令和6(わ)571 危険運転致死傷被告事件

裁判年月日・裁判所
令和7年9月22日 福岡地方裁判所
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判決文本文9,219 文字)

令和7年9月22日宣告令和6年(わ)第571号危険運転致死傷被告事件判決 主文 被告人を懲役3年6月に処する。 未決勾留日数中300日をその刑に算入する。 理由 【罪となるべき事実】被告人は、令和5年11月2日午前1時50分頃、普通乗用自動車を運転し、福岡県糟屋郡a町bc番地南西方約430m先の右方に湾曲する下り勾配の道路をA展望台方面からd方面に向かい進行するに当たり、その進行を制御することが困難な時速約45kmの高速度で自車を走行させたことにより、自車を道路の湾曲に応じて進行させることができず、自車の制御を失わせて横転させ、よって、自車同乗者B(当時16歳。以下「被害者B」という。)に加療約3日間を要する脳震盪等の傷害を負わせるとともに、同C(当時16歳。以下「被害者C」という。)に肝損傷の傷害を負わせ、同日午前7時26分頃、福岡市e区fg丁目h番i号D病院救命救急センターにおいて、同人を同傷害に基づく出血性ショックにより死亡させた。 【証拠の標目】(略)【争点に対する判断】 1 本件の争点本件において、被告人が、判示の日時場所において、自車を走行させたところ、自車が横転し、同乗者2名に判示の各致死傷結果が生じたことには争いがない。 本件の争点は、①被告人が進行を制御することが困難な高速度で自車を走行させたといえるか否か、②被告人の運転と各致死傷結果との因果関係、③被告人の故意である。当裁判所は、被告人が進行を制御することが困難な高速度で自車を走 行させたといえ、被告人の運転と各致死傷結果との因果関係、被告人の故意のいずれも認められると判断したから、以下その理由を説明する。 2 認定事実関係証拠によれば、以下の事実が認められる。 ⑴ 本件に至る いえ、被告人の運転と各致死傷結果との因果関係、被告人の故意のいずれも認められると判断したから、以下その理由を説明する。 2 認定事実関係証拠によれば、以下の事実が認められる。 ⑴ 本件に至る経緯ア被告人は、本件の約1年前から、少年少女のグループと交流を深め、同グループの友人らと、E山でいわゆる箱乗り(各席の窓の上方にある手すりを握って、窓枠に腰を掛け、上半身を車外に出す乗車方法)をし、ジェットコースターのようなスリル、特にカーブを曲がる際のスリルを楽しむということを繰り返すようになった。被告人は、これまでに合計で40回ほどE山を訪れており、自ら箱乗りをすることもあれば、自分で運転をすることも10回ほどあった。このような経験から、被告人は、E山の道路が、カーブが続く山道で、随所に急なヘアピンカーブがあることを把握していた。 イ被告人と被害者C、被害者B及びFとは友人同士であり、本件当日も、E山で箱乗りをしたいという被害者CやFの希望を受け、被告人が運転して、4人でE山に行くことになった。その際、被告人が運転した車両(以下「被告人車」という。)は、軽四輪乗用自動車であり、被害者Cは助手席に、被害者Bは助手席側後部座席に、Fは運転席側後部座席にそれぞれ乗車し、事故発生まで乗車位置が変わることはなかった。被告人は、A展望台に向かって登っていく際、車内で、「私に命を預けろじゃん」と発言し、A展望台からの下り道では、他の車両より明らかに速い速度で下り、途中2台の車両を追い越した。同乗者3名は、A展望台から下る道中、箱乗りをしており、途中で車内に戻ることもあったが、事故発生時においては、少なくとも被害者C及び被害者Bの2名が箱乗りをしていた。なお、被告人は、A展望台から下る間、被告人車のギアを常にローに入れていた。 ⑵ 事故現場の 車内に戻ることもあったが、事故発生時においては、少なくとも被害者C及び被害者Bの2名が箱乗りをしていた。なお、被告人は、A展望台から下る間、被告人車のギアを常にローに入れていた。 ⑵ 事故現場の状況 ア事故現場のカーブ(以下「本件カーブ」という。)は、E山の林道にあり、比較的麓に近い場所に位置している。本件カーブは、別紙1「現場図」(添付省略)のとおり、A展望台方面からd方面に向けて右に大きく湾曲し、ほぼ180度引き返すような形状をした、いわゆるヘアピンカーブであり、約4%から7%の下り勾配となっていた。