴人は,会社分割を行い,野村證券株式会社から野村ホールディングス株式会社に商号を変更し,証券業その他証券取引法に基づき営む業務に関連する権利義務は,上記引受参加人野村證券株式会社(分割当時,野村證券分割準備株式会社)に承継されたものである(当裁判所に顕著な事実)。 1 争いない事実及び証拠(括弧内の証拠)によって容易に認められる事実(1) 野村證券は,証券業を営むことを目的とした株式会社であり,Aは,平成4年4月,野村證券に入社し,控訴人B及び控訴人Cの後記本件各取引当時,野村證券四日市支店に勤務する営 に認められる事実(1) 野村證券は,証券業を営むことを目的とした株式会社であり,Aは,平成4年4月,野村證券に入社し,控訴人B及び控訴人Cの後記本件各取引当時,野村證券四日市支店に勤務する営業員であった(乙70)。 Bは,C及び原審原告(原審において和解成立)Dの実母であり,DはB及びCの後記本件各取引当時,Aと交際していた。 (2) Bは,Aの勧誘により,野村證券を通じて証券取引を行ったが,その内容は,原判決別紙第一売買取引計算書記載のとおり,「銘柄」欄記載の商品について,「買付」欄記載の買付けをし,「売付」欄記載の売付けを,それぞれしたものである(乙1,以下これらの証券取引を「Bの本件取引」という。)。 また,Cは,野村證券を通じて証券取引を行ったが,その内容は,原判決別紙第二売買取引計算書記載のとおり,「銘柄」欄記載の商品について,「買付」欄記載の買付けをし,「売付」欄記載の売付けを,それぞれしたものである(乙2,以下これらの証券取引を「Cの本件取引」という。)。 2 争点1(本件不法行為の成否について)(Bの主張)(1) 次のとおり補正をするほか,原判決6頁11行目から同11頁2行目までのとおりである。 (2) 原判決11頁3行目から同12頁3行目までを次のように改める。 「Bの本件取引における売買回転率(年間買付総額を月平均投資額で除したもの)は5.13となる。すなわち,Bの本件取引期間は,平成5年4月から平成6年11月までの20か月であり,この取引期間全体における月平均投資額は1695万1037円(月末投資残高合計3億3902万0742円÷20か月=1695万1037円)であるところ,買付総額は1億4506万1048円であるので,売買回転率は,5.13(買付総額1億4 1695万1037円(月末投資残高合計3億3902万0742円÷20か月=1695万1037円)であるところ,買付総額は1億4506万1048円であるので,売買回転率は,5.13(買付総額1億4506万1048円÷20か月×12か月÷月平均投資額1695万1037円=5.13)となる。 また,手数料割合(年間手数料総額を月平均投資額で除したもの)は,9パーセントとなる。すなわち,Bの手数料総額は253万7062円であり,月平均投資額は上記のとおり1695万1037円であるので,手数料割合は9.0パーセント(手数料総額253万7062円÷20か月×12か月÷月平均投資額1695万1037円×100=9.0)となる。 したがって,本件が過当売買にあたることは明らかである。 (5) 以上のとおり,Bに対し,Aの行った適合性の原則に反する勧誘行為,断定的判断の提供,無断売買ないし一任売買,過当売買等の行為は,全体として不法行為を構成するものである。」(Cの主張)(1) 次のとおり補正をするほか,原判決12頁4行目から同14頁4行目までのとおりである。 (2) 原判決14頁5行目から同15頁11行目までを次のように改める。 「Cの本件取引における売買回転率は6.15となる。すなわち,Cの本件取引期間は,平成5年5月から平成8年1月までの33か月であり,この取引期間全体における月平均投資額は691万6034円(月末投資残高合計2億2822万9122円÷33か月=691万6034円)であるところ,買付総額は1億1708万4301円であるので,売買回転率は6.15(買付総額1億1708万4301円÷33か月×12か月÷月平均投資額691万6034円=6.15)となる。 であるところ,買付総額は1億1708万4301円であるので,売買回転率は6.15(買付総額1億1708万4301円÷33か月×12か月÷月平均投資額691万6034円=6.15)となる。 また,手数料割合は,10パーセントとなる。すなわち,Cの手数料総額は190万3847円であり,月平均投資額は上記のとおり691万6034円であるので,手数料割合は10.0パーセント(手数料総額190万3847円÷33か月×12か月÷月平均投資額691万6034円×100=10.0)となる。 したがって,本件が過当売買にあたることは明らかである。 (5) Aは,管理していたC名義の口座を勝手に利用してTHK株を平成5年11月29日買い付けて同年12月3日に売却したが,これによる売却利益12万8910円を着服し,同様にして,チャイナオーバーシーズ株を同年12月9日に買い付けて平成6年1月5日に売却し,その売却利益23万2805円を着服した。 (6) 以上のとおり,Cに対し,Aの行った適合性の原則に反する勧誘行為,断定的判断の提供,無断売買ないし一任売買,過当売買,株式売却代金の着服等の行為は,全体として不法行為を構成するものである。」