本件カーブは、アスファルト舗装の平坦な単路で、事故発生当時、路面は乾燥しており、交通規制は設けられておらず、周囲に街灯はなかった。本件カーブには中央線がなかったものの、左右に車両の進行方向を示す矢印の道路標示があった。また、本件カーブの手前には、「カーブ注意」との道路標示もあった。 イ A展望台方面から走行した場合、本件カーブの入り口部分は、曲率半径(カーブを円弧として捉えた場合の半径をいう。)が約18mのカーブとなっているが、途中からカーブの角度が急になり、最も急な部分の曲率半径は約12m、限界旋回速度(車がカーブを曲がることのできる理論上の限界速度をいう。)は時速約36~38kmであった(以下、別紙1「現場図」(添付省略)のとおり、便宜的に、本件カーブの入り口部分を「始端部」、もっとも急な部分を「中間部」、本件カーブの終わりの部分を「終端部」と呼称するが、各区間の間に明確な境界などがあるわけではなく、連続して一つのカーブを成すものである。)。本件カーブは、始端部の終わりくらいの位置まで進行しなければ、その先もカーブが続くのかを見通すことが困難な形状をしていた。 ⑶ 事故の発生状況ア本件カーブにおける被告人車の走 すものである。)。本件カーブは、始端部の終わりくらいの位置まで進行しなければ、その先もカーブが続くのかを見通すことが困難な形状をしていた。 ⑶ 事故の発生状況ア本件カーブにおける被告人車の走行位置及び速度は、概ね別紙2「走行速度図」(添付省略)記載のとおりである。被告人車は、横転の約6秒前に時速約41kmで本件カーブに差し掛かったものの、そこからアクセルを踏み始めた。横転の約5秒前からは本件カーブに沿ってハンドルを右に切り始めたが、横転の約4秒前には時速約45kmまで加速した。 イその後、被告人車は、アクセルを離したことによるエンジンブレーキやフ ットブレーキにより減速し、横転の約3.2秒前に、時速約36.5kmとなり、ハンドルを右に約250度まで切ったところで、横滑りを起こした。 被告人は、横滑りが生じた後、1秒に満たない間にハンドルを右に約501度まで切るとともにブレーキも踏んだ。その後、被告人車は左に横転し始め、その前後を通じて被告人はアクセル、ブレーキ、ハンドルを戻す等の操作(横転の約1.5秒前には開度100%でアクセルを踏み、さらに横転の約1秒前には、急ブレーキに近い力でブレーキをかけるなど)をしたが、そのまま左に横転するに至った。その間の被告人車の速度は、横転の約1.2秒前が時速約16km、約0.9秒前が時速約20.9km、横転時が時速約7. 8kmであった。 3 検討⑴ 横滑りや横転の原因についてア被告人車の製造メーカー直営のディーラーにおいて整備部門の統括責任者を務めるG証人は、横滑りの原因は高速度でハンドルを切ったことであり、被告人車が横転した原因は、その被告人車の速度に加え、被告人がハンドルを右方向へ最大約501度まで急に切ったことにより、被告人車に遠心力が強くかかっている中、さらに急ブレーキ ルを切ったことであり、被告人車が横転した原因は、その被告人車の速度に加え、被告人がハンドルを右方向へ最大約501度まで急に切ったことにより、被告人車に遠心力が強くかかっている中、さらに急ブレーキも踏んだことで、前方向の力も加わって、衝撃を吸収する役割を果たしている前輪のサスペンションの機能が低下し、遠心力に耐えられなくなってしまったためである旨証言する。G証人は、自身の専門知識に基づき、EDRデータから認められる被告人車の運転状況に即して、横滑りや横転の原因を合理的に説明しており、上記証言は信用できる。 イ弁護人は、弁護人の依頼により解析を行ったH証人の証言に基づき、被告人車が横転したのは、被害者ら2名が箱乗りをしたことが原因であり、速度が速かったことが原因ではない旨主張する。 これに対し、科学捜査研究所の職員であるI証人は、同乗者3名が正常に 乗車している場合と箱乗りをしている場合のそれぞれについて車両横転条件を計算したところ、両者の間に大きな違いは見られなかった旨証言する。I証人が行った鑑定は、各場合について、乗員を含めた車両全体の重心位置を特定し、旋回時に重心に働く遠心力により、内側車輪が浮き上がる条件を求めたというものであるところ、鑑定の基礎となった資料に問題は見当たらず、鑑定手法についても、車両が実際に走行している際のバランスの変化や急な運転操作の影響等を反映できないという限界はあるものの、箱乗りによる重心位置の変化によっても車両が横転する条件は大きく変わらないことを示す限りにおいては、合理的かつ有意なものであるから、I証人の証言は信用できる。 