(引受参加人及びAの主張)(1) 次のとおり補正するほか,原判決16頁2行目から同26頁3行目までのとおりである。 (2) 原判決25頁1行目と2行目の間に次のとおり付加する。 「(3) Bの本件取引における益取引に関する手数料の合計は137万5895円であり,損取引に関する手数料の合計は99万2147円である。 また,Cの本件取引における益取引に関する手数料の合計は75万9655円であり,損取引に関する手数料の合計は113万3299円であ 引に関する手数料の合計は99万2147円である。 また,Cの本件取引における益取引に関する手数料の合計は75万9655円であり,損取引に関する手数料の合計は113万3299円である。 したがって,手数料割合算定の手数料は,損取引に限定すべきであり,控訴人らの主張する手数料割合は争う。」 3 争点2(野村證券の使用者責任の有無について)(1) 控訴人らの主張野村證券は,Aの使用者であり,Aが野村證券の業務として有価証券の売買取引等に関して上記不法行為を行い,控訴人らに後記損害を発生させたから,野村證券は民法715条の使用者責任を負うものである。 (2) 引受参加人の主張争う。 4 争点3(損害について)(1) 控訴人らの主張ア Bは,本件取引によって,合計910万1289円の損害(原判決別紙第一売買取引計算書の「差引損益」欄記載末尾の損失673万7171円に後記第3,3,(B関係)(1)記載の本訴提起時において保有していた各株式の平成9年6月5日現在の評価に基づく損失額236万4118円を加えたもの)を被り,また,本訴の弁護士費用150万円について損害と認められるべきであるから,Bの本件不法行為による損害は1061万1289円である。 したがって,引受参加人及びAは連帯して,Bに対し,1061万1289円及びこれに対する不法行為終了の日である平成6年11月4日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を賠償する義務がある。 イ Cは,本件取引によって,合計883万8275円の損害(原判決別紙第二売買取引計算書の「差引損益」欄記載末尾の損失814万1081円に後記第3,3,(C関係)(1)記載の本訴提起時において保有していた各株式の平成9年6月5日現在の評価に基づく損失額69万 決別紙第二売買取引計算書の「差引損益」欄記載末尾の損失814万1081円に後記第3,3,(C関係)(1)記載の本訴提起時において保有していた各株式の平成9年6月5日現在の評価に基づく損失額69万7194円を加えたもの)を被り,また,本訴の弁護士費用150万円について損害と認められるべきであるから,Cの本件不法行為による損害は1033万8275円である。 さらに当審で請求を拡張した36万1715円の上記着服金額を加えると,Cの本件不法行為による損害は1069万9990円である。 したがって,引受参加人及びAは連帯して,Cに対し,1069万9990円及びこれに対する不法行為終了の日である平成8年1月12日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を賠償する義務がある。 (2) 引受参加人及びAの主張いずれも争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点1について(1)(B関係)上記争いない事実及び証拠によって容易に認められる事実に,甲2ないし4,8及び9,12ないし14,17及び18,22ないし25,29ないし31,乙1,3,5,9ないし37,66ないし76,78,80,B,C,Aの原審及び当審における各本人尋問の結果,Dの本人尋問の結果及び弁論の全趣旨を総合すれば以下の事実が認められる。 ア Bは,昭和13年生れで,昭和34年に専門学校を卒業し,昭和38年婚姻をして,夫との間に3名の子をもうけ(二女がCで,三女がD),建築鈑金業を営む夫の家業を手伝う等をしていた。 Bは,不動産投資や商品先物取引の経験はなく,平成3年ころから日興證券四日市支店で株式現物と投資信託等の有価証券取引を100万円程度で行ったものの,Aの勧誘により本件取引をするようになってから,後記のとおり日興證 や商品先物取引の経験はなく,平成3年ころから日興證券四日市支店で株式現物と投資信託等の有価証券取引を100万円程度で行ったものの,Aの勧誘により本件取引をするようになってから,後記のとおり日興證券との取引をやめた。 Bの平成5年ころの資産は,日興證券での取引において有した三菱自動車工業及び太陽化学の株式各1000株と預貯金900万円程度であった。 イ Bは,平成5年4月初旬ころ,娘のDから,同女と交際している者とかねがね聞かされていたAがその勤めている野村證券四日市支店との取引をBに求めている趣旨の話を聞いた。 Bは,同月初旬ころ,Aと会ったが,同月21日ころ,Aから電話で青山商事転換社債の購入を積極的に推奨され,これに応じて,同日ころ,Aに対し,青山商事転換社債(額面100万円)の買付け注文を行い,野村證券四日市支店における株式等で価格の変動するいわゆるエクイティの取引をし,Bの本件取引が開始された。 ウその後のBの本件取引の状況は,次のとおり補正するほか,原判決31頁3行目から57頁6行目までのとおりである。 なお,Bの本件取引については,原判決別紙第一売買取引計算書記載「差引損益」欄記載のとおりの損益額が認められる。 (ア) 原判決31頁11行目の「右のとおり,」を削除する。 (イ) 同32頁5行目の「預けかえた」を「預けかえ,結局,日興證券との取引をやめた」と改める。 (ウ) 同53頁4行目から54頁6行目までを削除する。 エ Aは,Bとの本件取引がなされていた期間中,Bの自宅を5,6回,同女の夫の営む工場を2,3回訪問したことはあったが,もっぱらBに頻繁に電話をする方法で本件取引の推奨をした。Bは,Aからの取引の推奨について,ほとんどAの推奨するとおりに本件取引を行い,同人の推奨に応じなかったも を2,3回訪問したことはあったが,もっぱらBに頻繁に電話をする方法で本件取引の推奨をした。Bは,Aからの取引の推奨について,ほとんどAの推奨するとおりに本件取引を行い,同人の推奨に応じなかったものは,Bの資金面上困難であったことからである。 オまた,Bは,有価証券取引について,特段専門的知識や情報収集力,分析能力は有しておらず,A及び野村證券に対し,本件取引において取引商品や銘柄について,積極的に特定したり,指示したことはない。 カ Bの本件取引の取引商品,銘柄は,株式(東京1部,2部,大阪2部,名古屋1部,2部,店頭,外国),転換社債,投資信託(国内,外国)の多岐にわたっている。 そして,Bは,外国物を含む多岐にわたる株式等を分析する能力,経験がないにもかかわらず,Aから,電話で推奨がされたところ,同人の推奨どおりに売却,買付けの指示をした。 キ Bが,平成6年7月13日ころ,Aから当時保有していた日本製鉄所株,昭栄株,オーロラ(イギリス投資),ヨーロッパオープンを売って,大庄株を買い付けるようにとの推奨を受けた際,迷ったのは買付最低単位が1000株で750万円を超える「値がさ株」であったからであるが,Aからさらに推奨を受け買付けをしている。そして,上記日本製鉄所株,昭栄株を同月13日,オーロラ(イギリス投資),ヨーロッパオープンを同月15日,それぞれAの推奨のとおり売却し,105万円強の損失を出しても応じた。Bは,同月14日に大庄1000株を756万6000円で買い付け,さらに同月21日に1000株を766万7000円で買い付けているが,これは今までの取引にない多額で,かつ短期間に2度の取引となっている。 ク(ア) Bの本件取引における売買回転率は,上記第2,2,(Bの主張)(2)の売買回転率関係の計算式に,買付総 い付けているが,これは今までの取引にない多額で,かつ短期間に2度の取引となっている。 ク(ア) Bの本件取引における売買回転率は,上記第2,2,(Bの主張)(2)の売買回転率関係の計算式に,買付総額1億4506万1048円とある部分を1億4184万2048円と修正し(原判決別紙第一売買取引計算書の№1記載「太陽化学」「三菱自動車」及び同№4記載「JR東日本」の各本券預りとある部分は相当でないので除く。),計算すると,少なくとも5は超えるものとなる。 (イ) Bの本件取引における手数料比率は,上記第2,2,(Bの主張)(2)の手数料割合関係の計算式に,「253万7062円(手数料合計額)」とあるのを,「236万8042円(引受参加人及びAが認める損益取引手数料合計)」と修正して計算すると,少なくとも8パーセントを超えるものとなる。なお,引受参加人及びAは,益取引の手数料と損取引の手数料とを別異のごとく主張するが,いずれの取引においても野村證券は手数料を取得しているものであるから,手数料比率の算定においては,損取引に限定することなく,損益取引の手数料合計とするのが相当である。 ケ Bは,平成6年7月14日及び21日に買い付けた大庄株の値が下がったとして,Aから売却を勧められた段階では,同人に対する信用が薄らいできたこと,その時期に売却となると損失があまりに大きいことから,一旦は断わった。しかし,その後,さらにAから,売却の推奨を受け,Aに「ここまできてしまったので,何か取り返せるものがあれば任せる。」と言ったところ,Aは,同年11月2日に大庄株の売却,ゲッツブラザーズ株の買付け,同月4日にイノテック株の買付けを,一任又は無断でした。 コ Aは,Bに推奨して,平成5年12月13日,任天堂株,殖産住宅株,JR東日本株を計約80 月2日に大庄株の売却,ゲッツブラザーズ株の買付け,同月4日にイノテック株の買付けを,一任又は無断でした。 コ Aは,Bに推奨して,平成5年12月13日,任天堂株,殖産住宅株,JR東日本株を計約80万円以上も損失があるまま売却する損切りをして,同月13日及び14日にかけて,タイチョンホールディング(結局売却して3万5134円の損失)とワールドフロンティアファンドを買い付け,これに乗り換えさせた。 また,同様に,Aは,Bに推奨して,平成6年1月18日に日本航空株を買い付けさせたが,翌19日には売却させて5万8789円の損失となっている。 