一方、H証人は、車体の左右の傾きを指すロール角というものが、サスペンションが限界に達する角度(以下「ロール限界角度」という。)である約10度を超えると、旋回時に内側車 証人の証言は信用できる。 一方、H証人は、車体の左右の傾きを指すロール角というものが、サスペンションが限界に達する角度(以下「ロール限界角度」という。)である約10度を超えると、旋回時に内側車輪が浮き上がり始めるところ、被告人車が横転した原因は、被害者ら2名が箱乗りしたことで、ロール角が10.2度まで増加したことなどである旨証言する。しかし、鑑定の基礎とされたサスペンションの性能に関する数値が被告人車のものと同等なのかは疑義が残り、鑑定に用いた計算式も分母と分子で乗車人数が異なるなど、その合理性には疑問がある。そもそも、前記のロール限界角度の数値は、特に出典元はなく、H証人の経験によるとのことであるが、証人尋問に先立って作成した意見書においては、約15度としていたところから変更が生じたことに関し、説得力のある根拠を示すことができていない。このようにH証人の証言には、看過し難い疑問点があって信用できず、これを踏まえても、箱乗りが被告人車の横転に大きく影響したのではないかという疑いは生じない。 ウしたがって、弁護人の主張は採用できず、被告人車の横転は、やはりG証人の証言するとおり、主として、被告人車の速度や、それにより余儀なくされた急な運転操作が招いたものということができる。 ⑵ 争点①についてアまず、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下「自動車運転処罰法」という。)2条2号にいう「進行を制御することが困難な高速度」とは、速度が速すぎるため、自車を道路の状況に応じて進行させることが困難な速度をいい、具体的には、そのような速度での走行を続ければ、道路の形状、路面の状況、車両の構造、性能等の客観的な事実に照らし、あるいは、ハンドル又はブレーキの操作のわずかなミスによって、自車を進路から逸脱させて 体的には、そのような速度での走行を続ければ、道路の形状、路面の状況、車両の構造、性能等の客観的な事実に照らし、あるいは、ハンドル又はブレーキの操作のわずかなミスによって、自車を進路から逸脱させて事故を発生させることになるような速度をいうと解される。 イ本件カーブがいわゆるヘアピンカーブであり、最も急な部分の限界旋回速度が時速36~38kmで、かつ下り勾配もついていることからすると、本件カーブを安全に曲がり切るためには、進入前に十分に速度を落とした上、カーブの形状に沿って、ハンドルを切るタイミングや角度を慎重に調節する必要があったことは明らかといえる。 一般的な運転者を念頭に置けば、このような本件カーブの形状や周囲の状況などからすると、本件カーブに被告人車のように時速45km程度の速度で進入すれば、運転操作のわずかなミスによって事故を引き起こしかねないと考えるのが通常の感覚である。プロドライバーでレース経験も豊富なJ証人が、プロの運転技術を基準にしても、本件カーブを曲がる際には、カーブに進入する辺りで時速40kmくらいまで減速する必要があり、中間部は時速35kmくらいでないと曲がり切れないと証言していることや、G証人も走行実験の際、事故の危険があるため、時速35km以上は出せなかったと証言していること、K証人が本件カーブで一般車両の通過速度を測定したところ、平均が時速約21kmで、最高でも時速29.4kmであったことは、上述したところが一般的な感覚であることを裏付けているといえる。 ウまた、被告人は、前記のとおり、本件カーブに進入した後も時速約45k mまで被告人車を加速させており、その直後、高速度のままハンドルを右に切ったことで横滑りを生じさせている。このように横滑りを生じさせたこと自体に、被告人車の速度が、被告人が進 後も時速約45k mまで被告人車を加速させており、その直後、高速度のままハンドルを右に切ったことで横滑りを生じさせている。このように横滑りを生じさせたこと自体に、被告人車の速度が、被告人が進行を制御できないようなものであったことが表れているといえる。 