Aは,平成6年2月4日に,同人が推奨した100銘柄以上も組み込まれた投資信託であるジャパンアクティブオープン,ニューセンチュリーオープンを,Bに購入させてから4か月も経っていないにもかかわらず,同年5月24日,Bに計約10万円損切りして売却させ,同日から同月26日にかけて,東京電気株,テック電子株,市況産業株に乗り換えさせた。しかも,東京電気株は,1週間後の5月末に5000円程度にすぎない利益で売却され,テック電子株は,2週間後の6月上旬に2000円程度にすぎない利益で売却され,さらに,東京電気株を売って乗り換えさせた日本製鋼所株は,約1か月半後に,52万9655円もの損失で売却されている。 サ Bの本件取引の中には,買い付けたものを1か月以内(1,2週間や数日にすぎないものもある)に売却しているものが相当程度あり,かつ,利益が出たものの中に数千円にすぎないものも見受けられるところ,手数料の合計は236万8042円(引受参加人及びAの認める損益手数料合計)であった。 (C関係)上記争いない事実及び証拠によって容易に認められる事実に,甲2ないし4,10ないし14,1 料の合計は236万8042円(引受参加人及びAの認める損益手数料合計)であった。 (C関係)上記争いない事実及び証拠によって容易に認められる事実に,甲2ないし4,10ないし14,17及び18,22ないし25,29ないし31,乙2,4,6ないし8,38ないし65,70,77,79,81,B,C,Aの原審及び当審における各本人尋問の結果,Dの本人尋問の結果及び弁論の全趣旨を総合すれば以下の事実が認められる。 ア Cは,昭和42年生れで,昭和63年3月に短期大学を卒業し,同年4月から化粧品会社に就職して営業の仕事をしていた。 Cは,不動産投資,商品先物取引,証券取引等の経験は全くなく,Cの平成5年ころの資産は,預金1200万円から1300万円程度であった。 イ Cは,平成5年3月初旬ころ,妹のDから,同女と交際している者とかねがね聞かされていたAを紹介された。すると,Aは,野村證券四日市支店に勤めているとのことであったが,Cに野村證券における口座開設をして欲しい旨の話をした。Cは,妹が交際している相手の話であったことから,一応これに応じたところ,Aから電話で野村MMFの取引を勧誘された。Cは,結婚資金として貯めていた上記預金を一部解約して,Aの上記推奨に応じて,同月18日,野村MMFを130万円購入した。ところが,さらに,同年5月28日ころ,Aから電話で,抵当証券について銀行預金より利率が高く安全性も高いとの話がされ,これを購入することの推奨を受けたことから,Cは,これに応じて,同日,Aに対し,野村ファイナンスの抵当証券(額面900万円)を買い付ける注文を行った。 ウその後のCの本件取引の状況は,次のとおり補正するほか,原判決66頁8行目から79頁2行目までのとおりである。 なお,Bの本件取引については 券(額面900万円)を買い付ける注文を行った。 ウその後のCの本件取引の状況は,次のとおり補正するほか,原判決66頁8行目から79頁2行目までのとおりである。 なお,Bの本件取引については,原判決別紙第二売買取引計算書記載「差引損益」欄記載のとおりの損益額が認められる。 (ア) 原判決72頁5行目と6行目の間に次のとおり付加する。 「Cは,その後もAの推奨に応じて,同様に平成6年2月4日から同年11月30日までの間,原判決別紙第二売買取引計算書記載№2のコードIY31銘柄オーロラファンド(オーストラリア投資)とある部分から№5のコード63031銘柄ササクラとある部分までの買付けないし売却をした。」(イ) 同76頁6行目から77頁7行目までを削除する。 エ Aは,Cとの本件取引がされていた期間中,もっぱらCに頻繁に電話をする方法で本件取引の推奨をした。Cは,Aからの取引の推奨について,ほとんどAの推奨するとおりに本件取引を行い,同人の推奨に応じなかったものは,Cの資金面上困難であったことからである。 オまた,Cは,有価証券取引について,特段専門的知識や情報収集力,分析能力は有しておらず,A及び野村證券に対し,本件取引において取引商品や銘柄について,積極的に特定したり,指示したことはない。 カ Cの本件取引の取引商品,銘柄は,株式(東京1部,2部,大阪1部,2部,札幌,店頭,外国),投資信託(国内,外国)の多岐にわたっている。 そして,Cは,外国物を含む多岐にわたる株式等を分析する能力,経験がないにもかかわらず,Aから,電話で推奨がされたところ,ほとんど即時に応じて同人の推奨どおりに売却,買付けの指示をしている。 キ Aは,平成5年11月29日ころTHK株について,同年12月9日ころチャイナオーバーシー ら,電話で推奨がされたところ,ほとんど即時に応じて同人の推奨どおりに売却,買付けの指示をしている。 キ Aは,平成5年11月29日ころTHK株について,同年12月9日ころチャイナオーバーシーズ株について,証券関係者として禁止されている相乗り(借名)取引をCに求めて,同人に協力させている。 ク Aは,Cから事前の確認を得ることなく,平成6年10月3日,日本テレコム株の売却,ハリマセラミック株及び東洋製缶株の買付けをした。 ケ Cの本件取引において,平成6年4月から同年10月までの間にコード単位で16件に上る多数の取引における損失(合計532万2142円)が認められるところ,Cは,さらに,平成6年12月7日,Aの推奨を受け,ササクラ株とコルネット株を売り,植松商会株を買い付けている。ところが,Aは,Cに対し,翌8日,売ったばかりのササクラ株の買いを推奨し,Cはこれに応じている。そして,Cは,Aから,同月20日ころ,同ササクラ株の売り(これは結局16万9787円の損失)と植松商会株の買いを推奨され,これに応じた。さらに,Cは,平成7年5月12日ころ,同植松商会株の売りと三笠製薬株の買いを推奨されこれに応じている。結局植松商会株は219万4635円の損失,三笠製薬株は105万9322円の損失となっている。 コ Cの本件取引の中には,買い付けたものを1か月以内(1,2週間や数日にすぎないものもある)に売っているものが相当程度あり,かつ,利益が出たものの中に数千円にすぎないものも見受けられるが,手数料の合計は189万2954円であった(引受参加人及びAの認める損益取引手数料合計)。 サ(ア) Cの本件取引における売買回転率は,上記第2,2,(Cの主張)(2)の売買回転率関係の計算式により計算すると,少なくとも6を超えるものとな 加人及びAの認める損益取引手数料合計)。 サ(ア) Cの本件取引における売買回転率は,上記第2,2,(Cの主張)(2)の売買回転率関係の計算式により計算すると,少なくとも6を超えるものとなる。 (イ) Cの本件取引における手数料比率は,上記第2,2,(Cの主張)(2)の手数料割合関係の計算式のうち「190万3847円(手数料合計額)」とあるのを,「189万2954円(引受参加人及びAが認める損益取引手数料合計)」と修正して計算すると,約10パーセントとなる。 (2)ア適合性の原則とは,証券会社が顧客に投資勧誘をするに際して,顧客の知識,経験及び財産状況に照らして,適当と認められる取引の勧誘を行わなければならないというものであり,証券会社の役職員が投資者の利益を無視して過当な勧誘を行うことを防止し,ひいては,証券市場の健全性を維持し,投資者の信頼を確保しようとするもので,証券取引法(以下「法」という。)において規定(平成10年改正前54条,同改正後43条)されている。 イ断定的判断の提供とは,本来は正確に予見することが不可能な将来の結果についての判断が間違いないものとの印象を顧客に与え,その自己責任を放棄するほどの過度の信頼を招く勧誘方法をいい,法(平成10年改正前50条,同改正後42条)により禁止されている。 ウ無断売買とは,証券会社の社員が顧客に断わりなく,顧客口座に預かっている証券を勝手に売却したり,顧客口座にある預かり金を充当して証券を勝手に買い付ける等の証券取引をいい,公正慣習規則第八(証券従業員に関する規則)9条において禁止されている。 エ一任売買とは,証券会社あるいは営業員が証券の売買その他の取引を顧客から具体的判断を任されて注文を受けることをいい,売買の別,銘柄,数量,価格のう 関する規則)9条において禁止されている。 エ一任売買とは,証券会社あるいは営業員が証券の売買その他の取引を顧客から具体的判断を任されて注文を受けることをいい,売買の別,銘柄,数量,価格のうちの一つ以上を,顧客から個別の取引ごとに指示を受けずに行う取引であり,法(平成10年改正前50条,同改正後42条)において原則として禁止されている。 オ過当売買とは,証券会社が自己の利益のために顧客の財産状態,投資資金の性質などから見て頻度,数量が過当な売買を行わせることをいう。 証券取引は投資者の責任と判断において行うべきであるが,証券の価格変動に関する知識,情報収集,分析能力等を要するため,一般投資者が証券取引をするには,専門家である証券会社の勧誘,助言,指導に依存して取引を行うのが一般である。そして,証券会社は,専門家として,必要な知識,経験,資料,情報収集,分析能力を有するものとして,免許を受け業として証券取引をしている。そこで,一般投資者は,証券会社を信用して全面的にその勧誘,助言,指導に依存して取引を行う傾向がある。また,証券会社は,一般投資者を証券取引に誘引することによって収入を得ているので,顧客の信頼,全面的依存を利用して,過当な取引に誘う傾向,危険を内在している。 このため,法(平成10年改正前)161条1項は「大蔵大臣は,・・証券取引所の会員の行う過当な数量の売買取引であって有価証券市場の秩序を害すると認められるものを制限するため,公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認める事項を大蔵省令で定めることができる。」と規定しており,現行の法同条項も「内閣総理大臣は,・・証券会社・・・の行う過当な数量の売買であって取引有価証券市場若しくは店頭売買有価証券市場の秩序を害すると認められるものを制限 ことができる。」と規定しており,現行の法同条項も「内閣総理大臣は,・・証券会社・・・の行う過当な数量の売買であって取引有価証券市場若しくは店頭売買有価証券市場の秩序を害すると認められるものを制限するため,公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認める事項を内閣府令で定めることができる。」と規定している。