エ加えて、横滑りが生じてから横転するまでの約3.2秒のうちに、被告人は、素早く右方向へ200度以上ハンドルを切り足し、アクセルを強く踏み、さらに強いブレーキを踏むなどしている。このような一連の運転操作の状況からすれば、被告人は、前記加速の結果、カーブの形状に応じて緩やかにハンドルを切ることができず、急な運転操作を余儀なくされ、ハンドルを切るタイミングや角度、ブレーキ操作のタイミングを誤り、横転に至ったと考えられる。そうすると、上記の被告人車の速度というのは、ハンドル又はブレーキの操作のわずかなミスによって、自車を進路から逸脱させて事故を発生させることになるような速度であったといえる。 オ以上からすれば、上記の被告人車の速度は、「進行を制御することが困難な高速度」に該当するといえる。 カこれに対し、弁護人は、H証人の証言に基づき、横滑り発生から0.2秒後、すなわち横転の約3秒前には、被告人車はカーブに沿った姿勢になっているため、ESPと呼ばれる横滑り防止装置が作動したことで横滑りは解消していた旨主張する。しかし、H証人は、被告人車の走行位置や向きについて、被告人車のドライブレコーダーの画像の中心線と画像に写った物の位置関係を目測で測ることによって特定しているところ、その正確性には疑問がある。また、横滑りをしながら、被告人車の向きが変化することもあり得るから、横滑りが解消していたという根拠も薄弱であって、この点に関するH証人の証言も信用できない。さらに言うのであれば、横滑り 問がある。また、横滑りをしながら、被告人車の向きが変化することもあり得るから、横滑りが解消していたという根拠も薄弱であって、この点に関するH証人の証言も信用できない。さらに言うのであれば、横滑りという非常時に作動するESPに頼っている時点で、被告人は、自分自身では被告人車の進行を制御しきれていないともいえるのであるから、ESPの作動は前記の評 価を覆すような事情ではない。したがって、弁護人の主張は採用できない。 キまた、弁護人は、中間部での被告人車の速度は時速25km以下であって、限界旋回速度を超えておらず、かつ、H証人が、被告人の実際の走行位置に従って計算した始端部の限界旋回速度は時速47.5~50.4kmで、被告人車の速度はこれも超えているわけではない旨主張する。しかし、被告人車の始端部での速度は、時速約45kmであって、H証人が算出した限界旋回速度に近い数値である。また、中間部での速度がその限界旋回速度を超えていなかったとしても、その直前ですでに横滑りという異常事態が生じており、このこと自体が進行を制御できていないことを示すことは上記のとおりである。さらに、その横滑りを起こした地点での車速は、中間部の限界旋回速度にほぼ等しい時速約36.5kmであったことからすると、減速しない限り被告人車が本件カーブを曲がることは物理的に不可能であったといえ、だからこそ被告人においても急な減速をせざるを得ず、その結果、上記のとおり横転するに至っているのであるから、やはり被告人車の速度は「進行を制御することが困難な高速度」に当たるというべきである。したがって、弁護人の主張は採用できない。 ク以上のほか、弁護人は様々な主張をするが、これらを踏まえても、被告人車の速度が「進行を制御することが困難な高速度」に該当するという判断は揺らがない 。したがって、弁護人の主張は採用できない。 ク以上のほか、弁護人は様々な主張をするが、これらを踏まえても、被告人車の速度が「進行を制御することが困難な高速度」に該当するという判断は揺らがない。 ⑶ 争点②について上記のとおり、同乗者らが箱乗りをしたことが被告人車の横転に大きな影響を与えたわけではなく、速度超過やこれに起因する急な運転操作が被告人車の横転を引き起こしたと認められることからすれば、被告人が、本件カーブにおいて、時速約45kmの高速度で走行したことの危険性が現実化して横転事故が発生し、被害者らの各致死傷結果が生じたといえ、被告人の運転と各致死傷結果との因果関係を肯定できる。 ⑷ 争点③についてア被告人が、従前から友人とE山の山道で箱乗りをして、そのスリルを楽しむことを繰り返し、E山の道路にカーブが数多くあり、随所に急なヘアピンカーブもあることを把握した上で、本件当日も同様の目的でE山を訪れていること、被告人が「私に命を預けろじゃん」と発言し、他の車両よりも明らかに速い速度で下っていること、事故を起こすまで、道路状況に応じて意識的な運転操作を行っていることは明らかである。