そして,証券取引法第一六一条の規定により過当な数量の売買を制限する大蔵省令(上記法改正前),同内閣府令(上記法改正後)において,それぞれ過当売買を行ってはならない旨規定している。また,法(平成10年改正前49条,同改正後33条)は,「証券会社並びにその役員及び使用人は,顧客に対して誠実かつ公正に,その業務を遂行しなければならない。」と規定している。 (3) 不法行為該当理由上記(2)アないしオの取締法規である法ないし規則等に違反する行為は,行政上の処罰等の対象となっても,理論上直ちに民事上の不法行為の故意,過失を構成するものではないが,その違反の有無は,不法行為の要素である違法性を判断するための要素となることは明らかであり,また,その取締法規の目的は間接的にせよ一般投資者を保護するためのものであると解されるから,その取締法規違反の事実は,投資者に対する不法行為の成否を判断する主要な要素であり,一応不法行為上の注意義務違反を推認させるものである。 (4) 不法行為該当性の検討(B関係)ア上記第3,1,(1)(B関係)の認定事実によれば,Bの本件取引に関するAの推奨行為において,適合性の原則違反や断定的判断の提供であると認定することは困難である。 また,Aが平成6年11月2日に大庄株の売却及びゲッツブラザーズ株の買付けをし,同月4日にイノテック株の買付けをしたことも,AがBの「ここまで来てしまったので 供であると認定することは困難である。 また,Aが平成6年11月2日に大庄株の売却及びゲッツブラザーズ株の買付けをし,同月4日にイノテック株の買付けをしたことも,AがBの「ここまで来てしまったので,何か取り返せるものがあれば任せる。」との言葉を聞いて,大庄株は売却するつもりであるが,ほかに乗換えをして取り返せる可能性のある銘柄との関係で,実際に売却する時期については任せてもらったものと考えて実行したこと,その後Bが,「まさかやるとは思わなかった。」などと言ったものの,「ゲッツブラザーズとイノテックは本当に上がるんだろうね。」と言ってそれ以上の抗議をしていないことにかんがみると,これらについて,一任売買ないし無断売買の面が窺えるものの,これらの点のみを捉えて不法行為と断定することは困難である。 イしかしながら,Bに関する本件取引においては,上記第3,1,(1)(B関係)認定の同取引経過,売買回転率,手数料比率等に照らすと取引の過当性が認められる。 また,Aは,Bの娘Dの親しく交際していた相手であり,BとAは,Dを介して特殊な人間関係であったものであり,上記認定事実によれば,Aがこの関係を積極的に利用したことまでは認められないものの,少なくとも,この関係はBがAを信用し依存する要素となり,Aもこれを認識していたと窺えること,Bは,証券取引の知識や経験は少なく,預貯金としては900万円程度を有していたにすぎないこと,Bは,証券取引について特段専門的知識や情報収集力,分析能力はなく,本件取引をするようになったのは,主にAの勧めがきっかけとなっていること,Bは,ほとんどAの推奨のとおりに本件取引をしており,一部断わっているのは,推奨対象となった取引の内容の判断に基づくものではなく,資金不足からであったこと,Bが取引商品や銘 っかけとなっていること,Bは,ほとんどAの推奨のとおりに本件取引をしており,一部断わっているのは,推奨対象となった取引の内容の判断に基づくものではなく,資金不足からであったこと,Bが取引商品や銘柄について,積極的に特定したり指示したことはなかったこと,本件取引は上記のとおり,外国物を含む多岐にわたっており,また,損切りや手数料不抜けにもなりかねない取引を伴うかなり細かい乗換えが短期間に行われており,取引をすれば必ず手数料がかかることを考えると理解困難な面があること,Bが,その資金力及び従来の生活状態からすると,同人の判断で上記のごとき多数かつ多額(大庄などは1取引750万円ないし760万円もしている)の取引を,その都度手数料を支払わねばならないにもかかわらず,頻繁に繰り返したと解することは極めて不自然であること,AがBの明確な同意がないまま,平成6年11月2日に大庄株の売却及びゲッツブラザーズ株の買付けをし,同月4日にイノテック株の買付けをしたことは,一任売買ないし無断売買としてそれ自体を不法行為とは断定し難いとしても,本件取引の最終段階においてもAが独自の判断で動き,BがAに依存していたことが窺えることを総合考慮すると,AがBの取引口座に対し支配的影響を行使したものとしての,口座支配性が認められる。 さらに,上記諸事情によれば,Aにおいて,Bの信頼を濫用して,野村證券の手数料利益ないし自己の営業成績上の利益を図ったものと推認される。 ウ以上の諸事情を総合すると,Bの本件取引におけるAの行為は過当売買と認められ,不法行為に該当する。 (C関係)ア上記第3,1,(1)(C関係)の認定事実によれば,Cの本件取引に関するAの推奨行為において,適合性の原則違反や断定的判断の提供であると認定することは困難である。 Aが,Cから事前の確 C関係)ア上記第3,1,(1)(C関係)の認定事実によれば,Cの本件取引に関するAの推奨行為において,適合性の原則違反や断定的判断の提供であると認定することは困難である。 Aが,Cから事前の確認を得ることなく,平成6年10月3日,日本テレコム株の売却,ハリマセラミック株及び東洋製缶株の買付けをしたことは認められるものの,Aが同年9月終りころから,ハリマセラミック株及び東洋製缶株の購入を推奨していたところ,Cは,最終的にはこれを容れて,「売却して損が取り戻せるのであれば,違う銘柄に乗り換えてもいい。」などと言ったこと,同年10月3日,AがCに上記取引の成立後に報告をしたところ,CはAに対し,「その株で大丈夫なんでしょうね。」と言ったことに照らすと,これらについて,一任売買ないし無断売買の面が窺えるものの,Cが特段強く異論を述べていないものと推察され,これらの点のみを捉えて不法行為と断定することは困難である。 イしかしながら,Cに関する本件取引においては,上記第3,1,(1)(C関係)認定の同取引経過,売買回転率,手数料比率等に照らすと取引の過当性が認められる。 また,Aは,Cの妹Dの親しく交際していた相手であり,CとAは,Dを介して特殊な人間関係であったものであり,上記認定事実によれば,Aがこの関係を積極的に利用したことまでは認められないものの,少なくとも,この関係はCがAを信用し依存する要素となり,Aもこれを認識していたと窺えること,Cは,証券取引の知識や経験は全くなく,預貯金としては1200万円から1300万円程度を有していたにすぎないこと,Cは,証券取引について特段専門的知識や情報収集力,分析能力はなく,本件取引をするようになったのは,主にAの勧めがきっかけとなっていること,Cは,ほとんどAの推奨のとおりに していたにすぎないこと,Cは,証券取引について特段専門的知識や情報収集力,分析能力はなく,本件取引をするようになったのは,主にAの勧めがきっかけとなっていること,Cは,ほとんどAの推奨のとおりに本件取引をしており,一部断わっているのは,推奨対象となった取引の内容の判断に基づくものではなく,資金不足からであったこと,Cが取引商品や銘柄について,積極的に特定したり指示したことはなかったこと,本件取引は上記のとおり,外国物を含む多岐にわたっており,また,損切りや手数料不抜けにもなりかねない取引を伴うかなり細かい乗換えが短期間に行われており,取引をすれば必ず手数料がかかることを考えると理解困難な面があること,Cが,その資金力及び従来の生活状態からすると,同人の判断で上記のごとき多数かつ多額の取引を,その都度手数料を支払わねばならないにもかかわらず,頻繁に繰り返したと解することは極めて不自然であること,AがCから事前の確認を得ることなく,平成6年10月3日,日本テレコム株の売却,ハリマセラミック株及び東洋製缶株の買付けをしたことは,一任売買ないし無断売買としてそれ自体を不法行為とは断定し難いとしても,本件取引の最終的段階においてもAが独自の判断で動き,CがAに依存していたことが窺えること,Aが,平成5年11月29日ころTHK株について,同年12月9日ころチャイナオーバーシーズ株について,証券取引関係者として禁止されている相乗り(借名)取引をCに求めており,Cに協力までさせていることを総合考慮すると,AがCの取引口座に対し支配的影響を行使したものとしての,口座支配性が認められる。 さらに,上記諸事情によれば,Aにおいて,Cの信頼を濫用して,野村證券の手数料利益ないし自己の営業成績上の利益を図ったものと推認される。 ウ以上によれば,Cの本件 しての,口座支配性が認められる。 さらに,上記諸事情によれば,Aにおいて,Cの信頼を濫用して,野村證券の手数料利益ないし自己の営業成績上の利益を図ったものと推認される。 ウ以上によれば,Cの本件取引におけるAの行為は過当売買と認められ,不法行為に該当する。 エなお,Cは,Aは管理していたC名義の口座を勝手に利用してTHK株を平成5年11月29日買い付けて同年12月3日に売却したが,これによる売却利益12万8910円を着服し,同様にして,チャイナオーバーシーズ株を同年12月9日に買い付けて平成6年1月5日に売却し,その売却利益23万2805円を着服した旨主張する。 しかしながら,上記第3,1,(1)の証拠(C関係)及び原判決の認定説示(原判決69頁2行目から70頁9行目まで,同85頁10行目から87頁4行目まで)並びに弁論の全趣旨によれば,これらは,いずれもAが自己の計算のもとにCの口座を借りて,相乗り(借名)取引をしたものと認められ,AがTHK株の売却利益12万8910円及びチャイナオーバーシーズ株の売却利益23万2805円を着服横領した事実を認めるに足りる証拠はない。 したがって,Cの上記主張は採用できない。 2 争点2についてBの本件取引におけるAの上記各行為及びCの本件取引におけるAの上記各行為は,野村證券四日市支店の営業員であるAが野村證券の営業としてしたものであるから,いずれも野村證券は民法715条の使用者責任を負うものであり,これによる損害賠償債務はAの不法行為に基づく損害賠償と不真正連帯債務関係となるものというべきである。 3 争点3について(B関係)(1) 乙1及び弁論の全趣旨によれば,Bの本件取引における損害は673万7171円であると認められる。 なお,Bは,さらに,236 うべきである。 