これらの点からすれば、被告人は、被告人車が進行を制御することが困難な高速度であることを基礎付ける事実を十分に認識していたばかりでなく、被告人は同乗者に箱乗りのスリルを楽しませるために、認識した道路状況に応じ、山道のカーブを曲がり切ることのできるギリギリの速度を狙って、意図的に高速度で運転していたと認めることができ、裏を返せば、ハンドル操作やブレーキ操作のわずかなミスで事故を起こしかねない速度、すなわち進行を制御することが困難な高速度で意図的に走行していたとさえいうことができる。以上によれば、危険運転致死傷罪の故意は優に認められる。 ーキ操作のわずかなミスで事故を起こしかねない速度、すなわち進行を制御することが困難な高速度で意図的に走行していたとさえいうことができる。以上によれば、危険運転致死傷罪の故意は優に認められる。 イこれに対し、被告人は、本件カーブがヘアピンカーブであるとは認識していなかった旨供述し、弁護人もこれに沿う形で、被告人は道路の形状を誤認していたため、危険運転致死傷罪の故意がない旨主張する。しかし、カーブの形状により、進入前の時点において、物理的にカーブ全体の状況を視認できないことがあり得ることは、ある意味当然のことであって、進入前の時点でカーブの存在や形状を概括的に認識した上、カーブを進行するに従って、その先の道路の形状も認識していったのであれば、道路の形状に対する認識に欠けることはないというべきである。本件において、被告人が、本件カーブに進入する前の時点で、本件カーブの存在やその大まかな形状を認識していたことは明らかに認められる上、被告人は、本件カーブを進行していくうちに、始端部の先にもカーブが続いていくことが分かったというのであるか ら、被告人供述を前提としても、道路の形状に対する認識が欠けることにはならない。 ウしたがって、被告人の供述や弁護人の主張を踏まえても、危険運転致死傷罪の故意は認められる。 4 結論よって、被告人には危険運転致死傷罪が成立する。 【法令の適用】(略)【量刑の理由】被告人は、山道の大きく湾曲する下り勾配のカーブにおいて、進行を制御することが困難な時速約45kmの高速度で被告人車を走行させ、横転事故を起こしているところ、このような運転が危険なものであることは言うまでもない。結果として、同乗していた被害者1名が死亡しており、被害結果が重大であることも明らかである。被害者遺族が被告人の厳 転事故を起こしているところ、このような運転が危険なものであることは言うまでもない。結果として、同乗していた被害者1名が死亡しており、被害結果が重大であることも明らかである。被害者遺族が被告人の厳罰を望んでいるのも当然の感情として理解できる。 一方で、被害者が死亡するにまで至ったのは、被害者が自ら箱乗りをしていたことが大きな要因であることは否めない。加えて、本件の運転は、被告人が被害者や他の同乗者から箱乗りをしたいという希望に応えて行われたものであることも踏まえると、被告人が全責任を負うべきとするのはいささか酷である。もっとも、被告人は、本件以前から、箱乗りの危険性を認識しながら、スリルを楽しみ、これを仲間内で共有するために友人らと箱乗りを繰り返しており、本件もその一環として軽々しく危険な行為に及んだものであるから、被害者が自ら箱乗りをしたという点を酌むにも限度があるというべきである。 そうすると、被告人の刑事責任は重く、相当期間の実刑は免れないが、同種事案の中で、一定の酌むべき事情のある事案であるというべきである。 その上で、被告人が、危険運転致死傷罪の成立は争うものの、被害者の命を奪ってしまったことを悔い、反省の態度を示していることや、被告人の父が、当公判廷 において、被告人を監督し、更生を支える旨誓約していることなど、まだ若い被告人が、両親の監督の下で更生することを期待させる事情もある。これらの事情も考慮した上で、被告人に対しては、主文の刑を科すことが相当であると判断した。 (求刑懲役6年)令和7年10月3日福岡地方裁判所第4刑事部 裁判長裁判官鈴嶋晋一 裁判官田野井蔵人 裁判官中元隆太 所第4刑事部 裁判長裁判官鈴嶋晋一 裁判官田野井蔵人 裁判官中元隆太

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