3 争点3について(B関係)(1) 乙1及び弁論の全趣旨によれば,Bの本件取引における損害は673万7171円であると認められる。 なお,Bは,さらに,236万4118円の損害があったものと主張し,当審平成13年7月27日付け準備書面において,原判決別紙第一売買取引計算書記載の太陽化学(コード2902),三菱自動車(同7211),ワールドフロンティア(同X1022),テンプルトン(X1014),JR東日本(同9020),任天堂(同7974),三重交通(同9050),テンプルトンドラゴン(同A27801),ゲッツブラザーズ(同9839),イノテック(同9880),大庄(同9979),ゲッツブラザーズ(同9839)について,被控訴人らは損益計算していないが,Bはこれらについて本訴提起時において保有していたものを全て平成9年6月5日現在の価格で評価すると,上記236万4118円の損害となる旨主張するが,その評価基準時の根拠が明確でない上に,損害額を裏付けるに足りる証拠もないから,Bの上記主張は採用できない。 (2) ところで,Bの本件取引に関して,上記のとおりAに不法行為責任が認められるものの,Bにおいても本来自己責任の原則に従って一定の注意義務があるにもかかわらず,もっぱらAに依存して同人の推奨等に軽率に応じ,自己の経済状態,能力を顧みることなく安易に本件証券取引を継続し,損害の発生,拡大に至ったものというべきであり,Bの落度が相当大きいこと,他方,Aの行為の違法性はそれほど強いとはいい難いこと,その他本件に顕われた一切の事情を総合考慮すると,公平の観点から,過失相殺として7割を減じた202万1151円をBの損害とするのが相当である。 (3) Bの弁護士費用相当損害としては,本件事案の内容,審理の経 件に顕われた一切の事情を総合考慮すると,公平の観点から,過失相殺として7割を減じた202万1151円をBの損害とするのが相当である。 (3) Bの弁護士費用相当損害としては,本件事案の内容,審理の経過,上記過失相殺による認容額等に照らし,40万円の限度で相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。 (C関係)(1) 乙2及び弁論の全趣旨によれば,Cの本件取引における損害は814万1081円であると認められる。 なお,Cは,さらに,69万7194円の損害があったものと主張し,当審平成13年7月27日付け準備書面において,原判決別紙第二売買取引計算書記載の住友重機(コード6302),大和紡績(同3107),トラスコ中山(同9830)について,被控訴人らは損益計算していないが,Cはこれらについて本訴提起時において保有していたものを全て平成9年6月5日現在の価格で評価すると,上記69万7194円の損害となる旨主張するが,その評価基準時の根拠が明確でない上に,損害額を裏付けるに足りる証拠もないから,Cの上記主張は採用できない。 (2) ところで,Cの本件取引に関して,上記のとおりAに不法行為責任が認められるものの,Cにおいても本来自己責任の原則に従って一定の注意義務があるにもかかわらず,もっぱらAに依存して同人の推奨等に軽率に応じ,自己の経済状態,能力を顧みることなく安易に証券取引を継続し,損害の発生,拡大に至ったものというべきであり,Cの落度が相当大きいこと,他方,Aの行為の違法性はそれほど強いとはいい難いこと,その他本件に顕われた一切の事情を総合考慮すると,公平の観点から,過失相殺として7割を減じた244万2324円をCの損害とするのが相当である。 (3) Cの弁護士費用相当損害としては,本件事案の内容,審理の経過,上記過失相 の事情を総合考慮すると,公平の観点から,過失相殺として7割を減じた244万2324円をCの損害とするのが相当である。 (3) Cの弁護士費用相当損害としては,本件事案の内容,審理の経過,上記過失相殺による認容額等に照らし,40万円の限度で相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。 4 なお,本件において,控訴人ら並びに引受参加人及びAが,その他るる主張するところは,上記認定判断を左右するものではないから,いずれも採用できない。 5 したがって,Bの本件取引に関しての,Bの引受参加人及びAに対する請求は,各自242万1151円及びこれに対する不法行為終了の日である平成6年11月4日から支払済みまで民法所定の年5分の遅延損害金の支払いを求める限度で理由があり,その余は理由がない。 また,Cの本件取引に関しての,Cの引受参加人及びAに対する請求は,各自284万2324円及びこれに対する不法行為終了の日である平成8年1月12日から支払済みまで民法所定の年5分の遅延損害金の支払いを求める限度で理由があり,その余は(当審において請求を拡張した部分を含めて)理由がない。 第4 結論よって,これと異なる原判決を上記の趣旨に変更することとし,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第2部 裁判長裁判官熊田士朗裁判官島田周平 裁判官玉越義雄

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